JP2002146509A - 溶融金属用部材およびその製造方法 - Google Patents

溶融金属用部材およびその製造方法

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JP2002146509A
JP2002146509A JP2000341923A JP2000341923A JP2002146509A JP 2002146509 A JP2002146509 A JP 2002146509A JP 2000341923 A JP2000341923 A JP 2000341923A JP 2000341923 A JP2000341923 A JP 2000341923A JP 2002146509 A JP2002146509 A JP 2002146509A
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molten metal
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Kazuo Hamashima
和雄 浜島
Kimihiko Sato
公彦 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性、耐食性、耐濡れ性に優れた溶融金属用
部材およびその製造法を提供する。 【解決手段】金属基材上にセラミックス被膜(例えば酸
化ジルコニウムを主体とする被膜)を有する溶融金属用
部材であって、該金属基材と該セラミックス被膜との間
にホウ化物を主体とするセラミックス相(例えばMo−
W−Ni−B相)と金属(例えばNi)を主体とする金
属結合相とからなるホウ化物サーメット被膜を有するこ
とを特徴とする。金属基材上にホウ化物を主体とするセ
ラミックス相と金属を主体とする金属結合相とからなる
ホウ化物サーメット被膜を溶射で形成し、次に該ホウ化
物サーメット被膜の上にセラミックス被膜を溶射で形成
して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融アルミニウムや
溶融マグネシウムなどの溶融金属を取り扱う部材であっ
て、耐久性と耐食性に優れ、しかも溶融金属に対して濡
れにくい溶融金属用部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本明細書において、溶融金属用部材とは
溶融金属接触部材、すなわち溶融金属に接触する部材で
あって、溶融金属を保管、運搬、成形等するのに使用さ
れる部材をいい、具体的には、溶融金属の鋳造(例、ダ
イカスト法)に使用される部材が挙げられる。
【0003】溶融金属用部材としては、形状の制約や経
済的な理由でセラミックスやサーメットをそのまま使用
することは少なく、例えば、日本ダイカスト会議論文集
JD98−02に示されるように金属基材上にいわゆる
窒化処理で鉄窒化物を形成したものまたは炭化チタン被
膜や窒化チタン被膜を化学蒸着法(以下、CVDとい
う)もしくは物理蒸着法(以下、PVDという)で形成
したものを使用している。しかし、CVDやPVDで形
成される被膜の膜厚は最大で数μmと薄いため、溶融金
属用部材としては、限定された用途や限定された条件で
しか使用できない問題があった。
【0004】一方、膜厚の厚い被膜の形成方法として溶
射があるが、得られる被膜が多孔質であったり、被膜と
金属基材との密着性が低い、被膜にクラックが発生しや
すく金属基材の損耗が激しいなどの理由から溶融金属用
部材としてはほとんど利用されていない。
【0005】例えば、金属基材上に炭化タングステンと
コバルト合金と主体とするWC−Co系サーメット被
膜、または炭化クロムとNi−Cr合金を主体とするC
32−Ni・Cr系サーメット被膜、を溶射で形成し
たのち、セラミックス被膜を溶射で形成する方法が知ら
れている。この場合、溶射で形成されるセラミックス被
膜としては酸化ジルコニウムを主体とするもの、酸化ケ
イ素を主体とするもの、または酸化アルミニウムを主体
とするものなどがある。
【0006】酸化ジルコニウムを主体とする被膜は、多
孔質であり容易に空気を透過するので溶融金属部材用と
して使用すると下地膜であるサーメット被膜は短時間に
酸化されて使用できなくなる問題がある。一方、酸化ケ
イ素または酸化アルミニウムを主体とするセラミックス
被膜はガラス成分を含んでいるため比較的緻密なセラミ
ックス被膜となる。しかし、溶融金属用部材として使用
すると、その初期にはサーメット被膜の酸化が抑えられ
るため効果があるものの、ある程度使用すると使用温度
の変動などによりセラミックス被膜にクラックが発生し
やすく、サーメット被膜の酸化が進行し、セラミックス
被膜の剥離が急激に進行するおそれがある。すなわち、
従来、金属基材上に被膜を形成する方法で、耐食性、耐
久性、耐濡れ性に優れた溶融金属用部材は得られていな
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐久性、耐
食性、耐濡れ性に優れた溶融金属用部材およびその製造
法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属基材上に
セラミックス被膜を有する溶融金属用部材であって、該
金属基材と該セラミックス被膜との間にホウ化物を主体
とするセラミックス相と金属を主体とする金属結合相と
からなるホウ化物サーメット被膜を有することを特徴と
する溶融金属用部材を提供する。
【0009】また、本発明は、金属基材上にホウ化物を
主体とするセラミックス相と金属を主体とする金属結合
相とからなるホウ化物サーメット被膜を溶射で形成し、
次に該ホウ化物サーメット被膜の上にセラミックス被膜
を溶射で形成することを特徴とする溶融金属用部材の製
造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の溶融金属用部材(以下、
本金属部材という)は、金属基材上にホウ化物サーメッ
ト被膜(以下、単にサーメット被膜という)を有し、さ
らに該サーメット被膜上にセラミックス被膜を有する。
【0011】本金属部材が耐久性、耐食性、耐濡れ性に
優れる理由は不明な点もあるが、次のように推測され
る。すなわち、セラミックス被膜の下にサーメット被膜
が形成されているため、溶融金属用部材として、例えば
アルミニウム、マグネシウムまたはそれらの合金が溶融
する温度域で使用する場合、セラミックス被膜内のクラ
ックや空孔を通過して拡散してくる高温空気によって該
クラックや該空孔の周辺のサーメット被膜が酸化されて
複合酸化物が生成する。
【0012】該複合酸化物は層を形成することなく、粒
度の細かい粉体となるため溶融金属に対して非常に濡れ
にくく、しかも主に金属基材とセラミックス被膜との熱
膨張差に起因して形成されるセラミックス被膜のクラッ
クや空孔を前記の複合酸化物の粉体が埋め溶融金属の侵
入を防止するものと思われる。
【0013】さらに高温状態から冷却する過程では、高
温時にセラミックス被膜内に形成された前記クラックや
前記空孔が収縮するが、そこを埋めていた複合酸化物の
粉体が移動することにより収縮による割れを防ぎ、さら
にセラミックス被膜表面に析出した粉体により溶融金属
が本金属部材表面に付着しにくくなるものと思われる。
【0014】本発明において、金属基材としては特に制
限はないが、耐熱鋼や工具鋼であると耐熱性の点で好ま
しい。本金属部材においてサーメット被膜を構成するホ
ウ化物サーメットは、ホウ化物を主体とするセラミック
ス相と金属を主体とする金属結合相からなる。
【0015】前記サーメット被膜中、セラミックス相が
50〜85質量%(以下、単に%と略す)であると好ま
しく、さらに好ましくは60〜80%である。サーメッ
ト被膜中、セラミックス相が50%未満であると複合ホ
ウ化物の優れた性質が現れにくく、一方、セラミックス
相が85%を超えると耐熱衝撃性が低下し、サーメット
被膜内に亀裂が発生しやすくなり、さらに金属基材との
熱膨張係数の差が大きくなりサーメット被膜の金属基材
への密着性が低下する。
【0016】該セラミックス相は、NiおよびMoの複
合ホウ化物、NiおよびWの複合ホウ化物並びにNi、
MoおよびWの複合ホウ化物からなる群より選ばれる1
種以上を主とするものであると、得られるホウ化物サー
メット被膜の高温における耐酸化性が超硬合金等に比べ
て良好で、800℃以下では急激な酸化消耗が起こりに
くく、その熱膨張係数も金属基材に近くなり被膜が熱サ
イクルで剥離しにくくなるため好ましい。
【0017】さらに前記セラミックス相の70%以上が
(Moz1-zxNiy2(ただし、0<z≦1、1.
8≦x≦2.2、0.9≦y≦1.1)であるとサーメ
ット被膜の耐熱性が充分確保できるため好ましい。70
%未満であるとサーメット被膜の耐熱性が低下し、高温
に晒された場合サーメット被膜の変形、脱落が生じやす
い。
【0018】なかでも前記化学式において0<z<1で
ある場合、すなわちMoとWとを含む場合には、Moと
Wは任意の割合で互いに置換でき、Wが含まれているこ
とによってサーメット被膜の強度と硬度が向上するため
好ましい。しかし、Wは比重が大きく部材の質量が重く
なるので、Wの含有量は複合ホウ化物中のMoとWとの
合計量に対し、40%以下にするのが好ましい。この場
合添加されたWは同時に金属結合相中にも一部固溶し、
サーメット被膜の強度を向上させる。
【0019】サーメット被膜中の金属結合相としては、
Ni、FeおよびCoからなる群より選ばれる1種以上
を主とするものであると複合ホウ化物と金属結合相との
界面の密着力が高いため好ましい。金属結合相としてN
iを主とするものであるとさらに好ましい。その場合の
Ni量は、金属結合相中60%未満であると金属結合相
中に生成する脆弱な第3相の制御が難しくなり、耐食性
が低下することから60%以上が好ましい。より好まし
くは65%以上である。
【0020】さらに、金属結合相がMoを1〜25%含
むと好ましく、Moを5〜15%含むとさらに好まし
い。金属結合相中にMoが固溶していると、サーメット
被膜の機械的強度が向上するだけでなく、サーメット被
膜と金属基材との間の界面における熱処理中の拡散を制
御できる。Mo含有量が1%未満では、効果がほとんど
なく、またMo含有量が25%を超えると、金属結合相
自体が脆弱になるおそれがあり好ましくない。
【0021】金属結合相中にはCr、TaおよびNbか
らなる群より選ばれる1種以上を合計で1〜25%添加
してもよい。Cr、TaまたはNbを添加すると金属結
合相の耐食性を改善するうえ、一部はセラミックス相中
にも取りこまれるなどしてホウ化物粒子の粒成長を抑制
し、サーメット被膜の強度や硬度を上げることができ
る。添加量が1%未満では効果が得られず、一方、添加
量が25%では脆弱な第3相が金属結合相中やセラミッ
クス相中に発生するため、当該サーメットの有益な特性
が損なわれる。
【0022】本金属部材においては、サーメット被膜の
厚さが0.05〜0.3mmであると好ましい。前記厚
さが0.05mm未満であるとサーメットの好ましい特
性がサーメット被膜に発現しにくく、一方、前記厚さが
0.3mmを超えると作成が難しくなり、生産性の点で
好ましくない。
【0023】なお、サーメット被膜は1層である必要は
なく、複数の層で構成してもよい。例えば金属基材に近
い部分を金属結合相を多く含有するサーメット被膜と
し、セラミックス被膜に近い部分をセラミックス相を多
く含有するサーメット被膜とする構成などが挙げられ
る。
【0024】本金属部材において、サーメット被膜の上
に形成されるセラミック被膜としては、種々の酸化物セ
ラミックス、炭化物セラミックス、窒化物セラミック
ス、ホウ化物セラミックスなどが採用できる。耐食性な
どの点から酸化物セラミックスが好ましい。
【0025】セラミックス被膜が酸化ジルコニウムを主
体とするものであると高温での耐酸化性があり、セラミ
ックス被膜も剥離しにくいためさらに好ましい。セラミ
ックス被膜が酸化ジルコニウムを50%以上含むもので
あるとセラミックス被膜に均一に分散した気孔が形成さ
れ、溶融金属用部材として耐熱衝撃性がよくなるためさ
らに好ましい。
【0026】酸化ジルコニウムが酸化イットリウムや酸
化セリウムなどの安定化材で安定化されているとセラミ
ックス被膜の耐熱性が高く、また剥離しにくいためより
好ましい。なお、安定化材としては酸化イットリウムや
酸化セリウム以外のものを使用してもよい。
【0027】また、酸化ジルコニウムと併用できる酸化
物としては、酸化チタンや酸化ケイ素などが例示され
る。複数の酸化物を使用する場合には単に混合するだけ
でもよいが、共晶体であればセラミックス被膜の微細組
織が均一になりやすいのでより好ましい。
【0028】本金属部材においては、セラミックス被膜
の厚さが0.1〜1mmであると好ましい。前記厚さが
0.1mm未満であるとセラミックスのもつ耐食性、耐
熱性がセラミックス被膜に発現しにくく、一方、前記厚
さが1mmを超えると作成が難しくなり、生産性の点で
好ましくない。セラミックス被膜の厚さが0.1〜1m
mで、かつサーメット被膜の厚さが0.05〜0.3m
mであるとさらに好ましい。なお、セラミックス被膜は
1層である必要はなく、複数の層で構成してもよい。複
数の層の場合、セラミックス組成を層の構成に応じて変
化させてもよい。
【0029】本発明において、本金属部材の製造方法
(以下、本製造法という)は、金属基材上にホウ化物を
主体とするセラミックス相と金属を主体とする金属結合
相とからなるサーメット被膜を溶射で形成し、次に該サ
ーメット被膜の上にセラミックス被膜を溶射で形成する
ことを特徴とする。
【0030】本製造法において、サーメット被膜は、所
望の組成になるように調製された、セラミックス粉末と
金属粉末との混合粉末をアークまたはガス炎によって溶
融し、金属基材の表面に高速で吹付けることによって形
成される。
【0031】前記混合粉末の調製は特に限定されない
が、MoB、WB等のホウ化セラミックス粉末とMo、
Ni等の金属粉末を所定量秤取し、有機バインダやエタ
ノール、工業アルコールなどの有機溶媒とともに、回転
ボールミルやアトリッションミル等の混合・粉砕機に入
れてスラリとし、該スラリを非酸化性雰囲気下でスプレ
ードライ等により乾燥、造粒したものを使用する方法な
どが挙げられる。造粒した粉末は、一般に外形が球形に
近いため流動性があり、平均粒径も原料粉末よりも大き
くなるため、溶射の生産性が高いなどの利点がある。
【0032】前記混合粉末の調製における有機バインダ
としては、特に制限されないがアクリル樹脂、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロ
リドンまたはポリエチレングリコールなどが例示され
る。
【0033】上記の乾燥、造粒した粉末をさらに非酸化
性雰囲気下で1000〜1200℃で仮焼し、さらに解
砕して概ね球形の粒子とすると得られる被膜の特性が均
質になり、しかも溶射作業時の熱投入量が変動しても組
成が変動することが少ないなど生産性も高いことから好
ましい。
【0034】なお、サーメット被膜の原料となるセラミ
ックス粉末や金属粉末は、純度が高ければ高いほどよ
く、また、その粒径は細かいほど被膜の特性が良いため
好ましい。平均粒径が10μm以下であると混合粉末の
均質性が高くなるため好適である。
【0035】本製造法においてセラミックス被膜も同様
にして調製できる。またセラミックス被膜用のセラミッ
クス粉末の純度や粒度もサーメット被膜用粉末と同様な
ものであると好ましい。さらに前記粉末が造粒してある
と溶射しやすいため好ましいのも同様である。本製造法
において溶射法としては、特に制限されないが、高速ガ
スフレーム溶射法やプラズマ溶射法などの一般的な溶射
法を適宜採用できる。
【0036】
【実施例】[例1(実施例)]MoB(純度99.5
%、平均粒径約6μm)49%、WB(純度99.4
%、平均粒径約4μm)9%、Mo(純度約99.8
%、平均粒径約8μm)7%、Ni(純度約99.5
%、平均粒径3μm)35%の4種類の粉末を混合し、
有機溶媒としてエタノールを用い回転ボールミルにて4
8時間粉砕してスラリを調製した。得られたスラリにポ
リビニルブチラールをスラリ中の固形分に対して0.2
%添加し、さらに前記スラリの粘度を調整後、ディスク
アトマイザー式スプレードライヤー(大川原化工機社
製)を用いて造粒処理し、平均粒径約46μmの造粒粉
を作製した。
【0037】この造粒粉をAr雰囲気中1100℃で1
時間焼結した後、解砕、分級し粒径26〜50μmの溶
射用粉末を得た。得られた溶射用粉末を分析したとこ
ろ、ほぼ(Mo0.910.092NiB2組成からなるセラ
ミックス相が73.4%、Ni75%とMo25%から
なる金属結合相が26.6%であった。
【0038】この溶射用粉末をサンドブラスト処理した
SKD61製金属部材の内面に、ダイヤモンドジェット
式溶射機(スルーザー・メテコ社製)を用い、膜厚が約
100μmになるように溶射した。得られたサーメット
被膜は緻密で均質であり、平均硬度Hv300(断面に荷
重300gのマイクロビッカースを打ち込んで測定)が
9.9GPaの特性を示した。次いで、サーメット被膜
の上に同様にして、酸化ジルコニウム中に24%の酸化
マグネシウムを共晶させた原料を用いて、膜厚が約30
0μmとなるように溶射してセラミックス被膜を表面層
として形成させた。
【0039】作製した溶融金属用部材を、形成した被膜
が690℃の溶融アルミニウムと接触するようにして、
アルミニウム鋳塊を間欠的に取り出す鋳造金型のゲート
(漏斗形状;テーパ部=上部直径12cm×下部直径6
cm×高さ5cm、ストレート部=直径6cm×高さ5
cm)として使用した。その結果、被膜が剥離し反応固
化したアルミニウム化合物が溶湯の流入を妨げ使用不能
になるまでに、8600回の鋳造ができた。
【0040】[例2(比較例)]例1において金属基材
表面にサーメット被膜とセラミックス被膜を形成する代
わりに、単に金属表面を窒化処理する他は例1と同様に
した。例1と同様な鋳造作業に供したところ、553回
鋳造したところで溶融アルミニウムと金属表面の活発な
反応により鋳塊が取り出せず使用できなくなった。
【0041】[例3(比較例)]例1において、サーメ
ット被膜としてホウ化物サーメット被膜の代わりに膜厚
100μmのWC87%−Co13%被膜とする他は例
1と同様にした。例1と同様な鋳造作業に供したとこ
ろ、1148回鋳造したところで反応固化したアルミニ
ウム化合物が溶湯の流入を妨げ使用できなくなった。
【0042】[例4(比較例)]例1において、サーメ
ット被膜を形成せず、セラミックス被膜の膜厚を約40
0μmとする他は例1と同様にした。例1と同様な鋳造
作業に供したところ、わずか86回鋳造したところで溶
融アルミニウムと金属表面の活発な反応により鋳塊が取
り出せず使用できなくなった。
【0043】
【発明の効果】本金属部材においては、金属基材上にサ
ーメット被膜が形成されているため、耐摩耗溶射被膜と
して多用されているステライトなどのCo系合金や、N
i−Cr−B系合金の溶射被膜と比べ、高温強度や硬度
に優れ、密着性、耐食性や耐熱衝撃性において遜色がな
い。特に、溶射でサーメット被膜を形成した場合には溶
射時に発生する熱で金属基材成分とサーメット被膜成分
とが相互拡散しているため、セラミックス被膜を直接、
金属基材上に形成する場合に比べて、格段に大きな密着
力を有している。
【0044】さらに、本金属部材において、表面層とし
て酸化ジルコニウムを主体とするセラミックス被膜が形
成されている場合には、溶融アルミニウム合金や溶融マ
グネシウム合金に対し、化学的に安定で耐食性に優れて
いる。しかもサーメット被膜が下地膜として存在するた
めセラミックス被膜の耐久性が著しく向上しており、本
金属部材の全体としての耐久性も非常によい。
【0045】また、サーメット被膜が酸化されて形成さ
れる複合酸化物粉体が本金属部材の表面に析出するため
溶融金属が付着しにくく耐濡れ性にも優れる。その結
果、使用時に付着物が剥離して製品中の欠陥となるよう
なこともほとんどなく、高品質な製品を製造できる溶融
金属用部材が提供される。
【0046】したがって、本金属部材は、アルミニウム
の低圧鋳造用金型部品などに代表される溶融金属に対す
る高い耐食性と耐熱性が要求される用途において、優れ
た耐用を示し、さらに本金属部材を使用した製品の品質
にも優れる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基材上にセラミックス被膜を有する溶
    融金属用部材であって、該金属基材と該セラミックス被
    膜との間にホウ化物を主体とするセラミックス相と金属
    を主体とする金属結合相とからなるホウ化物サーメット
    被膜を有することを特徴とする溶融金属用部材。
  2. 【請求項2】前記セラミックス相の70質量%以上が
    (Moz1-zxNiy2(ただし、0<z≦1、1.
    8≦x≦2.2、0.9≦y≦1.1)であり、かつ前
    記金属結合相の60質量%以上がNiである請求項1記
    載の溶融金属用部材。
  3. 【請求項3】前記セラミックス被膜の50質量%以上が
    酸化ジルコニウムである請求項1または2記載の溶融金
    属用部材。
  4. 【請求項4】前記ホウ化物サーメット被膜の厚さが0.
    05〜0.3mmであり、かつ前記セラミックス被膜の
    厚さが0.1〜1.0mmである請求項1、2または3
    記載の溶融金属用部材。
  5. 【請求項5】金属基材上にホウ化物を主体とするセラミ
    ックス相と金属を主体とする金属結合相とからなるホウ
    化物サーメット被膜を溶射で形成し、次に該ホウ化物サ
    ーメット被膜の上にセラミックス被膜を溶射で形成する
    ことを特徴とする溶融金属用部材の製造方法。
  6. 【請求項6】(Moz1-zxNiy2(ただし、0<
    z≦1、1.8≦x≦2.2、0.9≦y≦1.1)と
    Ni合金とを主体とする原料を用いてホウ化物サーメッ
    ト被膜を溶射する請求項6記載の溶融金属用部材の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013185239A (ja) * 2012-03-09 2013-09-19 Toshiba Mach Co Ltd アルミニウム溶湯接触部材およびその製造方法

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JP2013185239A (ja) * 2012-03-09 2013-09-19 Toshiba Mach Co Ltd アルミニウム溶湯接触部材およびその製造方法

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