JP2003301201A - 複合サーメット粉末およびその製造方法 - Google Patents

複合サーメット粉末およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003301201A
JP2003301201A JP2002110645A JP2002110645A JP2003301201A JP 2003301201 A JP2003301201 A JP 2003301201A JP 2002110645 A JP2002110645 A JP 2002110645A JP 2002110645 A JP2002110645 A JP 2002110645A JP 2003301201 A JP2003301201 A JP 2003301201A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
powder
nitride
oxide
composite cermet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002110645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4119667B2 (ja
Inventor
Kazumi Tani
和美 谷
Keiji Kobayashi
圭史 小林
Hiroyuki Kitaaki
廣幸 北秋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tocalo Co Ltd
Original Assignee
Tocalo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tocalo Co Ltd filed Critical Tocalo Co Ltd
Priority to JP2002110645A priority Critical patent/JP4119667B2/ja
Publication of JP2003301201A publication Critical patent/JP2003301201A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4119667B2 publication Critical patent/JP4119667B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材上に金属窒化物を主成分とする材料を被
覆し、そして、この被覆層を最表面層とするか、あるい
は他の被覆層を形成するための下地層として形成するの
に好適に用いられる粉末材料と、その製造技術を提案す
ること。 【解決手段】 金属と、その金属の窒化物およびその金
属の酸化物の混合粉末からなる複合サーメット粉末であ
り、該金属がSi、Al、TiおよびZrのうちから選ばれるい
ずれか1種以上であり、その金属に対応する窒化物がそ
れぞれ、Si3N4、AlN、TiNおよびZrNのうちから選ばれる
いずれか1種以上であり、かつ、その金属に対応する酸
化物がそれぞれSiO2、Al2O3、TiO2およびZrO2のうちか
ら選ばれるいずれか1種以上の組合せからなること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属−金属酸化物
−金属窒化物系からなる複合サーメット粉末とその製造
方法に関するものである。本発明にかかるこの複合サー
メット粉末は、溶射用粉末材料、焼結用粉末材料あるい
は物理的蒸着用粉末材料等として用いられるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】金属窒化物は、非酸化物系無機質材料の
一つであり、耐熱性および耐食性に優れるとともに、高
硬度で卓越した耐摩耗性を有することから、各種の産業
分野で用いられる基本的な材料の1つである。この金属
窒化物を主成分とする部材(製品)を工業的に製造する
方法としては、金属窒化物原料粉末を成形したのち焼結
する方法や、PVDやCVDなどの気相成長法によって別の基
材表面に数μm厚の薄膜を形成する方法などが採用され
ている。その他、バルク体以外の基材表面に50μmを
超えるような厚いコーティングを形成する技術として、
有機接着剤を含むスラリーを噴霧、塗布あるいは浸漬す
る方法によってコーティングしたり、複合めっきプロセ
スである窒化物分散型化学めっき法などによって、皮膜
形成する方法がある。
【0003】発明者らは、非酸化物系無機質材料(以
下、「セラミックス」の例で述べる。)のもつ優れた特
性を利用した溶射用粉末材料の開発とその実用化につい
て鋭意研究を行なってきた。例えば、特開平7−62516号
公報(特許第3224166号)では、耐溶融金属用皮膜とし
て、TiN、HfN、NbN、TaN、VN、ZrN、CrN、Si3N4およびA
lNなどの窒化物のみを溶射する技術を提案した。この皮
膜は、溶融亜鉛中では優れた耐食性を発揮するが、皮膜
を構成する窒化物粒子の相互結合力が比較的弱く、耐摩
耗性皮膜としては改善の余地を残していた。
【0004】また、Cr3C3、WC、TiCなどの炭化物系セラ
ミックスおよびCrB2、TiB2、ZrB2などのほう化物系セラ
ミックスに対しては、Al、NiおよびCoなどの金属成分を
添加したサーメット材料を開発し、例えば、特開平4−3
58055号公報(特許第2986590号)として提案した。しか
し、このサーメットを用いた皮膜の特徴は、金属成分に
由来する特性に支配され、酸やアルカリ環境中では十分
な性能を発揮することができないという点で、改善の余
地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したとおり、金属
窒化物系部材は、一般に、 原料粉末を成形したのち
焼結する方法、 PVDやCVDなどの気相成長法、化学
めっき法、などによって別の基材表面に被覆形成させる
方法などによって製造されている。しかしながら、上記
の方法にはそれぞれ以下のような問題点があった。
【0006】の方法は、金属窒化物が難焼結性である
ため、これを基材表面に被覆したり、各種被覆層の下層
とすることは基本的に困難である。しかも焼結の際に
は、焼結助剤などの添加が不可欠となって、コスト高に
なることに加え、特定の形状を付与し、実用レベルの機
械的強度を持たせるためには、ホットプレスやHIPな
ど、限定された条件を用いて成形・焼結を行なうことが
必要である。従って、比較的形状の大きい部材に対し、
このようなプロセスを適用することは、経済的な損失が
大きいという問題点がある。の方法は、30〜50μ
m以上の厚さの層を経済的に得ることが困難で、実用的
でないという問題点がある。 化学めっき方法によ
り、複合めっき皮膜を形成する方法は、窒化物が単に金
属めっき膜中に分散混合した状態になっていて、化合物
としての窒化物皮膜になっている訳ではないから、金属
窒化物としての本来の特性が得られないという問題点が
あった。
【0007】そこで、本発明は、上述した焼結法、気相
成長法あるいは化学めっき法によらず、窒化物の被覆層
を形成する方法として、溶射法や塗布法などに着目して
検討した。たとえば、平均粒径が10〜40μm程度の
金属窒化物粉末材料を、溶射法や圧縮気体による噴霧法
などの吹き付け手段、塗布法あるいは浸漬法などを用い
て成膜させることを考えた。そして、これらの手段を用
いて成膜するのに好適な複合サーメット粉末材料および
その製造方法について検討することにしたのである。
【0008】すなわち、本発明の目的は、基材上に金属
窒化物を主成分とする材料を被覆し、そして、この被覆
層を最表面層とするか、あるいは他の被覆層を形成する
ための下地層として形成するのに好適に用いられる粉末
材料と、その製造技術を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した知見の下で、前
記目的を実現するために本発明では、以下のような手段
を採用する。すなわち、本発明は、金属と、その金属の
窒化物およびその金属の酸化物の混合粉末であることを
特徴とする複合サーメット粉末を提案する。
【0010】また、本発明は、金属(合金を含む、以
下、「金属・合金」を含めて単に金属という)、その金
属の酸化物およびその金属の窒化物の混合粉末を造粒
し、その後、噴霧乾燥することを特徴とする複合サーメ
ット粉末の製造方法を提案する。
【0011】さらに、本発明は、金属、その金属の酸化
物およびその金属の窒化物の混合粉末を造粒し、その
後、焼結してから粉砕することを特徴とする複合サーメ
ット粉末の製造方法を提案する。
【0012】なお、本発明においては、前記金属がSi、
Al、TiおよびZrのうちから選ばれるいずれか1種以上で
あり、その金属に対応する窒化物がそれぞれ、Si3N4、A
lN、TiNおよびZrNのうちから選ばれるいずれか1種以上
であり、かつ、その金属に対応する酸化物がそれぞれSi
O2、Al2O3、TiO2およびZrO2のうちから選ばれるいずれ
か1種以上の組合せからなること、金属、金属酸化物お
よび金属窒化物の混合割合が、容積分率で金属:金属酸
化物:金属窒化物=20〜50:5〜15:75〜35
であること、および噴霧乾燥後または焼結粉砕後の粉末
粒子の大きさを、5〜120μmの範囲に調整すること
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】始めに、本発明に係る金属−金属
窒化物−金属酸化物系の複合サーメット粉末について説
明する。ところで、金属窒化物というのは一般に、密度
が比較的小さいため、溶射法などにおいて溶射火炎中に
投入することが難しく、また、高温下では、金属窒化物
の生成自由エネルギーが、金属酸化物の生成自由エネル
ギーと比較して小さいため不安定になるという問題点が
ある。そのため、発明者らは、このような金属窒化物の
粉末について種々実験的に検討を重ねた結果、金属窒化
物を構成している金属を結合材として利用すれば、望ま
しい粉末を得ることができるのではないかと考えた。
【0014】このような結合材として添加する金属とし
て、本発明では、Si、Al、TiおよびZrのうちから選ばれ
るいずれか1種以上の金属もしくは、それらの合金(以
下、単に金属という)を用いることが好ましい。これら
の金属・合金窒化物の焼結体は、構造用セラミックスと
して実用化されており、その化学的安定性や高靭性、高
熱伝導率などの特性から工業的な利用が期待されてい
る。つまり、これらの金属・合金およびその金属の窒化
物を構成成分とする被覆層を提供できれば、工業的な価
値が非常に高いのである。
【0015】また、上述した結合材として用いる金属に
対し、その金属に対応する窒化物として、本発明は、前
記金属のうちから選択した金属の窒化物、すなわちSi3N
4、AlN、TiNまたはZrN等のうちのいずれか1種以上を用
いる。これらの金属窒化物は、主として粉末冶金焼結プ
ロセスで得られ、前述のとおり新しいセラミックス材料
として、バルク材等に実用されている。Si3N4は、比重
が約3.2g/cm3と小さく、軽量で室温および高温強度に優
れ、耐熱衝撃性および耐薬品性にも富んでいる。また、
AlNは、高熱伝導性を有した構造用セラミックスであ
り、TiNおよびZrNは高硬度で耐摩耗性に優れた特性を有
し、これらの工業的な利用が大いに期待されている。
【0016】本発明では、かかる金属窒化物の例とし
て、表1に示すように、Si3N4、AlN、TiNおよびZrNのう
ちのいずれか1種以上を用いて、ポリビニルアルコール
(PVA)を接着剤として種々の成分組成(No.1〜20)のサ
ーメットのスラリーを作製し、これを噴霧乾燥法により
5〜120μmの粉末とした後、さらに15〜53μmの
粒度範囲に分級した。なお、各材料の配合比率は容積比
である。得られた複合粉末について、50MPaの圧力を
かけたときの粒子形態を観察した結果ならびに粉末顆粒
強度を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1の結果から、例示のすべての粉末(No.
1〜20)が50MPa程度までの加圧により簡単に粉末
粒子が破壊され、実用レベルの強度が得られていないこ
とがわかった。つまり、単に接着剤を介して金属窒化物
と金属を複合化させただけでは、実用強度の複合粉末を
製造することはできないことがわかった。なお、各構成
材料の密度は、それぞれSi3N4:3.18g/cm3、AlN:3.26g
/cm3、TiN:5.43g/cm3、ZrN:7.35g/cm3であった。
【0019】発明者らは、前記複合サーメット粉末の顆
粒強度が十分でない要因について検討した。その結果、
窒化物は難反応材であるため、窒化物と金属との固溶挙
動がほとんど生じないことに原因があると考えた。そこ
で、窒化物の焼結体製造において、焼結助剤としての金
属酸化物に着目し、これを金属窒化物−金属混合粉末に
複合させれば、酸化物による焼結性の向上が期待でき、
強度の向上が図れるのではないかと考えたのである。
【0020】なお、焼結助剤として作用させる金属酸化
物としては、前記金属(Si、Al、TiおよびZrのうちから
選ばれるいずれか1種以上の金属)の酸化物、すなわち
SiO2、Al2O3、TiO2またはZrO2のうちのいずれか1種以
上を使用する。セラミックスの圧粉体を常圧下で高温加
熱し焼結する場合、一般にセラミックスの原料粉末に酸
化物を主体とした焼結助剤を添加し、緻密化の促進を図
る方法がとられている。本発明では、この基本プロセス
を採用した。
【0021】さて、発明者らは、まず、金属窒化物の例
としてSi3N4、金属の例としてSi、金属酸化物の例とし
てSiO2を使用して所定の組成に調整し、こうして得られ
た原料粉末を、大気中の直流プラズマジェット中に投入
して溶射し、これらを水中に噴霧して粒子のまま捕捉し
た。そして、得られた各複合粉末粒子を顕微鏡による外
観観察およびレーザー回折法による粉末の粒度分布測定
によって顆粒の状態を調査した。その結果を表2に示
す。なお、この表2中のAは、水中へのプラズマ溶射後
の粉末顆粒の状態で、出発粉末の粒度分布形態がほぼ残
存していること、Bは、粒度分布中粗粒側がほぼ1/2
細粒化していること、Cは、出発粉末の粒度分布形態が
ほとんど消滅していることを表す。
【0022】
【表2】
【0023】同様にして、金属としてAl、金属窒化物と
してAlNおよび金属酸化物としてAl2O3を用いて複合サー
メット粉末を作製し、得られた顆粒の状態を調査した結
果を表3に示す。また、表4には、金属としてTi、金属
窒化物としてTiNおよび金属酸化物としてTiO2を用いた
場合の顆粒の状態を調査した結果を、そして、表5には
金属としてZr、金属窒化物としてZrNおよび金属酸化物
としてZrO2を用いた場合の粉末の形態を示す。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】表2〜5に示す結果から、金属−金属窒化
物−金属酸化物を適切な割合で混合させれば、プラズマ
溶射による皮膜形成の出発原料として有効な複合サーメ
ット粉末を提供することができることがわかった。すな
わち、本発明に係る複合サーメット粉末は、金属、金属
酸化物および金属窒化物の混合割合が、容積比で金属:
金属酸化物:金属窒化物=20〜50:5〜15:75
〜35であることが好ましい。金属の容積比が20未満
では、サーメットの結合材としての効果が減殺され、粉
末顆粒強度が低下してしまう。一方、その値が50を超
えると金属の特性が強くなり、金属窒化物および金属酸
化物の特性が減殺されて好ましくない。また、金属酸化
物は、表2に示す結果から明らかなように、容積比が5
未満または15を超える場合には、粉末顆粒強度が低
く、実際に利用することができない。また、金属窒化物
は、金属と金属酸化物の量を最適化することで決定され
る。
【0028】なお、本発明の複合サーメット粉末の構成
成分の成膜における役割は、下記のとおりである。 (1)金属:溶射熱源中で溶融し、一部は酸化するもの
の、大部分は窒化物や酸化物粒子の接合作用および基材
への付着力の向上に大きな役割を果たす。 (2)金属酸化物:溶射熱原中で溶融し(酸化物は溶融
しても質的変化は少ない)、窒化物粒子の分散と接合を
助け自らがマトリックスとしての機能を発揮する。 (3)金属窒化物:熱源中で一部が分解したり、ガス化
するが、大部分は微細な粒子として溶融金属や酸化物を
バインダーとして分散し、皮膜を形成する。
【0029】すなわち、本発明に係る複合サーメット粉
末において、金属は一部が酸化するものの、その大部分
がマトリックスを形造ると共に結合材として作用するこ
とで、金属窒化物および金属酸化物の均一分散の下に繋
ぎ止めて一体化した状態で層を形成するのに寄与してい
る。
【0030】また、本発明に係る40vol%Si−50vol%Si3N
4−10vol%SiO2複合サーメット粉末粒子の形態を示す顕
微鏡写真を図1に示す。
【0031】なお、本発明に係る複合サーメット粉末
は、図2に示すフロー図に従って製造する。すなわち、
上記の粉末原料を混合し、造粒したのち、噴霧乾燥もし
くは焼結してから粉砕する。 噴霧乾燥法は、複合材を構成する個々の成分粒子
(一次粒子)と接着機能を有する有機物バインダー溶媒
とを混合し、得られたスラリーをノズルから噴出させる
と共に、窒素などの不活性ガスの熱流体で急速乾燥させ
て粉末化するという方法であり、この方法は、多成分の
複合粉体を簡便に製造できる。 一方、焼結粉砕法は、複数の一次粒子粉末からなる
複合材を混合した後、真空あるいは水素雰囲気で一旦、
焼結結合させ、続いてこれを粉砕して粉末化するという
方法であり、この方法で得られた粉末は、個々の粉末が
優れた機械的強度を有し、炭化物サーメット材に適用し
た場合には、耐摩耗性に優れた特性を発揮することがで
きる。
【0032】また、前記噴霧乾燥あるいは焼結粉砕によ
り得た複合サーメット粉末材料の粒度は、5〜120μ
mの範囲内に調整することが望ましい。粒度を5〜12
0μmの範囲内に限定する理由は、粒度が120μm以上
では、溶射時に熱源フレーム中で加熱した場合、粉末中
心方向への熱伝達が不充分となり、加熱効率が低下して
好ましくなく、一方、5μm未満では、粒子質量の熱源
フレームへの移行が不充分となり、最終的には皮膜化せ
ず、付着歩留りが低下して好ましくないためである。
【0033】
【実施例】(実施例1)この実施例では、Si−Si3N4−S
iO2複合サーメット粉末を作製し、該粉末をプラズマ溶
射法で内径100mm、深さ500mmのSS400鋼製るつぼ内壁に
厚さ100μmに被覆した。このるつぼ内に鋼板めっき用の
Zn-0.2%Al合金を入れ、溶解後500℃で50時間保持し
た。この間、溶湯を攪拌器を用いて、るつぼ壁に対し周
速3m/minの速さで強制攪拌した。
【0034】比較例としては、窒化珪素粉末をポリビニ
ルアルコールを溶媒としてスラリー状とし、内径100m
m、深さ500mmのSS400鋼製るつぼ内壁に、はけ塗りで塗
布して200μm厚さに被覆した後、300℃で焼結処理し
た。このるつぼ内に鋼板めっき用のZn-0.2%Al合金を入
れ、溶解後500℃で50時間保持した。この間、溶湯を
攪拌器を用いて、るつぼ壁に対し周速3m/minの速さで強
制攪拌した。
【0035】50時間保持後、溶湯を冷却し、インゴッ
トを回収した。るつぼの内壁の皮膜を観察したところ、
本発明では、皮膜の溶湯によるエロージョン損耗はほと
んど認められなかったが、比較例では、ほとんどの皮膜
が剥離し、SS400鋼基材が露呈していた。これらの結果
から、本発明の粉末を用いて形成した皮膜は、十分な機
械的強度を有し、窒化珪素単体を有機バインダーを用い
て混合し焼結して形成した皮膜に比べて高耐久性を有す
ることが明らかになった。
【0036】(実施例2)この実施例では、本発明に適
合する40vol%Si−50vol%Si3N4−10vol%SiO2の混合粉末
を、プラズマ溶射法により基材上に成膜させ、皮膜の耐
エロージョン性を評価した。
【0037】<本発明> 寸法:100×50×6mmのSS400鋼製基材の表面に、本発明
に適合する40vol%Si−50vol%Si3N4−10vol%SiO2の混合
粉末をプラズマ溶射法により、150μm厚さに溶射し
て被覆形成した。
【0038】<比較例>本発明と同寸法の基材に、Si3N
4粉末を水とポリビニルアルコールで得たスラリーを、
はけ塗りおよび焼成からなる処理を複数回繰返して30
0μm厚さの塗膜を形成した。なお、焼成条件は、電気
炉中で250℃で1時間保持とした。
【0039】前記のとおり皮膜形成させた基板に対し、
アルミナ粒#220を空気圧10kPaで吹き付け、基
材が露出するまでの時間を測定した。その結果、比較例
では、5秒で基板が露出し始めたが、本発明の複合サー
メット粉末を用いた溶射皮膜では、30秒間、耐エロー
ジョン性を示した。これは、本発明の複合サーメット粉
末を構成する金属窒化物が、金属および金属酸化物との
共存によって安定した粒子間結合を発現していることに
よるものと考えられる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、金
属窒化物を含む複合サーメットの粉末が得られ、これを
溶射法などによる厚膜形成用の原料として利用すること
ができる。また、気相成長法などによる方法と比較し
て、厚さの大きな金属窒化物を主体としたサーメット皮
膜を、有意に高速度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明粉末粒子の形態を示す顕微鏡写真であ
る。
【図2】基材の表面に本発明の複合サーメット粉末を形
成するためのフロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北秋 廣幸 兵庫県神戸市北区桂木1丁目8番12号 Fターム(参考) 4K018 AB01 AB03 AC04 AD10 BA03 BA08 BA11 BB04 BC08 BC11 BC12 BD09 4K031 AA01 AA08 AB02 AB08 AB09 CB02 CB09 CB14 CB18 CB31 CB36 CB37 CB42 CB43 CB46 CB48 CB50 DA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属と、その金属の窒化物およびその金
    属の酸化物の混合粉末からなることを特徴とする複合サ
    ーメット粉末。
  2. 【請求項2】 前記金属がSi、Al、TiおよびZrのうちか
    ら選ばれるいずれか1種以上であり、その金属に対応す
    る窒化物がそれぞれ、Si3N4、AlN、TiNおよびZrNのうち
    から選ばれるいずれか1種以上であり、かつ、その金属
    に対応する酸化物がそれぞれSiO2、Al2O3、TiO2およびZ
    rO2のうちから選ばれるいずれか1種以上の組合せから
    なることを特徴とする、請求項1に記載の複合サーメッ
    ト粉末。
  3. 【請求項3】 金属、金属酸化物および金属窒化物の混
    合割合が、容積分率で金属:金属酸化物:金属窒化物=
    20〜50:5〜15:75〜35であることを特徴と
    する、請求項1または2に記載の複合サーメット粉末。
  4. 【請求項4】 前記混合粉末粒子の大きさが5〜120
    μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の複合サーメット粉末。
  5. 【請求項5】 金属、その金属の酸化物およびその金属
    の窒化物の混合粉末を造粒し、その後、噴霧乾燥するこ
    とを特徴とする複合サーメット粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属、その金属の酸化物およびその金属
    の窒化物の混合粉末を造粒し、その後、焼結してから粉
    砕することを特徴とする複合サーメット粉末の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記金属がSi、Al、TiおよびZrのうちか
    ら選ばれるいずれか1種以上であり、その金属に対応す
    る窒化物がそれぞれ、Si3N4、AlN、TiNおよびZrNのうち
    から選ばれるいずれか1種以上であり、かつ、その金属
    に対応する酸化物がそれぞれSiO2、Al2O3、TiO2およびZ
    rO2のうちから選ばれるいずれか1種以上の組合せからな
    ることを特徴とする、請求項5または6に記載の複合サ
    ーメット粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 噴霧乾燥後または焼結粉砕後の粉末粒子
    の大きさを5〜120μmの範囲に調整することを特徴
    とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の複合サーメ
    ット粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属、金属酸化物および金属窒化物の混
    合割合が、容積分率で金属:金属酸化物:金属窒化物=
    20〜50:5〜15:75〜35であることを特徴と
    する、請求項5〜8のいずれか1項に記載の複合サーメ
    ット粉末の製造方法。
JP2002110645A 2002-04-12 2002-04-12 複合サーメット粉末およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4119667B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002110645A JP4119667B2 (ja) 2002-04-12 2002-04-12 複合サーメット粉末およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002110645A JP4119667B2 (ja) 2002-04-12 2002-04-12 複合サーメット粉末およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003301201A true JP2003301201A (ja) 2003-10-24
JP4119667B2 JP4119667B2 (ja) 2008-07-16

Family

ID=29393717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002110645A Expired - Fee Related JP4119667B2 (ja) 2002-04-12 2002-04-12 複合サーメット粉末およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4119667B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006183091A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Fujimi Inc 溶射用粉末
WO2007080855A1 (ja) * 2006-01-10 2007-07-19 Taiheiyo Cement Corporation シンクロナイザーリングおよびその製造方法、溶射粉末
EP2033724A1 (en) * 2007-08-20 2009-03-11 Heraeus, Inc. Homogenous granulated powder based on metal and ceramic
WO2010143594A1 (ja) * 2009-06-10 2010-12-16 株式会社 フジミインコーポレーテッド 溶射用粉末及び溶射皮膜の形成方法
JP2011509342A (ja) * 2007-12-18 2011-03-24 キャリア コーポレイション 圧縮機用耐食性保護被覆
WO2014042315A1 (ko) * 2012-09-17 2014-03-20 명지대학교 산학협력단 장식용 복합재료 및 그 제조방법
CN105861902A (zh) * 2016-06-22 2016-08-17 陆志强 一种高耐热氮化物基金属陶瓷模具及其制备方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103785860B (zh) * 2014-01-22 2016-06-15 宁波广博纳米新材料股份有限公司 3d打印机用的金属粉末及其制备方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006183091A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Fujimi Inc 溶射用粉末
JP4547253B2 (ja) * 2004-12-27 2010-09-22 株式会社フジミインコーポレーテッド 溶射用粉末
WO2007080855A1 (ja) * 2006-01-10 2007-07-19 Taiheiyo Cement Corporation シンクロナイザーリングおよびその製造方法、溶射粉末
JP2007182618A (ja) * 2006-01-10 2007-07-19 Taiheiyo Cement Corp シンクロナイザーリングおよびその製造方法、その製造に用いられる溶射粉末
EP2033724A1 (en) * 2007-08-20 2009-03-11 Heraeus, Inc. Homogenous granulated powder based on metal and ceramic
JP2011509342A (ja) * 2007-12-18 2011-03-24 キャリア コーポレイション 圧縮機用耐食性保護被覆
WO2010143594A1 (ja) * 2009-06-10 2010-12-16 株式会社 フジミインコーポレーテッド 溶射用粉末及び溶射皮膜の形成方法
WO2014042315A1 (ko) * 2012-09-17 2014-03-20 명지대학교 산학협력단 장식용 복합재료 및 그 제조방법
CN105861902A (zh) * 2016-06-22 2016-08-17 陆志强 一种高耐热氮化物基金属陶瓷模具及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4119667B2 (ja) 2008-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1871843B1 (en) Wear resistant ceramic composite coatings and process for production thereof
US4594106A (en) Spraying materials containing ceramic needle fiber and composite materials spray-coated with such spraying materials
JP5809901B2 (ja) 積層体及び積層体の製造方法
JP4359442B2 (ja) 溶射用粉末及びそれを用いた溶射皮膜の形成方法
JP2003073794A (ja) 耐熱性被覆部材
KR20020062855A (ko) 분무용 분말 및 그의 제조 방법
JPH04228555A (ja) 熱噴霧粉末混合物
JP5193060B2 (ja) 金属ホウ化物
JPS6119583B2 (ja)
JP2003301201A (ja) 複合サーメット粉末およびその製造方法
JPH0128828B2 (ja)
JP6596214B2 (ja) 溶射材料
JP2018178187A (ja) 溶射用粉末およびこれを用いた溶射皮膜の成膜方法
JPH093618A (ja) TiB2系コーティングの製造方法及びこうして製造されたコーティング物品
JP4171916B2 (ja) 耐熱性被覆部材
JP3403460B2 (ja) 非酸化物系セラミック溶射皮膜を有する炭素材料の製造方法
JP2012102362A (ja) 硼化物サーメット系溶射用粉末
JPH07187817A (ja) 溶射材料及びその製造方法
JP7393166B2 (ja) 溶射用粉末、溶射用スラリー及び遮熱性コーティングの製造方法
JP3134767B2 (ja) 硼化物系サーメット溶射用粉末
JP3134768B2 (ja) 硼化物系サーメット溶射用粉末
JP4081574B2 (ja) 耐熱性被覆部材の製造方法
JPH0128829B2 (ja)
JP2002045957A (ja) 溶融金属に対する耐食性に優れた溶融金属用部材およびその製造方法
JP2004010381A (ja) 表面被覆窒化珪素焼結体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050310

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080422

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080425

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120502

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140502

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees