JP2002146458A - 低価格希土類系水素吸蔵合金とその用途 - Google Patents

低価格希土類系水素吸蔵合金とその用途

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JP2002146458A
JP2002146458A JP2000340662A JP2000340662A JP2002146458A JP 2002146458 A JP2002146458 A JP 2002146458A JP 2000340662 A JP2000340662 A JP 2000340662A JP 2000340662 A JP2000340662 A JP 2000340662A JP 2002146458 A JP2002146458 A JP 2002146458A
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alloy
storage alloy
hydrogen
rare earth
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JP2000340662A
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Yukiteru Takeshita
幸輝 竹下
Yasuto Higashida
泰斗 東田
Motoharu Obika
基治 小比賀
Tatsuo Nagata
辰夫 永田
Hideya Kaminaka
秀哉 上仲
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CoとNiを多量に含有するMmNi5 型水素吸蔵合
金に匹敵する、放電容量280 mAh/g 以上、活性化所要サ
イクル数10サイクル以下、300 サイクル容量維持率85%
以上、好ましくは90%以上の性能を示し、低価格の水素
吸蔵合金を提供する。 【解決手段】 式: Ln Niv Cuw Cox y で表される組
成の水素吸蔵合金を、50℃/sec以上の冷却速度で凝固さ
せ、単一相からなる結晶構造を持ち、結晶の単位格子体
積が0.90 nm3以上、平均短軸結晶粒径が50μm以下の水
素吸蔵合金とする。但し、LnはLaを50〜95質量%範囲で
含有する希土類金属の混合物、MはMn、Al、Fe、Cr及び
Znから選んだ少なくとも1種の元素、2.0 ≦v≦ 3.5、
w≧1.0、0≦x≦ 0.1、0<y< 1.0、4.4 ≦v+w
+x+y≦ 5.4である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイクル寿命や高
率放電特性に優れ、かつ初期活性化が容易な、Ni−水素
二次電池の負極材料その他の用途に有用な、低価格の希
土類系水素吸蔵合金とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】AB5 型とも呼ばれるMmNi5 型 (Mm:希
土類金属の混合物) の水素吸蔵合金は多様な組成のもの
が開発され、Ni−水素二次電池の負極等の用途に広く実
用化されている。
【0003】例えば、特開昭62−139257号公報には、Ln
Ni4.5-5.5 (Ln:LaまたはLaを含む希土類金属の混合
物) の化学式で表される合金において、Niサイト (Bサ
イト)の一部をMn、Cuで置換して水素吸蔵・放出の繰り
返しにおけるサイクル寿命と高率放電特性を改善した合
金が、特開昭60−250558号公報には、MmNi4-5.5 (Mm は
希土類金属の混合物であるミッシュメタル) の組成で、
Niサイトの一部をCoおよびAl、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Cr
の1種もしくは2種以上で置換して、やはりサイクル寿
命と高率放電特性を改善した合金が、それぞれ提案され
ている。
【0004】特開昭64−54669 号公報には、MmNi
4.7-5.3 の組成でMmサイト (Aサイト) の一部をCa、T
i、Zr等で置換し、Niサイトの一部をCo、Al、Mn、Cu、C
r、Fe等で置換してプラトー性を限定し、かつ合金表面
に凹凸を有する、サイクル寿命が改善された合金が提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現行のNi−水素二次電
池に使用されているMmNi5 型水素吸蔵合金の主成分は、
実用に十分なサイクル寿命を確保するため、Mm、Niに加
えて、Coを含有している。しかし、これらの元素は元々
高価である上、産地が偏在しているため、供給事情は必
ずしも安定しておらず、価格変動の幅が大きい。
【0006】一方、Ni−水素二次電池の需要は増してい
るが、他の二次電池との競争が激しくなり、電池自身の
低価格化が強く求められている。こうした状況にあっ
て、電池コストの中で大きな割合を占める水素吸蔵合金
の低価格化が極めて重要な課題となっている。
【0007】水素吸蔵合金の低価格化に関する提案とし
て、特開平7−286225号公報では、高価なCoの含有量を
低減し、Mmに対しNiサイトの元素を過剰に (化学量論的
な比であるMmに対する原子比5に対し 5.2〜5.5 の原子
比で) 含有させ、Mmを含まないNi、Al、Mn、Co、Cu等を
主成分とする第2の相を島状に析出させ、サイクル寿命
を延長させた合金が開示されている。しかし、この発明
は、Co量を低減する代わりに、やはり高価なNi量を増加
させており、低価格化という意味では十分なものではな
い。
【0008】特開平11−288711号公報には、サイクル寿
命が改善された、Coを含まなくてもよい水素吸蔵合金が
提案されているが、代わりに高価なZrを添加した合金で
あり、これも低価格化という観点からは十分なものとは
言えない。
【0009】本発明は、現行の高価なMmNi5 型水素吸蔵
合金に匹敵しうる電極性能を示すが、ずっと低価格の水
素吸蔵合金を提案するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】MmNi5 型水素吸蔵合金の
NiサイトにおけるCoの含有は、サイクル寿命の向上に寄
与する。Co、Ni、Zr等に比べると遥かに安価なCuも、Co
と同様のサイクル寿命改善効果を示す。しかし、Cu量が
多すぎると水素を吸蔵・放出する容量が低下するため、
従来は僅かな量を含有させるにとどまっていた。特開昭
62−139257号公報に記載の合金では、Cuを比較的多めに
添加しているが、それでも容量確保のためにNiを原子比
で3.5 超と多量に添加しているので、低価格化の効果は
不十分である。
【0011】本発明者らは、サイクル寿命の向上のため
にCu量を従来合金と比べて大幅に増量し、Ni量を低減さ
せた場合、それに伴い低下する容量を、Mm中のLa量を高
めに設定すると共に、他元素を適量含有させて、合金を
構成する結晶の格子体積を従来より大きくすることによ
り補えることを見いだした。それにより、容量とサイク
ル寿命に優れた、低価格の水素吸蔵合金を実現すること
が可能となる。また、Cu量の増量によるサイクル寿命の
改善効果を確実にするには、合金の結晶構造がCaCu5
の単一相からなるようにすることが好ましいことも判明
した。
【0012】Ni−水素二次電池等に水素吸蔵合金を用い
る場合、容量やサイクル寿命に加えて、初期活性化が容
易であることも望ましい性能である。水素放出の最大容
量に達するまでの活性化所要サイクル数が多いと、電池
等の初期活性化工数が大幅に増大し、生産性が阻害さ
れ、電池価格が高くなる。Cu量を増量させた本発明の水
素吸蔵合金を急冷凝固により製造すると、微細な結晶組
織を持つ合金が得られ、これは初期活性化が容易で、活
性化所要サイクル数が少なくてすむことがわかった。
【0013】これらの知見に基づいて完成した本発明
は、広義には、下記組成式で表され組成を有する水素
吸蔵合金である。 組成式・・・ Ln Niv Cuw Cox y 式中、LnはLaを50〜95質量%範囲で含有する希土類金属
の混合物を表し、MはMn、Al、Fe、Cr及びZnから選んだ
少なくとも1種の元素を意味し、添え字は原子比であっ
て、 2.0 ≦v≦ 3.5、 w≧1.0 、 0≦x≦ 0.1、 0<y< 1.0、 4.4 ≦v+w+x+y≦ 5.4である。
【0014】好ましくは、この水素吸蔵合金は、 ・CaCu5 型の単一相からなる結晶構造を持ち、および/
または ・CaCu5 型結晶の単位格子体積が0.90 nm3以上であり、
および/または ・平均短軸結晶粒径が50μm以下である。
【0015】本発明の水素吸蔵合金は、合金原料の溶融
物を50℃/sec以上の冷却速度で凝固させて得ることがで
きる。本発明によれば、上記水素吸蔵合金からなるNi−
水素二次電池の負極材料もまた提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の水素吸蔵合金は、 組成式: Ln Niv Cuw Cox y ・・・ で表される組成を持つ。ここで、LnはLaを50〜95質量%
範囲で含有する希土類金属の混合物を表し、MはMn、A
l、Fe、Cr及びZnから選んだ少なくとも1種の元素を意
味し、添え字は原子比であって、 2.0 ≦v≦ 3.5、 w≧1.0 、 0≦x≦ 0.1、 0<y< 1.0、 4.4 ≦v+w+x+y≦ 5.4である。
【0017】まず、合金組成を上記のように規定した理
由を説明する。Ln中のLaの含有率は50質量%以上、95質
量%以下である。Laの含有率が50質量%未満であると、
水素吸蔵容量が小さくなり、95質量%を超えると、容量
は大きくなるが、サイクル寿命が低下して、水素吸蔵放
出のサイクルが進むにつれて容量の劣化が著しくなる。
Ln中のLaの含有率は好ましくは55〜85質量%の範囲であ
る。
【0018】Niの原子比 (v) は2.0 以上、3.5 以下で
ある。Niの原子比が2.0 未満であると、水素吸蔵量の多
いLnNi5 の影響が小さくなりすぎて、水素吸蔵容量が低
下する。Niの原子比が3.5 より多くなっても、水素吸蔵
合金として性能に悪影響は及ぼさないが、合金が高価と
なり、低価格化という目的を達成できない。Niの原子比
は好ましくは 2.2〜3.2 の範囲である。
【0019】Cuの原子比 (w) は1.0 以上とする。Cuの
原子比が1.0 未満であっても、Co等の含有率を高めれ
ば、サイクル寿命を確保できるが、合金価格が高くな
る。本発明では、低価格でサイクル寿命の優れた水素吸
蔵合金という目的達成のため、Cuを1.0 以上の原子比で
含有させる。Cuの原子比は望ましくは2.5 以下である。
Cuの好ましい原子比は 1.5〜2.0 である。
【0020】Coの原子比 (x) は0.1 以下とする。Coの
原子比が0.1 を超えても、合金の性能には悪影響はない
が、合金が高価となる。好ましくはCoを含まない合金、
即ち、w=0の合金である。
【0021】Niサイトの一部を上記のようにCuおよび場
合により少量のCoで置換しただけでは、容量とサイクル
寿命のいずれも満足できる合金とはならない。そのた
め、本発明では、Mn、Al、Fe、Crから選んだ1種以上の
添加元素Mを1.0 未満の原子比で含有させる。このM元
素をNiサイトに含有させることにより、容量とサイクル
寿命が共に優れた合金となる。この添加元素Mの原子比
(y) が1.0 以上になると、容量が低下し、サイクル寿
命にも悪影響がでる。Mの原子比は、好ましくは0.1〜
0.8 であり、より好ましくは 0.2〜0.6 である。
【0022】Ln1原子に対するNiサイト (Ni+Cu+Co+
M) の原子比である (v+w+x+y) の値は、4.4 以
上、5.4 以下とする。この比は、Aサイトに対するBサ
イトの原子比という意味でB/A比とも呼ばれる。
【0023】本発明の合金は、可逆的な水素の吸蔵・放
出が可能なCaCu5 型の単一相からなる結晶構造を有する
ことが、容量とサイクル寿命の確保の点で好ましい。水
素吸蔵合金がこの単一相であることは、X線回折図にCa
Cu5 型結晶構造に帰属できる回折ピークだけが現われる
ことで確認することができる。あるいは、合金の断面SE
M 写真の観察によって、主相のCaCu5 相以外に第2相が
析出していないことことでも確認できる。
【0024】Niサイトの合計原子比 (B/A比) が4.4
より小さいか、または5.4 より大きいと、組成がLnNi5
の化学量論比から大きく外れるため、後述する急冷凝固
法により合金を製造しても、水素吸蔵に寄与しない第2
相が析出しやすくなって、単一相とはならず、水素吸蔵
合金の各種性能に悪影響が出てくる。Niサイトの原子比
は好ましくは 4.6〜5.2 であり、より好ましくは 4.6〜
5.0 である。
【0025】従来のMmNi5 型水素吸蔵合金では、合金を
構成するCaCu5 型結晶の単位格子体積は一般に0.90 nm3
未満 (=90Å3 未満) と小さかった。上記組成式で示
される組成を持つ本発明の水素吸蔵合金は、主として多
量のCuの含有により、CaCu5型結晶の単位格子体積が0.9
0 nm3以上と大きくなる。この大きな単位格子体積のた
めに、水素吸蔵の容量が増加し、かつサイクル寿命も高
くなる。Cuの含有率が少ないと、0.90 nm3以上という大
きな単位格子体積を持つ合金を得ることが困難となり、
サイクル寿命が低下し、容量に悪影響が出ることがあ
る。
【0026】本発明の水素吸蔵合金は、好ましくはCaCu
5 型結晶構造の単一相 (1種類の結晶相) からなる多結
晶体であるが、合金を構成する結晶粒は、平均短軸結晶
粒径が50μm以下と微細であることが好ましい。それに
より、現行のCo添加MmNi5 型水素吸蔵合金と同等以上の
初期活性化特性を得ることができる。結晶粒径がこれよ
り大きくなると、初期活性化がより困難となることがあ
る。平均短軸結晶粒径は好ましくは40μm以下である。
【0027】平均結晶粒径を短軸粒径で規定するのは、
合金製造時の冷却方法によっては、柱状等の細長い結晶
粒が析出することがあるためである。例えば、ガスアト
マイズ法では全方向に冷却が起こるため球形に近い結晶
粒が析出し易いのに対し、ロール急冷法では、1方向に
冷却が起こるため、柱状の結晶粒が析出しやすくなる。
柱状や針状といった細長いの結晶粒の場合、長軸方向の
結晶粒径が大きくても、長軸方向に垂直な短軸方向の結
晶粒径が50μm以下と小さければ、良好な初期活性化性
能が確保できるので、短軸方向の粒径で平均結晶粒径を
規定する。
【0028】本発明の水素吸蔵合金は、所定組成の合金
を構成する合金原料の溶融物を50℃/sec以上の冷却速度
で凝固させたものであることが好ましい。冷却速度50℃
/sec以上の急冷凝固とすることにより、合金組成がCaCu
5 型結晶の化学量論比から外れた場合でも、本発明の組
成範囲内であれば、単一相の組織を持つ合金を得ること
が可能となり、また結晶粒径も平均短軸結晶粒径が50μ
m以下と微細にすることができる。それにより、水素吸
蔵容量、サイクル寿命および初期活性化特性のいずれに
も優れた低価格の水素吸蔵合金を確実に製造することが
可能となる。冷却速度は、好ましくは102 ℃/sec以上で
あり、より好ましくは103 ℃/sec以上である。
【0029】50℃/sec以上の冷却速度を与える方法とし
て、不活性ガスの噴霧ガス中に合金の溶融物を流下して
粉末化するガスアトマイズ法、回転するロール上へ合金
の溶融物を流下して薄片化するロール急冷法、鋳型に鋳
込んで厚さ約20 mm 以下の鋳塊を作製する鋳造法等が実
用的には好ましい。ただし、これ以外の方法も可能であ
る。これらのうち、ガスアトマイズ法は、粉末状態で合
金が得られ、粉砕工程が不要となる点で有利である。
【0030】上記のように冷却速度が大きい急冷凝固で
本発明の水素吸蔵合金を得た場合、急冷歪みを除去する
ために、得られた合金を適当な条件で熱処理してもよ
い。この熱処理は、例えば、不活性ガス雰囲気または真
空中、温度 600〜1000℃で行うことができる。熱処理条
件は、熱処理中に結晶粒径が著しく粗大化しないように
設定することが好ましい。
【0031】水素吸蔵合金は、通常は粉末状態で各種用
途に使用される。本発明の水素吸蔵合金の平均粉末粒径
は、用途によっても異なるが、普通は10〜60μmの範囲
が好ましい。従って、鋳造法やロール急冷法で合金を製
造した場合には、合金を粉砕して粉末化する。ガスアト
マイズ粉末の場合にも、必要であれば粉砕して平均粒径
を小さくしてもよい。合金の充填密度を高めるため、粉
末を分級して粒度を揃えてもよい。
【0032】本発明の水素吸蔵合金は、特にNi−水素二
次電池の負極材料として有用であり、現行のCo添加MmNi
5 系合金よりずっと低価格で、これと同等以上の電極性
能を示す負極材料が得られるので、Ni−水素二次電池の
低価格化が可能となる。この用途に使用する場合、負極
の製造は従来の水素吸蔵電極と同様に行えばよい。典型
的には、合金粉末を少量の適当な結着剤と共にペースト
化し、電極基板に塗着し、乾燥させた後、ロール圧延に
より圧密化することにより、負極となる電極を製造す
る。結着剤として水溶性樹脂を使用し、水を用いてペー
スト化してもよく、あるいは水不溶性の樹脂を使用して
有機溶媒を用いてペースト化することもできる。結着剤
に加えて、導電剤 (例、カーボン粉、Ni粉等) もペース
ト中に添加することもある。
【0033】本発明の水素吸蔵合金から作製した負極を
備えたNi−水素二次電池は、現行のものより低価格で作
製できるため、電子機器、AV機器用等の小型電池だけ
でなく、環境保護のために開発が進められている電気自
動車用といった大型のNi−水素二次電池への適用も考え
られる。また、本発明の水素吸蔵合金は、Ni−水素二次
電池の負極材料以外の用途 (例、水素ガス貯蔵用、ヒー
トポンプ用、アクチュエータ用等) に使用することもで
きる。
【0034】
【実施例】表1に示す組成の水素吸蔵合金の粉末をガス
アトマイズ法、ロール急冷法または鋳造法により作製し
た。合金原料の調製に用いた金属材料のうち、Lnの原料
はLaを25質量%含有し、残部が主にCe、Nd、Prからなる
希土類金属混合物であるミッシュメタルと金属Laとを混
合し、La含有率を調整した材料を用いた。他の金属材料
は高純度の純金属であった。
【0035】<ガスアトマイズ法 (ガスAT) >合金原
料をArガス雰囲気中で溶融した後、Arガスアトマイズ法
を用いて合金粉末を作製し、Arガス雰囲気下 900℃×8
hrの熱処理を施した。熱処理後の粉末を分級し、最大粒
径63μmで、平均粒径30μmに調整した。
【0036】<ロール急冷法>合金原料をArガス雰囲気
中で溶融した後、内部水冷型の銅製ロールを用いて、厚
さ平均約0.4 mmの薄片を作製し、Arガス雰囲気下 900℃
×8hrの熱処理を施した。次いで、乳鉢で薄片を粉砕
し、分級して、最大粒径63μm、平均粒径30μmの粉末
に調整した。
【0037】<鋳造法> 鋳造法1:合金原料をArガス雰囲気中で溶融した後、10
0 mm平方で厚さ50 mmの鋳塊を作製し、Arガス雰囲気下
900℃×8hrの熱処理を施し、ハンマーで割断後、乳鉢
で粉砕し、分級して、最大粒径63μm、平均粒径30μm
の粉末に調整した。
【0038】鋳造法2:鋳塊の厚さを20 mm に変更した
以外は、鋳造法1と同様の方法で粉末を作製した。 各方法を用いて作製した粉末を、ICP(高周波誘導結合プ
ラズマ) 法で分析して合金組成を決定した。結晶構造が
1相 (単一相) であるか、2相であるかは、SEM 装置に
よる合金の断面観察により判定した。結晶の単位格子体
積は、X線回折法により求めた格子間隔から算出した。
なお、2相の場合は、CaCu5 型結晶の単位格子体積を算
出した。これらの測定結果を表1に示す。
【0039】実施例で作製した合金の結晶粒は、作製法
に応じて球形に近いもの、柱状に近いもの等雑多であっ
た。そのため、長軸方向の略中央部の長軸方向と垂直な
方向の粒径を短軸粒径とし、粉末の断面を光学顕微鏡観
察で任意の5視野について観察し、各視野毎の平均短軸
結晶粒径を求め、さらにそれらの平均値を算出して、平
均短軸結晶粒径とした。
【0040】表1の合金のうち、ガスアトマイズ法を用
いて作製したNo.1〜5、9〜24の合金の平均短軸結晶粒
径は全て5〜30μmの範囲内であった。鋳造法1で作製
したNo.6の合金の平均短軸結晶粒径は75μmであり、50
μmより粒径が大きかった。鋳造法2で作製したのNo.7
の合金の平均短軸結晶粒径は45μm、ロール急冷法を用
いて作製したNo.8の合金の平均短軸結晶粒径は13μmで
あった。
【0041】凝固時の冷却速度は、指標となるA625 合
金を、各方法について同じ条件で鋳造し、得られた合金
のデンドライド2次アーム間距離を測定して、決定し
た。その結果も表1に併記する。
【0042】作製した合金粉末を用いて、以下の方法で
電極とそれを用いた電池を作製し、電極試験を行った。 <電極および電池の作製>合金粉末100 質量部にバイン
ダーとしてのポリビニルアルコールの5%水溶液を15質
量部添加し、混練して、水素吸蔵合金のペーストを作製
した。このペーストを電極基板 (パンチングメタル) の
両面に塗布、乾燥した後、ロール圧延により圧密化し
て、電極を作製した。合金の担持量は各電極とも5gで
あった。
【0043】作製した電極を負極とし、市販の焼結式Ni
電極 (公称4000 mAh) を正極とし、これら正負極を、間
にセパレータとしてポリアミド不織布を介在させて容器
内に収容し、6N-KOH水溶液を注入して、負極容量規制型
のNi−水素二次電池を作製した。
【0044】<電極試験>作製した電池を、500 mAの定
電流で3.6 時間充電した後、同じ500 mAで端子電圧0.9
V まで放電を行い1サイクルとした。この充電・放電サ
イクルを300 サイクル行い、最大放電容量を放電容量と
して記録した。また、最大放電容量に至るまでのサイク
ル数を活性化所要サイクルとして記録し、初期活性化性
能を評価すると共に、最大放電容量に対する300 サイク
ル目の放電容量の比 (%) を300 サイクル容量維持率と
して記録し、サイクル寿命を評価した。これらの試験結
果を表1に併せて示す。
【0045】
【表1】 現行のNi−水素二次電池の負極に使用されている代表的
な水素吸蔵合金であるLnNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3の組成
を有する合金を、前記鋳造法1を用いて作製し、上記と
同様の方法で電極の作製と電極試験を行ったときの結果
が、放電容量が300 mA/g、活性化所要サイクルが8サイ
クル、300 サイクル容量維持率が92%であった。この結
果を考慮し、現行負極材料なみの許容できる電極性能と
して、放電容量280 mAh/g 以上、活性化所要サイクル数
10サイクル以下、300 サイクル容量維持率85%以上とし
た。
【0046】表1からわかるように、本発明に従った組
成を有する水素吸蔵合金は、いずれも結晶の単位格子体
積が0.90 nm3以上と大きく、例示の合金はいずれもCoを
含有していないにもかかわらず、280 mAh/g を超える十
分な放電容量を示し、300 サイクル容量維持率が85%以
上、活性化所要サイクル数が10サイクル以下と、サイク
ル寿命および初期活性化性能も十分に良好であった。ま
た、本発明の組成の合金を冷却速度が50℃/sec以上の急
冷凝固により作製すると、CaCu5 型結晶構造の単一相か
らなる合金となり、かつ平均短軸結晶粒径も小さくなる
ため、サイクル寿命が90%以上とさらに良好となり、初
期活性化性能も一層向上した。なお、実施例では高率放
電特性について試験しなかったが、本発明の水素吸蔵合
金は活性化特性、即ち、合金内の水素拡散性と合金表面
での反応性、に優れているので、高率放電特性も良好で
ある。
【0047】合金組成が本発明の範囲外の水素吸蔵合金
は、急冷凝固により合金を作製しても、放電容量、サイ
クル寿命、および初期活性化性能の少なくとも1つが劣
る結果となった。
【0048】
【発明の効果】本発明により、高価なNiの含有率が少な
く、かつさらに一層高価なCoを無添加またはごく少ない
添加量に抑えて、NiとCoの代わりに安価なCuを含有させ
た、低価格の水素吸蔵合金により、現行のCoとNiを多量
に含有する高価なMmNi5 型水素吸蔵合金に匹敵しうる性
能を得ることが可能となる。従って、本発明は、現行材
なみの性能を有する水素吸蔵合金を安価に提供するもの
であり、Ni−水素二次電池の低価格化と、その普及に寄
与する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/30 H01M 10/30 Z (72)発明者 小比賀 基治 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 永田 辰夫 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 上仲 秀哉 兵庫県尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工 業株式会社エレクトロニクス技術研究所内 Fターム(参考) 4E004 DB01 5H028 AA05 EE01 HH00 HH05 5H050 AA07 AA08 BA14 CB17 EA23 FA17 FA19 HA01 HA02 HA05 HA07 HA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式: Ln Niv Cuw Cox y で表され
    る組成を持つ水素吸蔵合金。上記式中、 LnはLaを50〜95質量%範囲で含有する希土類金属の混合
    物を意味し、 MはMn、Al、Fe、Cr及びZnから選んだ少なくとも1種の
    元素を意味し、 添え字は原子比であって、 2.0 ≦v≦ 3.5、 w≧1.0 、 0≦x≦ 0.1、 0<y< 1.0、 4.4 ≦v+w+x+y≦ 5.4である。
  2. 【請求項2】 CaCu5 型の単一相からなる結晶構造を有
    する、請求項1記載の水素吸蔵合金。
  3. 【請求項3】 CaCu5 型結晶の単位格子体積が0.90 nm3
    以上である、請求項1または2記載の水素吸蔵合金。
  4. 【請求項4】 平均短軸結晶粒径が50μm以下である、
    請求項1ないし3の何れかに記載の水素吸蔵合金。
  5. 【請求項5】 合金原料の溶融物を50℃/sec以上の冷却
    速度で凝固させて得た請求項1ないし4の何れかに記載
    の水素吸蔵合金。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5の何れかに記載の水素
    吸蔵合金からなる、ニッケル−水素二次電池の負極材
    料。
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