JP2002145964A - 共役ジエン系ゴム及びその製造方法、油展ゴム並びにこれらを含むゴム組成物 - Google Patents

共役ジエン系ゴム及びその製造方法、油展ゴム並びにこれらを含むゴム組成物

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JP2002145964A
JP2002145964A JP2001260072A JP2001260072A JP2002145964A JP 2002145964 A JP2002145964 A JP 2002145964A JP 2001260072 A JP2001260072 A JP 2001260072A JP 2001260072 A JP2001260072 A JP 2001260072A JP 2002145964 A JP2002145964 A JP 2002145964A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の組成の共役ジエン系ゴム及びその製造
方法、油展ゴム並びに転がり抵抗が小さく、耐摩耗性等
に優れ、タイヤ用等として有用な加硫ゴムとすることが
できるゴム組成物を提供する。 【解決手段】 ガラス転移点が−60〜0℃であり、オ
レフィン性不飽和ニトリル単量体単位が分子鎖にランダ
ムに含まれ、繰り返し単位として、アクリロニトリル等
のオレフィン性不飽和ニトリル単量体単位を9〜30質
量%、スチレン等の芳香族ビニル単量体単位を10〜5
0質量%、及び1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量
体単位を20〜81質量%有し、ムーニー粘度が20〜
200である共役ジエン系ゴム、及び、共役ジエン系ゴ
ム100質量部と伸展油10〜60質量部を含む油展ゴ
ムを得る。また、この共役ジエン系ゴムを含有するゴム
成分及びシリカ等の無機充填剤を含有するゴム組成物を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、補強剤としてシリ
カ等の無機充填剤を配合した場合に、転がり抵抗が小さ
く、ウェットスキッド性に優れ、十分な耐摩耗性及び引
張強度等を有する加硫ゴムとすることができる共役ジエ
ン系ゴム及びその製造方法、この共役ジエン系ゴムと伸
展油とを含む油展ゴムに関する。また、本発明は、これ
ら共役ジエン系ゴム又は油展ゴムと無機充填剤とを含有
し、優れた加工性を有するゴム組成物に関する。このゴ
ム組成物からなる加硫ゴムは、特にタイヤトレッドとし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】このところの自動車に対する低燃費化の
要求にともない、転がり抵抗が小さく、耐摩耗性及び破
壊特性に優れ、更に、操縦安定性の代表的な指標である
ウェットスキッド抵抗が大きいタイヤ用ゴム組成物を調
製することができる共役ジエン系ゴム等の原料ゴムが必
要とされている。
【0003】タイヤの転がり抵抗を低減するためには、
加硫ゴムのヒステリシスロスを小さくすればよい。この
ヒステリシスロスは各種の物性を指標として評価するこ
とができる。例えば、50〜80℃における反発弾性が
大きい、50〜80℃におけるtanδが小さい、ある
いはグッドリッチ発熱が小さい原料ゴムが好ましい。ヒ
ステリシスロスの小さい原料ゴムとしては、天然ゴム、
イソプレンゴム及びブタジエンゴム等が挙げられるが、
これらはウェットスキッド抵抗が小さいという問題を有
する。
【0004】一方、近年、タイヤ用ゴム組成物におい
て、補強剤としてシリカ等の無機充填剤を使用する、あ
るいは無機充填剤とカーボンブラックとを併用する方法
が提案されている。無機充填剤を使用し、あるいは無機
充填剤とカーボンブラックとを併用したタイヤトレッド
では、転がり抵抗が小さく、ウェットスキッド抵抗に代
表される操縦安定性に優れる。しかし、加硫ゴムの耐摩
耗性及び引張強度等に劣るという問題がある。そして、
その一因が、共役ジエン系ゴムに対する無機充填剤の親
和性がカーボンブラックよりも小さく、十分な補強効果
が得られない点にあると考えられている。
【0005】この無機充填剤として特にシリカを用いた
場合の共役ジエン系ゴムとの親和性を高めるため、従来
より、シリカと親和性のある官能基を導入した共役ジエ
ン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、ヒド
ロキシル基を導入した共役ジエン系ゴム(WO96/2
3027号公報)、アルコキシシリル基を導入した共役
ジエン系ゴム(特開平9−208623号公報)、並び
にアルコキシシリル基と、アミノ基及び/又はヒドロキ
シル基とを導入した共役ジエン系ゴム(特開平9−20
8633号公報)が提案されている。しかし、これらの
官能基を導入した共役ジエン系ゴムの多くは、シリカと
混合する際の相互作用が強いため、分散不良が生じた
り、加工時の発熱が大きく、加工性に劣る等の問題を有
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の問題を解決するものであり、転がり抵抗が小さく、ウ
ェットスキッド性に優れ、十分な耐摩耗性及び引張強度
等を有する加硫ゴムとすることができる共役ジエン系ゴ
ム及び油展ゴムを提供することを目的とする。また、他
の本発明は、優れた加工性を有し、自動車のタイヤトレ
ッド用等として有用な加硫ゴムとすることができるゴム
組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】タイヤトレッドを形成す
るためのゴム組成物には、通常、耐摩耗性及び引張強度
等の向上を目的として補強剤が配合されているが、シリ
カ等は凝集し易いため均一に分散させることは容易では
ない。そして、補強剤が均一に分散していない場合は、
補強剤の配合による所期の効果が得られないばかりか、
加工性が低下することもある。そのため、一般に、シラ
ンカップリング剤を配合することにより分散性の向上が
図られている。
【0008】しかし、不飽和ニトリル単量体単位が分子
鎖にランダムに含まれる特定の組成の共役ジエン系ゴム
を使用することにより、シランカップリング剤の配合量
を低減しても、あるいはシランカップリング剤を配合し
なくても、耐摩耗性及び引張強度等並びに加工性をとも
に十分に向上させ得ることが見出された。本発明は、こ
のような知見に基づいてなされたものである。
【0009】本発明の共役ジエン系ゴムは、オレフィン
性不飽和ニトリル単量体、芳香族ビニル単量体及び共役
ジエン単量体を含む単量体を共重合させてなる共役ジエ
ン系ゴムであって、ガラス転移点が−60〜0℃であ
り、ガラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差が
20℃以下であって、繰り返し単位として、9〜30
質量%のオレフィン性不飽和ニトリル単量体単位、1
0〜50質量%の芳香族ビニル単量体単位、及び20
〜81質量%の共役ジエン単量体単位〔、及びの
合計量を100質量%とする。〕を有し、ムーニー粘度
[ML1+4(100℃)]が20〜200であること
を特徴とする。
【0010】本発明の「共役ジエン系ゴム」は、オレフ
ィン性不飽和ニトリル単量体〔以下、「単量体(a)」
という。〕、芳香族ビニル単量体〔以下、「単量体
(b)」という。〕、及び共役ジエン単量体〔以下、
「単量体(c)」という。〕を含む単量体を共重合させ
てなる共重合体であり、特にランダム共重合体であるこ
とが好ましい。
【0011】単量体(a)としては、アクリロニトリル
及びメタクリロニトリル等が挙げられるが、これらのう
ち、アクリロニトリルが好ましい。これらの単量体
(a)は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用す
ることもできる。共役ジエン系ゴムにおける繰り返し単
位において、単量体(a)からなる単量体単位の含有量
は9〜30質量%であり、好ましくは9〜20質量%、
より好ましくは9〜15質量%である。単量体(a)か
らなる単量体単位の含有量が9質量%未満であると、無
機充填剤の分散が不良となり、得られる加硫ゴムの耐摩
耗性等が十分に向上しない。一方、この含有量が30質
量%を超えると、得られる加硫ゴムの低温特性が低下す
る。
【0012】単量体(b)としては、スチレン、2−メ
チルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチ
ルスチレン及びtert−ブトキシスチレン等が挙げら
れるが、これらのうち、スチレンが特に好ましい。これ
らの単量体(b)は1種のみを用いてもよいし、2種以
上を併用することもできる。
【0013】共役ジエン系ゴムにおける繰り返し単位に
おいて、単量体(b)からなる単量体単位の含有量は1
0〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%で
ある。単量体(b)からなる単量体単位の含有量が10
重量%未満であると、得られる加硫ゴムの耐摩耗性が低
下する。一方、この含有量が50質量%を超えると、得
られる加硫ゴムの反発弾性が小さくなり、tanδが大
きくなる。
【0014】単量体(c)としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、及びクロロプレン等が挙げられるが、これらのう
ち、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
これらの単量体(c)は1種のみを用いてもよいし、2
種以上を併用することもできる。
【0015】共役ジエン系ゴムにおける繰り返し単位に
おいて、単量体(c)からなる単量体単位の含有量は2
0〜81質量%であり、好ましくは50〜80質量%で
ある。単量体(c)からなる単量体単位の含有量が20
質量%未満であると、得られる加硫ゴムの反発弾性が小
さくなり、tanδが大きくなる。
【0016】共役ジエン系ゴムは、必要に応じて、単量
体(a)、(b)及び(c)の他、各種のエステル系単
量体が共重合したものとすることができる。このエステ
ル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アク
リレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n
−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリレート類、及び酢酸ビニル等のビニルエステル類
が挙げられる。これらのエステル系単量体からなる単量
体単位の含有量は、共役ジエン系ゴムの特性を損なわな
い範囲の量比とすることができるが、単量体単位全量に
対して20質量%以下とすることが好ましい。本発明の
共役ジエン系ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0017】共役ジエン系ゴムの上記「ガラス転移点」
は、用いる単量体の組成比によって変化するが、 AS
TM D3418−82(Reapproved 19
88)に準じて示差走査熱量計(DSC)により測定し
た場合に、−60〜0℃であり、−50〜−10℃であ
ることが好ましい。更に、ガラス転移の外挿開始温度と
外挿終了温度との差は20℃以下であり、好ましくは1
8℃以下、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは
13℃以下である。尚、下限は通常、5℃である。この
温度差が20℃を超えると、得られる加硫ゴムのウェッ
トスキッド抵抗が低下し、tanδも大きくなり、好ま
しくない。また、上記単量体(a)からなる単量体単位
の含有量が9〜15質量%、且つガラス転移の外挿開始
温度と外挿終了温度との差が13℃以下、特に10℃以
下であることが好ましい。
【0018】共役ジエン系ゴムの上記「ムーニー粘度」
[ML1+4(100℃)]は20〜200であり、3
0〜150であることが好ましい。ムーニー粘度が20
未満であると、得られる加硫ゴムの耐摩耗性が低下す
る。一方、200を超えると、この共役ジエン系ゴムを
含有するゴム組成物の加工性が低下する。
【0019】また、共役ジエン系ゴムのGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフ)法により測定したポリ
スチレン換算の重量平均分子量は好ましくは10000
0以上であり、特に好ましくは100000〜2000
000である。重量平均分子量が100000未満であ
ると、得られる加硫ゴムの耐摩耗性が低下する傾向にあ
り、tanδが大きくなることもある。一方、2000
000を超えると、この共役ジエン系ゴムを含有するゴ
ム組成物の加工性が低下することがある。この重量平均
分子量は、重合時、ラジカル重合において一般に使用さ
れるアルキルメルカプタンに代表される連鎖移動剤を用
いることにより制御することができる。
【0020】共役ジエン系ゴムは、水系媒体において上
記単量体(a)、(b)及び(c)並びに必要に応じて
エステル系単量体をラジカル重合開始剤を用いて重合さ
せ、製造することができる。重合方法は特に限定されな
いが、通常、乳化重合が好ましい。乳化重合は一般的な
方法であればよく、所定の単量体を乳化剤の存在下に水
系媒体において乳化させ、ラジカル重合開始剤により重
合を開始し、所定の重合転化率となった時点で重合停止
剤により重合を停止する方法が挙げられる。
【0021】本発明においては、上記単量体(a)の仕
込み方が重要であり、重合系に分割して添加することが
好ましい。単量体(a)の一部を重合開始前に投入し、
残部を重合過程において重合系に間欠的に、あるいは連
続的に添加するか、全量を重合過程において重合系に間
欠的に、あるいは連続的に添加することが好ましい。ま
た、重合途中で測定される全単量体仕込み分の重合転化
率が10〜95%、好ましくは20〜80%となった後
に、単量体(a)の残部を一括して又は分割して又は連
続的に添加することが好ましい。尚、単量体(a)の全
量を重合開始前に重合系に投入して共重合させた場合、
共重合ゴムのガラス転移の開始温度と終了温度との差が
20℃を超えて大きくなる傾向にあり、好ましくない。
また、重合開始前の上記単量体(a)の初期仕込み量
は、使用する単量体(a)全量に対して、好ましくは2
0〜95質量%、より好ましくは25〜90質量%、更
に好ましくは30〜85質量%である。
【0022】乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、
ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性
界面活性剤等が挙げられる。また、ふっ素系の界面活性
剤を使用することもできる。乳化剤は1種のみを用いて
もよいし、2種以上を併用することもできる。これらの
乳化剤としては、アニオン系界面活性剤が多用され、例
えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の炭素数10以上
の長鎖脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩等の他、ロ
ジン酸塩等を使用することができる。
【0023】ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert
−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキ
サイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−te
rt−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイ
ド等の有機過酸化物を使用することができる。また、ア
ゾビスイソブチロニトリルにより代表されるアゾ化合
物、過硫酸カリウムにより代表される無機過酸化物、及
びこれら過酸化物と硫酸第一鉄との組み合せにより代表
されるレドックス系触媒等を用いることもできる。これ
らのラジカル重合開始剤は1種のみを用いてもよいし、
2種以上を併用することもできる。
【0024】また、共役ジエン系ゴムの分子量を調節す
るため、連鎖移動剤として、tert−ドデシルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカ
プタン類、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペ
ン、タ−ピノーレン及びγ−テルピネン類等の連鎖移動
剤を使用することもできる。
【0025】重合は酸素を除去した反応器を用いて0〜
100℃で行うことができ、重合温度は0〜80℃であ
ることが特に好ましい。重合方式は連続式でもよいし、
回分式であってもよく、重合温度等、あるいは攪拌等の
操作条件等を反応途中で適宜に変更することもできる。
尚、重合転化率が高くなるとゲル化する傾向があるた
め、重合転化率は80%以下に抑えることが好ましい。
重合は所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を
添加することにより停止することができる。この重合停
止剤としては、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキ
シルアミン等のアミン化合物、又はヒドロキノン等のキ
ノン化合物等を用いることができる。
【0026】重合停止後、生成した共役ジエン系ゴムラ
テックスから、必要に応じて、水蒸気蒸留等の方法によ
り未反応の単量体を除去した後、塩化ナトリウム、塩化
カリウム、塩化カルシウム等の塩、及び必要であれば、
塩酸、硝酸、硫酸等を更に添加し、共役ジエン系ゴムを
クラムとして凝固させることができる。このクラムを洗
浄し、脱水した後、ドライヤー等により乾燥することに
より、共役ジエン系ゴムとすることができる。
【0027】本発明の油展ゴムは、共役ジエン系ゴム及
び伸展油を含有する。本発明の油展ゴムに用いられる共
役ジエン系ゴムのムーニー粘度[ML1+4(100
℃)]は40〜200であり、好ましくは70〜170
である。ムーニー粘度が40未満であると、得られる加
硫ゴムの耐摩耗性が低下する。一方、200を超える
と、この油展ゴムを含有するゴム組成物の加工性が低下
する。
【0028】本発明の油展ゴムに用いられる伸展油とし
ては特に限定されず、例えば芳香族系油、ナフテン系
油、パラフィン系油を挙げることができる。これらの1
種でもよいし、2種以上の混合物でもよい。また、これ
らのうち、芳香族系の伸展油が特に好ましい。
【0029】上記共役ジエン系ゴム及び上記伸展油の含
有割合は、共役ジエン系ゴムを100質量部〔以下、
「部」と略記する。〕とした場合に、10〜60部であ
り、20〜50部であることが好ましい。伸展油が10
部未満であると、加工性が十分に向上せず、60部を超
えると、ゴム組成物の調製時に所要の加工性等に応じて
配合される伸展油の量比が制限されるため好ましくな
い。得られる油展ゴムのムーニー粘度[ML1+4(1
00℃)]は好ましくは20〜180、特に好ましくは
30〜150である。
【0030】本発明の油展ゴムは、乳化剤の水溶液と伸
展油とを混合し、攪拌等により伸展油の乳化物を調製し
た後、これを共役ジエン系ゴムラテックスに混合し、上
述の方法により凝固させることによって得ることができ
る。
【0031】本発明のゴム組成物は、上記共役ジエン系
ゴムを含有するゴム成分、並びに無機充填剤及びカーボ
ンブラックから選ばれる少なくとも1種を含有する。上
記共役ジエン系ゴムの含有量は、全ゴム成分を100部
とした場合、好ましくは30部以上、より好ましくは4
0部以上である。尚、本発明に係わる共役ジエン系ゴム
のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は20〜2
00であり、好ましくは30〜150である。
【0032】本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分
としては、上記共役ジエン系ゴム以外に他の共役ジエン
系ゴムを併用することができる。そのようなゴム成分と
しては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブタジエン
ゴム、イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレン共重合
ゴム、ブタジエン−スチレン−イソプレン共重合ゴム、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム及
びクロロプレンゴム等を使用することができる。
【0033】本発明のゴム組成物は、更に伸展油を含有
したものとすることができ、この場合、伸展油の含有量
は、上記共役ジエン系ゴム100部に対して10〜60
部、好ましくは20〜50部である。また、伸展油を含
有させる場合、用いる共役ジエン系ゴムのムーニー粘度
[ML1+4(100℃)]は、40〜200であるこ
とが好ましい。
【0034】本発明のゴム組成物に用いられる上記無機
充填剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコ
ン酸化物を含有する複合酸化物(例えば、酸化アルミニ
ウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムから選ばれ
る少なくとも1種とシリコン酸化物との複合酸化物
等)、亜鉛華、クレー、炭酸カルシウム及び炭酸マグネ
シウム等が挙げられる。これらのうち、特に、シリカが
好ましい。このシリカは特に限定されず、一般に合成ゴ
ムの明色補強配合剤として用いられているものを使用す
ることができる。シリカの種類等も特に限定されず、湿
式法ホワイトカーボン、乾式法ホワイトカーボン、コロ
イダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に記
載された沈降シリカ等が挙げられる。これらのうち、含
水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に
好ましい。これらのシリカ系化合物はそれぞれ1種のみ
を用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
このシリカの比表面積も特に限定されないが、窒素吸着
比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法
により測定される値)で通常50〜400m/g、特
に50〜220m/g、更には70〜220m/g
であれば、補強性、耐摩耗性及び発熱性等が十分に改良
される。シリカ等の無機充填剤を単独で用いる場合の含
有量は、全ゴム成分を100部とした場合に、10〜2
00部であり、好ましくは20〜100部である。無機
充填剤の含有量が10部未満であると、十分な補強効果
が得られず、加硫ゴムの耐ウェットスキッド性等が低下
する。一方、この含有量が200部であれば十分な補強
効果が得られ、これを超えて多量に含有させる必要はな
い。
【0035】上記カーボンブラックの種類等は特に限定
されないが、ファーネスブラック、アセチレンブラッ
ク、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファ
イト等を使用することができる。これらのうちでは特に
ファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、
SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、
IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−L
S、FEF等が挙げられる。これらのカーボンブラック
は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用すること
もできる。
【0036】シリカの場合と同様にして測定したカーボ
ンブラックの窒素吸着比表面積は特に限定されないが、
5〜200m/g、特に50〜150m/g、更に
は80〜130m/gであれば、加硫ゴムの引張強
度、耐摩耗性等が十分に向上する。また、カーボンブラ
ックのDBP吸着量も特に限定されないが、5〜300
ml/100g、特に50〜200ml/100g、更
には80〜160ml/100gであれば、引張強度、
耐摩耗性等が十分に改良されるため好ましい。更に、カ
ーボンブラックとして、特開平5−230290号公報
に記載されたセチルトリメチルアンモニウムブロマイド
の吸着比表面積が110〜170m/gであり、16
5MPaの圧力で4回繰り返し圧縮した後のDBP(2
4M4DBP)吸油量が110〜130ml/100g
であるハイストラクチャーカーボンブラックを用いるこ
とにより、耐摩耗性を更に向上させることができる。
【0037】上記カーボンブラックを単独で用いる場合
の含有量は、全ゴム成分を100部とした場合に、10
〜200部であり、好ましくは30〜150部である。
カーボンブラックの含有量が10部未満であると、加硫
ゴムの耐磨耗性が低下することがある。
【0038】カーボンブラックは上記無機充填剤と併用
することができ、無機充填剤がシリカである場合、カー
ボンブラックとシリカを併用する際の使用量は、共役ジ
エン系ゴムを含有するゴム成分100部に対して、その
合計量を10〜200部、特に30〜150部とするこ
とが好ましい。この合計量が10部未満であると、十分
な補強効果が得られず、加硫ゴムの耐ウェットスキッド
性等が低下することがあり、好ましくない。一方、この
含有量が200部であれば十分な補強効果が得られ、こ
れを超えて多量に含有させる必要はない。更に、シリカ
とカーボンブラックとの量比は特に限定されないが、シ
リカを100部とした場合に、カーボンブラックを2〜
400部、特に5〜300部とすることが好ましい。こ
の範囲の量比であれば、優れた耐ウェットスキッド性、
反発弾性及び引張強度等を併せ有する加硫ゴムとするこ
とができる。
【0039】上記ゴム成分100部中に共役ジエン系ゴ
ムが少なくとも30部含有される場合、これらの含有量
は、全ゴム成分100部に対して、好ましくは上記シリ
カを30〜100部及び/又は上記カーボンブラックを
10〜100部、より好ましくは上記シリカを30〜9
0部、及び/又は上記カーボンブラックを10〜90部
である。また、ゴム製品の補強のためにカーボン−シリ
カデュアルフェーズフィラー等を用いることもできる。
【0040】上記成分に加え、加硫剤、シランカップリ
ング剤、老化防止剤及び加工助剤等を用いることができ
る。加硫剤としては、硫黄が代表的なものであるが、そ
の他に硫黄含有化合物、過酸化物等を用いることができ
る。この加硫剤は、ゴム成分を100部とした場合に、
通常、0.5〜10部、特に1〜6部配合することが好
ましい。加硫剤の使用の際には、加硫促進剤、加硫助剤
等を併用することもできる。この加硫促進剤としては、
ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒドアンモニア系
加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾー
ルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチア
ゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベ
ンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン
−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−
ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミ
ド等のスルフェンアミド系加硫促進剤、ジフェニルグア
ニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグ
アニジン等のグアニジン系加硫促進剤、チオカルボアニ
リド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレ
ア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチ
オウレア系加硫促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベ
ンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾー
ルナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシク
ロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル
チオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系加硫促進剤、
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィ
ド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチ
レンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進
剤、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル
ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸
鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオ
カルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸
亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチル
フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカル
バミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、
ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカ
ルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチ
ルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレン
ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン
ジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸
系加硫促進剤、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウ
ム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサント
ゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系加硫促進剤等が挙げら
れ、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。これらはゴム成分を100部と
した場合に、0.5〜15部、1〜10部配合すること
が好ましい。
【0041】本発明のゴム組成物は、無機充填剤として
シリカが含有される場合、更にシランカップリング剤を
含有させることによって、得られる加硫ゴムの耐摩耗
性、あるいはtanδをより向上させることができる。
このシランカップリング剤は特に限定されず、ビニルト
リクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピ
ルトメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を
使用することができる。また、ビス−[3−(トリエト
キシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス−[3
−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、γ
−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミル
テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベ
ンゾチアジルテトラスルフィド等を用いることもでき
る。これらのシランカップリング剤は1種のみを用いて
もよいし、2種以上を併用することもできる。シランカ
ップリング剤の含有量は、シリカを100部とした場合
に、1〜20部、特に2〜15部とすることが好まし
い。
【0042】本発明のゴム組成物及びそれを用いたゴム
製品は、以下のようにして製造することができる。先
ず、共役ジエン系ゴム、あるいは油展ゴムを含むゴム成
分、シリカ等の無機充填剤、カーボンブラック、カーボ
ン−シリカデュアル・フェイズフィラー等の補強剤、ゴ
ム用伸展油、その他の配合剤等をバンバリーミキサ等の
混練機を使用して70〜180℃の温度で混練する。そ
の後、混練物を冷却し、これに更に硫黄等の加硫剤及び
加硫促進剤等を、バンバリーミキサあるいはミキシング
ロール等を用いて配合し、所定の形状に成形する。次い
で、140〜180℃の温度で加硫し、所要の加硫ゴ
ム、即ち、ゴム製品を得る。
【0043】本発明のゴム組成物を用いてなる加硫ゴム
は、ウェットスキッド性及び反発弾性等に優れ、十分な
耐摩耗性及び引張強度等を有し、また、良好な加工性を
も併せ備えており、このゴム組成物は、タイヤ用ゴム組
成物として有用であり、特に、タイヤトレッド用として
好適である。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
詳しく説明する。 〔1〕油展共役ジエン系ゴムの製造 製造例1(油展共役ジエン系ゴムA) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを66部、スチレンを26部、及びアク
リロニトリルを5部仕込んだ。その後、重合用容器の温
度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メン
タンハイドロパーオキサイドを0.03部、エチレンジ
アミン4酢酸ナトリウムを0.02部、硫酸第1鉄7水
和物を0.01部、及びソジウムホルムアルデヒドスル
ホキシレートを0.03部添加して重合を開始した。重
合転化率が30%に達した時点で、アクリロニトリルを
3部更に添加し、重合転化率が60%に達した時点で、
ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ
た。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量
体を回収し、共役ジエン系ゴムラテックスを得た。その
後、このラテックスに含有される固形分100部に対し
て37.5部のアロマオイル(富士興産株式会社製、商
品名「フッコール・アロマックス#3」)を含む乳化物
を配合し、これを硫酸と塩化ナトリウムにより凝固させ
てクラムとした。次いで、このクラムを熱風乾燥機によ
り乾燥させ、アロマオイルで油展された共役ジエン系ゴ
ムAを得た。
【0045】ラテックスに含まれる共役ジエン系ゴム
のムーニー粘度は127、結合アクリロニトリル量は1
0質量%、結合スチレン量は20質量%、重量平均分子
量は640000、ガラス転移点は−43℃であり、ガ
ラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差は11℃
であった。また、油展共役ジエン系ゴムAのムーニー粘
度は49であった。
【0046】ガラス転移の外挿開始温度及び外挿終了温
度はASTM D3418−82(Reapprove
d 1988)に準じて示差走査熱量計(DSC)によ
り測定した。外挿開始温度は、図1に示すDSCの昇温
曲線において、低温側のベースラインを延長した直線
と、低温側の変曲点Pと高温側の変曲点Pとの間の
ほぼ直線部分Lを延長した直線と、が交わる点に対応す
る温度軸の読みとした。また、外挿終了温度は、図1に
示すDSCの昇温曲線において、高温側のベースライン
を延長した直線と、直線部分Lを延長した直線と、が交
わる点に対応する温度軸の読みとした。
【0047】製造例2(油展共役ジエン系ゴムB) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを69部、スチレンを19部及びアクリ
ロニトリルを7部仕込んだ。その後、重合用容器の温度
を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メンタ
ンハイドロパーオキサイドを0.03部、エチレンジア
ミン4酢酸ナトリウムを0.02部、硫酸第1鉄7水和
物を0.01部、及びソジウムホルムアルデヒドスルホ
キシレートを0.03部添加して重合を開始した。重合
転化率が30%に達した時点で、アクリロニトリルを5
部更に添加し、重合転化率が60%に達した時点で、ジ
エチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ
た。次いで、製造例1の場合と同様にしてアロマオイル
で油展された共役ジエン系ゴムBを得た。
【0048】ラテックスに含まれる共役ジエン系ゴム
のムーニー粘度は132、結合アクリロニトリル量は1
4質量%、結合スチレン量は15質量%、重量平均分子
量640000、ガラス転移点は−45℃であり、ガラ
ス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差は12℃で
あった。また、油展共役ジエン系ゴムBのムーニー粘度
は45であった。
【0049】製造例3(油展共役ジエン系ゴムC) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを66部、スチレンを26部、及びアク
リロニトリルを8部仕込んだ。その後、重合用容器の温
度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メン
タンハイドロパーオキサイドを0.03部、エチレンジ
アミン4酢酸ナトリウムを0.02部、硫酸第1鉄7水
和物を0.01部、及びソジウムホルムアルデヒドスル
ホキシレートを0.03部添加して重合を開始した。重
合転化率が60%に達した時点で、ジエチルヒドロキシ
ルアミンを添加して重合を停止させた。次いで、製造例
1の場合と同様にしてアロマオイルで油展された共役ジ
エン系ゴムCを得た。
【0050】ラテックスに含まれる共役ジエン系ゴム
のムーニー粘度は125、結合アクリロニトリル量は1
0質量%、結合スチレン量は20質量%、重量平均分子
量は640000、ガラス転移点は−41℃であり、ガ
ラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差は25℃
であった。また、油展共役ジエン系ゴムCのムーニー粘
度は47であった。
【0051】製造例4(油展共役ジエン系ゴムD) 重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5
部、ブタジエンを58部、及びスチレンを42部仕込ん
だ。その後、重合用容器の温度を5℃に設定し、ラジカ
ル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイ
ドを0.03部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを
0.02部、硫酸第1鉄7水和物を0.01部、及びソ
ジウムホルムアルデヒドスルホキシレートを0.03部
添加して重合を開始した。重合転化率が60%に達した
時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を
停止させた。次いで、製造例1の場合と同様にしてアロ
マオイルで油展された共役ジエン系ゴムDを得た。
【0052】ラテックスに含まれる共役ジエン系ゴム
のムーニー粘度は126、結合スチレン量は35質量
%、重量平均分子量は760000、ガラス転移点は−
40℃であった。また、油展共役ジエン系ゴムDのムー
ニー粘度は47であった。表1に共役ジエン系ゴム及び
油展共役ジエン系ゴムの物性を示す。
【0053】
【表1】
【0054】共役ジエン系ゴム〜のアクリロニトリ
ル及びスチレンの結合量の測定は(a)及び(b)に示
す方法により行った。また、その他各物性の測定は
(c)〜(e)に示す方法により行った。 (a)結合アクリロニトリル量(質量%);ゴムをトル
エンに溶解し、メタノールで再沈殿させる操作を2回行
って精製し、真空乾燥した後、元素分析をし、窒素含有
量から算出した。 (b)結合スチレン量(質量%);ゴムをトルエンに溶
解し、メタノールで再沈殿させる操作を2回行って精製
し、真空乾燥した後、赤外吸収スペクトル法により検量
線を作成して求めた。 (c)ガラス転移点;セイコー電子工業株式会社製の示
差走査熱量計を用いて、ASTM D3418−82
(Reapproved 1988)に準じて測定し
た。尚、ガラス転移点はガラス転移の外挿開始温度とす
る。 (d)ムーニー粘度[(ML1+4(100℃)];J
IS K 6300−1994に準じて、測定温度10
0℃、予熱時間1分、測定時間4分の条件で測定した。 (e)重量平均分子量(Mw);GPC(ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフ)を用いて、ポリスチレン換算
で求めた。
【0055】〔2〕ゴム組成物及び加硫ゴムの調製 製造例1〜4の油展共役ジエン系ゴムA〜Dを使用し、
表2及び表3の配合処方でラボプラストミル(東洋精機
株式会社製)により混練し、実施例1〜6及び比較例1
〜4のゴム組成物とした。その後、加硫プレスにより1
60℃で20分加硫し、加硫ゴムを得た。また、これら
各々の実施例又は比較例のゴム組成物の加工性及びムー
ニー粘度、並びに加硫ゴムの物性を測定した。結果を表
2及び表3に併記する。尚、実施例6においては、上記
共役ジエン系ゴムと、スチレン−ブタジエンゴム(ス
チレン−ブタジエンエマルジョン、商品名「SBR01
20」、ジェイ・エス・アール社製)がそれぞれアロマ
オイルで油展された油展ゴムの混合物を用いた。また、
比較例4においては、上記共役ジエン系ゴムと、上記
スチレン−ブタジエンゴムがそれぞれアロマオイルで油
展された油展ゴムの混合物を用いた。油展ゴムは、固形
ゴム100部に対して37.5部のアロマオイルが含有
されるように調製した。
【0056】表2及び表3の配合処方において用いた配
合剤は以下のとおりである。 (ア)シリカ;日本シリカ株式会社製、商品名「ニプシ
ルAQ」 (イ)シランカップリング剤;デグッサ社製、商品名
「Si69」 (ウ)カーボンブラック;三菱化学株式会社製、商品名
「ダイヤブラックH」 (エ)老化防止剤;大内新興化学工業株式会社製、商品
名「ノクラック810NA」 (オ)加硫促進剤(I);大内新興化学工業株式会社
製、商品名「ノクセラーCZ」 (カ)加硫促進剤(II);大内新興化学工業株式会社
製、商品名「ノクセラーD」
【0057】また、各物性等は以下の方法により測定し
た。尚、ゴム組成物のムーニー粘度は油展共役ジエン系
ゴムの場合と同様の方法により測定した。 (a)加工性;ゴム組成物をロールにより混練した際の
ロールへの巻き付き性により評価した。尚、評価基準は
以下のとおりである。 ○;ロール面からの浮きがなく、優れている。△;巻き
付くが、浮き上がりが生じ、劣っている。×;ほとんど
巻き付かず、非常に劣っている。 (b)引張特性;JIS K 6301−1995に準
じ、3号型試験片を使用し、測定温度25℃、引張速度
500mm/分の条件で、破断時伸び及び引張強さを測
定した。 (c)反発弾性;ダンロップトリプソメ−タを用いて5
0℃で測定した。 (d)tanδ;米国レオメトリックス社製の動的アナ
ライザー(RDA)を使用し、動歪み3%、周波数10
Hz、測定温度0℃及び50℃の条件で測定した。0℃
での数値が大きいほど、ウェットスキッド抵抗が大きく
良好である。また、50℃での数値が小さいほど、転が
り抵抗が小さく良好である。 (e)ランボーン摩耗指数;ランボーン型摩耗試験機を
使用し、スリップ率が60%での摩耗量を算出した。測
定温度は50℃である。指数が大きいほど耐摩耗性は良
好である。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】 表2及び表3におけるムーニー粘度は無機充填剤等を配
合した後のゴム組成物のムーニー粘度である。
【0060】表2の結果によれば、実施例1〜6のゴム
組成物は、いずれも加工性に優れ、得られる加硫ゴムの
物性も良好であることが分かる。また、0℃のtanδ
が大きく、50℃のtanδが小さいため、タイヤとし
た場合に、ウェットスキッド抵抗が大きく且つ転がり抵
抗が小さいことが推察される。更に、ランボーン摩耗指
数も十分に大きく、耐摩耗性に優れた加硫ゴムが得られ
ることが分かる。また、シランカップリング剤を減量し
た実施例2及び4においては、ムーニー粘度の上昇が小
幅に抑えられ、他の実施例と同等の引張強度及び耐摩耗
性が得られており、シランカップリング剤を減量しても
優れた性能のゴム組成物及び加硫ゴムが得られているこ
とが分かる。シリカを含有し、カーボンブラックを含有
しない実施例5は、実施例1とほぼ同等の性能を示し
た。
【0061】一方、アクリロニトリルを重合過程におい
て分割して添加せず、重合開始前に一括して添加し、製
造した共役ジエン系ゴムは、ガラス転移の開始温度と
終了温度の差が大きく、これを用いた比較例3では、加
工性に劣り、0℃のtanδが十分に向上していないこ
とが分かる(表3参照)。更に、アクリロニトリルを使
用せずに製造した共役ジエン系ゴムを用いた比較例
1、2では、シランカップリング剤の減量による加工性
の低下が明らかであり、0℃のtanδも十分に向上せ
ず、ランボーン摩耗指数も小さいことが分かる。
【0062】
【発明の効果】本発明のゴム組成物は、良好な加工性を
有し、得られるゴム製品の転がり抵抗が小さく、ウェッ
トスキッド性に優れ、十分な耐磨耗性及び引張強度等を
併せ有する加硫ゴムとすることができ、特にタイヤ用と
して有用である。また、本発明の共役ジエン系ゴム及び
油展ゴムは、上記のようなゴム組成物とするのに有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1における油展前の共役ジエン系ゴムの
ガラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度の求め方を示
すDSCのチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/5415 C08K 5/5415 C08L 9/00 C08L 9/00 91/00 91/00 (72)発明者 但木 稔弘 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC071 AC081 AE052 DA036 DE106 DE146 DE236 DJ016 DJ036 EX027 EX037 EX067 EX077 EX087 FD016 FD140 FD150 GN01 4J011 AA05 BA03 BB01 BB07 BB18 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AB07Q AM02R AS01P AS02P AS03P AS07P BA04Q CA05 DA09 DA25 DA47 FA37 JA29

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン性不飽和ニトリル単量体、芳
    香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体を含む単量体を
    共重合させてなる共役ジエン系ゴムであって、ガラス転
    移点が−60〜0℃であり、ガラス転移の外挿開始温度
    と外挿終了温度との差が20℃以下であって、繰り返し
    単位として、9〜30質量%のオレフィン性不飽和ニ
    トリル単量体単位、10〜50質量%の芳香族ビニル
    単量体単位、及び20〜81質量%の共役ジエン単量
    体単位〔、及びの合計量を100質量%とす
    る。〕を有し、ムーニー粘度[ML1+4(100
    ℃)]が20〜200であることを特徴とする共役ジエ
    ン系ゴム。
  2. 【請求項2】 オレフィン性不飽和ニトリル単量体、芳
    香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体を含む単量体を
    共重合して共役ジエン系ゴムを製造する方法であって、
    上記オレフィン性不飽和ニトリル単量体を分割して添加
    し、且つ重合途中における全単量体仕込み分の重合転化
    率が10〜95%となった後に、該オレフィン性不飽和
    ニトリル単量体の残部を間欠的に又は連続的に添加して
    重合することを特徴とする共役ジエン系ゴムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記オレフィン性不飽和ニトリル単量体
    の初期仕込み量は、使用する該オレフィン性不飽和ニト
    リル単量体全量に対して20〜95質量%である請求項
    2に記載の共役ジエン系ゴムの製造方法。
  4. 【請求項4】 オレフィン性不飽和ニトリル単量体、芳
    香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体を含む単量体を
    共重合させてなり、ガラス転移点が−60〜0℃であ
    り、ガラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差が
    20℃以下であって、繰り返し単位として、9〜30
    質量%のオレフィン性不飽和ニトリル単量体単位、1
    0〜50質量%の芳香族ビニル単量体単位、及び20
    〜81質量%の共役ジエン単量体単位〔、及びの
    合計量を100質量%とする。〕を有し、ムーニー粘度
    [ML1+4(100℃)]が40〜200である共役
    ジエン系ゴムを100質量部、及び伸展油を10〜60
    質量部含むことを特徴とする油展ゴム。
  5. 【請求項5】 オレフィン性不飽和ニトリル単量体、芳
    香族ビニル単量体及び共役ジエン単量体を含む単量体を
    共重合させてなり、ガラス転移点が−60〜0℃であ
    り、ガラス転移の外挿開始温度と外挿終了温度との差が
    20℃以下であって、繰り返し単位として、9〜30
    質量%のオレフィン性不飽和ニトリル単量体単位、1
    0〜50質量%の芳香族ビニル単量体単位、及び20
    〜81質量%の共役ジエン単量体単位〔、及びの
    合計量を100質量%とする。〕を有し、ムーニー粘度
    [ML1+4(100℃)]が20〜200である共役
    ジエン系ゴムを含有するゴム成分を100質量部、並び
    に、無機充填剤及びカーボンブラックから選ばれる少な
    くとも1種を10〜200質量部含有することを特徴と
    するゴム組成物。
  6. 【請求項6】 更に伸展油を上記ゴム成分100質量部
    に対して10〜60質量部含有し、上記共役ジエン系ゴ
    ムのムーニー粘度[ML1+4(100℃)]が40〜
    200である請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 【請求項7】 上記無機充填剤がシリカである請求項5
    又は6に記載のゴム組成物。
  8. 【請求項8】 上記全ゴム成分100質量部中に上記共
    役ジエン系ゴムを少なくとも30質量部含有し、全ゴム
    成分100質量部に対して、上記シリカを30〜100
    重量部及び/又は上記カーボンブラックを10〜100
    重量部含有する請求項7に記載のゴム組成物。
  9. 【請求項9】 更にシランカップリング剤を含む請求項
    7又は8に記載のゴム組成物。
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