JP2002144501A - 多層構造体 - Google Patents

多層構造体

Info

Publication number
JP2002144501A
JP2002144501A JP2001265942A JP2001265942A JP2002144501A JP 2002144501 A JP2002144501 A JP 2002144501A JP 2001265942 A JP2001265942 A JP 2001265942A JP 2001265942 A JP2001265942 A JP 2001265942A JP 2002144501 A JP2002144501 A JP 2002144501A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
multilayer structure
acid
resin composition
structure according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001265942A
Other languages
English (en)
Inventor
Masakazu Nakatani
正和 中谷
Shinji Tai
伸二 田井
Hiroyuki Shimo
浩幸 下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2001265942A priority Critical patent/JP2002144501A/ja
Publication of JP2002144501A publication Critical patent/JP2002144501A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Closures For Containers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素掃去機能を有し、かつ優れたガスバリア
性、保香性、およびフレーバーバリア性を有し、さら
に、臭気の発生が少ない多層構造体を提供すること。 【解決手段】 樹脂組成物(P)層と樹脂(D)層とか
らなる多層構造体であって、該樹脂組成物(P)が、酸
素透過速度が500ml・20μm/m2・day・a
tm(20℃、65%RH)以下のガスバリア性樹脂
(A)および炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂
(B)からなり、かつ該樹脂組成物(P)の酸素吸収速
度が0.01ml/m2・day以上であり、該樹脂
(D)が、熱可塑性樹脂(D1a)と脱臭剤(D1b)
とからなる脱臭性樹脂組成物(D1)、ポリビニルアル
コール系樹脂(D2)および熱可塑性ポリエステル樹脂
(D3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂
である、多層構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素掃去機能を有
し、かつ優れたガスバリア性、保香性、およびフレーバ
ーバリア性を有し、さらに臭気の発生の少ない多層構造
体、および該多層構造体を用いた多層容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスバリア性樹脂、例えばエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(以下EVOHと略することが
ある)等は、溶融成形が可能で、酸素または炭酸ガスバ
リア性に優れている。そのため、例えばEVOHでなる
層と、耐湿性、機械的特性等に優れた熱可塑性樹脂(例
えば、ポリオレフィン)の層とを含む多層構造体が、ガ
スバリア性を必要とする各種成形体(例えば、フィル
ム、シート、ボトル、容器等)に利用されている。例え
ば、このような多層構造体は、多層容器として、とりわ
けバッグ、ボトル、カップ、パウチ等の形態で種々の分
野で使用されている。例えば、食品、化粧品、医化学薬
品、トイレタリー等の分野で広く使用されている。
【0003】前記の多層容器は、酸素、炭酸ガス等のバ
リア性に優れるものの、缶詰等に使用される金属素材
や、瓶詰め等に使用されるガラスのように、酸素等のガ
スの透過性はゼロに限りなく近いというわけではなく、
無視し得ない量のガスを透過する。特に、食品等の容器
においては、長期間保存した場合の内容物の酸化による
品質の低下が懸念されるため、酸素バリア性の改良が強
く望まれている。
【0004】一方、内容物を充填する時に、内容物とと
もに酸素が容器内に混入することがある。内容物が酸化
されやすいものである場合、この微量の酸素によって
も、内容物の品質が低下するおそれがあり、これを防ぐ
ために、容器の材料に酸素掃去機能を付与することが提
案されている。この場合、容器外部から内部に侵入しよ
うとする酸素も掃去されるので、包装材料のガスバリア
性も向上するという利点がある。
【0005】例えば、容器の材料を構成するガスバリア
性樹脂に酸素掃去機能を付与する方法としては、EV
OHに遷移金属等の酸化触媒を加えることにより、EV
OHを酸化され易い状態にして酸素掃去機能を付与する
方法(特開平4−211444号公報);ポリ塩化ビ
ニルに金属触媒を加えることにより、ポリ塩化ビニルを
酸化され易い状態にして酸素掃去機能を付与する方法
(特開平4−45144号公報);ポリオレフィンと
酸化触媒からなる樹脂組成物、すなわち酸化され易い状
態のポリオレフィンをEVOH中に分散させて、EVO
Hに酸素掃去機能を付与する方法(特開平5−1560
95号公報);EVOH、ポリオレフィンおよび酸化
触媒を配合し、EVOHおよびポリオレフィンを酸化さ
れ易い状態にして酸素掃去機能を付与する方法(特開平
5−170980号公報)等が知られている。しかしな
がら、上記したおよびの方法は酸素バリア性の向上
効果が十分でなく、またおよびの方法は、ガスバリ
ア性樹脂の透明性が著しく損なわれるという問題を有し
ている。
【0006】また、酸素掃去機能を有する樹脂は、時間
の経過とともに臭気を発する場合があり、包装材料とし
て使用する場合、臭気が外に漏れたり、内容物に移行し
たりするおそれがある。従って、長期間使用する場合
や、化粧品等の特に香りを重視する用途においては、臭
気の抑制が重要な課題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸素
掃去機能を有し、かつ優れたガスバリア性、保香性、お
よびフレーバーバリア性を有し、さらに、酸素掃去機能
を有する樹脂を使用していながら、使用中の臭気の発生
が少ない多層構造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の多層構造
体は、樹脂組成物(P)層と樹脂(D)層とからなる多
層構造体であって、該樹脂組成物(P)が、酸素透過速
度が500ml・20μm/m2・day・atm(2
0℃、65%RH)以下のガスバリア性樹脂(A)およ
び炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(B)から
なり、かつ該樹脂組成物(P)の酸素吸収速度が0.0
1ml/m2・day以上であり、該樹脂(D)が、熱
可塑性樹脂(D1a)と脱臭剤(D1b)とからなる脱
臭性樹脂組成物(D1)、ポリビニルアルコール系樹脂
(D2)および熱可塑性ポリエステル樹脂(D3)から
なる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。
【0009】好適な実施態様においては、上記樹脂組成
物(P)は、さらに遷移金属塩(C)を含有する。
【0010】本発明の第2の多層構造体は、樹脂組成物
(P)層と樹脂(D)層とからなる多層構造体であっ
て、該樹脂組成物(P)が、酸素透過速度が500ml
・20μm/m2・day・atm(20℃、65%R
H)以下のガスバリア性樹脂(A)、炭素−炭素二重結
合を有する熱可塑性樹脂(B)および遷移金属塩(C)
からなり、該樹脂(D)が、熱可塑性樹脂(D1a)と
脱臭剤(D1b)とからなる脱臭性樹脂組成物(D
1)、ポリビニルアルコール系樹脂(D2)および熱可
塑性ポリエステル樹脂(D3)からなる群より選ばれる
少なくとも1種の樹脂である。
【0011】好適な実施態様においては、上記第1の多
層構造体において、上記樹脂組成物(P)が遷移金属塩
(C)を含有する場合の該遷移金属塩の樹脂組成物
(P)における含有量、および第2の多層構造体におい
て、上記樹脂組成物(P)に含有される遷移金属塩
(C)の樹脂組成物(P)における含有量は、上記ガス
バリア性樹脂(A)および上記熱可塑性樹脂(B)の合
計重量を基準として、金属元素換算で1〜5000pp
mである。
【0012】好適な実施態様においては、上記遷移金属
塩(C)は、鉄、ニッケル、銅、マンガンおよびコバル
トからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を
有する。
【0013】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)は、炭素−炭素二重結合を0.0001eq
/g以上の割合で含有する。
【0014】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)は、下記構造式(I)
【0015】
【化2】
【0016】(式中、Rは水素原子または炭素原子数
1〜5のアルキル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基またはアルコキシ基であり、R
よびRは各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、−
COOR、−OCOR、シアノ基、またはハロゲン
原子であり、RおよびRは各々独立して炭素原子数
1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アリールアルキル基またはアルコキシ基である)で
示される単位を有する。
【0017】好適な実施態様においては、上記前記熱可
塑性樹脂(B)の数平均分子量は1000〜50000
0である。
【0018】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)は芳香族ビニル化合物単位およびジエン化合
物単位を有する。より好適な実施態様においては、上記
ジエン化合物単位はイソプレン単位およびブタジエン単
位からなる群より選ばれる少なくとも1種である。ま
た、より好適な実施態様においては、上記芳香族ビニル
化合物単位はスチレン単位である。さらに、より好適な
実施態様においては、上記前記熱可塑性樹脂(B)はブ
ロック共重合体である。
【0019】好適な実施態様においては、上記ガスバリ
ア性樹脂(A)は、エチレン含有量5〜60モル%、ケ
ン化度90%以上のEVOHである。
【0020】好適な実施態様においては、上記ガスバリ
ア性樹脂(A)と上記熱可塑性樹脂(B)との屈折率の
差は0.01以下である。
【0021】好適な実施態様においては、上記樹脂組成
物(P)において、上記熱可塑性樹脂(B)からなる粒
子は、上記ガスバリア性樹脂(A)のマトリックス中に
分散している。
【0022】好適な実施態様においては、上記樹脂組成
物(P)は、上記ガスバリア性樹脂(A)を70〜9
9.9重量%および上記熱可塑性樹脂(B)を0.1〜
30重量%の割合で含有する。
【0023】好適な実施態様においては、上記樹脂
(D)は、上記熱可塑性樹脂(D1a)50〜99.9
重量%および上記脱臭剤(D1b)0.1〜50重量%
を含有してなる脱臭性樹脂組成物(D1)である。より
好適な実施態様においては、上記脱臭剤(D1b)の粒
径は0.5〜10μmである。
【0024】別の好適な実施態様においては、上記樹脂
(D)は、酸素透過速度が100ml・20μm/m2
・day・atm(20℃、65%RH)以下の、ポリ
ビニルアルコール系樹脂(D2)または熱可塑性ポリエ
ステル樹脂(D3)である。
【0025】本発明の多層容器は、本発明の第1の多層
構造体または第2の多層構造体からなる。
【0026】本発明のキャップは、本発明の第1の多層
構造体または第2の多層構造体からなるガスケットを装
着してなる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本明細書において、酸素を“掃去する”とは、与え
られた環境から酸素を吸収・消費し、またはその量を減
少させることを言う。
【0028】本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物
(P)に含有されるガスバリア性樹脂(A)の種類は特
に限定されず、良好なガスバリア性を有する樹脂であれ
ばいずれも使用することができる。具体的には、酸素透
過速度が500ml・20μm/m・day・atm
(20℃、65%RH)以下である樹脂が用いられる。
これは、20℃、相対湿度65%の環境下で測定したと
きに、1気圧の酸素の差圧がある状態で、面積1m
20μm厚のフィルムを1日に透過する酸素の体積が、
500ml以下であることを意味する。酸素透過速度が
500ml・20μm/m・day・atmを超える
と、得られる多層構造体のガスバリア性が不十分とな
る。ガスバリア性樹脂(A)の酸素透過速度は、好適に
は100ml・20μm/m・day・atm以下で
あり、より好適には20ml・20μm/m・day
・atm以下であり、さらに好適には5ml・20μm
/m ・day・atm以下である。
【0029】ガスバリア性樹脂(A)の屈折率は、1.
50〜1.56の範囲が好ましい。この範囲を逸脱する
と、後述のように、ガスバリア性樹脂(A)の屈折率と
熱可塑性樹脂(B)の屈折率との差が大きくなり、得ら
れる樹脂組成物(P)の透明性が低下する虞がある。一
般に、酸素吸収性を有する熱可塑性樹脂(B)の屈折率
が上記範囲にあることが多いことから、熱可塑性樹脂
(B)とガスバリア性樹脂(A)の屈折率の差を小さく
することが容易となり、結果として透明性の良好な樹脂
組成物を得ることが可能となる。ガスバリア性樹脂
(A)の屈折率は、より好ましくは1.51以上であ
り、さらに好ましくは1.52以上である。また好まし
くは1.55以下であり、さらに好ましくは1.54以
下である。
【0030】上記のようなガスバリア性樹脂(A)の例
としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等
が代表的な樹脂として例示されるが、これらの樹脂に限
定されない。
【0031】上記ガスバリア性樹脂(A)のうち、ポリ
ビニルアルコール系樹脂は、ビニルエステルの単独重合
体、またはビニルエステルと他の単量体との共重合体
(特にビニルエステルとエチレンとの共重合体)を、ア
ルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニルエス
テルとしては、酢酸ビニルが代表的な化合物として挙げ
られるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン
酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用できる。
【0032】上記ポリビニルアルコール系樹脂のビニル
エステル成分のケン化度は、好適には90%以上であ
り、より好適には95%以上であり、さらに好適には9
7%以上である。ケン化度が90モル%未満では、高湿
度下でのガスバリア性が低下する。また、上記ポリビニ
ルアルコール系樹脂(A)がEVOHである場合、熱安
定性が不充分となり、成形時にゲル・ブツが発生し易く
なる。
【0033】ポリビニルアルコール系樹脂(A)がケン
化度の異なる2種類以上のポリビニルアルコール系樹脂
の混合物からなる場合には、混合重量比から算出される
平均値をケン化度とする。
【0034】上記のようなポリビニルアルコール系樹脂
(A)の中でも、溶融成形が可能で、高湿度下でのガス
バリア性が良好な点から、EVOHが好適である。
【0035】EVOHのエチレン含有量は5〜60モル
%であるのが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満
では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も
悪化することがある。EVOHのエチレン含有量は、好
適には10モル%以上であり、より好適には15モル%
以上、最適には20モル%以上である。一方、エチレン
含有量が60モル%を超えると十分なガスバリア性が得
られないことがある。エチレン含有量は、好適には55
モル%以下であり、より好適には50モル%以下であ
る。好適に用いられるEVOHは、上述のようにエチレ
ン含有量が5〜60モル%であり、かつケン化度が90
%以上である。
【0036】EVOHがエチレン含有量の異なる2種類
以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合重量比
から算出される平均値をエチレン含有量とする。この場
合、エチレン含有量が最も離れたEVOH同士の、エチ
レン含有量の差が15モル%以下であり、かつケン化度
の差が10%以下であることが好ましい。これらの条件
から外れる場合には、樹脂組成物層の透明性が損なわれ
る場合がある。エチレン含有量の差はより好適には10
モル%以下であり、さらに好適には5モル%以下であ
る。また、ケン化度の差はより好適には7%以下であ
り、さらに好適には5%以下である。
【0037】EVOHのエチレン含有量およびケン化度
は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができ
る。
【0038】このEVOHには、上述のように、本発明
の目的が阻害されない範囲で、エチレンおよびビニルア
ルコール以外の単量体を共重合成分として少量含有する
こともできる。このような単量体の例としては、次の化
合物が挙げられる:プロピレン、1−ブテン、イソブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、そ
の塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そ
のアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−
エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリ
メトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スル
ホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロ
リドン類等。
【0039】中でも、EVOHに共重合成分としてビニ
ルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する
場合は、該EVOHを含む樹脂組成物(P)を、基材と
なるべき樹脂(例えば、PES)と共に、共押出成形ま
たは共射出成形して多層構造体を得る際に、該基材樹脂
との溶融粘性の整合性が改善され、均質な成形物の製造
が可能である。ビニルシラン系化合物としては、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適
に用いられる。
【0040】さらに、EVOHにホウ素化合物が添加さ
れている場合にも、EVOHの溶融粘性が改善され、均
質な共押出または共射出成形物が得られる点で有効であ
る。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エ
ステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具
体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸(以下、ホ
ウ酸と略記することがある)、メタホウ酸、四ホウ酸等
が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチ
ル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては
上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩、ホウ砂等が挙げられる。これらの化合物のうちで
もオルトホウ酸が好ましい。
【0041】ホウ素化合物が添加される場合に、その含
有量は好適にはホウ素元素換算で20〜2000pp
m、より好適には50〜1000ppmである。この範
囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたE
VOHを得ることができる。20ppm未満ではホウ素
化合物の添加効果が不十分となる場合がある。一方、2
000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良と
なる場合がある。
【0042】EVOHに、アルカリ金属塩を好適にはア
ルカリ金属元素換算で5〜5000ppm添加しておく
ことも層間接着性や相容性の改善のために効果的であ
る。アルカリ金属塩の添加量は、より好適にはアルカリ
金属元素換算で20〜1000ppm、さらに好適には
30〜500ppmである。アルカリ金属としては、リ
チウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ
金属塩としては、アルカリ金属の脂肪族カルボン酸塩、
芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられ
る。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナ
トリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、
ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナト
リウム塩等が挙げられ、これらの中でも酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが好適である。
【0043】EVOHに、リン酸化合物を添加すること
も好ましい。リン酸化合物を配合することにより、EV
OHの熱安定性を改善することができる。特に、長時間
にわたる溶融成形を行なう際のゲル状ブツの発生や着色
を抑制することができる。リン酸化合物の添加量は、好
適にはリン酸根換算で20〜500ppm、より好適に
は30〜300ppm、最適には50〜200ppmで
ある。
【0044】EVOHに添加するリン化合物の種類は特
に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩
等を用いることができる。リン酸塩は第1リン酸塩、第
2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形であってもよ
い。リン酸塩のカチオン種も特に限定されないが、カチ
オン種がアルカリ金属、アルカリ土類金属であることが
好ましい。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二
カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましい。
【0045】EVOHの好適なメルトフローレート(M
FR)(210℃、2160g荷重下、JIS K72
10に基づく)は0.1〜100g/10分、より好適
には0.5〜50g/10分、さらに好適には1〜30
g/10分である。
【0046】ガスバリア性樹脂のうち、ポリアミド樹脂
の種類は特に限定されず、例えば、ポリカプロアミド
(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−
11)、ポリラウロラクタム(ナイロン−12)、ポリ
ヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリ
ヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)等の
脂肪族ポリアミド単独重合体;カプロラクタム/ラウロ
ラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラク
タム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/1
1)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体
(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレ
ンアジパミド共重合体(ナイロン−6/6,6)、カプ
ロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレ
ンセバカミド共重合体(ナイロン−6/6,6/6,1
0)等の脂肪族ポリアミド共重合体;ポリメタキシリレ
ンアジパミド(MX−ナイロン)、ヘキサメチレンテレ
フタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド共重合体
(ナイロン−6T/6I)等の芳香族ポリアミドが挙げ
られる。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用
いることもできるし、2種以上を混合して用いることも
できる。これらの中でも、ポリカプロアミド(ナイロン
−6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−
6,6)がガスバリア性の観点から好適である。
【0047】ポリ塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル
または塩化ビニリデンの単独重合体のほか、酢酸ビニ
ル、マレイン酸誘導体、高級アルキルビニルエーテル等
との共重合体が挙げられる。
【0048】ポリアクリロニトリル樹脂としては、アク
リロニトリルの単独重合体のほか、アクリル酸エステル
等との共重合体が挙げられる。
【0049】ガスバリア性樹脂(A)として、これらの
うちの1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使
用してもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコール
系樹脂が好ましく、エチレン含有量5〜60モル%、ケ
ン化度90%以上のEVOHがより好ましい。
【0050】本発明においては、本発明の目的を阻害し
ない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着
色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィ
ン等)をあらかじめガスバリア性樹脂(A)にブレンド
することもできる。
【0051】本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物
(P)に含有される熱可塑性樹脂(B)は、炭素−炭素
二重結合を含有する。炭素−炭素二重結合は酸素と効率
よく反応するので、このような熱可塑性樹脂(B)は酸
素掃去機能を有する。なお、本発明において、炭素−炭
素二重結合とは共役二重結合を包含するが、芳香環に含
まれる多重結合は包含しない。
【0052】樹脂組成物(P)において、この炭素−炭
素二重結合は、熱可塑性樹脂(B)に好適には0.00
01eq/g(等量/g)以上含有され、より好適には
0.0005eq/g以上、さらに好適には0.001
eq/g以上、最適には0.002eq/g以上含有さ
れる。炭素−炭素二重結合の含有量が0.0001eq
/g未満である場合、得られる樹脂組成物の酸素掃去機
能が不十分となる。
【0053】炭素−炭素二重結合は、熱可塑性樹脂
(B)の主鎖に含まれてもよく、側鎖に含まれてもよい
が、側鎖に含まれる二重結合の量が多い方が(すなわ
ち、炭素−炭素二重結合を有している基が側鎖に多い方
が)、酸素との反応の効率の観点から好ましい。側鎖に
含まれる炭素−炭素二重結合として、下記構造式(I)
で示される構造単位に含まれる二重結合が好ましい:
【0054】
【化3】
【0055】(式中、Rは水素原子または炭素原子数
1〜5のアルキル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基またはアルコキシ基であり、R
よびRは各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、−
COOR、−OCOR、シアノ基、またはハロゲン
原子であり、RおよびRは各々独立して炭素原子数
1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アリールアルキル基またはアルコキシ基である)。
上記アリ−ル基の炭素原子数は、好ましくは6〜10で
あり、アルキルアリ−ル基およびアリールアルキル基の
炭素原子数は好ましくは7〜11であり、アルコキシ基
の炭素原子数は好ましくは1〜10である。アルキル基
の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基が、アリール基の例としてはフェニル基が、アルキル
アリール基の例としてはトリル基が、アリールアルキル
基の例としてはベンジル基が、アルコキシ基の例として
はメトキシ基、エトキシ基が、ハロゲン原子の例として
は塩素原子が、それぞれ挙げられる。
【0056】構造式(I)で示される構造単位の中で
も、ジエン化合物由来の構造単位が好ましい。該構造を
有する熱可塑性樹脂の製造が容易であるためである。こ
のようなジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエ
ン、2−エチルブタジエン、2−ブチルブタジエン等が
挙げられる。これらの1種のみを使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。ジエン化合物の例と、該ジエ
ン化合物から誘導される構造式(I)で示される基の種
類との関係を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】これらの中でも、酸素との反応の効率の観
点から、Rが炭素数1〜5のアルキル基であるものが
好ましく、Rがメチル基であるもの(すなわち、イソ
プレン由来の構造単位)がより好ましい。イソプレンは
入手が容易であり、他の単量体との共重合も可能である
ので、熱可塑性樹脂(B)の製造コストの点からも好適
である。また、入手が容易であり、他の単量体との共重
合が可能であるという観点からは、ブタジエンも好まし
い。
【0059】構造式(I)で示される構造単位がジエン
化合物由来である場合、ジエン化合物由来の全構造単位
に対する、構造式(I)で示される構造単位の割合は、
10%以上であることが好ましく、20%以上がより好
ましく、30%以上がさらにより好ましい。前記割合を
10%以上にするためには、不活性な有機溶媒中で、ル
イス塩基を共触媒として用いてジエン化合物をアニオン
重合する、当該分野で一般に用いられる方法が採用され
る。
【0060】構造式(I)で示される構造単位を有する
熱可塑性樹脂(B)を得るためには、ジエン化合物を含
む単量体を重合させる際に、共触媒としてルイス塩基を
使用することが好ましい。ルイス塩基としては、例えば
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレン
グリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメ
チルエーテル等のグリコールエーテル類、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)、トリエチレンジアミン等の第三級アミン類、N−
メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のエーテル
含有アミン類等が挙げられる。これらのルイス塩基は、
通常、後述の開始剤100重量部あたり0.1〜400
重量部使用される。
【0061】樹脂組成物(P)に用いられる熱可塑性樹
脂(B)は、芳香族ビニル化合物と上記ジエン化合物と
の共重合体であることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)
が該共重合体である場合、ジエン化合物に由来する炭素
−炭素二重結合部分が酸素とが反応し易くなり、得られ
る樹脂組成物(P)の酸素バリア性および酸素掃去機能
が向上し、その結果、得られる多層構造体の酸素バリア
性が改善される。また、芳香族ビニル化合物とジエン化
合物との共重合比率を調節することにより、熱可塑性樹
脂(B)の溶融挙動や硬度を制御することができる。さ
らに、該共重合比率を調節することにより、熱可塑性樹
脂(B)の屈折率を所望の値にすることができる。従っ
て、ガスバリア性樹脂(A)の屈折率と熱可塑性樹脂
(B)の屈折率との差を小さくすることができ、その結
果、透明性に優れた樹脂組成物(P)が得られる。
【0062】上記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3
−ビニルナフタレン、2−メチルスチレン、3−メチル
スチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレ
ン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレ
ン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニ
ルブチル)スチレン等が挙げられる。これらの中でも、
コストおよび重合の容易さの観点からスチレンが最も好
ましい。一方、ジエン化合物としては、前述の化合物が
例として挙げられる。
【0063】芳香族ビニル化合物とジエン化合物の共重
合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体、またはそれらの複合物等いず
れの形態であってもよい。製造の容易さ、得られる熱可
塑性樹脂(B)の機械的特性、取り扱いの容易さ、およ
び酸素掃去機能の観点から、ブロック共重合体であるこ
とが好ましい。
【0064】上記ブロック共重合体において、芳香族ビ
ニル化合物ブロックの分子量は、好適には300〜10
0000であり、より好適には1000〜50000で
あり、さらに好適には3000〜50000である。芳
香族ビニル化合物ブロックの分子量が300未満の場合
は、熱可塑性樹脂(B)の溶融粘度が低くなり、得られ
る樹脂組成物の成形性、加工性およびハンドリング性に
問題が生じる場合がある。さらに、成形物とした場合の
機械的特性が低下する場合がある。加えて、熱可塑性樹
脂(B)のガスバリア性樹脂(A)への分散性が低下
し、透明性、ガスバリア性および酸素掃去機能が低下す
る場合がある。一方、芳香族ビニル化合物ブロックの分
子量が100000を越える場合には、熱可塑性樹脂
(B)の溶融粘度が高くなって熱可塑性が損なわれるの
で、得られる樹脂組成物の成形性および加工性が低下す
る場合がある。また、上記と同様に熱可塑性樹脂(B)
のガスバリア性樹脂(A)への分散性が低下し、透明
性、ガスバリア性および酸素掃去機能が低下する場合が
ある。
【0065】ブロック共重合体のブロック形態として
は、例えばX(YX)、(XY)等が挙げられる。
ここで、Xは芳香族ビニル化合物ブロック、Yはジエン
化合物ブロックを示し、nは1以上の整数である。これ
らの中でも、2元ブロック共重合体および3元ブロック
共重合体が好ましく、機械的特性の観点から3元ブロッ
ク共重合体がより好ましい。中でも、芳香族ビニル化合
物ブロックがポリスチレンブロックであり、ジエン化合
物ブロックがポリイソプレンブロックであることがコス
トおよび重合の容易さの観点から好適である。
【0066】上記ブロック共重合体の製造方法は特に限
定されないが、アニオン重合法が好適である。具体的に
は、アルキルリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニ
ル化合物とジエン化合物とを共重合し、カップリング剤
によってカップリングする方法、ジリチウム系化合物を
開始剤として、ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを
逐次重合する方法等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。アルキルリチウム化合物としては、ア
ルキル基の炭素原子数が1〜10のアルキルリチウム化
合物、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、ベン
ジルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリ
チウム、tert−ブチルリチウム等が好ましい。
【0067】カップリング剤としてはジクロロメタン、
ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等が
用いられる。ジリチウム化合物としては、例えば、ナフ
タレンジリチウム、オリゴスチリルジリチウム、ジリチ
オヘキシルベンゼン等が挙げられる。使用量は、重合に
用いられる全モノマー100重量部に対し、開始剤0.
01〜0.2重量部、カップリング剤0.04〜0.8
重量部が適当である。
【0068】上記ブロック共重合体を製造するための溶
媒としては、上記の開始剤、カップリング剤およびルイ
ス塩基に対して不活性な有機溶媒が使用される。これら
の中でも、炭素原子数が6〜12の飽和炭化水素、環状
飽和炭化水素、芳香族炭化水素が好ましい。例えば、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサ
ン、トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙げられる。上
記ブロック共重合体を製造するための重合反応は通常−
20〜80℃の温度範囲で、1〜50時間行われる。
【0069】例えば、重合反応液をメタノール等の貧溶
媒中に滴下し、反応生成物を析出させた後、該反応生成
物を加熱または減圧乾燥するか、重合反応液を沸騰水中
に滴下し、溶媒を共沸・除去した後、加熱または減圧乾
燥することにより、上記ブロック共重合体が得られる。
なお、重合後に存在する二重結合は、本発明の多層構造
体の効果を阻害しない範囲で、その一部が水素により還
元されていても構わない。
【0070】こうして得られたブロック共重合体の、ジ
エン化合物ブロックに由来するtanδの主分散ピーク
温度は、得られる樹脂組成物(P)の酸素掃去機能の観
点から、−40℃〜60℃であることが好ましく、−2
0℃〜40℃がより好ましく、−10℃〜30℃がさら
により好ましい。tanδの主分散ピーク温度が−40
℃未満である場合、得られる樹脂組成物(P)の酸素掃
去機能が低下する場合がある。一方、tanδの主分散
ピーク温度が60℃を超える場合、得られる樹脂組成物
(P)の特に低温における酸素掃去機能が低下する場合
がある。
【0071】熱可塑性樹脂(B)の分子量は、好適には
1000〜500000であり、より好適には1000
0〜250000であり、さらに好適には40000〜
200000の範囲である。熱可塑性樹脂(B)の分子
量が1000未満の場合には、ガスバリア性樹脂(A)
への分散性が低下し、樹脂組成物(P)の透明性、ガス
バリア性および酸素掃去機能が低下する場合がある。分
子量が500000を超える場合、同様の問題に加えて
樹脂組成物(P)の加工性も悪くなる場合がある。
【0072】熱可塑性樹脂(B)は、単一の樹脂であっ
ても複数の樹脂からなる混合物であってもよい。いずれ
の場合にも、透明性の良好な成形物を得たい場合には、
厚み20μmのフィルムにおいて、その内部ヘイズ値が
10%以下であるのが好ましい。
【0073】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)の
屈折率と、ガスバリア性樹脂(A)の屈折率との差は、
0.01以下であることが好ましい。ガスバリア性樹脂
(A)と熱可塑性樹脂(B)との屈折率の差が0.01
を超える場合、得られる樹脂組成物(P)の透明性が悪
化する場合がある。屈折率の差は0.007以下がより
好ましく、0.005以下がさらに好ましい。ただし、
ガスバリア性樹脂(A)が2種類以上のガスバリア性樹
脂からなる場合(例えば、異なる2種類のEVOHから
なる場合)は、各々のガスバリア性樹脂の屈折率と重量
割合とから算出される屈折率の平均値をもってガスバリ
ア性樹脂(A)の屈折率とする。
【0074】熱可塑性樹脂(B)は、酸化防止剤を含有
していてもよい。酸化防止剤としては、例えば次の化合
物が挙げられる。2,5−ジ−tert−ブチルハイド
ロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾ
ール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチルフ
ェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル
−6−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−
3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス
−(6−tert−ブチルフェノール)、2−tert
−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリ
ルチオプロピオネート)、2,6−ジ−(tert−ブ
チル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2−メ
チレンビス−(6−tert−ブチル−p−クレゾー
ル)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス−(ノニ
ルフェニル)、チオジプロピオン酸ジラウリル等。
【0075】酸化防止剤の添加量は、樹脂組成物(P)
中の各成分の種類、含有量、本発明の多層構造体の使用
目的、保存条件等を考慮して適宜決定される。通常、熱
可塑性樹脂(B)に含有される酸化防止剤の量は、熱可
塑性樹脂(B)と酸化防止剤の合計重量を基準として、
0.01〜1重量%であることが好ましく、0.02〜
0.5重量%であることがより好ましい。酸化防止剤の
量が多すぎると、熱可塑性樹脂(B)と酸素との反応が
妨げられるため、樹脂組成物(P)の酸素バリア性およ
び酸素掃去機能が不十分となる場合がある。一方、酸化
防止剤の量が少なすぎると、熱可塑性樹脂(B)の保存
時または溶融混練時に、酸素との反応が進行し、本発明
の多層構造体の実使用前に酸素掃去機能が低下してしま
う場合がある。
【0076】例えば、熱可塑性樹脂(B)を比較的低温
で、もしくは不活性ガス雰囲気下で保存する場合、また
は窒素シールした状態で溶融混練して樹脂組成物(P)
を製造する場合等は、酸化防止剤の量は少なくてもよ
い。また、酸化を促進するために溶融混合時に酸化触媒
を添加する場合、熱可塑性樹脂(B)がある程度の量の
酸化防止剤を含んでいても、良好な酸素掃去機能を有す
る樹脂組成物(P)を得ることができる。
【0077】本発明の第2の多層構造体を構成する樹脂
組成物(P)は、遷移金属塩(C)を含有することが必
要である。本発明の第1の多層構造体を構成する樹脂組
成物(P)は、遷移金属塩(C)を含有していることが
好ましい。遷移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂(B)の
酸化反応を促進することにより、樹脂組成物の酸素掃去
機能を向上させる効果がある。例えば、本発明の多層構
造体から得られる包装材料内部に存在する酸素および包
装材料中を透過しようとする酸素と熱可塑性樹脂(B)
との反応を促進し、包装材料の酸素バリア性および酸素
掃去機能が向上する。
【0078】樹脂組成物(P)においては、遷移金属塩
(C)は好適には金属元素換算で1〜5000ppmの
割合で含有される。つまり、遷移金属塩(C)は、ガス
バリア性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の合計量
1000000重量部に対して、金属元素換算で1〜5
000重量部の割合で含有される。より好適には、遷移
金属塩(C)は5〜1000ppm、さらに好適には1
0〜500ppmの範囲で含有される。遷移金属塩
(C)の含有量が1ppmに満たない場合は、その添加
の効果が不十分となる場合がある。一方、遷移金属塩
(C)の含有量が5000ppmを超えると、樹脂組成
物(P)の熱安定性が低下し、分解ガスの発生やゲル・
ブツの発生が著しくなる場合がある。
【0079】遷移金属塩(C)に用いられる遷移金属と
しては、例えば鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバル
ト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウ
ム等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コ
バルトが好ましく、マンガンおよびコバルトがより好ま
しく、コバルトがさらにより好ましい。
【0080】遷移金属塩(C)に含まれる金属の対イオ
ンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げ
られる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチ
ルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン
酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール
酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸、ナフ
テン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。特に好ましい塩としては、2−エチルへキサン酸
コバルト、ネオデカン酸コバルトおよびステアリン酸コ
バルトが挙げられる。また、金属塩は重合体性対イオン
を有する、いわゆるアイオノマーであってもよい。
【0081】本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物
(P)においては、ガスバリア性樹脂(A)が70〜9
9.9重量%、そして熱可塑性樹脂(B)が0.1〜3
0重量%含有されることが好ましい。ガスバリア性樹脂
(A)の含有割合が70重量%未満である場合、樹脂組
成物(P)を用いた多層容器等の成形物における透明性
に劣り、酸素ガス、炭酸ガス等に対するガスバリア性が
低下する虞がある。一方、含有割合が99.9重量%を
超える場合、熱可塑性樹脂(B)の含有割合が少なくな
るため、酸素バリア性および酸素掃去機能が低下する
他、樹脂組成物(P)全体のモルフォロジーの安定性が
損なわれる虞がある。ガスバリア性樹脂(A)の含有割
合は、好適には80〜99重量%であり、より好適には
85〜98重量%である。また、熱可塑性樹脂(B)の
含有割合は、好適には1〜20重量%であり、より好適
には2〜15重量%である。
【0082】本発明の第1の多層構造体を構成する樹脂
組成物(P)の酸素吸収速度は、0.01ml/m
day以上であることが必要であり、0.05ml/m
・day以上が好ましく、0.1ml/m・day
以上がより好ましい。酸素吸収速度が0.01ml/m
・day未満である場合、得られる多層構造体からな
る成形物の酸素バリア性および酸素掃去効果が不十分と
なる虞がある。また、本発明の第2の多層構造体を構成
する樹脂組成物(P)も、酸素吸収速度は上記の数値以
上であることが好ましい。酸素吸収速度は、樹脂組成物
のフィルムを一定容量の空気中に放置した場合に、単位
表面積当たり単位時間にそのフィルムが吸収した酸素の
体積である。具体的な測定方法については、後述の実施
例に示す。
【0083】樹脂組成物(P)は、本発明の効果を損な
わない程度に、上記ガスバリア性樹脂(A)および熱可
塑性樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂(F)を含有してい
てもよい。熱可塑性樹脂(F)としては、特に限定され
ず、例えば、次の化合物が挙げられる:ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レンまたはプロピレン共重合体(エチレンまたはプロピ
レンと次の単量体のうちの少なくとも1種との共重合
体:1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;
イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等
の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エス
テル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビ
ニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレ
ート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、
ビニルステアレート、ビニルアラキドネート等のカルボ
ン酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシラン等の
ビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその
塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等)、ポ
リ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテン等のポリ
オレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアク
リレート等。
【0084】熱可塑性樹脂(F)を選択するときには、
該熱可塑性樹脂(F)と、ガスバリア性樹脂(A)およ
び熱可塑性樹脂(B)との混和性を考慮することが好ま
しい。これらの樹脂の混和性により、得られる製品のガ
スバリア性、清浄性、酸素掃去剤としての有効性、機械
的特性、製品のテキスチャー等が影響を受けることがあ
る。
【0085】樹脂組成物(P)には、本発明の作用効果
が阻害されない範囲内で各種の添加剤を含有させてもよ
い。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑
剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、乾燥
剤、充填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤等
が挙げられる。上記のうち熱安定剤および光開始剤につ
いて、以下に説明する。
【0086】上記添加剤のうち、熱安定剤としては、ハ
イドロタルサイト化合物、高級脂肪族カルボン酸の金属
塩の1種または2種以上が用いられる。これらの化合物
は、樹脂組成物(P)の製造時において、ゲルやフィッ
シュアイの発生を防止することができ、長時間の運転安
定性をさらに改善することができる。特に、ガスバリア
性樹脂(A)がEVOHである場合に、その改善効果が
大きい。これらの化合物は、樹脂組成物全体の0.01
〜1重量%の割合で含有されるのが好適である。
【0087】高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは、炭素
数8〜22の高級脂肪酸の金属塩である。炭素数8〜2
2の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、
ミリスチン酸等が挙げられる。塩を構成する金属として
は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、バリウム、アルミニウム等が挙げられる。こ
のうちマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカ
リ土類金属が好適である。このような高級脂肪族カルボ
ン酸の金属塩の中でも、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸マグネシウムが好ましい。
【0088】上記添加剤のうち光開始剤は、本発明の多
層構造体等の中で、酸素掃去を開始または促進させるた
めに使用される。特に、樹脂組成物(P)が酸化防止剤
を含有する場合、光開始剤を同時に含有させることが好
ましい。樹脂組成物(P)層に光開始剤を含有する多層
構造体に所望の時期に光を照射することにより、熱可塑
性樹脂(B)と酸素との反応の開始が促進されて、樹脂
組成物(P)の酸素掃去の誘導期が減少または消失し、
その結果、樹脂組成物(P)の酸素掃去機能を速やかに
発現することが可能となる。ここで誘導期とは、樹脂組
成物(P)が充分に酸素の捕捉を開始するまでの時間で
ある。
【0089】上記光開始剤としては、次の化合物が挙げ
られるが、これらに限定されない:ベンゾフェノン、o
−メトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o−メト
キシアセトフェノン、アセナフテンキノン、メチルエチ
ルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フ
ェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノ
ン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノ
ン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、4−o−
モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼ
ン、4−アミノベンゾフェノン、4′−メトキシアセト
フェノン、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレ
ン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサント
ン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインド
ール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−
トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キ
サンテン−9−オン、7−H−ベンズ[de]アントラ
セン−7−オン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエー
テル、4,4′−ビス−(ジメチルアミノ)−ベンゾフ
ェノン、1′−アセトナフトン、2′−アセトナフト
ン、2,3−ブタンジオン、ベンズ[a]アントラセン
−7,12−ジオン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、
α,α−ジブトキシアセトフェノン等。これらの化合物
以外にも、例えばローズベンガル、メチレン青、テトラ
フェニルポルフィリン等の一重項酸素発生光増感剤、ポ
リ−(エチレン−一酸化炭素)およびオリゴ−[2−ヒ
ドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニ
ル)−フェニル]−プロパノン]等の重合体開始剤も光
開始剤として使用することができる。
【0090】使用される光開始剤の量は、使用する熱可
塑性樹脂(B)の種類、使用する光の波長および強度、
使用する酸化防止剤の性質および量、使用する光開始剤
の種類、さらには、本発明の樹脂組成物の使用時の形態
に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の樹脂組
成物からなる成形物が若干不透明なものである場合に
は、比較的多量の光開始剤が必要となる。一般的には、
光開始剤の使用量は樹脂組成物全体の0.01〜10重
量%の範囲であることが好適である。
【0091】使用される光としては、例えば約200〜
750ナノメートル(nm)の、好ましくは約200〜
400nmの波長を有する紫外線または可視光が有用で
ある。これらの光は比較的長い波長を有するため、コス
トおよび人体等への影響等の観点から好ましい。光の照
射量としては、本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑
性樹脂(B)1gあたり0.1ジュール(J)以上であ
ることが好ましく、通常は10〜100Jの範囲であ
る。上記の光以外にも、約0.2〜20メガラド(Mr
ad)の、好ましくは約1〜10Mradの放射線量を
有する電子線、イオン化放射線、例えばガンマ線、X線
およびコロナ放電等が使用可能である。光の照射は、好
ましくは酸素の存在下に行う。光の照射時間は、光開始
剤の量および種類、成形物の形状(厚さ等)、酸化防止
剤の量、ならびに光の波長および強度等に応じて、適宜
選択すればよい。
【0092】光の照射の時期としては、本発明の多層構
造体の酸素掃去機能が必要となる時点よりも前であれ
ば、特に限定されない。例えば、本発明の多層構造体を
包装材料として使用する場合、光の照射は包装の直前で
あっても包装中であっても、また包装後であってもよ
い。光を均一に照射するという観点から、多層構造体
を、例えば平坦なシート状として照射することが好まし
い。
【0093】本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物
(P)においては、熱可塑性樹脂(B)からなる粒子が
ガスバリア性樹脂(A)からなるマトリックス中に分散
していることが好ましい。このような樹脂組成物(P)
を1層として含む多層構造体は、透明性、ガスバリア性
が良好である。このとき、熱可塑性樹脂(B)からなる
粒子の平均粒径は10μm以下であることが好適であ
る。平均粒径が10μmを超える場合には、熱可塑性樹
脂(B)とガスバリア性樹脂(A)等でなるマトリック
スとの界面の面積が小さくなり、得られる多層構造体の
酸素ガスバリア性および酸素掃去機能が低下する場合が
ある。熱可塑性樹脂(B)粒子の平均粒径は5μm以下
がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。
【0094】上記樹脂組成物(P)の各成分を混合する
方法は特に限定されない。各成分を混合する際の順序も
特に限定されない。例えば、ガスバリア性樹脂(A)、
熱可塑性樹脂(B)および遷移金属塩(C)を混合する
場合、これらを同時に混合してもよいし、熱可塑性樹脂
(B)および遷移金属塩(C)を混合した後、ガスバリ
ア性樹脂(A)と混合してもよい。また、ガスバリア性
樹脂(A)および遷移金属塩(C)を混合した後、熱可
塑性樹脂(B)と混合してもよいし、ガスバリア性樹脂
(A)および熱可塑性樹脂(B)を混合した後、遷移金
属塩(C)と混合してもよい。また、ガスバリア性樹脂
(A)および熱可塑性樹脂(B)を混合して得た混合物
と、ガスバリア性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を
混合して得た混合物とを混合してもよい。
【0095】混合の具体的な方法としては、工程の簡便
さおよびコストの観点から溶融混練法が好ましい。この
とき、高い混練度を達成することのできる装置を使用
し、各成分を細かく均一に分散させることが、酸素吸収
性能、透明性を良好にすると共に、ゲル、ブツの発生や
混入を防止できる点で好ましい。
【0096】混練度の高い装置としては、連続式インテ
ンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方
向または異方向)、ミキシングロール、コニーダー等の
連続型混練機、高速ミキサー、バンバリーミキサー、イ
ンテンシブミキサー、加圧ニーダー等のバッチ型混練
機、(株)KCK製のKCK混練押出機等の石臼のよう
な摩砕機構を有する回転円板を使用した装置、一軸押出
機に混練部(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、リ
ボンブレンダー、ブラベンダーミキサー等の簡易型の混
練機等を挙げることができる。これらの中でも、連続型
混練機が好ましい。市販されている連続式インテンシブ
ミキサーとしては、Farrel社製FCM、(株)日
本製鋼所製CIM、(株)神戸製鋼所製KCM、LC
M、ACM等が挙げられる。これらの混練機の下に一軸
押出機を設置し、混練と押出ペレット化を同時に実施す
る装置を採用することが好ましい。また、ニーディング
ディスクまたは混練用ロータを有する二軸混練押出機と
しては、例えば(株)日本製鋼所製TEX、Werne
r&Pfleiderer社製ZSK、東芝機械(株)
製TEM、池貝鉄工(株)製PCM等が挙げられる。
【0097】これらの連続型混練機においては、ロータ
ー、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特にミキシ
ングチャンバとローターチップまたはディスクチップと
の隙間(チップクリアランス)は重要で、狭すぎても広
すぎても分散性の良好な混合物は得られない。チップク
リアランスとしては1〜5mmが最適である。
【0098】混練機のローターの回転数は、通常100
〜1200rpmであり、好ましくは150〜1000
rpmであり、より好ましくは200〜800rpmで
ある。また、混練機チャンバー内径(D)は通常30m
m以上であり、好ましくは50〜400mmである。さ
らに、混練機のチャンバー長さ(L)と内径(D)との
比L/Dは、4〜30が好適である。混練機は1機でも
よいし、また2機以上を連結して用いることもできる。
【0099】混練温度は、通常50〜300℃の範囲で
ある。熱可塑性樹脂(B)の酸化防止のためには、ホッ
パー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。
混練時間は、長い方が良い結果を得られるが、熱可塑性
樹脂(B)の酸化防止および生産効率の観点から、通常
10〜600秒であり、好ましくは15〜200秒であ
り、より好ましくは15〜150秒である。
【0100】本発明の多層構造体は、上記の樹脂組成物
(P)層の他に、樹脂(D)層を含有することを特徴と
する。ここで、該樹脂(D)は、熱可塑性樹脂(D1
a)と脱臭剤(D1b)とからなる脱臭性樹脂組成物
(D1)、ポリビニルアルコール系樹脂(D2)および
熱可塑性ポリエステル樹脂(以下PESと略することが
ある。D3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の
樹脂である。樹脂(D)層を有することにより、樹脂組
成物(P)層で発生し得る臭気が外部に漏れるのを防ぐ
ことができる。
【0101】上記樹脂(D)のうち、脱臭性樹脂組成物
(D1)に使用される熱可塑性樹脂(D1a)として
は、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系
樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が好ましく、これら
の中でも、ポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系
樹脂がより好ましい。熱可塑性樹脂(D1a)は、上記
の樹脂のうちの1種を単独で用いることもできるし、2
種以上を混合して用いることもできる。熱可塑性樹脂
(D1a)は、製造する多層構造体の用途に応じて適宜
選択することができる。
【0102】上記熱可塑性樹脂(D1a)のうち、ポリ
オレフィン系樹脂としては、高密度、低密度または超低
密度ポリエチレン、カルボン酸変性ポリオレフィン、ボ
ロン酸変性ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン−1等のα−オレフィンの単独重合体、エチレン、プ
ロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等から選択された
α−オレフィン同士の共重合体等が例示される。また、
α−オレフィンとジオレフィン、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル等のビニル化合物;アクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル;等とからな
る共重合体も含まれる。
【0103】スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(A
BS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(A
S)、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体等が挙げられる。
【0104】ポリエステル系樹脂としては特に限定され
ないが、熱可塑性ポリエステル(PES)が好ましい。
具体的には、芳香族ジカルボン酸またはそれらのアルキ
ルエステルと、ジオールとを主成分とする縮合重合体が
用いられる。特に本発明の目的を達成するには、エチレ
ンテレフタレート成分を主とするPESが好ましい。具
体的には、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位
との合計割合(モル%)が、PESを構成する全構造単
位に対して、70モル%以上であることが好ましく、9
0モル%以上がより好ましい。
【0105】テレフタル酸単位とエチレングリコール単
位の合計割合が70モル%未満であると、得られるPE
Sが非晶性となり、機械的強度が不足する上に、延伸し
て容器とした後に内容物を加熱充填(ホットフィル)す
ると、熱収縮が大きく使用に耐えない虞がある。また、
樹脂内に含有されるオリゴマーを低減するために固相重
合を行うと、樹脂の軟化による膠着が生じやすく、生産
が困難になる虞がある。
【0106】PESは、必要に応じてテレフタル酸単位
およびエチレングリコール単位以外の二官能化合物単位
の1種または2種以上を、上記の問題が発生しない範囲
において含有することができる。その割合(モル%)と
しては、PESを構成する全構造単位の合計モル数に対
して、30モル%以下であることが好ましく、20モル
%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好まし
い。このような二官能化合物単位としては、ジカルボン
酸単位、ジオール単位、ヒドロキシカルボン酸単位等が
挙げられ、脂肪族、脂環式、芳香族のいずれでもよい。
【0107】上記二官能化合物単位のうち、脂肪族の二
官能化合物単位としては、マロン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン
酸またはそれらのエステル形成性誘導体;10−ヒドロ
キシオクタデカン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、ヒドロキシ酪
酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸またはそれらのエ
ステル形成性誘導体;トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジエチ
レングリコール等の脂肪族ジオール;等から誘導される
構造単位が挙げられる。これらの中でも、ネオペンチル
グリコール単位は、共重合が容易である点、および得ら
れるPESの耐熱性が優れるという点から好ましい。
【0108】脂環式の二官能化合物単位としては、シク
ロヘキサンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、
トリシクロデカンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸
またはそれらのエステル形成性誘導体;ヒドロキシメチ
ルシクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシメチルノルボ
ルネンカルボン酸、ヒドロキシメチルトリシクロデカン
カルボン酸等の脂環式ヒドロキシカルボン酸またはそれ
らのエステル形成性誘導体;シクロヘキサンジメタノー
ル、ノルボルネンジメタノール、トリシクロデカンジメ
タノール等の脂環式ジオール;等から誘導される構造単
位が挙げられる。これらの中でも、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール単位および1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸単位は、共重合が容易である点、透明である
点、および得られる成形物の落下時の強度が一層優れる
という点から好ましい。
【0109】芳香族の二官能化合物単位としては、フタ
ル酸、イソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカル
ボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、スルホイソフ
タル酸ナトリウム、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸等のテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン
酸およびそれらのエステル形成性誘導体;ヒドロキシ安
息香酸、ヒドロキシトルイル酸、ヒドロキシナフトエ
酸、3−(ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、ヒドロ
キシフェニル酢酸、3−ヒドロキシ−3−フェニルプロ
ピオン酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸およびそれら
のエステル形成性誘導体;ビスフェノール系化合物、ヒ
ドロキノン系化合物等の芳香族ジオール;2,2−ビス
[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパ
ン、2−{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エト
キシ]フェニル}−2−[4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス{4−[2−
(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}プロ
パン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル]スルホン、{4−[2−ヒドロキシエトキシ)エト
キシ]フェニル}−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1−{4−
[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキ
シ]フェニル}−1−[4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−
[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニ
ル}シクロヘキサン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)−2,3,5,6−テトラブロモフェニ
ル]プロパン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、1−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−
[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼ
ン、1,4−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エ
トキシ]ベンゼン等の芳香環を有するジオール;等から
誘導される構造単位が挙げられる。
【0110】これらの中でも、イソフタル酸単位は、共
重合が容易である上に、得られたPESを用いた場合、
良好な成形物を得ることのできる製造条件が広く、成形
性に優れるため、不良品率が低いという利点を有する。
結晶化速度の抑制により、成形品の白化を防止できる点
からも好ましい
【0111】また、ナフタレンジカルボン酸単位は、共
重合が容易である上に、得られるPESのガラス転移温
度が上昇し、耐熱性が向上するという利点を有する。さ
らに、得られるPESに紫外線を吸収する能力が付与さ
れるので、内容物が紫外線による劣化を生じやすい場合
に特に有用である。例えば、ビールのように内容物が酸
化によっても、紫外線によっても劣化しやすいものであ
る場合に特に有用である。ナフタレンジカルボン酸単位
は、PESに含まれる全ジカルボン酸単位に対して0.
1〜15モル%の範囲で含有されることが好ましく、
1.0〜10モル%の範囲がより好ましい。ナフタレン
ジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン
酸がコストの観点から好ましい。
【0112】さらに、フタル酸単位および4,4’−ビ
フェニルジカルボン酸単位は、共重合が容易であり、ま
たモノマーコストが低いので好ましい。
【0113】そしてさらに、2,2−ビス[4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン単位、ビス
[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン
単位および1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベ
ンゼン単位は、共重合が容易であり、また得られるPE
Sが溶融安定性に優れ、成形品の色調および耐衝撃性が
良好となるので好ましい。
【0114】PESは、必要に応じて三官能以上の多官
能化合物単位の1種または2種以上を、上記の問題が発
生しない範囲において含有することができる。その割合
(モル%)としては、PESを構成する全構造単位に対
して、0.5モル%以下であることが好ましい。このよ
うな多官能化合物単位としては、カルボキシル基、水酸
基またはそれらのエステル形成性基を合計3個以上有す
る多官能化合物から誘導される単位等が挙げられる。
【0115】上記多官能化合物単位としては、例えば、
トリメシン酸、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼン
トリカルボン酸、ピロメリット酸、1,4,5,8−ナ
フタレンテトラカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;
1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族
ポリカルボン酸;1,3,5−トリヒドロキシベンゼン
等の芳香族ポリアルコール;トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール、グリセリン、1,3,5−シク
ロヘキサントリオール等の脂肪族または脂環式のポリア
ルコール;4−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキ
シイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,
4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息
香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、プロトカテク
酸、没食子酸、2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸等の
芳香族ヒドロキシカルボン酸;酒石酸、リンゴ酸等の脂
肪族ヒドロキシカルボン酸;等から誘導される構造単位
が挙げられる。これらの中でも、トリメリット酸、ピロ
メリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパンお
よびペンタエリスリトールから誘導される構造単位が、
ポリエステルの製造の容易性および製造コストの点から
好ましい。
【0116】さらに、PESは、モノカルボン酸、モノ
アルコールおよびそれらのエステル形成性誘導体等の単
官能化合物単位の1種または2種以上を含有することが
できる。単官能化合物単位は、PESにおいて封止化合
物単位として機能し、過度の架橋およびゲルの発生を防
止する。このような単官能化合物単位としては、モノカ
ルボン酸、モノアルコールおよびそれらのエステル形成
性誘導体等から誘導される単位等が挙げられる。
【0117】上記単官能化合物単位の割合(モル%)と
しては、PESを構成する全構造単位に対して、5モル
%以下とすることが好ましく、1モル%以下とすること
がより好ましい。単官能化合物単位の割合が5モル%を
超える場合、PESを重縮合により製造する際に、重縮
合の速度が遅くなって、PESの生産性が低下する場合
がある。
【0118】上記単官能化合物単位としては、例えば、
安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香
酸、p−メトキシ安息香酸、o−メチル安息香酸、m−
メチル安息香酸、p−メチル安息香酸、2,3−ジメチ
ル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,5−ジメ
チル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、3,4−ジ
メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、2,4,
6−トリメチル安息香酸、2,4,6−トリメトキシ安
息香酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、1−ナフ
トエ酸、2−ナフトエ酸、2−ビフェニルカルボン酸、
1−ナフタレン酢酸、2−ナフタレン酢酸等の芳香族モ
ノカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体;n−オ
クタン酸、n−ノナン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイ
ン酸等の脂肪族モノカルボン酸およびそのエステル形成
性誘導体;ベンジルアルコール、2,5−ジメチルベン
ジルアルコール、2−フェネチルアルコール、フェノー
ル、1−ナフトール、2−ナフトール等の芳香族モノア
ルコール;ペンタデシルアルコール、ステアリルアルコ
ール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、
ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリ
テトラメチレングリコールモノアルキルエーテル、オレ
イルアルコール、シクロドデカノール等の脂肪族または
脂環式のモノアルコール;等の単官能化合物から誘導さ
れる構造単位が挙げられる。これらの中でも、安息香酸
単位、2,4,6−トリメトキシ安息香酸単位、2−ナ
フトエ酸単位、ステアリン酸単位およびステアリルアル
コール単位が、PESの製造の容易性および製造コスト
の点から好ましい。
【0119】PESには、上記のような意図的に導入さ
れる単位の他に、主成分の一つであるエチレングリコー
ルから副生するジエチレングリコール単位が少量含まれ
る。ジエチレングリコール単位の割合(モル%)は、P
ESを構成する全構造単位に対して、3モル%以下とす
ることが好ましく、2モル%以下とすることがより好ま
しい。ジエチレングリコール単位の割合が3モル%を超
える場合、PESのガラス転移曇度が低下して耐熱性が
低下する場合がある。また、成形物の強度が低下した
り、色調が不良となったりする場合がある。
【0120】上記熱可塑性樹脂(D1a)のうち、ポリ
アミド系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂としては、上
述のガスバリア性樹脂(A)として用いられるものと、
同様な樹脂が利用可能である。
【0121】熱可塑性樹脂(D1a)は接着性樹脂であ
ってもよい。接着性樹脂としては特に限定されないが、
カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましい。カルボン酸
変性ポリオレフィンとは、オレフィン、特にα−オレフ
ィンと不飽和カルボン酸またはその無水物とからなる共
重合体のことを言い、分子中にカルボキシル基を有する
ポリオレフィン、およびポリオレフィン中に含有される
カルボキシル基の全部または一部が金属塩の形で存在し
ているものが含まれる。カルボン酸変性ポリオレフィン
のベースとなるポリオレフィンとしては、ポリエチレン
(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポ
リエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)
等)、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル
酸エステル共重合体等の各種ポリオレフィンが挙げられ
る。
【0122】不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マ
レイン酸モノエチル、イタコン酸等が例示され、特にア
クリル酸およびメタクリル酸が好ましい。接着性樹脂の
不飽和カルボン酸の含有量は、好ましくは0.5〜20
モル%、より好ましくは2〜15モル%、さらに好まし
くは3〜12モル%である。不飽和カルボン酸無水物と
しては無水イタコン酸、無水マレイン酸等が例示され、
特に無水マレイン酸が好適である。接着剤樹脂の不飽和
カルボン酸無水物の含有量としては、好ましくは0.0
001〜5モル%、より好ましくは0.0005〜3モ
ル%、更に好ましくは0.001〜1モル%である。こ
れらの不飽和カルボン酸またはその無水物の中でも、樹
脂組成物(P)層との層間接着性の観点から、無水マレ
イン酸を用いることが好ましい。すなわち、カルボン酸
変性ポリオレフィンとして、α−オレフィンおよび無水
マレイン酸の共重合体を用いることが特に好ましい。
【0123】上記カルボン酸変性ポリオレフィンに含有
されてもよい他の単量体単位としては、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アク
リル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸イソブチル、マレイン酸ジエチル等の不飽和カルボン
酸エステル;一酸化炭素等が例示される。
【0124】上記カルボン酸変性ポリオレフィンに含有
されてもよいカルボン酸塩基における金属イオンとして
は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属;
亜鉛等の遷移金属;が例示される。カルボン酸変性ポリ
オレフィンの金属イオンによる中和度は、好適には10
0%未満、より好適には90%以下、さらに好適には7
0%以下である。また、好適には5%以上、より好適に
は10%以上、さらに好適には30%以上である。
【0125】上記カルボン酸変性ポリオレフィンのメル
トフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重
下)は好適には0.01g/10分以上、より好適には
0.05g/分以上、さらに好適には0.1g/10分
以上である。また、好適には50g/10分以下、より
好適には30g/10分以下、さらに好適には10g/
10分以下である。カルボン酸変性ポリオレフィンは、
1種のみを用いることもできるし、2種以上を混合して
用いることもできる。
【0126】脱臭性樹脂組成物(D1)に使用される脱
臭剤(D1b)とは、臭気成分を物理吸着または物理吸
着および化学吸着により脱臭する多孔性活性物質、臭気
成分を酸化還元反応によって分解する触媒物質等を意味
し、樹脂組成物(P)層において、酸素掃去に伴い発生
する低分子の副生物による臭気を低減させるために使用
される
【0127】脱臭剤(D1b)の種類としては特に制限
はないが、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化
合物、鉄(II)化合物、亜鉛化合物およびケイ素化合
物を含む組成物、亜鉛化合物およびアルミニウム化合物
を含む組成物、有機酸類、鉄(II)化合物−有機酸組
成物等が挙げられる。これらは単独で用いることもでき
るし、複数種の混合物または複塩であってもよい。
【0128】上記の脱臭剤(D1b)のうち、亜鉛化合
物としては、ケイ酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜
鉛、リン酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、シュ
ウ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、フマル酸亜鉛、ギ酸亜鉛等が
挙げられる。
【0129】アルミニウム化合物としては、硫酸アルミ
ニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫
酸アルミニウムカリウム等が挙げられる。
【0130】ケイ素化合物としては、二酸化ケイ素、オ
ルソリン酸ケイ素、ピロリン酸ケイ素−I型、ピロリン
酸ケイ素−II型等のリン酸ケイ素化合物、活性シリカ
ゲル等が挙げられる。
【0131】鉄(II)化合物としては、2価の鉄イオ
ンを形成するものであれば特に制限はなく、例えば、硫
酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、臭化
鉄(II)、ヨウ化鉄(II)等の無機塩、没食子酸鉄
(II)、リンゴ酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)等
の有機塩が挙げられる。これらの中でも、硫酸鉄(I
I)、塩化鉄(II)が好ましい。
【0132】亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む組成物
(混合物または複塩)も好適に用いられる。この組成物
の具体的な例としては、酸化亜鉛と二酸化ケイ素の比率
が重量比で1:5〜5:1の範囲であり、大部分がアモ
ルファスな構造を有している、ケイ酸亜鉛の実質的に不
定形な微粒子が好ましい。酸化亜鉛と二酸化ケイ素の比
率は、好ましくは1:4〜4:1の範囲、より好ましく
は1:3〜3:1の範囲である。
【0133】亜鉛化合物とアルミニウム化合物との組成
物もまた好適に用いられる。この組成物の具体的な例と
しては、酸化亜鉛および/または炭酸亜鉛と、硫酸アル
ミニウムおよび/または硫酸アルミニウムカリウムとの
混合物が好ましく、亜鉛化合物100重量部に対してア
ルミニウム化合物1〜1000重量部、好ましくは30
〜300重量部の割合で混合される。
【0134】有機酸類としては、炭素数8以上の有機
酸、例えば脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ポリカルボン
酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸が好
ましく、特に芳香族ポリカルボン酸が好ましい。芳香族
ポリカルボン酸の例としてはフタル酸、テレフタル酸、
イソフタル酸、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼン
トリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン
酸、ピロメリット酸、ベンゼンへキサカルボン酸、ナフ
タレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフ
タレンテトラカルボン酸、ジフェニルテトラカルボン
酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、アゾベンゼ
ンテトラカルボン酸、その無水物等が挙げられる。これ
らの中でも、ベンゼントリカルボン酸、とりわけトリメ
リット酸が好ましい。
【0135】鉄(II)化合物−有機酸組成物に用いら
れる鉄(II)化合物としては、前記したような水に溶
解して2価の鉄イオンを形成する化合物が使用できる。
また、有機酸としては水に可溶なものであれば特に制限
はなく、例えばアスコルビン酸(D体およびL体)、イ
ソアスコルビン酸、その金属塩等のアスコルビン酸類、
クエン酸、イソクエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の
カルボン酸類が挙げられる。これらの中でも、L−アス
コルビン酸が好ましい。このとき、2種以上の鉄(I
I)化合物および/または2種以上の有機酸を混合して
用いても差し支えない。
【0136】鉄(II)化合物−有機酸組成物は、両者
が結合していることが好ましい。このような組成物は、
例えば、両成分を混合、溶解した水溶液を噴霧乾燥、凍
結乾燥等により乾燥し、粉末とすることにより調製する
ことができる。鉄(II)化合物と有機酸との比率は重
量比で1:0.01〜1:1の範囲が好ましく、1:
0.02〜1:0.8がより好ましい。有機酸成分がア
スコルビン酸類の場合は、鉄(II)化合物と有機酸と
の比率は重量比で1:0.02〜1:0.3の範囲が好
ましく、1:0.02〜1:0.13がより好ましく、
1:0.05〜1:0.13がさらに好ましい。また、
鉄(II)化合物−有機酸組成物には脱臭機能の安定化
剤としてミョウバンを、鉄(II)化合物と有機酸との
合計量に対して2〜20重量%添加することが好まし
い。ミョウバンとしては特に制限はないが、カリミョウ
バン、アンモニアミョウバン、ナトリウムミョウバンが
好適である。
【0137】他の脱臭剤(D1b)として、亜鉛化合物
とポリカルボン酸とからなる金属化合物を安定化させた
組成物、鉄(II)−フタロシアニン誘導体等の生体酵
素モデル化合物、キリ、ヒイラギ、モクセイ、ツワブ
キ、フキ、ライラック、シナレンギヨウ、クリ、ハンノ
キ等の植物の樹木液または抽出成分、ゼオライト等のア
ルミノ珪酸塩、セピオライト、シロタイル、バリゴルス
カイト、ラフリナイト等の含水珪酸マグネシウム質粘土
鉱物、活性フミン酸、活性アルミナ、活性炭等が使用さ
れる。また、多孔性マイクロカプセルパウダー等の多孔
質吸着剤も使用可能である。
【0138】以上説明した脱臭剤(D1b)の中でも、
樹脂(D)の透明性の観点からは、多孔性マイクロカプ
セルパウダー等の多孔質吸着剤が特に好ましい。
【0139】本発明に用いられる脱臭剤(D1b)の粒
子径は、好適には0.5〜10μmであり、より好適に
は1〜8μmであり、さらに好適には1〜5μmであ
り、最適には1〜4μmである。脱臭剤(D1b)の粒
子径が10μmを超える場合、臭気バリア性および透明
性が不充分となる場合がある。かかる粒子径の小さい脱
臭剤を製造する方法は特に限定されないが、例えば、一
般に市販されている脱臭剤を粉砕処理する方法が好適な
ものとして挙げられる。また、脱臭剤(D1b)が多孔
性マイクロカプセルパウダー等の多孔質吸着剤の場合
は、ゾル−ゲル法により前記吸着剤を作製することによ
り、上記に示す粒径を有する脱臭剤(D1b)を得るこ
とができる。
【0140】脱臭性樹脂組成物(D1)は、好適には熱
可塑性樹脂(D1a)50〜99.9重量%および前記
脱臭剤(D1b)0.1〜50重量%を含有する。より
好適には、熱可塑性樹脂(D1a)70〜99.8重量
%および前記脱臭剤(D1b)0.2〜30重量%を含
有する。さらに好適には、熱可塑性樹脂(D1a)90
〜99.5重量%および前記脱臭剤(D1b)0.5〜
10重量%を含有する。
【0141】脱臭性樹脂組成物(D1)の製造方法は特
に限定されない。例えば、上記の樹脂組成物(P)の製
造方法および装置を脱臭性樹脂組成物(D1)の製造に
際しても採用することができる。
【0142】上記樹脂(D)のうち、ポリビニルアルコ
ール系樹脂(D2)および熱可塑性ポリエステル樹脂
(D3)としては特に制限はないが、臭気バリア性の観
点から、酸素透過速度が100ml・20μm/m2
day・atm(20℃、65%RH)以下であること
が好ましく、80ml・20μm/m2・day・at
m以下がより好ましく、10ml・20μm/m2・d
ay・atm以下がさらにより好ましい。
【0143】ポリビニルアルコール系樹脂(D2)とし
ては、上述のガスバリア性樹脂(A)として用いられる
ものと、同様な樹脂が利用可能である。またPES(D
3)としては、上述の熱可塑性樹脂(D1a)として用
いられるものと同様な樹脂が利用可能である。
【0144】本発明においては、本発明の目的を阻害し
ない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着
色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィ
ン等)を上記樹脂(D)にブレンドすることもできる。
【0145】本発明の多層構造体は、前述のとおり、上
記樹脂組成物(P)層と上記樹脂(D)層とからなる。
樹脂組成物(P)層および樹脂(D)層は、それぞれ多
層構造体に1層含有されていてもよいし、2層以上含有
されていてもよい。また、本発明の多層構造体は、機械
的特性、水蒸気バリア性等の特性を付与するという観点
から、樹脂組成物(P)および樹脂(D)層に加え、他
の層と積層して多層構造体として用いることが好まし
い。
【0146】本発明の多層構造体の好適な実施態様とし
ては、樹脂組成物(P)層をP、樹脂(D)層をD、こ
れら以外の層をGとした場合、P/D、D/P/D、P
/D/G、G/D/P/D/G等の層構成が例示され
る。また、接着性樹脂層をAdとした場合、P/Ad/
D、D/Ad/P/Ad/D、P/Ad/D/G等の層
構成も好適である。なお、G層としては特に限定されな
いが、熱可塑性樹脂、金属、紙、織布または不織布等が
好適なものとして例示される。また、接着性樹脂として
は、上述の接着性樹脂と同様なものを用いることができ
る。
【0147】多層構造体の各層の厚み構成は、特に限定
されるものではないが、成形性およびコスト等の観点か
ら、全層厚みに対する樹脂組成物(P)層の厚み比は2
〜20%が好適である。
【0148】複数のG層を設ける場合は、その種類は同
じであっても異なっていてもよい。また、成形時に発生
するトリム等のスクラップからなる回収樹脂を用いた層
を別途設けてもよいし、回収樹脂を他の樹脂からなる層
にブレンドしてもよい。
【0149】上記のG層に使用される樹脂としては、加
工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可
塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げられるが、特にこれ
らに限定されない:ポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレ
ン共重合体(エチレンまたはプロピレンと次の単量体の
少なくとも1種との共重合体:1−ブテン、イソブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、そ
の塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そ
のアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエ
ート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビ
ニルアラキドネート等のカルボン酸ビニルエステル類;
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;
不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;
ビニルピロリドン類等)、ポリ4−メチル−1−ペンテ
ン、ポリ1−ブテン等のポリオレフィン;ポリε−カプ
ロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリメタ
キシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニリ
デン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニ
トリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等。かか
る熱可塑性樹脂層は無延伸のものであってもよいし、一
軸もしくは二軸に延伸または圧延されているものであっ
ても構わない。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレ
フィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性
等の点で好ましい。
【0150】また、G層に使用される金属としては、例
えば、缶容器等に一般的に使用されているスチールやア
ルミ等が挙げられる。
【0151】本発明の多層構造体を得る方法としては、
押出ラミネート法、ドライラミネート法、溶剤流延法、
共射出成形法、共押出成形法等が例示されるが、特に限
定されるものではない。共押出成形法としては、共押出
ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレー
ション成形法、共押出ブロー成形法等を挙げることがで
きる。
【0152】このようにして得られた多層構造体のシー
ト、フィルム、パリソン等を、含有される樹脂の融点以
下の温度で再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延
伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸
法、ブロー成形法等により一軸または二軸延伸して、延
伸された成形物を得ることもできる。
【0153】本発明の多層構造体は適切な樹脂を選択す
ることにより透明性が良好となる。したがって、積層す
る他の樹脂として透明性が良好な樹脂を選択することに
より、内容物を視認しやすい包装容器を得られる。かか
る観点から、本発明の多層構造体のヘイズ値は、10%
以下であることが好ましく、5%以下がより好ましく、
3%以下がさらに好ましい。
【0154】上記の多層構造体を用いた成形物は各種用
途に用いられる。とりわけ、本発明の多層構造体の効果
は、多層容器としたときに大きく発揮される。特に、樹
脂組成物(P)層よりも内層側に樹脂(D)層を有する
多層容器は、酸素掃去機能を発現する際に樹脂組成物
(P)層に含まれる熱可塑性樹脂(B)の分解により発
生する臭気が、該多層容器の内容物に移行しにくいとい
う点から好適である。一方、樹脂組成物(P)層が最内
層に配置された多層容器は、該多層容器内の酸素掃去が
速やかに進行するという点から好適である。
【0155】上記の多層容器の中でも、本発明の多層構
造体を使用することの有用性が大きい態様として、以下
の2種の実施態様が挙げられる。すなわち、一つは本発
明の多層構造体からなり、全層厚みが300μm以下で
ある多層フィルムからなる容器であり、他の一つは本発
明の多層構造体からなり、押出ブロー成形法によって得
られる多層容器である。以下、それらの実施態様につい
て順次説明する。
【0156】本発明の多層構造体からなり、全層厚みが
300μm以下である多層フィルムからなる容器は、全
体層厚みが比較的薄い多層構造体からなるフレキシブル
な容器であり、通常パウチ等の形態に加工されている。
この容器はガスバリア性に優れ、かつ製造が簡便である
ので、酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品の包装に
極めて有用である。
【0157】一般に良好な透明性が要求される容器とし
ては、多層構造体を構成する各樹脂層の厚みが薄く、全
体としての厚みの薄い容器が製造される。例えば、ポリ
オレフィン等の結晶性の樹脂を用いる場合に、厚みが大
きい場合には、結晶による散乱に由来して透明性が悪化
する場合が多いのに対し、厚みの薄い容器であれば、良
好な透明性が得られる。また一般に、無延伸で結晶化し
ている樹脂は透明性が不良であっても、延伸配向して結
晶化した樹脂は透明性が良好となる。かかる一軸または
二軸に延伸されたフィルムは通常厚みが薄く、この点か
らも厚みの薄い多層構造体が良好な透明性を与える場合
が多い。
【0158】本発明の多層構造体は、各層のそれぞれを
構成する樹脂等を適切に選択することにより、透明性が
良好となる。従って、透明性が要求されることの多い、
厚みの薄い多層フィルムからなる容器に使用することが
可能である。このような薄いフィルムにおいては経時的
に透明性が悪化してもその程度は小さい。このような多
層フィルムの厚みは、特に限定されないが、透明性およ
びフレキシブル性を維持するという観点から好適には3
00μm以下であり、より好適には250μm以下であ
り、さらに好適には200μm以下である。一方、容器
としての機械的特性を考慮すると、全層厚みは好適には
10μm以上であり、より好適には20μm以上であ
り、さらに好適には30μm以上である。
【0159】上記の多層容器を多層フィルムから製造す
る場合、該多層フィルムの製造方法に特に制限はなく、
例えば、本発明の多層構造体を構成する各層をドライラ
ミネート、共押出ラミネート等の方法で積層することに
よって多層フィルムを得ることができる。
【0160】ドライラミネートする場合には、無延伸フ
ィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フ
ィルム等が使用可能である。これらの中でも、樹脂
(D)層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルムを、または前記のG層として、二軸延伸ポリプ
ロピレンフィルム、、二軸延伸ポリε−カプロラクタム
フィルムを使用することが、機械的強度の観点から好ま
しく、防湿性も考慮すると、二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルムが特に好ましい。無延伸フィルムまたは一軸延伸
フィルムを使用する場合、積層した後に多層フィルムを
再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パン
タグラフ式延伸法、インフレーション延伸法等により一
軸または二軸延伸することによって、延伸された多層フ
ィルムを得ることもできる。
【0161】得られる多層容器を密封するために、多層
フィルムの製造段階において、少なくとも一方の最外層
表面にヒートシール可能な樹脂からなる層を設けること
も好ましい。かかる樹脂としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。
【0162】こうして得られた多層フィルムは、例えば
袋状に加工され、内容物を充填するための包装容器とす
ることができる。フレキシブルで簡便であり、かつ透明
性および酸素バリア性に優れるので、酸素の存在により
劣化しやすい内容物、特に食品等の包装に極めて有用で
ある。
【0163】本発明の多層構造体からなり、押出ブロー
成形法によって得られる多層容器は、ガスバリア性、酸
素掃去性に優れる。押出ブロー成形法としては、例えば
ダイレクトブロー成形法、延伸ブロー成形法等が挙げら
れ、用途に応じて適宜選択される。
【0164】ダイレクトブロー成形法においては、少な
くとも2台の押出機を有する多層押出機を用いて、各層
を形成する樹脂組成物(P)、樹脂(D)、および必要
に応じて層間接着性樹脂等を別々の押出機に供給して別
々に混練、溶融押出しを行い、各層を多層パリソン成形
用ダイの内部またはダイより吐出直後の外部で密着合流
させるように押出して管状の多層パリソンを得、次いで
このパリソンを溶融状態でブロー成形して多層容器を得
る。この方法により得られる多層容器においては、各層
を構成する樹脂の分子の配向度が低いため、該多層容器
の機械的強度が非常に高いわけではないが、高温におけ
る寸法安定性に優れているので、高温殺菌を必要とする
用途に適している。このとき、内外層を形成する熱可塑
性樹脂としてはポリプロピレン系樹脂を用いることが好
ましい。
【0165】延伸ブロー成形法においては、押出成形法
によって多層パイプを成形し、これを適当な長さに切断
し、多層パイプの一端を密封し、他端にはキャップ等の
蓋を取付け可能な加工をして有底パリソンとし、これを
再加熱してブロー成形する。この方法により得られる多
層容器は、炭酸飲料容器のように耐圧、耐クリープ性が
必要な用途に適している。このとき、内外層を形成する
樹脂としては飽和ポリエステル系樹脂を用いることが好
ましい。
【0166】こうして得られた押出ブロー成形容器の容
器胴部の総厚みは、一般的には100〜2000μm、
好適には150〜1000μmであり、用途に応じて使
い分けられる。樹脂組成物(P)層の合計厚みは2〜2
00μmの範囲が好ましく、5〜100μmがより好ま
しい。
【0167】このようにして本発明の多層構造体からな
る多層容器が得られる。この容器は透明性が良好であ
り、かつガスバリア性および酸素掃去機能に優れる。従
って、酸素の存在により劣化しやすい内容物、例えば、
食品、医薬品等の容器として有用である。
【0168】さらに、本発明の多層構造体は、容器用パ
ッキング(ガスケット)として、特に容器のキャップ用
のガスケットとして使用するのにも適している。この場
合、キャップ本体の素材としては特に制限はなく、熱可
塑性樹脂、金属などの公知の材料を採用することができ
る。かかるガスケットを装着してなるキャップは、ガス
バリア性に優れ、かつ持続的な酸素掃去機能を有するの
で、酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品の包装に極
めて有用である。
【0169】
【実施例】以下に、本発明を実施例等によって具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。な
お、実施例等における分析は次のようにして行った。
【0170】(1)メルトフローレート:試料とする樹
脂または樹脂組成物のチップを、「メルトインデクサー
L244」(宝工業(株)製)の内径9.55mm、長
さ162mmのシリンダーに充填し、210℃で溶融し
た後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャ
ーを使用して均等に荷重をかけた。シリンダーの中央に
設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに
押出される樹脂量(g/10分)を測定し、これをメル
トフローレートとした。
【0171】(2)屈折率:試料とする樹脂のチップ
を、押出温度210℃にてフィルム押出成形に供して、
厚み20μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムの
屈折率を、アッベの屈折率計((株)アタゴ製4T型、
(株)東芝製SL−Na−1ランプ)を用いて測定し
た。
【0172】[ガスバリア性樹脂(A)]ガスバリア性
樹脂(A)として、EVOH(A−1)を使用した。E
VOH(A−1)のエチレン含有量は32モル%、ケン
化度は99.5%、メルトフローレート(210℃、2
160g荷重)は8.4g/10分であった。また、E
VOH(A−1)のリン酸根含有量は100ppm、ナ
トリウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩含有量
は、それぞれ金属換算で20ppm、60ppmおよび
20ppmであった。さらに、EVOH(A−1)の融
点は183℃、酸素透過速度は、0.4ml・20μm
/m・day・atm、屈折率は1.533であっ
た。なお、EVOH(A−1)の分析および評価は次の
ようにして行った。
【0173】(3)EVOHのエチレン含有量およびケ
ン化度:重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした
H−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製、JNM
−GX−500型を使用)により得られたスペクトルか
ら算出した。
【0174】(4)EVOHのリン酸根含有量:試料と
する乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶液50
mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶
液を、イオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、
リン酸根含有量をリン酸イオン(PO 3−)含有量と
して得た。クロマトグラフィーのカラムとしては(株)
横川電機製のCIS−A23を使用し、溶離液としては
2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナ
トリウムを含む水溶液を使用した。なお、定量に際して
はリン酸水溶液で作製した検量線を用いた。
【0175】(5)EVOHのナトリウム塩、カリウム
塩およびマグネシウム塩含有量:試料とする乾燥チップ
10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、
95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液を、イオンク
ロマトグラフィーを用いて定量分析し、ナトリウム塩、
カリウム塩およびマグネシウム塩含有量をそれぞれのカ
チオン含有量として金属換算の量で得た。クロマトグラ
フィーのカラムとして、(株)横河電機製のICS−C
25を使用し、溶離液として5.0mMの酒石酸と1.
0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液を
使用した。なお、定量に際してはそれぞれの金属の塩化
物の水溶液で作成した検量線を用いた。
【0176】(6)EVOHの酸素透過速度:EVOH
を210℃で押出成形して、厚さ20μmの無延伸フィ
ルムを得た。このフィルムを融点より20℃低い温度で
10分間熱処理した後、20℃−65%RHに温湿度調
節し、製膜後24時間経過した時点を0として、酸素透
過量測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRA
N−2/20A)を用いて酸素透過速度を測定した。
【0177】[熱可塑性樹脂(B)]熱可塑性樹脂とし
て、下記の方法で調製した熱可塑性樹脂(B−1)を使
用した。
【0178】乾燥した窒素で浄化された攪拌式オートク
レーブ中にシクロヘキサン600体積部、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)0.16体積部、開始剤としてn−ブチルリチウム
0.094体積部を投入した。温度を50℃に昇温し、
スチレンモノマーを4.25体積部フィードし1.5時
間重合させた。次に温度を30℃に下げ、イソプレンを
120体積部フィードし2.5時間重合させた。さらに
再び温度を50℃に昇温し、スチレンモノマーを4.2
5体積部フィードし1.5時間重合させた。
【0179】得られた反応液に、酸化防止剤として2−
tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−
ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニ
ルアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラキス
(3−ラウリルチオプロピオネート)を、それぞれスチ
レンおよびイソプレンの合計量100重量部に対して
0.15重量部ずつ加えた。反応液をメタノールに注い
で生成物を沈殿させ、これを分離・乾燥して、酸化防止
剤が添加された熱可塑性樹脂(B−1)を得た。
【0180】得られたスチレン−イソプレン−スチレン
トリブロック共重合体の数平均分子量は85000、共
重合体中のスチレンブロックの分子量はそれぞれ850
0、スチレン含有量は14モル%、イソプレンブロック
における構造式(I)で示される構造単位の割合は、5
5%であった。また、共重合体の炭素−炭素二重結合含
有量は0.014eq/gであり、メルトフローレート
(210℃、2160g荷重)は7.7g/10分であ
った。熱可塑性樹脂(B−1)中には、2−tert−
ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ
−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ
ート0.12重量%およびペンタエリスリトールテトラ
キス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.12重量
%が含まれていた。さらに、この熱可塑性樹脂(B−
1)のイソプレンブロックにおけるtanδの主分散ピ
ーク温度を測定したところ、−3℃であった。熱可塑性
樹脂(B−1)の屈折率は1.531であった。なお、
熱可塑性樹脂(B−1)の分析および評価は次のように
して行った。
【0181】(7)共重合体のスチレン含有量、イソプ
レンブロックにおける構造式(I)で示される構造単位
の割合、および炭素−炭素二重結合含有量:重クロロホ
ルムを溶媒としたH−NMR(核磁気共鳴)測定(日
本電子社製、JNM−GX−500型を使用)により得
られたスペクトルから算出した。ここで、スチレン含有
量とは、共重合体を構成する全単量体単位に対するスチ
レンの割合(モル%)であり、イソプレンブロックにお
ける構造式(I)で示される構造単位の割合とは、イソ
プレン由来の全構造単位(1,4−イソプレン単位、
3,4−イソプレン単位、1,2−イソプレン単位)に
対する、構造式(I)で示される構造単位(3,4−イ
ソプレン単位、1,2−イソプレン単位)の割合(%)
である。また、これらの結果から、炭素−炭素二重結合
含有量を樹脂1g中に含まれる二重結合のモル数(eq
/g)として算出した。
【0182】(8)共重合体のイソプレンブロックに由
来するtanδの主分散ピーク温度:熱可塑性樹脂を押
出成形し、厚み20μmの無延伸フィルムを得た。この
フィルムから5mm幅の試料を切り出し、RHEOLO
GY Co.,LTD製、DVE RHEOSPECT
OLER DVE−V4を使用して、周波数11Hz、
変位振幅10μm、チャック間距離20mm、測定温度
範囲−150℃〜150℃、昇温速度3℃/分の条件で
動的粘弾性測定を行い、得られたチャートからtanδ
の主分散ピーク温度を求めた。
【0183】(樹脂組成物(P−1)の製造)EVOH
(A−1)95重量部、熱可塑性樹脂(B−1)5重量
部およびステアリン酸コバルト(II)0.2121重
量部(コバルト原子として0.0200重量部)をドラ
イブレンドし、30mmφ二軸押出機((株)日本製鋼
所製、TEX−30SS−30CRW−2V)を用い、
210℃でスクリュー回転数300rpm、押出樹脂量
25kg/時間の条件で押出してペレット化した後、3
0℃で16時間減圧乾燥を行い樹脂組成物(P−1)ペ
レットを得た。この樹脂組成物のメルトフローレート
(210℃、2160g荷重)は9.5g/10分であ
った。樹脂組成物ペレットの破断面を電子顕微鏡で観察
したところ、熱可塑性樹脂(B−1)のおおむね1μm
前後の粒子が、EVOH(A−1)からなるマトリック
ス中に分散していた。
【0184】得られた樹脂組成物(P−1)ペレットを
用いて、押出温度210℃にて押出成形を行い、厚み2
0μmのフィルムを得た。このフィルム0.9m
(0.2m×4.5m;表面積1.8m)をフィル
ム製膜の5時間後にロール状に巻いて、20℃、65%
RHの空気を満たしておいた内部容量375mlの三角
フラスコに入れた。三角フラスコ中の空気は、体積比で
21:79の酸素および窒素を含有していた。三角フラ
スコの口を、エポキシ樹脂を用いて、アルミニウム層を
含む多層シートで封じてから、20℃で放置した。封入
4日後、7日後および14日後の内部の空気をシリンジ
でサンプリングし、この空気の酸素濃度をガスクロマト
グラフィーを用いて測定した。測定時に多層シートに空
いた細孔は、エポキシ樹脂を用いてその都度封じた。測
定によって得られた酸素と窒素の体積比から、酸素の減
少量(酸素吸収量)を計算したところ、図1に示す結果
を得た。4日後と14日後の測定結果から算出した、フ
ィルムの酸素吸収速度は1.894ml/m・day
であった。
【0185】(樹脂(D−1)の製造)熱可塑性樹脂
(D1a)として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE)樹脂(三井化学(株)製「ウルトゼックス202
2L」)97重量部、および脱臭剤(D1b)として、
粒子径3.0μmの多孔性マイクロカプセルパウダー
((株)マイクロン製、消臭カプセル「G2000
7」)3重量部をドライブレンドし、30mmφ二軸押
出機((株)日本製鋼所製、TEX−30SS−30C
RW−2V)を用い、210℃でスクリュー回転数30
0rpm、押出樹脂量25kg/時間の条件で押出して
ペレット化した後、30℃で16時間減圧乾燥を行い樹
脂(D−1)ペレットを得た。この樹脂組成物のメルト
フローレート(190℃−2160g荷重)は2.0g
/10分であった。なお、本発明における脱臭剤(D1
b)の粒子径は、以下のようにして測定した。
【0186】(9)脱臭剤(D1b)の粒子径の測定:
電子顕微鏡により1000倍に拡大した脱臭剤(D1
b)の写真を撮影し、その中から、無作為に20個の吸着
剤選び出し、定規により粒径を測定した。この操作を3
回繰り返し、計60個の測定結果から脱臭剤(D1b)
の平均粒子径を求めた。
【0187】(実施例1)樹脂組成物(P−1)を21
0℃にて押出成形し、厚み20μmのフィルムを得た。
樹脂(D−1)についても同様にして、厚み20μmの
フィルムを得た。樹脂組成物(P−1)のフィルムの両
面に樹脂(D−1)のフィルムを、ウレタン系接着剤
(東洋モートン製、AD335A)と硬化剤(東洋モー
トン製、Cat−10)のトルエン/メチルエチルケト
ン混合溶液(重量比1:1)を使用して積層し、層構成
がD−1/P−1/D−1の2種3層の多層フィルムを
得た。
【0188】上記の多層フィルム0.05m(0.1
m×0.5m;表面積0.1m)を、フィルム製膜の
5時間後にロール状に巻いて、20℃、65%RHの空
気を満たしておいた内部容量260mlのスクリュー管
ガラス瓶に入れた。ガラス瓶中の空気は、体積比で2
1:79の酸素および窒素を含有していた。ガラス瓶の
口を、アルミニウム層を含む多層シートを内蓋に用い
て、ポリエチレン製スクリューキャップで封じてから、
40℃で4時間放置した。放置後、スクリュー管ガラス
瓶のスクリューキャップを、瓶が冷却しないようできる
だけ速やかに開封し、フィルムの臭いを嗅いだところ、
臭気はほとんど感じられなかった。
【0189】これとは別に、樹脂組成物(P−1)を2
10℃にて押出成形し、厚み20μmのフィルムを得
た。樹脂(D−1)についても同様にして、厚み25μ
mのフィルムを得た。樹脂組成物(P−1)のフィルム
の両面に樹脂(D−1)のフィルムを、ウレタン系接着
剤(武田薬品工業(株)製、A−385)と硬化剤(三
井武田ケミカル(株)製、A−50)の酢酸エチル溶液
を使用して積層し、多層フィルムを得た。さらに、該多
層フィルムの両面に、厚さ60μmのポリエチレンフィ
ルム(PE,アイセロ化学株式会社製「スズロンS−2
01」)を、前記ウレタン系接着剤(A−385)と前
記硬化剤(A−50)の酢酸エチル溶液を使用して積層
し、層構成がPE/D−1/P−1/D−1/PEの3
種5層のヒートシール層を有する多層フィルムを得た。
【0190】上記の多層フィルムを窒素雰囲気下でヒー
トシールして15cm×20cmのパウチを作製した。
この際、パウチ内部に10cm×15cmの含水ろ紙お
よびPETフィルムからなる枠を入れることにより、パ
ウチ内部の相対湿度が100%RHかつ内部容量が約1
00cmになるようにした。パウチ容量を確認した
後、空気雰囲気下30℃−80%RHに温湿度調節して
パウチを30日間保管し、保管後のパウチ内部のガスの
酸素濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
侵入酸素量を酸素濃度の変化量、パウチ内部容量および
パウチ表面積から算出したところ、1.8ml/m
30daysであった。
【0191】また、上記の積層フィルムを空気中でヒー
トシールして15cm×20cmのパウチを作製した。
このときパウチ内部に100cmの蒸留水を入れた。
空気雰囲気下30℃−80%RHに温湿度調節してパウ
チを10日間保管した。保管後のパウチを開封して内部
蒸留水の味覚を5名のパネラーにより比較した。味覚
は、渋み、苦味、酸味、甘味およびその他に分類し、そ
れぞれの味覚を感じない場合は0点、どちらかといえば
感じる場合を1点、感じる場合を2点、強く感じる場合
を3点とし、これらの合計点をその試料の評価点とし
た。5名のパネラーの評価点の平均値を求め、0〜3点
をA、4〜6点をB、7〜9点をC、10〜12点を
D、13〜15点をEとして味覚強度を判定したとこ
ろ、味覚強度はBであった。
【0192】(実施例2)実施例1において、樹脂(D
−1)の代わりにEVOH(A−1)を使用した以外
は、実施例1と同様にして層構成がA−1/P−1/A
−1の2種3層の多層フィルムを得た。実施例1と同様
にして放置後のフィルムの臭いを嗅いだところ、臭気は
ほとんど感じられなかった。
【0193】これとは別に、樹脂(D−1)の代わりに
EVOH(A−1)を使用した以外は、実施例1と同様
にして、層構成がPE/A−1/P−1/A−1/PE
の3種5層のヒートシール層を有する多層フィルムを得
た。実施例1と同様にしてパウチを作製し、侵入酸素量
を測定したところ、0.1ml/m・30daysで
あった。さらに、実施例1と同様にして味覚強度を測定
したところ、味覚強度はAであった。
【0194】(実施例3)実施例1において、樹脂組成
物(D−1)のフィルムの代わりに二軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(o−PET、東レ(株)製
「ルミラーS#25」、酸素透過速度:87ml・20
μm/m・day・atm)を使用した以外は、実施
例1と同様にして層構成がo−PET/P−1/o−P
ETの2種3層の多層フィルムを得た。実施例1と同様
にして放置後のフィルムの臭いを嗅いだところ、臭気は
ほとんど感じられなかった。
【0195】これとは別に、樹脂組成物(D−1)のフ
ィルムの代わりに上記o−PETを使用した以外は、実
施例1と同様にして、層構成がPE/o−PET/P−
1/o−PET/PEの3種5層のヒートシール層を有
する多層フィルムを得た。実施例1と同様にしてパウチ
を作製し、侵入酸素量を測定したところ、1.1ml/
・30daysであった。さらに、実施例1と同様
にして味覚強度を測定したところ、味覚強度はBであっ
た。
【0196】(比較例1)EVOH(A−1)を210
℃にて押出成形し、厚み20μmのフィルムを得た。樹
脂組成物(P−1)と同様にして酸素吸収量を測定した
ところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収速
度は0.000ml/m/dayであった。直鎖状低
密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂(三井化学(株)
製「ウルトゼックス2022L」)についても同様にし
て、厚み20μmのフィルムを得た。実施例1と同様に
して、層構成がLLDPE/A−1/LLDPEの2種
3層の多層フィルムを得た。実施例1と同様にして放置
後のフィルムの臭いを嗅いだところ、臭気はほとんど感
じられなかった。
【0197】これとは別に、EVOH(A−1)を21
0℃にて押出成形し、厚み20μmのフィルムを得た。
LLDPEについても同様にして、厚み25μmのフィ
ルムを得た。実施例1と同様にして、層構成がPE/L
LDPE/A−1/LLDPE/PEの3種5層のヒー
トシール層を有する多層フィルムを得た。実施例1と同
様にしてパウチを作製し、侵入酸素量を測定したとこ
ろ、4.6ml/m・30daysであった。さら
に、実施例1と同様にして味覚強度を測定したところ、
味覚強度はAであった。
【0198】(比較例2)実施例1において、樹脂(D
−1)の代わりに直鎖状低密度ポリエチレン(LLDP
E)樹脂(三井化学(株)製「ウルトゼックス2022
L」)を使用した以外は、実施例1と同様にして層構成
がLLDPE/P−1/LLDPEの2種3層の多層フ
ィルムを得た。実施例1と同様にして放置後のフィルム
の臭いを嗅いだところ、明らかに臭気が感じられた。
【0199】これとは別に、樹脂組成物(D−1)の代
わりに直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂
(三井化学(株)製「ウルトゼックス2022L」)を
使用した以外は、実施例1と同様にして、層構成がPE
/LLDPE/P−1/LLDPE/PEの3種5層の
ヒートシール層を有する多層フィルムを得た。実施例1
と同様にしてパウチを作製し、侵入酸素量を測定したと
ころ、1.8ml/m・30daysであった。さら
に、実施例1と同様にして味覚強度を測定したところ、
味覚強度はCであった。
【0200】上記の結果を表2にまとめて示す。
【0201】
【表2】
【0202】実施例1〜3の多層フィルムは比較例1の
多層フィルムよりも容器への侵入酸素量が少なく、また
比較例2の多層フィルムよりも味覚強度が良い成績であ
った。従って、本発明の多層構造体は、容器内部へ侵入
する酸素の量が少なく、かつ内容物の味覚を損なわない
という特性を有することが分かった。
【0203】(実施例4)実施例1で作製した積層フィ
ルムを、外径65mm、底部厚み1.2mmのポリプロ
ピレン製スクリューキャップ本体に合うように、ガスケ
ットの形状に打ち抜き、このスクリューキャップ本体に
取り付けた。次いで圧縮成形用ガスケット成形機の金型
に得られたガスケット付きキャップを供給し、また、こ
の圧縮成形用ガスケット成形機にエチレン−1−ブテン
共重合体(シェルケミカル製「POLYBUTYLEN
E 8240」: 1−ブテン(99モル%以上)、エ
チレン(1モル%以下)共重合品、密度0.908g/
cm、MFR=2.0g/10分(210℃、216
0g荷重))を供給し、圧縮成形することにより多層ガ
スケット付きキャップを作製した。このとき圧縮成形機
のシリンダー温度は245℃、ノズル温度は235℃、
金型温度は30℃となるよう調節した。
【0204】次に、内容量500mlの円筒状のポリエ
ステル製ブローボトルに、水200mlを入れ、上記の
キャップを取り付け、指先で軽く締めた。ボトル胴部を
手で持ち上下に大きく20回振って、液漏れの状態を観
察したが、液漏れは全く見られなかった。
【0205】
【発明の効果】本発明によれば、酸素掃去機能を有し、
かつ優れたガスバリア性、保香性、およびフレーバーバ
リア性を有し、さらに臭気の発生の少ない多層構造体が
得られる。該多層構造体は任意の形状の成形品に調製さ
れ得る。これらから得られる成形品、例えば、フィルム
や容器は、ガスバリア性、酸素吸収性および低臭性に優
れ、さらに透明性が良好であるので、食品、医薬品等の
酸素による劣化を受けやすく、かつ風味の変化が起き易
い物品を保存するための容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 樹脂組成物(P−1)およびEVOH(A−
1)のフィルムの酸素吸収量を時間に対してプロットし
たグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 53/02 C08L 101/02 101/02 101/12 101/12 B65D 1/00 B Fターム(参考) 3E033 AA02 BA14 BA17 BB08 CA16 FA03 3E084 BA09 CC01 CC03 CC08 HA02 HC07 4F100 AH08A AH08K AK01A AK01B AK11A AK11J AK21B AK28A AK28J AK41B AK69A AK69B AK69K AL02A AL05A AL05B BA02 BA08 CA30B DE01A GB16 GB23 GB66 JA07A JB16A JB16K JD01A JD02 JD03A JD14A JK16B JL00 JN01 YY00A 4J002 BB22W BE03W BP01X EG046 GF00

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂組成物(P)層と樹脂(D)層とか
    らなる多層構造体であって、該樹脂組成物(P)が、酸
    素透過速度が500ml・20μm/m2・day・a
    tm(20℃、65%RH)以下のガスバリア性樹脂
    (A)および炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂
    (B)からなり、かつ該樹脂組成物(P)の酸素吸収速
    度が0.01ml/m2・day以上であり、該樹脂
    (D)が、熱可塑性樹脂(D1a)と脱臭剤(D1b)
    とからなる脱臭性樹脂組成物(D1)、ポリビニルアル
    コール系樹脂(D2)および熱可塑性ポリエステル樹脂
    (D3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂
    である、多層構造体。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物(P)が、さらに遷移金
    属塩(C)を含有する、請求項1に記載の多層構造体。
  3. 【請求項3】 樹脂組成物(P)層と樹脂(D)層とか
    らなる多層構造体であって、該樹脂組成物(P)が、酸
    素透過速度が500ml・20μm/m2・day・a
    tm(20℃、65%RH)以下のガスバリア性樹脂
    (A)、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂
    (B)および遷移金属塩(C)からなり、該樹脂(D)
    が、熱可塑性樹脂(D1a)と脱臭剤(D1b)とから
    なる脱臭性樹脂組成物(D1)、ポリビニルアルコール
    系樹脂(D2)および熱可塑性ポリエステル樹脂(D
    3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であ
    る、多層構造体。
  4. 【請求項4】 前記樹脂組成物(P)が、前記ガスバリ
    ア性樹脂(A)および前記熱可塑性樹脂(B)の合計重
    量を基準として、遷移金属塩(C)を金属元素換算で1
    〜5000ppmの割合で含有する、請求項2または3
    に記載の多層構造体。
  5. 【請求項5】 前記遷移金属塩(C)が鉄、ニッケル、
    銅、マンガンおよびコバルトからなる群より選ばれる少
    なくとも1種の遷移金属を有する、請求項2〜4のいず
    れかに記載の多層構造体。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂(B)が、炭素−炭素
    二重結合を0.0001eq/g以上の割合で含有す
    る、請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造体。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂(B)が、下記構造式
    (I) 【化1】 (式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜5のアル
    キル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキ
    ル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアル
    キル基またはアルコキシ基であり、RおよびRは各
    々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル
    基、置換されていてもよいアリール基、−COOR
    −OCOR、シアノ基、またはハロゲン原子であり、
    およびRは各々独立して炭素原子数1〜10のア
    ルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリール
    アルキル基またはアルコキシ基である)で示される単位
    を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造
    体。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂(B)の数平均分子量
    が1000〜500000である請求項1〜7のいずれ
    かに記載の多層構造体。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニル
    化合物単位およびジエン化合物単位を有する、請求項1
    〜8のいずれかに記載の多層構造体。
  10. 【請求項10】 前記ジエン化合物単位がイソプレン単
    位およびブタジエン単位からなる群より選ばれる少なく
    とも1種である、請求項9に記載の多層構造体。
  11. 【請求項11】 前記芳香族ビニル化合物単位がスチレ
    ン単位である、請求項9または10に記載の多層構造
    体。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性樹脂(B)がブロック共
    重合体である、請求項9〜11のいずれかに記載の多層
    構造体。
  13. 【請求項13】 前記ガスバリア性樹脂(A)が、エチ
    レン含有量5〜60モル%、ケン化度90%以上のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1〜1
    2のいずれかに記載の多層構造体。
  14. 【請求項14】 前記ガスバリア性樹脂(A)と前記熱
    可塑性樹脂(B)との屈折率の差が0.01以下であ
    る、請求項1〜13のいずれかに記載の多層構造体。
  15. 【請求項15】 前記樹脂組成物(P)において、前記
    熱可塑性樹脂(B)からなる粒子が、前記ガスバリア性
    樹脂(A)のマトリックス中に分散している、請求項1
    〜14のいずれかに記載の多層構造体。
  16. 【請求項16】 前記樹脂組成物(P)が、前記ガスバ
    リア性樹脂(A)を70〜99.9重量%および前記熱
    可塑性樹脂(B)を0.1〜30重量%の割合で含有す
    る、請求項1〜15のいずれかに記載の多層構造体。
  17. 【請求項17】 前記樹脂(D)が、前記熱可塑性樹脂
    (D1a)50〜99.9重量%および前記脱臭剤(D
    1b)0.1〜50重量%を含有してなる脱臭性樹脂組
    成物(D1)である、請求項1〜16のいずれかに記載
    の多層構造体。
  18. 【請求項18】 前記脱臭剤(D1b)の粒径が0.5
    〜10μmである、請求項17に記載の多層構造体。
  19. 【請求項19】 前記樹脂(D)が、酸素透過速度が1
    00ml・20μm/m2・day・atm(20℃、
    65%RH)以下の、ポリビニルアルコール系樹脂(D
    2)または熱可塑性ポリエステル樹脂(D3)である、
    請求項1〜16のいずれかに記載の多層構造体。
  20. 【請求項20】 請求項1から19のいずれかに記載の
    多層構造体からなる多層容器。
  21. 【請求項21】 請求項1から19のいずれかに記載の
    多層構造体からなるガスケットを装着してなるキャッ
    プ。
JP2001265942A 2000-09-01 2001-09-03 多層構造体 Pending JP2002144501A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001265942A JP2002144501A (ja) 2000-09-01 2001-09-03 多層構造体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000266177 2000-09-01
JP2000-266177 2000-09-01
JP2001265942A JP2002144501A (ja) 2000-09-01 2001-09-03 多層構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002144501A true JP2002144501A (ja) 2002-05-21

Family

ID=26599128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001265942A Pending JP2002144501A (ja) 2000-09-01 2001-09-03 多層構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002144501A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004025664A (ja) * 2002-06-26 2004-01-29 Toyo Seikan Kaisha Ltd 酸素バリヤー性多層構造体
WO2004018564A1 (ja) * 2002-08-23 2004-03-04 Toppan Printing Co., Ltd. 酸素吸収能を有する樹脂組成物、積層体、及び包装体
JP2011157406A (ja) * 2010-01-28 2011-08-18 Kuraray Co Ltd 酸素吸収性樹脂組成物からの臭気成分の発生を抑制する方法
JP2011246157A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Hosokawa Yoko Co Ltd プラスチックフィルムおよびこれを用いた成型容器

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07330042A (ja) * 1994-06-08 1995-12-19 Kishimoto Akira 酸素吸収性容器
JPH08502202A (ja) * 1992-10-01 1996-03-12 ダブリユ・アール・グレイス・アンド・カンパニー・コネテイカツト 低温において使用するための改良された酸素掃去組成物
JPH08502306A (ja) * 1992-10-01 1996-03-12 ダブリユ・アール・グレイス・アンド・カンパニー・コネテイカツト 改良された物理的性質を有する酸素を掃去する組成物、物品および方法
JPH08132573A (ja) * 1994-11-07 1996-05-28 Toppan Printing Co Ltd 酸素吸収積層体
JP2001106920A (ja) * 1999-03-03 2001-04-17 Kuraray Co Ltd ガスバリア性樹脂組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08502202A (ja) * 1992-10-01 1996-03-12 ダブリユ・アール・グレイス・アンド・カンパニー・コネテイカツト 低温において使用するための改良された酸素掃去組成物
JPH08502306A (ja) * 1992-10-01 1996-03-12 ダブリユ・アール・グレイス・アンド・カンパニー・コネテイカツト 改良された物理的性質を有する酸素を掃去する組成物、物品および方法
JPH07330042A (ja) * 1994-06-08 1995-12-19 Kishimoto Akira 酸素吸収性容器
JPH08132573A (ja) * 1994-11-07 1996-05-28 Toppan Printing Co Ltd 酸素吸収積層体
JP2001106920A (ja) * 1999-03-03 2001-04-17 Kuraray Co Ltd ガスバリア性樹脂組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004025664A (ja) * 2002-06-26 2004-01-29 Toyo Seikan Kaisha Ltd 酸素バリヤー性多層構造体
WO2004018564A1 (ja) * 2002-08-23 2004-03-04 Toppan Printing Co., Ltd. 酸素吸収能を有する樹脂組成物、積層体、及び包装体
JPWO2004018564A1 (ja) * 2002-08-23 2005-12-08 凸版印刷株式会社 酸素吸収能を有する樹脂組成物、積層体、及び包装体
JP4692279B2 (ja) * 2002-08-23 2011-06-01 凸版印刷株式会社 酸素吸収能を有する樹脂組成物、積層体、及び包装体
JP2011157406A (ja) * 2010-01-28 2011-08-18 Kuraray Co Ltd 酸素吸収性樹脂組成物からの臭気成分の発生を抑制する方法
JP2011246157A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Hosokawa Yoko Co Ltd プラスチックフィルムおよびこれを用いた成型容器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4503768B2 (ja) ガスバリア性樹脂組成物
CA2299934C (en) Oxygen absorptive resin composition
JP4646349B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
KR100490710B1 (ko) 산소 흡수성 수지 조성물
EP1314761B1 (en) Resin composition and multilayered container
JP5457030B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
KR100780567B1 (ko) 산소 흡수성 수지 조성물 및 이를 포함하는 성형품
JP2002146217A (ja) 樹脂組成物および多層容器
JP4889891B2 (ja) 樹脂組成物および多層容器
JP2009209324A (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
JP5143322B2 (ja) ガスバリア性に優れた樹脂組成物
JP3969524B2 (ja) プラスチック多層構造体
JP2008213840A (ja) 酸素吸収性包装材および包装体
JP5143321B2 (ja) ガスバリア性を有する樹脂組成物
JP5073137B2 (ja) エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物およびそれを用いた多層容器
JP2002144501A (ja) 多層構造体
JP5405021B2 (ja) 酸素吸収性組成物およびそれを用いた容器
JP4786826B2 (ja) 樹脂組成物
JP4823411B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
JP5087392B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物とそれを用いた成形品および積層体
JP4781507B2 (ja) 多層構造体
JP2003011288A (ja) 多層構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110906

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120918

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121211