JP2002144475A - プリント配線板用積層体 - Google Patents

プリント配線板用積層体

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JP2002144475A
JP2002144475A JP2000319812A JP2000319812A JP2002144475A JP 2002144475 A JP2002144475 A JP 2002144475A JP 2000319812 A JP2000319812 A JP 2000319812A JP 2000319812 A JP2000319812 A JP 2000319812A JP 2002144475 A JP2002144475 A JP 2002144475A
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Hideo Kasatani
秀雄 笠谷
Takashi Yamada
孝志 山田
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Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、接着性、耐久性および寸法精度が良
好でかつ軽量化、薄型化可能で、配線の高密度化や薄型
化が可能なプリント配線板を製造するための積層体およ
びそれを用いたビルドアップ多層プリント配線板の製造
方法を提供する。 【解決手段】 X線光電子分光法(XPS)で測定した
表面酸素原子含有量が15%以上であり、厚さが20μ
m以下である耐熱性フィルムの片面に、硬化後のガラス
転移温度が150℃以上のエポキシ樹脂組成物層が半硬
化状態で形成され、他の面にガラス転移温度が150℃
以上のエポキシ樹脂組成物を介して銅箔が接着されたビ
ルドアップ多層プリント配線板用積層体を作成し、それ
を用いてビルドアップ多層プリント配線板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性フィルム、
エポキシ樹脂組成物樹脂層および銅箔からなるプリント
配線板製造用の積層体、およびそれを用いたビルドアッ
プ多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器、特に携帯電話、モバイ
ルコンピューター等の携帯端末機器において、小型化、
薄型化、高密度化および高性能化が進んでおり、今後イ
ンターネット等各種のメディア、通信等を統合した情報
端末機器として、更なる高性能化が要求されている。一
方、これらの、電子機器において、メモリー、CPU等
の半導体素子の集積化が進み、性能は飛躍的に向上して
おり、これに伴って半導体素子を実装するため、半導体
パッケージおよびプリント配線板の高密度化が強く要求
されている。
【0003】従来の、半導体素子をリードフレームに実
装して樹脂封止した半導体パッケージをプリント配線板
に実装する方式に対し、半導体素子をプリント配線板上
に直接搭載するプラスチックパッケージや、各種のモジ
ュール基板、BGA(ボールグリッドアレイ)等の新し
い高密度表面実装型の半導体パッケージ方式が提案さ
れ、電子機器への採用が進んでいる。この半導体パッケ
ージ用のプリント配線板は、従来のものに比べて、配線
が高密度であり、特に半導体素子実装時の加熱下におけ
る寸法精度の向上、耐熱性の向上が要求されている。
【0004】すなわち、半導体パッケージ用のプリント
配線板では微細高密度化が求められており、最近では内
層回路基板上に絶縁層と導体層及び層間の接続を一層ご
とに形成、積み上げて製造するビルドアップ法による多
層プリント配線板の開発が盛んとなっている。ビルドア
ップ法により製造する多層プリント配線板は、従来の積
層方式の多層プリント配線板に比較して高い配線設計自
由度を有するものであるが、この特徴を活かして高性能
プリント配線板として用いられるために、層間絶縁層の
更なる薄手化、回路パターンの平坦性の向上が要求され
ている。
【0005】ビルドアップ多層プリント配線板の一つの
形式として、銅と熱硬化性樹脂を積層したいわゆる樹脂
付き銅箔を内層回路上に積層、加熱一体化したのちに、
銅箔をエッチングして回路パターンを形成したものが用
いられている。この形式のビルドアップ多層プリント配
線板は、比較的簡便なプロセスで製造することができ、
層間絶縁層の絶縁信頼性、回路パターンの接着性等に優
れたものである。この方法では、この方法で層間絶縁層
の厚みに関しては、内層回路の銅箔と外層の銅箔の間の
導通を防ぐために通常50μm以上の厚みを必要とし、
それ以下に薄手化した場合に絶縁信頼性に問題が生じる
可能性がある。また、内層回路の凹凸が積層後に残り、
外層回路の高密度化の支障になるケースもある。
【0006】これに対し、特開平7−336049号公
報、特開平9−11395号公報等に、耐熱性プラスチ
ックフィルムの片面に銅箔、他の面に接着剤層を形成し
てなる耐熱性プラスチックフィルム積層体を内層基板上
に積層一体化して多層プリント配線板を形成する方法が
提案されている。しかし、これらに開示された技術を用
いても、回路パターンの接着性、絶縁信頼性を損なうこ
となく、薄手化、寸法安定性の向上を達成するのは困難
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に鑑みてなされたものであり、耐熱性、接着性、絶縁信
頼性および寸法精度が良好で、かつ軽量化、薄型化、お
よび配線の高密度化が可能なビルドアッププリント配線
板製造用積層体ならびにビルドアップ多層プリント配線
板の製造方法を提供することを目的とする。本発明者ら
は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の厚み
および表面酸素原子濃度を有する耐熱性フィルムと特定
のガラス転移温度を有する耐熱性エポキシ樹脂組成物お
よび銅箔を複合化した積層体を用いることにより上記課
題を解決できることを見いだし本発明に至ったものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第一
は、 X線光電子分光法(XPS)で測定した表面酸素
原子含有量が15%以上であり、厚さが20μm以下で
ある耐熱性フィルムの片面に、硬化後のガラス転移温度
が150℃以上のエポキシ樹脂組成物層が半硬化状態で
形成され、他の面にガラス転移温度が150℃以上のエ
ポキシ樹脂組成物を介して銅箔が接着されていることを
特徴とする積層体である。
【0009】また、本発明の第二は、X線光電子分光法
(XPS)で測定した表面酸素原子含有量が15%以上
であり、厚さが20μm以下である耐熱性フィルムの片
面に、硬化後のガラス転移温度が150℃以上のエポキ
シ樹脂組成物層が半硬化状態で形成され、他の面にガラ
ス転移温度が150℃以上のエポキシ樹脂組成物を介し
て銅箔が接着された積層体を、内層回路基板の少なくと
も片面に張り合わせて加熱硬化し、ビアホール用の孔を
開孔した後、銅箔をエッチングして回路導体を形成する
工程を有することを特徴とするビルドアップ多層プリン
ト配線板の製造方法である。
【0010】本発明で用いられる耐熱性フィルムは、3
50℃未満の温度で溶融および分解しない耐熱性樹脂か
らなる。このような耐熱性樹脂材料としては、芳香族ポ
リアミド(以下アラミド樹脂)、芳香族ポリイミド(以
下ポリイミド樹脂)、PBI(ポリパラベンゾビスイミ
ダゾール)、PBO(ポリパラベンゾビスオキサゾー
ル)、PBZ(ポリパラベンゾビスチアゾール)等があ
るが、本発明では、アラミド樹脂が好ましい。
【0011】本発明に用いられるアラミド樹脂は、実質
的に次の構成単位からなる群から選択された単位により
構成される。 −NH−Ar1−NH− (1) −CO−Ar2−CO− (2) −NH−Ar3−CO− (3) ここでAr1、Ar2、Ar3は少なくとも1個の芳香環
を含み、同一でも異なっていてもよく、これらの代表例
としては下記に示すものが挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】また、これらの芳香環の環上の水素の一部
が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基
などで置換されているものも含む。また、Xは−O−、
−CH2−、−SO2−、−S−、−CO−などである。
特に、全ての芳香環の80モル%以上がパラ位にて結合
されているアラミド樹脂は、本発明に用いられる積層体
を製造する上で特に好ましい。また、本発明に用いられ
る耐熱性樹脂には、積層体の物性を損ねたり、本発明の
目的に反しない限り、易滑剤、染料や顔料などの着色
剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、その他の添加剤
などや改質剤、ならびに他のポリマーが含まれていても
よい。
【0014】本発明に用いられる耐熱性フィルムの製造
法については、特に限定されるものではなく、それぞれ
の樹脂に適した製造法が採られてよい。例えば、アラミ
ド樹脂については、有機溶剤可溶のものでは、直接溶剤
中で重合するか、一旦ポリマーを単離した後再溶解する
などして溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜
される。また、ポリパラフェニレンテレフタルアミド
(以下、PPTAと称する)等の有機溶剤に難溶のもの
については、濃硫酸などに溶解して溶液とし、次いで乾
湿式法または湿式法にて製膜される。
【0015】湿式法では、溶液はダイから直接凝固液中
に押し出されるか、乾式と同様に金属ドラムまたはエン
ドレスベルト上にキャストされた後、凝固液中に導か
れ、凝固される。ついでこれらのフィルムはフィルム中
の溶剤や無機塩などを洗浄され、延伸、乾燥、熱処理な
どの処理を受ける。本発明に用いられる耐熱性フィルム
はその両面の表面酸素原子含有量(XPSによって測
定)が15%以上であることが必要である。
【0016】ここで、表面酸素原子含有量は、耐熱性フ
ィルムに対する表面処理によって導入される酸性官能基
等の接着性改良成分の指標であり、プラズマ処理、コロ
ナ処理等によって増加させることができるが、接着力改
良の効果、接着力の耐久性等を考慮するとプラズマ処理
が好ましく用いられる。プラズマ処理の方法としては、
プラズマ放電電極間をフィルムが走行する連続プラズマ
処理装置が好ましく用いられ、処理圧力としては真空〜
大気圧近傍の圧力下で実施することができる。プラズマ
処理時に放電空間に供給する雰囲気ガスとしては、アル
ゴン、キセノン、ネオン、クリプトン等の不活性ガス
や、窒素、酸素、水素、炭化水素系ガス、ケトン類、ア
ルコール類やこれらの混合物を使用することができる また、シランカップリング剤による化学処理、サンドブ
ラスト等の物理的な粗化処理等の表面処理を併用するこ
とも可能である。
【0017】耐熱性フィルムの表面の表面酸素原子含有
量が15%未満では、耐熱性フィルムと耐熱性エポキシ
樹脂組成物との接着力が不十分であり、プリント配線板
として用いた場合に機械的ストレスによる配線の剥離や
長期間使用時の接着耐久性等に問題が生じる。このよう
な接着性、耐久性をさらに向上させるためには、この表
面酸素原子含有量が20%以上であることがより好まし
い。また、表面酸素原子含有量の上限は、通常80%以
下である。
【0018】本発明に用いる耐熱性フィルムの熱膨張率
は、0〜15ppm/℃であることが好ましい。この熱
膨張率が15ppm/℃を超える場合は、この耐熱性フ
ィルムを用いたプリント配線板に半導体素子を実装する
際の基板の熱膨張による寸法変化が大きくなって、実装
時の素子と基板との寸法変化が大きくなり、ボンディン
グ精度が悪くなること、また、ボンディング後の温度変
化による素子と基板の熱ストレスが大きく、クラックが
発生しやすくなる事等の問題が生じる可能性がある。配
線ピッチの更なる精細化に対応するためには、耐熱性フ
ィルムの熱膨張率として0〜7ppm/℃であることが
更に好ましい。
【0019】本発明に用いる耐熱性フィルムの熱収縮率
は、半導体素子実装後の寸法精度をよくするため、0.
2%以下が好ましく、0.1%以下が更に好ましい。本
発明に用いる耐熱性フィルムの強度は半導体素子実装時
の基板の破損等を防ぐため、25Kg/mm2以上が好
ましく、30Kg/mm2以上がより好ましい。本発明
に用いられる耐熱フィルムの弾性率は、実装などの工程
で加わる力による変形を防ぎ、積層体上に形成された回
路の破壊を防止する上で、600Kg/mm2以上、更
には800kg/mm2以上のものを用いることが好ま
しい。
【0020】これらの耐熱フィルムの特性は、長尺方
向、幅方向のいずれにおいても満足されるべきである。
配線基板の回路パターンによってはそれらが必ずしも同
じである必要はないが、好ましくはできる限り長尺方
向、幅方向の特性が近い、いわゆるバランスタイプが選
ばれるべきである。本発明に用いられるの耐熱性フィル
ム表面の高さ0.81μm以上の粗大突起数が、10個
/100cm2未満であることが好ましく、2個/10
0cm2未満であることが更に好ましい。
【0021】上記サイズの粗大突起は、特に、50μm
以下の配線密度の回路において、配線の欠陥となり、回
路導体の剥がれ等による異常の原因となるため、粗大突
起数が2個/100cm2未満であることが好ましい。
このような、高さ0.81μm以上の粗大突起が2個/
100cm2未満のフィルムは、フィルム形成溶液にフ
ィラーを添加、分散した後製膜に先立って、10μm以
上の凝集粒子を99%以上カットするフィルターを用い
て濾過することにより得ることができる。
【0022】本発明に用いられる耐熱性フィルムの厚み
は、3〜50μmであることが好ましい。本発明に用い
るエポキシ樹脂組成物は、主としてエポキシ樹脂、硬化
剤よりなるものである。このようなエポキシ樹脂として
は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキ
シ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、
ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、フェノー
ルサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、シク
ロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、
脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキ
シ樹脂、二官能フェノール類のグリシジルエーテル化
物、二官能アルコールのグリシジルエーテル化物、ポリ
フェノール類のグリシジルエーテル化物、ヒダントイン
型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の
多官能複素環式エポキシ樹脂、及びそれらの水素添加
物、ハロゲン化物などが挙げられ、これらの化合物を単
独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0023】また、その硬化剤としては、例えばアミド
系硬化剤(ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミンな
ど)、脂肪族アミン系硬化剤、(トリエチルアミン、ジ
エチルアミンなど)、芳香族アミン系硬化剤(ジアミノ
ジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタ
フェニレンジアミンなど)、フェノール系硬化剤(フェ
ノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂な
ど)、イミダゾール系硬化剤(2-エチル-4-メチルイミ
ダゾール、2-フェニルイミダゾール)、酸無水物系硬化
剤(メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)等の硬化剤等
が挙げられ、これらの化合物単独あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0024】本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物に
は、上記のエポキシ樹脂および硬化剤に加えて硬化触媒
並びに他の添加剤を添加しても良い。このような硬化触
媒としては、例えば、イミダゾール類(2-メチルイミダ
ゾール、2−エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル
イミダゾール、1―ベンジル―2―メチルイミダゾー
ル、1―ベンジル―2―エチルイミダゾール、1―シア
ノエチル―2―メチルイミダゾール、1―シアノエチル
―2―エチル―4―メチルイミダゾール、1―メチル―
2―エチルイミダゾールもしくは1―イソブチル―2―
メチルイミダゾール等など)、三級アミン類(1,8-ジア
ザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン、トリエチレンジアミ
ン、ベンジルジメチルアミンなど)、有機ホスフィン類
(トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンな
ど)、テトラフェニルボロン塩(テトラフェニルホスホ
ニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィ
ンテトラフェニルボレートなど)、4級アンモニウム塩
類(テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチ
ルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウ
ムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロラ
イド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベ
ンジルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルト
リブチルアンモニウムブロマイドもしくはフェニルトリ
メチルアンモニウムクロライド)、三フッ化ホウ素モノ
メチルアミン等が挙げられ、これらの化合物を単独ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。これ
らの硬化触媒の含有量は、エポキシ樹脂組成物の固形分
100重量部に対して1重量部以下であることが好まし
い。
【0025】また、添加剤としては、熱可塑性樹脂(ポ
リフェニレンオキサイド、ポリイミドなど)、ゴム類
(カルボキシル基末端ニトリルブタジエンゴム、コアシ
ェルラバーなど)、及びこれらの熱可塑性樹脂やゴム類
を変性したもの、難燃剤が挙げられ、これらの添加剤を
単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物の硬化後の
ガラス転移温度は150℃以上である必要がある。ここ
で、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度は、十分加熱
硬化した後のガラス転移温度を意味し、本発明の積層体
に用いられるエポキシ樹脂組成物としては、エポキシ樹
脂が未硬化または半硬化状態でガラス転移温度が150
℃未満であっても、その後の硬化処理によりガラス転移
温度が150℃以上になるものも含まれる。
【0026】エポキシ樹脂組成物の硬化後のガラス転移
温度を150℃以上とするためには、エポキシ樹脂、硬
化剤成分として多官能成分または剛直成分の比率を高く
することによりエポキシ樹脂硬化物の架橋密度を高くす
る、分子鎖の剛直性を高める等の手段をとる必要があ
る。このような耐熱性向上成分としては、例えばフェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂等
のエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の
多官能複素環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック、
クレゾールノボラック、テルペンフェノールノボラッ
ク、トリフェニルメタン型フェノール樹脂等の硬化剤を
用いることが有効である。通常、これらの耐熱性向上成
分と2官能性のエポキシ樹脂、硬化剤が組み合わせて用
いられ、その組成によってエポキシ樹脂硬化物のガラス
転移温度を調節することができる。
【0027】このガラス転移温度が150℃未満では、
プリント配線板に半導体素子を実装する際の加熱プロセ
スにおいて、熱変形が発生し、特に表面実装用高密度配
線板としての性能が不十分となる。エポキシ樹脂組成物
のガラス転移温度としては、現在、最高240℃程度の
ものが知られているが、本発明においては、180℃以
上のものが好ましい。本発明の積層体は、耐熱性フィル
ムの片面に、上記のエポキシ樹脂組成物層が半硬化状態
で形成され、他の面に上記のエポキシ樹脂組成物を介し
て銅箔が接着された積層体である。
【0028】ここで、両面に形成されるエポキシ樹脂組
成物はその組成が同じであっても、異なっていても良
く、一般的には両面同一のものが用いられるが、例えば
後述する回路埋め込み性を良くするために、エポキシ樹
脂樹脂組成物層のみを形成する側の樹脂の溶融粘度を低
くすることも好ましく行われる。本発明の積層体におい
て、エポキシ樹脂組成物層のみを形成する側のエポキシ
樹脂は半硬化状態である必要がある。ここで、半硬化と
は、エポキシ樹脂の反応性の官能基が一部未反応で残っ
ており、後に加熱することにより硬化を進めることがで
きる状態を意味する。さらにこのエポキシ樹脂組成物
は、170℃に昇温し、30秒後における溶融粘度が1
4〜106ポイズであることが好ましい。この値が10
4ポイズ未満では、この積層板を用いてビルドアップ多
層プリント配線基板を作成するときに、樹脂流れが大き
すぎて、配線の歪み、表面性の悪化等がおきる可能性が
ある。また、この値が106ポイズを超える場合、配線
間の樹脂埋め込み性が不十分で、ボイドが残って信頼性
が低下する可能性がある。170℃昇温し、30秒後に
おける溶融粘度を上記の範囲内とするには、エポキシ樹
脂種類、添加剤の選択および積層体を形成するまでの熱
履歴を制御することによって行う。
【0029】本発明の積層体の銅箔を貼り付ける側に用
いるエポキシ樹脂組成物層は、硬化状態であっても、半
硬化状態であってもよい。本発明において、片面にエポ
キシ樹脂組成物層を半硬化状態で形成し、他の面にエポ
キシ樹脂組成物を介して銅箔を接着する方法としては、
エポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解した溶液を耐熱性フ
ィルム上の両面に塗工し、硬化しない温度または半硬化
温度で乾燥した後、片面に銅箔をラミネートする方法、
エポキシ樹脂組成物の溶液を一旦転写フィルムに塗工
し、硬化しない温度または半硬化温度で乾燥していわゆ
るBステージ状態とし、これを加熱ラミネートして耐熱
性フィルムの両面に貼り付けた後、片面に銅箔をラミネ
ートする方法、エポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解した
溶液を耐熱性フィルム上の片面に塗工し、硬化しない温
度または半硬化温度で乾燥した後、銅箔をラミネート
し、必要により硬化処理を行った後、エポキシ樹脂組成
物を溶剤に溶解した溶液を耐熱性フィルムの他の面に塗
工し、硬化しない温度または半硬化温度で乾燥する方
法、エポキシ樹脂組成物の溶液を一旦転写フィルムに
塗工し、硬化しない温度または半硬化温度で乾燥してい
わゆるBステージ状態とし、これを加熱ラミネートして
耐熱性フィルムの片面に貼り付けた後、銅箔をラミネー
トし、必要により硬化処理を行った後他の面にBステー
ジのエポキシ樹脂組成物をラミネートする方法等を用い
ることができる。
【0030】ここで使用される溶剤としては、エチルア
ルコールもしくはプロピルアルコールなどのアルコール
類、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素
類、アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソ
ブチルケトンなどのケトン類、またはエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテルもしくはプロピレングリコールモノメチルエー
テルプロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエ
ーテル類、アセトニトリル等のニトリル類などがあげら
れる。半硬化エポキシ樹脂層の表面は、保護のため通常
離型フィルムが貼り付けられる。離型フィルムとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等
が用いられる。本発明の積層体における銅箔の厚みは、
1〜50μmの範囲が通常用いられるが、配線の高密度
化のため、2〜20μmが好ましく、2〜12μmが更
に好ましい。
【0031】本発明の積層体におけるエポキシ樹脂組成
物層の厚みは好ましくは2〜50μmであり、基板の薄
手化、配線高密度化に対応する電気特性の向上のため
に、2〜10μmがさらに好ましい。また、両面のエポ
キシ樹脂組成物層の厚みは同一にしてもよいが、回路埋
め込み性、接着力等をビルドアップ多層配線板の設計に
よって最適化するため、表裏を異なる厚さとしても良
い。例えば、全体の厚みを薄くし、かつ内層回路側の埋
め込み性を良くするため、銅箔を接着している面の厚み
を他の面に比較して薄くすることもできる。
【0032】このように両面のエポキシ樹脂組成物層の
表裏を異なる厚さとする場合、銅箔を接着している面の
厚みを、2〜20μmとし、他の面の厚みを8〜50μ
mとするのが好ましい。本発明の積層体の耐熱性フィル
ムと銅箔との間の接着強さは、硬化後において1.0K
g/cm以上であることが好ましい。それよりも小さい
と配線板の曲げによるせん断力による剥離や、半導体素
子実装時の応力による剥離等が発生することがある。
【0033】耐熱性フィルムと銅箔との接着強さとして
は、1.5Kg/cm以上がさらに好ましい。本発明の
第二は、ビルドアップ多層プリント配線板の製造方法で
あり、内層回路基板上に本発明の積層体を一層毎に接着
し、ビアホール用に開孔した後、銅箔をエッチングして
パターンを形成することを特徴とするものである。本発
明において、予め作成した内層回路基板上に、耐熱性フ
ィルムおよびエポキシ樹脂組成物よりなる積層体を貼り
付け、加熱圧着する。
【0034】本発明に用いられる内層回路基板の材料と
しては、例えば基材としてガラス繊維、芳香族ポリアミ
ド繊維、樹脂成分として、ポリイミド樹脂、ポリフェニ
レンエーテル樹脂、エポキシ樹脂を用いた複合材料等に
銅箔を張り合わせ、エッチングにより回路パターンを形
成したものが通常用いられ、本発明で用いられる耐熱性
フィルムと樹脂及び銅回路パターンから形成される内層
回路基板を用いることもできる。
【0035】内層回路の銅箔厚みは、通常2〜40μm
の範囲であるが、埋め込み性を良くするため、薄い方が
好ましく、2〜12μmが好ましい。内層回路基板とし
ては、基板両面に回路が形成された両面配線板またはこ
れを複数張り合わせた多層配線板を用いることができ
る。また、内層回路の表面は密着性を改良するため、銅
−ニッケル−リンからなる針状合金を形成する無電解メ
ッキ、酸化(黒化)処理、酸化(黒化)−還元処理等に
よって粗化されていても良い。
【0036】加熱圧着の方法としては、ロールラミネー
タにより仮接着し、熱プレスによって加熱硬化する方法
が通常用いられ、これらを真空状態で行うことも好まし
く用いられる。加熱硬化の条件は、エポキシ樹脂組成物
の特性によって決定されるが、通常、温度:150℃〜
200℃、時間:30分〜8時間の範囲で行われる。内
層基板には、スルーホールが形成され、このスルーホー
ルを介して配線層間を電気的に接続することができる。
また、内層基板の配線パターンの間や、スルーホール内
部にはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を充填し、表面
を平滑化することができる。
【0037】内層回路基板上に、耐熱性フィルムおよび
エポキシ樹脂組成物よりなる積層体を層間絶縁層として
貼り付け、加熱圧着した後、層間絶縁層に、ビアホール
形成用の孔を設ける。開孔の方法としては、まず、表層
の銅箔面の、ビアホール形成位置に、エッチングにより
穴を開け、この孔をマスクとして、炭酸ガスレーザー、
YAGレーザー、エキシマレーザー等のレーザー、また
はプラズマ処理により層間絶縁層に穴を開ける。
【0038】次に、必要により孔部を洗浄するデスミア
処理を行った後、無電解メッキまたは電解メッキにより
ビアホールを形成する。なお、ビアホールの形成法とし
て、銅箔をエッチングすることなく、高出力のレーザー
またはプラズマにより開孔することもできる。また、無
電解メッキ、電解メッキの代わりに導電ペーストを孔部
に充填してビアホールを形成することもできる。ビアホ
ール形成後、銅箔表面をパターンエッチングして、外層
回路を形成する。
【0039】本発明においては、必要に応じて、こうし
て形成した導体回路基板上に、更に耐熱フィルムおよび
エポキシ樹脂組成物からなる積層体を貼り付け、導体回
路形成を繰り返すことにより、多層プリント配線基板を
形成することができる。このように多層配線基板を作成
した後、その両面にソルダーレジスト層を形成する。ソ
ルダーレジストとして用いる樹脂には特に制約はない
が、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポ
キシ樹脂をメタクリル酸やアクリル酸で変性した樹脂と
イミダゾール硬化剤からなる感光性ソルダーレジストを
用いることができる。
【0040】本発明のビルドアッププリント配線板の耐
熱性は非常に優れており、高いはんだ耐熱性を有する。
表面実装用プリント配線板として使用するには高い耐熱
性が要求され、はんだ耐熱温度としては、280℃以上
が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。本発明の
ビルドアッププリント配線板は、高いはんだ耐熱温度に
加え、低い熱膨張率、低い熱収縮率等の優れた熱寸法安
定性を持っており、実装時の半導体素子との熱膨張によ
るパターン位置ズレ、実装後の熱膨張差によるストレス
を小さくできるものである。
【0041】本発明のビルドアッププリント配線板の厚
みは任意に選ぶことができるが、機器の薄手化のため
に、薄い方が良く、300μm以下、好ましくは200
μm以下が用いられる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示し、本発明の実
施形態の例を更に説明する。 特性の測定法 (1)耐熱性フィルムの表面酸素原子含有量 測定装置としてX線光電子分光装置、ESCA5400
(アルバックファイ株式会社製)を用い、MB−Kα
(ノンモノクロ)15KV、400Wの条件で測定を行
い、得られたチャートのO1sのピーク面積より表面酸
素原子含有量を算出する。 (2)耐熱性フィルムの厚み、強度、伸度、弾性率の測
定法 厚みは、直径2mmの測定面を持つダイヤルゲー
ジで測定する。強度、伸度、弾性率は、定速伸長型強伸
度測定機を用い、測定長100mm、引張り速度50m
m/分で測定する。
【0043】(3)接着強さの測定法 銅箔が付いたままの積層体から10mm×100mmの
試料片を切り出し、ピンセットで端の一部を引き剥が
し、耐熱性フィルムと金属箔の接着面を出し、片方を両
面テープで支持板に張り付け、90度剥離持具を用い、
定速伸長型強伸度測定機にて50mm/分の速度で引張
った時の引き剥がし力の平均をとる。 (4)熱膨張率の測定法 耐熱性フィルムから4mm×20mmの試料片を切り出
し、200℃で30分間歪み取りを行った後、セイコー
電子工業社製のTMA10を用いて20℃/分の昇温速
度で200℃まで測定し、30℃から150℃までの寸
法変化量より求める。
【0044】(5)耐熱性フィルムの熱収縮率の測定法 フィルムから2cm×5cmの試料片を切り出し、4c
mの間隔に刃物で傷をつけて標識とし、予め23℃、5
5%RHの雰囲気下に72時間放置した後、標識間の距
離を読み取り顕微鏡にて測定し、次いで200℃の熱風
式オーブンに2時間拘束することなく放置した後、再度
23℃、55%RHの雰囲気下に72時間放置した後、
標識間の距離を読み取り顕微鏡にて測定して求める。 (6)エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度測定 積層体の製造に用いるエポキシ樹脂組成物溶液を離型フ
ィルムに塗布、乾燥、硬化し厚さ50μmのエポキシ樹
脂組成物フィルムを作成し、離型フィルムより剥離して
ガラス転移温度測定サンプルとし、熱機械分析装置によ
りガラス転移温度を測定する。
【0045】(7)積層板のはんだ耐熱試験 積層板を25mm×25mmに切断し、JIS C−6
181に準じてはんだ耐熱試験を実施する。試験時間
は、1分間とし、260℃で試験を開始し、合格すれば
20℃温度を上げて実施し、合格する最高の温度をはん
だ耐熱温度とする。 (8)170℃、30秒後のエポキシ樹脂の溶融粘度 積層体を構成す半未硬化のエポキシ樹脂をサンプリング
し、予め170℃に加熱したキャピログラフ(東洋精機
製)のシリンダーに入れ、30秒後の溶融粘度を測定す
る。なお、サンプル量が不足する場合、積層体を構成す
る半硬化エポキシ樹脂と同じ熱履歴をへたサンプルを作
成し、これについて測定する。
【0046】
【実施例1】(1)耐熱性フィルムの製造 耐熱フィルムとして、アラミド樹脂のポリパラフェニレ
ンテレフタルアミド(以下、PPTAと称する)フィル
ムを用いる例を以下に示す。平均粒径80nmのコロイ
ド状シリカ粒子を40%含有する分散液を蒸留水に混合
して8%のシリカ濃度の希釈液を準備し、100.6%
の濃硫酸に添加し、シリカを0.035%含有する濃硫
酸を調製する。この濃硫酸を5μmカットのステンレス
鋼の焼結不織布製のフィルターを用いてろ過した後、P
PTAをポリマー濃度が12.5%になるように60℃
で溶解し、PPTAのドープを調製する。
【0047】このPPTAドープを5μmカットのステ
ンレス鋼の焼結不織布製のフィルターでろ過した後、ド
ープ温度を105℃に保ってダイに供給し、ダイからエ
ンドレスベルト上にドラフト率が1.05となるように
キャストし、相対湿度約5%、温度約105℃の空気を
吹き付けて、流延ド−プを光学等方化し、ベルトと共に
10℃の55%硫酸中に導いて凝固させる。
【0048】次いで、凝固フィルムをベルトから引き剥
し、約30℃の温水で洗浄し、次に1%NaOH水溶液
にて中和し、更に室温の水にて洗浄する。洗浄の終了し
たフィルムを乾燥させずに1.04倍縦方向に延伸し、
次いで横方向に1.12倍テンターで延伸した後、20
0℃で定長乾燥し、400℃で定長熱処理し、次いで3
50℃で弛緩熱処理した後巻取り、厚さ:9μm、強
度:41〜45Kg/mm2、弾性率:1220〜13
80Kg/mm2、伸度:28〜32%、熱膨張率:2
〜3ppm/℃、熱収縮率:0.04%、高さ:0.8
1μm以上の粗大突起数:1個/100cm2のフィル
ムを得る。
【0049】次にアルゴンガスおよび窒素ガスを60:
1の比率で供給しながら、周波数10kHzで放電して
いる電極間を速度1m/分でフィルムを連続的に走行さ
せてプラズマ処理を行う。プラズマ処理後のフィルムの
表面酸素原子含有量は21.2%である。
【0050】(2)エポキシ樹脂の調製、塗工、積層体
の作成 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:BR
EN−S)65部、トリグリシジルイソシアヌレート
(商品名:TEPIC−L)35部、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン15部、3,3’−ジアミノジフ
ェニルスルホン20部、テトラブロモビスフェノールA
(TBBA)47.3部を攪拌混合して均一な溶液とす
る。更に硬化触媒として三フッ化ホウ素モノメチルアミ
ンを添加後、攪拌混合してワニスを調製する。ワニスは
溶剤にアセトニトリル/メチルエチルケトン(重量比
5:1)を使用し、固形分を55重量%に調製する。こ
のワニスの硬化後のガラス転移温度は、208℃であ
る。
【0051】このワニスを、上記(1)のプラズマ処理
したPPTAフィルムの両面に塗布し、140℃で10
分間加熱乾燥したのち、片面に厚さ12μmの銅箔を、
他の面に厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート離
型フィルムをラミネーターで貼り付けて積層体を製造す
る。ラミネート条件は、温度140℃、圧力1.2Kg
/cm2とする。エポキシ樹脂組成物層の厚みは両面と
も9μmである。このエポキシ組成物層の170℃、3
0秒加熱後の溶融粘度は2.2×105ポイズである。
この積層体の銅箔引き剥がし強度は、1.4Kg/cm
である。
【0052】(3)ビルドアップ多層プリント配線板の
作製 両面銅張ガラスクロス基材エポキシ積層板の両面に回路
を形成したものを内層回路板として、その両面に(2)
の積層体をエポキシ樹脂組成物層が内層回路板と接触す
るようにして張り合わせて温度170℃、圧力2Kg/
cm2で2時間加熱硬化処理を行う。この張り合わせ品
の両面の銅箔に直径50μmの孔をエッチングで形成し
た後、エキシマレーザーを照射して、層間絶縁層にビア
ホール形成用の孔を開孔させる。次に、無電解メッキお
よび電解メッキにより、孔の内面に銅を析出させる。次
に中に外層銅箔上にエッチングレジストを形成後、エッ
チングを行い、レジストを除去して、ビルドアップ多層
プリント配線板を製造する。このビルドアップ多層プリ
ント配線板のはんだ耐熱温度は300℃である。
【0053】
【実施例2】(1)耐熱性フィルムの製造 実施例1と同じ方法で、製膜速度を変化させて、厚さ4
μmのフィルムを得る。このフィルムの物性は、強度:
48〜51Kg/mm2、弾性率:1380〜1470
Kg/mm2、伸度:15〜23%、熱膨張率:1〜3
ppm/℃、熱収縮率:0.05%、高さ:0.81μ
m以上の粗大突起数:0個/100cm 2である。アル
ゴンガスおよび窒素ガスを60:1の比率で供給しなが
ら、周波数10kHzで放電している電極間を速度1m
/分でフィルムを連続的に走行させてプラズマ処理を行
う。プラズマ処理後のフィルムの表面酸素原子含有量は
22.4%である。
【0054】(2)エポキシ樹脂の調製、塗工、積層体
の作成 実施例1と同様に作成したワニスを、上記(1)のプラ
ズマ処理したPPTAフィルムの両面に塗布した後、1
40℃で10分間加熱乾燥したのち、片面に厚さ9μm
の銅箔を、他の面に厚さ25μmのポリエチレンテレフ
タレート離型フィルムをラミネーターで貼り付けて積層
体を製造する。ラミネート条件は、温度140℃、圧力
1.2Kg/cm2とする。エポキシ樹脂組成物層の厚
みは銅箔接着面側は4μm、他の面は8μmとする。こ
のエポキシ組成物層の170℃、30秒加熱後の溶融粘
度は2.2×105ポイズである。この積層体の銅箔引
き剥がし強度は、1.2Kg/cmである。
【0055】(3)プリント配線板およびビルドアップ
多層プリント配線板の作成 上記の積層体を用い、実施例1と同様にビルドアップ多
層プリント配線板を作成する。このビルドアップ多層プ
リント配線板のはんだ耐熱温度は320℃である。
【0056】
【実施例3〜6】エポキシ樹脂組成物層の厚みを変更す
る以外は、実施例2と同様に積層体を作成し、ビルドア
ップ多層プリント配線板を作成する。結果を表1に示
す。
【0057】
【実施例7】(1)耐熱性フィルムの製造 実施例2と同じ方法でフィルムを製造し、プラズマ処理
して厚さ4μmのPPTAフィルムを得る。 (2)エポキシ樹脂の調製、塗工、積層体の作成 実施例1と同様の方法で作成したワニスを、上記(1)
のプラズマ処理したPPTAフィルムの片面に塗布した
後、140℃で10分間加熱乾燥したのち、厚さ9μm
の銅箔をラミネーターで貼り付け、更に170℃で1時
間加熱してエポキシ樹脂を硬化させて、片面銅張積層板
を作成する。その際のラミネート条件は、温度140
℃、圧力1.2Kg/cm2とする。
【0058】更に、上記と同じワニスを厚さ25μmの
ポリエチレンテレフタレート離型フィルムの片面に塗布
し、140℃で10分間加熱乾燥して得た離型フィルム
付き半硬化エポキシ樹脂のエポキシ樹脂面と、上記の片
面銅張積層板のPPTAフィルム面を重ね合わせてラミ
ネーターで貼り付けて離型フィルム/半硬化エポキシ樹
脂/PPTAフィルム/硬化エポキシ樹脂/銅箔の積層
体を製造する。その際のラミネート条件は、温度140
℃、圧力1.2Kg/cm2とする。エポキシ樹脂組成
物層の厚みは、銅箔接着面側(硬化済み)で10μm、
離型フィルム側(半硬化)で20μmとする。
【0059】離型フィルム側のエポキシ組成物層の17
0℃、30秒加熱後の溶融粘度は2.2×105ポイズ
である。この積層体の銅箔引き剥がし強度は、1.3K
g/cmである。
【0060】(3)プリント配線板およびビルドアップ
多層プリント配線板の作成 上記の積層体を用い、実施例1と同様にしてビルドアッ
プ多層プリント配線板を作成する。このビルドアップ多
層プリント配線板のはんだ耐熱温度は300℃である。
【0061】
【実施例8〜11】エポキシ樹脂組成物層の厚みを変更
する以外は、実施例7と同様にして積層体を作成し、ビ
ルドアップ多層プリント配線板を作成する。結果を表2
に示す。
【0062】
【実施例12】(1)耐熱性フィルムの製造 実施例1と同じ方法で、厚さ25μmのフィルムを得
る。このフィルムの物性は、強度:40〜44Kg/m
2、弾性率:1270〜1320Kg/mm2、伸度:
18〜26%、熱膨張率:2〜5ppm/℃、熱収縮
率:0.08%、高さ0.81μm以上の粗大突起数:
0個/100cm2である。アルゴンガスおよび窒素ガ
スを60:1の比率で供給しながら、周波数10kHz
で放電している電極間を速度1m/分でフィルムを連続
的に走行させてプラズマ処理を行う。プラズマ処理後の
フィルムの表面酸素原子含有量は23.1%である。
【0063】(2)内層回路板の作成 実施例1と同様にして作成したワニスを、上記(1)の
プラズマ処理した厚さ25μmのPPTAフィルムの両
面に塗布した後、140℃で10分間加熱乾燥したの
ち、両面に厚さ9μmの銅箔をラミネータで貼り付け、
更に170℃で1時間加熱硬化して両面銅張積層板を製
造する。その際のラミネート条件は、温度140℃、圧
力1.2Kg/cm2とする。エポキシ樹脂組成物層の
厚みは両面とも15μmとする。更に、この両面銅張積
層板をパターンエッチングして内層回路板を作成する。
【0064】(3)ビルドアップ多層プリント配線板の
作製 上記(2)で作成した、内層回路板の両面に、実施例1
(2)記載の積層体をエポキシ樹脂組成物層が内層回路
板と接触するようにして張り合わせて、温度170℃、
圧力2Kg/cm2、で2時間加熱硬化処理を行う。こ
の張り合わせ品の両面の銅箔に直径50μmの孔をエッ
チングで形成した後、エキシマレーザーを照射して、層
間絶縁層にビアホール形成用の孔を開孔させる。次に、
無電解メッキおよび電解メッキにより、孔の内面に銅を
析出させる。
【0065】次に外層銅箔上にエッチングレジストを形
成後、エッチングを行い、レジストを除去して、厚さ2
5μmのPPTAフィルムをコア材とし、厚さ4μmの
PPTAフィルム及びエポキシ樹脂組成物を層間絶縁層
とするビルドアップ多層プリント配線板を製造する。こ
のビルドアップ多層プリント配線板のはんだ耐熱温度は
310℃である。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の積層体を
用いたビルドアップ多層プリント配線板は、耐熱性、接
着性、耐久性および寸法精度が良好であり、かつ機械的
強度が高いため、軽量化、薄型化が可能である。このた
め配線の高密度化や薄型化が必要な半導体素子実装用プ
リント配線板ならびにビルドアッププリント配線板等の
多層プリント配線板製造に極めて有用であり、CSP、
BGA、LOC、フリップチップ実装対応の半導体パッ
ケージ等として利用することができる。また、本発明の
ビルドアップ多層プリント配線板の製造方法によれば、
従来より高密度かつ薄型のビルドアップ多層プリント配
線板を簡便なプロセスで製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB10D AB33D AK47A AK53B AK53C AR00A BA04 BA10B BA10D BA25A EJ37A EJ61A EJ65A GB43 JA05B JA05C JB15B JJ03 JJ03A JK06 JL04 JL11 YY00A YY00B YY00C 5E346 AA12 AA16 CC04 CC08 CC09 CC10 CC32 CC41 DD02 DD12 DD32 EE33 EE35 EE38 EE39 FF07 FF15 GG15 GG22 GG27 HH11 HH18 HH24 HH25

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線光電子分光法(XPS)で測定した
    表面酸素原子含有量が15%以上であり、厚さが20μ
    m以下である耐熱性フィルムの片面に、硬化後のガラス
    転移温度が150℃以上のエポキシ樹脂組成物層が半硬
    化状態で形成され、他の面にガラス転移温度が150℃
    以上のエポキシ樹脂組成物を介して銅箔が接着されてい
    ることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 耐熱性フィルムが芳香族ポリアミドから
    なることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 耐熱性フィルムがプラズマ処理されたも
    のであることを特徴とする請求項1の積層体。
  4. 【請求項4】 耐熱性フィルムの厚さが10μm以下で
    ある請求項1の積層体。
  5. 【請求項5】 X線光電子分光法(XPS)で測定した
    表面酸素原子含有量が15%以上であり、厚さが20μ
    m以下である耐熱性フィルムの片面に、硬化後のガラス
    転移温度が150℃以上のエポキシ樹脂組成物層が半硬
    化状態で形成され、他の面にガラス転移温度が150℃
    以上のエポキシ樹脂組成物を介して銅箔が接着された積
    層体を、内層回路基板の少なくとも片面に張り合わせて
    加熱硬化し、ビアホールを形成し、銅箔をエッチングし
    て回路導体を形成する工程を有することを特徴とするビ
    ルドアップ多層プリント配線板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7265181B2 (en) 2004-07-09 2007-09-04 E.I. Du Pont De Nemours And Company Polyimide cross-linked polymer and shaped article thereof
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