JP2002143623A - レンジフード用の複合フィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間使用しても通気性を損なうことがなく、
しかも使用時の油煙の捕捉を十分行うことのできるフィ
ルターを、簡単な構成によって提供すること。 【解決手段】レンジフードの吸引口に脱着自在に取付け
られて、当該レンジフードにて吸引される排気ガス中の
油煙等を液化して捕捉するための複合フィルター１０で
あって、この複合フィルター１０を、多数の網目を有し
た平板状とされて、表裏に各１枚と、中心に１枚の、合
計３枚の平板フィルター１１・１２・１３と、これらの
平板フィルター１１・１２・１３間に挟まれて、多数の
網目を有した波板状とされる少なくとも２枚の波板フィ
ルター１４と、これらの波板フィルター１４及び各平板
フィルター１１・１２・１３の外周縁を固定するととも
に、液化された油煙等を流しあるいは貯める油貯通路を
有した枠体とにより構成したこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フィルターに関
し、特に、調理機器等の上方に配置されて、調理機器で
使用しているフライパン等から発生する油煙や水蒸気を
含む排気を室外に排出するためのレンジフードに使用さ
れる複合フィルターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】レンジフード２０は、例えば図１に示す
ようなシステムキッチン１００において使用され、調理
機器等の上方に配置されて、調理機器で使用しているフ
ライパン等から発生する油煙や水蒸気を含む排気を室外
に排出するためのものである。そして、このレンジフー
ド２０は、図２に示すように、その吸引口２１にフィル
ターを取り付けておき、このフィルターによって油煙等
を液化して捕捉するとともに、その他の排気ガスを、内
部の吸引ファン等によって室外に排出するものである。

【０００３】つまり、このレンジフード２０において
は、フライパン等から立ち上る油煙の一部をフィルター
によって液化して捕捉しながら、残部を室外に排出する
ものであるが、油煙の一部をフィルターによって捕捉す
ることは、このレンジフード２０での重要な機能の一つ
となっているのである。もし、油煙の全てを室外に排出
するとなると、液化した油がダクトから黒く垂れて、外
壁面を汚すだけでなく、隣家をも汚してしまうことにな
るからである。

【０００４】従来より使用されているレンジフード用の
フィルターは、パンチ板（金属の平板に空気を通るため
の多数の穴をパンチングしたもの）、あるいはラス網等
を１〜２枚程度重ねただけのものが多く、油煙の十分な
捕捉は望めなかった。従来のフィルターがこの程度の構
成としてあったのは、フィルターの存在は当然排気の邪
魔になるものであり、フィルターを通して十分な排気を
行おうとすると、吸引ファンとして相当大型なものを採
用しなければならなかったからである。

【０００５】しかしながら、本発明者は、最近になっ
て、モータの回転軸の両端にそれぞれシロッコファンを
設け、レンジフード内の排気通路の改良を行うことによ
って、吸引ファンを小型化しながら吸引力のあるレンジ
フードを開発するに至ったのであるが、このような強力
なレンジフード用のフィルターの開発も行ってきたので
ある。つまり、吸引ファンの吸引力が高まったことによ
って、油煙の捕捉及び液化を効果的に行うことを考慮す
る必要が出てきたのである。

【０００６】そこで、本発明者は、この種のレンジフー
トに使用されるフィルターについて、もっと効率的なも
のとするにはどうしたらよいか、について種々検討を重
ねてきた結果、フィルターそのものに液化した油が流れ
る道を積極的に形成することが良い結果を招来すること
に気付き、本発明を完成したのである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の経緯
に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題
は、十分な油煙の液化捕捉と、通気性の維持を果たすこ
とのできるフィルターを開発することである。

【０００８】すなわち、本発明の目的とするところは、
長期間使用しても通気性を損なうことがなく、しかも使
用時の油煙の捕捉を十分行うことのできるフィルター
を、簡単な構成によって提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明の採った手段は、後述する実施の形態の説
明中で使用する符号を付して説明すると、「レンジフー
ド２０の吸引口２１に脱着自在に取付けられて、当該レ
ンジフード２０にて吸引される排気ガス中の油煙等を液
化して捕捉するための複合フィルター１０であって、こ
の複合フィルター１０を、多数の網目を有した平板状と
されて、表裏に各１枚と、中心に１枚の、合計３枚の平
板フィルター１１・１２・１３と、これらの平板フィル
ター１１・１２・１３間に挟まれて、多数の網目を有し
た波板状とされる少なくとも２枚の波板フィルター１４
と、これらの波板フィルター１４及び各平板フィルター
１１・１２・１３の外周縁を固定するとともに、液化さ
れた油煙等を流しあるいは貯める油貯通路１６を有した
枠体１５とにより構成したことを特徴とするレンジフー
ド用の複合フィルター１０」である。

【００１０】すなわち、本発明に係る複合フィルター１
０は、図１に示すようなシステムキッチン１００を構成
するレンジフード２０内に、図２及び図３に示すよう
に、着脱自在に取り付けられるものであり、図６〜図８
に示すように、表（ガスコンロ３０に向かう側）から順
に、表平板フィルター１１、波板フィルター１４、中央
平板フィルター１３、波板フィルター１４そして裏平板
フィルター１２の合計５枚を複合させたものである。

【００１１】ここで重要なことは、「平板」状に形成し
てある表平板フィルター１１等によって挟み込まれてい
る２枚の各波板フィルター１４が、文字通り「波板形
状」のものとしてあることである。もし、これら各波板
フィルター１４が、「平板」状のものであれば、各フィ
ルターは、「通気口」を有してはいても互いに密着し合
うものとなるのであるが、各波板フィルター１４が「波
板」、つまり図６〜図８に示すような直線状の波部１４
ａを有していることによって、各波部１４ａによって隣
接するフィルターとの間に波部１４ａによる「通路」が
形成されることになるのである。

【００１２】この波部１４ａによる「通路」は、２つの
意味を有することになる。１つは、図７及び図８に示す
ように、捕捉されて液化した油滴が流れる「通路」とな
ることであり、油滴が流れ去った後には、今度は「排
気」が流れる「通路」となることである。このため、各
波板フィルター１４は、その波部１４ａが上下方向とな
るように配置することが最もよいが、「油滴」が流れる
のであれば、各波部１４ａが斜めとなるようにしてもよ
い。また、波板フィルター１４の２枚共、その波部１４
ａが上下方向となるのが最も効果的ではあるが、少なく
とも１枚の波板フィルター１４が、その波部１４ａが上
下方向となるように配置しても構わない。

【００１３】これらの波板フィルター１４及び各平板フ
ィルター１１・１２・１３の外周縁は油貯通路１６を有
する枠体１５によって固定されているから、各波板フィ
ルター１４の波部１４ａはこの枠体１５内に通じてい
る。このため、液化された油煙は、各波部１４ａを通し
て枠体１５内の油貯通路１６に到達するのである。

【００１４】勿論、表平板フィルター１１、波板フィル
ター１４、中央平板フィルター１３、波板フィルター１
４そして裏平板フィルター１２の合計５枚のフィルター
は、それぞれ平板に通気のためのパンチング穴を形成し
たものか、あるいは金属線等の線材を編み込んで形成し
たもののいずれであってもよいが、各波板フィルター１
４には、油滴を流す通路を形成するための波部１４ａが
必要であり、表平板フィルター１１、裏平板フィルター
１２及び中央平板フィルター１３は、当該複合フィルタ
ー１０全体の厚さを小さくするために、「平板」状であ
ることが必要である。

【００１５】さて、以上のように構成した本発明の複合
フィルター１０によれば、これをレンジフード２０の吸
引口２１に取り付けてレンジフード２０の吸引ファンを
作動させれば、ガスコンロ３０等において発生した油煙
等は、複合フィルター１０を通してレンジフード２０内
に吸引されていくのであるが、油煙がこの複合フィルタ
ー１０を通過する際に、これを構成している表平板フィ
ルター１１等によって冷却され液化する。液化した油煙
は、最初は小さな油滴となって表平板フィルター１１等
に付着するが、油の有する「表面張力」によって、小さ
な油滴が小さな油滴を呼んでだんだん大きな油滴になっ
ていく。大きな油滴になれば、さらにその鏡面張力によ
って、各フィルターが接触し合っている部分に貯まって
いく。そして、ついには、表面張力が重力に勝てなくな
って、油の流れが波部１４ａを通して形成され、結果と
して枠体１５の油貯通路１６内に流れ込むのである。

【００１６】各波部１４ａを通して枠体１５内の油貯通
路１６に流れ込んだ油は、そのままこの油貯通路１６内
に止まることもあるが、以下に示す実施形態では、図７
に示すように、この油貯通路１６の一部に開口１６ａが
形成してあって、この開口１６ａを介してレンジフード
２０の本体内に設けてある容積の大きい油貯め（図示し
ない）内に流れ込むのである。この油貯めは、レンジフ
ード２０から取り外すことができるものであるから、こ
の油貯めをはずしてその中の油を捨てればよいのであ
る。

【００１７】以上のような液化した油の流れは、各波部
１４ａ内の全てにおいて発生しているものではなく、当
然油が一定量貯まった時点で生ずるのであるから、常時
は、各波部１４ａでは「排気」の通路が形成されている
ものである。しかも、表平板フィルター１１を含めて合
計５枚のフィルターによって油煙の捕捉がなされている
から、各フィルターの油による「目詰まり」は発生しな
い。さらには、表平板フィルター１１等の各フィルター
は、波板フィルター１４が有している波部１４ａによっ
てその距離が保たれているから、液化した油が各フィル
ターにこびり付いたままとなることもない。要するに、
液化した油は、各波部１４ａによって早い内に流れ去っ
てしまうから、各表平板フィルター１１の通気性は保た
れたままとなるのである。

【００１８】従って、本発明に係る複合フィルター１０
は、長期間使用しても通気性を損なうことがなく、しか
も使用時の油煙の捕捉を十分行うことができるものなの
である。

【００１９】

【発明の実施の形態】次に、上記のように構成した本発
明を、図面に示した実施の形態である複合フィルター１
０に従って説明すると、図１には、本発明に係る複合フ
ィルター１０を組み込んだレンジフード２０を含むシス
テムキッチン１００の正面図が示してあり、このシステ
ムキッチン１００のガスコンロ３０によって調理した際
に発生する油煙や水蒸気を含んだ排気は、その上方に配
置してあるレンジフード２０によって吸引されるのであ
る。この吸引によって、油煙の一部は、レンジフード２
０内の複合フィルター１０によって捕捉されて液化し、
残部は、当該レンジフード２０内のファンによって屋外
に排出される。

【００２０】このレンジフード２０の吸引口２１には、
図２及び図３に示したように、本発明に係る複合フィル
ター１０が着脱自在に組み込んである。この複合フィル
ター１０は、図４及び図５に示すような外形を有してお
り、一見すると従来より使用されているものと殆ど差異
がないが、その中の構造が、図６〜図８に示したよう
に、従来のものとは全く異なったものとなっている。

【００２１】すなわち、本発明に係る複合フィルター１
０は、多数のパンチング穴あるいは網目を有して平板状
とした表平板フィルター１１、裏平板フィルター１２及
び中央平板フィルター１３と、これらのフィルター間に
挟まれて、多数のパンチング穴または網目を有する２枚
の波板フィルター１４との、合計５枚のフィルターを有
しているものである。これら５枚のフィルターは、その
ままではバラバラになるから、図４及び図５に示したよ
うに、その周囲を枠体１５によって纏めたものである。

【００２２】この枠体１５は、図７及び図８に示したよ
うに、その内部に油貯通路１６を構成したものであり、
この油貯通路１６には、各波板フィルター１４の波部１
４ａの端部が連通していて、各波部１４ａを通して流れ
てきた油滴を受け取るものである。また、この油貯通路
１６の一部には、図７にも示したように、開口１６ａが
形成してあり、油滴が、この開口１６ａを介してレンジ
フード２０の本体内に設けてあって容積の大きい図示し
ない油貯め内に流れ込むようにしてある。この油貯め
は、レンジフード２０から取り外すことができるものと
してあるから、この油貯めを開口１６ａからはずして、
その中に貯まっていた油を別の場所に捨てればよいので
ある。

【００２３】この複合フィルター１０を構成している表
平板フィルター１１及び裏平板フィルター１２は、図４
及び図５に示したように、パンチングメタルやラス網等
を使用して構成した文字通り平板状のものであり、本実
施形態のものでは金属製のものを採用している。表平板
フィルター１１は、油煙等に最初に触れる部分となるも
のであるから、油煙の捕捉を効果的に行えるようにする
ために、その網目はなるべく小さなものとなるようにし
てある。一方、裏平板フィルター１２は、当該複合フィ
ルター１０の排気ガスが出る面となるものであるから、
その網目は、通気性をなるべく良好にするためもあっ
て、表平板フィルター１１のそれよりも大きめとなるよ
うにしてある。また、これら表裏の平板フィルター１１
・１２は、当該複合フィルター１０全体の洗浄を行う場
合に、洗浄ブラシ等が表面を通り易くするためにも、文
字通り「平板状」にしてあるものである。

【００２４】そして、中央に位置する中央平板フィルタ
ー１３も、パンチングメタルやラス網等を使用して構成
した文字通り平板状のものである。この中央平板フィル
ター１３は中央に位置するものであるから、その網目
は、表平板フィルター１１及び裏平板フィルター１２の
それの中間程度の大きさにしてある。

【００２５】これらの表平板フィルター１１、裏平板フ
ィルター１２及び中央平板フィルター１３に挟み込まれ
る２枚の波板フィルター１４は、本実施形態に示したも
のの場合、アルミニウム板にパンチングを施すことによ
り多数の穴を形成した後に、これに、図６に示したよう
な波部１４ａを、多数平行に形成して構成したものであ
る。本実施形態の波板フィルター１４では、各波部１４
ａのスパン（波の山から山までの距離）を約１０ｍｍ、
各波部１４ａの振幅（波の山と谷との間の距離）を約
２．５ｍｍ〜３ｍｍとなるようにしたものである。

【００２６】また、本実施形態の波板フィルター１４に
おいては、その各波部１４ａが下方に向くように配置さ
れるものであり、最も効果的には、各波部１４ａが上下
方向となるようになされるものである。各波部１４ａ内
に捕捉された油滴が流れるのであれば、各波部１４ａは
斜めであってもよい。

【００２７】以上のように構成した各フィルターは、上
述し、図６〜図８に示したように、レンジフード２０側
の吸引口２１に組み付けられる枠体１５によって、その
周囲を固定されるものであり、これにより、図４及び図
５に示したような一体物としての複合フィルター１０と
なるものである。ここで重要なことは、各波板フィルタ
ー１４の波部１４ａがこの枠体１５内まで伸びているこ
とであり、これにより、当該複合フィルター１０によっ
て捕捉された油が枠体１５の油貯通路１６内を流れるこ
とになることである。

【００２８】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明においては、
上記実施形態にて例示した如く、「レンジフード２０の
吸引口２１に脱着自在に取付けられて、当該レンジフー
ド２０にて吸引される排気ガス中の油煙等を液化して捕
捉するための複合フィルター１０であって、この複合フ
ィルター１０を、多数の網目を有した平板状とされて、
表裏に各１枚と、中心に１枚の、合計３枚の平板フィル
ター１１・１２・１３と、これらの平板フィルター１１
・１２・１３間に挟まれて、多数の網目を有した波板状
とされる少なくとも２枚の波板フィルター１４と、これ
らの波板フィルター１４及び各平板フィルター１１・１
２・１３の外周縁を固定するとともに、液化された油煙
等を流しあるいは貯める油貯通路１６を有した枠体１５
とにより構成したこと」にその構成上の特徴があり、こ
れにより、長期間使用しても通気性を損なうことがな
く、しかも使用時の油煙の捕捉を十分行うことのできる
複合フィルター１０を、簡単な構成によって提供するこ
とができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る複合フィルターが組み込まれたレ
ンジフードを有するシステムキッチンの正面図である。

【図２】図１に示したレンジフードの縦側断面図であ
る。

【図３】同レンジフードの拡大底面図である。

【図４】本発明に係る複合フィルターを示すもので、
（イ）は正面図、（ロ）は側面図、（ハ）は平面図であ
る。

【図５】同複合フィルターの背面図である。

【図６】同複合フィルターの内部構造を示すもので、破
断することによって現れた各フィルターの部分拡大断面
図を各フィルターについての矢印によって付記した、複
合フィルターの部分破断正面図である。

【図７】図６中の１−１線に沿ってみた部分拡大断面図
である。

【図８】図６中の２−２線に沿ってみた部分拡大断面図
である。

【符号の説明】

１０ 複合フィルター １１ 表平板フィルター １２ 裏平板フィルター １３ 中央平板フィルター １４ 波板フィルター １４ａ 波部 １５ 枠体 １６ 油貯通路 １６ａ 開口 ２０ レンジフード ２１ 吸引口 ３０ ガスコンロ １００ システムキッチン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レンジフードの吸引口に脱着自在に取付
   けられて、当該レンジフードにて吸引される排気ガス中
   の油煙等を液化して捕捉するための複合フィルターであ
   って、 この複合フィルターを、多数の網目を有した平板状とさ
   れて、表裏に各１枚と、中心に１枚の、合計３枚の平板
   フィルターと、これらの平板フィルター間に挟まれて、
   多数の網目を有した波板状とされる少なくとも２枚の波
   板フィルターと、これらの波板フィルター及び前記各平
   板フィルターの外周縁を固定するとともに、液化された
   油煙等を流しあるいは貯める油貯通路を有した枠体とに
   より構成したことを特徴とするレンジフード用の複合フ
   ィルター。