JP2002137967A - 炭化珪素部材 - Google Patents

炭化珪素部材

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JP2002137967A
JP2002137967A JP2000332660A JP2000332660A JP2002137967A JP 2002137967 A JP2002137967 A JP 2002137967A JP 2000332660 A JP2000332660 A JP 2000332660A JP 2000332660 A JP2000332660 A JP 2000332660A JP 2002137967 A JP2002137967 A JP 2002137967A
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Usou Ou
雨叢 王
Hidehiro Nanjiyou
英博 南上
Masaaki Obata
正明 小畑
Hidemi Matsumoto
秀美 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械的信頼性に優れたSiC自立体からなる炭
化珪素部材を提供する。 【解決手段】気相法により3C型を主体とする炭化珪素
結晶1を基板上に形成し、しかる後に該基板を除去した
自立体からなり、前記炭化珪素結晶1の成長方向に平行
な面3及び垂直な面2の曲げ強度が500MPa以上、
破壊靭性が3MPa・m1/2以上であることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相法で作製した
SiC自立体からなる炭化珪素部材に関し、特に、フォ
ーカスリング、シャワーヘッド、クランプリング、シー
ルドリング等の半導体製造装置用部品及び磁気ヘッド基
板に好適に用いられる炭化珪素部材に関する。
【0002】
【従来技術】化学気相析出法はCVD(Chemical Vapor
Deposition)法と呼ばれ、種々の化合物の粉末、基板
への薄膜形成及び自立体の合成に用いられている。この
CVD法等の気相法により合成されたSiC自立体(以
下、SiC自立体と言う)は、高強度及び高靭性を有す
ることが報告されて(例えば、K. Niihara,Ceramic Bul
letin,63,(1984)1160-1164)おり、近年、SiC自立体
の高純度、高安定性、高剛性及び高熱伝導率等の優れた
特性から、特に半導体製造装置用部材や磁気ヘッド用基
板材料等への適用が期待されている。
【0003】ところが、一般にCVD法で作製したSi
C自立体は、特定の結晶方位が優先的に成長し、結晶配
向性が強いという特徴があり、そのためにSiC自立体
は機械的特性の異方性が強く、基板表面に垂直な面の強
度及び破壊靭性が低くなる傾向がある。その結果、加工
時及び使用時にチッピング、クラック発生、破損が発生
し、焼結体に比べての信頼性が低いため、SiC自立体
の実用範囲が大幅に制限されていた。
【0004】例えば、SiC自立体が、図2に示すよう
に矢印の方向に結晶が成長し、柱状結晶11によって構
成され、これを磁気ヘッド基板に適用する場合、炭化珪
素結晶の成長方向に及びその成長方向に垂直な方向にお
いて研磨、スライシング、イオンミリング等種々の精密
な加工が施されることにより、また、使用時には発熱、
衝撃等として主に基板の膜形成面に垂直な面に応力負荷
が印加されることにより、部品が破損するという問題が
あった。
【0005】この問題を解決するために、結晶配向によ
る残留応力を低減し、SiC自立体の反りを抑制するた
めに、X線回折強度比を、I(200)/I(111)
>0.5、I(311)/I(111)が0.35〜
0.6に規定し、(111)面の優先成長を抑えること
が、特開平11−106298号公報で提案され、ダミ
ーウエハに応用されている。
【0006】また、CVD法で合成したSiCを、17
00〜2200℃の高温で熱処理により等方的で、ラン
ダムな結晶組織を形成し、機械的特性の均一化を図るこ
とが特開平7−188927号公報で開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平11−
106298号公報に開示されたダミーウエハでは、実
質的にSiCの(200)面を優先に成長させたもので
あり、(111)配向は解消できたものの(200)面
に配向していることにより、(111)面配向と同様に
機械的特性の異方性が生じやすいという問題があった。
【0008】また、特開平7−188927号公報に記
載されたSIC自立体は、機械的強度の異方性が改善さ
れたものの、粒径が巨大化してしまうため、材料全体の
強度が300MPa以下に低下してしまうという問題が
あった。
【0009】従って、本発明は、機械的信頼性に優れた
SiC自立体からなる炭化珪素部材を提供することを目
的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、SiC自立体
の結晶組織を制御することで、各方位に対する面の強度
と靭性を向上させ、加工中並びに使用中の低応力破壊を
著しく減少でき、自立体が高い信頼性を示すという知見
に基づくもので、特に、磁気ヘッド基板等の機械的信頼
性が要求される部材に好適な炭化珪素部材を実現でき
る。
【0011】即ち、本発明の炭化珪素部材は、気相法に
より3C型を主体とする炭化珪素結晶を基板上に形成
し、しかる後に該基板を除去した自立体からなり、前記
炭化珪素結晶の成長方向に平行な面及び垂直な面の曲げ
強度が500MPa以上、破壊靭性が3MPa・m1/2
以上であることを特徴とするものである。
【0012】また、前記炭化珪素結晶の成長方向に垂直
な自立体表面において、(111)面及び(220)面
の配向度Rがそれぞれ0.3〜5であり、かつ前記炭化
珪素結晶の平均長径が100μm以下であることを特徴
とするものである。
【0013】これにより、異方性が小さく、かつ機械的
信頼性に優れたSiC自立体からなる炭化珪素部材を実
現できる。
【0014】特に、前記炭化珪素結晶の成長方向に垂直
な面の強度に対する前記炭化珪素結晶の成長方向に平行
な面の強度の比が0.75〜1.20であることが好ま
しい。これにより、機械的特性の異方性による加工、使
用中の破損が大幅に軽減される。
【0015】また、前記自立体の厚さが0.5mm以上
であることが好ましく、これにより、基板と接する部位
に生じた残留応力の影響を小さくすることができ、より
高い信頼性を実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】CVD法等の気相法で一般的に作
製されたSiC自立体は、特定の結晶方位が優先に成長
しており、結晶配向が観察され、組織の異方性が強く、
成長方向に長尺状の柱状結晶の大きく成長する。従っ
て、成長方向に垂直な面は上述の文献に示されるような
高強度、高靭性を示しても、成長方向に平行な面は機械
的特性に劣り、SiC自立体の信頼性が低かった。
【0017】このような組織及び機械的特性の異方性を
完全に除去することは困難であるが、自立体の組織構造
を制御することによって、優れた加工性及び信頼性を有
するSiC自立体を実現できるという知見を得た。換言
すれば、自立体の配向性及び柱状結晶の粒子径を制御
し、自立体の機械特性の異方性を低減することにより、
機械的信頼性の高い炭化珪素部材を得ることができる。
【0018】即ち、本発明の炭化珪素部材は、気相法に
より3C型を主体とする炭化珪素結晶を基板上に形成
し、しかる後に該基板を除去した自立体からなるもので
ある。ここで、基板の形状は特に平板とは限らず、複雑
形状や平板に溝や凹凸を付与したものであっても差し支
えない。また、炭化珪素の構造は3C型以外に4H型、
6H型又は12R型等多数存在するが、3C型のX線回
折ピークが他のピークに比べて大きければ問題はない。
【0019】そして、自立体の炭化珪素結晶の成長方向
に対して平行な面及び垂直な面において曲げ強度がいず
れも500MPa以上、破壊靭性がいずれも3MPa・
1/ 2以上であることが重要であり、これによって自立
体を加工する時に発生するチッピング、クラック及び破
損を抑制することができ、また、使用している時に発生
する低応力破壊を抑制し、高信頼性を示すことができ
る。
【0020】特に、上記の目的をより改善するため、前
記炭化珪素結晶の成長方向に平行な面及び垂直な面の曲
げ強度が600MPa以上、さらには700MPa以上
であることが望ましい。また、同破壊靭性は特に3.5
MPa・m1/2以上、さらに3.8MPa・m1/2以上で
あることが望ましい。
【0021】例えば、図1(a)に示すように、炭化珪
素結晶1が矢印の方向に成長し、柱状結晶からなる自立
体を形成する場合、炭化珪素結晶1の成長方向(矢印の
方向)に垂直な面2及び成長方向に平行な面3を破壊面
として最大荷重がかかった場合に、曲げ強度がいずれも
500MPa以上あることが必要であり、かつ両面にお
ける破壊靭性が、3MPa・m1/2以上であることが必
要である。
【0022】また、図1(b)のように、炭化珪素結晶
4がお互いに小さな傾き有し、全体の平均的な結晶の成
長方向が矢印で示されるような場合においても、図1
(a)の場合と同様に、炭化珪素結晶4の成長方向(矢
印の方向)に垂直な面5及び成長方向に平行な面6に対
して、曲げ強度がいずれも500MPa以上、破壊靭性
が、3MPa・m1/2以上であることが重要である。
【0023】なお、炭化珪素結晶の成長方向は基板の成
膜面に対して垂直な方向と略同一であり、例えば、基板
が平板の場合、成膜面となる基板表面に対して垂直で、
基板から空間に向かう方向が成長方向となる。
【0024】また、本発明の炭化珪素部材は、炭化珪素
結晶の成長方向に垂直な自立体表面において、少なくと
もSiCの(111)面と(220)面がともに一定の
比率で存在させることが有効である。この他に(20
0)面や(311)面のピークも出現し、等方性をさら
に高めることが好ましい。
【0025】つまり、炭化珪素結晶の成長方向に対して
垂直な面と平行な面に関してCu−Kαを用いたX線回
折を行い、2θ=30〜80°範囲において、スペクト
ルを測定し、下記の計算式から求めた(111)面及び
(220)面の配向度Rがいずれも0.3〜5にあるこ
とが重要であり、特に0.5〜4、さらには0.7〜
3、またさらには0.8〜2が好ましい。 R(hkl)={n・Ib(hkl)/Ip(hkl)}/Σ{Ib(hkl)
/Ip(hkl)} ここでR(hkl)は(hkl)結晶面の配向度、I
b(hkl)はSiC自立体の(hkl)結晶面のX線回折強
度、Ip(hkl)は粉末SiCの(hkl)結晶面のX線回
折強度、nは2θ=30〜80°に存在する炭化珪素の
回折ピーク数である。
【0026】(111)面及び(220)面が一定の比
率で存在するとともに、粒径の大きな柱状組織(図2)
ではなく、微細な柱状組織又は樹枝状組織を形成し、平
均長径を100μm以下にすることによって、500M
Pa以上、破壊靭性が、3MPa・m1/2以上を得るこ
とができ、その結果機械的に高い信頼性を実現できる。
【0027】特に、炭化珪素結晶の平均長径は強度及び
破壊靭性をさらに高めるため、平均長径は50μm以
下、さらには30μm以下が好ましい。なお、平均長径
の測定方法は、結晶の成長方向に平行な断面を鏡面状に
研磨して化学エッチングをおこない、光学顕微鏡又は走
査型電子顕微鏡で100乃至1000倍の倍率で写真を
撮影し、写真中の100個の結晶について平均長径を測
定し、平均値を算出したものである。
【0028】例えば、図1(a)において、炭化珪素結
晶1の平均長径は、矢印の方向の結晶長さにほぼ同じで
あり、この長さが100μm以下であることが必要であ
る。また、図1(b)においては、炭化珪素結晶1は結
晶の成長方向に対して傾いてはいるものの、その平均長
径が100μm以下であることが必要である。
【0029】また、平均短径は5μm以下、特に1μm
以下、さらには0.5μm以下が好ましく、これによ
り、成長方向に対して垂直な面で高強度と高靭性を得る
だけでなく、成長方向に対して平行な面でも曲げ強度が
500MPa以上、破壊靭性が3MPa・m1/2以上の
特性が容易に得られる。なお、平均短径の測定方法は、
結晶の成長方向に垂直な断面を鏡面状に研磨して化学エ
ッチングをおこない、走査型電子顕微鏡で1000乃至
5000倍の倍率で写真を撮影し、写真中の100個の
結晶について平均短径を測定し、平均値を算出したもの
である。
【0030】さらにSiC自立体の異方性を抑制し、強
度と靭性を向上するためには、前記成長方向に垂直した
SiCの(111)面と(220)面の配向度Rはとも
に0.3〜5であることが重要であり、特に0.5〜
4、さらには0.7〜3、またさらには0.8〜2が好
ましい。
【0031】また、本発明の炭化珪素部材は、炭化珪素
結晶の成長方向に垂直な面の強度に対する平行な面の強
度の比が0.75〜1.20であることが好ましい。こ
の強度比が上記の範囲内であれば、炭化珪素部材に加工
を施す際、欠けやチッピング等の欠陥発生を大幅に抑制
でき、加工効率が大幅に向上できる。部材の加工性と加
工効率を向上するために、炭化珪素結晶の成長方向に垂
直な面の強度に対する平行な面の強度の比が、特に0.
8〜1.1であることが望ましい。
【0032】さらに、本発明によれば、SiC自立体の
厚さが0.5mm以上であることが好ましい。上記自立
体が厚いほど作製可能な部材が多くなり、適用範囲が広
くなるだけでなく、高信頼性炭化珪素部材を得るには
0.5mm以上の厚さは特別な意味を有する。
【0033】即ち、気相法により得られた炭化珪素膜
は、基板と膜との熱的特性の違いにより発生した応力は
基板を除去して自立体を作製しても一部は残留応力とし
て自立体に存在する。ここで、自立体の厚さが0.5m
m未満であれば、自立体には基板との密着面から発生す
る残留応力の影響が大きく、また、基板付近では、核生
成及び結晶成長が制御されにくいため、自立体の厚さ方
向で組織構造の不均一性が相対的大きいため、前記強度
と破壊靭性の特性は得られないことがある。従って、炭
化珪素部材の信頼性を高めるためには、厚さは特に1m
m以上、さらには2mm以上のSiC自立体から作製す
ることが好ましい。
【0034】次に、本発明の炭化珪素部材のCVD法に
よる作製方法について説明する。
【0035】まず、成膜基板を準備する。基板の材料と
しては、黒鉛もしくは焼結SiCが好適に使用される。
特に、基板とSiC膜との熱膨張係数の差が小さく、例
えば、室温から1400℃の温度範囲における平均熱膨
張係数の相対差が10%以内である黒鉛が、熱応力によ
るSiC自立体にクラックの発生を抑制し、除去処理が
容易である観点から好ましい。また、成膜基板としては
Mo、W等の金属や金属化合物等を用いてもかまわな
い。
【0036】反応ガスとして、珪素含有ガス、炭素含有
ガス及びキャリアーガスを準備する。珪素含有ガスとし
ては、SiCl4、SiH4、SiHCl3等を用いれば
よい。炭素含有ガスとしては、CH4、C22、C
24、C26、C38等を用いればよい。キャリアーガ
スとしては、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用い
ればよい。また、珪素含有ガスが炭素をも含有していて
もよく、例えば、CH3SiCl3、(CH32SiCl
2、(CH34Si等をキャリアーガスと共に用いても
良い。以下は、炭素及び珪素の含有ガスとしてメチルト
リクロルシラン(CH3SiCl3:以下、MTSと言
う)を、キャリアーガスとして水素(H2)を使用した
場合について説明する。
【0037】CVD装置は、CVD反応により炭化珪素
を成膜できればどのようなCVD方式でも差し支えない
が、基板を除去して0.5mm以上の自立体を作製する
ため、特に熱CVDに代表される2.5μm/min以
上の高速で成膜できる方式が重要である。また、原料の
効率を考慮し、低コスト化のためコールドウォール型C
VD装置が好ましい。
【0038】基板をCVD装置内に配し、装置内を真空
ポンプにより1Pa以下に排気した後、昇温する。この
昇温は真空中でもキャリアーガスを流しながらでも差し
支えない。そして、基板の温度がCVD温度に達したら
原料ガスを装置内に導入し、加熱された基板に流してC
VD反応を生じさせる。
【0039】ここで、ガス混合比は使用ガスと合成条件
により決められるが、平衡論的に単相のSiCが生成
し、速度論的には緻密質を形成するように調整すること
が望ましい。例えば、水素と塩素の比が2〜10は、遊
離炭素の生成を抑制し、単相のSiCの生成に好適であ
る。また、合成温度が1300℃〜1600℃、特に1
350℃〜1550℃、さらには1400〜1500℃
の範囲が好適である。
【0040】また、合成容器内におけるSiを含むガス
種の分圧が0.3〜1kPaであることが、微細な樹枝
状組織を形成し、高強靭性且つ異方性が小さい炭化珪素
の合成に特に望ましい。例えば、H2とMTSとを用い
る場合、全圧が3kPaの場合、H2/MTS比が5で
あれば、MTSの分圧が0.5kPaであるから、本発
明の炭化珪素部材を作製するために好適である。
【0041】また、Ar、H2、MTSを用いた別の例
では、全圧が30kPaの場合に、Ar/H2/MTS
比を140/40/5に設定すれば、MTSの分圧が約
0.8kPaであるから、本発明の炭化珪素部材を作製
するために好適である。
【0042】装置内の全圧の制御は、炭化珪素の核生成
速度と結晶成長速度の比が十分に大きく、粗大な配向組
織の形成を抑制するために有効である。即ち、全圧は生
成物の組織構造及び特性に大きな影響を及ぼすが、上記
Siを含むガス種の分圧条件範囲内であれば、本発明の
高信頼性炭化珪素部材は100kPa以下の任意の全圧
で合成できる。しかし、反応効率及び基板面上での反応
均一性を高めるためには、反応全圧は好ましくは40k
Pa以下、更に30kPa以下、特に25kPa以下が
望ましい。また、析出速度を高めるため、全圧は0.2
kPa以上、特に1kPa以上、さらには2kPa以上
が好ましい。
【0043】さらに、反応の加熱方式には、種々の公知
の加熱方式、例えば高周波による間接あるいは直接誘導
加熱、電気加熱、基板の通電加熱、マイクロ波補助加
熱、あるいはこれらの加熱方式の組み合わせである。そ
して、膜の成長速度を2.5μm/min以上、特に
3.3μm/min以上、さらには5μm/min以上
に設定することで、結晶の配向性を効率良く抑制し、微
粒な組織が得られやすい。従って、原料の反応効率が高
いコールドウォール加熱方式、例えば、高周波による基
板あるいは基板付近を誘導加熱する等の方法が、本発明
の炭化珪素部材の合成に好適である。
【0044】このようにして作製した炭化珪素結晶から
炭素基板を機械加工、酸化処理及び化学エッチング等に
より除去し、自立体を得る。
【0045】ここで、自立体のうち、成膜基板との界面
から少なくとも0.1mm以上の領域の炭化珪素を研磨
して除去することが重要である。これは、界面付近の炭
化珪素が残部の炭化珪素の組織と異なるため、残留応力
が発生しやすく、これを除去することにより、クラック
や割れをより低減できる。なお、除去領域は、界面から
特に0.2mm以上、さらには0.3mm以上であると
さらに組織の均一化の点で好ましい。
【0046】
【実施例】水素、MTS及びアルゴンを原料とし、コー
ルドウォール型熱CVD装置にて、表1に示す条件で黒
鉛(室温〜1400℃の平均熱膨張係数:4.4×10
-6/℃)基板の上に厚さ4mm以上のSiCを析出させ
た。
【0047】得られた炭化珪素部材は、X線回折から3
C型を主体とする炭化珪素結晶からなっていることがわ
かった。また、成長方向に対して垂直な面及び平行な面
における結晶配向度Rは、X線回折のデータから上述の
式を用いて計算した。
【0048】成長方向に平行な面は鏡面に研磨加工し、
しかる後に溶融アルカリ中でエッチングを行い、光学顕
微鏡及び走査型電子顕微鏡で組織を観察し、倍率200
倍及び1000倍の写真を撮影した。そして、100個
の結晶の平均長径と平均短径を測定した。
【0049】また、SiC自立体を縦3mm、横4m
m、長さ40mmに加工し、JIS−1601に準じ
て、成長方向に対して垂直な面と成長方向に対して平行
な面の曲げ強度を測定した。
【0050】さらに、それぞれの面を鏡面に加工し、J
IS−1607に基づいて室温での破壊靭性(K1C)を
測定した。また、材料の加工性を評価するために、成長
方向に平行な方向に切断、研磨を行い、それぞれの平均
チッピングサイズを測定した。
【0051】また、磁気ヘッド基板用途の信頼性評価と
して、400℃で5分間加熱後25℃水中に投入する熱
衝撃試験を行い、十回毎に強度を測定し、試験前の強度
より10%強度が低下する衝撃回数を調べた。さらに、
残留応力は、SiCを析出させ、黒鉛基板を除去した
後、基板より0.1mmを研磨により除去し、XRDに
より残留応力を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】本発明の試料No.1〜6、9〜13は、
いずれも加工時のチッピングサイズが8μm以下、強度
が低下する熱衝撃回数が50回以上と優れた加工性と信
頼性を示した。
【0054】一方、成長方向に平行な面の曲げ強度が4
78MPa以下と小さく、本発明の範囲外の試料No.
7及び8はいずれも加工時のチッピングサイズが16μ
m以上、強度が低下する熱衝撃回数が30回以下であっ
た。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、高純度、高緻密体であ
る炭化珪素を配向させ、特にミラー指数表示(220)
面に配向させることによって、加工時の表面平滑性に優
れ、破損の少ない磁気ヘッド用スライダ基板を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭化珪素部材の組織構造を示す断面模
式図であり、(a)炭化珪素結晶が略平行な場合と
(b)炭化珪素結晶がお互いに傾きを有する場合であ
る。
【図2】従来の炭化珪素部材の構造を示す断面模式図で
ある。
【符号の説明】
1、4・・・炭化珪素結晶 2、5・・・成長方向に垂直な面 3、6・・・成長方向に平行な面
フロントページの続き (72)発明者 松本 秀美 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G001 BA75 BA82 BB22 BD14 BD16 BD36 BE22 BE31 4K030 AA03 AA09 AA17 AA18 BA27 BA29 BA48 CA01 DA08 FA10 JA01 JA20 LA11 5D042 SA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気相法により3C型を主体とする炭化珪素
    結晶を基板上に形成し、しかる後に該基板を除去した自
    立体からなり、前記炭化珪素結晶の成長方向に平行な面
    及び垂直な面の曲げ強度が500MPa以上、破壊靭性
    が3MPa・m 1/2以上であることを特徴とする炭化珪
    素部材。
  2. 【請求項2】前記炭化珪素結晶の成長方向に垂直な自立
    体表面において、(111)面及び(220)面の配向
    度Rがそれぞれ0.3〜5であり、かつ前記炭化珪素結
    晶の平均長径が100μm以下であることを特徴とする
    炭化珪素部材。
  3. 【請求項3】前記炭化珪素結晶の成長方向に垂直な面の
    強度に対する前記炭化珪素結晶の成長方向に平行な面の
    強度の比が0.75〜1.20であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の炭化珪素部材。
  4. 【請求項4】前記自立体の厚さが0.5mm以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載
    の炭化珪素部材。
JP2000332660A 2000-10-31 2000-10-31 炭化珪素部材 Pending JP2002137967A (ja)

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