JP2002137025A - 雌型交換刃の廃棄遅延装置 - Google Patents

雌型交換刃の廃棄遅延装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨に伴う雌型交換刃の高さの減少分を補う
板状リングの着脱を簡易にし、その枚数を増やしてもラ
ジアル方向のズレ等の不都合が一切生じないようにした
新規な雌型交換刃の廃棄遅延装置を提供する。 【解決手段】 本発明は、雌型本体1の上面2の研磨に
伴う高さの減少分を補うために本体下面に適用できる複
数枚の板状リング10を設け、該板状リング10のう
ち、少なくとも1つの板状リング10aは内周縁の複数
個所に雌型本体の下面のくり抜き穴5に係止させるため
の爪片12を立ち上げ、該爪片12の立ち上げ側の面に
接着剤層13を設け、他の1つ以上の板状リング10b
は爪なしであり、上下両面に接着剤層16を有している
ことを特徴とし、研磨に伴う雌型交換刃の高さの減少分
を補うため爪付きリングは爪片と接着剤層との相乗作用
により本体下面に固定でき、しかも、追加する爪なしリ
ングは爪付きリングの爪片をガイドとしてラジアル方向
のズレが生じないように重ねることができるように構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、タレットパンチ
ングプレス機用の雌型交換刃の切れ味を回復させるため
に行う研磨に伴って本体高さの減少分を補正して廃棄の
時期を遅らせることができるようにした雌型交換刃の廃
棄遅延装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】前記タレットパンチングプレス機は、被
加工物である板材をテーブル上で縦横に走らせるクラン
プと、前記板材を打ち抜くための雄型(上刃)と雌型
(下刃)とをセットしたタレットと、板材の打ち抜き位
置で上刃を叩くハンマーとを備えてなり、前記クランプ
は所望のプログラムに従って板材を水平方向に高速にて
走らせ、その走行タイミングに合わせてタレットを回転
させつつ雄型をハンマーで叩いて雌型との間で板材を高
速・高精度に打ち抜くことができるように構成された高
性能な金属加工機械である。
【0003】前記雄型と雌型は打ち抜く製品毎に設計す
る設計図に基づいてサイズ・形状等の異なるものと交換
使用される。特に、雌型(下刃)は、図4の如く、雌型
本体1の上面2の中央部に雌刃3を設け、下面4の中央
部に前記雌刃3に連通するくり抜き穴5を設けてなり、
前記タレットパンチングプレス機のタレットTのセット
穴Sの環状底S′にセットされる。そして、雄型(上
刃)3′との相互作用により板材Bを打ち抜き、その打
ち抜き屑(図示せず)はくり抜き穴5から落下するよう
になっている。
【0004】上記雌型(下刃)も、その刃は経時的に切
れ味が悪くなることから、その切れ味を回復させるため
適時研磨することが必要となる。この雌型交換刃の研磨
は、本体1の上面2を削ることにより新しい刃を研ぎ出
すことから、研磨に伴って本体1の高さは漸次減少し、
前記タレットパンチングプレス機のタレットTのセット
穴Sの環状底S′にセットしたときに、その高さが足り
なくなるため、そのままでは破棄する以外にない。
【0005】上記雌型交換刃の研磨に伴う減少分を補い
廃棄の時期を遅延させるため、従来から、本体1の下面
4にこれとほぼ同形同大の板状リング6を当てて高さを
補うようにしていた。この場合において、前記板状リン
グ6は、雌型交換刃の下面4とは一体にせず、セット
時にセット穴の環状底S′に単に載置するか、雌型交
換刃の下面4に熔接一体化するか、の何れかの手段が取
られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の手段では、雌型交換刃の交換の都度、板状リング6が
雌型交換刃から分離してしまい、次の使用のときに不便
であったばかりでなく、雌型交換刃の下面と板状リング
との間、板状リングとセット穴の底面との間には切り屑
などのゴミが進入し易く、ゴミが原因で雌刃の芯が微妙
に狂ったりするという不都合があった。また、上記の
手段では、研磨が進行し減少分が大きくなった場合にお
いて、新たな厚肉の板状リングと交換したいときに、既
に熔接している板状リングを取り除くことが至極困難で
あったし、熔接した板状リングをそのままにしてそれに
重ねて新たな薄肉の板状リングを重畳して熔接するとき
は、板状リング同士がラジアル方向にズレることが多
く、従って、セット穴Sに挿入(セット)するために、
ズレ分を修正研磨しなければならないという面倒が生ず
ることがあった。
【0007】本発明は、上記の課題を解消すためのもの
で、その目的とするところは、研磨に伴う雌型交換刃の
高さの減少分を補う板状リングの着脱を簡易にし、その
枚数を増やしてもラジアル方向のズレ等の不都合が一切
生じないようにした新規な雌型交換刃の廃棄遅延装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、雌型本体の上面の研磨に伴う高さの減少
分を補うために本体下面に適用できる複数枚の板状リン
グを設け、該板状リングのうち、少なくとも1つの板状
リングは内周縁の複数個所に雌型本体の下面のくり抜き
穴に係止させるための爪片を立ち上げ、該爪片の立ち上
げ側の面に接着剤層を設け、他の1つ以上の板状リング
は爪なしであり、上下両面に接着剤層を有していること
を特徴とし、研磨に伴う雌型交換刃の高さの減少分を補
うため爪付きリングは爪片と接着剤層との相乗作用によ
り本体下面に固定でき、しかも、追加する爪なしリング
は爪付きリングの爪片をガイドとしてラジアル方向のズ
レが生じないように重ねることができるように構成し
た。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、少なくと
も前記爪付きリングは、バネ鋼板により形成されたもの
であることを特徴とし、バネ鋼板のバネ力により本体下
面のくり抜き穴にしっかり係止させ得るように構成し
た。
【0010】さらに、請求項3に記載の発明は、前記爪
なしリングは、0.2〜0.5mm厚の複数群になって
いるとともに、同一群ごとに色分けしたことを特徴と
し、複数枚の板状リングの中から必要な1枚の選択や、
重畳使用時の総厚が直ちに判明するように構成した。
【0011】
【発明の実施の態様】次に、本発明の実施の態様を添付
図面に基づいて説明する。図1は雌型交換刃本体と、本
願板状リングとの関係を示す外観斜視図、図2は爪付き
の本願板状リングを交換刃本体へ適用した状態を示す断
面図、図3は爪付きの本願板状リングを、二枚の爪片な
しの本願板状リングを介して交換刃本体へ適用した状態
を示す断面図。なお、図4と同一部分は同一符号により
説明する。
【0012】本願板状リング10は、爪付きリング10
aと、爪なしリング10bとを備えている。このうち、
爪付きリング10aはリング部11の内周縁の複数個所
(図においては4個所であるが、2個所以上必要)から
爪片12を立ち上げている。該爪片12はリング部11
の内周縁の打ち抜き時に爪片形成部を残すと同時に屈曲
させることにより形成している。
【0013】前記爪片12の上端側には、前記雌型交換
刃本体(以下、単に本体という)1の下面4の中央部に
設けたくり抜き穴5の内周に強く係止させるために上端
部に外向きの膨出部12′が設けられている。該膨出部
12′は前記リング部11の内周縁を打ち抜いて爪片形
成部を残すときに同時に形成するとよい。この膨出部1
2′は図面上では断面くの字状になっているが、断面半
円状でも半球状その他でもよい。なお、本体1は、直径
が1〜12.5mmφをハーフ、13〜31.5mmφ
をインチコーター、32〜60mmφを二インチ、6
0.5〜80mmφをサン半と称し、本願板状リング1
0の直径もこれに合わせて用意される。
【0014】前記爪付きリング10aはバネ鋼板により
形成している。これは爪片12のバネ力を向上させて本
体下面のくり抜き穴5の内周にしっかり係止させるため
に有効だからであり、爪なしリング10bを除く趣旨で
はない。前記爪片12の立ち上げ基部12aは図示の如
く一定曲率をもって屈曲して立ち上げられている。これ
は爪片12のバネ力の更なる向上が得られる上に、折れ
などの損傷防止上有効だからである。
【0015】また、前記爪付きリング10aのリング部
11の上面には、接着剤層13が成層されている。この
接着剤層13は平時における粘着性を規制するための剥
離シート14が仮着され、使用時に図1の如く剥がせる
ようになっている。
【0016】前記爪なしリング10bのリング部11の
内周縁は、前記爪付きリング10aの爪片12をガイド
として嵌合させることができ、これによりラジアル方向
のズレが生じないように重ねることができるようになっ
ている。なお、爪なしリング10bのリング部11の内
周縁に設けた凹所15は、前記爪片12の立ち上げ基部
12aのアール部を避けるためのものであり、爪片12
の立ち上げ基部12aのアール部の形成の仕方によって
は不要になる場合もある。
【0017】前記爪なしリング10bのリング部11の
上下両面にも接着剤層16が成層され、その成層面には
剥離シート17が仮着されている。従って、剥離シート
17を剥がせば、本体下面に単独で貼ることもできる
し、爪付きリング10aと合体させて本体下面に適用す
ることも可能となる。
【0018】前記爪なしリング10bは、0.2〜0.
5mm厚の複数群になっているとともに、同一群ごとに
色分けされている。例えば、0.2mm厚の群は金色と
し、0.3mm厚の群は銀色、0.4mm厚の群は赤
色、0.5mm厚の群は緑色というようになっている。
これにより複数枚の板状リングの中から補正に必要な厚
みの1枚を容易に選択できるし、複数枚を重畳して用い
るときに、金色と銀色とを重ねると何mm厚、金色と緑
色とを重ねると何mm厚というように重畳後の総厚みが
直ちに判明できて便利である。
【0019】なお、前記接着剤層13及び16は、本願
板状リング10への成層時には0.5mm程度の厚さを
保有するが、前記タレットパンチングプレス機のタレッ
トTのセット穴Sにセットし、雄型3′との相互作用に
より板材Bを一回打ち抜くと、その打ち抜き荷重(ほぼ
20トン)により瞬時に0.01mm厚程度まで展延し
て偏平化することから、その後は前記接着剤層13及び
16の厚さはほとんど無視できるようになる。勿論、
0.01mm厚に偏平化後の接着強度は減少しないこと
は実験により確認済みである。
【0020】次に、本願板状リング10の作用について
説明する。今、雌型本体1の上面2を図2の一点鎖線の
如く削って雌刃3の新しい刃を研ぎ出し、本体1の高さ
の減少分を補う必要が生じた場合において、前記爪付き
リング10aを本体下面へ適用する。このとき、図1の
如く、前記剥離シート14を剥がして接着剤層13を露
出させ、くり抜き穴5に爪片12から挿入し、リング部
11の接着剤層13を本体下面へ強く押し付ければ密接
する。
【0021】このようにして、爪付きリング10aによ
る補正後、本体上面2を、図2の如く、更に削って雌刃
3を研ぎ出した場合において、本体高さの減少分を追加
的に補正をする必要が生じたときは、爪なしリング10
bを爪付きリング10aに重ねて使用することとなる。
なお、爪なしリング10bの必要な厚さのものを1枚乃
至数枚を爪付きリング10aとは別個に使用することは
否定しない。
【0022】上記爪なしリング10bを爪付きリング1
0aに重ねて使用する場合には、まず、先に適用してい
る爪付きリング10aを本体下面から取り除くこととな
る。この取り除きには、本体下面4とリング部11との
間にマイナス型のドライバー(図示せず)の尖端を挿入
して接着剤層13を強引に引き剥がせば簡単に完了す
る。
【0023】しかる後、本体下面4と爪付きリング10
aのリング部11の上面とに引き剥がし後にも依然残っ
ている接着剤層13の一部を揮発油等によりきれいに拭
き取ってから、爪なしリング10bのリング部11の下
面側の剥離シート17を剥がして接着剤層16を露出さ
せてから、その内周縁を前記爪付きリング10aの爪片
12をガイドとして嵌合して重ね、互いに強く押し付け
ると両者は重畳状態で互いに密接する。
【0024】その後、図1の如く、爪なしリング10b
のリング部11の上面側の剥離シート17を剥がして接
着剤層16を露出させ、前記爪付きリング10aの爪片
12から前記くり抜き穴5に挿入して接着剤層16を、
予めきれいになっている本体下面へ強く押し付ければ、
図3の如く、二枚重ねの状態で本体1の高さを補正でき
ることとなる。
【0025】なお、雌型交換刃本体の上面の研磨による
雌刃の研ぎ出しは、無制限にできるものではなく、実際
上は1.5mm〜2.0mm程度であり、従って、その
高さの減少分を補う本願板状リング10による補正はこ
の範囲で行われることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、雌型本体の上面
の研磨に伴う高さの減少分を補うために本体下面に適用
できる複数枚の板状リングを設け、該板状リングのう
ち、少なくとも1つの板状リングは内周縁の複数個所に
雌型本体の下面のくり抜き穴に係止させるための爪片を
立ち上げ、該爪片の立ち上げ側の面に接着剤層を設け、
他の1つ以上の板状リングは爪なしであり、上下両面に
接着剤層を有していることを特徴としているから、研磨
に伴う雌型交換刃の高さの減少分を補うため爪付きリン
グはその爪片と接着剤層との相乗作用により本体下面に
強く固定でき、しかも、追加する爪なしリングは爪付き
リングの爪片をガイドとして嵌合できるからラジアル方
向のズレが生じないように重ねることができるいう優れ
た効果を奏するものである。
【0027】また、請求項2に記載の発明は、少なくと
も前記爪付きリングは、バネ鋼板により形成されたもの
であることを特徴としているから、爪付きリングはバネ
鋼板のバネ力により本体下面のくり抜き穴にしっかり係
止させることができるという優れた効果を奏するもので
ある。
【0028】さらに、請求項3に記載の発明は、前記爪
なしリングは、0.2〜0.5mm厚の複数群になって
いるとともに、同一群ごとに色分けしたことを特徴とし
ているから、複数枚の板状リングの中から必要な1枚の
選択や、重畳使用時の総厚が直ちに判明できるという優
れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】雌型交換刃本体と、本願板状リングとの関係を
示す外観斜視図である。
【図2】爪付きの本願板状リングを交換刃本体へ適用し
た状態を示す断面図である。
【図3】爪付きの本願板状リングを、二枚の爪片なしの
本願板状リングを介して交換刃本体へ適用した状態を示
す断面図である。
【図4】タレットのセット穴にセットした雌型交換刃本
体とその高さ修正時の断面図である。
【符号の説明】
1 本体(雌型交換刃本体) 2 本体上面 3 雌刃 3′雄型(上刃) 4 本体下面 5 くり抜き穴 6 従来型の板状リング 10 本願板状リング 10a 爪付きリング 10b 爪なしリング 11 リング部 12 爪片 12′ 膨出部 12a 立ち上げ基部 13、16 接着剤層 14、17 剥離シート 15 凹所 T タレット S セット穴 S′ セット穴の環状底 B 打ち抜き板材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雌型本体の上面の研磨に伴う高さの減少
    分を補うために本体下面に適用できる複数枚の板状リン
    グを設け、該板状リングのうち、少なくとも1つの板状
    リングは内周縁の複数個所に雌型本体の下面のくり抜き
    穴に係止させるための爪片を立ち上げ、該爪片の立ち上
    げ側の面に接着剤層を設け、他の1つ以上の板状リング
    は爪なしであり、上下両面に接着剤層を有していること
    を特徴とする雌型交換刃の廃棄遅延装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記爪付きリングは、バネ鋼
    板により形成されたものであることを特徴とする請求項
    1に記載の雌型交換刃の廃棄遅延装置。
  3. 【請求項3】 前記爪なしリングは、0.2〜0.5m
    m厚の複数群になっているとともに、同一群ごとに色分
    けしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の雌型交
    換刃の廃棄遅延装置。
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