JPS6219372Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、せん断加工と絞り加工とを同時に
行なうことができるせん断及び絞り加工用ダイス
の改良に関する。

一般に、トランスフアマシン等で長尺のブラン
クから例えばカツプを連続成形加工する場合、一
端部外周にせん断刃部が、また一端部内周に絞り
加工部が夫々設けられたせん断及び絞り加工用ダ
イスを用いてせん断加工と絞り加工とを同時に行
ない、これにより加工能率の向上を図つている。

ところで、この種の従来のダイスとしては、第
１図に示すように、ダイス１全体が超硬合金から
なり、そしてダイス１の一端部外周にせん断刃部
２が、一端部内周に絞り加工部３が夫々設けられ
たいわゆるムクタイプのものがある。しかしなが
ら、このムクタイプのものにあつては、ダイス１
全体が超硬合金製であるから、材料費がアツプ
し、ひいてはダイス１の製造コストが嵩み、また
せん断刃部２と絞り加工部３とは互いに加工形態
が異なるため、ダイス１の材質をせん断刃部２に
適した材質にすると絞り加工部３の寿命が短くな
り、逆にダイス１の材質を絞り加工部３に適した
材質にするとせん断刃部２の寿命が短くなり、従
つてダイス１の耐久性が悪かつた。

また従来の他のダイスとしては、第２図に示す
ように、ダイス鋼あるいは高速度鋼製ダイス本体
１２の一端部内周に超硬合金製インサート１３を
焼き嵌めあるいは圧入によつて固定してなるいわ
ゆるインサートタイプのもので、ダイス本体１２
の一端部外周にせん断刃部１４が、インサート１
３の内周部に絞り加工部１５が夫々形成されてな
るものがある。しかしながら、このインサートタ
イプのものにあつては、ダイス本体１２が超硬合
金に比して安価なダイス鋼あるいは高速度鋼製で
あるから、材料費が低減して製造コストを低減す
ることができる反面、せん断刃部１４がダイス鋼
あるいは高速度鋼製であるから、せん断刃部１４
の寿命が超硬合金製の絞り加工部１５の寿命に比
して大巾に短く、従つて絞り加工部１５の寿命が
尽きる以前にダイスを交換しなければならず、従
つてダイスの交換頻度が高くなり、ひいてはトラ
ンスフアマシン等の実稼動時間が減少し、加工能
率が低下し、またせん断刃部１４の寿命が短い分
不良品が発生する割合が大きくなり、ひいてはブ
ランクの歩留まりが悪化する等の問題があつた。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
超硬合金以外の材料からなるダイス本体の一端部
外周に外周部にせん断刃部を有する超硬合金製外
周リングを、ダイス本体の一端部内周に内周部に
絞り加工部を有する超硬合金製内周リングを夫々
設け、かつこれら外周及び内周リングの材質とし
て夫々せん断加工及び絞り加工に適するものを用
いることにより、ダイスの製造コストを低減する
ことができ、またダイスの耐久性を大巾に向上さ
せることができるせん断及び絞り加工用ダイスを
提供することを目的とする。

以下、この考案の一実施例について第３図〜第
５図を参照して説明する。図中符号２２はリング
状のダイス本体で、このダイス本体２２は超硬合
金以外の材質、例えば構造用鋼あるいは合金鋼か
らなつている。このダイス本体２２には、ボルト
座２３ａを有する複数のボルト穴２３がダイス本
体２２を貫通して設けられている。また、ダイス
本体２２のボルト座２３ａとは逆側の端部外周に
は環状突部２４が形成されている。この環状突部
２４には超硬合金製外周リング２５の一端部に形
成された突出部２６が嵌合され、これにより外周
リング２５のダイス本体２２に対する位置決めが
なされている。また、外周リング２５の突出部２
６側には複数の凹部２７が形成されている。この
凹部２７には鋼製ブツシユ２８がろう付けあるい
は接着等によつて固定されており、このブツシユ
２８の内周部にはねじ部２８ａが形成されてい
る。そして、このねじ部２８ａにダイス本体２２
のボルト穴２３に挿入されたボルト２９がねじ込
まれ、これにより外周リング２５がダイス本体２
２に固定されている。また、外周リング２５の他
端部外周にはせん断刃部３０が形成されている。
また、外周リング２５の中央部には、ダイス本体
２１から離間するにしたがつて漸次径小となるテ
ーパ穴３１が形成されている。このテーパ穴３１
のテーパ半角は7.5゜以下に設定されている。ま
た、このテーパ穴３１には内周部に絞り加工部３
２を有する超硬合金製内周リング３３が焼き嵌め
あるいは圧入によつて固定されている。固定状態
においては、外周リング２５と内周リング３３と
の各他端面は同一平面上に位置している。なお、
外周リング２５にはせん断加工に適する材質例え
ばＶ３が用いられ、他方内周リング３３には絞り
加工に適する材質、例えばＶ１が用いられてい
る。

しかして、このようなダイス２１を用いて例え
ばカツプを成形加工する場合、まずブランク３４
をダイス２１としわ押え３５とによつて挾持さ
せ、そしてブランク３４のダイス２１からはみ出
た部分をカツタ３６とせん断刃部３０とによつて
せん断加工し、その後パンンチ３７と絞り加工部
３２とによつて絞り加工をするものである。

ここで、ダイス本体２２が超硬合金より安価な
材質、例えば構造用鋼あるいは合金鋼製であるか
ら、ダイス２１の材料費を低減することができ、
ひいてはダイス２１の製造コストを低減すること
ができる。また、外周及び内周リング２５，３２
は共に超硬合金製で、しかも外周リング２５には
せん断加工に適する材質が、内周リング３３には
絞り加工に適する材質が夫々用いられているか
ら、せん断刃部３０及び絞り加工部３２の耐久性
を共に向上させることができ、ひいてはダイス２
１の耐久性を大巾に向上させることができる。こ
の結果、ダイス１１の交換頻度を低くすることが
でき、従つてトランスフアマシン等の実稼動時間
を増すことができ、ひいては加工能率の向上を図
ることができ、また不良品が発生する割合を小さ
くすることができ、ひいてはブランク３４の歩留
りを向上させることができる。

さらに、パンチ３７によつて絞り加工する際
に、内周リング３３にはそれを拡径しようとする
力が作用するが、内周リング３３の外周に外周リ
ング２２を嵌合させているから、外周リング２２
が内周リング３３を補強することになる。したが
つて、拡径しようとする力によつて内周リング３
３が割損するのを防止することができる。しか
も、外周リング２５の内周面および内周リング３
３の外周面をダイス本体２２から離間するにした
がつて漸次径小となるテーパ面に形成しているか
ら、内周リング３３が外周リング２２から抜け出
るのを防止することができる。すなわち、外周リ
ング２２と外周リング３３とを例えば円筒嵌合さ
せた場合には、せん断加工時の衝撃、パンチ引き
抜き時の摩擦力等によつて内周リング３３が外周
リング２２に対し他端側（第３図の上方）へ向つ
て位置ずれを起こすおそれがある。内周リング３
３が他端側へずれ、外周リング２２から突出する
と、ブランク３４が内周リング３３の外周縁によ
つて傷つけられ、この結果不良品が発生するとい
う問題を惹起する。この点、この考案のダイスに
おいては上記のようなテーパ嵌合を採用している
から、内周リング３３の位置ずれを確実に防止す
ることができる。

なお、上記実施例においては外周リング２５を
ボルト２９によつてダイス本体２２に固定してい
るが、これに限られることなく、ダイス本体２２
に焼き嵌めあるいは圧入によつて固定してもよ
い。

以上説明したように、この考案によるせん断及
び絞り加工用ダイスによれば、超硬合金以外の材
料からなるダイス本体の一端部外周に外周部にせ
ん断刃部を有する超硬合金製外周リングを、ダイ
ス本体の一端部内周に内周部に絞り加工部を有す
る超硬合金製内周リングを夫々設け、かつこれら
外周及び内周リングの材質として夫々せん断加工
及び絞り加工に適するものを用いているから、ダ
イスの材料費を低減することができ、ひいてはダ
イスの製造コストを低減することができ、またせ
ん断刃部及び絞り加工部の耐久性を共に向上させ
ることができ、ひいてはダイスの耐久性を大巾に
向上させることができ、さらに外周リングと内周
リングとをテーパ嵌合させているから、内周リン
グの割損を防止することができ、しかもそのテー
パをダイス本体から離間するにしたがつて漸次径
小となるように形成しているから、内周リングが
外周リングから抜け出るを防止することができる
等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々従来のせん断及び絞り
加工用ダイスの各例を示す縦断正面図、第３図は
この考案の一実施例を示す縦断正面図、第４図及
び第５図は夫々この考案のダイスを使用して行な
われるせん断工程及び絞り工程を示す縦断正面図
である。 ２１……ダイス、２２……ダイス本体、２５…
…外周リング、３０……せん断刃部、３２……絞
り加工部、３３……内周リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 超硬合金以外の材料からなるダイス本体２２
   と、このダイス本体２２の一端部外周側に設けら
   れかつ外周部にせん断刃部３０を有する超硬合金
   製外周リング２５と、前記ダイス本体２２の一端
   部内周側に設けられかつ内周部に絞り加工部３２
   を有する超硬合金製内周リング３３とからなり、
   前記外周リング２５にはせん断加工に適する材質
   が、内周リング３３には絞り加工に適する材質が
   夫々用いられ、前記外周リングが前記ダイス本体
   に固定されるとともに、前記内周リングが外周リ
   ングの内周にテーパ嵌合せしめられ、しかもその
   テーパは前記ダイス本体から離間するにしたがつ
   て漸次径小となるように形成されていることを特
   徴とするせん断及び絞り加工用ダイス。