JP2002136525A

JP2002136525A - 手術器械

Info

Publication number: JP2002136525A
Application number: JP2000330709A
Authority: JP
Inventors: Koji Iida; 浩司飯田; Norihiko Haruyama; 典彦晴山
Original assignee: Olympus Optical Co Ltd
Current assignee: Olympus Corp
Priority date: 2000-10-30
Filing date: 2000-10-30
Publication date: 2002-05-14
Anticipated expiration: 2020-10-30
Also published as: JP3523839B2

Abstract

(57)【要約】【課題】把持部における温度ムラを防止し、生体組織を
迅速かつ確実に凝固しながら切開できる手術器械を提供
することにある。【解決手段】先端部に生体組織を把持する互いに開閉自
在な一対の把持部としてのジョー６，７を有し、このジ
ョー６，７の少なくとも一方に発熱板１２を有し、この
発熱板１２により生体組織を処置する手術器械におい
て、前記発熱板１２に独立して制御可能な熱発生手段と
しての複数の発熱体３６ａ，３６ｂ，３６ｃを設けたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、生体組織を把持
し、凝固及び切開することができる手術器械に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、生体組織を把持する一対の把持
部を備え、把持部の一方または両方に発熱体を設け、生
体組織を把持した状態で発熱体を発熱させて生体組織を
凝固及び凝固部位を切開する手術器械が知られている。
この種の手術器械は、通常、生体組織に含まれる血管の
止血、生体組織の表層の病変部、出血点の焼灼、避妊を
目的とした卵管の閉塞等の多種症例に用いられる。そし
て、手術器械が血管の止血や、卵管の閉塞を目的として
用いられ、患者の処置対象の生体組織を凝固できるよう
になっており、また凝固した生体組織を切開することが
できるようになっている。

【０００３】例えば、ＵＳＰ５７９２１３７は、把持鉗
子の把持部に鋭利なメス切刃を有する発熱体としてのシ
リコン半導体を備え、シリコン半導体に通電し、抵抗発
熱させて生体組織を凝固するとともに切開を行うもので
ある。

【０００４】ＵＳＰ４２１９０２５及びＵＳＰ４２３１
３７１は、電気絶縁体からなる切断刃に複数のヒータエ
レメントを設け、各ヒータエレメントに対して独立して
制御可能として刃先の温度を一定に保つようにしたもの
である。

【０００５】ＵＳＰ５５９３４０６は、挿入部の先端部
にフック形状の抵抗加熱部分を設け、生体組織を加熱し
ながら切開するものである。

【０００６】ＵＳＰ５３０８３１１は、先端部に鋭利な
メス切刃を設け、このメス切刃の側面に加熱素子を設け
て、生体組織を側面で凝固しながら切開するものであ
る。

【０００７】なお、特開平６−７３６６号公報及び独実
Ｇ８８０９４３７号には、把持鉗子において、ハンドル
部に調整可能なストッパ機構を設けたものが開示されて
いるが、生体組織を把持する把持部に発熱体を設けて強
固、切開するものではない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たＵＳＰ５７９２１３７は、発熱体が１個であるため、
温度ムラが生じるという問題がある。すなわち、通常、
電気抵抗により発熱する発熱体は正の温度係数を有す
る。つまり、温度が上昇すると電気抵抗が上昇し、温度
が下がると抵抗が低下する。よって、生体組織を発熱部
の一部で把持すると、生体組織の接触している部分の温
度が下がり、部分的に電気抵抗が低下する。発熱量はＲ
×Ｉ×Ｉ（Ｒは抵抗値、Ｉは電流値）で決まるため、生
体組織に接触している部分の発熱量が低下・温度が低く
なる。これを補うため、出力を増しても、生体組織に接
触している部分の温度が上がらず、接触していない部分
の温度だけ上がることになる。このため、結果的に温度
ムラが生じ、凝固、切開するのに時間がかかるという問
題がある。

【０００９】また、把持部に発熱体が全面で接合されて
いるため、この接合方法では接触面積が大きいため、把
持部に熱伝導して放熱するという問題がある。さらに、
接触面が金属で硬質であるため、把持部が閉じたときに
少しでも隙間ができると、生体組織が確実に処置（特に
切開）できないという問題がある。

【００１０】また、ＵＳＰ４２１９０２５及びＵＳＰ４
２３１３７１は、切断刃が片刃であり、生体組織に軽く
押し付けて止血凝固するものであり、生体組織を把持し
て処置することは考慮されていない構造であり、凝固力
が弱いという問題がある。

【００１１】さらに、ＵＳＰ５３０８３１１も片刃であ
り、生体組織に軽く押し付けて止血凝固するものであ
り、生体組織を把持して処置することは考慮されていな
い構造であり、生体組織を凝固するのに時間がかかると
いう問題がある。

【００１２】この発明は、前記事情に着目してなされた
もので、その目的とするところは、把持部における温度
ムラを防止し、生体組織を迅速かつ確実に凝固しながら
切開でき、手術時間を短縮できる手術器械を提供するこ
とにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この発明は、前記目的を
達成するために、先端部に生体組織を把持する互いに開
閉自在な一対の把持部を有し、前記把持部の少なくとも
一方に発熱部を有し、前記発熱部により生体組織を処置
する手術器械において、前記発熱部に独立して制御可能
な複数の熱発生手段を設けたことを特徴とする。

【００１４】前記構成によれば、複数の熱発生手段とし
ての発熱体を電源装置によって設定された発熱温度に独
立して制御でき、発熱部としての発熱板の生体組織に接
触している部分の発熱量が低下し、温度が低下した場合
には、その抵抗値を検出して発熱体への出力を増す制御
を行なうことにより、結果的に発熱板の温度ムラを防止
して凝固及び切開を迅速かつ確実に行なうことができ
る。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、この発明の各実施の形態を
図面に基づいて説明する。

【００１６】図１〜図４は第１の実施形態を示す。図１
は手術器械としての熱凝固切開鉗子を示し、（ａ）は先
端部を開いた状態の側面図、（ｂ）は上面図、（ｃ）は
先端部を閉じた状態の側面図、（ｄ）は（ａ）のＡ−Ａ
線に沿う断面図、図２は先端部を示し、（ａ）は縦断側
面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ線に沿う断面図、図３
（ａ）は図２のＣ−Ｃ線に沿う断面図、（ｂ）は図２の
Ｄ−Ｄ線に沿う断面図、（ｃ）は図２のＥ−Ｅ線に沿う
断面図、（ｄ）は生体組織Ｘを把持したときの図２のＤ
−Ｄ線に沿う断面図、図４は電源装置の電気回路図であ
る。

【００１７】図１に示すように、手術器械としての鋏型
の熱凝固切開鉗子１の本体２には２つの鋏構成部材３，
４が設けられている。これらの鋏構成部材３，４は中途
部分が略交叉する状態に重ねられている。さらに、両鋏
構成部材３，４の交叉部には両鋏構成部材３，４を回動
自在に連結する支点ピン５が設けられている。

【００１８】また、本体２の先端部には生体組織Ｘを把
持する開閉可能な把持部としての一対のジョー６，７を
備えた処置部８が設けられている。さらに、各鋏構成部
材３，４の基端部には略円形状の手指挿入リング９，１
０が設けられている。そして、これらの手指挿入リング
９，１０の部分によって一対のジョー６，７を開閉操作
する手元操作部１１が形成されている。

【００１９】また、処置部８を構成する一方のジョー６
の把持面、つまり生体組織Ｘとの接触面側には熱伝導性
の優れた銅等の薄板状の発熱板１２が設けられ、他方の
ジョー７の把持面には鋸歯状の滑り止め部１３ａが設け
られている。さらに、ジョー７の把持面には後述する受
け部材１３が設けられている。なお、滑り止め部１３ａ
は生体組織Ｘとの切り分かれ易いように受け部材１３の
先端側に設けられているが、全長に亘って設けてもよ
い。さらに、ジョー７の両側面で、基端側（支点ピン５
寄り）にはジョー６側に突出する組織ストッパ１４が突
設されており、生体組織Ｘが一対のジョー６，７の基端
側に奥深く進入するのを防止するようになっている。

【００２０】また、手元操作部１１を構成する一方の手
指挿入リング９には他方の手指挿入リング１０側に突出
するストッパ１５が設けられ、これと対向する手指挿入
リング１０にはストッパ受け部材１６が設けられてい
る。ストッパ１５はねじ込み式であり、ねじ込み量によ
って高さが調節でき、一対のジョー６，７の閉鎖位置を
調節できるようになっている。

【００２１】さらに、一方の鋏構成部材３にはその長手
方向に沿って凹溝１７が設けられ、この凹溝１７の内部
にはリード線１８が挿通されている。このリード線１８
の一端部は発熱板１２に埋設された後述する発熱体に接
続され、他端部は一方の手指挿入リング９に設けられた
コネクタ１９を介してコネクタケーブル２０に接続され
ている。

【００２２】コネクタケーブル２０は、図４に示す電源
装置２１に接続されている。電源装置２１には商用電源
と接続する電源部２２が設けられ、この電源部２２は出
力部２３を介してコネクタケーブル２０に接続されてい
る。出力部２３はフットスイッチ２４と接続する制御部
２５に接続され、制御部２５は発熱温度を設定する設定
手段２６に接続されている。

【００２３】次に、前記処置部８について図２及び図３
に基づいて説明する。

【００２４】一方のジョー６に設けられた発熱板１２は
ジョー６の長手方向に沿って配置された長方形状の金属
板であり、その下辺部には先端に向かって肉薄になるよ
うにテーパを有した突部３１が長手方向に亘って設けら
れている。

【００２５】発熱板１２の上辺部には長手方向に所定間
隔を存して複数個、本実施形態においては３個の突出片
３２ａ，３２ｂ，３２ｃが上方に突出して設けられてい
る。これら突出片３２ａ，３２ｂ，３２ｃには縦方向に
すり割りが設けられ、このすり割りによって熱結合部３
３が形成されている。

【００２６】ジョー６の先端側に位置する突出片３２ａ
には横方向に貫通する貫通孔３４が設けられ、ジョー６
の基端側に位置する突出片３２ｃには他の突出片３２
ａ，３２ｂより上方に突出する固定板３５が一体に設け
られている。

【００２７】前記突出片３２ａ，３２ｂ，３２ｃの各熱
結合部３３には熱発生手段としての薄膜加熱抵抗素子等
の発熱体３６ａ，３６ｂ，３６ｃがその一部をすり割り
の内部に挿入した状態で熱結合固定されている。これら
発熱体３６ａ，３６ｂ，３６ｃは温度分布が均一となる
ように等間隔に設置され、これらはそれぞれ独立して前
述したリード線１８が接続されている。さらに、リード
線１８の先端部の導電部は絶縁カバー３７によって覆わ
れている。

【００２８】さらに、前記発熱板１２には突出片３２
ａ，３２ｂ，３２ｃの各熱結合部３３及び発熱体３６
ａ，３６ｂ，３６ｃの左右両側部及び上部を覆うカバー
３８が設けられている。このカバー３８はジョー６の先
端側と基端側の２ヶ所で発熱板１２に固定されている。
カバー３８の材質は、ステンレス等の熱伝導性の悪いも
のの方が発熱板１２の放熱を防止できる。

【００２９】すなわち、ジョー６の先端側においては貫
通孔３４に横方向に貫通して設けられた固定ピン３９の
両端部にカバー３８が固定されている。ジョー６の基端
側においては固定板３５の両側面に対向してカバー３８
の両側面にねじ孔４０が設けられている。これらねじ孔
４０には固定ねじ４１が螺合され、２本の固定ねじ４１
の先端部で固定板３５を挟持している。固定ねじ４１の
先端部は円錐状で、固定板３５に点接触しており、発熱
板１２の熱が固定板３５及び固定ねじ４１を介してカバ
ー３８に伝導するのを防止している。

【００３０】カバー３８の左右両側縁部における下縁は
発熱板１２に当接しており、発熱板１２の突部３１のみ
がカバー３８から露出するようになっている。また、カ
バー３８の先端開口部は固定ピン３９に枢支固定された
キャップ４２によって覆われている。

【００３１】また、前記ジョー７の受け部材１３はゴム
等の柔軟性部材からなり、ジョー７の上面に設けられた
凹陥部４３の内部に収納されており、受け部材１３の把
持面は平坦面に形成されている。そして、滑り止め部１
３ａは受け部材１３の把持面より上方に突出している。
ジョー６，７の閉鎖時に、受け部材１３が発熱板１２で
押圧され、若干変形するように前記ストッパ１５は調整
されている。

【００３２】次に、前述のように構成された熱凝固切開
鉗子１の作用について説明する。まず、本体２の先端部
の処置部８を閉じた状態で図示しない血管等の被処置部
を含む生体組織Ｘに差し込む。その後、手元操作部１１
の手指挿入リング９，１０を開き、支点ピン５を支点と
して鋏構成部材３，４を回動させて一対のジョー６，７
を開くことにより、血管等の被処置部を他の生体組織Ｘ
から剥離して露出させる。

【００３３】続いて、剥離した血管等を各ジョー６，７
間で凝固処置に適する比較的小さい適正な加圧力で圧迫
した状態で把持する。この状態で、電源装置２１を出力
すると、コネクタケーブル２０を介してコネクタ１９、
リード線１８を介してジョー７の発熱板１２に設けられ
た発熱体３６ａ，３６ｂ，３６ｃに電流が通電される。
この通電時の電気抵抗により発熱体３６ａ，３６ｂ，３
６ｃが発熱し、発熱板１２の表面に接触している血管等
の被処置部の生体組織Ｘが凝固・切開される。

【００３４】このとき、ジョー６には３個の発熱体３６
ａ，３６ｂ，３６ｃが設けられ、各発熱体３６ａ，３６
ｂ，３６ｃには独立してリード線１８が接続されて電源
装置２１に接続されている。従って、各発熱体３６ａ，
３６ｂ，３６ｃを電源装置２１の設定手段２６によって
設定された発熱温度に独立して制御できる。すなわち、
発熱板１２の生体組織Ｘに接触している部分、例えば発
熱板１２の先端側の発熱量が低下し、温度が低下した場
合には、先端側の発熱体３６ａの抵抗値を検出して出力
部２３から発熱体３６ａへの出力を増す制御を行ない、
生体組織Ｘに接触していない部分、例えば発熱板１２の
基端側の発熱量が上昇した場合、基端側の発熱体３６ｃ
の出力を低下させる制御を行なうことができ、結果的に
発熱板１２の温度ムラを防止して凝固及び切開を迅速か
つ確実に行なうことができる。

【００３５】さらに、一対のジョー６，７によって生体
組織Ｘを把持する際、ジョー７にはジョー６側に突出す
る組織ストッパ１４が突設されているため、生体組織Ｘ
が一対のジョー６，７の基端側に奥深く進入するのを防
止することができる。

【００３６】また、手元操作部１１を構成する一方の手
指挿入リング９には他方の手指挿入リング１０側に突出
するストッパ１５が設けられているため、一対のジョー
６，７を閉鎖したとき、ストッパ１５がこれと対向する
ストッパ受け部材１６に当接し、一対のジョー６，７が
完全に閉鎖したことを確認でき、一対のジョー６，７の
全長に亘って生体組織Ｘを切開できる。

【００３７】さらに、発熱板１２の外表面及びカバー３
８の外表面にはテフロン（登録商標）コーティングがさ
れているため生体組織Ｘの貼りつきを防止することがで
きる。

【００３８】なお、発熱板１２は銅、銀、タングステン
等の熱伝導性のよい材質が望ましく、発熱体３６ａ，３
６ｂ，３６ｃは、薄膜抵抗加熱素子、セラミックヒータ
ー、カートリッヂヒーター、ＰＴＣヒーター等でもよ
い。

【００３９】また、受け部材１３の材質例を挙げると、
ゴム（シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレン
ゴム、ブチルゴム等）、ゲル（シリコンをベースとした
αゲル等）テフロンがある。また、鋸歯状の滑り止め部
１３ａにも生体組織Ｘの貼りつきを防止するため、テフ
ロンコーティングをしてもよい。

【００４０】図５は第２の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＦ−Ｆ線に沿う断
面図である。第１の実施形態と同一構成部分は同一番号
を付して説明を省略する。第１の実施形態においては、
ジョー６の発熱板１２における把持面及びジョー７の把
持面に互いに噛み合う鋸歯状の滑り止め部４４，４５を
設けたものである。発熱板１２の把持面は幅の広い平坦
面に形成され、凝固用に適した構造であり、他は第１の
実施形態と同様である。

【００４１】図６は第３の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＧ−Ｇ線に沿う断
面図、（ｃ）は（ａ）のＨ−Ｈ線に沿う断面図である。
第１の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明
を省略する。

【００４２】本実施形態においては、発熱板１２の上辺
部には長手方向に所定間隔で、しかも平面視で、千鳥状
に複数個、本実施形態においては３個の突出片４６ａ，
４６ｂ，４６ｃが設けられている。これら突出片４６
ａ，４６ｂ，４６ｃには横方向にすり割りが設けられ、
このすり割りによって熱結合部４７が形成されている。

【００４３】各熱結合部４７には発熱体３６ａ，３６
ｂ，３６ｃがその一部をすり割りの内部に挿入した状態
で熱結合固定されており、これら発熱体３６ａ，３６
ｂ，３６ｃにはそれぞれ独立して前述したリード線１８
が接続されている。さらに、リード線１８の先端部の導
電部は絶縁カバー３７によって覆われている。

【００４４】本実施形態においては、突出片４６ａ，４
６ｂ，４６ｃに横方向にすり割りが設けられ、このすり
割りによって熱結合部４７が形成されているため、ジョ
ー６の上下方向の肉厚を薄く構成できるとともに、発熱
体３６ａ，３６ｂ，３６ｃがジョー６の幅方向にオフセ
ットされているため、リード線１８の配線が容易に行な
えるという効果がある。

【００４５】図７は第４の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は発熱体ユニットの側面図で
ある。第１の実施形態と同一構成部分は同一番号を付し
て説明を省略する。

【００４６】本実施形態においては、発熱板１２の上面
には発熱基板４８が設けられ、この発熱基板４８には先
端部に向かって縦幅が漸次狭幅となるテーパ状の１つの
発熱体５０が設けられている。この発熱体５０には長手
方向に離間して複数個、本実施形態においては、３個の
発熱部４９ａ，４９ｂ，４９ｃが独立して設けられてい
る。これら発熱部４９ａ，４９ｂ，４９ｃは発熱基板４
８の幅に倣って先端側の発熱部４９ａが最も狭幅で、基
端側の発熱部４９ｃが最も広幅に形成され、これらは発
熱基板４８の通電回路５１に独立して電気的に接続され
ている。発熱基板４８の基端側においては、通電回路５
１がリード線１８と接続されており、この接続部は絶縁
カバー５２によって覆われている。

【００４７】本実施形態においては、発熱体５０の構成
が簡素化するとともに、発熱部４９ａ，４９ｂ，４９ｃ
が発熱基板４８の幅に倣って先端側の発熱部４９ａが最
も狭幅で、基端側の発熱部４９ｃが最も広幅に形成され
ているため、ジョー６の上下方向の肉厚を薄く構成でき
るとともに、リード線１８の接続が１ヶ所となり、配線
が容易に行なえるという効果がある。さらに、発熱体５
０がユニット化されているため、修理の際に発熱体ユニ
ット毎交換できるという効果もある。

【００４８】図８は第５の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線に沿う断
面図、（ｃ）は発熱板の拡大した断面図であり、第１の
実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略
する。本実施形態においては、発熱板１２は下端縁に向
かって狭幅となるテーパ状に形成され、この発熱板１２
の両側面にはジョー６の長手方向に離間して薄膜抵抗加
熱素子５３ａ，５３ｂ，５３ｃが設けられている。これ
ら薄膜抵抗加熱素子５３ａ，５３ｂ，５３ｃはジョー６
の基端側においてリード線１８と電気的に接続されてい
る。

【００４９】薄膜抵抗加熱素子５３ａ，５３ｂ，５３ｃ
は、発熱板１２の両側面に絶縁層５４、抵抗体５５及び
テフロンコーティング層５６の順に三層構造に形成され
ている。

【００５０】本実施形態によれば、リード線１８の接続
が１ヶ所となり、配線が容易に行なえるという効果があ
る。さらに、発熱板１２に薄膜抵抗加熱素子５３ａ，５
３ｂ，５３ｃが一体化されているため、修理の際に発熱
板１２毎交換できるという効果もある。また、薄膜抵抗
（半導体技術により製造）だけでなく、厚膜抵抗（印刷
法により製造）による素子でもよい。

【００５１】図９は第６の実施形態を示し、熱凝固切開
鉗子５７の平面図であり、第１の実施形態と同一構成部
分は同一番号を付して説明を省略する。本実施形態にお
いては、本体２の軸線に対して処置部８を構成する一対
のジョー６，７が左側に屈曲している。但し、構造簡略
化のため発熱板１２、カバー３８は直線形状である（破
線はカバーを示す）。本実施形態においては、ショー
６，７で生体組織Ｘを把持するとき、その把持状態を術
者が目視し易く、生体組織Ｘの把持が容易に行なえ、使
い勝手を向上できる。

【００５２】図１０は第７の実施形態を示し、内視鏡下
手術用の熱凝固切開鉗子の側面図である。手術器械とし
ての熱凝固切開鉗子６１はコネクタケーブル６２を介し
て電源装置（図示しない）に接続されている。熱凝固切
開鉗子６１は把持部駆動手段としての手元操作部６５、
挿入部６６、挿入部６６の先端に設けられた一対の把持
部６７，６８とから構成されている。

【００５３】手元操作部６５は、操作部本体７２と、操
作部本体７２と一体に設けられた固定ハンドル６９と、
操作部本体７２に枢支軸７０を支点として回動自在に設
けられた可動ハンドル７１とから構成されている。操作
部本体７２には回転操作部７３によって挿入部６６が軸
心を中心として回転可能に設けられている。

【００５４】挿入部６６は細径パイプによって形成さ
れ、この挿入部６６の内部には軸方向に進退自在な駆動
軸７４が内挿されている。駆動軸７の基端部は可動ハン
ドル７に連結され、先端部には一対の把持部６７，６８
が設けられている。把持部６７，６８は枢支ピン７５を
支点として開閉可能であり、可動ハンドル７１をａ方向
に回動すると、駆動軸７４が後退して一対の把持部６
７，６８が閉じ、ｂ方向に回動すると、駆動軸７４が前
進して一対の把持部６７，６８が開くようになってい
る。

【００５５】また、前記操作部本体７２にはコネクタ接
続部７６が設けられ、このコネクタ接続部７６にはコネ
クタケーブル６２のコネクタ７７が着脱自在に接続され
るようになっている。コネクタ接続部７６は駆動軸７４
に沿って把持部６７に設けられた発熱体（図示しない）
に電気的に接続されている。

【００５６】従って、手元操作部６５を把持し、固定ハ
ンドル６９に対して可動ハンドル７１を矢印ｂ方向に回
動すると、駆動軸７４が前進して把持部６７，６８が開
く。この状態で、熱凝固切開鉗子６１を前進させて、生
体組織Ｘの凝固切開部位を把持部６７，６８間に介在し
た状態で、可動ハンドル７１を矢印ａ方向に回動する
と、駆動軸７４が後退して把持部６７，６８が閉じる。
従って、第１の実施形態と同様に生体組織Ｘを凝固、切
開することができる。

【００５７】図１１は第８の実施形態を示し、（ａ）は
先端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＪ−Ｊ線に沿う
断面図であり、第１の実施形態と同一構成部分は同一番
号を付して説明を省略する。本実施形態においては、一
対のジョー６，７の両方に発熱手段を設けたものであ
る。ジョー７においては、柔軟性を有する受け部材１３
の下側に発熱板８０が設けられ、この発熱板８０に対し
て第１の実施形態と同様な構造で発熱体３６ａ，３６
ｂ，３６ｃが設けられている。

【００５８】本実施形態においては、一対のジョー６，
７によって生体組織Ｘを把持して凝固、切開する際に、
把持した両面側から生体組織Ｘを加熱することができ、
凝固、切開の効率が一層向上し、手術時間の短縮を図る
ことができる。

【００５９】図１２〜図１４は第９の実施形態を示し、
図１２（ａ）は手術器械の側面図、（ｂ）は先端部の上
面図、（ｃ）は先端部が閉鎖した状態の側面図、図１３
（ａ）は（ｂ）のＫ−Ｋ線に沿う断面図、（ｂ）は
（ａ）のＬ−Ｌ線に沿う断面図、図１４（ａ）は図１３
のＭ−Ｍ線に沿う断面図、（ｂ）はＮ−Ｎ線に沿う断面
図、（ｃ）はＯ−Ｏ線に沿う断面図、（ｄ）はＰ−Ｐ線
に沿う断面図であり、第１の実施形態と同一構成部分は
同一番号を付して説明を省略する。

【００６０】本実施形態においては、図１２に示すよう
に、熱凝固切開鉗子１００は、ストッパ１５の強度を考
慮して鋏構成部材３の長手方向の略中間位置に鋏構成部
材４方向に突出して設けられている。また、コネクタケ
ーブル２０は折れ止め部１０１に固定され、図示しない
コネクタを介して電源に接続されている。さらに、支点
ピン５は頭部を小型化して鋏構成部材３，４からの突出
を少なくしているとともに、手指挿入リング９，１０は
鋏構成部材３，４と別体で、確実に固定するため、少な
くとも２本のねじで固定されている。さらに、図１２
（ｂ）（ｃ）に破線丸で囲んで示すように、ジョー６，
７が閉じたとき、ジョー６，７の手元側は大きな段差・
隙間が生じないように構成されている。

【００６１】また、図１４に示すように、受け部材１３
はゴムライニングで成形されている。また、図１４
（ｂ）（ｃ）に示すように、ジョー７に設けられた突出
片３２ｂ，３２ｃには上方へ突出する固定板３５が一体
に設けられている。これら固定板３５に対向するねじ孔
４０には固定ねじ４１が螺合され、それぞれ２本の固定
ねじ４１の先端部で固定板３５を挟持固定している。す
なわち、カバー３８を複数箇所で固定することにより、
固定を確実にしている。さらに、図１４（ｄ）に示すよ
うに、組織ストッパ１４は構造の簡略化を図るために一
つの部品によって形成され、カバー３８には組織ストッ
パ１４を案内する凹溝３８ａが設けられている。

【００６２】なお、前記各実施形態においては、ジョー
に３個の発熱体をジョーの長手方向に離間して配置した
が、発熱体の数は限定されるものではない。

【００６３】前記実施の形態によれば、次のような構成
が得られる。

【００６４】（付記１）先端部に生体組織を把持する互
いに開閉自在な一対の把持部を有し、前記把持部の少な
くとも一方に発熱部を有し、前記発熱部により生体組織
を処置する手術器械において、前記発熱部に独立して制
御可能な複数の熱発生手段を設けたことを特徴とする手
術器械。

【００６５】（付記２）前記複数の熱発生手段は、独立
した発熱体であることを特徴とする付記１記載の手術器
械。

【００６６】（付記３）前記複数の熱発生手段は、独立
した複数の発熱領域を有する単一の発熱体であることを
特徴とする付記１記載の手術器械。

【００６７】（付記４）前記熱発生手段は、薄膜抵抗加
熱素子であることを特徴とする付記１記載の手術器械。

【００６８】（付記５）前記熱発生手段は、厚膜抵抗加
熱素子であることを特徴とする付記１記載の手術器械。

【００６９】（付記６）前記熱発生手段は、セラミック
ヒーターであることを特徴とする付記１記載の手術器
械。

【００７０】（付記７）前記熱発生手段は、ＰＴＣヒー
ターであることを特徴とする付記１記載の手術器械。

【００７１】（付記８）前記熱発生手段は、カートリッ
ジヒーターであることを特徴とする付記１記載の手術器
械。

【００７２】（付記９）先端部に生体組織を把持する互
いに開閉する一対の把持部と、前記把持部を開閉する互
いに開閉する操作部と、前記把持部の一方に設けられた
発熱部とを有し、前記発熱部により生体組織を処置する
手術器械において、前記把持部の他方に設けられ前記発
熱部に当接する柔軟性部材からなる受け部材と、前記受
け部材の少なくとも一部が変形する位置で、前記把持部
の閉鎖載置を停止させるストッパ手段とを具備したこと
を特徴とする手術器械。

【００７３】（付記１０）前記ストッパ手段が操作部に
設けられ、把持部の閉鎖位置を調整可能であることを特
徴とする付記９記載の手術器械。

【００７４】（付記１１）前記ストッパ手段は、ねじ部
材であることを特徴とする付記１０記載の手術器械。

【００７５】（付記１２）先端部に生体組織を把持する
互いに開閉する一対の把持部を有し、把持部は生体組織
に接触する発熱部を有し、発熱部により生体組織を処置
する手術器械において、前記発熱部は発熱部より表面積
の小さい接続部で把持部に接続されていることを特徴と
する手術器械。

【００７６】（付記１３）前記接続部は発熱部から延び
た板状部材であることを特徴とする付記１２記載の手術
器械。

【００７７】（付記１４）前記接続部と把持部の少なく
とも1ヶ所はねじ部材で接合されていることを特徴とす
る付記１２記載の手術器械。

【００７８】（付記１５）先端部に生体組織を把持する
互いに開閉する一対の把持部を有し、各把持部は生体組
織に接触する発熱部を有し、発熱部により生体組織を処
置する手術器械において、前記発熱部は少なくとも一方
を柔軟性部材としたことを特徴とする手術器械。

【００７９】（付記１６）前記柔軟性部材は、合成樹脂
であることを特徴とする付記１５記載の手術器械。

【００８０】（付記１７）前記柔軟性部材は、熱伝導率
の良いゴムであることを特徴とする付記１５記載の手術
器械。

【００８１】（付記１８）前記柔軟性部材は、エポキシ
樹脂であることを特徴とする付記１５記載の手術器械。

【００８２】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、先端部に生体組織を把持する互いに開閉自在な一対
の把持部を有し、この把持部の少なくとも一方に発熱部
に独立して制御可能な複数の熱発生手段を設けることに
より、把持部における温度ムラを防止し、生体組織を迅
速かつ確実に凝固しながら切開でき、手術時間を短縮で
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施形態の熱凝固切開鉗子を
示し、（ａ）は先端部を開いた状態の側面図、（ｂ）は
上面図、（ｃ）は先端部を閉じた状態の側面図、（ｄ）
は（ａ）のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図２】同実施形態の先端部を示し、（ａ）は縦断側面
図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【図３】同実施形態を示し、（ａ）は図２のＣ−Ｃ線に
沿う断面図、（ｂ）は図２のＤ−Ｄ線に沿う断面図、
（ｃ）は図２のＥ−Ｅ線に沿う断面図、（ｄ）は生体組
織Ｘを把持したときの図２のＤ−Ｄ線に沿う断面図。

【図４】同実施形態の電源装置の電気回路図。

【図５】この発明の第２の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＦ−Ｆ線に沿う断
面図。

【図６】この発明の第３の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＧ−Ｇ線に沿う断
面図、（ｃ）は（ａ）のＨ−Ｈ線に沿う断面図。

【図７】この発明の第４の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は発熱体ユニットの側面図。

【図８】この発明の第５の実施形態を示し、（ａ）は先
端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線に沿う断
面図、（ｃ）は発熱板の拡大した断面図。

【図９】この発明の第６の実施形態を示し、熱凝固切開
鉗子の平面図。

【図１０】この発明の第７の実施形態を示し、内視鏡下
手術用の熱凝固切開鉗子の側面図。

【図１１】この発明の第８の実施形態を示し、（ａ）は
先端部の縦断側面図、（ｂ）は（ａ）のＪ−Ｊ線に沿う
断面図。

【図１２】この発明の第９の実施形態を示し、（ａ）は
手術器械の側面図、（ｂ）は先端部の上面図、（ｃ）は
先端部が閉鎖した状態の側面図。

【図１３】同実施形態を示し、（ａ）は（ｂ）のＫ−Ｋ
線に沿う断面図、（ｂ）は（ａ）のＬ−Ｌ線に沿う断面
図。

【図１４】同実施形態を示し、（ａ）は図１３のＭ−Ｍ
線に沿う断面図、（ｂ）はＮ−Ｎ線に沿う断面図、
（ｃ）はＯ−Ｏ線に沿う断面図、（ｄ）はＰ−Ｐ線に沿
う断面図。

【符号の説明】

１…熱凝固切開鉗子６，７…ジョー（把持部）８…処置部１２…発熱板１３…受け部材３６ａ，３６ｂ，３６ｃ…発熱体（熱発生手段）

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成１２年１２月５日（２０００．１２．
５）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００５０

【補正方法】変更

【補正内容】

【００５０】本実施形態によれば、リード線１８の接続
が１ヶ所となり、配線が容易に行なえるという効果があ
る。さらに、発熱板１２に薄膜抵抗加熱素子５３ａ，５
３ｂ，５３ｃが一体化されているため、修理の際に発熱
板１２毎交換できるという効果もある。また、薄膜抵抗
（半導体技術により製造）だけでなく、厚膜抵抗（印刷
法、メッキ法等により製造）による素子でもよい。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】先端部に生体組織を把持する互いに開閉
自在な一対の把持部を有し、前記把持部の少なくとも一
方に発熱部を有し、前記発熱部により生体組織を処置す
る手術器械において、前記発熱部に独立して制御可能な複数の熱発生手段を設
けたことを特徴とする手術器械。