JP4593241B2 - 発熱素子、およびそれを用いた医療用処置具 - Google Patents

発熱素子、およびそれを用いた医療用処置具 Download PDF

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Description

本発明は、発熱素子と、該発熱素子を発熱させて生体組織の処置を行う医療用処置具に関する。
従来より、発熱素子を用いて生体組織を加熱し、生体組織の凝固などを行う医療処置具がある。例えば、基端部に配置された枢支部を介して開閉する一対のジョーを有する手術機器および発熱素子が特許3523839号公報に開示されている。この発熱素子および手術器機について図17〜図19を参照して説明する。
図17には、一対のジョーの先端部の断面図、図18には、図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図がそれぞれ示している。同図に示すように、手術器機の一対のジョー406,407の内、一方のジョー406の先端部寄りの内部に、図18に示すように、発熱板412が下端縁に向かって狭幅となるテーパ状に形成されている。尚、発熱板412の露出部分は、生体組織を加熱して、凝固、切開等の処理する際の処置面を構成している。
発熱板412の露出部の周面、即ち処置面に、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cが設けられている。該薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cは、図17に示すように、一方のジョー406の基端側においてリード線418と電気的に接続されている。
図19に、図18の発熱板412の拡大図を示す。同図に示すように、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cは、発熱板412に、絶縁層454、発熱部である抵抗体455、保護膜457、テフロン(登録商標)コーティング層456の順に、内部から四層構造となるよう重畳されて形成されている。
このように、構成された手術器機は、発熱板412に設けられた薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cの抵抗体455が、図示しない電力供給装置により電力が供給されて発熱することを利用して、生体組織を加熱して該生体組織の凝固、切開などを行うようになっている。
ここで、発熱412は、銅、銀、タングステンなどの熱伝導性の良い材料が好ましく、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cは、発熱板412と絶縁層454によって電気的に絶縁されている。
しかしながら、前記公報に記載の発熱素子は、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cが、発熱板412と絶縁層454により電気的に絶縁されており、発熱板412、すなわちいわゆる基板に対して電気的にフローティング状態となっている。仮に、静電気などが不用意に加わると、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cと発熱板412との間には数千ボルト以上となりうる電位差が発生する。発熱板412はフローティング状態であるため、絶縁層454は破壊され、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cと発熱板412が通電し、薄膜抵抗加熱素子453a,453b,453cは電気的回路構成素子として支障をきたしてしまう。場合によっては、薄膜抵抗加熱素子が破壊され、発熱素子としての機能を失い、手術機器として使用できなくなる可能性があった。
本発明は前述した点に鑑みてなされたものであり、静電気耐性を有した高信頼性のある発熱素子、および該発熱素子を用いた医療用処置具を提供することを目的にしている。
本発明の発熱素子は、導電体からなり接地された基板と、該基板の表面を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記基板上に形成された薄膜抵抗からなり、かつ該薄膜抵抗に電力が供給されることにより発熱する発熱体とを備えた発熱素子において、前記発熱体の形成された前記絶縁膜上に形成された絶縁体の保護膜と、前記保護膜上に設けられた第1のスルーホールに形成され、前記発熱体の一端が接続された第1の電極パッドを有する第1の電極部と、前記保護膜上に設けられた第2のスルーホールに形成され、前記発熱体の他端が接続された第2の電極パッドを有する第2の電極部と、前記保護膜及び前記絶縁膜に設けられた第3のスルーホールに形成され、前記基板と接続された第3の電極パッドを有する第3の電極部と、を有し、前記第2の電極部と前記第3の電極部は、電気的に接続されている
また、本発明の発熱素子は、導電体からなり接地された基板と、該基板の表面を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記基板上に形成された薄膜抵抗からなり、かつ該薄膜抵抗に電力が供給されることにより発熱する発熱体とを備えた発熱素子において、前記発熱体の形成された前記絶縁膜上に形成された絶縁体の保護膜と、前記保護膜上に設けられた第1のスルーホールに形成され、前記発熱体の一端が接続された第1の電極パッドを有する第1の電極部と、前記保護膜上に設けられた第2のスルーホールに形成され、前記発熱体の他端が接続された第2の電極パッドを有する第2の電極部と、前記保護膜に設けられた第3のスルーホールに形成され、第3の電極パッドを有する第3の電極部と、を有し、前記第2の電極部と前記第3の電極部は、前記発熱体と同材料の薄膜を介して、電気的に接続される。
本発明によれば、高い静電気耐性を有した高信頼性のある発熱素子、および該発熱素子を用いた医療用処置具を実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は発熱素子の発熱部の構成を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線に沿った断面図、図3は、図1の発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図、図4は、図1および図3の変形例に係る発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図である。
図1及び図2に示すように、発熱素子1は、例えば高融点金属であるモリブデンからなる基板2と、この基板2の表面に形成された酸化物や窒化物または有機絶縁体などからなる絶縁膜3と、この絶縁膜3に形成された貴金属、ニッケルクロム、シリコンまたは高融点金属であるモリブデンあるいはタングステンなどの薄膜抵抗からなる発熱体4と、この発熱体4を覆うように形成された酸化物、窒化物または有機絶縁体などからなる保護膜5と、前記発熱体4および基板2と外部との電気的な接続をそれぞれ行うための発熱体電極部7a,7aおよび基板電極部7bとから構成される。
図2に示すように、前記発熱体電極部7a,7aは、前記発熱体4の両端部上に位置する前記保護膜5に各スルーホールを設け、これらスルーホールに形成した電極パッド6,6を有している。従って、前記発熱体電極部7a,7aは、それぞれの両端部において、電極パッド6,6により、前記発熱体4と電気的に接続されている。一方、前記発熱体4は、前記絶縁膜3により前記基板2と絶縁性を保っている。
また、前記基板電極部7bは、基板電位印加用の独立した電極部で、例えば発熱体電極部7a,7aと並列した位置に設けられている。この基板電極部7bは、前記基板2上の前記絶縁膜3および前記保護膜5にスルーホールを設け、このスルーホールに形成した電極パッド6を有している。従って、前記基板電極部7bは、前記電極パッド6により、前記基板2と電気的に接続されている。
尚、前記電極パッド6としては、ワイヤリングに適した部材、例えば銅などが望ましい。また、前記基板電極部7bの配置位置は、前述の例に限らず、スペースや工作性を考慮し適宜選択すればよい。
次に、発熱素子1の製造方法について簡単に説明する。
まず、モリブデンにより構成された基板2上の全面にわたって、窒化シリコン膜により構成された絶縁膜3を、例えば低圧化学的気相成長法(Low Pressure Chemical Vapor Deposition:LP-CVD)により、略1.5μmの厚みに堆積させて形成する。尚、絶縁膜3は、窒化シリコン膜に限らず、他の無機系絶縁膜または有機系絶縁膜でもよい。さらに、膜の形成方法は、印刷,塗布等でも良い。また、絶縁膜3は、基板2の材料および発熱体4の材料と熱膨張係数が近い材料であることが望ましい。
次に、基板電極部7bとなる領域にフォトエッチングを用いて、絶縁膜3のスルーホールを形成する。
続いて、基板電極部7bとなる領域を除く絶縁膜3上に、発熱体4を所望の形状に形成する。発熱体4の形成方法としては、蒸着またはスパッタリングを行う際、絶縁膜3上において、例えばコの字状にパターニングされたマスクを用い、貴金属、ニッケルクロム、シリコンまたは高融点金属であるモリブデン、タングステンの堆積とパターニングとを同時に行う方法がある。あるいは発熱体4の形成には、絶縁膜3上の全面に、貴金属、ニッケルクロム、シリコンまたは高融点金属であるモリブデン、タングステンを堆積した後に、例えばコの字状にフォトエッチングする方法等を用いてもよい。
さらに全面に渡って、窒化シリコン膜から構成される保護膜5が、例えばLP−CVDにより、ほぼ1.5μmの厚みに堆積させて形成される。尚、保護膜5は、絶縁膜3と同様に、窒化シリコン膜に限らず、他の無機系絶縁膜または有機系絶縁膜でもよいし、膜の形成方法は、印刷,塗布等でも良い。また、保護膜5も、絶縁膜3と同様に、基板2の材料および発熱体4の材料と熱膨張係数が近い材料であることが望ましい。
次に、発熱体電極部7a,7aおよび基板電極部7bとなる領域に、フォトエッチングを用いて、発熱体4上の保護膜5にスルーホールをそれぞれ形成する。
さらに、前記保護膜5の各スルーホールを覆うように、例えば銅により電極パッド6を形成する。尚、電極パッド6の形成には、蒸着、スパッタリング、またはめっきの際、所望の形状にパターニングされたマスクを用いて銅の堆積とパターニングを同時に行う方法がある。あるいは電極パッド6は、保護膜5の全面に銅を堆積した後に、所望の形状にフォトエッチングする方法により形成することもできる。
以上の工程を経て、図1に示す発熱素子1が完成する。
続いて、発熱素子1の具体的な回路構成つまり電力供給方法と接地について、図3を参照して説明する。
まず、発熱体電極部7a,7aおよび基板電極部7bの各電極パッド6に、ワイヤ9をそれぞれ接合固定する。発熱体電極部7aの一方および基板電極部7bは、それぞれワイヤ9を介して接地電位Eとする。つまり、発熱体4の一端と基板2は、ワイヤリングにて接地電位Eに固定される。他方の発熱体電極部7aと接地電位Eとの間には、電力供給するための直流電源Vvを接続する。尚、ワイヤ9としては、銀あるいは錫めっきした軟銅線が好ましい。
このような構成により、仮に静電気が不用意に発熱素子1に加わった場合でも、静電電荷は発熱体4の一端を介して基板2に放電される。そのため、絶縁膜3には静電気による電位差は発生せず、発熱素子1は保護されて静電気耐性が向上する。従って、発熱素子1の静電破壊を防ぐことができ、破壊されにくくなると共に、寿命が延びて信頼性も向上する。 尚、本実施の形態では、基板2として高融点金属のモリブデンを使用したが、これには限定されず、タングステン、チタンあるいはタンタルなどでも良い。また、電極パッド6として銅を用いたが、ニッケル又は金でも良い。
さらに尚、本実施の形態において、電極パッド6のみを形成した基板電極部7bを、図2とは異なる構成に代えても良い。例えば、絶縁膜3にスルーホールを設けた後、発熱体電極部7aと同様に発熱体4と同材料の層を形成し、その上部に電極パッド6を設ける。すなわち、電極パッド6は発熱体4と同材料の薄膜を介して、基板2と接続されるようにしてもよい。
また、基板電極部7bは基板2の表面に形成されているが、基板2の露出部分を利用しても良い。例えば、図4に示す変形例がある。図4に示すように、基板2の側面である露出部分に、導電性接合剤8などを用いてワイヤ9を接合固定し、基板電極との導通をとるようにしてもよい。尚、導電性接合剤8としては、はんだ、ロウ材もしくは導電性テープなどがあり、基板2の材質によって適宜使い分けることができる。
(第2の実施の形態)
図5ないし図7は本発明の第2の実施の形態に係り、図5は発熱素子の発熱部の構成を示す斜視図、図6は、図5中のB−B線に沿った断面図、図7は、図5の発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図である。
図5に示す発熱素子1Aは、第1の実施の形態における基板電極部7bを除くと共に、発熱体電極部7aの一方に代えて、発熱体基板電極部7cを有している。その他、第1の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
前記発熱体基板電極部7cは、外部と、前記発熱体4の一端および前記基板2とを電気的に接続する役割を兼務している電極部である。また、前記発熱体電極部7aは、前記発熱体4の他端と外部とを電気的に接続する役割を担っている。
前記発熱体電極部7aは、保護膜5に形成されたスルーホールに設けられかつ、ワイヤリングに適した部材例えば銅からなる電極パッド6により、発熱体4の他端と電気的に接続されている。
一方、前記発熱体基板電極部7cは、ワイヤリングに適した部材、例えば銅からなる電極パッド6を有している。この電極パッド6は、基板2上の絶縁膜3に形成されたスルーホールおよび前記基板2の露出面に発熱体4を形成し、さらに前記発熱体4上の保護膜5にスルーホールを設け、このスルーホールおよび前記発熱体4の露出面に形成する。従って、前記発熱体基板電極部7cは、前記電極パッド6により、前記発熱体4を介して前記基板2と電気的に接続されている。以上のことから、薄膜抵抗である発熱体4は、その他端から一端部にある発熱体基板電極部7c手前までは、絶縁膜3により、基板2と絶縁性を保つように隔てられている。その一方で発熱体4は、その一端部にある発熱体基板電極部7cにおいて、基板2と電気的に接続されている。
次に、発熱素子1Aの製造方法について簡単に説明する。
まず、モリブデンにより構成された基板2上の全面にわたって、窒化シリコン膜により構成された絶縁膜3を、第1の実施の形態と同様に形成する。
この後、発熱体基板電極部7cとなる領域にフォトエッチングを用いて、絶縁膜3に一つのスルーホールを形成する。
次に、発熱体4が、絶縁膜3およびこの絶縁膜3のスルーホール上に、第1の実施の形態と同様の方法および材料を用いて形成される。発熱体基板電極部7cとなる領域において、こうして形成された発熱体4の一端と、基板2とは、電気的に接続されることになる。
さらに保護膜5も、全面に渡って第1の実施の形態と同様に形成される。
発熱体電極部7aおよび発熱体基板電極部7cとなる領域にフォトエッチングを用いて、発熱体4上の保護膜5に、2つのスルーホールを第1の実施の形態と同様に形成する。
次に、保護膜5の2つのスルーホール、および発熱体4の各露出面を覆うように、例えば銅により電極パッド6,6を第1の実施の形態と同様に形成する。
以上の過程を経て、図5に示す発熱素子1Aが完成する。
続いて、発熱素子1Aの具体的な回路構成つまり電力供給方法と接地について、図7を参照して説明する。
まず、発熱体電極部7aおよび発熱体基板電極部7cの各電極パッド6に、ワイヤ9をそれぞれ接合固定し、発熱体基板電極部7cを接地電位Eとする。つまり、発熱体4の一端と基板2とは、共通の電極パッド6を介して接地電位Eに固定される。他方の発熱体電極部7aと接地電位Eとの間には、直流電源Vvを接続する。尚、ワイヤ9としては、銀あるいは錫めっきした軟銅線が好ましい。
以上述べた図5の構成では、仮に静電気が不用意に発熱素子1に加わった場合でも、静電電荷は、発熱体基板電極部7cにおいて、つまり発熱体4の一端を介して基板2に放電される。そのため、絶縁膜3には静電気による電位差は発生せず、発熱素子1は保護されて静電気耐性が向上する。従って、発熱素子1の静電破壊を防ぐことができ、破壊されにくくなると共に、寿命が延びて信頼性も向上する。
また、独立した基板電極部7bを設けた第1の実施の形態とは異なり、本実施の形態では、発熱体4の一端の電極パッド6と基板電極部とを共通にしている。従って、ワイヤリングの本数が少なくて済み、実装工程が簡略化されると共に、小型化が図れる。
尚、本実施の形態では、基板2として高融点金属のモリブデンを使用したが、これには限定されず、タングステン、チタンあるいはタンタルなどでも良い。また、電極パッド6として銅を用いたが、ニッケルあるいは金でも良い。
また、基板にスペースの余裕を持たせることが可能ならば、電極部7a,7cに加えて、独立した基板電極部を設けても良い。
以上、第1および第2の実施の形態で説明した単体の発熱素子が、基本の発熱チャネルとなる。この基本の発熱チャネルが、後述する複数の発熱部を備えた発熱素子、あるいは医療用処置具における発熱素子の基本の発熱チャネルとして、利用され応用される。以下、基本の発熱チャネルの利用、応用に関する実施の形態について説明する。
(第3の実施の形態)
図8ないし図10、および図2は第3の実施の形態に係り、図8は発熱素子の発熱部の構成を示す斜視図、図9は、図8中のC−C線に沿った断面図、図10は、図8の発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図である。尚、図8中のA−A線に沿った断面図は、図2と同様である。
本実施の形態の発熱素子1Bは、複数の発熱チャネルを備えた点が、第1、第2の実施の形態と異なる。その他、第1、第2の実施の形態と同様の構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、発熱素子1Bは、ほぼ直方体に形成されており、その一端に前記基板電極部7bを配置した凸部1bを、側端部に連結した形状となっている。この発熱素子1Bには、発熱チャネル10c,10aとが、発熱素子1Bの長手方向に沿って配置されている。
前記発熱チャネル10aは、第1の実施の形態で述べた発熱素子1と同様の構成になっている。
一方、前記発熱チャネル10cは、第2の実施の形態の発熱体基板電極部7cに代えて、発熱体基板接続部7dが設けられている構成のみが異なる。図9に示す前記発熱体基板接続部7dは、電極パッド6を除き、さらにその電極パッド6を除いた部分を保護膜5で覆っている点が、図6に示す構成と異なっている。
発熱チャネル10cの他端は、前記発熱体電極部7aとしての電極パッド6により外部に電気的に接続できるようになっている。また、発熱チャネル10cの一端は、発熱体基板接続部7dである。この発熱体基板接続部7dでは、基板2上の絶縁膜3に設けたスルーホールの周囲にある絶縁膜3上、および基板2の露出面において、発熱体4が形成されている。従って、前記発熱体基板接続部7dにおいて、基板2と発熱体4とが電気的に接続されている。尚、前記発熱体基板接続部7dは、前記発熱体4の上に形成した前記保護膜5により覆われている。
次に、前述のように構成された発熱素子1Bの製造方法について簡単に説明する。
まず、モリブデンにより構成された基板2上の全面にわたって、窒化シリコン膜により構成された絶縁膜3を、第1の実施の形態と同様に形成する。
この後、基板電極部7bおよび発熱体基板接続部7dとなる領域にフォトエッチングを用いて、絶縁膜3に2つのスルーホールを形成する。
次に、発熱体4が、絶縁膜3およびこの絶縁膜3の一つのスルーホールとその周囲に、第1の実施の形態と同様に形成される。この工程により、発熱体基板接続部7dにおいて、発熱体4の一端と基板2とが電気的に接続されることになる。
さらに保護膜5が、絶縁膜3および発熱体4を含め全面に渡って、第1の実施の形態と同様に形成される。続いて、保護膜5には、発熱体電極部7aおよび基板電極部7bとなる領域に、フォトエッチングを用いて、スルーホールを4つ、第1の実施の形態と同様に形成する。
さらに、保護膜5に設けられた4つのスルーホールを覆うように、例えば銅により4つの電極パッド6を第1の実施の形態と同様に形成する。この工程により、発熱体電極部7a,7aおよび基板電極部7bが形成される。
以上の過程を経て、図8に示す発熱素子1Bが完成する。
続いて、発熱素子1Bの具体的な回路構成つまり電力供給方法と接地について、図10を参照して説明する。
まず、発熱チャネル10aは、第1の実施の形態と同様に、2つの発熱体電極部7aおよび基板電極部7bの各電極パッド6に、ワイヤ9をそれぞれ接合固定し、基板電極部7bおよび一方の発熱体電極部7aを接地電位Eとする。つまり、発熱体4の一端と基板2は、接地電位Eに固定される。他方の発熱体電極部7aと接地電位Eとの間には、直流電源Vvを接続する。
発熱チャネル10cは、発熱体電極部7aの電極パッド6にワイヤ9を接合固定し、発熱体電極部7aと接地電位Eとの間には、直流電源Vvを接続する。また、発熱チャネル10cの発熱体基板接続部7dにおいて、発熱体4の一端は、基板2と直接電気的に接続されているため、接地電位Eに固定されることになる。
尚、発熱チャネル10cの発熱体電極部7aと、発熱チャネル10aの発熱体電極部7aのうち、直流電源Vvを接続する電極部は、共通にして、直流電源Vvを接続しても良い。また、ワイヤ9としては、銀あるいは錫めっきした軟銅線が好ましい。
以上述べた図8の構成では、仮に静電気が不用意に発熱素子1Bに加わった場合でも、発熱体電極部7aと基板電極部7bをワイヤ9で接続することにより、発熱チャネル10aにおいて、静電電荷は、第1の実施の形態で述べたように、発熱体4の一端を介して基板2に放電される。また、発熱チャネル10cにおいても、静電電荷は、発熱体基板接続部7dの発熱体4の一端を介して基板2に放電される。そのため、絶縁膜3には静電気による電位差は発生せず、発熱素子1は保護されて静電気耐性が向上する。従って、発熱素子1Bの静電破壊を防ぐことができ、破壊されにくくなると共に、寿命が延びて信頼性も向上する。 さらに、発熱チャネル10a,10cを用いることにより、基板電位をとる電極は一つで済むと共に、発熱チャネル10c側での発熱素子幅を小さくできるため、小型化できる。さらに、ワイヤリングの本数が一本少なくて済み、実装工程が簡略化できる。
尚、本実施の形態では、発熱チャネルの一つとして、第1の実施の形態に示す発熱素子1を用いたが、第2の実施の形態に示す発熱素子1Aに代えても良い。この構成においては、基板電極部7bの分のスペースが不要となり、さらに小型化できる。
(第4の実施の形態)
図11は第4の実施の形態に係る発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図である。尚、図11中、B−B線に沿った断面は図6と同様であり、C−C線に沿った断面は図9と同様ある。
本実施の形態の発熱素子1Cは、三つの発熱チャネルを備えた点が、第3の実施の形態と異なる。その他、第2、第3の実施の形態と同様の構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、前記発熱素子1Cは、細い幅でほぼ直方体をなし、発熱チャネル10c,10c,10bを長手方向に沿って配置している。ここで、発熱チャネル10cは、第3の実施の形態に示す発熱素子1Bに対して、並列に配置された電極パッド6の一方がない分、細い幅に形成できる。また前記発熱素子1Cは、その一面(図11では紙面に向かって上側の面)に前記発熱体電極部7a,7cを並列に配置するため、凸部1cを側端部に連結した形状となっている。
前記発熱チャネル10bは、第2の実施の形態で述べた発熱素子1Aと同様の構成になっている。また前記発熱チャネル10c,10cは、第3の実施の形態で述べた発熱チャネル10cと同様の構成になっている。このため、製造法を含めて同じ点については説明を省略する。
電力の供給にあたって、発熱チャネル10bの一端の発熱体基板電極部7cは接地電位Eとし、接地電位Eと発熱チャネル10bの他端である発熱体電極部7aとの間に、前記直流電源Vvを接続する。発熱体基板電極部7cは電極パッド6および発熱体4の一端を介して、基板2と電気的に接続され、基板電位と同電位となっている。さらに、発熱体基板電極部7cつまり発熱チャネル10bの一端と、基板2とが共通に接地電位Eに固定されている。
一方、2つの発熱チャネル10cのそれぞれの一端にある発熱体電極部7aと、接地電位Eとの間にも、それぞれ直流電源Vvを接続する。さらに、2つの発熱チャネル10cのそれぞれの他端にある発熱体基板接続部7dにおいては、図9のように前記発熱体4と前記基板2とが電気的に接続され、基板電位と同電位となっている。さらに、各発熱体基板接続部7dは、つまり2つの発熱チャネル10cの各一端が、前記基板2および発熱体基板電極部7cを介して、接地電位Eに固定されている。
以上のように、発熱チャネル10b,10c,10cのいずれの一端も、基板電位と同電位にあり、さらに図11に示すように接地電位Eに固定されることになる。
このような構成により、基板電位のみとする構成も、または接地電位Eに固定する構成も、第2、第3の実施の形態と同じ作用、効果が得られ、同様の点については詳しい説明を省略する。
第1ないし第3の実施の形態と同様に、仮に静電気が、少なくともいずれかの発熱チャネルに加わる事態となっても、静電電荷は発熱体4の一端を介して、基板2に放電される。そのため、絶縁膜3には静電気による電位差は発生せず、発熱素子1は保護されて静電気耐性が向上する。従って、発熱素子1Bの静電破壊を防ぐことができ、破壊されにくくなると共に、寿命が延びて信頼性も向上する。
また、第3の実施の形態に比べて、基板電極部の一つが不要となるため、さらなる小型が図れる。
尚、本実施の形態では、独立した基板電極部を設けず、発熱チャネルの一端と基板電位を共通にできる発熱体基板電極部7cを設けている。この他に独立した基板電極部7bを設けても良い。
前述の第3および第4の実施の形態では、複数の発熱チャネルを用いた発熱素子について述べた。発熱チャネルの組み合わせとしては、前述の構成には限定されない。基板電位の接地が可能で、かつ個々の発熱チャネルの一端と基板電位が同電位となる組み合わせであれば、個数に関係なく、どのような発熱チャネルを用いても良い。ここで、前記発熱チャネル10cは、その一端が、発熱素子1B、1Cの内部で基板2と電気的に接続されているのみで、発熱体4の上面が保護膜5で被覆されている。このため、上面からは基板電位の接地はできない。これに対して、前記発熱チャネル10cの構成に加えて、発熱素子1B、1Cの基板2に、電極部7a,7dと独立した前記基板電極部7bを設け、この基板電極部7bを介して接地電位に固定するようにしてもよい。 また、発熱素子を設ける例えば処置具において、発熱素子基板にスペースの余裕を持たせることが可能ならば、独立した基板電極部7bを複数設けても良い。この構成では、より安定した基板電位の固定が可能となる。
さらに、前述した各実施の形態では、発熱素子または発熱チャネルの一端、および基板電位を接地電位Eに固定したが、必ずしも接地電位とする必要はない。静電気などが発熱素子に印加された場合でも、静電電荷が基板に放電され、少なくとも静電破壊が生じない程度に電位差が解消される電位であればよい。
(第5の実施の形態)
本第5の実施の形態は、第1ないし第4の実施の形態で述べた発熱素子を適宜組み合わせた発熱素子を用いた医療用処置具に関する。
図12ないし図16は第5の実施の形態に係り、図12は医療用処置具である開腹手術用熱凝固切開鉗子および電源装置からなる処置装置の構成を示す正面図、図13は、図12に示す開腹手術用熱凝固切開鉗子の先端部の断面図、図14は、図12中のV−V線に沿う断面図、図15は、図12の発熱素子を示した拡大斜視図、図16は、図15中のU−U線に沿う断面図である。
図15に示すように、発熱素子1Dは、その断面がおおよそT字形状をしていると共に、長手方向(以下、主軸と称す)に例えば自由曲面形状である湾曲形状をなして形成されている。また前記発熱素子1Dは、主軸に沿って、一端部から中途にかけてほぼ同一の幅を有して前記湾曲形状をなし、かつ中途から他端部手前にかけて幅が拡幅となるゆるやかなテーパ状をなし、さらに他端部手前から他端部にかけてほぼ同一の幅をなした基板2Dを有している。
尚、前記基板2Dは、形状が異なるのみで第1の実施の形態の基板2と同様の構成である。また、前記発熱素子1Dは、第1の実施の形態とほぼ同様に構成された発熱チャネル10aと、主に発熱体4の形状が第3の実施の形態と異なる発熱チャネル10cとを有している。その他、第1、第3の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、製造方法も同様なので省略する。
前記発熱素子1Dは、図15に示す二点鎖線の領域内に形成された発熱チャネル10aと、二点鎖線の領域外に形成された発熱チャネル10cとが組み合わされた構成となっている。発熱チャネル10aと発熱チャネル10cの各電極パッド6は、主軸の一端側に集めて配置されている。尚、発熱チャネルの組み合わせや発熱体の形状は、一例に過ぎず、図15の構成に限定されるものではない。
前記発熱チャネル10aは、主軸に沿って中途から他端部の手前あたりにかけて位置し、かつ幅方向中央あたりに配置されている。
前記発熱チャネル10cは、領域10ctと領域10cwとからなる。この発熱チャネル10cの領域10ctは、発熱チャネル10aの発熱体4および発熱体電極部7a,7aの周囲を囲み、かつ領域10cwの発熱体4より太い幅の発熱体4を有している。
また前記発熱チャネル10cの領域10cwは、主軸の中途にて前記領域10ctと連結し、かつ領域10ctの発熱体4より細い幅の発熱体4を有している。前記領域10cwの発熱体4は、主軸に沿って中途から一端部に渡り、さらに折り返して一端部から中途にかけて形成されている。前記領域10cwを構成する発熱体4の端部には、つまり主軸中途において、電極を持たない前記発熱体基板接続部7dが形成されている。
ここで、発熱チャネル10cにおいて、図15に示す領域10ctを構成する発熱体4の幅tw1とtw2の合計幅は、領域10cwを構成する発熱体4の幅wに対して十分に大きくしている。このような形状とするのは、発熱チャネル10cの領域10cwにおける発熱体4の抵抗値を上げて、領域10cwでの発熱を容易にするためである。また、発熱チャネル10cの領域10cwを構成する発熱体4と、発熱チャネル10aとは、発熱素子1D内の温度分布にできるだけ偏りが起きないように、発熱素子1Dの主軸の中心側に配置している。
図15に示す発熱チャネル10aは、基板2Dの他端部近傍に、2つの発熱体電極部7aの2つの電極パッド6を並列に配置している。前記発熱チャネル10aは、第1の実施の形態と異なり、基板電極部7bの電極パッド6を発熱体電極部7a,7aから離し、基板2の他端部寄りに配置している。第1の実施の形態のように並列に配置するよりも、本構成の方が、発熱素子の幅を狭くできる。
さらに前記発熱チャネル10cの領域10ctを構成する発熱体4の端部が、基板2の他端部に設けられ、その端部には、発熱体電極部7aの電極パッド6が配置されている。
以上のように、前記発熱素子1Dは、4つの電極パッド6を基板2Dの他端部に集約して配置している。
図12に示すように、処置装置101は、供給された電力により発生する熱を利用して体腔内の生体組織に対し凝固、切開等の各種処置を行う開腹手術用熱凝固切開鉗子(以下、単に鉗子と称す)102と、電力を鉗子102に供給して鉗子102の熱駆動を制御する電力供給手段である電源装置103とにより、主要部が構成されている。
鉗子102は、棒状部材により構成された第1の鉗子本体105と、この第1の鉗子本体105に枢支部である枢支軸106を介して回動自在に取り付けられた棒状部材により構成された第2の鉗子本体107とにより主要部が構成されている。
第1の鉗子本体105の先端側には、例えば自由曲面形状である湾曲形状を長手方向(以下、主軸と称す)に沿って有する形状に形成された第1の把持部(以下、ジョーと称す)108が設けられている。第2の鉗子本体107の先端側には、湾曲形状を主軸に沿って有する形状に形成された第2のジョー109が設けられている。尚、第1のジョー108と、第2のジョー109とは、対を成して処置部110を構成している。
また、第1の鉗子本体105の後方側に、第1のアーム111が設けられており、この第1のアーム111の基端側に、手指挿入用の第1のリング112が設けられている。また、第1のリング112の基端部に、コード接続部128が設けられている。
第2の鉗子本体107の後方側に、第1の鉗子本体105と同様に、第2のアーム113が設けられており、この第2のアーム113の基端側に、手指挿入用の第2のリング114が設けられている。
そして、第1、第2のアーム111、113及び第1、第2のリング112、114は、処置部110を構成する一対の第1、第2のジョー108、109を、開閉操作する操作部115を構成している。
第1のジョー108は、第2のジョー109に対向する位置に、生体組織に熱エネルギを与える前記発熱素子1Dが設けられている。発熱素子1Dは、例えば以下のよう実装されている。第2のジョー109に対向する第1のジョー108の面には、主軸に沿って凹部108aが形成され、この凹部108aに、断熱部材122(図14参照)が嵌合固定されている。発熱素子1Dは、図16に示す前記発熱体4を有する側が、図13に示すように断熱部材122に嵌合され、この配置により、断熱部材122を介して主軸に沿って実装されている。従って、発熱素子1Dは、基板2の後述する処置面2atが、第2のジョー109に対向することとなる。尚、発熱素子1Dは、第2のジョー109に実装されていても良く、あるいは、第1のジョー108及び第2のジョー109の双方に実装されていてもよい。
ここで、図15に示す前述の発熱素子1Dは、その主軸の形状が、第1のジョー108の主軸の湾曲形状と一致して形成されている。この構成により、発熱素子1Dは、第1のジョー108が湾曲形状を有していたとしても、容易に第1のジョー108に配設することができる。
次に、発熱素子1Dの基板2に形成する処置面について説明する。
発熱素子1Dは、前述のように、下向きの略凸形状を有する基板2を有している。この基板2の凸部側は、例えば断面がほぼ半円状に形成された周面2aを有している。この周面2a上にあって、第2のジョー109に対向する位置2atは、例えば生体組織を処置する際の処置面となっている。この処置面2atは、非鋭利な形状を有しており、ここでは、発熱素子1Dの巾と略同一の直径を有する円弧状に形成されている。すなわち、処置面2atは、発熱素子1Dの長手方向と略直交する断面において、自由曲面形状としての円弧状に構成されている。
尚、処置面2atは、前述の非鋭利な形状に限らず、処置用途に応じて、処置面2atの形状を変更しても良い。一般には、処置面2atの形状は、鋭利な程、切開等の処置がし易くなり、非鋭利な程、凝固等の処置がし易くなる。
また尚、発熱素子1Dは、基板2の周面2a(図15,図16を参照)に、生体組織の処置の際に、この生体組織のこびり付きを防止する目的でポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなる非粘着性のコーティングが施されていても良い。
続いて、発熱素子1Dへの電力供給と共に、例えば接地電位の確保のために必要なリード線の接続等について説明する。
図15に示す、発熱素子1Dの上面1Daに形成された四つの電極パッド6には、図13に示すリード線124,125,126,127が、各接合固定されている。尚、この接合固定は、溶接、ロウ付け、半田等によって行うことが可能である。
図13および図14に示すように、第1のジョー108に実装された発熱素子1Dの上側部分は、前述のように断熱部材122により覆われている。この断熱部材122は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や高機能熱可塑性樹脂(PEEK)等の、熱伝導率が低く且つ耐熱性の高い材料からなる。
また図13に示すように、発熱素子1Dは、発熱素子固定ピン121,121により、断熱部材122または第1のジョー108に主軸に沿って固定されている。
また、図13、図14に示すように、第1のジョー108に実装された発熱素子1Dに対向する第2のジョー109の位置に、受け部材123が主軸に沿って設けられている。受け部材123は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム、或いはPTFE等の樹脂材料から形成されている。
発熱素子1Dの四つの電極パッド6に接続固定されたリード線124〜127は、図12に示すように、鉗子102の基端側にある第1のリング112の基端部に設けられた、コード接続部128に接続されている。
さらに、コード接続部128には、一端が電源装置103に接続された接続コード129の他端が、接続されている。また、電源装置103の電力のON/OFFの制御を行うフットスイッチ104が、フットスイッチコード130を介して、電源装置103に接続されている。
次に、このように構成された本実施の形態を示す鉗子及び電源装置からなる処置装置の作用を説明する。
本実施の形態の処置装置101を用いて生体組織を処置する際、先ず術者は、鉗子102の第1、第2のジョー108、109の間に、生体組織を位置させる。このように生体組織を位置させた状態で、術者は、操作部115を閉方向に操作することにより、第1のジョーに実装された発熱素子1Dの処置面2atと、第2のジョー109の受け部材123との間で生体組織を把持する。
生体組織を把持した後、術者は、フットスイッチ104を操作することにより、電源装置103から接続コード129、コード接続部128、及びリード線124〜127を介して発熱素子1Dに電力を供給し、発熱素子1Dの発熱体4を発熱させ、生体組織に凝固または切開等の処置を行う。
発熱素子1Dには、図16に示すように、発熱体4と処置面2atとが一体的に形成されている。このため、発熱体4から処置面2atへの伝熱効率を非常に高めることができる。また、用途に応じて断面の自由な曲面形状が求められる処置面2atとは異なり、処置面2atの上面すなわち処置面2atと反対側の面に、発熱体4が設けられている。従って、図15に示すように、発熱素子1Dが主軸に沿って湾曲形状を有している場合においても、容易に発熱体4を形成することができる。
尚、電源装置103から発熱素子1Dへの電力供給は、定電圧方式、定電流方式、定電力方式のいずれかで供給されるとともに、温度、時間、累積電力などの閾値到達により電力供給を遮断、または電力供給方式を変更するように制御しても良い。
また、発熱素子1Dの基板2Dには、外部との電気的接続をとる一つの電極パッド6を有する基板電極部7bが設けられている。この基板電極部7bに接続したコード(図15では不図示)は、電源装置103にて、静電電荷が基板2Dに放電されるような電位、例えば図12に示す接地電位Eに接続される。
または、電源装置103から発熱素子1Dへの電力供給は、発熱素子1Dが常に一定の温度に保持、あるいは段階的な温度に推移するように制御しても良く、さらに前出の閾値到達による電力供給の遮断、または電力供給方式を変更する制御と組み合わせても良い。
前述した、本実施の形態に示す鉗子102及び電源装置103からなる処置装置101においては、以下の効果が得られる。
処置装置101は、発熱の際、温度分布の均一化を向上させ、かつ高発熱耐性を備えた発熱素子1Dが、鉗子102の第1のジョー108に配設されている。発熱素子1Dの発熱体4と基板2Dの処置面2atとは一体的に形成されている。さらに、発熱素子1Dが有する基板2Dの処置面2atと、第2のジョー109の受け部材123との間で、生体組織を把持するようにしている。こうした構成により、発熱体4から処置面2atへの熱伝達効率の向上が図れると共に、高効率で、温度分布が均一かつ確実な熱作用を生体に与え、安定した生体組織の凝固、切開ができる鉗子102または処置装置101を提供することができる。
また、発熱素子1Dの主軸の形状が湾曲形状に構成されていたとしても、鉗子102の第1のジョー108も同様に主軸に沿って任意の自由曲面形状である湾曲形状に構成することができる。従って、生体組織の剥離等の処置操作性を向上させることができる。
以上説明した鉗子102および処置装置101は、本発明に係る発熱素子を使用することにより、以下の効果が得られる。発熱素子1Dにおいて、発熱チャネル10aまたは10cの少なくとも一方に、静電気が印加される事態が生じても、静電電荷が、基板2Dに放電され、発熱体4と基板2Dとの間には、つまり絶縁膜3には静電気による電位差が生じない。ここで、発熱素子1Dにおいて、基板電位だけが確保されている構成でも、第1の実施の形態で説明したように静電破壊を防げる。さらに、基板2Dの電位が接地電位Eに固定されていれば、第1の実施の形態で述べたように、発熱素子1D全体に電荷を貯めることなく、静電電荷を接地電位へ十分に放電させることができる。この際、発熱チャネル10aにおいても、発熱チャネル10cにおいてもコードを介して、静電電荷は接地電位Eへ流される。
いずれの構成にあっても、基板電位あるいは接地電位へ電荷を放電し、絶縁膜3の両側における静電気による電位差を解消できるので、個々の発熱チャネルは保護される。従って、発熱素子自体としての静電気耐性が向上する。その結果、開腹手術用熱凝固切開鉗子並びにこの鉗子を使用した処置装置としての静電気耐性が向上し、信頼性も向上する。
また、発熱素子1Dの4つの電極パッド6を主軸の一端側に集めて配置しているので、実装工程の簡素化が可能である。
本実施の形態では、発熱素子の応用例として、開腹手術用熱凝固切開鉗子について記載したが、医療用処置具である腹腔鏡手術用熱凝固切開鉗子、あるいは熱凝固プローブに適用しても良い。
以上説明した各実施の形態によれば、発熱体に電力を供給するための電極の一方を基板に通電することにより、発熱素子に静電気が印加されたときに、基板と発熱体との間の電位差を小さくする。その結果、基板と発熱体間の絶縁膜の静電気破壊が減少するため、高静電気耐性を有する発熱素子を実現することができる。また、基板を接地電位に接続することにより、発熱素子全体の電荷を接地電位に流すことができるため、発熱素子全体に電荷が溜まらず、更なる高静電気耐性を有する発熱素子が実現できる。また、発熱体へ電力の供給の一端を基板から行うことにより、ワイヤリングを施す電極の数を減らすことが可能となり、発熱素子の小型化が容易となり、実装工程の簡便化が図れる。このような発熱素子を医療用処置具に使用することにより、高静電気耐性を有する医療用処置具を実現することができる。
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
第1の実施の形態に係り、図1は発熱素子の発熱部の構成を示す斜視図 図1中のA−A線に沿った断面図 図1の発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図 図1および図3の変形例に係る発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図 第2の実施の形態に係り、発熱素子の発熱部の構成を示す斜視図 図5中のB−B線に沿った断面図 図5の発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図 第3の実施の形態に係り、発熱素子の発熱部の構成を示す斜視図 図8中のC−C線に沿った断面図 図8の発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図 第4の実施の形態に係り、発熱素子へワイヤリングにより電力供給回路の接続と接地を施した構成の斜視図 第5の実施の形態に係り、医療用処置具である開腹手術用熱凝固切開鉗子および電源装置からなる処置装置の構成を示す正面図 図12に示す開腹手術用熱凝固切開鉗子の先端部の断面図 図12中のV−V線に沿う断面図 図12の発熱素子を示した拡大斜視図 図15中のU−U線に沿う断面図 従来例に係り、一対のジョーの先端部の断面図 図17中のXVIII−XVIII線に沿う断面図 図18の発熱板の拡大断面図
符号の説明
1…発熱素子,2…基板,3…絶縁膜,4…発熱体,5…保護膜,6…電極パッド,
7a…発熱体電極部,7b…基板電極部,9…ワイヤ,Vv…直流電源,101…処置装置,102…鉗子,103…電源装置
代理人 弁理士 伊藤 進

Claims (4)

  1. 導電体からなり接地された基板と、該基板の表面を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記基板上に形成された薄膜抵抗からなり、かつ該薄膜抵抗に電力が供給されることにより発熱する発熱体とを備えた発熱素子において、
    前記発熱体の形成された前記絶縁膜上に形成された絶縁体の保護膜と、
    前記保護膜上に設けられた第1のスルーホールに形成され、前記発熱体の一端が接続された第1の電極パッドを有する第1の電極部と、
    前記保護膜上に設けられた第2のスルーホールに形成され、前記発熱体の他端が接続された第2の電極パッドを有する第2の電極部と、
    前記保護膜及び前記絶縁膜に設けられた第3のスルーホールに形成され、前記基板と接続された第3の電極パッドを有する第3の電極部と、
    を有し、
    前記第2の電極部と前記第3の電極部は、電気的に接続されていることを特徴とする発熱素子。
  2. 前記第2の電極部と前記第3の電極部は、ワイヤーを介して電気的に接続されて接地電位にされることを特徴とする請求項1に記載の発熱素子。
  3. 導電体からなり接地された基板と、該基板の表面を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記基板上に形成された薄膜抵抗からなり、かつ該薄膜抵抗に電力が供給されることにより発熱する発熱体とを備えた発熱素子において、
    前記発熱体の形成された前記絶縁膜上に形成された絶縁体の保護膜と、
    前記保護膜上に設けられた第1のスルーホールに形成され、前記発熱体の一端が接続された第1の電極パッドを有する第1の電極部と、
    前記保護膜上に設けられた第2のスルーホールに形成され、前記発熱体の他端が接続された第2の電極パッドを有する第2の電極部と、
    前記保護膜に設けられた第3のスルーホールに形成され、第3の電極パッドを有する第3の電極部と、
    を有し、
    前記第2の電極部と前記第3の電極部は、前記発熱体と同材料の薄膜を介して、電気的に接続されることを特徴とする発熱素子。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の発熱素子を配設すると共に、該発熱素子の発熱によって生体組織を加熱し、該生体組織を処置することを特徴とする医療用処置具。
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