JP2002134329A - 信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品 - Google Patents

信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品

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JP2002134329A
JP2002134329A JP2000323934A JP2000323934A JP2002134329A JP 2002134329 A JP2002134329 A JP 2002134329A JP 2000323934 A JP2000323934 A JP 2000323934A JP 2000323934 A JP2000323934 A JP 2000323934A JP 2002134329 A JP2002134329 A JP 2002134329A
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Susumu Nakajima
晋 中島
Katsuhiro Ogura
克廣 小倉
Sadami Kubota
定見 窪田
Chikashi Okabayashi
親志 岡林
Keiji Asada
慶治 浅田
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Sankosha Corp
Hitachi Ferrite Electronics Ltd
Sankosha Co Ltd
Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
Sankosha Corp
Hitachi Ferrite Electronics Ltd
Sankosha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、高性能で性能のバラツキも小さく、高
信頼性の実用性に富んだ信号回線のコモンモード雷サー
ジ電流抑制用磁性部品を提供すること。 【解決手段】 本発明は、信号回線に流入するコモンモ
ード雷サージ電流を抑制するために磁心に信号線を巻き
付けて構成されている信号回線のコモンモード雷サージ
電流抑制用磁性部品において、前記磁心は直流磁界の最
大振幅を±800A/mとして測定した直流磁気特性に
おける実効飽和磁束密度Bsが1T以上かつ同実効飽和
磁束密度Bsと実効残留磁束密度Brの比で表される角
形比Br/Bsが0.2以下、およびパルス幅1μs、
動作磁束密度ΔBが0.5Tにおける実効パルス比透磁
率μrpが500以上の金属軟磁性合金薄帯磁心である
ことを特徴とする信号回線のコモンモード雷サージ電流
抑制用磁性部品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信基地局
におけるインターフェース回線をはじめとする各種信号
回線に流入するコモンモード雷サージ電流を抑制するた
めの磁性部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下、従来技術について、図6のブロッ
ク図に示す移動体通信基地局を例に説明する。この図に
おいて、1は20Aフィーダーケーブル、2,3はいず
れも通信装置、4は保安装置、6はインターフェース回
線ケーブル、7は接地線のインダクタンス、8は接地
極、9aと9bおよび10aと10bは、各々インター
フェース回線ケーブル6における一対の信号線、11は
接地された遮蔽線、21と22は各々通信装置2内のド
ライバとレシーバ、31と32は各々通信装置3内のド
ライバとレシーバである。
【0003】ここで、上記保安装置4としては一般に図
7に示す構成のものが用いられている。図7において、
T1とT2は通信装置側端子、L1とL2はインターフ
ェース回線ケーブル側端子、Eは接地端子、41と42
はシリコンサージ防護素子、43と44は抵抗、45は
3極避雷管である。
【0004】移動体通信基地局において、最も雷撃を受
けやすい箇所は、避雷針および空中線(アンテナ)であ
り、それ以外の箇所は、誘導雷サージの侵入経路にあた
るか、あるいは雷撃電流の流出経路となる。
【0005】避雷針の遮へい失敗によりアンテナに被雷
した場合、雷撃電流の一部は、アンテナから同軸線路を
経由して無線装置収容函に流入することになる。この結
果、雷サージ電流がアンテナ側、つまり20Aフィーダ
ーケーブル1経由で無線装置収容函内の屋内接地システ
ムに流入する。
【0006】この雷サージ電流によってインターフェー
ス回線ケーブル6における信号線9a、9b、10a、
および10bと接地電極間にサージ電圧が生じると、そ
れぞれの信号線に接続された保安装置4のT1端子とT
2端子に接続されたシリコンサージ防護素子41と4
2、およびL1端子とL2端子に接続された3極避雷管
が動作し雷サージ電流を大地に流すことによって、通信
装置2、通信装置3およびインターフェース回線ケーブ
ル6がサージ電圧によって絶縁破壊するのを防止するこ
とができる。
【0007】一方、接地線のインダクタンス7に接地極
8に向かって雷サージ電流が流れると、通信装置2の接
地電位が通信装置3の接地電位に対して上昇することに
なる。このため、雷サージ電流は通信装置2から2つの
保安装置4、インターフェース回線ケーブル6の各々対
をなす信号線9aと9b、10aと10b、および接地
された遮蔽線11、2つの保安装置4を介して通信装置
3に向かってコモンモード雷サージ電流となって流れ
る。このコモンモード雷サージ電流を、4つの保安装置
4で十分に抑制することは困難なため、通信装置2内お
よび通信装置3内のドライバ21、31、あるいはレシ
ーバ22、32を始めとする半導体は破壊に至る問題が
あった。
【0008】このコモンモード雷サージ電流を抑制する
ため、特公平2−52920号公報に示されるように一
対をなす信号線に直列にコモンモードチョークを挿入す
る手法が知られている。この手法を適用した保安装置の
一例を図8に示す。図8において、図7に示されている
部品と同じ部品は同じ参照符号を付けている。なお、図
8で46はコモンモードチョークである。なお、コモン
モード雷サージ電流を抑制するためのコモンモードチョ
ーク46としては、特開平5−45381号公報に示さ
れるように、Mn−Zn高透磁率フェライト磁心や鉄基
非晶質軟磁性合金薄帯で構成した巻磁心が用いられてい
た。
【0009】図6にブロック図を示す移動体通信基地局
の保安装置4に図8の構成のものを用いて通信装置2、
通信装置3、およびインターフェース回線ケーブル6を
コモンモード雷サージ電流により破壊されるのを防止す
るには、例えば、図9にそのブロック図を示すインパル
ス電流印加試験において、インパルス電流発生装置13
から波頭長10μs、波尾長200μs、波高値2kA
のインパルス電流I1を印加した後にも正常に動作する
ことが必要である。この場合、通信装置側に分流するサ
ージ電流I3 の急峻な立ち上がりを抑制すると共に、そ
の波高値は200A程度以下に抑えなくてはならない。
また、正負何れの方向のコモンモード雷サージ電流に対
しても同様に良好な抑制効果を持たなくてはならない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によるコ
モンモード雷サージ電流抑制用コモンモードチョーク4
6によって、通信装置側に分流する正負何れの方向のサ
ージ電流I3 の急峻な立ち上がりを抑制すると共にその
波高値を200A以下に抑えようとすると以下のような
問題があった。
【0011】Mn−Zn高透磁率フェライト磁心を用い
たコモンモードチョーク46を使用した場合、その直流
磁界の最大振幅を±800A/mとして測定した直流磁
気特性における実効飽和磁束密度Bsは高々0.5T程
度、同実効飽和磁束密度Bsと実効残留磁束密度Brの
比で表される角形比Br/Bsは0.2程度、かつキュ
リー温度が200℃程度と低いことに起因して高温で前
記実効飽和磁束密度Bsが急激に低下するため、コモン
モード雷サージ電流が流れたときの動作磁束密度ΔBは
実用上0.3T程度しか取ることができない。このため
コモンモードチョーク46が大型化し、実用上求められ
るサイズの上限の2倍程度になってしまうという大きな
問題があった。
【0012】一方、鉄基非晶質軟磁性合金薄帯で構成し
た巻磁心を用いたコモンモードチョーク46を使用した
場合、例えば同巻磁心として特開昭57−202709
号公報あるいは特開平7−94340号公報に示される
製造方法により角形比Br/Bsを低下させたものを用
いることによりコモンモード雷サージ電流が流れたとき
の動作磁束密度ΔBを大きくすることは可能だが、コモ
ンモード雷サージ電流の急峻な立ち上がりの抑制効果に
大きなバラツキがあるという問題があった。
【0013】本発明の目的は、前記従来技術では実現困
難であった小型、高性能で性能のバラツキも小さく、高
信頼性があり実用性に富んだ信号回線のコモンモード雷
サージ電流抑制用磁性部品を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、信号回線に流
入するコモンモード雷サージ電流を抑制するために磁心
に信号線を巻き付けて構成されている信号回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品において、前記磁心
は直流磁界の最大振幅を±800A/mとして測定した
直流磁気特性における実効飽和磁束密度Bsが1T以上
かつ同実効飽和磁束密度Bsと実効残留磁束密度Brの
比で表される角形比Br/Bsが0.2以下、およびパ
ルス幅1μs、動作磁束密度ΔBが0.5Tにおける実
効パルス比透磁率μrpが500以上の金属軟磁性合金
薄帯磁心であることを特徴とする信号回線のコモンモー
ド雷サージ電流抑制用磁性部品である。
【0015】本発明者らは、コモンモード雷サージ電流
抑制用磁性部品に用いる磁心のパルス幅1μs、動作磁
束密度ΔBが0.5Tにおける実効パルス比透磁率μr
pを上記のように500以上とすることによりコモンモ
ード雷サージ電流が流れたときの急峻な立ち上がりを実
用上十分なレベルに抑制できることを新たに見いだし
た。本発明は、上記磁気特性を満足させることによりコ
モンモード雷サージ電流を実用上十分なレベルに抑制
し、しかも正負何れの方向のコモンモード雷サージ電流
が流れた場合にもその動作磁束密度ΔBを0.8Tとし
て、Mn−Zn高透磁率フェライト磁心を用いた従来品
の動作磁束密度ΔB0.3Tに対し2倍以上とすること
ができる磁心を選定することによって、実用上問題のな
いサイズまで小型化が図れるコモンモード雷サージ電流
抑制用磁性部品である。
【0016】上記本発明の信号回線のコモンモード雷サ
ージ電流抑制用磁性部品において、前記金属軟磁性合金
薄帯磁心が鉄を主成分とし結晶粒径50nm以下の微細
な結晶粒がその組織の体積全体の50%以上を占めるナ
ノ結晶軟磁性合金薄帯で構成されている場合、Mn−Z
n高透磁率フェライト磁心と同等以上のパルス透磁率μ
rpが得られるためコモンモード雷サージ電流が流れた
ときの急峻な立ち上がりを一層抑えることができ高性能
化が図れる。また、正負何れの方向のコモンモード雷サ
ージ電流が流れた場合にもその動作磁束密度ΔBを0.
8T以上とMn−Zn高透磁率フェライト磁心を用いた
従来品のΔB0.3Tに対し2倍以上とすることができ
るため実用上問題のないサイズまで小型化も図れ好まし
い。
【0017】また、前記ナノ結晶軟磁性合金薄帯で構成
した磁心は、その飽和磁歪定数λsが+10-6オーダー
以下と小さいため磁気特性のバラツキが小さく、信号回
線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品として使
用したときの効果のバラツキも小さくなり、高信頼性も
図れる。
【0018】上記本発明の信号回線のコモンモード雷サ
ージ電流抑制用磁性部品において、前記金属軟磁性合金
薄帯磁心が鉄基非晶質軟磁性合金薄帯で構成されている
場合、コモンモード雷サージ電流が流れたときの急峻な
立ち上がりを実用上十分なレベルに抑制でき、しかも正
負何れの方向のコモンモード雷サージ電流が流れた場合
にもその動作磁束密度ΔBを1T以上とMn−Zn高透
磁率フェライト磁心を用いた従来品のΔB0.3Tに対
し3倍以上とすることができるため実用上問題のないサ
イズまで小型化を図ることができ好ましい。
【0019】なお、前記鉄基非晶質軟磁性合金薄帯で構
成した磁心は、その飽和磁歪定数λsが+10-5オーダ
ーと大きいため磁気特性、特にパルス透磁率μrpのバ
ラツキが大きくなる傾向にあるため、同磁心を製作する
際、およびコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品と
して使用する際には、不要な外部応力が加わらないよう
にして、コモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品とし
て使用したときの雷サージ電流が印加された瞬間の応答
特性の不用意な低下を招かないような配慮が必要であ
る。
【0020】上記本発明の信号回線のコモンモード雷サ
ージ電流抑制用磁性部品において、同磁性部品で用いら
れる磁心が閉磁路構造の磁心を切断して構成した開磁路
磁心の切断面同士を突き合わせて閉磁路磁心として構成
した磁心である場合、特開昭57−202709号公
報、あるいは特公平7−103453号公報に記載され
るような磁心の磁路と垂直方向に磁界を印加しながら熱
処理する手法による低角形比手法、あるいは特開平7−
94340号公報に記載されるような鉄基の非晶質軟磁
性合金薄帯の一部を結晶化させる熱処理による低角形比
化手法に比べて、磁心の磁気特性のバラツキを小さくで
きるため、信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用
磁性部品として使用したときのバラツキも小さく信頼性
も高いという点において好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例について詳細
に説明する。図1は本発明による信号回線に流入するコ
モンモード雷サージ電流を抑制するための磁性部品の一
実施例を説明するためのブロック図で、携帯電話基地局
への適用例を示したものである。この図で、図6に示さ
れている部品と同じ部品には同じ参照符号を付けてい
る。なお、図1で12はコモンモード雷サージ電流抑制
用磁性部品である。上記保安装置4としては前記図7に
示す構成のものを用いた。
【0022】本発明では、前記コモンモード雷サージ電
流抑制用磁性部品12は、図2に示す金属軟磁性薄帯を
用いた閉磁路構造の巻磁心を2つに切断し製作した開磁
路構造のU型磁心16−1とU型磁心16−2のうちの
U型磁心16−1を図示矢印の方向に移動させてその切
断面をU型磁心16−2の切断面に突き合わせて密着さ
せ図3に示すようにその外周面にポリエチレンテレフタ
レート粘着テープ50を巻くことによって固定し構成し
た閉磁路構造のレーストラック形状磁心17を用いた。
このレーストラック形状の磁心17に、図3に示すよう
に各々2本で一組をなす信号線24組と2本1組の接地
されることになる遮蔽線からなるインターフェース回線
ケーブル51を巻くとともに、インターフェース回線ケ
ーブル51の巻始めの部分と巻終わりの部分の縁面距離
を確保するためポリエチレンテレフタレートシート52
を挟み込んでコイルを構成した。同コイルを図4に示す
金属ケース55内に挿入し、その信号線インターフェー
ス回線ケーブル51の巻線端53と54を、各々、予め
ケースに取り付けられた端子台56と57に接続後、金
属ケース内にエポキシ樹脂を充填してコモンモード雷サ
ージ電流抑制用磁性部品12を構成した。なお、上記エ
ポキシ樹脂の代わりにシリコン樹脂、あるいはアクリル
樹脂を用いても良い。図4において、58はコモンモー
ド雷サージ電流抑制用磁性部品12を固定するための穴
である。
【0023】なお本実施例では前記レーストラック形状
磁心17として、表1に示すAからTを用いた。表1に
各磁心の組成、直流磁界の最大振幅を±800A/mと
して測定したときの直流磁気特性における実効飽和磁束
密度Bs、同実効飽和磁束密度Bsと実効残留磁束密度
Brの比で表される角形比Br/Bs、およびパルス幅
1μs、動作磁束密度ΔB=0.5Tのときの実効パル
ス比透磁率μrpを示す。磁心AからTの寸法は、何れ
も、外長径100mm、外短径55mm、内長径70m
m、内短径25mm、高さ15mmである。
【0024】表1においてAからJおよびOとPは鉄を
主成分として結晶粒径50nm以下の微細な結晶粒がそ
の組織全体の50%以上を占めるナノ結晶軟磁性合金薄
帯を用いて構成した磁心である。また、KからNおよび
QとRは鉄基非晶質軟磁性合金薄帯を用いて構成した磁
心、Sはコバルト基非晶質軟磁性合金薄帯を用いて構成
した磁心、TはMn−Zn高透磁率フェライト磁心であ
る。
【0025】なお、AからJおよびOとPは、片ロール
法による超急冷法で製造された厚さ0.02mm程度の
鉄基非晶質軟磁性合金薄帯を用いて巻磁心を作成後、結
晶化温度以上で熱処理してナノ結晶軟磁性合金薄帯の閉
磁路構造の巻磁心とした後、エポキシ樹脂含浸しこれを
乾燥させてから同巻磁心を切断して作成した開磁路構造
のU型磁心の切断面同士を突き合わせて密着させて構成
した閉磁路構造のレーストラック形状磁心である。
【0026】
【表1】
【0027】また、KからNとQとR、およびSは、片
ロール法による超急冷法で製造された厚さ0.02mm
程度の鉄基非晶質軟磁性合金薄帯、あるいはコバルト基
非晶質軟磁性合金薄帯を用いて巻磁心を作成後、結晶化
温度より低い温度で熱処理して閉磁路構造の巻磁心を作
成後の工程は、前記AからJおよびOとPと同様の手法
に作成した閉磁路構造のレーストラック形状磁心であ
る。
【0028】本実施例によるコモンモード雷サージ電流
抑制用磁性部品12の特性評価を行うために図5のその
回路構成ブロック図に示す試験回路を用いて実験を行っ
た。なお、図5において、インターフェース回線ケーブ
ル6の信号線は9aと9bおよび10aと10bの2組
しか記載されていないが、実際には24組存在する。ま
た、試験装置の接地された遮蔽線11は、2本のケーブ
ルのパラレル接続である。13は波頭長10μs、波尾
長200μs、波高値2kAのインパルス電流I1'を出
力するインパルス電流発生装置である。
【0029】表2に、前記表1の各磁心を用いて構成し
たユニットを複数個使用して構成したコモンモード雷サ
ージ電流抑制用磁性部品12を前記図5の試験回路の不
平衡インターフェース回線ケーブル6と通信装置2側の
保安装置4の間に挿入して、前記インパルス電流I1'を
流したときに図示サージ電流I3'の波高値を200A以
下とするために必要な磁心の数量と巻数を示す。ここ
で、図示サージ電流I3'の波高値を200A以下と設定
したのは、このように設定すれば前記インパルス電流I
1'が流れても前記通信装置2および3内の半導体の耐電
圧に対して十分なマージンがとれ、安全動作が図れるた
めである。なお、コモンモード雷サージ電流抑制用磁性
部品12の巻数の上限はレーストラック形状磁心17の
窓面積の制約から最大10ターンである。
【0030】表2からわかるように、本発明のナノ結晶
軟磁性合金薄帯磁心AからJ、および鉄基非晶質軟磁性
合金薄帯磁心KからNを用いた場合には、コモンモード
雷サージ電流抑制用磁性部品12を構成する磁心数量
を、実用上要求されている比較例のMn−Zn高透磁率
フェライト磁心Tを用いたときの磁心数量8ヶの1/2
の4ヶ以下にすることができた。
【0031】
【表2】
【0032】一方、比較例に示すナノ結晶軟磁性合金薄
帯磁心OとP、鉄基非晶質軟磁性合金薄帯磁心QとR、
あるいはコバルト基非晶質軟磁性合金薄帯磁心Sを用い
た場合にも小型化は可能であるが、実用上要求される磁
心数量4ヶ以下を満足することはできないこともわか
る。
【0033】また、表1と表2からもわかるように同じ
材質の金属軟磁性合金薄帯で構成した磁心で直流磁界の
最大振幅を±800A/mとして測定した直流磁気特性
における実効飽和磁束密度Bsと同実効飽和磁束密度B
sと実効残留磁束密度Brの比で表される角形比Br/
Bsがほぼ同一であっても、パルス幅1μs、動作磁束
密度ΔBが0.5Tにおける実効パルス比透磁率μrp
が500以上を満足できない場合には、前記コモンモー
ド雷サージ電流抑制用磁性部品に要求される特性とサイ
ズを両立できないことがわかる。
【0034】また、詳細に調査した結果、上記パルス幅
1μs、動作磁束密度ΔBが0.5Tにおける実効パル
ス比透磁率μrpと、通常LCRメータで測定されるこ
れと等価な周波数である500kHzの初透磁率μri
には完全な相関がないこともわかった。これによって、
鉄基非晶質軟磁性合金薄帯磁心を用いた従来のコモンモ
ード雷サージ電流抑制用磁性部品で問題となっていたバ
ラツキの原因は、上記パルス幅1μs、動作磁束密度Δ
Bが0.5Tにおける実効パルス比透磁率μrpの違い
によることも判明した。
【0035】なお、金属軟磁性合金薄帯磁心のパルス幅
1μs、動作磁束密度ΔBが0.5Tにおける実効パル
ス比透磁率μrpを向上させるには、金属軟磁性合金薄
帯の薄板化、あるいは特公平7−87133号公報に開
示されるような金属軟磁性合金薄帯の表面に絶縁処理を
することが有効である。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来技術では実現困難であった移動体通信基地局などの
インターフェース回線用を始めとする信号回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品の実用化に際し問題
であったコモンモード雷サージ電流の抑制と小型化の両
立が可能であり、極めて実用性に富んだ信号回線のコモ
ンモード雷サージ抑制用磁性部品が実現できる。なお、
前記実施例では、インターフェース回線のコモンモード
雷サージ電流抑制用磁性部品の適用例として、携帯電話
の基地局へ適用した場合について説明したが、本発明
は、これ以外の各種通信設備や各種電子機器などの信号
回線に流入するコモンモード雷サージ電流全般について
適用でき、同様に有効な効果を発揮し、その効果は極め
て大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、インターフェース回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品の携帯電話基地局へ
の適用例を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明による、インターフェース回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品を構成する磁心の外
観図である。
【図3】本発明による、インターフェース回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品を構成するコイルの
外観図である。
【図4】本発明による、インターフェース回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品の外観図である。
【図5】本発明による、インターフェース回線のコモン
モード雷サージ電流抑制用磁性部品のインパルス電流印
加試験回路のブロック図である。
【図6】携帯電話基地局における、インターフェース回
線のコモンモード雷サージ電流を説明するためのブロッ
ク図である。
【図7】コモンモードチョークコイルが付加されていな
いインターフェース回線の保安装置の一例を示すブロッ
ク図である。
【図8】コモンモードチョークコイルが付加されている
インターフェース回線の保安装置の一例を示すブロック
図である。
【図9】従来技術による保安装置が設けられたインター
フェース回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部
品のインパルス電流印加試験回路のブロック図である。
【符号の説明】
1:20Aフィーダーケーブル 2、3:通信装置 4:保安装置 6:インターフェース回線ケーブル 7:接地線のインダクタンス 8:接地極 9a、9b:インターフェース回線ケーブル6における
一対の信号線 10a、10b:インターフェース回線ケーブル6にお
ける他の一対の信号線 11:インターフェース回線ケーブル6における接地さ
れた遮蔽線 12:コモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品 13:インパルス電流発生装置 16−1、16−2:U型磁心 17:レーストラック形状磁心 21:通信装置2内のドライバ 22:通信装置2内のレシーバ 31:通信装置3内のドライバ 32:通信装置3内のレシーバ 41、42:シリコンサージ防護素子 43、44:抵抗 45:3極避雷管 46:コモンモードチョーク 51:インターフェース回線ケーブル 52:ポリエチレンテレフタレートシート 53、54:インターフェース回線ケーブル51の巻線
端 55:金属ケース 56、57:端子台
フロントページの続き (72)発明者 中島 晋 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 小倉 克廣 鳥取県鳥取市南栄町26番地1 日立フェラ イト電子株式会社内 (72)発明者 窪田 定見 鳥取県鳥取市南栄町26番地1 日立フェラ イト電子株式会社内 (72)発明者 岡林 親志 東京都品川区大崎4丁目3番8号 株式会 社サンコーシヤ内 (72)発明者 浅田 慶治 東京都品川区大崎4丁目3番8号 株式会 社サンコーシヤ内 Fターム(参考) 5E070 AA01 AB01 BA08 BB02 5G013 AA05 BA01 CA20 5J024 AA01 CA06 DA26 EA09 FA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号回線に流入するコモンモード雷サー
    ジ電流を抑制するために磁心に信号線を巻き付けて構成
    されている信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用
    磁性部品において、前記磁心は直流磁界の最大振幅を±
    800A/mとして測定した直流磁気特性の実効飽和磁
    束密度Bsが1T以上かつ同実効飽和磁束密度Bsと実
    効残留磁束密度Brの比で表される角形比Br/Bsが
    0.2以下、およびパルス幅1μs、動作磁束密度ΔB
    が0.5Tにおける実効パルス比透磁率μrpが500
    以上の金属軟磁性合金薄帯磁心であることを特徴とする
    信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の信号回線のコモンモー
    ド雷サージ電流抑制用磁性部品において、前記金属軟磁
    性合金薄帯磁心は鉄を主成分とし結晶粒径50nm以下
    の微細な結晶粒がその組織の体積全体の50%以上を占
    めるナノ結晶軟磁性合金薄帯で構成されていることを特
    徴とする信号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁
    性部品。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の信号回線のコモンモー
    ド雷サージ電流抑制用磁性部品において、前記金属軟磁
    性合金薄帯磁心は鉄基非晶質軟磁性合金薄帯で構成され
    ていることを特徴とする信号回線のコモンモード雷サー
    ジ電流抑制用磁性部品。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3に記載の信号回線
    のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品において、
    同磁性部品で用いられる磁心は閉磁路構造の磁心を切断
    して構成した開磁路磁心の切断面同士を突き合わせて閉
    磁路磁心として構成した磁心であることを特徴とする信
    号回線のコモンモード雷サージ電流抑制用磁性部品。
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