JP2002129440A - 膨張黒鉛からなるパッキン材料およびこの材料からなる膨張黒鉛製グランドパッキン並びにその膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法 - Google Patents

膨張黒鉛からなるパッキン材料およびこの材料からなる膨張黒鉛製グランドパッキン並びにその膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応力緩和が殆ど発生せず、シール性、耐熱
性、耐薬品性等に加えて製造容易性に優れた、膨張黒鉛
からなるパッキン材料およびこの材料からなる膨張黒鉛
製グランドパッキン並びにその膨張黒鉛製グランドパッ
キンの製造方法の提供。 【解決手段】 編糸は、膨張黒鉛シートに開繊された炭
素繊維束が接着剤層を介して積層一体化されこの接着剤
層が補強材とされた帯状の積層シートを、巻回するか若
しくは捩じって糸状にしたものである。この編糸を編組
して紐体を構成し、この紐体を加圧成形してパッキンを
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膨張黒鉛からなる
パッキン材料およびこの材料からなる膨張黒鉛製グラン
ドパッキン並びにその膨張黒鉛製グランドパッキンの製
造方法に関し、より詳しくは、応力緩和が殆ど発生せ
ず、シール性、耐熱性、耐薬品性等に加えて製造容易性
に優れた、膨張黒鉛からなるパッキン材料およびこの材
料からなる膨張黒鉛製グランドパッキン並びにその膨張
黒鉛製グランドパッキンの製造方法に関する。なお、本
明細書中、「帯状の積層シートを捩じる」とは、帯状の
積層シートの軸長方向に離れた2部分を相互に反対方向
に回転させ、帯状の積層シートを筒状に形成する動作を
指す。この際、線状芯材を密着被覆するように筒状に捩
じってもよいし、或いは芯材を被覆しないで筒状(実質
的に中空部が無い円柱状とすることが好ましい)に捩っ
てもよい。また、本明細書中、「帯状の積層シートを巻
回する」とは、帯状の積層シートを或る軸線周りに螺旋
状に巻き、帯状の積層シートを筒状に形成する動作を指
す。この際、線状芯材を密着被覆するように筒状に巻回
してもよいし、或いは芯材を被覆しないで筒状(実質的
に中空部が無い円柱状とすることが好ましい)に巻回し
てもよい。また、本明細書中、「許容引張力」とは、材
料が破断に至るときの引張力(kgf)のことで、材料
の引張強さ(kgf/cm2 )と材料の断面積(cm
2 )の積のことを指す。
【0002】
【従来の技術】従来より、流体機器の軸封を行うパッキ
ンとして、膨張黒鉛製グランドパッキンが存在してい
る。膨張黒鉛製グランドパッキンは、軸と機器ケーシン
グの間に形成される室内、すなわちスタフィングボック
ス内に詰め込まれて、軸と機器ケーシングの間から流体
が漏出するのを防止するようになっている。
【0003】膨張黒鉛は、アスベスト等のパッキン材料
に比べて応力緩和が生じにくく、また潤滑性、耐熱性、
耐薬品性などの面で優れている反面、引張強さが低くし
かも脆いという欠点を有している。このため、膨張黒鉛
からシートを構成してそのシートを捩じり加工しようと
すると、該シートに大きな引張力が作用してシートが破
断してしまうことが多かった。このような理由から、膨
張黒鉛製グランドパッキンは、膨張黒鉛単独から構成さ
れることは少なく、通常は、他の材料によって補強され
た形で製造されていた。
【0004】補強構造をもつ膨張黒鉛製グランドパッキ
ンとしては、次のようなものが提案されている。例え
ば、膨張黒鉛シートの一面に綿糸織物シートを積層して
積層シートを構成し、この積層シートを裁断して帯状の
積層シートを形成し、この帯状の積層シートが補強用線
材を被覆し且つ膨張黒鉛シートが外側に位置するように
積層シートを捩じり加工して編糸を構成し、その後この
編糸を編組してなる膨張黒鉛製グランドパッキンが提案
されている。この例においても、積層シートを捩じり加
工するとき、および編糸を編組するときに、膨張黒鉛シ
ートに引張力が作用する。しかしながら、膨張黒鉛シー
トは、綿糸織物シートに補強されているため、破断する
ことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の技術には、以下のような問題があった。すなわ
ち、綿糸は引張強さがあまり高くないため、綿糸織物シ
ートが補強材として十分に機能を果たすためには、該シ
ートの断面積を大きくとる必要があった。従来は、帯状
の積層シートの帯幅を大きくして綿糸織物シートの帯幅
を大きくとることでこれに対応しており、具体的に帯幅
は10mmより大きく設定されていた。しかしながら、
このような帯幅の積層シートから良質の編糸を得るには
難があった。これは、帯幅が10mmを超えると積層シ
ートの柔軟性が低下し、捩じり加工しにくくなるためで
ある。また、このようして得られた編糸も柔軟性に劣
り、編組する際に難があった。また、綿糸織物シートは
高温環境下における熱減量が大きい。このため、高温環
境下における応力緩和が大きく、パッキン材料として使
用した際には増締めなどを頻繁に実施しないとグランド
パッキン本来の性能の保持が困難であった。
【0006】さらに、この編糸を編組して得られる膨張
黒鉛製グランドパッキンも柔軟性に劣っていた。このよ
うな柔軟性の低い膨張黒鉛製グランドパッキンをスタフ
ィングボックス内に詰め込んだ場合、グランドを強く締
め付けたとしても、十分なシール性を確保できない恐れ
があった。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、応力緩和が殆ど発生せず、シール性、耐熱
性、耐薬品性等に加えて製造容易性に優れた、膨張黒鉛
からなるパッキン材料およびこの材料からなる膨張黒鉛
製グランドパッキン並びにその膨張黒鉛製グランドパッ
キンの製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
編糸を編組してなる紐体を加圧成形することにより得ら
れる膨張黒鉛製グランドパッキンに用いられる編糸であ
って、膨張黒鉛シートに開繊された炭素繊維束が接着剤
層を介して積層一体化されこの接着剤層が補強材とされ
た帯状の積層シートを、巻回するか若しくは捩じって糸
状にしたことを特徴とする編糸である。
【0009】請求項2記載の発明は、前記帯状の積層シ
ートが補強用線材を被覆するように、該積層シートを巻
回するか若しくは該積層シートを捩じって糸状にしたこ
とを特徴とする請求項1に記載の編糸である。
【0010】請求項3記載の発明は、前記帯状の積層シ
ートを巻回するか若しくは捩じって糸状体を構成し、こ
の糸状体の全体を連続的に若しくは断続的に被覆するよ
うに、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニ
ッケル合金、銅、銅合金、のうちのいずれかからなる帯
状箔を巻回するか若しくは捩って糸状にしたことを特徴
とする請求項1に記載の編糸である。
【0011】請求項4記載の発明は、編糸を編組してな
る紐体を加圧成形することにより得られる膨張黒鉛製グ
ランドパッキンに用いられる編糸であって、膨張黒鉛シ
ートの少なくとも一面にポリビニルアルコール層が設け
られてなりこのポリビニルアルコール層が補強材とされ
た帯状の積層シートを巻回するか若しくは捩じって糸状
体を構成し、この糸状体を芯として該糸状体を被覆する
ように、開繊された帯状の炭素繊維束を巻回するか若し
くは捩じって糸状にしたことを特徴とする編糸である。
【0012】請求項5記載の発明は、前記帯状の積層シ
ートから糸状体を構成する際、この積層シートが補強用
線材を被覆するように、該積層シートを巻回するか若し
くは捩じって糸状にしたことを特徴とする請求項4に記
載の編糸である。
【0013】請求項6記載の発明は、編糸を編組してな
る紐体を加圧成形することにより得られる膨張黒鉛製グ
ランドパッキンに用いられる編糸であって、帯状の膨張
黒鉛シートを補強用線材とともに圧延した後、この圧延
物を巻回するか若しくは捩じって糸状体を構成し、この
糸状体を芯として該糸状体を被覆するように、開繊され
た帯状の炭素繊維束を巻回するか若しくは捩じって糸状
にしたことを特徴とする編糸である。
【0014】請求項7記載の発明は、編糸を編組してな
る紐体を加圧成形することにより得られる膨張黒鉛製グ
ランドパッキンに用いられる編糸であって、帯状の膨張
黒鉛シートを補強用線材とともに圧延した後、この圧延
物を巻回するか若しくは捩じって糸状体を構成し、この
糸状体を芯として該糸状体を被覆するように、アルミニ
ウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、
銅、銅合金、のうちのいずれかからなる帯状箔を巻回す
るか若しくは捩って糸状にしたことを特徴とする編糸で
ある。
【0015】請求項8記載の発明は、前記補強用線材
が、アラミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、
ナイロン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、若しく
はこれら合成樹脂の炭化物、ガラス、金属、アスベス
ト、各種セラミックスのうち少なくともいずれか一種の
材料からなることを特徴とする請求項2、5、6、又は
7に記載の編糸である。
【0016】請求項9記載の発明は、請求項1乃至8い
ずれかに記載の編糸を編組してなることを特徴とする紐
体である。
【0017】請求項10記載の発明は、前記接着剤層が
ポリビニルアルコール層とされた請求項1乃至3いずれ
かに記載の編糸または請求項4或いは5に記載の編糸を
編組してなるとともに、前記ポリビニルアルコール層
が、前記編組加工後に除去されてなることを特徴とする
紐体である。
【0018】請求項11記載の発明は、四フッ化ポリエ
チレン樹脂等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、水溶性
フェノール樹脂、或いはガラス、アルミナ、シリカゲ
ル、黒鉛、チタン等の無機微粉末を含むエマルジョン樹
脂からなる群から選択された1または2以上の液状樹脂
が含浸されてなることを特徴とする請求項10に記載の
紐体である。
【0019】請求項12記載の発明は、請求項9乃至1
1いずれかに記載の紐体を加圧成形してなることを特徴
とする膨張黒鉛製グランドパッキンである。
【0020】請求項13記載の発明は、膨張黒鉛シート
に開繊された炭素繊維束を接着剤層を介して積層一体化
し接着剤層が補強材とされた積層シートを構成し、この
積層シートを裁断して帯状の積層シートを形成し、この
帯状の積層シートを巻回するか若しくは捩じって編糸を
構成し、この編糸を編組して紐体を構成し、この紐体を
加圧成形することを特徴とする膨張黒鉛製グランドパッ
キンの製造方法である。
【0021】請求項14記載の発明は、膨張黒鉛シート
の少なくも一面にポリビニルアルコール層を設けること
によりポリビニルアルコール層が補強材とされた積層シ
ートを構成し、この積層シートを裁断して帯状の積層シ
ートを形成し、この帯状の積層シートを巻回するか若し
くは捩じって糸状体を構成し、この糸状体を芯として該
糸状体を被覆するように、開繊された帯状の炭素繊維束
を巻回するか若しくは捩じって編糸を構成し、この編糸
を編組して紐体を構成し、この紐体を加圧成形すること
を特徴とする膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法で
ある。
【0022】請求項15記載の発明は、前記接着剤層が
ポリビニルアルコール層とされた編糸から紐体を構成し
た後、この紐体を湯洗することにより該紐体からポリビ
ニルアルコールを溶出除去し、この紐体を乾燥させ、そ
の後この紐体を加圧成形することを特徴とする請求項1
3に記載の膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法であ
る。
【0023】請求項16記載の発明は、前記紐体を構成
した後、この紐体を湯洗することにより該紐体からポリ
ビニルアルコールを溶出除去し、この紐体を乾燥させ、
その後この紐体を加圧成形することを特徴とする請求項
14に記載の膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法で
ある。
【0024】請求項17記載の発明は、溶出除去を終え
た紐体を乾燥させた後、この紐体に、四フッ化ポリエチ
レン樹脂等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、水溶性フ
ェノール樹脂、或いはガラス、アルミナ、シリカゲル、
黒鉛、チタン等の無機微粉末を含むエマルジョン樹脂か
らなる群から選択された1または2以上の液状樹脂を含
浸させ、その後この紐体を加圧成形することを特徴とす
る請求項15又は16に記載の膨張黒鉛製グランドパッ
キンの製造方法である。これらの発明を提供することに
より、上記課題を悉く解決する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に係る膨張黒鉛製グランド
パッキン及びこのパッキンに用いられる材料について、
図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る編糸
の第1実施形態の第1例を示す斜視図である。図2は、
図1に示す編糸の製造過程を示す図である。図3は、図
1に示す編糸を構成する際に用いられる積層シートを示
す断面図である。図4は、図1に示す編糸から構成した
紐体を示す斜視図である。図5は、図4に示す紐体から
構成した膨張黒鉛製グランドパッキンを示す斜視図であ
る。本発明に係る膨張黒鉛製グランドパッキン(以下、
パッキンと称する)(1)は、編糸(2)を編組してな
る紐体(3)を加圧成形することにより得られるもので
ある。以下、これら構成要素について、順次、詳説す
る。
【0026】編糸(2)は、帯状の積層シート(4)を
巻回して糸状にするか若しくは捩じって糸状にしたもの
である。図2は、帯状の積層シート(4)を捩じるとき
の様子を示している。 その帯状の積層シート(4)
は、図3に示す積層シート(5)を帯状に裁断して形成
される。積層シート(5)は、膨張黒鉛シート(6)
に、開繊された帯状の炭素繊維束(以下、開繊繊維束と
称する)(7)を接着剤層(8)を介して積層一体化す
ることにより構成されるものである。接着剤層(8)
は、接着剤本来の役目と、補強材の役目とを兼ね備えて
いる。
【0027】接着剤層(8)の種類は特に限定されず、
有機質系接着剤、無機質系接着剤、無機有機混合質系接
着剤など、種々の接着剤から構成することができ、その
形態も、液状、エマルジョン、フィルム状、不織布状な
ど種々の形態を採ることができる。また、その配設方法
も特に限定されず、塗布、熱圧着、吹き付けなど、種々
の方法を採用することが可能である。
【0028】なお、接着剤層(8)には、できれば水溶
性の熱可塑性樹脂接着剤を使用することが好ましく、中
でも無公害性のポリビニルアルコールが用いることが好
ましい。また、ポリビニルアルコールは、液状のまま膨
張黒鉛シート(6)の表面或いは炭素繊維束(7)の表
面に塗布するか、又は吹き付けることにより配設するこ
とができる。吹き付けによって配設する場合には、例え
ば不織布状に配設することができる。
【0029】ポリビニルアルコール(以下、PVAと称
する)を不織布状に配設する場合、接着剤層(8)は、
PVA樹脂繊維が不規則な方向に伸びて積層され、且つ
それら樹脂繊維が相互に固着されてシート状とされる。
このような構造の接着剤層(8)は、あらゆる方向の引
張に対して大きな引張強さを有し、特に帯状に加工され
た状態でその軸長方向の引張に対して大きな引張強さを
発揮することができる。
【0030】なお、膨張黒鉛シート(6)と開繊繊維束
(7)を接着する際には、その間にPVA等の接着剤層
(8)を介在させ積層した状態でその両面に圧力を加
え、或いは加熱しながら圧力を加えることで、これらを
強固に積層一体化することができる。
【0031】膨張黒鉛シート(6)としては、天然黒
鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等の黒鉛粉末を、濃硫
酸、濃硝酸等と反応させて一旦層間化合物とした後、水
洗などを経て残留化合物を得、これを急熱して膨張させ
て得られる膨張可撓性黒鉛そのものを、ロール材等によ
り圧縮成形したシート状のものを使用することができ
る。
【0032】膨張黒鉛シート(6)の密度は、特に限定
されるものではないが、0.80〜2.2g/cm3
あることが好ましい。密度がこの範囲内にあると、膨張
黒鉛シート(6)の表面に結晶レベルの凹凸が形成さ
れ、その上に積層されるものにアンカー効果を生じさせ
ることができる。これに対し、密度が0.80g/cm
3 未満であると組織のきめが粗くなり過ぎ、パッキンに
したときのシール性が低下する。逆に、密度が2.2g
/cm3 を超えると、組織のきめが細かくなり過ぎてア
ンカー効果を生じさせにくくなり、開繊繊維束(7)と
の積層を良好に行い得ない可能性がある。
【0033】また、膨張黒鉛シート(6)の厚みは、特
に限定されるものではないが、0.10〜1.5mm程
度とされることが好ましい。厚みが0.10mm未満で
あると、膨張黒鉛が有する優れた耐熱性、耐食性、耐磨
耗性を発現させることができない。また、このように極
薄のものは製造が困難であって経済的でない。逆に、厚
みが1.5mmを超えると、膨張黒鉛の脆さが現れてし
まう。
【0034】開繊繊維束(7)は、膨張黒鉛シート
(6)を補強すると共に固体潤滑材の役目を果たすもの
である。この開繊繊維束(7)は、接着剤層(8)を介
して膨張黒鉛シート(6)の表面に積層される。その積
層方法は、上記した方法を採用することができるが、接
着剤として熱融着フィルムを用いる場合には、例えば、
PVA不織布、PVAフィルム、ポリエチレンフィル
ム、オレフィン系フィルム、ウレタン系フィルムを用い
ることができる。
【0035】開繊繊維束(7)は機械的強度に優れてお
り、また、その機械的強度等の諸性質が、−200°C
〜+600°Cの間で殆ど変化せず、低温特性、高温特
性が共に優れている。従って、開繊繊維束(7)は、常
温域は勿論のこと、過酷温度環境下においても確実に膨
張黒鉛シート(6)を補強することができる。また、開
繊繊維束(7)は優れた潤滑性及びシール性を有してい
るので、これが外側に位置するように編糸(2)を構成
すれば、潤滑性及びシール性に優れたパッキン(1)を
得ることができる。また、開繊繊維束(7)は耐食性お
よび耐磨耗性に優れているので、化学プラント等の過酷
環境下でも長期間の使用に耐えることができる。なお、
開繊繊維束(7)の厚さは、0.05〜0.5mmとす
ることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.2m
mとされる。これは、厚みが0.05mm未満である
と、十分な潤滑性及びシール性が得られず、逆に厚みが
0.5mmを超えると、十分な柔軟性が得られないから
である。
【0036】開繊繊維束(7)の製造方法は特に限定さ
れず、従来公知の種々の製造方法を採用することができ
るが、できれば、特許第3049225号、特許第30
64019号公報に記載の製造方法を用いることが望ま
しい。これら公報に記載の開繊繊維束の製造方法を用い
る場合、炭素繊維のマルチフィラメントを、一定のオー
バーフィード状態が生じるようにフィード制御しながら
給糸部から巻き取り部へ流送供給する一方、こうして流
送されてくる前記マルチフィラメントに対し交差方向に
気流を通過させて当該マルチフィラメントを風下方向へ
弓なりに撓ませることにより、このマルチフィラメント
を構成するフィラメントを幅方向に解き分けてシート状
の開繊繊維束を形成する。この製造方法によれば、切れ
ずに連続し且つ各繊維が真っ直ぐに伸びて互いに平行且
つ一定密度で整然と並んでしかも毛羽立ちが皆無の非常
に良質なシート状の開繊繊維束を得ることができる。
【0037】帯状の積層シート(4)は、積層シート
(5)を帯状に裁断して形成されるわけであるが、積層
シート(5)構成時の開繊繊維束はその製造方法によっ
ては真っ直ぐに伸びておらず波状に曲がっていることが
ある。この場合、積層シート(5)を帯状に裁断する時
に多数の繊維を切断することになるが、開繊繊維束にお
ける各繊維は非常に密にしかも均一に配列されており、
各繊維の間には大きな摩擦力が働いている。従って、各
繊維は軸方向及び軸直角方向に強く連結され、帯状の積
層シート(4)は引張強さの大きな一枚の帯状体とな
る。通常、開繊繊維束は種々の長さの繊維を方向を揃え
た形で密に集合させたものであり、言い換えれば、不連
続の繊維が軸方向及び軸直角方向に連続的に密に配設さ
れたものである。この繊維集合体においては、上記した
ように繊維同士が相互に大きな摩擦力で連結され、斜め
に切断されても一枚の強い帯状体とすることができるの
である。本発明では、開繊繊維束がもつこの優れた性質
を有効に活かすのである。図6(a)に、各繊維が真っ
直ぐに伸びた開繊繊維束を所定幅に裁断してなる開繊繊
維束(7)の一例を示し、図6(b)に、各繊維が波状
に曲がって伸びた開繊繊維束を所定幅に裁断してなる開
繊繊維束(7)の一例を示す。
【0038】積層シート(5)は、膨張黒鉛シート
(6)に、接着剤層(8)を介して開繊繊維束(7)を
積層することにより構成される。帯状の積層シート
(4)は、この積層シート(5)を帯状に裁断したもの
である。帯状の積層シート(4)の幅は5〜30mmと
され、好ましくは5〜25mmとされる。その幅が30
mmを超えると、帯状の積層シート(4)は柔軟性が低
下し、編糸(2)に加工しにくくなる。逆に、その幅が
5mm未満になると、帯状の積層シート(4)の許容引
張力が極度に低下して、編糸(2)に加工する際に破断
する恐れがある。帯状の積層シート(4)は、その帯幅
が5〜30mmであるならば、十分な許容引張力を有す
るため、捩じり加工、巻回加工の際に破断する恐れがな
い。
【0039】なお、帯状の積層シート(4)は、開繊繊
維束(7)および接着剤層(8)で補強されているの
で、比較的薄く形成することができる。従って、帯幅5
〜10mm程度の帯状の積層シート(4)はもちろん、
帯幅10mmを超える帯状の積層シート(4)であって
も、十分な柔軟性を確保することができる。5〜10m
m幅の帯状の積層シート(4)を用いて編糸(2)を構
成した場合、二十四打ち、三十二打ち、といった多数打
ちの紐体(3)を構成することができる。また、その多
数打ちの紐体(3)を種々の太さの編糸(2)から構成
することができる。これにより、紐体(3)内部を密に
詰まった状態とすることができるので、シール性が非常
に高いパッキン(1)を得ることができる。
【0040】編糸(2)は、帯状の積層シート(4)を
巻回して糸状にするか若しくは捩じって糸状にしたもの
である。巻回加工による場合、捩じり加工による場合の
双方において、開繊繊維束(7)が外側に位置するよう
に加工しても、或いは膨張黒鉛シート(6)が外側に位
置するように加工してもそのいずれでもよいが、できれ
ば開繊繊維束(7)が外側に位置するように加工するこ
とが好ましい。これは、開繊繊維束(7)が膨張黒鉛シ
ート(6)よりも潤滑性及びシール性等の面で優れてい
るからである。また、膨張黒鉛はその製造過程で硫黄分
を含んでいるためにこれが外側に有ると金属製、特に鉄
系スタフィングボックス等にこれが直に接触しスタフィ
ングボックス等を腐食させる可能性があるが、開繊繊維
束(7)は硫黄分を含んでいないのでこれを外側に位置
させると硫黄分による腐食が発生しない。
【0041】本発明における帯状の積層シート(4)の
巻回方法、捩じり方法は特に限定されるものではない
が、巻回による場合には、例えば、帯状の積層シート
(4)を螺旋状にきつく巻回したり(図10参照)、或
いは、この巻回したものを更に捩じる方法を採ることが
できる。一方、捩じりによる場合には、帯状の積層シー
ト(4)を幅方向中央部で折り畳んだものをきつく捩じ
ったり、或いは折り畳まずに捩じる(図2参照)方法を
採用することができる。
【0042】なお、その捩じり回数或いは巻回回数は、
1m当たりの捩じり回数或いは巻回回数が55〜70回
程度であることが好ましい。このような回数であれば、
編糸(2)の強度が非常に高くなることが発明者によっ
て確かめられている。なお、帯状の積層シート(4)
は、開繊繊維束(7)が外側に位置するように巻回、捩
じり加工されることが好ましい。この場合、後述するよ
うに、パッキン(1)の表面に開繊繊維束(7)を位置
させることができる。炭素繊維マルチフィラメント等の
炭素繊維束を開繊してなる開繊繊維束(7)は、潤滑
性、耐磨耗性、耐腐食性、機械的強度、及びシール性に
優れているため、この開繊繊維束(7)を材料として使
用することにより、潤滑性、耐磨耗性、耐腐食性、機械
的強度、及びシール性に優れたパッキン(1)を得るこ
とができる。
【0043】また、この編糸(2)は、柔軟性に優れて
いるので、複雑な編組加工を容易に行うことができ、し
かも複雑な加工を行っても積層シート(4)に破断が生
じない。また、編糸(2)を構成する帯状の積層シート
(4)は、十分な許容引張力を有しているため、編組加
工の際に破断する恐れもない。
【0044】なお、編糸(2)は、図8および図9に示
すように、補強用線材(9)を備えた構造であってもよ
い(編糸の第1実施形態の第2例)。具体的には、帯状
の積層シート(4)が補強用線材(9)を被覆するよう
に、補強用線材(9)を芯としてその周囲に帯状の積層
シート(4)を巻回した構造若しくは帯状の積層シート
(4)を図9に示す如く捩じった構造とすることができ
る。この場合、帯状の積層シート(4)のみからなる場
合よりも、編糸(2)の許容引張力を向上させることが
できる。補強用線材(9)の材質は、特に限定されるも
のではないが、例えば、モネルメタル、インコネル、ス
テンレス、銅、アルミニウム等の金属、ガラス繊維、セ
ラミックファイバー繊維、あるいはアラミド樹脂、ポリ
テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ナイロン樹
脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等からなる合成樹脂
繊維、若しくはこれら合成樹脂繊維に潤滑油を含浸させ
たもの、或いはこれら合成樹脂繊維の炭化物、アスベス
トなど、パッキン用材料として必要な強度を有する材料
であれば好適に使用することができる。
【0045】この補強用線材(9)は、直径3mm以下
とされることが好ましい。このような直径とすれば、帯
状の積層シート(4)の巻回加工、捩じり加工を容易に
行うことができる。また、この補強用線材(9)は、1
本で使用されてもよいが、後述するように、複数本で使
用されてもよい。1本で使用される場合、補強用線材
(9)は、例えば、編組せずにそのままの状態で使用さ
れてもよいし、編組されて紐体にした状態で使用されて
もよい。また、複数本で使用される場合、補強用線材
(9)は、束ねて使用されてもよいし、束ねた後それを
編組して紐体にした状態で使用されてもよい。補強用線
材(9)を構成する各単線材の断面形状は特に限定され
ず、例えば、円形断面、長四角断面、楕円形断面等、種
々の形状を採ることができる。
【0046】このようにして得られた編糸(2)を編組
することにより、編紐、打紐、組紐等の形態をなす紐体
(3)を構成することができる。具体的には、1本また
は複数本の編糸(2)を編組することにより、丸編紐、
角編紐等の編紐や、丸打紐、角打紐等の打紐等の形態を
なす紐体(3)を構成することができる。その他、袋状
紐や固着紐等の形態をなす紐体(3)を構成することも
できる。なお、打紐の場合には、四つ打ち、八つ打ち、
十六打ち、十八打ち、二十四打ち、三十二打ち等、任意
の打ち方が可能である。
【0047】紐体(3)は、外側に開繊繊維束(7)も
しくは膨張黒鉛シート(6)が位置した構造となる。パ
ッキン(1)は、この紐体(3)を加圧成形してなるも
のであるから、パッキン(1)の表面に開繊繊維束
(7)もしくは膨張黒鉛シート(6)を位置させること
ができる。なお、先にも述べたように、外側に開繊繊維
束(7)が位置した構造とすることが好ましい。なお、
接着剤層(8)としてPVAを用いた場合には、紐体
(3)の内部にPVA層が位置することになるが、PV
A層は、紐体(3)の形成後に除去されてもよい。PV
A層は、補強材としては優れているものの、応力緩和を
生じやすい性質を有しているから、これを除去すること
により、紐体(3)に応力緩和が生じないようにするこ
とができる。これにより、パッキン(1)に応力緩和が
生じないようにすることができる。なお、補強材が必要
とされるのは、膨張黒鉛シート(6)に最も引張力が作
用する時、すなわち編糸(2)構成時と紐体(3)構成
時であるから、紐体(3)の構成後にPVA層が除去さ
れたとしても問題はない。
【0048】PVA層を除去する場合には、紐体(3)
に液状樹脂を含浸させることが好ましい。これは、PV
A層を除去した場合、PVA層が存在していた部分に空
隙が形成されるためである。紐体(3)に液状樹脂を含
浸させれば、その空隙を液状樹脂によって充填すること
ができる。空隙を液状樹脂によって充填することによ
り、パッキン(1)をスタフィングボックス内で使用し
た際に紐体(3)内部を流体が通過するのを防止するこ
とができる。従って、パッキン(1)のシール性を高め
ることができる。
【0049】紐体(3)に含浸させる液状樹脂として
は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、水溶性フェノール
樹脂、或いはガラス、アルミナ、シリカゲル、黒鉛、チ
タン等の無機微粉末を含むエマルジョン樹脂を挙げるこ
とができる。なお、紐体(3)には、これらの液状樹脂
からなる群から選択された1または2以上の液状樹脂を
含浸させることが可能である。含浸方法としては、例え
ば、自然含浸(ドブ付け含浸)、加熱含浸、真空含浸等
を挙げることができる。
【0050】パッキン(1)は、この紐体(3)を加圧
成形して得られるものである。パッキン(1)は、例え
ば、図5に示すように、リング状に形成される。リング
状に形成されたパッキン(1)は、スタフィングボック
ス内に詰め込まれ、流体機器の軸封を行うパッキンとし
て好適に使用することができる。パッキン(1)は、前
記したように、その表面に開繊繊維束(7)或いは膨張
黒鉛シート(6)が位置した構造である。従って、潤滑
性、シール性、耐磨耗性、機械的強度、および耐腐食性
に優れたパッキン(1)とすることができる。また、パ
ッキン(1)の表面に開繊繊維束(7)が現れる構造と
すれば、より一層、潤滑性、シール性、耐磨耗性、機械
的強度、および耐腐食性に優れたパッキン(1)とする
ことができる。
【0051】PVA層を有するパッキン(1)は、PV
A層を除去したものに比べて、その除去作業を省略して
製造することができるので、製造を容易化することがで
きるとともに、製造コストを低減することができる。一
方、PVA層を除去したパッキン(1)は、PVA層に
よる応力緩和性がなくなっている。従って、PVA層を
有しているものよりもシール性を高めることができる。
また、PVA層を除去した後紐体(3)に液状樹脂を含
浸させてなるパッキン(1)は、紐体(3)内が密に充
填された状態にありしかも応力緩和性がなくなっている
ので、シール性を一層高めることができる。
【0052】次に、本発明に係るパッキン(1)の製造
方法の一例について説明する。パッキン(1)は、上述
のように、膨張黒鉛シート(6)の一面に接着剤層
(8)を介して開繊繊維束(7)を積層一体化すること
により積層シート(5)を構成し(第1工程)、この積
層シート(5)を開繊繊維束(7)の繊維長手方向に沿
って裁断して帯状の積層シート(4)を形成し(第2工
程)、この帯状の積層シート(4)を巻回するか若しく
は捩じって編糸(2)を構成し(第3工程)、この編糸
(2)を編組して紐体(3)を構成し(第4工程)、最
後にこの紐体(3)を加圧成形する(第5工程)ことに
より構成される。以下、各工程について、順次、詳細に
説明する。
【0053】第1工程について説明する。膨張黒鉛シー
ト(6)の一面に開繊繊維束(7)を積層する際には、
その間にPVA、クロロプレンゴム等からなる各種接着
剤層(8)を介在させ、この3層構造物に対しその両面
或いは一方の面側から厚み方向に圧力を加え、或いは加
熱しながら圧力を加えることにより強固に積層一体化す
ることができる。膨張黒鉛シート(6)には、表面に結
晶レベルの凹凸を有するものを使用することが好まし
い。これにより、膨張黒鉛シート(6)は、開繊繊維束
(7)を積層するための接着剤層(8)にアンカー効果
を生じさせることができる。このような膨張黒鉛シート
(6)を使用することにより、開繊繊維束(7)との積
層を良好に行うことが可能となる。
【0054】接着剤層(8)は、例えば、接着剤の塗布
や吹き付けによって形成することができる。接着剤層
(8)を不織布状のPVA層とする場合には、PVA層
は、膨張黒鉛シート(6)或いは開繊繊維束(7)の一
面にPVA水溶液を液圧をかけつつ吹き付けることによ
り形成される。PVA水溶液を液圧をかけつつ吹き付け
ることにより、PVA水溶液は膨張黒鉛シート(6)或
いは開繊繊維束(7)上で繊維状に固化する。このと
き、各繊維は不規則な方向に伸び且つ相互に絡み合った
状態で固化する。そして、ある程度の時間吹き付け作業
を行うことにより、不規則な方向に伸び且つ相互に絡み
合った状態の繊維が積み重ねられて固化し、不織布状の
PVA層が形成される。
【0055】第2工程について説明する。積層シート
(5)を開繊繊維束(7)の繊維長手方向に沿って帯状
に裁断して帯状の積層シート(4)を形成する。このと
き、積層シート(5)を帯幅25mm以下に裁断するこ
とが、その後捩じり加工或いは巻回加工する上で好まし
い。膨張黒鉛シート(6)は、前記したように接着剤層
(8)および開繊繊維束(7)によって補強された構造
であるので、幅が25mm以下、さらには10mm以下
であっても捩じり加工或いは巻回加工時の引張に十分耐
えることができる。しかも、帯状の積層シート(4)
は、十分に補強された構造であるので比較的薄く形成す
ることができ、上記した範囲の幅であっても柔軟性に優
れ、巻回加工、捩じり加工が容易である。
【0056】第3工程について説明する。帯状の積層シ
ート(4)を巻回するか若しくは捩じって編糸(2)を
構成する。帯状の積層シート(4)は、前記したよう
に、10mm以下の幅であっても巻回加工時及び捩じり
加工時の引張に十分に耐えることができる。また、10
mm幅以下の帯状の積層シート(4)は、柔軟性に優れ
ているので容易に巻回加工および捩り加工することがで
きる。このようにして得られた編糸(2)は柔軟性に優
れているので、複雑な編組を行うことが可能となる。な
お、前述のように、補強用線材(9)によって補強され
た編糸(2)を構成することも可能である。この場合、
帯状の積層シート(4)が補強用線材(9)を被覆する
ように、帯状の積層シート(4)を巻回加工、捩り加工
すればよい。これにより、編糸(2)の許容引張力を向
上させることができる。
【0057】第4工程について説明する。編糸(2)を
前記した各種編組法を用いて編組し、紐体(3)を構成
する。編糸(2)は柔軟性に優れているので、複雑な編
組を行うことができる。そして、この編糸(2)から得
られた紐体(3)は柔軟性に優れている。なお、前述の
ように、紐体(3)を構成した後に、紐体(3)から接
着剤層(8)としてのPVA層を除去することも可能で
ある。PVA層を除去する方法としては、紐体(3)を
湯洗する方法を挙げることができる。PVA樹脂は水溶
性の合成樹脂であるから、湯洗することにより容易且つ
速やかに溶解除去される。このようにPVA層を除去す
ることによって、紐体(3)からPVA層の応力緩和性
をなくすことができる。
【0058】PVA層(8)を除去する場合には、前述
のように、除去によって形成された空隙を充填するため
の液状樹脂を紐体(3)に含浸させることが好ましい。
これにより、その空隙が充填される。従って、応力緩和
性が少なく且つシール性が高い膨張黒鉛製グランドパッ
キン(1)を得ることが可能となる。
【0059】第5工程について説明する。紐体(3)を
型に嵌めて加圧成形することにより、パッキン(1)を
構成する。パッキン(1)の形状は、特に限定されるも
のではないが、通常はリング状に構成される。以上によ
り、パッキン(1)の製造工程を終了する。
【0060】図10は、本発明に係る編糸の第1実施形
態の第3例を示す図である。図1及び図2に示す例は、
帯状の積層シート(4)の幅に比べて補強用線材(9)
の径が小さい場合に主として適用可能であるが、帯状の
積層シート(4)の幅に比べて補強用線材(9)の径が
同じ程度或いは大きい場合には、図10に示すように帯
状の積層シート(4)を補強用線材(9)の周囲に巻回
して編糸(2)を構成することが好ましい。図10に示
す例では、補強用線材(9)は、単線(90)を複数本
束ねることで形成されている。その束ねる形態は特に限
定されるものではないが、例えば、図11及び図12に
示すような丸編紐、或いは図13及び図14に示すよう
な角編紐等の編紐、同じく丸打紐、角打紐等の状態で形
成することができる。なお、前記打紐についても、四つ
打ち、八つ打ち、十六打ちなど任意の打ち方を採用する
ことができる。或いは、図15に示すように、複数本の
単線(90)を束ねて捩じったもの等を採用することも
できる。
【0061】この例においても、帯状の積層シート
(4)は、膨張黒鉛シート(6)に接着剤層(8)を介
して開繊繊維束(7)を積層一体化し、これを開繊繊維
束(7)の繊維長手方向に沿って裁断して構成すること
ができる。図10に示す編糸(2)は、図16の断面図
にて示されるように、単位面積当たりに用いられる補強
用線材(9)の量が多くなるため、機械的強度が非常に
大きくなるとともに、その表面が膨張黒鉛シート(6)
及び開繊された炭素繊維束(7)からなる帯状の積層シ
ート(4)により被覆される構成となるため、膨張黒鉛
及び炭素繊維束が備えるシール特性などが十分に発現さ
れ、さらに摺動により相手金属表面を傷つけることがな
い。従って、極めて高い機械的強度が発現されるため、
例えば高温、高圧環境下でのブッシュ又はスペーサの代
用品として使用することもできる。
【0062】図7は、本発明に係る編糸の第1実施形態
の第4例を示す図である。第4例では、編糸(2)の第
1実施形態の第1例、第2例、第3例、例えば、図1、
図8、図9、或いは図10に示す編糸(2)の外周面を
アルミニウム等からなる帯状箔で被覆して編糸(20)
を構成する。つまり、第1例、第2例に係る編糸(2)
を第4例に係る編糸(20)の半製品(ここでは糸状体
(2)と称する)とする。そして、その糸状体(2)全
体を連続的に若しくは断続的に被覆するように、アルミ
ニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、
銅、銅合金、のうちのいずれかからなる帯状箔(21)
を巻回するか若しくは捩って糸状にし、編糸(20)
(図7参照)を構成するのである。
【0063】図7に示す編糸(20)は、最も外側の部
分にアルミニウム、アルミニウム合金等からなる帯状箔
(21)が位置している。アルミニウムを初めとするこ
れらの金属は、なじみ性が良好であるため、編糸(2
0)からパッキンを構成し、このパッキンをスタフィン
グボックス等の中で使用した際に、同ボックスの表面と
ぴったりと密着する。従って、シール性をより一層向上
させることができる。また、膨張黒鉛及び炭素繊維束の
表面に被覆部材を設けない場合、膨張黒鉛及び炭素繊維
束は、スタフィングボックス等の中で使用された際に、
締め付け圧によって軸と軸受けの隙間からはみ出す可能
性がある。しかしながら、本例の如く膨張黒鉛と炭素繊
維束の外側を帯状箔(21)で被覆することにより、膨
張黒鉛と炭素繊維束がその隙間からはみ出すのが防止さ
れる。また、膨張黒鉛と炭素繊維束が露出している場
合、それらの部材はスタフィングボックス等との間で局
部電池の電極を構成する恐れがある。しかしながら、ア
ルミニウムを初めとする上記金属は、主として鉄系金属
に対する局部電池の電極を構成しにくく、また、電極と
なった場合でも陽極となるので、主として鉄で構成され
るスタフィングボックス等の機械装置が腐食することは
ない。
【0064】尚、帯状箔(21)の厚みは特に限定され
るものではないが、0.01〜0.05mmとすること
が好ましく、より好ましくは0.02〜0.03mmで
あり、最も好ましくは0.03mmである。厚みを0.
01mm未満とすることは、技術的に困難であるととも
に、薄過ぎて耐久性に劣る。また、厚みを0.05mm
より大きくすると、膨張黒鉛或いは炭素繊維束との密着
性が低下するとともに、膨張黒鉛或いは炭素繊維束によ
るシール性が十分に発揮されない。また、帯状箔(2
1)の幅は特に限定されるものではないが、例えば3m
m程度が良好である。また、1本の編糸(20)を構成
する際に、1本或いは複数本の帯状箔(21)を使用す
ることができる。複数本の帯状箔(21)を使用する場
合には、帯状箔(21)を重ねて使用することができ
る。
【0065】次に、本発明に係る編糸の第2実施形態に
ついて図面を参照しつつ説明する。図17は、第2実施
形態に係る編糸の製造過程を示す図である。なお、紐体
については第1実施形態に係る図4を準用して説明す
る。第2実施形態に係る編糸(2)は、帯状の膨張黒鉛
シート(6)を補強用線材(9)とともに圧延した後、
この圧延物を巻回して糸状にするか若しくは前記圧延物
を捩じって糸状にし、この糸状体(10)を芯として該
糸状体(10)を被覆するように帯状の開繊繊維束
(7)を巻回して糸状にするか若しくは帯状の開繊繊維
束(7)を捩じって糸状にしたものである。図17は、
帯状の開繊繊維束(7)を捩じる様子を示している。
【0066】この第2実施形態に用いる膨張黒鉛シート
(6)の厚さは約0.05〜0.5mmが好適である。
その理由は、0.05mm未満では圧延工程後に薄過ぎ
て脆くなり膨張黒鉛シート(6)自身が破損する可能性
があり、逆に0.5mmを超えると厚過ぎて圧延工程を
経た場合でも撚り難い等の不都合が生じる可能性がある
からである。この膨張黒鉛シート(6)はスリッター等
で帯状に切断され、これにより帯状の膨張黒鉛シート
(6)が作製される。
【0067】帯状の膨張黒鉛シート(6)の帯幅は3〜
30mmとすることが好ましく、このような幅とすれ
ば、補強用線材(9)とともに容易かつ確実に圧延する
ことができる。この帯状の膨張黒鉛シート(6)は、圧
延ローラー等で補強用線材(9)とともに圧延される。
これにより、補強用線材(9)が膨張黒鉛シート(6)
内にその軸長方向に沿ってめり込まれた圧延物が形成さ
れる。その後、この圧延物は巻回若しくは捩じられて糸
状体(10)(図17参照)とされる。なお、糸状体
(10)を得る際、圧延物を一重に巻くシングル巻き、
あるいは二重に巻くダブル巻きのいずれの方法を採用し
てもよい。
【0068】補強用線材(9)の断面形状は特に限定さ
れない。また、補強用線材(9)の材質も特に限定され
ず、例えば、上記した補強用線材(9)と同様の素材を
採用することができる。補強用線材(9)の径は特に限
定されるものではないが、直径0.08〜0.20mm
程度とされることが好ましく、さらに好ましくは直径
0.12〜0.15mm程度とされる。直径0.20m
m以下であれば、帯状の膨張黒鉛シート(6)に確実に
めり込ませることができ、また、上記圧延物の巻回加
工、捩じり加工を容易に行うことができる。この第2実
施形態において補強用線材(9)を用いる理由は、巻回
加工、捩じり加工に十分に耐え得る圧延物を作製し、且
つ編組加工(特に機械編)に十分に耐え得る編糸を作製
するためである。
【0069】即ち、膨張黒鉛のみを使用した圧延物や編
糸は引張強度が低いため、脆くて千切れたり縒れたりし
易い。特に、そのような編糸は機械編に用いる編糸とし
ては使用できない。しかしながら、膨張黒鉛シート
(6)内に補強用線材(9)をめり込ませた圧延物を構
成することにより、補強用線材(9)の有する強靱な強
度特性を膨張黒鉛シート(6)に付与し、これによって
巻回加工、捩じり加工や機械編に適した圧延物および編
糸を得ることができるのである。
【0070】この糸状体(10)を被覆するように帯状
の開繊繊維束(7)を巻回して糸状にするか若しくは帯
状の開繊繊維束(7)を捩じって糸状に加工することに
より、編糸(2)が作製される(図17参照)。なお、
上記圧延物を糸状に加工したものを単糸とし、この単糸
の周囲で帯状の開繊繊維束(7)を巻回若しくは捩じっ
て編糸(2)を構成してもよいが、上記単糸を複数撚り
合わせて撚糸とし、この撚糸の周囲で帯状の開繊繊維束
(7)を巻回若しくは捩じって編糸(2)を構成しても
よい。
【0071】帯状の開繊繊維束(7)は、編糸(2)の
機械的強度、潤滑性、シール性を向上させるためのもの
である。なお、開繊繊維束(7)の厚さは、0.05〜
0.5mmとすることが好ましく、より好ましくは0.
15〜0.2mmとされる。これは、厚みが0.05m
m未満であると、十分な潤滑性及びシール性が得られ
ず、逆に厚みが0.5mmを超えると、十分な柔軟性が
得られないからである。
【0072】このようにして得られた編糸(2)は、脆
くて千切れたり或いは縒れたりすることなく編組機によ
って編組され、これによって図4に例示するような紐体
(3)が得られる。この紐体(3)を加圧成形すること
により、例えばリング状のパッキン(1)(図5参照)
が得られる。
【0073】この膨張黒鉛製グランドパッキン(1)
は、許容引張力が大きくしかも柔軟性に優れた編糸
(2)から構成されるので、製造容易性およびシール性
に優れたパッキン(1)とすることが可能となる。ま
た、外側に開繊繊維束(7)が位置するので、第1実施
形態の場合と同様に、潤滑性、シール性、耐磨耗性、お
よび耐腐食性に優れた膨張黒鉛製グランドパッキン
(1)とすることができる。
【0074】尚、この第2実施形態においては、開繊繊
維束(7)の代わりに上記した帯状箔(図示せず)を用
いることも可能である。この帯状箔の素材としては、例
えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニ
ッケル合金、銅、銅合金、のうちのいずれかを使用する
ことができる。帯状箔を用いる場合には、1本もしくは
複数本の帯状箔を用いることができ、複数本用いる場合
には、これらを相互に重ねた状態で使用することができ
る。
【0075】次に、本発明に係る編糸の第3実施形態に
ついて図面を参照しつつ説明する。図18は、第3実施
形態に係る編糸の製造過程を示す図である。図19は、
図18に示す編糸を構成する際に用いられる帯状の積層
シートを示す断面図である。以下、第3実施形態に係る
編糸(2)の構造について説明する。
【0076】編糸(2)は、膨張黒鉛シート(6)の少
なくとも一面にPVA層(80)が設けられてなる帯状
の積層シート(40)を巻回し若しくは捩じって糸状体
(10)を構成し、この糸状体(10)を芯としてこれ
を被覆するように帯状の開繊繊維束(7)を巻回し若し
くは捩じってなるものである。なお、図18は、帯状の
開繊繊維束(7)を捩じり加工した場合を示している。
【0077】膨張黒鉛シートの材質、厚み等の構成は、
上記第1実施形態と略同様とすることができる。また、
PVA層(80)の厚み、配設方法等は、上記第1実施
形態における接着剤(8)としてのPVA層と略同様と
することができる。また、開繊繊維束(7)の厚み等の
構成も、第1実施形態と略同様とすることができる。膨
張黒鉛シート(6)、PVA層(80)から構成された
積層シートは、帯状に裁断され、帯状の積層シート(4
0)とされる。なお、その帯幅は特に限定されないが、
例えば5〜30mmとされ、好ましくは5〜25mmと
される。この第3実施形態においては、膨張黒鉛シート
がPVA層(80)によって補強されているので、帯状
の積層シートの厚みを比較的薄くすることが可能とな
る。従って、帯幅を30mm程度としても加工しやす
く、しかも加工時の引張に耐えることができ、また十分
な柔軟性を備えた帯状の積層シートを得ることができ
る。
【0078】このような編糸(2)を、第2実施形態と
同様な方法で巻回し若しくは捩じって糸状体(10)を
構成し、この糸状体(10)を芯としてこれを被覆する
ように帯状の開繊繊維束(7)を巻回し若しくは捩じる
ことにより、編糸(2)が作製される。なお、糸状体
(10)を構成する際、補強用線材(9)を被覆するよ
うに帯状の積層シートを巻回し若しくは捩じって糸状体
(10)を構成することも可能である。また、帯状の開
繊繊維束(7)を巻回し若しくは捩じって糸状体(1
0)を一重に被覆するシングル巻き、或いは、その上か
ら再度帯状の開繊繊維束(7)を巻回し若しくは捩じっ
て糸状体(10)を二重に被覆するダブル巻きのいずれ
を採用してもよい。そして、この編糸(2)を編組する
ことにより紐体(3)(図4参照)が得られる。次い
で、この紐体(3)を加圧成形することにより、例えば
図5に例示するようなリング状のグランドパッキン
(1)が得られる。なお、この第3実施形態において
も、第1実施形態と同様に、紐体(3)を構成した後に
PVA層(80)を溶出除去し、紐体(3)を乾燥さ
せ、その後紐体(3)を加圧成形してグランドパッキン
(1)を得ることも可能である。また、PVA層(8
0)の溶出除去を終えた紐体(3)を乾燥させた後、こ
の紐体(3)に第1実施形態と同様の液状樹脂を含浸さ
せ、その後にこの紐体(3)を加圧成形してもよい。
【0079】以上、本発明の各実施形態について説明し
てきたが、本発明における帯状の積層シート(4)、編
糸(2)、紐体(3)、パッキン(1)の構造は、上記
した形態に限定されるものではない。例えば、第1実施
形態および第3実施形態においては、PVA層の積層
を、上記したようにPVA水溶液の吹き付けによって行
うことが可能であるが、本発明における積層方法はこれ
に限定されない。例えば、PVA水溶液を加熱されたロ
ーラの表面に吹き付けることによって不織布状のPVA
シート(図示せず)を形成し、このPVAシートを膨張
黒鉛シート(6)の表面に熱融着によって積層すること
も可能である。この場合、熱融着に要する温度は、18
5〜195°C程度であることが好ましい。その温度が
185°C未満であれば、融着が不十分となる恐れがあ
り、逆に195°Cを越えると、不織布状の組織が壊れ
てしまう恐れがある。また、PVA層は、必ずしも不織
布状である必要はなく、フィルム状、あるいはメッシュ
状であってもよい。PVA層をフィルム状とする場合に
は、あらかじめフィルム状に形成されたPVA樹脂を、
熱融着によって膨張黒鉛シート(6)に積層すればよ
い。また、メッシュ状とする場合には、あらかじめメッ
シュ状に形成されたPVA樹脂を、熱融着によって膨張
黒鉛シート(6)或いは開繊繊維束(7)に積層すれば
よい。
【0080】
〔積層シートの引張試験〕
(実施例)厚さ0.2mm、密度1.1g/cm3 の膨
張黒鉛シートの一面に、PVA接着剤層を介して厚さ
0.2mmの開繊繊維束を積層し、PVA接着剤層の加
熱圧融着によってこれらを積層一体化し、積層シートを
構成した。次いで、この積層シートを図20に示す大き
さに裁断して試験片(14)を構成した。図20中の長
さの単位はmmである。
【0081】(比較例)厚さ0.2mm、密度1.0g
/cm3 の膨張黒鉛シートの両面に、厚さ0.15mm
の綿糸織物シートを熱融着フィルムを用いて積層し、積
層シートを構成した。次いで、この積層シートを図20
に示す大きさに裁断して試験片(14)を構成した。
【0082】実施例および比較例に係る試験片(14)
をそれぞれ4枚ずつ用意し、これらに対し、気温22°
Cの室内でJIS K 6301-1975 (加硫ゴム物性
試験方法)に基づいて引張試験を行った。なお、引張試
験機には、東洋精機株式会社製の樹脂引張試験機を使用
した。実施例の試験結果を表1に、比較例の試験結果を
表2に示す。
【表1】
【表2】
【0083】以上の試験結果から、PVA層および開繊
繊維束を補強材とした実施例の方が、綿糸織物シートを
補強材とした比較例よりも明らかに引張強さが大きいこ
とが分かる。
【0084】〔膨張黒鉛製グランドパッキンのトルク試
験〕 (実施例)厚さ0.2mm、密度1.0g/cm3 の膨
張黒鉛シートの一面に、PVA接着剤層を介して厚さ
0.2mmの開繊繊維束を積層し、PVA接着剤層の加
熱圧融着によってこれらを積層一体化し、積層シートを
構成した。次いで、この積層シートを幅10mmに裁断
して帯状の積層シートを構成した。次いで、この帯状の
積層シートを捩じり加工して編糸を構成し、この編糸を
編紐して紐体を構成し、最後にこの紐体を加圧成形して
リング状の膨張黒鉛製グランドパッキンを構成した。な
お、開繊繊維束がグランドパッキンの外側に位置するよ
うに構成した。また、膨張黒鉛製グランドパッキンの大
きさを、φ1 8×φ2 18×t6(φ 1 :内径、φ2
外径、t:厚み(いずれも単位はmm))とした。
【0085】(比較例)厚さ0.2mm、密度1.0g
/cm3 の膨張黒鉛シートの両面に、厚さ0.15mm
の綿糸織物シートを熱融着フィルムを用いて積層し、積
層シートを構成した。次いで、この積層シートを幅10
mmに裁断して帯状の積層シートを構成した。次いで、
この帯状の積層シートを捩じり加工して編糸を構成し、
この編糸を編紐して紐体を構成し、最後にこの紐体を加
圧成形してリング状の膨張黒鉛製グランドパッキンを構
成した。なお、膨張黒鉛製グランドパッキンの大きさ
を、φ1 8×φ2 18×t6(φ 1 :内径、φ2 :外
径、t:厚み(いずれも単位はmm))とした。
【0086】図21は、トルク試験の実施状況を示す図
である。トルク試験を行うにあたり、実施例に係る膨張
黒鉛製グランドパッキン(1)を4個用意し、これら4
個の膨張黒鉛製グランドパッキン(1)をセットにし
て、気温22度の室内で流体機器のスタフィングボック
ス(10)内に配置した。次いで、膨張黒鉛製グランド
パッキン(1)の軸挿通孔内に、SUS430製で軸径
φ8(単位はmm)のスピンドル(11)を挿通した。
次いで、締め付けナット(12)を締め付け圧200k
g/cm2 で締め付けて、スピンドル(11)およびス
タフィングボックス(10)の内壁面に各膨張黒鉛製グ
ランドパッキン(1)が圧接するようにした。次いで、
スピンドル(11)をバネばかり(13)で引っ張り、
スピンドル(11)が動き始めるときの引張力(スピン
ドルとパッキンの間の最大静止摩擦力に相当する)を測
定した。これと同様の試験を、比較例に係る膨張黒鉛製
グランドパッキンに対しても行った。実施例の試験結果
を表3に、比較例の試験結果を表4に示す。
【表3】
【表4】
【0087】以上の試験結果から、PVA層および開繊
繊維束を補強材とした実施例の方が、綿糸織物シートを
補強材とした比較例よりも引張力が小さくて済むことが
わかる。これは、実施例に係るグランドパッキンの方
が、潤滑性が良好であることを示している。従って、パ
ッキンに挿通されたスピンドルを回転させる際には、実
施例に係るグランドパッキン(1)を使用した方が、低
トルクで回転させ得ることが分かる。
【0088】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、編糸を編組して
なる紐体を加圧成形することにより得られる膨張黒鉛製
グランドパッキンに用いられる編糸であって、膨張黒鉛
シートに開繊された炭素繊維束が接着剤層を介して積層
一体化されこの接着剤層が補強材とされた帯状の積層シ
ートを、巻回するか若しくは捩じって糸状にしたことを
特徴とする編糸であるから、以下の効果を奏する。すな
わち、この編糸は、帯幅30mm以下の柔軟性に優れた
帯状の積層シートから構成することができるので、柔軟
性に優れた編糸とすることができる。従って、複雑な編
組加工を容易に行うことができる。また、この編糸を構
成する帯状の積層シートは許容引張力が大きいので、巻
回加工、捩じり加工、および編組加工の際に破断する恐
れがない。また、この編糸は、開繊された炭素繊維束が
外側に位置するように加工すると、パッキンを構成した
際、パッキンの表面に開繊された炭素繊維束を位置させ
ることができる。この場合、潤滑性、シール性、耐磨耗
性、および耐腐食性に非常に優れたパッキンを得ること
ができる。
【0089】請求項2記載の発明は、前記帯状の積層シ
ートが補強用線材を被覆するように、該積層シートを巻
回して糸状にするか若しくは該積層シートを捩じって糸
状にしたことを特徴とする請求項1に記載の編糸である
から、以下の効果を奏する。すなわち、この編糸は補強
用線材を備えているので、巻回加工、捩じり加工、およ
び編組加工に対する強度をより一層高めることができ
る。
【0090】請求項4記載の発明は、編糸を編組してな
る紐体を加圧成形することにより得られる膨張黒鉛製グ
ランドパッキンに用いられる編糸であって、膨張黒鉛シ
ートの少なくとも一面にポリビニルアルコール層が設け
られてなりこのポリビニルアルコール層が補強材とされ
た帯状の積層シートを巻回するか若しくは捩じって糸状
体を構成し、この糸状体を芯として該糸状体を被覆する
ように、開繊された帯状の炭素繊維束を巻回するか若し
くは捩じって糸状にしたことを特徴とする編糸であるか
ら、以下の効果を奏する。すなわち、この編糸は、帯幅
10mm程度の帯状の積層シートから構成することが可
能なので、柔軟性に非常に優れた編糸とすることができ
る。従って、複雑な編組加工を容易に行うことができ
る。また、編糸を構成する帯状の積層シートは許容引張
力が大きいため、巻回加工、捩じり加工、および編組加
工の際に破断する恐れがない。また、この編糸は、開繊
された炭素繊維束が外側に位置するように巻回加工或い
は捩じり加工すると、パッキンを構成した際、パッキン
の表面に開繊された炭素繊維束を位置させることができ
る。この場合、潤滑性、シール性、耐磨耗性、および耐
腐食性に非常に優れたパッキンを得ることができる。
【0091】請求項6記載の発明は、編糸を編組してな
る紐体を加圧成形することにより得られる膨張黒鉛製グ
ランドパッキンに用いられる編糸であって、帯状の膨張
黒鉛シートを補強用線材とともに圧延した後、この圧延
物を巻回するか若しくは捩じって糸状体を構成し、この
糸状体を芯として該糸状体を被覆するように、開繊され
た帯状の炭素繊維束を巻回するか若しくは捩じって糸状
にしたことを特徴とする編糸であるから、以下の効果を
奏する。すなわち、許容引張力が大きくしかも柔軟性に
優れた編糸とすることができるので、製造容易性および
シール性に優れた膨張黒鉛製グランドパッキンを得るこ
とが可能となる。また、外側に開繊された炭素繊維束が
位置させた場合、潤滑性、シール性、耐磨耗性、及び耐
腐食性に非常に優れたパッキンを得ることができる。
【0092】請求項9記載の発明は、請求項1乃至8い
ずれかに記載の編糸を編組してなることを特徴とする紐
体であるから、以下の効果を奏する。すなわち、許容引
張力が大きくしかも柔軟性に優れた編糸から構成するこ
とにより、複雑な編組加工を経ても破断箇所がなくしか
も柔軟性に優れた紐体とすることができる。また、紐体
の外側に開繊された炭素繊維束を位置させた場合、パッ
キンの表面に開繊された炭素繊維束を位置させることが
できる。この場合、耐磨耗性および耐腐食性に非常に優
れたパッキンを得ることができる。また、開繊された炭
素繊維束は潤滑性、シール性にも優れているので、潤滑
性およびシール性にも優れたパッキンを得ることができ
る。
【0093】請求項10記載の発明は、前記接着剤層が
ポリビニルアルコール層とされた請求項1乃至3に記載
の編糸または請求項4或いは5に記載の編糸を編組して
なるとともに、前記ポリビニルアルコール層が、前記編
組加工後に除去されてなることを特徴とする紐体である
から、以下の効果を奏する。すなわち、応力緩和を生じ
やすいポリビニルアルコール層を除去することにより、
応力緩和が生じない紐体とすることができる。これによ
り、パッキンに応力緩和が生じないようにすることがで
き、パッキンのシール性を高めることができる。
【0094】請求項11記載の発明は、四フッ化ポリエ
チレン樹脂等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、水溶性
フェノール樹脂、或いはガラス、アルミナ、シリカゲ
ル、黒鉛、チタン等の無機微粉末を含むエマルジョン樹
脂からなる群から選択された1または2以上の液状樹脂
が含浸されてなることを特徴とする請求項10に記載の
紐体であるから、以下の効果を奏する。すなわち、ポリ
ビニルアルコール層の除去によって形成された空隙を液
状樹脂によって充填することができる。空隙を液状樹脂
によって充填することにより、パッキンをスタフィング
ボックス内で使用した際に紐体内部を流体が通過するの
を防止して、パッキンのシール性を一層高めることがで
きる。
【0095】請求項12記載の発明は、請求項9乃至1
1いずれかに記載の紐体を加圧成形してなることを特徴
とする膨張黒鉛製グランドパッキンであるから、以下の
効果を奏する。すなわち、破断箇所がなくしかも柔軟性
に優れた紐体から構成することにより、シール性に優れ
たパッキンとすることができる。また、パッキンの外側
に開繊された炭素繊維束が位置する場合には、耐磨耗性
および耐腐食性に優れたパッキンとすることができる。
また、開繊された炭素繊維束は潤滑性およびシール性に
も優れているので、潤滑性およびシール性にも優れたパ
ッキンとすることができる。また、柔軟性に優れしかも
許容引張力が大きい積層シートから構成されているの
で、製造容易性に優れたパッキンとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る編糸の第1実施形態の第1例を示
す斜視図である。
【図2】図1に示す編糸の製造過程を示す図である。
【図3】図1に示す編糸を製造する際に用いられる積層
シートを示す断面図である。
【図4】図1に示す編糸から構成した紐体を示す斜視図
である。
【図5】図1に示す編糸から構成した膨張黒鉛製グラン
ドパッキンを示す斜視図である。
【図6】本発明における裁断後の開繊繊維束を示す図で
あり、(a)は、各繊維が真っ直ぐに伸びている開繊繊
維束を所定幅に裁断したものの一例を示す図、(b)
は、各繊維が波状に曲がっている開繊繊維束を所定幅に
裁断したものの一例を示す図である。
【図7】本発明に係る編糸の第1実施形態の第4例を示
す斜視図である。
【図8】本発明に係る編糸の第1実施形態の第2例を示
す斜視図である。
【図9】図8に示す編糸の製造過程を示す図である。
【図10】本発明に係る編糸の第1実施形態の第3例を
示す斜視図である。
【図11】補強用芯材の一例を示す斜視図である。
【図12】補強用芯材の一例を示す斜視図である。
【図13】補強用線材の一例を示す斜視図である。
【図14】補強用線材の一例を示す斜視図である。
【図15】補強用線材の一例を示す斜視図である。
【図16】図10に示す編糸の断面図である。
【図17】本発明に係る編糸の第2実施形態の製造過程
を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る編糸の第3実施形態の製造過程
を示す斜視図である。
【図19】図18に示す編糸を構成する際に用いられる
帯状積層シートの一例を示す断面図である。
【図20】引張試験に供される積層シートの大きさを示
す図である。
【図21】トルク試験の試験状況を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・膨張黒鉛製グランドパッキン 2,20・・編糸 21・・・・帯状箔 3・・・・・紐体 4,40・・帯状の積層シート 5・・・・・積層シート 6・・・・・膨張黒鉛シート 7・・・・・開繊された炭素繊維束 8・・・・・接着剤層 9・・・・・補強用線材 10・・・・糸状体
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04C 1/06 D04C 1/06 Z F16J 15/22 F16J 15/22 Fターム(参考) 3J043 AA11 AA15 CA14 CB06 CB13 CB16 CB17 CB21 DA10 4L002 AA05 AA06 AB02 AB03 AC00 EA04 EA05 FA00 4L036 MA04 MA06 MA33 MA34 MA39 PA21 PA26 PA46 RA24 UA07 UA08 UA21 4L046 AA01 AA24 BA02 BA06 BB00

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 編糸を編組してなる紐体を加圧成形する
    ことにより得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに用い
    られる編糸であって、 膨張黒鉛シートに開繊された炭素繊維束が接着剤層を介
    して積層一体化されこの接着剤層が補強材とされた帯状
    の積層シートを、巻回するか若しくは捩じって糸状にし
    たことを特徴とする編糸。
  2. 【請求項2】 前記帯状の積層シートが補強用線材を被
    覆するように、該積層シートを巻回するか若しくは該積
    層シートを捩じって糸状にしたことを特徴とする請求項
    1に記載の編糸。
  3. 【請求項3】 前記帯状の積層シートを巻回するか若し
    くは捩じって糸状体を構成し、この糸状体の全体を連続
    的に若しくは断続的に被覆するように、アルミニウム、
    アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合
    金、のうちのいずれかからなる帯状箔を巻回するか若し
    くは捩って糸状にしたことを特徴とする請求項1に記載
    の編糸。
  4. 【請求項4】 編糸を編組してなる紐体を加圧成形する
    ことにより得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに用い
    られる編糸であって、 膨張黒鉛シートの少なくとも一面にポリビニルアルコー
    ル層が設けられてなりこのポリビニルアルコール層が補
    強材とされた帯状の積層シートを巻回するか若しくは捩
    じって糸状体を構成し、この糸状体を芯として該糸状体
    を被覆するように、開繊された帯状の炭素繊維束を巻回
    するか若しくは捩じって糸状にしたことを特徴とする編
    糸。
  5. 【請求項5】 前記帯状の積層シートから糸状体を構成
    する際、この積層シートが補強用線材を被覆するよう
    に、該積層シートを巻回するか若しくは捩じって糸状に
    したことを特徴とする請求項4に記載の編糸。
  6. 【請求項6】 編糸を編組してなる紐体を加圧成形する
    ことにより得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに用い
    られる編糸であって、 帯状の膨張黒鉛シートを補強用線材とともに圧延した
    後、この圧延物を巻回するか若しくは捩じって糸状体を
    構成し、この糸状体を芯として該糸状体を被覆するよう
    に、開繊された帯状の炭素繊維束を巻回するか若しくは
    捩じって糸状にしたことを特徴とする編糸。
  7. 【請求項7】 編糸を編組してなる紐体を加圧成形する
    ことにより得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに用い
    られる編糸であって、 帯状の膨張黒鉛シートを補強用線材とともに圧延した
    後、この圧延物を巻回するか若しくは捩じって糸状体を
    構成し、この糸状体を芯として該糸状体を被覆するよう
    に、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッ
    ケル合金、銅、銅合金、のうちのいずれかからなる帯状
    箔を巻回するか若しくは捩って糸状にしたことを特徴と
    する編糸。
  8. 【請求項8】 前記補強用線材が、アラミド樹脂、ポリ
    テトラフルオロエチレン樹脂、ナイロン樹脂、アクリル
    樹脂、フェノール樹脂、若しくはこれら合成樹脂の炭化
    物、ガラス、金属、アスベスト、各種セラミックスのう
    ち少なくともいずれか一種の材料からなることを特徴と
    する請求項2、5、6、又は7に記載の編糸。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8いずれかに記載の編糸を
    編組してなることを特徴とする紐体。
  10. 【請求項10】 前記接着剤層がポリビニルアルコール
    層とされた請求項1乃至3いずれかに記載の編糸または
    請求項4或いは5に記載の編糸を編組してなるととも
    に、前記ポリビニルアルコール層が、前記編組加工後に
    除去されてなることを特徴とする紐体。
  11. 【請求項11】 四フッ化ポリエチレン樹脂等のフッ素
    系樹脂、シリコーン樹脂、水溶性フェノール樹脂、或い
    はガラス、アルミナ、シリカゲル、黒鉛、チタン等の無
    機微粉末を含むエマルジョン樹脂からなる群から選択さ
    れた1または2以上の液状樹脂が含浸されてなることを
    特徴とする請求項10に記載の紐体。
  12. 【請求項12】 請求項9乃至11いずれかに記載の紐
    体を加圧成形してなることを特徴とする膨張黒鉛製グラ
    ンドパッキン。
  13. 【請求項13】 膨張黒鉛シートに開繊された炭素繊維
    束を接着剤層を介して積層一体化し接着剤層が補強材と
    された積層シートを構成し、この積層シートを裁断して
    帯状の積層シートを形成し、この帯状の積層シートを巻
    回するか若しくは捩じって編糸を構成し、この編糸を編
    組して紐体を構成し、この紐体を加圧成形することを特
    徴とする膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法。
  14. 【請求項14】 膨張黒鉛シートの少なくも一面にポリ
    ビニルアルコール層を設けることによりポリビニルアル
    コール層が補強材とされた積層シートを構成し、この積
    層シートを裁断して帯状の積層シートを形成し、この帯
    状の積層シートを巻回するか若しくは捩じって糸状体を
    構成し、この糸状体を芯として該糸状体を被覆するよう
    に、開繊された帯状の炭素繊維束を巻回するか若しくは
    捩じって編糸を構成し、この編糸を編組して紐体を構成
    し、この紐体を加圧成形することを特徴とする膨張黒鉛
    製グランドパッキンの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記接着剤層がポリビニルアルコール
    層とされた編糸から紐体を構成した後、この紐体を湯洗
    することにより該紐体からポリビニルアルコールを溶出
    除去し、この紐体を乾燥させ、その後この紐体を加圧成
    形することを特徴とする請求項13に記載の膨張黒鉛製
    グランドパッキンの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記紐体を構成した後、この紐体を湯
    洗することにより該紐体からポリビニルアルコールを溶
    出除去し、この紐体を乾燥させ、その後この紐体を加圧
    成形することを特徴とする請求項14に記載の膨張黒鉛
    製グランドパッキンの製造方法。
  17. 【請求項17】 溶出除去を終えた紐体を乾燥させた
    後、この紐体に、四フッ化ポリエチレン樹脂等のフッ素
    系樹脂、シリコーン樹脂、水溶性フェノール樹脂、或い
    はガラス、アルミナ、シリカゲル、黒鉛、チタン等の無
    機微粉末を含むエマルジョン樹脂からなる群から選択さ
    れた1または2以上の液状樹脂を含浸させ、その後この
    紐体を加圧成形することを特徴とする請求項15又は1
    6に記載の膨張黒鉛製グランドパッキンの製造方法。
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