JP2002129432A - 芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維 - Google Patents

芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維

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JP2002129432A
JP2002129432A JP2000318390A JP2000318390A JP2002129432A JP 2002129432 A JP2002129432 A JP 2002129432A JP 2000318390 A JP2000318390 A JP 2000318390A JP 2000318390 A JP2000318390 A JP 2000318390A JP 2002129432 A JP2002129432 A JP 2002129432A
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curl
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Masahide Yoshimoto
雅秀 吉本
Tsutomu Matsuoka
勉 松岡
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 カール保持性に優れ、カール加工や植糸など
の工程を改善できる芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維を
提供する。 【解決手段】 芯鞘相が塩化ビニリデン系樹脂相と密度
0.85〜1.00g/ccの熱可塑性樹脂相からなる
芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維。また密度0.85〜
1.00g/ccの熱可塑性樹脂相がポリプロピレン系
樹脂相であり、鞘相1が塩化ビニリデン系樹脂相であ
り、さらに人形用/かつら用人工毛髪に用いる芯鞘型塩
化ビニリデン系複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芯鞘型塩化ビニリ
デン系複合繊維に関し、特にカール保持性に優れた芯鞘
型塩化ビニリデン系複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、塩化ビニリデン系繊維は、し
なやかな手触り感、耐水性、難燃性に優れる点から人形
用毛髪として利用されてきた。また、カーリングマシン
で繊維に図1のようなスプリング状カールを賦形し(以
下、カール加工と称す。)、その後に繊維を整えてヘア
カーラーにて図2のような外巻カールを賦形すること
(以下、カールセットと称す。)も多く行われており、
これらのカールを賦形したときには、カールの保持性が
必要とされ、特に外巻カールの保持性(以後、カール保
持性と称す。)は重要な性能として要求される。しか
し、塩化ビニリデン系繊維は、繊維自体が重いために経
時によるカールの戻り(ストレート状に戻ること)が大
きく、問題とされている。
【0003】また、このスプリング状カールと外巻カー
ルの保持性は、かつら用繊維にも共通する重要な性能で
ある。斯かる問題を解決するために、塩化ビニリデン系
繊維を中空繊維にする方法、特開平7−268162号
公報の塩化ビニリデン系樹脂にスチレン−メタクリル酸
メチル共重合体樹脂などを添加する方法、特開2000
−178833号公報の熱可塑性樹脂(A)とガラス転
移温度が0〜70℃の範囲にある熱可塑性樹脂(B)の
混合物を複合繊維に使用する方法などが知られている。
【0004】しかしながら、中空繊維は強度と剛性が低
下し、強度低下は繊維を基材へ植え付ける(以下、植糸
と称す。)工程で糸切れを誘発し、剛性低下はカール保
持性を悪化させる。また、特開平7−268162号公
報の方法は、カールセット直後の外巻カールは良好であ
るが、繊維自体が重いためにカール保持性は不十分であ
り、特開2000−178833号公報は、温度によっ
て繊維の変形を制御できるが、やはりカール保持性は不
十分であり、更に塩化ビニリデン系樹脂とポリエチレン
系樹脂やポリプロピレン系樹脂などを混合した場合は、
樹脂が白濁し、外観も不適なものとなってしまうのであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決し、カール保持性に優れた芯鞘型塩化ビニリデン系
繊維を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らが、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、本発明をなす
に至ったのである。すなわち、本発明は下記の通りであ
る。 1)塩化ビニリデン系樹脂相と密度が0.85〜1.0
0g/ccの熱可塑性樹脂相が、鞘芯相をなしているこ
とを特徴とする、芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維。 2)密度が0.85〜1.00g/ccの熱可塑性樹脂
相が、ポリプロピレン系樹脂相であることを特徴とす
る、1)記載の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維。 3)鞘相が塩化ビニリデン系樹脂相であることを特徴と
する、1)または2)記載の芯鞘型塩化ビニリデン系複
合繊維。 4)人形用またはかつら用人工毛髪に用いられることを
特徴とする,1)〜3)のいずれかに記載の芯鞘型塩化
ビニリデン系複合繊維。
【0007】本発明が従来技術と最も相違するところ
は、従来技術が塩化ビニリデン系中空繊維や、塩化ビニ
リデン系樹脂にスチレン−メタクリル酸メチル共重合体
樹脂などを添加した塩化ビニリデン系繊維や、熱可塑性
樹脂混合物による複合繊維であるのに対し、本発明は、
塩化ビニリデン系樹脂相と所定密度の熱可塑性樹脂相か
らなる芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維である。上記従
来技術と相違するところの本発明の構成要件の役割は、
カール保持性の向上である。
【0008】以下本発明につき詳細に説明する。本発明
の芯鞘相が塩化ビニリデン系樹脂相と密度が0.85〜
1.00g/ccの熱可塑性樹脂相からなる芯鞘型塩化
ビニリデン系複合繊維とは、光学顕微鏡などで観察され
る繊維の断面形状が、例えば鞘相1と芯相2の中心が同
一の図3a〜cなどの同心状芯鞘型、または鞘相1と芯
相2の中心が異なる図4d及びeなどの異心状芯鞘型で
ある芯鞘型複合繊維であって、鞘相1と芯相2は、後述
する塩化ビニリデン系樹脂相と密度が0.85〜1.0
0g/ccの熱可塑性樹脂相からなる。
【0009】本発明の塩化ビニリデン系樹脂相とは、塩
化ビニリデン系樹脂からなる相であり、塩化ビニリデン
系樹脂は、塩化ビニリデンモノマー及び塩化ビニリデン
モノマーと共重合可能な少なくとも1種のエチレン誘導
体モノマーとの共重合体であり、斯界に周知のものが使
用できる。エチレン誘導体モノマーには、例えばアクリ
ルニトリルやメタクリロニトリルなどのエチレン性不飽
和カルボン酸のニトリル、メチルアクリレートやメチル
メタクリレートなどのアクリル酸やメタクリル酸のアル
キルエステル、ヒドロキシプロピルアクリレートやヒド
ロキシエチルアクリレートやヒドロキシブチルアクリレ
ートなどのヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられ
る。
【0010】更に酢酸ビニルのような飽和カルボン酸の
ビニルエステル、アクリルアミドのようなエチレン性不
飽和カルボン酸のアミド、アクリル酸のようなエチレン
性不飽和カルボン酸、アリルアルコールのようなエチレ
ン性不飽和アルコール、塩化ビニルのようなハロゲン化
ビニルなどが挙げられる。これらの中で紡糸性が良い点
でメチルアクリレートがより好ましく、塩化ビニルは更
に好ましい。塩化ビニリデン系樹脂において塩化ビニリ
デンモノマーとエチレン誘導体モノマーの重合前のモノ
マー質量比(以下、仕込み比と称す)は、使用されるエ
チレン誘導体モノマーによって異なるが、例えば、エチ
レン誘導体モノマーが塩化ビニルの場合は、塩化ビニリ
デンモノマー/塩化ビニルモノマーの仕込み比は65/
35〜98/2がより好ましい。更に好ましくは80/
20〜95/5である。塩化ビニルモノマーが35wt
重量%を越えると樹脂の色が過度に黄変する場合があ
り、2wt%未満では溶融粘度が高くなり、溶融押出が
困難になる場合があるためである。
【0011】また、メチルアクリレートの場合は、塩化
ビニリデンモノマー/メチルアクリレートモノマーの仕
込み比は80/20〜99/1がより好ましい。メチル
アクリレートが20wt%を越えるとポリマーのブロッ
キングが悪化するために溶融押出が困難になる場合があ
り、1wt%未満では溶融粘度が高くなり、溶融押出が
困難になる場合があるためである。上記塩化ビニリデン
モノマーを主成分とする塩化ビニリデン系樹脂は、エチ
レン誘導体モノマー、分子量、分子量分布が異なる共重
合体を混合して使用することも可能である。
【0012】また、難燃性が良好な場合があるため、塩
化ビニリデン系樹脂を鞘相1に使用することがより好ま
しい。本発明における密度が0.85〜1.00g/c
cの熱可塑性樹脂相には、例えばエチレン系アイオノマ
ー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン,低密度
ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,超低密度ポ
リエチレンなどのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独
重合体,エチレン−プロピレンブロック共重合体,エチ
レン−プロピレンランダム共重合体などのポリプロピレ
ン系樹脂などが挙げられ、樹脂を構成するモノマーの主
成分が同一であれば、副成分のモノマー、分子量、分子
量分布、立体規則性などが異なる樹脂も混合して使用す
ることができる。
【0013】これらの中で曲げ弾性率が高く、カール保
持性が良好な点で高密度ポリエチレンが好ましく、ポリ
プロピレン系樹脂がより好ましく、プロピレン単独重合
体が更に好ましい。上記熱可塑性樹脂の密度は、0.8
5g/cc未満では樹脂の耐熱性が低下して加工性が悪
化する場合があり、1.00g/ccを越えると繊維自
体が重くなり、カール保持性が悪化する場合があるた
め、0.85〜1.00g/ccがよく、好ましくは
0.87〜0.95g/ccである。また、この密度の
測定方法は、ポリプロピレン系樹脂はJIS K692
1−2、エチレン系アイオノマー樹脂及びポリエチレン
系樹脂はJIS K6922−2、更にJIS K71
12、ASTM D792など、使用する樹脂に応じて
適当な方法を選択する。
【0014】人形用またはかつら用人工毛髪である芯鞘
型塩化ビニリデン系複合繊維とは、人形用毛髪、かつ
ら、つけ毛などの疑似人毛に用いられる芯鞘型塩化ビニ
リデン系繊維であり、繊維の直径は良質な手触りを維持
するために、5〜300μmが好ましく、20〜200
μmがより好ましい。また、これらの用途には難燃性が
必要とされ、また、カールを賦形した場合にはカール保
持性が必要とされる。
【0015】本発明の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維
の製造方法は、複合繊維用紡糸口金を用いて溶融紡糸に
よりモノフィラメントまたはマルチフィラメントに製造
することができ、繊維表面には性能に悪影響を及ぼさな
い範囲で助剤を塗布することができる。繊維の構成は、
一度に多数の繊維を製造できる点でマルチフィラメント
がより好ましい。本発明における塩化ビニリデン系樹脂
には、性能低下の抑制や他機能付加などの目的で添加剤
を添加することが可能であり、この添加剤には、例えば
アジピン酸2エチルヘキシル,アジピン酸ジイソブチ
ル,クエン酸アセチルトリブチル,ジブチルセバケート
などの可塑剤、エポキシ系化合物,酸化マグネシウム,
水酸化マグネシウムなどの熱安定剤、熱可塑性ポリウレ
タン,アクリル系樹脂などの加工助剤、また、界面活性
剤、滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、顔料、蓄光剤、蛍
光剤、感温変色剤などが挙げられる。
【0016】これらの添加剤の総添加量は、塩化ビニリ
デン系樹脂全体に対して0.001wt%未満では各々
の添加剤の効果が過小な場合があり、40wt%を越え
るとカール保持性が悪化する場合があるため、0.00
1〜40wt%が好ましく、より好ましくは0.01〜
20wt%である。本発明の密度が0.85〜1.00
g/ccの熱可塑性樹脂には、性能低下の抑制や他機能
付加などの目的で添加剤を添加することが可能であり、
この添加剤には、例えば可塑剤、酸化防止剤、熱安定
剤、光安定剤、界面活性剤、核剤、滑剤、帯電防止剤、
加工助剤、顔料、蓄光剤、蛍光剤、感温変色剤などが挙
げられる。
【0017】本発明の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維
の断面における(塩化ビニリデン系樹脂相)/(密度が
0.85〜1.00g/ccの熱可塑性樹脂相)の断面
面積比は、光学顕微鏡による断面写真を元にプラニメー
ターなどで算出でき、塩化ビニリデン系樹脂相が20%
未満では難燃性が低下する場合があり、80%を越える
とカール保持性が悪化する場合があるため、20/80
〜80/20が好ましく、25/75〜65/35がよ
り好ましい。
【0018】密度が0.85〜1.00g/ccの熱可
塑性樹脂の曲げ弾性率は、500MPa未満ではカール
保持性が悪化する場合があり、5000MPaを越える
とカールセット直後の外巻カールの巻数が少ない場合が
あるため、500〜5000MPaが好ましく、100
0〜3000MPaがより好ましい。ここで、曲げ弾性
率の測定方法は、ポリプロピレン系樹脂はJIS K6
921−2、エチレン系アイオノマー及びポリエチレン
系樹脂はJIS K6922−2、その他の樹脂はJI
S K7171に準ずる。
【0019】本発明の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維
のJIS L1013による見掛けヤング率は、100
0〜5000MPaが好ましく、2000〜4000M
Paがより好ましい。これは、1000MPa未満では
カール保持性が悪化する場合があり、5000MPa超
過ではカールセット直後の外巻カールの巻数が少ない場
合があるためである。本発明の芯鞘型塩化ビニリデン系
複合繊維断面の外周形状は、例えば円形(図5)、三角
形(図6)、八葉形(図7)などが挙げられ、繊維の引
張強度が優れる点で円形が好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例、参考例に
よって、本発明を詳細に説明する。なお、使用樹脂、見
掛けのヤング率測定方法、繊維製造方法、カール加工方
法とカール加工性評価、植糸方法と植糸性評価、カール
セット方法とカール保持性評価、総合評価は、次の通り
である。
【0021】〔使用樹脂〕 A)塩化ビニリデン系樹脂 下記イ)の共重合体にロ)及びハ)の添加剤を添加して
使用した。 イ)塩化ビニリデンモノマー/塩化ビニルモノマーの仕
込み比=81.5/18.5の共重合体が95wt%。 ロ)アジピン酸ジイソブチル(三建化工(株)製)が3
wt%。 ハ)エポキシ化アマニ油(日本油脂(株)製)が2wt
%。 B)ポリプロピレン系樹脂 密度が0.9g/cc、曲げ弾性率が2250MPaの
モンテル・エスディーケイ・サンライズ(株)製サンア
ロマーPM604Mを使用した。なお、密度及び曲げ弾
性率の測定は、JIS K6921−2に準ずる。 C)ポリアミド系樹脂 密度が1.10g/ccの宇部興産(株)製UBEナイ
ロン7028Bを使用した。なお、密度の測定はAST
M D792に準ずる。
【0022】〔見掛けのヤング率測定方法〕JIS L
1013に準じて測定を行った。 〔繊維製造方法〕芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維の製
造は、図8及び図9に示す繊維製造設備を用いて紡糸を
行った。まず、所定の樹脂をそれぞれ鞘相用押出機3と
芯相用押出機4に投入して溶融押出を行い、次いで複合
繊維用紡糸口金5(ノズル孔径=1mm、ノズル孔数=
20)へ導入し、この紡糸口金5から吐出される溶融物
を冷水槽8で急冷した後、延伸機6の温水槽9へ導き、
温水槽9を通過後すぐに所望の延伸倍率で繊維を延伸
し、この延伸された繊維を巻き取り機7において単糸2
0本で合糸し、任意量ボビンに巻き付けて採取した。ま
た、繊維の太さは80±30μmを目標とした。なお、
塩化ビニリデン系中空繊維の製造は、図10及び図11
の通り、鞘相用押出機3に中空繊維用紡糸口金11(C
型ノズル外径:1.2mm、ノズル孔数:20)を装着
して鞘相用押出機3のみを運転して、以下、上記と同様
の方法で紡糸を行った。
【0023】〔カール加工方法とカール加工性評価〕カ
ール加工方法は、まず、紡糸で得られた繊維をロッド径
が17mmで、雰囲気温度が190℃に設定されたF.
C.F. ENGINEERING CO.製のカーリ
ングマシンに20分間供給し、この出口から得られるス
プリング状カールに賦形された繊維を絡まないように袋
へ詰め、その後28℃雰囲気中で2日間保管した。カー
ル加工性評価は、カーリングマシン出口での糸詰まり回
数により下記の通り評価した。 ◎:糸詰まりは5回以内。カール加工が非常に容易。 ○:糸詰まりは6回以上10回以内。カール加工が容
易。 ×:糸詰まりは10回超過。カール加工が困難。
【0024】〔植糸方法と植糸性評価〕まず、10cm
角に切り揃えた塩化ビニルシート(オカモト(株)製ス
ーパーフィルム ノンタック(厚み:1mm、硬度:#
980))に、図12のような台形状に5mm間隔で平
行に4.5,4.3,4.1,3.9,3.7cmの長
さで直線を記した。次に、この直線上にカール加工され
た繊維をカット長が200mm、回転数1300rpm
に設定されたDOLLY CO. LTD製TUNF−
28Bドールヘアー用植糸ミシンで植糸した。
【0025】この時に、糸切れが頻繁に発生する場合は
繊維に水を塗布し、それでも糸切れが頻繁に発生する場
合はその状態で最後まで植糸を行った。植糸性は下記の
通り評価した。 ◎:水を塗布せずに植糸できる。植糸加工時のトラブル
が少なく、更に水を塗布する手間が省ける。 ○:水を塗布すれば植糸できる。植糸加工時のトラブル
が少ない。 ×:水を塗布しても糸切れが頻繁に発生する。植糸加工
が困難。
【0026】〔カールセット方法とカール保持性評価〕
カールセット方法は、まず、植糸された塩化ビニルシー
トを台形状の底辺を上にして横方向に丸め、図13に示
す直径が2.5cmの円筒状にした。この繊維束の部分
を市販の犬猫ペット用スリッカーブラシで上端から下端
まで20回繰り返して梳き、更に市販の髪櫛で上端から
下端まで絡まりが解けるまで梳いた後、繊維束の下端を
はさみで切り揃えた。この梳かれた繊維束を直径17m
mのヘアカーラーに下端からしっかりと上端に向けて巻
き付け、巻き付け終了後、外巻カールが崩れないように
手で押さえながらゆっくりとカーラーを抜き取り、その
後ゆっくりと手を離し、25±3℃に保たれた部屋の垂
直な壁に風などで外巻カールが崩れないよう囲いをした
状態で2日間保管した。カール保持性はこの時の外巻カ
ールの形状を下記基準にて3段階評価した。
【0027】◎:外巻カールが2周以上している(図1
4)。外巻カールが長期間保持される。 ○:外巻カールが1周以上2周未満である(図15)。
外巻カールは長期間保持されるが、戻りが大きい。 ×:外巻カールが1周していない(図16)。外巻カー
ルは長期間保持されない。
【0028】〔総合評価〕下記の通り総合評価した。 ◎:◎が2個以上で×がない。加工性及びカール保持性
が総合的に非常に優れている。 ○:○が2個以上で×がない。加工性及びカール保持性
が総合的に優れている。 ×:×がある。加工性または/及びカール保持性に問題
がある。
【0029】
【実施例1】鞘相用押出機3に塩化ビニリデン系樹脂を
供給し、芯相用押出機4にサンアロマーPM604Mを
供給して図3aの外周形状が円形の同心状芯鞘型複合繊
維を紡糸した。紡糸条件は、表1の通り、冷水槽8の水
温が9℃、温水槽9の水温が53℃、延伸倍率が4.
2、得られた複合繊維の繊度は1200D/20本であ
った。複合繊維の鞘相1の塩化ビニリデン系樹脂と芯相
2のポリプロピレンとの断面面積比を光学顕微鏡より得
られた写真を元にプラニメーター(タマヤ計測システム
(株)製PLANIX6)で測定したところ、表1の通
り、鞘相/芯相=50/50であり、見掛けのヤング率
は2600MPaであった。カール加工工程での糸詰ま
りは5回以内で、植糸工程では繊維に水を塗布せずに植
糸でき、カール保持性は外巻カールが2周以上してい
た。評価結果を表2に示す。
【0030】
【実施例2】鞘相用押出機3に塩化ビニリデン系樹脂を
供給し、芯相用押出機4にはサンアロマーPM604M
を供給してそれぞれの押出機の回転数を変更し、以下実
施例1と同様にして複合繊維を紡糸した。紡糸条件等は
表1の通り。得られた複合繊維の繊度は1350D/2
0本であり、芯鞘の断面面積比は、実施例1と同様にし
て測定したところ鞘相/芯相=70/30であった。カ
ール加工工程での糸詰まりは6回以上10回以内で、植
糸工程では繊維に水を塗布すれば植糸でき、カール保持
性は外巻カールが1周以上2周未満であった。評価結果
を表2に示す。
【0031】
【実施例3】鞘相用押出機3に塩化ビニリデン系樹脂を
供給し、芯相用押出機4にはサンアロマーPM604M
を供給してそれぞれの押出機の回転数を変更し、以下実
施例1と同様にして複合繊維を紡糸した。紡糸条件等は
表1の通り。得られた複合繊維の繊度は1050D/2
0本であり、芯鞘の断面面積比は、実施例1と同様にし
て測定したところ鞘相/芯相=30/70であった。カ
ール加工工程での糸詰まりは5回以内で、植糸工程は水
なしで植糸でき、カール保持性は外巻カールが2周以上
していた。評価結果を表2に示す。
【0032】
【比較例1】鞘相用押出機3に塩化ビニリデン系樹脂を
供給し、芯相用押出機4には十分乾燥させたUBEナイ
ロン7028Bを供給し、それぞれの押出機の回転数を
変更して以下実施例1と同様に紡糸し、図3aの円形の
同心状芯鞘型複合繊維を得た紡糸条件等は表1の通
り。。得られた複合繊維の繊度は1400D/20本で
あった。芯鞘の断面面積比は、実施例1と同様にして測
定したところ鞘相/芯相=70/30であった。カール
加工工程での糸詰まりは5回以内で、植糸工程では繊維
に水を塗布すれば植糸でき、カール保持性はカールが1
周していなかった。評価結果を表2に示す。
【0033】
【参考例1】鞘相用押出機3に中空繊維用紡糸口金11
を装着し、鞘相用押出機3に塩化ビニリデン系樹脂を供
給し、芯相用押出機4は停止の状態で以下実施例1と同
様にして紡糸した。紡糸条件等は表1の通り。得られた
中空繊維の繊度は950D/20本であった。中空繊維
の中空率は、実施例1と同様にして測定したところ25
%であり、カール加工工程での糸詰まりは6回以上10
回以内で、植糸工程では繊維に水を塗布しても頻繁に糸
切れが発生し、カール保持性はカールが1周していなか
った。評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】以上の実施例1〜3、比較例1、参考例1
からも明らかなように、本発明の芯鞘型塩化ビニリデン
系複合繊維は、カール保持性に優れ、更にカール加工工
程でトラブルが減少し、植糸工程を簡素化できるといっ
た加工工程でも利点の多い複合繊維であることが分か
る。
【0037】
【発明の効果】本発明の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊
維は、カール保持性に優れ、更にカール加工工程や植糸
工程などの加工工程を改善できることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】スプリング状カールを例示した概略図。
【図2】外巻カールを例示した概略図。
【図3】本発明の実施例である、断面形状が同心状芯鞘
型の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維を例示した断面
図。
【図4】本発明の実施例である、断面形状が異心状芯鞘
型の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維を例示した断面
図。
【図5】本発明の外周形状が円形の芯鞘型塩化ビニリデ
ン系複合繊維を例示した断面図である。
【図6】本発明の実施例である、外周形状が三角形の芯
鞘型塩化ビニリデン系複合繊維を例示した断面図。
【図7】本発明の実施例である、外周形状が八葉形の芯
鞘型塩化ビニリデン系複合繊維を例示した断面図。
【図8】本発明の実施例及び比較例の繊維の製造に用い
た製造設備を概略した上面図である。
【図9】本発明の実施例及び比較例の繊維の製造に用い
た製造設備を示す側面概略図。
【図10】本発明の参考例の繊維の製造に用いた製造設
備を示す平面概略図。
【図11】本発明の参考例の繊維の製造に用いた製造設
備を示す側面概略図。
【図12】植糸性評価に用いる、直線を台形状に記した
塩化ビニルシートの概略図。
【図13】植糸された塩化ビニルシートを円筒にした状
態を説明する概略図。
【図14】カール保持性評価の外巻カールが2周以上し
ている状態を示す断面概略図。
【図15】カール保持性評価の外巻カールが1周以上2
周未満の状態を示す断面概略図。
【図16】カール保持性評価の外巻カールが1周してい
ない状態を示す断面概略図。
【符号の説明】
1 鞘相 2 芯相 3 鞘相用押出機 4 芯相用押出機 5 複合繊維用紡糸口金 6 延伸機 7 巻き取り機 8 冷水槽 9 温水槽 10 複合繊維 11 中空繊維用紡糸口金 12 中空繊維 13 直線 14 塩化ビニルシート 15 カール加工された繊維 16 カールセットされた繊維

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニリデン系樹脂相と密度が0.8
    5〜1.00g/ccの熱可塑性樹脂相が、鞘芯相をな
    していることを特徴とする、芯鞘型塩化ビニリデン系複
    合繊維。
  2. 【請求項2】 密度が0.85〜1.00g/ccの熱
    可塑性樹脂相が、ポリプロピレン系樹脂相であることを
    特徴とする、請求項1記載の芯鞘型塩化ビニリデン系複
    合繊維。
  3. 【請求項3】 鞘相が塩化ビニリデン系樹脂相であるこ
    とを特徴とする、請求項1または請求項2記載の芯鞘型
    塩化ビニリデン系複合繊維。
  4. 【請求項4】 人形用またはかつら用人工毛髪に用いら
    れることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載
    の芯鞘型塩化ビニリデン系複合繊維。
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