JP2002124743A - 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板 - Google Patents

感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板

Info

Publication number
JP2002124743A
JP2002124743A JP2000319439A JP2000319439A JP2002124743A JP 2002124743 A JP2002124743 A JP 2002124743A JP 2000319439 A JP2000319439 A JP 2000319439A JP 2000319439 A JP2000319439 A JP 2000319439A JP 2002124743 A JP2002124743 A JP 2002124743A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamic acid
porous
film
layer
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000319439A
Other languages
English (en)
Inventor
Shu Mochizuki
周 望月
Takahiro Fukuoka
孝博 福岡
Mitsuhiro Kaneda
充宏 金田
Takayuki Yamamoto
孝幸 山本
Tomohiro Taruno
友浩 樽野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2000319439A priority Critical patent/JP2002124743A/ja
Publication of JP2002124743A publication Critical patent/JP2002124743A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)
  • Insulated Metal Substrates For Printed Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐熱性、寸法安定性、絶縁性を有し、し
かも、均一で微細な気泡を有する多孔質樹脂、および、
その多孔質樹脂を得るための感光性樹脂組成物、さらに
は、そのような多孔質樹脂を絶縁層として有する、回路
基板および回路付サスペンション基板を提供すること。 【解決手段】 感光性樹脂組成物2として、ポリアミッ
ク酸樹脂4と感光剤とポリアミック酸樹脂4に対して分
散可能な分散性化合物3と溶剤とを含有させる。この感
光性樹脂組成物2から溶剤を除くことにより、ポリアミ
ック酸樹脂4中に分散性化合物3が分散した状態を形成
し、次いで、分散性化合物3を除去して多孔化した後、
硬化させて多孔質樹脂を得る。得られた多孔質樹脂は、
低誘電率であるため、回路基板の絶縁層6として用いれ
ば、その回路基板の高周波特性を向上させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性樹脂組成物、
多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
に関し、詳しくは、回路基板および回路付サスペンショ
ン基板の絶縁層の形成のために好適に用いられる感光性
樹脂組成物および多孔質樹脂、および、そのような多孔
質樹脂を絶縁層として有する、回路基板および回路付サ
スペンション基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリイミド樹脂は、高い耐熱
性、寸法安定性、絶縁性を有するために信頼性の必要な
部品、部材として、回路基板などの電子・電気機器や電
子部品に広く用いられている。最近では、電子・電気機
器の高性能化、高機能化に伴い、大量の情報を蓄積し、
高速に処理、高速に伝達することが要求されており、そ
のような用途に用いられるポリイミド樹脂にも、高周波
化に対応した電気的特性として、低誘電率化が求められ
ている。
【0003】しかし、一般に、プラスチック材料の誘電
率は、その分子骨格から決定されてしまうため、その分
子骨格を変成しても誘電率を下げるには限界がある。そ
のため、空気の誘電率が低いこと(ε=1.0)に着目
して、プラスチック材料を多孔化させて、その空孔率に
よって誘電率を制御しようとする方法が各種提案されて
いる。
【0004】そのような多孔質樹脂を得る方法として
は、乾式法や湿式法などがあり、乾式法では、通常、物
理的方法によるものと、化学的方法によるものとが知ら
れている。物理的方法は、クロロフルオロカーボン類な
どの低沸点液体(発泡剤)を樹脂中に分散させた後、加
熱して発泡剤を揮発させることにより気泡を生じさせ、
これによって発泡体を得るものである。また、化学的方
法は、樹脂に発泡剤を添加して、これを熱分解すること
によって生じるガスによりセルを形成し、これによって
発泡体を得るものである。物理的方法によるものとして
は、例えば、米国特許公報第4532263号におい
て、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタンな
どを発泡剤として用いて、発泡ポリエーテルイミドを得
ることが提案されている。
【0005】さらに、近年では、セル径が小さく、セル
密度の高い発泡体として、窒素や二酸化炭素などの気体
を高圧にて樹脂中に溶解させた後、圧力を解放し、樹脂
のガラス転移点や軟化点付近まで加熱することにより、
気泡を生じさせる方法が提案されている。このような方
法では、微孔質発泡体を得ることができ、例えば、特開
平6−322168号公報では、この方法をポリエーテ
ルイミド樹脂に適用して、耐熱性を有する発泡体を得る
ことが提案されている。また、例えば、特開平10−4
5936号公報では、この方法をシンジオタクチック構
造を有するスチレン系樹脂に適用して、気泡サイズが
0.1〜20μmの多孔質を有する発泡体を得て、これ
を電気回路部材として用いることが提案されている。ま
た、例えば、特開平9−100363号公報では、二酸
化炭素などを発泡剤として発泡された空孔率が10vo
l%以上の多孔質なプラスチックを含む、耐熱温度が1
00℃以上で、かつ、誘電率が2.5以下である低誘電
率プラスチック絶縁フィルムが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような多
孔質樹脂を得る方法において、例えば、物理的手法で
は、発泡剤として用いられるクロロフルオロカーボン類
が、安全衛生上およびオゾン層の破壊などの環境上から
好ましいものではなく、また、微細かつ均一なセル径を
形成することが困難である。
【0007】また、化学的手法では、発泡後、ガスを発
生させた発泡剤の残さが、発泡体中に残存するおそれが
あるため、電子・電気機器や電子部品など、低汚染性が
強く要求される用途には不向きである。
【0008】さらに、気体を高圧で樹脂中に溶解させた
後、圧力を解放し、樹脂のガラス転移点や軟化点付近ま
で加熱することにより、気泡を生じさせる方法におい
て、例えば、特開平6−322168号公報に記載され
る方法では、高圧ガスを圧力容器中で含浸するときに、
圧力容器を樹脂のビカー軟化点またはその近傍まで加熱
するので、減圧するときには、樹脂が溶融状態にある一
方で高圧ガスが膨張しやすいために、得られた発泡体の
気泡サイズがあまり小さくならず、例えば、回路基板な
どとして用いる場合には、その厚みが厚くなってしまっ
たり、あるいは、そのパターン化において微細化に限界
を生ずる。また、例えば、特開平10−45936号公
報に記載される方法では、スチレン系樹脂のガラス転移
点が100℃付近であるため、それ以上の高温では使用
できず、さらに、特開平9−100363号公報に記載
される方法では、気泡サイズがあまり小さくならず、パ
ターン化において微細化に限界を生ずる。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、その目的とするところは、高い耐熱性、寸法安
定性、絶縁性を有し、しかも、均一で微細な気泡を有す
る多孔質樹脂、および、その多孔質樹脂を得るための感
光性樹脂組成物、さらには、そのような多孔質樹脂を絶
縁層として有する、回路基板および回路付サスペンショ
ン基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の感光性樹脂組成物は、ポリアミック酸樹脂
と、感光剤と、ポリアミック酸樹脂に対して分散可能な
分散性化合物と、溶剤とを含有することを特徴としてい
る。
【0011】また、この感光性樹脂組成物においては、
分散性化合物が、ポリアクレートオリゴマー、ポリエー
テルオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリウレタ
ンオリゴマーからなる群から選ばれる少なくとも1種で
あることが好ましい。
【0012】また、本発明は、この感光性樹脂組成物か
ら溶剤を除くことにより、ポリアミック酸樹脂中に分散
性化合物が分散した状態を形成する工程、分散性化合物
を除去することにより、多孔化する工程、および感光性
樹脂組成物を硬化させる工程を含む工程によって得られ
る、多孔質樹脂をも含むものである。なお、この多孔質
樹脂を得る工程においては、感光性樹脂組成物を、露光
および現像することによりパターン化する工程を含むこ
とが好ましい。
【0013】そして、このような多孔質樹脂は、回路基
板の絶縁層として、とりわけ、回路付サスペンション基
板の絶縁層として好適に用いられる。
【0014】また、本発明は、このような多孔質樹脂を
絶縁層として有している、回路基板および回路付サスペ
ンション基板をも含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の感光性樹脂組成物は、ポ
リアミック酸樹脂と、感光剤と、ポリアミック酸樹脂に
対して分散可能な分散性化合物と、溶剤とを含有してい
る。
【0016】本発明に用いられるポリアミック酸樹脂
は、ポリイミド樹脂の前駆体であって、有機テトラカル
ボン酸二無水物とジアミンとを反応させることによって
得ることができる。有機テトラカルボン酸二無水物とし
ては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',
4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,
2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水
物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ
ーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)スルホン酸二無水物などが挙げられる。また、それ
らは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよ
い。
【0017】また、ジアミンとしては、例えば、m−フ
ェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4'
−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジ
フェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスル
ホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2
−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミ
ノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジ
アミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2−ビス
(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニ
ルなどが挙げられる。また、それらは、単独で用いても
よいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】そして、ポリアミック酸樹脂は、これら有
機テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、実質的に
等モル比となるような割合で、適宜の有機溶媒、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシドなどの極性溶媒中で、通常、0〜90℃で
1〜24時間反応させることよって、ポリアミック酸樹
脂の溶液として得るようにすればよい。このようにして
得られるポリアミック酸樹脂は、下記一般式(1)で示
される単位構造を有し、例えば、その重量平均分子量
が、5000〜200000程度、好ましくは、100
00〜100000程度である。
【0019】
【化1】 (式中、Raは、2価の有機基を示し、Rbは、4価の
有機基を示す。) 本発明に用いられる感光剤は、ポリアミック酸樹脂を露
光したときに、露光部と未露光部の溶解性コントラスト
を得ることができるものであれば、いずれのものも用い
ることができ、そのような感光剤としては、例えば、ジ
ヒドロピリジン誘導体、ジアゾナフトキノンスルホン酸
エステル誘導体、芳香族ジアジド化合物などが挙げられ
る。
【0020】これら感光剤のうちでは、コントラストお
よび解像性の点から、好ましくは、ジヒドロピリジン誘
導体が用いられる。ジヒドロピリジン誘導体は、その詳
細が特開平6−75376号公報に記載されているよう
に、下記一般式(2)で示される。
【0021】
【化2】 (式中、X1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子、フ
ッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキ
ルアミノ基、シアノ基またはフッ化アルキル基を示し、
Ylは、シアノ基または一般式−COR3を示し、Y2
は、シアノ基または一般式−COR4を示し、ここに、
R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のア
ルキル基、アルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、
ベンジルオキシ基、アミノ基またはジアルキルアミノ基
を示し、Rl、R2およびR5は、それぞれ独立に、水
素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rlと
R3、R2とR4は、ケト基を含む五員環または複素環
を形成可能な員環となることができる。) このようなジヒドロピリジン誘導体は、より具体例に
は、例えば、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメト
キシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロ
ピリジン(以下、ニフェジピンという。)、4−o−ニ
トロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6
−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジン(以下、
N−メチル体という。)、4−o−ニトロフェニル−
3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン(以
下、アセチル体という。)などが挙げられる。また、そ
れらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0022】このような感光剤は、酸二無水物とジアミ
ンとの合計、すなわち、ポリアミック酸1モル部に対し
て、通常、0.05〜0.5モル部の範囲で用いられ
る。また、必要に応じて、現像液に対する溶解助剤とし
て、イミダゾールを配合してもよく、そのような場合に
は、イミダゾールは、酸二無水物とジアミンとの合計、
すなわち、ポリアミック酸樹脂1モル部に対して、通
常、0.05〜0.5モル部の範囲で用いることが好ま
しい。
【0023】また、本発明に用いられる分散性化合物
は、ポリアミック酸樹脂に対して分散し得る化合物であ
って、より具体的には、ポリアミック酸樹脂に対して微
粒子としてミクロ相分離して、海島構造を形成し得る化
合物である。本発明に用いられる分散性化合物は、その
ような化合物であれば、特に制限されないが、ポリアミ
ック酸樹脂に対して完全に相溶しないものが好ましく、
また、加熱により揮散するか、もしくは、分解して炭化
するもの、あるいは、特定の溶剤によって抽出できるも
のが好ましく用いられる。そのような化合物としては、
例えば、同一あるいは相異なる単量体が2以上重合して
いる比較的低重合度のオリゴマーが挙げられ、より具体
的には、例えば、ポリアクリレートオリゴマー、ポリエ
ーテルオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリウレ
タンオリゴマーなどが挙げられる。
【0024】ポリアクリレートオリゴマーとしては、例
えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ
(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリ
レートなどが挙げられる。
【0025】ポリエーテルオリゴマーとしては、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリブチレングリコール、および、それらの片末端
もしくは両末端が、メチル、フェニル、(メタ)アクリ
レートなどのブロック剤で封鎖されている封鎖物などが
挙げられる。
【0026】ポリエステルオリゴマーとしては、例え
ば、ε−カプロラクトン、および、それらの片末端もし
くは両末端が、メチル、フェニル、(メタ)アクリレー
トなどのブロック剤で封鎖されている封鎖物などが挙げ
られる。
【0027】ポリウレタンオリゴマーとしては、例え
ば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリ
オールなどのマクロポリオールと、ポリイソシアネート
モノマーとの反応生成物などのウレタンポリオール、例
えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニ
ルグリシジルエーテルアクリレート、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート、グリセリンジメタクリレートな
どのヒドロキシ(メタ)アクリレートモノマーと、メチ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネートモ
ノマー、あるいは、上記したウレタンポリオールとの反
応生成物などのウレタンアクリレートなどが挙げられ
る。
【0028】このような分散性化合物は、単独で用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。また、その重量
平均分子量が、150〜10000、さらには、300
〜5000の範囲にあることが好ましい。150未満で
あると、ポリアミック酸樹脂に対して良好に相溶してし
まう場合があり、一方、10000を超えると、微細に
分散させることができない場合がある。また、このよう
な分散性化合物は、ポリアミック酸樹脂100重量部に
対して、通常、200重量部以下、多孔質樹脂の気泡の
サイズを微細(10μm未満)とするためには、好まし
くは、10〜200重量部、とりわけ、誘電率を3以下
とするするためには、好ましくは、30〜100重量部
の範囲で用いられる。
【0029】また、本発明に用いられる溶剤は、ポリア
ミック酸樹脂の合成に用いた反応溶媒をそのまま用いれ
ばよく、さらに、そのような反応溶媒とともに、あるい
は、反応溶媒に代えて、例えば、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン、ジグライム、トリグライム、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、トルエ
ン、キシレンなどの有機溶剤を、単独もしくは2種以上
併用して用いてもよい。溶媒の使用量は、特に限定され
ないが、使用量を調整することによって、通常、その目
的および用途に応じた感光性樹脂組成物の粘度を調整す
る。通常は、ポリアミック酸樹脂、感光剤および分散性
化合物の合計量に対して、重量比で、等量〜100倍
量、好ましくは、2〜50倍量の範囲で用いる。
【0030】そして、本発明の感光性樹脂組成物は、ポ
リアミック酸樹脂、感光剤、分散性化合物および溶媒
を、上記した割合において、適宜公知の方法によって配
合すればよい。このようにして得られた本発明の感光性
樹脂組成物は、高い耐熱性、寸法安定性、絶縁性を有
し、しかも、均一で微細な気泡を有し、低誘電率で微細
なパターンを形成しやすい多孔質樹脂、とりわけ、回路
基板の絶縁層を形成するための多孔質樹脂の原料として
好適に用いられる。
【0031】次に、本発明の感光性樹脂組成物を用い
て、多孔質樹脂を製造する方法を、多孔質樹脂からなる
回路基板の絶縁層を形成する方法を例にとって説明す
る。
【0032】この方法では、図1(a)に示すように、
まず、所定の基材1を用意して、図1(b)に示すよう
に、感光性樹脂組成物2を、その基材1上に塗工した
後、熱風乾燥などにより乾燥させて、感光性樹脂組成物
2から溶剤を除去して皮膜を形成する。
【0033】基材としては、例えば、銅、アルミニウ
ム、ステンレス、銅−ベリリウム、リン青銅、鉄−ニッ
ケルなどの金属または合金の箔または板、例えば、シリ
コンウエハー、ガラスなどのセラミックの箔または板、
例えば、ポリイミド、ポリエステルなどのプラスチック
のフィルムなどが挙げられる。
【0034】感光性樹脂組成物の塗工は、例えば、スピ
ンコータ、バーコータなどの公知の塗工方法によればよ
く、基材の形状や、塗工の厚さに合わせて、適宜好適な
方法により塗工すればよい。また、その乾燥後の厚み
が、0.1〜50μm、好ましくは、1〜25μmとな
るように塗工することが好ましい。なお、塗工の前に、
基材の表面に、予めシランカップリング剤やチタネート
系カップリング剤を下塗りしておくことによって、密着
性を向上させることができる。
【0035】そして、乾燥は、通常、40℃〜150℃
で行なう。40℃より低いときは、溶剤の除去速度が遅
く、また、150℃より高いときは、ポリアミック酸樹
脂のイミド化が開始する場合がある。好適には、60〜
100℃にて行なう。このような乾燥によって、溶剤が
除去されることにより、図1(b)にモデル的に示され
るように、分散性化合物3が、ポリアミック酸樹脂4に
対して不溶化して、微細な粒子としてミクロ相分離し、
ポリアミック酸樹脂4中に分散性化合物3の海島構造が
形成される。
【0036】次いで、図1(c)に示すように、乾燥さ
れた感光性樹脂組成物2に、フォトマスク5を介して活
性光線を照射することによって露光を行なった後、必要
により加熱することによって、ポジ型またはネガ型の潜
像を形成し、これを現像することによって、ポジ型また
はネガ型の画像、すなわち、所要のパターンを形成す
る。より具体的には、ポリアミック酸樹脂は、用いる感
光剤の種類によっていくらか異なるものの、例えば、ニ
フェジピンの場合は露光後の加熱の温度が、140℃前
後の比較的低温であるときは、露光部が現像液に溶解し
て、ポジ型画像を形成し、他方、露光後の加熱の温度
が、約170℃以上の比較的高温であるときは、未露光
部が現像液に溶解してネガ型画像を形成する。現像は、
浸漬法やスプレー法などの公知の方法により行なえばよ
く、現像温度は、通常、25〜50℃の範囲が適当であ
る。また、用いられる現像液としては、例えば、水酸化
テトラメチルアンモニウムなどの有機アルカリ水溶液
や、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
無機アルカリ水溶液が挙げられる。そのアルカリの濃度
は、通常、2〜5重量%の範囲が適当であり、必要に応
じて、アルカリ水溶液には、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロピルアルコールなどの低級
脂肪族アルコールを加えてもよい。そのアルコールの添
加量は、通常、50重量%以下である。
【0037】なお、この方法においては、ネガ型画像で
現像することが好ましく、図1(d)においては、ネガ
型画像でパターン化された態様が示されている。
【0038】そして、図1(d)に示すように、感光性
樹脂組成物2から分散性化合物3を除去することによ
り、ポリアミック酸樹脂4を多孔化する。
【0039】感光性樹脂組成物から分散性化合物を除去
する方法としては、加熱により揮散させる、または、分
解して炭化する、あるいは、特定の溶剤によって抽出す
るなど、公知の方法が用いられる。これらの方法のう
ち、特定の溶剤によって抽出する方法が好ましい。溶剤
により抽出すれば、加熱によって除去しきれない分散性
化合物の残さを取り除くことができ、誘電率をさらに低
下させることができる。
【0040】抽出溶剤としては、通常用いられる有機溶
剤でよく、ポリアミック酸樹脂の組成や分散性化合物の
種類によって、適宜選択すればよい。そのような有機溶
剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、
ジメチルスルホキシド、ジグライム、トリグライムなど
の極性溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン
などのエーテル系溶剤、例えば、シクロヘキサノン、メ
チルエチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤、例え
ば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、
例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールな
どのアルコール系溶剤などが挙げられる。それらは、単
独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】また、この抽出による方法では、特に、液
化二酸化炭素、もしくは、高温高圧状態あるいは超臨界
状態にある二酸化炭素を用いることが好ましい。このよ
うな二酸化炭素を用いて抽出すれば、抽出効率を格段に
向上させることができ、良好に多孔化することができ
る。このような二酸化炭素を用いる場合には、例えば、
耐圧容器中で、0〜150℃、さらには、20〜120
℃で、3.5〜100MPa、さらには、6〜50MP
aで抽出を行なうことが好ましい。
【0042】なお、このような、感光性樹脂組成物から
分散性化合物を除去する工程は、本発明の感光性樹脂組
成物から多孔質樹脂を得る工程中の、どの工程において
行なってもよく、独立に、または、全行程を通じて行な
ってもよい。すなわち、この説明においては、この工程
を、感光性樹脂組成物をパターン化した後、次に述べる
感光性樹脂組成物を硬化させる前の工程として述べてい
るが、感光性樹脂組成物から溶剤を除去して、ポリアミ
ック酸樹脂中に分散性化合物が分散した状態を形成した
後であれば、どの工程において行なってもよく、感光性
樹脂組成物の露光前、露光後加熱前、加熱後現像前、現
像後、および、次に述べる硬化の前後、もしくは、これ
らの各工程において複数回にわたって行なってもよい。
【0043】そして、図1(e)に示すように、このよ
うに形成された感光性樹脂組成物2を硬化させることに
より、本発明の多孔質樹脂からなる絶縁層6を得ること
ができる。硬化は、公知の方法により行なえばよく、例
えば、真空下または不活性ガス雰囲気下において、35
0℃〜400℃程度で、数時間、加熱することが好まし
い。これによって、ポリアミック酸樹脂がイミド化され
て、ポリイミド樹脂からなる多孔質樹脂の絶縁層が形成
される。
【0044】そして、回路基板として使用するために
は、例えば、図2(a)に示すように、この絶縁層6を
ベース層6として、そのベース層6の上に、導体層7
を、例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法、セ
ミアディティブ法などの公知のパターンニング法によっ
て、所定の回路パターンとして形成し、次いで、図2
(b)に示すように、必要により、その導体層7を絶縁
層からなるカバー層8によって被覆すればよい。なお、
導体層を形成するための導体としては、例えば、銅、ニ
ッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などが用いら
れ、その厚みは、通常、1〜15μmである。また、カ
バー層としては、本発明の多孔質樹脂を用いてもよく、
また、その他の、カバー層として通常用いられる公知の
樹脂を用いてもよい。カバー層の厚みは、通常、2〜2
5μmである。
【0045】このようにして得られる絶縁層は、ポリイ
ミド樹脂からなるので、高い耐熱性、寸法安定性、絶縁
性能を有し、しかも、10μm未満、さらには、5μm
未満の均一で微細な気泡を有しているため、ラインアン
ドスペースが精細な回路パターンを形成することがで
き、かつ、誘電率が3以下、さらには、2.5以下の低
誘電率であるため、高周波特性を向上させることができ
る。そのため、回路基板、好ましくは、フレキシブル配
線板のベース層やカバー層として好適に用いることがで
き、このような絶縁層を有する回路基板は、高周波電気
信号を高速に伝達することのできる回路基板として有効
に用いることができる。
【0046】とりわけ、本発明の多孔質樹脂からなる絶
縁層を、ハードディスクドライバの磁気ヘッドを実装す
る回路付サスペンション基板の絶縁層として用いれば、
そのような絶縁層を有する回路付サスペンション基板
は、磁気ヘッドにより読み書きされる大量の情報を、高
速に伝達することができる。
【0047】次に、本発明の多孔質樹脂を、そのような
回路付サスペンション基板として用いる、具体的な態様
について詳述する。
【0048】図3は、本発明の多孔質樹脂が、絶縁層と
して用いられている回路付サスペンション基板の、一実
施形態の斜視図である。
【0049】図3において、この回路付サスペンション
基板11は、ハードディスクドライバの磁気ヘッド(図
示せず)を実装して、その磁気ヘッドを、磁気ヘッドと
磁気ディスクとが相対的に走行する時の空気流に抗し
て、磁気ディスクとの間に微小な間隔を保持しながら支
持するものであり、磁気ヘッドと、外部の回路としての
リード・ライト基板とを接続するための配線が、所定の
回路パターンとして一体に形成されている。
【0050】このような回路付サスペンション基板11
は、長手方向に延びる支持基板12の上に、ベース層1
3が形成されており、そのベース層13の上に、所定の
回路パターンとして形成される導体層14が形成されて
いる。なお、この回路パターンは、互いに所定の間隔を
隔てて平行状に配置される複数の配線14a、14b、
14c、14dによって構成されている。支持基板12
の先端部には、その支持基板12を切り込むことによっ
て、磁気ヘッドを実装するためのジンバル15が形成さ
れている。また、その支持基板12の先端部には、磁気
ヘッドと各配線14a、14b、14c、14dとを接
続するための磁気ヘッド側接続端子16が形成されると
ともに、支持基板12の後端部には、リード・ライト基
板と各配線14a、14b、14c、14dとを接続す
るための外部側接続端子17が形成されている。なお、
図3においては、図示されていないが、実際には、導体
層14の上には、絶縁体からなるカバー層18が被覆さ
れている。
【0051】次に、このような回路付サスペンション基
板11を製造する一方法について、図4〜図6を参照し
て詳述する。なお、図4〜図6においては、回路付サス
ペンション基板11の長手方向途中を、その回路付サス
ペンション基板11の長手方向に直交する方向に沿う断
面として示している。
【0052】まず、図4に示すように、支持基板12を
用意して、その支持基板12の上に、所定のパターンで
ベース層13を形成する。支持基板12としては、金属
箔または金属薄板を用いることが好ましく、例えば、ス
テンレス、42アロイなどが好ましく用いられる。ま
た、その厚さが、10〜60μm、さらには、15〜3
0μm、その幅が、50〜500mm、さらには、12
5〜300mmのものが好ましく用いられる。
【0053】そして、まず、図4(a)に示すように、
予め用意された支持基板12上に、図4(b)に示すよ
うに、感光性樹脂組成物を、その支持基板12の全面に
塗工した後、40℃〜150℃で乾燥することにより、
溶剤を除去してポリアミック酸樹脂4中に分散性化合物
3を分散させるとともに、感光性樹脂組成物の皮膜13
aを形成する。
【0054】次に、図4(c)に示すように、その皮膜
13aを、フォトマスク24を介して露光させた後、ポ
ジ型画像またはネガ型画像で現像することにより、皮膜
13aを所定のパターンとする。なお、フォトマスク2
4を介して照射する照射線は、その露光波長が、300
〜450nm、さらには、350〜420nmであるこ
とが好ましく、その露光積算光量が、100〜5000
mJ/cm2、さらには、200〜3000mJ/cm2
であることが好ましい。なお、図4においては、ネガ型
画像でパターン化された態様が示されている。
【0055】そして、図4(d)に示すように、皮膜1
3aから分散性化合物を除去することにより、ポリアミ
ック酸樹脂4を多孔化する。分散性化合物3の除去は、
加熱、分解、抽出のいずれの方法でもよいが、好ましく
は、抽出が用いられる。
【0056】次いで、図4(e)に示すように、ポリア
ミック酸樹脂4の皮膜13aを、350℃〜400℃程
度で、数時間、加熱することによって、ポリアミック酸
樹脂4をイミド化して、ポリイミド樹脂からなる多孔質
のベース層13を形成する。なお、このようにして形成
されるベース層13の厚みは、通常、2〜20μm、好
ましくは、5〜10μmである。
【0057】次いで、図5に示すように、ベース層13
の上に、所定の回路パターンで導体層14を形成する。
導体層14を形成するための導体としては、回路付サス
ペンション基板の導体として使用できるものであれば、
特に制限されることなく使用することができる。そのよ
うな導体としては、例えば、銅、ニッケル、金、はん
だ、またはこれらの合金などが用いられ、好ましくは、
銅が用いられる。また、所定の回路パターンで導体層1
4を形成するには、例えば、サブトラクティブ法、アデ
ィティブ法、セミアディティブ法などの公知のパターン
ニング法のいずれでもよいが、好ましくは、セミアディ
ティブ法が用いられる。すなわち、まず、図5(a)に
示すように、支持基板12およびベース層13の全面
に、下地20となる導体の薄膜を形成する。下地20の
形成は、真空蒸着法、とりわけ、スパッタ蒸着法が好ま
しく用いられる。また、下地20となる導体は、クロム
や銅などが好ましく用いられる。より具体的には、例え
ば、支持基板12およびベース層13の全面に、クロム
薄膜と銅薄膜とをスパッタ蒸着法によって、順次に形成
することが好ましい。なお、クロム箔膜の厚みが、10
0〜600Å、銅薄膜の厚みが、500〜2000Åで
あることが好ましい。
【0058】次いで、図5(b)に示すように、その下
地20の上に、所定の回路パターンと逆パターンのめっ
きレジスト21を形成する。めっきレジスト21は、例
えば、ドライフィルムレジストなどを用いて公知の方法
により、所定のレジストパターンとして形成すればよ
い。次いで、図5(c)に示すように、ベース層13に
おけるめっきレジスト21が形成されていない部分に、
めっきにより、所定の回路パターンの導体層14を形成
する。めっきは、電解めっき、無電解めっきのいずれで
もよいが、電解めっきが好ましく用いられ、なかでも、
電解銅めっきが好ましく用いられる。なお、この回路パ
ターンは、例えば、図1に示されるように、互いに所定
の間隔を隔てて平行状に配置される、複数の配線14
a、14b、14c、14dパターンとして形成する。
導体層14の厚みは、通常、2〜50μm、好ましく
は、5〜30μmであり、各配線14a、14b、14
c、14dの幅は、通常、5〜500μm、好ましく
は、10〜200μmであり、各配線14a、14b、
14c、14d間の間隔は、通常、5〜500μm、好
ましくは、10〜200μmである。
【0059】そして、図5(d)に示すように、めっき
レジスト21を、例えば、化学エッチング(ウェットエ
ッチング)などの公知のエッチング法、または剥離によ
って除去した後、図5(e)に示すように、めっきレジ
スト21が形成されていた下地20を、同じく、化学エ
ッチング(ウェットエッチング)など公知のエッチング
法により除去する。これによって、ベース層13の上
に、導体層14を所定の回路パターンとして形成する。
【0060】次いで、図6に示すように、導体層14の
表面を金属皮膜22により保護した後、この導体層14
を、絶縁体からなるカバー層18により被覆する。すな
わち、まず、図6(a)に示すように、導体層14の表
面、および、支持基板12の表面に、金属皮膜22を形
成する。この金属皮膜22は、無電解ニッケルめっきに
よって、硬質のニッケル薄膜として形成することが好ま
しく、その厚みは、導体層14の表面が露出しない程度
であればよく、例えば、0.05〜0.2μm程度であ
ればよい。
【0061】次いで、導体層14を被覆するためのカバ
ー層18を形成する。カバー層18には、ベース層13
と同じく、感光性樹脂組成物が用いられ、図6(b)に
示すように、ベース層13と同様の方法によって、ポリ
イミド樹脂からなる多孔質のカバー層18を形成する。
なお、このようにして形成されるカバー層18の厚み
は、導体層14の厚みにもよるが、通常、2〜25μ
m、好ましくは、5〜20μmである。
【0062】そして、図6(c)に示すように、支持基
板12の上に形成されている金属皮膜22を剥離する。
なお、磁気ヘッド側接続端子16および外部側接続端子
17は、図には示していないが、カバー層18の形成に
おいて、各端子部分がカバー層18によって被覆されな
いようにしておき、支持基板12の上に形成されている
金属皮膜22を剥離する時に、同時に、各端子部分の金
属皮膜22を剥離した後、露出する導体層14の表面
を、電解ニッケルめっきと電解金めっきとを順次行なう
ことにより形成する。なお、ニッケルめっき層および金
めっき層の厚さは、いずれも、0.2〜5μm程度であ
ることが好ましい。
【0063】そして、電解ニッケルめっきおよび電解金
めっきに用いためっきリードを、化学エッチングなどに
より除去し、支持基板12を、化学エッチングなど公知
の方法によって、ジンバル15などの所定の形状に切り
抜き、洗浄および乾燥することにより、図3に示すよう
な回路付サスペンション基板11を得る。
【0064】このようにして得られる回路付サスペンシ
ョン基板11は、低誘電率化が図られており、高周波特
性が良好であるため、磁気ヘッドにより読み書きされる
大量の情報を、高速に伝達することができる。
【0065】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例およ
び比較例に限定されることはない。
【0066】合成例1(ポリアミック酸樹脂Aの合成) 攪拌機および温度計を備えた500mLのセパラブルフ
ラスコに、p−フェニレンジアミン27.0g(0.2
5mol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NM
P)402gを加えて攪拌し、p−フェニレンジアミン
を溶解させた。
【0067】これに、3,3',4,4'−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物73.6g(0.25mol)
を徐々に加え、その後、30℃以下の温度で2時間攪拌
を続け、濃度20重量%のポリアミック酸樹脂Aの溶液
を得た。このポリアミック酸樹脂Aの溶液の固有粘度
(NMP中0.5g/100mLの濃度、30℃で測
定)は1.5であり、30℃での溶液粘度は800P
a.sであった。
【0068】合成例2(ポリアミック酸樹脂Bの合成) 攪拌機および温度計を備えた500mLのセパラブルフ
ラスコに、p−フェニレンジアミン27.0g(0.2
5mol)と、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)66.20g
(0.225mol)と、2,2−ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン11.1g
(0.025mol)とを入れ、N−メチル−2−ピロ
リドン(NMP)417gに溶解させ、30℃以下の温
度で2時間攪拌を続け、濃度20重量%のポリアミック
酸樹脂Bの溶液を得た。このポリアミック酸樹脂Bの溶
液の固有粘度(NMP中0.5g/100mLの濃度、
30℃で測定)は1.7であり、30℃での溶液粘度は
820Pa.sであった。
【0069】合成例3(ポリアミック酸樹脂Cの合成) 攪拌機および温度計を備えた500mLのセパラブルフ
ラスコに、1,1'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフ
ェニル18.7g(88.0mmol)と、2,2'−
ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン9.0
g(22.0mmol)と、ピロメリット酸二無水物1
9.2g(88.0mmol)と、2,2'−ビス
(3,4'−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン9.8g(22.0mmol)とを入れ、N−メ
チル−2−ピロリドン(NMP)227gに溶解させ、
30℃以下の温度で2時間攪拌を続け、濃度20重量%
のポリアミック酸樹脂Cの溶液を得た。このポリアミッ
ク酸樹脂Cの溶液の固有粘度(NMP中0.5g/10
0mLの濃度、30℃で測定)は0.7であり、30℃
での溶液粘度は300Pa.sであった。
【0070】実施例1 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、重量平均
分子量が1100のウレタンアクリレートを、そのポリ
アミック酸樹脂Aの100重量部に対して38重量部添
加し、攪拌して透明な均一の感光性樹脂組成物を得た。
この感光性樹脂組成物を、厚さ25μmのステンレス箔
(SUS304)上に、スピンコータを用いて、乾燥後
の皮膜の厚さが15μmとなるように塗布し、90℃で
15分間、加熱乾燥して、NMPを除去することによ
り、ポリアミック酸樹脂A中にウレタンアクリレートの
海島構造が形成されるような皮膜を形成した。
【0071】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0072】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してウレタンアクリレートを抽出する操作を2
時間行なった。その後、1.33Paの真空下に減圧し
た状態で、380℃で加熱し、多孔質のポリイミド樹脂
からなる膜を作製した。
【0073】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理して求めた。その結果を図7に示す。また、気
泡のサイズは2.5μm、誘電率は、2.75(1MH
z)であった。
【0074】なお、測定条件は、以下の通りである(な
お、以下の実施例および比較例においても同じ)。
【0075】SEM観察:作製した多孔質シートを液体
窒素中で凍結して割断し、その断面を走査型電子顕微鏡
(SEM)(日立製作所製 S−570型)を用いて、
加速電圧10kvにて観察した。
【0076】誘電率:横河ヒューレットパッカード社製
HP4284AプレシジョンLCRメーターにより測定
した。
【0077】実施例2 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、重量平均
分子量が500のポリエチレングリコールジアクリレー
トを、そのポリアミック酸樹脂Aの100重量部に対し
て38重量部添加し、攪拌して透明な均一の感光性樹脂
組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、厚さ25μm
のステンレス箔(SUS304)上に、スピンコータを
用いて、乾燥後の皮膜の厚さが15μmとなるように塗
布し、90℃で15分間、加熱乾燥して、NMPを除去
することにより、ポリアミック酸樹脂A中にポリエチレ
ングリコールジアクリレートの海島構造が形成されるよ
うな皮膜を形成した。
【0078】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0079】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してポリエチレングリコールジアクリレートを
抽出する操作を2時間行なった。その後、1.33Pa
の真空下に減圧した状態で、380℃で加熱し、多孔質
のポリイミド樹脂からなる膜を作製した。
【0080】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理して求めた。その結果を図8に示す。また、気
泡のサイズは0.8μm、誘電率は、2.75(1MH
z)であった。
【0081】実施例3 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、重量平均
分子量が500のポリエチレングリコールジアクリレー
トを、そのポリアミック酸樹脂Aの100重量部に対し
て66重量部添加し、攪拌して透明な均一の感光性樹脂
組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、厚さ25μm
のステンレス箔(SUS304)上に、スピンコータを
用いて、乾燥後の皮膜の厚さが15μmとなるように塗
布し、90℃で15分間、加熱乾燥して、NMPを除去
することにより、ポリアミック酸樹脂A中にポリエチレ
ングリコールジアクリレートの海島構造が形成されるよ
うな皮膜を形成した。
【0082】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0083】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してポリエチレングリコールジアクリレートを
抽出する操作を2時間行なった。その後、1.33Pa
の真空下に減圧した状態で、350℃で加熱し、多孔質
のポリイミド樹脂からなる膜を作製した。
【0084】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理して求めた。その結果を図9に示す。また、気
泡のサイズは1.0μm、誘電率は、2.24(1MH
z)であった。
【0085】実施例4 合成例2で得られたポリアミック酸樹脂Bの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.9g(0.060モル)とア
セチル体20.9g(0.066モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Bに対して添加するとともに、重量平均
分子量が600のウレタンアクリレートを、そのポリア
ミック酸樹脂Bの100重量部に対して38重量部添加
し、攪拌して透明な均一の感光性樹脂組成物を得た。こ
の感光性樹脂組成物を、厚さ25μmのステンレス箔
(SUS304)上に、スピンコータを用いて、乾燥後
の皮膜の厚さが15μmとなるように塗布し、90℃で
15分間、加熱乾燥して、NMPを除去することによ
り、ポリアミック酸樹脂B中にウレタンアクリレートの
海島構造が形成されるような皮膜を形成した。
【0086】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0087】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してウレタンアクリレートを抽出する操作を2
時間行なった。その後、1.33Paの真空下に減圧し
た状態で、400℃で加熱し、多孔質のポリイミド樹脂
からなる膜を作製した。
【0088】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理して求めた。その結果を図10に示す。また、
気泡のサイズは0.5μm、誘電率は、2.96(1M
Hz)であった。
【0089】実施例5 合成例3で得られたポリアミック酸樹脂Cの溶液に、感
光剤(ニフェジピン11.3g(0.033モル)とア
セチル体11.3g(0.036モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Cに対して添加するとともに、重量平均
分子量が2600のウレタンアクリレートを、そのポリ
アミック酸樹脂Cの100重量部に対して38重量部添
加し、攪拌して透明な均一の感光性樹脂組成物を得た。
この感光性樹脂組成物を、厚さ25μmのステンレス箔
(SUS304)上に、スピンコータを用いて、乾燥後
の皮膜の厚さが15μmとなるように塗布し、90℃で
15分間、加熱乾燥して、NMPを除去することによ
り、ポリアミック酸樹脂C中にウレタンアクリレートの
海島構造が形成されるような皮膜を形成した。
【0090】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0091】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してウレタンアクリレートを抽出する操作を2
時間行なった。その後、1.33Paの真空下に減圧し
た状態で、380℃で加熱し、多孔質のポリイミド樹脂
からなる膜を作製した。
【0092】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理した結果、気泡のサイズは1.0μm、誘電率
は、2.96(1MHz)であった。
【0093】実施例6 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、重量平均
分子量が500のポリエチレングリコールモノメチルエ
ーテルメタアクリレートを、そのポリアミック酸樹脂A
の100重量部に対して38重量部添加し、攪拌して透
明な均一の感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組
成物を、厚さ25μmのステンレス箔(SUS304)
上に、スピンコータを用いて、乾燥後の皮膜の厚さが1
5μmとなるように塗布し、90℃で15分間、加熱乾
燥して、NMPを除去することにより、ポリアミック酸
樹脂A中にポリエチレングリコールモノメチルエーテル
メタアクリレートの海島構造が形成されるような皮膜を
形成した。
【0094】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0095】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してポリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルメタアクリレートを抽出する操作を2時間行なった。
その後、1.33Paの真空下に減圧した状態で、38
0℃で加熱し、多孔質のポリイミド樹脂からなる膜を作
製した。
【0096】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理した結果、気泡のサイズは1.0μm、誘電率
は、2.00(1MHz)であった。
【0097】実施例7 合成例2で得られたポリアミック酸樹脂Bの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.9g(0.060モル)とア
セチル体20.9g(0.066モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Bに対して添加するとともに、重量平均
分子量が450のポリエチレングリコールモノメタクリ
レートを、そのポリアミック酸樹脂Bの100重量部に
対して38重量部添加し、攪拌して透明な均一の感光性
樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、厚さ25
μmのステンレス箔(SUS304)上に、スピンコー
タを用いて、乾燥後の皮膜の厚さが15μmとなるよう
に塗布し、90℃で15分間、加熱乾燥して、NMPを
除去することにより、ポリアミック酸樹脂B中にポリエ
チレングリコールモノメタクリレートの海島構造が形成
されるような皮膜を形成した。
【0098】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0099】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気してポリエチレングリコールモノメタクリレー
トを抽出する操作を2時間行なった。その後、1.33
Paの真空下に減圧した状態で、380℃で加熱し、多
孔質のポリイミド樹脂からなる膜を作製した。
【0100】得られた多孔質膜の断面のSEM観察像を
画像処理した結果、気泡のサイズは0.1μm、誘電率
は、2.87(1MHz)であった。
【0101】比較例1 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.9g(0.060モル)とア
セチル体20.9g(0.066モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加し、攪拌して透明な均一
の感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、
厚さ25μmのステンレス箔(SUS304)上に、ス
ピンコータを用いて、乾燥後の皮膜の厚さが15μmと
なるように塗布し、90℃で15分間、加熱乾燥して、
NMPを除去することにより、ポリアミック酸樹脂Aの
皮膜を形成した。なお、これをSEM観察したところ、
海島構造のない均一な皮膜であることが確認された。
【0102】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0103】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気する操作を2時間行なった。その後、1.33
Paの真空下に減圧した状態で、380℃で加熱し、ポ
リイミド樹脂からなる膜を作製した。
【0104】得られた膜の断面のSEM観察を行なった
が、気泡は観察されなかった。なお、その結果を図11
に示す。また、誘電率は、3.17(1MHz)であっ
た。
【0105】比較例2 合成例2で得られたポリアミック酸樹脂Bの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.9g(0.060モル)とア
セチル体20.9g(0.066モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Bに対して添加し、攪拌して透明な均一
の感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を、
厚さ25μmのステンレス箔(SUS304)上に、ス
ピンコータを用いて、乾燥後の皮膜の厚さが15μmと
なるように塗布し、90℃で15分間、加熱乾燥して、
NMPを除去することにより、ポリアミック酸樹脂Bの
皮膜を形成した。なお、これをSEM観察したところ、
海島構造のない均一な皮膜であることが確認された。
【0106】次に、フォトマスクを介して、露光量70
0mJ/cm2にて紫外線(λ=350〜420nm)
を露光し、180℃で10分間、熱風循環式オーブン中
で露光後加熱を行ない、現像処理して、ネガ型画像でパ
ターンを形成した。
【0107】この皮膜のパターンを80mmφのシート
状に切断し、500mLの耐圧容器に入れ、40℃の雰
囲気中、25MPa/cm2に加圧した後、圧力を保っ
たままガス量にして約3L/分の流量で二酸化炭素を注
入、排気する操作を2時間行なった。その後、1.33
Paの真空下に減圧した状態で、380℃で加熱し、ポ
リイミド樹脂からなる膜を作製した。
【0108】得られた膜の断面のSEM観察を行なった
が、気泡は観察されなかった。また、誘電率は、3.2
0(1MHz)であった。
【0109】比較例3 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、その分子
量が130のヒドロキシエチルメタアクリレートを、そ
のポリアミック酸樹脂Aの100重量部に対して38重
量部添加し、攪拌して透明な均一の感光性樹脂組成物を
得た。この感光性樹脂組成物を、厚さ25μmのステン
レス箔(SUS304)上に、スピンコータを用いて、
乾燥後の皮膜の厚さが15μmとなるように塗布し、9
0℃で15分間、加熱乾燥して、NMPを除去すること
により、皮膜を形成した。しかし、これをSEM観察し
たところ、海島構造のない均一な皮膜であることが確認
された。
【0110】比較例4 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、その分子
量が90の1,4−ブタンジオールを、そのポリアミッ
ク酸樹脂Aの100重量部に対して38重量部添加し、
攪拌して透明な均一の感光性樹脂組成物を得た。この感
光性樹脂組成物を、厚さ25μmのステンレス箔(SU
S304)上に、スピンコータを用いて、乾燥後の皮膜
の厚さが15μmとなるように塗布し、90℃で15分
間、加熱乾燥して、NMPを除去することにより、皮膜
を形成した。しかし、これをSEM観察したところ、海
島構造のない均一な皮膜であることが確認された。
【0111】比較例5 合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感
光剤(ニフェジピン20.1g(0.058モル)とア
セチル体20.1g(0.064モル))を、そのポリ
アミック酸樹脂Aに対して添加するとともに、その分子
量が60のエチレングリコールを、そのポリアミック酸
樹脂Aの100重量部に対して38重量部添加し、攪拌
して透明な均一の感光性樹脂組成物を得た。この感光性
樹脂組成物を、厚さ25μmのステンレス箔(SUS3
04)上に、スピンコータを用いて、乾燥後の皮膜の厚
さが15μmとなるように塗布し、90℃で15分間、
加熱乾燥して、NMPを除去することにより、皮膜を形
成した。しかし、これをSEM観察したところ、海島構
造のない均一な皮膜であることが確認された。
【0112】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の感光性樹脂
組成物は、高い耐熱性、寸法安定性、絶縁性能を有し、
しかも、均一で微細な気泡を有し、低誘電率で微細なパ
ターンを形成しやすい多孔質樹脂を得ることができる。
そのため、得られた多孔質樹脂は、精細な回路パターン
を形成することができ、かつ、低誘電率であるため、回
路基板の絶縁層として用いれば、その回路基板の高周波
特性を向上させることができる。したがって、そのよう
な絶縁層を有する回路基板は、高周波電気信号を高速に
伝達することのできる回路基板として有効に用いること
ができる。
【0113】とりわけ、回路付サスペンション基板の絶
縁層として用いると、高周波特性が良好であるため、そ
のような絶縁層を有する回路付サスペンション基板は、
磁気ヘッドにより読み書きされる大量の情報を、高速に
伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光性樹脂組成物を用いて、多孔質樹
脂からなる回路基板の絶縁層を形成する方法を示す一実
施形態の工程図であって(a)は、基材を用意する工
程、(b)は、その基材の上に、感光性樹脂組成物の皮
膜を形成する工程、(c)は、その皮膜を、フォトマス
クを介して露光させて、現像することにより、所定のパ
ターンとする工程、(d)は、感光性樹脂組成物から分
散性化合物を除去することにより、ポリアミック酸樹脂
を多孔化する工程、(e)は、多孔化した皮膜を硬化さ
せて、ベース層を形成する工程を示す。
【図2】ベース層の上に、導体層およびカバー層を形成
する工程を示す断面図であって、(a)は、ベース層の
上に導体層を形成する工程、(b)は、導体層上にカバ
ー層を形成する工程を示す。
【図3】本発明の多孔質樹脂が、絶縁層として用いられ
ている回路付サスペンション基板の、一実施形態の斜視
図である。
【図4】支持基板を用意して、その支持基板の上に、所
定のパターンでベース層を形成する工程を示す断面図で
あって、(a)は、支持基板を用意する工程、(b)
は、その支持基板の上に、感光性樹脂組成物の皮膜を形
成する工程、(c)は、その皮膜を、フォトマスクを介
して露光させて、現像することにより、所定のパターン
とする工程、(d)は、感光性樹脂組成物から分散性化
合物を除去することにより、ポリアミック酸樹脂を多孔
化する工程、(e)は、多孔化した皮膜を硬化させて、
ベース層を形成する工程を示す。
【図5】ベース層の上に、所定の回路パターンで導体層
を形成する工程を示す断面図であって、(a)は、支持
基板およびベース層に、下地を形成する工程、(b)
は、下地の上に、所定の回路パターンと逆パターンのめ
っきレジストを形成する工程、(c)は、ベース層にお
けるめっきレジストが形成されていない部分に、めっき
により、所定の回路パターンの導体層を形成する工程、
(d)は、めっきレジストを除去する工程、(e)は、
下地を除去する工程を示す。
【図6】導体層の表面を金属皮膜により保護した後、カ
バー層により被覆する工程を示す断面図であって、
(a)は、導体層の表面に、金属皮膜を形成する工程、
(b)は、ベース層および金属皮膜の上に、カバー層を
形成する工程、(c)は、支持基板の上に形成されてい
る金属皮膜を剥離する工程を示す。
【図7】実施例1の多孔質膜の断面を示す走査型電子顕
微鏡写真である。
【図8】実施例2の多孔質膜の断面を示す走査型電子顕
微鏡写真である。
【図9】実施例3の多孔質膜の断面を示す走査型電子顕
微鏡写真である。
【図10】実施例4の多孔質膜の断面を示す走査型電子
顕微鏡写真である。
【図11】比較例1の多孔質膜の断面を示す走査型電子
顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 基材 2 感光性樹脂組成物 3 分散性化合物 4 ポリアミック酸樹脂 6 絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 79/08 C08L 79/08 A 101/00 101/00 G03F 7/004 501 G03F 7/004 501 511 511 7/037 501 7/037 501 // B29K 79:00 B29K 79:00 (72)発明者 金田 充宏 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 山本 孝幸 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 樽野 友浩 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA10 AA20 AB15 AB20 BJ10 CB25 CC03 CC20 DA40 4F074 AA74 AH03 CB02 CB03 CB17 CC04X CC04Y CC22X CC28X CC29X DA03 DA47 4F212 AA21 AA24 AA29 AA31 AA32 AB14 AE10 AG03 AG20 AH36 UA17 UB01 UF01 UF21 UN03 UN06 UW34 4J002 BG04X CD02X CF19X CF27X CH02X CH05X CK03X CK04X CK05X CM04W EU046 FD206 GP03 HA05 5E315 AA03 BB01 BB14 CC01 DD13 DD29 GG22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミック酸樹脂と、感光剤と、ポリ
    アミック酸樹脂に対して分散可能な分散性化合物と、溶
    剤とを含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 分散性化合物が、ポリアクレートオリゴ
    マー、ポリエーテルオリゴマー、ポリエステルオリゴマ
    ー、ポリウレタンオリゴマーからなる群から選ばれる少
    なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載
    の感光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の感光性樹脂組
    成物から溶剤を除くことにより、ポリアミック酸樹脂中
    に分散性化合物が分散した状態を形成する工程、 分散性化合物を除去することにより、多孔化する工程、
    および感光性樹脂組成物を硬化させる工程を含む工程に
    よって得られることを特徴とする、多孔質樹脂。
  4. 【請求項4】 さらに、感光性樹脂組成物を、露光およ
    び現像することによりパターン化する工程を含んでいる
    ことを特徴とする、請求項3に記載の多孔質樹脂。
  5. 【請求項5】 回路基板の絶縁層として用いられること
    を特徴とする、請求項3または4に記載の多孔質樹脂。
  6. 【請求項6】 回路付サスペンション基板の絶縁層とし
    て用いられることを特徴とする、請求項3または4に記
    載の多孔質樹脂。
  7. 【請求項7】 請求項3または4に記載の多孔質樹脂
    を、絶縁層として有していることを特徴とする、回路基
    板。
  8. 【請求項8】 請求項3または4に記載の多孔質樹脂
    を、絶縁層として有していることを特徴とする、回路付
    サスペンション基板。
JP2000319439A 1999-11-26 2000-10-19 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板 Pending JP2002124743A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000319439A JP2002124743A (ja) 1999-11-26 2000-10-19 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-335851 1999-11-26
JP33585199 1999-11-26
JP2000-238807 2000-08-07
JP2000238807 2000-08-07
JP2000319439A JP2002124743A (ja) 1999-11-26 2000-10-19 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002124743A true JP2002124743A (ja) 2002-04-26

Family

ID=27340746

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000319439A Pending JP2002124743A (ja) 1999-11-26 2000-10-19 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002124743A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003006542A1 (fr) * 2001-07-13 2003-01-23 Nitto Denko Corporation Procede permettant de produire une resine polyimide poreuse et resine polyimide poreuse
JP2003043682A (ja) * 2001-08-01 2003-02-13 Jsr Corp 感放射線性誘電率変化性組成物、誘電率変化法
JP2004143427A (ja) * 2002-10-03 2004-05-20 Toray Ind Inc 多孔質パターン形成用光重合性組成物およびそれを用いて成る多孔質パターンの形成方法ならびに多孔質パターン
JP2007293001A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Mitsui Chemicals Inc 保護膜形成用ドライフィルムおよびそれを用いた加工品
JP2010276775A (ja) * 2009-05-27 2010-12-09 Nitto Denko Corp ネガ型感光性材料およびそれを用いた感光性基材、ならびにネガ型パターン形成方法
JP2011013602A (ja) * 2009-07-06 2011-01-20 Hitachi Chemical Dupont Microsystems Ltd 感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造法、及びハードディスクサスペンション
JP2016006714A (ja) * 2015-08-10 2016-01-14 大日本印刷株式会社 サスペンション用基板の製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003006542A1 (fr) * 2001-07-13 2003-01-23 Nitto Denko Corporation Procede permettant de produire une resine polyimide poreuse et resine polyimide poreuse
US7022377B2 (en) 2001-07-13 2006-04-04 Nitto Denko Corporation Method for producing porous polyimide resin and porous polymide resin
JP2003043682A (ja) * 2001-08-01 2003-02-13 Jsr Corp 感放射線性誘電率変化性組成物、誘電率変化法
JP2004143427A (ja) * 2002-10-03 2004-05-20 Toray Ind Inc 多孔質パターン形成用光重合性組成物およびそれを用いて成る多孔質パターンの形成方法ならびに多孔質パターン
JP2007293001A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Mitsui Chemicals Inc 保護膜形成用ドライフィルムおよびそれを用いた加工品
JP2010276775A (ja) * 2009-05-27 2010-12-09 Nitto Denko Corp ネガ型感光性材料およびそれを用いた感光性基材、ならびにネガ型パターン形成方法
US8728705B2 (en) 2009-05-27 2014-05-20 Nitto Denko Corporation Negative photosensitive material, photosensitive board employing the negative photosensitive material, and negative pattern forming method
JP2011013602A (ja) * 2009-07-06 2011-01-20 Hitachi Chemical Dupont Microsystems Ltd 感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造法、及びハードディスクサスペンション
JP2016006714A (ja) * 2015-08-10 2016-01-14 大日本印刷株式会社 サスペンション用基板の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7115673B2 (en) Photosensitive resin composition, porous resin, circuit board, and wireless suspension board
JP4117986B2 (ja) 耐熱性ポリマ発泡体とその製造法、及び発泡体基板
US5601905A (en) Laminate for insulation protection of circuit boards
EP1471103B1 (en) Process for producing porous polyimide resin and porous polyimide resin
TW535467B (en) Wiring board, manufacturing method thereof, polyimide film for use with wiring board, and etchant for use according to said method
EP1085041B1 (en) Porous article and process for producing porous article
JP4557409B2 (ja) 多孔質ポリイミドの製造方法及び多孔質ポリイミド
EP1205804B1 (en) Photosensitive resin composition and circuit board
EP0622682A1 (en) Photosensitive resin composition
JP2002124743A (ja) 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
JP2001323099A (ja) 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
JP2002167434A (ja) 低分子量物を含むポリイミド前駆体又はポリイミドからの低分子量物の除去方法
JP2001215701A (ja) 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
JP2001214058A (ja) 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
JP2002131904A (ja) 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
JP2003156844A (ja) 感光性樹脂組成物、多孔質樹脂、回路基板および回路付サスペンション基板
JP3321901B2 (ja) 粗面化ポリイミドフィルムの製造法
JPH10289432A (ja) Hddサスペンション用保護膜材料、hddサスペンション及びその製造方法
Mochizuki et al. Development of photosensitive porous polyimide with low dielectric constant
JP4557376B2 (ja) 多孔質体の製造方法及び多孔質体
JP2001217235A (ja) 半導体素子保護膜形成用感光性樹脂組成物、半導体素子保護用多孔質樹脂および半導体装置
JP2002220564A (ja) 絶縁膜用コーティングワニス、及びこれを用いた絶縁膜
JP2003066610A (ja) ポリイミド樹脂及びこれを含有する感光性樹脂組成物
JPH05283851A (ja) プリント配線板の製造方法
JPH068036B2 (ja) 金属/ポリイミド複合体の製造方法