JP2002124263A - 電極表面被膜形成剤および電池製造方法 - Google Patents

電極表面被膜形成剤および電池製造方法

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JP2002124263A
JP2002124263A JP2000312293A JP2000312293A JP2002124263A JP 2002124263 A JP2002124263 A JP 2002124263A JP 2000312293 A JP2000312293 A JP 2000312293A JP 2000312293 A JP2000312293 A JP 2000312293A JP 2002124263 A JP2002124263 A JP 2002124263A
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JP
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carbon atoms
battery
compound
lithium
film forming
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JP2000312293A
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Junichi Yamaki
準一 山木
Kenji Adachi
健二 足達
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】熱安定性に優れたリチウムイオン電池用電解液
を提供する。 【解決手段】式(I): (X1およびX2はハロゲン原子、R1およびR2は炭素数
1〜6のアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシアル
キル基もしくはハロアルコキシアルキル基、炭素数7〜
10のアリール置換アルキル基もしくはハロアリール置
換アルキル基、または炭素数6〜10のアリール基もし
くはハロアリール基、mとnは0または1)および式
(I′): (X1およびX2はハロゲン原子、R3は鎖中に酸素原子
を含むかもしくは含まない炭素数1〜6のアルキレン鎖
またはハロアルキレン鎖、mとnは0または1)で表わ
されるジハロジカルボニル化合物よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種を含む電極表面被膜形成剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極表面被膜形成
剤、特に負極表面を保護するための電極表面被膜形成剤
ならびに電池製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】負極にリチウム金属やその
合金あるいはリチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物
を備えたいわゆるリチウムイオン電池はそのエネルギー
密度の高さから需要が大幅に拡大している。
【0003】一方、リチウムイオン電池は、内部・外部
ショート、外部発熱などがトリガーとなり発熱し、電池
の発火、発煙などが起こることがあり、リチウムイオン
電池安全性の向上のために高温での電解液の安定性の向
上が求められている。
【0004】本発明者は、第67回電気化学会(200
0年4月4日〜6日)において、ジフルオロ酢酸メチル
エステルが熱安定性が高く、リチウムイオン電池の熱安
定性の向上に寄与し得ることを報告した(予稿集24
頁、2B21)。それによると、酢酸メチルエステルの
リチウム金属共存状態における発熱開始温度が180℃
であるのに対し、フッ素を導入したジフルオロ酢酸メチ
ルエステルの場合には250℃と高くなることが示され
た。フッ素化によりリチウム金属との反応性が増すこと
が知られているため、この傾向はリチウム金属表面に生
じるジフルオロ酢酸メチルエステルによる被膜の影響で
ある可能性が示唆されている。
【0005】しかしながら、さらなる安全性を考える
と、ジフルオロ酢酸メチルエステルでも不十分であり、
より熱安定性が高く、リチウムイオン電池の熱安定性を
高める電極表面被膜形成剤が求められている。
【0006】本発明は、リチウムイオン電池などの電池
の構成成分として、熱安定性の高い電極表面被膜形成剤
を提供することを目的とする。
【0007】また、本発明は、熱安定性の向上した電池
の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに熱
安定性の高い電極表面被膜形成剤を得るべく検討を行っ
た結果、特定のジハロジカルボニル化合物が、熱安定性
が高く、リチウムイオン電池などの電池の熱安定性の向
上に寄与し得ることを見い出した。
【0009】本発明は、電極表面被膜形成剤、特に負極
表面を保護するための電極表面被膜形成剤ならびに電池
製造方法に関するものである。 項1. 式(I):
【0010】
【化3】
【0011】(式中、X1およびX2は同じかまたは異な
るハロゲン原子、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素
数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル
基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基もしくは炭素
数2〜6のハロアルコキシアルキル基、炭素数7〜10
のアリール置換アルキル基もしくは炭素数7〜10のハ
ロアリール置換アルキル基、または炭素数6〜10のア
リール基もしくは炭素数6〜10のハロアリール基であ
り、mとnはそれぞれ独立して0または1である)およ
び式(I′):
【0012】
【化4】
【0013】(式中、X1およびX2は同じかまたは異な
るハロゲン原子であり、R3は鎖中に酸素原子を含むか
もしくは含まない炭素数1〜6のアルキレン鎖または炭
素数1〜6のハロアルキレン鎖であり、mとnはそれぞ
れ独立して0または1である)で表わされるジハロジカ
ルボニル化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種
を含む電極表面被膜形成剤。 項2. 電池作製時または/かつ電池使用時に、電極材
料表面に保護膜として作用することを特徴とする項1記
載の電極表面被膜形成剤。 項3. リチウム金属、リチウムインターカレート化合
物またはリチウム合金からなる負極を保護する項1記載
の電極表面被膜形成剤。 項4. ジハロジカルボニル化合物がジフルオロジカル
ボニル化合物である項1〜3のいずれかに記載の電極表
面被膜形成剤。 項5. 項1記載のジハロジカルボニル化合物の少なく
とも1種を電解液に添加することを特徴とする電池製造
方法。 項6. 項1記載のジハロジカルボニル化合物の少なく
とも1種を用いて電池の製造前に或いは電池の製造過程
で負極を処理することを特徴とする電池製造方法。 項7. 負極がリチウム金属、リチウムインターカレー
ト化合物またはリチウム合金である項6に記載の電池製
造方法。 項8. ジハロジカルボニル化合物がジフルオロジカル
ボニル化合物である項5〜7のいずれかに記載の電池製
造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の電極表面被膜形成剤は、
リチウム一次電池及びリチウム二次電池等の一次電池お
よび二次電池のいずれにも用いることができる。
【0015】本発明の電極表面被膜形成剤には、式
(I):
【0016】
【化5】
【0017】(式中、X1、X2、R1、R2、m及びnは
前記に定義したとおりである)および式(I′):
【0018】
【化6】
【0019】(式中、X1、X2、R3、m及びnは前記
に定義したとおりである)で表わされるジハロジカルボ
ニル化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種が含
まれる。
【0020】前記式(I)または(I′)において、X
1およびX2のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素またはヨウ素原子があげられるが、高い極性効果を引
き出し、低い融点および低い粘度を維持するためには、
フッ素または塩素原子が好ましく、さらにはフッ素原子
がとくに好ましい。
【0021】R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1
〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭
素数2〜6のアルコキシアルキル基もしくは炭素数2〜
6のハロアルコキシアルキル基、炭素数7〜10のアリ
ール置換アルキル基もしくは炭素数7〜10のハロアリ
ール置換アルキル基、または炭素数6〜10のアリール
基もしくは炭素数6〜10のハロアリール基であり、m
とnはそれぞれ独立に0または1である。
【0022】R1およびR2で示されるアルキル基として
は、分子の高い極性をできるだけ低下させないという点
から、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペ
ンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6、好ましくは炭素
数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基が好まし
い。
【0023】R1およびR2で示されるハロアルキル基と
しては、分子の高い極性をできるだけ低下させないとい
う点から、たとえばCH2F、CHF2、CF3、CH2
l、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CB
3、CH2I、CHI2、CI3、C24F、C24
l、CF3CH2、C24H、C25、C36F、C3 6
Cl、C36H、CF3CF2CH2、C37、C4
8F、C48Cl、C37CH2、C49などの炭素数1
〜6、好ましくは炭素数1〜4のハロアルキル基が好ま
しい。
【0024】R1およびR2で示されるアルコキシアルキ
ル基としては、分子の高い極性をできるだけ低下させな
いという点から、たとえばCH3OCH2、C25OCH
2、C37OCH2、CH3OCH2CH2、CH3OCH2
CH2CH2、CH3OCH2CH(CH3)、C25OC
2CH2、C37OCH2CH2、C37OCH2CH2
2などの炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のア
ルコキシアルキル基が好ましい。
【0025】R1およびR2で示されるハロアルコキシア
ルキル基としては、分子の高い極性をできるだけ低下さ
せないという点から、たとえばFCH2OCH2、ClC
2OCH2、CH3OCHF、CF3OCF2、CCl3
2OCH2、CF3CH2OCH2、CF2HCF2OC
2、CF3CH2OCH2CH2、CF3CFHCF2OC
2などの炭素数2〜6,好ましくは炭素数2〜4のハ
ロアルコキシアルキル基が好ましい。
【0026】R1およびR2で示されるアリール置換アル
キル基としては、分子の高い極性をできるだけ低下させ
ないという点から、たとえばC65CH2、C65CH2
CH 2、CH364CH2などの炭素数7〜10、好ま
しくは炭素数7〜8のアリール置換アルキル基が好まし
い。
【0027】R1およびR2で示されるハロアリール置換
アルキル基としては、分子の高い極性をできるだけ低下
させないという点から、たとえばFC64CH2、Cl
6 4CH2、BrC64CH2、FC64CH2CH2
どの炭素数7〜10,好ましくは炭素数7〜8のハロア
リール置換アルキル基が好ましい。
【0028】R1およびR2で示されるアリール基として
は、分子の高い極性をできるだけ低下させないという点
から、たとえばC65、CH364、CH3CH26
4、(CH3263などの炭素数6〜10、好ましく
は炭素数6〜8のアリール基が好ましい。
【0029】R1およびR2で示されるハロアリール基と
しては、分子の高い極性をできるだけ低下させないとい
う点から、たとえばFC64、F263、ClC
64、Cl263、BrC64、IC64、F(C
3)C63、F(CH3262などの炭素数6〜1
0、好ましくは炭素数6〜8のハロアリール基が好まし
い。
【0030】式(I′)のR3は鎖中に酸素原子を含む
かもしくは含まない炭素数1〜6のアルキレン鎖または
ハロアルキレン鎖である。
【0031】R3で示される、鎖中に酸素原子を含むか
または含まないアルキレン鎖としては、分子の高い極性
をできるだけ低下させないという点から、たとえばCH
2、CH(CH3)、C(CH32、CH2CH2、CH
(CH3)CH2、C(CH3 2CH2、CH2OCH2
CH(CH3)CH(CH3)、CH2CH2CH2、CH2
C(CH32CH2、CH2CH2CH2CH2、CH2CH
2OCH2CH2、CH2CH2CH2CH2CH2などの炭素
数1〜6,好ましくは炭素数1〜5の鎖中に酸素原子を
含むかまたは含まないアルキレン鎖が好ましい。
【0032】R3で示される、鎖中に酸素原子を含むか
または含まないハロアルキレン鎖としては、分子の高い
極性をできるだけ低下させないという点から、たとえば
CHF、CF2、CH(CF3)、C(CF32、CHC
l、CCl2、CHBr、CBr2、CHI、CI2、C
H(CF3)CH2、CH2CF2CH2、CF2OCF2
CF2OCH2、CH2CF2CF2CH2、CH2CF2CF
2CF2CH2などの炭素数1〜6,好ましくは炭素数1
〜5の鎖中に酸素原子を含むかまたは含まないハロアル
キレン鎖が好ましい。
【0033】さらに、具体的に前記式(I)または
(I′)により表わされる化合物としては、X1、X2
1、R2、R3、mおよびnが表1〜3または表4に示
す組み合わせに係るものが例示されるが、これらに制限
されるものではない。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】本発明において前記式(I)または前記式
(I′)で表わされるジハロジカルボニル化合物の調製
方法については、特開平11−79781号公報に示さ
れる方法を用いればよい。
【0039】本発明の特に好ましい化合物として、ジメ
チルジフルオロマロネートが挙げられる。ジメチルジフ
ルオロマロネートと比較例であるジフルオロ酢酸メチル
の発熱温度や発熱量を示差走査カロリメーター(DS
C)を用いて測定した。結果を図1〜3に示した。図1
は、ジメチルジフルオロマロネート、ジフルオロ酢酸メ
チルをそれぞれ単独に測定したものであり、図2は、そ
れぞれを0.2M LiPF6溶液にしてリチウム金属共
存状態で測定したものであり、図3は、コバルト酸リチ
ウム(Li0.5CoO2)共存状態で測定したものであ
る。図1より、ジフルオロ酢酸メチルは270℃付近で
発熱が見られるが、ジメチルジフルオロマロネートにお
いては、350℃以下の温度で発熱は観測されない。図
2で見られるように、リチウム金属共存下では、ジフル
オロ酢酸メチルが250℃から発熱するのに対し、ジメ
チルジフルオロマロネートでは280℃まで安定であ
る。また、コバルト酸リチウム共存下においては、図3
で見られるように、ジフルオロ酢酸メチルのような30
0℃を超えたところからの急激な発熱は、ジメチルジフ
ルオロマロネートでは起こらない。これらの結果は、本
発明における該化合物がリチウムイオン電池の熱安定性
を一層向上させることを示している。
【0040】このように、リチウム金属共存下、コバル
ト酸リチウム共存下でも高い熱安定性が得られた理由と
しては、リチウム金属表面あるいはコバルト酸リチウム
表面に保護膜が形成されたためと考えられる。その高い
熱安定性から、ジメチルジフルオロマロネートは、ジフ
ルオロ酢酸メチルよりもさらに強固な保護膜をリチウム
金属表面あるいは、コバルト酸リチウム表面に作ったと
いえる。負極としてリチウムインターカレート化合物、
すなわち炭素材料あるいは種々の金属酸化物を用いた場
合にも、急速充電あるいは過充電により、金属リチウム
が析出する場合があるので、本発明における該化合物は
熱安定性、安全性を高める上で有効である。ジメチルジ
フルオロマロネートのようなジハロジカルボニル化合物
は、カルボニル基を2つ有し、1つしか持たないジフル
オロ酢酸メチルよりも、リチウム金属表面上あるいはコ
バルト酸リチウム表面上でより強固な保護膜を形成した
ものと考えられる。
【0041】本発明の電極表面被膜形成剤に用いられる
ジハロジカルボニル化合物は、単独で用いても良いが、
通常用いられている有機溶媒系電解液に対して通常0.
1〜80重量%程度、好ましくは1〜50重量%程度、
より好ましくは5〜30重量%程度含まれる。
【0042】本発明において、ジハロジカルボニル化合
物とともに非水電解液二次電池の電解液として用いられ
る有機溶媒系電解液としては、プロピレンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の
環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカ
ーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボ
ネート等も用いることができる。さらには、γ−ブチロ
ラクトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジ
エトキシエタン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリ
ル、スルホラン等も用いることができる。これらは単独
でジハロジカルボニル化合物と混合して用いても良い
し、2種類以上の有機溶媒系電解液を用いても良い。
【0043】これらジハロジカルボニル化合物あるいは
ジハロジカルボニル化合物を少なくとも1種含む有機溶
媒系電解液は下記リチウム塩を溶解した電池の電極表面
被膜形成剤として用いてもよいし、特に負極表面被膜形
成剤として電池製造前の段階で、或いは電池を製造する
過程で、負極を処理することに用いてもよい。負極の処
理方法としては、ジハロジカルボニル化合物あるいはジ
ハロジカルボニル化合物を少なくとも1種含む有機溶媒
に負極を浸す方法、あるいは、霧状にして噴霧する方
法、ハケなどで負極表面に塗る方法などが例示される。
【0044】本発明の電解液は、ジハロジカルボニル化
合物と有機溶媒を含む上記非水溶媒と、その溶媒に溶解
するリチウム塩から構成される。
【0045】リチウム塩としては、LiPF6、LiP
4(CF32、LiPF4(C252、LiPF4(C
372、LiAsF6、LiBF4、LiClO4、Li
CF 3SO3、LiC49SO3、LiN(CF3
22、LiN(C25SO22、LiN(C49SO
22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC
(CF3SO23等を用いることができる。
【0046】上記電解質は、リチウムイオン伝導性を有
する非水溶液状電解質として、及びこれをポリマーマト
リックスで固定したゲル電解質として用いることができ
る。
【0047】本発明のリチウムイオン電池は、上記電解
液を用いることを特徴としており、その他の条件、例え
ばリチウムイオン電池の形状や構成要素は特に限定され
ず、公知の技術を用いることができる。
【0048】例えば電池の形状としては、円筒型、角
型、コイン型、フィルム状等を挙げることができる。
【0049】負極材料としては、リチウム金属及びその
合金、リチウムをドープ・脱ドープできる炭素材料や高
分子材料、金属酸化物などが挙げられる。
【0050】正極材料としては、LiCoO2、LiN
iO2、LiMn24、LiMnO2などのリチウムと遷
移金属の複合酸化物や、高分子材料などが挙げられる。
【0051】セパレーターとしては、ポリエチレンやポ
リプロピレン等の高分子材料の多孔膜や、本発明の電解
液を吸蔵して固定化する高分子材料(いわゆるゲル電解
質)としてを用いることができる。
【0052】集電体の材質としては、銅、アルミ、ステ
ンレススチール、チタン、ニッケル、タングステン鋼、
炭素材料などが用いられ、その形状は箔、網、不織布、
パンチドメタル等が用いられる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を用いてよ
り詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定され
ない。
【0054】電解液には、ジメチルジフルオロマロネー
ト〔CF2(COOCH32〕を用いた。 実施例1 ジハロジカルボニル化合物としてのジメチルジフルオロ
マロネートにLiPF 6を0.2モル/リットルの濃度
で溶解して実施例1の電解液を調製した。 比較例1 フッ素化カルボン酸エステルとしてジフルオロ酢酸メチ
ル(HCF2COOCH3)を用い、LiPF6を0.2モル/リ
ットルの濃度で溶解して電解液を調製した。 試験例1:電解液の発熱試験 ジメチルジフルオロマロネートとジフルオロ酢酸メチル
をそれぞれ単独でステンレス製耐圧容器に封入し、DS
Cを用いて発熱反応ピーク温度を測定した。結果を図1
に示す。
【0055】図1より比較例1(HCF2COOCH3)では、2
70℃付近であるのに対し、実施例1〔CF2(COO
CH32〕では350℃まで発熱は起こらなかった。 試験例2:リチウム金属共存状態における発熱試験 実施例1及び比較例1で調製した電解液をLi金属の共
存下にステンレス製耐圧容器に封入し、DSCを用いて
発熱反応ピーク温度を測定した。結果を図2に示す。
【0056】図2から、比較例1が250℃で発熱が開
始しているのに対し、実施例1では発熱開始温度が28
0℃に上がり、より強固な保護膜が形成されていること
が示唆された。 試験例3:正極コバルト酸リチウム(Li0.5CoO2
共存状態における発熱試験 実施例1及び比較例1で調製した電解液をコバルト酸リ
チウム(Li0.5CoO2)の共存下にステンレス製耐圧
容器に封入し、DSCを用いて発熱反応ピーク温度を測
定した。結果を図3に示す。
【0057】図3から、比較例1が、250℃付近から
ゆっくり発熱し、304℃付近、330℃付近で急激な
発熱が起こっているのに対し、実施例1では250℃付
近でわずかな発熱が見られるものの、比較例1のような
急激な発熱は400℃まで全く起こらなかった。これに
より、高温で、コバルト酸リチウムに対しより強固で良
質の保護膜が形成されていることが示唆された。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、熱安定性に優れた電解
液用保護膜形成剤及び電池製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物の発熱試験の結果を示すグラフである。
【図2】リチウム金属共存状態における電解液の発熱試
験の結果を示すグラフである。
【図3】正極共存状態における電解液の発熱試験の結果
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ00 AJ12 AK03 AK16 AL02 AL06 AL12 AL16 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ13 CJ08 DJ08 EJ11 5H050 AA05 AA10 BA06 BA16 BA17 CB02 CB07 CB12 CB20 DA09 EA22 FA04 FA18 GA22 HA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I): 【化1】 (式中、X1およびX2は同じかまたは異なるハロゲン原
    子、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数1〜6のア
    ルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数2〜
    6のアルコキシアルキル基もしくは炭素数2〜6のハロ
    アルコキシアルキル基、炭素数7〜10のアリール置換
    アルキル基もしくは炭素数7〜10のハロアリール置換
    アルキル基、または炭素数6〜10のアリール基もしく
    は炭素数6〜10のハロアリール基であり、mとnはそ
    れぞれ独立して0または1である)および式(I′): 【化2】 (式中、X1およびX2は同じかまたは異なるハロゲン原
    子であり、R3は鎖中に酸素原子を含むかもしくは含ま
    ない炭素数1〜6のアルキレン鎖または炭素数1〜6の
    ハロアルキレン鎖であり、mとnはそれぞれ独立して0
    または1である)で表わされるジハロジカルボニル化合
    物よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む電極表
    面被膜形成剤。
  2. 【請求項2】電池作製時または/かつ電池使用時に、電
    極材料表面に保護膜として作用することを特徴とする請
    求項1記載の電極表面被膜形成剤。
  3. 【請求項3】リチウム金属、リチウムインターカレート
    化合物またはリチウム合金からなる負極を保護する請求
    項1記載の電極表面被膜形成剤。
  4. 【請求項4】ジハロジカルボニル化合物がジフルオロジ
    カルボニル化合物である請求項1〜3のいずれかに記載
    の電極表面被膜形成剤。
  5. 【請求項5】請求項1記載のジハロジカルボニル化合物
    の少なくとも1種を電解液に添加することを特徴とする
    電池製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載のジハロジカルボニル化合物
    の少なくとも1種を用いて電池の製造前に或いは電池の
    製造過程で負極を処理することを特徴とする電池製造方
    法。
  7. 【請求項7】負極がリチウム金属、リチウムインターカ
    レート化合物またはリチウム合金である請求項6に記載
    の電池製造方法。
  8. 【請求項8】ジハロジカルボニル化合物がジフルオロジ
    カルボニル化合物である請求項5〜7のいずれかに記載
    の電池製造方法。
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