JP2002122982A - ポジ型感光性平版印刷版及びその製版方法 - Google Patents

ポジ型感光性平版印刷版及びその製版方法

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JP2002122982A JP2000313370A JP2000313370A JP2002122982A JP 2002122982 A JP2002122982 A JP 2002122982A JP 2000313370 A JP2000313370 A JP 2000313370A JP 2000313370 A JP2000313370 A JP 2000313370A JP 2002122982 A JP2002122982 A JP 2002122982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像ラチチュード、つまり感度とアルカリ現
像後の未露光部の残膜率とが共に優れ、且つ現像液で多
量の枚数を現像処理した場合にも処理安定性を損なわな
い感光性平版印刷版を提供する。 【解決手段】 支持体上に、(A)光熱変換物質、
(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)HLB10未満の界
面活性剤、及び(D)HLB10以上の界面活性剤を含
有するを含有するポジ型感光性組成物層を有する感光性
平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポジ型感光
性平版印刷版に関する。更に詳しくは、650〜130
0nmの波長域の光線、特に、半導体レーザーやYAG
レーザー等を用いた直接製版に好適なポジ型感光性平版
印刷版。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ画像処理技術の進歩に伴
い、デジタル画像情報から、銀塩マスクフィルムへの出
力を行わずに、レーザー光あるいはサーマルヘッド等に
より、直接レジスト画像を形成する感光または感熱ダイ
レクト製版システムが注目されている。特に、高出力の
半導体レーザーやYAGレーザーを用いる、高解像度の
レーザー感光ダイレクト製版システムは、小型化、製版
作業時の環境光や版材コストの面から、その実現が強く
望まれていた。
【0003】レーザー感光ダイレクト製版用の印刷版の
なかで、最近、赤外線レーザーを用い、主として化学変
化以外変化によって露光部の現像液に対する溶解度を増
大させることによりポジ画像を形成する方法が注目を集
めており、例えば特開平10−268512号公報、特
開平11−194504号公報、特開平11−2239
36号公報、特開平11−84657号公報、特開平1
1−174681号公報、WO97/39894、WO
98/42507等に開示されている。従来のポジ型感
光性平版印刷版が、典型的にはo−キノンジアジド化合
物の光分解により、即ち化学変化により現像液に対する
溶解度を増大させ、これを画像形成に利用したのに対
し、上記の各文献に記載されたポジ型感光性平版印刷版
は、赤外吸収色素等の赤外光を吸収して熱に変換する物
質とノボラック樹脂等のアルカリ可溶性樹脂とを主な感
光層成分とし、赤外レーザー光露光で発生した熱によっ
て、樹脂のコンフォメーション変化等の物理変化を起こ
して現像液に対する溶解度を増大させるものである。
【0004】非化学変化による溶解性の増大を利用した
ポジ型感光性平版印刷版は、o−キノンジアジド化合物
のような白色光に感光する物質を必要としないので、印
刷版の取り扱いが白色灯下でも行える利点を有する。し
かしながら、このような印刷版は、化学変化を利用して
いないので、露光部と未露光部との溶解速度差が小さ
く、感度、現像ラチチュード(現像時に露光部が完全に
除去される迄の時間と、現像時も未露光部の残膜率が十
分に確保される時間の差)等の印刷版の基本性能、現像
処理枚数を増やしたときの現像処理安定性等を全て満足
させるのは困難であった。
【0005】この問題に対し感光層の膜厚を薄くするこ
とが考えられるが、熱変換型の感光層の場合、薄くしす
ぎると支持体への熱拡散が増えるため逆に感度が低下す
る問題があった。更に保存性、耐刷、耐薬品性に対して
も経時変化や保存状態の影響を大きくうけていた。特に
耐薬品性や耐刷性を向上させるために感光素材の中のバ
インダー成分の分子量等を変更するとアルカリ溶解性が
悪くなり現像性に難を与えた。この様に常に該耐薬品性
および保存性ならびに耐刷性は、感度や現像性といった
性能に対して相反し、ポジ型感光性平板印刷版として要
求される性能としては、満足いくものではなかった。
【0006】又、例えば特開2000−105454に
は、ノボラック樹脂と光熱変換物質を含むポジ型感光性
組成物に、界面活性剤を含有すること、好ましく、HL
B8以上、特に好ましくはHLB10以上の非イオン性
界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を添加することによ
り、画線部の残膜率が向上することが記載され、HLB
11.5以上の界面活性剤を使用した例が示されてい
る。
【0007】しかしながら、本発明者の検討によれば、
感光性組成物に界面活性剤を含有するこの方法において
も、現像ラチチュードが依然狭く、実用上は、現像処理
における非画線部の除去と、画線部の高い残膜率を同時
に実現するという点においては更に改善が必要であるこ
とが分かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、現像
ラチチュード、つまり感度とアルカリ現像後の未露光部
の残膜率とが共に優れ、且つ現像液で多量の枚数を現像
処理した場合にも処理安定性を損なわない感光性平版印
刷版を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、感光層の現像ラチチュードを高めるために
は、感光層中にHLBの低い界面活性剤を含有すること
が有効であり、一方、現像処理に対する安定性を良好に
するにはHLBの高い界面活性剤を含有させることが有
効であることを見いだし本発明に到達した。
【0010】即ち、本発明の要旨は、支持体上に、
(A)光熱変換物質、(B)アルカリ可溶性樹脂、
(C)HLB10未満の界面活性剤、及び(D)HLB
10以上の界面活性剤を含有するを含有するポジ型感光
性組成物層を有する感光性平版印刷版に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用する感光性組成物層
を設ける支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅
等の金属板、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アル
ミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属板、紙、プ
ラスチックフィルム及びガラス板、樹脂が塗布された
紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理
したプラスチックフィルム等のシート等が挙げられる。
このうち好ましいのはアルミニウム板である。本発明の
感光性平版印刷版の支持体としては、塩酸または硝酸溶
液中での電解エッチングまたはブラシ研磨による砂目立
て処理、硫酸溶媒中での陽極酸化処理および必要に応じ
て封孔処理等の表面処理が施されているアルミニウム板
を用いることがより好ましい。
【0012】支持体表面の粗面度に関しては、一般的
に、表面粗さRaの値で示される。これは表面粗度計を
用いて測定することができる。本発明において用いられ
る支持体としてはその平均粗さRaとして0.3〜1.
0μmのアルミニウム板が好ましく、更に、0.4〜
0.8μmのものがより好ましい。本支持体は必要に応
じ、更に有機酸化合物による表面処理を施して用いるこ
とができる。
【0013】本発明のポジ型感光性組成物に用いられる
第1成分である(A)「光熱変換物質」について述べ
る。これら光熱変換物質としては、吸収した光を熱に変
換し得る化合物であれば特に限定されないが、波長域6
50〜1300nmの近赤外線領域の一部又は全部に吸
収帯を有する有機又は無機の顔料や染料、有機色素、金
属、金属酸化物、金属炭化物、金属硼化物等が挙げられ
る中で、光吸収色素が特に有効である。これらの光吸収
色素は、前記波長域の光を効率よく吸収する一方、紫外
線領域の光は殆ど吸収しないか、吸収しても実質的に感
応せず、白色灯に含まれるような弱い紫外線によっては
感光性組成物を変成させる作用のない化合物である。
【0014】これらの光吸収色素としては、窒素原子、
酸素原子、又は硫黄原子等を含む複素環等がポリメチン
(−CH=)n で結合された、広義の所謂シアニン系色
素が代表的なものとして挙げられ、具体的には、例え
ば、キノリン系(所謂、狭義のシアニン系)、インドー
ル系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系
(所謂、チオシアニン系)、オキサゾール系(所謂、オ
キサシアニン系)、アミノベンゼン系(所謂、ポリメチ
ン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、スクアリリ
ウム系、クロコニウム系、アズレニウム系、アミニウム
系、イモニウム系、フタロシアニン系、アントラキノン
系等が挙げられ、中で、キノリン系、インドール系、ベ
ンゾチアゾール系、アミノベンゼン系、ピリリウム系、
又はチアピリリウム系、アミニウム系、イモニウム系色
素が好ましい。
【0015】本発明においては、前記シアニン系色素の
中で、キノリン系色素としては、特に、下記一般式(I
a) 、(Ib)、又は(Ic)で表されるものが好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】〔式(Ia)、(Ib)、及び(Ic)中、R1及びR2
は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル
基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を
有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有してい
てもよいフェニル基を示し、L 1は置換基を有していて
もよいトリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を示し、該ペ
ンタ又はヘプタメチン基上の2つの置換基が互いに連結
して炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していても
よく、キノリン環は置換基を有していてもよく、その場
合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼ
ン環を形成していてもよい。X-は対アニオンを示
す。〕 ここで、式(Ia)、(Ib)、及び(Ic)中のR1及びR2におけ
る置換基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒド
ロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L1における
置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン
原子等が挙げられ、キノリン環における置換基として
は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲ
ン原子等が挙げられる。
【0018】又、インドール系、ベンゾチアゾール系色
素及びベンゾオキサゾール系色素としては、特に、下記
一般式(II)で表されるものが好ましい。
【0019】
【化2】
【0020】〔式(II)中、Y1及びY2は各々独立して、
ジアルキルメチレン基、硫黄原子又は酸素原子を示し、
3及びR4は各々独立して、置換基を有していてもよい
アルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を
有していてもよいフェニル基を示し、L2は置換基を有
していてもよいトリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を示
し、該ペンタ又はヘプタメチン基上の2つの置換基が互
いに連結して炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成し
ていてもよく、縮合ベンゼン環は置換基を有していても
よく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結し
て縮合ベンゼン環を形成していてもよい。X-は対アニ
オンを示す。〕 ここで、式(II)中のR3及びR4における置換基として
は、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、又は
フェニル基等が挙げられ、L2における置換基として
は、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げ
られ、ベンゼン環における置換基としては、アルキル
基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙
げられる。
【0021】又、アミノベンゼン系色素としては、特
に、下記一般式(III) で表されるものが好ましい。
【0022】
【化3】
【0023】〔式(III) 中、R5、R6、R7、及びR8
各々独立して、アルキル基を示し、R9及びR10は各々
独立して、置換基を有していてもよいアリール基、フリ
ル基、又はチエニル基を示し、L3は置換基を有してい
てもよいモノ、トリ、又はペンタメチン基を示し、該ト
リ又はペンタメチン基上の2つの置換基が互いに連結し
て炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよ
く、キノン環及びベンゼン環は置換基を有していてもよ
い。X-は対アニオンを示す。〕 ここで、式(III) 中のR9及びR10として具体的には、
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フ
リル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル
基等が挙げられ、それらの置換基としては、アルキル
基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシ
基、又はハロゲン原子等が挙げられ、L3における置換
基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子
等が挙げられ、キノン環及びベンゼン環における置換基
としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又は
ハロゲン原子等が挙げられる。
【0024】又、ピリリウム系、及びチアピリリウム系
色素としては、特に、下記一般式(IVa) 、(IVb) 、又は
(IVc) で表されるものが好ましい。
【0025】
【化4】
【0026】〔式(IVa) 、(IVa) 、及び(IVc) 中、Y3
及びY4は各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を示
し、R11、R12、R13、及びR14は各々独立して、水素
原子又はアルキル基、又は、R11とR13、及びR12とR
14が互いに連結して炭素数5又は6のシクロアルケン環
を形成していてもよく、L4は置換基を有していてもよ
いモノ、トリ、又はペンタメチン基を示し、該トリ又は
ペンタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素
数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよく、ピ
リリウム環及びチアピリリウム環は置換基を有していて
もよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結
して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。X-は対ア
ニオンを示す。〕 ここで、式(IVa) 、(IVa) 、及び(IVc) のL4における
置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン
原子等が挙げられ、ピリリウム環及びチアピリリウム環
における置換基としては、フェニル基、ナフチル基等の
アリール基等が挙げられる。
【0027】更に、アミニウム系、及びイモニウム系色
素としては、N,N−ジアリールイミニウム塩骨格を少
なくとも1個有するものが好ましく、特に、下記一般式
(Va)、又は(Vb)で表されるものが好ましい。
【0028】
【化5】
【0029】〔式(Va)、及び(Vb)中、R15、R16
17、R18、R19、R20、R21、及びR 22は各々独立し
て、水素原子、アルキル基、又はフェニル基を示し、キ
ノン環及びベンゼン環は置換基を有していてもよい。X
-は対アニオンを示す。尚、式(Vb)中の電子結合(─)
は他の電子結合との共鳴状態を示す。〕 ここで、式(Va)、及び(Vb)中のキノン環及びベンゼン環
における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、
アシル基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられ
る。
【0030】尚、前記一般式(Ia 〜c)、(II)、(III) 、
(IVa〜c)、及び(Va 〜b)における対アニオンX-として
は、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、PF6 -
及び、BF4 -等の無機硼酸等の無機酸アニオン、ベンゼ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンス
ルホン酸、酢酸、及び、メチル、エチル、プロピル、ブ
チル、フェニル、メトキシフェニル、ナフチル、ジフル
オロフェニル、ペンタフルオロフェニル、チエニル、ピ
ロリル等の有機基を有する有機硼酸等の有機酸アニオン
を挙げることができる。
【0031】以上、前記一般式(Ia 〜c)で表されるキノ
リン系色素、前記一般式(II)で表されるインドール系又
はベンゾチアゾール系色素、前記一般式(III)で表され
るアミノベンゼン系色素、前記一般式(IVa〜c)で表され
るピリリウム系又はチアピリリウム系色素、及び前記一
般式(Va 〜b)で表されるアミニウム系又はイモニウム系
色素は、感度の点で有利である。以下に好ましく用いら
れる光熱変換物質の具体例を示す。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
【化15】
【0042】
【化16】
【0043】これらの熱変換物質の本発明のポジ型感光
性組成物中における含有割合は、重量比で通常0.5〜
30%、好ましくは1〜20%,更に好ましくは2〜1
0%、特に3〜10%である。特に、後述の界面活性剤
との組み合わせにおいては、光熱変換物質の含有量を比
較的高くすることが可能であり、その結果、感度、現像
ラチチュードが特に改善される点で好ましい。
【0044】次に、本発明のポジ型感光性組成物に用い
られる第2成分である(B)「アルカリ可溶性樹脂」
(以下、高分子または樹脂と称することがある)につい
て説明する。該アルカリ可溶性樹脂は、基本的には、上
記(A)成分の光熱変換物質との組み合せに於て、露光
部と未露光部が主として化学変化以外の変化によって、
アルカリ現像液に対する溶解性に差を生じうる高分子で
あり、当然該高分子自体が、主として化学変化以外の変
化によって、アルカリ現像液に対する溶解性が変化する
高分子化合物である場合を含む。このような高分子とし
ては、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェ
ノール樹脂、アクリル酸誘導体の共重合体等のアルカリ
可溶性樹脂等が挙げられるが、これらのうちノボラック
樹脂を含有するのが好ましい。
【0045】ノボラック樹脂としては、フェノール、m
−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,
5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシ
ン、ピロガロール、ビスフェノール、ビスフェノール−
A、トリスフェノール、o−エチルフェノール、m−エ
チルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェ
ノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノー
ル、1−ナフトール、2−ナフトール等の芳香族炭化水
素類の少なくとも1種を酸性触媒下、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズ
アルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類及び、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンな
どのケトン類から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド
類又はケトン類と重縮合させたものが挙げられる。
【0046】ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの
代わりに、それぞれパラホルムアルデヒド及びパラアル
デヒドを使用してもよい。ノボラック樹脂のゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略
す)測定によるポリスチレン換算重量平均分子量(以
下、GPC測定による重量平均分子量をMwと略す)
は、好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,5
00以上、また好ましくは15,000以下、更に好ま
しくは10,000以下のものが用いられる。
【0047】ノボラック樹脂の芳香族炭化水素類として
は、より好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m
−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノー
ル、及び3,5−キシレノール、レゾルシンから選ばれ
る少なくとも1種のフェノール類をホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデ
ヒド類の中から選ばれる少なくとも1種と重縮合したノ
ボラック樹脂が挙げられる。
【0048】中でも、m−クレゾール:p−クレゾー
ル:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レ
ゾルシンの混合割合がモル比で40〜100:0〜5
0:0〜20:0〜20:0〜20のフェノール類また
は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混
合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60のフ
ェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラッ
ク樹脂が好ましい。アルデヒド類の中でも、特にホルム
アルデヒドが好ましい。尚、後述する如く、本発明の感
光性組成物は、更に溶解抑止剤を含んでいても良く、そ
の場合、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キ
シレノール:3,5−キシレノール:レゾルシンの混合
割合がモル比で70〜100:0〜30:0〜20:0
〜20のフェノール類または、フェノール:m−クレゾ
ール:p−クレゾールの混合割合がモル比で10〜10
0:0〜60:0〜40のフェノール類とアルデヒド類
との重縮合物であるノボラック樹脂が好ましい。
【0049】ノボラック樹脂以外の樹脂としては、例え
ば特開2000−105454号公報に記載のアルカリ
可溶性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独でも
混合して用いても良い。上述の樹脂のうち、特に、ノボ
ラック樹脂を含有するのが感度・現像ラチチュードの点
で好ましい。ポジ型感光性組成物中におけるこれら樹脂
の含有割合は重量比で好ましくは50%〜99%であ
り、より好ましくは60%〜99%、特に好ましくは7
0〜98%である。
【0050】次に本発明に用いられる感光層中には、
(C)「HLBが10未満の界面活性剤」(以下、親油
性界面活性剤と称することがある)、及び(D)「HL
Bが10以上の界面活性剤」(以下、親水性界面活性剤
と称することがある)を含有する必要がある。親油性界
面活性剤としては好ましくは、HLBは9以下であり、
更に好ましくは8.5以下であり、好ましくは3以上で
あり、更に好ましくは5以上である。また、親水性界面
活性剤としては好ましくはHLBは11以上であり、更
に好ましくは12以上であり、好ましくは18以下であ
り、更に好ましくは16以下である。
【0051】本発明に用いられる感光層に親油性界面活
性剤と親水性界面活性剤とを併用した場合に優れた効果
を発揮する理由は必ずしも明確ではないが、以下のよう
に推定している。
【0052】印刷版を現像すると、現像液の処理劣化が
進む。現像液の劣化のプロセスは以下のように推定して
いる。ポジ型で有れば感光性組成物層の未露光部が現像
液中に溶出するので現像枚数が増えるに従って感光性組
成物の濃度が増大していく。現像液中の感光性組成物の
濃度が高くなると、その分アルカリ現像液に対する印刷
版上の感光性組成物層の親和性が大きくなり(現像性が
高くなり)、未露光部の溶解性までも高くなるので、結
果として膜べりを生ずるものと推定される。ここで、現
像液中に親水性界面活性剤があると、現像液と印刷版上
の感光性組成物層の親和性が押さえられて膜べりを減ず
る(残膜率を向上させる)ことが出来るものと推定され
るが、感光層中に、膜べり防止効果のある親水性界面活
性剤を含有させておくと、溶けだした感光性組成物に比
例して親水性界面活性剤も現像液に供給されるのであ
る。従って、感光層の膜べり防止効果のある親水性界面
活性剤を、感光層中に含有させることにより、印刷版の
処理枚数の増加による現像液の劣化に対する処理安定性
が向上するものと推定される。
【0053】本発明に用いられる界面活性剤としては、
アニオン性、カチオン性、非イオン性等のいずれも可能
であるが、特に好ましいものとしては非イオン性界面活
性剤が挙げられ、エーテル型、エステル型、アミノエー
テル型、エーテルエステル型、アルカノールアミド型の
もの等が挙げられる。具体的にはポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエ
ーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/
オキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレング
リコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノ
ールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテ
ル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンエーテル誘導体、ポリオキシプロピレングリセ
リルエーテル、メトキシポリエチレングリコール、グリ
セロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルアミン、ポリオキシエチレングリセロールボレ
イト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカ
ノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピ
レングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトス
テロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリ
オキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンラノリン、
ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエ
チレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。なかでも
好ましいものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロッ
クポリマー、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリ
ン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、プロピ
レングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
エステルが挙げられる。
【0054】より好ましいものはポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルであ
り、特にポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステ
ル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルであるのが
好ましい。上述の界面活性剤は同系であっても、例えば
オキシエチレン繰り返し単位の繰り返し数が異なること
によってHLBも異なってくるので、HLBが10未満
のものと、HLBが10以上のものをそれぞれ選択して
併用する。
【0055】本発明のポジ型感光性組成物中におけるH
LB10未満の界面活性剤の含有量は少な過ぎると現像
ラチチュードが小さくなる傾向にあり、多過ぎてもまた
現像ラチチュードが小さくなる傾向にあるため、含有量
は好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1%以上、
特に好ましくは2%以上であり、また、好ましくは20
%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは8
%以下である。また、HLB10以上の界面活性剤の含
有量は、少なすぎると十分な膜べり防止効果が得られ
ず、多すぎると現像ラチチュードが小さくなる傾向にあ
るので、好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.
3%以上、特に好ましくは0.5%以上であり、また、
好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下、特
に好ましくは8%以下である。また、HLB10以上の
界面活性剤の含有量は、少なすぎると十分な膜べり防止
効果が得られず、多すぎると現像ラチチュードが小さく
なる傾向にあるので、好ましくは0.05%以上、更に
好ましくは0.1%以上、特に好ましくは0.15%以
上であり、また、好ましくは15%以下、更に好ましく
は10%以下、特に好ましくは5%以下である。また、
低HLB、すなわち親油性界面活性剤と高HLB、すな
わち親水性界面活性剤の含有割合としては、好ましくは
40:1〜1:10であり、更に好ましくは30:1〜
1:5であり、特に好ましくは20:1〜1:1であ
る。
【0056】本発明の感光性組成物層中には、感光性組
成物のアルカリ現像液に対する溶解性を減少させる性質
を有する溶解抑止剤を含有することができる。本発明に
用いられる溶解抑止剤としては、特開平10−2685
12号公報、特開平11−288089号公報等に記載
のスルホン酸エステル、リン酸エステル、芳香族カルボ
ン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、
芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミンおよび
芳香族エーテル化合物、トリアリールメタン骨格を有す
る化合物を挙げることができる。また、特開平11−1
90903号公報等に記載のラクトン骨格、N,N−ジ
アリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有
する酸発色性色素、ラクトン骨格、チオラクトン骨格、
スルホラクトン骨格を有する塩基発色色素も挙げること
ができる。
【0057】又、本発明の感光層中には、熱の作用によ
りアルカリ可溶性樹脂を架橋し得る作用を有する化合物
(以下、熱架橋性化合物と略すことがある)を含有して
いても良い。熱架橋化合物を感光層中に含有させた場合
には、露光後に後加熱処理を行うことによって、アルカ
リ可溶性樹脂を架橋することができ、その結果、耐薬品
性、耐刷性を向上させることができる。かかる熱架橋性
化合物としては、通常150℃〜300℃に加熱するこ
とによりアルカリ可溶性樹脂を架橋しうる化合物が挙げ
られる。
【0058】熱架橋性化合物としては、熱架橋性を有す
る含窒素化合物が挙げられ、好ましくは、アミノ基を含
有する化合物であり、より具体的には例えば、官能基と
してメチロール基、それのアルコール縮合変性したアル
コキシメチル基、その他、アセトキシメチル基等を少な
くとも二個有するアミノ化合物が挙げられる。アミノ基
を有する化合物の中でも、構造中に複素環構造、特に含
窒素複素環構造を有するのが好ましく、メラミン骨格を
有する化合物が好ましい。具体的は、例えば、かかる熱
架橋性化合物としては、特開平11−202481号公
報に記載の熱架橋性化合物等が挙げられる。
【0059】なお、本発明の感光性組成物は、その性能
を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば染料、顔料、
塗布性改良剤、現像改良剤、密着性改良剤、感度改良
剤、感脂化剤等を含有することも可能である。又、発色
の原因がカチオンまたはアニオンの非極在化によるイオ
ン性色素を含むことも可能であり、具体的にはシアニン
色素、アズレニウム色素、スクアリウム色素、クロコニ
ウム色素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン
色素、オキサジン色素、アジン色素、ピリリウム色素、
チオピリウム色素、ピオローゲン色素、キサンテン色
素、ローダシアニン色素、スチリル色素等が挙げられ
る。尚、かかるイオン性色素としては、光熱変換物質と
して使用されうる色素とは区別されるものであり吸収極
大(λmax)が700nm以下にある色素である。これ
らのうち好ましいものはその構造中にトリフェニルメチ
ル基を部分構造として有するトリフェニルメタン色素で
あり、具体的にはC.I.No.で表わすと、C.I.
BasicViolt3、C.I.BasicBlue
5、C.I.BasicGreen1、C.I.Bas
icBlue26、C.I.AcidBlue1、C.
I.solventBlue2、C.I.BasicB
lue7等が挙げられ、東京化成(株)製クリスタルバ
イオレット、住友化学(株)製Primocyanin
eBxconc.、保土谷化学(株)製AizenDi
amondGreenGH、AizenVictori
aBlueBH、AizenBrilliantAci
dPureBlueVH、アイゼンビクトリアピアブル
ーBOH、BASF製VictoriaBlue4RB
ase等が挙げられる。
【0060】本発明の感光性平版印刷版は、上記成分
(A)の光熱変換物質、成分(B)のアルカリ可溶性樹
脂及び成分(C)のHLBが10未満の界面活性剤、
(D)のHLBが10以上の界面活性剤、更には、必要
に応じて、溶解抑止剤、その他の添加剤を適当な溶媒に
溶解し、支持体上に塗布・乾燥することにより得られ
る。溶媒としては、使用成分に対して十分な溶解度を持
ち、良好な塗膜性を与える溶媒であれば特に制限はない
が、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロ
ソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどの
セロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレング
リコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレング
リコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレン
グリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコー
ル系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸
ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エ
チル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテ
ート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオ
ン酸メチルなどのエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキ
サノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコー
ルなどのアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチル
アミルケトンなどのケトン系溶媒、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど
の高極性溶媒、あるいはこれらの混合溶媒、さらにはこ
れらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられ
る。溶媒の使用割合は、感光性組成物の総量に対して通
常重量比として1〜20倍程度の範囲である。
【0061】本発明に使用する感光性組成物を支持体表
面に設ける際に用いる塗布方法としては、従来公知の方
法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗
布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及び
カーテン塗布等を用いることが可能である。感光層の膜
厚は、1〜3μm、重量膜厚で13〜30mg/dm2
が好ましく、更に好ましくは1〜2μm、16〜28m
g/dm2が好ましい。
【0062】上述の様にして得られたのポジ型感光性平
版印刷版は、レーザー光によって画像露光した後、アル
カリ現像液で現像してポジ画像を形成する。ここで、ポ
ジ型感光性平版印刷版を画像露光する光源としては、主
として、HeNeレーザー、アルゴンイオンレーザー、
YAGレーザー、HeCdレーザー、半導体レーザー、
ルビーレーザー等のレーザー光源が挙げられるが、特
に、光を吸収して発生した熱により画像形成させる場合
には、波長域650〜1,300nmの範囲の近赤外レ
ーザー光線を発生する光源が好ましく、例えば、ルビー
レーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、LED等
の固体レーザーを挙げることができ、特に、小型で長寿
命な半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。
【0063】尚、レーザー光源は、通常、レンズにより
集光された高強度の光線(ビーム)として感光性組成物
層表面を走査するが、それに感応する本発明での感光性
組成物層の感度特性(mJ/cm2)は受光するレーザ
ービームの光強度(mJ/s・cm2)に依存すること
がある。ここで、レーザービームの光強度は、光パワー
メーターにより測定したレーザービームの単位時間当た
りのエネルギー量(mJ/s)を感光性組成物層表面に
おけるレーザービームの照射面積(cm2)で除するこ
とにより求めることができる。レーザービームの照射面
積は、通常、レーザーピーク強度の1/e2強度を越え
る部分の面積で定義されるが、簡易的には相反則を示す
感光性組成物を感光させて測定することもできる。
【0064】本発明の感光性平版印刷版の露光にあたっ
ては、光源の光強度として、2.0×106 mJ/s・
cm2以上とすることが好ましく、1.0×107mJ/
s・cm2以上とすることが特に好ましい。光強度が前
記範囲であれば、本発明でのポジ型感光性組成物層の感
度特性を向上させ得、走査露光時間を短くすることがで
き実用的に大きな利点となる。
【0065】次に、本発明の感光性平版印刷版の現像に
用いられる現像液としては、例えば、珪酸ナトリウム、
珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ
珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウ
ム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第二燐酸ナトリ
ウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸アンモニウム、第
三燐酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、
硼酸アンモニウム等の無機アルカリ塩、モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイ
ソプロパノールアミン等の有機アミン化合物の0.1〜
5重量%程度の水溶液からなるアルカリ現像液が用いら
れる。
【0066】以上の中で、現像液としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ
金属の水酸化物、及び、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、珪酸リチウム等のアルカリ金属の珪酸塩を含有する
アルカリ現像液が好ましい。
【0067】又、現像液としては、そのアルカリ金属の
珪酸塩が、二酸化珪素としての含有量で0.5〜10重
量%であり、且つ、アルカリ金属のモル濃度(〔M〕)
に対する二酸化珪素のモル濃度(〔SiO2 〕)の比
(〔SiO2 〕/〔M〕)が0.1〜1.5であるのが
好ましく、二酸化珪素としての含有量で1〜8重量%で
あり、且つ、アルカリ金属のモル濃度に対する二酸化珪
素のモル濃度の比で0.3〜1であるのが特に好まし
い。
【0068】アルカリ金属の珪酸塩の二酸化珪素として
の含有量が前記範囲未満、及び、アルカリ金属のモル濃
度に対する二酸化珪素のモル濃度の比が前記範囲未満で
は、経時により、及び、現像処理数の増加に伴って、現
像液中にアルカリ金属塩の析出が発生し易い傾向とな
り、一方、アルカリ金属の珪酸塩の二酸化珪素としての
含有量が前記範囲超過、及び、アルカリ金属のモル濃度
に対する二酸化珪素のモル濃度の比が前記範囲超過で
は、非画像部の溶解性が低下してその抜け性が不十分と
なる傾向となる。尚、現像液のpHは、非画像部の抜け
性の面から、12.0〜14.0であるのが好ましい。
【0069】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。 実施例1〜3、比較例1 アルミニウム板(厚さ0.24mm)を、5重量%の水
酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行
った後、0.5モル/リットルの濃度の塩酸水溶液中
で、温度28℃、電流密度60A/dm2、処理時間4
0秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで水洗
後、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で60℃、1
2秒間のデスマット処理を施し、水洗後、20重量%硫
酸溶液中で、温度20℃、電流密度3.5A/dm2
処理時間1分の条件で陽極酸化処理を行った。更に、8
0℃の熱水で20秒間熱水封孔処理を行い、水洗、乾燥
して平版印刷版支持体用のアルミニウム板を作製した。
表面粗度計(小坂研究所社製「SE−3DH」)による
この板表面の平均粗さRa は0.6μmであった。
【0070】得られたアルミニウム板支持体表面に、下
記の組成を有する塗布液を、ホワラーを用いて塗布し、
90℃で2分間乾燥させた後、55℃で16時間の後加
熱処理を施すことにより、乾燥膜厚が2.1g/m2
ポジ型感光性組成物の層を有するポジ型感光性平版印刷
版を作製した。
【0071】
【表1】 光熱変換物質:前記具体例(II-9)で示したインドール系色素 10重量部 ノボラック樹脂:フェノール/m−クレゾール/p−クレゾール=20/50/ 30(モル比)の混合フェノール類をホルムアルデヒドで重縮 合した樹脂(重量平均分子量4,000) 100重量部 溶解抑止剤1:ラクトン骨格を有する下記構造の酸発色性色素(a) 10重量部 溶解抑止剤2:ノボラック樹脂と下記化合物(b)がエステル結合したもの 10重量部 親水性界面活性剤:第1表に記載の化合物 第1表に記載の配合量 親油性界面活性剤:GO−4 第1表に記載の配合量 有機酸:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸 6重量部 架橋剤:三井サイテック社製サイメルC−300(メラミン系架橋剤) 1重量部 塗布性改良剤:旭ガラス社製サーフロンS−381(フッ素系界面活性剤) 0.0025重量部 溶剤1:メチルセロソルブ 735重量部 溶剤2:エチルセロソルブ 184重量部 但し、GO−4:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(日光ケミカ ルズ社製「GO4」;HLB=8.5)。
【0072】
【化17】
【0073】上記の各ポジ型感光性平版印刷版につき、
波長830nmの半導体レーザーを光源とする露光装置
(クレオ社製、「Trend Setter 3244
T」)を用いて、113mJ/cm2の強度で露光し、
次いで、下記組成の現像液(新液)で28℃にて現像し
た。 [現像液組成] KOH 3.1重量部 Aケイ酸カリ 21重量部 アモーゲンK 0.3重量部 DLP−10 0.2重量部 A15 0.07重量部 脱塩水 76重量部 但し、アモーゲンK:ベタイン型両性界面活性剤(第一
工業製薬社製「アモーゲンK」)、DLP−10:リン
酸エステル化合物(日光ケミカルズ社製「NIKKOL
DLP10」)、A15:オレイン酸高度硫酸化油
(竹本油脂社製「パイオニンA15」)。
【0074】(残膜率評価:未露光部の残膜率90%へ
の到達時間:t1)得られた各平版印刷版につき、画像
部における現像前後の反射濃度を反射濃度計(マクベス
社製「RD−514」)を用いて測定して、以下の式に
基づいて画像部の残膜率を算出し、以下の基準で評価し
た。 残膜率(%)=〔(現像後の画像部の反射濃度−支持体
表面の反射濃度)/(現像前の版面の反射濃度−支持体
表面の反射濃度)〕×100 そして、未露光部の残膜率が90%になるまでの到達時
間(現像時間)を算出した。
【0075】(抜け性評価:露光部の残膜率3%への到
達時間:t2)上記の残膜率評価ど同様な方法で、露光
部の残膜率が3%になるまでの到達時間を算出した。 (現像ラチチュード評価:現ラチ指数)上記の残膜率評
価(t1)と抜け性評価(t2)から、(t1−t2)
/t1の値を現像ラチチュードの指数として求めた。こ
の現像ラチチュード指数が、大きいほど現像ラチチュー
ドが大きく優れていることを示している。各評価結果を
下記第1表に示すが、いずれの印刷版も、新しい現像液
では、ほぼ同じ現像ラチチュードを有することがわか
る。
【0076】
【表2】 但し、MYS−25:モノステアリン酸ポリエチレングリ
コール(日光ケミカルズ社製「MYS−25」;HLB
=15.0)、MYS−10:モノステアリン酸ポリエチ
レングリコール(日光ケミカルズ社製「MYS−1
0」;HLB=11.0)。
【0077】(ランニング適正評価)次に、それぞれの
版について、1.4m2/Lとなるように、下記組成の
現像液にて現像処理を行い、それぞれの版についての疲
労現像液を作製した。得られた疲労現像液を用いて、そ
れぞれの版を28℃にて現像した。 [現像液組成] KOH 3.1重量部 Aケイ酸カリ 21重量部 アモーゲンK 0.3重量部 DLP−10 0.2重量部 A15 0.07重量部 脱塩水 76重量部 結果を第2表に示すが、第2表からわかる通り、親水性
界面活性剤を配合しない印刷版(比較例1)は、疲労現
像液で処理した場合に現像ラチチュードが狭くなるのに
対し、親水性界面活性剤を配合した印刷版(実施例1〜
3)では疲労現像液で処理した場合でも、新液で処理し
た場合の現像ラチチュードが比較的維持されている。
【0078】
【表3】
【0079】
【発明の効果】本発明により、現像ラチチュードが大き
く、且つ処理安定性に優れたポジ型感光性平版印刷版を
提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA04 AB03 AC08 AD03 CB29 CB52 CC04 CC20 2H096 AA00 AA07 AA08 BA16 BA20 EA04 GA08 LA16 2H114 AA04 AA23 BA01 BA10 DA21 DA42 DA52 DA53 DA59 EA01 EA08 GA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、(A)光熱変換物質、
    (B)アルカリ可溶性樹脂、(C)HLB10未満の界
    面活性剤、及び(D)HLB10以上の界面活性剤を含
    有するポジ型感光性組成物層を有する感光性平版印刷
    版。
  2. 【請求項2】 支持体上に、(A)光熱変換物質、
    (B)アルカリ可溶性樹脂、(C)HLB9以下の界面
    活性剤、及び(D)HLB11以上の界面活性剤を含有
    するポジ型感光性組成物層を有する感光性平版印刷版。
  3. 【請求項3】 HLB10未満の界面活性剤が、ポリオ
    キシエチレンソルビット脂肪酸エステルである請求項1
    に記載のポジ型感光性平版印刷版。
  4. 【請求項4】 HLB10以上の界面活性剤が、ポリエ
    チレングリコール脂肪酸エステルである請求項1に記載
    のポジ型感光性平版印刷版。
  5. 【請求項5】 アルカリ可溶性樹脂がノボラック樹脂を
    含有する請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性
    平版印刷版の製版方法。
  6. 【請求項6】 感光性組成物層が、紫外光に対して実質
    的に感受性を有さない請求項15のいずれかに記載のポ
    ジ型感光性平版印刷版の製版方法。
  7. 【請求項7】 レーザー露光波長が650〜1300n
    mの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型
    感光性平版印刷版の製版方法。
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