JP2002121215A - 芳香族モノビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents
芳香族モノビニル系樹脂の製造方法Info
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Abstract
好であり、臭気が少なく、成形性にも優れる、芳香族モ
ノビニル系樹脂の製造方法を提供すること。 【解決手段】 芳香族モノビニル系樹脂を製造するにあ
たり、3−アリールベンゾフラノンを、最終反応器出口
の樹脂に対しその量が0.006〜0.5重量%となる
ように、重合工程あるいは脱揮工程において、また重合
工程後、脱揮工程前において添加することを特徴とする
芳香族モノビニル系樹脂の製造方法。
Description
系単量体とその二量体及び三量体の残存量が少ない芳香
族モノビニル系樹脂の製造方法に関し、より詳しくは、
成形時の熱安定性に優れるとともに、直接食品等に接触
する材料に好適に用いることができる芳香族モノビニル
系樹脂の製造方法に関する。更に、本発明は、良好な色
調及び外観を有し且つ臭気の少なく、成形性に優れた、
芳香族モノビニル系樹脂の製造方法に関する。
成形性により、電気製品材料や各種工業材料、雑貨や食
品容器材料、包装材料等として広く用いられている。し
かしながら、芳香族ビニル系樹脂、例えば、ポリスチレ
ンにおいては、樹脂中に含まれるスチレン単量体の量が
多いと、得られる成形品に臭気の問題が生じる場合があ
る。また、樹脂中にスチレン単量体の二量体や三量体が
多い場合には、耐熱性を下げたり、射出成形時に金型内
で揮発して残留し、これが成形品に転写する等の不良現
象を発生させたり、また金型の清掃頻度が増加すること
により、生産性を低下させる等の問題がある。
9817号公報及び特開平7−149818号公報にお
いて、フェノール系熱劣化防止剤による低臭気化が提案
されているが、得られる成形品の色調が悪いという欠点
を有している。また、二量体及び三量体の生成を防止す
る方法については、特開平5−170825号公報にお
いて、フェノール系熱劣化防止剤を樹脂製造時における
重合工程または脱揮工程に添加する方法が提案されてい
るが、上記同様、得られる成形品の色調が悪いという欠
点を有している。一方、米国特許4325863号、4
338244号及び5175312号明細書では、3−
アリールベンゾフラノンの添加による樹脂の安定化が提
案されているが、芳香族モノビニル系単量体の濃度と得
られる成形品の色調との関係に関しては、何ら開示され
ていない。
ビニル系単量体とその二量体及び三量体の残存量が少な
い芳香族モノビニル系樹脂の製造方法に関し、成形時の
熱安定性に優れるとともに、直接食品等に接触する材料
に好適に用いることができ、更には、本発明は、良好な
色調及び外観を有し且つ臭気の少なく、成形性に優れ
た、芳香族モノビニル系樹脂の製造方法を提供するもの
である。
点に鑑み、鋭意研究を進めた結果、特定の分子量の芳香
族モノビニル系樹脂に、特定の熱劣化防止剤を特定割合
で加え、芳香族モノビニル系単量体の濃度を特定濃度以
下にすることにより、これまで予想し得なかった優れた
特性を有する芳香族モノビニル系樹脂が得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。
樹脂を製造するにあたり、芳香族モノビニル系単量体を
重合工程にて重合し、次いで脱揮工程にて重合反応後の
反応物から未反応物及び/又は溶剤を除去するに際し、
下記一般式(I)
基、又は置換若しくは未置換の複素環式芳香族基を表
し、R2 、R3 、R4 及びR5 は、それぞれ独立に、水
素原子又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示
す。〕で表わされる3−アリールベンゾフラノンを、最
終反応器出口の樹脂に対しその量が0.006〜0.5
重量%となるように、重合工程あるいは脱揮工程におい
て、また重合工程後、脱揮工程前において添加すること
を特徴とする芳香族モノビニル系樹脂の製造方法、ま
た、この芳香族モノビニル系樹脂の製造方法において、
芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm以下
となるまで脱揮する製造方法、あるいは芳香族モノビニ
ル系単量体の二量体及び三量体の残存量の合計が0.4
重量%以下となるまで脱揮する製造方法、さらには3−
アリールベンゾフラノンを重合工程に添加することにお
いて、芳香族モノビニル系単量体の重合率が50%以
上、及び添加位置の温度が160℃以下で添加する芳香
族モノビニル系樹脂の製造方法である。
ノビニル系樹脂、例えば、工業的規模で生産されるポリ
スチレンは、ほとんどラジカル重合で生産されている
が、未反応物及び/又は溶剤を脱揮工程で除去する際
に、あるいは脱揮した直後の樹脂が熱分解によって、ス
チレン単量体及びその二量体や三量体が多く発生し、得
られる成形品はこれらを多く含むものとなる。さらにこ
れらの樹脂を用いて、射出成形、ブロー成形、押出成形
等で成形品を得た場合、成形時の熱履歴により、スチレ
ン単量体、その二量体、三量体の量はさらに増加する。
工業的に生産されているポリスチレン中に残留するスチ
レン単量体の量は、200〜400ppm程度であり、
例えば、100ppm以下のものを得ようとすること
は、極めて困難である。従来、ポリスチレンはスチレン
単量体の反応で生成する熱開始ラジカル及び/又は重合
開始剤ラジカルで重合することが多かった。この場合、
重合開始剤ラジカルの割合を増やすことにより、スチレ
ン単量体の二量体及び三量体の量を低減させることはで
きるが、脱揮工程での樹脂の熱分解により再び発生する
ため、これらの量の低減には限界があった。
表される3−アリールベンゾフラノンを重合工程あるい
は脱揮工程において、また重合工程後、脱揮工程前にお
いて添加して、芳香族モノビニル系単量体の量、更に
は、その二量体及び三量体の量が非常に少ない成形品を
得る方法である。本発明において、芳香族モノビニル系
単量体からなる樹脂を得るために、原料として用いる芳
香族モノビニル系単重体としては、スチレン単独のみな
らず、スチレンと共重合可能な他のビニル系単量体とス
チレンとの混合物を挙げることができる。ここでスチレ
ンと共重合可能な他のビニル系単量体として、具体的に
は、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、エチルメタクリレート、ハロゲン含有
ビニルモノマー、α一メチルスチレン、o−メチルスチ
レン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等があ
り、これらの1種以上を用いることができる。これらス
チレンと共重合し得るビニル系単量体は、通常、全単量
体の60重量%以下、好ましくは50重量%以下の割合
で用いることができる。
タジエン、SBR、ポリイソプレン、ニトリルゴム、天
然ゴム等のゴム成分を含んでいても良い。本発明の重合
工程における、芳香族モノビニル系単量体の重合方法に
ついては、特に制限はなく、従来慣用されている方法、
例えば、ラジカル重合法としては、塊状重合法、懸濁重
合法、塊状−懸濁重合法のような多段重合法、乳化重合
法が可能であり、また、アニオン重合法あるいはメタロ
セン触媒を用いたイオン重合法等も用いることができ
る。
を例に挙げて、本発明の重合方法について説明する。本
発明の方法で用いられる重合開始剤としては、有機過酸
化物、例えば2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブ
タン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタ
ン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1,ービス(t−ブチ
ルペルオキシ)シクロヘキサン、nーブチルー4,4ー
ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどのペルオ
キシケタール類、ジーt−ブチルペルオキシド、t−ブ
チルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,
α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソブロピル)ベン
ゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルー2,5−ジ(t
−ブチルペルオキシ)ヘキシンー3などのジアルキルペ
ルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペ
ルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペ
ルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−ト
リメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオ
キシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m
一トリオイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド
類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジー2
−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジーn−
プロピルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペル
オキシジカーボネート、ジーn−エトキシエチルペルオ
キシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペルオキ
シジカーボネート、ジー(3−メチル−3−メトキシブ
チル)ペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカ
ーボネート類、t−ブチルペルオキシアセテート、t―
ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキ
シピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエー
ト、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペ
ルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−プチルペル
オキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−
ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベ
ンゾエート、ジーt−ブチルジペルオキシイソフタレー
ト、2,5−ジメチルー2,5−ジ(ベンゾイルペルオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカ
ーボネートなどのペルオキシエステル類、アセチルアセ
トンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、
シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサ
ノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、t一ブ
チルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、
ジイソプロピルペルベンゼンヒドロペルオキシド、p−
メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサ
ン−2,5−ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3−
テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペ
ルオキシド類等を挙げることができる。
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2ー
メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シ
クロヘキサンカルボニトリル)等を用いることもでき
る。これらの有機過酸化物あるいはアゾ系開始剤は、そ
れぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。重合条件としては、重合開始剤としての
有機過酸化物の分解温度に応じて、20〜180℃で重
合を開始し、塊状重合を行えばよい。この塊状重合系に
は、連鎖移動剤、溶剤、一般的な酸化防止剤等の熱安定
剤、ミネラルオイル、シリコンオイル等を適宜添加する
ことができる。ここで連鎖移動剤としては、例えばα−
メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン、1−フェニルー2−
フルオレン、ジベンテン、クロロホルムなどのメルカプ
タン類、テルペン類、ハロゲン化合物、テレピノーレン
等のテレピン類等を挙げることができる。この連鎖移動
剤の使用量は、特に制限はないが、一般的には単量体に
対して、0.005〜0.1重量%程度加えれば良い。
香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、ジアルキルケトン類、例えばメチルエチルケト
ンなどが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、重合生成
物の溶解性を低下させない範囲で、他の溶剤、例えば脂
肪族炭化水素類等を芳香族炭化水素類に混合することが
できる。これらの溶剤は、単量体に対して、25重量%
を超えない範囲で使用するのが好ましい。溶剤が25重
量%を超えると、重合速度が著しく低下し、かつ、得ら
れる樹脂の衝撃強度の低下が大きくなる。また、溶剤の
回収のために、多量のエネルギーを要するので経済性も
劣ってくる。溶剤は、重合が進み、比較的高粘度になっ
てから添加してもよいし、あるいは重合前から添加して
おいてもよいが、重合前に5〜20重量%の割合で添加
しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点
でも好ましい。
タデシル−3−(3,5−ターシャリーブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オ
クチルチオメチル)−o−クレゾールなどのヒンダート
フェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−ターシ
ャリーブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系加
工熱安定剤等を挙げることができる。これらの安定剤を
それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて適宜用
いてもよい。添加時期については、特に制限はなく、重
合工程又は脱揮工程のいずれでもよい。また、押出機や
バンバリミキサー等機械的装置で成形品に安定剤を混合
することもできる。なおここで、上記重合工程において
用いる装置については、特に制限はなく、芳香族モノビ
ニル系単量体の重合方法に従って適宜選択すれば良い。
例えば、塊状重合による場合には、第1反応器、第2反
応器及び第3反応器からなる重合装置を、アニオン重合
による場合にはオートクレーブ等の重合装置を用いるこ
とができる。
に制限はない。芳香族モノビニル系単量体の重合を塊状
重合で行なう場合は、最終的に未反応の芳香族モノビニ
ル系単重体が、好ましくは50重量%、より好ましくは
40重量%以下になるまで重合を進め、かかる芳香族モ
ノビニル系単量体などの揮発分を除去するために、公知
の方法にて脱揮処理する。この脱揮工程は、重合反応後
の反応物から、未反応物及び/又は溶剤を除去するため
のものであり、脱揮処理には、例えばフラッシュドラ
ム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機などの通常の脱揮
装置を用いることができる。なお、脱揮処理の温度は、
通常、190〜280℃程度であり、また脱揮処理の圧
力は通常、1〜100torr(トール)程度である、
好ましくは1〜50torrであり、さらに好ましくは
1〜10torrである。脱揮方法としては、例えば加
熱下で減圧して除去する方法や、揮発分除去の目的に設
計された押出機等を通して除去することが望ましい。
される3−アリールベンゾフラノン(熱劣化防止剤)
を、重合工程あるいは脱揮工程において添加することが
好ましい。つまり、この場合には、本発明の3−アリー
ルベンゾフラノンは、重合反応に用いられる反応器又は
押出機等に添加されることになる。また、重合工程の終
了後(好ましくは直後)であって脱揮工程の前において
添加することがより好ましく、この場合には、重合反応
に用いられる反応器の出口において、3−アリールベン
ゾフラノンの添加が行われることになる。なお、成形時
の樹脂の熱分解抑制のため、得られたペレットに、押出
機やバンバリミキサー等機械的装置を用いて、さらに3
−アリールベンゾフラノンを混合してもよい。
ルベンゾフラノン(熱劣化防止剤)を添加した後は、両
者を均一に混合することが好ましい。これは、混合性の
良くない反応器、または混合手段のない重合ラインに3
−アリールベンゾフラノンを添加した場合には、熱劣化
防止剤である3−アリールベンゾフラノンの分散が不十
分となり、脱揮工程での芳香族モノビニル系単量体及び
その二量体や三量体の生成抑制効果はあるものの、その
効果が低下して好ましくないからである。ここで、重合
工程で得られた重合溶液と3−アリールベンゾフラノン
(熱劣化防止剤)とを均一に混合させるには、例えば、
重合装置や脱揮装置の他に、混合装置を別途設けること
が好ましい。なお、混合装置の構造については、特に制
限はなく、重合工程で得られた重合溶液と3−アリール
ベンゾフラノンとを均一に混合できるものであればよ
く、例えば、完全混合型ミキサー、塔型ミキサー、スタ
ティックミキサー等が挙げられる。具体的には、混合装
置を上記重合装置(例えば、第3反応器)の後に設ける
ことができる。
て3−アリールベンゾフラノンを添加する場合は、芳香
族モノビニル系単量体の重合率が、50%以上、特に6
0%以上となった時点において、前記一般式(I)で表
される3−アリールベンゾフラノンを添加することが望
ましい。これは、重合初期に添加すると、重合反応時の
ラジカルが捕捉されるため、あまり好ましくないからで
ある。なおここで、重合率とは、原料単量体の重量を1
00としたときの重合した樹脂の重量の比率(%)をい
う。また、重合工程において3−アリールベンゾフラノ
ンを添加する場合、重合工程の重合温度が160℃以下
のときに添加することが好ましい。重合温度が160℃
を超えた後に上記熱劣化防止剤を添加すると、重合反応
時のラジカルの捕捉が速くなり、あまり好ましくない。
は、部分的に重合した反応物を、第三リン酸カルシウム
やポリビニルアルコールなどの懸濁安定剤、又はこれと
界面活性剤を併用して、水性媒体中に攪拌しながら分散
させ、懸濁重合により反応を完結させる。得られた懸濁
ポリマー粒子を含んだスラリーを脱水し、洗浄後、乾燥
する。その後、脱揮工程で、乾燥した懸濁ポリマー粒子
中の未反応物を例えば、押出機などで脱揮し、ペレット
化する。この場合、前記一般式(I)で表される3−ア
リールベンゾフラノンは、脱揮工程前に添加することが
好ましい。また、アニオン重合を行なう場合は、不活性
溶媒中に単量体を溶解させ、重合開始剤として有機アル
キル金属化合物、例えば、n−ブチルリチウム、sec
−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどを用いて重
合し、重合終了後、メタノール等の活性水素を有する化
合物で重合活性末端を失活させ、重合を完結させる。そ
の後、脱揮工程で、重合反応後の反応物から、未反応物
及び/又は溶剤を、例えばフラッシュドラム、二軸脱揮
器、薄膜蒸発器、押出機などで脱揮し、ペレット化す
る。この場合、前記一般式(I)で表される3−アリー
ルベンゾフラノンは、脱揮工程前に添加することが好ま
しい。
無酸素下で発生したラジカルを効果的に捕捉安定化する
ことができる構造のもの、すなわち、前記一般式(I)
で表される3−アリールベンゾフラノンを用いる。そし
て、その量は、樹脂重量に対して0.006〜0.5重
量%、好ましくは0.008〜0.3重量%、更に好ま
しくは0.01〜0.2重量%である。ここで、3−ア
リールベンゾフラノンの添加量が0.006重量%未満
であると、脱揮工程での芳香族モノビニル系単量体、及
びその二量体や三量体の生成抑制効果が不十分となり、
これらの少ない成形品を得ることが出来ない。また、添
加量が0.006重量%未満の場合には、成形時におけ
る樹脂の熱分解によるスチレン単量体生成を抑制する効
果が不十分となり、成形品の残留スチレン単量体レベル
を低く抑えることが極めて難しくなるため、色調が良好
な成形品を得ることができず好ましくない。一方、上記
3−アリールベンゾフラノンを0.5重量%より多く添
加しても、添加量に見合うだけの効果が得られない。
ば、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(2,4−ジ
メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、
5,7−ジ−tert−ブチル−3−(2,5−ジメチ
ルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7
−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェ
ニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等を挙げること
ができる。これらの中でも、好ましくは5,7−ジ−t
ert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−
3H−ベンゾフラン−2−オンである。
量体の残存量は、100ppm以下、好ましくは95p
pm以下である。ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレ
ンで、開口部幅95mm、奥行55mm、深さ96m
m、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成し、この
容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間後にこの
温湯の臭気を確認したところ、芳香族モノビニル系単量
体の残存量が100ppm以下では、臭気の問題が大幅
に改善され、また成形品の色調も大幅に改善される。一
方、芳香族モノビニル系単量体の残存量が100ppm
を超えると、前記3−アリールベンゾフラノンを所定量
添加しても、成形品の色調が悪いものとなり、目的を達
成することができない。また、本発明においては、芳香
族モノビニル系単量体の二量体及び三量体の残存量を合
計で0.4重量%以下とすることが好ましく、より好ま
しくは0.35重量%以下である。0.4重量%以下で
は、射出成形の場合、成形品へのオイル付着が大幅に改
善され、成形性が非常に良好となる。この場合、前記と
同様に、芳香族モノビニル系単量体を100ppm以下
にすることにより、色調が良好で、臭気の少ない、成形
性に非常に優れる成形品が得られる。
スチレンを用いた場合、上記射出成形で付着したオイル
を調べたところ、二量体としては、1,3−ジフェニル
プロパン、2,4−ジフェニルー1ブテン、1,2−ジ
フェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、三量
体としては、2,4,6−トリフェニルー1−ヘキセ
ン,1−フェニルー4−(1’−フェニルエチル)テト
ラリン等が含まれていた。本発明の方法で得られた芳香
族モノビニル系樹脂には、所望に応じて、通常用いられ
ている添加剤、例えば滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、離型剤、可塑剤、染料、顔料、各種充填剤などを添
加することができる。また、他の樹脂、例えば一般のポ
リスチレン、スチレン−ブタジエン共重合エラストマ
ー、部分的にまたは完全に水素添加されたスチレン−ブ
タジエン共重合エラストマー、ポリフェニレンエーテル
などを配合することもできる。
より、詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定
される訳ではない。 [製造例1]5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチ
ルフェニル)―3H−ベンゾフラン−2−オンの製造 1,2−ジクロロエタン300ml中に、2,4―ジ−
tert−ブチルフェノール(97%)212.5g
(1.00モル)、50%水性グリオキシル酸163.
0g(1.10モル)、p−トルエンスルホン酸1水和
物0.5g(2.6ミリモル)の混合物を加え、窒素下
において3.5時間、水分離器上で還流した。得られた
反応混合物を濃縮し、残留分をヘキサン800ml中に
取り、3回水洗した。水層をヘキサン300mlで更に
抽出し、有機層と合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した
後濃縮すると、粘調性化合物が260g得られた。
え、Fulcat 22B[Laporte Adso
rbents社製、登録商標、シート状シリケート]を
40g添加して、1.5時間、水分離器上で還流した。
次いで、Fulcat 22Bをろ過により除き、過剰
のo−キシレンを留去した。メタノール400mlから
残留分を結晶化し、175.5gの5,7−ジ−ter
t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H
−ベンゾフラン−2−オンを得た。
ルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンの製造 1,2−ジクロロエタン300ml中に、2,4−ジ−
tert−ブチルフェノール(97%)212.5g
(1.00モル)、50%水性グリオキシル酸163.
0g(1.10モル)、p−トルエンスルホン酸1水和
物0.5g(2.6ミリモル)の混合物を加え、窒素下
において3.5時間、水分離器上で還流した。反応混合
物を濃縮し、残留分をヘキサン800ml中に取り、3
回水洗した。水層をヘキサン300mlで更に抽出し、
有機層と合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した後濃縮す
ると、粘調性化合物が262g得られた。
え、Fulcat 22B[Laporte Adso
rbents社製、登録商標、シート状シリケート]を
40g添加して1.5時間、水分離器上還流した。次い
で、Fulcat 22Bをろ過により除き、過剰のm
−キシレンを留去した。メタノール400mlから残留
分を結晶化し、242gの5,7−ジ−tert−ブチ
ル−3−(2,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾ
フラン−2−オンが得られた。
物及び成形品の分析方法は、下記の通りである。 (1)重量平均分子量の測定 試料調製 :テトラヒドロフランに樹脂組成物約1000ppmを溶解 測定条件 機器 :昭和電工 Shodex21 (ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー) カラム :サンプル:KF−806L 2本 リファレンス:KF−800RL 2本 温度 :40℃ キャリア :THF 1ml/min 検出器 :RI 、UV:254nm 検量線 :東ソー製の単分散PS使用 データ処理 :Sic―480
及び三量体の測定 (3)と同じ方法 成形品の色調、成形品の臭気、金型へのオイル付着状況
と、3−アリールベンゾフラノンの添加量、スチレン単
量体、その二量体及び三量体の量との関係について、下
記、実施例1〜10、比較例1〜8の結果を表1に示
す。
ける樹脂組成物の評価方法は、下記の通りである。 (1)臭気判定方法 樹脂組成物から、開口部幅95mm、奥行55mm、深
さ96mm、厚み2mmの直方体容器を射出成形で作成
し、この容器に90℃の温湯200mlを入れ、3分間
後にこの温湯の臭気を判定した。 (2)成形品の色調の判定方法 (1)の臭気判定に用いた成形品を目視で判定した。 (3)金型へのオイル付着状況の確認方法 150×50×2.5mmの短冊型の金型を使用して、
充填3.0秒で射出成形時にショートショットさせた。
70ショット終了後、15分間射出成形を停止し、金型
を冷却して、成形体先端部に相当する金型面を観察し、
オイルの付着状況を確認した。以後、70ショット毎
に、同様にして金型へのオイル付着状況を確認しつつ、
980ショットまで成形を繰り返し、金型にオイルが付
着し始めたショット数を求めた。
ルベンゼン10重量部に、0.05重量部の重合開始剤
(1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン)を溶解し、0.5リット
ル/時の速度で、それぞれの容量が1リットルの第1反
応器、第2反応器、第3反応器からなる重合装置に連続
的に順次供給した。かかる重合工程が終了した直後、す
なわち、第3反応器の出口において、エチルベンゼンに
溶解した5,7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4
−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン
を、第3反応器により得られた樹脂(重量平均分子量=
26万)に対して0.15重量%になるように添加し
た。次いで、第3反応器の後に設けられた完全混合型ミ
キサー(容量150ミリリットル)で、樹脂と5,7−
ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンとを均一に混ぜた
あと、単軸押出機を直列に2台連結した脱揮装置に移行
させ、かかる脱揮工程において揮発分を順次除去し、ペ
レット化した。
第1反応器は重合温度105〜110℃,攪拌機回転数
150rpm、第2反応器は重合温度115〜125
℃、攪拌機回転数50rpm、第3反応器は重合温度1
30〜150℃、攪拌機回転数20rpmとした。各反
応器出口の重合率は、第1反応器出口では35%、第2
反応器出口では65%、第3反応器出口では90%であ
った。また、脱揮工程における、前段の単軸押出機は温
度190〜200℃、真空度30torr、後段の単軸
押出機は温度220〜240℃、真空度5torrとし
た。
射出成形品を以下の異なる2つの条件で作製した。一つ
目の条件としては、通常の連続成形で成形品を採取した
(滞留なし品)。他の条件としては、成形を一度止め、
シリンダー内に樹脂を30分間滞留させた後、成形を再
開、最初の2ショットを捨て、滞留した樹脂の3ショッ
ト目を成形品として採取した(滞留30分品)。射出成
形機の各ゾーンの成形温度はそれぞれ250℃、250
℃、230℃、210℃とした。さらには射出成形した
ときの金型へのオイル付着状況を確認した。スチレン単
量体の残存量、その二量体及び三量体の残存量の合計、
臭気判定結果、並びに目視判定による成形品の色調およ
び金型へのオイル付着状況を、表1に示す。
ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンの添加量を0.0
5重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてペレ
ット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果
を表1に示す。 [実施例3]実施例1において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−2−オンの添加量を0.02重量%とし
たこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形
品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示
す。
ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを、脱揮工程にお
ける単軸押出機の前段の押出機と後段の押出機との間の
位置に添加し、添加量を0.05重量%としたこと以外
は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製
し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。 [実施例5]実施例1において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−2−オンの代わりに、製造例2で得られ
た5,7−ジ−tert−ブチル−3−(2,4−ジメ
チルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを添加
し、添加量を0.05重量%としたこと以外は、実施例
1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の
評価を行った。結果を表1に示す。
90重量部の代わりに、スチレン85重量部及びポリブ
タジエン(ジエン35:旭化成製)5重量部を用いた以
外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製
し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。 [実施例7]実施例6において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−2−オンの添加量を0.02重量%とし
たこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形
品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示
す。 [実施例8]実施例1において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−1−オンの添加量を0.01重量%とし
たこと以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形
品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示
す。
きオートクレーブ中に脱水したシクロヘキサン60k
g、脱水したスチレン10kgを仕込み、反応初期温度
50℃でn−ブチルリチウム6gを含有する30重量%
のシクロヘキサン溶液を添加し、激しく攪拌しながら重
合反応を実施した。5分後、反応器内温は85℃に上昇
した。20分間反応させ、ガスクロマトグラフィーによ
り重合率を測定したところ99.8%であった。次い
で、反応器中の重合溶液に、メタノールを1kg加え、
30分間攪拌後、得られた樹脂に対し、5,7−ジ−t
ert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−
3H−ベンゾフラン−2−オンを0.01重量%添加し
て(押出機入口)、20mm単軸押出機で、押出機温度
210〜230℃、真空度15torrで脱揮、ペレッ
ト化した。このペレットを用いた成形品の作製、成形品
の評価は、実施例1と同様にして行なった。結果を表1
に示す。
積8.6リットル、ブレード径100mm、シリンダー
有効長1000mm、パドル数44組、シリンダー内壁
とパドルとのクリアランス1mm)の反応器を使用し
て、内部温度を80℃に制御し、また回転数を200r
pmとした。この反応器にスチレンを1リットル/時の
割合で供給するとともに、触媒としてメチルアルミノキ
サンを75ミリモル/時、ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタニウムトリメトキシドを0.15ミリモル/
時の割合で供給しながら5時間連続重合を実施した。反
応器出口から出てくる粉体を1重量%の水酸化ナトリウ
ムを溶解したメタノールに浸漬し、洗浄した後、得られ
た樹脂に対し、5,7−ジ−tert−ブチル−3−
(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−
2−オンを0.01重量%添加して(押出機入口)、1
80℃、10torr、1時間、乾燥機で乾燥した。添
加剤混合前の樹脂は、13C−NMRによる重合体のラ
セミペンタッドでのシンジオタクシティーは97%であ
った。
温度270〜290℃、真空度20torrで脱揮、ペ
レット化した。このペレットを用いて、臭気判定用の射
出成形品を2つの異なる条件で作製した。一つ目の条件
としては、通常の連続成形で成形品を採取した(滞留な
し)。他の条件としては、成形を一度止め、シリンダー
内に樹脂を30分間滞留させた後、成形を再開、最初の
2ショットを捨て、滞留した樹脂の3ショット目を成形
品として採取した(滞留30分品)。射出成形機の各ゾ
ーンの成形温度はそれぞれ290℃、290℃、280
℃、270℃とした。さらに、射出成形したときの金型
へのオイル付着状況を確認した。スチレン単量体の残存
量、臭気判定結果および目視判定による成形品の色調お
よび金型へのオイル付着状況を表1に示す。
ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを添加しなかった
以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品を作
製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。 [比較例2]実施例1において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−2−オンの添加量を0.005重量%と
した以外は、実施例1と同様にしてペレット及び成形品
を作製し、物性等の評価を行った。結果を表1に示す。
ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンの代わりに、スミ
ライザーGS〔住友化学社製、登録商標、フェノール系
熱劣化防止剤、化学名:2-[1-(2-Hydroxy-3,5-di-tert-p
entylphenyl)ethyl]-4,6-di-tert-pentylphenyl acryla
te〕を添加し、添加量を0.05重量%した以外は、実
施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性
等の評価を行った。結果を表1に示す。 [比較例4]実施例1において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−2−オンの代わりに、スミライザーGS
〔住友化学社製、登録商標、フェノール系熱劣化防止
剤〕を添加し、添加量を0.3重量%とした以外は、実
施例1と同様にしてペレット及び成形品を作製し、物性
等の評価を行った。結果を表1に示す。
ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニ
ル)−3H−ベンゾフラン−2−オンの添加量を0.0
05重量%とし、また、5,7−ジ−tert−ブチル
−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフ
ラン−2−オンを脱揮工程における単軸押出機の前段の
押出機と後段の押出機との間の位置に添加し、更に、樹
脂に対して水を1重量%添加した以外は、実施例1と同
様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を
行った。結果を表1に示す。 [比較例6]実施例2において、後段の単軸押出機の真
空度を20torrとした以外は、実施例2と同様にし
てペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行っ
た。結果を表1に示す。
時の真空度を30torrにした以外は、実施例9と同
様にしてペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を
行った。結果を表1に示す。 [比較例8]実施例10において、樹脂乾燥時の真空度
を28torrにした以外は、実施例10と同様にして
ペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。
結果を表1に示す。
―アリールベンゾフラノンを所定量添加して、スチレン
単量体の残存量を100ppm以下にすることにより、
色調が非常に優れた成形品が得られることが分かる。な
お、前記熱劣化防止剤を所定量添加しても、スチレン単
量体の残存量が多いと、得られる成形品の色調は非常に
悪いものとなる。また、本発明の樹脂組成物において
は、成形機での滞留試験の結果においても、スチレン単
量体及びその二量体や三量体の増加も少なく、成形品の
色調も変わらず、非常に熱安定性に優れるものであっ
た。さらに、本発明の樹脂組成物においては、二量体と
三量体の合計量が0.4重量%以下であり、金型へのオ
イル付着も少なく、成形性も非常に良好なものであっ
た。
ーザーGS)を用いた場合は、得られる成形品の色調が
非常に悪い。さらに、添加量を本発明の3−アリールベ
ンゾフラノンと同一量にしても、スチレン単量体及びそ
の二量体や三量体の低減効果は、本発明の3−アリール
ベンゾフラノンに比べて低いということが分かる。ま
た、熱劣化防止剤の添加方法と残留スチレン単量体、そ
の二量体及び三量体の濃度の関係について、上記実施例
1〜10及び比較例1〜2、並びに以下に示す実施例1
1〜13及び比較例9を比較した結果を表2に示す。
応器出口の後に設けられた混合装置を取り除いたこと以
外は、実施例2と同様にしてペレット及び成形品を作製
し、物性等の評価を行った。結果を表2に示す。 [実施例12]実施例2において、5,7−ジ−ter
t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H
−ベンゾフラン−2−オンの添加位置を、第3反応器の
出口から第3反応器の上から2/3位置に変更した。添
加位置において、重合温度は150℃、重合率は81%
であった。添加剤の注入量は実施例2と同じになるよう
に調整した。これ以外は実施例2と同様にしてペレット
及び成形品を作製し、物性等の評価を行った。結果を表
2に示す。
7−ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフ
ェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンの添加位置の
重合温度を160℃に変更した。添加位置の重合率は8
6%であった。添加剤の注入量は、実施例12と同じに
なるように調整した。これ以外は実施例12と同様にし
てペレット及び成形品を作製し、物性等の評価を行っ
た。結果を表2に示す。 [比較例9]実施例2において、5,7−ジ−tert
−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−
ベンゾフラン−2−オンを重合原料(第一反応器入口)
に添加した以外は、実施例2と同様にして行なった。結
果を表2に示す。
重合工程直後(脱揮工程前)であるい第3反応器出口、
あるいは脱揮工程における前段の単軸押出機と後段の単
軸押出機との間の位置において、本発明の3−アリール
ベンゾフラノンを所定量添加することにより、スチレン
単量体の残存量、及びスチレン単量体の二量体及び三量
体の合計残存量を著しく低減させることができることが
わかる。また、上記熱劣化防止剤を添加した後、重合工
程で得られた重合溶液と熱劣化防止剤とを混合装置を用
いて均一に混合することで、上記低分子量成分をより低
減させることができる。さらに、重合工程において熱劣
化防止剤を添加する場合、より重合率の高いところで、
かつ重合温度の低いところで熱劣化防止剤を添加するこ
とにより、上記低分子量成分をより低減させることがで
きる。
方法によれば、成形性及び成形時の熱安定性に優れ、色
調が良好で且つ臭気の少なく、成形性に優れた、成形品
とすることができる。また、本発明の製造方法で得られ
る樹脂は、押出シート(発泡、非発泡)、射出成形、ブ
ロー成形等による成形品として好適に用いられ、直接食
品等に接触するような包装材料、容器等に特に好適な成
形品が得られる。更に、本発明の芳香族モノビニル系樹
脂は、玩具、雑貨、日用品、電気製品部品や各種工業部
品等の用途にも幅広く使用可能であり、産業界に果たす
役割は大きい。
Claims (6)
- 【請求項1】 芳香族モノビニル系単量体を重合工程に
て重合し、次いで脱揮工程にて重合反応後の反応物から
未反応物及び/又は溶剤を除去して、芳香族モノビニル
系樹脂を製造するにあたり、下記一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 は置換若しくは未置換の炭素環式芳香族
基、又は置換若しくは未置換の複素環式芳香族基を表
し、R2 、R3 、R4 及びR5 は、それぞれ独立して水
素原子又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示
す。〕で表わされる3−アリールベンゾフラノンを、最
終反応器出口の樹脂に対しその量が0.006〜0.5
重量%となるように、重合工程あるいは脱揮工程におい
て、また重合工程後、脱揮工程前において添加すること
を特徴とする芳香族モノビニル系樹脂の製造方法。 - 【請求項2】 脱揮工程において、芳香族モノビニル系
単量体の残存量が100ppm以下となるまで脱揮する
ことを特徴とする請求項1記載の芳香族モノビニル系樹
脂の製造方法。 - 【請求項3】 重合工程で重合開始剤を用いて重合する
とともに、脱揮工程において、芳香族モノビニル系単量
体の二量体及び三量体の残存量が合計で0.4重量%以
下となるまで脱揮することを特徴とする請求項1又は2
記載の芳香族モノビニル系樹脂の製造方法。 - 【請求項4】 3−アリールベンゾフラノンを重合溶液
に添加した後、両者を均一に混合することを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族モノビニル系樹
脂の製造方法。 - 【請求項5】 3−アリールベンゾフラノンを重合工程
に添加することにおいて、芳香族モノビニル系単量体の
重合率が50%以上、及び添加位置の温度が160℃以
下で添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか
に記載の芳香族モノビニル系樹脂の製造方法。 - 【請求項6】 重合工程において、重合開始剤を用いた
ラジカル重合法、アニオン重合法、あるいはイオン重合
法により芳香族モノビニル系単量体を重合することを特
徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族モノビ
ニル系樹脂の製造方法。
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JP2003231784A (ja) * | 2002-02-08 | 2003-08-19 | Ps Japan Corp | 芳香族モノビニル系樹脂シート及びそのシート用樹脂の製造方法 |
JP2007326964A (ja) * | 2006-06-08 | 2007-12-20 | Toyo Styrene Co Ltd | 芳香族ビニル化合物系樹脂組成物及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-08-06 JP JP2001237810A patent/JP3565804B2/ja not_active Expired - Fee Related
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