JP2002121199A - 新規ペプチドおよびその製造方法 - Google Patents

新規ペプチドおよびその製造方法

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JP2002121199A
JP2002121199A JP2000313049A JP2000313049A JP2002121199A JP 2002121199 A JP2002121199 A JP 2002121199A JP 2000313049 A JP2000313049 A JP 2000313049A JP 2000313049 A JP2000313049 A JP 2000313049A JP 2002121199 A JP2002121199 A JP 2002121199A
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protein
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val
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Hitoshi Hario
仁 針生
Masatomo Asukai
雅倫 飛鳥井
Yoshiaki Akaha
義章 赤羽
Terubumi Ito
光史 伊藤
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SHIMAYA CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性や呈味性の点で問題がなく、且つ経済
性をも満足することができ、食品として常時摂取するこ
とができ、しかも高血圧の予防乃至治療のためのACE
活性阻害剤として有効に作用する有用な新規なペプチ
ド、およびこうしたペプチドを製造する為の有用な方法
を提供する。 【解決手段】 本発明の新規ペプチドは、(1)Val
−Glu−Met、(2)Val−G1u−A1a、
(3)Ala−Leu−Trpのいずれかのペプチド鎖
を有するものであり、このペプチドは上記のペプチド鎖
をペプチド構成成分として有する蛋白含有物質中の蛋白
質に、エンド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダーゼを
組合わせて作用させ、前記蛋白質を加水分解することに
よって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンギオテンシン
変換酵素に対して阻害剤として作用する新規ペプチド、
およびこの様なペプチドを製造する為の有用な方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】アンギオテンシン変換酵素(以下、「A
CE」と略記する)は、肺血管内皮細胞膜、腎尿細管や
小腸の刷子縁膜に豊富に存在する他、生体内に広く分布
しており、血圧降下に影響を及ぼす重要な酵素として知
られている。即ち、この酵素は、アンギオテンシンI(A
sp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-His-Leu)を、強力な
昇圧(血圧上昇)ペプチドであるアンギオテンシンIIに
変換する作用を有するとともに、降圧(血圧降下)ペプ
チドであるブラジキニンを不活性化する作用を有し、こ
れによって血圧を上昇させるものである。従って、AC
Eの酵素活性を阻害する物質(以下、「ACE活性阻害
剤」と呼ぶ)は、血圧上昇を抑制するものと考えられ
る。
【0003】ところで、急速に進む高齢化社会の中で、
循環器系の疾患の予防が急務とされ、高血圧症はその引
き金となることから、高血圧症の予防乃至治療のため
に、上記ACE活性阻害剤の研究開発が要望されてい
る。特に、高血圧症は、食塩摂取量の多い日本人にとっ
て最も罹患率の高い疾患の一つであり、その予防乃至治
療のために有効なACE活性阻害剤の開発が切望されて
いる。
【0004】ACE活性阻害剤としては、例えばカプト
プリル等の合成物質が知られており、既に医薬品として
実用化されている。またACE活性阻害剤の新しい合成
研究も盛んに進められている。しかしながら、こうした
合成物質では、毒性や安全性の点で不明な点も多く、こ
うした問題が生じないことが予想される天然物由来のA
CE活性阻害剤の開発も検討されている。
【0005】上記の様な天然物由来のACE活性阻害剤
としては、蛇毒ペプチドが知られているが、ACEに対
する阻害作用が弱く実用的ではないという問題がある。
こうしたことから、各種の天然物(特に天然蛋白質)を
原料とした有効成分の検索が様々行なわれている。
【0006】こうした技術として、例えば特開平6−1
191号や特開昭60−23086号等には、牛乳や牛
等のカゼイン由来のペプチドがACE活性阻害剤として
開示されており、特開平4−282400号には、乳清
タンパク質由来のペプチドがACE活性阻害剤として開
示されている。また、特開平5−112465号や特公
平7−116233号には、鰹節や鰯由来のペプチドが
ACE活性阻害剤として開示されており、特公平7−1
19234号には、オキアミ由来のペプチドがACE活
性阻害剤として開示されている。更に、特公平7−11
9234号には、鮪や鯖由来のペプチドがACE活性阻
害剤として開示されている。とりわけ魚肉は日本人に馴
染み深いものであるが、こうした魚肉を原料としたペプ
チドでは呈味面での問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした状況
の下でなされたものであって、その目的は、安全性や呈
味性の点で問題がなく、且つ経済性をも満足することが
でき、食品として常時摂取することができ、しかも高血
圧の予防乃至治療のためのACE活性阻害剤として有効
に作用する有用な新規なペプチド、およびこうしたペプ
チドを製造する為の有用な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のペプチドとは、下記(1)〜(3)のいずれかの
アミノ酸配列を有するものである。 (1)Val−Glu−Met (2)Val−G1u−A1a (3)Ala−Leu−Trp
【0009】尚、上記において、Valはバリン、Gl
uはグルタミン酸、Metはメチオニン、A1aはアラ
ニン、Leuはロイシン、Trpはトリプトファンを夫
々意味し、これらのアミノ酸はいずれも立体構造がL体
である。
【0010】上記の様なペプチドを製造するに当たって
は、上記(1)〜(3)のいずれかのペプチド鎖をペプ
チド構成として有する蛋白含有物質中の蛋白質に、エン
ド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダーゼを組合わせて
作用させ、前記蛋白質を加水分解する様にすれば良い。
【0011】また、上記本発明の製造方法において、原
料として用いる蛋白含有物質としては、(a)魚肉、
(b)鰹節、(c)鰹煮汁等が挙げられる。
【0012】更に、本発明のペプチドは、安全性や呈味
性の点で問題がなく、食品として常時摂取することがで
きるので、こうしたペプチドを含有させた食品として有
用に使用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、多種の天然資源に
ついてこれを素材とし、ACE活性阻害剤となり得るペ
プチドの開発について様々な角度から検討した。その結
果、日本人に馴染み深い魚肉、特に鰹節や鰹煮汁を或る
種の酵素を組み合わせて加水分解すれば、上記目的に適
う優れたACE活性阻害を有する新規なペプチドを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0014】本発明に係る新規ペプチドは、そのアミノ
酸配列に基づいて、各アミノ酸を順次ペプチド結合反応
させたり、適当な複数のフラグメントを合成後、これら
を結合させる慣用的な化学合成法(液相法や固相法)に
よっても製造できるが、より好ましくは、これらのペプ
チド鎖をペプチド構成として有する蛋白質原料(蛋白含
有物質)をエンド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダー
ゼを組み合わせて作用させ、含有する蛋白質を加水分解
する方法(酵素処理法)によって製造するのが良い。
【0015】上記の様な酵素処理法において、原料とし
て用いる蛋白含有物質は、魚肉が代表的なものとして挙
げられるが、これに限らず本発明のアミノ酸配列(ペプ
チド鎖)をペプチド構成として有するものであれば、有
効に利用することができる。また、魚肉の中でも特に鰹
節(宗田鰹節も含む)は風味や呈味性の面で好ましい蛋
白質含有物質である。更に、鰹を缶詰や鰹節等に加工す
るときの加熱殺菌時に生じる煮汁(即ち、鰹煮汁)も安
価な蛋白質含有物質として有用である。
【0016】次に、本発明のペプチドを酵素処理法によ
って製造する手順について説明する。原料としての蛋白
含有物質は、使用目的により加工処理された後各種固液
分離法により固形部分と液部分とに分画される。例え
ば、だし原料である鰹節の場合には、熱水抽出後、各種
の固液分離法により抽出液画分と不溶性の残渣画分に分
別される。或は、鰹節の香気成分の抽出に行われるアル
コール抽出後、各種の固液分離法により香気成分を含む
アルコール抽出画分と残渣画分に分別される。一方、か
つお煮汁を用いる場合には、目的に応じて、精製・濃縮
されるが、各段階で水溶性画分と非水溶性画分とに分別
される。
【0017】本発明方法では、上記の様にして得られた
残渣画分若しくは非水溶性画分(以下、残渣画分で代表
する)に、エンド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダー
ゼを組み合わせて作用させ、残渣画分中に含まれる蛋白
質を加水分解することによって、本発明ペプチドを豊富
に生成させることができる。但し、本発明方法では上記
手順に限らず、蛋白含有物質に対して固液分離を行なわ
ずにエンド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダーゼを組
み合わせて作用させ、本発明ペプチドを生成させた後固
液分離を行ない、その後不溶性残渣を除去する様にして
も良い。
【0018】蛋白含有物質から分別された残渣画分は、
必要に応じて水を加えた後、HC1等の酸やNaOH等
のアルカリによってpHを該酵素の至適範囲内に調整さ
れ、最初にエンド型プロテアーゼを加え、0.25〜4
時間後、好ましくは、0.4〜1.5時間程度反応させ
る。その後、必要に応じて酸またはアルカリによってp
Hを次に添加するエキソ型ペプチダーゼの至適範囲内に
調整し、エキソ型プロテアーゼを加え、酵素反応を2〜
72時間、好ましくは3〜24時間行なう。このときの
反応温度は、該酵素の至適温度の範囲で実施する。酵素
反応終了後、90℃で0.5〜15分程度加熱すること
により酵素を失活させる。
【0019】ところで、各種の固液分離操作によって溶
液部分を得ることができるが、これらの溶液部分は単独
でまたは最初の抽出液画分と混合して、本発明のペプチ
ドを豊富に含む原料溶液として利用できる。一方、同様
に、蛋白含有物質に対して固液分離を行なわずに、エン
ド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダーゼを作用させて
から酵素を失活し、その後固液分離を行なって残渣を除
去し、得られた溶液部分画分も本発明のペプチドを豊宮
に含むので、有効に利用することができる。このとき生
成した残渣画分は更に蛋白質分解酵素を加えて加水分解
を行ない、固液分離した後その溶液部分を利用すること
もできる。また同様の操作を繰り返すこともできる。
【0020】本発明で使用するエンド型プロテアーゼと
しては、例えばアルカラーゼ(商品名:ノボノルディス
クバイオインダストリー社製)を初め、Neutrase(商品
名:ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、各
種オリエンターゼ(商品名:阪急共栄物産製)、ヌクレ
イシン(商品名:阪急共栄物産製)、ニューラーゼF、
プロテアーゼS「アマノ」、プロテアーゼN「アマ
ノ」、プロレザーFG−F、パパインW−40(商品
名:いずれも天野製薬製)、プロチンA(商品名:大和
化成製)等が挙げられる。このエンド型プロテアーゼ
は、蛋白質内部のペプチド結合に作用し、これを断片化
する酵素であり、こうした酵素をまず作用させることに
よって、蛋白質の堅固で長鎖のアミノ酸配列が柔軟でよ
り短鎖なアミノ酸配列に変わり、次段階の酵素反応を容
易にするものである。
【0021】一方、本発明で使用するエキソ型ペプチダ
ーゼとしては、例えばウマミザイム、プロテアーゼM
「アマノ」、ペプチダーゼR(商品名:いずれも天野製
薬製)、プロチンA(大和化成製)等が挙げられる。こ
のエキソ型ペプチダーゼは、ペプチドのN末端またはC
末端に作用し、末端アミノ酸若しくはペプチドを逐次遊
離する酵素であり、こうした酵素を作用させることによ
って、多数の低分子量のペプチドが生成し旨味と溶解成
分量を増大することになる。即ち、エンドプロテアーゼ
とエキソペプチダーゼの適切な組合せを反応条件として
選択することによって、苦味が少なく旨味の多い呈味性
に優れた酵素分解物を得ることができるのである。
【0022】尚、フレーバーザイム(ノボノルディスク
バイオインダストリー社製)、プロテアーゼA「アマ
ノ」G、プロテアーゼP「アマノ」(商品名:いずれも
天野製薬製)等のように、エンド型プロテアーゼとエキ
ソ型ペプチダーゼの混在した複合型蛋白質分解酵素は、
単独でもまた必要に応じてエンド型プロテアーゼまたは
エキソ型ペプチダーゼを更に加えて、使用することがで
きる。
【0023】上記の様な酵素によって処理して得られる
溶液は、本発明のペプチドを豊富に含んだものとなり、
このペプチドは優れたACE活性阻害を有するため、そ
のままでACE活性阻害剤として利用することもでき
る。上記溶液より常法に従って、遠心分離、抽出、濃
縮、乾固、限外濾過、塩析、エチルアルコール沈殿、各
種クロマトグラフィー操作(イオン交換、ゲル濾過、逆
相、順相、アフィニティ等)等を行うことにより、単離
精製することができ、この精製された形態でACE活性
阻害剤として利用することもできる。
【0024】上記の如くして得られる本発明のペプチド
は、(1)Val−Glu−Met、(2)Va1−G
1u−Ala、(3)A1a−Leu−Trp(但し、
Val:バリン、G1u:グルタミン酸、Met:メチ
オニン、Ala:アラニン、Leu:ロイシン、Tr
p:トリプトファンを夫々示す)で表されるアミノ酸配
列を有する新規なペプチドであり、そのアミノ酸配列に
基いて、特有のACE活性阻害を有している。
【0025】ACE活性阻害特性は、例えばCushmanの
方法〔D.W.Cushman,H.S.Cheung,Biochemical,Pharmac
ology,20,1637,(1971)〕を改良した斉藤らの方法[斎藤
義幸、今安聰,日本農芸化学会誌,Vol.66,No.7,1081,
(1992)]に従って求められる。即ち、前記ペプチドを含
む試料60μlと、0.1U/mlのACE溶液(シグ
マ社製)30μIを、予め37℃で3分間インキュベー
トし、これに基質として0.1Mホウ酸緩衝液(0.3
MNaClを含む、pH8.3の溶液)を用いて6.5
mMに調整したHip−His−Leu(シグマ社製)
300μlを添加して反応を開始させ、37℃で60分
間反応後、反応物中に1N−HC1:250μlを加え
て反応を停止させる。次いで、酢酸エチル1.5mlを
加えて15秒間攪拌する。更に、3000回転で10分
間遠心して酢酸エチル層1.0mlを採取し、蒸発乾固
後、1M−NaC1水溶液3.0mlを加え、抽出され
たヒプリル酸の228nmにおける吸光度を測定し、こ
れをACE活性阻害特性とした。このとき、盲検として
は、ACE溶液を加える前に、1N−HC1を加え同様
に処理したものを用いた。また、ACE活性阻害率を下
記式より算出した。 ACE活性阻害率(%)=〔(A−B)/(A−C)]
×100(%) A:試料の代わりに蒸留水を添加した場合の228nm
の吸光度 B:試料を添加した場合の228nmの吸光度 C:反応開始前に予め1N−HC1を添加した場合の2
28nm吸光度
【0026】またペプチド量の測定は、Lowryらの方法
[O.H.Lowry,N.J.Rosenbrough,A.L.Randall,Journal of
Biological Chemistry,193,265,(1951)]に従って行な
った。検量線は、牛血清γグロブリン(和光純薬工業社
製)を用い作成した。ACE活性阻害率は、「IC5
0」を用いて表すものとし、このIC50の値は、上記
測定法において、ACEの酵素活性を50%阻害するに
必要な試料の濃度を示している。
【0027】本発明のペプチドは、安全性や呈味性の点
で問題がなく、食品として常時摂取することができるの
で、こうしたペプチドを含有させた食品形態として使用
できるものであるが、こうしたペプチドを有効成分とし
て含有する医薬製剤としても有効に使用できるものであ
る。
【0028】医薬製剤の形態で本発明のペプチドを使用
する場合には、通常、適当な製剤担体を用いて、常法に
従い適宜の医薬製剤組成物の形態に調製されて実用化で
きる。この製剤担体としては、製剤の使用形態に応じ
て、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、
崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤や、賦形剤を例
示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて
適宜選択使用できる。
【0029】医薬製剤の投与形態は、各種の形態が治療
目的に応じて選択でき、その代表なものとしては錠剤、
丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル
剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤担体として
例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、
デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロー
ス、ケイ素、リン酸カリウム等の賦形剤、水、エチルア
ルコール、プロピルアルコ−ル、単シロップ、ブドウ糖
液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロー
スカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロー
ス、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン
末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウ
ム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノ
グリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオ
バター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウ
ム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリ
セリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリ
ン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製
タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリ
コール等の滑沢剤等を使用できる。錠剤には、必要に応
じて通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン
被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二
重錠、多層錠とすることができる。
【0030】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴ
ム末、トラガント末、ゼラチン、エチルアルコール等の
結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用でき
る。坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として
例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコ
ール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成
グリセライド等を使用できる。カプセル剤は、常法に従
い通常本発明の有効成分化合物を上記で例示した各種の
製剤担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチ
ンカプセル等に充填して調整される。また、必要に応じ
て着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬
品を含有させることもできる。
【0031】医薬製剤の形態が液剤、乳剤、懸濁剤等の
注射剤として調製される場合には、これらは殺菌され且
つ血液と等張であるのが好ましく、その一形態に調製す
るに際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコー
ル、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化
イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリ
ルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル類等を使用できる。尚、この場合等張性の溶液を
調整するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリ
ンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補
助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0032】医薬製剤の形態で本発明のペプチドを使用
する場合に、該薬剤中に含有されるべき有効成分(ペプ
チド)の量は、特に限定されず適宜選択されるが、通常
0.1〜60重量%程度が適当である。
【0033】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、液
剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は経口投与さ
れ、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸等の通常
の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単
独で筋肉内、皮内、皮下若しくは腹腔内投与され、坐剤
は直腸内投与される。
【0034】医薬製剤としての投与量は、その用法、患
者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜選
択されるが、通常有効成分である本発明ペプチドの量
が、1日当り体重1kg当り約0.5〜20mg程度が適
当であり、該製剤は1日に1〜4回に分けて投与するこ
とができる。
【0035】一方、本発明のペプチドを食品形態として
実用化するに当たっては、適当な可食素材を用いて、一
般的方法に従い、例えば固形剤、液剤等の適当な各種食
品形態に賦形することができ、また通常の食品素材や加
工食品中にはその適当量を添加することもできる。その
摂取量は、特に限定されず、前記医薬製剤での投与量を
目安として適宜決定できる。このとき用いる固形剤とし
ては、だし製品、和風調味料、即席味噌汁、和風スー
プ、飲料等が挙げられ、液剤としては、液体だし、めん
つゆ類、液体調味料、和風スープ、液体飲料等が挙げら
れる。また、うどん、そば、スパゲッテイ等の小麦粉を
原料とする素材へ練り込むことや、魚肉等の練製品、各
種焼菓子、カレーを始めとしたレトルト製品等へ適量添
加することもできる。
【0036】医薬製剤および食品形態で本発明のペプチ
ドを使用することによって、そのACE活性阻害作用に
よって、血圧降下、ブラジキニン不活性化抑制等の効果
を発揮するので、本態性高血圧、腎性高血圧、副腎性高
血圧等の各種高血圧の予防乃至治療に有効である。ま
た、本発明のペプチドは、これら疾患の診断や病態の治
療等に用いられる血圧降下剤、狭心症発作の閾値上昇、
心筋梗塞の減少、鬱血性心不全改善剤、糖尿病治療食等
としても利用できる。
【0037】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0038】
【実施例】実施例1 鰹節10gに水90mlを加えて十分ホモジナイスし、
100℃で15分間煮沸後、放置した。その後、NaO
HでpHを8.0に調整した後、ノボノルディスクバイ
オインダストリー社製のエンド型プロテアーゼであるア
ルカラーゼ[フードグレード(商品名)]を35mg添
加し、55℃で0.5時間加水分解を行なった。
【0039】引き続き、ノボノルディスクバイオインダ
ストリー社製のエンド型プロテアーゼとエキソ型ペプチ
ダーゼが混在する複合型酵素であるフレーバーザイム
(商品名)を100mg添加し、55℃で16時間酵素
反応を行なった。その後、90℃で5分間加熱して酵素
を失活させた。
【0040】冷却後遠心分離して不溶性残渣部分を除去
し、溶液部分を濃縮し、高速液体クロマトグラフィー
(イオン交換、ゲル濾過、ph−、CH−、およびOD
S−カラム)によりペプチドを得た。更に、精製・単離
し、単一物質である3つのピークを確認した。単離され
た3つの物質を、気相プロテインシーケンサー(パーキ
ンエルマー社製)を用い自動エドマン分解法を適応して
アミノ酸配列を分析し下記の構造を得た。 配列番号1.Val−Glu−Met 配列番号2.Val−Glu−Ala 配列番号3.Ala−Leu−Trp 配列番号1〜3の各ペプチドにおけるACE活性阻害率
を前記した方法で測定した。得られた3つのペプチドを
別途に化学合成し、その挙動、活性等をODSカラムを
用いて比較検討した。その結果、合成されたペプチドは
上記で得られたペプチドとほぼ同一であることが確認で
きた。その結果を、下記表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】実施例2 鰹煮汁100mlを十分ホモジナイズし、100℃で1
5分間煮沸後放置した。NaOHでpH8.0に調整し
た後、エンド型プロテアーゼであるプロテアーゼS(商
品名:天野製薬製)を10mg加え、45℃で3時間加
水分解した。引き続き、エキソ型ペプチダーゼであるウ
マミザイム(商品名:天野製薬製)を20mg加えて、
50℃で6時間酵素反応を行った。
【0043】90℃で15分問加熱し酵素を失活させた
後、冷却し遠心分離により不溶性残渣部分を除去し溶液
部分を濃縮し、以下実施例1と同様にして3つのペプチ
ドを精製・単離した。得られた3つのペプチドは、上記
の配列番号1〜3のものであることを確認した。
【0044】実施例3 鰹節10gを粉砕した後、水90mlを加え、97℃で
30分間加熱した。冷却後遠心分離して抽出液と残渣部
分とに分離した。残渣部分に水80mlを加えた後、N
aOHを添加することによってpH8.0に調整し、ア
ルカラーゼ(商品名:ノボノルディスクバイオインダス
トリー社製)を30mg添加し、55℃で0.5時間反
応させた。
【0045】引き続き、フレーバーザイム(商品名:ノ
ボノルディスクバイオインダストリー社製)を70mg
添加し、55℃で8時間加水分解した。90℃で5分間
加熱し、酵素を失活させた後、冷却し遠心分離により不
溶性部分を除去し、溶液部分を濃縮後、実施例1と同様
にしてペプチドを精製・単離した。得られた3つのペプ
チドは、上記配列番号1〜3のものであることを確認し
た。
【0046】実施例4 50メッシュ以下に粉砕した鰹節10gに、70%エチ
ルアルコールを60m1加えて12時間放置した。圧搾
濾過によりエチルアルコール抽出液と残渣部分とに分別
した。残渣部分に水80mlを加えた後、NaOH添加
によりpH8.0に調整した後、プロテアーゼS(商品
名:天野製薬製)を60mg加えて50℃で4時間加水
分解した。
【0047】更に、ウマミザイム(商品名:天野製薬
製)を5mg加えて6時間反応を行なった。90℃で1
5分間加熱し、酵素を失活させた後、冷却し遠心分離に
より不溶性部分を除去し、溶液部分を濃縮し、実施例1
と同様にして3つのペプチドを精製・単離した。得られ
た3つのペプチドは、配列番号1〜3であることを確認
した。
【0048】実施例5 実施例3の条件に従い、鰹節1kgを粉砕後9リットル
の水を加え、97℃で30分間加熱した。冷却後遠心分
離し、抽出液(A)と残渣部分(B)に分離した。
【0049】残渣部分(B)に水8リットルを加えた
後、NaOHを添加してpH8.0に調整し、アルカラ
ーゼ(商品名:ノボノルディスクバイオインダストリー
社製)を3g添加し、55℃で0.5時間反応させた。
【0050】引き続き、フレーバーザイム(商品名:ノ
ボノルディスクバイオインダストリー社製)を7g添加
し、55℃で8時間加水分解した。90℃で5分間加熱
し、酵素を失活させた後、冷却し遠心分離により不溶性
部分を除去した。
【0051】得られた酵素抽出液と前記抽出液(A)と
を混合して、蛋白質濃度が3.0%の鰹節抽出液(C)
を15リットル得た。得られた抽出液(C)には、上記
の3つのペプチドが豊富に含まれてることを確認した。
【0052】上記抽出液(C)1リットルを、凍結乾燥
して蛋白質濃度が約85%の粉末品35gを得た。この
凍結乾燥粉末35gに対して、グルタミン酸ナトリウム
粉末105gおよびイノシン酸10gを加えて十分に混
合した。この混合物は、良好な鰹の香りのする澄明で旨
味に富んだだし調味料粉末品であった。
【0053】次に、上記抽出液(C)70mlに対して
醤油200ml、みりん200ml、水1リットルを加
えて十分に攪拌し、弱火で煮、一煮立ちさせめんつゆ液
を調合した。得られためんつゆ液は、香りとだしの良く
効いた美味しいめんつゆであった。
【0054】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、安
全性や呈味性の点で問題がなく、且つ経済性をも満足す
ることができ、食品として常時摂取することができ、し
かも高血圧の予防乃至治療のためのACE活性阻害剤と
して有効に作用する有用な新規なペプチドが得られた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 38/00 A61P 9/12 A61P 9/12 43/00 111 43/00 111 A61K 37/02 (72)発明者 伊藤 光史 福井県小浜市福谷25−13−2 大学福谷公 舎101 Fターム(参考) 4B018 LE05 MD20 MD74 ME04 MF12 4B064 AG21 CA21 CC03 CD21 DA01 4C084 AA02 AA07 BA15 ZA422 ZC172 4H045 AA10 AA20 AA30 BA12 CA52 DA57 EA23 FA16 GA15 GA23 GA25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Val−Glu−Metよりなる新規ペ
    プチド。
  2. 【請求項2】 Val−G1u−A1aよりなる新規ペ
    プチド。
  3. 【請求項3】 Ala−Leu−Trpよりなる新規ペ
    プチド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のペプチ
    ド鎖をペプチド構成成分として有する蛋白含有物質中の
    蛋白質に、エンド型プロテアーゼとエキソ型ペプチダー
    ゼを組合わせて作用させ、前記蛋白質を加水分解するこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の新規ペ
    プチドの製造方法。
  5. 【請求項5】 蛋白含有物質として魚肉を使用する請求
    項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 蛋白含有物質として鰹節を使用する請求
    項4記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 蛋白含有物質として鰹煮汁を使用する請
    求項4記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3にいずれかに記載のペプチ
    ドを含有する食品。
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