JP3373156B2 - 水溶性ポテトペプチドの製造方法 - Google Patents

水溶性ポテトペプチドの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、馬鈴薯でん粉製造
時に副成するポテトプロテインに酵素を反応させて得ら
れる、アンジオテンシン変換酵素(以下「ACE」とい
う)阻害活性を有する新規な水溶性ポテトペプチド混合
物(以下、単に「水溶性ポテトペプチド」という)及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】馬鈴薯でん粉製造時に排出される廃液か
ら回収されたポテトプロテインの利用については、飼料
のタンパク補給に使用されているが、嗜好性がないため
にほとんど利用されていない。したがって、ポテトプロ
テインについてはその大部分が廃水とともに処理されて
廃棄されているのが現状であるといえる。このようなポ
テトプロテインの飼料以外の利用に関する報告としては
次のものが挙げられる。日本醸造協会雑誌、第71巻、
第12号(1976年)、第971〜974頁「ポテト
プロテインの利用に関する研究(第3報)」にはポテト
プロテインを塩酸やタンパク分解酵素コクラーゼSSで
分解して得られるアミノ酸液をみりんの仕込みに用いる
ことが、日本醤油研究雑誌、Vol.2,No.5(1
976)第218〜220頁「ポテトプロテインの利用
に関する研究(第1報)」にはポテトプロテインをブロ
メライン、プロナーゼ東洋(Bacillus起源)、プロナー
ゼAS(放線菌起源)それぞれで分解してアミノ酸液を
製造することが、同Vol.3,No.2(1977)
「ポテトプロテインの利用に関する研究(第2報)」に
はポテトプロテインを原料として製麹することがそれぞ
れ記載されている。
【0003】また、特許第2751161号公報にはポ
テトタンパク質の酵素的加水分解により得られた平均ア
ミノ酸残基数3〜5のペプチドを含むペプチド組成物を
含有する栄養組成物が、特開平7−284369号公報
にはジャガイモ等の植物由来の蛋白質を酵素で加水分解
して得られる分子量200〜4000のペプチドを主成
分とし、遊離アミノ酸含量が全アミノ酸に対して1%以
下である経腸栄養剤として有用なペプチド組成物が、特
開平7−143861号公報にはポテトプロテインを塩
酸で分解する調味用アミノ酸液の製造方法がそれぞれ記
載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ポテト
プロテインやその分解物であるポテトペプチドの利用と
して、飼料添加物や調味液原料や栄養剤とすることは知
られていたが、これらに比べてはるかに付加価値の高い
血圧上昇抑制作用、すなわちACE阻害活性を有するポ
テトペプチドについては知られていなかった。すなわ
ち、本発明の課題は、ポテトプロテインからACE阻害
活性を有する新規な水溶性ペプチドやその製造方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、ポテトプロテイン
をエンド型プロテイナーゼで処理し、次いでエキソ型ペ
プチダーゼで処理することにより得られる水溶性ペプチ
ドが、ACE阻害活性を有することを見出し本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、ポテトプロテインをエ
ンド型プロテイナーゼで処理し、次いでエキソ型ペプチ
ダーゼで処理することを特徴とするACE阻害活性を有
する水溶性ポテトペプチドの製造方法や、エンド型プロ
テイナーゼとしてpH6.0〜12.0に活性を有する
エンド型プロテイナーゼを用いる上記ACE阻害活性を
有する水溶性ポテトペプチドの製造方法や、エキソ型ペ
プチダーゼとしてpH3.0〜8.0に活性を有するエ
キソ型ペプチダーゼを用いる上記ACE阻害活性を有す
る水溶性ポテトペプチドの製造方法や、ポテトプロテイ
ンとして80〜90℃の加熱処理が施こされたポテトプ
ロテイン懸濁液を用いる上記ACE阻害活性を有する水
溶性ポテトペプチドの製造方法や、エキソ型ペプチダー
ゼで処理した後さらにポリフェノール系多孔性弱酸性陽
イオン交換樹脂で精製する上記ACE阻害活性を有する
水溶性ポテトペプチドの製造方法や、ポリフェノール系
多孔性弱酸性陽イオン交換樹脂で精製処理した後さらに
ゲル濾過剤を用いて高ACE阻害活性画分に分画・濃縮
する上記ACE阻害活性を有する水溶性ポテトペプチド
の製造方法や、上記製造方法により製造されたACE阻
害活性を有する水溶性ポテトペプチドに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のポテトペプチドの製造原
料であるポテトプロテインとしては、馬鈴薯でん粉製造
時に副成するポテトプロテインなど、従来公知のポテト
プロテインであればどのようなものでも使用することが
できる。そして、本発明の水溶性ポテトペプチドは、ポ
テトプロテインにエンド型プロテイナーゼとエキソ型ペ
プチダーゼを作用させることによって得ることができ
る。
【0008】本発明の水溶性ポテトペプチドの製造に用
いられるエンド型プロテイナーゼとしては、タンパク質
基質のペプチド鎖の中程から切断する作用を有する酵素
であればどのようなものでもよいが、pH6.0〜1
2.0付近に活性を有するエンド型プロテイナーゼ、特
にアルカリ側に至適pH領域を有するエンド型アルカリ
性プロテイナーゼが好ましい。エンド型プロテイナーゼ
処理に引き続いてエキソ型ペプチダーゼ処理を行う場
合、エンド型アルカリ性プロテイナーゼを用いると、初
期pH値が高い場合であっても反応が進むにつれてpH
値が6.0〜7.0で安定化するので、エンド型酸性プ
ロテイナーゼを用いた場合におけるように、エキソ型ペ
プチダーゼ処理を行うに際してのpH調節の必要がな
い。かかるエンド型アルカリ性プロテイナーゼとして
は、例えば、ノボノルディスクインダストリー株式会社
製の「アルカラーゼ0.6L」、阪急バイオ株式会社製
の「オリエンターゼ22BF」、天野製薬株式会社製の
「プロテアーゼA」や「プロレザー」等を具体的に挙げ
ることができる。また、本発明の水溶性ポテトペプチド
の製造に用いられるエキソ型ペプチダーゼとしては、ペ
プチド鎖の何れかの一端から順次切断していく酵素であ
ればどのようなものでもよいが、pH3.0〜8.0付
近に活性を有するエキソ型ペプチダーゼが好ましく、例
えば、ノボノルディスクインダストリー株式会社製の
「フレーバザイム」、天野製薬株式会社製の「ペプチダ
ーゼ723」や「ペプチダーゼR」や「プロテアーゼ
M」等を具体的に挙げることができる。
【0009】本発明におけるポテトプロテインを原料に
用いた水溶性ペプチドの製造においては、まずポテトペ
プチドの5〜15重量%の水懸濁液にアルカリ剤を加え
てpHを6.0〜12.0、好ましくは7.5〜8.0
に調節する。pHを調節後80〜90℃に加熱すること
が、雑菌の混入防止及びポテトペプチドの変性による酵
素反応促進の面から望ましい。酵素処理は、エンド型プ
ロテイナーゼを40〜60℃、好ましくは50〜55℃
で作用させ、比較的短時間にpHが7付近まで低下した
時点で、エキソ型ペプチダーゼを添加して、これら酵素
を継続的に作用させることにより行われる。エンド型プ
ロテイナーゼのみを用いた場合は、優れたACE阻害活
性を有するペプチドが得られないばかりか、生成したペ
プチドは苦味を有する場合が多く、また高分子のペプチ
ドが混在することから水溶性ペプチドの収率が低下す
る。しかし、本発明においては、エンド型プロテイナー
ゼに引き続いてエキソ型のペプチダーゼを作用させるこ
とから、優れたACE阻害活性を有し、苦味がない水溶
性ペプチドを高収率で得ることができる。
【0010】例えば、アルカリを加えてpH7.5〜
8.0に調節した10重量%のポテトペプチドの水懸濁
液を酵素処理する場合、まず80〜90℃に加熱後液温
を50℃まで冷却し、バチルス属由来のエンド型アルカ
リ性プロテイナーゼ(ノボノルディスクインダストリー
株式会社製「アルカラーゼ0.6L」)をポテトプロテ
イン1kgあたり、10アンソン単位以上添加して50
℃で1〜5時間反応させpHが7付近まで低下した時点
で、続いてエキソ型ペプチダーゼ(ノボノルディスクイ
ンダストリー株式会社製「フレーバザイムL」)をポテ
トプロテイン1kgあたり1500u(ユニット)以上
添加し、さらに50℃で15時間以上反応させることに
より、本発明の水溶性ポテトペプチドを得ることができ
る。
【0011】酵素処理後の反応液は80℃以上に加熱さ
れ、反応液中の酵素を失活させた後、反応液中の不溶分
が濾過により除かれるが、濾液中にはポテトペプチド中
に混在する馬鈴薯特有のポリフェノールが含まれている
ため、濾液は緑がかった暗色を呈しており、このままで
は外観上多様な用途に好ましく適用することができない
ことから、さらに精製することが望ましい。混在するポ
リフェノールは、微量金属、特に鉄と反応して呈色して
いる場合が多く、活性炭による吸着脱色はほとんど効果
がないが、ポリフェノール系の多孔性弱酸性陽イオン交
換樹脂に鉄を吸着させることにより、脱色しやすくなる
性質を利用することができ、例えば、ポリフェノール系
の多孔性弱酸性陽イオン交換樹脂(北越炭素工業株式会
社製「脱鉄樹脂PF」)を充填したカラムに、不溶分を
除去した濾液を通過させて通過液を捕集すると、緑がか
った暗色が除かれて、淡褐色の液が得られ、この液に少
量の活性炭を加えて濾過すると、ほとんど無色に精製す
ることができる。
【0012】このようにして得られた精製液を凍結乾燥
あるいは噴霧乾燥することにより、白〜淡黄色の粉末状
の本発明の水溶性ポテトペプチドが高収率で得られる。
得られた水溶性ポテトペプチドの分子量分布は、分子量
100〜500のペプチドが約20〜30%、分子量5
00〜3000のペプチドが約70〜80%である。ま
た、この水溶性ポテトペプチドをファルマシア社製セフ
ァデックス等のゲル濾過剤を用いて分画処理することに
よりさらに高ACE阻害活性を示す水溶性ポテトペプチ
ド画分を得ることができる。本発明の水溶性ポテトペプ
チドは、水によく溶け、苦味がなく、わずかに甘味と旨
味があり、ACE阻害活性を有することから血圧上昇を
抑制する医薬用の機能性食品として有用であるばかりで
なく、調味料原料としてまた栄養剤として食品素材の一
部に利用することができる。
【0013】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。 実施例1(ポテトペプチドの製造) ポテトプロテイン100gに水800mlを加えて懸濁
させ、4N水酸化ナトリウム溶液8.3mlを加えてp
H7.8に調製し、80〜90℃に30分間保持した後
50℃まで冷却し、エンド型アルカリ性プロテイナーゼ
(ノボノルディスクインダストリー株式会社製「アルカ
ラーゼ0.6L」;0.6g/gアンソン単位以上)
2.5gを加えて、攪拌しながら50〜52℃で4時間
反応させたところ、反応液のpHは6.9であった。こ
のpH6.9の反応液に、エキソ型ペプチダーゼ(ノボ
ノルディスクインダストリー株式会社製「フレーバザイ
ムL」;800u/g以上)2.0gを加え、攪拌しな
がら50〜52℃で、16時間反応を継続させた。反応
終了後、90℃に加熱し10分間保持して酵素を失活さ
せて18時間静置放冷した。放冷後の反応液は、上澄部
分が約1/3で、残余は軽質のコロイド様の不溶分であ
り、またそのpHは6.8であった。
【0014】上記放冷後の反応液に濾過助剤としてケイ
ソウ土20gを加えて15分間攪拌した後吸引濾過し
て、残渣を水洗し、黒ずんだ灰褐色の濾液700mlを
得た。濾液を攪拌しながら濃塩酸1.2mlを加えてp
H5.5に調整し、活性炭20gを加えて15分間攪拌
した後吸引濾過し、残渣を水洗して濾液740mlが得
られたが、濾過途中から清澄だったものが徐々に黒ずん
だ灰色に変わり、かつ、わずかに濁りを生じていた。こ
の濾液を200mlになるまで減圧濃縮した後、凍結乾
燥して灰色の乾燥物48gを得た。この乾燥物は水分
0.83重量%、強熱残分4.3重量%、全窒素12.
3重量%であった。
【0015】実施例2(ポテトペプチドの精製) 実施例1と同様に酵素処理して得た加熱失活後の放冷溶
液に濾過助剤としてケイソウ土20gを加えて15分間
攪拌した後吸引濾過して、残渣を水洗し、黒ずんだ灰褐
色の濾液720mlを得た。次いで、ポリフェノール系
の多孔性弱酸性陽イオン交換樹脂(北越炭素工業株式会
社製「脱鉄樹脂PF」)100mlを内径2.2cmの
ガラス円筒に充填したカラムに、上記濾液を流速50m
l/時で通過させた後、さらに脱イオン水を流速50m
l/時で通してカラム内に残留する濾液を流出させて処
理液790mlを得た。この淡褐色澄明の処理液に活性
炭10gを加えて15分間攪拌した後吸引濾過し、残渣
を水洗して濾液850mlを得た。濾液は淡黄色の澄明
な液であり、1夜放置後も変化しなかった。この濾液を
噴霧乾燥して、淡黄色粉末状のポテトペプチド54gを
得た。得られたポテトペプチドは、水分2.3重量%、
強熱残分1.8重量%、全窒素13.1重量%であり、
高速液体クロマトグラフィーにより測定した分子量分布
は、分子量100以下のアミノ酸が5.0%、分子量1
00〜500のペプチドが19.5%、分子量500〜
3000のペプチドが74.0%、分子量3000以上
のペプチドが1.5%で、オリゴペプチド成分が多かっ
た。また、水によく溶け、無臭で苦味がなくわずかに甘
味と旨味を有していた。
【0016】実施例3(ACE阻害活性の測定) ACE阻害活性は、東京農業大学より入手したACE
(ウサギ肺アセトパウダーより抽出)3.9mUと、株
式会社ペプチド研究所製の合成基質(Bz−Gly−H
is−Leu H2O)125mMとを用いて、Cus
hman−Cheungの測定法に準じて測定した。す
なわち、合成基質にACEを作用させると、Bz−Gl
y(馬尿酸)とHis−Leuが生成し、生成した馬尿
酸を酢酸エチルにて抽出し、228nmの吸光度を測定
することによって、ACE阻害活性を測定することがで
きる。
【0017】ACE阻害活性は阻害率(%)が50%を
示す反応液中のタンパク質濃度IC 50として求められ、
阻害率(%)は、試料とともにあらかじめ反応停止液を
加えたときの吸光度をA、試料の吸光度をB、試料の代
わりに水を加えさらに反応停止液を加えたときの吸光度
をC、試料の代わりに水を加えたときの吸光度をDとし
た場合、次式で求められる。なお、タンパク質量はNa
2SO4−TNBS法により測定した。 阻害率(%)={1−(B−A)/(D−C)}×10
【0018】実施例2で得られた精製ポテトペプチドに
含まれれる粗タンパク質量(係数6.25)は約82%
であり、この精製ポテトペプチドを水に溶解し、タンパ
ク質濃度がおよそ1.0重量%となるように溶液を調製
してACE阻害活性を測定した。その結果IC50は12
5μg/mlであり、本発明の水溶性ポテトペプチドが
ACE阻害活性を有し、本発明の水溶性ポテトペプチド
には血圧上昇を抑制するペプチドが数種含まれているこ
とが確認された。
【0019】実施例4(ペプシン及びトリペプシンを用
いた消化酵素処理試験) 上記のように、本発明の水溶性ポテトペプチドがイン・
ビトロでACE阻害活性を有することは確認されたが、
食品素材として経口での利用を考えた場合、消化酵素に
対する耐性が問題となる。そこで代表的な消化酵素であ
るペプシン及びトリプシンを用いてポテトペプチドを処
理し、ACE阻害活性を測定した。すなわち、実施例2
で得られたポテトペプチドを、ペプシン(シグマ社製)
処理の場合は0.1M HCl・KCl緩衝液(pH
2.0)に、トリプシン(シグマ社製)処理の場合は
0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)に、そ
れぞれ溶解してそのタンパク質濃度を1.0重量%とし
た溶液50mlを調製し、この調製液に、同じ緩衝液に
溶解した0.2%酵素液5mlをそれぞれ加え、37℃
で24時間放置した後、沸騰水浴中で5分間加熱して酵
素を失活させ、ACE阻害活性を測定した。その結果、
ペプシン及びトリペプシンを用いた消化酵素処理によ
る、本発明の水溶性ポテトペプチドのACE阻害活性へ
の影響はほとんど見られなかった。
【0020】実施例5(高ACE阻害活性画分への分
画) 実施例2で得られたポテトペプチド5gを蒸留水50m
lに溶解した後、セントリプラス−10(アミコン社
製)で簡易遠心分画を行うことにより分子量10,00
0以下の画分(IC50:52.7μg/ml)を集め、
この画分をゲル濾過剤(ファルマシア社製「Sepha
dex LH−20」)を充填したカラムに供し、25
0mlの水で洗浄した後、それぞれ250mlの10%
エタノール溶液、30%エタノール溶液及び50%エタ
ノール溶液で順次溶出させ、それぞれの画分を採取し、
分子量の異なるペプチドを濃縮した後、ACE阻害活性
測定し、その中の高活性画分をさらにゲル濾過剤(フ
ァルマシア社製「SP−Sephadex C−2
5」)を充填したカラムに通し、ギ酸アンモニウムのス
テップワイズグラジエントで溶出し、高活性画分を集め
て濃縮し、高ACE阻害活性を有する2つの画分を得た
(IC50:12.5μg/ml、36.9μg/m
l)。さらにこれらの画分をそれぞれ脱塩・濃縮処理し
た後、高速液体クロマトグラフ(HPLC:東ソー株式
会社製、カラム:東ソー製TSK gel ODS−1
20T)に供することにより、高ACE阻害活性を有す
る3つの画分を得た。そのうちの2つの画分について、
IC50値を求めたところ、それぞれ0.5μg/ml、
0.7μg/mlであった。
【0021】得られた3つの画分を塩酸で加水分解した
後、HPLCを用いてのNBD−F法によりアミノ酸組
成を分析したところ、種々のアミノ酸が検出された。こ
のことから精製度合いが不十分であるとも考えられる
が、アミノ酸組成には特定の傾向が見られ、2つの画分
においてバリンが大きなウェイトを占めていることがわ
かった。すなわち、血圧上昇を抑制する高ACE阻害活
性を有する2つの画分についてはバリンが構成アミノ酸
の主体を占めていた。残りの1つの画分の構成アミノ酸
はチロシンを主体としてアスパラギン酸、グルタミン
酸、アルギニン及びバリンが主であることがわかった。
【0022】
【発明の効果】本発明によると、利用分野が乏しかった
ポテトプロテインから、付加価値の高い、血圧上昇を抑
制することができる高ACE阻害活性を有するポテトペ
プチドを比較的簡単に製造することができる。また、本
発明のポテトペプチドを食品素材の一部として使用する
と、栄養改善はもとより、血圧上昇抑制作用という生理
活性を有する機能性食品となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−349893(JP,A) 特開 平6−87886(JP,A) 特開 平7−289281(JP,A) ジャパンフードサイエンス,1992年, Vol.31,No.12,pp.20−27, 表1に種々食品成分のACE阻害能力が 記載 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23J 3/34 A61K 38/00 - 38/58 CA/BIOSIS/MEDLINE/W PIDS(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポテトプロテインをエンド型プロテイナ
    ーゼで処理し、次いでエキソ型ペプチダーゼで処理する
    ことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害活性を
    有する水溶性ポテトペプチド混合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 エンド型プロテイナーゼが、pH6.0
    〜12.0に活性を有するエンド型プロテイナーゼであ
    ることを特徴とする請求項1記載のアンジオテンシン変
    換酵素阻害活性を有する水溶性ポテトペプチド混合物
    製造方法。
  3. 【請求項3】 エキソ型ペプチダーゼが、pH3.0〜
    8.0に活性を有するエキソ型ペプチダーゼであること
    を特徴とする請求項1又は2記載のアンジオテンシン変
    換酵素阻害活性を有する水溶性ポテトペプチド混合物
    製造方法。
  4. 【請求項4】 ポテトプロテインとして、80〜90℃
    の加熱処理が施こされたポテトプロテイン懸濁液を用い
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のアン
    ジオテンシン変換酵素阻害活性を有する水溶性ポテトペ
    プチド混合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 エキソ型ペプチダーゼで処理した後、さ
    らにポリフェノール系多孔性弱酸性陽イオン交換樹脂で
    精製することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載
    のアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有する水溶性ポ
    テトペプチド混合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリフェノール系多孔性弱酸性陽イオン
    交換樹脂で精製処理した後、さらにゲル濾過剤を用いて
    高アンジオテンシン変換酵素阻害活性画分に分画・濃縮
    することを特徴とする請求項5記載のアンジオテンシン
    変換酵素阻害活性を有する水溶性ポテトペプチド混合物
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の水溶性ポ
    テトペプチドの製造方法により製造されたアンジオテン
    シン変換酵素阻害活性を有する水溶性ポテトペプチド
    合物
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