JP2002121171A - アリル化合物の製造方法 - Google Patents

アリル化合物の製造方法

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JP2002121171A JP2000314846A JP2000314846A JP2002121171A JP 2002121171 A JP2002121171 A JP 2002121171A JP 2000314846 A JP2000314846 A JP 2000314846A JP 2000314846 A JP2000314846 A JP 2000314846A JP 2002121171 A JP2002121171 A JP 2002121171A
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Jerome Ririsu
ジェローム リリス
Michael Rettoboru
マイケル レットボル
Hironobu Ono
博信 大野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3,4−ジアセトキシブテン−1又は1,4
−ジアセトキシブテン−2等のアリル化合物の異性化に
より、高転化率、高選択率、又、金属の析出を起すこと
なく、対応する異性体を製造する方法の提供。 【解決手段】 アリル位にアシルオキシ基又は水酸基を
有するアリル化合物を異性化して対応するアリル異性体
生成物を製造する方法において、周期表の第8〜10族
の金属の化合物及び少くとも1つのリン−窒素結合を有
するリン化合物を含む触媒の存在下に異性化反応を行う
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アリル位にアシル
オキシ基及び/又は水酸基を有する化合物をアリル転位
により異性化する方法に関し、詳しくは、3,4−二置
換ブテン−1及び/又は1,4−二置換ブテン−2を特
定の触媒を用いて異性化してそれぞれ対応する異性体で
ある1,4−二置換ブテン−2及び/又は3,4−二置
換ブテン−1を製造する方法に関する。本発明の方法に
より得られる1,4−ジアセトキシブテン−2は、1,
4−ブタンジオール又はテトラヒドロフラン等を製造す
るための重要な中間体である。一方、3,4−ジアセト
キシブテン−1はビタミンAアセテート等のテルペンテ
ン化合物をはじめ、医薬、農薬、各種香料等を製造する
ための重要な中間体である。
【0002】
【従来の技術】1,4−ジアセトキシブテン−2及び
3,4−ジアセトキシブテン−1は、酢酸溶媒中ブタジ
エンを分子状酸素で酸化することにより得られることは
公知である(例えば特開昭48-72090号公報、特開昭48-9
6513号公報等)。しかしながら、この方法では、1,4
−ジアセトキシブテン−2と3,4−ジアセトキシブテ
ン−1の生成比率は主に触媒の性能に左右されることか
ら、任意の比率で製造することは極めて困難であった。
また、1,2−エポキシブテン−3をアセトキシ化する
ことにより容易に3,4−ジアセトキシブテン−1を得
ることはできるが、この方法では1,4−ジアセトキシ
ブテン−2を得るのは極めて困難であった。一方、1,
4−ジアセトキシブテン−2のみを選択的に製造するた
めには、3,6−ジヒドロ−1,2−ジオキシイン等の
極めて特殊な原料を必要とすることから、工業的規模で
の製造は事実上不可能であった。
【0003】そこで、3,4−ジアセトキシブテン−1
及び/又は1,4−ジアセトキシブテン−2を特定の触
媒を用いて異性化して、それぞれ対応する異性体である
1,4−ジアセトキシブテン−2及び/又は3,4−ジ
アセトキシブテン−1を製造する方法については、従来
からいろいろな方法が提案されている。例えば、触媒と
して塩化白金化合物を用いる方法(ドイツ特許第273
6695号明細書、同第2134115号明細書)、パ
ラジウム化合物を塩化水素又は臭化水素の共存下に用い
る方法(特開昭57−140744号公報)、PdCl
2 (PhCN) 2 化合物を用いる方法(米国特許第4,
095,030号明細書)等が知られている。しかしな
がら、これらの方法は、触媒の安定性に問題があり、こ
のため腐食性の高いハロゲン化合物を多量に使わざるを
得ないという問題点を抱えている。
【0004】一方、ハロゲン化合物を使用しない方法と
して、パラジウム化合物と有機ホスフィンからなる触媒
を用いる方法(特開昭55−11555号公報)やアル
ミナ、ゼオライト等の酸触媒を用いて気相で異性化する
方法(ドイツ特許第3326668号明細書、特開昭5
0−126611号公報)も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のごとく1,4−
ジアセトキシブテン−2と3,4−ジアセトキシブテン
−1は、全く異なる製品群の中間体であることから、そ
の需要比は地域や時代、或いはそれを実施する企業の事
業背景などにより異なっている。従って、3,4−ジア
セトキシブテン−1及び/又は1,4−ジアセトキシブ
テン−2を特定の触媒を用いて異性化して、それぞれ対
応する異性体である1,4−ジアセトキシブテン−2及
び/又は3,4−ジアセトキシブテン−1を工業的に製
造することの意義は極めて大きい。しかしながら、前記
従来法においては、触媒の活性が満足すべきレベルには
ない、或いは選択性が十分ではない等という問題があ
り、工業的観点からは決して満足できるものではなかっ
た。従って、本発明の目的は、3,4−ジアセトキシブ
テン−1及び/又は1,4−ジアセトキシブテン−2等
のアリル化合物を異性化させることにより、高転化率、
高選択率であり、且つ金属の析出を起こすことなく、目
的とする1,4−ジアセトキシブテン−2及び/又は
3,4−ジアセトキシブテン−1等のアリル化合物を製
造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下にて、
3,4−ジアセトキシブテン−1及び/又は1,4−ジ
アセトキシブテン−2等のアリル原料化合物をアリル転
位により異性化させることにより、高転化率、高選択率
であり、且つ金属の析出を起こすことなく、目的とする
異性体生成物が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0007】即ち、本発明の要旨は、アリル位にアシル
オキシ基又は水酸基を有するアリル原料化合物を異性化
して対応するアリル異性化生成物を製造する方法におい
て、周期表の第8〜10族の金属の化合物及び少くとも
1つのリン−窒素結合を有するリン化合物を含む触媒の
存在下に異性化反応を行うことを特徴とするアリル化合
物の製造方法、に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の異性化反応に用いられる
原料は、アリル位にアシルオキシ基及び/又は水酸基を
有するアリル化合物であれば、どのような化合物であっ
てもよく、本発明では、この原料がアリル転位を起こし
て対応する異性体であるアリル生成物を製造する方法で
ある。ここで、アシルオキシ基とは、一般式RA
(O)O−で表わされ、RAとしては、炭素数1〜10
のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基が挙げら
れ、中でも炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特に
はR Aとしてはメチル基が好ましい。具体的には、本発
明では、下記式(a)、式(b)及びそれらの混合物か
ら選ばれるアリル原料化合物を異性化反応させて、それ
ぞれ対応する異性体である式(b)、式(a)およびそ
れらの混合物から選ばれるアリル異性体生成物を製造す
ることができる。
【0009】
【化7】
【0010】上記式(a)及び(b)において、Rはア
セトキシル基又は水酸基であり、R 1〜R5は、それぞれ
独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭
素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のシクロ
アルキル基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、炭
素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリーロ
キシ基、炭素数6〜20のアルキルアリール基、炭素数
6〜20のアルキルアリーロキシ基、炭素数6〜20の
アリールアルコキシ基、シアノ基、炭素数2〜20のエ
ステル基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子を表し、置
換基を有していてもよい基である。R1〜R5が有してい
てもよい置換基としては、炭素数1〜10のアルコシキ
基、炭素数1〜10のカルボキシル基、ヒドロキシル
基、炭素数6〜10のアリール基等が挙げられる。
【0011】上述した式(a)の中では、式(a’):
CH2=CH-CHR6-CH27で表される3,4-二置換ブ
テン-1(但し、R6及びR7はアセトキシル基又は水酸基
である。)が好ましく、また、上述した式(b)の中で
は、式(b’):CH28-CH=CH-CH29で表さ
れる1,4-二置換ブテン-2(但し、R8及びR9はアセトキ
シル基又は水酸基である。)が好ましい。式(a’)の
3,4−二置換ブテン−1としては、具体的には3,4-ジ
アセトキシブテン-1、3-ブテン-1,2-ジオールモノアセ
トキシレート、3,4-ジヒドロキシブテン-1が挙げられ、
また、式(b’)の1,4−ジ置換ブテン−2として
は、1,4-ジアセトキシブテン-2、1-アセトキシ-4-ヒド
ロキシ-2-ブテン、1,4-ジヒドロキシブテン-2が挙げら
れる。
【0012】また、原料の1例である3,4−ジアセト
キシブテン−1は、公知の方法、例えばブタジエンをパ
ラジウム等の触媒の存在下、酢酸及び酸素と反応させて
1,4−ジアセトキシブテン−2を製造する際の副生物
として得られるものであり、例えば(特公昭51−23
008号公報又は同59−28553号公報)に準拠し
て製造することができる。原料は純品でもよいが、複数
のアリル化合物の混合物であってもよく、原料のアリル
化合物以外に、後述するようなこの異性化反応を妨げな
い他の成分、例えば、酢酸、水等を含む混合物であって
もよい。
【0013】本発明の反応に用いられる異性化触媒は、
周期表の第8〜10族(IUPAC 無機化学命名法改訂版
(1989))の金属の化合物及び少くとも1つのリン−窒
素結合を有するリン化合物を含むものである。金属化合
物としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウ
ム、ロジウム、白金、イリジウム、オスミウム及びパラ
ジウムの化合物から選ばれる1種以上の化合物が挙げら
れるが、これらの中では、ニッケル、パラジウム、白金
化合物がより好ましく、更にはパラジウム化合物が特に
好ましい。前記金属化合物は、例えば、酢酸塩、アセチ
ルアセトナート、ハライド、硫酸塩、硝酸塩、有機塩、
無機塩、アルケン化合物、アミン化合物、ピリジン化合
物、ホスフィン配位化合物、ホスファイト配位化合物等
が挙げられる。
【0014】ルテニウム化合物としては、RuCl3
Ru(OAc)3、Ru(acac) 3、RuCl2(P
Ph33等が挙げられ、オスミウム化合物としては、O
sCl 3、Os(OAc)3等が挙げられ、ロジウム化合
物としては、RhCl3、Rh(OAc)3、ロジウムジ
アセテート二量体、Rh(acac)(CO)2、[Rh(OA
c)(COD)]2、[RhCl(COD)]2、Rh
(COD)OAcなどが挙げられる。また、イリジウム
化合物としては、IrCl3、Ir(OAc)3等が挙げ
られ、ニッケル化合物としては、NiCl2、NiB
2、Ni(NO32、NiSO 4、Ni(COD)2
NiCl2(PPh32等が挙げられる。
【0015】パラジウム化合物としては、例えば、Pd
(0)やPdCl2 、PdBr2 、PdCl2 (CO
D)、PdCl2 (PPh32 、Pd(PPh3)4、
Pd2(dba)3・CHCl3、K2PdCl4、K2Pd
Cl6(potassium hexachloropalladate(IV))、PdC
2(PhCN)2、PdCl2(CH3CN)2、、Pd
(dba)2、Pd2(dba)3、Pd(NO32
Pd(OAc)2 、Pd(CF3COO)2、PdS
4、Pd(acac)2 、カルボキシレート化合物、
オレフィン含有化合物、Pd(PPh3)4等の有機ホス
フィン含有化合物、アリルパラジウムクロライド二量体
等を挙げることができ、これらの中、Pd(OAc)
2 、PdCl2 等のパラジウムのカルボキシレート化合
物又はハロゲン化物が好ましい。白金化合物としては、
Pt(acac)2、PtCl2(COD)、PtCl2
(CH3CN)2、PtCl2(PhCN)2、Pt(PP
34、K2PtCl4、Na2PtCl6、H2PtCl6
等が挙げられる。(ここで、COD:シクロペンタジエ
ン、dba:ジベンジリデンアセトン、acac:アセチル
アセトナートを表す。)本発明においては、上述した金
属化合物の形態には特に制限されず、活性な金属錯体種
は単量体、二量体及び/又は多量体であってもかまわな
い。
【0016】これらの金属化合物の使用量については特
に制限はないが、触媒活性と経済性の観点から、反応原
料であるアリル化合物に対して1×10-8(0.01モ
ルppm)〜1モル当量、好ましくは1×10-7(0.
1モルppm)〜0.001モル当量の範囲、特に好ま
しくは10-6〜0.0001モル等量の範囲で使用され
る。本発明に用いられるリン化合物については、少くと
も1つのリン−窒素結合を有する有機リン化合物であれ
ば特に限定はされないが、単座でも多座でもよく、これ
らの混合物であってもよい。中でも少くとも1個の窒素
原子を含む複素環又はその縮合環を含む二座のリン化合
物が良く、特には下記一般式(A−a)又は(A−b)
の化合物が好ましい。
【0017】
【化8】
【0018】[式中、−Ar1−Ar2−基は置換基を有
していてもよいビスアリーレン基であり、Z1 〜Z4
リン原子と結合する原子が窒素原子であり、且つ、少な
くとも1個の窒素原子を含む5員環の複素環式化合物又
はその縮合環式化合物である。]
【0019】
【化9】
【0020】〔式中、−Ar3−Ar4−基は、置換基を
有していてもよいビスアリーレン基であり、Z5 〜Z8
はリン原子と結合する原子が窒素原子であり、且つ、少
なくとも1個の窒素原子を含む5員環の複素環式化合物
又はその縮合環式化合物である。〕
【0021】上述した二座リン化合物(A−a)は、よ
り具体的には、その−Ar1−Ar2−基が下記一般式
(a−I)又は(a−II)で表されるものが好ましい。
【0022】
【化10】
【0023】上記式(a−I)又は(a−II)におい
て、R4、R5、R14及びR15は、例えば、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル
基、デシル基等の炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアル
キル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等の炭素
数3〜12のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ
基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ
基、トリメチルシリル基等のシリル基、トリメチルシロ
キシ基等のシロキシ基、塩素原子、フッ素原子、臭素原
子、ヨウ素原子などのハロゲン原子が例示される。これ
らの内、メチル基、エチル基等の炭素数1〜3の低級ア
ルキル基、メトキシ基、エトシキ基等の炭素数1〜3の
低級アルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子が好ま
しく、メチル基、メトキシ基が特に好ましい。また、シ
リル基又はシロキシ基の置換基としては、炭素数1〜3
のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基が好まし
い。また、(a−I)のR1〜R3、R6〜R8、及び式
(a−II)のR9〜R13、R1 6〜R20は、水素原子の
他、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基等の炭素数1〜2
0のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル
基、アダマンチル基等の炭素数3〜20のシクロアルキ
ル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のア
リール基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ
基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数2
〜20のジアルキルアミノ基、フェノキシ基、ナフトキ
シ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基、ベンジル
基等の炭素数7〜20のアリールアルキル基、p−トリ
ル基、o−トリル基等の炭素数7〜20のアルキルアリ
ール基の他、シクロペンチルオキシ基等の炭素数3〜2
0のシクロアルコキシ基、2,3−キシレノキシ等の炭
素数7〜20のアルキルアリールオキシ基、2−(2−
ナフチル)エトキシ基等の炭素数7〜20のアリールア
ルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、フルオロ基、ク
ロロ基、ブロモ基等のハロゲン原子等が挙げられ、それ
ぞれ同一でも異なっていてもよい。式(a−I)及び
(a−II)のビスアリーレン基として好適なものとして
は、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,6,6′−
テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイ
ル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,
6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジ
イル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−
6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′
−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ヘキシ
ル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,
2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′
−ジメトキシ−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェ
ニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル
−5,5′−ジエトキシ−6,6′−ジメチル−1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ
−t−ブチル−5,5′−ジエトキシ−6,6′−ジメ
チル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、
3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジ−t−ブトキ
シ−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,
2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ(シクロ
オクチル)−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニ
ル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ
−t−ブチル−6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェ
ニル−2,2′−ジイル基、等が挙げられる。
【0024】また、上述した二座リン化合物(A−b)
は、より具体的には、その−Ar3−Ar4−基が下記一
般式(b−I)又は(b−II)で表されるものが好まし
い。
【0025】
【化11】
【0026】上記式(b−I)及び(b−II)におい
て、R23、R26、R34及びR39は、例えばn−プロピル
基、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、t−
ヘキシル基等の炭素数1〜10の直鎖あるいは分岐鎖の
アルキル基を表し、中でも炭素数3〜10のものが好ま
しく、炭素数4〜10のものが特に好ましい。更に芳香
環と結合する炭素原子が第3級のものが好ましく、t−
ブチル基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基等が例示さ
れる。またこのほか、炭素数1〜10、好ましくは1〜
5のアルコキシ基やシクロヘキシル基、シクロオクチル
基、アダマンチル基等の炭素数6〜14、好ましくは6
〜10のシクロアルキル基、トリメチルシリル基等のシ
リル基、トリメチルシロキシ基等のシロキシ基、塩素原
子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン
原子が挙げられる。シリル基又はシロキシ基の置換基
は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアル
コキシ基が好ましい。また、(b−I)のR21、R22
24、R25、R27、R28、及び式(b−II)のR31〜R
33、R35〜R38、R40〜R42は、水素原子の他、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−
ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペ
ンチル基、t−ヘキシル基等の炭素数1〜20のアルキ
ル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマン
チル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基、フェニ
ル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基、メ
トキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキ
シ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数2〜20のジアルキ
ルアミノ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6
〜20のアリールオキシ基、ベンジル基等の炭素数7〜
20のアリールアルキル基、p−トリル基、o−トリル
基等の炭素数7〜20のアルキルアリール基の他、シク
ロペンチルオキシ基等の炭素数3〜20のシクロアルコ
キシ基、2,3−キシレノキシ等の炭素数7〜20のア
ルキルアリールオキシ基、2−(2−ナフチル)エトキ
シ基等の炭素数7〜20のアリールアルコキシ基、シア
ノ基、ヒドロキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基
等のハロゲン原子等が挙げられ、それぞれ同一でも異な
っていてもよい。
【0027】式(b−I)及び(b−II)のビスアリー
レン基として好適なものとしては、3,3′−ジ−t−
ブチル−5,5′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−
2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t
−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル
基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−1,
1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,
5,5′−テトラ−t−ヘキシル−1,1′−ビフェニ
ル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−
5,5′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル−2,
2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′
−ジエトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイ
ル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジ−t−
ブトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル
基、3,3′,5,5′−テトラ(シクロオクチル)−
1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、等が挙げ
られる。
【0028】一般式(a−I)のR1及びR8、一般式
(a−II)のR9及びR20、一般式(b−I)のR21及び
28、一般式(b−II)のR31及びR34としては、上述
した置換基の中でも、二座リン化合物の熱安定性が高
く、またヒドロホルミル化触媒の配位子として用いた場
合には、高活性、高選択性を示すという点で、炭素数3
〜20の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基が好ましく、
中でも炭素数4〜18のアルキル基が更に好ましく、炭
素数4〜8の分岐状のアルキル基が特に好ましい。
【0029】式(A−a)及び式(A−b)中のZ1
8は、リン原子と結合する原子が窒素原子であり、且
つ、少なくとも1個、通常1〜4個、好ましくは1〜3
個の窒素原子を含む5員環の複素環式化合物又はその縮
合環式化合物である。Z1〜Z8としては、中でも、窒素
原子を1つ含む5員環の複素環式化合物であるのが好ま
しく、特にはピロールが好ましい。Z1〜Z8の具体例と
しては、下記に示したものが挙げられる。
【0030】
【化12】
【0031】Z1 〜Z8は、更に置換基を有していても
よく、置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル
基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、
ネオペンチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜12、
好ましくは1〜8、の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル
基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜12、好ま
しくは1〜8、のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル
基等の炭素数6〜18、好ましくは6〜10のアリール
基等が挙げられ、他に、ハロゲン原子、シアノ基、ニト
ロ基、トリフルオルメチル基、ヒドロキシル基、アミノ
基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル
基、アミド基、スルホニル基、スルフィニル基、シリル
基、チオニル基等が挙げられる。これらの置換基は一つ
のZに対して1〜5個置換していてもよい。
【0032】上記した一般式(A−a)及び(A−b)
で表される二座リン化合物の例を次に示す。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
【化25】
【0046】
【化26】
【0047】
【化27】
【0048】
【化28】
【0049】
【化29】
【0050】
【化30】
【0051】
【化31】
【0052】
【化32】
【0053】
【化33】
【0054】
【化34】
【0055】
【化35】
【0056】
【化36】
【0057】
【化37】
【0058】
【化38】
【0059】
【化39】
【0060】
【化40】
【0061】
【化41】
【0062】
【化42】
【0063】
【化43】
【0064】
【化44】
【0065】
【化45】
【0066】
【化46】
【0067】
【化47】
【0068】
【化48】
【0069】
【化49】
【0070】
【化50】
【0071】
【化51】
【0072】本発明の一般式(A−a)及び(A−b)
で表される二座リン化合物の合成法としては、(1)ク
ロロホスフィンを使用する方法(特開平10−4577
5号)と、(2)ポリ(ジハロゲン化ホスホラス)化合
物を経由する方法(特開2000−53688号)が挙
げられる。異性化反応系内における、これらのリン化合
物の上記金属化合物に対する比率(モル比)は、通常
0.1〜10000であり、好ましくは0.5〜50
0、特に好ましくは1.0〜100の範囲で使用され
る。上記金属化合物とリン化合物はそれぞれ単独に反応
系に添加してもよいし、或いは予め錯化した状態で使用
しても良い。
【0073】本発明においては、特定の金属化合物と特
定のリン化合物を含む触媒を用いる異性化反応系中に、
脂肪酸や芳香族カルボン酸等の炭素数2〜8のカルボン
酸を存在させることにより、異性化反応を促進するとい
う利点を有する。中でも、酢酸、プロピオン酸、酪酸等
の脂肪酸が好ましく、酢酸が最も好ましい。酢酸の存在
量は、触媒活性、触媒の安定性及び経済性の観点から、
酢酸:原料であるアリル原料化合物の合計量(重量比)
で、通常5:1〜1:1000であり、好ましくは、
4:1〜1:100、更に好ましくは2:1〜1:10
の範囲内である。
【0074】異性化反応は、通常は液相で行い、溶媒の
存在下或いは非存在下の何れでも実施しうるが、通常は
異性化反応に溶媒を使用して均一系で実施するのが好ま
しい。溶媒としては、触媒及び原料化合物を溶解するも
のであれば使用可能であり特に限定はない。
【0075】溶媒の具体例としては、例えば、酢酸等の
カルボン酸類、メタノール等のアルコール類、ジグライ
ム、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラ
ヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、N−
メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルアセトアミド等のアミド類、シクロヘキサ
ノン等のケトン類、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、
ジ(n-オクチル)フタレート等のエステル類、トルエ
ン、キシレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素
類、異性化反応系内で副生物として生成する高沸物、原
料であるアリル化合物自体等が挙げられる。これらの中
でも、酢酸が異性化反応を促進するという点で好まし
い。これらの溶媒の使用量は特に限定されるものではな
いが、通常、原料であるアリル化合物の合計量に対して
0.1〜20重量倍、好ましくは0.5〜10重量倍で
ある。
【0076】本発明においては、3,4−ジアセトキシ
ブテン−1の異性化により1,4−ジアセトキシブテン
−2を得る反応は平衡反応であり、120℃での平衡混
合物は、約60〜65モル%の1,4−ジアセトキシブ
テン−2と35〜40モル%の3,4−ジアセトキシブ
テン−1を含有する。このことは、即ち、1,4−ジア
セトキシブテン−2を主成分として含む反応混合物は、
異性化反応させることにより、3,4−ジアセトキシブ
テン−1を主成分として含む生成物が得られることを意
味している。
【0077】異性化反応により得られる生成物中の1,
4−ジアセトキシブテン−2と3,4−ジアセトキシブ
テン−1のモル比の範囲は通常、90:10〜10:9
0であるが、その範囲内では80:20、70:30、
60:40、50:50、40:60、30:70、2
0:80等のいずれの比率の生成物でも製造することが
できる。この比率は、特に限定されないが、反応条件や
プロセスの経済性により調節することが可能となる。
【0078】本発明の異性化反応系中には、原料や基質
以外の反応副生物や触媒の分解物等を含んでいてもよ
い。具体的には、異性化反応系中に、ブタンジオールモ
ノアセトキシレート、1-アセトキシブタン-2-オン、4-
アセトキシブタナール、4-アセトキシクロトンアルデヒ
ド、ジアセトキシブタン、アセトキシヒドロキシブタ
ン、ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,2
−ブテンジオール、1-アセトキシ-1,3-ブタジエン、ジ
アセトキシオクタジエンから選ばれる1種以上の化合物
(C)が存在していてもよい。これらの化合物(C)
は、異性化反応系内において、原料であるアリル化合物
の合計量に対して(化合物(C):アリル化合物)、重
量比で、通常1:1〜1:10000、好ましくは5:
1〜1:1000、更に好ましくは2:1〜1:50
0、特に好ましくは0.1:1〜1:100の範囲存在
していてもよい。
【0079】本発明においては、異性化反応系中に水が
多量に存在すると、異性化反応が著しく阻害されるため
水の存在量は少ない方が転化率が高くなるという点で好
ましいが、溶媒又は反応原料から完全に水を除外するた
めには、極めて大きなエネルギーを必要とする。従っ
て、工業的には、異性化反応混合液中の水の存在量は、
好ましくは0.1〜5wt%であり、更に好ましくは0.
5〜2wt%である。水は反応系に様々なルートから混入
しうるが、中でも溶媒又は異性化反応の促進剤として用
いられるカルボン酸は、しばしば水を同伴する。このよ
うな場合、カルボン酸に対する水の重量比は、好ましく
は1以下である。
【0080】本発明は、上述したようにブタジエンを、
酢酸及び酸素の存在下にジアセトキシ化反応させて得ら
れた1,4-ジアセトキシ-2-ブテンと3,4-ジアセトキシ-1-
ブテンを含む反応生成物から、3,4-ジアセトキシ-1-ブ
テンを主成分とする反応液を分離して、次いで本発明の
方法により異性化させることにより1,4-ジアセトキシ-2
-ブテンを得るプロセスとして採用する場合にも有効で
ある。
【0081】このようなブタジエンのジアセトキシ化反
応により得られた反応生成物を原料として用いる場合に
は、反応生成物中に、1,4-ジアセトキシ-2-ブテンや3,4
-ジアセトキシ-1-ブテン等のジアセトキシ体以外にも、
上述した化合物(C)と同様の化合物が存在するため、
更に、蒸留等の方法により、3,4-二置換-1-ブテン体又
は1,4-二置換-2-ブテン体のいずれか一方の成分を主体
として含有する混合物を分離し、次いでこの混合物の異
性化反応を行うのが好ましい。
【0082】このように蒸留等の操作により分離された
3,4-二置換-1-ブテン体及び/又は1,4-二置換-2-ブテン
体を含有する混合物中には、ジアセトキシ体とモノアセ
トキシ体が含有されているが、モノアセトキシ体はジア
セトキシ体に比べて異性化反応速度が非常に低い。従っ
て、このようなジアセトキシ体とモノアセトキシ体の混
合物の異性化反応を行う場合には、1)異性化反応を行
う前に予めモノアセトキシ体のアセトキシ化反応(エス
テル化反応)を行い、次いで得られたジアセトキシ体を
含む混合物の異性化反応を行う方法か、或いは2)異性
化反応系中でモノアセトキシ体のアセトキシ化反応(エ
ステル化反応)を同時に行う方法を採用するのがよい。
【0083】上述したモノアセトキシ体、例えば3-ブテ
ン-1,2-ジオールモノアセトキシレート及び/又は1-ア
セトキシ-4-ヒドロキシ-2-ブテン等のアセトキシ化反応
(エステル化反応)は、無水酢酸を存在させることによ
り進行する。無水酢酸の量は、特に制限されないが、モ
ノアセトキシ体に対して等モル付近であればよい。無水
酢酸を使用する場合の、エステル化反応の反応温度は、
通常40〜200℃であり、好ましくは100〜160
℃である。
【0084】上述したモノアセトキシ体のアセトキシ化
反応は、イオン交換樹脂及び酢酸を存在させることによ
っても進行する。イオン交換樹脂を用いることにより、
高価な無水酢酸を使用することなくアセトキシ化反応を
実施できるという利点を有する。酢酸の量は特に制限さ
れないが、反応が平衡反応であるので、酢酸の量が多く
なるほどアセトキシ化反応の転化率は向上する。採用で
きるイオン交換樹脂の種類としては、スチレン系、メタ
クリル酸系、アクリル酸系等の陽イオン交換樹脂が挙げ
られ、中でもスチレン系陽イオン交換樹脂が好ましい。
イオン交換樹脂の使用量としては、特に制限されない
が、触媒活性と経済性の観点から、回分法の場合にはア
リル原料化合物1kgに対して、好ましくは0.01〜
5kgであり、更に好ましくは0.05〜1kgであ
り、連続法の場合には、空間速度(space vol
ume)は、アリル化合物1リットル、1時間当たり、
好ましくは0.05〜10リットル、更に好ましくは
0.2〜2リットルである。イオン交換樹脂を使用する
場合の、エステル化反応温度としては、通常20〜20
0℃であり、好ましくは30〜120℃、更に好ましく
は40〜100℃である。
【0085】上述したような、異性化反応系中でモノア
セトキシ体のアセトキシ化反応(エステル化反応)を同
時に行う方法2)を採用する場合には、上記の無水酢酸
やイオン交換樹脂及び酢酸を用いることにより、異性化
反応とエステル化反応を同一の反応条件、即ち上述した
異性化反応条件下で実施することが可能である。
【0086】本発明の異性化方法は、回分式、連続式の
何れでも実施できる。回分式で異性化反応を行う場合を
より具体的に説明すると、触媒構成成分を溶媒に溶解
し、この中に例えば3,4−ジアセトキシブテン−1を
主体とする原料を導入し、攪拌下十分転化する時間触媒
と接触させる。反応終了後は、蒸留等の手段により、反
応液から目的の1,4−ジアセトキシブテン−2等を主
体とする成分を分離、回収することができる。1,4−
ジアセトキシブテン−2と3,4−ジアセトキシブテン
−1の分離は通常蒸留や抽出等の方法により行うことが
できる。
【0087】連続式で行う場合には、例えば3,4−ジ
アセトキシブテン−1を主体とする原料と触媒成分を連
続的に反応槽に供給し、目的生成物である異性化物を含
む反応液を連続的に抜き出した後蒸留し、触媒成分を含
む残留液を連続的に反応系に循環して再利用する方式が
考えられる。異性化の反応温度は、通常50〜200
℃、好ましくは80〜160℃である。反応温度が低す
ぎると活性が低く、また、高すぎると触媒の安定性が低
下し好ましくない副反応が起こる。反応圧力について
は、特に制限はなく、常圧〜3MPaの範囲、好ましく
は常圧〜2MPaの範囲から適宜選択される。また、反
応時間も特に制限がなく触媒の量、反応温度等の因子か
ら反応速度を考慮して適宜選択する。
【0088】なお、3,4-ジ置換体の異性化により、対応
する1,4-ジ置換体を得る反応は平衡反応であり、触媒は
反応原料組成から平衡組成へより近づける役割をなす。
つまり、出発原料が3,4-ジ置換体と1,4-ジ置換体のいず
れを主体とする混合物の場合であってもその効果は同じ
である。従って、1,4−ジアセトキシブテン−2を主
体とする成分の異性化反応については、原料として1,
4−ジアセトキシブテン−2又はこれを含む混合物を用
いる他は、上述した3,4−ジアセトキシブテン−1を
主体とする原料の異性化反応に準じて行うことができ
る。
【0089】
【実施例】以下に本発明をより更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に
制約されるものではない。尚、以下の例における反応結
果はガスクロマトグラフィーにより反応液組成を分析し
た結果より算出した。3,4−ジアセトキシブテン−1
(以下、3,4−DABEと略記することがある)を原
料にした場合、生成物として1,4−ジアセトキシブテ
ン−2(以下、1,4−DABEと略記することがあ
る)以外検出できないので、1,4−ジアセトキシブテ
ン−2の収率をもって反応成績とした。
【0090】実施例−1(テトラピロリルビスホスファ
イト(配位子1)の合成) PCl3(3.99g、29mmol)のトルエン(1
00ml)溶液に、蒸留したてのピロール(3.89
g、58mmol)とトリエチルアミン(8.82g、
87mmol)のトルエン(80ml)溶液を0℃にて
滴下した。60℃で2時間加熱したところ、ジピロリル
クロロホスフィンが83%の選択性で生成していること
31P−NMRにて確認された(δ104.4)。塩を
濾過した濾液を50mlまで濃縮した。別途、3,
3′,5,5′−テトラ−tert−ブチル−6,6′
−ジメチル−2,2−ビフェノール(6.37g、1
4.5mmol)のTHF溶液(40ml)をn−Bu
Li(29mmol)のヘキサン溶液とを0℃で混合
し、その後1.2時間加熱還流し、ビフェノールのLi
塩を得た。ジピロリルクロロホスフィンのトルエン溶液
に、ビフェノールのLi塩を0℃にて滴下した。反応
後、塩を濾別し、濾液を濃縮した。残った残さをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:トルエン:ヘ
キサン=1:5)により単離精製した結果、下記に示す
構造の配位子1を2.13g(19%)得た。 mp 215.6−216.3℃31 P−NMR(CDCl3) δ99.781 H−NMR(CDCl3) δ7.37(s,2H),
6.81(m,4H),6.68(m,4H),6.2
0(m,4H),6.15(m,4H),1.94
(s,6H),1.29(s,18H),1.06
(s,18H)
【0091】
【化52】
【0092】上記配位子1の構造は、リン31−核磁気
共鳴分光光度法、プロトン核磁気共鳴分光光度法(装置
はバリアン社製ユニティー300型)又は元素分析法を
用いて確認した。
【0093】実施例1 3,4−DABE 1ml(6.3mmol)中に、P
d(dba)2 3.7mg(6.4μmol)と上記
配位子1 39mg(26.1μmol)を120℃で
溶解させた。ついで、この溶液10μlを、酢酸(1m
l)と3,4−ジアセトキシブテン−1 1ml(6.
3mmol)を含む別のSchlenktubeに加え
て、120℃で1時間反応させた。反応生成液をGC分
析したところ、1,4−DABEが2%と3,4−DA
BEが98%含まれていた。また、この反応においてP
d金属の析出は見られなかった。
【0094】実施例2 3,4−DABE 1ml(6.3mmol)中に、P
d(dba)2 3.7mg(6.4μmol)と下記
配位子2 20mg(27.2μmol)を120℃で
溶解させ、ついで、酢酸0.5mlを加えて、120℃
で1時間反応させた。反応生成液をGC分析したとこ
ろ、1,4−DABEが63%と3,4−DABEが3
7%含まれていた。また、この反応においてPd金属の
析出は見られなかった。
【0095】
【化53】
【0096】比較例1(リン化合物不存在下の例) 窒素置換した10mlのフラスコに3,4−ジアセトキ
シブテン−1(0.633mmol)、Pd(OAc)
2 (0.06mmol)及びジグライム1mlを使用
し、反応温度120℃で1時間反応を行った所、1,4
−DABEの収率は1.3%であった。しかしながら、
反応終了後のフラスコ表面にパラジウムの金属ミラーが
観測された。
【0097】比較例2 比較例1で使用したPd(OAc)2 の代わりにPdC
l2 (0.06mmol)を使用した以外比較例1と同
様の反応を行った。その結果、1,4−DABEの収率
は58%であった。しかしながら、反応終了後フラスコ
表面にパラジウムの金属ミラーが観測された。
【0098】比較例3 比較例1で使用したPd(OAc)2 の代わりにPdC
l2 (PPh3 )2 (0.06mmol)を使用した以
外比較例1と同様の反応を行った。しかしながら、1,
4−DABEの生成を検出できなかった。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、3,4−二置換ブテン
−1及び/又は1,4−二置換ブテン−2等のアリル原
料化合物を第8〜10族の金属化合物及び少くとも1つ
のリン−窒素結合を有するリン化合物を含む触媒を用い
て異性化させることにより、高転化率、高選択率で、且
つ、金属の析出を抑制しつつ、対応する異性体である
1,4−二置換ブテン−2及び/又は3,4−二置換ブ
テン−1等を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 大野 博信 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4C037 BA04 4H006 AA02 AC27 AC41 BA17 BA21 BA23 BA24 BA25 BA26 BA34 BA35 BA48 BD70 BE20 BE60 FE11 FG28 KA30 4H039 CA66 CJ10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アリル位にアシルオキシ基及び/又は水
    酸基を有するアリル原料化合物を異性化して対応するア
    リル異性体生成物を製造する方法において、周期表の第
    8〜10族の金属の化合物及び少くとも1つのリン−窒
    素結合を有するリン化合物を含む触媒の存在下に異性化
    反応を行うことを特徴とするアリル化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 アリル原料化合物が、式(a’):CH
    2=CH-CHR6-CH27で表される3,4−二置換ブ
    テン−1、式(b’):CH28-CH=CH-CH29
    で表される1,4−二置換ブテン−2及びそれらの混合
    物から選ばれるものである請求項1に記載のアリル化合
    物の製造方法。(但し、式(a’)及び(b’)におい
    て、R6〜R9はアシルオキシ基及び水酸基から選ばれる
    基であり、同一でも異なっていてもよい。)
  3. 【請求項3】 アリル異性体生成物が、式(b’):C
    28-CH=CH-CH29で表される1,4−二置換
    ブテン−2、式(a’):CH2=CH-CHR6-CH2
    7で表される3,4−二置換ブテン−1及びそれらの混
    合物から選ばれるものである請求項1又は2に記載のア
    リル化合物の製造方法。(但し、式(a’)及び
    (b’)において、R6〜R9はアシルオキシ基及び水酸
    基から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよ
    い。)
  4. 【請求項4】 式(a’)のアリル原料化合物を式
    (b’)のアリル異性体生成物に異性化する請求項1〜
    3のいずれかに記載のアリル化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 式(b’)のアリル原料化合物を式
    (a’)のアリル異性体生成物に異性化する請求項1〜
    3のいずれかに記載のアリル化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 3,4−ジアセトキシブテン−1及び3-
    ブテン-1,2-ジオールモノカルボキシレートを主成分と
    する混合物を異性化して1,4−ジアセトキシブテン−
    2及び1-アセトキシ-4-ヒドロキシ-2-ブテンを含む反応
    生成物を得る請求項1〜5のいずれかに記載のアリル化
    合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 該金属化合物がロジウム化合物、ルテニ
    ウム化合物、ニッケル化合物、白金化合物及びパラジウ
    ム化合物からなる群から選ばれる1種以上である請求項
    1〜6のいずれかに記載のアリル化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 少くとも1つのリン−窒素結合を有する
    リン化合物が、少くとも1個の窒素原子を含む複素環又
    はその縮合環を含む二座の有機リン化合物である請求項
    1〜7のいずれかに記載のアリル化合物の製造方法。
  9. 【請求項9】 少くとも1つのリン−窒素結合を有する
    リン化合物が下記一般式(A-a)で表される二座リン
    化合物である請求項8に記載のアリル化合物の製造方
    法。 【化1】 [式中、−Ar1−Ar2−基は、下記一般式(a−I)
    又は(a−II)で表されるビスアリーレン基であり、Z1
    〜Z4 はリン原子と結合する原子が窒素原子であり、
    且つ、少なくとも1個の窒素原子を含む5員環の複素環
    式化合物又はその縮合環式化合物である。 【化2】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアルキル基、ア
    ルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、
    置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有してい
    てもよいシロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選
    ばれるものを表し、R1〜R3、R6〜R8は、それぞれ独
    立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアル
    キル基、シクロアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ア
    リール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、ア
    ルキルアリールオキシ基、アリールアルキル基、アリー
    ルアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン
    原子よりなる群から選ばれるものを表す。) 【化3】 (式中、R14及びR15はそれぞれ独立に一般式(a−
    I)中のR4及びR5と同義であり、R9〜R13、R16
    20はそれぞれ独立に一般式(a−I)中のR1〜R 3
    6〜R8と同義である。)〕
  10. 【請求項10】 一般式(A−a)中の−Ar1−Ar2
    −基が、一般式(a−I)で表されるものであり、一般
    式(a−I)において、R4及びR5が炭素数1〜3のア
    ルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又はハロゲン原
    子から選ばれる基である請求項9に記載のアリル化合物
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 少くとも1つのリン−窒素結合を有す
    るリン化合物が下記一般式(A−b)で表される二座リ
    ン化合物である請求項8に記載のアリル化合物の製造方
    法。 【化4】 〔式中、−Ar3−Ar4−基は、下記一般式(b−I)
    又は(b−II)で表されるビスアリーレン基であり、Z5
    〜Z8 はリン原子と結合する原子が窒素原子であり、
    且つ、少なくとも1個の窒素原子を含む5員環の複素環
    式化合物又はその縮合環式化合物である。 【化5】 (式中、R23及びR26は、それぞれ独立にアルキル基、
    アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ
    基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有し
    ていてもよいシロキシ基及びハロゲン原子からなる群か
    ら選ばれるものを表し、R21、R22、R24、R25
    27、R28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、
    アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ
    基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ
    基、アルキルアリール基、アルキルアリールオキシ基、
    アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、シアノ
    基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ば
    れるものを表す。) 【化6】 (式中、R34及びR39はそれぞれ独立に一般式(b−
    I)中のR23及びR26と同義であり、R31〜R33、R35
    〜R38、R40〜R42はそれぞれ独立に一般式(b−I)
    中の R21、R22、R24、R25、R27、R28と同義であ
    る。)〕
  12. 【請求項12】 一般式(A−b)中の−Ar3−Ar4
    −基が、一般式(b−I)で表されるものであり、一般
    式(b−I)において、R23及びR26が炭素数1〜10
    のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基から選
    ばれる基である請求項11に記載のアリル化合物の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 一般式(A−a)及び(A−b)中の
    1〜Z8が、各々置換基を有していてもよいピロリル基
    (pyrrory1)、インドリル基(indoly
    l)又はイミダゾリル基(imidazolyl)であ
    る請求項9〜12のいずれかに記載のアリル化合物の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 一般式(a−I)、(a−II)、(b
    −I)及び(b−II)において、R1、R8、R9
    20、R21、R28、R31及びR42が、それぞれ独立に、
    置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアルキル基
    から選ばれるものである請求項9〜13のいずれかに記
    載のアリル化合物の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14の方法により得られた1,4-
    ジアセトキシブテン-2を、更に水素化及び加水分解させ
    て1,4-ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランを
    製造する方法。
  16. 【請求項16】 請求項15の方法により得られた1,4-
    ブタンジオールを原料として製造されたポリエステル及
    び/又はポリウレタン。
  17. 【請求項17】 請求項15の方法により得られたテト
    ラヒドロフランを原料として製造されたポリアルキレン
    エーテルグリコール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007302597A (ja) * 2006-05-10 2007-11-22 Mitsubishi Chemicals Corp アリル化合物の製造方法
JP2008062120A (ja) * 2006-09-04 2008-03-21 Mitsubishi Chemicals Corp 遷移金属触媒の調製方法及び触媒組成液
JP2009019009A (ja) * 2007-07-12 2009-01-29 Mitsubishi Chemicals Corp アリル化合物誘導体の製造方法

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