JP2002114989A - さび止め油 - Google Patents

さび止め油

Info

Publication number
JP2002114989A
JP2002114989A JP2001119758A JP2001119758A JP2002114989A JP 2002114989 A JP2002114989 A JP 2002114989A JP 2001119758 A JP2001119758 A JP 2001119758A JP 2001119758 A JP2001119758 A JP 2001119758A JP 2002114989 A JP2002114989 A JP 2002114989A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isomers
oil
less
content
rust
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001119758A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsunetoshi Sugawara
常年 菅原
Tadaaki Motoyama
忠昭 本山
Toshihiro Iwamura
淑広 岩村
Yukio Matsuzaki
幸雄 松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Mitsubishi Oil Corp filed Critical Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority to JP2001119758A priority Critical patent/JP2002114989A/ja
Priority to AT02714499T priority patent/ATE557078T1/de
Priority to PCT/JP2002/003442 priority patent/WO2002083986A1/ja
Priority to EP02714499A priority patent/EP1394289B1/en
Publication of JP2002114989A publication Critical patent/JP2002114989A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機材料に対する適合性が十分に高く、取り
扱い性に優れており、且つ金属製部材におけるさびの発
生を十分に防止することが可能なさび止めを提供するこ
と。 【解決手段】 本発明のさび止め油は、炭素数14以下
の炭化水素化合物の含有率が20質量%以下であり、且
つ40℃における動粘度が20〜2000mm2/sで
ある鉱油及び/又は合成油を基油として含有することを
特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はさび止め油に関する
ものであり、より詳しくは、鋼板、軸受等の金属製部材
に用いる場合に有用なさび止め油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼板,軸受等の金属製部材の
分野では、通常、さびの発生を防止するために製造後の
部材にさび止め油が塗布される。
【0003】さび止め油としては、単にさびの発生を防
止するためのみに用いられるものの他、洗浄作用を有す
る洗浄防錆油、中間製品におけるさびの発生の防止作用
とその後の加工工程における潤滑作用とを併せ持つ防錆
兼加工油等の多機能型さび止め油が知られている。これ
らのさび止め油においては、取り扱い性を向上させる目
的で、比較的低粘度の基油、あるいは低粘度基油と高粘
度基油とを混合した基油が用いられる場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、鋼板や軸受
等の金属製部材を備える装置においては、通常、金属製
部材の他に様々な有機材料からなる部材が用いられてい
るので、さび止め油には有機材料との適合性に優れるこ
とも求められるが、従来のさび止め油を用いた場合には
有機材料からなる部材を劣化させてしまう場合があっ
た。
【0005】また、金属製部材を出荷する際に、梱包材
として有機材料を用いると、梱包材が劣化する場合があ
った。
【0006】本発明は上記従来技術の有する課題に鑑み
てなされたものであり、有機材料に対する適合性が十分
に高く、取り扱い性に優れており、且つ金属製部材にお
けるさびの発生を十分に防止することが可能なさび止め
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数14以下の炭
化水素の含有率及び動粘度がそれぞれ特定の条件を満た
す鉱油及び/又は合成油をさび止め油の基油として用い
ることによって上記課題が解決されることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明のさび止め油は、炭素数
14以下の炭化水素化合物の含有率が20質量%以下で
あり、且つ40℃における動粘度が20〜2000mm
2/sである鉱油及び/又は合成油を基油として含有す
ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0010】本発明のさび止め油は、炭素数14以下の
炭化水素化合物の含有率が20質量%以下であり、且つ
40℃における動粘度が20〜2000mm2/sであ
る鉱油及び/又は合成油を基油として含有することを特
徴とするものである。
【0011】本発明のさび止め油に用いられる基油は鉱
油及び/又は合成油であり、当該基油中の炭素数14以
下の炭化水素の含有率は20質量%以下であることが必
要であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは
5%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましく
は0.5質量%以下である。炭素数14以下の炭化水素
の含有率が20質量%を超えると有機材料との適合性が
不十分となる。
【0012】また、当該基油においては、炭素数20以
下の炭化水素の含有率が20質量%以下であることが好
ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5
質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下で
あることが更により好ましい。炭素数20以下の炭化水
素の含有率が上記の条件を満たすと、有機材料との適合
性がより高められる傾向にある。
【0013】更に、当該基油においては、炭素数25以
下の炭化水素の含有率が20質量%以下であることが好
ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5
質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下で
あることが更により好ましい。炭素数25以下の炭化水
素の含有率が上記の条件を満たすと、有機材料との適合
性がより高められる傾向にある。
【0014】なお、ここでいう所定の炭素数(14、2
0、25等)を有する炭化水素の含有率とは、それぞれ
ASTM D2887に準拠して測定される値[質量
%]をいう。
【0015】更に、本発明にかかる基油においては、芳
香族分の含有率が50質量%以下であることが好まし
く、40質量%以下であることがより好ましく、30質
量%以下であることが更に好ましい。芳香族分の含有率
が上記の条件を満たすと、有機材料との適合性がより高
められる傾向にある。なお、ここでいう芳香族分とは、
JIS K 2536に記載されている「石油製品−炭
化水素タイプ試験方法」の「蛍光指示薬吸着法(FIA
法)」に準拠して測定される値[質量%]をいう。
【0016】本発明のさび止め油に用いられる基油の4
0℃における動粘度は、有機材料との適合性の点から、
20mm2/s以上であることが必要であり、40mm2
/s以上であることが好ましく、100mm2/s以上
であることがより好ましく、400mm2/s以上であ
ることが更に好ましい。また、当該動粘度は、取り扱い
性の点から、2000mm2/s以下であることが必要
であり、1500mm2/s以下であることが好まし
く、1000mm2/s以下であることがより好まし
く、750mm2/s以下であることが更に好ましい。
【0017】本発明にかかる基油としては、炭素数14
以下の炭化水素の含有率及び40℃における動粘度が上
記の条件を満たす限りにおいて特に制限されないが、鉱
油としては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留
して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽
出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精
製、硫酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製
手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系
又はナフテン系の鉱油等が挙げられる。また、合成油と
しては、ポリオレフィン、アルキルベンゼン等が好適に
使用される。
【0018】本発明において用いられる鉱油は、通常、
ナフテン分、パラフィン分、あるいは更に芳香族分を含
有するものであるが、鉱油中のナフテン分とパラフィン
分との比率は0:1〜5:1の範囲内であることが好ま
しい。
【0019】本発明において使用されるポリオレフィン
としては、炭素数2〜16、好ましくは炭素数2〜12
のオレフィンモノマーを単独重合又は共重合したもの、
並びにこれらの重合体の水素化物等が挙げられる。な
お、ポリオレフィンが構造の異なるオレフィンモノマー
の共重合体である場合、その共重合体におけるモノマー
比やモノマー配列には特に制限はなく、ランダム共重合
体、交互共重合体及びブロック共重合体のうちのいずれ
であってもよい。また、前記オレフィンモノマーは、α
−オレフィン、内部オレフィン、直鎖状オレフィン、分
岐鎖状オレフィンのうちのいずれであってもよい。この
ようなオレフィンモノマーとしては、具体的には、エチ
レン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテ
ン、直鎖状又は分岐鎖状のペンテン(α−オレフィン、
内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のヘキセ
ン(α−オレフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖状
又は分岐鎖状のヘプテン(α−オレフィン、内部オレフ
ィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のオクテン(α−オ
レフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖
状のノネン(α−オレフィン、内部オレフィンを含
む)、直鎖状又は分岐鎖状のデセン(α−オレフィン、
内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のウンデ
セン(α−オレフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖
状又は分岐鎖状のドデセン(α−オレフィン、内部オレ
フィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のトリデセン(α
−オレフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分
岐鎖状のテトラデセン(α−オレフィン、内部オレフィ
ンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のペンタデセン(α−
オレフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐
鎖状のヘキサデセン(α−オレフィン、内部オレフィン
を含む)及びこれらの混合物等が挙げられるが、これら
の中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブ
テン、イソブテン、炭素数5〜12のα−オレフィン及
びこれらの混合物等が好ましく用いられる。さらに、炭
素数5〜12のα−オレフィンの中でも、1−オクテ
ン、1−デセン、1−ドデセン及びこれらの混合物等が
より好ましい。
【0020】上記したポリオレフィンは従来より公知の
製造することができる。具体的には例えば、無触媒によ
る熱反応によって製造することができるほか、過酸化ベ
ンゾイル等の有機過酸化物触媒;塩化アルミニウム、塩
化アルミニウム−多価アルコール系、塩化アルミニウム
−四塩化チタン系、塩化アルミニウム−アルキル錫ハラ
イド系、フッ化ホウ素等のフリーデルクラフツ型触媒;
有機塩化アルミニウム−四塩化チタン系、有機アルミニ
ウム−四塩化チタン系等のチーグラー型触媒;アルミノ
キサン−ジルコノセン系、イオン性化合物−ジルコノセ
ン系等のメタロセン型触媒;塩化アルミニウム−塩基
系、フッ化ホウ素−塩基系等のルイス酸コンプレックス
型触媒、等の公知の触媒を用いて、上記のオレフィンを
単独重合又は共重合させることによって目的のポリオレ
フィンを製造することができる。
【0021】このような方法により得られるポリオレフ
ィンは、通常、二重結合を有しているが、本発明におい
てはこれらのポリオレフィン中の二重結合炭素を水素化
した、いわゆるポリオレフィンの水素化物を基油として
用いることが好ましい。ポリオレフィンの水素化物を用
いると、得られるさび止め油の熱・酸化安定性が向上す
る傾向にある。なお、ポリオレフィンの水素化物は、例
えば、ポリオレフィンを公知の水素化触媒の存在下で水
素で水素化し、ポリオレフィン中に存在する二重結合を
飽和化することによって得ることができる。また、オレ
フィンの重合反応を行う際に、使用する触媒を選択する
ことによって、オレフィンの重合と重合体の水素化とい
った2工程を経ることなく、オレフィンの重合と重合体
中に存在する二重結合の水素化を1工程で完遂させるこ
とも可能である。
【0022】本発明において基油として好適に使用され
るポリオレフィンの中にあって、エチレン−プロピレン
共重合体、ポリブテン(ナフサ熱分解の際に副生するブ
タン−ブテン留分(1−ブテン、2−ブテン及びイソブ
テンの混合物)の重合によって得られる共重合体)、1
−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、1−ド
デセンオリゴマー並びにこれらの水素化物、さらにはこ
れらの混合物等は熱・酸化安定性、粘度−温度特性、低
温流動性に優れている点で好ましく、特にエチレン−プ
ロピレン共重合体水素化物、ポリブテン水素化物、1−
オクテンオリゴマー水素化物、1−デセンオリゴマー水
素化物、1−ドデセンオリゴマー水素化物並びにこれら
の混合物がより好ましい。なお、潤滑油用基油として市
販されているエチレン−プロピレン共重合体、ポリブテ
ン及びポリ−α−オレフィン等の合成油は、通常、その
二重結合が既に水素化されているものであり、本発明に
おいてはこれらの市販品も基油として用いることができ
る。
【0023】また、本発明にかかる基油として好適に使
用されるアルキルベンゼンとしては、分子中に炭素数1
〜40のアルキル基を1〜4個有するものが好ましい。
ここでいう炭素数1〜40のアルキル基としては、具体
的には、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異
性体を含む)、ブチル基(すべての異性体を含む)、ペ
ンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキシル基(すべ
ての異性体を含む)、ヘプチル基(すべての異性体を含
む)、オクチル基(すべての異性体を含む)、ノニル基
(すべての異性体を含む)、デシル基(すべての異性体
を含む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ド
デシル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(す
べての異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性
体を含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含
む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプ
タデシル基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基
(すべての異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異
性体を含む)、イコシル基(すべての異性体を含む)、
ヘンイコシル基(すべての異性体を含む)、ドコシル基
(すべての異性体を含む)、トリコシル基(すべての異
性体を含む)、テトラコシル基(すべての異性体を含
む)、ペンタコシル基(すべての異性体を含む)、ヘキ
サコシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタコシル基
(すべての異性体を含む)、オクタコシル基(すべての
異性体を含む)、ノナコシル基(すべての異性体を含
む)、トリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘ
ントリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ドトリ
アコンチル基(すべての異性体を含む)、トリトリアコ
ンチル基(すべての異性体を含む)、テトラトリアコン
チル基(すべての異性体を含む)、ペンタトリアコンチ
ル基(すべての異性体を含む)、ヘキサトリアコンチル
基(すべての異性体を含む)、ヘプタトリアコンチル基
(すべての異性体を含む)、オクタトリアコンチル基
(すべての異性体を含む)、ノナトリアコンチル基(す
べての異性体を含む)、テトラコンチル基(すべての異
性体を含む)等が挙げられる。また、本発明にかかるア
ルキルベンゼンのアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖
状であってもよいが、安定性、粘度特性等の点から分岐
鎖状のアルキル基が好ましく、特に入手が容易であると
いう点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオ
レフィンのオリゴマーから誘導される分岐鎖状アルキル
基がより好ましい。
【0024】本発明において使用されるアルキルベンゼ
ン中のアルキル基の個数は1〜4個が好ましいが、安定
性、入手可能性の点から1個又は2個のアルキル基を有
するアルキルベンゼン、すなわちモノアルキルベンゼ
ン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物が最も好
ましい。また、アルキルベンゼンとしては、単一の構造
のアルキルベンゼンだけでなく、異なる構造を有するア
ルキルベンゼンの混合物であっても良い。
【0025】本発明にかかるアルキルベンゼンは、例え
ば、芳香族化合物を原料とし、アルキル化剤及びアルキ
ル化触媒を用いて製造することができる。ここで、原料
として使用される芳香族化合物としては、具体的には、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチ
ルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びこれらの混
合物等が挙げられる。またアルキル化剤としては、具体
的には、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン
等の低級モノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合
によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝鎖状
のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素
数6〜40の直鎖状又は分岐鎖状のオレフィン;灯油、
軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを
触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素
数9〜40の直鎖状オレフィン、及びこれらの混合物等
が挙げられる。さらにまた、アルキル化の際のアルキル
化触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のフリ
ーデルクラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステ
ン酸、フッ化水素酸、活性白土等の酸性触媒、等の公知
の触媒が挙げられる。
【0026】本発明のさび止め油は、上記の鉱油及び/
又は合成油を基油として含有するものであるが、必要に
応じて後述する他の基油や添加剤を含有するものであっ
てもよい。なお、本発明のさび止め油が他の基油及び/
又は添加剤を含有する場合、炭素数14以下の炭化水素
の含有率が20質量%以下であり且つ40℃における動
粘度が20〜2000mm2/sである基油の含有量
は、さび止め油全量を基準として5質量%以上であるこ
とが好ましく、10質量%以上であることがより好まし
く、30質量%以上であることが更に好ましく、50質
量%以上であることが更により好ましく、80質量%以
上であることが特に好ましい。当該基油の含有量が前記
下限値未満であると、さび止め性、有機材料との適合
性、取り扱い性の全てをバランスよく満たすことが困難
となる傾向にある。
【0027】本発明のさび止め油は、上記の基油以外の
基油(以下、「その他の基油」という)を含有してもよ
い。その他の基油としては、具体的には、40℃におけ
る動粘度が20mm2/s未満である鉱油及び/又は合
成油が挙げられるが、有機材料との適合性に優れること
から、その他の基油の含有量はさび止め油全量を基準と
して40質量%以下であることが好ましく、20質量%
以下であることがより好ましく、10質量%以下である
ことが更に好ましく、5質量%以下であることが更によ
り好ましく、その他の基油を含有しないことが特に好ま
しい。
【0028】また、本発明のさび止め油を塗布した後に
十分な乾燥工程を設けることが可能である場合には、4
0℃における動粘度が20mm2/s未満である鉱油及
び/又は合成油を用いても、有機材料との適合性が低下
することなく十分なさび止め性を得ることができる。し
かしながら、乾燥工程が設けられる場合であっても、よ
り高い有機材料との適合性を得るために、その他の基油
として40℃における動粘度が0.5〜6mm2/sの
鉱油及び/又は合成油を用いることが好ましい。
【0029】更に、有機材料との適合性の点から、40
℃における動粘度が6mm2/sを超え、20mm2/s
未満である鉱油及び/又は合成油の含有量は、さび止め
油全量を基準として40質量%以下であることが好まし
く、20質量%以下であることがより好ましく、10質
量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であ
ることが更により好ましく、40℃における動粘度が6
mm2/sを超え、20mm2/s未満である鉱油及び/
又は合成油を含有しないことが特に好ましい。
【0030】なお、本発明においては、40℃における
動粘度が0.5〜6mm2/sの基油を溶剤といい、当
該溶剤を含有するさび止め油を溶剤希釈型さび止め油と
いうこととする。
【0031】溶剤希釈型さび止め油に用いられる溶剤と
しては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して
得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、
水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫
酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製手段を
適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナ
フテン系の鉱油、ポリオレフィン、アルキルベンゼン等
の合成油のうち40℃における動粘度が0.5〜6mm
2/sのものが挙げられる。
【0032】溶剤希釈型さび止め油に用いられる溶剤の
40℃における動粘度は、作業環境の点から、好ましく
は0.5mm2/s以上、より好ましくは0.7mm2
s以上、更に好ましくは1mm2/s以上であり、乾燥
性の点から、好ましくは6mm2/s以下、より好まし
くは4mm2/s以下、更に好ましくは2.5mm2/s
以下である。
【0033】また、かかる溶剤中の炭素数16以上の炭
化水素の含有率は、有機材料との適合性の点から、20
質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であ
ることがより好ましく、5質量%以下であることが更に
好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
【0034】更に、かかる溶剤中の炭素数8以下の炭化
水素の含有率は、作業環境がより改善される点から、1
0質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であ
ることがより好ましく、1質量%以下であることが更に
好ましい。
【0035】更にまた、かかる溶剤中の炭素数10以下
の炭化水素の含有率は、作業環境がより改善される点か
ら、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量
%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0036】更にまた、かかる溶剤中の芳香族分の含有
率は、有機材料との適合性の点から、好ましくは90質
量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であ
り、更に好ましくは50質量%以下であり、更により好
ましくは30質量%以下であり、更により一層好ましく
は10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下
であり、芳香族分を含有しないことが最も好ましい。
【0037】更にまた、溶剤として鉱油を用いる場合、
当該鉱油は、通常、ナフテン分、パラフィン分、あるい
は更に芳香族分を含有するものであるが、鉱油中のナフ
テン分とパラフィン分との比率は0:1〜5:1の範囲
内であることが好ましい。
【0038】このように、本発明のさび止め油は、40
℃における動粘度が0.5〜6mm 2/sである溶剤を
含有する溶剤希釈型さび止め油として用いることが可能
であるが、有機材料との適合性の点から、当該溶剤の配
合量は組成物全量基準で10質量%以下であることが好
ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質
量%以下であることが更に好ましく、溶剤を含有しない
ことが特に好ましい。
【0039】本発明のさび止め油においては、上記の基
油のみを単独で用いた場合であっても十分に高い有機材
料との適合性と十分に高いさび止め性との双方を達成す
ることが可能であるが、当該基油に加えて、スルホン酸
アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ土類金属塩(但
し、スルホン酸バリウム塩を除く)及びスルホン酸アミ
ン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のスルホン
酸塩を組成物全量基準で1〜10質量%含有することが
好ましい。このようなスルホン酸塩を用いると、バリウ
ム又は亜鉛系のさび止め剤やアルキルフェノールのアル
キレンオキサイド付加物等の造膜剤を用いずとも十分に
高いさび止め性が達成される傾向にある。
【0040】また、本発明のさび止め油においては、バ
リウム、亜鉛、塩素及び鉛の含有量がそれぞれ元素換算
で組成物全量を基準として1000質量ppm以下であ
ることが好ましい。バリウム、亜鉛、塩素及び鉛の含有
量が前記の範囲内であると、人体や生態系に対する安全
性が向上する傾向にある。
【0041】更に、本発明のさび止め油においては、下
記一般式(1):
【化1】 [式(1)中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を表
し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは1
〜5の整数を表し、nは1〜6の整数を表す]で表され
る基を有する化合物の含有量が組成物全量を基準として
1000質量ppm以下とすることが好ましい。上記一
般式(1)で表される化合物の含有量が前記の範囲内で
あると、人体及び生態系に対する安全性が向上する傾向
にある。
【0042】本発明において好適に用いられるスルホン
酸塩はいずれも人体や生態系に対して十分に高い安全性
を有するものであり、アルカリ金属、アルカリ土類金属
(但し、バリウムを除く)又はアミンとスルホン酸とを
反応させることにより得ることができる。
【0043】ここで、本発明にかかるアルカリ金属とし
てはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属として
はマグネシウム、カルシウム等、がそれぞれ挙げられ、
これらの中でもナトリウム、カリウム、カルシウムが好
ましい。
【0044】また、本発明にかかるアミンとしては、モ
ノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げら
れる。前記モノアミンとしては、具体的には、モノメチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエ
チルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ
プロピルアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルア
ミン(全ての異性体を含む)、トリプロピルアミン(全
ての異性体を含む)、モノブチルアミン(全ての異性体
を含む)、ジブチルアミン(全ての異性体を含む)、ト
リブチルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンチル
アミン(全ての異性体を含む)、ジペンチルアミン(全
ての異性体を含む)、トリペンチルアミン(全ての異性
体を含む)、モノヘキシルアミン(全ての異性体を含
む)、ジヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、モノ
ヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプチルア
ミン(全ての異性体を含む)、モノオクチルアミン(全
ての異性体を含む)、ジオクチルアミン(全ての異性体
を含む)、モノノニルアミン(全ての異性体を含む)、
モノデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデ
シル(全ての異性体を含む)、モノドデシルアミン(全
ての異性体を含む)、モノトリデシルアミン(全ての異
性体を含む)、モノテトラデシルアミン(全ての異性体
を含む)、モノペンタデシルアミン(全ての異性体を含
む)、モノヘキサデシルアミン(全ての異性体を含
む)、モノヘプタデシルアミン(全ての異性体を含
む)、モノオクタデシルアミン(全ての異性体を含
む)、モノノナデシルアミン(全ての異性体を含む)、
モノイコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘン
イコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノドコシル
アミン(全ての異性体を含む)、モノトリコシルアミン
(全ての異性体を含む)、ジメチル(エチル)アミン、
ジメチル(プロピル)アミン(全ての異性体を含む)、
ジメチル(ブチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(ペンチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(ヘキシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(ヘプチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(オクチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(ノニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(デシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチ
ル(ウンデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(ドデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(トリデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(テトラデシル)アミン(全ての異性体を含
む)、ジメチル(ペンタデシル)アミン(全ての異性体
を含む)、ジメチル(ヘキサデシル)アミン(全ての異
性体を含む)、ジメチル(ヘプタデシル)アミン(全て
の異性体を含む)、ジメチル(オクタデシル)アミン
(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノナデシル)アミ
ン(全ての異性体を含む)、ジメチル(イコシル)アミ
ン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘンイコシル)
アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリコシ
ル)アミン(全ての異性体を含む)等のアルキルアミ
ン;モノビニルアミン、ジビニルアミン、トリビニルア
ミン、モノプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、
ジプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、トリプロ
ペニルアミン(全ての異性体を含む)、モノブテニルア
ミン(全ての異性体を含む)、ジブテニルアミン(全て
の異性体を含む)、トリブテニルアミン(全ての異性体
を含む)、モノペンテニルアミン(全ての異性体を含
む)、ジペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、ト
リペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキ
セニルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキセニルア
ミン(全ての異性体を含む)、モノヘプテニルアミン
(全ての異性体を含む)、ジヘプテニルアミン(全ての
異性体を含む)、モノオクテニルアミン(全ての異性体
を含む)、ジオクテニルアミン(全ての異性体を含
む)、モノノネニルアミン(全ての異性体を含む)、モ
ノデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデ
セニル(全ての異性体を含む)、モノドデセニルアミン
(全ての異性体を含む)、モノトリデセニルアミン(全
ての異性体を含む)、モノテトラデセニルアミン(全て
の異性体を含む)、モノペンタデセニルアミン(全ての
異性体を含む)、モノヘキサデセニルアミン(全ての異
性体を含む)、モノヘプタデセニルアミン(全ての異性
体を含む)、モノオクタデセニルアミン(全ての異性体
を含む)、モノノナデセニルアミン(全ての異性体を含
む)、モノイコセニルアミン(全ての異性体を含む)、
モノヘンイコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モ
ノドコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリ
コセニルアミン(全ての異性体を含む)等のアルケニル
アミン;ジメチル(ビニル)アミン、ジメチル(プロペ
ニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ブテ
ニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペン
テニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘ
キセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル
(ヘプテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチ
ル(オクテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(ノネニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(デセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(ウンデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、
ジメチル(ドデセニル)アミン(全ての異性体を含
む)、ジメチル(トリデセニル)アミン(全ての異性体
を含む)、ジメチル(テトラデセニル)アミン(全ての
異性体を含む)、ジメチル(ペンタデセニル)アミン
(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキサデセニル)
アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプタデセ
ニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オク
タデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル
(ノナデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメ
チル(イコセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジ
メチル(ヘンイコセニル)アミン(全ての異性体を含
む)、ジメチル(トリコセニル)アミン(全ての異性体
を含む)等のアルキル基及びアルケニル基を有するモノ
アミン;モノベンジルアミン、(1−フェニルチル)ア
ミン、(2−フェニルエチル)アミン(別名:モノフェ
ネチルアミン)、ジベンジルアミン、ビス(1−フェニ
エチル)アミン、ビス(2−フェニルエチレン)アミン
(別名:ジフェネチルアミン)等の芳香族置換アルキル
アミン;モノシクロペンチルアミン、ジシクロペンチル
アミン、トリシクロペンチルアミン、モノシクロヘキシ
ルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノシクロヘプチ
ルアミン、ジシクロヘプチルアミン等の炭素数5〜16
のシクロアルキルアミン;ジメチル(シクロペンチル)
アミン、ジメチル(シクロヘキシル)アミン、ジメチル
(シクロヘプチル)アミン等のアルキル基及びシクロア
ルキル基を有するモノアミン;(メチルシクロペンチ
ル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチル
シクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、
(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体
を含む)、ビス(ジメチルシクロペンチル)アミン(全
ての置換異性体を含む)、(エチルシクロペンチル)ア
ミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロ
ペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチ
ルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を
含む)、ビス(メチルエチルシクロペンチル)アミン
(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロペンチ
ル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシク
ロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス
(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を
含む)、(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置
換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロヘキシル)ア
ミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘキ
シル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチ
ルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含
む)、(メチルエチルシクロヘキシル)アミン(全ての
置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘキシル)アミ
ン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘプチ
ル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチル
シクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、
(ジメチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体
を含む)、(エチルシクロヘプチルアミン(全ての置換
異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘプチル)アミ
ン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘプ
チル)アミン(全ての置換異性体を含む)等のアルキル
シクロアルキルアミン、等が挙げられる。また、本発明
にかかるモノアミンには、油脂から誘導されるモノアミ
ン(牛脂アミン等)も含まれる。
【0045】また、本発明にかかるポリアミンとして
は、具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタ
ミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロピレンジアミ
ン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミ
ン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘ
キサミン、ブチレンジアミン、ジブチレントリアミン、
トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、
ペンタブチレンヘキサミン等のアルキレンポリアミン;
N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジア
ミン、N−プロピルエチレンジアミン(全ての異性体を
含む)、N−ブチルエチレンジアミン(全ての異性体を
含む)、N−ペンチルエチレンジアミン(全ての異性体
を含む)、N−ヘキシルエチレンジアミン(全ての異性
体を含む)、N−ヘプチルエチレンジアミン(全ての異
性体を含む)、N−オクチルエチレンジアミン(全ての
異性体を含む)、N−ノニルエチレンジアミン(全ての
異性体を含む)、N−デシルエチレンジアミン(全ての
異性体を含む)、N−ウンデシル(全ての異性体を含
む)、N−ドデシルエチレンジアミン(全ての異性体を
含む)、N−トリデシルエチレンジアミン(全ての異性
体を含む)、N−テトラデシルエチレンジアミン(全て
の異性体を含む)、N−ペンタデシルエチレンジアミン
(全ての異性体を含む)、N−ヘキサデシルエチレンジ
アミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプタデシルエチ
レンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクタデシ
ルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノナ
デシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−
イコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N
−ヘンイコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含
む)、N−ドコシルエチレンジアミン(全ての異性体を
含む)、N−トリコシルエチレンジアミン(全ての異性
体を含む)等のN−アルキルエチレンジアミン;N−ビ
ニルエチレンジアミン、N−プロペニルエチレンジアミ
ン(全ての異性体を含む)、N−ブテニルエチレンジア
ミン(全ての異性体を含む)、N−ペンテニルエチレン
ジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキセニルエチ
レンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプテニル
エチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクテ
ニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノ
ネニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−
デセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N
−ウンデセニル(全ての異性体を含む)、N−ドデセニ
ルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリ
デセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N
−テトラデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含
む)、N−ペンタデセニルエチレンジアミン(全ての異
性体を含む)、N−ヘキサデセニルエチレンジアミン
(全ての異性体を含む)、N−ヘプタデセニルエチレン
ジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクタデセニル
エチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノナデ
セニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−
イコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、
N−ヘンイコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を
含む)、N−ドコセニルエチレンジアミン(全ての異性
体を含む)、N−トリコセニルエチレンジアミン(全て
の異性体を含む)等のN−アルケニルエチレンジアミ
ン;N−アルキルジエチレントリアミン、N−アルケニ
ルジエチレントリアミン、N−アルキルトリエチレンテ
トラミン、N−アルケニルトリエチレンテトラミン、N
−アルキルテトラエチレンペンタミン、N−アルケニル
テトラエチレンペンタミン、N−アルキルペンタエチレ
ンヘキサミン、N−アルケニルペンタエチレンヘキサミ
ン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルケニル
プロピレンジアミン、N−アルキルジプロピレントリア
ミン、N−アルケニルジプロピレントリアミン、N−ア
ルキルトリプロピレンテトラミン、N−アルケニルトリ
プロピレンテトラミン、N−アルキルテトラプロピレン
ペンタミン、N−アルケニルテトラプロピレンペンタミ
ン、N−アルキルペンタプロピレンヘキサミン、N−ア
ルケニルペンタプロピレンヘキサミン、N−アルキルブ
チレンジアミン、N−アルケニルブチレンジアミン、N
−アルキルジブチレントリアミン、N−アルケニルジブ
チレントリアミン、N−アルキルトリブチレンテトラミ
ン、N−アルケニルトリブチレンテトラミン、N−アル
キルテトラブチレンペンタミン、N−アルケニルテトラ
ブチレンペンタミン、N−アルキルペンタブチレンヘキ
サミン、N−アルケニルペンタブチレンヘキサミン等の
N−アルキルまたはN−アルケニルアルキレンポリアミ
ン、等が挙げられる。また、本発明にかかるポリアミン
には油脂から誘導されるポリアミン(牛脂ポリアミン
等)も含まれる。
【0046】さらに、本発明にかかるアルカノールアミ
ンとしては、具体的には、モノメタノールアミン、ジメ
タノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、モノ(n−プロパノール)アミン、ジ(n−プロパ
ノール)アミン、トリ(n−プロパノール)アミン、モ
ノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミ
ン、トリイソプロパノールアミン、モノブタノールアミ
ン(全ての異性体を含む)、ジブタノールアミン(全て
の異性体を含む)、トリブタノールアミン(全ての異性
体を含む)、モノペンタノールアミン(全ての異性体を
含む)、ジペンタノールアミン(全ての異性体を含
む)、トリペンタノールアミン(全ての異性体を含
む)、モノヘキサノールアミン(全ての異性体を含
む)、ジヘキサノールアミン(全ての異性体を含む)、
モノヘプタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジヘ
プタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタ
ノールアミン(全ての異性体を含む)、モノノナノール
アミン(全ての異性体を含む)、モノデカノールアミン
(全ての異性体を含む)、モノウンデカノールアミン
(全ての異性体を含む)、モノドデカノールアミン(全
ての異性体を含む)、モノトリデカノールアミン(全て
の異性体を含む)、モノテトラデカノールアミン(全て
の異性体を含む)、モノペンタデカノールアミン(全て
の異性体を含む)、モノヘキサデカノールアミン(全て
の異性体を含む)、ジエチルモノエタノールアミン、ジ
エチルモノプロパノールアミン(全ての異性体を含
む)、ジエチルモノブタノールアミン(全ての異性体を
含む)、ジエチルモノペンタノールアミン(全ての異性
体を含む)、ジプロピルモノエタノールアミン(全ての
異性体を含む)、ジプロピルモノプロパノールアミン
(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノブタノールア
ミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルモノペンタノ
ールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノエタ
ノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモノプ
ロパノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルモ
ノブタノールアミン(全ての異性体を含む)、ジブチル
モノペンタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノ
エチルジエタノールアミン、モノエチルジプロパノール
アミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジブタノー
ルアミン(全ての異性体を含む)、モノエチルジペンタ
ノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピルジ
エタノールアミン(全ての異性体を含む)、モノプロピ
ルジプロパノールアミン(全ての異性体を含む)、モノ
プロピルジブタノールアミン(全ての異性体を含む)、
モノプロピルジペンタノールアミン(全ての異性体を含
む)、モノブチルジエタノールアミン(全ての異性体を
含む)、モノブチルジプロパノールアミン(全ての異性
体を含む)、モノブチルジブタノールアミン(全ての異
性体を含む)、モノブチルジペンタノールアミン(全て
の異性体を含む)等、モノシクロヘキシルモノエタノー
ルアミン、モノシクロヘキシルジエタノールアミン、モ
ノシクロヘキシルモノプロパノールアミン(全ての異性
体を含む)、モノシクロヘキシルジプロパノールアミン
(全ての異性体を含む)が挙げられる。
【0047】上記したアミンの中でも、モノアミンは耐
ステイン性が良好であるという点で好ましく、モノアミ
ンの中でもアルキルアミン、アルキル基及びアルケニル
基を有するモノアミン、アルキル基及びシクロアルキル
基を有するモノアミン、シクロアルキルアミン並びにア
ルキルシクロアルキルアミンがより好ましい。また、ア
ミン分子中の合計炭素数が3以上のアミンは耐ステイン
性が良好であるという点で好ましく、合計炭素数が5以
上のアミンがより好ましい。
【0048】他方、本発明にかかるスルホン酸は、常法
によって製造された従来より公知のものを使用すること
ができる。具体的には、一般に鉱油の潤滑油留分のアル
キル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイ
ル製造時に副生するいわゆるマホガニー酸等の石油スル
ホン酸、あるいは洗剤等の原料となるアルキルベンゼン
製造プラントから副生したりポリオレフィンをベンゼン
にアルキル化することにより得られる、直鎖状や分岐鎖
状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化
したものやジノニルナフタレン等のアルキルナフタレン
をスルホン化したもの等の合成スルホン酸等、が挙げら
れる。これらのスルホン酸の分子量について特に制限は
ないが、好ましくは100〜1500、より好ましくは
200〜700のものが使用される。
【0049】上記のスルホン酸の中でも、ナフタレン環
に結合する2つのアルキル基の総炭素数が14〜30で
あるジアルキルナフタレンスルホン酸;ベンゼン環に結
合する2つのアルキル基がそれぞれ直鎖アルキル基又は
側鎖メチル基を1個有する分岐鎖状アルキル基であり、
且つ2つのアルキル基の総炭素数が14〜30であるジ
アルキルベンゼンスルホン酸;及びベンゼン環に結合す
るアルキルの炭素数が15以上であるモノアルキルベン
ゼンスルホン酸、からなる群より選ばれる少なくとも1
種を用いることが好ましい。
【0050】本発明において好適に使用されるジアルキ
ルナフタレンスルホン酸は、前述の通り、ナフタレン環
に結合する2つのアルキル基の総炭素数が14〜30の
ものである。2つのアルキル基の総炭素数が14未満で
あると抗乳化性が不十分となる傾向にあり、他方30を
超えると得られるさび止め油の貯蔵安定性が低下する傾
向にある。なお、2つのアルキル基はそれぞれ直鎖状で
あっても分岐鎖状であってもよい。また、2つのアルキ
ル基の総炭素数が14〜30であれば各アルキル基の炭
素数について特に制限はないが、各アルキル基の炭素数
はそれぞれ6〜18であることが好ましい。
【0051】また、本発明において好適に使用されるジ
アルキルベンゼンスルホン酸は、前述の通り、ベンゼン
環に結合する2つのアルキル基がそれぞれ直鎖アルキル
基又は側鎖メチル基を1個有する分岐鎖状アルキル基で
あり、且つ2つのアルキル基の総炭素数が14〜30の
ものである。モノアルキルベンゼンスルホン酸の場合は
後述するようにアルキル基の炭素数が15以上であれば
好適に使用することができるが、アルキル基の炭素数が
15未満のモノアルキルベンゼンスルホン酸を用いると
さび止め油の貯蔵安定性が低下する傾向にある。また、
3個以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホ
ン酸を用いた場合にもさび止め油の貯蔵安定性が低下す
る傾向にある。さらに、ジアルキルベンゼンスルホン酸
のベンゼン環に結合するアルキル基が側鎖メチル基以外
の分岐構造を持つ分岐鎖状アルキル基(例えば、側鎖エ
チル基を有する分岐鎖状アルキル基、等)や2つ以上の
分岐構造を有する分岐鎖状アルキル基(例えば、プロピ
レンのオリゴマーから誘導される分岐鎖状アルキル基
等)であると、人体又は生態系に悪影響を及ぼす恐れが
あり、また、さび止め性が不十分となる傾向にある。さ
らにまた、ジアルキルベンゼンスルホン酸のベンゼン環
に結合する2つのアルキル基の総炭素数が14未満であ
ると抗乳化性が低下する傾向にあり、他方、30を超え
るとさび止め油の貯蔵安定性が低下する傾向にある。な
お、ベンゼン環に結合する2つのアルキル基の総炭素数
が14〜30であれば各アルキル基の炭素数については
特に限定はないが、各アルキル基の炭素数はそれぞれ6
〜18であることが好ましい。
【0052】さらに、本発明において好適に使用される
モノアルキルベンゼンスルホン酸は、前述の通り、ベン
ゼン環に結合する1つのアルキル基の炭素数が15以上
のものである。ベンゼン環に結合するアルキル基の炭素
数が15未満であると、得られるさび止め油の貯蔵安定
性が低下する傾向にある。また、ベンゼン環に結合する
アルキル基は、その炭素数が15以上であれば直鎖状で
あっても分岐鎖状であってもよい。
【0053】上記の原料を用いて得られるスルホン酸塩
としては、具体的には以下のものが挙げられる。すなわ
ち、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸
化物等)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属
の酸化物や水酸化物等)又はアミン(アンモニア、アル
キルアミンやアルカノールアミン等)とスルホン酸とを
反応させることにより得られる中性(正塩)スルホネー
ト;上記の中性(正塩)スルホネートと、過剰のアルカ
リ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを水
の存在下で加熱することにより得られる塩基性スルホン
酸塩;炭酸ガスの存在下で上記の中性(正塩)スルホネ
ートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又
はアミンと反応させることにより得られる炭酸塩過塩基
性(超塩基性)スルホネート;上記の中性(正塩)スル
ホネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩
基又はアミン並びにホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化
合物との反応、あるいは上記の炭酸塩過塩基性(超塩基
性)スルホネートとホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化
合物との反応によって得られるホウ酸塩過塩基性(超塩
基性)スルフォネート、及びこれらの混合物等が挙げら
れる。
【0054】なお、上記の中性(正塩)スルホネートを
製造する場合、反応促進剤として目的とするスルホン酸
塩と同じアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアミンの
塩化物を添加したり、目的とするスルホネートと異なる
アルカリ金属、アルカリ土類金属又アミンの中性(正
塩)スルホネートを調製した後に目的とするスルホン酸
塩と同じアルカリ金属アルカリ土類金属又はアミンの塩
化物を添加して交換反応を行うことによっても目的のス
ルホン酸塩を得ることが可能である。しかしながら、こ
のような方法により得られるスルホン酸塩には塩化物イ
オンが残存しやすいので、本発明においては、このよう
な方法により得られるスルホン酸塩を用いないか、また
は、得られるスルホン酸塩に水洗などの十分な洗浄処理
を行うことが好ましい。具体的には、スルホン酸塩中の
塩素濃度を200質量ppm以下とすることが好まし
く、100質量ppm以下とすることがより好ましく、
50質量ppm以下とすることが好ましく、25質量p
pm以下とすることが特に好ましい。
【0055】本発明にかかるスルホン酸塩の含有量は、
前述の通りさび止め油全量を基準として1〜10質量%
であることが好ましい。本発明にかかるスルホン酸塩の
含有量が1質量%未満であるとさび止め性が不十分とな
る傾向にある。そして、同様の理由から、スルホン酸塩
の含有量はさび止め油全量を基準として2質量%以上で
あることがより好ましく、4質量%以上であることが更
に好ましい。他方、本発明にかかるスルホン酸塩の含有
量が10質量%を超えると含有量に見合うさび止め性の
向上効果が見られない傾向にある。そして、同様の理由
から、本発明にかかるスルホン酸の含有量は、さび止め
油全量を基準として9質量%以下であることがより好ま
しく、8質量%以下であることが更に好ましい。
【0056】なお、本発明でいうスルホン酸塩の含有量
とは、正味のスルホン酸塩の含有量をいう。すなわち、
中性(正塩)スルホネートの場合はそれ自体の含有量が
スルホン酸塩の含有量であり、塩基性スルホネート、炭
酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート及びホウ酸塩過
塩基性(超塩基性)スルホネートの場合は過剰に含まれ
る塩基性塩を除いた中性(正塩)スルホネートの含有量
がスルホン酸塩の含有量である。
【0057】なお、本発明においては、上記のスルホン
酸塩をキャリアオイルに20〜60質量%程度溶解した
溶液の態様で市販されているものを使用してもよい。こ
のような態様のものを用いる場合は、正味のスルホン酸
塩が所望の配合量となる量の前記溶液(例えば50質量
%溶液の場合は所望の配合量の2倍の質量の前記溶液)
を秤量して配合することにより、所望の配合量に調節す
ることができる。
【0058】本発明のさび止め油においては、バリウ
ム、亜鉛、塩素及び鉛の含有量はそれぞれ元素換算でさ
び止め油全量を基準として1000質量ppm以下であ
ることが好ましい。これらの元素のうちの1つでもその
含有量が1000質量ppmを超える場合には、人体あ
るいは生態系等の環境に対する安全性が不十分となる傾
向にある。そして、同様の理由から、バリウム、亜鉛、
塩素及び鉛の含有量は500質量ppm以下であること
がより好ましく、100質量ppm以下であることが更
に好ましく、50質量ppm以下であることが更により
好ましく、10質量ppm以下であることがより一層好
ましく、5質量ppm以下であることが最も好ましい。
【0059】なお、本発明における元素の含有量とは、
以下の方法によって測定される値をいう。すなわち、バ
リウム、亜鉛および鉛の含有量とは、ASTM D 5185-95 "
Standard Test Method for Determination of Additive
Elements, Wear Metals, and Contaminants in Used L
ubricating Oils and Determination of Selected Elem
ents in Base Oils by Inductively Coupled Plasma At
omic Emission Spectrometry(ICP-AES)";塩素の含有量
とは、"IP PRPOSED METHOD AK/81 Determination of ch
lorine - Microcoulometery oxidative method"、にそ
れぞれ準拠して測定される組成物全量を基準とした含有
量[質量ppm]を意味する。上記の測定方法における
各元素の検出限界は通常1質量ppmである。
【0060】さらに、本発明のさび止め油においては、
下記一般式(1):
【化2】 [式(1)中、R1は炭素数1〜24のアルキル基を表
し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、mは1
〜5の整数を表し、nは1〜6の整数を表す]で表され
る基を有する化合物の含有量が組成物全量を基準として
1000質量ppm以下であることが好ましい。上記一
般式(1)で表される基を有する化合物の含有量が10
00質量ppmを超えると、人体や生態系等の環境に対
する安全性が不十分となる傾向にある。そして、同様の
理由から、上記一般式(1)で表される基を有する化合
物の含有量は500質量ppm以下であることがより好
ましく、100質量ppm以下であることが更に好まし
く、50質量ppm以下であることが更により好まし
く、10質量%以下であることがより一層好ましく、5
質量ppm以下であることが最も好ましい。
【0061】上記一般式(1)で表される基を有する化
合物としては、下記一般式(2)〜(4): A−H (2) A−R3 (3)
【化3】 [式(2)〜(4)中、Aは一般式(1)で表される基
を表し、R3は炭素数1〜24の炭化水素基又は炭素数
1〜24のアシル基を表す]で表される化合物が挙げら
れる。
【0062】なお、バリウム、亜鉛、塩素といった元
素、並びに上記一般式(1)で表される基を有する化合
物が、本発明において使用されるスルホン酸塩や基油な
どの原料に含まれる場合、あるいはさび止め油の製造工
程で混入してしまう場合には、原料又はさび止め油を常
法により精製することによって上記の元素や化合物を除
去することができる。また、本発明において使用される
基油や添加剤の製造工程において、製造設備をその他の
基油や添加剤の製造工程と共用しないこと、共用する場
合には十分な洗浄を行うこと、上記のスルホン酸塩の製
造方法において説明したように塩化物等の含有濃度が低
いスルホン酸塩を使用すること、などの点に留意するこ
とによって、これらの元素や化合物のさび止め油への混
入を防止することができる。
【0063】本発明のさび止め油においては、その優れ
たさび止め性をより向上させるために、さらに下記化合
物(A)〜(F): (A)多価アルコールの部分エステル; (B)酸化ワックスのアルカリ金属塩、酸化ワックスの
アルカリ土類金属(但し、酸化ワックスのバリウム塩を
除く)及び酸化ワックスのアミン塩からなる群より選ば
れる少なくとも1種の酸化ワックス塩; (C)エステル化酸化ワックス; (D)ラノリン脂肪酸のアルカリ金属塩、ラノリン脂肪
酸のアルカリ土類金属(但し、ラノリン脂肪酸のバリウ
ム塩を除く)及びラノリン脂肪酸のアミン塩からなる群
より選ばれる選ばれる少なくとも1種のラノリン脂肪酸
塩; (E)エステル化ラノリン脂肪酸;及び (F)脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ土類
金属塩(但し、脂肪酸のバリウム塩を除く)及び脂肪酸
のアミン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂
肪酸塩、のうちの1種又は2種以上を配合することが好
ましい。
【0064】上記化合物(A)としての多価アルコール
の部分エステルとは、多価アルコール中の水酸基の少な
くとも1個以上がエステル化されておらず水酸基のまま
で残っいるエステルであり、その原料である多価アルコ
ールとしては任意のものが使用可能であるが、分子中の
水酸基の数が好ましくは2〜10個(より好ましくは3
〜6個)であり且つ炭素数が2〜20(より好ましくは
3〜10)である多価アルコールが好適に使用される。
これらの多価アルコールの中でも、グリセリン、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール及びソルビタンからなる群より選ばれる少な
くとも1種の多価アルコールを用いることがより好まし
い。
【0065】他方、部分エステルを構成する酸として
は、任意のものが用いられるが、好ましくは炭素数が6
〜24(より好ましくは10〜22)の脂肪酸である。
ここで、本発明において使用される脂肪酸は、飽和脂肪
酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、また直鎖状
脂肪酸であっても分岐鎖状脂肪酸であってもよい。この
ような脂肪酸としては、具体的には、ヘキサン酸(全て
の異性体を含む)、ヘプタン酸(全ての異性体を含
む)、オクタン酸(全ての異性体を含む)、ノナン酸
(全ての異性体を含む)、デカン酸(全ての異性体を含
む)、ウンデカン酸(全ての異性体を含む)、ドデカン
酸(全ての異性体を含む)、トリデカン酸(全ての異性
体を含む)、テトラデカン酸(全ての異性体を含む)、
ペンタデカン酸(全ての異性体を含む)、ヘキサデカン
酸(全ての異性体を含む)、ヘプタデカン酸(全ての異
性体を含む)、オクタデカン酸(全ての異性体を含
む)、ノナデカン酸(全ての異性体を含む)、イコサン
酸(全ての異性体を含む)、ヘンイコサン酸(全ての異
性体を含む)、ドコサン酸(全ての異性体を含む)、ト
リコサン酸(全ての異性体を含む)、テトラコサン酸
(全ての異性体を含む)等の飽和脂肪酸;ヘキセン酸
(全ての異性体を含む)、ヘプテン酸(全ての異性体を
含む)、オクテン酸(全ての異性体を含む)、ノネン酸
(全ての異性体を含む)、デセン酸(全ての異性体を含
む)、ウンデセン酸(全ての異性体を含む)、ドデセン
酸(全ての異性体を含む)、トリデセン酸(全ての異性
体を含む)、テトラデセン酸(全ての異性体を含む)、
ペンタデセン酸(全ての異性体を含む)、ヘキサデセン
酸(全ての異性体を含む)、ヘプタデセン酸(全ての異
性体を含む)、オクタデセン酸(全ての異性体を含
む)、ノナデセン酸(全ての異性体を含む)、イコセン
酸(全ての異性体を含む)、ヘンイコセン酸(全ての異
性体を含む)、ドコセン酸(全ての異性体を含む)、ト
リコセン酸(全ての異性体を含む)、テトラコセン酸
(全ての異性体を含む)等の不飽和脂肪酸;およびこれ
らの混合物等が挙げられる。
【0066】上記の多価アルコールと上記の酸とを用い
て得られる多価アルコールの部分エステルとしては、具
体的には、グリセリンモノドデカノエート(グリセリン
モノラウレート)、グリセリンモノイソラウレート、グ
リセリンジドデカノエート(グリセリンジラウレー
ト)、グリセリンジイソラウレート、グリセリンモノテ
トラデカノエート(グリセリンモノミリステート)、グ
リセリンモノイソミリステート、グリセリンジテトラデ
カノエート(グリセリンジミリステート)、グリセリン
ジイソミリステート、グリセリンモノヘキサデカノエー
ト(グリセリンモノパルミテート)、グリセリンモノイ
ソパルミテート、グリセリンジヘキサデカノエート(グ
リセリンジパルミテート)、グリセリンジイソパルミテ
ート、グリセリンモノオクタデカノエート(グリセリン
モノステアレート)、グリセリンモノイソステアレー
ト、グリセリンジオクタデカノエート(グリセリンジス
テアレート)、グリセリンジイソステアレート、グリセ
リンモノオクタデセノエート(グリセリンモノオレエー
ト)、グリセリンモノイソオレエート、グリセリンジオ
クタデセノエート(グリセリンジオレエート)、グリセ
リンジイソオレエート等のグリセリン部分エステル;ト
リメチロールエタンモノドデカノエート(トリメチロー
ルエタンモノラウレート)、トリメチロールエタンモノ
イソラウレート、トリメチロールエタンジドデカノエー
ト(トリメチロールエタンジラウレート)、トリメチロ
ールエタンジイソラウレート、トリメチロールエタンモ
ノテトラデカノエート(トリメチロールエタンモノミリ
ステート)、トリメチロールエタンモノイソミリステー
ト、トリメチロールエタンジテトラデカノエート(トリ
メチロールエタンジミリステート)、トリメチロールエ
タンジイソミリステート、トリメチロールエタンモノヘ
キサデカノエート(トリメチロールエタンモノパルミテ
ート)、トリメチロールエタンモノイソパルミテート、
トリメチロールエタンジヘキサデカノエート(トリメチ
ロールエタンジパルミテート)、トリメチロールエタン
ジイソパルミテート、トリメチロールエタンモノオクタ
デカノエート(トリメチロールエタンモノステアレー
ト)、トリメチロールエタンモノイソステアレート、ト
リメチロールエタンジオクタデカノエート(トリメチロ
ールエタンジステアレート)、トリメチロールエタンジ
イソステアレート、トリメチロールエタンモノオクタデ
セノエート(トリメチロールエタンモノオレエート)、
トリメチロールエタンモノイソオレエート、トリメチロ
ールエタンジオクタデセノエート(トリメチロールエタ
ンジオレエート)、トリメチロールエタンジイソオレエ
ート等のトリメチロールエタン部分エステル;トリメチ
ロールプロパンモノドデカノエート(トリメチロールプ
ロパンモノラウレート)、トリメチロールプロパンモノ
イソラウレート、トリメチロールプロパンジドデカノエ
ート(トリメチロールプロパンジラウレート)、トリメ
チロールプロパンジイソラウレート、トリメチロールプ
ロパンモノテトラデカノエート(トリメチロールプロパ
ンモノミリステート)、トリメチロールプロパンモノイ
ソミリステート、トリメチロールプロパンジテトラデカ
ノエート(トリメチロールプロパンジミリステート)、
トリメチロールプロパンジイソミリステート、トリメチ
ロールプロパンモノヘキサデカノエート(トリメチロー
ルプロパンモノパルミテート)、トリメチロールプロパ
ンモノイソパルミテート、トリメチロールプロパンジヘ
キサデカノエート(トリメチロールプロパンジパルミテ
ート)、トリメチロールプロパンジイソパルミテート、
トリメチロールプロパンモノオクタデカノエート(トリ
メチロールプロパンモノステアレート)、トリメチロー
ルプロパンモノイソステアレート、トリメチロールプロ
パンジオクタデカノエート(トリメチロールプロパンジ
ステアレート)、トリメチロールプロパンジイソステア
レート、トリメチロールプロパンモノオクタデセノエー
ト(トリメチロールプロパンモノオレエート)、トリメ
チロールプロパンモノイソオレエート、トリメチロール
プロパンジオクタデセノエート(トリメチロールプロパ
ンジオレエート)、トリメチロールプロパンジイソオレ
エート等のトリメチロールプロパン部分エステル;ペン
タエリスリトールモノドデカノエート(ペンタエリスリ
トールモノラウレート)、ペンタエリスリトールモノイ
ソラウレート、ペンタエリスリトールジドデカノエート
(ペンタエリスリトールジラウレート)、ペンタエリス
リトールジイソラウレート、ペンタエリスリトールトリ
ドデカノエート(ペンタエリスリトールトリラウレー
ト)、ペンタエリスリトールトリイソラウレート、ペン
タエリスリトールモノテトラデカノエート(ペンタエリ
スリトールモノミリステート)、ペンタエリスリトール
モノイソミリステート、ペンタエリスリトールジテトラ
デカノエート(ペンタエリスリトールジミリステー
ト)、ペンタエリスリトールジイソミリステート、ペン
タエリスリトールトリテトラデカノエート(ペンタエリ
スリトールトリミリステート)、ペンタエリスリトール
トリイソミリステート、ペンタエリスリトールモノヘキ
サデカノエート(ペンタエリスリトールモノパルミテー
ト)、ペンタエリスリトールモノイソパルミテート、ペ
ンタエリスリトールジヘキサデカノエート(ペンタエリ
スリトールジパルミテート)、ペンタエリスリトールジ
イソパルミテート、ペンタエリスリトールトリヘキサデ
カノエート(ペンタエリスリトールトリパルミテー
ト)、ペンタエリスリトールトリイソパルミテート、ペ
ンタエリスリトールモノオクタデカノエート(ペンタエ
リスリトールモノステアレート)、ペンタエリスリトー
ルモノイソステアレート、ペンタエリスリトールジオク
タデカノエート(ペンタエリスリトールジステアレー
ト)、ペンタエリスリトールジイソステアレート、ペン
タエリスリトールトリオクタデカノエート(ペンタエリ
スリトールトリステアレート)、ペンタエリスリトール
トリイソステアレート、ペンタエリスリトールモノオク
タデセノエート(ペンタエリスリトールモノオレエー
ト)、ペンタエリスリトールモノイソオレエート、ペン
タエリスリトールジオクタデセノエート(ペンタエリス
リトールジオレエート)、ペンタエリスリトールジイソ
オレエート、ペンタエリスリトールトリオクタデセノエ
ート(ペンタエリスリトールトリオレエート)、ペンタ
エリスリトールトリイソオレエート等のペンタエリスリ
トール部分エステル;ソルビタンモノドデカノエート
(ソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノイソラ
ウレート、ソルビタンジドデカノエート(ソルビタンジ
ラウレート)、ソルビタンジイソラウレート、ソルビタ
ントリドデカノエート(ソルビタントリラウレート)、
ソルビタントリイソラウレート、ソルビタンモノテトラ
デカノエート(ソルビタンモノミリステート)、ソルビ
タンモノイソミリステート、ソルビタンジテトラデカノ
エート(ソルビタンジミリステート)、ソルビタンジイ
ソミリステート、ソルビタントリテトラデカノエート
(ソルビタントリミリステート)、ソルビタントリイソ
ミリステート、ソルビタンモノヘキサデカノエート(ソ
ルビタンモノパルミテート)、ソルビタンモノイソパル
ミテート、ソルビタンジヘキサデカノエート(ソルビタ
ンジパルミテート)、ソルビタンジイソパルミテート、
ソルビタントリヘキサデカノエート(ソルビタントリパ
ルミテート)、ソルビタントリイソパルミテート、ソル
ビタンモノオクタデカノエート(ソルビタンモノステア
レート)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタ
ンジオクタデカノエート(ソルビタンジステアレー
ト)、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリ
オクタデカノエート(ソルビタントリステアレート)、
ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオク
タデセノエート(ソルビタンモノオレエート)、ソルビ
タンモノイソオレエート、ソルビタンジオクタデセノエ
ート(ソルビタンジオレエート)、ソルビタンジイソオ
レエート、ソルビタントリオクタデセノエート(ソルビ
タントリオレエート)、ソルビタントリイソオレエート
等のソルビタン部分エステル、又はこれらの混合物等が
好ましく用いられる。これらの中でも、特にモノエステ
ルであるグリセリンモノドデカノエート(グリセリンモ
ノラウレート)、グリセリンモノイソラウレート、グリ
セリンモノテトラデカノエート(グリセリンモノミリス
テート)、グリセリンモノイソミリステート、グリセリ
ンモノヘキサデカノエート(グリセリンモノパルミテー
ト)、グリセリンモノイソパルミテート、グリセリンモ
ノオクタデカノエート(グリセリンモノステアレー
ト)、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモ
ノオクタデセノエート(グリセリンモノオレエート)、
グリセリンモノイソオレエート;トリメチロールエタン
モノドデカノエート(トリメチロールエタンモノラウレ
ート)、トリメチロールエタンモノイソラウレート、ト
リメチロールエタンモノテトラデカノエート(トリメチ
ロールエタンモノミリステート)、トリメチロールエタ
ンモノイソミリステート、トリメチロールエタンモノヘ
キサデカノエート(トリメチロールエタンモノパルミテ
ート)、トリメチロールエタンモノイソパルミテート、
トリメチロールエタンモノオクタデカノエート(トリメ
チロールエタンモノステアレート)、トリメチロールエ
タンモノイソステアレート、トリメチロールエタンモノ
オクタデセノエート(トリメチロールエタンモノオレエ
ート)、トリメチロールエタンモノイソオレエート;ト
リメチロールプロパンモノドデカノエート(トリメチロ
ールプロパンモノラウレート)、トリメチロールプロパ
ンモノイソラウレート、トリメチロールプロパンモノテ
トラデカノエート(トリメチロールプロパンモノミリス
テート)、トリメチロールプロパンモノイソミリステー
ト、トリメチロールプロパンモノヘキサデカノエート
(トリメチロールプロパンモノパルミテート)、トリメ
チロールプロパンモノイソパルミテート、トリメチロー
ルプロパンモノオクタデカノエート(トリメチロールプ
ロパンモノステアレート)、トリメチロールプロパンモ
ノイソステアレート、トリメチロールプロパンモノオク
タデセノエート(トリメチロールプロパンモノオレエー
ト)、トリメチロールプロパンモノイソオレエート;ペ
ンタエリスリトールモノドデカノエート(ペンタエリス
リトールモノラウレート)、ペンタエリスリトールモノ
イソラウレート、ペンタエリスリトールモノテトラデカ
ノエート(ペンタエリスリトールモノミリステート)、
ペンタエリスリトールモノイソミリステート、ペンタエ
リスリトールモノヘキサデカノエート(ペンタエリスリ
トールモノパルミテート)、ペンタエリスリトールモノ
イソパルミテート、ペンタエリスリトールモノオクタデ
カノエート(ペンタエリスリトールモノステアレー
ト)、ペンタエリスリトールモノイソステアレート、ペ
ンタエリスリトールモノオクタデセノエート(ペンタエ
リスリトールモノオレエート)、ペンタエリスリトール
モノイソオレエート;ソルビタンモノドデカノエート
(ソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノイソラ
ウレート、ソルビタンモノテトラデカノエート(ソルビ
タンモノミリステート)、ソルビタンモノイソミリステ
ート、ソルビタンモノヘキサデカノエート(ソルビタン
モノパルミテート)、ソルビタンモノイソパルミテー
ト、ソルビタンモノオクタデカノエート(ソルビタンモ
ノステアレート)、ソルビタンモノイソステアレート、
ソルビタンモノオクタデセノエート(ソルビタンモノオ
レエート)、ソルビタンモノイソオレエート、又はこれ
らの混合物等を用いることが好ましい。
【0067】上記化合物(B)の酸化ワックス塩とは、
酸化ワックスと、アルカリ金属、アルカリ土類金属(但
し、バリウムを除く)およびアミンの中から選ばれる少
なくとも1種と、を反応させ、酸化ワックスが有する酸
性基の一部または全部を中和して塩としたものをいう。
ここで、前記酸化ワックス塩の原料として使用される酸
化ワックスとしては特に制限されないが、具体的には例
えば、石油留分の精製の際に得られるパラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムや合
成により得られるポリオレフィンワックス等のワックス
を酸化することによって製造されるもの等が挙げられ
る。また、原料として使用されるアルカリ金属、アルカ
リ土類金属(但し、バリウムを除く)およびアミンとし
ては特に制限はないが、それぞれ本発明にかかるスルホ
ン酸塩の説明において例示されたアルカリ金属、アルカ
リ土類金属およびアミンであることが好ましい。なお、
酸化ワックスのバリウム塩を用いると、人体や生態系に
対する安全性が不十分となる。また、化合物(B)の酸
化ワックス塩がナトリウム塩である場合、貯蔵安定性の
点から、本発明にかかるスルホン酸塩はナトリウム塩で
あることが好ましい。
【0068】上記化合物(C)のエステル化酸化ワック
スとは、酸化ワックスとアルコール類とを反応させ、酸
化ワックスが有する酸性基の一部または全部をエステル
化させたものをいう。ここで、前記エステル化酸化ワッ
クスの原料として使用される酸化ワックスとしては、上
記化合物(B)の説明において例示された酸化ワック
ス;アルコール類としては、炭素数1〜20の直鎖状ま
たは分岐状の飽和1価アルコール、炭素数1〜20の直
鎖状または分岐状の不飽和1価アルコール、炭素数3〜
10の2〜6価アルコール、ラノリンの加水分解により
得られるアルコール等、がそれぞれ挙げられる。
【0069】上記化合物(D)のラノリン脂肪酸塩と
は、羊の毛に付着するろう状物質を精製(加水分解等)
して得られたラノリン脂肪酸と、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属(但し、バリウムを除く)およびアミンの中
から選ばれる少なくとも1種とを反応させ、ラノリン脂
肪酸が有する酸性基の一部または全部を中和して塩とし
たものをいう。
【0070】ここで、ラノリン脂肪酸塩の原料として使
用されるアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアミン
としては、それぞれ本発明にかかるスルホン酸塩の説明
において例示されたアルカリ金属、アルカリ土類金属お
よびアミンが挙げられる。なお、ラノリン脂肪酸のバリ
ウム塩を用いると、人体又は生態系に対する安全性が不
十分となる。また、化合物(D)のラノリン脂肪酸塩が
ナトリウム塩である場合、本発明にかかるスルホン酸塩
がナトリウム塩であるとさび止め油の貯蔵安定性が向上
する傾向にあるので好ましい。
【0071】上記化合物(E)のエステル化ラノリン脂
肪酸とは、羊の毛に付着するろう状物質を精製(加水分
解等)して得られたラノリン脂肪酸とアルコールとを反
応させて得られたものを指す。ここで、上記化合物
(E)の原料として使用されるアルコールとしては、上
記のエステル化酸化ワックスの説明において例示された
アルコールが挙げられ、中でも多価アルコールが好まし
く、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、
ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセリンがより
好ましい。
【0072】上記化合物(F)の脂肪酸塩とは、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属(但し、バリウムを除く)お
よびアミンの中から選ばれる少なくとも1種と脂肪酸と
を反応させることによって得られる脂肪酸塩をいう。こ
こで、前記脂肪酸塩の原料として使用されるアルカリ金
属、アルカリ土類金属及びアミンとしては、それぞれ本
発明にかかるスルホン酸塩の説明において例示されたア
ルカリ金属、アルカリ土類金属及びアミン;脂肪酸とし
ては上記化合物(A)の説明において例示された脂肪
酸、がそれぞれ挙げられる。
【0073】本発明のさび止め油においては、上記化合
物(A)〜(F)のうちの1種を単独で使用してもよ
く、2種以上を混合して使用してもよい。しかしなが
ら、より高いさび止め性向上効果が得られることから、
化合物(A)、(C)及び(E)からなる群より選ばれ
る少なくとも1種と、化合物(B)、(D)及び(F)
からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせ
て用いることが好ましい。
【0074】また、上記化合物(A)〜(F)の含有量
も任意であるが、化合物(A)〜(F)の含有量の総和
が組成物全量基準で1〜10質量%であることが好まし
い。化合物(A)〜(F)の含有量の総和が1質量%未
満であるとこれらの成分の添加によるさび止め性向上効
果が得られない傾向にある。そして、同様の理由によ
り、化合物(A)〜(F)の含有量の総和は2質量%以
上であることが好ましく、4質量%以上であることがよ
り好ましい。他方、化合物(A)〜(F)の含有量の総
和が10質量%を超える場合には、配合量に見合うさび
止め性向上効果が得られない傾向にある。そして、同様
の理由により、化合物(A)〜(F)の含有量の総和は
9質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であ
ることがより好ましい。
【0075】また、本発明のさび止め油が上記のスルホ
ン酸塩と化合物(A)〜(F)のうちの1種又は2種以
上とを含有する場合、スルホン酸塩と化合物(A)〜
(F)との配合比は任意であるが、貯蔵安定性の点か
ら、化合物(A)〜(F)の含有量の総和はスルホン酸
塩100重量部に対して500重量部以下であることが
好ましく、400重量部以下であることがより好まし
く、300重量部以下であることが更に好ましく、20
0重量部以下であることが特に好ましい。また、さび止
め性の点から、化合物(A)〜(F)の含有量の総和は
スルホン酸塩100重量部に対して20重量部以上であ
ることが好ましく、25重量部以上であることがより好
ましく、30重量部以上であることが更に好ましく、5
0重量部以上であることが特に好ましい。
【0076】本発明のさび止め油は、必要に応じて他の
添加剤を含有してもよい。ここで、本発明において使用
される他の添加剤としては、具体的には例えば、酸性雰
囲気での暴露さび止め性向上効果が著しいパラフィンワ
ックス;プレス成形性向上効果あるいは潤滑性向上効果
が著しい硫化油脂、硫化エステル、長鎖アルキル亜鉛ジ
チオホスフェート、トリクレジルフォスフェート等のリ
ン酸エステル、豚脂等の油脂、脂肪酸、高級アルコー
ル、炭酸カルシウム、ホウ酸カリウム;酸化防止性能を
向上させるためのフェノール系またはアミン系酸化防止
剤;腐食防止性能を向上させるための腐食防止剤(ベン
ゾトリアゾールまたはその誘導体、チアジアゾール、ベ
ンゾチアゾール等);ジエチレングリコールモノアルキ
ルエーテル等の湿潤剤;アクリルポリマー、パラフィン
ワックス、マイクロワックス、スラックワックス、ポリ
オレフィンワックス、ペトロラタム等の造膜剤;メチル
シリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等
の消泡剤;水溶性腐敗因子を除去するための水及び界面
活性剤、及びこれらの混合物等が挙げられる。また、本
発明にかかるスルホン酸塩以外のさび止め添加剤、具体
的には、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸等に代表されるモ
ノカルボン酸、アルキル又はアルケニルコハク酸(無水
物を含む)及びその誘導体、オレイン酸等の不飽和脂肪
酸の二量体等に代表されるジカルボン酸、ヒドロキシ脂
肪酸、メルカプト脂肪酸、ザルコシン誘導体等に代表さ
れる他の極性基含有カルボン酸、酸化ワックス等のカル
ボン酸類;脂肪酸、ナフテン酸、樹脂酸、アルケニルコ
ハク酸、アミノ酸誘導体等のカルボン酸の金属塩(ナト
リウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉛塩等)やアミン塩(モ
ノアミン塩、牛脂アミン塩、ポリアミン塩、アルカノー
ルアミン塩等)に代表されるカルボン酸塩類;グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖等の
多価アルコールとラウリン酸、オレイン酸等のカルボン
酸とのエステル等に代表されるエステル類;高級脂肪族
アルコール等に代表されるアルコール類;上記スルホン
酸塩の説明において例示されたアミン等のアミン類;リ
ン酸モノエステル、リン酸ジエステル、亜リン酸エステ
ル、これらのアミン塩等に代表される(亜)リン酸誘導
体類;ホウ素化合物等を配合することもできる。なお、
上記の他の添加剤の含有量は任意であるが、これらの添
加剤の含有量の総和はさび止め油全量基準で10質量%
以下であることが好ましい。
【0077】本発明のさび止め油においては、本発明に
かかるスルホン酸塩、化合物(B)、化合物(F)等の
塩基性化合物の他、任意の塩基性化合物を使用すること
ができる。塩基性化合物としては、具体的には、炭酸カ
ルシウムが分散されたCaスルホネート(いわゆる過塩
基性スルホネート)、炭酸マグネシウムが分散されたM
gスルホネート、炭酸カルシウムが分散された酸化パラ
フィンのCa塩系添加剤、炭酸カルシウムが分散された
ラノリン系添加剤、アミン類(例えば上記のアミン)、
酸化パラフィンのCa塩又はラノリン脂肪酸のCa塩に
含有されるカルボン酸Ca塩、工業用に合成されたほぼ
純粋なカルボン酸をCa塩化したもの、アルケニルコハ
ク酸とエチレンジアミンとから誘導される無敗分散剤等
が挙げられる。
【0078】本発明のさび止め油の全塩基価は1〜20
mgKOH/gであることが好ましい。さび止め性の点
から、当該全塩基価は好ましくは1mgKOH/g以
上、より好ましくは1.5mgKOH/g以上、更に好
ましくは2mgKOH/g以上、更により好ましくは3
mgKOH/g以上である。また、貯蔵安定性の点か
ら、当該全塩基価は好ましくは20mgKOH/g以
下、より好ましくは15mgKOH/g以下、更に好ま
しくは10mgKOH/g以下、更により好ましくは8
mgKOH/gである。
【0079】なお、ここでいう全塩基価とは、JIS
K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」
の6.に準拠した塩酸法により測定される全塩基価[m
gKOH/g]をいう。
【0080】また、本発明のさび止め油においては、ス
ルホン酸塩の含有量と全塩基価とが下記式(5): TBN/Cs≦3 (5) (式(5)中、Csはスルホン酸塩の含有量[質量%]
を表し、TBNは全塩基価[mgKOH/g]を表す)
で表される条件を満たすことが好ましい。TBN/Cs
が3を超えると貯蔵安定性が不十分となる傾向にある。
同様の理由から、TBN/Csは2以下であることがよ
り好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
【0081】本発明のさび止め油の40℃における動粘
度について特に制限はないが、有機材料との適合性の点
から、好ましくは7mm2/s以上、より好ましくは1
0mm2/s以上、更に好ましくは15mm2/s以上で
あり、また、取り扱い性の点から、好ましくは1000
mm2/s以下、より好ましくは500mm2/s以下、
更に好ましくは100mm2/s以下、特に好ましくは
40mm2/s以下である。
【0082】このような構成を有する本発明のさび止め
油は、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ABS樹脂、変性PPO樹脂等の
有機材料との適合性に優れており、且つさびの発生を十
分に防止することが可能なものである。従って、自動車
ボディ用等の各種鋼板並びに軸受等の精密部品等の金属
製部材に本発明のさび止め油を適用することによって、
上記の有機材料からなる梱包材料(カバー等)、構造材
(骨組み材等)、窓材、シール材、緩衝材、軸材、歯
車、軸受保持器、紙送り器、ロボットのアーム部等を劣
化させることなく、金属製部材におけるさびの発生を十
分に防止することができる。
【0083】なお、研削、研削、プレス加工等の金属加
工工程を経て得られる金属製部材においては、金属加工
工程で使用した潤滑油剤(金属加工油剤)に含まれる極
圧剤が部材表面に残留してさびが発生しやすくなること
があるが、本発明のさび止め油が上記のスルホン酸塩や
化合物(A)〜(F)成分を含有する場合には、このよ
うなさびの発生を好適に防止することができる。また、
金属加工工程後に部材から極圧剤等の残留物を十分に除
去することによって、スルホン酸塩や化合物(A)〜
(F)成分の添加量を十分に低減しつつ、さびの発生を
好適に防止することができる。
【0084】極圧剤等の残留物を除去する方法として
は、例えば非水系金属加工油を用いる場合には、界面活
性剤を用いて基油中に水を可溶化させた洗浄油組成物で
洗浄する方法が挙げられる。また、水溶性金属加工油を
用いる場合には、脂肪酸のアミン塩、アルキルもしくは
アルケニルコハク酸誘導体、リン酸エステル、亜リン酸
エステル等を基油に添加することによって水置換性が付
与された洗浄油組成物で洗浄する方法が挙げられる。
【0085】更に、梱包にあたり、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂又はこれらの樹脂がコーティングさ
れた紙等、あるいは気相防錆梱包材を使用する場合に
は、上記の添加剤が添加されていないさび止め油であっ
ても、さびの発生を十分に防止することができ、実用上
問題なく使用できる。
【0086】本発明のさび止め油は、スプレー、滴下、
浸漬、フェルト材等による転写、静電塗油等の方法によ
り金属製部材に塗布することができる。
【0087】なお、本発明のさび止め油が比較的高い動
粘度(例えば40℃における動粘度が400mm2/s
以上)を有する場合にはその塗布性が低下する傾向にあ
るが、このような場合であっても、当該さび止め油をミ
スト化する方法、所定の温度(好ましくは30〜80
℃、より好ましくは40〜60℃)に加温する方法こと
によって好適に塗布することができる。なお、さび止め
油をミスト化する際には、エアレススプレーを用いる
と、エアスプレーに比べて良好なミストを形成すること
ができる。
【0088】本発明において、金属製部材に塗布される
さび止め油の量は特に制限されないが、好ましくは0.
1〜20g/m2であり、より好ましくは0.2〜10
g/m2であり、更に好ましくは0.3〜5g/m2であ
り、特に好ましくは0.3〜3g/m2である。さび止
め油の塗布量が前記下限値未満であるとさび止め性が不
十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると有
機材料の劣化が起こりやすくなる傾向にある。
【0089】また、本発明のさび止め油が溶剤希釈型さ
び止め油であり、当該溶剤希釈型さび止め油を洗浄さび
止め油として用いる場合には、圧延、調質圧延、シャー
リング、プレス加工、切削加工、研削加工等の金属加工
工程後に得られる金属製部材の表面に大過剰の本発明の
さび止め油を塗布することによって、十分な洗浄及びそ
の後のさびの発生を行うことができる。更に、必要に応
じて、上記の金属加工工程後にロールブラシ等による表
面清掃を行うと、異物除去の効率を高めることができ
る。
【0090】更に、溶剤希釈型さび止め油を用いる場合
には、さび止め油の塗布後に溶剤を揮発させるための乾
燥工程を設けると、有機材料との適合性が高められるの
で好ましい。溶剤を揮発させる方法としては、具体的に
は、加温、送風、減圧、長時間放置等が挙げられる。な
お、送風により溶剤を揮発させる際には、室温の風を送
風してもよく、加温した風を送風してもよい。
【0091】上記の乾燥工程後、金属製部材の表面には
油膜が形成されるが、当該油膜量は、好ましくは0.1
〜20g/m2であり、より好ましくは0.2〜10g
/m2であり、更に好ましくは0.3〜5g/m2であ
り、特に好ましくは0.3〜3g/m2である。さび止
め油の塗布量が前記下限値未満であるとさび止め性が不
十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると有
機材料の劣化が起こりやすくなる傾向にある。
【0092】また、上記の乾燥工程後、金属製部材の表
面に形成される油膜には溶剤の未揮発分が含まれる場合
があるが、油膜中の溶剤の含有量は10質量%以下であ
ることが好ましく、5質量%以下であることがより好ま
しく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5
質量%以下であることが更により好ましく、0.1質量
%以下であることが特に好ましい。油膜中の溶剤の含有
量が前記上限値を超えると、有機材料との適合性が低下
する傾向にある。
【0093】なお、塗布量及び油膜量を調整する際に
は、予め塗布量又は油膜量を調節してさび止め油の塗布
を行ってもよく、過剰量のさび止め油を塗布した後でリ
ンガーロール等に余剰のさび止め油を除去することによ
ってそれらの量を調節してもよい。
【0094】
【実施例】以下、実施例及び参考例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。なお、以下の実施例において、特
に断らない限り「%」とは「質量%」を意味する。
【0095】実施例1〜20、比較例1〜2 実施例1〜20及び比較例1においては、それぞれ下記
に示す各成分を用いてさび止め油を調製した。各実施例
及び比較例で得られたさび止め油における各成分の配合
比、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、塩素(Cl)、
鉛(Pb)及び上記一般式(1)で表される基を有する
化合物の濃度、スルホン酸塩の含有量、全塩基価、TB
N/Cs、化合物(A)〜(E)の含有量の総和とスル
ホン酸塩の含有量との比、及び40℃における動粘度を
表1〜3に示す。
【0096】基油 基油1:鉱油(40℃の動粘度:6.5mm2/s、初
留点:235℃、終点:425℃、ナフテン分:29
%、パラフィン分:58%、芳香族分:13%、(ナフ
テン分/パラフィン分)比:0.50、炭素数6以下の
炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数8以下の炭化
水素の含有率:0.1%未満、炭素数10以下の炭化水
素の含有率:0.5%未満、炭素数14以下の炭化水素
の含有率:0.5%未満、炭素数20以下の炭化水素の
含有率:約50%、炭素数25以下の炭化水素の含有
率:97%)
【0097】基油2:鉱油(40℃の動粘度:22mm
2/s、初留点:300℃、終点:485℃、ナフテン
分:22%、パラフィン分:56%、芳香族分:22
%、(ナフテン分/パラフィン分)比:0.39、炭素
数6以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数8
以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数10以
下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数14以下
の炭化水素の含有率:1%未満、炭素数20以下の炭化
水素の含有率:約1%、炭素数25以下の炭化水素の含
有率:33%)
【0098】基油3:鉱油(40℃の動粘度:100m
2/s、初留点:335℃、終点:595℃、ナフテ
ン分:25%、パラフィン分:41%、芳香族分:32
%、(ナフテン分/パラフィン分)比:0.61、炭素
数6以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数8
以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数10以
下の炭化水素の含有率:0.1%、炭素数14以下の炭
化水素の含有率:0.5%未満、炭素数20以下の炭化
水素の含有率:1%未満、炭素数25以下の炭化水素の
含有率:3%)
【0099】基油4:鉱油(40℃の動粘度:400m
2/s、初留点:440℃、終点:700℃、ナフテ
ン分:15%、パラフィン分:35%、芳香族分:43
%、(ナフテン分/パラフィン分)比:0.43、炭素
数6以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数8
以下の炭化水素の含有率、炭素数10以下の炭化水素の
含有率:0.1%未満、炭素数14以下の炭化水素の含
有率:0.5%未満、炭素数20以下の炭化水素の含有
率:1%未満、炭素数25以下の含有率:1%未満)
【0100】基油5:鉱油(40℃の動粘度:2mm2
/s、初留点:200℃、終点255℃、ナフテン分:
31%、パラフィン分:68%、芳香族分:0.5%、
(ナフテン分/パラフィン分)比:0.46、炭素数6
以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数8以下
の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数10以下の
炭化水素の含有率:0.50%、炭素数14以下の炭化
水素の含有率:98%、炭素数20以下の炭化水素の含
有率:100%、炭素数25以下の炭化水素の含有率:
100%)
【0101】基油6:鉱油(40℃の動粘度:2mm2
/s、初留点:200℃、終点245℃、ナフテン分:
77%、パラフィン分:23%、芳香族分:0.1%未
満、(ナフテン分/パラフィン分)比:3.35、炭素
数6以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数8
以下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数10以
下の炭化水素の含有率:0.1%未満、炭素数14以下
の炭化水素の含有率:98%、炭素数20以下の炭化水
素の含有率:100%、炭素数25以下の炭化水素の含
有率:100%)
【0102】基油7:1−デセンのオリゴマー(40℃
の動粘度:100mm2/s、ナフテン分:0%、パラ
フィン分:100%、芳香族分:0%、(ナフテン分/
パラフィン分)比:0%、炭素数6以下の炭化水素の含
有率:0.1%未満、炭素数8以下の炭化水素の含有
率:0.1%未満、炭素数10以下の炭化水素の含有
率:0.1%未満、炭素数14以下の炭化水素の含有
率:0.1%未満、炭素数20以下の炭化水素含有率:
0.1%未満、炭素数25以下の炭化水素の含有率:1
%以下)。
【0103】スルホン酸塩 S1:ジノニルナフタレンCaスルホネート溶液(スル
ホン酸塩の含有量:50%、キャリアオイル50%、全
塩基価:1mgKOH/g)
【0104】S2:ジアルキルベンゼンCaスルホネー
ト溶液(スルホン酸塩の含有量:60%、全塩基価:5
mgKOH/g)(エチレンオリゴマーに由来する2つ
のアルキル基を有するジアルキルベンゼンCaスルホネ
ートであり、2つのアルキル基の総炭素数が20のもの
が主成分である)
【0105】S3:ジアルキルベンゼンNaスルホネー
ト溶液(スルホン酸塩の含有量:60%、全塩基価:1
mgKOH/g)(エチレンオリゴマーに由来する2つ
のアルキル基を有するジアルキルベンゼンNaスルホネ
ートであり、2つのアルキル基の総炭素数が20のもの
が主成分である)
【0106】S4:ジノニルナフタレンデシルアミンス
ルホネート溶液(スルホン酸塩の含有量:50%、全塩
基価:1mgKOH/g)
【0107】S5:ジノニルナフタレンCaスルホネー
ト溶液(スルホン酸塩の含有量:40%、全塩基価:5
0mgKOH/g)
【0108】S6:ジアルキルベンゼンCaスルホネー
ト溶液(スルホン酸塩の含有量:30%、全塩基価:3
00mgKOH/g)(エチレンオリゴマーに由来する
2つのアルキル基を有するジアルキルベンゼンCaスル
ホネートであり、2つのアルキル基の総炭素数が20の
ものが主成分である)
【0109】なお、上記S1〜S6におけるキャリアオ
イルは、40℃での動粘度20mm 2/s程度の鉱油で
ある。また、表1〜3中のS1〜S6の配合比は上記の
溶液についての値であり、各さび止め油中のスルホン酸
塩の配合比はそれぞれ溶液の配合比に上記の正味のスル
ホン酸塩の含有量の比率を乗じることによって得ること
ができる。
【0110】化合物(A) A1:トリメチロールプロパンモノオレート A2:ソルビタンモノオレート A3:ソルビタンモノイソステアレート。
【0111】化合物(B) B1:酸化パラフィンCa塩(全酸価:5mgKOH/
g、全塩基価:16mgKOH/g、けん化価:80m
gKOH/g)
【0112】B2:酸化パラフィンNa塩(全酸価:1
4mgKOH/g、全塩基価:1mgKOH/g、けん
化価:35mgKOH/g)。
【0113】化合物(C) C1:酸化パラフィンのエステル(全酸価:30mgK
OH/g、全塩基価:0.2mgKOH/g、けん化
価:135mgKOH/g)。
【0114】化合物(D) D1:ラノリン脂肪酸のCa塩(全酸価:2.5mgK
OH/g、全塩基価:11mgKOH/g、けん化価:
120mgKOH/g)。
【0115】化合物(E) E1:ラノリン脂肪酸とトリメチロールプロパンとの部
分エステル(全酸価:8mgKOH/g、全塩基価:
0.5mgKOH/g、けん化価:170mgKOH/
g、水酸基価:100mgKOH/g)。
【0116】その他の成分 H1:ジ−tert−ブチル−p−クレゾール H2:ベンゾトリアゾール H3:下記一般式(6):
【化4】 で表されるベンゾトリアゾール誘導体 H4:パラフィンワックス(融点:51.7℃) H5:不活性タイプ硫化ラード(硫黄含有量:12質量
%、けん化価:250mgKOH/g、全酸価:1mg
KOH/g) H6:コハク酸誘導体(炭素数9〜15のプロピレンオ
リゴマーから誘導されるアルケニルコハク酸とプロピレ
ングリコールの2〜4量体との部分エステル)
【0117】次に、実施例1〜19及び比較例1の各さ
び止め油について、以下の試験を行った。なお、本実施
例においては、比較例2として市販のバリウム系さび止
め油を用いて同様の試験を行った。
【0118】(さび止め性試験)市販のSPCE−SD
相当の冷延鋼板を60×80mmに切断して試験片とし
た。次に、この試験片に各さび止め油を塗布量3g/m
2となるようにエアスプレーを用いて塗布した。塗布後
の試験片を屋外に設置した百葉箱内で保管し、所定の時
間経過後に試験片上の錆の有無を観察し、各さび止め油
のさび止め性を以下の基準: A:塗布後20〜29日に錆の発生が認められた B:塗布後10〜19日に錆の発生が認められた C:塗布後4〜9日に錆の発生が認められた D:塗布後3日以内に錆の発生が認められた に基づいて評価した。その結果を表1〜3に示す。
【0119】(円筒成形性試験)板厚0.75mmの市
販のSPCE−SD相当の冷延鋼板を直径110mmの
円盤状に切断して試験片とした。この試験片に各さび止
め油を手塗りにより塗布量約3g/m2となるように塗
布し、ポンチ径50mm(肩R:5mm)、ダイ径52
mm(肩R:5mm)の円筒成形試験機を用いて成形性
を評価した。各試験片について得られた、限界BHF
[tf](破断せずに成形可能な最大のしわおさえ力)
を表1〜3に示す。
【0120】(さび止め油と樹脂材との相性試験1)図
1に示す装置を用いてさび止め油と樹脂材との相性試験
を行った。すなわち、ポリカーボネート製試験片1(6
4×13×3mm)を固定用ボルト2で治具3上に固定
し、試験片1にストレス(曲げ)を加えたまま各さび止
め油を塗布した。所定の時間経過後の試験片1における
割れ・亀裂の有無を観察し、以下の基準: S:塗布後30日経過しても割れ・亀裂の発生が認めら
れなかった A:塗布後15〜29日に割れ・亀裂の発生が認められ
た B:塗布後3〜14日に割れ・亀裂の発生が認められた C:塗布後2日以内にで割れ・亀裂が認められた に基づいて、さび止め油と樹脂材との相性を評価した。
その結果を表1〜3に示す。
【0121】(さび止め油と樹脂材との相性試験2)底
面200mm×300mm、高さ30mmのステンレス
性バットに試料油5gを入れ、一般家庭用ヘアドライヤ
ー(出力:1200W)を用いて送風口と試料油との距
離を300mmに保持しながら5分間温風乾燥した。そ
の後、30分間かけて室温まで放冷し、得られた試料油
を用いてさび止め油と樹脂材との相性試験1と同様の手
順で試験を行った。得られた結果を表1〜3に示す。
【0122】(貯蔵安定性試験)容量50mlのガラス
ビンに試料油30gを秤取した。この試料について、2
0℃、相対湿度50%で12時間保持した後、更に50
℃、相対湿度95%で12時間保持する処理を1サイク
ルとして、このサイクルを曇り又は沈殿が発生するまで
連続的に繰り返した。曇り又は沈殿が発生するまでに要
した日数(サイクル数)から、以下の基準: A:10日以上 B:7〜9日 C:4〜6日 D:2〜3日 E:1日以内 に基づいて各試料油の貯蔵安定性を評価した。得られた
結果を表1〜3に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】表1〜3に示す通り、実施例1〜20のさ
び止め油は、いずれも従来のバリウム系さび止め油(比
較例2)と同等以上の十分に高いさび止め性を有してお
り、また、有機材料との適合性に優れていることが確認
された。
【0127】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、有
機材料に対する適合性が十分に高く、取り扱い性に優れ
ており、且つ金属製部材におけるさびの発生を十分に防
止することが可能なさび止めが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるさび止め油と樹脂材との相性試
験に使用した装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ポリカーボネート製試験片、2…固定用ボルト、3
…治具。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 20:00 C10N 20:00 Z 20:02 20:02 30:12 30:12 40:02 40:02 (72)発明者 岩村 淑広 新潟県新潟市竜が島二丁目1番1号 日本 石油加工株式会社新潟工場内 (72)発明者 松崎 幸雄 東京都港区西新橋一丁目3番12号 日石三 菱株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BA04 BA07 CA01 DA02 EA02 EA21 LA06 PA01 4K062 AA01 BB01 BB12 BB21 BC01 BC07 BC26 FA16 GA10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数14以下の炭化水素化合物の含有
    率が20質量%以下であり、且つ40℃における動粘度
    が20〜2000mm2/sである鉱油及び/又は合成
    油を基油として含有することを特徴とするさび止め油。
JP2001119758A 2000-08-03 2001-04-18 さび止め油 Pending JP2002114989A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001119758A JP2002114989A (ja) 2000-08-03 2001-04-18 さび止め油
AT02714499T ATE557078T1 (de) 2001-04-06 2002-04-05 Rostverhindernde ölzusammensetzung
PCT/JP2002/003442 WO2002083986A1 (fr) 2001-04-06 2002-04-05 Composition huileuse antirouille
EP02714499A EP1394289B1 (en) 2001-04-06 2002-04-05 Rust-preventive oil composition

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-235913 2000-08-03
JP2000235913 2000-08-03
JP2001119758A JP2002114989A (ja) 2000-08-03 2001-04-18 さび止め油

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002114989A true JP2002114989A (ja) 2002-04-16

Family

ID=26597304

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001119758A Pending JP2002114989A (ja) 2000-08-03 2001-04-18 さび止め油

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002114989A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007039764A (ja) * 2005-08-04 2007-02-15 Nippon Oil Corp さび止め油組成物
JP2007262543A (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Nippon Oil Corp 洗浄兼さび止め油組成物
JP2007270323A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nippon Oil Corp さび止め油組成物
JP2009537681A (ja) * 2006-05-23 2009-10-29 チバ ホールディング インコーポレーテッド 非鉄金属用腐食防止組成物
JP2011074498A (ja) * 2011-01-04 2011-04-14 Jx Nippon Oil & Energy Corp さび止め油組成物
KR20130132537A (ko) * 2010-12-16 2013-12-04 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 부식 방지 조성물
WO2017119290A1 (ja) * 2016-01-07 2017-07-13 株式会社オートネットワーク技術研究所 防食剤および端子付き被覆電線
WO2018088013A1 (ja) * 2016-11-10 2018-05-17 株式会社東郷製作所 酸化鉄で被覆された鉄製品用の防錆油組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790636A (ja) * 1993-09-22 1995-04-04 Nippon Oil Co Ltd さび止め油組成物
JPH07118686A (ja) * 1993-10-27 1995-05-09 Koyo Seiko Co Ltd 軸受用さび止め油組成物
JPH07118685A (ja) * 1993-10-27 1995-05-09 Koyo Seiko Co Ltd 軸受用さび止め油組成物
JPH10245577A (ja) * 1997-03-05 1998-09-14 Nippon Oil Co Ltd 塑性加工兼用さび止め油組成物
JPH10273687A (ja) * 1997-03-27 1998-10-13 Nippon Oil Co Ltd 塑性加工兼用さび止め油組成物
JPH11263992A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Nippon Mitsubishi Oil Corp さび止め油組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790636A (ja) * 1993-09-22 1995-04-04 Nippon Oil Co Ltd さび止め油組成物
JPH07118686A (ja) * 1993-10-27 1995-05-09 Koyo Seiko Co Ltd 軸受用さび止め油組成物
JPH07118685A (ja) * 1993-10-27 1995-05-09 Koyo Seiko Co Ltd 軸受用さび止め油組成物
JPH10245577A (ja) * 1997-03-05 1998-09-14 Nippon Oil Co Ltd 塑性加工兼用さび止め油組成物
JPH10273687A (ja) * 1997-03-27 1998-10-13 Nippon Oil Co Ltd 塑性加工兼用さび止め油組成物
JPH11263992A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Nippon Mitsubishi Oil Corp さび止め油組成物

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007039764A (ja) * 2005-08-04 2007-02-15 Nippon Oil Corp さび止め油組成物
JP2007262543A (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Nippon Oil Corp 洗浄兼さび止め油組成物
JP2007270323A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nippon Oil Corp さび止め油組成物
JP2009537681A (ja) * 2006-05-23 2009-10-29 チバ ホールディング インコーポレーテッド 非鉄金属用腐食防止組成物
KR20130132537A (ko) * 2010-12-16 2013-12-04 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 부식 방지 조성물
JP2014507494A (ja) * 2010-12-16 2014-03-27 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 腐食防止組成物
KR101978526B1 (ko) 2010-12-16 2019-05-14 쓰리엠 이노베이티브 프로퍼티즈 컴파니 부식 방지 조성물
JP2011074498A (ja) * 2011-01-04 2011-04-14 Jx Nippon Oil & Energy Corp さび止め油組成物
WO2017119290A1 (ja) * 2016-01-07 2017-07-13 株式会社オートネットワーク技術研究所 防食剤および端子付き被覆電線
US10622741B2 (en) 2016-01-07 2020-04-14 Autonetworks Technologies, Ltd. Anticorrosive agent and terminal fitted electric wire
WO2018088013A1 (ja) * 2016-11-10 2018-05-17 株式会社東郷製作所 酸化鉄で被覆された鉄製品用の防錆油組成物
JP2018076565A (ja) * 2016-11-10 2018-05-17 株式会社東郷製作所 酸化鉄で被覆された鉄製品用の防錆油組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5478032B2 (ja) さび止め油組成物
WO2011001554A1 (ja) さび止め油組成物
JP6190826B2 (ja) さび止め油組成物
JP2002363592A (ja) さび止め油組成物
EP0801116B1 (en) Rust preventive composition
WO2017170868A1 (ja) さび止め油組成物
EP1394289B1 (en) Rust-preventive oil composition
JP4728157B2 (ja) 洗浄兼さび止め油組成物
JP2002114989A (ja) さび止め油
JP4494726B2 (ja) 防錆兼プレス加工油剤組成物
JP4988178B2 (ja) さび止め油組成物
JP4729361B2 (ja) さび止め油組成物
JP5265087B2 (ja) さび止め油組成物
JP3639876B2 (ja) 塑性加工用防錆潤滑剤組成物
JPH09183992A (ja) 塑性加工用洗浄防錆油組成物
JP4679998B2 (ja) さび止め油組成物
JP2002302690A (ja) さび止め油組成物
JP5340322B2 (ja) さび止め油組成物
JP4351945B2 (ja) さび止め剤組成物
JP2002346645A (ja) 塑性加工方法
JP2002327190A (ja) 金型塗布油及びこれを用いた塑性加工方法
JP5366416B2 (ja) さび止め油組成物
JP7465766B2 (ja) さび止め油組成物
JP7369646B2 (ja) 溶剤希釈形さび止め油組成物
JP2001335980A (ja) 洗浄さび止め方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100525

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100928