JP2002346645A - 塑性加工方法 - Google Patents

塑性加工方法

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JP2002346645A
JP2002346645A JP2001149064A JP2001149064A JP2002346645A JP 2002346645 A JP2002346645 A JP 2002346645A JP 2001149064 A JP2001149064 A JP 2001149064A JP 2001149064 A JP2001149064 A JP 2001149064A JP 2002346645 A JP2002346645 A JP 2002346645A
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oil
metal material
plastic working
rust
salt
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JP2001149064A
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English (en)
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Tsunetoshi Sugawara
常年 菅原
Tadaaki Motoyama
忠昭 本山
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Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス成形に供される金属材料に十分な量の
高い潤滑性を有する潤滑油またはさび止め兼潤滑油を予
め塗布することなく、後工程への悪影響を抑えつつ良好
なプレス成形を可能とすることを目的とする。 【解決手段】 被加工材である金属材料の一部にのみ潤
滑油剤を塑性加工時に塗布することを特徴とする金属材
料の塑性加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属材料の塑性加工
方法に関するものであり、より詳しくは、冷間または熱
間板金プレス、冷間または熱間鍛造プレスなどのプレス
成形方法に関するものであり、後工程への悪影響を抑え
つつ良好なプレス成形を可能とするプレス成形方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属製部品を大量かつ迅速に製造
するため、プレス成形が行われている。しかしながら、
プレスの深絞り成形やしごき成形などのプレス条件が厳
しい場合や、金属材料の母材特性が低い場合、あるいは
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のように金属材料表面の潤滑
性が悪い場合、割れ、ネッキングなどの不具合を発生し
易い。特に、成形を連続的に行ういわゆる連続プレス成
形をした場合、不具合が発生し易い。
【0003】これらの不具合を回避するため、プレス成
形に供される金属材料に、潤滑性の高い潤滑油を、予め
十分な量塗布しておくことが行われている。
【0004】しかし、高い潤滑性と、脱脂性能や接着剤
との相性などのプレス成形の後工程に影響を及ぼす性能
とを両立させることが難しかった。
【0005】また、作業行程の短縮や作業効率の向上を
目的として、金属材料出荷時やプレス加工後に使用され
るさび止め油に潤滑性を付与したさび止め兼プレス加工
油を使用したり、プレス加工前の金属材料の洗浄に用い
られる洗浄剤に潤滑性を付与した洗浄兼プレス加工油を
使用したり、さらに前記何れも兼用とする油剤を使用し
たりすることが多くなっているが、これらの場合にも、
上記した問題、つまり高い潤滑性と、脱脂性能や接着剤
との相性などのプレス成形の後工程に影響を及ぼす性能
とを両立させることは解決されなかった。
【0006】加えて、鉄鋼メーカーやアルミ合金メーカ
ーなどの金属材料メーカーや、自動車メーカーなどのプ
レス成形を行うメーカーでは、金属材料のグレードや成
形の難易度に適用するために複数の潤滑油を必要とする
場合があり、油剤タンクやラインなどの塗布設備を複数
設置する必要もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の有する課題に鑑みてなされたものであり、プレス成形
に供される金属材料に十分な量の高い潤滑性を有する潤
滑油またはさび止め兼潤滑油を予め塗布することなく、
良好なプレス成形を可能とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、金属材料と塑性加工
金型との摩擦力を低減したり焼付きを防止するために
は、高い潤滑性を有する潤滑油剤を、金属材料の一部に
塑性加工時に塗布することでも可能であることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
被加工材である金属材料の一部にのみ潤滑油剤を塑性加
工時に塗布することを特徴とする金属材料の塑性加工方
法を提供するものである。ここで、潤滑油剤が塗布され
る金属材料の一部とは、例えば、金属材料の移動、流入
が制限され易い部位が例示される。
【0009】この方法によれば、金属材料メーカーで出
荷時に塗布する防錆兼プレス加工油や、自動車メーカー
などのプレス成形を行うメーカーで異物除去のために行
うプレス前洗浄で用いられる洗浄兼プレス油剤は、潤滑
性の低いものが使用でき、あるいは塗布量を低減でき、
コストダウンが図れる。また、通常金属材料メーカーや
プレス成形を行うメーカーでは、これらの油剤を潤滑性
の低いものから高いものまで複数グレード用意し、プレ
ス加工の過酷度に合わせこれを使い分けられている。し
かしながら、本発明の方法によれば、これらの油剤のグ
レード数を削減または統一することができ、コストダウ
ンを行うことができる。なおかつ、この方法ではプレス
成形後に板材表面に付着している潤滑剤の量が少ないの
で、脱脂工程や接着工程、溶接工程などの後工程への悪
影響を抑えることもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。本発明の塑性加工方法は、被加
工材である金属材料の一部にのみに潤滑油剤を塑性加工
時に塗布することを特徴とする金属材料の塑性加工方法
である。
【0011】本発明において潤滑油剤を塗布する部分
は、材料の金属の種類、塑性加工の種類等により適宜決
定するものであり、任意に選ぶことができ、具体的に
は、割れまたはネッキング(くびれ)などの成形不良が
実際に起こっている箇所としても良いし、割れまたはネ
ッキングなどの成形不良を引き起こす原因となっている
箇所としても良い。しかしながら、より加工性が向上で
きることから割れまたはネッキングなどの成形不良を引
き起こす原因となっている箇所であることが好ましい。
【0012】割れまたはネッキングという現象は、金属
材料が金型の特定の部位で潤滑不良などの理由から移動
(流入)しにくくなることにより起こる。金属材料の移
動(流入)が制限されると、強度の弱い部位に割れやネ
ッキングが生じ易くなる。また、金属材料の移動(流
入)が制限されることにより、荷重が過度に集中してし
まう部位が発生し、この部位においても割れやネッキン
グが生じ易くなる。
【0013】また、金属材料の移動(流入)の制限は、
加工初期に最も深刻となる場合が多い。したがって、加
工初期に金属材料の移動(流入)が制限され易い部位
(移動制限部位)をつきとめ、この部位に潤滑油剤を塗
布することが好ましい。また、加工初期の移動制限部位
に潤滑油剤を塗布することにより、当該部位から金型へ
潤滑油剤が移着し、その後の金属材料の移動(流入)の
制限も抑制されることが期待出来る。
【0014】移動制限部位は、割れまたはネッキングが
発生する部位の形態及び金型の形状を考察することによ
り、すべり線場解析により、有限要素法などのシュミレ
ーション解析により、金属材料表面にスクライブドサー
クルなどの標識を付しておくことなどにより、特定する
ことが可能である。
【0015】通常の場合、移動制限部位は、金属材料が
流入する金型の肩Rの部分、ビード部分、クリアランス
が小さくしごき加工の要素の強い部分、深絞り成形にお
けるフランジ部分などである。
【0016】また、めっき剥離や摩耗痕の発生は移動制
限部位で生じ易いことから、塑性加工後の金属材料のめ
っき剥離や摩耗痕の発生が激しい箇所を分析することに
より移動制限部位を決定することができる。
【0017】金属材料への潤滑油剤の塗布面積について
も、特に制限は無いが、通常金属材料全体の40%以下
であることが好ましく、20%以下であることがより好
ましく、10%以下であることが最も好ましい。
【0018】上記のように、潤滑油剤は塑性加工時に金
属材料の一部に塗布される。例えば、自動車ボディのプ
レス加工などの場合の手順は、通常、金属材料をブラン
キング、スタック状態で保管、その後ディスタックフィ
ーダーによる金属材料(板材)のプレス装置への導入、
続いてプレスの順番で行われる。したがって、潤滑油剤
を塗布するタイミングとしては、ディスタックフィーダ
ーによる金属材料(板材)のプレス装置への導入の直前
または直後に行うことが望ましい。
【0019】なお、金属材料は種々の目的で塑性加工前
に各種油剤等が塗布されていることがある。金属材料に
予め塗布される油剤(以下、材料塗布油と言うことがあ
る)としては、塑性加工前に金属材料を洗浄するために
用いられる洗浄油剤(以下、単に洗浄油剤と言うことが
ある)、金属材料の出荷から使用時までの防錆性を保つ
防錆油剤(以下、材料防錆油剤と言うことがある)、金
属材料の洗浄から塑性加工までの間防錆性を保つ防錆油
剤(以下、中間防錆油剤と言うことがある)、塑性加工
後の製品の防錆性を保つ防錆油剤(以下、製品防錆油剤
と言うことがある)、及びこれらの兼用油剤、またはこ
れらに潤滑性を付与したもの等が挙げられる。
【0020】また、材料塗布油としては、溶剤と呼ばれ
る低粘度の基油と比較的高粘度の基油を併用して用いた
いわゆる溶剤希釈型油剤であっても良い。洗浄防錆油剤
は、溶剤希釈型油剤として用いられることが多い。
【0021】本発明の塑性加工方法においては、上記材
料塗布油とは別に、塑性加工時に金属材料の一部に潤滑
油剤(塑性加工油)を塗布するものである。特に、上記
した通り材料塗布油の中には潤滑性を付与したものがあ
るが、このような材料塗布油が塗布された金属材料の一
部に潤滑油剤(塑性加工油)を塑性加工時に塗布し塑性
加工を行うことも本発明の一つである。一方。潤滑性を
付与した材料塗布油が塗布された金属材料を、そのまま
塑性加工に供するのは本発明とは異なる。
【0022】また、金属材料の一部に潤滑油剤(塑性加
工油)を塗布することでも十分な加工性を有することか
ら、材料塗布油に潤滑性を付与する必要が無いか、また
はその使用量を削減することができるため、コストダウ
ンが図れる。また、本発明によれば、材料塗布油の種類
を削減でき、コストダウンが図れる。
【0023】本発明において、金属材料への潤滑油剤
(塑性加工油)の塗布量は、特に制限は無いが、加工性
の点からは、0.5g/m2 以上であることが好まし
く、1g/m2 以上であることがより好ましく、2g/
2 以上であることがさらにより好ましい。また、塑性
加工の後工程への影響を小さくさせることができる点か
ら、10g/m2 以下であることが好ましく、5g/m
2 以下であることがより好ましく、3g/m2 以下であ
ることがさらにより好ましい。
【0024】金属材料への塗布方法も任意であり、はけ
やウエスなどを用いた手塗り、スプレー塗布、静電塗
布、潤滑油の滴下による塗布などによりことができる。
人手の削減や均一塗布の観点からは、スプレー塗布が好
ましく、スプレーガンの配置数と配置位置は適宜設計さ
れることが好ましい。また、スプレー装置は電磁弁を付
たエアスプレーまたはエアレススプレーとし、コンピュ
ータ制御により一定の回数のプレス成形が行われる毎
に、一定の量の潤滑油を、特定部位に正確に塗布するこ
とが最も好ましい。
【0025】本発明の塑性加工方法で加工される金属材
料としては特に制限されない。熱延鋼板、冷延鋼板、高
張力強度鋼板、めっき鋼板ステンレス鋼板などの鉄材、
アルミニウム合金板、マグネシウム合金板、銅合金板等
に好適に用いられる。この他の例えば、鋳鉄の塑性加工
にも用いることができる。また、めっき鋼板の中でも、
亜鉛めっき鋼板に用いたときに効果が大きく、特に合金
化溶融亜鉛めっき鋼板に用いるとより効果が大きい。
【0026】本発明の塑性加工方法は、冷間または熱間
板金プレス、冷間または熱間鍛造プレス等のプレス成
形、伸線などの塑性加工に用いることができるが、この
中でも板金プレス成形である場合に適用効果が大きいた
め好適に用いられる。また、対向液圧成形にも好適に用
いられる。
【0027】また、自動車ボディーなどでは生産効率の
向上を目的として、連続成形により生産されることが一
般的であるが、割れやネッキングなどの不具合は連続成
形時により発生し易くなる。これは、連続成形により金
型に摩耗粉が蓄積したり、金型の温度が上昇して油膜破
断が起こり易くなるためである。本発明の塑性加工用金
型塗布油及び塑性加工方法は、連続成形時でも割れやネ
ッキングなどの不具合が起こりにくく、連続成形に対し
て適用効果が大きい。
【0028】本発明の塑性加工方法は、連続成形の中で
も特にトランスファープレスを用いたプレス成形の場合
により適用効果が大きくなる。
【0029】なお、ここでいう連続成形とは一つの金型
を用いて連続して塑性加工を行うことであり、成形の間
隔等を特に限定するものではない。しかしながら、その
間隔が5秒以内である場合に、本発明の適用効果がより
大きくなり、3秒以内である場合に最も本発明の適用効
果がより大きくなる。また、プレス加工において可動す
る金型(ポンチ等)の上死点と下死点との距離が30c
m以上である場合に、本発明の適用効果がより大きくな
る。
【0030】このような加工が行われる自動車ボディー
を生産するラインへの適用において、本発明の効果がよ
り一層期待できる。
【0031】本発明の金属材料に塗布される潤滑油(塑
性加工油)は、鉱油及び/又は合成油からなる基油と添
加剤からなるものが用いられる。
【0032】塑性加工油の基油として使用される鉱油と
しては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して
得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、
水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫
酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製手段を
適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナ
フテン系の鉱油等が挙げられる。
【0033】また、合成油としては、ポリオレフィン、
アルキルベンゼン等が好適に使用される。
【0034】上記ポリオレフィンとしては、炭素数2〜
16、好ましくは炭素数2〜12のオレフィンモノマー
を単独重合又は共重合したもの、並びにこれらの重合体
の水素化物等が挙げられる。なお、ポリオレフィンが構
造の異なるオレフィンモノマーの共重合体である場合、
その共重合体におけるモノマー比やモノマー配列には特
に制限はなく、ランダム共重合体、交互共重合体及びブ
ロック共重合体のうちのいずれであってもよい。また、
前記オレフィンモノマーは、α−オレフィン、内部オレ
フィン、直鎖状オレフィン、分岐鎖状オレフィンのうち
のいずれであってもよい。このようなオレフィンモノマ
ーとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、2−ブテン、イソブテン、直鎖状又は分岐鎖状
のペンテン(α−オレフィン、内部オレフィンを含
む)、直鎖状又は分岐鎖状のヘキセン(α−オレフィ
ン、内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のヘ
プテン(α−オレフィン、内部オレフィンを含む)、直
鎖状又は分岐鎖状のオクテン(α−オレフィン、内部オ
レフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のノネン(α−
オレフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐
鎖状のデセン(α−オレフィン、内部オレフィンを含
む)、直鎖状又は分岐鎖状のウンデセン(α−オレフィ
ン、内部オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のド
デセン(α−オレフィン、内部オレフィンを含む)、直
鎖状又は分岐鎖状のトリデセン(α−オレフィン、内部
オレフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のテトラデセ
ン(α−オレフィン、内部オレフィンを含む)、直鎖状
又は分岐鎖状のペンタデセン(α−オレフィン、内部オ
レフィンを含む)、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサデセン
(α−オレフィン、内部オレフィンを含む)及びこれら
の混合物等が挙げられるが、これらの中でも、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテ
ン、炭素数5〜12のα−オレフィン及びこれらの混合
物等が好ましく用いられる。さらに、炭素数5〜12の
α−オレフィンの中でも、1−オクテン、1−デセン、
1−ドデセン及びこれらの混合物等がより好ましい。
【0035】上記したポリオレフィンは従来より公知の
方法により製造することができる。具体的には例えば、
無触媒による熱反応によって製造することができるほ
か、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物触媒;塩化アル
ミニウム、塩化アルミニウム−多価アルコール系、塩化
アルミニウム−四塩化チタン系、塩化アルミニウム−ア
ルキル錫ハライド系、フッ化ホウ素等のフリーデルクラ
フツ型触媒;有機塩化アルミニウム−四塩化チタン系、
有機アルミニウム−四塩化チタン系等のチーグラー型触
媒;アルミノキサン−ジルコノセン系、イオン性化合物
−ジルコノセン系等のメタロセン型触媒;塩化アルミニ
ウム−塩基系、フッ化ホウ素−塩基系等のルイス酸コン
プレックス型触媒、等の公知の触媒を用いて、上記のオ
レフィンを単独重合又は共重合させることによって目的
のポリオレフィンを製造することができる。
【0036】このような方法により得られるポリオレフ
ィンは、通常、二重結合を有しているが、本発明におい
てはこれらのポリオレフィン中の二重結合炭素を水素化
した、いわゆるポリオレフィンの水素化物を基油として
用いることが好ましい。ポリオレフィンの水素化物を用
いると、得られるさび止め油組成物の熱・酸化安定性が
向上する傾向にある。なお、ポリオレフィンの水素化物
は、例えば、ポリオレフィンを公知の水素化触媒の存在
下で水素で水素化し、ポリオレフィン中に存在する二重
結合を飽和化することによって得ることができる。ま
た、オレフィンの重合反応を行う際に、使用する触媒を
選択することによって、オレフィンの重合と重合体の水
素化といった2工程を経ることなく、オレフィンの重合
と重合体中に存在する二重結合の水素化を1工程で完遂
させることも可能である。
【0037】本発明において基油として好適に使用され
るポリオレフィンの中にあって、エチレン−プロピレン
共重合体、ポリブテン(ナフサ熱分解の際に副生するブ
タン−ブテン留分(1−ブテン、2−ブテン及びイソブ
テンの混合物)の重合によって得られる共重合体)、1
−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、1−ド
デセンオリゴマー並びにこれらの水素化物、さらにはこ
れらの混合物等は熱・酸化安定性、粘度−温度特性、低
温流動性に優れている点で好ましく、特にエチレン−プ
ロピレン共重合体水素化物、ポリブテン水素化物、1−
オクテンオリゴマー水素化物、1−デセンオリゴマー水
素化物、1−ドデセンオリゴマー水素化物並びにこれら
の混合物がより好ましい。なお、潤滑油用基油として市
販されているエチレン−プロピレン共重合体、ポリブテ
ン及びポリ−α−オレフィン等の合成油は、通常、その
二重結合が既に水素化されているものであり、本発明に
おいてはこれらの市販品も基油として用いることができ
る。
【0038】また、上記アルキルベンゼンとしては、分
子中に炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有するも
のが好ましい。ここでいう炭素数1〜40のアルキル基
としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基(すべての異性体を含む)、ブチル基(すべての異性
体を含む)、ペンチル基(すべての異性体を含む)、ヘ
キシル基(すべての異性体を含む)、ヘプチル基(すべ
ての異性体を含む)、オクチル基(すべての異性体を含
む)、ノニル基(すべての異性体を含む)、デシル基
(すべての異性体を含む)、ウンデシル基(すべての異
性体を含む)、ドデシル基(すべての異性体を含む)、
トリデシル基(すべての異性体を含む)、テトラデシル
基(すべての異性体を含む)、ペンタデシル基(すべて
の異性体を含む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を
含む)、ヘプタデシル基(すべての異性体を含む)、オ
クタデシル基(すべての異性体を含む)、ノナデシル基
(すべての異性体を含む)、イコシル基(すべての異性
体を含む)、ヘンイコシル基(すべての異性体を含
む)、ドコシル基(すべての異性体を含む)、トリコシ
ル基(すべての異性体を含む)、テトラコシル基(すべ
ての異性体を含む)、ペンタコシル基(すべての異性体
を含む)、ヘキサコシル基(すべての異性体を含む)、
ヘプタコシル基(すべての異性体を含む)、オクタコシ
ル基(すべての異性体を含む)、ノナコシル基(すべて
の異性体を含む)、トリアコンチル基(すべての異性体
を含む)、ヘントリアコンチル基(すべての異性体を含
む)、ドトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、
トリトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、テト
ラトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ペンタ
トリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキサト
リアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘプタトリ
アコンチル基(すべての異性体を含む)、オクタトリア
コンチル基(すべての異性体を含む)、ノナトリアコン
チル基(すべての異性体を含む)、テトラコンチル基
(すべての異性体を含む)等が挙げられる。また、本発
明にかかるアルキルベンゼンのアルキル基は直鎖状であ
っても分岐鎖状であってもよいが、安定性、粘度特性等
の点から分岐鎖状のアルキル基が好ましく、特に入手が
容易であるという点から、プロピレン、ブテン、イソブ
チレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分岐
鎖状アルキル基がより好ましい。
【0039】上記アルキルベンゼン中のアルキル基の個
数は1〜4個が好ましいが、安定性、入手可能性の点か
ら1個又は2個のアルキル基を有するアルキルベンゼ
ン、すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼ
ン、又はこれらの混合物が最も好ましい。また、アルキ
ルベンゼンとしては、単一の構造のアルキルベンゼンだ
けでなく、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合
物であっても良い。
【0040】上記アルキルベンゼンは、例えば、芳香族
化合物を原料とし、アルキル化剤及びアルキル化触媒を
用いて製造することができる。ここで、原料として使用
される芳香族化合物としては、具体的には、ベンゼン、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベ
ンゼン、ジエチルベンゼン、及びこれらの混合物等が挙
げられる。またアルキル化剤としては、具体的には、エ
チレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の低級モ
ノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得
られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝鎖状のオレフィ
ン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等の熱分解によって得られる炭素数6〜40
の直鎖状又は分岐鎖状のオレフィン;灯油、軽油等の石
油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒により
オレフィン化することによって得られる炭素数9〜40
の直鎖状オレフィン、及びこれらの混合物等が挙げられ
る。さらにまた、アルキル化の際のアルキル化触媒とし
ては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のフリーデルクラ
フツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ
化水素酸、活性白土等の酸性触媒、等の公知の触媒が挙
げられる。
【0041】本発明の塑性加工油においては、上記した
各種基油を単独で用いてもよく、2種以上の基油を混合
して用いてもよい。また、上記基油の含有量について特
に限定はないが、通常、塑性加工油全量を基準として0
〜98質量%であり、好ましくは10〜95質量%であ
る。
【0042】本発明における塑性加工油の基油の粘度は
任意であるが、加工性や作業性などの点から、40℃で
の動粘度が2〜5000mm2 /sであることが好まし
く、5〜1000mm2 /sであることがより好まし
く、10〜500mm2 /sであることがより好まし
く、15〜100mm2 /sであることが最も好まし
い。また、塑性加工油の添加剤としては、潤滑性付与剤
を用いることが好ましい。ここでいう潤滑性付与剤と
は、油脂、硫化エステル、多価アルコール部分エステ
ル、カルボン酸、アルコール、硫化オレフィン(ジハイ
ドロカルビルポリサルファイド、ポリサルファイド)、
トリクレジルフォスフェート等のりん酸エステル、酸性
りん酸エステル、亜りん酸エステル、チオりん酸エステ
ル、酸性チオりん酸エステル、チオ亜りん酸エステル、
ジチオりん酸エステル、酸性ジチオりん酸エステル、ジ
チオ亜りん酸エステル、スルホン酸塩、ジチオカルバミ
ン酸(炭素数8以上の直鎖アルキル基を有するものが好
ましい)の金属塩(Zn塩、Mo塩など)またはアミン
塩、ジチオりん酸(炭素数8以上の直鎖アルキル基を有
するものが好ましい)の金属塩(Zn塩、Mo塩など)
またはアミン塩、二硫化Mo、塩素化パラフィン、ほう
酸金属塩(K塩)などが挙げられる。
【0043】これらの中でも、硫化エステル、スルホン
酸塩、アルコールの中から選ばれる少なくとも1種を用
いることが好ましい。
【0044】上記硫化エステルとしては、具体的には例
えば、牛脂、豚脂、魚脂、菜種油、大豆油などの動植物
油脂;不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸又は上記
の動植物油脂から抽出された脂肪酸類などを含む)と各
種アルコールとを反応させて得られる不飽和脂肪酸エス
テル;及びこれらの混合物などを任意の方法で硫化する
ことにより得られるものが挙げられる。また、硫化エス
テルには活性タイプのものと不活性タイプのものがある
が、どちらも利用可能である。
【0045】上記スルホン酸塩は、アルカリ金属、アル
カリ土類金属またはアミンとスルホン酸とを反応させる
ことにより得られるものである。
【0046】ここで、本発明にかかるアルカリ金属とし
てはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属として
はマグネシウム、カルシウム、バリウム等、アミンとし
てはモノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が
それぞれ挙げられ、これらの中でもカルシウムが好まし
い。
【0047】他方、上記スルホン酸は、常法によって製
造された従来より公知のものを使用することができる。
具体的には、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族
化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に
副生するいわゆるマホガニー酸等の石油スルホン酸、あ
るいは洗剤等の原料となるアルキルベンゼン製造プラン
トから副生したりポリオレフィンをベンゼンにアルキル
化することにより得られる、直鎖状や分岐鎖状のアルキ
ル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したものや
ジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン
化したもの等の合成スルホン酸等、が挙げられる。これ
らのスルホン酸の分子量について特に制限はないが、好
ましくは100〜1500、より好ましくは200〜7
00のものが使用される。
【0048】上記の原料を用いて得られるスルホン酸塩
としては、具体的には以下のものが挙げられる。すなわ
ち、アルカリ金属の塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸
化物等)、アルカリ土類金属の塩基(アルカリ土類金属
の酸化物や水酸化物等)又はアミン(アンモニア、アル
キルアミンやアルカノールアミン等)とスルホン酸とを
反応させることにより得られる中性(正塩)スルホネー
ト; 上記の中性(正塩)スルホネートと、過剰のアル
カリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基又はアミンを
水の存在下で加熱することにより得られる塩基性スルホ
ン酸塩;炭酸ガスの存在下で上記の中性(正塩)スルホ
ネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の塩基
又はアミンと反応させることにより得られる炭酸塩過塩
基性(超塩基性)スルホネート;上記の中性(正塩)ス
ルホネートをアルカリ金属の塩基、アルカリ土類金属の
塩基又はアミン並びにホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸
化合物との反応、あるいは上記の炭酸塩過塩基性(超塩
基性)スルホネートとホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸
化合物との反応によって得られるホウ酸塩過塩基性(超
塩基性)スルフォネート、及びこれらの混合物等が挙げ
られる。
【0049】これらの中でも、より効果に優れることか
ら、塩基性スルホン酸塩、炭酸塩過塩基性(超塩基性)
スルホネート、ホウ酸塩過塩基性(超塩基性)スルフォ
ネートが好ましい。
【0050】スルホン酸塩の全塩基価は、より効果に優
れる点から50mgKOH/g以上であることが好まし
く、100mgKOH/g以上であることがより好まし
い。また、通常、製造が非常に難しく入手が困難である
ため、600mgKOH/g以下であることが好まし
く、550mgKOH/g以下であることがより好まし
い。
【0051】なお、ここでいう全塩基価とは、JIS
K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」
の7.に準拠して測定される過塩素酸法による全塩基価
[mgKOH/g]をいう。
【0052】上記アルコールとしては、より効果に優れ
ることから、炭素数12〜24の1価脂肪族アルコール
であることが好ましい。また、直鎖のものでも分岐のも
のでも良く、また飽和のものであっても不飽和のもので
あっても良い。炭素数12〜24のアルコールとして
は、具体的には例えば、直鎖状又は分岐状のドデカノー
ル、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖状又は分
岐状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデ
カノール、直鎖状又は分岐状のヘキサデカノール、直鎖
状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐状の
オクタデカノール、直鎖状又は分岐状のノナデカノー
ル、直鎖状又は分岐状のイコサノール、直鎖状又は分岐
状のヘンイコサノール、直鎖状又は分岐状のトリコサノ
ール、直鎖状又は分岐状のテトラコサノール、直鎖状又
は分岐状のドデセノール、直鎖状又は分岐状のトリデセ
ノール、直鎖状又は分岐状のテトラデセノール、直鎖状
又は分岐状のペンタデセノール、直鎖状又は分岐状のヘ
キサデセノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデセノー
ル、直鎖状又は分岐状のオクタデセノール(オレイルア
ルコールを含む)、直鎖状又は分岐状のノナデセノー
ル、直鎖状又は分岐状のイコセノール、直鎖状又は分岐
状のヘンイコセノール、直鎖状又は分岐状のトリコセノ
ール、直鎖状又は分岐状のテトラコセノール及びこれら
の混合物等が挙げられる これらの中でも、硫化油脂と過塩基性Caスルホネート
を併用することが最も好ましい。
【0053】上記潤滑性付与剤の含有量は、通常、塑性
加工油全量を基準として2〜100質量%であり、5〜
90%であることが好ましく、10〜70%であること
がより好ましく、15〜50%であることが最も好まし
い。
【0054】さらに、塑性加工油全量基準の潤滑性付与
剤の含有量(質量%)と金型への塗布量(g/m2 )と
の積は、加工性の点から、2以上であることが好まし
く、5以上であることがより好ましく、10以上である
ことがさらにより好ましく、20以上であることがさら
により一層好ましく、30以上であることが最も好まし
い。また、後工程への悪影響を小さくできる点から、5
00以下であることが好ましく、300以下であること
がより好ましく、100以下であることがさらにより好
ましい。
【0055】また、塑性加工油には、上記した潤滑性付
与剤以外にも、さび止め剤を添加しても良い。 さび止
め剤としては、具体的には例えば、スルホン酸塩;ステ
アリン酸、ヤシ油脂肪酸等のモノカルボン酸;、アルキ
ル又はアルケニルコハク酸(無水物を含む)及びその誘
導体;オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体等に代表さ
れるジカルボン酸;ヒドロキシ脂肪酸;メルカプト脂肪
酸;ザルコシン誘導体;酸化ワックス類;脂肪酸、ナフ
テン酸、酸化ワックス、樹脂酸、アルケニルコハク酸、
アミノ酸誘導体等のカルボン酸の金属塩(ナトリウム
塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アル
ミニウム塩、亜鉛塩、鉛塩等)やアミン塩(モノアミン
塩、牛脂アミン塩、ポリアミン塩、アルカノールアミン
塩等)等のカルボン酸塩類;グリセリン、ペンタエリス
リトール、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコールと
ラウリン酸、オレイン酸等のカルボン酸との部分エステ
ル類;ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、アルカノ
ールアミン等に代表されるアミン類;ホウ素化合物等及
びこれらの混合物等を配合することもできる。
【0056】上記さび止め剤としてのスルホン酸塩は、
前記潤滑性付与剤としてのスルホン酸塩と同じものであ
っても構わない。具体例としても同じものが挙げられ
る。これらの中でも、さび止め剤としてのスルホン酸塩
としては、全塩基価が50mgKOH/g未満のものが
好ましい。なお、高塩基価のスルホン酸塩と低塩基価
(中性を含む)のスルホン酸塩とを併用して用いること
により、貯蔵安定性をより向上させることができる。
【0057】また、スルホン酸としては、ナフタレン環
に結合する2つのアルキル基の総炭素数が14〜30で
あるジアルキルナフタレンスルホン酸塩;ベンゼン環に
結合する2つのアルキル基がそれぞれ直鎖アルキル基又
は側鎖メチル基を1個有する分岐鎖状アルキル基であ
り、且つ2つのアルキル基の総炭素数が14〜30であ
るジアルキルベンゼンスルホン酸塩;及びベンゼン環に
結合するアルキルの炭素数が15以上であるモノアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、からなる群より選ばれる少な
くとも1種を用いることが好ましい。また、塑性加工油
には、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0058】その他の添加剤としては、具体的には例え
ば、酸性雰囲気での暴露さび止め性向上効果が著しいパ
ラフィンワックス;フェノール系またはアミン系酸化防
止剤;ベンゾトリアゾールまたはその誘導体、チアジア
ゾール、ベンゾチアゾール等の腐食防止剤;ジエチレン
グリコールモノアルキルエーテル等の湿潤剤;アクリル
ポリマー、パラフィンワックス、マイクロワックス、ス
ラックワックス、ポリオレフィンワックス、ペトロラタ
ム等の造膜剤;メチルシリコーン、フルオロシリコー
ン、ポリアクリレート等の消泡剤及びこれらの混合物等
が挙げられる。
【0059】なお、上記のさび止め剤とその他の添加剤
の含有量は任意であるが、これらのさび止め剤とその他
の添加剤の含有量の総和は組成物全量基準で30質量%
以下であることが好ましい。
【0060】塑性加工油としては、人体あるいは生態系
等の環境に対する安全性の観点から、塩素及び鉛の含有
量がそれぞれ元素換算で組成物全量を基準として100
0質量ppm以下であることが好ましい。500質量p
pm以下であることがより好ましく、100質量ppm
以下であることがより好ましく、50質量ppm以下で
あることがさらに好ましく、10質量ppm以下である
ことがより一層好ましく、5質量ppm以下であること
が最も好ましい。
【0061】また、同様の理由から、バリウム、亜鉛の
含有量がそれぞれ元素換算で組成物全量を基準として1
000質量ppm以下であることがさらに好ましい。。
500質量ppm以下であることがより好ましく、10
0質量ppm以下であることがより好ましく、50質量
ppm以下であることがさらに好ましく、10質量pp
m以下であることがより一層好ましく、5質量ppm以
下であることが最も好ましい。
【0062】なお、本発明における元素の含有量とは、
以下の方法によって測定される値をいう。すなわち、バ
リウム、亜鉛および鉛の含有量とは、ASTM D 5185-95 "
Standard Test Method for Determination of Additive
Elements, Wear Metals, and Contaminants in Used L
ubricating Oils and Determination of Selected Elem
ents in Base Oils by Inductively Coupled Plasma At
omic Emission Spectrometry(ICP-AES)";塩素の含有量
とは、"IP PRPOSED METHOD AK/81 Determination of ch
lorine - Microcoulometery oxidative method" 、にそ
れぞれ準拠して測定される組成物全量を基準とした含有
量[質量ppm]を意味する。上記の測定方法における
各元素の検出限界は通常1質量ppmである。
【0063】塑性加工油は、加工性や作業性などの点か
ら、40℃での動粘度が2〜5000mm2 /sである
ことが好ましく、5〜1000mm2 /sであることが
より好ましく、10〜500mm2 /sであることがよ
り好ましく、15〜100mm2 /sであることが最も
好ましい。
【0064】本発明の塑性加工方法は、金属材料の一部
に上記潤滑油剤(塑性加工油)を塗布することを特徴と
するものであるが、前記した通り金属材料には材料塗布
油が塗布されていても良い。
【0065】材料塗布油は塑性加工油が塗布されていな
い部分の潤滑、異物除去、または加工前後の金属材料の
さび止め等に寄与するため、金属材料としては、材料塗
布油が塗布されているか、または樹脂コーティングされ
たいわゆるプレコート板であることが好ましい。
【0066】これらの中でも、材料防錆油剤、洗浄油剤
と中間防錆油剤及び/又は製品防錆油剤との兼用油(以
下、単に洗浄防錆油剤と言うことがある)、並びにこれ
らに潤滑性を付与したものであることが好ましい。
【0067】材料塗布油の金属材料への塗布量は、特に
制限は無いが、さび止め性や加工性の点からは、0.2
g/m2 以上であることが好ましく、0.3g/m2
上であることがより好ましく、0.5g/m2 以上であ
ることがさらにより好ましい。また、塑性加工の後工程
への影響を小さくさせることができる点から、5g/m
2 以下であることが好ましく、3g/m2 以下であるこ
とがより好ましく、2g/m2 以下であることがさらに
より好ましい。
【0068】本発明において、上記材料塗布油の塗布量
は、加工直前の金属材料への付着量を表す。つまり、材
料塗布油として溶剤希釈型のものを用いた場合、塗布
後、材料塗布油の一部(溶剤等)が揮発して無くなる
が、このような場合であっても、本発明において塗布量
とは、金属材料への塗布時の塗布量ではなく、加工直前
に金属材料へ付着してる量を表す。
【0069】金属材料への塗布方法も任意であり、はけ
やウエスなどを用いた手塗り、スプレー塗布、フェルト
材などによる転写、静電塗布、潤滑油の滴下による塗布
などが挙げられる。
【0070】材料防錆油の場合には、スプレー塗布また
は静電塗布が好ましい。また、洗浄防錆油剤などの溶剤
希釈型油剤の場合には、大量の油剤で異物を除去(洗
浄)した後に、リンガーロールで油剤を絞り取るなどし
て付着量をコントロールすることが望ましい。なお、洗
浄に際してはロールブラシなどを用いると効果が大き
い。
【0071】塑性加工油を使わない場合には、材料塗布
油に高い潤滑性を持たせ塑性加工を行っていたが、本発
明においては、塑性加工油を使用しているため、材料塗
布油にはそれ程高い潤滑性は求められず、また塗布量を
軽減することも可能であり、後工程への悪影響を低減す
ることができる。
【0072】塑性加工油としては、従来公知の防錆油
剤、洗浄油剤およびこの兼用油剤、並びにこれらに潤滑
性を付与させた塑性加工兼用油剤の何れも使用可能であ
るが、以下に記載するものを用いることが望ましい。
【0073】材料塗布油を具体的に説明すれば、鉱油及
び/又は合成油からなる基油と添加剤からなるものが挙
げられる。
【0074】材料塗布油の基油としては、塑性加工油の
基油として後で説明するものなどが用いられる。
【0075】材料塗布油の基油の粘度については特に制
限はないが、通常40℃における動粘度が1〜500m
2 /sのものが用いられる。材料塗布油の基油の粘度
は、その目的とする効果により適宜調整される。
【0076】また、本発明にかかる材料塗布油において
は、上記した各種基油を単独で用いてもよく、2種以上
の基油を混合して用いてもよい。また、上記基油の含有
量について特に限定はないが、通常、材料塗布油全量を
基準として0〜98質量%であり、好ましくは10〜9
5質量%である。
【0077】材料塗布油として材料防錆油剤を用いる場
合の基油組成としては、40℃での動粘度が0.6〜3
mm2 /sである炭化水素系溶剤を、組成物全量基準で
0〜60質量%含有し、40℃での動粘度が6〜100
0mm2 /sである重質基油を、組成物全量基準で10
〜98質量%含有することが好ましい。
【0078】また、材料塗布油として洗浄防錆油剤を用
いる場合の基油組成としては、40℃での動粘度が0.
6〜3mm2 /sである炭化水素系溶剤を、組成物全量
基準で60〜95質量%含有し、40℃での動粘度が6
〜1000mm2 /sである重質基油を、組成物全量基
準で3〜25質量%含有することが好ましい。
【0079】材料塗布油に配合される添加剤は、その目
的とする効果により適宜選ばれ、従来公知の各種添加剤
が使用可能である。
【0080】これらの中でも、さび止め剤、潤滑性付与
剤を含有していることが好ましい。特に、材料防錆油
剤、洗浄防錆油剤の場合には、さび止め剤を含有してい
ることが好ましい。
【0081】ここでいうさび止め剤、潤滑性付与剤と
は、塑性加工油の説明で挙げたものなどが用いられる。
【0082】潤滑性付与剤の好ましいものなどは、塑性
加工油の説明で挙げたものと同じである。
【0083】また、さび止め剤としては、スルホン酸
塩、酸化ワックス金属塩が好ましく、スルホン酸塩と酸
化ワックス金属塩を併用することがより好ましい。
【0084】スルホン酸塩としては、上記塑性加工油の
さび止め剤の説明で挙げたものと同じである。
【0085】酸化ワックス金属塩とは、酸化ワックス
と、アルカリ金属、アルカリ土類金属の中から選ばれる
少なくとも1 種と、を反応させ、酸化ワックスが有する
酸性基の一部または全部を中和して塩としたものをい
う。ここで、前記酸化ワックス塩の原料として使用され
る酸化ワックスとしては特に制限されないが、具体的に
は例えば、石油留分の精製の際に得られるパラフィンワ
ックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム
や合成により得られるポリオレフィンワックス等のワッ
クスを酸化することによって製造されるもの等が挙げら
れる。
【0086】スルホン酸塩としては、Ba塩、Ca塩、
Na塩またはアミン塩が好ましく、Ca塩がより好まし
い。酸化ワックス金属塩としても、Ba塩、Ca塩、N
a塩またはアミン塩が好ましく、Ca塩がより好まし
い。
【0087】さらに、よりさび止め性に優れることか
ら、酸化ワックス金属塩の含有量(質量%)に対するス
ルホン酸塩の含有量(質量%)の比率が、5以下である
ことが好ましく、4以下であることがより好ましく、3
以下であることがさらにより好ましく、2以下であるこ
とが最も好ましい。また、さび止め性および貯蔵安定性
により優れることから、1/5以上であることが好まし
く、1/4以上であることがより好ましく、1/3以上
であることがさらにより好ましく、1/2以上であるこ
とが最も好ましい。
【0088】上記さび止め剤及び潤滑性付与剤の含有量
(合計量)は、通常、材料塗布油全量を基準として0.
01〜30質量%である。含有量が少なすぎる場合に
は、効果が不十分となる恐れがあり、含有量が多すぎる
場合には後工程へ悪影響を及ぼす恐れがある。
【0089】また、さび止め剤、潤滑性付与剤以外の添
加剤についても、塑性加工油の説明で挙げたものものな
どが用いられる。
【0090】さらに、材料塗布油全量基準の添加剤(さ
び止め剤、潤滑性付与剤、その他の添加剤等の基油以外
の成分)の合計含有量(質量%)と金属材料への塗布量
(g/m2 )との積は、さび止め性や加工性の点から、
1以上であることが好ましく、2以上であることがより
好ましく、4以上であることがさらにより好ましく、5
以上であることが最も好ましい。また、後工程への悪影
響を小さくできる点から、100以下であることが好ま
しく、50以下であることがより好ましく、30以下で
あることがさらにより好ましく、20以下であることが
最も好ましい。材料塗布油も、人体あるいは生態系等の
環境に対する安全性の観点から、塩素及び鉛の含有量が
それぞれ元素換算で組成物全量を基準として1000質
量ppm以下であることが好ましい。500質量ppm
以下であることがより好ましく、100質量ppm以下
であることがより好ましく、50質量ppm以下である
ことがさらに好ましく、10質量ppm以下であること
がより一層好ましく、5質量ppm以下であることが最
も好ましい。
【0091】また、同様の理由から、バリウム、亜鉛の
含有量がそれぞれ元素換算で組成物全量を基準として1
000質量ppm以下であることがさらに好ましい。5
00質量ppm以下であることがより好ましく、100
質量ppm以下であることがより好ましく、50質量p
pm以下であることがさらに好ましく、10質量ppm
以下であることがより一層好ましく、5質量ppm以下
であることが最も好ましい。
【0092】材料塗布油の粘度については特に制限はな
いが、通常40℃における動粘度が1〜500mm2
sのものが用いられる。材料塗布油の粘度は、その目的
とする効果により適宜調整される。
【0093】例えば、材料防錆油剤として用いる場合に
は、40℃での動粘度が2〜500mm2 /sであるこ
とが好ましく、2〜100mm2 /sであることがより
好ましく、2.5〜20mm2 /sであることがより好
ましい。
【0094】また、洗浄防錆油剤として用いる場合に
は、40℃での動粘度が1〜10mm 2 /sであること
が好ましく、1.5〜7mm2 /sであることがより好
ましく、1.7〜5mm2 /sであることがより好まし
い。
【0095】また、材料塗布油の全塩基価は、1〜20
mgKOH/gであることが好ましい。特に、材料防錆
油剤、洗浄防錆油剤は、全塩基価が1〜20mgKOH
/gであることがこのましい。さび止め性の点から、1
mgKOH/g以上であることが好ましく、1.5mg
KOH/g以上であることがより好ましく、2mgKO
H/g以上であることがさらにより好ましく、3mgK
OH/g以上であることが最も好ましい。また、貯蔵安
定性の点から、20mgKOH/g以下であることが好
ましく、15mgKOH/g以下であることがより好ま
しく、10mgKOH/g以下であることがさらにより
好ましく、8mgKOH/g以下であることが最も好ま
しい。
【0096】また、材料塗布油においては、上記した全
塩基価とスルホン酸塩の含有量との間に、下記数式1で
表される比の値が3以下であることを満たしていること
が好ましい。
【0097】
【数1】 上記比の値は、貯蔵安定性の点から3以下であることが
好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以
下であることがさらにより好ましい。
【0098】なお、上記において、材料塗布油が有する
塩基性成分は、特に制限はない。具体的には例えば、炭
酸Caを分散したCaスルホネート(いわゆる過塩基性
スルホネート) 、炭酸Mgを分散したMgスルホネー
ト、炭酸Naを分散したNaスルホネート、炭酸Caを
分散した酸化パラフィンのCa塩系添加剤、炭酸Caを
分散したラノリン系添加剤、アミン類、酸化パラフィン
のCa塩またはラノリン脂肪酸のCa塩に含有されるカ
ルボン酸Ca塩、工業用に合成されたためほぼ純粋なカ
ルボン酸をCa塩化したもの、アルケニルコハク酸とエ
チレンジアミンから誘導されるいわゆる無灰分散剤など
が挙げられる。 洗浄防錆油の場合は、さらに、タンク
内の油剤の粘度を低く保つことにより洗浄性が高い状態
を維持することが望ましい。具体的には、補給に際して
は補給油として、タンクに初期に充填した油剤の組成と
ほとんど同一の組成ながら、重質基油成分だけは、ほと
んど添加しない組成とすることが好ましい。
【0099】
【実施例】以下、実施例および比較例を示す。以下に示
す基油及び添加剤を表1に示す組成により、実施例およ
び比較例に供した油剤を調製した。
【0100】基油 基油1:鉱油(40℃の動粘度:6.5mm2 /s、初
留点:235℃、終点:425℃、芳香族分:13%、
炭素数14以下の炭化水素の含有率:0.5%未満、炭
素数20以下の炭化水素の含有率:約50%) 基油2:鉱油(40℃の動粘度:22mm2 /s、初留
点:300℃、終点:485℃、芳香族分:22%、炭
素数14以下の炭化水素の含有率:1%未満、炭素数2
0以下の炭化水素の含有率:約1%) 基油3:鉱油(40℃の動粘度:400mm2 /s、初
留点:440℃、終点:700℃、芳香族分:43%、
炭素数14以下の炭化水素の含有率:0.5%未満、炭
素数20以下の炭化水素含有率:1%未満) 基油4:鉱油(40℃の動粘度:2mm2 /s、初留
点:200℃、終点255℃、芳香族分:0.5%、炭
素数14以下の炭化水素の含有率:98%、炭素数20
以下の炭化水素含有率:100%)。
【0101】添加剤 スルホン酸塩 S1:ジノニルナフタレンBaスルホネート溶液(正味
スルホン酸塩:50%、全塩基価:1mgKOH/g) S2:ジアルキルベンゼンCaスルホネート溶液(正味
スルホン酸塩:60%、全塩基価:5mgKOH/g)
(エチレンオリゴマーに由来する2つのアルキル基を有
するジアルキルベンゼンCaスルホネートであり、2つ
のアルキル基の総炭素数が20のものが主成分である) S3:ジアルキルベンゼンCaスルホネート溶液(正味
スルホン酸塩:30%、全塩基価:300mgKOH/
g(エチレンオリゴマーに由来する2つのアルキル基を
有するジアルキルベンゼンCaスルホネートであり、2
つのアルキル基の総炭素数が20のものが主成分であ
る)
【0102】なお、上記S1〜S3は、キャリアオイル
として40℃での動粘度20mm2/s程度の鉱油を用
いている。また、表1中のS1〜S3の配合比は上記溶
液についての値であり、各組成物中のスルホン酸塩の含
有量は、それぞれ溶液の配合比に上記の正味スルホン酸
塩の比率を乗じることによって得ることができる。
【0103】(A)成分 A1:グリセリンモノオレート
【0104】(B)成分 B1:酸化パラフィンCa塩(全酸価:5mgKOH/
g、全塩基価:16mgKOH/g、けん化価:80m
gKOH/g) B2:酸化パラフィンBa塩(全酸価:7mgKOH/
g、全塩基価:10mgKOH/g、けん化価:65m
gKOH/g)。
【0105】(D)成分 D1:ラノリン脂肪酸のCa塩(全酸価:2.5mgK
OH/g、全塩基価:11mgKOH/g、けん化価:
120mgKOH/g)。
【0106】その他の成分 H1:ジ−tert−ブチル−p−クレゾール H2:ベンゾトリアゾール H3:下記一般式:
【0107】
【化1】 で表されるベンゾトリアゾール誘導体 H4:不活性タイプ硫化ラード(硫黄含有量:12質量
%、けん化価:250mgKOH/g、全酸価:1mg
KOH/g) H5:活性タイプ硫化ラード(硫黄含有量:15質量
%、けん化価:240mgKOH/g、全酸価:1mg
KOH/g) 各油剤について、下記の方法により貯蔵安定性試験、洗
浄性試験、材料防錆性試験を行った。結果を表1に示
す。
【0108】貯蔵安定性試験 油剤30gを50mL容量のガラスビンにとり、20℃5
0%相対湿度(12hr)、50℃95%相対湿度(1
2hr)でサイクル運転させた恒温槽内で保管した。評
価は、曇り・沈殿が認められるまでの日数で行い、評点
は以下の通りとした。 A:10日以上 B:9〜7日間 C:6〜4日間 D:3〜2日間 E:1日間以内
【0109】洗浄性試験 冷延鋼板上に、JIS 11種のダストを付着させ、試験片と
した。この試験片に、油剤を一定の噴出量で、それぞれ
10秒間スプレーした。洗浄終了後、試験片に残っている
ダスト量(未洗浄ダスト量)を測定し、試験片の洗浄率
を、以下の数式2にしたがって求めた:
【0110】
【数2】 評点は以下の通りとした。 A:93%以上 B:87〜93% C:80〜87% D:70〜80% E:70%以内
【0111】材料防錆性試験 供試材( 市販SPCE-SDク゛レート゛ ,30×200mm)に油剤を塗布
したものを、10枚調製する。その後この10枚を重ね合わ
せ、市販のダブルクリップで4ヶ所を固定する。これ
を、50℃95%相対湿度に調製された恒温槽内で2週
間貯蔵し、錆・変色の発生面積率で評価した。評点は以
下の通りとした。 A:さび・変色発生面積率3%以下 B:3〜10% C:10〜20% D:20〜30% E:30%以上
【0112】
【表1】
【0113】比較例1 金属材料(合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)、30
×200 ×0.75mm)に表1の組成物1(材料防錆油)を塗
布量1g/m2 となるように塗布したものを、10枚調
製した。その後この10枚を重ね合わせ、市販のダブル
クリップで長手方向の2ヶ所を固定し静置した。静置後
3時間経過後に、下記の成型試験に供した。なお、試験
片は、外側の2枚を除く内側の8枚とし、その都度1枚
づつ取り分け、残りの試験片は直後に再び重ね合わせ、
油剤が揮発しないようにした。
【0114】成形に用いたビード付ハット成形金型を図
1に示す。金型は、所定のダイス径を有し固定された下
型工具、試験片を押え過重をかける金型である上型工
具、及び下降することにより金属材料を塑性加工する角
頭ポンチからなる。
【0115】図1に示すビード付ハット成形金型を用
い、表1の組成物2(塑性加工油)をスプレーを用いて
材料全体に3g/m2 塗布し、その後この金型を用いて
試験片8枚を連続してビード付ハット成形した。加工
前、加工中、加工後を図2〜4に示す。成形初期から成
形終了まで角頭ポンチへの過重の変化を測定し、その最
大荷重を成形荷重とした。
【0116】成形条件 上型工具の押え過重:2000kgf 角頭ポンチの下降速度:600m/min 続いて、金型全体にテフロンシートを用いて同様の成形
を行い、この時の成形荷重を塑性加工による荷重とし、
成形荷重から塑性加工による荷重を差し引いたものを、
摩擦力とした。この摩擦力を上型工具の押え荷重で除
し、さらに2で除したものを摩擦係数とした。なお、ダ
イス径は52mmで行った。上記ビード付ハット成形後
の試験片を用いて、下記の方法により製品防錆性試験、
脱脂性試験、接着性試験を行った。
【0117】製品防錆性試験 試験片を屋外に設置した百葉箱内で保管し、所定の時間
経過後に試験片上の錆の有無を観察し、以下の基準に基
づいて評価した。結果を表2に示す。 A:成形後20日経過しても錆の発生が認められなかっ
た B:成形後14〜19日に錆の発生が認められた C:成形後7〜13日に錆の発生が認められた D:成形後3〜7日に錆の発生が認められた E:成形後3日以内に錆の発生が認められた
【0118】脱脂性試験 リン酸Na,ケイ酸Na系アルカリビルダーにノニオン系界
面活性剤を組み合わせたアルカリ脱脂剤に、試験片を2
分間浸漬した後、流水中で30秒間洗浄した。その後、試
験片を垂直にし20秒間保持し、水濡れ面積率で脱脂性を
評価した。評点は以下の通りとした。結果を表2に示
す。 A:95%以上 B:90〜95% C:80〜90% D:60〜80% E:60%以下
【0119】接着性試験 試験片を図5で示す切断位置で切断した。切断した2つ
の試験片の図5で示す接着剤塗布部分にエポキシ系接着
剤を塗布し、170 ℃で20分間焼付硬化させた。24時間後
に引張り試験により接着した試験片を引き剥がし、その
際の剥離状態で評価した。剥離は、接着剤層が破壊され
ることによる凝集剥離と接着層と金属材料との界面で剥
離する界面剥離とに分類され、この両者は目視により区
別できる。このうち界面剥離の発生面積を測定し、接着
剤の塗布面積に対する界面剥離の発生面積の割合を、以
下の評点により評価した。結果を表2に示す。 A:3%以下 B:3〜10% C:10〜25% D:25〜50% E:50%以上
【0120】
【0121】実施例1 表1の組成物2(塑性加工油)を金属材料全体ではな
く、図1の金属材料の塗布位置Aの箇所の上面に各10
mmづつ、及び塗布位置Bの箇所の下面に各15mmづ
つ、2g/m2 塗布した(金属材料の加工面全体の1
7.5%)以外は、比較例1と同様にして各試験を行っ
た。結果を表2に示す。
【0122】実施例2 金属材料に組成物1を塗布量1g/m2 となるように塗
布する代りに、表1の組成物3(洗浄防錆油)を塗布量
2g/m2 となるように塗布した以外は、実施例1と同
様にして各試験を行った。結果を表2に示す。
【0123】比較例2 金属材料に組成物2(塑性加工油)を塗布しなかった以
外は、実施例1と同様にして各試験を行った。結果を表
2に示す。
【0124】実施例3 金属材料として、5000系アルミ板(30×200 ×1mm
)を用い、ダイス径を53mmとした以外は実施例2
同様にして各試験を行った。結果を表2に示す。
【0125】実施例4 金属材料として、6000系アルミ板(30×200 ×1mm
)を用い、ダイス径を53mmとした以外は実施例2
と同様にして各試験を行った。結果を表2に示す。
【0126】実施例5 金属材料として、冷延鋼板(30×200 ×0.75mm)を用い
た以外は実施例2と同様にして各試験を行った。結果を
表2に示す。
【0127】実施例6 金属材料として、高張力鋼板(ハイテン材)(30×200
×0.6mm )を用いた以外は実施例2と同様にして各試験
を行った。結果を表2に示す。
【0128】実施例7 金属材料として、熱延鋼板(30×200 ×2mm )を用い、
ダイス径を55mmとした以外は実施例2と同様にして
各試験を行った。結果を表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
【発明の効果】上記の通り、本発明によれば、金属材料
の成形不良が生じ易い部分にのみ潤滑油剤を塑性加工時
に塗布することにより、プレス成形に供される金属材料
に十分な量の高い潤滑性を有する潤滑油またはさび止め
兼潤滑油等を予め塗布することなく、良好なプレス成形
を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 塑性加工の金型の断面図及び金属材料に潤滑
油剤を塗布する位置を示す。
【図2】 加工前の金型及び金属材料の断面図を示す。
【図3】 加工中の金型及び金属材料の断面図を示す。
【図4】 加工後の金型及び金属材料の断面図を示す。
【図5】 試験片の切断位置と接着剤の塗布位置を示
す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工材である金属材料の一部にのみ潤
    滑油剤を塑性加工時に塗布することを特徴とする金属材
    料の塑性加工方法。
  2. 【請求項2】 潤滑油剤を塗布する部分が、金属材料の
    移動、流入が制限され易い部位であることを特徴とする
    請求項1に記載の金属材料の塑性加工方法。
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