JP2002113873A - インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

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JP2002113873A
JP2002113873A JP2001236253A JP2001236253A JP2002113873A JP 2002113873 A JP2002113873 A JP 2002113873A JP 2001236253 A JP2001236253 A JP 2001236253A JP 2001236253 A JP2001236253 A JP 2001236253A JP 2002113873 A JP2002113873 A JP 2002113873A
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resistance heating
ink jet
jet recording
ink
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Hideyuki Sugioka
秀行 杉岡
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録素子に印加する電源電圧を安定化させる
と共に、高速化、多ノズル化に対応して、インクの種類
や記録素子に応じてインクの吐出エネルギを最適に制御
する。 【解決手段】 インクジェットヘッドは、素子基板上に
形成されたヒータ群12の各発熱素子13にヒータ印加
用電圧を供給するための所定電圧発生回路11を有する
構成である。所定電圧発生回路11をインクジェットヘ
ッド1に有することで、インクジェットヘッド1に供給
される外部からの入力電圧にスパイク状のノイズが重畳
したり入力電圧が電圧降下を起こした場合でも、所定電
圧発生回路11の出力電圧がほぼ一定に維持されるた
め、ノイズ入力や外部電圧降下に対して変動が少ないヒ
ータ印加用電圧を各発熱素子13に印加することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡現象を利用し
たバブルジェット(登録商標)プリンタなどに応用され
るインクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置
およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バブルジェット記録方式に適用さ
れる記録ヘッドは、一般に微細な吐出口、流路および該
流路の一部に設けられる発熱体を備えている。バブルジ
ェット記録方式とは、発熱体を用いて流路内の液体を局
所的に高温にすることにより気泡を発生させ、発泡時の
高い圧力を利用して、液体を微細な吐出口より吐出さ
せ、記録紙等の被記録媒体に付着させる記録方式であ
る。
【0003】この種の記録技術によって記録される画像
を高精彩化するためには、微小な液滴を高密度に吐出さ
せる技術が要求される。そのため、微細な流路と微細な
発熱源を形成することが基本的に重要となる。それゆ
え、バブルジェット記録方式では構造の単純性を活かし
て、フォトリソグラフィ工程技術を駆使した高密度ヘッ
ドの作成方法が、たとえば、特開平08−15629号
公報等に開示されている。また、液滴の吐出量を調整す
るために、端部に比べ中央部の発熱量が大きい発熱体が
特開昭62−201254号公報等に開示されている。
【0004】発熱体としては、通常、厚さ0.05μm
程度の窒化タンタル薄膜抵抗体を用い、これに通電した
時のジュール熱で液体の発泡を行う。このような抵抗発
熱体には、通常、キャビテーションによる抵抗発熱体表
面の損傷を防止するために、0.8μm程度のSiNな
どの絶縁体を介して厚さ0.2μm程度のTaなどの金
属からなる耐キャビテ−ション層が配置されている。
【0005】また、特開昭64−20150号公報に
は、基板上に、複数の縦配線と複数の交点部分に、順電
流のみが流れる整流素子と、これに接続された発熱素子
と、を設けたことを特徴としたマルチノズルインクジェ
ット記録ヘッドが開示されている。また、特開昭57−
36679号公報には、基板上に、順方向の通電により
発熱可能なダイオードを複数個アレイ状に配列したサー
マルヘッドが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、バブルジェッ
ト方式のインクジェット記録ヘッドには、インクを吐出
するための気泡を発生させるために他の方式のものと比
べて大電流を使用するので、比較的大きなノイズ電圧が
発生し易い。しかし、上述の特開昭64−20150号
公報に記載のインクジェット記録ヘッドでは、極性が定
まらないノイズ電圧など発熱素子の駆動電圧より低い電
圧が発生した場合に、駆動しない整流素子や発熱素子に
もその整流素子の順方向には電流が流れ、その整流素子
やその整流素子に接続された発熱素子に不要な発熱が生
じ、高画質の記録を安定して行えないことがあった。
【0007】また、従来のインクジェット記録ヘッドの
多くは発熱素子とダイオードやロジック回路部を半導体
プロセス(イオン注入などの方法)でシリコン基板上に
同時に作り込むことを前提としている。したがって、比
較的ノズル数の少ないインクジェット記録ヘッドではコ
ンパクトにでき、単一の工程できるという利点がある。
しかしながら、例えば紙幅いっぱいの長さを有するフル
マルチヘッドでは、一体的に作ろうとすれば12インチ
という長さが必要で、通常のシリコンウェハを使うこと
が難しく高コストな製法となる恐れがあった。
【0008】それゆえ、極性によらず、低い電圧を印加
した時の抵抗値が、高い電圧を印加した時の抵抗値に比
べて高い値を示すMIM型の電流電圧特性を有し、イオ
ン注入法などの従来の半導体プロセスに頼らないで作成
できる非線形素子を用いてBJ用発熱素子をマトリクス
駆動することができれば、不要な発熱が生じず高画質の
記録を安定して行うことができる長尺なインクジェット
記録ヘッドを低コストで提供できる可能性がある。
【0009】そこで、米国S/N586890には、非
線形素子であるMIM(MetalInsulator
Metal)素子が複数のBJ用発熱素子のそれぞれ
に対応して設けられ、MIM素子を用いてBJ用発熱素
子をマトリクス駆動するインクジェット記録ヘッドが本
発明の発明者等から提案されている。しかし、BJ用の
記録ヘッドにおいては、ヒータ部の抵抗発熱体ではおよ
そ0.1GW/m2以上の電力密度を扱う必要があり、
従来のMIM素子をマトリクス駆動用の非線形素子とす
る応用製品において経験したことがない電力をMIM素
子に直列接続した抵抗素子に供給する必要があった。し
かしながら、高密度にアレイ状に配置した抵抗素子に大
電力を供給しようとするとMIM素子自体の電力損失に
よりエネルギ利用効率が低下する恐れがあった。
【0010】このようなMIM素子自体による電力損失
は、液晶用など従来のMIM素子応用製品では、桁違い
に小さく、これまで問題となるものではなかった。すな
わち、MIM素子自体の電力損失の問題は大電力を扱う
BJ用MIM素子特有の問題と考えられる。
【0011】そこで、本発明は、非線形素子自体の電力
損失によるエネルギの利用効率の低下を防止し、長尺、
かつ、低コストのインクジェット記録ヘッド、インクジ
ェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のインクジェット記録ヘッドは、抵抗発熱素子
と、前記抵抗発熱素子を駆動するために前記抵抗発熱素
子に直列接続されている、極性によらず、低い電圧を印
加した時の抵抗値が、高い電圧を印加した時の抵抗値に
比べて高い値を示すMIM型の電流電圧特性を有する非
線形素子と、を有するインクジェット記録ヘッドであっ
て、前記抵抗発熱素子と前記非線形素子とは、どちら
も、インクを吐出するための気泡の発生に寄与するもの
であることを特徴とする。
【0013】上記の通り構成された本発明のインクジェ
ット記録ヘッドは、通電によりジュール熱を発生する抵
抗発熱素子のみならず、この抵抗発熱素子に接続され
た、極性に依らず、低い電圧を印加した時の抵抗値が、
高い電圧を印加した時の抵抗値に比べて高い値を示すM
IM型の電流電圧特性を示す非線形素子もインクを吐出
するための発泡に寄与するものである。すなわち、流路
内のインクを発泡させるのに抵抗発熱素子の発熱に加え
て非線形素子で生じる、従来、熱損失として捨てられて
いた熱エネルギをも用いることでインクジェット記録ヘ
ッドとしての効率の低下を防止することができる。
【0014】さらに、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドは、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素
子とが、電力を供給されることにより略同時のタイミン
グで別々の気泡の発生に寄与するものであってもよい
し、異なるタイミングで別々の気泡の発生に寄与するも
のであってもよい。また、直列接続された前記抵抗発熱
素子と前記非線形素子とは、電力を供給されることによ
り1つの気泡の発生させるものであってもよい。
【0015】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
は、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子
とに電力を供給されることにより、前記抵抗発熱素子の
みを気泡の発生に寄与させることができるものであって
もよい。この場合、インクの吐出量を多値化することが
できる。
【0016】また、直列接続された前記抵抗発熱素子と
前記非線形素子とは、インクが吐出される方向に対して
略平行に配置されているものであってもよいし、インク
が吐出される方向に対して略垂直に配置されているもの
であってもよい。
【0017】また、直列接続された前記抵抗発熱素子と
前記非線形素子とからなるユニットが、選択電位波形を
入力する走査用電極と、画像信号に応じた情報電位波形
を入力する情報用電極とが交差することで形成されたマ
トリクス回路の交点に接続されているものであってもよ
い。
【0018】また、直列接続された前記抵抗発熱素子と
前記非線形素子とに電圧を印加するマトリクス回路を構
成するマトリクス電極を有するものであってもよい。
【0019】また、直列接続された前記抵抗発熱素子と
前記非線形素子とは、マトリクス電極の交点に位置する
ものであってもよい。
【0020】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
は、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子
とに発生する熱エネルギーによりインクに膜沸騰を生起
させてインクを吐出するものであってもよい。
【0021】また、本発明のインクジェット記録装置
は、抵抗発熱素子と、前記抵抗発熱素子を駆動するため
に前記抵抗発熱素子に直列接続されている、極性によら
ず、低い電圧を印加した時の抵抗値が、高い電圧を印加
した時の抵抗値に比べて高い値を示すMIM型の電流電
圧特性を有する非線形素子と、を有するインクジェット
記録ヘッドと、被記録媒体を搬送する搬送手段と、を有
するインクジェット記録装置であって、前記インクジェ
ット記録ヘッドは、直列接続された前記抵抗発熱素子と
前記非線形素子とが、どちらも、インクを吐出するため
の気泡の発生に寄与するものであり、直列接続された前
記抵抗発熱素子と前記非線形素子とに対応して設けら
れ、被記録媒体の被記録面にインクを吐出する吐出口を
有するものであり、前記インクジェット記録装置は、直
列接続された前記抵抗発熱素子と非線形素子とに供給す
る電力の制御を行う制御部を有することを特徴とする。
【0022】上記の通り構成された本発明のインクジェ
ット記録装置は、本発明のインクジェット記録ヘッド
と、このインクジェット記録ヘッドの非線形素子および
抵抗発熱素子への電力供給の制御を行う制御部を有す
る。したがって、流路内のインクを発泡させるのに抵抗
発熱素子の発熱に加えて非線形素子で生じる、従来、熱
損失として捨てられていた熱エネルギをも用いることで
インクジェット記録装置の効率低下を防止することがで
きる。
【0023】さらに、本発明のインクジェット記録装置
は、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子
とが、電力を供給されることにより略同時のタイミング
で気泡の発生に寄与するものであってもよいし、異なる
タイミングで気泡の発生に寄与するものであってもよ
い。
【0024】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記制御部が、直列接続された前記抵抗発熱素子と
前記非線形素子とに供給する電力を制御することによ
り、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子
との双方が気泡の発生に寄与するか、あるいは、前記抵
抗発熱素子のみが気泡の発生に寄与するか、を制御する
ものであってもよい。この場合、このような制御を行う
ことで、インクの吐出量を多値に制御することができ
る。
【0025】本発明のインクジェット記録方法は、本発
明のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体の被記
録面に記録を行うインクジェット記録方法において、前
記吐出口から吐出したインクを被記録媒体の被記録面に
付着させて記録を行う工程を含むことを特徴とする。
【0026】上記の通りの本発明のインクジェット記録
方法は、本発明のインクジェット記録ヘッドの吐出口か
ら吐出したインクを被記録媒体の被記録面に付着させて
記録を行う工程を含む。すなわち、流路内のインクを発
泡させるのに抵抗発熱素子の発熱に加えて非線形素子で
生じる、従来、熱損失として捨てられていた熱エネルギ
をも用いる、効率低下が防止されたインクジェット記録
ヘッドを用いて記録が行われるため、記録に要するコス
トを低減することができる。
【0027】さらに、本発明のインクジェット記録方法
は、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子
とに電力を供給することにより、前記抵抗発熱素子と前
記抵抗発熱素子に直列接続された非線形素子とを略同時
のタイミングで気泡の発生に寄与させるものであっても
よいし、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形
素子とを異なるタイミングで気泡の発生に寄与させるも
のであってもよい。
【0028】また、本発明のインクジェット記録方法
は、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子
とに前記電力を供給することにより、前記抵抗発熱素子
のみを気泡の発生に寄与させるものであってもよい。こ
の場合、直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形
素子とで別々に気泡の発生させる上記の記録方法と組み
合わせて、インクの吐出量を多値化することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0030】図1は、本発明の第1の実施形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドの模式的な側断面図であり、図
2は、本実施形態のインクジェット記録ヘッドの構造お
よび回路構成を説明する模式的な平面図であり、また、
図3は、本実施形態のインクジェット記録ヘッドのマト
リクス回路の概念を説明する回路図である。
【0031】インクジェット記録ヘッドは、上面に下部
層22が形成された基板23と、基板23に対向して取
り付けられた天板21とにより形成された流路31内
に、MIM素子等の非線形素子1と、通電によりジュー
ル熱を発生する抵抗発熱体2とを有し、これらの構成要
素がマトリクス状に配列されている。また、後述するイ
ンクジェット記録装置には、本実施形態のインクジェッ
ト記録ヘッドの非線形素子1および抵抗発熱体2に印加
する電圧等を制御する制御部40が設けられている。
【0032】非線形素子1は、下部層22の上に設けら
れた、画像信号に応じて吐出用または非吐出用情報電位
波形を入力する下側情報電極5と、抵抗発熱体2とも導
通している上側電極6と、下側情報電極5と上側電極6
とを絶縁する絶縁性薄膜24とを有する。抵抗発熱体2
は、走査電極7と上側電極6と電気的に接続されてい
る。本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは、イン
クを流路31に供給する共通液室4に近い側に非線形素
子1が配置され、吐出口30に近い側に抵抗発熱体2が
配置されている。
【0033】図3に示す回路構成において、走査電極7
は行方向にYj、Yj+1…と配列され、下側情報電極5は
列方向にXj、Xj+1…と配列されることでマトリクス回
路を構成している。図3に示しているように、本実施形
態のインクジェット記録ヘッドでは、Yj、Yj+1…、X
i、Xi+1…から成るマトリクス回路の下側情報電極5と
走査電極7との交点で、非線形素子1と抵抗発熱体2と
が上側電極6により直列に接続されている。
【0034】制御部40は、走査電極7に選択電位波形
を入力し、下側情報電極5に画像信号に応じて吐出用ま
たは非吐出用情報電位波形を入力することにより、画像
信号に応じて非線形素子1をオン状態またはオフ状態に
制御し、吐出口30からの吐出液滴9の吐出および非吐
出を制御する。すなわち、オン状態に制御された非線形
素子1に対応する吐出口30のみから吐出液滴9が吐出
される。さらに詳細には、非線形素子1をオン状態に制
御されて電力が供給された抵抗発熱体2上、あるいは、
非線形素子1上の吐出用液体32が急速に加熱されて、
気泡61,62が発生する。これら気泡61,62は、
膜沸騰現象に基づく気泡であり、発熱体表面全域に一斉
にきわめて高い圧力を伴って発生する。この圧力によっ
て、吐出口30から非線形素子1および抵抗発熱体2の
配置された方向に対して略平行な方向に吐出液滴9が吐
出され、被記録媒体上に画像が形成される。
【0035】また、本発明において、発泡に寄与すると
は、図4に示すように、非線形素子1と発熱抵抗体2と
が近接している場合に、非線形素子1と抵抗発熱体2と
を用いて1つの気泡63を発生させるものも包含してい
る。
【0036】すなわち、本発明において、気泡の発生に
寄与するとは、非線形素子1及び抵抗発熱体2がそれぞ
れ別々に気泡61,62を発生させることができる熱エ
ネルギーをインクに付与すること、及び、非線形素子1
と抵抗発熱体2とが近接している場合に、非線形素子と
抵抗発熱体とのそれぞれで発生する熱エネルギーを利用
して1つの気泡が発生するようにそれらの熱エネルギー
をインクに付与することである。なお、吐出液滴9をよ
り安定して吐出するためには、気泡の発生は膜沸騰現象
によるものであることが好ましい。
【0037】このように、本実施形態のインクジェット
記録ヘッドは、抵抗発熱体2のみが気泡の発生に寄与す
るのではなく、抵抗発熱体2に直列に接続された、抵抗
発熱体2のオンオフ用のスイッチング素子である非線形
素子1で発生する発熱をも吐出用液体32の発泡に積極
的に利用することにより、非線形素子1自体の電力損失
によるエネルギの利用効率の低下を防止することができ
るものである。
【0038】ここで、MIM素子とは、原義的には絶縁
体とこれを挟み込むように配置された金属とを有するト
ンネル接合素子であるが、通常、絶縁体とこれを挟み込
むように配置された導電体電極とを有する接合素子もM
IM素子と呼ばれる。
【0039】MIM素子での、絶縁体中の電気伝導機構
としては、プールフレンケル型伝導のような絶縁体の中
で複数のトンネリングを繰り返すホッピング型の電気伝
導や、ファウラーノルドハイム型伝導のような比較的単
純なトンネル伝導などが知られている。
【0040】こうしたトンネル型の電流が流れ、接合素
子に電流が流れるためには、電極間の距離が極めて狭い
必要がある。MIM素子に電流が流れる絶縁体の限界膜
厚、または、限界電極間隔は絶縁材料や電極材料の種類
や伝導機構に大きく依存するが、MIM素子として有為
な電流が流れるためには、例えば、電極間隔を100n
m以下とすることが望ましい。さらに、バブルジェット
記録ヘッドの駆動に必要な大電流を低電圧で得るために
は、好ましくは、電極間隔を40nm以下とすることが
望ましい。
【0041】また、電極間隔が極端に狭いと電極の金属
表面のイオンが電界放射を起こす恐れがあるため、電極
間隔を1nm以上とすることが望ましい。さらに、安定
なトンネル伝導が生じるトンネル接合を得るためには電
極間隔を4nm以上とすることが望ましい。
【0042】すなわち、特に、電極間距離が1nm以上
100nm以下であり、より好ましくは、4nm以上4
0nm以下であるMIM素子を非線形素子1として用い
ることが好ましい。
【0043】また、ZnOにBi、PrおよびCo等の
金属酸化物を添加した焼結体層や、炭化珪素SiCなど
からなる粒状結晶層を、上記のMIM素子における絶縁
体の代わりに電極間に配置した、いわゆるバリスタも、
極性に依らず、高電圧側では低い抵抗値を示し、低電圧
側では高い抵抗値を示すMIM型の電流電圧特性を有す
る素子であり、MIM素子と同様にこのバリスタを本発
明の非線形素子1として用いることができる。
【0044】このようなMIM型の電流電圧特性を示す
非線形素子1を発熱手段として用いることによって、ノ
イズ電圧などの発熱素子の駆動電圧より低い電圧が発熱
素子に印加されても、低い電圧が印加された場合の非線
形素子1の抵抗値が大きいことにより、非線形素子1に
はほとんど電流が流れないので、非線形素子1の不要な
発熱を防止することができ、また、所望の非線形素子1
の駆動のために投入した電気エネルギが、他の非線形素
子1の不要な発熱により消費され、駆動する非線形素子
1への投入電気エネルギが小さくなって所望の発泡を発
生させられず、液体吐出量が変化して記録画像の画質を
乱すことを防止できる。
【0045】特に、本発明が適用されるバブルジェット
方式のインクジェット記録ヘッドでは、気泡を発生させ
るために他の方式のものと比べて大電流を使用するの
で、比較的大きなノイズ電圧が発生し易い。そのため、
極性が定まらないノイズ電圧によって非線形素子1が発
熱しないように、非線形素子1の電流電圧特性は、正電
圧側、負電圧側とも、小さい絶対値の電圧の印加では、
充分に小さな電流しか流れない電流電圧特性であること
が望ましい。そこで、特に、非線形素子1の電流電圧特
性は、図5に示すように、所望の発泡を発生させるため
に電圧を印加した時に流れる電流に相当する絶対値I0
の電流を与える印加電圧+V1と、−V2との絶対値の比
(V1/V2)が0.5〜2の値であり、かつ、+V1
2、−V2/2の電圧を印加した時に流れる電流の絶対
値がI0/10以下であることが望ましい。
【0046】こうしたMIM型の電流電圧特性を示す非
線形素子1をマトリクス電極の交点に配置することによ
り、マトリクス駆動時のバイアス電圧による非選択点で
の不要な発熱を抑制し、発熱素子のマトリクス駆動を可
能とできる。また、マトリクス駆動により、ドライバと
発熱素子の分離を容易とし、安価な非Si基板での大量
生産も可能とできる効果がある。
【0047】次に、制御部により電力を印加された際
の、非線形素子と吐出用液体との界面の温度TMIMおよ
び抵抗発熱体と吐出用液体との界面の温度TRの定性的
な時間変化を図6に示す。
【0048】非線形素子1および抵抗発熱体2は、同様
に温度上昇特性し、これにより非線形素子1および抵抗
発熱体2が同時刻t1、t2でともに発泡温度に達する
ため、非線形素子1による発泡と抵抗発熱体2による発
泡が略同時となる。すなわち、吐出液滴9を吐出させる
ために必要なエネルギを非線形素子1のみに供給するの
ではなく、抵抗発熱体2にも分担させることで、非線形
素子1のみに供給することで生じる非線形素子1自体の
電力損失によるエネルギの利用効率の低下を防止でき
る。
【0049】また、本実施形態のインクジェット記録ヘ
ッドは、非線形素子1による発泡閾値電圧Vth1と抵
抗発熱体2による発泡閾値電圧Vth2とが異なるもの
を用いた構成とすることにより、あるいは、制御部40
によってマトリクス回路の交点に印加する電圧を制御す
ることで、非線形素子1による発泡と抵抗発熱体2によ
る発泡の両面発泡か、それらの一面のみの発泡かを制御
することも可能である。すなわち、非線形素子1および
抵抗発熱体2に印加する電圧のパルス幅またはパルス高
を適当に変化させることにより、抵抗発熱体2だけを発
泡させる場合と、抵抗発熱体2と非線形素子1との両方
を発泡させる場合に制御できるため、吐出量を多値に制
御できる。
【0050】例えば、図7に示すように、制御部40に
より電圧V1を時間t0だけ印加した場合、まず抵抗発
熱体2と吐出用液体32の界面の温度TRが時間t2で
発泡温度に達し、次いで時間t1で非線形素子1と吐出
用液体32の界面の温度TMI Mが発泡温度に達するよう
にする(t1<t2<t0)ことで、抵抗発熱体2側を
先に発泡させ、次いで非線形素子1側を発泡させる構成
にしてもよい。あるいは、逆に図8に示すように、t2
<t1<t0となるようにして、非線形素子1側を先に
発泡させ、次いで抵抗発熱体2側を発泡させる構成にし
てもよい。
【0051】さらに、図9に示すように、印加する電圧
V2と電圧V1とがV2<V1の関係であり、V2を非
線形素子1上の液体が発泡する閾値電圧Vth1より低
く、かつ、抵抗発熱体2上の液体が発泡する閾値電圧V
th2より高く設定することにより、抵抗発熱体2部分
にのみ泡を発生させることができるようにしてもよい。
この場合、発泡時に気泡が大気と連通する発泡モ−ドで
あれば、図9に示すように電圧V2を印加することで抵
抗発熱体2上のみで吐出用液体32が発泡するため、抵
抗発熱体2の略前方の液体体積Vbを吐出させることが
でき、あるいは、図示しないが閾値電圧Vth1より高
い電圧V1を印加することで非線形素子1上および抵抗
発熱体2上の両方で吐出用液体32が発泡するため、非
線形素子1の略前方の液体体積Va(>Vb)を吐出さ
せることができ、吐出量を多値に制御できる。
【0052】このように、本実施形態のインクジェット
記録ヘッドは、非線形素子1と抵抗発熱体2との熱エネ
ルギーを発生するタイミングが、略同時であってもよい
し、ずらすように制御されていてもよいし、あるいは、
抵抗発熱体2のみが熱エネルギーを発生するように制御
されるものであってもよい。
【0053】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェット記録ヘッドによれば、吐出用液体32を発泡さ
せるのに抵抗発熱体2の発熱に加えて非線形素子1で生
じる、従来、熱損失として捨てられていた熱エネルギを
用いることでインクジェット記録ヘッドとしての効率の
低下を防止することができる。
【0054】また、従来の半導体プロセスに頼らないで
作成できる、MIM素子等の非線形素子1をマトリクス
駆動する構成であるため、長尺なインクジェット記録ヘ
ッド
【0055】(第2の実施形態)を低コストで提供する
ことができる。次に、本発明の第2の実施形態によるイ
ンクジェット記録ヘッドの模式的な側断面図を図10に
示す。
【0056】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、吐出口130に近い側に非線形素子101が配置さ
れ、抵抗発熱体102が配置されている。すなわち、第
1の実施形態で示したインクジェット記録ヘッドの非線
形素子1と抵抗発熱体2との配置が逆になった以外は、
基本的に同様の構成であるため、詳細の説明は省略す
る。
【0057】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェット記録ヘッドによれば、第1の実施形態と同様
に、吐出用液体132を発泡させるのに抵抗発熱体10
2の発熱に加えて非線形素子101で生じる、従来、熱
損失として捨てられていた熱エネルギを用いることでイ
ンクジェット記録ヘッドとしての効率の低下を防止する
ことができる。
【0058】また、従来の半導体プロセスに頼らないで
作成できる、MIM素子等の非線形素子101をマトリ
クス駆動する構成であるため、長尺なインクジェット記
録ヘッドを低コストで提供することができる。
【0059】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態によるインクジェット記録ヘッドの模式的な側
断面図を図11に示す。
【0060】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、吐出液滴209を吐出する吐出口230が、流路2
31を形成するために基板223に対向して取り付けら
れた吐出口形成部材252に形成されている。また、こ
の吐出口230は、基板223側に設けられた非線形素
子201と抵抗発熱体202との間の対向した位置に形
成されている。
【0061】また、吐出用液体を供給する吐出液体供給
口254は、流路231の下壁に相当する下部層222
を貫通して基板223に形成されている。抵抗発熱体2
02は、非線形素子201よりも吐出液体供給口254
に近い側に設けられている。
【0062】すなわち、本実施形態のインクジェット記
録ヘッドは、吐出液滴209が基板223に対して略垂
直方向に吐出される構成となっているが、基本的な構成
は、第1および第2の実施形態で示したインクジェット
記録ヘッドと同様であるため、詳細の説明は省略する。
【0063】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェット記録ヘッドによれば、第1および第2の実施形
態と同様に、吐出用液体232を発泡させるのに抵抗発
熱体202の発熱に加えて非線形素子201で生じる、
従来、熱損失として捨てられていた熱エネルギを用いる
ことでインクジェット記録ヘッドとしての効率の低下を
防止することができる。
【0064】また、従来の半導体プロセスに頼らないで
作成できる、MIM素子等の非線形素子201をマトリ
クス駆動する構成であるため、長尺なインクジェット記
録ヘッドを低コストで提供することができる。
【0065】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施形態によるインクジェット記録ヘッドの模式的な側
断面図を図12に示す。
【0066】本実施形態のインクジェット記録ヘッド
は、吐出液体供給口354に近い側に非線形素子301
が配置され、抵抗発熱体302が配置されている。すな
わち、第3の実施形態で示したインクジェット記録ヘッ
ドの非線形素子201と抵抗発熱体202との配置が逆
になった以外は、基本的に同様の構成であるため、詳細
の説明は省略する。
【0067】以上説明したように、本実施形態のインク
ジェット記録ヘッドによれば、第1ないし第3の実施形
態と同様に、吐出用液体332を発泡させるのに抵抗発
熱体302の発熱に加えて非線形素子301で生じる、
従来、熱損失として捨てられていた熱エネルギを用いる
ことでインクジェット記録ヘッドとしての効率の低下を
防止することができる。
【0068】また、従来の半導体プロセスに頼らないで
作成できる、MIM素子等の非線形素子301をマトリ
クス駆動する構成であるため、長尺なインクジェット記
録ヘッドを低コストで提供することができる。
【0069】次に、上述した各実施形態で示したインク
ジェット記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置
の一例を、図13に模式的に示す。
【0070】このインクジェット記録装置は、駆動回路
403によりその駆動を制御される紙送りローラ405
で被記録媒体である紙406を搬送する構成となってい
る。また、上述した各実施形態で示した、制御部40に
より制御されるインクジェット記録ヘッド407は、そ
の各吐出口が、搬送されてくる紙406に対向するよう
に設けられており、制御部40からの信号に応じて各吐
出口からインクを吐出し、紙406上に画像を形成す
る。インクジェット記録ヘッド407へのインクはイン
クタンク402から供給される。
【0071】なお、本発明は、第1ないし第4の実施形
態を例として説明してきたが、これらになんら限定され
るものではない。また、以下に第1および第2の実施形
態の実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定
されるものでもない。
【0072】
【実施例】(第1の実施例)次に、本発明の第1の実施
例として、上述の第1の実施形態で示したインクジェッ
ト記録ヘッドの製作および特性に関して説明する。な
お、以下の説明に用いる記号は、第1の実施形態で用い
た記号と同じ記号を用いるものとする。
【0073】非線形素子1はMIM素子であり、金属電
極である下側情報電極5を陽極酸化して得られる酸化絶
縁膜である絶縁性薄膜24上に、金属電極である上側電
極6を、下側情報電極5に対して交差して作成したもの
である。下側情報電極5および上側電極6としては、厚
さ約300nmのTa薄膜をRFスパッタ法で作成し、
その表面を陽極酸化法で酸化し、厚さ約32nmのTa
25薄膜の絶縁性薄膜24を形成する。この時、RFス
パッタは約1.33Pa程度のArガス雰囲気中で行
う。また、陽極酸化は0.8重量%のクエン酸水溶液中
でメッシュ状白金電極を陰極として行う。また、上側電
極6および走査電極7は、厚さ約23nmのTa薄膜電
極であり、基板23は、結晶軸<111>、厚さ0.6
25mmのSi基板であり、下部層22は厚さ2.75
μmのSi熱酸化膜であり、抵抗発熱体2は、厚さ0.
05μmの窒化Ta薄膜である。
【0074】また、流路31の幅は40μm、抵抗発熱
体2の大きさは29.1μm×29.1μmであり、抵
抗発熱体2の面積は846.875μm2であり、抵抗
発熱体2の素子抵抗は53Ωである。また、各流路31
間の間隔は40μmであり、非線形素子1の大きさは2
9.1μm×145.53μmで、面積が4235μm
2の吐出方向を長手方向とした長方形である。このと
き、非線形素子1の面積は、抵抗発熱体2の面積の5倍
であり、非線形素子1の両端、すなわち、下側情報電極
5と上側電極6との間に印加される電圧33.5Vに対
する素子抵抗は265Ωである。
【0075】ここで、下側情報電極5と走査電極7間に
40.2Vの電圧を印加すると、非線形素子1に33.
5Vの電圧が印加され、抵抗発熱体2に6.7Vの電圧
が印加されて、126mAの電流が流れる。この時、非
線形素子1で熱に変換される消費電力は4.235Wで
あり、抵抗発熱体2で熱に変換される消費電力は0.8
47Wである。また、非線形素子1の電力密度は1GW
/m2、抵抗発熱体部2の電力密度は1GW/m2とな
り、抵抗発熱体部2のみならず、非線形素子1の吐出用
液体32に接する面でも発泡させることができる。
【0076】(第2の実施例)本実施例も第1の実施例
と同様に上述の第1の実施形態で示したインクジェット
記録ヘッドの製作および特性に関して説明する。なお、
以下の説明に用いる記号は、第1の実施形態で用いた記
号と同じ記号を用いるものとする。また、本実施例にお
いて、非線形素子1は、第1の実施例と同様に製作さ
れ、その形状、特性も同様であり、流路31の幅、流路
間の間隔も第1の実施例と同じであるため、これらに関
する説明は省略する。
【0077】本実施例の抵抗発熱体2の大きさは28μ
m×28μmであり、抵抗発熱体2の面積は784μm
2であり、2の素子抵抗は53Ωある。
【0078】このとき、非線形素子1の面積は、抵抗発
熱体2の面積の5.4倍であり、非線形素子1の両端、
すなわち、下側情報電極5と上側電極6との間に印加さ
れる電圧33.5Vに対する素子抵抗は265Ωであ
る。
【0079】ここで、下側情報電極5と走査電極7間に
40.2Vの電圧を印加すると、非線形素子1および抵
抗発熱体のそれぞれに33.5Vおよび6.7Vの電圧
が印加され、126mAの電流が流れる。この時、非線
形素子1で熱に変換される消費電力は4.235Wおよ
び抵抗発熱体2で熱に変換される消費電力は0.847
Wであり、非線形素子1の電力密度は1GW/m2、抵
抗発熱体部2の電力密度は1.08GW/m2となり、
抵抗発熱体部2のみならず、非線形素子1の吐出用液体
32に接する面でも発泡させることができる。
【0080】なお、本実施例では、非線形素子1の電力
密度が抵抗発熱体部2の電力密度より小さく、非線形素
子1による発泡が抵抗発熱体2による発泡より時間的に
遅れて発生する。
【0081】(その他の実施形態)なお、本発明は、上
述した通り、インクジェット記録方式の中でも、インク
吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネ
ルギを発生する手段を備え、前記熱エネルギによりイン
クの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置
である。
【0082】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体(本発明においては、非線形素子1及び発熱抵
抗体2である。)に、記録情報に対応していて核沸騰を
越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信
号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギ
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状
の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細
書,同第4345262号明細書に記載されているよう
なものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率
に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記
載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行
うことができる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エ
ネルギ発生手段として抵抗発熱素子のみならず、非線形
素子を有する。すなわち、流路内のインクを発泡させる
のに抵抗発熱素子の発熱に加えて非線形素子で生じる、
従来、熱損失として捨てられていた熱エネルギを用いる
ことでインクジェット記録ヘッドとしての効率の低下を
防止することができる。
【0084】また、従来の半導体プロセスに頼らないで
作成できる、MIM素子等の非線形素子をマトリクス駆
動する構成であるため、長尺なインクジェット記録ヘッ
ドおよびインクジェット記録装置を低コストで提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインクジェット
記録ヘッドの模式的な側断面図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録ヘッドの構造
および回路構成を説明する模式的な平面図である。
【図3】図1に示したインクジェット記録ヘッドのマト
リクス回路の概念を説明する回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による別のインクジェ
ット記録ヘッドの模式的な側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるインクジェット
記録ヘッドの発熱素子の電流電圧特性を示した図であ
る。
【図6】非線形素子と抵抗発熱体とが略同時に吐出用液
体を発泡させる温度に到達する場合の、各発熱素子と吐
出用液体との界面の各温度変化の定性的な特性を示すグ
ラフである。
【図7】非線形素子が抵抗発熱体よりも先に吐出用液体
を発泡させる温度に到達する場合の、各発熱素子と吐出
用液体との界面の各温度変化の定性的な特性を示すグラ
フである。
【図8】抵抗発熱体が非線形素子よりも先に吐出用液体
を発泡させる温度に到達する場合の、各発熱素子と吐出
用液体との界面の各温度変化の定性的な特性を示すグラ
フである。
【図9】抵抗発熱体のみが吐出用液体を発泡させる温度
に到達する場合の、各発熱素子と吐出用液体との界面の
各温度変化の定性的な特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの模式的な側断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの模式的な側断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態によるインクジェッ
ト記録ヘッドの模式的な側断面図である。
【図13】本発明のインクジェット記録ヘッドを搭載し
た、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す模式
図である。
【符号の説明】
1、101、201、301 非線形素子 2、102、202、302 抵抗発熱体 4 共通液室 5 下側情報電極 6 上側電極 7 走査電極 9、109、209、309 吐出液滴 21 天板 22、222 下部層 23、223 基板 24 絶縁性薄膜 30、130、230、330 吐出口 31、231 流路 32、132、232、332 吐出用液体 61、62、63 気泡 252、352 吐出口形成部材 254、354 吐出液体供給口 402 インクタンク 403 駆動回路 405 紙送りローラ 406 紙 407 インクジェット記録ヘッド

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抵抗発熱素子と、前記抵抗発熱素子を駆
    動するために前記抵抗発熱素子に直列接続されている、
    極性によらず、低い電圧を印加した時の抵抗値が、高い
    電圧を印加した時の抵抗値に比べて高い値を示すMIM
    型の電流電圧特性を有する非線形素子と、を有するイン
    クジェット記録ヘッドであって、 前記抵抗発熱素子と前記非線形素子とは、どちらも、イ
    ンクを吐出するための気泡の発生に寄与するものである
    ことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とは、電力を供給されることにより略同時の
    タイミングで別々の気泡の発生させる請求項1に記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とは、電力を供給されることにより異なるタ
    イミングで別々の気泡の発生させる請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とは、電力を供給されることにより1つの気
    泡の発生させる請求項1に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とに電力を供給されることにより、前記抵抗
    発熱素子のみを気泡の発生に寄与させることができる請
    求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット
    記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とは、インクが吐出される方向に対して略平
    行に配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とは、インクが吐出される方向に対して略垂
    直に配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とからなるユニットが、選択電位波形を入力
    する走査用電極と、画像信号に応じた情報電位波形を入
    力する情報用電極とが交差することで形成されたマトリ
    クス回路の交点に配置されている請求項1ないし7のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記
    非線形素子とに電圧を印加するためのマトリクス回路を
    構成するマトリクス電極を有する請求項1ないし8のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記非線形素子は、前記マトリクス電
    極の交点に配置されている請求項9に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とに発生する熱エネルギーによりインクに
    膜沸騰を生起させてインクを吐出する請求項1ないし1
    0のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  12. 【請求項12】 抵抗発熱素子と、前記抵抗素子を駆動
    するために前記抵抗素子に直列接続されている、極性に
    よらず、低い電圧を印加した時の抵抗値が、高い電圧を
    印加した時の抵抗値に比べて高い値を示すMIM型の電
    流電圧特性を有する非線形素子と、を有するインクジェ
    ット記録ヘッドと、被記録媒体を搬送する搬送手段と、
    を有するインクジェット記録装置であって、 前記インクジェット記録ヘッドは、前記抵抗発熱素子と
    前記非線形素子とが、どちらも、インクを吐出するため
    の気泡の発生に寄与するものであり、直列接続された前
    記抵抗発熱素子と前記非線形素子とに対応して設けら
    れ、被記録媒体の被記録面にインクを吐出する吐出口を
    有するものであり、 直列接続された前記抵抗発熱素子と前記非線形素子とに
    供給する電力の制御を行う制御部を有することを特徴と
    するインクジェット記録装置。
  13. 【請求項13】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とは、電力を供給されることにより略同時
    のタイミングで別々の気泡の発生させる請求項12に記
    載のインクジェット記録装置。
  14. 【請求項14】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とは、電力を供給されることにより異なる
    タイミングで別々の気泡の発生させる請求項12に記載
    のインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とは、電力を供給されることにより1つの
    気泡の発生させる請求項12に記載のインクジェット記
    録装置。
  16. 【請求項16】 前記制御部は、直列接続された前記抵
    抗発熱素子と前記非線形素子とに供給される電力を制御
    することにより、直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子との双方が気泡の発生に寄与するか、ある
    いは、前記発熱素子のみが気泡の発生に寄与するか、を
    制御する請求項12ないし15のいずれか1項に記載の
    インクジェット記録装置。
  17. 【請求項17】 請求項12ないし16のいずれか1項
    に記載のインクジェット記録装置を用いて記録を行うイ
    ンクジェット記録方法であって、 前記インクジェット記録ヘッドから吐出したインクを被
    記録媒体の被記録面に付着させて記録を行う工程を有す
    ることを特徴とするインクジェット記録方法。
  18. 【請求項18】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とに電力を供給することにより略同時に別
    々の気泡の発生させてインクを吐出する請求項17に記
    載のインクジェット記録方法。
  19. 【請求項19】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とに電力を供給することにより異なるタイ
    ミングで別々の気泡の発生させてインクを吐出する請求
    項17に記載のインクジェット記録方法。
  20. 【請求項20】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とに電力を供給することにより1つの気泡
    の発生させてインクを吐出する請求項17に記載のイン
    クジェット記録装置。
  21. 【請求項21】 直列接続された前記抵抗発熱素子と前
    記非線形素子とに電力を供給することにより、前記抵抗
    発熱素子のみで気泡の発生させてインクを吐出する請求
    項17ないし20のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト記録方法。
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