JP2003118120A - インクジェット記録用ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JP2003118120A
JP2003118120A JP2001312629A JP2001312629A JP2003118120A JP 2003118120 A JP2003118120 A JP 2003118120A JP 2001312629 A JP2001312629 A JP 2001312629A JP 2001312629 A JP2001312629 A JP 2001312629A JP 2003118120 A JP2003118120 A JP 2003118120A
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resistance heating
ohmic resistance
heating element
ink jet
electrode
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JP2001312629A
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Hideyuki Sugioka
秀行 杉岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー利用効率が高く、かつ、気泡発生
部であるヒータ部の過剰発熱や発熱不足を防止し、長尺
なインクジェットヘッドを低コストで提供できるように
する。 【解決手段】 基板6の表面に蓄熱層5が設けられ、蓄
熱層5上には金属電極3が絶縁性薄膜2で被覆されてい
る。さらに、絶縁性薄膜2が、オーム型抵抗発熱体から
なるオーム型抵抗発熱体電極(線形抵抗素子電極)1の
一端により被覆されている。オーム型抵抗発熱体電極1
の他端には配線電極7が接続されている。オーム型抵抗
発熱体電極1と金属電極3との間に絶縁性薄膜2を挟持
することにより、オーム型抵抗発熱体が積層された非オ
ーム型抵抗発熱体であるMIM素子4を構成している。基
板6上には、1つ又は複数のMIM素子4を含む流路10
を形成する複数列の溝と流路10毎に形成された記録液
滴の吐出孔9とを有するノズル形成部材8が接合されて
いる。さらに、基板6には、複数の流路10に液体を同
時供給するための吐出用液体供給孔(不図示)が形成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンタ、特に、発泡現象を利用したバブルジェット(登
録商標)プリンタなどに応用されるインクジェット記録
用ヘッドおよびこれを備えたインクジェット記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】バブルジェット(BJ)記録方式に適用
される記録ヘッド(以下、BJヘッドと略す)は、一般
に微細な吐出孔、流路及び該流路の一部に設けられる発
熱体を備えている。バブルジェット記録方式とは、発熱
体を用いて流路内の液体を局所的に高温にすることによ
り気泡を発生させ、発泡時の高い圧力を利用して、液体
を微細な吐出孔より押し出し、紙や樹脂製のシートなど
の記録媒体に付着させる記録方式である。
【0003】この種の記録技術によって記録される画像
を高精彩化するためには、微小な液滴を高密度に吐出さ
せる技術が要求される。そのため、微細な流路と微細な
発熱源を形成することが基本的に重要となる。それゆ
え、BJ記録方式では構造の単純性を活かして、フォト
リソグラフィ工程技術を駆使した高密度ヘッドの作成方
法が提案されている(たとえば、特開平08-15629号公報
参照)。また、液滴の吐出量を調整するために、端部に
比べ中央部の発熱量が大きい発熱体が提案されている
(特開昭62-201254号公報参照)。
【0004】発熱体としては、通常、厚さ0.05μm程度
の窒化タンタル薄膜抵抗体を用い、これに通電した時の
ジュール熱で液体の発泡を行う。このような発熱抵抗体
には、通常、発熱抵抗体表面の、キャビテーションによ
る損傷を防止するために、0.8μm程度のSiNなどの絶縁
体を介して厚さ0.2μm程度のTaなどの金属からなる耐
キャビテーション層が配置されている。
【0005】また、特開昭64―20151号公報に
は、基板上に複数の縦配線と横配線を配置し、縦配線と
横配線の交点部分に、順電流通電により発熱する整流素
子を設けたことを特徴としたマルチノズルインクジェッ
トヘッドが開示されている。また、特開昭57―366
79号公報には、基板上に、順方向の通電により発熱可
能なダイオードを複数個アレイ状に配列したサーマルヘ
ッドが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のマルチノズルヘ
ッドでは、縦配線と横配線の各交点部分をそれぞれ接続
する複数の発熱素子を選択的にマトリクス駆動する際、
非選択の発熱素子に駆動電圧より低いノイズ電圧が加わ
って、不要な発熱が生じてしまうことがあった。このよ
うなノイズ電圧が非選択の発熱素子に加わっても発熱を
生じさせない為に本発明者らは、極性に依らず、高電圧
側では低い抵抗値を示し、低電圧側では高い抵抗値を示
す電流電圧特性を発熱素子自体に又は間接的に備えてい
ればよいことを見いだし、既に出願している。このよう
な電流電圧特性を持つ素子としてはMIM素子やバリスタ
がある。
【0007】また、従来のBJヘッドの多くは発熱素子と
ダイオードやロジック回路部を半導体プロセス(イオン
注入などの方法)でシリコン基板上に同時に作り込むこ
とを前提としている。したがって、比較的ノズル数の少
ないBJヘッドではコンパクトにでき、単一の工程で製造
できるという利点がある。しかし、例えば紙幅(搬送す
る紙の搬送方向と交差する方向における長さ)いっぱい
の長さを有するフルマルチヘッドでは、一体的に作ろう
とすれば12インチという長さが必要で、通常のシリコ
ンウェハーを使うことが難しく高コストな製法となる恐
れがあった。
【0008】それゆえ、イオン注入法などの従来の半導
体プロセスに頼らないで作成できる非線形素子を用いて
BJヘッド用発熱素子をマトリクス駆動することができれ
ば、長尺なBJヘッドを低コストで提供できる可能性があ
る。
【0009】また、BJヘッドにおいては、気泡発生部の
抵抗発熱体ではおよそ0.1GW/m2以上の電力密度を扱う必
要があり、従来のMIM素子をマトリクス駆動用の非線形
素子とする応用製品において経験したことがない電力
を、MIM素子に直列接続した抵抗素子に供給する必要が
あった。しかしながら、高密度にアレイ状に配置した抵
抗素子に大電力を供給しようとするとMIM素子自体の電
力損失があり、エネルギー利用効率が低下する恐れがあ
った。
【0010】このようなMIM素子自体による電力損失
は、液晶パネル用などの従来のMIM素子応用製品では、
桁違いに小さく、これまで問題となるものではなかっ
た。すなわち、MIM素子自体の電力損失の問題は大電力
を扱うBJヘッド用MIM素子特有の問題と考えられる。
【0011】また、MIM素子は、電圧値によって電流値
が敏感に変化する電流電圧特性における非線形性を有し
ていることにより、駆動用の電源電圧にわずかな変動が
あってもMIM素子を流れる電流が大きく変動し、気泡発
生部であるヒータ部分が過剰に加熱されてヒータ部分が
破損する恐れがあったり、逆に不十分な発熱のために不
吐出となる恐れがあるので、駆動用の電源電圧の調整が
厳しいものとなる恐れがあった。
【0012】そこで本発明は、上述した従来技術の問題
点を鑑み、エネルギー利用効率が高く、かつ、気泡発生
部であるヒータ部の過剰発熱や発熱不足を防止し、長尺
なインクジェットヘッドを低コストで提供できるように
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、液滴を吐出するために利用される熱エネル
ギーを発生する発熱手段を有するインクジェット記録用
ヘッドにおいて、前記発熱手段がオーム型抵抗発熱体と
非オーム型抵抗発熱体の積層構造からなることを特徴と
する。
【0014】上記のインクジェット記録用ヘッドにおい
て、前記発熱手段は、少なくとも一方がオーム型抵抗発
熱体である一対の電極で絶縁層を挟持したMIM素子であ
ることが好ましい。
【0015】また、前記オーム型抵抗発熱体の抵抗値が
該オーム型抵抗発熱体に電力を供給する配線の抵抗値の
略5倍以上であることが好ましい。
【0016】また、駆動時のオーム型抵抗発熱体の電圧
降下値が非オーム型抵抗発熱体での電圧降下値の2倍以
内であることが好ましい。
【0017】さらに、マトリクス回路を有し、該マトリ
クス回路を構成する行配線と列配線の交点に発熱手段を
配置したインクジェット記録用ヘッドであることが好ま
しい。この場合、前記発熱手段の構成要素に、マトリク
ス回路を構成する行配線と列配線のいずれか一方を含ん
でいることが好ましい。
【0018】また、上記のインクジェット記録用ヘッド
において、オーム型抵抗発熱体は、少なくとも記録液に
接触する部分が化学的に安定な導電体からなる電極であ
ることが好ましい。この場合、導電体は、白金、金また
はこれらの合金の少なくとも1つであることが好まし
い。
【0019】また、上記のようなインクジェット記録用
ヘッドが、前記発熱手段に対応して設けられ、記録媒体
の記録面に対して液滴を吐出する吐出口を有し、このイ
ンクジェット記録用ヘッドと、該記録媒体を搬送する搬
送手段と、を少なくとも具備するインクジェット記録装
置をも本発明に属する。
【0020】上記のとおり構成された発明では、オーム
型抵抗発熱体(線形抵抗素子)と非オーム型抵抗発熱体
(非線形抵抗素子)の積層構造からなる発熱手段を用い
ること、特に、少なくとも一方がオーム型抵抗発熱体で
ある一対の電極で絶縁層を挟持したMIM素子を発熱手段
とすることによって、非オーム型抵抗発熱体のみの発熱
手段と比較して駆動時(駆動用電源電圧オンの状態)の
微分抵抗を大きくできるので、発熱手段の過剰過熱や発
熱不足を防止することが可能である。また、オーム型抵
抗発熱体と非オーム型抵抗発熱体が共に発泡に寄与する
ため、エネルギーの損失が少なく、投入する電気エネル
ギーを有効に発泡のエネルギーに変換し、液滴を効率よ
く、吐出させることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0022】(実施形態1)図1は本発明の実施形態1
によるインクジェット記録用ヘッドの特徴部の構成を示
す概略断面図である。この図を参照すると、本実施形態
のインクジェット記録用ヘッドは、表面に蓄熱層5が設
けられた基板6を備えている。蓄熱層5上には金属電極
(図4のマトリクス回路を構成する場合の走査電極)3
が絶縁性薄膜2で被覆されている。さらに、絶縁性薄膜
2が、オーム型抵抗発熱体(オームの法則に従って電流
電圧特性が線形となる抵抗素子(線形抵抗素子))から
なるオーム型抵抗発熱体電極(線形抵抗素子電極)1の
一端により被覆されている。オーム型抵抗発熱体電極1
の他端には配線電極(前記マトリクス回路を構成する場
合の情報電極)7が接続されている。本実施形態では、
オーム型抵抗発熱体電極1と金属電極3との間に絶縁性
薄膜2を挟持することにより、オーム型抵抗発熱体が積
層された非オーム型抵抗発熱体(電流電圧特性が非線形
な抵抗素子(非線形抵抗素子))であるMIM(Metal Ins
ulator Metal)素子4を構成している。
【0023】基板6上には、1つ又は複数のMIM素子4
を含む流路10を形成する複数列の溝と流路10毎に形
成された記録液滴の吐出孔9とを有するノズル形成部材
8が接合されている。さらに、基板6には、複数の流路
10に液体を同時供給するための吐出用液体供給孔(不
図示)が形成されている。
【0024】このような構成では、配線電極(前記マト
リクス回路を構成する場合の情報電極)7と金属電極
(前記マトリクス回路を構成する場合の走査電極)3の
間に液滴吐出用の電圧を印加し、オーム型抵抗発熱体が
積層された非オーム型抵抗発熱体であるMIM素子4に電
力を供給することにより、MIM素子4上の吐出用液体を
急速加熱する(膜沸騰させる)。この事によって、気泡
11を発生させ、この発泡時の圧力により吐出液滴12
を吐出孔9から飛翔させて記録媒体に付着させることが
できる。
【0025】本実施形態では、ノズル形成部材8におい
て吐出孔9を発熱手段の形成面と交差する軸方向に配置
するいわゆるサイドシュータータイプのヘッド構造とし
たが、発熱手段の形成面に平行な方向に配置したいわゆ
るエッジシュータータイプにも本発明は適用可能であ
る。
【0026】また、本実施形態は、オーム型抵抗発熱体
と非オーム型抵抗発熱体(MIM素子4)の積層構造から
なる発熱手段(以下、「積層型発熱手段」とも称す)を
用いること、特に、図1のように少なくとも一方がオー
ム型抵抗発熱体である一対の電極1及び3で絶縁層2を
挟持したMIM素子4を発熱手段とすることによって、後
述する効果から判るように、駆動時の微分抵抗の適正化
とエネルギーの有効利用を両立させ、長尺なインクジェ
ットヘッドを低コストで提供できる。
【0027】図2はオーム型抵抗発熱体と非オーム型抵
抗発熱体との積層構造からなる発熱手段(MIM素子4)
の電流電圧特性の特徴を示す図である。同図の符号71
の点線に示したように、非オーム型抵抗発熱体のみの発
熱手段の場合には駆動時(駆動用電源電圧オンの状態)
の微分抵抗が小さくなり、電源電圧の変動に対して著し
く回路電流が変化し、発熱手段の過剰過熱や発熱不足の
原因となりやすい。これと比較して、非オーム型抵抗発
熱体とオーム型抵抗発熱体を積層している場合には、同
図の符号72の実線に示したように駆動時(駆動用電源
電圧オンの状態)の微分抵抗を大きくでき、発熱手段の
過剰過熱や発熱不足を防止する効果がある。また、オー
ム型抵抗発熱体と非オーム型抵抗発熱体が共に発泡に寄
与するため、エネルギーの損失が少なく、投入する電気
エネルギーを有効に発泡のエネルギーに変換し、液滴を
効率よく、吐出させることが可能となる。
【0028】また、発熱手段(MIM素子4)がオーム型
抵抗発熱体と非オーム型抵抗発熱体の積層構造であるた
め、発泡に必要なヒータ表面の電力密度をオーム型抵抗
発熱体と非オーム型抵抗発熱体で分担でき、非オーム型
抵抗発熱体での単位面積あたりの電力消費量を単独のヒ
ータとして使う場合に比べて抑制できる効果があり、ヒ
ータとしての耐久性向上に好ましい。また、同様に、オ
ーム型抵抗発熱体と非オーム型抵抗発熱体の積層構造の
ために、MIM素子4に印加する電圧及び電界を単独ヒー
タの発泡の場合に比べて抑制できる効果があり、ヒータ
としての耐久性向上に好ましい。
【0029】また、本実施形態では、特に、MIM素子4
を構成するオーム型抵抗発熱体電極1がその絶縁薄膜層
(MIM素子用絶縁層)2より吐出用液体に近い側に配置
された積層型発熱手段であるため、オーム型抵抗発熱体
側の温度を発泡に必要な温度にして、MIM素子用絶縁層
付近の温度を前記温度より低く設計できるため、MIM用
絶縁層付近の絶縁破壊等に関する耐久性を向上できる効
果がある。
【0030】また、抵抗発熱体に効率良く電力を供給す
るためには、オーム型抵抗発熱体電極1の抵抗値は配線
電極7に比べて大きいことが望ましいが、電力損失をオ
ーム型抵抗発熱体に供給される電力の20%以内に抑え
るためには、少なくともオーム型抵抗発熱体電極1の抵
抗値が配線電極7の配線抵抗の略5倍以上である必要が
ある。
【0031】また、マトリクス駆動を実現するために
は、非選択値のバイアス値(最低、駆動電圧の1/3)に
対して、マトリクス回路の非選択の交点には電流が流れ
ないことが必要であるため、前記積層型発熱手段の駆動
時の前記オーム型抵抗発熱体の電圧降下値が前記非オー
ム型抵抗発熱体での電圧降下値の2倍以内であることが
必要となる。
【0032】また、MIM素子4はMIM型電気特性を示す
が、MIM型の電気特性とは、MIM素子やバリスタに代表さ
れる電流電圧特性のように、極性に依らず、高電圧側で
は低い抵抗値を示し、低電圧側では高い抵抗値を示す電
流電圧特性を指す。本実施形態は、特に、前記非オーム
型抵抗発熱体がMIM型電気特性を示す非線形素子であ
る。
【0033】また、本実施形態は、オーム型抵抗発熱体
電極と金属電極の間に絶縁体を挟持した構成(オーム型
抵抗発熱体/絶縁体/金属)のMIM素子を非線形素子とす
るインクジェット記録用ヘッドである。
【0034】ここで、MIM素子とは、原義的には、金属
間に絶縁体を挟持した構造(金属/絶縁体/金属)のトン
ネル接合素子であるが、通常、導電体電極間に絶縁体を
挟持した構造(導電体電極/絶縁体/導電体電極)の接合
素子もMIM素子と呼ぶ。ここで、絶縁体の伝導機構とし
ては、プールフレンケル型伝導のような絶縁体の中で複
数のトンネリングを繰り返すホッピング型の電気伝導
や、ファウラーノルドハイム型伝導のような比較的単純
なトンネル伝導などが知られている。こうしたトンネル
型の電流が流れ、接合素子に電流が流れるためには、電
極間の距離が極めて狭い必要がある。
【0035】MIM素子に電流が流れる絶縁体の限界膜
厚、または、限界電極間隔は絶縁材料や電極材料の種類
や伝導機構に大きく依存するが、MIM素子として有為な
電流が流れるためには、例えば、前記電極間隔を100
nm以下とすることが望ましい。また、1μsec程度の短
いパルス幅のパルスで急速に加熱するために、好ましく
は、40nm以下とすることが望ましい。また、電極間隔
が極端に狭いと電極金属表面のイオンが電界放射を起こ
す恐れがあるため、1nm以上とすることが望ましい。ま
た、安定なトンネル接合を得るために4nm以上とするこ
とが望ましい。すなわち、特に、前記電極間距離が1nm
以上100nm以下であり、より好ましくは、4nm以上4
0nm以下であるMIM素子を発熱手段として、吐出用液体
を加熱して気泡を発生させ、液滴を吐出させることが好
ましい。
【0036】また、ZnOにBi、PrおよびCo等の
金属酸化物を添加した焼結体層や、炭化けい素SiCの
粒状結晶層を、上記絶縁層の代わりに電極間に配置した
所謂バリスタも、MIM素子と同様に本発明の積層型発熱
手段の非線形素子(非オーム型抵抗発熱体)として用い
ることができ、同様な効果を得ることができる。
【0037】また、MIM素子4は、金属電極3を陽極酸
化または熱酸化して得られる酸化絶縁膜である絶縁薄膜
層2の上に、オーム型抵抗発熱体電極1を配置して作製
する。さらに具体的には、下電極である金属電極3とし
ては、厚さ約300nmのTa薄膜をRFスパッタ法で作
成し、その表面を陽極酸化法で酸化し、厚さ約15nmの
Ta2O5薄膜を形成する。この時、RFスパッタは約10
-2Torr程度のArガス雰囲気中で行う。
【0038】また、基板6は結晶軸<111>、厚さ0.
625mmのSi基板であり、蓄熱層5は厚さ2.75μmのSi
熱酸化膜である。また、オーム型抵抗発熱体電極1は厚
さ0.05μmの窒化タンタル抵抗発熱体であり、発泡に寄
与するヒータとしての有効サイズは25μm × 25
μm =625μm2であり、オーム型抵抗発熱体電極1
の抵抗値は53Ωである。
【0039】また、配線電極7は厚さ0.6μmのアルミ
ニウム電極である。ここで、配線電極7の配線抵抗はで
きるだけ小さい方が好ましいが、通常、微細化や長尺化
との設計要因の中で4Ω程度以内とすることが多い。
【0040】図3の符号72Bの実線は、本実施形態の
積層型発熱手段においてオーム型抵抗発熱体電極1の抵
抗値が53Ωの場合の電流電圧特性を示す図である。同
図に示したように、本実施形態の積層型発熱手段では金
属電極3と配線電極7の間への12.3Vの電圧印加に対し
て、0.07Aの電流が流れ、0.853Wの電力が消費される。
ここで、オーム型抵抗発熱体での電圧降下V1は3.7Vで
あり、非オーム型(MIM型)抵抗発熱体での電圧降下V2
は8.6Vであり、V1/V2 = 0.43で、V1はV2の2倍以下であ
る。また、オーム型抵抗発熱体での消費電力は0.26Wで
あり、非オーム型抵抗発熱体での消費電力は0.60Wであ
る。また、オーム型抵抗発熱体電極と金属電極の間に絶
縁体を挟持した構成のMIM素子の電力密度は1.376W/m2
なり、約1μsecのパルス印加で吐出液体を加熱発泡さ
せ、約15m/sの速度で液滴を吐出させることができ
る。また、オン状態印加電圧付近(12.3V付近)での積
層型発熱手段の微分抵抗は53Ωより大きい。一方、図
3の符号71Bの点線は、本実施形態の積層型発熱手段
においてオーム型抵抗発熱体電極1の抵抗値が1Ωの場
合の比較例であり、符号72Bの実線に比べ傾きが大き
く、微分抵抗が小さいことがわかる。
【0041】(実施形態2)次に、本発明の積層型発熱
手段のマトリクス駆動の一例を説明する。
【0042】図4は、本発明の実施形態2の特徴を示す
図である。同図において配線Yj,Y j+1はそれぞれj番
目及びj+1番目の走査電極であり、配線Xi,Xi+1
それぞれi番目及びi+1番目の情報電極である。この
実施形態は、走査電極32である行方向の配線(Yj,Yj+
1,・・・)と情報電極31である列方向の配線(Xi,X+1,
・・・)からなるマトリクス回路を有し、該マトリクス
回路を構成する行配線と列配線の交点に、オーム型抵抗
発熱体と非オーム型抵抗発熱体の積層構造からなる発熱
手段33を配置することを除いて、実施形態1と同様で
ある。
【0043】このように非線形性と、駆動電圧オン状態
での適度な微分抵抗とを合わせ持った発熱手段33をマ
トリクス配線電極の交点に配置することにより、配線抵
抗や素子抵抗等にばらつきが多い場合にも、複数の発熱
手段を選択的に駆動する際、選択点での発熱手段の過剰
発熱や発熱不足を抑制し、かつ、非選択点での発熱手段
の不要な発熱を抑制したマトリクス駆動を実現できる効
果がある。また、マトリクス駆動により、ドライバとヒ
ータの分離を容易とし、安価な非Si基板での大量生産
も可能にする効果がある。
【0044】また図4において、制御部40は走査電極
32に選択電位波形を入力し、情報電極31に画像信号
に応じて吐出用または非吐出用情報電位波形を入力する
ことにより、画像信号に応じて本発明の積層型発熱手段
(オーム型抵抗発熱体と非オーム型抵抗発熱体の積層
体)をオン状態またはオフ状態に制御することにより、
インクジェット記録用ヘッドの吐出孔からの吐出液滴1
2の吐出および非吐出を制御する。すなわち、オン状態
に制御された前記積層型発熱手段に対応する吐出孔のみ
から吐出液滴12が吐出される。さらに詳細には、電力
が供給された積層型発熱手段のオーム型抵抗発熱体1表
面のインクが急速に加熱されることで、オーム型抵抗発
熱体1の表面全域に一斉に膜沸騰現象に基づく気泡が、
きわめて高い圧力を伴って発生する。この圧力によっ
て、吐出液滴12が吐出孔から吐出され、記録媒体上に
画像が形成される。
【0045】(実施形態3)図5は、本発明の実施形態
3の特徴を示す図である。本実施形態は、前記積層型発
熱手段の構成要素であるオーム型抵抗発熱体が化学的に
安定な導電体、例えば、白金や金などの貴金属抵抗電極
41であることを除いて、実施形態1とほぼ同様であ
る。ここで、貴金属抵抗電極41は、具体的には、基板
6に対しての厚さ5nmで、流路10の液流方向と交差す
る方向に対応する幅25μm、流路10の液流方向に対
応する長さ50μm、抵抗値約42Ωの白金抵抗電極で
ある。
【0046】また、図5において符号43は厚さ0.3μ
mのSiN保護膜を示し、貴金属抵抗電極41以外の電極
表面(発泡に寄与しない部分)が吐出用インクに接触す
るのを防止する膜である。
【0047】このような実施形態では、吐出用インクに
接触する部分が化学的に安定な導電体だけであるため、
前記積層型発熱手段が電気化学的な作用で損傷するおそ
れがない。
【0048】(実施形態4)次に、上述した各実施形態
で示したインクジェット記録用ヘッドを搭載したインク
ジェット記録装置の一例の模式図を図6に示す。
【0049】このインクジェット記録装置は、駆動回路
403によりその駆動を制御される紙送りローラ405
で記録媒体である紙406を搬送する構成となってい
る。また、制御部40により制御されるインクジェット
記録ヘッド407は、その各吐出孔が、搬送されてくる
紙406に対向するように設けられており、制御部40
からの信号に応じて各吐出孔からインク液滴を吐出し、
紙406上に画像を形成する。また、インク液滴の吐出
に伴い、インクタンク402からインクジェット記録ヘ
ッド407へ記録液であるインクが供給される。
【0050】上述のようなインクジェット記録装置に適
用でき、インク等の液体の付与が行われる記録媒体とし
ては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや
装飾板等に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニ
ウムや銅等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革
材、木、合板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス
材、スポンジ等の三次元構造体等を対象とすることがで
きる。
【0051】また、上述のインクジェット記録装置とし
て、各種の紙やOHPシート等に対して記録を行うプリ
ンタ装置、コンパクトディスク等のプラスチック材に記
録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を行う
金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木
材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録
を行うセラミックス用記録装置、スポンジ等の三次元網
状構造体に対して記録を行う記録装置、また布帛に記録
を行う捺染装置等をも含むものである。
【0052】また、これらのインクジェット記録装置に
用いる吐出液としては、それぞれの記録媒体や記録条件
に合わせた液体を用いればよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、熱エネル
ギーにより液滴を吐出するインクジェット記録用ヘッド
の該熱エネルギーを発生させる発熱手段として、オーム
型抵抗発熱体(線形抵抗素子)と非オーム型抵抗発熱体
(非線形抵抗素子)の積層構造からなる発熱手段を用い
ること、特に、少なくとも一方がオーム型抵抗発熱体で
ある一対の電極で絶縁層を挟持したMIM素子を発熱手段
とすることにより、非オーム型抵抗発熱体のみの発熱手
段と比較して駆動時(駆動用電源電圧オンの状態)の微
分抵抗を大きくできるので、発熱手段の過剰過熱や発熱
不足を防止することが可能である。また、オーム型抵抗
発熱体と非オーム型抵抗発熱体が共に発泡に寄与するた
め、エネルギーの損失が少なく、投入する電気エネルギ
ーを有効に発泡のエネルギーに変換し、液滴を効率よ
く、吐出させることが可能となる。
【0054】つまり、本発明によれば、発熱手段駆動時
の微分抵抗の適正化とエネルギーの有効利用を両立さ
せ、長尺なインクジェットヘッドを低コストで提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1によるインクジェット記録
用ヘッドの特徴部の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明のインクジェット記録用ヘッドの積層型
発熱手段の電流電圧特性の例を説明するための図であ
る。
【図3】本発明の実施形態1における積層型発熱手段と
これと比較する比較例の電流電圧特性を説明するための
図である。
【図4】本発明の実施形態2によるインクジェット記録
用ヘッドの積層型発熱手段を駆動するマトリクス回路を
説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態3によるインクジェット記録
用ヘッドの特徴部の構成を示す概略断面図である。
【図6】本発明のインクジェット記録用ヘッドを搭載し
たインクジェット記録装置の一例の模式図である。
【符号の説明】
1 オーム型抵抗発熱体電極 2 絶縁薄膜層、 3 金属電極 4 MIM素子(抵抗電極型MIM素子) 5 蓄熱層 6 Si基板 7 配線電極 8 ノズル形成部材 9 吐出孔 11 気泡 12 吐出液滴 31 情報電極 32 走査電極 33 発熱手段 40 制御部 41 貴金属抵抗電極 43 絶縁保護層 71、71B 従来のMIM素子の電流電圧特性 72、72B 本発明のMIM素子(抵抗電極型MIM素
子)の電流電圧特性 402 インクタンク 403 駆動回路 405 紙送りローラ 406 紙 407 インクジェット記録ヘッド

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するために利用される熱エネ
    ルギーを発生する発熱手段を有するインクジェット記録
    用ヘッドにおいて、前記発熱手段がオーム型抵抗発熱体
    と非オーム型抵抗発熱体の積層構造からなることを特徴
    とするインクジェット記録用ヘッド。
  2. 【請求項2】 発熱手段は、少なくとも一方がオーム型
    抵抗発熱体である一対の電極で絶縁層を挟持したMIM素
    子である、請求項1に記載のインクジェット記録用ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 オーム型抵抗発熱体の抵抗値が該オーム
    型抵抗発熱体に電力を供給する配線の抵抗値の略5倍以
    上である、請求項1または2に記載のインクジェット記
    録用ヘッド。
  4. 【請求項4】 駆動時のオーム型抵抗発熱体の電圧降下
    値が非オーム型抵抗発熱体での電圧降下値の2倍以内で
    ある、請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録用ヘッド。
  5. 【請求項5】 マトリクス回路を有し、該マトリクス回
    路を構成する行配線と列配線の交点に発熱手段を配置し
    た、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェ
    ット記録用ヘッド。
  6. 【請求項6】 発熱手段の構成要素に、マトリクス回路
    を構成する行配線と列配線のいずれか一方を有する、請
    求項5に記載のインクジェット記録用ヘッド。
  7. 【請求項7】 オーム型抵抗発熱体は、少なくとも記録
    液に接触する部分が化学的に安定な導電体からなる電極
    である請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット記録用ヘッド。
  8. 【請求項8】 導電体は、白金、金またはこれらの合金
    の少なくとも1つである請求項7に記載のインクジェッ
    ト記録用ヘッド。
  9. 【請求項9】 発熱手段に対応して設けられ、記録媒体
    の記録面に対して液滴を吐出する吐出口を有する、請求
    項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録
    用ヘッドと、該記録媒体を搬送する搬送手段と、を少な
    くとも具備するインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN1317736C (zh) * 2003-08-14 2007-05-23 明基电通股份有限公司 单片流体喷射装置的制作方法

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CN1317736C (zh) * 2003-08-14 2007-05-23 明基电通股份有限公司 单片流体喷射装置的制作方法

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