JP2002108008A - 電子写真用球形トナ−の製造方法及び電子写真用球形トナー - Google Patents

電子写真用球形トナ−の製造方法及び電子写真用球形トナー

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JP2002108008A
JP2002108008A JP2000294105A JP2000294105A JP2002108008A JP 2002108008 A JP2002108008 A JP 2002108008A JP 2000294105 A JP2000294105 A JP 2000294105A JP 2000294105 A JP2000294105 A JP 2000294105A JP 2002108008 A JP2002108008 A JP 2002108008A
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polyester resin
rotor
acid
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JP2000294105A
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Nobuyoshi Shirai
伸佳 白井
Hideki Watanabe
英樹 渡邉
Seiichi Uno
誠一 宇野
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温定着性と高温での耐オフセット性に
優れ、粒度分布が狭く、現像機中での過粉砕による画像
劣化が起こりにくいポリエステル球形トナーとその製造
方法を提供すること。 【解決手段】 親水性基及び疎水性基を有し、重量平均
分子量が30,000〜500,000のポリエステル
樹脂(A)と、ジブチルフタレ−ト吸油量が30〜12
0ml/100gのカ−ボンブラック(B)とを必須の
成分とする着色樹脂溶融体(I)を、該樹脂(A)の溶
融状態を維持しつつ水性媒体(II)中に分散後、微粒子
を分離する電子写真用球形トナ−の製造方法、および、
該樹脂(A)と該カ−ボンブラック(B)とを必須の成
分とする電子写真用球形トナ−。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒ−トロ−ル定着
方式、圧力定着方式、フラッシュ定着方式等各種の静電
記録方式による画像の定着方式に使用できる、電子写真
用球形トナ−およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来電子写真の分野においては、画像形
成のために使用される着色剤(以下「トナ−」とい
う。)を構成するバインダ−として、スチレン−アクリ
ル共重合体やポリエステル樹脂等、種々のものが用いら
れている。かかるトナ−は、その大部分は機械的粉砕方
法及び分級工程を経て数μmの平均粒子径を有する粉体
に調整され実用に供される。このような機械的粉砕法で
調製されるトナ−に関しては、粉砕に要するエネルギ−
が多大でありコスト面で不利であること、製造されるト
ナ−粉の形状が不規則的かつ尖点を有するので、その部
分が粉砕時又は現像機中で過粉砕されて微粉となり画像
劣化の原因となること、かかる微粉および粗大粒子を除
去し帯電特性を実用レベルに適合させるために分級工程
が不可欠となり、収率の悪化をもたらすこと、画像品質
の向上のため小粒径化した場合、トナ−の流動性が極端
に悪化する等種々の問題点を有している。
【0003】これらの問題点を解消する手段として、転
相乳化法による小粒径球形トナーの製造方法(特開平8
−211655号公報)が提案されているが、この技術
は揮発性の有機溶剤を使用するため環境衛生上の難点が
あり、また転相乳化後に溶剤を除去回収する工程や、転
相の際に生じる乳化ロスの回収処理をする工程が必要で
あって、プロセス全体が複雑なものとなる等の難点があ
る。さらに転相乳化法により得られるトナ−から完全に
溶剤を除去することは、実際上は困難であり、かかるト
ナ−をオフィス環境等で使用するには臭気や衛生上の難
点がある。
【0004】また、有機溶剤を用いずに機械的剪断力に
より、主としてポリエステル系のトナ−用着色球形微粒
子の水分散液を製造する方法が特開平9−311502
号公報に開示されているが、トナ−としての適切な粒子
径及び粒子径分布を具備するものを得ようとすると、使
用できるバインダ−の分子量に限界があり、例えば高分
子量のポリエステル樹脂を使用した場合は微粒化が困難
となる。さらに、その傾向はカ−ボンブラックが配合さ
れることでより顕著となり、特にジブチルフタレ−ト
(DBP)吸油量の大きいカ−ボンブラックを使用した
場合は、低分子量のポリエステル樹脂を使用せざるを得
ず良好な定着特性を得ることが困難であった。
【0005】一方、近年複写機またはプリンターの高速
化等に関連し、低エネルギー化、低ロール圧力化等が望
まれており、使用される電子写真トナーには、定着温度
が低く、かつ高温側の耐オフセット性に優れることが要
求されている。このオフセットとは、特にロ−ル温度が
高温になった場合、紙等の被定着物に定着されたトナ−
の一部がロ−ルに付着し、さらにそれが再び当該被定着
物に転写されることで画像が汚染されることをいい、こ
のオフセット現象を防ぐ為、バインダ−の分子量分布を
広くする方法や、バインダ−を部分的に架橋させる方法
が行われているが、かかる方法では、トナーの最低定着
温度も上昇し、低温定着性と耐オフセット性の両立を図
ることは困難で、かつ前記特開平9−311502号公
報に開示された製造方法による造粒も極めて困難であっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、低温定着性に優れ、かつ高温での
耐オフセット性において実用上なんら問題を発生せず、
粒度分布が狭く、現像機中での過粉砕による画像劣化が
起こりにくい、ポリエステル球形トナーとその製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来技術の問題点を解消すべく鋭意改良研究を行った結
果、親水性基及び疎水性基を併せ有し、かつGPC(ゲ
ルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−)法による重量
平均分子量が30,000〜500,000であるポリ
エステル樹脂(A)と、ジブチルフタレ−ト吸油量が3
0〜120ml/100gの範囲内にあるカ−ボンブラ
ック(B)とを必須の成分としてなる球形トナーは、低
温での定着性と高温での耐オフセット性に優れ、粒度分
布が狭く、現像機中での過粉砕による画像劣化が起こり
にくいトナーであり、該ポリエステル樹脂(A)と該カ
−ボンブラック(B)とを必須の成分とする着色樹脂溶
融体(I)を、該ポリエステル樹脂(A)の溶融状態を
維持しつつ水性媒体(II)中に分散し、分離することに
より容易に得られること等を見い出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0008】すなわち、本発明は 1.親水性基及び疎水性基を併せ有し、かつGPC(ゲ
ルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−)法による重量
平均分子量が30,000〜500,000であるポリ
エステル樹脂(A)と、ジブチルフタレ−ト吸油量が3
0〜120ml/100gの範囲内にあるカ−ボンブラ
ック(B)とを必須の成分とする着色樹脂溶融体(I)
を、該ポリエステル樹脂(A)の溶融状態を維持しつつ
水性媒体(II)中に分散した後、得られた着色樹脂微粒
子を分離することを特徴とする、電子写真用球形トナ−
の製造方法、 2.ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカルボキシル
基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜20のアルキ
ル基またはアルケニル基である、上記1記載の電子写真
用球形トナ−の製造方法、 3.スリットを有するリング状の突起を備えた固定子
と、スリットを有するリング状の突起を備えた回転子と
が、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けら
れた構造を有する回転型連続分散装置を用い、この分散
機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶融体
(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回転さ
せながら該スリットと該間隙とを通して中心部分から外
周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)中に
着色樹脂溶融体(I)を分散させる、上記1または2記
載の電子写真用球形トナーの製造方法、 4.親水性基及び疎水性基を併せ有し、かつGPC法に
よる重量平均分子量が30,000〜500,000で
あるポリエステル樹脂(A)と、ジブチルフタレ−ト吸
油量が30〜120ml/100gの範囲内にあるカ−
ボンブラック(B)とを必須の成分としてなることを特
徴とする、電子写真用球形トナ−、及び、 5.ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカルボキシル
基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜20のアルキ
ル基またはアルケニル基である、上記4記載の電子写真
用球形トナ−、を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る電子写真用
球形トナ−の製造方法について詳細に説明する。本発明
の製造方法に使用する、親水性基及び疎水性基を併せ有
し、かつGPC法による重量平均分子量が30,000
〜500,000であるポリエステル樹脂(A)は、例
えば、公知慣用の原料および製造法により調製される。
その際に使用される原料としてはポリエステル樹脂を構
成する公知慣用の原料であれば、特に制限なく使用する
ことができる。使用される原料で代表的なものは、ジカ
ルボン酸等の多塩基酸およびその無水物あるいはその低
級アルキルエステルの如き反応性誘導体(以下「多塩基
酸類」という。)と、ジオ−ル等の多価アルコ−ルが挙
げられ、以下のものが好適に用いられる。
【0010】ジカルボン酸としては、例えばマレイン
酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、
ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、ドデセニル
コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバチン酸、デカン−1,10−ジカルボン
酸等の脂肪族二塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、テト
ラヒドロフタル酸およびその無水物、ヘキサヒドロフタ
ル酸およびその無水物、テトラブロムフタル酸およびそ
の無水物、テトラクロルフタル酸およびその無水物、ヘ
ット酸およびその無水物、ハイミック酸およびその無水
物、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族
または脂環族の二塩基酸類;が挙げられる。
【0011】さらに、3官能以上の原料成分として、1
分子中に3個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸
およびその反応性誘導体も使用することができる。これ
らの代表的なものを挙げると、トリメリット酸、無水ト
リメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、
メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸等がある。
【0012】これらの多塩基酸類はそれぞれ単独で使用
してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
【0013】さらに、上記した多塩基酸類は、そのカル
ボキシル基の一部または全部がアルキルエステル、アル
ケニルエステルまたはアリ−ルエステルとなっているも
のも使用できる。
【0014】また、ポリエステル樹脂(A)を調製する
際に原料成分として、例えば、ジメチロ−ルプロピオン
酸、メチロ−ルブタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸の
ような、1分子中に水酸基とカルボキシル基を併有する
化合物あるいはそれらの反応性誘導体も使用できる。
【0015】さらに、安息香酸、p−tert−ブチル
安息香酸のような一塩基酸も本発明の効果を損なわない
範囲内で併用することができる。
【0016】次に、多価アルコ−ル成分として使用でき
る代表的なものを挙げると、エチレングリコ−ル、1,
2−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、
1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−
ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、
トリエチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の
脂肪族ジオ−ル類;ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ル
F等のビスフェノ−ル類;ビスフェノ−ルAのエチレン
オキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキ
サイド付加物等のビスフェノ−ルAアルキレンオキサイ
ド付加物;キシリレンジグリコ−ル、シクロヘキサンジ
メタノ−ル、水添ビスフェノ−ルA等のアラルキレング
リコ−ルまたは脂環式のジオ−ル類;がある。
【0017】また、フェニルグリシジルエ−テル、「カ
−ジュラE10」(シェルケミカル社製分岐脂肪酸のモ
ノグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物もかか
るジオ−ル類として使用することができる。
【0018】3官能以上の原料成分の一つとして、3個
以上の水酸基を有する化合物も使用することができ、そ
の代表的なものとして、グリセリン、トリメチロ−ルエ
タン、トリメチロ−ルプロパン、ソルビト−ル、1,
2,3,6−ヘキサンテトロ−ル、1,4−ソルビタ
ン、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリト−ル、
2−メチルプロパントリオ−ル、1,3,5−トリヒド
ロキシベンゼン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソ
シアヌレ−ト等がある。
【0019】また、下記に示すようなポリエポキシ化合
物も3官能以上の原料成分としての多価アルコ−ル類と
して使用することができる。例えば、エチレングリコー
ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたは水添ビ
スフェノールAの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ポ
リオールのポリグリシジルエーテル類;
【0020】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールSもしくはビスフェ
ノールFの如き、各種のフェノ−ル性水酸基の2個を含
有する化合物のポリグリシジルエーテル類;上記したフ
ェノ−ル性水酸基の2個を含有する化合物のエチレンオ
キシドもしくはプロピレンオキシド付加体の如き誘導体
のジグリシジルエーテル類;
【0021】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等の如き、
各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテ
ル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−
トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテ
トラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、
テレフタル酸、トリメリット酸等の如き、各種の脂肪族
ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステ
ル類;
【0022】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネン、
ビニルシクロヘキセン等の如き、各種の炭化水素系ジエ
ンのビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカル
ボキシレート等の如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合
物;ポリブタジエン、ポリイソプレン等の如き、各種の
ジエンポリマーのエポキシ化物;
【0023】「EGM−400」〔東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の3−グリシドキシプロピル基
を有する環状ポリシロキサン〕;等のポリエポキシ化合
物が挙げられる。
【0024】これら上記した多価アルコ−ル類は、単独
で使用してもよいし2種以上のものを併用することもで
きる。さらに、これらの多価アルコ−ル類の他、ステア
リルアルコ−ルなどの1価の高級アルコ−ル等も本発明
の特徴を損なわない範囲で併用することができる。
【0025】本発明の製造方法に使用するポリエステル
樹脂(A)は、親水性基を必須の官能基として含む。か
かる親水性基のうち代表的なものを例示すると、水酸
基、カルボキシル基、アミノ基、スルフォン酸基、リン
酸基などが挙げられるが、水酸基、または、カルボキシ
ル基が好ましい。
【0026】かかる親水性基をポリエステル樹脂(A)
に導入する方法としては、上記のポリエステル樹脂
(A)を調製する際に使用される原料をそのまま使用す
る方法でも良いし、かかる原料に親水性基を導入したも
のを使用してポリエステル樹脂(A)を調製する方法で
も良い。
【0027】また、本発明の製造方法に使用するポリエ
ステル樹脂(A)は、必須の官能基として疎水性基をも
含む。かかる疎水性基のうち代表的なものを例示する
と、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、ドデシル基、ドデセニル基等のアルキ
ル基ないしアルケニル基が挙げられるが、炭素数が4〜
20のアルキル基ないしはアルケニル基が好ましい。こ
れらのアルキル基またはアルケニル基は直鎖状でもよ
く、分岐状のものでもよい。
【0028】ポリエステル樹脂(A)を調製するには、
例えば」公知慣用の方法が使用できる。すなわち、ポリ
エステル樹脂(A)を調製する方法としては、上記した
原料成分である多塩基酸類および多価アルコ−ル類を窒
素雰囲気中で加熱下に脱水縮合させてポリエステル樹脂
を調製する方法が一般的である。この際使用される装置
としては、窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を
備えた反応容器の如き回分式の製造装置が好適に使用で
きるほか、脱気口を備えた押し出し機や連続式の反応装
置、混練機等も使用できる。また、上記脱水縮合の際、
必要に応じて反応系を減圧することによって、エステル
化反応を促進することもできる。さらに、エステル化反
応の促進のために、公知慣用の触媒を添加することもで
きる。
【0029】次に、ポリエステル樹脂(A)の性状につ
いて説明する。ポリエステル樹脂(A)は、良好な定着
性及び耐オフセット性を得るために特定の分子量の範囲
にあることが必要である。すなわち、ポリエステル樹脂
(A)のGPC法による重量平均分子量は30,000
〜500,000の範囲にある必要があり、さらに、5
0,000〜300,000の範囲であることが好まし
い。
【0030】さらに、トナ−の耐オフセット性を良好に
する観点より、ポリエステル樹脂(A)は、前記した3
官能以上の原料成分を併用して調製されるものであるこ
とが好ましい。
【0031】また、ポリエステル樹脂(A)は水性媒体
(II)中での分散安定性を考慮すると、その親水性基が
カルボキシル基であることが好ましく、また、同じ理由
により、その疎水性基は炭素数が4〜20のアルキル基
またはアルケニル基であることが好ましい。
【0032】さらに、分散系の安定性の観点より、ポリ
エステル樹脂(A)は、そのカルボキシル基の一部ない
しは全部を塩基性化合物で中和することにより自己水分
散性となるポリエステル樹脂(A1)であることが好ま
しい。
【0033】かかる塩基性化合物としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど
のアルカリ化合物、それらの炭酸塩、それらの酢酸塩;
アンモニア水;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメ
チルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチ
ルアミンなどのアルキルアミン類;ジエタノールアミン
などのアルカノールアミン類などを使用することができ
る。これらの中でも乾燥工程で大部分が除去され、トナ
ーとしての特性に影響を与えない点で、アンモニア水を
用いるのが好ましい。
【0034】同様に分散安定性の点で、ポリエステル樹
脂(A)の親水性基がカルボキシル基である場合には、
ポリエステル樹脂(A)の酸価は5〜70mgKOH/
gの範囲にあることが好ましい。
【0035】次に、本発明の製造方法に使用する他の必
須成分である、カ−ボンブラック(B)について説明す
る。
【0036】カ−ボンブラック(B)は、造粒性を良好
とするため、そのジブチルフタレ−ト(DBP)吸油量
が30〜120ml/100gの範囲内にあることが必
要であり、なかでも50〜80ml/100gの範囲内
にあることが好ましい。ここにジブチルフタレ−ト(D
BP)吸油量とは、JIS K 6217(ゴム用カ−
ボンブラックの基本性能の試験法)にいうDBP吸収量
をいい、カ−ボンブラックのストラクチャ−の大きさを
間接的に表す数値と考えられているものである。
【0037】かかるカ−ボンブラック(B)として使用
できる代表的なものを挙げると、サ−マルブラック法、
アセチレンブラック法、チャンネルブラック法、ファ−
ネスブラック法、ランプブラック法等により製造される
各種のカ−ボンブラックがある。
【0038】また、本発明の製造方法において、上記の
ポリエステル樹脂(A)およびカ−ボンブラック(B)
に加え、下記の帯電制御剤、ワックス、流動調整剤等を
使用することができる。
【0039】帯電制御剤としては、低分子化合物から高
分子化合物まで種々の物質が使用できるが、代表的なも
のを挙げると、ニグロシン染料、4級アンモニウム化合
物、アミノ基を有するモノマ−を単独重合あるいは共重
合してなる高分子化合物、有機金属錯体、キレ−ト化合
物等がある。
【0040】ワックスは、複写機あるいはプリンタ−等
の定着ロ−ルにトナ−がオフセットすることを防止し、
かつ低温定着が可能となるよう添加されるが、その代表
的なものを挙げると、天然ワックス、各種のポリオレフ
ィン類等がある。
【0041】流動調整剤は、トナ−の流動性を向上させ
るために添加されるが、例えば、フッ化ビニリデン微粉
末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、湿式法若しく
は乾式法のシリカ微粉末等が挙げられる。
【0042】次に、本発明の製造方法について説明す
る。本発明の製造方法にかかる電子写真用球形トナ−
(以下「本発明の球形トナ−」という。)は、例えば、
以下の製造方法によって製造される。すなわち、(1)
親水性基及び疎水性基を併せ有し、かつGPC法による
重量平均分子量が30,000〜500,000のポリ
エステル樹脂(A)と、DBP吸油量が30〜120m
l/100gのカ−ボンブラック(B)と、その他必要
に応じて添加剤、例えば帯電制御剤、離型剤などを、加
圧ニーダー、加熱3本ロール、2軸押し出し混練機など
を用いて溶融混練して、着色樹脂溶融体(I)を製造
し、
【0043】(2)次に、この着色樹脂溶融体(I)
を、ポリエステル樹脂(A)の親水性基を中和する物質
を含むと共に、該着色樹脂溶融体(I)の溶融状態を維
持できる温度に加熱した水性媒体(II)中に、溶融状態
を維持しながら、必要に応じて加圧下に、機械的手段に
より微分散させ、(3)その後、好ましくは直ちに急速
冷却することにより着色樹脂微粒子の水分散液を製造
し、(4)該分散液から該着色樹脂微粒子を分離し、
(5)分離された着色樹脂微粒子を乾燥し、その後必要
に応じて疎水性シリカなどの外添剤を添加してトナーと
する製造方法である。
【0044】ここで用いる水性媒体(II)としては、特
に限定されず、有機溶剤、分散剤、中和剤、その他添加
剤等を含有していてもよいが、乾燥工程での除去が難し
いことから、有機溶剤は含有しないものが好ましく、通
常は分散剤や中和剤を含む水を用いる。
【0045】ここで用いるポリエステル系樹脂(A)と
しては、前記したように親水性基としてカルボキシル基
を有し、かつカルボキシル基の一部ないしは全部を前記
したような塩基性化合物、好ましくはアンモニア水で中
和することにより自己水分散性となるポリエステル樹脂
(A1)が、該カルボキシル基の中和により分散安定性
の優れる着色樹脂微粒子となることから好ましい。
【0046】本発明の製造方法における上記機械的手段
としては、特に制限はないが、代表的な市販品を例示す
ると、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ−(ゴ−リン
社)、連続式超音波ホモジナイザ−(日本精機株式会
社)、ナノマイザ−(ナノマイザ−社)、マイクロフル
イダイザ−(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナ
イザ−、スラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロ
ン(株式会社ユ−ロテック)などの装置を例示すること
ができ、なかでも回転型連続分散装置であるキャビトロ
ンが好ましい。
【0047】上記回転型連続分散装置キャビトロンは、
スリットを有するリング状の突起を備えた固定子と、ス
リットを有するリング状の突起を備えた回転子とが、間
隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた構
造を有する回転型連続分散装置であり、これを用いた分
散方法は、固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶融
体(I)と加熱した水性媒体(II)とを供給し、回転子
を回転させながら該スリットと該間隔とを通して中心部
分から外周の方向に着色樹脂溶融体(I)と加熱した水
性媒体(II)とを流動させることにより、水性媒体(I
I)中に着色樹脂溶融体(I)を微粒子状で分散せしめ
る分散装置である。
【0048】以下、図面により上記のような回転型連続
式分散装置を用いた本発明の製造方法について詳しく説
明する。
【0049】図1は本発明の製造方法に用いられる回転
型連続式分散装置の固定子の一例を示す斜視図、図2は
本発明の製造方法に用いられる回転型連続式分散装置の
回転子の一例を示す斜視図、図3は本発明に用いる回転
型連続式分散装置の要部の一例を表した断面図、図4は
図3のA−A’断面を側面から見たときの固定子突起と
回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【0050】図1〜図4に示すように、回転型連続分散
装置の固定子1は、中心に設置され、その中心に液入口
2を備えている。固定子1の円形状の面上には、固定子
と同心円でリング状に並べられた突起3が1段又は2段
以上の多段状に備えられており、従って、突起同士の間
隙には、円周溝4が形成されている。そして、突起同士
の間には複数のスリット5が形成されている。
【0051】この分散装置内の固定子1に対向する内壁
の中心には駆動軸6が設置され、駆動装置に接続されて
回転される。回転子7は、固定子1と平行で、かつ中心
が揃うように駆動軸の先端に固定されている。固定子1
に対向する回転子7の面上には、回転子と同心円でリン
グ上に並べられた突起8が一段または2段以上の多段状
に備わっている。従って、突起同士の間隙には、固定子
と同様に、環状の溝9が形成されている。そして、突起
同士の間には複数のスリット10が形成されている。
【0052】この固定子1と回転子7とは、固定子1の
突起3と回転子7の突起8が僅かな間隙を保つように、
咬み合わされた状態で使用に供される。
【0053】この分散装置の液入口部2に、着色樹脂溶
融体(I)と加熱された水性媒体(II)が供給され、そ
れらからなる混合物は回転子7が回転すると、最も内側
に位置する回転子7の突起8のスリット10に入り、遠
心力により該回転子7の突起8の外側から環状の溝9に
吐出され、次いで最も内側に位置する固定子1の突起3
のスリット5に入る。さらに、このスリット5に流入し
た混合物は、固定子1の環状の溝4に押し出される。こ
のようにして当該混合物は、回転子7の回転により遠心
力を受け、スリット内を液入口から吐出口へと流動す
る。一方回転子7と固定子1のスリットのずれにより混
合物の遠心流れの封じ込めと開放を繰り返して差圧が発
生する。さらに回転子7と固定子1の微少隙間で混合液
に対し剪断力が働く。この中心から外周方向への流れと
円周方向流れが直角に衝突し、それによって、強力な撹
拌・破砕効果が発生し、これにより着色樹脂溶融体
(I)が、加熱された水性媒体(II)中に微粒子状に分
散した分散液が得られる。
【0054】この分散装置の回転子7の回転数は駆動軸
に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大き
く周速が大きいほど大きい遠心力と剪断力を受けて、水
性媒体中に分散した着色樹脂混合物の溶融体の粒子径が
小さくなる。直径10cmの回転子を使用して平均粒子
径が10μm以下の電子写真用球形トナーを製造する場
合、好ましい回転数は3,000〜10,000rpm
である。
【0055】このような回転型連続分散装置を使用する
場合、着色樹脂溶融体(I)の良好な流動性を維持する
ために、当該分散装置には保温のためのジャケットを設
置することが好ましい。そして、分散装置内の温度は、
着色樹脂溶融体(I)の温度、供給する水性媒体(II)
の温度、および、ジャケットによる保温効果と装置内で
の剪断により発生する熱量のバランスを取ることによ
り、一定温度に制御される。
【0056】かかる分散装置内の圧力は、水性媒体(I
I)の装置内における蒸気圧と高速回転する回転子によ
る吐出圧で決まる。また、着色樹脂溶融体(I)の水分
散液を冷却して得られる分散液の取り出しは、取り出し
口に自動圧力制御弁を設けて、内部圧を一定に保ちつ
つ、分散液を大気圧下に連続的に取り出すのが好まし
い。
【0057】次に、本発明の球形トナ−について説明す
る。本発明の球形トナ−は、親水性基及び疎水性基を併
せ有し、かつGPC法による重量平均分子量が30,0
00〜500,000のポリエステル樹脂(A)と、D
BP吸油量が30〜120ml/100gのカ−ボンブ
ラック(B)とを必須の成分としてなることを特徴とす
る。ポリエステル樹脂(A)、およびカ−ボンブラック
(B)の内容は前述したとおりである。
【0058】さらに、本発明の球形トナ−は、その形状
が球形であることに特徴を有する。すなわち、球形であ
ることにより、粉砕法と比較しキャリヤ汚染を起こしに
くく、かつ極めて耐久性・流動性に優れるため画像の品
質が著しく向上する。本発明にいう「球形」は、真球状
はもちろん、楕円状、繭状等を含む広い概念であるが形
状中に鋭利な尖点部分を含まないものをいう。
【0059】また、本発明の球形トナ−の粒子径は、体
積平均粒子径で通常2〜20μmであるが、画像の解像
力の点で3〜13μmが好ましく、より好ましくは3〜
8μmである。
【0060】本発明にいう平均粒子径とは、粒度分布測
定機であるコ−ルタ−マルチサイザ−2(ベックマン・
コ−ルタ−社製)で測定した50%体積平均粒子径の値
をいう。
【0061】本発明におけるトナ−の粒度分布とは、コ
−ルタ−マルチサイザ−2を用いた体積粒子径の分布測
定において、16%径と84%径の比の平方根で表され
る値「√(D16/D84)」をいうが、ここで16%
径とは体積粒子径の大きい側から粒子の重量を積算した
ときの重量が全重量の16%となる位置にある粒子の体
積粒子径をいい、同様に84%径とは粒子の重量を積算
したときの重量が全重量の84%となる位置にある粒子
の体積粒子径をいう。
【0062】この数値が大きいほど粒度分布の広がりが
大きく、小さいほど粒度分布の広がりは小さいことを示
す。この数値が1.36以下であることは、トナーとし
て実用上問題のないレベルにまで分級されたことを表
す。本発明に係る電子写真用球形トナーは、上記の粒度
分布の数値から分布がシャープであり、通常分級工程を
必要としないものである。
【0063】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明を具
体的に説明する。ただし、本発明の技術的な範囲は以下
の実施例に限定されるものではない。実施例中「部」と
あるのは、特にことわりがない限り重量部をあらわすも
のとする。
【0064】実施例1 [ポリエステル樹脂(A)の合成]攪拌装置、窒素導入
管、温度センサ−、精留塔を備えた内容量5リットルの
フラスコにビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加
物(平均付加モル数2.2、水酸基価約360mgKO
H/g)2,676部、トリメチロ−ルプロパン172
部、テレフタル酸1,316部及びイソフタル酸146
部を仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、
反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジ
ブチル錫オキサイド2.0部を投入した。さらに生成す
る水を留去しながら同温度から240℃まで6時間を要
して温度を上げ、240℃でさらに3時間脱水縮合反応
を継続し、酸価が8.5mgKOH/g、環球法による
軟化点が108℃になるまで反応させた。次いで、温度
を210℃まで下げ、カ−ジュラE10(シェルケミカ
ル社製分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル)123部
を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価が
1.6mgKOH/gで、GPC法による重量平均分子
量が36,000であるポリエステル樹脂を得た。これ
をポリエステル樹脂(A−1)と略記する。
【0065】なお、GPC法による重量平均分子量の測
定は、昭和電工(株)製Shodex GPC SYST
EM−21を使用して行なった(以下、同様)。
【0066】[トナ−の調製]上記ポリエステル樹脂
(A−1)90部と、キャボット社製カ−ボンブラック
REGAL330(DBP吸油量65ml/100g)
10部とを2軸連続混練機を用いて溶融混練して、18
0℃に加熱された着色樹脂熔融体(I−1)とし、これ
をキャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製
回転型連続分散装置)に毎分100gの速度で移送し
た。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水
をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アン
モニア水〔水性媒体(II−1)〕を入れ、熱交換器で
125℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、
上記着色樹脂熔融体(I−1)と同時に、上記キャビト
ロンに移送した。
【0067】回転子の回転速度が7500rpm、圧力
が5Kg/cm2 の運転条件下、上記キャビトロンで製
造した温度135℃の分散液を10秒間で温度35℃ま
で冷却して出口から取り出した。この分散液中のトナー
粒子は球形であり、分散液の濃度は固形分が50%であ
った。コールターマルチサイザー2による測定により、
トナー粒子の平均粒子径は6.9μmであり、その粒度
分布は1.33であった。このトナー原体粒子は、トナ
ーとして実用的に使用するための粒度調整を必要としな
いものであった。トナー原体粒子を濾別した後に水洗を
行い、乾燥して粉体のトナー原体を得た。このトナー原
体粒子100部に対し、0.2部の疎水性シリカ(日本
アエロジル社製R−972)をドライブレンドして平均
粒径6.9μmの球形の黒色トナーを得た。 この黒色
トナ−を「トナ−1」と略記する。
【0068】[トナーの評価]得られたトナ−1を使用
し、トナ−濃度が10重量%となるように酸化鉄粉(平
均粒子径100μm)と混合し、電子写真用現像剤を得
た。この現像剤を用いて、定着/オフセット、定着強度
および画像品質の評価を行った。具体的には、実際の複
写機の定着ロ−ルを用いて定着下限温度(「Tl」と略
記する。)、非オフセット上限温度(「Tu」と略記す
る。)、定着強度および画像品質の評価を行った。その
結果を第1表に示す。
【0069】定着/オフセットの評価方法の詳細は、以
下〜のとおりである。すなわち、調製した電子写
真用現像剤を用い、紙が定着機構に移行する直前に当該
紙を取り出せるように改造した電子写真複写機「U−B
ix5000」(小西六写真工業社製)によりA4サイ
ズの普通紙に未定着の黒ベタの帯状画像(幅2cm長さ
10cm)を、定着/オフセット試験を実施する各温度
(80〜250℃で10℃ごと18水準)に対応した枚
数分と、境界領域の評価を5℃きざみで行うときに使用
する枚数分とを作成し、次いで、直径が50mmで表
層がテフロン製の熱ロ−ラ−と、表層がシリコ−ンゴム
製の定着ロ−ラ−からなり、かつ熱ロ−ラ−の温度を8
0〜250℃の範囲で任意に設定できるようにした定着
機を使用し、線速度450mm/秒、線圧0.8Kg/
cm、ニップ幅8mm、温度80〜250℃〔10℃間
隔、ただし、定着下限温度(Tl)および非オフセット
上限温度(Tu)付近の境界領域では5℃間隔〕の条件
下で当該黒ベタの帯状画像を普通紙に熱定着させた後、
得られた帯状の定着画像を脱脂綿でこすってもトナ−
が脱脂綿に付着しなくなるを定着下限温度(Tl)と
し、また、かかる普通紙の定着画像以外の白色部分に定
着ロ−ルからオフセットしたトナ−が再度付着すること
による画像の汚染が認められなくなる温度を非オフセッ
ト上限温度(Tu)として、評価した。
【0070】定着強度は、それぞれ120℃および16
0℃で黒ベタ画像を定着させた複写物にテ−プを付着さ
せ、剥離したときのテ−プに付着したトナ−の量を10
段階で目視評価した。数字の大きいもの程、付着トナ−
が少なく、低温定着性が良好であることを表す。
【0071】画像品質は、電子写真学会テストチャ−ト
No.1−T(1975)標準反射画像とし、改造しな
い電子写真複写機「U−Bix5000」(小西六写真
工業社製)により通常の使用条件で複写した初期画像お
よび1万枚連続複写後(ランニング後)の画像の画像荒
れ、鮮明性等を目視で比較評価した。
【0072】実施例2 [ポリエステル樹脂(A)の合成]攪拌装置、窒素導入
管、温度センサ−、精留塔を備えた内容量5リットルの
フラスコにエチレングリコ−ル540部、ネオペンチル
グリコ−ル908部及びトリメチロ−ルプロパン186
部を仕込み、温度を140℃まで上げて撹拌を行いなが
らテレフタル酸3,014部を仕込み、さらに1時間を
要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌
されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド
1.5部を投入した。さらに生成する水を留去しながら
同温度から240℃まで6時間を要して温度を上げ、2
40℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が1
1.1mgKOH/g、環球法による軟化点が114℃
になるまで反応を進めた。次いで、温度を220℃に下
げ、カ−ジュラE10 81部を徐々に投入し、同温度
で1時間反応を継続し、酸価が7.5mgKOH/g
で、GPC法による重量平均分子量が43,000のポ
リエステル樹脂を得た。これをポリエステル樹脂(A−
2)と略記する。
【0073】[トナ−の調製]ポリエステル樹脂(A−
1)90部の代わりに上記ポリエステル樹脂(A−2)
90部を用い、キャボット社製カ−ボンブラックREG
AL330(DBP吸油量65ml/100g)10部
の代わりにキャボット社製カーボンブラックELFTE
X8(DBP吸油量100ml/100g)10部を使
用した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子の平均
粒子径が8.2μmで、粒度分布が1.35である黒色
球形トナ−粒子原体を得た。この黒色球形トナ−粒子原
体を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径
が8.3μmの黒色球形トナ−を得た。これを「トナ−
2」と略記する。
【0074】[トナーの評価]得られたトナ−2を使用
した以外は実施例1と同様にして電子写真用現像剤を
得、次いで同様にして定着/オフセット、定着強度およ
び画像品質の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0075】比較例1 [比較トナ−の調製]キャボット社製カ−ボンブラック
REGAL330(DBP吸油量65ml/100g)
10部の代わりにキャボット社製カーボンブラックVU
LCAN XC72(DBP吸油量188ml/100
g)の10部を使用した以外は実施例1と同様にして、
トナー粒子の平均粒子径が15μmで、粒度分布が1.
41である黒色トナ−粒子原体を得た。この黒色トナ−
粒子原体は、形状が球形ではなく異形であり、ひも状、
不定形の粗大粒子を含むものであった。この黒色粒子原
体を使用した以外は実施例1と同様にして、平均粒子径
が15μmの黒色トナ−を得た。これを「比較トナ−
1」と略記する。
【0076】[トナーの評価]得られた比較トナ−1を
使用した以外は実施例1と同様にして電子写真用現像剤
を得、次いで同様にして定着/オフセット、定着強度お
よび画像品質の評価を行った。その結果を第1表に示
す。
【0077】比較例2 [比較トナ−の調製]ポリエステル樹脂(A−1)90
部の代わりに上記ポリエステル樹脂(A−2)90部を
用い、キャボット社製カ−ボンブラックREGAL33
0(DBP吸油量65ml/100g)10部の代わり
にキャボット社製カーボンブラックVULCAN XC
72(DBP吸油量188ml/100g)10部を使
用した以外は実施例1と同様にして微粒化法によるを試
みたが、同条件ではキャビトロンCD1010に対して
負荷がかかりすぎ、出口からの分散液の吐出状態が極め
て不安定となって生成物を得ることはできなかった。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】本発明に係る電子写真用球形トナ−は、
低温での定着性と高温での耐オフセット性に優れ、粒度
分布が狭く、現像機中での過粉砕による画像劣化が起こ
りにくく、本発明の製造方法により容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる回転型連続式分散装置の固定
子の一例を示す斜視図である。
【図2】 本発明に用いる回転型連続式分散装置の回転
子の一例を示す斜視図である。
【図3】 本発明に用いる回転型連続式分散装置の要部
の一例を表した断面図である。
【図4】 図3のA−A′部を側面から見たときの固定
子突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図であ
る。
【符号の説明】
1 固定子 2 液入口 3 固定子の突起 4 固定子の円周溝 5 固定子突起のスリット 6 回転子の駆動軸 7 回転子 8 回転子の突起 9 回転子の円周溝 10 回転子突起のスリット 11 回転型連続式分散装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性基及び疎水性基を併せ有し、かつ
    GPC(ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−)法
    による重量平均分子量が30,000〜500,000
    であるポリエステル樹脂(A)と、ジブチルフタレ−ト
    吸油量が30〜120ml/100gの範囲内にあるカ
    −ボンブラック(B)とを必須の成分とする着色樹脂溶
    融体(I)を、該ポリエステル樹脂(A)の溶融状態を
    維持しつつ水性媒体(II)中に分散した後、得られた着
    色樹脂微粒子を分離することを特徴とする、電子写真用
    球形トナ−の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカ
    ルボキシル基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜2
    0のアルキル基またはアルケニル基である、請求項1記
    載の電子写真用球形トナ−の製造方法。
  3. 【請求項3】 スリットを有するリング状の突起を備え
    た固定子と、スリットを有するリング状の突起を備えた
    回転子とが、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上
    に設けられた構造を有する回転型連続分散装置を用い、
    この分散機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶
    融体(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回
    転させながら該スリットと該間隙とを通して中心部分か
    ら外周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)
    中に着色樹脂溶融体(I)を分散させる、請求項1また
    は2記載の電子写真用球形トナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 親水性基及び疎水性基を併せ有し、かつ
    GPC法による重量平均分子量が30,000〜50
    0,000であるポリエステル樹脂(A)と、ジブチル
    フタレ−ト吸油量が30〜120ml/100gの範囲
    内にあるカ−ボンブラック(B)とを必須の成分として
    なることを特徴とする、電子写真用球形トナ−。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカ
    ルボキシル基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜2
    0のアルキル基またはアルケニル基である、請求項4記
    載の電子写真用球形トナ−。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005345881A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Toyo Ink Mfg Co Ltd 正帯電性黒トナー。
JP2015125408A (ja) * 2013-12-27 2015-07-06 花王株式会社 電子写真用黒色トナーの製造方法

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