JP2002108007A - 電子写真用球形トナ−の製造方法および電子写真用球形トナ− - Google Patents

電子写真用球形トナ−の製造方法および電子写真用球形トナ−

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JP2002108007A
JP2002108007A JP2000294104A JP2000294104A JP2002108007A JP 2002108007 A JP2002108007 A JP 2002108007A JP 2000294104 A JP2000294104 A JP 2000294104A JP 2000294104 A JP2000294104 A JP 2000294104A JP 2002108007 A JP2002108007 A JP 2002108007A
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toner
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Nobuyoshi Shirai
伸佳 白井
Hideki Watanabe
英樹 渡邉
Seiichi Uno
誠一 宇野
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビスフェノール類およびそのアルキレン
オキサイド付加物が全く使用されていないポリエステル
球形トナーとその製造方法を提供すること。 【解決手段】 ビスフェノール類およびそのアルキレン
オキサイド付加物を使用せずに得られたポリエステル樹
脂(A)と、着色剤(B)とを必須の成分とする着色樹
脂溶融体(I)を、該樹脂(A)の溶融状態を維持しつ
つ水性媒体(II)中に分散した後、微粒子を分離する電
子写真用球形トナ−の製造方法、および、該樹脂(A)
と、着色剤(B)とを必須の成分とする電子写真用球形
トナ−。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒ−トロ−ル定着
方式、圧力定着方式、フラッシュ定着方式等各種の静電
記録方式による画像の定着方式に使用できる、電子写真
用球形トナ−およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来電子写真の分野においては、画像形
成のために使用される着色剤(以下「トナ−」とい
う。)を構成するバインダ−として、スチレン−アクリ
ル共重合体やポリエステル樹脂等種々のものが用いられ
ている。かかるトナ−は、その大部分は機械的粉砕方法
および分級工程を経て数μmの平均粒子径を有する粉体
に調整され実用に供される。このような機械的粉砕法で
調製されるトナ−に関しては、粉砕に要するエネルギ−
が多大であり、コスト面で不利であること、製造される
トナ−粉の形状が不規則的かつ尖点を有するので、その
部分が粉砕時又は現像機中で過粉砕されて微粉となり画
像劣化の原因となること、かかる微粉および粗大粒子を
除去し、帯電特性を実用レベルに適合させるために分級
工程が不可欠となり、収率の悪化をもたらすこと、画像
品質の向上のため小粒径化した場合、トナ−の流動性が
極端に悪化する等、種々の問題点を有している。
【0003】これらの問題点を解消する手段として、転
相乳化法による小粒径球形トナーの製造方法(特開平8
−211655号公報)が提案されているが、この技術
は揮発性の有機溶剤を使用するため環境衛生上の難点が
あり、また転相乳化後に溶剤を除去回収する工程や、転
相の際に生じる乳化ロスの回収処理をする工程が必要で
あって、プロセス全体が複雑なものとなる等の難点があ
る。さらに、転相乳化法により得られるトナ−から完全
に溶剤を除去することは、実際上は困難であり、かかる
トナ−をオフィス環境等で使用するには臭気や衛生上の
難点がある。
【0004】また、有機溶剤を用いずに機械的剪断力に
より、主としてポリエステル系のトナ−用着色球形微粒
子の水分散液を製造する方法が特開平9−311502
号公報に開示されているが、低温での定着性と高温での
耐オフセット性の両方を具備する球形トナ−を得ること
は困難で、得られる微粒子の粒度分布が広く、分級工程
を省くことができないものであった。。
【0005】一方、近年複写機またはプリンターの高速
化等に関連し、低エネルギー化、低ロール圧力化等が望
まれており、使用される電子写真トナーには、定着温度
が低く、かつ高温側の耐オフセット性に優れることが要
求されている。このオフセットとは、特にロ−ル温度が
高温になった場合、紙等の被定着物に定着されたトナ−
の一部がロ−ルに付着し、さらにそれが再び当該被定着
物に転写されることで画像が汚染されることをいう。こ
のオフセット現象を防ぐ為、バインダ−の分子量分布を
広くする方法や、バインダ−を部分的に架橋させる方法
が行われているが、かかる方法では、トナーの最低定着
温度も上昇し、かつ前記特開平9−311502号公報
に開示された製造方法による造粒も極めて困難であっ
た。
【0006】さらに、近年地球環境に及ぼす化学物質の
影響が問題となってきている。すなわち、極めて微量の
化学物質が生物の内分泌系を攪乱することが明らかにな
ってきており、電子写真用トナ−の分野においても、環
境に悪影響を与えない材料が求められている。しかし、
従来電子写真用トナ−に使用されてきたポリエステル系
バインダ−の原料にはビスフェノ−ルAのアルキレンオ
キサイド付加物が代表的に用いられており、かかる原料
は内分泌攪乱物質としての疑いがかけられているビスフ
ェノ−ルAから製造される。従って、上記観点からはビ
スフェノ−ルAのようなビスフェノール類のアルキレン
オキサイド付加物をトナ−用ポリエステル樹脂の原料と
して使用しないことが好ましい。ところが、ビスフェノ
−ル類のアルキレンオキサイド付加物を使用しない場合
は、トナ−用バインダ−としての樹脂物性のバランスを
とることが困難であり、前記した所定の性能を満足する
ものが得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、ビスフェノールAに代表されるビ
スフェノール類およびビスフェノール類のアルキレンオ
キサイド付加物が全く使用されていない、より環境に適
合したポリエステル球形トナーとその製造方法を提供す
ることであり、なかでも望ましくは微粒子の粒度分布が
狭く分級工程なしで使用可能なポリエステル球形トナー
とその製造方法を提供することであり、更に望ましくは
低温での定着性と高温での耐オフセット性の両方に優れ
る、ポリエステル球形トナーとその製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来技術の問題点を解消すべく鋭意改良研究を行った結
果、ビスフェノール類およびそのアルキレンオキサイド
付加物を使用せずに得られたポリエステル樹脂(A)
と、着色剤(B)とを必須の成分とする着色樹脂溶融体
(I)を、該ポリエステル樹脂(A)の溶融状態を維持
しつつ水性媒体(II)中に分散した後、得られた着色樹
脂微粒子を分離することにより、ビスフェノール類を使
用せずにポリエステル球形トナーが得られること、なか
でも親水性基および疎水性基を併せ有するポリエステル
樹脂を用いると粒度分布の狭く分級工程なしでも使用可
能なポリエステル球形のトナ−が容易に得られること、
更に多価アルコール成分として水酸基当量が30〜60
g/当量の脂肪族ジオールを用いて得られたポリエステ
ル樹脂を用いると低温での定着性と高温での耐オフセッ
ト性の両方に優れたポリエステル球形のトナ−が得られ
ること等を見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明は 1.ビスフェノール類およびそのアルキレンオキサイド
付加物を使用せずに得られたポリエステル樹脂(A)
と、着色剤(B)とを必須の成分とする着色樹脂溶融体
(I)を、該ポリエステル樹脂(A)の溶融状態を維持
しつつ水性媒体(II)中に分散した後、得られた着色樹
脂微粒子を分離することを特徴とする、電子写真用球形
トナ−の製造方法、 2.ポリエステル樹脂(A)が、親水性基および疎水性
基を併せ有するポリエステル樹脂である、上記1記載の
電子写真用球形トナ−の製造方法。 3.ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカルボキシル
基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜20のアルキ
ル基またはアルケニル基である、上記2記載の電子写真
用球形トナ−の製造方法、 4.ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコール成分と
して水酸基当量が30〜60g/当量の脂肪族ジオール
を用いて得られたポリエステル樹脂である、上記1、2
または3記載の電子写真用球形トナ−の製造方法、 5.ポリエステル樹脂(A)が、GPC(ゲルパ−ミエ
−ションクロマトグラフィ−)法による重量平均分子量
が30,000〜500,000の範囲にある分岐状ポ
リエステル樹脂である、上記1〜4のいずれか1つに記
載の電子写真用球形トナ−の製造方法、 6.スリットを有するリング状の突起を備えた固定子
と、スリットを有するリング状の突起を備えた回転子と
が、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けら
れた構造を有する回転型連続分散装置を用い、この分散
機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶融体
(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回転さ
せながら該スリットと該間隔とを通して中心部分から外
周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)中に
着色樹脂溶融体(I)を分散させる、上記1〜5のいず
れか1つに記載の電子写真用球形トナーの製造方法、
【0010】7.ビスフェノール類およびそのアルキレ
ンオキサイド付加物を使用せずに得られたポリエステル
樹脂(A)と、着色剤(B)とを必須の成分とすること
を特徴とする、電子写真用球形トナ−、 8.ポリエステル樹脂(A)が、親水性基および疎水性
基を併せ有するポリエステル樹脂である、上記7記載の
電子写真用球形トナ−、 9.ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカルボキシル
基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜20のアルキ
ル基またはアルケニル基である、上記8記載の電子写真
用球形トナ−、 10.ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコール成分
として水酸基当量が30〜60g/当量の脂肪族ジオー
ルを用いて得られたポリエステル樹脂である、上記7、
8または9記載の電子写真用球形トナ−、および、 11.ポリエステル樹脂(A)が、GPC法による重量
平均分子量が30,000〜500,000の範囲にあ
る分岐状ポリエステル樹脂である、上記7〜10のいず
れか1つに記載の電子写真用球形トナ−、を提供するも
のである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る電子写真用球
形トナ−の製造方法について詳細に説明する。本発明の
製造方法で使用するポリエステル樹脂(A)としては、
ビスフェノ−ル類およびビスフェノ−ル類のアルキレン
オキサイド付加物を使用せずに、その他の原料を用いて
公知慣用の製造方法等により調製されたものが挙げられ
る。その際に使用されるその他の原料としては、ポリエ
ステル樹脂を構成する公知慣用の原料であって、ビスフ
ェノ−ル類およびビスフェノ−ル類のアルキレンオキサ
イド付加物以外のものであれば、特に制限なく使用する
ことができる。かかる原料で代表的なものは、ジカルボ
ン酸等の多塩基酸およびその無水物あるいはその低級ア
ルキルエステルの如き反応性誘導体(以下、これらをま
とめて「多塩基酸類」という。)と、ジオ−ル等の多価
アルコ−ルが挙げられ、以下のものが好適に用いられ
る。
【0012】ジカルボン酸としては、例えば、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、
ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、ドデセニル
コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバチン酸、デカン−1,10−ジカルボン
酸等の脂肪族二塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、テト
ラヒドロフタル酸およびその無水物、ヘキサヒドロフタ
ル酸およびその無水物、テトラブロムフタル酸およびそ
の無水物、テトラクロルフタル酸およびその無水物、ヘ
ット酸およびその無水物、ハイミック酸およびその無水
物、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族
または脂環族の二塩基酸類;が挙げられる。
【0013】さらに、3官能以上の原料成分として、1
分子中に3個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸
およびその反応性誘導体も使用することができる。これ
らの代表的なものを挙げると、トリメリット酸、無水ト
リメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、
メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸等がある。
【0014】これらの多塩基酸類はそれぞれ単独で使用
してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
【0015】さらに、上記した多塩基酸類は、そのカル
ボキシル基の一部または全部がアルキルエステル、アル
ケニルエステルまたはアリ−ルエステルとなっているも
のも使用できる。
【0016】また、ポリエステル樹脂(A)を調製する
際に原料成分として、例えば、ジメチロ−ルプロピオン
酸、ジメチロ−ルブタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸
のような、1分子中に水酸基とカルボキシル基を併有す
る化合物あるいはそれらの反応性誘導体も使用できる。
【0017】さらに、安息香酸、p−tert−ブチル
安息香酸のような一塩基酸も本発明の効果を損なわない
範囲内で併用することができる。
【0018】次に、多価アルコ−ル成分として使用でき
る代表的なものを挙げると、エチレングリコ−ル、1,
2−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、
1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−
ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、
トリエチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の
脂肪族ジオ−ル類;シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂
環式のジオ−ル類;がある。
【0019】また、「カ−ジュラE10」(シェルケミ
カル社製分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル)等の脂
肪族モノエポキシ化合物もかかるジオ−ル類として使用
することができる。
【0020】3官能以上の原料成分の一つとして、3個
以上の水酸基を有する化合物も使用することができ、そ
の代表的なものとして、グリセリン、トリメチロ−ルエ
タン、トリメチロ−ルプロパン、ソルビト−ル、1,
2,3,6−ヘキサンテトロ−ル、1,4−ソルビタ
ン、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリト−ル、
2−メチルプロパントリオ−ル、1,3,5−トリヒド
ロキシベンゼン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソ
シアヌレ−ト等がある。
【0021】また、下記に示すようなポリエポキシ化合
物も3官能以上の原料成分としての多価アルコ−ル類と
して使用することができる。例えば、エチレングリコー
ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等各種の脂肪
族ないしは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル
類;
【0022】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールの如き、各
種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル
類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト
のポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテト
ラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テ
レフタル酸、トリメリット酸の如き、各種の脂肪族ない
しは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル
類;
【0023】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネン、
ビニルシクロヘキセンの如き、各種の炭化水素系ジエン
のビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボ
キシレートの如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合物;
ポリブタジエン、ポリイソプレンの如き、各種のジエン
ポリマーのエポキシ化物;
【0024】「EGM−400」〔東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の3−グリシドキシプロピル基
を有する環状のポリシロキサン〕;等のポリエポキシ化
合物が挙げられる。
【0025】かかる多価アルコ−ル類のなかで低温定着
性および耐オフセット性に優れるトナーが得られること
から、水酸基当量が30〜60g/eqの範囲内にある
脂肪族ジオールが好ましく、その代表的なものを例示す
ると、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ
−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ
−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−
ル、ネオペンチルグリコ−ル等が挙げられる。
【0026】また、これら脂肪族ジオールには3官能以
上の多価アルコ−ル類を併用することができるが、低温
定着性および耐オフセット性に優れるトナーが得られる
という利点を損なわないためには、水酸基当量が30〜
60g/当量の範囲内にある3官能以上の多価アルコ−
ル類を用いることが好ましい。その代表的なものを例示
すると、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチ
ロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリ
スリト−ル等の3官能以上の多価アルコ−ル類が挙げら
れる。
【0027】これら上記した多価アルコ−ル類は、単独
で使用してもよいし2種以上のものを併用することもで
きる。さらに、これらの多価アルコ−ル類の他、ステア
リルアルコ−ルなどの1価の高級アルコ−ル等も本発明
の特徴を損なわない範囲で併用することができる。
【0028】ポリエステル樹脂(A)を調製するには公
知慣用の方法が使用できる。すなわち、ポリエステル樹
脂(A)を調製する方法としては、上記した原料成分で
ある多塩基酸類および多価アルコ−ル類を窒素雰囲気中
で加熱下に脱水縮合させてポリエステル樹脂を調製する
方法が一般的である。この際使用される装置としては、
窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反応
容器の如き回分式の製造装置が好適に使用できるほか、
脱気口を備えた押し出し機や連続式の反応装置、混練機
等も使用できる。また、上記脱水縮合の際、必要に応じ
て反応系を減圧することによって、エステル化反応を促
進することもできる。さらに、エステル化反応の促進の
ために、公知慣用の触媒を添加することもできる。
【0029】次に、ポリエステル樹脂(A)の性状につ
いて説明する。
【0030】本発明の製造方法に使用するポリエステル
樹脂(A)は、造粒性の観点より、親水性基を官能基と
して含むことが好ましい。かかる親水性基のうち代表的
なものを例示すると、水酸基、カルボキシル基、アミノ
基、スルフォン酸基、リン酸基などが挙げられるが、水
酸基またはカルボキシル基が好ましい。
【0031】さらに、分散系の安定性の観点より、ポリ
エステル樹脂(A)は、そのカルボキシル基の一部ない
しは全部を塩基性化合物で中和することにより自己水分
散性となるポリエステル樹脂(A1)であることが好ま
しい。
【0032】かかる塩基性化合物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカ
リ化合物、それらの炭酸塩、それらの酢酸塩など、およ
びアンモニア水、メチルアミン、ジメチルアミン、トリ
メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエ
チルアミンなどのアルキルアミン類、ジエタノールアミ
ンなどのアルカノールアミン類などを使用することがで
きる。これらの中でも乾燥工程で大部分が除去され、ト
ナーとしての特性に影響を与えない点で、アンモニア水
を用いるのが好ましい。
【0033】同様に分散系の安定性の点で、ポリエステ
ル樹脂(A)の親水性基がカルボキシル基である場合に
は、ポリエステル樹脂(A)の酸価は5〜70mgKO
H/gの範囲にあることが好ましい。
【0034】かかる親水性基をポリエステル樹脂(A)
に導入する方法としては、上記のポリエステル樹脂
(A)を調製する際に使用される原料をそのまま使用す
る方法でも良いし、かかる原料に親水性基を導入したも
のを使用してポリエステル樹脂(A)を調製する方法で
も良い。
【0035】また、本発明の製造方法に使用するポリエ
ステル樹脂(A)は、造粒性の観点より、官能基として
疎水性基を併有することが好ましい。かかる疎水性基の
うち代表的なものを例示すると、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル
基、ドデセニル基等のアルキル基ないしアルケニル基が
挙げられるが、炭素数が4〜20のアルキル基ないしは
アルケニル基が好ましい。これらのアルキル基又はアル
ケニル基は直鎖状でもよく、分岐状のものでもよい。
【0036】さらに、ポリエステル樹脂(A)は、良好
な定着性および耐オフセット性を得るために特定の分子
量の範囲にあり、かつ分岐状の構造を有することが好ま
しい。
【0037】すなわち、ポリエステル樹脂(A)のGP
C法による重量平均分子量は30,000〜500,0
00の範囲にあることが好ましく、さらに、50,00
0〜300,000の範囲であることがより好ましい。
同時に、ポリエステル樹脂(A)は、その構造が分岐状
であることが好ましく、かかる構造は前記したポリエス
テル樹脂(A)を調製する際に用いられる原料成分の中
で3官能以上の原料成分を併用することにより容易に調
製することができる。
【0038】次に、本発明の製造方法に使用する必須の
成分である着色剤(B)について説明する。着色剤とし
て使用できる代表的なものを挙げると、黒色トナ−の場
合サ−マルブラック法、アセチレンブラック法、チャン
ネルブラック法、ファ−ネスブラック法、ランプブラッ
ク法等により製造される各種のカ−ボンブラックが挙げ
られる。カラ−トナ−の場合、フタロシアニンブル−、
アニリンブル−、カルコオイルブル−、ウルトラマリン
ブル−、メチレンブル−クロライド、マラカイトグリ−
ンオクサレ−ト、クロムイエロ−、キノリンイエロ−、
デュポンオイルレッド、ロ−ズベンガル等の顔料や、ニ
グロシン系またはロ−ダミン系染料などがあり、これら
は、それぞれ単独で使用できるし、2種以上を併用して
もよい。
【0039】本発明の製造方法で得られる電子写真用球
形トナ−には、必要に応じて他の成分を配合することが
できる。かかる他の成分としては、帯電制御剤、ワック
ス、流動調整剤等がある。
【0040】帯電制御剤としては低分子化合物から高分
子化合物まで種々の物質が使用できるが、代表的なもの
を挙げると、ニグロシン染料、4級アンモニウム化合
物、アミノ基を有するモノマ−を単独重合あるいは共重
合してなる高分子化合物、有機金属錯体、キレ−ト化合
物等がある。
【0041】ワックスは複写機あるいはプリンタ−等の
定着ロ−ルにトナ−がオフセットすることを防止し、か
つ低温定着が可能となるよう添加されるが、その代表的
なものを挙げると、天然ワックス、各種のポリオレフィ
ン類等がある。
【0042】流動調整剤はトナ−の流動性を向上させる
ために添加されるが、例えば、フッ化ビニリデン微粉
末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、湿式法若しく
は乾式法のシリカ微粉末等を使用することができる。
【0043】次に、本発明の製造方法について説明す
る。本発明の製造方法にかかる電子写真用球形トナ−
(以下「本発明の球形トナ−」という。)は、例えば、
以下の製造方法によって製造される。
【0044】すなわち、(1)まず、ビスフェノ−ル類
およびビスフェノ−ル類のアルキレンオキサイド付加物
を使用しないで得られたポリエステル樹脂(A)、好ま
しくはカルボキシル基等の親水性基を有するポリエステ
ル樹脂と、着色剤(B)と、その他必要に応じて添加
剤、例えば帯電制御剤、離型剤などを、加圧ニーダー、
加熱3本ロール、2軸押し出し混練機などを用いて溶融
混練して、着色樹脂溶融体(I)を製造し、(2)次
に、この着色樹脂溶融体(I)を、該着色樹脂溶融体
(I)の溶融状態を維持できる温度に加熱した水性媒体
(II)中に、なかでもポリエステル樹脂(A)が親水性
基を有する場合は、その親水性基を中和する物質を含む
水性媒体中に、溶融状態を維持しながら、必要に応じて
加圧下に、機械的手段により微分散させ、(3)その
後、好ましくは直ちに急速冷却することにより着色樹脂
球形微粒子の水分散液を製造し、(4)該水分散液から
該着色樹脂球形微粒子を分離し、(5)分離された着色
樹脂微粒子を乾燥し、その後必要に応じて疎水性シリカ
などの外添剤を添加してトナーとする製造方法である。
【0045】ここで用いる水性媒体(II)としては、特
に限定されず、有機溶剤、分散剤、中和剤、その他添加
剤等を含有していてもよいが、乾燥工程での除去が難し
いことから、有機溶剤は含有しないものが好ましく、通
常は分散剤や中和剤を含む水を用いる。
【0046】前記ポリエステル系樹脂(A)が親水性基
としてカルボキシル基を有する場合の中和剤としては、
例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ
チウムなどのアルカリ化合物、それらの炭酸塩、それら
の酢酸塩;アンモニア水;メチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類;ジエタ
ノールアミンなどのアルカノールアミン類などを使用す
ることができる。これらの中でも、上記の乾燥工程で大
部分が除去され、トナーとしての特性に影響を与えない
点で、アンモニア水として用いるのが好ましい。
【0047】本発明の製造方法における上記機械的手段
として用いることのできる装置としては、特に制限はな
いが、代表的な市販品を例示すると、マントンゴーリン
高圧ホモジナイザ−(ゴ−リン社)、連続式超音波ホモ
ジナイザ−(日本精機株式会社)、ナノマイザ−(ナノ
マイザ−社)、マイクロフルイダイザ−(みずほ工業株
式会社)、ハレル型ホモジナイザ−、スラッシャ(三井
鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユ−ロテッ
ク)などがあり、なかでも回転型連続分散装置であるキ
ャビトロンが好ましい。
【0048】上記回転型連続分散装置キャビトロンは、
スリットを有するリング状の突起を備えた固定子と、ス
リットを有するリング状の突起を備えた回転子とが、間
隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた構
造を有する回転型連続分散装置であり、これを用いた分
散方法は、固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶融
体(I)と加熱した水性媒体(II)とを供給し、回転子
を回転させながら該スリットと該間隔とを通して中心部
分から外周の方向に着色樹脂溶融体(I)と加熱した水
性媒体(II)とを流動させることにより、水性媒体(I
I)中に着色樹脂溶融体(I)を微粒子状で分散せしめ
る分散装置である。
【0049】以下、図面により上記のような回転型連続
式分散装置を用いた本発明の製造方法について詳しく説
明する。
【0050】図1は本発明の製造方法に用いられる回転
型連続式分散装置の固定子の一例を示す斜視図、図2は
本発明の製造方法に用いられる回転型連続式分散装置の
回転子の一例を示す斜視図、図3は本発明に用いる回転
型連続式分散装置の要部の一例を表した断面図、図4は
図3のA−A’断面を側面から見たときの固定子突起と
回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【0051】図1〜図4に示すように、回転型連続分散
装置の固定子1は、中心に設置され、その中心に液入口
2を備えている。固定子1の円形状の面上には、固定子
と同心円でリング状に並べられた突起3が1段又は2段
以上の多段状に備えられており、従って、突起同士の間
隙には、円周溝4が形成されている。そして、突起同士
の間には複数のスリット5が形成されている。
【0052】この分散装置内の固定子1に対向する内壁
の中心には駆動軸6が設置され、駆動装置に接続されて
回転される。回転子7は、固定子1と平行で、かつ中心
が揃うように駆動軸の先端に固定されている。固定子1
に対向する回転子7の面上には、回転子と同心円でリン
グ上に並べられた突起8が一段または2段以上の多段状
に備わっている。従って、突起同士の間隙には、固定子
と同様に、環状の溝9が形成されている。そして、突起
同士の間には複数のスリット10が形成されている。
【0053】この固定子1と回転子7とは、固定子1の
突起3と回転子7の突起8が僅かな間隙を保つように、
咬み合わされた状態で使用に供される。
【0054】この分散装置の液入口部2に、着色樹脂溶
融体(I)と加熱された水性媒体(II)が供給され、そ
れらからなる混合物は回転子7が回転すると、最も内側
に位置する回転子7の突起8のスリット10に入り、遠
心力により該回転子7の突起8の外側から環状の溝9に
吐出され、次いで最も内側に位置する固定子1の突起3
のスリット5に入る。さらに、このスリット5に流入し
た混合物は、固定子1の環状の溝4に押し出される。こ
のようにして当該混合物は、回転子7の回転により遠心
力を受け、スリット内を液入口から吐出口へと流動す
る。一方回転子7と固定子1のスリットのずれにより混
合物の遠心流れの封じ込めと開放を繰り返して差圧が発
生する。さらに回転子7と固定子1の微少隙間で混合液
に対し剪断力が働く。この中心から外周方向への流れと
円周方向流れが直角に衝突し、それによって、強力な撹
拌・破砕効果が発生し、これにより着色樹脂溶融体
(I)が、加熱された水性媒体(II)中に微粒子状に分
散した分散液が得られる。
【0055】この分散装置の回転子7の回転数は駆動軸
に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大き
く周速が大きいほど大きい遠心力と剪断力を受けて、水
性媒体中に分散した着色樹脂混合物の溶融体の粒子径が
小さくなる。直径10cmの回転子を使用して平均粒子
径が10μm以下の電子写真用球形トナーを製造する場
合、好ましい回転数は3,000〜10,000rpm
である。
【0056】このような回転型連続分散装置を使用する
場合、着色樹脂溶融体(I)の良好な流動性を維持する
ために、当該分散装置には保温のためのジャケットを設
置することが好ましい。そして、分散装置内の温度は、
着色樹脂溶融体(I)の温度、供給する水性媒体(II)
の温度、および、ジャケットによる保温効果と装置内で
の剪断により発生する熱量のバランスを取ることによ
り、一定温度に制御される。
【0057】かかる分散装置内の圧力は、水性媒体(I
I)の装置内における蒸気圧と高速回転する回転子によ
る吐出圧で決まる。また、着色樹脂溶融体(I)の水分
散液を冷却して得られる分散液の取り出しは、取り出し
口に自動圧力制御弁を設けて、内部圧を一定に保ちつ
つ、分散液を大気圧下に連続的に取り出すのが好まし
い。
【0058】次に、本発明の球形トナ−について説明す
る。本発明の球形トナ−は、ビスフェノ−ル類およびビ
スフェノ−ル類のアルキレンオキサイド付加物を使用せ
ずに得られたポリエステル樹脂(A)と、着色剤(B)
とを必須の成分としてなることを特徴とする。ポリエス
テル樹脂(A)、および着色剤(B)の内容は前述した
とおりである。
【0059】さらに、本発明の球形トナ−は、その形状
が球形であることに特徴を有する。すなわち、球形であ
ることにより、粉砕法と比較しキャリヤ汚染を起こしに
くく、かつ極めて耐久性・流動性に優れるため画像の品
質が著しく向上する。本発明にいう「球形」は、真球状
はもちろん、楕円状、繭状等を含む広い概念であるが形
状中に鋭利な尖点部分を含まないものをいう。
【0060】また、本発明の球形トナ−の粒子径は、体
積平均粒子径で通常2〜20μmであるが、画像の解像
力の点で3〜13μmが好ましく、より好ましくは3〜
8μmである。
【0061】本発明にいう平均粒子径とは、粒度分布測
定機であるコ−ルタ−マルチサイザ−2(ベックマン・
コ−ルタ−社製)で測定した50%体積平均粒子径の値
をいう。
【0062】本発明におけるトナ−の粒度分布とは、コ
−ルタ−マルチサイザ−2を用いた体積粒子径の分布測
定において、16%径と84%径の比の平方根で表され
る値「√(D16/D84)」をいうが、ここで16%
径とは体積粒子径の大きい側から粒子の重量を積算した
ときの重量が全重量の16%となる位置にある粒子の体
積粒子径をいい、同様に84%径とは粒子の重量を積算
したときの重量が全重量の84%となる位置にある粒子
の体積粒子径をいう。
【0063】この数値が大きいほど粒度分布の広がりが
大きく、小さいほど粒度分布の広がりは小さいことを示
す。この数値が1.36以下であることは、トナーとし
て実用上問題のないレベルにまで分級されたことを表
す。本発明に係る電子写真用球形トナーは、上記の粒度
分布の数値から分布がシャープであり、通常分級工程を
必要としないものである。
【0064】
【実施例】次に、実施例を示して本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明の技術的な範囲は以下の実施例に
限定されるものではない。尚、例中「部」とあるのは、
特にことわりがない限り重量部をあらわすものとする。
【0065】実施例1 [ポリエステル樹脂(A)の合成]攪拌装置、窒素導入
管、温度センサ−、精留塔を備えた内容量5リットルの
フラスコにエチレングリコ−ル656部、ネオペンチル
グリコ−ル1073部、トリメチロ−ルプロパン210
部を仕込み、1時間を要して温度を120℃まで上げ、
反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジ
ブチル錫オキサイド2.0部を投入した。次いで、テレ
フタル酸2,373部とイソフタル酸1,017部を仕
込み、生成する水を留去しながら同温度から240℃ま
で10時間を要して温度を上げた。同温度でさらに3時
間脱水縮合反応を継続し、酸価が13.0mgKOH/
g、環球法による軟化点が116℃になるまで反応させ
た。次いで、温度を210℃まで下げ、カ−ジュラE1
0(シェルケミカル社製分岐脂肪酸のモノグリシジルエ
ステル)265部を徐々に投入し、同温度で1時間反応
を継続し、酸価が5.2mgKOH/gで、GPC法に
よる重量平均分子量が66,000のポリエステル樹脂
を得た。これをポリエステル樹脂(A−1)と略記す
る。
【0066】なお、GPC法による重量平均分子量の測
定は、昭和電工(株)製Shodex GPC SYST
EM−21を使用して行なった(以下、同様)。
【0067】[トナーの調製]上記ポリエステル樹脂
(A−1)90部とカーボンブラック(キャボット社製
ELFTEX8)10部とを2軸連続混練機を用いて溶
融混練して、180℃に加熱された着色樹脂溶融体(I
−1)とし、これをキャビトロンCD1010(株式会
社ユーロテック製回転型連続式分散装置)に毎分100
gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには
試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重
量%濃度の希アンモニア水〔水性媒体(II−1)〕を入
れ、熱交換器で125℃に加熱しながら毎分0.1リッ
トルの速度で、上記着色樹脂溶融体(I−1)と同時
に、上記キャビトロンに移送した。
【0068】回転子の回転速度が7500rpm、圧力
が5Kg/cm2 の運転条件下、上記キャビトロンで製
造した温度135℃の分散液を10秒間で温度35℃ま
で冷却して出口から取り出した。この分散液中のトナー
粒子は球形であり、分散液の濃度は固形分が50%であ
った。コールターマルチサイザー2による測定により、
トナー粒子の平均粒子径は7.2μmであり、その粒度
分布は1.34であった。このトナー原体粒子は、トナ
ーとして実用的に使用するための粒度調整を必要としな
いものであった。トナー原体粒子を濾別した後に水洗を
行い、乾燥して粉体のトナー原体を得た。このトナー原
体粒子100部に対し、0.2部の疎水性シリカ(日本
アエロジル社製R−972)をドライブレンドして、平
均粒径7.3μmの球形の黒色トナーを得た。この黒色
トナ−を「トナ−1」と略記する。
【0069】[トナーの評価]得られたトナ−1を使用
し、トナ−濃度が10重量%となるように酸化鉄粉(平
均粒子径100μm)と混合し、電子写真用現像剤を得
た。この現像剤を用いて、定着/オフセット、定着強度
および画像品質の評価を行った。具体的には、実際の複
写機の定着ロ−ルを用いて定着下限温度(「Tl」と略
記する。)、非オフセット上限温度(「Tu」と略記す
る。)、定着強度および画像品質の評価を行った。その
結果を第1表に示す。
【0070】定着/オフセットの評価方法の詳細は、以
下〜のとおりである。すなわち、調製した電子写
真用現像剤を用い、紙が定着機構に移行する直前に当該
紙を取り出せるように改造した電子写真複写機「U−B
ix5000」(小西六写真工業社製)によりA4サイ
ズの普通紙に未定着の黒ベタの帯状画像(幅2cm長さ
10cm)を、定着/オフセット試験を実施する各温度
(80〜250℃で10℃ごと18水準)に対応した枚
数分と、境界領域の評価を5℃きざみで行うときに使用
する枚数分とを作成し、次いで、直径が50mmで表
層がテフロン製の熱ロ−ラ−と、表層がシリコ−ンゴム
製の定着ロ−ラ−からなり、かつ熱ロ−ラ−の温度を8
0〜250℃の範囲で任意に設定できるようにした定着
機を使用し、線速度450mm/秒、線圧0.8Kg/
cm、ニップ幅8mm、温度80〜250℃〔10℃間
隔、ただし、定着下限温度(Tl)および非オフセット
上限温度(Tu)付近の境界領域では5℃間隔〕の条件
下で当該黒ベタの帯状画像を普通紙に熱定着させた後、
得られた帯状の定着画像を脱脂綿でこすってもトナ−
が脱脂綿に付着しなくなるを定着下限温度(Tl)と
し、また、かかる普通紙の定着画像以外の白色部分に定
着ロ−ルからオフセットしたトナ−が再度付着すること
による画像の汚染が認められなくなる温度を非オフセッ
ト上限温度(Tu)として、評価した。
【0071】定着強度は、それぞれ120℃および16
0℃で黒ベタ画像を定着させた複写物にテ−プを付着さ
せ、剥離したときのテ−プに付着したトナ−の量を10
段階で目視評価した。数字の大きいもの程、付着トナ−
が少なく、低温定着性が良好であることを表す。
【0072】画像品質は、電子写真学会テストチャ−ト
No.1−T(1975)標準反射画像とし、改造しな
い電子写真複写機「U−Bix5000」(小西六写真
工業社製)により通常の使用条件で複写した初期画像お
よび1万枚連続複写後(ランニング後)の画像の画像荒
れ、鮮明性等を目視で比較評価した。
【0073】実施例2 [ポリエステル樹脂(A)の合成]攪拌装置、窒素導入
管、温度センサ−、精留塔を備えた内容量5リットルの
フラスコにエチレングリコ−ル636部、ネオペンチル
グリコ−ル1,038部、ジペンタエリスリト−ル60
部を仕込み、温度を140℃まで上げて撹拌を行いなが
らテレフタル酸3,004部を仕込み、さらに1時間を
要して温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌
されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド3
部を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度
から240℃まで6時間を要して温度を上げ、240℃
でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が6.2m
gKOH/g、環球法による軟化点が112℃になった
ときにカ−ジュラE10の40部を投入し、同温度でさ
らに30分間反応を続け、最終的に酸価が4.1mgK
OH/gで、GPC法による重量平均分子量が120,
000のポリエステル樹脂を得た。これをポリエステル
樹脂(A−2)と略記する。
【0074】[トナーの調製]ポリエステル樹脂(A−
1)90部の代わりに、上記ポリエステル樹脂(A−
2)90部を使用した以外は実施例1と同様にして、ト
ナー粒子の平均粒子径が6.8μmで、粒度分布が1.
33である黒色球形トナ−粒子原体を得た。さらに、こ
の黒色球形トナ−粒子原体を使用した以外は実施例1と
同様にして、平均粒子径が6.9μmの黒色球形トナ−
を得た。これを「トナ−2」と略記する。
【0075】[トナーの評価]得られたトナ−2を使用
した以外は実施例1と同様にして電子写真用現像剤を
得、次いで同様にして定着/オフセット、定着強度およ
び画像品質の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明に係る電子写真用球形トナ−は、
ビスフェノール類およびビスフェノール類のアルキレン
オキサイド付加物を原料成分に含まないため、環境衛生
の観点からも好ましく、しかも、実用性の高い優れた性
能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる回転型連続式分散装置の固定
子の一例を示す斜視図である。
【図2】 本発明に用いる回転型連続式分散装置の回転
子の一例を示す斜視図である。
【図3】 本発明に用いる回転型連続式分散装置の要部
の一例を表した断面図である。
【図4】 図3のA−A′部を側面から見たときの固定
子突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図であ
る。
【符号の説明】
1 固定子 2 液入口 3 固定子の突起 4 固定子の円周溝 5 固定子突起のスリット 6 回転子の駆動軸 7 回転子 8 回転子の突起 9 回転子の円周溝 10 回転子突起のスリット 11 回転型連続式分散装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスフェノール類およびそのアルキレン
    オキサイド付加物を使用せずに得られたポリエステル樹
    脂(A)と、着色剤(B)とを必須の成分とする着色樹
    脂溶融体(I)を、該ポリエステル樹脂(A)の溶融状
    態を維持しつつ水性媒体(II)中に分散した後、得られ
    た着色樹脂微粒子を分離することを特徴とする、電子写
    真用球形トナ−の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)が、親水性基お
    よび疎水性基を併せ有するポリエステル樹脂である、請
    求項1記載の電子写真用球形トナ−の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカ
    ルボキシル基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜2
    0のアルキル基またはアルケニル基である、請求項2記
    載の電子写真用球形トナ−の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコ
    ール成分として水酸基当量が30〜60g/当量の脂肪
    族ジオールを用いて得られたポリエステル樹脂である、
    請求項1、2または3記載の電子写真用球形トナ−の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂(A)が、GPC(ゲ
    ルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−)法による重量
    平均分子量が30,000〜500,000の範囲にあ
    る分岐状ポリエステル樹脂である、請求項1〜4のいず
    れか1項記載の電子写真用球形トナ−の製造方法。
  6. 【請求項6】 スリットを有するリング状の突起を備え
    た固定子と、スリットを有するリング状の突起を備えた
    回転子とが、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上
    に設けられた構造を有する回転型連続分散装置を用い、
    この分散機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶
    融体(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回
    転させながら該スリットと該間隔とを通して中心部分か
    ら外周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)
    中に着色樹脂溶融体(I)を分散させる、請求項1〜5
    のいずれか1項記載の電子写真用球形トナーの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 ビスフェノール類およびそのアルキレン
    オキサイド付加物を使用せずに得られたポリエステル樹
    脂(A)と、着色剤(B)とを必須の成分とすることを
    特徴とする、電子写真用球形トナ−。
  8. 【請求項8】 ポリエステル樹脂(A)が、親水性基お
    よび疎水性基を併せ有するポリエステル樹脂である、請
    求項7記載の電子写真用球形トナ−。
  9. 【請求項9】 ポリエステル樹脂(A)の親水性基がカ
    ルボキシル基であり、かつその疎水性基が炭素数4〜2
    0のアルキル基またはアルケニル基である、請求項8記
    載の電子写真用球形トナ−。
  10. 【請求項10】 ポリエステル樹脂(A)が、多価アル
    コール成分として水酸基当量が30〜60g/当量の脂
    肪族ジオールを用いて得られたポリエステル樹脂であ
    る、請求項7、8または9記載の電子写真用球形トナ
    −。
  11. 【請求項11】 ポリエステル樹脂(A)が、GPC法
    による重量平均分子量が30,000〜500,000
    の範囲にある分岐状ポリエステル樹脂である、請求項7
    〜10のいずれか1項記載の電子写真用球形トナ−。
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