JP2002072562A - 電子写真用球形トナー及びその製造方法 - Google Patents

電子写真用球形トナー及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002072562A
JP2002072562A JP2000262489A JP2000262489A JP2002072562A JP 2002072562 A JP2002072562 A JP 2002072562A JP 2000262489 A JP2000262489 A JP 2000262489A JP 2000262489 A JP2000262489 A JP 2000262489A JP 2002072562 A JP2002072562 A JP 2002072562A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
resin
spherical toner
toner
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000262489A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Kanematsu
孝之 兼松
Ichiro Muramatsu
一郎 村松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP2000262489A priority Critical patent/JP2002072562A/ja
Publication of JP2002072562A publication Critical patent/JP2002072562A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナー用として粒度分布が広すぎることが
なく、低温定着性に優れ、かつ、耐オフセット性におい
て実用上なんら問題を発生しないポリエステル樹脂系の
球形トナーとその製造方法を提供すること。 【解決手段】 分子内にカーボネート結合を有するポリ
エステル系樹脂(A)と、着色剤(X)とを必須成分と
して含有してなる電子写真用球形トナー、及び、ポリエ
ステル系樹脂(A)と、着色剤(X)とを必須の成分と
する着色樹脂溶融体(I)を、該着色樹脂溶融体(I)
の溶融状態を維持しながら水性媒体(II)中に分散し、
次いで冷却し、乾燥する電子写真用球形トナーの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用球形トナ
ー及びその製造方法に関する。特に電子写真法、静電記
録、静電印刷等の技術分野において用いられるポリエス
テルをその結着樹脂として含有する球形トナーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来ポリエステル樹脂を主成分とするト
ナーは、ポリエステル樹脂固体を顔料等と熱溶融混練し
た後、粉砕して製造するいわゆる粉砕法によって製造さ
れてきた。
【0003】近年の電子写真技術の動向として、解像
度、階調性など画質向上の要請からトナーの粒子径は益
々小粒径化の傾向にある。
【0004】しかしながら、この従来の粉砕法では第1
の問題として、得られるトナーの形状が不定形にならざ
るを得ず、特に体積平均粒子径が7μm以下の、いわゆ
る小粒径トナーの場合には粉体としての流動性が極端に
悪化することが挙げられる。
【0005】また、第2の問題点としては、その形状が
不定形であるため、現像ボックス内での撹拌による剪断
力により、トナー粒子の一部が砕け、発生した微粉がキ
ャリアーの表面を汚染し、トナーの帯電に悪影響を及ぼ
すということが挙げられる。
【0006】これらの問題点を解消する手段として、転
相乳化法による小粒径球形トナーの製造方法(特開平8
−211655号公報)が提案されているが、この技術
は揮発性の有機溶剤を使用するため環境衛生上好ましく
なく、また転相乳化後に溶剤を除去回収する工程や、転
相の際に生じる乳化ロスの回収処理をする工程が必要で
あって、プロセス全体が複雑なものとなる等の難点があ
った。
【0007】一方、近年、複写機またはプリンターの機
能として低エネルギー化、低ロール圧力化等が望まれて
おり、使用される電子写真用トナーには、定着温度が低
く、かつ耐オフセット性に優れることが要求されてい
る。
【0008】上記の要求に対しては、次のように結着樹
脂の分子量や分子量分布を改良した技術等の提案、例え
ば、結着樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようと
する試みがなされているが、低分子量化することにより
融点が低下し、定着ロールへのオフセット現象が発生す
る問題が生じていた。
【0009】また、有機溶剤を用いずに、ポリエステル
系樹脂と着色剤とからなる着色樹脂溶融体を、該着色樹
脂溶融体の溶融状態を維持しつつ水性媒体中に分散さ
せ、次いで冷却し、乾燥する、小粒径球形トナーの製造
方法(連続式乳化分散法)が特開平9−311502号
公報に開示されているが、かかる製造方法によっても得
られる水分散液の濃度は低く、かつその微粒子の粒度分
布もトナー用として実用に供する為には、さらに分級が
必要である程広いものであり、流動性に劣る等の問題点
も有するのが現状である。
【0010】さらに、上記連続式乳化分散法において
は、原料混合物が分散工程を経る際もしくは連続乳化分
散機を通過する際に、樹脂のエステル結合に起因する加
水分解やエステル交換反応により樹脂粘度等の性状が変
化し、トナーの定着性能を大きく低下させてしまうこと
を防ぐため、分散をおこなう温度や圧力の条件が限定さ
れており、様々な定着特性を有するトナーを得ることが
困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の従来の技術が有する課題を解決し、連続乳化分散機を
通過させても樹脂の加水分解等の性状変化が少なく、ト
ナー用として粒度分布が広すぎることがなく、低温定着
性に優れ、かつ、耐オフセット性において実用上なんら
問題を発生しないポリエステル樹脂系の球形トナーとそ
の製造方法を提供することにある。
【0012】本発明は、連続式乳化分散法を適用しなが
ら、その定着性能と粒度分布に関する課題を解決したも
のであり、具体的には、本発明は、連続式乳化分散法に
おける球形微粒子を製造する元となる、高粘性樹脂成分
の結合を改良することで、温度や圧力についての造粒条
件を緩和させることのできるものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、分子内にカーボ
ネート結合を有するポリエステル系樹脂(A)を結着樹
脂とする電子写真用球形トナーが、低温定着性と耐オフ
セット性に優れること、このポリエステル樹脂(A)を
着色剤(X)と共に用いた着色樹脂溶融体(I)を、溶
融状態を維持しながら水性媒体(II)中に分散し、冷却
後、乾燥する電子写真用球形トナーの製造方法は、温度
や圧力の条件を特開平9−311502号公報の連続式
乳化分散法のように限定しなくても、樹脂の性状変化が
少なく、トナー用として粒度分布が広すぎることがな
く、広い温度、圧力の条件下で容易に低温定着性と耐オ
フセット性に優れるポリエステル樹脂系の球形トナーを
製造できること、なかでも、ポリエステル系樹脂(A)
として軟化点が120℃以上のポリエステル系樹脂を、
軟化点が該ポリエステル系樹脂(A)より低いポリエス
テル系樹脂(B)と組み合わせて結着樹脂とする電子写
真用球形トナーが、より低温定着性と耐オフセット性に
優れ、特に好ましいこと、これらポリエステル系樹脂
(A)及び(B)を着色剤(X)と共に用いると、より
広い温度、圧力の条件下で容易に低温定着性と耐オフセ
ット性に優れるポリエステル樹脂系の球形トナーを製造
でき、好ましいこと、等を見い出し、本発明を完成する
に到った。
【0014】すなわち、本発明は 1.分子内にカーボネート結合を有するポリエステル系
樹脂(A)と、着色剤(X)とを必須成分として含有し
てなることを特徴とする、電子写真用球形トナー、 2.ポリエステル系樹脂(A)が環球法による軟化点が
120℃以上のポリエステル系樹脂であり、かつ、環球
法による軟化点が該ポリエステル系樹脂(A)より低い
ポリエステル系樹脂(B)を必須成分として含有する、
上記1記載の電子写真用球形トナー、 3.ポリエステル系樹脂(A)が、エステル結合の数
(AE)とカーボネート結合の数(AC)の比(AE)
/(AC)が90/10〜40/60の樹脂である、上
記1または2記載の電子写真用球形トナー、 4.ポリエステル系樹脂(A)が、環球法による軟化点
が120〜170℃で、エステル結合の数(AE)とカ
ーボネート結合の数(AC)の比(AE)/(AC)が
90/10〜40/60の樹脂であり、ポリエステル系
樹脂(B)が、環球法による軟化点が80〜130℃
で、該ポリエステル系樹脂(A)より10℃以上低い樹
脂である、上記2記載の電子写真用球形トナー、 5.ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂
(B)の重量比(A)/(B)が、40/60〜85/
15である、上記2または4記載の電子写真用球形トナ
ー、
【0015】6.分子内にカーボネート結合を有するポ
リエステル系樹脂(A)と、着色剤(X)とを必須の成
分とする着色樹脂溶融体(I)を、該着色樹脂溶融体
(I)の溶融状態を維持しながら水性媒体(II)中に分
散し、次いで冷却し、乾燥することを特徴とする、電子
写真用球形トナーの製造方法、 7.ポリエステル系樹脂(A)が環球法による軟化点が
120℃以上のポリエステル系樹脂であり、かつ、着色
樹脂溶融体(I)がポリエステル系樹脂(A)と着色剤
(X)と共に、環球法による軟化点が該ポリエステル系
樹脂(A)より低いポリエステル系樹脂(B)を必須成
分として含有するものである、上記6記載の電子写真用
球形トナーの製造方法、 8.ポリエステル系樹脂(A)が、エステル結合の数
(AE)とカーボネート結合の数(AC)の比(AE)
/(AC)が90/10〜40/60の樹脂である、上
記6または7記載の電子写真用球形トナーの製造方法、 9.ポリエステル系樹脂(A)が、環球法による軟化点
が120〜170℃で、エステル結合の数(AE)とカ
ーボネート結合の数(AC)の比(AE)/(AC)が
90/10〜40/60の樹脂であり、ポリエステル系
樹脂(B)が、環球法による軟化点が80〜130℃
で、該ポリエステル系樹脂(A)より10℃以上低い樹
脂である、上記7記載の電子写真用球形トナーの製造方
法、 10.ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂
(B)の重量比(A)/(B)が、40/60〜85/
15である、上記7または9記載の電子写真用球形トナ
ーの製造方法、及び、 11.スリットを有するリング上の突起を備えた固定子
と、スリットを有するリング上の突起を備えた回転子と
が、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けら
れた構造を有する回転型連続分散装置を用い、この分散
機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶融体
(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回転さ
せながら該スリットと該間隙とを通して中心部分から外
周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)中に
着色樹脂溶融体(I)を分散させる、上記6〜10のい
ずれか1つに記載の電子写真用球形トナーの製造方法、
を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリエステル系樹
脂(A)及び(B)について説明する。本発明で用いる
ポリエステル系樹脂(A)は、分子内にカーボネート結
合を、好ましくは主鎖内に含有するポリエステル樹脂で
あり、なかでも環球法による軟化点が120℃以上のも
のが好ましく、軟化点が120〜170℃のものが特に
好ましい。また、ポリエステル系樹脂(B)は、環球法
による軟化点が該樹脂(A)より低いポリエステル系樹
脂であり、なかでも環球法による軟化点が80〜130
℃で、該ポリエステル系樹脂(A)より10℃以上低い
ものが好ましい。
【0017】本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)
及び(B)は、極性基、すなわちカルボキシル基、水酸
基、リン酸基、スルホン酸基等のアニオン形成性の基
や、アルキルアミノ基、ピリジン基のようなカチオン形
成性の基を有するものが好ましく、球形粒子化が容易な
点から、かかる極性基はカルボキシル基や、水酸基であ
ることが特に好ましい。
【0018】本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)
及び(B)に使用される原料としては、樹脂を構成する
原料であれば特に制限なく使用することができる。使用
される原料で代表的なものは、ジカルボン酸及び/また
はその無水物(1)と、2価及びそれ以上の多価アルコ
ール(2)等が挙げられる。
【0019】上記ジカルボン酸及び/またはその無水物
(1)としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン
酸、フマ−ル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、修酸、
マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、n−ドデセニルコ
ハク酸及びその無水物、イソドデセニルコハク酸及びそ
の無水物、n−ドデシルコハク酸及びその無水物、イソ
ドデシルコハク酸及びその無水物、n−オクチルコハク
酸及びその無水物、n−オクチニルコハク酸及びその無
水物、n−ブチルコハク酸及びその無水物、アジピン
酸、アゼライン酸、セバチン酸、デカン−1,10−ジ
カルボン酸等の脂肪族二塩基酸類及びその無水物類;
【0020】フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフ
タル酸及びその無水物、ヘキサヒドロフタル酸及びその
無水物、テトラブロムフタル酸及びその無水物、テトラ
クロルフタル酸及びその無水物、ヘット酸及びその無水
物、ハイミック酸及びその無水物、イソフタル酸、テレ
フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸等の芳香族または脂環族の二塩基酸
類及びその無水物類;などが挙げられる。
【0021】さらに、3官能以上の原料成分の一つとし
て、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有するカル
ボン酸及びその反応性誘導体も使用することができる。
これらの代表的なものを挙げると、トリメリット酸、無
水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、ピロ
メリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
【0022】これらの多塩基酸類及びその酸無水物類
は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上のもの
を併用してもよい。
【0023】また、2価及びそれ以上の多価アルコール
(2)としては、例えば、2価のものとしてエチレング
リコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,4−ブ
タンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘ
キサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレン
グリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ネオペンチルグ
リコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類;ビスフェノ−ルA、ビ
スフェノ−ルF等のビスフェノ−ル類;ビスフェノ−ル
Aのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプ
ロピレンオキサイド付加物等のビスフェノ−ルAのアル
キレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコ−ル、シ
クロヘキサンジメタノ−ル、水添ビスフェノ−ルA等の
アラルキレングリコ−ルまたは脂環族のジオ−ル類など
が挙げられる。
【0024】3官能以上の多価アルコールとしては、例
えば、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ
−ルプロパン、ソルビト−ル、1,2,3,6−ヘキサ
ンテトロ−ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリト
−ル、ジペンタエリスリト−ル、2−メチルプロパント
リオ−ル、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が挙げ
られる。
【0025】これら上記したアルコールは、それぞれ単
独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよ
い。
【0026】本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)
及び(B)を調製するには各種の方法が使用できる。
【0027】例えば、上記した原料成分を窒素雰囲気中
で加熱下にエステル化反応させてポリエステル樹脂を調
製する方法が挙げられる。使用される装置としては、窒
素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反応容
器の如き回分式の製造装置が好適に使用できるほか、脱
気口を備えた押出機や連続式の反応装置、混練機等も使
用できる。また、必要に応じて反応系を適度に減圧する
ことによって、エステル化反応を促進することもでき
る。さらに、エステル化反応の促進のために、各種の触
媒を添加することもできる。
【0028】また、ポリエステル系樹脂(A)中にカー
ボネート結合を調製するための方法についても、特に限
定がなく、各種の方法が使用できる。例えば、上記した
2価及ぶそれ以上の多価アルコール(2)を減圧可能な
反応装置に封入し、ジフェニルカーボネート等を混合し
て、エステル交換法によりカーボネート結合を有する多
価アルコールを作成し、これに上記したジカルボン酸及
び/またはその無水物(1)と、更に必要により2価及
びそれ以上の多価アルコール(2)を加えて反応させる
方法等が挙げられる。使用される装置としては、窒素導
入口や脱気口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反
応容器の如き回分式の製造装置が好適に使用できるほ
か、脱気口を備えた押出機や連続式の反応装置、混練機
等も使用できる。
【0029】次に、ポリエステル系樹脂(A)の性状に
ついて説明する。本発明で用いるポリエステル系樹脂
(A)は、分子内にカーボネート結合を有するポリエス
テル系樹脂であり、通常、環球法の軟化点が120℃以
上で、重量平均分子量が30,000以上のものを使用
するが、なかでもトナーバインダー用としての適用を考
慮すると、環球法による軟化点が120〜170℃で、
重量平均分子量が50,000〜150,000のもの
が好ましい。
【0030】また、本発明で用いるポリエステル系樹脂
(A)は、トナーとしての耐熱保存性を考慮すると、示
差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が5
0〜80℃の範囲であるものが好ましく、なかでも55
〜75℃の範囲であるものが特に好ましい。
【0031】そして、ポリエステル系樹脂(A)に含ま
れるエステル結合の数(AE)とカーボネート結合の数
(AC)の比(AE)/(AC)は、90/10〜40
/60の範囲であることが好ましく、なかでも80/2
0〜50/50の範囲であることが特に好ましい。
【0032】次に、ポリエステル系樹脂(B)の性状に
ついて説明する。本発明で用いるポリエステル系樹脂
(B)は、上記ポリエステル系樹脂(A)として環球法
による軟化点が120℃以上のものを用いた場合に組み
合わせて用いることが好ましい樹脂で、かつ、該ポリエ
ステル系樹脂(A)より環球法による軟化点が低い樹脂
であり、通常、重量平均分子量が30,000未満のも
のを使用するが、なかでもトナーバインダー用としての
適用を考慮すると、環球法による軟化点が80〜130
℃で、該ポリエステル系樹脂(A)の環球法による軟化
点より10℃以上低く、かつ、重量平均分子量が5,0
00〜15,000のものが好ましく、さらにトナーと
しての定着特性を考慮すると、環球法による軟化点が8
0〜130℃で、該ポリエステル系樹脂(A)の環球法
による軟化点より10〜60℃低いものが特に好まし
い。
【0033】ポリエステル系樹脂(A)と(B)を併用
する場合の重量比(A)/(B)は、トナーとしての定
着特性を考慮すると、(A)/(B)=40/60〜8
5/15が好ましく、より好ましくは(A)/(B)=
50/50〜80/20である。
【0034】本発明に係る電子写真用球形トナ−は、上
記のポリエステル系樹脂(A)を、好ましくはポリエス
テル系樹脂(A)と(B)とを必須の成分として含有す
るものであり、必要に応じて、以下に例示するような他
の成分、例えば、着色剤、磁性材料、帯電制御剤、離型
剤、流動調整剤等を含有することができる。
【0035】着色剤としては、例えば、ハンザイエロー
10G、ハンザイエローG、ベンジジンイエローG、ベ
ンジジンイエローGR、パーマネントオレンジ、リソー
ルファーストオレンジ3GR、パーマネントオレンジG
TR、バルカンファストオレンジGG、パーマネントレ
ッド4R、ファイヤーレッド、p−クロル−oーニトロ
アニリンレッド、ブリリアントファストスカーレット、
ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、リソー
ルレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリア
ントスカーレットG、パーマネントレッドF5R、ブリ
リアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、
ローダミンレーキ(ファナルカラー)、アリザリンレー
キ、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2
R、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルー
ンライト、ボンマルーンメジアム、チオインジゴマルー
ン、ペリレンレッド、パーマネントレッドBL、キナク
リドン系顔料であるパーマネントピンクE(FH)、フ
タロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダ
ンスレンブルーRS、ピグメントグリーンB、ナフトー
ルグリーンB、グリーンゴールド、フタロシアニングリ
ーン、ナフトールイエローSレーキ、キノリンイエロー
レーキ、ペルシアンオレンジ、ピーコックブルーレー
キ、アシッドグリーンレーキ、パラレッド、ボルドー5
B、アルカリブルートーナーアニリンブラック、カーボ
ンブラック等の顔料が挙げられる。
【0036】磁性材料としては、例えば、四三酸化鉄、
γ酸化鉄、各種フェライト粉、鉄粉等が挙げられること
ができる。
【0037】帯電制御剤としては、帯電特性をコントロ
ールすることができるものであれば低分子量化合物ある
か高分子量化合物であるかを問わないが、代表的なもの
を挙げると、ニグロシン染料、4級アンモニウム化合
物、アミノ基化合物の単独重合体あるいは共重合体や、
有機金属錯体、キレ−ト化合物等がある。
【0038】離型剤としては、耐オフセット性を向上さ
せる公知の種々のワックスが挙げられ、例えば、ポリプ
ロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド
系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成エ
ステル系ワックス、各種天然ワックス等が挙げられる
が、これらの中でもカルナウバワックス、モンタン系エ
ステルワックス、ライスワックス、カイガラムシワック
スが特に好ましい。
【0039】流動調整剤は、トナ−の流動性を向上させ
るために添加されるが、フッ化ビニリデン微粉末、ポリ
テトラフルオロエチレン微粉末、湿式法若しくは乾式法
のシリカ微粉末等が挙げられる。
【0040】本発明の電子写真用トナーは、球形である
ことに特徴を有する。球形であることにより、粉砕法と
比較してキャリアー汚染を起こしにくく、極めて耐久性
が良好で、流動性が良いという効果が発揮される。球形
は、真球状、楕円状等を含むが、耐久性の向上の点から
真球状が好ましい。
【0041】また本発明の電子写真用トナーの粒子径
は、体積平均粒子径で通常2〜20μmであるが、画像
の解像力の点で3〜13μmが好ましく、より好ましく
は3〜8μmである。
【0042】本発明におけるトナーの平均粒子径とは、
粒度分布測定機であるコールターマルチサイザー2(ベ
ックマン・コールター社製)で測定した50%体積平均
粒子径の値をいう。
【0043】また、本発明に係る電子写真用球形トナー
の粒度分布は、コールターマルチサイザー2を用いた体
積粒子径の分布測定において、通常1.36以下であ
り、なかでも1.34以下であることが好ましく、より
好ましくは1.32以下である。
【0044】本発明におけるトナーの粒度分布とは、コ
ールターマルチサイザー2を用いた体積粒子径の分布測
定において、16%径と84%径の比の平方根で表され
る値「√(D16/D84)」をいうが、ここで16%
径とは体積粒子径の大きい側から粒子の重量を積算した
ときの重量が全重量の16%となる位置にある粒子の体
積粒子径であり、同様に84%径は粒子の重量を積算し
たときの重量が全重量の84%となる位置にある粒子の
体積粒子径をいう。この数値が大きいほど粒度分布の広
がりが大きく、小さいほど粒度分布の広がりは小さいこ
とを示す。この数値が1.36以下であることは、トナ
ーとして実用上問題のないレベルにまで分級されたこと
を表す。本発明に係る電子写真用球形トナーは、上記の
粒度分布の数値から分布がシャープであり、通常分級工
程を必要としないものである。
【0045】樹脂(A)、(B)に、上記の他の成分を
含めた電子写真用球形トナーの製造方法は、特に制限さ
れないが、例えば、以下の方法により好適に調製するこ
とができる。
【0046】(1)まず、ポリエステル系樹脂(A)と
着色剤(X)、好ましくはポリエステル系樹脂(A)と
(B)と着色剤(X)と、その他必要に応じて添加剤、
例えば帯電制御剤、離型剤などを粉砕法トナーの製造の
場合と同様にして、加圧ニーダー、加熱3本ロール、2
軸押し出し混練機などを用いて溶融混練し、着色樹脂溶
融体(I)を製造し、(2)次に、この着色樹脂溶融体
(I)を、該着色樹脂溶融体(I)の溶融状態を維持で
きる温度に加熱した、好ましくは有機溶剤を含まない水
性媒体(II)中に、溶融状態を維持しながら、必要に応
じて加圧下に、機械的手段により微分散させ、(3)そ
の後、好ましくは直ちに急速冷却することにより着色樹
脂球形微粒子の水分散液を製造し、(4)該水分散液か
ら該着色樹脂球形微粒子を分離し、(5)分離された着
色樹脂球形微粒子を乾燥し、必要ならば分級し、その後
疎水性シリカなどの外添剤を添加してトナーとする方法
である。
【0047】なお、着色樹脂溶融体(I)を加熱し、水
性媒体(II)と混合するに際して、着色樹脂溶融体
(I)の微分散を容易にするために、必要に応じて、分
散剤の水性媒体(II)中への添加、あるいは、該ポリエ
ステル系樹脂(A)、(B)がカルボキシル基等のよう
な極性基を有する場合は、その極性基を中和する物質の
水性媒体(II)への添加による中和を行うことができ
る。
【0048】ここで用いる水性媒体(II)としては、特
に限定されず、有機溶剤、分散剤、中和剤、その他添加
剤等を含有していてもよいが、乾燥工程での除去が難し
いことから、有機溶剤は含有しないものが好ましく、通
常は分散剤や中和剤を含む水を用いる。
【0049】前記ポリエステル系樹脂(A)及び/また
は(B)が極性基としてカルボキシル基を有する場合の
中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、それら
の炭酸塩、それらの酢酸塩;アンモニア水;メチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキル
アミン類;ジエタノールアミンなどのアルカノールアミ
ン類などを使用することができる。これらの中でも、上
記の乾燥工程で大部分が除去され、トナーとしての特性
に影響を与えない点で、アンモニア水として用いるのが
好ましい。
【0050】上記機械的手段により微分散させるための
装置としては、特に限定はないが、代表的な市販品を例
示すると、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リ
ン社)、連続式超音波ホモジナイザー(日本精機株式会
社)、ナノマイザー(ナノマイザー社)、マイクロフル
イダイザー(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナ
イザー、スラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロ
ン(株式会社ユーロテック)などが挙げられ、なかでも
回転型連続式分散装置であるキャビトロンが特に好まし
い。従って、当該装置を使用する連続分散方法が、本発
明において好ましい分散方法の一つである。
【0051】上記回転型連続式分散装置キャビトロン
は、スリットを有するリング状の突起を備えた固定子
と、スリットを有するリング状の突起を備えた回転子と
が、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けら
れた構造を有する回転型連続式分散装置であり、これを
用いた分散方法は、固定子と回転子の中心部分に、着色
樹脂溶融体(I)と加熱した水性媒体(II)とを供給
し、回転子を回転させることにより該スリットと該間隙
とを通して、着色樹脂溶融体(I)と水性媒体(II)と
を中心部分から外周の方向に流動させることにより、加
熱した水性媒体(II)中に着色樹脂溶融体(I)を微粒
子状で分散せしめる分散装置である。
【0052】以下、図面により、上記のような回転型連
続式分散装置を用いた本発明の電子写真用球形トナーの
製造方法の一例を詳しく説明する。
【0053】図1は本発明の製造方法に用いられる回転
型連続式分散装置の固定子の一例を示す斜視図、図2は
本発明の製造方法に用いられる回転型連続式分散装置の
回転子の一例を示す斜視図、図3は本発明に用いる回転
型連続式分散装置の要部の一例を表した断面図、図4は
図3のA−A’断面を側面から見たときの固定子突起と
回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【0054】図1〜図4に示すように、回転型連続分散
装置の固定子1は、中心に設置され、その中心に液入口
2を備えている。固定子1の円形状の面上には、固定子
と同心円でリング状に並べられた突起3が1段又は2段
以上の多段状に備えられており、従って、突起同士の間
隙には、円周溝4が形成されている。そして、突起同士
の間には複数のスリット5が形成されている。
【0055】この分散装置内の固定子1に対向する内壁
の中心には駆動軸6が設置され、駆動装置に接続されて
回転される。回転子7は、固定子1と平行で、かつ中心
が揃うように駆動軸の先端に固定されている。固定子1
に対向する回転子7の面上には、回転子と同心円でリン
グ上に並べられた突起8が一段または2段以上の多段状
に備わっている。従って、突起同士の間隙には、固定子
と同様に、環状の溝9が形成されている。そして、突起
同士の間には複数のスリット10が形成されている。
【0056】この固定子1と回転子7とは、固定子1の
突起3と回転子7の突起8が僅かな間隙を保つように、
咬み合わされた状態で使用に供される。
【0057】この分散装置の液入口部2に、着色樹脂溶
融体(I)と加熱された水性媒体(II)が供給され、そ
れらからなる混合物は回転子7が回転すると、最も内側
に位置する回転子7の突起8のスリット10に入り、遠
心力により該回転子7の突起8の外側から環状の溝9に
吐出され、次いで最も内側に位置する固定子1の突起3
のスリット5に入る。さらに、このスリット5に流入し
た混合物は、固定子1の環状の溝4に押し出される。
【0058】このようにして当該混合物は、回転子7の
回転により遠心力を受け、スリット内を液入口から吐出
口へと流動する。一方回転子7と固定子1のスリットの
ずれにより混合物の遠心流れの封じ込めと開放を繰り返
して差圧が発生する。さらに回転子7と固定子1の微少
隙間で混合液に対し剪断力が働く。この中心から外周方
向への流れと円周方向流れが直角に衝突し、それによっ
て、強力な撹拌・破砕効果が発生し、これにより着色樹
脂溶融体(I)が、加熱された水性媒体(II)中に微粒
子状に分散した分散液が得られる。
【0059】この分散装置の回転子7の回転数は駆動軸
に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大き
く周速が大きいほど大きい遠心力と剪断力を受けて、水
性媒体中に分散した着色樹脂混合物の溶融体の粒子径が
小さくなる。直径10cmの回転子を使用して平均粒子
径が10μm以下の電子写真用球形トナーを製造する場
合、好ましい回転数は3,000〜10,000rpm
である。
【0060】このような回転型連続分散装置を使用する
場合、着色樹脂溶融体(I)の良好な流動性を維持する
ために、当該分散装置には保温のためのジャケットを設
置することが好ましい。そして、分散装置内の温度は、
着色樹脂溶融体(I)の温度、供給する水性媒体(II)
の温度、および、ジャケットによる保温効果と装置内で
の剪断により発生する熱量のバランスを取ることによ
り、一定温度に制御される。
【0061】かかる分散装置内の圧力は、水性媒体(I
I)の装置内における蒸気圧と高速回転する回転子によ
る吐出圧で決まる。また、着色樹脂溶融体(I)の水分
散液を冷却して得られる分散液の取り出しは、取り出し
口に自動圧力制御弁を設けて、内部圧を一定に保ちつ
つ、分散液を大気圧下に連続的に取り出すのが好まし
い。
【0062】このようにして得られた本発明に係る電子
写真用球形トナーは、キャリアーを配合し、混合するこ
とにより現像剤を調製することができる。
【0063】また、本発明に係る電子写真用球形トナー
は、電子写真用トナー以外にも、水性もしくは油性イン
キに用いる着色樹脂微粒子、粉体塗料などの分野にも利
用できる。
【0064】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示すが、本発明は
これらの実施例によって制限されるものではない。また
例中の部、%はすべて重量基準によるものとする。
【0065】実施例1 攪拌機、温度制御装置、窒素ガス導入管を有する減圧系
反応装置に、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加
物65.1部、トリメチロールプロパン13.4部、ジ
フェニルカーボネート23部を入れ、20〜30mHg
に保ちながら240℃で攪拌した。そして3時間反応さ
せた後、樹脂中間体(M−1)を得た。その後、テレフ
タル酸41.5部及びジブチル錫オキシド0.1部を入
れ、窒素気流下常圧にて240℃で攪拌した。反応はJ
IS K−2207に準拠した軟化点試験法(環球法)
により追跡し、軟化点が131℃に達したとき反応を終
了して、カーボネート構造を有するポリエステル系樹脂
(A−1)を得た。得られたポリエステル系樹脂(A−
1)は、薄黄色の固体であり、酸価7.7mgKOH/
g、NMR解析による樹脂中に含まれるエステル結合の
数(AE)とカーボネート結合の数(AC)の比(A
E)/(AC)は74.2/25.8、DSC測定法に
よるガラス転移温度64℃、GPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー法)測定法によるポリスチレン
換算の重量平均分子量96,000であった。
【0066】また、上記と同様の反応装置にビスフェノ
ールAエチレンオキサイド付加物325.2部、テレフ
タル酸34.0部及びジブチル錫オキシド0.36部を
入れ、窒素気流下にて240℃で攪拌した。そして環球
法による軟化点が112℃に達したとき反応を終了し
て、ポリエステル系樹脂(B−1)を得た。得られたポ
リエステル系樹脂(B−1)は、薄黄色の固体であり、
酸価5.0mgKOH/g、DSC測定法によるガラス
転移温度64℃、環球法による軟化点112℃、GPC
測定法によるポリスチレン換算の重量平均分子量15,
000であった。
【0067】ポリエステル系樹脂(A−1)とポリエス
テル樹脂(B−1)を重量比(A−1)/(B−1)が
60/40となる割合で混合した混合物90部と、カー
ボンブラック(キャボット社製エルフテックス8)10
部とを2軸連続混練機を用いて着色樹脂混練物とし、こ
れを180℃に加熱して着色樹脂溶融体とし、キャビト
ロンCD1010に毎分100gの速度で移送した。
【0068】別途準備した水性媒体タンクには試薬アン
モニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度
の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱し
ながら毎分0.1リットルの速度で、上記着色樹脂溶融
体と同時にキャビトロンに移送し、同時にポリエステル
系樹脂(A−1)と(B−1)中のカルボキシル基の中
和を行った。
【0069】回転子の回転速度が7500rpm、圧力
が5Kg/cm2 の運転条件で分散液を製造し、得られ
た温度135℃の分散液を10秒間で温度35℃まで冷
却して出口から取り出した。この分散液中のトナー粒子
は球形であり、分散液の濃度は固形分が50%であっ
た。コールターマルチサイザー2による測定により、ト
ナー粒子の平均粒子径は5.8μmであり、その粒度分
布は1.32であった。このトナー原体粒子は、トナー
として実用的に使用するための粒度調整を必要としない
ものであった。トナー原体粒子のGPC測定法によるポ
リスチレン換算の重量平均分子量は75,000であっ
た。トナー原体粒子を濾別した後に水洗を行い、乾燥し
て粉体のトナー原体を得た。
【0070】比較例1 実施例1で用いた反応装置にテレフタル酸182.6
部、ネオペンチルグリコール52.1部、プロピレング
リコール38.0部、トリメチロールプロパン8.0部
及びジブチル錫オキシド0.3部を入れ、窒素気流下に
て240℃で攪拌した。反応は環球法による軟化点が1
35℃に達したとき反応を終了して、分岐状ポリエステ
ル系樹脂(A′−1)を得た。得られたポリエステル系
樹脂(A′−1)は、薄黄色の固体であり、酸価7.0
mgKOH/g、DSC測定法によるガラス転移温度6
2℃、GPC測定法によるポリスチレン換算の重量平均
分子量82,000であった。
【0071】次いで、このポリエステル系樹脂(A′−
1)をポリエステル系樹脂(A−1)の代わりに用いた
以外は実施例1と同様にしてキャビトロンに移送し、同
様の運転条件で分散液を製造、冷却して、出口から取り
出した。得られた分散液中のトナー粒子は球形であり、
分散液の濃度は固形分で16%であった。コールターマ
ルチサイザー2による測定により、トナー原体粒子の平
均粒子径は6.2μmであり、その粒度分布は1.39
であった。このトナー原体粒子は、トナーとして実用的
に使用するための粒度調整を必要とするものであった。
そこで、トナー原体粒子を濾別した後に水洗を行い、乾
燥、分級して粉体のトナー原体を得た。
【0072】得られたトナー粒子のGPC測定法による
ポリスチレン換算の重量平均分子量は15,000であ
り、微粒化前の樹脂の重量平均分子量に比べ約4分の1
になった。
【0073】応用例1 実施例1及び比較例1で調製したトナーを使用し、トナ
ーの濃度が10%となるように酸化鉄粉(平均粒子径1
00μm)と混合し、電子写真用現像剤を得た。この現
像剤を用いて、定着/オフセット、定着強度及び画像の
評価を行った。具体的には、実際の複写機の定着ロール
を用いて定着下限温度(Tl と略記)、非オフセット上
限温度(Tu と略記)、画像の目視評価ならびに低温定
着性の評価を行った。その結果を第1表に示した。
【0074】
【表1】
【0075】第1表において、定着/オフセットの評価
は、予めA4サイズの普通紙に未定着の黒ベタの帯状画
像(幅2cm)を各測定の定着温度に対応した枚数分作
製しておき、当該普通紙を温度が任意に設定できるよう
に改造した複写機の定着部分を通して熱定着させ、得ら
れた画像を脱脂綿でこすることによりトナーが脱脂綿に
付着しなくなる温度で定着下限温度を評価した。また、
非オフセット上限温度は、かかる普通紙の定着画像以外
の白色部分に、定着ロールからオフセットしたトナーが
再度付着することによる画像の汚染が認められなくなる
温度として目視評価することにより行った。
【0076】定着強度は、それぞれ120℃及び160
℃で黒ベタ画像を定着させた複写物にテープを付着さ
せ、剥離したときのテープに付着したトナーの量を10
段階で評価した。数字の大きいものほど、付着トナーが
少なく、低温定着性が良好であることを示す。
【0077】画像の品質は、作製したと複写画像の画像
荒れ、鮮明性を目視で比較評価したものである。
【0078】
【発明の効果】本発明に係る電子写真用球形トナーは、
定着下限温度と非オフセット上限温度の範囲が広く、低
い温度でも高い定着強度が得られるため複写機等の高速
化に適している。また、得られた微粒子は分級する必要
が無くかつ画像の品質も良好なため、きわめて実用性の
高い優れた性能を有することが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる回転型連続式分散装置の固定子
の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に用いる回転型連続式分散装置の回転子
の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いる回転型連続式分散装置の要部の
一例を表した断面図である。
【図4】図3のA−A′部を側面から見たときの固定子
突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【符号の説明】
1 固定子 2 液入口 3 固定子の突起 4 固定子の円周溝 5 固定子突起のスリット 6 回転子の駆動軸 7 回転子 8 回転子の突起 9 回転子の円周溝 10 回転子突起のスリット 11 回転型連続式分散装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 AA21 AB03 CA08 CA21 EA03 EA07 EA10 4J002 CF00X CF03X CG04W FD096 FD100 FD160 GH00 HA09 4J029 AA08 AB07 AC02 AD01 AD05 AE11 BA02 BA03 BA05 BA08 BA10 BB06A BB12A BB13A BD07A BD10 BF09 BF10 BF18 BF26 CA02 CA03 CA04 CA06 CB04A CB05A CB06A CC06A CD03 CG17X FC02 FC03 FC04 FC05 FC07 FC08 FC29 FC36 FC38 FC45 GA13 GA14 GA17 GA22 GA23 GA24 JE182 KB02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にカーボネート結合を有するポリ
    エステル系樹脂(A)と、着色剤(X)とを必須成分と
    して含有してなることを特徴とする、電子写真用球形ト
    ナー。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系樹脂(A)が環球法によ
    る軟化点が120℃以上のポリエステル系樹脂であり、
    かつ、環球法による軟化点が該ポリエステル系樹脂
    (A)より低いポリエステル系樹脂(B)を必須成分と
    して含有する、請求項1記載の電子写真用球形トナー。
  3. 【請求項3】 ポリエステル系樹脂(A)が、エステル
    結合の数(AE)とカーボネート結合の数(AC)の比
    (AE)/(AC)が90/10〜40/60の樹脂で
    ある、請求項1または2記載の電子写真用球形トナー。
  4. 【請求項4】 ポリエステル系樹脂(A)が、環球法に
    よる軟化点が120〜170℃で、エステル結合の数
    (AE)とカーボネート結合の数(AC)の比(AE)
    /(AC)が90/10〜40/60の樹脂であり、ポ
    リエステル系樹脂(B)が、環球法による軟化点が80
    〜130℃で、該ポリエステル系樹脂(A)より10℃
    以上低い樹脂である、請求項2記載の電子写真用球形ト
    ナー。
  5. 【請求項5】 ポリエステル系樹脂(A)とポリエステ
    ル系樹脂(B)の重量比(A)/(B)が、40/60
    〜85/15である、請求項2または4記載の電子写真
    用球形トナー。
  6. 【請求項6】 分子内にカーボネート結合を有するポリ
    エステル系樹脂(A)と、着色剤(X)とを必須の成分
    とする着色樹脂溶融体(I)を、該着色樹脂溶融体
    (I)の溶融状態を維持しながら水性媒体(II)中に分
    散し、次いで冷却し、乾燥することを特徴とする、電子
    写真用球形トナーの製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリエステル系樹脂(A)が環球法によ
    る軟化点が120℃以上のポリエステル系樹脂であり、
    かつ、着色樹脂溶融体(I)がポリエステル系樹脂
    (A)と着色剤(X)と共に、環球法による軟化点が該
    ポリエステル系樹脂(A)より低いポリエステル系樹脂
    (B)を必須成分として含有するものである、請求項6
    記載の電子写真用球形トナーの製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリエステル系樹脂(A)が、エステル
    結合の数(AE)とカーボネート結合の数(AC)の比
    (AE)/(AC)が90/10〜40/60の樹脂で
    ある、請求項6または7記載の電子写真用球形トナーの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリエステル系樹脂(A)が、環球法に
    よる軟化点が120〜170℃で、エステル結合の数
    (AE)とカーボネート結合の数(AC)の比(AE)
    /(AC)が90/10〜40/60の樹脂であり、ポ
    リエステル系樹脂(B)が、環球法による軟化点が80
    〜130℃で、該ポリエステル系樹脂(A)より10℃
    以上低い樹脂である、請求項7記載の電子写真用球形ト
    ナーの製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリエステル系樹脂(A)とポリエス
    テル系樹脂(B)の重量比(A)/(B)が、40/6
    0〜85/15である、請求項7または9記載の電子写
    真用球形トナーの製造方法。
  11. 【請求項11】 スリットを有するリング上の突起を備
    えた固定子と、スリットを有するリング上の突起を備え
    た回転子とが、間隔を保って相互に咬み合うように同軸
    上に設けられた構造を有する回転型連続分散装置を用
    い、この分散機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹
    脂溶融体(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子
    を回転させながら該スリットと該間隙とを通して中心部
    分から外周の方向に流動させることにより、水性媒体
    (II)中に着色樹脂溶融体(I)を分散させる、請求項
    6〜10のいずれか1項記載の電子写真用球形トナーの
    製造方法。
JP2000262489A 2000-08-31 2000-08-31 電子写真用球形トナー及びその製造方法 Pending JP2002072562A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000262489A JP2002072562A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 電子写真用球形トナー及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000262489A JP2002072562A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 電子写真用球形トナー及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002072562A true JP2002072562A (ja) 2002-03-12

Family

ID=18750163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000262489A Pending JP2002072562A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 電子写真用球形トナー及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002072562A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7713675B2 (en) 2006-02-28 2010-05-11 Sharp Kabushiki Kaisha Method of manufacturing toner
US7781139B2 (en) 2005-12-02 2010-08-24 Sharp Kabushiki Kaisha Toner manufacturing method
US8133648B2 (en) 2007-12-19 2012-03-13 Fuji Xerox Co., Ltd. Electrostatic image developing toner, production method thereof, electrostatic image developer, image forming method and image forming apparatus
JP2018162432A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 富士ゼロックス株式会社 粒子分散液、水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7781139B2 (en) 2005-12-02 2010-08-24 Sharp Kabushiki Kaisha Toner manufacturing method
US7713675B2 (en) 2006-02-28 2010-05-11 Sharp Kabushiki Kaisha Method of manufacturing toner
US8133648B2 (en) 2007-12-19 2012-03-13 Fuji Xerox Co., Ltd. Electrostatic image developing toner, production method thereof, electrostatic image developer, image forming method and image forming apparatus
JP2018162432A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 富士ゼロックス株式会社 粒子分散液、水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5843605A (en) Yellow developer
JP4424610B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP2012189929A (ja) 電子写真現像用トナー、画像形成方法およびプロセスカートリッジ
JP2002006541A (ja) 電子写真用トナー及びその製造法
JP5821455B2 (ja) 電子写真現像用トナー、画像形成方法およびプロセスカートリッジ
JP2005049394A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2002072562A (ja) 電子写真用球形トナー及びその製造方法
JP2001235904A (ja) 電子写真用球形トナーおよびその製造方法
JP2004323727A (ja) 熱可塑性樹脂粒子の製造方法
JP2002006539A (ja) 電子写真用トナー及びその製法
JP2004198598A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2002258528A (ja) 電子写真用球形トナーの製造方法
JP2001100454A (ja) 正帯電性トナーおよびその製法
JP5101270B2 (ja) トナーの製造方法
JP5343021B2 (ja) カプセルトナーの製造方法
JP2002202631A (ja) 電子写真用球形トナーの製造方法および電子写真用球形トナー
JP2002014492A (ja) 電子写真用球形トナーおよびその製造方法
JP4830724B2 (ja) トナー
JP2002040713A (ja) 略球形トナー及びその製造方法
US20040048182A1 (en) Developing agent and method for manufacturing the same
JP4131298B2 (ja) 電子写真用トナーの製法
JP2001154398A (ja) 粉体トナーおよびその製法
US9250549B2 (en) Full-color toner set, full-color developer set, image-formation method using same, and image-formation device
JP2001092176A (ja) 粉体トナーおよびその製法
JPH05113694A (ja) 電子写真用トナー

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050804