JP2018162432A - 粒子分散液、水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 - Google Patents

粒子分散液、水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 Download PDF

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Soichiro Kitagawa
聡一郎 北川
石塚 孝宏
Takahiro Ishizuka
孝宏 石塚
尚美 宮本
Naomi Miyamoto
尚美 宮本
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Abstract

【課題】特定構造式で表されるスクアリリウム骨格を有する化合物の少なくとも一種の析出が抑制された粒子分散液、および水性インクの提供。【解決手段】水性媒体、並びに、水性媒体に分散され、特定構造式で表されるスクアリリウム骨格を有する化合物の少なくとも一種と、特定構造式で表される単位となるジオール成分の重合物を、樹脂中に20質量%以上含むポリエステル樹脂と、を含有する粒子、を含む粒子分散液、および水性インク。【選択図】なし

Description

本発明は、粒子分散液、水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法に関する。
光照射によって記録媒体に定着するインクやトナー等として、赤外線吸収剤を含有する組成物が知られている。
例えば特許文献1には、バインダー中の画像色素及びそれと組み合わされている赤外吸収物質を含む色素層を表面に保持する支持体を含んで成るレーザー誘導感熱色素転写用色素供与体素子において、前記赤外吸収物質が特定の構造を有するテルロ−またはセレノ−スクアリリウム系色素であるレーザー誘導感熱色素転写用色素供与体素子が開示されている。
例えば特許文献2には、塗膜を形成するために基体に塗付するのに適した水性固体粒子分散液であって、当該分散液は、ポリマー、赤外吸収材料及び分散液を安定化させる界面活性剤を含み、かつ、当該ポリマーが、(i)熱分解性を与えるモノマーと(ii)水分散性を与えるモノマーのコポリマーである、水性固体粒子分散液が開示されている。
例えば特許文献3には、樹脂骨格中に、近赤外線領域の波長を吸収する化合物が化学的に結合された樹脂を含有する合成樹脂水分散体が開示されている。
例えば特許文献4には、顔料、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、及び、水からなるインクジェット用水性顔料分散組成物であって、水溶性樹脂が第一の樹脂および第二の樹脂からなり、第一の樹脂および第二の樹脂はそれぞれ独立に、アクリル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、スチレン・マレイン酸系樹脂、ウレタン系樹脂からなる樹脂群から少なくとも1種を選択してなる、インクジェット用水性顔料分散組成物が開示されている。
特開平6−210972号公報 特開2003−231819号公報 特開平11−021460号公報 特開2011−144271号公報
従来から、水に対して不溶又は難溶な材料を水性媒体に分散させるため、該材料及びポリマーの双方を含有する粒子に粒子化して水性媒体に分散させて、粒子分散液とすることが試されている。しかし、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を用いると、粒子中から凝集体が析出する現象が発生することが見出された。
本発明の課題は、水性媒体と、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含み、一般式(F1)で表される単位を含むポリエステル樹脂を含有する粒子と、を含む態様において、前記ポリエステル樹脂に前記単位が20質量%未満含まれる場合に比べ、下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の析出が抑制された粒子分散液を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
請求項1に係る発明は、
水性媒体、及び、
前記水性媒体に分散され、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含み、下記一般式(F1)で表される単位を、樹脂中に20質量%以上含むポリエステル樹脂と、を含有する粒子、
を含む粒子分散液。

(一般式(I)中、R1a、R1b、R1c及びR1dはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(II)中、R2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立にアルキル基を表す。R2aとR2b及びR2cとR2dはそれぞれ独立に連結して環を形成していてもよい。)

(一般式(F1)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に水素、メチル基、又はエチル基を表し、Rf3及びRf4はメチル基を表し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記一般式(F1)で表される単位が、下記一般式(F2)で表される単位である請求項1に記載の粒子分散液。

請求項3に係る発明は、
前記ポリエステル樹脂が、前記一般式(F1)で表される単位となる構造を有するジオール化合物と、芳香環を分子構造中に有するジカルボン酸化合物と、の重合体である請求項1又は請求項2に記載の粒子分散液。
請求項4に係る発明は、
前記ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度Tgが60℃以上85℃以下であり、軟化温度Tmが130℃以上160℃以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粒子分散液。
請求項5に係る発明は、
水性媒体、及び、
前記水性媒体に分散され、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含み、下記一般式(F1)で表される単位を、樹脂中に20質量%以上含むポリエステル樹脂と、を含有する粒子、
を含む水性インク。

(一般式(I)中、R1a、R1b、R1c及びR1dはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(II)中、R2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立にアルキル基を表す。R2aとR2b及びR2cとR2dはそれぞれ独立に連結して環を形成していてもよい。)

(一般式(F1)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に水素、メチル基、又はエチル基を表し、Rf3及びRf4はメチル基を表し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の水性インクを収容したインクカートリッジ。
請求項7に係る発明は、
請求項5に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体に付与するインク付与手段と、
前記記録媒体に付与された前記水性インクに赤外線を照射する赤外線照射手段と、
を備える記録装置。
請求項8に係る発明は、
請求項5に記載の水性インクを記録媒体に付与するインク付与工程と、
前記記録媒体に付与された前記水性インクに赤外線を照射する赤外線照射工程と、
を有する記録方法。
請求項1、又は2に係る発明によれば、水性媒体と、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び前記一般式(F1)で表される単位を含むポリエステル樹脂を含有する粒子と、を含む態様において、前記ポリエステル樹脂中における前記単位の含有量が20質量%未満である場合に比べ、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の析出が抑制された粒子分散液が提供される。
請求項3に係る発明によれば、ポリエステル樹脂がジカルボン酸成分として芳香環を有しないドデセニルコハク酸のみを重合した重合体である場合に比べ、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の析出が抑制された粒子分散液が提供される。
請求項4に係る発明によれば、ガラス転移温度Tgが60℃未満であるポリエステル樹脂のみを含有する場合、又は軟化温度Tmが130℃未満であるポリエステル樹脂のみを含有する場合に比べ、粒子分散液を用いて画像を形成した際に、強度に優れた画像を形成し得る粒子分散液が提供される。
請求項5に係る発明によれば、水性媒体と、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び前記一般式(F1)で表される単位を含むポリエステル樹脂を含有する粒子と、を含む態様において、前記ポリエステル樹脂中における前記単位の含有量が20質量%未満である場合に比べ、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の析出が抑制された水性インクが提供される。
請求項6、7、又は8に係る発明によれば、水性媒体と、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種、及び前記一般式(F1)で表される単位を含むポリエステル樹脂を含有する粒子と、を含む水性インクであって、前記ポリエステル樹脂中における前記単位の含有量が20質量%未満である水性インクを適用した場合に比べ、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の析出が抑制されたインクカートリッジ、記録装置、又は記録方法が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示においてアルキルは、鎖式炭化水素のみならず環式炭化水素をも含む。
本開示において「水性媒体」とは、水、又は、水とその他の溶媒との混合溶媒であって、水を主たる溶媒とする混合溶媒を意味する。本開示において「主たる溶媒」とは、混合溶媒を構成する全溶媒のうち最も質量の多い溶媒を指す。
<粒子分散液>
本実施形態に係る粒子分散液は、水性媒体と、水性媒体に分散された粒子と、を含む分散液である。
粒子は、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含む(つまり下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含む)。また、下記一般式(F1)で表される単位を含むポリエステル樹脂を含む。そして、このポリエステル樹脂中における下記一般式(F1)で表される単位の含有量は、20質量%以上である。

(一般式(I)中、R1a、R1b、R1c及びR1dはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(II)中、R2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立にアルキル基を表す。R2aとR2b及びR2cとR2dはそれぞれ独立に連結して環を形成していてもよい。)

(一般式(F1)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に水素、メチル基、又はエチル基を表し、Rf3及びRf4はメチル基を表し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
従来から、水に対して不溶又は難溶な性質を有する有機化合物を水性媒体に含有させるために、該有機化合物とポリマーとの双方を含有する粒子に粒子化して水性媒体に分散させた粒子分散液の技術が知られている。なお、この有機化合物としては、例えば赤外線吸収剤等が挙げられる。
しかし、粒子分散液を例えば水性インク等に用いる場合に、粒子中の有機化合物として前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物のようなスクアリリウム骨格を有する化合物を用いると、粒子中から前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の凝集体が析出する現象が発生することが見出された。析出した凝集体は、粒子分散液を水性インクとして用いる場合であれば、ノズルの目詰まり等のインク吐出性能の低下を招いたり、塗布性能の低下、画像の平滑性の低下等に繋がることがあった。
これに対し、本実施形態に係る粒子分散液は、粒子が前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含み、前記一般式(F1)で表される単位を分子構造中における含有量で20質量%以上含むポリエステル樹脂(以下「特定ポリステル樹脂」とも称す)を含んでおり、これにより前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種の析出が抑制される。
この理由は、以下のように推察される。
前記一般式(F1)で表される単位は、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物が有するスクアリリウム骨格のように、複数の芳香環を含んでおり、両者は似た化学構造を有している。そのため、一般式(F1)で表される単位を前記含有量で含む特定ポリステル樹脂は、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物との親和性が高いものと考えられる。これにより、特定ポリステル樹脂をマトリクス樹脂とする粒子中において、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物は優れた溶解性(分子分散状態)を示し、凝集が抑制された状態で存在するものと考えられる。そして、分散液の状態(例えば水性インクの状態)で保管された後においても、前記の親和性による影響で、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物が凝集しようとすることが抑制され、その結果前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の析出が抑制されると考えられる。
以上により、本実施形態では前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の析出が抑制される。
また、その結果、本実施形態に係る粒子分散液を水性インクとして用いた場合、ノズルの目詰まり等のインク吐出性能の低下が抑制され、また塗布性能の低下や画像の平滑性の低下の発生が抑制される。
また、本実施形態では、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物が赤外線吸収性能を有する場合、赤外線の吸収性能により優れる。これは、粒子中において一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物が良好に分散され、凝集の発生が抑制された状態で存在しており、効率よく赤外線の吸収性能が発揮されるためと考えられる。
また、本実施形態では、粒子の収率がより高められる。これは、粒子が水性媒体中での分散安定性にも優れることにより、粒子分散液を調製する過程において粒子の凝集物が発生しにくいためと考えられる。
さらに、本実施形態によれば、粒径の小さな粒子(例えば体積平均粒径150nm以下)が分散した分散液が得られる。
本実施形態において、粒子の分散状態は、液体粒子が分散した乳化でもよく、固体粒子が分散した懸濁でもよく、分散安定性の観点からは、固体粒子が分散した懸濁が好ましい。即ち、本実施形態に係る粒子分散液は、粒子が液体状態で水性媒体に分散した乳化液(エマルジョン)でもよく、粒子が固体状態で水性媒体に分散した懸濁液(サスペンジョン)でもよく、粒子の分散安定性の観点からは、懸濁液であることが好ましい。
−一般式(F1)で表される単位の含有量−
本実施形態では、特定ポリエステル樹脂の分子構造中における一般式(F1)で表される単位の含有量は、20質量%以上である。上記含有量が20質量%以上であることで、前記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の析出が抑制される。
なお、上記含有量は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
一方で、一般式(F1)で表される単位は特定ポリエステル樹脂の分子構造中に含ませることが可能な範囲まで含有させてよい。ただし、一般式(F1)で表される単位は通常はジオール成分として重合させることで特定ポリエステル樹脂の分子構造中に含ませることが可能なため、この観点からすれば、例えば特定ポリエステル樹脂の分子構造中における一般式(F1)で表される単位の含有量の上限値は45質量%以下とすることができ、43質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましい。
ここで、特定ポリエステル樹脂の分子構造中における一般式(F1)で表される単位の含有量とは、特定ポリエステル樹脂に対する、特定ポリエステル樹脂中に含まれる一般式(F1)で表される単位の質量比の平均値を意味する。なお、例えば後述する一般式(F2)で表される単位の分子量(該構成単位を構成する原子の原子量の総和)は194である。例えば樹脂100g中に一般式(F1)で表される単位の部分が30g含まれる場合、含有量は30質量%となる。
ここで、特定ポリエステル樹脂の分子構造中における一般式(F1)で表される単位の含有量の測定方法について説明する。
粒子分散液又は水性インクが顔料を含む場合、遠心処理又はろ過によって顔料分散物を除去し、塩酸で酸性になるまで中和する。生じた固体を回収し、水、メタノールなどで洗浄し乾燥させて樹脂を回収する。樹脂をNMR(核磁気共鳴)やFT−IR分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、フーリエ変換赤外分光法)、反応熱分解GC−MS法(Gas Chromatography−Mass spectrometry、ガスクロマトグラフィー−質量分析法)で分析し、モノマーの種類とモル比を求め、一般式(F1)で表される単位の含有量/樹脂質量で求める。
以下、本実施形態に係る粒子分散液の成分、組成、製造方法などについて詳細に説明する。
[一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物]
本実施形態に係る粒子分散液に含まれる粒子は、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種(つまり下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物のうちの少なくとも一種)含有する。
−一般式(I)で表される化合物−

(一般式(I)中、R1a、R1b、R1c及びR1dはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。)
1a、R1b、R1c及びR1dで表されるアルキル基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以上6以下のアルキル基が更に好ましく、炭素数4以上6以下のアルキル基が更に好ましい。
1a、R1b、R1c及びR1dで表されるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれのアルキル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基(2−メチルプロピル基)、sec−ブチル基(1−メチルプロピル基)、tert−ブチル基(1,1−ジメチルエチル基)、n−ペンチル基、イソペンチル基(3−メチルブチル基)、ネオペンチル基(2,2−ジメチルプロピル基)、tert−ペンチル基(1,1−ジメチルプロピル基)、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びビシクロ[2,2,2]オクチル基等が挙げられる。
1a、R1b、R1c及びR1dで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、及びアルキル置換フェニル基等が挙げられる。
アルキル置換フェニル基においては、フェニル基に1個のアルキル基が置換していても、複数個のアルキル基が置換していてもよいが、アルキル基が1個だけ置換したアルキル置換フェニル基がより好ましい。
この置換基としてのアルキル基としては、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基(特に4−tert−ブチルフェニル基)、3−メチルフェニル基、及び2−メチルフェニル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
1a、R1b、R1c及びR1dで表されるアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素)で置換されていてもよい。
一般式(I)で表される化合物は、R1a、R1b、R1c及びR1dで表される基のうちの少なくとも1つが分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、さらには下記一般式(11)で表される化合物であることがより好ましい。
なお、一般式(1)で表される化合物は、赤外線吸収性能を有する化合物である場合、長期間の保管や高温下での保管後においてもその赤外線吸収性能が低下しにくい。
この機序として、下記が推測される。
スクアリリウム骨格を有する化合物は、赤外線吸収性能が高い等の理由によって光定着性インク等の水性組成物に適しているが、一方でスクアリリウム骨格が溶媒及びその他の材料(分散剤、界面活性剤等)による侵襲を受け分解することがある。
これに対して、一般式(1)で表される化合物は、スクアリリウム骨格に結合する4つのアルキル基(つまりR、R、R及びR)のうち少なくとも1つが一般式(1−R)で表される基、つまり炭素数3以上の分岐アルキル基である。そのため、この炭素数3以上の分岐アルキル基によってスクアリリウム骨格を侵襲する分子がスクアリリウム骨格に近づきにくくなると考えられる。それ故、一般式(1)で表される化合物は、水性組成物中で分解されにくく、長期間の保管や高温下での保管後においても赤外線吸収性能が低下しにくいと推測される。

一般式(1)中、Rは、一般式(1−R)で表される基を表す。
一般式(1−R)で表される基の総炭素数は6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましく、4が特に好ましい。総炭素数の下限は3である。
一般式(1−R)中、Rは、水素又はメチル基を表す。Rは、メチル基であることが好ましい。Rがメチル基である場合、一般式(1−R)で表される基は末端が三つに分岐した構造であり、Rが水素である場合に比べて、より赤外線吸収性能の低下が抑制される。これは、Rがメチル基である構造の方が、Rが水素である構造に比べ、スクアリリウム骨格を侵襲する分子がスクアリリウム骨格に近づきにくく、一般式(1)で表される化合物の分解が抑えられることによると考えられる。
一般式(1−R)中、nは、0以上3以下の整数を表す。nは、0以上2以下の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。nは、小さいほど赤外線吸収性能の低下が抑制される。これは、nの値が小さいほど、一般式(1−R)で表される基における分岐構造部分とスクアリリウム骨格との距離が近くなるが故に、スクアリリウム骨格を侵襲する分子がスクアリリウム骨格に近づきにくく、一般式(1)で表される化合物の分解が抑えられることによると考えられる。
一般式(1−R)で表される基の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基(3−メチルブタン−1−イル基)、2,2−ジメチルプロピル基(2,2−ジメチルプロパン−1−イル基)、4−メチルペンチル基(4−メチルペンタン−1−イル基)、3,3−ジメチルブチル基(3,3−ジメチルブタン−1−イル基)、4,4−ジメチルペンチル基(4,4−ジメチルペンタン−1−イル基)が挙げられる。これらの中でも、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、tert−ブチル基が更に好ましい。
一般式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を表す。R、R及びRは少なくとも1つが一般式(1−R)で表される基であることが好ましく、R、R及びRの全てが一般式(1−R)で表される基であることがより好ましい。一般式(1)中における一般式(1−R)で表される基の数が多いほど、赤外線吸収性能の低下がより抑制される。これは、一般式(1−R)で表される基が多いほど、スクアリリウム骨格を侵襲する分子がスクアリリウム骨格に近づきにくく、一般式(1)で表される化合物の分解が抑えられることによると考えられる。
、R及びRのうち1つが一般式(1−R)で表される基である場合、R、R及びRのいずれが一般式(1−R)で表される基であってもよい。R、R及びRのうち2つが一般式(1−R)で表される基である場合、R、R及びRのいずれが一般式(1−R)で表される基であってもよい。
乃至Rのうち2つ以上が一般式(1−R)で表される基である場合、複数ある一般式(1−R)で表される基の構造は同じであっても異なっていてもよい。
、R及びRの少なくとも1つが一般式(1−R)で表される基である場合における好ましい構造は、Rについて前述したとおりである。
、R及びRの少なくとも1つが一般式(1−R)で表される基以外である場合におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状の何れの構造であってもよい。この場合のアルキル基は分岐数が多い方が好ましく、炭素鎖は短い方が好ましい。炭素数としては、1以上10以下が好ましく、2以上8以下がより好ましく、3以上6以下が更に好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−メチルブタン−2−イル基、3−メチルブタン−2−イル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、3−ペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、2−メチルブタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基が好ましい。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例(化合物(I−a−1)〜(I−a−10))を示す。

一般式(I)で表される化合物は、例えば下記の反応スキームに従って合成される。
(1)R1a、R1b、R1c及びR1dが全て同じ基の化合物

まず、不活性雰囲気下且つ冷却下、有機マグネシウムハロゲン化物(グリニャール試薬、例えば塩化エチルマグネシウム等)の有機溶剤(例えばテトラヒドロフラン等)溶液に出発物質1を滴下して作用させる。その後、反応を完結させるため室温(例えば20℃乃至25℃。本説明において以下同じ)又はそれ以上の温度に戻してもよい。次いで冷却下、ギ酸誘導体(例えばギ酸エチル等)を滴下して作用させる。その後、反応を完結させるため室温又はそれ以上の温度に戻してもよい。反応の終わった混合物から有機物を抽出し、分離した有機層から中間体Aを得る。
次いで、溶媒(例えばシクロヘキサン等)に中間体Aと酸化試薬(例えば酸化マンガン等)とを加え、加熱還流して反応させる。反応中に生じる水を除去してもよい。反応混合物の有機層から中間体Bを得る。中間体Bを得る際に精製を行ってもよい。
次いで、中間体Bに対し付加環化反応を行う。例えば、溶媒(例えばエタノール等)に一硫化水素ナトリウムn水和物を加え、冷却下、中間体Bを滴下する。その後、室温で反応させ、反応液から溶媒を除去した後、飽和するまで食塩を加え、分液して有機相を回収し、有機相から中間体Cを得る。中間体Cを得る際に精製を行ってもよい。
次いで、不活性雰囲気下、溶媒(例えば無水テトラヒドロフラン等)と中間体Cとを混合し、グリニャール試薬(例えば臭化メチルマグネシウム等)を滴下する。滴下終了後、反応液を加熱して還流させ、次いで冷却下、臭化アンモニウムを滴下する。分離した有機層を乾燥し濃縮して、中間体Dを得る。
次いで、不活性雰囲気下、中間体D及びスクアリン酸を溶媒(例えばシクロヘキサンとイソブタノールとの混合溶媒等)に分散し、塩基性化合物(例えばピリジン等)を加えて加熱還流させ、化合物(I)−Aが得られる。反応中に生じる水を除去してもよい。また、精製や単離、濃縮等を実施してもよい。
(2)R1aとR1dが同じ基且つR1bとR1cが同じ基の化合物(R1aとR1bは異なる基)
上記(1)の反応スキームにおける中間体Aを得る過程を、下記の過程に変更する。

不活性雰囲気下且つ冷却下、グリニャール試薬(例えば臭化エチルマグネシウム等)の有機溶剤(例えばテトラヒドロフラン等)溶液に、出発物質1を滴下し、さらに添加物質2を滴下し反応させる。反応後の溶液に、冷却下で強酸(例えば塩酸等)を加え、次いで室温下でエーテルを加え、有機層から中間体A’を得る。中間体A’を得る際に精製を行ってもよい。
(3)R1aとR1bが同じ基且つR1cとR1dが同じ基の化合物(R1aとR1cは異なる基)
上記(1)の反応スキームにおける中間体Dとして、Rの構造が異なる化合物を2種類準備し、この2種の化合物とスクアリン酸とを反応させて、一般式(I)で表される化合物を得る。
1a〜R1dのうち3つが同じ基の化合物、2つが同じ基で残りの2つがそれぞれ異なる基の化合物、4つとも異なる基の化合物も、上記反応スキームに準じて合成し得る。
−一般式(II)で表される化合物−

(一般式(II)中、R2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立にアルキル基を表す。R2aとR2b及びR2cとR2dはそれぞれ独立に連結して環を形成していてもよい。)
2a、R2b、R2c及びR2dで表されるアルキル基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数2以上8以下のアルキル基がより好ましい。
2a、R2b、R2c及びR2dで表されるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれのアルキル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びビシクロ[2,2,2]オクチル基等が挙げられる。
また、R2aとR2bが連結して環を形成する場合、またR2cとR2dが連結して環を形成する場合には、形成される環は5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、6員環がより好ましい。
なお、形成される環は置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアルキル基が挙げられる。
2cとR2dとを連結する部分の基は炭素数は3以上6以下のアルキル基であることが好ましい。
互いに連結して環を形成する場合の、その形成される環構造としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、3,5−ジメチルシクロヘキサン、3,5−ジエチルシクロヘキサン、3,5−ジイソプロピルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及び3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
2a、R2b、R2c及びR2dで表されるアルキル基(R2aとR2b及びR2cとR2dが連結して形成される環を含む)は、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素)で置換されていてもよい。
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例(化合物(I−b−1)〜(I−b−7))を、並びに一般式(II)において、R2aとR2b及びR2cとR2dが連結して環を形成した化合物の具体例(化合物(I−c−1)〜(I−c−7))を示す。



一般式(II)で表される化合物は、例えば、特開2010−077261号公報、特開2010−186014号公報、特開2011−039359号公報等に記載の合成方法により合成し得る。
一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の、テトラヒドロフラン溶液における最大吸収波長(λmax)は、波長760nm以上1200nm以下であることが好ましく、波長780nm以上1100nm以下であることがより好ましく、波長800nm以上1000nm以下であることが更に好ましい。
一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の、テトラヒドロフラン溶液における最大吸収波長(λmax)でのモル吸光係数(εmax)は、1×10Lmol−1cm−1以上6×10Lmol−1cm−1以下が好ましく、2×10Lmol−1cm−1以上6×10Lmol−1cm−1以下がより好ましく、2.5×10Lmol−1cm−1以上6×10Lmol−1cm−1以下が更に好ましい。
・他の赤外線吸収性を有する化合物
一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物が赤外線吸収性を有する化合物である場合、粒子は、さらに一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外のその他の赤外線吸収性を有する化合物を含んでもよい。ただし、このその他の赤外線吸収性を有する化合物の含有量は、赤外線吸収性能の観点から、粒子に含まれる全ての赤外線吸収性を有する化合物(一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を含む)中において20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、含まないことがさらに好ましい。
その他の赤外線吸収性を有する化合物としては、従来公知の赤外線吸収性を有する化合物が挙げられ、例えばシアニン系化合物、アミニウム系化合物等が挙げられる。
[特定ポリエステル樹脂]
本実施形態における特定ポリエステル樹脂は、分子構造中に前記一般式(F1)で表される単位を含有し、その含有量が20質量%以上である。
・一般式(F1)で表される単位
一般式(F1)で表される単位を特定ポリエステル樹脂の分子構造中に含ませる方法としては、特定ポリエステル樹脂の原料(モノマー)として、前記一般式(F1)で表される単位を有するモノマーを重合(脱水縮合)する方法が挙げられる。
なお、一般的にポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとの脱水縮合により合成される。一般式(F1)で表される単位は、通常、ジオール成分として重合(脱水縮合)させることで特定ポリエステル樹脂の分子構造中に含ませることができる。
一般式(F1)で表される単位となる構造を有するモノマー)であるジオールとしては、例えば、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン)、ビスフェノールC(2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールE(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、並びにこれらのエチレンオキシド付加物、及びプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。

一般式(F1)で表される単位としては、さらに下記一般式(F2)で表される単位であることが好ましい。
つまり、前記ジオールとして、ビスフェノールA、並びにそのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの少なくとも一方の付加物が、より好適に用いられる。

特定ポリエステル樹脂中における一般式(F2)で表される単位の含有量は、重合(脱水縮合)に用いる割合(質量比)の調整によって制御し得る。
・その他の原料(モノマー)
特定ポリエステル樹脂は、水性媒体への分散性の観点から、解離性基を有することが好ましい。解離性基としては、アニオン性基が好ましく、カルボキシ基及びスルホン酸基が特に好ましい。特定ポリエステル樹脂への解離性基の導入は、例えば、スルホン酸基を有するジカルボン酸又はジオールを脱水縮合の原料とすることにより行う。
スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、例えば、3−スルホフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸、スルホコハク酸、4−スルホ−1,8−ナフタレンジカルボン酸、7−スルホ−1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,4−ジ(2−ヒドロキシ)エチルオキシカルボニルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらジカルボン酸は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他のジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、α,α−ジメチルコハク酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、ポリ(エチレンテレフタレート)ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω−ポリ(エチレンオキシド)ジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸等が挙げられる。これらジカルボン酸は、アルキルエステル、酸塩化物又は酸無水物の形態で脱水縮合に供してもよい。これらジカルボン酸は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、特定ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分として分子構造中に芳香環を有するジカルボン酸化合物が重合(縮合)された重合体であることが好ましい。ジカルボン酸由来の構成単位中に芳香環が含まれることで、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物との親和性がより高められるものと考えられ、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の析出をより抑制し易くなる。
解離性基を有するジオールとしては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,5,6−トリメトキシ−3,4−ジヒドロキシヘキサン酸、2,3−ジヒドロキシ−4,5−ジメトキシペンタン酸、2,4−ジ(2−ヒドロキシ)エチルオキシカルボニルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。解離性基を有するジオールは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
解離性基を有しないジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエステルポリオール、4,4'−ジヒドロキシフェニルスルホン等が挙げられる。解離性基を有しないジオールは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・特定ポリエステル樹脂の具体例
以下に、特定ポリエステル樹脂の具体例を、ポリマーの構成単位となるジカルボン酸、ジオールで例示する。尚、括弧( )内には共重合成分の組成比の一例(モル比)を示し、角括弧[ ]内にはその組成比(モル比)での一般式(F1)で表される単位の含有率を表す。
・P01:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/エチレングリコール(50/50/50/50)[30%]
・P02:テレフタル酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物(100/100)[41%]
・P03:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物(70/30/100)[43%]
・P04:テレフタル酸/5−スルホイソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/エチレングリコール(95/5/50/50)[30%]
・P05:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物(50/50/50/50)[42%]
・P06:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAエチレンオキシド3mol付加物/ネオペンチルグリコール(50/50/20/40/40)[37%]
・P07:イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/シクロヘキサンジメタノール(100/50/50)[27%]
・P08:テレフタル酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/ネオペンチルグリコール(100/80/20)[36%]
・P09:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/ネオペンチルグリコール(50/50/35/65)[22%]
・P10:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/エチレングリコール(50/50/25/25/50)[30%]
・P101:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/エチレングリコール/グリセリン(50/50/50/45/5)[30%]
・P102:テレフタル酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/グリセリン(100/95/5)[40%]
・P103:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/グリセリン(70/30/95/5)[42%]
・P104:テレフタル酸/5−スルホイソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/エチレングリコール/グリセリン(95/5/50/45/5)[29%]
・P105:テレフタル酸/イソフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/グリセリン(50/50/50/45/5)[41%]
・P106:イソフタル酸/トリメリット酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/シクロヘキサンジメタノール(98/2/50/50)[27%]
・P107:テレフタル酸/トリメリット酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/ネオペンチルグリコール(98/2/80/20)[35%]
・P108:テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/ネオペンチルグリコール(50/48/2/35/65)[22%]
・P109:テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/エチレングリコール(50/48/2/25/25/50)[30%]
・P110:ドデセニルコハク酸/フマル酸/トリメリット酸/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物/ネオペンチルグリコール(41/58/2/80/20)[32%]
・P111:テレフタル酸/トリメリット酸/エチレングリコール/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物(95/5/10/90)[40%]
・P112:テレフタル酸/トリメリット酸/エチレングリコール/グリセリン/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物(97/3/40/10/50)[29%]
・P113:テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/ドデセニルコハク酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物(45/45/8/2/50/50)[42%]
・P114:テレフタル酸/トリメリット酸/ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物(97/3/50/50)[%]
・P115:テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/グリセリン/ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物(70/30/40/10/50)[29%]
・特定ポリエステル樹脂の物性
(分子量)
特定ポリエステル樹脂の分子量範囲は、重量平均分子量として1000以上20万以下が好ましく、1500以上10万以下がより好ましく、2000以上5万以下が更に好ましい。
重量平均分子量が1000以上であることにより、後述する水溶性成分の含有割合が低減され、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の分散に適する。一方、重量平均分子量が20万以下であることにより、有機溶剤に対する溶解性に優れかつ有機溶剤に溶解したポリマー溶液の粘度が抑えられるので、粒子分散液を製造する際において水性媒体への分散が容易になり、よって、粒子の分散安定性に優れる。
ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定し、ポリスチレン換算で算出する。
(酸価)
特定ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下が好ましい。なお、下限としては8mgKOH/g以上がより好ましく、10mgKOH/g以上がさらに好ましく、上限としては40mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以下がさらに好ましい。
酸価が5mgKOH/g以上であることで、特定ポリエステル樹脂の水性媒体への分散性が相対的に低くなり過ぎず、粒子の分散安定性に優れる。一方、酸価が50mgKOH/g以下であることで、特定ポリエステル樹脂の水溶性が相対的に高くなり過ぎず、特定ポリエステル樹脂と一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物とを含有する粒子の形成性が高められ、したがって、水性媒体に安定して分散する粒子が得られ易い。
樹脂の酸価は、JIS K0070(1992)に定める中和滴定法によって求められる。
(ガラス転移温度Tg及び軟化温度Tm)
なお、特定ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度Tgが60℃以上85℃以下であり、かつ軟化温度Tmが130℃以上160℃以下のものが好ましい。
前記一般式(F1)で表される単位を含む特定ポリエステル樹脂は、骨格自体がやや柔軟であるため汎用モノマーの組み合わせの範囲の中ではガラス転移温度Tgは最高85℃程度までしか到達しないと考えられる。そのため、水性インク等において一般的に用いられているスチレンアクリル系樹脂等に比べて、ガラス転移温度Tgが低い傾向にあり、ガラス転移温度Tgの低さに起因して、画像を形成した際に画像強度が低下することがあった。
しかし、特定ポリエステル樹脂が、上記ガラス転移温度Tg及び上記軟化温度Tmの両方の条件を満たすことで、粒子分散液を用いて画像を形成した際に、強度に優れた画像を形成し得る。
その理由は以下のように推察される。
まず、ガラス転移温度Tgが、例えばモノマーの組成に応じて変動する物性であるのに対し、軟化温度Tmは、ガラス転移温度Tgに加えて分子量Mwによっても変動する物性である。つまり、一般的にスチレンアクリル系樹脂等に比べてガラス転移温度Tgが低い傾向にある特定ポリエステル樹脂であっても、分子量Mw等の調整により軟化温度Tmを高められる。
このようにして、特定ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgを60℃以上としつつ、かつ軟化温度Tmを高めて130℃以上とすることで、樹脂の硬さを高め易くすることができ、その結果画像を形成した際に画像強度を向上し得るものと考えられる。
特定ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、60℃以上85℃以下が好ましく、65℃以上84℃以下がより好ましく、70℃以上84℃以下がさらに好ましい。
また、特定ポリエステル樹脂の軟化温度Tmは、130℃以上160℃以下が好ましく、135℃以上155℃以下がより好ましく、140℃以上150℃以下がさらに好ましい。
軟化温度Tmが160℃以下であることで、樹脂加熱時あるいは溶剤溶解時の粘度が高くなり過ぎることが抑制され、特定ポリエステル樹脂を含んだ粒子の作製が行ない易くなる。またその他、部分的なゲル化の発生が抑制され、微粒子化プロセスにおける粗大粉や不溶物の増加が抑制されて、粒子分散液として実使用し易くなる。
ここで、特定ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、ASTM D3418に準拠して、示差走査熱量計(島津製作所製:DSC−60A)を用いて得られる。昇温速度10℃/minで昇温し、200℃で5分間ホールドし、200℃から0℃まで液体窒素を用いて−10℃/分で降温し、0℃で5分間ホールドし、再度0℃から200℃まで10℃/分で昇温をおこなう。2度目の昇温時の吸熱曲線から解析をおこない、Tg以下のベースラインの延長線と、Tg近傍の吸熱カーブの接線の交点の温度をいう。
また、特定ポリエステル樹脂の軟化温度Tmは、フローテスター(島津製作所製:CFT−500C)を用い、荷重10kgf/cm、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ1mm、予熱80℃で5分間、昇温速度6℃/分とし、試料量約1gを測定記録したとき、フローテスターのプランジャ降下量−温度曲線におけるS字曲線の高さの1/2における温度(1/2流出温度)を軟化温度とする。
なお、これらの測定は、粒子分散液や水性インク等の状態から粒子を取り出し(例えば、乾燥によって水性媒体を揮発させる等の方法によって粒子を取り出し)、得られた粒子を用いて行う。
特定ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、例えば、樹脂の原料であるモノマーの組成の調整、可塑剤や相溶性の高い材料などの可塑効果を持つ材料の添加等によって制御される。
また、特定ポリエステル樹脂の軟化温度Tmは、例えば、ガラス転移温度Tg、樹脂の分子量、分子量分布、可塑剤や相溶性の高い材料などの可塑効果を持つ材料の添加、架橋剤の添加等によって制御される。
(水溶性成分の割合)
特定ポリエステル樹脂は、ポリマー分散液としたときに、該分散液に含まれる固形分量に対する水溶性成分の割合が10質量%以下であることが好ましい。
通常、ポリマーの集合体を構成する個々の分子には構成単位の組成にばらつきがあり、したがって、個々の分子には水に対する溶解度にばらつきがある。水に対する溶解度が相対的に高いポリマー分子が、ここでいう「水溶性成分」に相当する。水溶性成分、つまり水に対する溶解度が相対的に高いポリマー分子は、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の分散への適合性が低くなるので、特定ポリエステル樹脂は、ポリマー分散液としたときに、該分散液に含まれる水溶性成分が少ないほど好ましい。また、特定ポリエステル樹脂を含有する粒子の膨潤や粒子どうしの接着を抑制し、安定な分散を維持する観点からも、特定ポリエステル樹脂は、ポリマー分散液としたときに、該分散液に含まれる水溶性成分が少ないほど好ましい。これらの観点から、特定ポリエステル樹脂を分散液としたときに、該分散液に含まれる固形分量に対する水溶性成分の割合は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、少ないほど好ましい。
上記水溶性成分の割合は、下記の方法で測定する。
水にポリマーを分散させたポリマー分散液(固形分濃度10質量%、液温23±0.5℃)を調製する。その際、ポリマーの分散のために必要に応じて中和剤を使用する。ポリマー分散液を、遠心式限外濾過フィルターユニットを用いて、分散質と媒質とに遠心分離し、分離した媒質を乾燥させて乾固物の質量を測定し、ポリマー分散液の固形分量(=ポリマー分散液の調製に用いたポリマー量+ポリマー分散液の調製過程で用いた中和剤の質量)に対する媒質の乾固物量の割合を算出し、水溶性成分の割合(質量%)とする。
・他の樹脂
本実施形態では、粒子に含まれる樹脂として、特定ポリエステル樹脂以外の樹脂を併用してもよい。特定ポリエステル樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、及びポリカーボネート等が挙げられる。
ただし、粒子に含まれる全樹脂のうち特定ポリエステル樹脂が主たる樹脂であることが好ましく、全樹脂のうち特定ポリエステル樹脂が最も質量の多い樹脂であることが好ましい。具体的に全樹脂中に占める特定ポリエステル樹脂の質量比は、50質量%超えであることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
[水性媒体]
粒子分散液の媒体は、水、又は、水を主たる溶媒とする混合溶媒である。混合溶媒は、例えば、水と水溶性有機溶剤との混合物である。
水としては、不純物の混入又は微生物の発生を抑制する観点から、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水などの精製水が好ましい。
水溶性有機溶剤としては、アルコール、多価アルコール、多価アルコール誘導体、含窒素溶剤、含硫黄溶剤などが挙げられる。粒子分散液に含まれる水溶性有機溶剤は、例えば、粒子分散液の製造過程において一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は特定ポリエステル樹脂の溶解に用いた有機溶剤の残存物である。
水の含有量は、粒子分散液の全質量に対して、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましい。
水溶性有機溶剤の含有量は、粒子分散液の全質量に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
[その他の成分]
本実施形態に係る粒子分散液は、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外に赤外線吸収能を有する化合物(例えば、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アミニウム系色素等)、紫外線吸収能を有する化合物(例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等)、着色剤、中和剤、界面活性剤、分散安定剤、特定ポリエステル樹脂以外のポリマー等を含んでいてもよい。
[粒子分散液の製造方法]
粒子分散液の製造方法としては、例えば、転相乳化法、特定ポリエステル樹脂の粒子に他の化合物を含浸させる含浸法が挙げられ、転相乳化法が好ましい。
転相乳化法は、有機溶剤に化合物及び特定ポリエステル樹脂が溶解した溶液を調製し、該溶液に中和剤を加えて特定ポリエステル樹脂を中和した後、水を徐々に混合して化合物と特定ポリエステル樹脂とを双方を含有する粒子に粒子化して分散状態にする方法である。ここでの分散状態は、液体粒子が分散した乳化でもよく、固体粒子が分散した懸濁でもよく、分散安定性の観点からは、固体粒子が分散した懸濁が好ましい。有機溶剤は、該有機溶剤の水に対する溶解度が10質量%以下である場合、又は、該有機溶剤の蒸気圧が水より大きい場合には、粒子の分散安定性の観点から除去されることが好ましい。中和は、必須の工程ではないが、特定ポリエステル樹脂が未中和の解離性基を有する場合、分散液のpH調製等の観点から、行うことが好ましい。
含浸法は、特定ポリエステル樹脂の粒子分散液を調製し、該粒子分散液と、有機溶剤に赤外線吸収能を有する化合物が溶解した溶液とを混合した後、有機溶剤を徐々に除去して赤外線吸収能を有する化合物を特定ポリエステル樹脂の粒子に含浸させ赤外線吸収性粒子とする方法である。特定ポリエステル樹脂の粒子は、液体粒子でもよく固体粒子でもよく、分散安定性の観点からは、固体粒子が好ましい。特定ポリエステル樹脂の粒子分散液は、例えば、特定ポリエステル樹脂が溶解した溶液を調製し、該溶液に中和剤を加えて中和した後、水を徐々に混合しながら有機溶剤を除去することにより調製する。
転相乳化法及び含浸法に用いる有機溶剤は、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の溶解性及び特定ポリエステル樹脂の溶解性に基づいて選択する。具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤;クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;などが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の使用量としては、特定ポリエステル樹脂100質量部に対し、10質量部以上2000質量部以下が好ましく、100質量部以上1000質量部以下がより好ましい。有機溶剤の使用量が特定ポリエステル樹脂100質量部に対し10質量部以上であると、粒子の分散が安定し、有機溶剤の使用量が特定ポリエステル樹脂100質量部に対し2000質量部以下であると、有機溶剤を除去する工程が不要又は短時間にすることができる。
転相乳化法及び含浸法に用いる中和剤としては、特定ポリエステル樹脂がアニオン性基を有する場合、有機塩基、無機アルカリが挙げられる。有機塩基としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、アンモニアなどが挙げられる。
中和剤の添加量は、粒子の分散安定性の観点から、粒子分散液のpHが後述の範囲となる添加量が好ましい。
転相乳化法及び含浸法における特定ポリエステル樹脂の使用量、及び赤外線吸収能を有する化合物を用いる場合、粒子分散液に含まれる特定ポリエステル樹脂の含有量としては、赤外線吸収能を有する化合物100質量部に対し、100質量部以上9900質量部以下が好ましく、300質量部以上4900質量部以下がより好ましい。特定ポリエステル樹脂の使用量(特定ポリエステル樹脂の含有量)が赤外線吸収能を有する化合物100質量部に対し100質量部以上であると、赤外線吸収能を有する化合物の分散が安定し、特定ポリエステル樹脂の使用量(特定ポリエステル樹脂の含有量)が赤外線吸収能を有する化合物100質量部に対し9900質量部以下であると、粒子分散液の赤外線吸収効率がよい。
転相乳化法及び含浸法において、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外の有機化合物も用いて、該化合物を一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物及び特定ポリエステル樹脂と共に粒子化し、三者を含有する粒子を形成してもよい。共に粒子化する有機化合物としては、例えば、染料、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外の赤外線吸収能を有する化合物(例えば、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アミニウム系色素等)、紫外線吸収能を有する化合物(例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等)などが挙げられる。
[粒子分散液の物性]
粒子分散液に含まれる粒子の体積平均粒径は、10nm以上150nm以下が好ましく、10nm以上120nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が更に好ましい。体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性に優れ、体積平均粒径が150nm以下であることで、インクジェット方式の打滴特性に優れる。粒径分布は、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定する。
本実施形態に係る粒子分散液のpHは、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物の分解を抑制し、経時的な劣下を抑制する観点から、10.5以下が好ましく、10.0以下がより好ましく、9.5以下が更に好ましく、9.0以下が更に好ましい。一方、特定ポリエステル樹脂及び粒子を安定的に分散させる観点からは、本実施形態に係る粒子分散液のpHは、6.0以上が好ましく、6.5以上がより好ましく、7.0以上が更に好ましい。
また、一般的な水性インクがアルカリ性(pH8乃至10程度)であるので、本実施形態に係る粒子分散液を用いて水性インクを調製する観点からも、本実施形態に係る粒子分散液のpHは、上記の範囲が好ましい。
本実施形態において粒子分散液のpHは、温度23±0.5℃、相対湿度55±5%の環境下で測定する。
本実施形態に係る粒子分散液の表面張力は、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、25mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。本実施形態において粒子分散液の表面張力は、ウィルヘルミー型表面張力計を用いて、温度23±0.5℃、相対湿度55±5%の環境下で測定する。
本実施形態に係る粒子分散液の粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、2mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。本実施形態において粒子分散液の粘度は、TV−20形粘度計(東機産業)を測定装置として用い、温度23±0.5℃、せん断速度1400s−1の条件で測定する。
<水性インク>
本実施形態に係る水性インクは、水性媒体と、該水性媒体に分散した粒子とを含む水性インクであり、粒子が、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物と、酸価が5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂とを含有する。
本実施形態に係る水性インクにおける、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物、特定ポリエステル樹脂、及び粒子の詳細は、本実施形態に係る粒子分散液について述べたとおりである。
本実施形態に係る水性インクは、例えば、本実施形態に係る粒子分散液そのもの;本実施形態に係る粒子分散液に、少なくとも着色剤を添加した組成物;市販の水性インクに、本実施形態に係る粒子分散液を添加した組成物;などである。
[水性媒体]
水性インクの媒体は、水、又は、水を主たる溶媒とする混合溶媒である。混合溶媒は、例えば、水と水溶性有機溶剤との混合物である。水溶性有機溶剤としては、アルコール、多価アルコール、多価アルコール誘導体、含窒素溶剤、含硫黄溶剤などが挙げられる。水性インクにおける水及び水溶性有機溶剤の詳細は、粒子分散液について述べたのと同様である。
水の含有量は、水性インクの全質量に対して、40質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。
水溶性有機溶剤の含有量は、水性インクの全質量に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
[着色剤]
着色剤としては、顔料又は染料が挙げられ、画像の耐光性等の観点からは顔料が好ましい。
着色剤として顔料を使用する場合は、併せて顔料分散剤を用いることが好ましい。顔料分散剤としては、公知のあらゆる、高分子分散剤、界面活性剤等が挙げられる。顔料分散剤は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。顔料分散剤の含有量は、顔料の種類及び顔料分散剤の種類により異なるため一概には言えないが、顔料の含有量に対して0.1質量%以上100質量%以下がよい。
顔料としては、水に自己分散する顔料(以下「自己分散型顔料」という。)も挙げられる。自己分散型顔料とは、顔料表面に親水性基を有し、顔料分散剤が存在しなくとも水に分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料としては、例えば、顔料に対して、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化処理、還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる、公知のあらゆる自己分散型顔料が挙げられる。
顔料としては、樹脂により被覆された所謂マイクロカプセル顔料も挙げられる。市販のマイクロカプセル顔料としては、DIC社製、東洋インキ社製がある。
顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた、樹脂分散型顔料も挙げられる。
顔料としては、赤色、緑色、茶色、白色等の特定色顔料;金色、銀色等の金属光沢顔料;無色又は淡色の体質顔料;プラスチックピグメント;シリカ、アルミナ、又はポリマービード等の表面に染料又は顔料を固着させた粒子;染料の不溶レーキ化物;着色エマルジョン;着色ラテックス;なども挙げられる。
着色剤として染料を使用する場合は、染料を高分子分散剤(例えば、本開示の特定ポリエステル樹脂)と共に粒子化し、該粒子を水性インクに含ませることが好ましい。
着色剤が粒状物である場合、その体積平均粒径は、例えば、10nm以上200nm以下である。
着色剤の含有量は、水性インクの全質量に対して、1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましい。
[添加剤]
本実施形態に係る水性インクは、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ポリマー、界面活性剤、浸透剤、粘度調整剤、pH調整剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。本実施形態に係る水性インクは、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物以外の赤外線吸収能を有する化合物を含んでいてもよい。
[水性インクの物性]
水性インクに含まれる粒子の体積平均粒径は、10nm以上150nm以下が好ましく、10nm以上120nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が更に好ましい。体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性に優れ、体積平均粒径が150nm以下であることで、インクジェット方式の打滴特性に優れる。粒径分布は、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定する。
本実施形態に係る水性インクのpHは、6.5以上10.5以下が好ましく、7.0以上10.0以下がより好ましく、8.0以上10.0以下が更に好ましい。本実施形態において水性インクのpHは、温度23±0.5℃、相対湿度55±5%の環境下で測定する。
本実施形態に係る水性インクの表面張力は、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、25mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。本実施形態において水性インクの表面張力は、ウィルヘルミー型表面張力計を用いて、温度23±0.5℃、相対湿度55±5%の環境下で測定する。
本実施形態に係る水性インクの粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、2mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。本実施形態において水性インクの粘度は、TV−20形粘度計(東機産業)を測定装置として用い、温度23±0.5℃、せん断速度1400s−1の条件で測定する。
<インクカートリッジ>
本実施形態に係るインクカートリッジは、本実施形態に係る水性インクを収容したカートリッジである。本実施形態に係るインクカートリッジは、例えば、インクジェット方式の記録装置に着脱可能な形態で提供される。
<記録装置、記録方法>
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係る水性インクを収容し、該水性インクを記録媒体に付与するインク付与手段と、記録媒体に付与された水性インクに赤外線を照射する赤外線照射手段とを備える。本実施形態に係る記録装置により、本実施形態に係る水性インクを記録媒体に付与するインク付与工程と、記録媒体に付与された水性インクに赤外線を照射する赤外線照射工程とを有する記録方法が実現される。
本実施形態におけるインク付与手段としては、例えば、インクジェット方式によりインクを吐出する吐出手段;ロール、スプレー、スポンジ等による塗布手段;オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等による印刷手段;が挙げられる。
本実施形態におけるインク付与手段は、インクジェット方式によりインクを吐出する吐出手段が好適である。インクジェット方式を適用した記録装置及び記録方法は、本実施形態に係る水性インクを用いることにより、吐出安定性に優れる。
本実施形態に係る記録装置は、記録媒体に付与された水性インクを乾燥させる乾燥手段として、赤外線照射手段を備える。本実施形態に係る記録装置は、前記乾燥手段として、赤外線照射手段のほかに、加熱ロール、加熱ドラム、加熱ベルト等の接触式加熱手段;発熱体及び送風機からなる温風送風手段;これらの組合せ;を備えていてもよい。
記録媒体としては、例えば、紙;樹脂でコートされた紙;樹脂、金属、ガラス、セラミックス、シリコン、ゴム等を材料とするフィルム及び板;が挙げられる。
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係る水性インクを収容し、記録装置に着脱されるようカートリッジ化されたインクカートリッジを備えていてもよい。
以下、本実施形態に係る記録装置及び記録方法の一例について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る記録装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す記録装置12は、インクジェット方式の記録装置である。
図1に示す記録装置12は、筐体14の内部に、画像記録前の記録媒体Pを収容する容器16と、駆動ロール24及び従動ロール26に張架された無端状の搬送ベルト28と、インク付与手段の一例であるインク吐出ヘッド(インク吐出ヘッド30Y、30M、30C、30K。総称するときは、インク吐出ヘッド30という。)と、赤外線照射装置(赤外線照射装置60Y、60M、60C、60K。総称するときは、赤外線照射装置60という。)と、画像記録後の記録媒体Pを収容する容器40とを備える。
容器16と搬送ベルト28との間は、画像記録前の記録媒体Pが搬送される搬送経路22であり、搬送経路22には、記録媒体Pを容器16から1枚ずつ取り出すロール18と、記録媒体Pを搬送する複数のロール対20とが配置されている。搬送ベルト28の上流側には、帯電ロール32が配置されている。帯電ロール32は、従動ロール26との間で搬送ベルト28及び記録媒体Pを挟みつつ従動し、接地された従動ロール26との間に電位差を生じさせ、記録媒体Pに電荷を与えて搬送ベルト28に静電吸着させる。
インク吐出ヘッド30は、搬送ベルト28の平坦部分に対向して、搬送ベルト28の上方に配置されている。インク吐出ヘッド30と搬送ベルト28とが対向した領域が、インク吐出ヘッド30からインク滴が吐出される領域である。
インク吐出ヘッド30Y、30M、30C、30Kはそれぞれ、Y(イエロー)色の画像を記録するヘッド、M(マゼンタ)色の画像を記録するヘッド、C(シアン)色の画像を記録するヘッド、K(ブラック)色の画像を記録するヘッドである。インク吐出ヘッド30Y、30M、30C、30Kは、例えばこの順に、搬送ベルト28の上流側から下流側に並べられている。インク吐出ヘッド30Y、30M、30C、30Kはそれぞれ、記録装置12に着脱される各色のインクカートリッジ31Y、31M、31C、31Kと供給管(不図示)を通じて連結され、インクカートリッジから各色のインクがインク吐出ヘッドへ供給される。
インク吐出ヘッド30としては、例えば、有効な記録領域(インクを吐出するノズルの配置領域)が記録媒体Pの幅(記録媒体Pの搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状のヘッド;記録媒体Pの幅よりも短尺状のヘッドであって、記録媒体Pの幅方向に移動してインクを吐出するキャリッジ方式のヘッド;が挙げられる。
インク吐出ヘッド30が採用するインクジェット方式としては、ピエゾ素子の振動圧力を利用するピエゾ方式;静電誘引力を利用してインクを吐出する電荷制御方式;電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出する音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式;などが挙げられる。
インク吐出ヘッド30は、例えば、インク滴量10pL以上15pL以下の範囲でインク滴を吐出する低解像度用の記録ヘッド(例えば600dpiの記録ヘッド)、インク滴量10pL未満の範囲でインク滴を吐出する高解像度用の記録ヘッド(例えば1200dpiの記録ヘッド)である。dpiは「dots per inch」を意味する。
記録装置12は、4つのインク吐出ヘッドを備える形態に限られない。記録装置12は、YMCKに中間色を加えた4つ以上のインク吐出ヘッドを備える形態;1つのインク吐出ヘッドを備え1色のみの画像を記録する形態;であってもよい。
インク吐出ヘッド30の下流側には、搬送ベルト28の上方に、各色のインク吐出ヘッドごとに赤外線照射手段装置60Y、60M、60C、60Kが配置されている。赤外線照射装置60(赤外線照射手段の一例)は、記録媒体P上のインクに赤外線を照射してインクの乾燥を行う。
赤外線照射装置60の光源としては、例えば、発光ダイオード、半導体レーザ、面発光型半導体レーザ、ハロゲンランプ、キセノンランプが挙げられる。
赤外線照射装置60としては、例えば、有効な赤外線照射領域(赤外線を照射する光源の配置領域)がインク吐出ヘッド30による記録領域の幅以上とされた長尺状の赤外線照射装置;インク吐出ヘッド30による記録領域の幅よりも短尺状の赤外線照射装置であって、記録媒体Pの幅方向に移動して赤外線を照射するキャリッジ方式の赤外線照射装置;が挙げられる。
赤外線照射装置60の照射条件は、インクの赤外線吸収性能、インク中の水分量などに応じて設定する。照射条件としては、記録媒体P上に付与されたインク中の水分量を10質量%以下に乾燥させる照射条件が好ましい。具体的には、例えば、中心波長が700nm以上1200nm以下(好ましくは780nm以上980nm以下)、照射強度が0.1J/cm以上10J/cm以下(好ましくは1J/cm以上3J/cm以下)、照射時間が0.1ミリ秒以上10秒以下(好ましくは10ミリ秒以上100ミリ秒以下)である。
記録装置12は、各色のインク吐出ヘッドごとに赤外線照射装置を備える形態に限られず、最下流のインク吐出ヘッドの下流側に1つのみ赤外線照射装置を備える形態であってもよい。
記録装置12は、赤外線照射装置60と共に、インクの乾燥手段として接触式加熱手段及び温風送風手段の少なくともいずれかを備えていてもよい。接触式加熱手段又は温風送風手段は、例えば、記録媒体の表面温度を50℃以上120℃以下の範囲に上昇させる条件で乾燥を行う。
赤外線照射装置60の下流側には、駆動ロール24と対向して剥離板34が配置されている。剥離板34は、記録媒体Pを搬送ベルト28から剥離させる。
搬送ベルト28と容器40との間は、画像記録後の記録媒体Pが搬送される搬送経路36であり、搬送経路36には、記録媒体Pを搬送する複数のロール対38が配置されている。
記録装置12の動作について説明する。
画像記録前の記録媒体Pは、容器16からロール18で1枚ずつ取り出され、複数のロール対20によって搬送ベルト28へ搬送される。
次いで、記録媒体Pは、帯電ロール32によって搬送ベルト28に静電吸着され、搬送ベルト28の回転によってインク吐出ヘッド30の下方へ搬送される。
次いで、記録媒体P上に、インク吐出ヘッド30からインクが吐出され、画像が記録される。
次いで、記録媒体P上のインクに赤外線照射装置60から赤外線が照射され、インクが赤外線吸収によって発熱し、インク温度が上昇し、インクが乾燥する。
次いで、インクが乾燥し画像が固定化された記録媒体Pは、剥離板34によって搬送ベルト28から剥離され、複数のロール対38によって容器40に搬送される。
本実施形態に係る記録装置は、インク付与手段から記録媒体にインクを直接付与する形態に限られず、インク付与手段から中間転写体にインクを付与した後、中間転写体上のインクを記録媒体に転写する形態であってもよい。
本実施形態に係る記録装置は、図1に示す記録装置12を一例とする枚葉機に限られず、輪転機でもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り「部」及び「%」はすべて質量基準である。
〔実施例1〜8及び比較例1〜2〕
<一般式(I)で表される化合物の合成>
[化合物(I−a−1)の合成]
下記の反応スキームに従って化合物(I−a−1)を合成した。

三口フラスコにDean−Starkトラップ、還流冷却管、撹拌シール及び撹拌棒を設置し、反応容器とした。反応容器に2,2,8,8−テトラメチル−3,6−ノナジイン−5−オールとシクロヘキサンを入れた。酸化マンガン(IV)の粉末を加え、スリーワンモータで撹拌し、加熱還流させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。薄層クロマトグラフィーで2,2,8,8−テトラメチル−3,6−ノナジイン−5−オールの残存がないことを確認した。反応混合物を放冷後、減圧濾過し、黄色の濾液(F1)を得た。濾別した固体を別の容器に移して酢酸エチルを添加し、超音波分散して濾過する作業を4回繰り返し、酢酸エチル抽出液(F2)を得た。酢酸エチル抽出液(F2)と濾液(F1)とを混合し、ロータリーエバポレータ、次いで真空ポンプで濃縮し、オレンジ色の液体を得た。オレンジ色の液体を減圧蒸留し、淡黄色液体(中間体1)を得た。
三口フラスコに温度計及び滴下ロートを設置し、反応容器とした。エタノールに一硫化水素ナトリウムn水和物を加え、室温(20℃)下で溶解するまで撹拌した後、氷水で冷却した。内温が5℃になったところで、中間体1とエタノールの混合液を少しずつ滴下した。滴下により液が黄色からオレンジ色に変化した。発熱により内温が上昇するため、滴下量を調整しながら、内温5℃以上7℃以下の範囲で滴下した。その後、氷水バスを外し、室温(20℃)下で自然昇温させながら撹拌した。反応液に水を投入し、ロータリーエバポレータでエタノールを除去した。その後、飽和するまで食塩を加え、酢酸エチルで分液して有機相を回収した。有機相を飽和塩化アンモニウムで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後、減圧濃縮し、茶色の液体を回収した。茶色の液体を減圧蒸留した。200℃から留分が出始めるが、初留は目的とする成分の純度が低いので、蒸気量が増えたところで本留とした。黄色液体(中間体2)が蒸留された。
三口フラスコに撹拌棒と中間体2とを入れ、窒素導入管及び還流冷却器を付け、窒素置換した。窒素雰囲気下、無水テトラヒドロフランを注射器で加え、室温(20℃)下で撹拌しながら臭化メチルマグネシウムの1Mテトラヒドロフラン溶液を注射器で滴下した。滴下終了後、この反応液を加熱撹拌し、還流させた。窒素雰囲気下、反応液を放冷後、氷水浴にて冷却しながら、臭化アンモニウムを水に溶かした溶液を滴下した。反応混合物をさらに室温(20℃)にて撹拌した後、n−ヘキサンを加え、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、n−ヘキサン/テトラヒドロフラン溶液を注射筒で取出し、無機層を酢酸エチルで洗浄し抽出液を得た。n−ヘキサン/テトラヒドロフラン溶液と無機層からの抽出液とを混合し、減圧濃縮後真空乾燥し、中間体3を得た。
窒素雰囲気下、中間体3及びスクアリン酸を、シクロヘキサンとイソブタノールとの混合溶媒に分散し、ピリジンを加えて加熱還流させた。その後、イソブタノールを追加し、反応混合物をさらに加熱還流させた。反応中に生じた水を共沸蒸留により除去した。反応混合物を放冷後、減圧濾過し、難溶物を除去した。濾液をロータリーエバポレータで濃縮した。残渣にメタノールを添加し、40℃に加熱後、−10℃に冷却した。濾過にて結晶を得て、これを真空乾燥し、化合物(I−a−1)を得た。
[化合物(I−a−4)の合成]
化合物(I−a−1)の合成において、2,2,8,8−テトラメチル−3,6−ノナジイン−5−オールの代わりに2,8−ジメチル−3,6−ノナジイン−5−オールを使用したこと以外は同様の手順で、化合物(I−a−4)を合成した。
<ポリエステル樹脂の合成>
[ポリエステル樹脂P05の合成]
・テレフタル酸ジメチル97.1部
・イソフタル酸ジメチル97.1部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物158.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物172.2部
撹拌機及び蒸留管を装着した三口フラスコに、上記の原料モノマーと、縮合触媒として酢酸カルシウム0.1部及び酸化アンチモン(III)0.1部を入れ、窒素気流下、生成するメタノール及びエチレングリコールを留去しつつ昇温し、150℃に保ちながら30分間撹拌し、さらに190℃に保ちながら1時間撹拌した。次いで、温度を150℃に下げ、撹拌下、ポンプにより反応系内を徐々に減圧し、反応系内の圧力を10Pa以上40Pa以下の範囲に保ちながら、エチレングリコールを留去しつつ反応系内を昇温し、250℃でさらに3時間反応させた。生成物をそのまま取り出して冷却し、ポリエステル樹脂P05を462部得た。
ポリエステル樹脂P05は、重量平均分子量(Mw)18,000、酸価13mgKOH/gであった。
[ポリエステル樹脂P03の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P05の合成と同様にしてポリエステル樹脂P03を得た。
・テレフタル酸ジメチル135.9部
・イソフタル酸ジメチル58.2部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物316.4部
[ポリエステル樹脂P04の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P05の合成と同様にしてポリエステル樹脂P04を得た。
・テレフタル酸ジメチル184.5部
・5−スルホイソフタル酸ナトリウム13部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物158.2部
・エチレングリコール33部
[ポリエステル樹脂P08の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P05の合成と同様にしてポリエステル樹脂P08を得た。
・テレフタル酸ジメチル194.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物275.5部
・ネオペンチルグリコール20.8部
[ポリエステル樹脂P09の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P05の合成と同様にしてポリエステル樹脂P09を得た。
・テレフタル酸ジメチル97.1部
・イソフタル酸ジメチル97.1部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物120.5部
・ネオペンチルグリコール68部
[ポリエステル樹脂PH01の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P05の合成と同様にしてポリエステル樹脂PH01を得た。
・テレフタル酸ジメチル97.1部
・イソフタル酸ジメチル97.1部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物79部
・ネオペンチルグリコール79部
[ポリエステル樹脂PS01の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P05の合成と同様にしてポリエステル樹脂PS01を得た。
・ドデセニルコハク酸無水物106部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物275.5部
・ネオペンチルグリコール20.8部
・フマル酸67部
<粒子分散液の製造>
[粒子分散液AD−1の製造]
化合物(I−a−1)であるスクアリリウム化合物0.3部をフラスコに入れた。そこに、テトラヒドロフラン14部を加え、撹拌子を入れて撹拌した。次いで、10部のポリエステル樹脂P05を加え、さらにメチルエチルケトン25部を加えて撹拌し、混合した。次いで、水酸化ナトリウムの10質量%水溶液を、ポリエステル樹脂P05に含まれる全カルボキシ基の0.9当量(中和度90%)、撹拌しながら加えた。次いで、撹拌を続けながら水130部を徐々に添加し、水を混合した。混合液が均一に近い状態になった後、フラスコに蒸留管と減圧ポンプを付け、40℃以上50℃以下となるように混合液を加熱して撹拌しながら減圧し、有機溶剤と水の一部を留去した。有機溶剤を水に置換しながら濃縮する操作を、材料から換算した固形分濃度が12質量%を超えないように水の添加量を調節しながら、有機溶剤臭が無くなるまで繰り返した。濃縮液を230メッシュのナイロンメッシュで濾過し、粒子分散液を得た。
この粒子分散液について、下記(収率の測定)に記載の方法によって、固形分量を測定し、収率を求めた。測定した固形分量に基づいて、この粒子分散液に水を添加して固形分濃度を10質量%に調製し、粒子分散液AD−1とした。粒子分散液の製造に用いた化合物(I−a−1)の量及びポリエステル樹脂量から換算すると、粒子分散液AD−1における化合物(I−a−1)の濃度は0.29質量%であった。
(収率の測定)
粒子分散液の一部を大気圧下120℃で2時間加熱して乾燥させ、固形分量(質量)を測定し、下記の式に従って収率を求めた。
〔式〕:粒子分散液の固形分量÷(粒子分散液の製造に用いた化合物量+粒子分散液の製造に用いたポリマー溶液の固形分量+粒子分散液の製造過程で中和に用いた水酸化ナトリウムの質量)×100
[粒子分散液AD−2〜AD−7、AD−9〜AD−10の製造]
表1に従って、ポリエステル樹脂(ポリマー)の種類、及び中和度(ポリエステル樹脂に含まれる全酸性基に対する水酸化ナトリウムの添加量の当量比(%))、並びに化合物を変更した以外は、粒子分散液AD−1の製造と同様にして、各粒子分散液を得た。
[粒子分散液AD−8の製造]
粒子分散液AD−1の製造において、化合物(I−a−1)0.3部の代わりに、化合物(I−b−2)0.65部を用いる以外は、粒子分散液AD−1の製造と同様にして、粒子分散液AD−8を得た。
表1中の「I−a−4」は化合物(I−a−4)であり、「I−b−2」は化合物(I−b−2)であり、「II」は下記構造式で表される化合物(II)である。

<水性インクの調製>
(シアン分散液の調液)
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成製)4部、プレンマーPP−500(日油(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部の混合溶液を調液した。
一方、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成製)9部、プレンマーPP−500(日油(株)製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部からなる混合溶液を調液し、滴下ロートに入れた。
次いで、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、水不溶性ポリマー分散剤のメチルエチルケトン溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマー分散剤溶液の一部について、溶媒を除去することによって単離し、得られた固形分をテトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈し、GPCにて重量平均分子量を測定した。その結果、単離された固形分は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が25,000であった。
また、得られた水不溶性ポリマー分散剤溶液を固形分換算で5.0g、シアン顔料ピグメントブルー15:3(大日精化製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L水酸化ナトリウム8.0g、イオン交換水82.0g、及び0.1mmジルコニアビーズ300gをベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス製)で1000rpm6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが十分留去できるまで減圧濃縮し、顔料濃度が10%になるまで濃縮し、水不溶性ポリマー分散剤で表面が被覆された顔料よりなる水不溶性着色粒子として、シアン分散液CD1を得た。得られたシアン分散液の平均粒径は77nmであった。
(シアンインクC−1の調液)
下記のインク組成になるようにインクを調液した。調液後5μmフィルターで粗大粒子を除去し、水性インク組成物としてシアンインクC−1を調製した。
・シアン分散液CD1・・・6%
・粒子分散液AD−1(固形分換算)・・2%
・プロピレングリコール(和光純薬製)・・・25%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル・・3%
・オルフィンE1010(日信化学工業製)・・・0.7%
・オルフィンE1004(日信化学工業製)・・・0.3%
・イオン交換水・・・合計が100%となるように添加
(シアンインクC−2〜10の調液)
上記シアンインクC−1の調液において、粒子分散液AD−1を粒子分散液AD−2〜AD−10に変更した以外は、シアンインクC−1の製造と同様にして、シアンインクC−2〜10を得た。
[評価]
・赤外線吸収性能の測定
以下の方法により、赤外線吸収性能を測定した。
粒子分散液(固形分濃度約10質量%)を蒸留水にて1200倍に希釈し、光路長1.00cmのセルを用いて波長818nmにおける赤外線吸収量を、分光光度計(日立製作所、U−4100)を用いて測定した。得られた吸収強度に対し、希釈倍率及び元の固形分濃度を考慮することで固形分濃度5.0質量%換算に補正した吸収強度を算出し、その値を赤外線吸収性能とした。
・印字試験(乾燥性評価)
製造直後のシアンインクC−1〜C−10を、エプソン社製インクジェットプリンターPX−1004のカートリッジに詰め替え、特菱アート両面N(三菱製紙)にインクジェットプリンターPX−1004で印字したところ、シアンインクC−1〜C−10の全てにおいて、吐出不良がなく良好な印字が行えた。
次いで、得られた画像について、中心波長810nm、照射強度3J/cm、照射時間200ミリ秒の条件で赤外線照射を行い、下記のとおり分類した。
−評価基準−
A(○)…にじみのない画像がえられた
B(×)…にじみが発生した
・インク保管性
得られたシアンインクC−1〜C−10を温度60℃下で10日間保管した。保管後の沈殿の有無を観察し、下記のとおり分類した。尚、沈殿物は化合物を主体とする成分であった。
−評価基準−
A(○)…沈殿(析出物)が発生しない
B(△)…沈殿(析出物)がわずかに発生した
C(×)…沈殿(析出物)が発生した

表1に示す通り、ポリエステル樹脂中における一般式(F1)で表される単位の含有量が20質量%以上である実施例1〜8では、該含有量が20質量%未満である比較例1に比べて、沈殿物(析出物)の発生が抑制されていることが分かる。
〔実施例9〜17及び比較例3〜4〕
<ポリエステル樹脂の合成>
[ポリエステル樹脂P111の合成]
・テレフタル酸ジメチル 184.5部
・トリメリット酸無水物 9.6部
・エチレングリコール 6.5部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物 284.8部
撹拌機及び蒸留管を装着した三口フラスコに、上記の原料モノマーと、縮合触媒として酢酸カルシウム0.1部及び酸化アンチモン(III)0.1部を入れ、窒素気流下、生成するメタノール及びエチレングリコールを留去しつつ昇温し、150℃に保ちながら30分間撹拌し、さらに190℃に保ちながら1時間撹拌した。次いで、温度を150℃に下げ、撹拌下、ポンプにより反応系内を徐々に減圧し、反応系内の圧力を10Pa以上40Pa以下の範囲に保ちながら反応系内を昇温し、250℃でさらに3時間反応させ、フローテスターにより定めた軟化温度に達したことを確認し、反応を終了した。
得られたポリエステル樹脂P111の特性値(ガラス転移温度Tg、軟化温度Tm、一般式(F1)で表される単位の含有量)を表2及び表3に示す。
[ポリエステル樹脂P112の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂P112を得た。
・テレフタル酸ジメチル 188.4部
・トリメリット酸無水物 5.8部
・エチレングリコール 26.0部
・グリセリン 9.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 172.2部
[ポリエステル樹脂P113の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂P113を得た。
・テレフタル酸ジメチル 87.4部
・イソフタル酸ジメチル 87.4部
・トリメリット酸無水物 15.4部
・ドデセニルコハク酸 5.3部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物 158.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 172.2部
[ポリエステル樹脂P113−1の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂P113−1を得た。
・テレフタル酸ジメチル 66.0部
・イソフタル酸ジメチル 66.0部
・トリメリット酸無水物 3.8部
・ドデセニルコハク酸 79.8部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物 158.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 172.2部
[ポリエステル樹脂P113−2の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂P113−2を得た。
・テレフタル酸ジメチル 68.0部
・イソフタル酸ジメチル 68.0部
・トリメリット酸無水物 15.4部
・ドデセニルコハク酸 58.5部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物 126.6部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 206.7部
[ポリエステル樹脂P121の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂P121を得た。
・テレフタル酸ジメチル 116.5部
・トリメリット酸無水物 1.9部
・ドデセニルコハク酸 103.7部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物 158.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 172.2部
[ポリエステル樹脂P122の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂P122を得た。
・テレフタル酸ジメチル 190.3部
・トリメリット酸無水物 3.8部
・ビスフェノールAエチレンオキシド2mol付加物 158.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 172.2部
[ポリエステル樹脂PH101の合成]
原料モノマーを下記のものに変更した以外は、ポリエステル樹脂P111の合成と同様にしてポリエステル樹脂PH101を得た。
・テレフタル酸ジメチル 188.4部
・トリメリット酸無水物 5.8部
・エチレングリコール 44.3部
・グリセリン 9.2部
・ビスフェノールAプロピレンオキシド2mol付加物 86.1部
<粒子分散液の製造>
[粒子分散液AD−101の製造]
化合物(I−a−1)であるスクアリリウム化合物0.3部をフラスコに入れた。そこに、テトラヒドロフラン14部を加え、撹拌子を入れて撹拌した。次いで、10部のポリエステル樹脂P111を加え、さらにメチルエチルケトン25部を加えて撹拌し、混合した。次いで、水酸化ナトリウムの10質量%水溶液を、ポリエステル樹脂P111に含まれる全カルボキシ基の0.85当量(中和度85%)、撹拌しながら加えた。次いで、撹拌を続けながら水130部を徐々に添加し、水を混合した。混合液が均一に近い状態になった後、フラスコに蒸留管と減圧ポンプを付け、40℃以上50℃以下となるように混合液を加熱して撹拌しながら減圧し、有機溶剤と水の一部を留去した。有機溶剤を水に置換しながら濃縮する操作を、材料から換算した固形分濃度が12質量%を超えないように水の添加量を調節しながら、有機溶剤臭が無くなるまで繰り返した。濃縮液を230メッシュのナイロンメッシュで濾過し、粒子分散液を得た。
この粒子分散液について、前述の(収率の測定)に記載の方法によって、固形分量を測定し、収率を求めた。測定した固形分量に基づいて、この粒子分散液に水を添加して固形分濃度を10質量%に調製し、粒子分散液AD−101とした。粒子分散液の製造に用いた化合物(I−a−1)の量及びポリエステル樹脂量から換算すると、粒子分散液AD−101における化合物(I−a−1)の濃度は0.29質量%であった。
[粒子分散液AD−102〜AD−106、AD−108〜AD−111の製造]
表2及び表3に従って、ポリエステル樹脂(ポリマー)の種類、及び化合物を変更した以外は、粒子分散液AD−101の製造と同様にして、各粒子分散液を得た。
[粒子分散液AD−107の製造]
粒子分散液AD−101の製造において、化合物(I−a−1)0.3部の代わりに、化合物(I−b−2)0.65部を用いる以外は、粒子分散液AD−101の製造と同様にして、粒子分散液AD−107を得た。
表2及び表3中の「I−a−4」は化合物(I−a−4)であり、「I−b−2」は化合物(I−b−2)であり、「II」は前述の構造式で表される化合物(II)である。
(シアンインクC−101の調液)
下記のインク組成になるようにインクを調液した。調液後5μmフィルターで粗大粒子を除去し、水性インク組成物としてシアンインクC−101を調製した。
・前述のシアン分散液CD1・・・6%
・粒子分散液AD−101(固形分換算)・・2%
・プロピレングリコール(和光純薬製)・・・25%
・プロピレングリコールモノブチルエーテル・・3%
・オルフィンE1010(日信化学工業製)・・・0.7%
・オルフィンE1004(日信化学工業製)・・・0.3%
・イオン交換水・・・合計が100%となるように添加
(シアンインクC−102〜111の調液)
上記シアンインクC−101の調液において、粒子分散液AD−101を粒子分散液AD−102〜AD−111に変更した以外は、シアンインクC−101の製造と同様にして、シアンインクC−102〜111を得た。
[評価]
・赤外線吸収性能の測定
粒子分散液(固形分濃度約10質量%)を60℃で1日保管した後、蒸留水にて1800倍に希釈し、光路長1cmのセルを用いて波長818nmにおける赤外線吸収量を、分光光度計(日立製作所、U−4100)を用いて測定し、波長818nmにおけるabsorbanceの値を求めた。
−評価基準−
A(○):absorbance0.6以上
B(△):absorbance0.4以上、0.6未満
C(×):absorbance0.4未満
・クリース
製造直後のシアンインクC−101〜C−111を、エプソン社製インクジェットプリンターPX−1004のカートリッジに詰め替え、特菱アート両面N(三菱製紙)にインクジェットプリンターPX−1004で全面画像を印字(印字条件:添付のプリンタードライバーで印字)したところ、シアンインクC−101〜C−111の全てにおいて、吐出不良がなく良好な印字が行えた。
次いで、印字画像面を谷折りして、折れ目部の画像のはがれ度合いを観察し、画像がはがれた結果として、折れ目部に現れる用紙の幅を観察し、下記のとおり分類した。
−評価基準−
A(○):幅が見られない
B(△):一部分で幅が見られる
C(×):明らかに幅が見られる
・インク保管性
前述の「インク保管性」の評価をおこなった。
以上の結果を、表2及び表3に示す。


表2及び表3に示す通り、ポリエステル樹脂中における一般式(F1)で表される単位の含有量が20質量%以上である実施例9〜17では、該含有量が20質量%未満である比較例3に比べて、沈殿物(析出物)の発生が抑制されていることが分かる。
また、表2及び表3に示す通り、一般式(F1)で表される単位の含有量が20質量%以上であり、かつガラス転移温度Tgが60℃以上85℃以下、軟化温度Tmが130℃以上160℃以下であるポリエステル樹脂を用いた実施例9〜15では、ガラス転移温度Tgが60℃未満である実施例16、及び軟化温度Tmが130℃未満である実施例17に比べて、強度に優れた画像が形成できることが分かる。
12 記録装置
14 筐体
16 容器
18 ロール
20 ロール対
22 搬送経路
24 駆動ロール
26 従動ロール
28 搬送ベルト
30Y,30M,30C,30K インク吐出ヘッド(インク付与手段の一例)
31Y,31M,31C,31K インクカートリッジ
32 帯電ロール
34 剥離板
36 搬送経路
38 ロール対
40 容器
60Y,60M,60C,60K 赤外線照射装置(赤外線照射手段の一例)
P 記録媒体

Claims (8)

  1. 水性媒体、及び、
    前記水性媒体に分散され、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含み、下記一般式(F1)で表される単位を、樹脂中に20質量%以上含むポリエステル樹脂と、を含有する粒子、
    を含む粒子分散液。


    (一般式(I)中、R1a、R1b、R1c及びR1dはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。
    一般式(II)中、R2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立にアルキル基を表す。R2aとR2b及びR2cとR2dはそれぞれ独立に連結して環を形成していてもよい。)


    (一般式(F1)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に水素、メチル基、又はエチル基を表し、Rf3及びRf4はメチル基を表し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
  2. 前記一般式(F1)で表される単位が、下記一般式(F2)で表される単位である請求項1に記載の粒子分散液。

  3. 前記ポリエステル樹脂が、前記一般式(F1)で表される単位となる構造を有するジオール化合物と、芳香環を分子構造中に有するジカルボン酸化合物と、の重合体である請求項1又は請求項2に記載の粒子分散液。
  4. 前記ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度Tgが60℃以上85℃以下であり、軟化温度Tmが130℃以上160℃以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粒子分散液。
  5. 水性媒体、及び、
    前記水性媒体に分散され、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも一種含み、下記一般式(F1)で表される単位を、樹脂中に20質量%以上含むポリエステル樹脂と、を含有する粒子、
    を含む水性インク。


    (一般式(I)中、R1a、R1b、R1c及びR1dはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。
    一般式(II)中、R2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立にアルキル基を表す。R2aとR2b及びR2cとR2dはそれぞれ独立に連結して環を形成していてもよい。)


    (一般式(F1)中、Rf1及びRf2はそれぞれ独立に水素、メチル基、又はエチル基を表し、Rf3及びRf4はメチル基を表し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
  6. 請求項5に記載の水性インクを収容したインクカートリッジ。
  7. 請求項5に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体に付与するインク付与手段と、
    前記記録媒体に付与された前記水性インクに赤外線を照射する赤外線照射手段と、
    を備える記録装置。
  8. 請求項5に記載の水性インクを記録媒体に付与するインク付与工程と、
    前記記録媒体に付与された前記水性インクに赤外線を照射する赤外線照射工程と、
    を有する記録方法。
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