JP2002169333A - 電子写真用球形トナーの製造方法および電子写真用球形トナー - Google Patents

電子写真用球形トナーの製造方法および電子写真用球形トナー

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JP2002169333A
JP2002169333A JP2000364926A JP2000364926A JP2002169333A JP 2002169333 A JP2002169333 A JP 2002169333A JP 2000364926 A JP2000364926 A JP 2000364926A JP 2000364926 A JP2000364926 A JP 2000364926A JP 2002169333 A JP2002169333 A JP 2002169333A
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toner
polyester resin
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Shigeki Matsui
茂樹 松井
Hideki Watanabe
英樹 渡邉
Takayuki Kanematsu
孝之 兼松
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温定着性と高温での耐オフセット性に
優れ、粒度分布が狭く、現像機中での過粉砕による画像
劣化が起こり難い電子写真用球形トナーとその製造方法
を提供すること。 【解決手段】 重量平均分子量が30,000〜50
0,000で、カルボキシル基と、それ以外のイオン性
基(a1)とを併有するポリエステル系樹脂(A)と、
着色剤(B)とからなる着色樹脂溶融体(I)を、該着
色樹脂溶融体(I)の溶融状態を維持しつつ水性媒体
(II)中に分散させ、次いで冷却し、乾燥する電子写真
用球形トナーの製造方法、および、該ポリエステル樹脂
(A)と、着色剤(B)とを必須成分として含有してな
る電子写真用球形トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真法、静電記
録、静電印刷等の技術分野において用いられる電子写真
用球形トナーの製造方法および電子写真用球形トナーに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真の分野においては、画像
形成のために使用される着色剤(以下「トナー」とい
う。)を構成するバインダーとして、スチレン−アクリ
ル共重合体やポリエステル樹脂等、種々のものが用いら
れている。かかるトナーは、その大部分は機械的粉砕方
法および分級工程を経て数μmの平均粒子径を有する粉
体に調整され実用に供される。このような機械的粉砕法
によるトナーに関しては、粉砕に必要なエネルギーが多
大でコスト面で不利であること、製造されるトナー粉の
形状が不規則的かつ尖点を有するので、その部分が現像
機中で過粉砕されて微粉となり画像劣化の原因となるこ
と(耐久性に劣ること)、画像品質の向上のため小粒径
化した場合、トナーの流動性が極端に悪化する等種々の
問題点を有している。
【0003】これらの問題点を解消する手段として、転
相乳化法による小粒径球形トナーの製造方法(特開平8
−211655号公報)が提案されているが、この技術
は揮発性の有機溶剤を使用するため環境衛生上好ましく
なく、また転相乳化後に溶剤を除去回収する工程や、転
相の際に生じる乳化ロスの回収処理をする工程が必要で
あって、プロセス全体が複雑なものとなる等の難点があ
る。さらに転相乳化法により得られるトナーから完全に
溶剤を除去することは、実際上は困難であり、かかるト
ナーをオフィス環境等で使用するには臭気や衛生上の難
点がある。
【0004】また、有機溶剤を用いずに機械的剪断力に
より、主としてポリエステル系樹脂と着色剤とからなる
着色樹脂溶融体を、この着色樹脂溶融体の溶融状態を維
持しつつ、機械的剪断力により水性媒体中に分散させ、
次いで冷却し、乾燥する、小粒径球形トナーの製造方法
が特開平9−311502号公報に開示されているが、
トナーとしての適切な粒子径および粒子径分布を有する
ものを得ようとすると、使用できる樹脂の分子量に限界
があり、例えば高分子量のポリエステル樹脂を使用した
場合は微粒化が困難となり、粒子形状も楕円や繭状の
他、ひも状の微粒子の存在も見られるようになり、その
結果トナーとして適性を欠くものとなっていた。
【0005】一方、近年複写機またはプリンターの高速
化等に関連し、低エネルギー化、低ロール圧力化等が望
まれており、従って使用される電子写真トナーには、定
着温度が低く、かつ高温側の耐オフセット性に優れるこ
とが要求されている。このオフセットとは、特にロール
温度が高温になった場合、紙等の被定着物に定着された
トナーの一部がロールに付着し、さらにそれが再び当該
被定着物に転写されることで画像が汚染されることをい
い、このオフセット現象を防ぐ為、バインダーの分子量
分布を広くする方法や、バインダーを部分的に架橋させ
る方法が行われてきたが、これまでの方法では、トナー
の最低定着温度も上昇し、低温定着性と耐オフセット性
の両立を図ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、低温定着性に優れ、かつ高温での耐オフセ
ット性において実用上なんら問題を発生せず、現像機中
での過粉砕による画像劣化が起こり難い球形トナー、お
よび、低温定着性に優れ、かつ高温での耐オフセット性
において実用上なんら問題を発生せず、粒度分布が狭
く、現像機中での過粉砕による画像劣化が起こり難い球
形トナーの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解消すべく鋭意改良研究を行った結果、GPC(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー)法による重量
平均分子量が30,000〜500,000で、かつ、
カルボキシル基と、それ以外のイオン性基(a1)、例
えばスルホン酸基および/またはスルホン酸塩の基とを
併有するポリエステル樹脂(A)と、着色剤(B)とを
必須の成分としてなる球形トナーが、低温での定着性と
高温での耐オフセット性に優れ、現像機中での過粉砕に
よる画像劣化が起こり難いトナーであること、該ポリエ
ステル樹脂(A)と該着色剤(B)とを必須の成分とし
て含有する着色樹脂溶融体(I)を、該着色樹脂溶融体
(I)の溶融状態を維持しつつ、塩基性化合物(C)を
含有する水性媒体(II)中に分散させ、次いで冷却し、
乾燥するすることにより、低温での定着性と高温での耐
オフセット性に優れ、粒度分布が狭く、現像機中での過
粉砕による画像劣化が起こり難いトナーが容易に得られ
ること等を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、 1.GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)法による重量平均分子量が30,000〜500,
000で、かつ、カルボキシル基と、それ以外のイオン
性基(a1)とを併有するポリエステル樹脂(A)と、
着色剤(B)とからなる着色樹脂溶融体(I)を、該着
色樹脂溶融体(I)の溶融状態を維持しつつ、塩基性化
合物(C)を含有する水性媒体(II)中に分散させ、次
いで冷却し、乾燥することを特徴とする、電子写真用球
形トナーの製造方法、 2.イオン性基(a1)が、スルホン酸基および/また
はスルホン酸塩の基である、上記1記載の電子写真用球
形トナーの製造方法、 3.スルホン酸塩が、スルホン酸とアルカリ金属との塩
である、上記2記載の電子写真用球形トナーの製造方
法、 4.ポリエステル樹脂(A)中のイオン性基(a1)の
量が、ポリエステル樹脂(A)1,000gあたり0.
001〜0.7当量である、上記1、2または3記載の
電子写真用球形トナーの製造方法、 5.ポリエステル樹脂(A)の酸価が5〜100mgK
OH/gである、上記1〜4のいずれか1つに記載の電
子写真用球形トナーの製造方法、 6.スリットを有するリング上の突起を備えた固定子
と、スリットを有するリング上の突起を備えた回転子と
が、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けら
れた構造を有する回転型連続分散装置を用い、この分散
機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶融体
(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回転さ
せながら該スリットと該間隙とを通して中心部分から外
周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)中に
着色樹脂溶融体(I)を分散させる、上記1〜5のいず
れか1つに記載の電子写真用球形トナーの製造方法、
【0009】7.GPC法による重量平均分子量が3
0,000〜500,000で、かつ、カルボキシル基
と、それ以外のイオン性基(a1)とを併有するポリエ
ステル樹脂(A)と、着色剤(B)とを必須成分として
含有してなることを特徴とする、電子写真用球形トナ
ー、 8.イオン性基(a1)が、スルホン酸基および/また
はその塩である、上記7記載の電子写真用球形トナー、 9.スルホン酸の塩が、スルホン酸基とアルカリ金属と
の塩である、上記8記載の電子写真用球形トナー、 10.ポリエステル樹脂(A)中のイオン性基(a1)
の量が、ポリエステル樹脂(A)1,000gあたり
0.001〜0.7当量である、上記7、8または9記
載の電子写真用球形トナー、および、 11.ポリエステル樹脂(A)の酸価が5〜100mg
KOH/gである、上記7〜10のいずれか1つに記載
の電子写真用球形トナー、を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の電子写真用球形ト
ナーの製造方法について説明する。まずは、本発明で使
用するカルボキシル基と、それ以外のイオン性基(a
1)とを併有するポリエステル樹脂(A)について説明
する。
【0011】本発明で使用するカルボキシル基と、それ
以外のイオン性基(a1)とを併有するポリエステル樹
脂(A)中のイオン性基(a1)とは、水性媒体中でイ
オンを形成することができる極性基であり、アニオン性
基やカチオン性基を示す。そして、ポリエステル樹脂
(A)中に導入されるイオン性基(a1)はアニオン性
基およびカチオン性基からなる群から選ばれる少なくと
も1種のイオン性基であり、それぞれの単独であっても
よいし、安定性をおとさない範囲でアニオン性基とカチ
オン性基とを併用しても構わない。
【0012】アニオン性基としては、特に代表的なもの
を例示すれば、スルホン酸基、スルフィン酸基、燐酸
基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、ホスホン酸基や、
それらのアンモニウム塩や金属塩の基、さらにはカルボ
キシル基のアンモニウム塩や金属塩の基等が挙げられる
し、カチオン性基としては、1級アミノ基、2級アミノ
基、3級アミノ基などが挙げられるが、これらの中で
も、特に造粒性が優れることから、なかでも、アニオン
性基であるスルホン酸基やスルホン酸塩の基が好まし
く、さらにスルホン酸金属塩の基が特に好ましい。そし
て、ここで用いる金属の塩としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、
Cu、Fe等の金属との塩が挙げられ、なかでもアルカ
リ金属であるLi、Naの塩が球形粒子を得る上で好適
である。
【0013】次に、ポリエステル樹脂(A)の調製方法
について説明する。本発明で使用するポリエステル樹脂
(A)は、例えば、イオン性基含有化合物(a2)と、
ポリエステル樹脂を調製する際に使用される公知慣用の
原料を使用して、公知慣用の製造方法により調製するこ
とができる。
【0014】例えば、上記イオン性基含有化合物(a
2)を必須の成分とし、その他の原料には、ジカルボン
酸等の多塩基酸、その無水物もしくはその低級アルキル
エステル等の反応性誘導体などのような多塩基酸類と、
ジオールなどのような多価アルコール類とを使用して脱
水縮合させる等の製造方法が挙げられる。
【0015】その際に使用される上記イオン性基含有化
合物(a2)として特に代表的なものを例示すれば、ス
ルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スル
ホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン
酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、オルト
スルホ安息香酸、メタスルホ安息香酸、パラスルホ安息
香酸、ならびに、これらの金属塩(Li、Na、K、M
g、Ca、Cu、Fe等との塩)等を挙げることができ
る。そして上記化合物(a2)は単独で使用してもよい
し、2種類以上の併用でも構わない。
【0016】そして、ポリエステル樹脂(A)の調製に
おいて、上記イオン性基含有化合物(a2)と共に、そ
の他の原料として使用される多塩基酸類や多価アルコー
ル類としては、例えば、以下のものが好適に用いられる
【0017】ジカルボン酸としては、例えば、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、デカン−1,
10−ジカルボン酸等の脂肪族二塩基酸;フタル酸、無
水フタル酸、テトラヒドロフタル酸およびその無水物、
ヘキサヒドロフタル酸およびその無水物、テトラブロム
フタル酸およびその無水物、テトラクロルフタル酸およ
びその無水物、ヘット酸およびその無水物、ハイミック
酸およびその無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等の芳香族または脂環族の二塩基酸類;などが挙
げられる。
【0018】また、一分子中に3個以上のカルボキシル
基を有するカルボン酸およびその反応性誘導体も3官能
以上の多塩基酸類として使用することができる。
【0019】これらの代表的なものを挙げると、トリメ
リット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセン
トリカルボン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸
無水物、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げ
られる。
【0020】これらの多塩基酸類は、それぞれ単独で使
用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
【0021】さらに、上記した多塩基酸類は、そのカル
ボキシル基の一部または全部がアルキルエステル、アル
ケニルエステルまたはアリールエステルとなっているも
のも使用できる。
【0022】また、ポリエステル樹脂(A)を調製する
際に原料成分として、例えば、ジメチロールプロピオン
酸、ジメチロールブタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸
のような、1分子中に水酸基とカルボキシル基を併有す
る化合物あるいはそれらの反応性誘導体も使用できる。
【0023】さらに、安息香酸、p−tert−ブチル
安息香酸のような一塩基酸も本発明の効果を損なわない
範囲内で併用することができる。
【0024】次に、多価アルコール類として使用できる
代表的なものを挙げると、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の
脂肪族ジオール類;ビスフェノールA、ビスフェノール
F等のビスフェノール類;ビスフェノールAのエチレン
オキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサ
イド付加物;キシリレンジグリコール、シクロヘキサン
ジメタノール、水添ビスフェノールA等のアラルキレン
グリコールまたは脂環族のジオール類;などがある。
【0025】また、フェニルグリシジルエーテル、「カ
ージュラE10」〔シェルケミカル社製分岐脂肪酸のモ
ノグリシジルエステル〕等のモノエポキシ化合物もかか
るジオール類として使用することができる。
【0026】多価アルコール類として、3個以上の水酸
基を有する化合物も使用することができ、その代表的な
ものとして、グリセリン、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、ソルビトール、1,2,3,6−
ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチルプロ
パントリオール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼ
ン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
等がある。
【0027】また、次に示すようなポリエポキシ化合物
も3官能以上の原料成分としての多価アルコール類とし
て使用することができる。例えば、エチレングリコー
ル、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水添ビスフ
ェノールA等の如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ポリ
オールのポリグリシジルエーテル類;
【0028】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノール
F等の如き、各種のフェノール性水酸基の2個を含有す
る化合物のポリグリシジルエーテル類;上記したフェノ
ール性水酸基の2個を含有する化合物のエチレンオキシ
ドもしくはプロピレンオキシド付加体等の如き誘導体の
ジグリシジルエーテル類;
【0029】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等の如き、
各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテ
ル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテ
トラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、
テレフタル酸、トリメリット酸等の如き、各種の脂肪族
ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステ
ル類;
【0030】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネン、
ビニルシクロヘキセン等の如き、各種の炭化水素系ジエ
ンのビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカル
ボキシレート等の如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合
物;ポリブタジエン、ポリイソプレン等の如き、各種の
ジエンポリマーのエポキシ化物;「EGM−400」
〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の3−グ
リシドキシプロピル基を有する環状のポリシロキサ
ン〕;等のポリエポキシ化合物が挙げられる。
【0031】これら上記した多価アルコール類は、単独
で使用してもよいし2種以上のものを併用することもで
きる。さらに、これらの多価アルコール類の他、ステア
リルアルコールなどの1価の高級アルコール等も本発明
の特徴を損なわない範囲で併用することができる。
【0032】そして、これら上記した原料を用いてポリ
エステル樹脂(A)を調製するには公知慣用の方法、例
えば、上記した原料成分であるイオン性基含有化合物
(a2)と、その他の多塩基酸類および多価アルコール
類とを、窒素雰囲気中で加熱下に脱水縮合させてポリエ
ステル樹脂を調製する方法が挙げられる。
【0033】その際使用される装置は、窒素導入口、温
度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反応容器の如き回分
式の製造装置が好適に使用できるほか、脱気口を備えた
押し出し機や連続式の反応装置、混練機等も使用でき
る。また、必要に応じて反応系を適度に減圧することに
よって、エステル化反応を促進することもできる。さら
に、エステル化反応の促進のために、公知慣用の触媒を
添加することもできる。
【0034】かくして得られる、本発明に用いられるポ
リエステル樹脂(A)の性状について説明する。
【0035】ポリエステル樹脂(A)は、カルボキシル
基と、カルボキシル基以外のイオン性基(a1)とを併
有する為、このポリエステル樹脂(A)を必須の成分と
する着色樹脂溶融体(I)を塩基性化合物(C)を含有
する水性媒体(II)に分散する際、ポリエステル樹脂
(A)は塩基性化合物(C)により中和されたカルボキ
シル基とイオン性基(a1)の両基を有するようにな
り、中和されたカルボキシル基のみを有するポリエステ
ル樹脂に比べて、その分散状態が非常に良好でより安定
となるため、球形で、かつ狭い粒度分布の微粒子を容易
に得ることができる。そのためには、ポリエステル樹脂
(A)中のイオン性基(a1)の量としては、ポリエス
テル樹脂(A)1,000g当たり0.001〜0.7
当量が好ましく、0.005当量〜0.5当量が特に好
ましい。
【0036】また、ポリエステル樹脂(A)は、良好な
定着性と耐オフセット性のある電子写真トナー用バイン
ダーとして実用に供せられるため、適度の溶融粘度、ガ
ラス転移温度等の性質を具備することが好ましい。かか
る観点より、ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量
(以下「Mn」と表記する。)は、1,000〜10,
000の範囲、好ましくは2,000〜8,000の範
囲であることが、また、重量平均分子量(以下「Mw」
と表記する。)は、30,000〜500,000の範
囲、好ましくは40,000〜400,000の範囲で
あることが、それぞれ望ましい。
【0037】さらに、高化式フローテスターによる溶融
粘度の定速昇温測定において、ポリエステル樹脂(A)
の溶融粘度が1×104Pa・sとなる温度(以下「T
4」と表記する。)は、80〜200℃の範囲であるこ
とが好ましく、90〜160℃の範囲であること特に好
ましい。また、示差熱測定(以下「DSC」と略記す
る。)によるガラス転移温度(以下「Tg」と略記す
る。)は、50〜100℃の範囲であることが好まし
く、60〜80℃の範囲であることが特に好ましい。
【0038】ポリエステル樹脂(A)の水酸基価は、ト
ナーバインダーとしての帯電特性および球形粒子化の容
易性等を考慮すると、通常5〜100mgKOH/gの
範囲であり、なかでも7〜70mgKOH/gの範囲で
あることが好ましい。また、同様の観点から、ポリエス
テル樹脂(A)の酸価は、通常5〜100mgKOH/
gの範囲であり、なかでも7〜70mgKOH/gの範
囲であることが好ましく、7〜50mgKOH/gの範
囲であることが特に好ましい。
【0039】次に、本発明の電子写真用球形トナーの製
造方法で用いる、ポリエステル樹脂(A)と、着色剤
(B)とを必須の成分とする着色樹脂溶融体(I)につ
いて説明する。
【0040】上記着色樹脂溶融体(I)は、前記に説明
したポリエステル樹脂(A)と、後記する着色剤(B)
とを必須の成分とし、必要に応じて、その他の成分とし
て帯電制御剤、ワックス、流動調整剤等を含有するもの
である。
【0041】上記着色樹脂溶融体(I)の必須の成分の
一つである着色剤(B)として使用できる代表的なもの
を挙げると、黒色トナーの場合には、サーマルブラック
法、アセチレンブラック法、チャンネルブラック法、フ
ァーネスブラック法、ランプブラック法等により製造さ
れる各種のカーボンブラック;カラートナーの場合に
は、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、カルコオ
イルブルー、ウルトラマリンブルー、メチレンブルーク
ロライド、マラカイトグリーンオクサレート、クロムイ
エロー、キノリンイエロー、デュポンオイルレッド、ロ
ーズベンガル等の顔料や、ニグロシン系、ローダミン系
等の染料などがあり、これらは、それぞれ単独で使用で
きるし、2種以上を併用してもよい。
【0042】帯電制御剤としては、低分子化合物から高
分子化合物まで種々の物質が使用できるが、代表的なも
のを挙げると、ニグロシン染料、4級アンモニウム化合
物、アミノ基を有するモノマーを単独重合あるいは共重
合してなる高分子化合物や、有機金属錯体、キレート化
合物等がある。
【0043】ワックスは、複写機あるいはプリンター等
の定着ロールにトナーがオフセットすることを防止し、
かつ低温定着が可能となるよう添加されるが、その代表
的なものを挙げると、天然ワックス、各種のポリオレフ
ィン類等がある。
【0044】流動調整剤はトナーの流動性を向上させる
ために添加されるが、例えばフッ化ビニリデン微粉末、
ポリテトラフルオロエチレン微粉末、湿式法若しくは乾
式法のシリカ微粉末等が挙げられる。
【0045】ただし、上記の着色剤以外の帯電制御剤、
ワックス、および流動調整剤は必ずしも必須の成分とい
うわけではなく、それらのうち一部の使用を欠如するこ
ともできるし、さらに別の成分を加えることもできる。
【0046】本発明に係る電子写真用球形トナーの製造
方法としては、以下に示す造粒方法によるものであるこ
とが好ましい。
【0047】すなわち、以下に示す工程〜工程によ
り製造されるすることが好ましい。 工程:前記した着色樹脂溶融体(I)の必須成分であ
るポリエステル樹脂(A)と着色剤(B)、ならびに、
必要に応じてその他の添加剤、例えば耐電調製剤、ワッ
クス、流動調製剤などを粉砕法トナーの製造の場合と同
様にして、加圧ニーダー、加熱3本ロール、2軸押出混
練機などを用いて溶融混練して着色樹脂溶融体(I)を
製造し、
【0048】工程:次に、この着色樹脂溶融体(I)
を、該着色樹脂溶融体(I)の溶融状態を維持できる温
度に加熱した水性媒体(II)中に、溶融状態を維持しな
がら、必要に応じて加圧下に、機械的手段により微分散
させると共に、該ポリエステル樹脂(A)中のカルボキ
シル基やその他の酸基、例えばスルホン酸基を水性媒体
(II)中に含有される塩基性化合物(C)によって中和
することで安定な微分散とし、 工程:その後、好ましくは直ちに急速冷却することに
より着色樹脂微粒子の水分散液を製造し、 工程:該分散液から得られた着色樹脂微粒子を分離
し、 工程:分離された着色樹脂微粒子を乾燥し、必要なら
分級し、その後疎水性シリカなどの外添剤を添加してト
ナーとするものである。
【0049】ここでで用いる水性媒体(II)としては、
塩基性化合物(C)を含有させた水性媒体であればよ
く、特に限定されないが、乾燥工程での除去が難しいこ
とから有機溶剤は含有しないものが好ましく、通常は塩
基性化合物(C)を含有させた水を用いる。
【0050】上記塩基性化合物(C)として代表的なも
のを挙げると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウムなどのアルカリ化合物、それらの炭酸塩、
それらの酢酸塩;アンモニア;メチルアミン、ジメチル
アミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類;ジエ
タノールアミンなどのアルカノールアミン類などがあ
る。この中でも、前記工程の乾燥工程で大部分が除去
され、トナーとしての特性に影響を与えないことから、
アンモニアが推奨され、通常アンモニア水を用いる。こ
れらは、単独使用でも、2種類以上の併用でも構わな
い。
【0051】上記工程の着色樹脂溶融体(I)を水性
媒体(II)中に機械的手段により微分散させるための装
置としては、特に限定されるものではないが、例えば、
マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)、連
続式超音波ホモジナイザー(日本精機株式会社)、ナノ
マイザー(ナノマイザー社)、マイクロフルイダイザー
(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナイザー、ス
ラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会
社ユーロテック)などが挙げられ、なかでも、キャビト
ロンが分散能力が高く、微粒子の製造が容易なことから
特に好ましい。従って、当該装置を使用する連続分散方
法が本発明において好ましい分散方法の一つである。
【0052】上記キャビトロンは回転型連続分散装置で
あり、スリットを有するリング状の突起を備えた固定子
とスリットを有するリング状の突起を備えた回転子とが
間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた
構造を有しており、これを本発明の製造方法で用いる場
合には、この分散機の固定子と回転子の中心部分に着色
樹脂溶融体(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転
子を回転させながら該スリットと該間隔とを通して中心
部分から外周の方向に流動させることにより、水性媒体
(II)中に着色樹脂溶融体(I)を分散させることがで
きる。
【0053】以下、図面により、上記回転型連続式分散
装置を用いた製造方法について詳しく説明する。
【0054】図1は本発明の製造方法に用いられる回転
型連続式分散装置の固定子の一例を示す斜視図、図2は
本発明の製造方法に用いられる回転型連続式分散装置の
回転子の一例を示す斜視図、図3は本発明に用いる回転
型連続式分散装置の要部の一例を表した断面図、図4は
図3のA−A’断面を側面から見たときの固定子突起と
回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【0055】図1〜図4に示すように、回転型連続式分
散装置の固定子1は、中心に設置され、その中心に液入
り口2を備えている。固定子1の円形状の面上には、固
定子と同心円でリング状に並べられた突起3が1段又は
2段以上の多段状に備えられており、従って、突起同士
の間隙には、円周溝4が形成されている。そして、突起
同士の間には複数のスリット5が形成されている。
【0056】この分散装置内の固定子1に対向する内壁
の中心には駆動軸6が設置され、駆動装置に接続され
て、回転される。回転子7は、固定子1と平行で且つ中
心が揃うように、駆動軸の先端に固定されている。固定
子1に対向する回転子7の面上には、回転子と同心円で
リング状に並べられた突起8が一段または2段以上の多
段状に備わっている。従って、突起同士の間隙には、固
定子と同様に、環状の溝9が形成されている。そして、
突起同士の間には複数のスリット10が形成されてい
る。
【0057】この固定子1と回転子7とは、固定子1の
突起3と回転子7の突起8が僅かな間隙を保つように、
咬み合わされた状態で使用に供される。
【0058】この分散装置の液入り口2に、着色樹脂溶
融体(I)と加熱された水性媒体(II)が供給され、そ
れらからなる混合物は回転子7が回転すると、最も内側
に位置する回転子7の突起8のスリット10に入り、遠
心力により該回転子7の突起8の外側から環状の溝9に
吐出され、次いで最も内側に位置する固定子1の突起3
のスリット5に入る。さらに、このスリット5に流入し
た混合物は、固定子1の環状の溝4に押し出される。
【0059】このようにして当該混合物は、回転子7の
回転により遠心力を受け、スリット内を液入口から吐出
口へと流動する。一方回転子7と固定子1のスリットの
ずれにより混合物の遠心流れの封じ込めと開放を繰り返
して差圧が発生する。さらに回転子7と固定子1の微少
隙間で混合液に対し剪断力が働く。この中心から外周方
向への流れと円周方向流れが直角に衝突し、それによっ
て、強力な撹拌・破砕効果が発生し、これにより着色樹
脂溶融体(I)が加熱された水性媒体(II)中に微粒子
状に分散した分散液が得られる。
【0060】この分散装置の回転子7の回転数は駆動軸
に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大き
く周速が大きいほど大きい遠心力と剪断力を受けて、水
性媒体(II)中に分散した着色樹脂溶融体(I)の粒子
径が小さくなる。直径10cmの回転子を使用して平均
粒子径が10μm以下の電子写真用球形トナーを製造す
る場合、好ましい回転数は3,000〜10、000r
pmである。
【0061】このような回転型連続式分散装置を使用す
る場合、着色樹脂溶融体(I)の良好な流動性を維持す
るために、当該分散装置には保温のためにジャケットを
設置すること望ましい。そして、分散装置内の温度は、
着色樹脂溶融体(I)の温度、供給する水性媒体(II)
の温度、及び、ジャケットによる保温効果と装置内での
剪断により発生する熱量のバランスを取ることにより、
一定温度に制御される。
【0062】かかる分散装置内の圧力は、水性媒体(I
I)の装置内における蒸気圧と回転する回転子による吐
出圧で決まる。また、着色樹脂溶融体(I)の水分散液
を冷却して得られる分散液の取り出しは、取り出し口に
自動圧力制御弁を設けて、内部圧を一定に保ちつつ、分
散液を大気圧下に連続的に取り出すことが好ましい。
【0063】上述した方法で得られた電子写真用球形ト
ナーにキャリヤを配合し混合することにより現像剤を調
製することができる。
【0064】本発明の電子写真用球形トナーは、球形で
あることに特徴を有しており、球形であることにより、
粉砕法と比較して、キャリヤ汚染を起こしにくく、かつ
極めて耐久性が良く、流動性が良いという効果が発揮さ
れる。本発明にいう「球形」は、真球状はもちろん、楕
円状、繭状等を含む広い概念であるが形状中に鋭利な尖
点部分を含まないものをいう。
【0065】また、本発明に係る電子写真用トナーの粒
子径は、体積平均粒子径で通常2〜20μmであるが、
画像の解像力の点で3〜13μmが好ましく、より好ま
しくは3〜8μmである。本発明におけるトナーの平均
粒子径とは、粒度分布測定機であるコールターマルチサ
イザー2(ベックマン・コールター社製)で測定した5
0%体積平均粒子径の値をいう。
【0066】本発明におけるトナーの粒度分布とは、コ
ールターマルチサイザー2を用いた体積粒子径の分布測
定において、16%径と84%径の比の平方根で表され
る値「√(D16/D84)」をいうが、ここで16%
径とは体積粒子径の大きい側から粒子の重量を積算した
ときの重量が全重量の16%となる位置にある粒子の体
積粒子径であり、同様に84%径は粒子の重量を積算し
たときの重量が全重量の84%となる位置にある粒子の
体積粒子径をいう。この数値が大きいほど粒度分布の広
がりが大きく、小さいほど粒度分布の広がりは小さいこ
とを示す。この数値が1.36以下であることは、トナ
ーとして実用上問題のないレベルにまで分級されたこと
を表す。本発明に係る電子写真用球形トナーは、上記の
粒度分布の数値から分布がシャープであり、通常分級工
程を必要としないものである。
【0067】本発明に係るの電子写真用球形トナーは、
電子写真用トナー以外にも水性もしくは油性インキに用
いる着色樹脂微粒子、粉体塗料などの分野にも利用でき
る。
【0068】
【実施例】次に、実施例と比較例を示して本発明を具体
的に説明する。ただし、本発明の技術的な範囲は以下の
実施例に限定されるものではない。例中「部」、「%」
とあるのは、特にことわりがない限り重量基準をある。
【0069】合成例1〔ポリエステル樹脂(A)の合
成〕 攪拌装置、窒素導入管、温度センサーおよび精留塔を備
えた内容量5リットルのフラスコに、エチレングリコー
ル386部、ネオペンチルグリコール650部、トリメ
チロールプロパン174部、テレフタル酸2,200部
および5−(スルホン酸ナトリウム)イソフタル酸〔イ
ーストマン ケミカルジャパン社製スルホン酸ナトリウ
ム基含有イソフタル酸〕80部を仕込み、1時間を要し
て温度を190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌され
ていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド2.0
部を投入し、6時間を要して同温度から240℃まで生
成する水を留去しながら温度を上げ、さらに同温度で3
時間脱水縮合反応を継続し、最終的に酸価が8.2mg
KOH/g、水酸基価が30mgKOH/g、環球法に
よる軟化点が134℃、T4が142℃、Tgが67
℃、GPCによる数平均分子量(Mnと略記する)が
3,800、重量平均分子量(Mwと略記する)が16
5,000の、カルボキシル基とスルホン酸ナトリウム
基とを併有するポリエステル樹脂を得た。これをポリエ
ステル樹脂(A−1)と略記する。
【0070】なお、GPC法によるMn(数平均分子
量)、Mw(重量平均分子量)の測定は、Shodex
GPC SYSTEM−21(昭和電工(株)製)を使
用して行なった(以下、同様)。
【0071】また、ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度
が1×104Pa・s となる温度(T4)の測定におい
て、高化式フローテスター〔島津製作所(株)製CFT
−500〕の測定条件は、昇温速度6℃/分、荷重10
Kg、ダイス1mmφ×1mmである(以下、同様)。
さらに、DSC法によるガラス転移温度(Tg)の測定
は、昇温速度10℃/分で行なった(以下、同様)。
【0072】合成例2(同上) 5−(スルホン酸ナトリウム)イソフタル酸80部の代
わりにスルホテレフタル酸80部を用いた以外は合成例
1と同様にして、酸価が7.4mgKOH/g、水酸基
価が37mgKOH/g、環球法による軟化点が129
℃、T4が138℃、Tgが65℃、Mnが3,60
0、Mwが142,000の、カルボキシル基とスルホ
ン酸基とを併有するポリエステル樹脂を得た。これをポ
リエステル樹脂(A−2)と略記する。
【0073】合成例3(比較対照用のポリエステル樹脂
の合成) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサーおよび精留塔を備
えた内容量5リットルのフラスコに、エチレングリコー
ル400部、ネオペンチルグリコール636部、トリメ
チロールプロパン180部、テレフタル酸2,280部
を仕込み、1時間を要して温度を190℃まで上げ、反
応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブ
チル錫オキサイド2.0部を投入し、6時間を要して同
温度から240℃まで生成する水を留去しながら温度を
上げ、さらに同温度で3時間脱水縮合反応を継続し、最
終的に酸価が8.5mgKOH/g、水酸基価が30m
gKOH/g、環球法による軟化点が135℃、T4が
140℃、Tgが66℃、Mnが3,700、Mwが1
55,000の、カルボキシル基は有するが、その他の
イオン性基(a1)を含有しないポリエステル樹脂を得
た。これをポリエステル樹脂(比較A)と略記する。
【0074】実施例1 ポリエステル樹脂(A−1)90部とカーボンブラック
(キャボット社製エルフテックス8)10部を、2軸連
続混練機を用いて180℃に加熱された着色樹脂溶融体
とし、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製回
転型連続分散装置)に毎分100gの速度で移送した。
別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイ
オン交換水で希釈した0.5%濃度の希アンモニア水溶
液を入れ、熱交換器で135℃に加熱しながら毎分70
ccの速度で、上記着色樹脂溶融体と同時にキャビトロ
ンに移送した。回転子の回転速度が7500rpm、圧
力が5Kg/cm2 の運転条件で製造した温度140℃
の分散液を10秒間で温度50℃まで冷却して出口から
取り出した。この分散液中のトナー粒子は球形であり、
分散液の濃度は固形分が60%であった。また、コール
ターマルチサイザー2による測定によるとトナー粒子の
平均粒子径は6.9μmであり、その粒度分布は1.3
1であった。このトナー原体粒子は、トナーとして実用
的に使用するための粒度調整を必要としないものであ
り、造粒性の良好なものであった。トナー原体粒子を濾
別した後に水洗を行い、乾燥して粉体のトナー原体を得
た。このトナー原体粒子100部に対して0.2部の疎
水性シリカ(日本アエロジル社製R−972)をドライ
ブレンドして、平均粒径6.9μmの球形の黒色トナー
を得た。この黒色トナーを「トナー1」と略記する。
【0075】得られたトナー1を使用し、トナー濃度が
10重量%となるように酸化鉄粉(平均粒子径100μ
m)と混合し、電子写真用現像剤を得た。この現像剤を
用いて、定着/オフセット、定着強度及び画像の評価を
行った。具体的には、実際の複写機の定着ロールを用い
て定着下限温度(「Tl」と略記する。)、非オフセッ
ト上限温度(「Tu」と略記する。)、定着強度及び画
像品質の評価を行った。その結果を、造粒性の評価結果
と共に、第1表に示す。
【0076】定着/オフセットの評価方法の詳細は、以
下〜の手順で行った。すなわち、調製した電子写
真用現像剤を用い、紙が定着機構に移行する直前に当該
紙を取り出せるように改造した電子写真複写機「U−B
ix5000」(小西六写真工業社製)によりA4サイ
ズの普通紙に未定着の黒ベタの帯状画像(幅2cm長さ
10cm)を、定着/オフセット試験を実施する各温度
(80〜250℃で10℃ごと18水準)に対応した枚
数分と、境界領域の評価を5℃きざみで行うときに使用
する枚数分とを作成し、次いで、直径が50mmで表
層がテフロン(登録商標)製の熱ローラーと、表層がシ
リコーンゴム製の定着ローラーからなり、かつ熱ローラ
ーの温度を80〜250℃の範囲で任意に設定できるよ
うにした定着機を使用し、線速度450mm/秒、線圧
0.8Kg/cm、ニップ幅8mm、温度80〜250
℃〔10℃間隔、ただし、定着下限温度(Tl)および
非オフセット上限温度(Tu)付近の境界領域では5℃
間隔〕の条件下で当該黒ベタの帯状画像を普通紙に熱定
着させた後、得られた帯状の定着画像を脱脂綿でこす
ってもトナーが脱脂綿に付着しなくなるを定着下限温度
(Tl)とし、また、かかる普通紙の定着画像以外の白
色部分に定着ロールからオフセットしたトナーが再度付
着することによる画像の汚染が認められなくなる温度を
非オフセット上限温度(Tu)として、評価した。
【0077】定着強度は、それぞれ120℃および16
0℃で黒ベタ画像を定着させた複写物にテ−プを付着さ
せ、剥離したときのテ−プに付着したトナ−の量を10
段階で目視評価した。数字の大きいもの程、付着トナ−
が少なく、低温定着性が良好であることを表す。
【0078】画像品質は、電子写真学会テストチャ−ト
No.1−T(1975)標準反射画像とし、改造しな
い電子写真複写機「U−Bix5000」(小西六写真
工業社製)により通常の使用条件で複写した初期画像お
よび1万枚連続複写後(ランニング後)の画像の画像荒
れ、鮮明性等を目視で比較評価した。
【0079】実施例2 ポリエステル樹脂(A−1)90部の代わりにポリエス
テル樹脂(A―2)90部を用いた以外は実施例1と同
様にして、コールターマルチサイザー2による測定によ
るトナー粒子の平均粒子径が7.4μmで、その粒度分
布が1.32であるトナー原体を得た。このトナー原体
粒子は、トナーとして実用的に使用するための粒度調整
を必要としないものであり、造粒性の良好なものであっ
た。トナー原体粒子を濾別した後に水洗を行い、乾燥し
て粉体のトナー原体を得た。このトナー原体粒子100
部に対して0.2部の疎水性シリカ(日本アエロジル社
製R−972)をドライブレンドして、平均粒径7.4
μmの球形の黒色トナーを得た。この黒色トナーを「ト
ナー2」と略記する。
【0080】得られたトナー2を使用した以外は実施例
1と同様にして電子写真用現像剤を得、次いで同様にし
て定着/オフセット、定着強度および画像品質の評価を
行った。その結果を、造粒性の評価結果と共に、第1表
に示す。
【0081】比較例1 ポリエステル樹脂(A−1)90部の代わりに比較用ポ
リエステル樹脂(比較A)90部を用いた以外は実施例
1と同様にして、コールターマルチサイザー2による測
定によるトナー粒子の平均粒子径が13.2μmで、そ
の粒度分布が1.52であるトナー原体を得た。このト
ナー原体粒子は球状のものは少なく、繭状、紐状等の異
形の微粒子を含んでおり、造粒性はやや不良であった。
この原体粒子を濾別した後に水洗を行い、乾燥して粉体
のトナー原体を得た。このトナー原体粒子100部に対
して、0.2部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製R
−972)をドライブレンドして、平均粒径13.2μ
mの黒色トナーを得た。この黒色トナーを「トナー
1′」と略記する
【0082】得られたトナー1′を使用した以外は実施
例1と同様にして電子写真用現像剤を得、次いで同様に
して定着/オフセット、定着強度および画像品質の評価
を行った。その結果を、造粒性の評価結果と共に、第1
表に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】本発明の電子写真用球形トナーの製造方
法によれば、定着下限温度と非オフセット上限温度の範
囲が広く、低い温度でも高い定着強度が得られる球形ト
ナーを得ることができる。また、本発明に係る電子写真
用球形トナーは、低温での定着性と高温での耐オフセッ
ト性に優れ、現像機中での過粉砕による画像劣化が起こ
り難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる回転型連続式分散装置の固定子
の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に用いる回転型連続式分散装置の回転子
の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いる回転型連続式分散装置の要部の
一例を表した断面図である。
【図4】図3のA−A’部を側面から見たときの固定子
突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【符号の説明】
1 固定子 2 液入口 3 固定子の突起 4 固定子の円周溝 5 固定子突起のスリット 6 回転子の駆動軸 7 回転子 8 回転子の突起 9 回転子の円周溝 10 回転子突起のスリット 11 回転型連続式分散装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GPC(ゲルパーミエーションクロマト
    グラフィー)法による重量平均分子量が30,000〜
    500,000で、かつ、カルボキシル基と、それ以外
    のイオン性基(a1)とを併有するポリエステル樹脂
    (A)と、着色剤(B)とからなる着色樹脂溶融体
    (I)を、該着色樹脂溶融体(I)の溶融状態を維持し
    つつ、塩基性化合物(C)を含有する水性媒体(II)中
    に分散させ、次いで冷却し、乾燥することを特徴とす
    る、電子写真用球形トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 イオン性基(a1)が、スルホン酸基お
    よび/またはスルホン酸塩の基である、請求項1記載の
    電子写真用球形トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 スルホン酸塩が、スルホン酸とアルカリ
    金属との塩である、請求項2記載の電子写真用球形トナ
    ーの製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂(A)中のイオン性基
    (a1)の量が、ポリエステル樹脂(A)1,000g
    あたり0.001〜0.7当量である、請求項1、2ま
    たは3記載の電子写真用球形トナーの製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂(A)の酸価が5〜1
    00mgKOH/gである、請求項1〜4のいずれか1
    項記載の電子写真用球形トナーの製造方法。
  6. 【請求項6】 スリットを有するリング上の突起を備え
    た固定子と、スリットを有するリング上の突起を備えた
    回転子とが、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上
    に設けられた構造を有する回転型連続分散装置を用い、
    この分散機の固定子と回転子の中心部分に、着色樹脂溶
    融体(I)と水性媒体(II)とを供給して、回転子を回
    転させながら該スリットと該間隙とを通して中心部分か
    ら外周の方向に流動させることにより、水性媒体(II)
    中に着色樹脂溶融体(I)を分散させる、請求項1〜5
    のいずれか1項記載の電子写真用球形トナーの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 GPC法による重量平均分子量が30,
    000〜500,000で、かつ、カルボキシル基と、
    それ以外のイオン性基(a1)とを併有するポリエステ
    ル樹脂(A)と、着色剤(B)とを必須成分として含有
    してなることを特徴とする、電子写真用球形トナー。
  8. 【請求項8】 イオン性基(a1)が、スルホン酸基お
    よび/またはその塩である、請求項7記載の電子写真用
    球形トナー。
  9. 【請求項9】 スルホン酸の塩が、スルホン酸基とアル
    カリ金属との塩である、請求項8記載の電子写真用球形
    トナー。
  10. 【請求項10】 ポリエステル樹脂(A)中のイオン性
    基(a1)の量が、ポリエステル樹脂(A)1,000
    gあたり0.001〜0.7当量である、請求項7、8
    または9記載の電子写真用球形トナー。
  11. 【請求項11】 ポリエステル樹脂(A)の酸価が5〜
    100mgKOH/gである、請求項7〜10のいずれ
    か1項記載の電子写真用球形トナー。
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