JP2002103841A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、および平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、および平版印刷版原版

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JP2002103841A JP2000293099A JP2000293099A JP2002103841A JP 2002103841 A JP2002103841 A JP 2002103841A JP 2000293099 A JP2000293099 A JP 2000293099A JP 2000293099 A JP2000293099 A JP 2000293099A JP 2002103841 A JP2002103841 A JP 2002103841A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原材料コストを大幅に低減でき、優れた画質
の印刷が可能で、過酷インキ汚れおよびブランケット汚
れに対する印刷性能の優れた平版印刷版用アルミニウム
支持体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、
および平版印刷版原版を提供すること。 【解決手段】 塩酸と塩化アルミニウムとを主体とする
酸性水溶液中で交流電流を用いてアルミニウム板を電気
化学的に粗面化する粗面化処理工程を含む平版印刷版用
アルミニウム支持体の製造方法であって、前記粗面化処
理工程における、前記交流電流のdutyが0.25〜
0.5、および前記交流電流の周波数が30〜200H
zであり、前記アルミニウム板の陽極時電気量(QA
と陰極時電気量(QC)との比(QC/QA)が、0.9
5〜2.5であり、前記粗面化処理工程を2回以上おこ
なうことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法に関し、詳しくは原材料コス
トを大幅に低減でき、優れた画質の印刷が可能な平版印
刷版用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷版用ア
ルミニウム支持体、および平版印刷版原版に関する。ま
た、過酷インキ汚れおよびブランケット汚れに対する印
刷性能の優れた平版印刷版用アルミニウム支持体の製造
方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、および平版印
刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版用アルミニウム支持
体(以下、「支持体」という場合がある。)は、アルミ
ニウム板の片面あるいは両面に粗面化処理等を施して製
造される。また、平版印刷版原版は、該支持体上に感光
層等を設けて製造される。通常、印刷時における平版印
刷版の耐磨耗性を向上させるため、上記支持体には、粗
面化処理の後、アルミニウム板の表面に陽極酸化処理を
施したものが多い。また、製版時の真空密着時間を短縮
するため、感光層表面にマット層という微小な凹凸を設
けることもある。このようにして製造された平版印刷版
原版は、画像露光、現像、水洗等の製版処理を経て平版
印刷版とされる。該画像露光の方法としては、画像を焼
き付けたリスフィルムを支持体表面に密着させて光を当
てることで画像部と非画像部との違いをつける方法、レ
ーザを用いる方法若しくは画像を投影する方法によって
直接画像部または非画像部を書き込み画像部と非画像部
との違いをつける方法等が用いられている。また、画像
露光後に施す現像処理によって、感光層の未溶解部分
は、インク受容体として画像部を形成し、感光層が溶解
除去された部分では、層下にあるアルミニウム表面若し
くは陽極酸化被膜表面が露出し、水受容体として非画像
部を形成する。現像後必要に応じて親水化処理、ガム引
き、さらには、バーニング処理等が施されることもあ
る。
【0003】このような平版印刷版は、印刷機の円筒状
の版胴に取り付けられ、インキと湿し水とを版胴に供給
することで、親油性の画像部にはインキが付着し、親水
性の非画像部には水が付着する。平版印刷版は、この画
像部のインキをブランケット胴に転写したうえで、ブラ
ンケット胴から紙に画像を印刷する。しかしながら、時
として非画像部に点状あるいは円環状にインキが付着す
る場合があり、結果的に紙面に点状あるいは円環状の汚
れを発生させるといった不具合(過酷インキ汚れ)を生
じる問題があった。
【0004】このような過酷インキ汚れの発生等を抑制
するためには、支持体に使用するアルミニウム板に、新
地金や所定の添加元素成分を含むアルミニウム合金材料
を用いる方法が考えられるが、これらの材料はそれ自体
のコストが高いというデメリットがある。また、アルミ
ニウム製造工場内で発生した、合金成分のわかっている
アルミニウム屑を使用する方法も考えられるが、原材料
の得率が向上する点でメリットはあるものの、原材料と
しては決して低コストなものではない。
【0005】このような原材料コストが高いという問題
に対し、特開平7−81260号公報には、アルミニウ
ムの含有率が99.7%以上のアルミニウム塊のみを使
用し、所定の元素を含む母合金や金属塊の添加を不要と
する方法が提案されている。また、特開平7−2055
34号公報においては、使用済みの平版用印刷版や製造
途中で不良となった平版印刷版をアルミニウム板の原材
料として再利用する方法が提案されている。
【0006】しかし、これらの方法であっても、純度9
9.7%以上のアルミニウム塊自体がそれほど安価なわ
けではなく、使用済みの平版印刷版を安定した原材料と
して確保することが難しいため、大きな効果は得られな
かった。
【0007】このような問題を解決するためには、原材
料として合金成分を制御していない材料、即ち、各種の
不純物を含むスクラップ材、または新地金に比較して市
場価格が安く、多くの不純物元素を含む2次地金(再生
地金)と呼ばれる地金を使用することが考えられる。し
かし、これらの材料は合金成分の制御が殆どおこなわれ
ていないため、高品質の表面処理外観や印刷性能が要求
される平版印刷版の原材料にはまったく使用することが
できなかった。特に、これらの材料内には、不純物によ
って種々の金属間化合物や析出物が生じているため、陽
極酸化被膜の欠陥が生じやすく耐過酷インキ汚れ性が大
幅に劣ることに加えて、粗面化した表面のいたる所に金
属間化合物や析出物が存在することによる、ブランケッ
ト汚れ等印刷性能を低下させる原因が発生しやすいとい
う不具合があった。
【0008】さらに、使用済アルミニウムのリサイクル
のエネルギー消費量を抑える上で、純度の低いアルミニ
ウム板を平版印刷版用アルミニウム支持体として使いこ
なしていくことが将来のエネルギー消費量削減に向けて
の必須の課題である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は上述の問題を解決するため、原材料として合金成
分を制御していない材料、即ち、各種の不純物を含むス
クラップ材、または新地金に比較して市場価格が安く、
多くの不純物元素を含む2次地金(再生地金)と呼ばれ
る地金を使用して、原材料コストを大幅に減少させ、か
つ、過酷インキ汚れ、ブランケット汚れの発生をおさえ
た高品質の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方
法、平版印刷版用アルミニウム支持体、および平版印刷
版原版を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、本発明に想到するに至った。即ち、本発明は、
【0011】<1> 塩酸と塩化アルミニウムとを主体
とする酸性水溶液中で交流電流を用いてアルミニウム板
を電気化学的に粗面化する粗面化処理工程を含む平版印
刷版用アルミニウム支持体の製造方法であって、前記粗
面化処理工程における、前記交流電流のdutyが0.
25〜0.5、および前記交流電流の周波数が30〜2
00Hzであり、前記アルミニウム板の陽極時電気量
(QA)と陰極時電気量(QC)との比(QC/QA)が、
0.95〜2.5であり、前記粗面化処理工程を2回以
上おこなうことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム
支持体の製造方法である。
【0012】<2> 前記酸性水溶液が、アルミニウム
イオンが1〜10g/lとなるように、5〜15g/l
の塩酸水溶液中に塩化アルミニウムを添加して得られた
ものであることを特徴とする<1>の平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法である。
【0013】<3> <1>または<2>の平版印刷版
用アルミニウム支持体の製造方法であって、下記(A)
〜(C)に示す工程を含み、前記粗面化処理工程が、下
記(A)の第1の粗面化処理工程および下記(C)の第
2の粗面化処理工程でおこなわれることを特徴とする平
版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法である。 (A)アルミニウム板を電気化学的に粗面化する第1の
粗面化処理工程 (B)前記第1の粗面化処理工程によって電気化学的に
粗面化された前記アルミニウム板に、アルカリ水溶液中
で化学的にエッチングするエッチング処理を施し、その
後、酸性溶液中でデスマット処理を施す中間処理工程 (C)前記中間処理工程によって処理を施されたアルミ
ニウム板を電気化学的に粗面化する第2の粗面化処理工
【0014】<4> 前記アルミニウム板が、アルミニ
ウム(Al)の含有率が95〜99.4質量%であり、
かつ、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マグ
ネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、
クロム(Cr)、およびチタン(Ti)、のうち少なく
とも5種以上を以下に示す範囲内で含む、スクラップア
ルミ材または2次地金であることを特徴とする<1>〜
<3>の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法で
ある。 Fe:0.3〜1.0質量% Si:0.15〜1.0質量% Cu:0.1〜1.0質量% Mg:0.1〜1.5質量% Mn:0.1〜1.5質量% Zn:0.1〜0.5質量% Cr:0.01〜0.1質量% Ti:0.03〜0.5質量%
【0015】<5> <1>または<2>の平版印刷版
用アルミニウム支持体の製造方法であって、下記(A)
〜(F)に示す工程を含み、前記粗面化処理工程が、下
記(B)の第1の粗面化処理工程および下記(D)の第
2の粗面化処理工程でおこなわれることを特徴とする平
版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法である。 (A)前記アルミニウム板をアルカリ水溶液中で1〜1
5g/m2溶解する化学的なエッチング処理を施し、そ
の後、酸性溶液中でデスマット処理を施す第1の処理工
程 (B)前記第1の処理工程によって処理を施されたアル
ミニウム板を電気化学的に粗面化する第1の粗面化処理
工程 (C)前記第1の粗面化処理工程によって電気化学的に
粗面化された前記アルミニウム板をアルカリ水溶液中で
化学的にエッチングするエッチング処理を施し、その
後、酸性溶液中でデスマット処理を施す中間処理工程 (D)前記中間処理工程によって処理を施されたアルミ
ニウム板を電気化学的に粗面化する第2の粗面化処理工
程 (E)前記第2の粗面化処理工程によって電気化学的に
粗面化された前記アルミニウム板に、下記(1)または
(2)に示す処理を施す第2の処理工程 (1)前記アルミニウム板を、60〜90℃の硫酸水溶
液中で1〜10秒間化学的にエッチングするエッチング
処理 (2)前記アルミニウム板を、アルカリ水溶液中で0.
01〜5g/m2溶解する化学的なエッチング処理を施
し、その後、酸性溶液中でデスマット処理、または、6
0〜90℃の硫酸水溶液中で1〜10秒間化学的にエッ
チングするエッチング処理 (F)前記第2の処理工程によって処理を施された前記
アルミニウム板に、陽極酸化処理を施す陽極酸化処理工
【0016】<6> さらに、前記陽極酸化処理工程に
よって陽極酸化処理を施された前記アルミニウム板を、
珪酸ナトリウムまたはポリビニルホスホン酸水溶液中で
親水化する親水化処理工程を含むことを特徴とする<5
>の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法であ
る。
【0017】<7> さらに、前記陽極酸化処理工程に
よって陽極酸化処理を施された前記アルミニウム板に、
封孔処理を施す封孔処理工程を含むことを特徴とする<
5>の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法であ
る。
【0018】<8> さらに、前記封孔処理工程によっ
て封孔処理を施されたアルミニウム板を、珪酸ナトリウ
ムまたはポリビニルホスホン酸水溶液中で親水化する親
水化処理工程を含むことを特徴とする<7>の平版印刷
版用アルミニウム支持体の製造方法である。
【0019】<9> <1>〜<8>の平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の製造方法によって製造されたことを
特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体である。
【0020】<10> <9>の平版印刷版用アルミニ
ウム支持体上に、少なくともポジ型若しくはネガ型の感
光層を形成して得られたことを特徴とする平版印刷版原
版である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0022】《平版印刷版用アルミニウム支持体の製造
方法》一般に、平版印刷版用アルミニウム支持体は、ア
ルミニウム板に付着している圧延油を除く脱脂工程、ア
ルミニウム板の表面のスマットを溶解するデスマット処
理工程、アルミニウム板の表面を粗面化する粗面化処理
工程、アルミニウム板の表面を酸化被膜で覆う陽極酸化
処理工程等を経て製造される。本発明の支持体の製造方
法は、塩酸と塩化アルミニウムとを主体とする酸性水溶
液中で交流電流を用いてアルミニウム板を電気化学的に
粗面化する粗面化処理工程を含むものであり、上記粗面
化処理工程における、上記交流電流のdutyが0.2
5〜0.5、および、上記交流電流の周波数が30〜2
00Hzであり、上記アルミニウム板の陽極時電気量
(QA)と陰極時電気量(QC)との比(Q C/QA)が、
0.95〜2.5であり、かかる粗面化処理工程を2回
以上おこなうことを特徴とする。また、本発明の支持体
の製造方法としては、上記粗面化処理工程の他に、酸ま
たはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理等を組
み合わせたアルミニウム板の表面処理工程や、陽極酸化
処理工程を含む。さらに、本発明の粗面化処理工程をは
じめとする製造方法は、連続法でも断続法でもよいが、
工業的には連続法を用いるのが好ましい。本発明の製造
方法によって製造された支持体は、必要に応じて、さら
に封孔処理工程、親水化処理工程を経た後、下塗層、ポ
ジまたはネガ型の感光層等が形成されて平版印刷版原版
となる。また、感光層表面には必要に応じてマット層を
形成してもよい。
【0023】<粗面化処理工程>まず、本発明における
粗面化処理工程について説明する。上記粗面化処理工程
は、酸性水溶液中で、アルミニウム板を電極として交流
電流を通じ、該アルミニウム板表面を電気化学的に粗面
化する工程であり、2回以上おこなわれる。
【0024】本発明は、粗面化処理工程において、交流
電流のdutyを0.25〜0.5の範囲内とする。こ
れにより、アルミニウム板表面を均一に粗面化すること
ができる。上記交流電流のdutyが、0.25未満だ
とアルミニウム板表面を均一に粗面化することができ
ず、0.5を越えてもアルミニウム板表面を均一に粗面
化することができない。また、上記交流電流のduty
は0.3〜0.4の範囲内とすることがより好ましい。
本発明でいうdutyとは、交流電流の周期Tにおい
て、アルミニウム板の陽極反応が持続している時間(ア
ノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをいう。
特に、カソード反応時のアルミニウム板表面には、水酸
化アルミニウムを主体とするスマット成分の生成に加
え、酸化被膜の溶解や破壊が発生し、次のアルミニウム
板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始点
となるため、交流電流のdutyの選択は均一な粗面化
に与える効果が大きい。また、本発明は、上記粗面化処
理において交流電流の周波数を、30〜200Hzとす
る。これにより大電流を流す装置の製作が容易となる。
上記周波数が、30Hz未満であると、主極であるカー
ボンの溶解が著しく、200Hzを越えると、電極装置
の製作が困難である。また、上記交流電流の周波数は4
0〜120Hzであることがより好ましい。
【0025】さらに本発明は、上記粗面化処理工程にお
いて、上記アルミニウム板が陽極となる時における電気
量、即ち陽極時電気量QAと、陰極となる時における電
気量、即ち陰極時電気量QCとの比QC/QAを0.95
〜2.5の範囲内とする。これにより、該アルミニウム
板表面に均一なハニカムピットを生成することができ
る。上記QC/QAが、0.95未満では、不均一な表面
形状となりやすく、2,5を越えても、不均一な表面形
状となりやすい。また、上記QC/QAとしては、1.5
〜2.0の範囲内とすることがより好ましい。
【0026】上記粗面化処理工程に用いる交流電流の波
形は、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げら
れ、この中でも矩形波または台形波が好ましい。本発明
で好ましく用いられる台形波の一例を図1に示す。図1
において、縦軸は電流値、横軸は時間を示し、taはア
ノード反応時間、tcはカソード反応時間、tpおよび
tp’は電流値が0からピークに達するまでの時間、I
aはアノードサイクル側のピーク時の電流、および、I
cはカソードサイクル側のピーク時の電流を示す。交流
電流の波形として台形波を用いる場合、電流が0からピ
ークに達するまでの時間tpおよびtp’は0.1〜2
msecが好ましく、0.3〜1.5msecがより好
ましい。上記時間tpおよびtp’が0.1msec未
満であると、電源回路のインピーダンスが影響し、電流
波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電
源の設備コストが高くなる。また、上記時間tpおよび
tp’が2msecを越えると、酸性水溶液中の微量成
分の影響が大きくなり、均一な粗面化処理がおこなわれ
にくくなる。
【0027】上記交流電流の電流密度は、台形波または
矩形波のピーク値で、交流電流のアノードサイクル側I
apおよびカソードサイクル側Icpともに10〜20
0A/dm2が好ましい。上記粗面化処理工程におい
て、電気化学的な粗面化が終了した時点でのアルミニウ
ム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は、50〜
800C/dm2が好ましい。
【0028】本発明に用いる酸性水溶液としては、塩酸
と塩化アルミニウムを主体とする酸性水溶液(以下「塩
酸を主体とする酸性水溶液」という場合がある。)を用
いる。本発明でいう「塩酸と塩化アルミニウムを主体と
する酸性水溶液」とは、酸性溶液中の成分全体に対し
て、塩酸およびアルミニウムイオンの総量が30質量%
以上含まれていることをいい、50質量%以上含まれて
いることが好ましい。上記塩酸を主体とする酸性水溶液
としては、通常の直流電流または交流電流を用いた電気
化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、例えば、
塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム
等の塩化物のうち1つ以上を、1g/lから飽和に達す
るまで、5〜15g/lの塩酸に添加して使用すること
ができる。上記塩酸を主体とする酸性水溶液中には、
鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、
ケイ素等のアルミニウム合金中に含まれる金属等が溶解
されていてもよい。上記塩酸を主体とする酸性水溶液と
しては、アルミニウムイオンが1〜10g/lとなるよ
うに、5〜15g/lの塩酸に塩化アルミニウムを添加
して得られたものを用いることが好ましい。なお、上記
アルミニウムイオンは、電気化学的な粗面化処理をおこ
なっている間に自然発生的に増加していくものである。
また、この際の液温は10〜95℃が好ましく、30〜
50℃がより好ましい。
【0029】また、本発明の製造方法は、上記粗面化処
理工程を2回以上おこなうことを特徴とする。上記粗面
化処理工程を2回以上おこなうことによって、平版印刷
版用アルミニウム支持体として好適な表面形状とするこ
とができる。それぞれの粗面化処理工程では、dut
y、周波数、電気量比、電気量、液組成、液温、電流密
度のうち一つ以上が異なっていることが好ましい。ま
た、本発明の製造方法で、例えば2回、上記粗面化処理
工程をおこなう場合は、各粗面化処理工程の間に後述す
るアルカリエッチング処理およびデスマット処理を施す
工程(中間処理工程)をおこなうのが好ましい。これに
より、さらに均一な表面形状とすることができる。具体
的には、本発明の製造方法は、塩酸と塩化アルミニウム
とを主体とする酸性水溶液中で交流電流を用いてアルミ
ニウム板を電気化学的に粗面化する第1の粗面化処理工
程と、該第1の粗面化処理工程によって電気化学的に粗
面化された前記アルミニウム板をアルカリ水溶液中で化
学的にエッチングするエッチング処理を施し、その後、
酸性溶液中でデスマット処理を施す中間処理工程と、該
中間処理工程によって処理を施されたアルミニウム板
を、塩酸と塩化アルミニウムとを主体とする酸性水溶液
中で交流電流を用いて電気化学的に粗面化する第2の粗
面化処理工程とを含むのが好ましい。
【0030】本発明に用いるアルミニウム板としては、
アルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協
会)に記載の、公知の素材のもの、例えばJIS105
0材、JIS1100材、JIS3003材、JIS3
103材、JIS3005材などを用いることができる
が、本発明は特に、アルミニウム(Al)の含有率が9
9.4〜95質量%であって、かつ、鉄(Fe)、ケイ
素(Si)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マン
ガン(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、および
チタン(Ti)、のうち少なくとも5種以上を後述する
範囲内で含む、アルミニウム合金、スクラップアルミ材
または2次地金を使用したアルミニウム板を使用するこ
とが好ましい。
【0031】本発明では、Alの含有率が95〜99.
4質量%のアルミニウム板を使用するのが好ましい。上
記含有率が99.4質量%を越えると不純物の許容量が
少なくなるため、コスト削減効果が減少してしまう場合
がある。また、上記含有率が95質量%未満であると不
純物を多く含むこととなり圧延中に割れ等の不具合が発
生してしまう場合がある。より好ましいAlの含有率は
95〜99質量%であり、特に好ましくは95〜97質
量%である。
【0032】Feの含有率は0.3〜1.0質量%であ
るのが好ましい。Feは新地金においても0.1〜0.
2質量%前後含有される元素で、Al中に固溶する量は
少なく、殆どが金属間化合物として残存する。Feの含
有率が1.0質量%を越えると圧延途中に割れが発生し
やすくなり、0.3質量%未満だとコスト削減効果が減
少するため好ましくない。より好ましいFeの含有率は
0.5〜1.0質量%である。
【0033】Siの含有率は0.15〜1.0質量%で
あるのが好ましい。SiはJIS2000系、4000
系、6000系材料のスクラップに多く含まれる元素で
ある。また、新地金においても0.03〜0.1質量%
前後含有される元素であり、Al中に固溶した状態、ま
たは、金属間化合物として存在する。上記支持体の製造
過程で加熱されると、固溶していたSiが単体Siとし
て析出することがある。単体SiとFeSi系の金属間
化合物は耐過酷インキ汚れ性に悪影響を与えることが知
られている。Siの含有率が1.0質量%を越えると、
例えば後述する硫酸による処理(デスマット処理工程)
でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.15質量
%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。よ
り好ましいSiの含有率は0.3〜1.0質量%であ
る。
【0034】Cuの含有率は0.1〜1.0質量%であ
るのが好ましい。CuはJIS2000系、4000系
材料のスクラップに多く含まれる元素である。比較的A
lに中に固溶しやすい。Cuの含有率が1.0質量%を
越えると、例えば後述する硫酸による処理でこれを除去
し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満である
と、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいC
uの含有率は0.3〜1.0質量%である。
【0035】Mgの含有率は0.1〜1.5質量%であ
るのが好ましい。MgはJIS2000系、3000
系、5000系、7000系材料のスクラップに多く含
まれる元素である。特にcan end材に多く含まれ
るため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の1
つである。Mgも比較的Al中に固溶しやすく、Siと
金属間化合物を形成する。Mgの含有率が1.5質量%
を越えると、例えば後述する硫酸による処理でこれを除
去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満である
と、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいM
gの含有率は0.5〜1.5質量%で、さらに好ましく
は1.0〜1.5質量%である。
【0036】Mnの含有率は0.1〜1.5質量%であ
るのが好ましい。MnはJIS3000系材料のスクラ
ップに多く含まれる元素である。特にcan body
材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な
不純物金属の1つである。Mnも比較的Al中に固溶し
やすく、AlFeSiと金属間化合物を形成する。Mn
の含有率が1.5質量%を越えると、例えば後述する硫
酸による処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、
0.1質量%未満であると、コスト削減効果が減少して
しまう。より好ましいMnの含有率は0.5〜1.5質
量%、さらに好ましくは1.0〜1.5質量%である。
【0037】Znの含有率は0.1〜0.5質量%であ
るのが好ましい。Znは特にJIS7000系のスクラ
ップに多く含まれる元素である。比較的Al中に固溶し
やすい。Znの含有率が0.5質量%を越えると、例え
ば後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる
場合があり、0.1質量%未満であると、コスト削減効
果が減少してしまう。より好ましいZnの含有率は0.
3〜0.5質量%である。
【0038】Crの含有率は0.01〜0.1質量%で
あるのが好ましい。CrはJIS5000系、6000
系、7000系のスクラップに少量含まれる不純物金属
である。Crの含有率が0.1質量%を越えると、例え
ば後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなくなる
場合があり、0.01質量%未満であると、コスト削減
効果が減少してしまう。より好ましいCrの含有率は
0.05〜0.1質量%である。
【0039】Tiの含有率は0.03〜0.5質量%で
あるのが好ましい。Tiは通常結晶微細化材として0.
01〜0.04質量%添加される元素である。JIS5
000系、6000系、7000系のスクラップには不
純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有率が
0.5質量%を越えると、例えば後述する硫酸による処
理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.03質
量%未満であると、コスト削減効果が減少してしまう。
より好ましいTiの含有率は0.05〜0.5質量%で
ある。
【0040】本発明で用いるアルミニウム板は、上述の
含有率(純度)でアルミニウムを含有し、かつ上記8つ
の不純物元素群から5種以上を含んだ材料を原材料とす
る。上記アルミニウム板は、上記原材料を用いて常法で
鋳造したものに、適宜圧延処理や熱処理を施し、厚さを
0.1〜0.7mmとし、必要に応じて平面性矯正処理
を施して製造される。なお、上記アルミニウム板の製造
方法としては、DC鋳造法、DC鋳造法から均熱処理、
および/または、焼鈍処理を省略した方法、および連続
鋳造法を用いることができる。
【0041】上記粗面化処理工程で用いる電解装置とし
ては、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の電解装
置を用いることができ、特開平5−195300号公報
に記載のようなラジアル型電解装置が特に好ましい。図
2は、本発明で用いるラジアル型電解装置の概略図であ
る。図2において、ラジアル型電解装置は、アルミニウ
ム板Wが主電解槽10中に配置されたラジアルドラムロ
ーラ12に巻装され、搬送過程で交流電源11に接続さ
れた主極13a、13bによって電解処理される。酸性
水溶液15は、溶液供給口14からスリット16を通じ
てラジアルドラムローラ12と主極13a、13bとの
間にある溶液通路17に供給される。ついで、主電解槽
10で処理されたアルミニウム板Wは、補助陽極槽20
で電解処理される。この補助陽極槽20には補助陽極2
1がアルミニウム板Wと対向配置されており、酸性水溶
液15は、補助陽極21とアルミニウム板Wとの間を流
れるように供給される。補助陽極21はフェライト、酸
化イリジウム、白金、または白金をチタン、ニオブ、ジ
ルコニウム等のバルブ金属にクラッド若しくはメッキし
たもの等公知の酸素発生用電極から選定することができ
る。主極13a、13bは、カーボン、白金、チタン、
ニオブ、ジルコニウム、およびステンレスや燃料電池用
陰極に用いる電極から選定することができるが、カーボ
ンが特に好ましい。該カーボンとしては、一般に市販さ
れている化学装置用不浸透性黒鉛や、樹脂含芯黒鉛等を
用いることができる。
【0042】上記主電解槽10および補助陽極槽20内
を通過する酸性水溶液の供給方向はアルミニウム板Wの
進行とパラレルでもカウンターでもよい。アルミニウム
板に対する酸性水溶液の相対流速は、10〜1000c
m/secが好ましい。一つの電解装置には1個以上の
交流電源を接続することができる。また、2個以上の電
解装置を使用してもよく、各装置における電解条件は同
一でもよいし異なっていてもよい。また、電解処理が終
了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニ
ップローラによって液切りとスプレーによる水洗とをお
こなうことが好ましい。
【0043】さらに、上記粗面化処理においては、電解
装置中の酸性水溶液の通電量に比例して、塩酸と水と
を、例えば(i)酸性水溶液の導電率と(ii)超音波の
伝搬速度と(iii)温度とから求めた硝酸およびアルミ
ニウムイオン濃度をもとに、塩酸と水との添加量を調節
しながら添加し、塩酸と水との添加容積と同量の酸性水
溶液を逐次電解装置からオーバーフローさせて排出する
ことで、上記酸性水溶液の濃度を一定に保つのが好まし
い。
【0044】つぎに、酸またはアルカリ水溶液中での化
学的エッチング処理、デスマット処理等を適宜含む表面
処理工程について順を追って説明する。上記表面処理工
程は、上記粗面化処理工程を施す前段階(第1の処理工
程)、上記複数回の粗面化処理工程の後、後述する陽極
酸化処理工程の前の段階(第2の処理工程)、または、
複数回、例えば第1の粗面化処理工程と第2の粗面化処
理工程と間の段階(中間処理工程)において施される。
ただし、以下の各処理工程は例示であり、本発明は、以
下の各工程の内容に限定されるものではない。また上記
表面処理工程をはじめとする以下の各処理は任意で施さ
れる。
【0045】(アルカリ水溶液中での化学的なエッチン
グ処理(アルカリエッチング処理))本発明でいうアル
カリエッチング処理とは、アルカリ水溶液中でアルミニ
ウム板表面を化学的にエッチングする処理をいい、上記
第1の処理工程、第2の処理工程および上記中間処理工
程それぞれにおいて施すのが好ましい。該アルカリ水溶
液の濃度は、1〜30質量%が好ましく、該アルカリ水
溶液は、アルミニウムはもちろんアルミニウム板中に含
有される合金成分を0.5〜10質量%を含有していて
よい。上記アルカリ水溶液としては、特に水酸化ナトリ
ウム(苛性ソーダ)を主体とする水溶液が好ましい。本
発明でいう「主体とする」とは、水溶液中の主体となる
成分が、全成分に対して30質量%以上、好ましくは5
0質量%以上含まれていることをいう。
【0046】上記アルカリエッチング処理は、アルカリ
水溶液の液温を常温〜95℃とし、1〜120秒間処理
することが好ましい。中間処理工程においてアルミニウ
ム板の溶解量は、アルミニウム板表面に形成されるピッ
トの大きさに影響する。したがって、中間処理工程にお
いて上記溶解量を制御することで中間処理工程で生成す
るピットの大きさをコントロールすることができる。最
初にアルカリ水溶液中で化学的なエッチング液をミキシ
ングするときには、液体水酸化ナトリウム(苛性ソー
ダ)とアルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)とを
用いて処理液を調製するのが好ましい。また、上記アル
カリエッチング処理が終了した後には、処理液を次工程
に持ち出さないためにニップローラーによる液切りとス
プレーによる水洗をおこなうことが好ましい。
【0047】(酸水溶液中でのエッチング処理(酸性エ
ッチング処理))本発明でいう酸性エッチング処理と
は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチン
グする処理をいい、上記第2の処理工程において施すの
が好ましく、上記アルカリエッチング処理の後に施すの
も好ましい。アルミニウム板に上記アルカリエッチング
処理を施した後に、上記酸性エッチング処理を施すと、
該アルミニウム板表面のシリカを含む金属間化合物、ま
たは単体Siを除去することができ、その後の陽極酸化
処理工程において生成する陽極酸化被膜の欠陥をなくす
ことができる。
【0048】上記酸性エッチング処理に用いることので
きる酸は、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、または
これらの2以上の酸を含む混酸を用いることができ、特
に硫酸水溶液が好ましい。上記酸性水溶液の濃度は、3
00〜500g/lが好ましく、該酸性水溶液は、アル
ミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合
金成分を含有していてよい。
【0049】上記酸性エッチング処理は、液温を60〜
90℃とし、好ましくは70〜80℃とし、1〜10秒
間処理することが好ましい。このときのアルミニウム板
の溶解量は0.001〜 0.2g/m2が好ましい。ま
た、酸濃度、例えば硫酸濃度と、アルミニウム濃度と、
は常温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。
特に好ましいアルミニウムイオン濃度は0.1〜15g
/lである。上記酸性エッチング処理が終了した後に
は、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラ
ーによる液切りとスプレーによる水洗をおこなうことが
好ましい。
【0050】(酸性溶液中でのデスマット処理)化学的
なエッチング処理をアルカリの水溶液を用いておこなっ
た場合は、一般にアルミニウム板の表面にスマットが生
成するので、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、また
はこれらの2以上の酸からなる混酸を含む酸性溶液中で
上記スマットを溶解するいわゆるデスマット処理を施す
のが好ましい。該デスマット処理は、上記第1の処理工
程、第2の処理工程および上記中間工程において適宜施
すのが好ましく、上記アルカリエッチング処理等の後に
施すのも好ましい。上記酸性水溶液の濃度は、1〜30
0g/lが好ましい。さらに酸性水溶液中にはアルミニ
ウムはもちろんアルミニウム板中に含有される合金成分
が0.1〜15g/l溶解していてもよい。
【0051】上記デスマット処理において酸性溶液の液
温は、20℃〜95℃が好ましく、30〜70℃がより
好ましい。また、処理時間は1〜120秒が好ましく、
2〜60秒がより好ましい。上記デスマット処理が終了
した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニッ
プローラーによる液切りとスプレーによる水洗をおこな
うことが好ましい。また、デスマット処理液(酸性溶
液)としては、上記粗面化処理工程で用いた酸性水溶液
の廃液を用いることが、廃液量削減の上で好ましい。
【0052】上述の本発明における粗面化処理工程の前
段階に施す第1の処理工程としては、アルミニウム板に
上記アルミニウム板の溶解量が0.01〜5g/m2
なるようにアルカリエッチング処理を施した後、上記酸
性溶液中でのデスマット処理を施すのが好ましい。ま
た、上記複数回の粗面化処理工程の後、後述する陽極酸
化処理工程の前段階に施す第2の処理工程としては、ア
ルミニウム板に60〜90℃の硫酸水溶液中で1〜10
秒間酸性エッチング処理を施すか、あるいは、アルカリ
水溶液中でアルミニウム板を0.01〜5g/m2溶解
するアルカリエッチング処理を施し、その後、上記酸性
溶液中でのデスマット処理または60〜90℃の硫酸水
溶液中で1〜10秒間酸性エッチング処理を施すのが好
ましい。なお、アルミニウム板にアルカリエッチング処
理を施した場合、アルミニウム板表面のシリカを含む金
属間化合物、または単体Siを除去するために、液温6
0〜90℃および1〜10秒間の条件で上記酸性エッチ
ング処理を施すのが好ましい。酸性エッチング処理を施
すと上述の通り、その後の陽極酸化処理工程において生
成する陽極酸化被膜の欠陥をなくすことができ、その結
果、印刷時にチリ状汚れと称される非画像部に点状のイ
ンクが付着するトラブルを改善することができる。さら
に、第1の粗面化処理工程と第2の粗面化処理工程との
間におこなう中間処理工程としては、アルカリエッチン
グ処理およびデスマット処理を施すのが好ましい。中間
処理工程のアルカリエッチング処理によるアルミニウム
板の溶解量としては、0.01〜10g/m2が好まし
く、0.1〜5g/m2がより好ましい。
【0053】<陽極酸化処理工程>本発明の支持体の製
造方法においては、上記粗面化処理工程または上記第2
の処理工程の後、アルミニウム板表面の耐磨耗性を高め
るために陽極酸化処理を施すのが好ましい(陽極酸化処
理工程)。本発明でいう陽極酸化処理とは、アルミニウ
ム板を陽極として電解液中に浸漬し、電流を通じてアル
ミニウム板の表面に陽極酸化被膜を生成する処理をい
う。
【0054】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解液としては多孔質酸化被膜を生成するものなら
ば、いかなるものでも使用することができる。一般には
硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれらの混
合液が用いられる。これらの電解液の濃度は電解液の種
類によって適宣決められる。上記陽極酸化処理の条件は
用いる電解液によって変わるので一概に特定し得ない
が、一般的には電解液の濃度が1〜80質量%、電解液
の液温が5〜70℃、電流密度が1〜60A/dm2
電圧が1〜100V、電解時間が10秒〜300秒の範
囲にあれば適当である。
【0055】電解液に硫酸水溶液を用いる硫酸法は、通
常直流電流を用いておこなわれるが、交流電流を用いて
もよい。また、陽極酸化被膜の生成量としては、1〜1
0g/m2、特に1.1〜5g/m2の範囲が適当であ
る。上記生成量が1g/m2未満であると耐刷性が不十
分となって、平版印刷版の非画像部にキズが付きやすく
なり、該キズの部分にインキが付着する、いわゆるキズ
汚れが生じやすくなる。また、上記陽極酸化被膜の生成
量が多すぎると、アルミニウムエッジ部分に陽極酸化被
膜が集中しやすくなる。したがって、アルミニウム板の
エッジ部分と中心部分との陽極酸化被膜量の差は、1g
/m2以下であることが好ましい。
【0056】上記陽極酸化処理としては、電解液として
硫酸を用いるのが好ましく、特開昭54−128453
号公報および特開昭48−45303号各公報に詳しく
記載されている。上記硫酸水溶液は、硫酸濃度を10〜
300g/l、アルミニウムイオン濃度を1〜25g/
lの範囲内とするのが好ましく、50〜200g/lの
硫酸水溶液中に硫酸アルミニウムを添加してアルミニウ
ムイオン濃度を2〜10g/lとするのがより好まし
い。液温は30〜60℃が好ましい。また、直流電流を
用いる直流法を用いる場合、電流密度は1〜60A/d
2が好ましく、5〜40A/dm2がより好ましい。
【0057】連続的にアルミニウム板(アルミニウムシ
ート)に陽極酸化処理を施す場合には、アルミニウム板
の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐため、最初は5〜10
A/dm2の低電流密度で陽極酸化処理を施し、後半に
行くに従って徐々に電流密度を上げて30〜50A/d
2になるまで、または、それ以上となるように電流密
度を設定することが好ましい。この際、電流密度は5〜
15ステップで徐々に上げることが好ましい。また、各
ステップごとには独立した電源装置を設け、この電源装
置の電流値で上記電流密度をコントロールするのが好ま
しい。給電方法としてはコンダクタローラを用いない液
給電方式が好ましい。なお、一般に、陽極には酸化イリ
ジウムや鉛が用いることができ、陰極にはアルミが用い
られる。上記陽極酸化処理に用いられる装置の一例とし
ては、特願平11−178624号明細書等に記載のも
のが挙げられる。
【0058】上記硫酸水溶液中にはアルミニウム板に含
まれる微量成分元素が溶解していてもよい。また、陽極
酸化処理中の硫酸水溶液にはアルミが溶出するため、そ
の工程の管理のためには硫酸濃度とアルミニウムイオン
濃度を管理する必要がある。アルミニウムイオン濃度を
低く設定すると陽極酸化をおこなう硫酸水溶液の更新を
頻繁におこなわなければならず、廃液量が増えて経済的
でないばかりでなく環境面でも問題がある。これに対
し、アルミニウムイオン濃度を高く設定すると電解電圧
が高くなり電カコストがかさみ経済的でない。好ましい
陽極酸化の硫酸濃度、アルミニウムイオン濃度、および
液温の組合せとしては、(i)硫酸濃度が100〜20
0g/l、より好ましくは、130〜180g/l、ア
ルミニウムイオン濃度が2〜10g/l、より好ましく
は3〜7g/l、液温が30〜40℃、より好ましくは
33〜38℃、(ii)硫酸濃度が50〜125g/l、
より好ましくは80〜120g/l、アルミニウムイオ
ン濃度が2〜10g/l、より好ましくは3〜7g/
l、液温が40〜70℃、より好ましくは50〜60℃
である。
【0059】<親水化処理工程>アルミニウム板は、陽
極酸化処理工程によって陽極酸化処理を施した後に、必
要に応じて親水化処理工程において該アルミニウム板表
面に親水化処理を施すのが好ましい。該親水化処理とし
ては、米国特許第2714066号明細書、同第318
1461号明細書、同第3280734号明細書および
同第3902734号明細書に開示されているアルカリ
金属シリケート(例えば珪酸ナトリウム水溶液)法を用
いるのが好ましい。この方法においては、支持体が珪酸
ナトリウム水溶液に浸漬されるか、または該水溶液中で
電解処理される。他の好ましい方法としては特公昭36
−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸
カリウム、および、米国特許第3276868号明細
書、同第4153461号明細書および同第46892
72号明細書に開示されているポリビニルホスホン酸で
処理する方法などが用いられる。これらの中でも、珪酸
ナトリウムおよびポリビニルホスホン酸水溶液を用いて
親水化処理を施すのが好ましい。
【0060】<封孔処理工程>本発明において、上記陽
極酸化処理工程によって陽極酸化処理を施した後に、陽
極酸化被膜に生成するマイクロポアと称される穴を塞ぐ
ために封孔処理を施すのが好ましい。かかる封孔処理
は、熱水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への
浸漬並びに水蒸気浴等によっておこなわれる。また、封
孔処理工程の後に上述の親水化処理を施すのが好まし
い。上記無機塩としては、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸
塩、硝酸塩等が挙げられ、上記有機塩としては、カルボ
ン酸塩等が挙げられる。
【0061】<本発明の製造方法に供し得る製造装置>
以下、本発明の平板印刷版用アルミニウム支持体の製造
方法に供し得る製造装置について説明する。本発明の支
持体の製造過程としては、(1)圧延され、コイル状に
巻き取られアルミニウム板を、多軸ターレットからなる
送り出し装置から送り出し、(2)上記各処理(アルカ
リエッチング処理、酸性エッチング処理、デスマット処
理、電気化学的な粗面化処理、陽極酸化処理、封孔処
理、および親水化処理)の後、アルミニウム板を乾燥処
理し、(3)アルミニウム板を上記多軸ターレットから
なる巻き取り装置にてコイル状に巻き取ること、また
は、アルミニウム板の平面性を矯正し、その後に所定の
長さにカットして集積することが好ましい。また、必要
に応じ、上記過程において(下塗り層・感光層・マット
層)を形成して乾燥処理する工程を設け、平版印刷版用
原版としてから上記巻取り装置にてコイル状に巻き取っ
てもよい。
【0062】また、本発明の製造方法は、アルミニウム
板の表面の欠陥を検査する装置を用いて、該欠陥を連続
的に検査し、発見した欠陥部のエッジ部分に目印のラベ
ルを貼る工程を、1工程以上有することすることが好ま
しい。さらに、本発明の製造方法は、アルミニウム板の
送り出し工程、および巻き取り工程において、アルミコ
イルの交換の際に、該アルミニウム板の走行を停止して
も、上記各工程におけるアルミニウム板の走行速度を一
定に保つようなリザーバー装置を設けることが好まし
く、上記アルミコイルの送り出し工程の後には、アルミ
ニウム板を超音波またはアーク溶接にて接合する工程を
設けることが好ましい。
【0063】本発明の製造方法で用いる製造装置には、
アルミニウム板の走行位置を検出し、走行位置を矯正す
る装置を1個以上有することが好ましい。また、上記製
造装置には、アルミニウム板の張力カットおよび走行速
度制御を目的とした駆動装置と、張力制御を目的とした
ダンサロール装置とを1個以上有することが好ましい。
また、トラッキング装置にて各工程の状態が所望の条件
か否かを記録し、アルミニウムコイルが巻き取られる前
に、アルミニウムウェブのエッジ部にラベルを貼り、そ
のラベルよりも後が所望の条件か否かをのちに判別でき
るようにすることも好ましい。
【0064】上記アルミニウム板は、合紙とともに帯電
させて互いに吸着させ、その後所定の長さにカット、お
よび/または、スリットすることが好ましい。また、ア
ルミニウム板のエッジ部分に貼られたラベルの情報をも
とに、所定の長さに裁断した後または、裁断する前に、
そのラベルを目印として良品部分と欠陥部分とを分別
し、良品部分のみを集積することが好ましい。
【0065】上記送り出し工程等を含む各工程では、ア
ルミニウム板のサイズ(厚さ、巾)、アルミニウム材
質、またはアルミニウムウェブの走行速度によって、そ
れぞれの条件で最適な張力を設定することが重要であ
る。そこで、張力カットと走行速度制御を目的とした駆
動装置と、張力制御を目的としたダンサ−ロールとを利
用し、張力感知装置からの信号をフィードバック制御す
る張力制御装置を複数設けることが好ましい。駆動装置
は、直流モーターと主駆動ローラを組み合わせた制御方
法を用いるのが一般的である。主駆動ローラは一般的な
ゴムを材質とするが、アルミニウムウェブがwetな状
態にある工程では不織布を積層して作製されたローラを
用いることができる。また、各パスローラはゴムまたは
金属が一般的に用いられるが、アルミニウムウェブとス
リップを起こしやすい箇所ではこのスリップを防止する
ために、各パスローラにモーターや減速機を接続し、主
駆動装置からの信号によって一定速度で回転制御する等
補助的な駆動装置を設けることもできる。
【0066】平版印刷版用アルミニウム支持体は、特開
平10−114046号公報に記載されているように、
算術平均表面粗さ(Ra)としての圧延方向の平均表面
粗さ(R1)と圧延方向と垂直な方向の平均表面粗さ
(R2)との差(R1−R2)が、上記圧延方向の平均表
面粗さの30%以内で、さらに圧延方向の平均曲率が
1.5×10-3mm-1以内であり、かつ幅方向の曲率分
布が1.5×10-3mm-1以内、圧延方向と垂直な方向
の曲率が1.0×10-3mm-1以内であることが好まし
い。また、上記粗面化処理等を施して製造された平版印
刷版用アルミニウム支持体は、ロール直径20mm〜8
0mm、ゴム硬度50〜95度の矯正ロールを用いて矯
正することが好ましい。、これにより、平版感光印刷機
の自動搬送工程においても、平版印刷版原版の露光ズレ
が起きないフラットネスのアルミニウムコイル状素板を
供給することが出来る。特開平9−194093号公報
には、ウェブのカール測定方法および装置、カール修正
方法および装置、並びにウエブ切断装置が記載されてい
る。
【0067】また、連続的に平版印刷版用アルミニウム
支持体を製造するにあたり、各工程が適切な条件で稼働
しているかを電気的に監視し、トラッキング装置にて各
工程の状態が所望の条件か否かを記録し、アルミニウム
コイルが巻き取られる前に、アルミニウムウェブのエッ
ジ部にラベルを貼り、そのラベルよりも後が所望の条件
か否かを、後から判別できるようにすることで、裁断
時、集積時にその部分の良否を判定することができる。
【0068】上述の粗面化処理工程で用いるアルミニウ
ム板の処理装置には、液の温度、比重、電導度、超音波
の伝搬速度のうち、ひとつ以上を測定し、液の組成を求
め、フィードバック制御、および/または、フィードフ
ォワード制御して液濃度を一定にコントロールすること
が好ましい。上記処理装置中の酸性水溶液にはアルミニ
ウムイオンを初めとするアルミニウム板中に含まれる成
分がアルミニウム板の表面処理の進行に伴って溶解す
る。そこで、アルミニウムイオン濃度と酸またはアルカ
リの濃度を一定にするために、水と酸、または、水とア
ルカリを間欠的に添加して液組成を一定に保つのが好ま
しい。ここで添加する酸またはアルカリの濃度は10〜
98質量%が好ましい。
【0069】上記酸またはアルカリの濃度を制御するに
は、例えば以下の方法が好ましい。まず、予め使用が予
定されている濃度範囲の成分液毎の導電率、比重または
超音波の伝搬速度を各温度毎に測定してデータテーブル
を作成する。そして、被測定液の導電率、比重または超
音波の伝搬速度と温度データを予め作成した非測定液の
データテーブルを参照して濃度を測定する。上記超音波
の伝搬時間を高精度・高安定に測定する方法は特開平6
−235721号公報に開示されている。また、上記超
音波の伝搬速度を利用した濃度測定システムについては
特開昭58−77656号公報に開示されている。ま
た、複数の物理量データを液成分毎に相関を示すデータ
テーブルを作成しておき、そのデータテーブルを参照し
て多成分液の濃度を測定する方法は特開平4−1955
9号公報に開示されている。
【0070】上記超音波の伝搬速度を用いた濃度測定方
法を被測定液の導電率と温度の値と組み合わせて、平版
印刷版用アルミニウム支持体の粗面化工程に応用する
と、プロセスの管理がリアルタイムで正確におこなえる
ため、一定品質の製品が製造できるようになり、得率の
向上につながる。また、温度と超音波の伝搬速度と導電
率との組み合わせだけでなく、温度と比重、温度と導電
率、温度と導電率と比重と等、それぞれの物理量で濃度
および温度毎にデータテーブルを作成しておき、そのデ
ータテーブルを参照して多成分液の濃度測定する方法を
平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化処理工程に応
用すると、前記と同様な効果が得られる。また、比重と
温度とを測定し、予め作成しておいたデータテーブルを
参照して被測定物のスラリー濃度を求めることによっ
て、スラリー濃度の測定も迅速かつ正確におこなえるよ
うになる。
【0071】上記超音波の伝搬速度測定は液中の気泡の
影響を受けやすいため、垂直に配置され、かつ下方から
上方に向かう流速のある配管中でおこなわれることがよ
り好ましい。上記超音波の伝搬速度測定は、配管内の圧
力が1〜10kg/cm2の圧力範囲内でおこなうこと
が好ましく、超音波の周波数は、0.5〜3MHzが好
ましい。また、上記比重、導電率、超音波の伝搬速度の
測定は温度の影響を受けやすいため、保温状態にあり、
かつ温度変動が±0.3℃以内に制御された配管内で測
定することが好ましい。さらに、導電率および比重、ま
たは導電率と超音波の伝搬速度とは同一温度で測定する
ことが好ましいので、同一の配管内または同一の配管フ
ロー内で測定することが特に好ましい。測定の際の圧力
変動は温度の変動につながるので可能な限り低い方が好
ましい。また測定する配管内の流速分布もできるだけ少
ない方が好ましい。さらに、上記測定はスラリー、ゴ
ミ、および気泡の影響を受けやすいので、フィルターや
脱気装置等を通した液を測定することが好ましい。
【0072】《平版印刷版用アルミニウム支持体》 <下塗層>本発明の製造法によって製造された平版印刷
版用アルミニウム支持体は、その表面に感光層を塗設す
る前に、必要に応じて有機下塗層を設けてもよい。該有
機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カル
ボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガ
ム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有する
ホスホン酸類や、置換基を有してもよいフェニルホスホ
ン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリ
セロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレン
ジホスホン酸等の有機ホスホン酸や、置換基を有しても
よいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸
およびグリセロリン酸等の有機リン酸や、置換基を有し
てもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン
酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸
等の有機ホスフィン酸や、グリシンやβ−アラニン等の
アミノ酸類や、トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒド
ロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、
これらを二種以上混合して用いてもよい。
【0073】上記有機下塗層は、例えば以下の方法で設
けることが出来る。 (a)水、またはメタノール、エタノール、メチルエチ
ルケトン等の有機溶剤、あるいはそれらの混合溶剤に上
記の有機化合物を溶解させた溶液を、本発明の支持体上
に塗布、乾燥して設ける方法や、(b)水、またはメタ
ノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶
剤、あるいはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶
解させた溶液に、本発明の支持体を浸漬して上記有機化
合物を吸着させ、その後、水等によって洗浄、乾燥して
有機下塗層を設ける方法を用いて上記有機下塗層を設け
ることができる。
【0074】上記(a)の方法では、0.005〜10
質量%の上記有機化合物溶液を種々の方法で塗布でき
る。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗
布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。ま
た、上記(b)の方法では、上記有機溶媒溶液の濃度は
0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%
であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜5
0℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは
2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、
トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、
塩酸、リン酸などの酸性物質によってpHを調整し、p
H1〜12の範囲内で使用することもできる。また、感
光性平版印刷版の調子再現性を改良するために黄色染料
を添加することもできる。また、上記有機下塗層の乾燥
後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好
ましくは5〜100mg/m2である。上記被覆量が2
mg/m2未満だと十分な耐刷性能が得られない場合が
ある。また、200mg/m2を越えても同様である場
合がある。
【0075】<バックコート層>本発明の製造方法によ
って得られた支持体を用いた平版印刷版原版の裏面(感
光層が設けられていない側)には、該平版印刷版原版を
重ねた場合に感光層が傷付かないように、有機高分子化
合物からなる被覆層(以下、「バックコート層」という
場合がある。)を必要に応じて設けていてもよい。上記
バックコート層の主成分としては、ガラス転移点が20
℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共
重合樹脂の群から選ばれる少なくとも一種の樹脂を用い
るのが好ましい。
【0076】上記飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカ
ルボン酸ユニットとジオールユニットからなる。本発明
に用いられるポリエステルのジカルボン酸ユニットとし
てはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブ
ロムフタル酸、テトラクロルフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、蓚
酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸
などが挙げられる。
【0077】上記バックコート層には、さらに着色のた
めの染料や顔料、本発明の支持体との密着性を向上させ
るためにシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からな
るジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸およびカチ
オン性ポリマー等、さらには滑り剤として通常用いられ
るワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチル
シロキサンからなるシリコーン化合物、変性ジメチルシ
ロキサン、ポリエチレン粉末等を適宜加えてもよい。上
記バックコート層の厚さは基本的には合紙がなくても、
後述する感光層を傷付けにくい厚みがあればよく、0.
01〜8μmの範囲が好ましい。該厚さが0.01μm
未満では平版印刷版を重ねて取り扱った場合の感光層の
擦れ傷を防ぐことが困難である。また、上記厚さが8μ
mを越えると印刷中、平版印刷版原版周辺で用いられる
薬品によってバックコート層が膨潤して厚みが変動し、
印圧が変化して印刷特性を劣化させることがある。
【0078】上記バックコート層を本発明の支持体の裏
面に被覆する方法としては種々の方法が適用できる。例
えば、上記バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解し
溶液にして塗布し、または、乳化分散液して塗布し、乾
燥する方法や、予めフィルム状に成形したものを接着剤
や熱で本発明の支持体に貼り合わせる方法や、溶融押し
出し機で溶融被膜を形成し、本発明の支持体に貼り合わ
せる方法等が挙げられるが、上記の塗布量を確保する上
で最も好ましいのは、上記バックコート成分を適当な溶
媒に溶解し溶液にして塗布、乾燥する方法である。ここ
で使用される溶媒としては、特開昭62−251739
号公報に記載されているような有機溶剤を単独あるいは
混合して用いることができる。また、平版印刷版原版の
製造に当たっては裏面のバックコート層と表面の感光性
組成物層のどちらが先に支持体上に塗布されてもよく、
また両者が同時に塗布されてもよい。
【0079】《平版印刷版原版》本発明の支持体には、
以下に例示する感光層を設けて本発明の平版印刷版原版
とすることができる。この平版印刷版原版に、露光およ
び現像等を施し、画像が形成され印刷に供し得る状態と
されたものが平版印刷版となる。
【0080】<〔I〕o−ナフトキノンジアジドスルホ
ン酸エステルおよびフェノール・クレゾール混合のノボ
ラック樹脂を含有する感光層を設ける場合>本発明の支
持体には、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステ
ルおよびフェノール・クレゾール混合のノボラック樹脂
を含有する感光層を設けることができる。上記o−キノ
ンジアジド化合物はo−ナフトキノンジアジド化合物で
あり、例えば、米国特許第2,766,118号明細
書、同第2,767,092号明細書、同第2,77
2,972号明細書、同第2,859,112号明細
書、同第3,102,809号明細書、同第3,10
6,465号明細書、同第3,635,709号明細
書、同第3,647,443号明細書をはじめ、多数の
刊行物に記されており、これらは、好適に使用すること
ができる。また、これらの中でも、特に芳香族ヒドロキ
シ化合物のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステ
ルまたはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸エステ
ル、および芳香族アミノ化合物のo−ナフトキノンジア
ジドスルホン酸アミドまたはo−ナフトキノンジアジド
カルボン酸アミドが好ましく、特に米国特許第3,63
5、709号明細書に記されているピロガロールとアセ
トンとの縮合物にo−ナフトキノンジアジドスルホン酸
をエステル反応させたものや、米国特許第4,028,
111号明細書に記されている末端にヒドロキシ基を有
するポリエステルにo−ナフトキノンジアジドスルホン
酸、またはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸をエス
テル反応させたものや、英国特許第1,494,043
号明細書に記されているようなp−ヒドロキシスチレン
のホモポリマーまたはこれと他の共重合し得るモノマー
との共重合体にo−ナフトキノンジアジドスルホン酸、
またはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸をエステル
反応させたものや、米国特許第3,759,711号明
細書に記されているようなp−アミノスチレンと他の共
重合し得るモノマーとの共重合体にo−ナフトキノンジ
アジドスルホン酸、またはo−ナフトキノンジアジドカ
ルボン酸をアミド反応させたもの、は非常に優れてい
る。
【0081】上記o−キノンジアジド化合物は、単独で
使用することができるが、アルカリ可溶性樹脂と混合し
て用いた方が好ましい。好適なアルカリ可溶性樹脂に
は、ノボラック型フェノール樹脂が含まれ、具体的に
は、フェノールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾール
ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒ
ド樹脂等が含まれる。さらに米国特許第4,028,1
11号明細書に記されているように、上記フェノール樹
脂と共に、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂
のような炭素数3〜8のアルキル基で置換されたフェノ
ールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物を
併用すると、より好ましい。また、露光によって可視像
を形成するため、例えば、o−ナフトキノンジアジド−
4−スルホニルクロライド、p−ジアゾジフェニルアミ
ンの無機アニオン塩、トリハロメチルオキサジアゾール
化合物、またはベンゾフラン環を有するトリハロメチル
オキサジアゾール化合物等の化合物等が添加される。
【0082】一方、上記感光層には画像の着色剤を用い
てもよい。該画像の着色剤としては、ビクトリアブル−
BOH、クリスタルバイオレット、オイルブルー、等の
トリフェニルメタン染料が用いられる。また、特開昭6
2−293247号公報に記載されている染料は特に好
ましい。さらに、感脂化剤として特公昭57−2325
3号公報に記載されているような炭素数3〜15のアル
キル基で置換されたフェノール、例えばt−ブチルフェ
ノール、n−オクチルフェノール、t−ブチルフェノー
ルとホルムアルデヒドとを縮合させたノボラック樹脂、
または、このようなノボラック樹脂のo−ナフトキノン
ジアジド−4−若しくは−5−スルホン酸エステル(例
えば、特開昭61−242446号公報に記載されてい
る)を含有させることができる。また、現像性を良化さ
せるためにさらに特開昭62−251740号公報に記
載されているような非イオン界面活性剤を含有させるこ
とができる。以上の組成物は、上記各成分を溶解する溶
媒に溶かして本発明の支持体上に塗布することができ
る。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライ
ド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1
−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プ
ロピルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチル
スルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルム
アミド、水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフル
フリルアルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル等が挙げられ、これらの
溶媒を単独あるいは混合して使用するのが好ましい。本
発明の支持体上には、これらの成分からなる感光性組成
物は、固形分として0.5〜3.0g/m2として設け
るのがよい。
【0083】<〔II〕ジアゾ樹脂と水不溶性かつ親油性
高分子化合物を含有する感光層を設ける場合>本発明の
支持体には、ジアゾ樹脂と水不溶性かつ親油性高分子化
合物を含有する感光層を設けることもできる。上記ジア
ゾ樹脂としては、例えばp−ジアゾジフェニルアミンと
ホルムアルデヒドと、またはアセトアルデヒドの縮合物
と、ヘキサフルオロリン酸塩と、テトラフルオロホウ酸
塩との有機溶媒可溶の反応生成物であるジアゾ樹脂無機
塩、また、米国特許第3,300,309号明細書に記
載されているような、上記縮合物とスルホン酸類例えば
P−トルエンスルホン酸またはその塩、ホスフィン酸類
例えばベンゼンホスフィン酸またはその塩、ヒドロキシ
ル基含有化合物例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
−5−スルホン酸またはその塩等との反応生成物である
有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂有機酸塩等が挙げられる。本
発明において、好適に用いることができる他のジアゾ樹
脂は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸
基、リンの酸素酸基およびヒドロキシル基のうち少なく
とも一つの有機基を有する芳香族化合物と、ジアゾニウ
ム化合物、好ましくは芳香族ジアゾニウム化合物とを構
造単位として含む共縮合体である。そして上記の芳香族
環としては、好ましくはフェニル基、ナフチル基をあげ
ることができる。上述のカルボキシル基、スルホン酸
基、スルフィン酸基、リンの酸素酸基、およびヒドロキ
シル基のうち少なくとも一つを有する芳香族化合物とし
ては種々のものが挙げられるが、好ましいのは、4−メ
トキシ安息香酸、3−クロロ安息香酸、2,4−ジメト
キシ安息香酸、p−フェノキシ安息香酸、4−アニリノ
安息香酸、フェノキシ酢酸、フェニル酢酸、p−ヒドロ
キシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ベンゼ
ンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、1−ナフタ
レンスルホン酸、フェニルリン酸、フェニルホスホン酸
である。
【0084】上述の共縮合ジアゾ樹脂の構成単位をなす
芳香族ジアゾニウム化合物には、例えば特公昭49−4
8001号公報に挙げられているようなジアゾニウム塩
を用いることができるが、特に、ジフェニルアミン−4
−ジアゾニウム塩類が好ましい。ジフェニルアミン−4
−ジアゾニウム塩類は、4−アミノ−ジフェニルアミン
類から誘導されるが、このような4−アミン−ジフェニ
ルアミン類としては、4−アミノジフェニルアミン、4
−アミノ−3−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ
−2−メトキシジフェニルアミン、4’−アミノ−2−
メトキシジフェニルアミン、4’−アミノ−4−メトキ
シジフェニルアミン、4−アミノ−3−メチルジフェニ
ルアミン、4−アミノ−3−エトキシジフェニルアミ
ン、4−アミノ−3−β−ヒドロキシエトキシジフェニ
ルアミン、4−アミノ−ジフェニルアミン−2−スルホ
ン酸、4−アミノ−ジフェニルアミン−2−カルボン
酸、4−アミノ−ジフェニルアミン−2’−カルボン酸
等が挙げられ、特に好ましくは、3−メトキシ−4−ア
ミノ−4−ジフェニルアミン、4−アミノジフェニルア
ミンである。
【0085】また、酸基を有する芳香族化合物との共縮
合ジアゾ樹脂以外のジアゾ樹脂としては、特開平4−1
8559号公報、特開平3−163551号公報、およ
び特開平3−253857号公報に記載された酸基を有
するアルデヒドまたはそのアセタール化合物で縮合した
ジアゾ樹脂も好ましく用いることができる。ジアゾ樹脂
の対アニオンとしては、ジアゾ樹脂と安定に塩を形成
し、かつ該樹脂を有機溶媒に可溶となすアニオンを含
む。
【0086】これらは、デカン酸および安息香酸等の有
機カルボン酸、フェニルリン酸等の有機リン酸およびス
ルホン酸を含み、典型的な例としては、メタンスルホン
酸、トルフルオロメタンスルホン酸等のフルオロアルカ
ンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ジオクチルスルホ
コハク酸、ジシクロヘキシルスルホコハク酸、カンファ
ースルホン酸、トリルオキシ−3−プロパンスルホン
酸、ノニルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ノニ
ルフェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ジブチルフェノ
キシ−3−プロパンスルホン酸、ジアミルフェノキシ−
3−プロパンスルホン酸、ジノニルフェノキシ−3−プ
ロパンスルホン酸、ジブチルフェノキシ−4−ブタンス
ルホン酸、ジノニルフェノキシ−4−ブタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メシチ
レンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2,
5−ジクロロベンゼンスルホン酸、スルホサルチル酸、
2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、p−アセチルベ
ンゼンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン
酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼ
ンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−ク
ロロ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼン
スルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベン
ゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ブトキ
シベンゼンスルホン酸、ドデシルオキシベンゼンスルホ
ン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−
5−スルホン酸、イソプロピルナフヘタレンスルホン
酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレン
スルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ブトキシ
ナフタレンスルホン酸、ドデシルオキシナフタレンスル
ホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナ
フタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスル
ホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、1−ナフト
ール−5−スルホン酸、ナフタリン−1−スルホン酸、
ナフタリン−2−スルホン酸、1,8−ジニトロ−ナフ
タレン−3,6−ジスルホン酸、ジメチル−5−スルホ
イソフタレート等の脂肪族並びに芳香族スルホン酸、
2,2’,4,4’−テトラヒドキシベンゾフェノン、
1,2,3−トリヒドロシキシベンゾフェノン、2,
2’4−トリヒドロキシベンゾフェノン等の水酸基含有
芳香族化合物、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロ
ホウ酸等のハロゲン化ルイス酸、HClO4,HIO4
の過ハロゲン酸等が挙げられるが、これに限られるもの
ではない。これらの中で、特に好ましいものは、ブチル
ナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン
酸、ヘキサフルオロリン酸、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン−5−スルホン酸、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸である。
【0087】本発明に使用するジアゾ樹脂としては、各
単量体のモル比および縮合条件を種々変えることによっ
て、その分子量は任意の値として得ることができるが、
本発明の目的とする使途に有効に供するためには分子量
が約400〜100,000のもの、好ましくは、約8
00〜8,000のものが適当である。水不溶性かつ親
油性高分子化合物としては、下記(1)〜(15)に示
すモノマーをその構造単位とする通常1〜20万の分子
量をもつ共重合体が挙げられる。
【0088】(1)芳香族水酸基を有するアクリルアミ
ド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メ
タクリル酸エステル類およびヒドロキシスチレン類、例
えばN−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドま
たはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−,m−,p−ヒドロキシスチレン、o−,m
−,p−ヒドロキシフェニル−アクリレートまたはメタ
クリレートである。
【0089】(2)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エ
ステル類、およびメタクリル酸エステル類、例えば2−
ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレ
ートである。
【0090】(3)アクリル酸、メタクリル酸、無水マ
レイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸である。
【0091】(4)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アク
リル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、
N−ジメチルアミノエチルアクリレート等の(置換)ア
ルキルアクリレートである。
【0092】(5)メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート、アミルメタクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタク
リレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等
の(置換)アルキルメタクリレートである。
【0093】(6)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキ
シルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルア
ミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミ
ド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアク
リルアミドもしくはメタクリルアミド類である。
【0094】(7)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等の
ビニルエーテル類である。
【0095】(8)ビニルアセテート、ビニルクロロア
セテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニ
ルエステル類である。
【0096】(9)スチレン、α−メチルスチレン、ク
ロロメチルスチレン等のスチレン類である。
【0097】(10)メチルビニルケトン、エチルビニ
ルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケト
ン等のビニルケトン類である。
【0098】(11)エチレン、プロピレン、イソブチ
レン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類であ
る。
【0099】(12)N−ビニルピロリドン、N−ビニ
ルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等である。
【0100】(13)マレイミド、N−アクリロイルア
クリルアミド、N−アセケチルメタクルアミド、N−プ
ロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾ
イル)メタクリルアミド等の不飽和イミドである。
【0101】(14)N(o−アミノスルホニルフェニ
ル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノ)スルホ
ニルフェニルメタクリルアミド、N−(1−(3−アミ
ノスルホニル)ナフチル)メタクリルアミド、N−(2
−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミド等のメタ
クリル酸アミド類、および上記と同様の置換基を有する
アクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニ
ルフメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメ
タクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリ
レート、1−(3−アミノスルホニルナフチル)メタク
リレート等のメタクリル酸エステル類、および上記と同
様の置換基を有するアクリル酸エステル類などの不飽和
スルホンアミドである。
【0102】(15)N−(2−(メタクリロイルオキ
シ)−エチル)−2,3−ジメチルマレイミド、ビニル
シンナメート、などの、側鎖に、架橋性基を有する不飽
和モノマーである。さらに、上記モノマーと共重合し得
るモノマーを共重合させてもよい。
【0103】(16)米国特許第3,751,257号
明細書に記載されているフェノール樹脂および例えばポ
リビニルフォルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂
等のポリビニルアセタール樹脂である。
【0104】(17)ポリウレタンをアルカリ可溶化し
た特公昭54−19773号、特開昭57−90474
7号、同60−182437号、同62−58242
号、同62−123452号、同62−123453
号、同63−113450号、特開平2−146042
号に記載された高分子化合物である。
【0105】また上記共重合体には必要に応じて、ポリ
ビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド
樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等を添
加してもよい。
【0106】本発明における感光層に用いる感光性組成
物には、露光による可視画像と現像後の可視画像を得る
ことを目的としてさらに色素を用いることができる。該
色素としては、例えば、ビクトリアピュアブル−BOH
〔保土ヶ谷化学社製〕、オイルブルー#603〔オリエ
ント化学工業社製〕,パテントピュアブルー〔住友三国
化学社製〕、クリスタルバイオレット、ブリリアントグ
リーン、エチルバイオレット、メチルバイオレット、メ
チルグリーン、エリスロシンB、ベイシックフクシン、
マラカイトグリーン、オイルレッド、m−クレゾールパ
ープル、ローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチル
アミノフェニルイミナフトキノン、シアノ−p−ジエチ
ルアミノフェニルアセトアニリド等に代表されるトリフ
ェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、
キサンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系ま
たはアントラキノン系の色素が有色から無色あるいは異
なる有色の色調へ変化する変色剤の例として挙げられ
る。
【0107】一方、無色から有色に変化する変色剤とし
ては、ロイコ色素および、例えばトリフェニルアミン、
ジフェニルアミン、o−クロロアニリン、1,2,3−
トリフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミノジ
フェニルメタン、p,p’−ビス−ジメチルアミノジフ
ェニルアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,
p’,p”−トリス−ジメチルアミノトリフェニルメタ
ン、p,p’−ビス−ジメチルアミノジフェニルメチル
イミン、p,p’,p”−トリアミノ−o−メチルトリ
フェニルメタン、p,p’−ビス−ジメチルアミノジフ
ェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p’,p”
−トリアミノトリフェニルメタンに代表される第1級ま
たは第2級アリールアミン系色素が挙げられる。特に好
ましくは、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系
色素が有効に用いられ、さらに好ましくはトリフェニル
メタン系色素であり、特にビクトリアピュアブルーBO
Hである。
【0108】本発明における感光層に用いる感光性組成
物には、さらに種々の添加物を加えることができる。例
えば、塗布性を改良するためのアルキルエーテル類(例
えばエチルセルロース、メチルセルロース)、フッ素系
界面活性剤類や、ノニオン系界面活性剤(特にフッ素系
界面活性剤が好ましい)、塗膜の柔軟性、耐摩耗性を付
与するための可塑剤(例えばブチルフタリル、ポリエチ
レングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタン酸ジブチル、フタン酸ジヘキシル、フタル酸
ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、
リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリ
ル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよび
ポリマー、この中で特にリン酸トリクレジルが好まし
い)、画像部の感脂性を向上させるための感脂化剤(例
えば特開昭55−527号公報に記載のスチレン−無水
マレイン酸共重合体のアルコールによるハーフエステル
化物、p−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹
脂などのノボラック樹脂、p−ヒドロキシスチレンの5
0%脂肪酸エステル等)、安定剤{例えば、リン酸、亜
リン酸、有機酸(クエン酸、シュウ酸、ジピコリン酸、
ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホサ
リチル酸、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノ
ン−5−スルホン酸、酒石酸等)}、現像促進剤(例え
ば高級アルコール、酸無水物等)等が好ましく用いられ
る。
【0109】上述の感光性組成物を含む感光層を本発明
の支持体上に設けるには、感光性ジアゾ樹脂、親油性高
分子化合物、および必要に応じて種々の添加剤の所定量
を適当な溶媒(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、1−メトキシ−2−プロパノール、メチルセロソル
ブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メタノ
ール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、
乳酸メチル、乳酸エチル、エチレンジクロライド、ジメ
チルスルホキシド、水またはこれらの混合物等)中に溶
解させ感光性組成物の塗布液を調製し、これを支持体上
に塗布、乾燥すればよい。用いられる溶媒は単独でもよ
いが、メチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノ
ール、乳酸メチル等の高沸点溶媒と、メタノール、メチ
ルエチルケトン等の低沸点溶媒との混合物とするとさら
に好ましい。
【0110】本発明の支持体に感光性組成物を塗布する
際の該感光性組成物の固形分濃度は1〜50質量%の範
囲内とすることが好ましい。この場合、感光性組成物の
塗布量は、おおむね、0.2〜10g/m2(乾燥質
量)程度とすればよく、さらに好ましくは、0.5〜3
g/m2とするとよい。
【0111】<ネガ型赤外線レーザー記録材料>本発明
の平板印刷版原版を赤外線レーザーに露光可能なネガ型
の平版印刷版原版とする場合には、有用な赤外線レーザ
ー用ネガ型感光材料によって感光層を設けるのがよい。
該赤外線レーザー用ネガ型感光材料としては、(A)光
または熱によって分解して酸を発生する化合物、(B)
酸によって架橋する架橋剤、(C)アルカリ可溶性樹
脂、(D)赤外線吸収剤、(E)一般式(R1―X)n
Ar―(OH)mで表される化合物{R1:炭素数6〜3
2のアルキル基またはアルケニル基、X:単結合、O,
S,COO,またはCONH、Ar:芳香族炭化水素
基,脂肪式炭化水素基,または複素環基、n=1〜3、
m=1〜3}からなる組成物が有用である。
【0112】上記ネガ型の平版印刷版原版は、現像後に
指紋が付きやすく、画像部の強度が弱いという欠点があ
るが、かかる欠点は上記構成成分によって感光層を形成
することで解消される。以下に、このネガ型の平版印刷
版原版の構成成分について詳述する。
【0113】上記(A)光または熱によって分解して酸
を発生する化合物としては、特願平3−140109号
明細書に記載されているイミノスルフォネート等に代表
される、光分解してスルホン酸を発生する化合物が挙げ
られ、200〜500nmの波長の照射、または100
℃以上の加熱によって酸を発生する化合物が挙げられ
る。好適な酸発生剤としては、光カチオン重合開始剤、
光ラジカル重合の開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤
等を用いることができる。これらの酸発生剤は、画像記
録材料全固形分に対して0.01〜50質量%添加され
るのが好ましい。
【0114】上記(B)酸によって架橋する架橋剤とし
ては、(i)アルコキシメチル基若しくはヒドロキシル
基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメ
チル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシル
オキシメチル基を有する化合物、(iii)エポキシ化合
物が好ましい。
【0115】上記(C)アルカリ可溶性樹脂としては、
ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリール基を有する
ポリマーが挙げられる。
【0116】上記(D)赤外線吸収剤からなる組成物と
しては、760〜1200nmの赤外線を有効に吸収す
るアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料
等の市販染料またはカラーインデックスに記載されてい
る黒色顔料、赤色顔料、金属粉顔料、フタロシアニン系
顔料が挙げられる。また、画像の見やすさを向上させる
ためにオイルイエロー、オイルブルー#603等の画像
着色剤を添加することが好ましい。また、塗膜の柔軟性
改善のため、ポリエチレングリコールやフタル酸エステ
ルのような可塑剤を添加することができる。
【0117】〔ポジ型赤外線レーザー記録材料〕本発明
の平板印刷版原版を赤外線レーザーに露光可能なポジ型
平版印刷版原版とする場合には、有用な赤外線レーザー
用ポジ型感光材料によって感光層を設けるのがよい。該
赤外線レーザー用ポジ型感光材料としては、(A)アル
カリ可溶性高分子と(B)該アルカリ可溶性高分子と相
溶してアルカリ溶解性を低下させる化合物、(C)赤外
レーザーを吸収する化合物からなる赤外線レーザー用ポ
ジ型感光材料が有用である。上記赤外線レーザー用ポジ
型感光材料使用することで、非画像部のアルカリ現像液
に対する溶解性不足を解消でき、また、傷つき難くくか
つ、画像部の耐アルカリ現像適性に優れ、現像安定性の
よい平版印刷版とすることができる。
【0118】上記(A)アルカリ可溶性高分子として
は、(i)フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラッ
ク樹脂やピロガロール樹脂なので代表されるフェノール
性水酸基を有する高分子化合物、(ii)スルホンアミド
基を有する重合モノマーを単独または他の重合性モノマ
ーと共重合させて得られた化合物、(iii)N―(p―
トルエンスルホニル)メタクリルアミドやN―(p−ト
ルエンスルホニル)アクリルアミド等に代表される活性
イミド基を分子内に有する化合物等が好ましい。上記
(B)成分としては、スルホン化合物、アンモニウム
塩、スルホニウム塩、アミド化合物等の上記(A)成分
と相互作用する化合物が挙げられる。例えば上記(A)
成分がノボラック樹脂の場合には、(B)成分としてシ
アニン色素が好適である。
【0119】上記(C)成分としては、750〜120
0nmの赤外域に吸収域があり、光/熱変換能を有する
材料が好ましい。このような機能を有するものとして
は、スクワリリウム色素、ピリリウム塩色素、カーボン
ブラック、不溶性アゾ染料、アントラキノン系染料など
が挙げられる。これら顔料は0.01μm〜10μmの
範囲の大きさが好ましく、染料を添加し、メタノール、
メチルエチルケトン等を有機溶媒としてそれらを溶解
し、アルミニウム板上に乾燥後の質量が1〜3g/m2
となるように塗布、乾燥して設けられる。
【0120】〔光重合系ホトポリマー型レーザー記録材
料〕赤外線レーザーに露光可能なネガ型平版印刷版原版
を製造する場合には、さらに有用なレーザー露光可能な
感光層用材料として、光重合系ホトポリマー感光材料が
挙げられる。上記光重合系ホトポリマー感光材料を使用
する場合、上記感光層を塗布する前に、本発明の支持体
と感光層との密着力を向上させることを目的に、該支持
体上に特開平3−56177号公報、特開平8−320
551号公報に記載の応性官能基を有するシリコーン化
合物を含む接着層を設けることが好ましい。即ち、メタ
ノール、エタノール等の溶媒中にエチレンテトラメトキ
シシランやエチレンテトラエトキシシラン等のシラン化
合物を1〜20質量%の割合で溶解し、塩酸、硝酸、燐
酸、スルホン酸等の酸触媒のもとで加水分解させる。そ
して、−Si−O−Si−結合を形成させてゾル化さ
せ、これを本発明の支持体上に接着層として設けること
ができる。その際、上記シラン化合物をメタノール等の
適当な溶媒に溶解することで、粘度を0.2mPa・s
(0.2センチポイズ)〜2000mPa・s(20ポ
イズ)の範囲内に調整し、乾燥後の塗布質量を1〜10
0mg/m2とするのがよい。上記接着層表面に光重合
系ホトポリマー感光材料である付加重合性不飽和結合を
有する重合可能な化合物(末端エチレン性光重合性基を
有する化合物)を有する感光層を設けることができる。
該感光層には、光重合開始剤、有機高分子結合剤、着色
剤、可塑剤、熱重合禁止剤等を含まれてもよい。
【0121】上記末端エチレン性不飽和結合を有する化
合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコー
ル化合物とのエステル(アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸エステ
ル等)、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物と
のアミド(メチレンビスアクリルアミド、キシリレンビ
スアクリルアミド等)等が挙げられる。上記光重合開始
剤にはチタノセン化合物、トリアジン系、ベンゾフェノ
ン系、ベンゾイミダゾール系の増感剤を使用できる。ま
た、シアニン色素、メロシアニン色素、キサンテン色
素、クマリン色素などの増感剤を使用してもよい。この
ような組成の感光性組成物を本発明の支持体表面に乾燥
後の塗設量が1〜3g/m2の感光層を設けることで、
赤外線レーザー露光可能なネガ型の平版印刷版原版を作
製できる。
【0122】〔光架橋系ホトポリマー型レーザー記録材
料〕また、上記感光層用材料には光架橋系ホトポリマー
を用いてもよい。上記光架橋系ホトポリマーとしては、
例えば、特開昭52−96696号公報に開示されてい
るポリエステル化合物、英国特許1,112,277号
明細書等に記載のポリビニルシンナメート系樹脂が好ま
しく、マレイミド基を側鎖に有する特開昭62−785
44号公報に記載のものがさらに好ましい。
【0123】〔スルホネート型赤外線レーザー記録材
料〕さらに,上記感光層用材料として、スルホネート型
赤外線レーザー記録材料を用いてもよい。上記スルホネ
ート型赤外線レーザー記録材料としては、例えば、特登
録270480号公報、特登録2704872号公報等
に開示されているスルホネート化合物を用いることがで
きる。また、赤外線レーザー照射によって発生した熱に
よってスルホン酸を発生し、水に可溶化する感光材料
や、スチレンスルホン酸エステルをゾルゲルで固め、そ
の後赤外線レーザーを照射することで表面極性が変化す
る感光材料や、特願平9−89816号明細書、特願平
10−22406号明細書、特願平10−027655
号明細書に記載されているレーザー露光によって疎水性
表面が親水性に変化する感光材料等を用いることができ
る。また、以上の熱によってスルホン酸基を発生し得る
高分子化合物からなる感光層の特性をさらに改善するた
めには、つぎに挙げる方法を併用するのが好ましい。か
かる方法としては、(1)特願平10−7062号明細
書に記載された酸もしくは塩基発生剤との併用による方
法、(2)特願平9−340358号明細書に記載され
た特定の中間層を設ける方法、(3)特願平9−248
994号明細書に記載された特定の架橋剤を併用する方
法、(4)特願平10−43921号明細書に記載され
た特定の層構造を形成する方法、(5)特願平10−1
15354号明細書に記載された固体粒子表面修飾の様
態で使用する方法等を挙げることができる。
【0124】レーザー露光によって発生する熱を利用し
て感光層の親/疎水性を変化させる組成物の他の例とし
ては例えば、US2764085号明細書に記載のWe
rner錯体からなる熱によって疎水性に変化する組成
物や、特公昭46−27219号公報に記載の特定の糖
類や、メラミンホルムアルデヒド樹脂等の露光によって
親水性に変化する組成物や、特開昭51−63704号
公報に記載のヒートモード露光によって疎水性に変化す
る組成物や、US4081572号明細書に記載のフタ
リルヒドラジドポリマーのように熱によって脱水/疎水
化するポリマーからなる組成物や、特公平3−5810
0号公報に記載のテトラゾリウム塩構造を有し熱によっ
て親水化する組成物や、特開昭60−132760号公
報に記載のスルホン酸変性ポリマーからなる露光によっ
て疎水化する組成物や、特開昭64−3543号公報に
記載のイミド前駆体ポリマーからなる露光によって疎水
化する組成物や、特開昭51−74706号公報に記載
のフッ化炭素ポリマーからなる露光によって親水化する
組成物を挙げることができる。
【0125】さらに、特開平3−197190号公報に
記載の疎水性結晶性ポリマーからなる露光によって親水
性に変化する組成物や、特開平7−186562号公報
に記載の熱によって不溶化された側基が親水性に変化す
るポリマーと光熱変換剤からなる組成物や、特開平7−
1849号公報に記載のマイクロカプセルを含有する三
次元架橋された親水性バインダーからなり露光によって
疎水化する組成物や、特開平8−3463号公報に記載
の原子価異性化またはプロトン移動異性化する組成物
や、特開平8−141819号公報に記載の熱によって
層内の相構造変化(相溶化)を生じ、親/疎水性を変化
させる組成物や、特公昭60−228号公報に記載の熱
によって表面の形態、表面の親/疎水性が変化する組成
物をあげる事ができる。
【0126】好ましい上記感光層用材料の他の例とし
て、高パワーおよび高密度のレーザ光によって発生した
熱を利用する、いわゆるヒートモード露光によって、感
光層/支持体間の接着性を変化させる組成物をあげるこ
とができる。具体的には、特公昭44−22957号公
報に記載の熱融着性または熱反応性物質からなる組成物
を用いることができる。
【0127】〔電子写真感光性樹脂系レーザー記録材
料〕また、本発明の平版印刷版原版の感光層として、例
えば、米国特許第3,001,872号明細書に開示さ
ているZnO感光層を設けてもよく、特開昭56−16
1550号公報、特開昭60−186847号公報、特
開昭61−238063号公報等の各公報に記載されて
いる電子写真感光性樹脂を用いた感光層を設けてもよ
い。本発明の支持体上に設けられる感光層の塗布量とし
ては、塗布後の乾燥質量で、約0.1〜約7g/m2
好ましくは0.5〜4g/m2が好ましい。
【0128】電子写真法は、特公昭37−17162号
公報にその基本特許が開示されており、それ以外に特開
昭56−107246号公報、特公昭59−36259
号公報等の各公報に開示されている方法を用いることが
できる。上記電子写真感光性樹脂は、主として、光導電
性化合物とバインダーとからなるが、感度向上、所望の
感光波長を得る目的のため、公知の顔料、染料、化学増
感剤、その他必要の添加剤を使用することができる。
【0129】本発明における平版印刷版原版には、本発
明の支持体と感光層との密着性を高めるためや、現像後
に感光層の残存しないようにするため、またはハレーシ
ョンを防止する等の目的で、必要に応じて中間層を設け
てもよい。上記密着性を向上させるためには、一般に中
間層には、ジアゾ樹脂や、例えばアルミに吸着するリン
酸化合物、アミノ化合物、カルボン酸化合物等を用いる
のが好ましい。また、現像後に感光層が残存しないよう
にするには、溶解性の高い物質を用いて中間層を設ける
のが好ましく、溶解性の良好なポリマーや、水溶性ポリ
マーを用いるのが好ましい。さらにハレーションを防止
するためには、上記中間層に染料やUV吸収剤を含める
のが好ましい。上記中間層の厚さは任意であり、露光し
た時に、上層の感光層と均一な結合形成反応をする厚み
でなければならない。通常、乾燥固体で約1〜100m
g/m 2の塗布割合が好ましく、5〜40mg/m2がさ
らに好ましい。
【0130】また、塗布された感光層上には相互に独立
して設けられた突起物によって構成されるマット層を設
けてもよい。該マット層を設ける目的は、密着露光にお
けるネガ画像フィルムと感光性平版印刷版との真空密着
性を改良することで、真空引き時間を短縮し、さらに密
着不良による露光時の微小網点のつぶれを防止すること
である。上記マット層の塗布方法としては、特開昭55
−12974号公報に記載されているパウダリングされ
た固体粉末を熱融着する方法や、特開昭58−1826
36号公報に記載されているポリマー含有水をスプレー
し乾燥させる方法等があり適宜選択できるが、マット層
自体が実質的に有機溶剤を含まない水性アルカリ現像液
に溶解するか、あるいはこれによって除去可能なものが
好ましい。
【0131】《平版印刷版》上述の本発明の支持体上に
感光層が設けられた平版印刷版原版は、赤外線レーザー
等によって露光され、アルカリ現像液等で現像処理され
て平版印刷版となる。露光に用いる光源は、700〜1
200nmの赤外線レーザーをもちいることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準
化のため、印刷用版材の自動現像機が広く用いられてお
り、本発明法もその自動現像機を用いることが好まし
い。露光された本発明の平版印刷版原版の現像には、特
開昭54−62004号公報に記載されているケイ酸ナ
トリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリを主成分
とする現像液や、遊離アルデヒド基やケトン基を持たず
還元性を示さないサッカロース、トレハロース等の非還
元糖を主成分とする特開平8−305039号公報に記
載の現像液が使用できる。さらに、これに水酸化カリウ
ム等のアルカリ剤や、特開平6−282079号公報に
開示されている糖アルコールのポリエチレングリコール
付加物など現像安定化剤や、ハイドロキノン等の還元剤
や、エチレンジアミン等の硬水軟化剤や、ノニオン性、
アニオン性、または両性界面活性剤、あるいは特公平3
−54339号公報に開示されているポリオキシエチレ
ン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の界面活性剤
等を添加することができる。ケイ酸アルカリの場合は、
SiO2/M2Oのモル比(Mはアルカリ金属を表す)
が、0.3〜3.0の範囲内にあることが好ましい。こ
の現像処理によって、表面にSiを付着させることが出
来る。また、表面に存在するSi元素量をESCAで測
定することも可能である。さらに、C、Al、O、S、
Si、Ca量を測定し、その元素比率(atm.%)と
して算出する。上記Si量は、1〜25atom.%、
特に5〜20atom.%であることが好ましい。この
範囲にSi量があれば、赤外線レーザー光照射時のハレ
ーション防止に有効である。
【0132】一方、上記非還元糖を主成分とする現像液
の場合は、予めアルミニウム支持体の表面をシリケート
処理などで親水化処理しておく必要がある。この場合で
も、現像後に表面に付着しているSi量は1〜25at
om.%が好ましい。上記において、現像は自動現像機
を用いておこなうことが好ましく、現像液よりも高いア
ルカリ強度の補充液を現像液に加えることによって長時
間安定に現像処理することができる。この補充液には、
現像カスの分散および印刷画像部の親インキ性を高める
ためにアニオン系などの界面活性剤を添加できる。さら
に、必要に応じて消泡剤、硬水軟化剤を加えることもで
きる。
【0133】現像処理された平版印刷版原版の表面は、
界面活性剤を有するリンス液やアラビヤガムや澱粉誘導
体を含む不感脂化液で後処理するのが好ましい。アラビ
ヤガムや澱粉誘導体を固形分濃度で5〜15質量%含有
する水溶液を使用する場合には、ウェット塗布量が1〜
10ml/m2となるように現像後の表面を保護する。
また、乾燥後の塗布量としては、1〜5g/m2が好ま
しい。さらに、一層の高耐刷力が要求される場合には、
特公昭61−2518号公報に記載されているバーニン
グ処理を施すのが好ましい。また、塗布方法としては、
特公昭55−28062号公報に開示されている整面液
をスポンジや脱脂綿で塗布するか、自動コーターで塗布
する等が挙げられる。整面液を用いる場合は、一般に
0.3〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。
【0134】以上のように、本発明の平版印刷版原版
は、画像露光された後、常法によって現像を含む処理を
施され、樹脂画像が形成されて平版印刷版となる。例え
ば、上記〔I〕の感光層を有する感光性平版印刷版原版
の場合は、画像露光後、米国特許第4,259,434
号明細書に記載されているようなアルカリ水溶液で現像
することにより露光部分が除去されて、平版印刷版が得
られ、上記〔II〕の感光層を有する平版印刷版原版の場
合には、画像露光後、米国特許第4,186,006号
明細書に記載されているような現像液で、未露光部の感
光層が現像によって除去されて平版印刷版が得られる。
また、特開昭59−84241号公報、特開昭57−1
92952号公報、および特開昭62−24263号公
報の各公報に記載されているようなポジ型平版印刷版原
版を現像する際に用いられる水性アルカリ現像液組成物
を使用することもできる。
【0135】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的する
が、本発明は、これらの実施例に限定されるものではな
い。
【0136】[実施例1〜4]中間焼鈍と均熱処理とを
省略して製造したJIS1050−H18アルミニウム
圧延板を用いて、下記の各処理を施し、実施例1〜4の
平版印刷版用アルミニウム支持体を製造した。各処理の
終了後には水洗し、ニップローラで液切りをおこなっ
た。また、上記水洗は、スプレー管から水を吹き付けて
おこなった。
【0137】(1)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理:NaOHを27質量%およびアルミニウムイオンを
6.5質量%含有する、液温70℃の水溶液をスプレー
管によってアルミニウム板に吹きつけて、該アルミニウ
ム板のアルカリエッチング処理をおこなった。アルミニ
ウム板の、後に電気化学的に粗面化処理をおこなう側面
の溶解量は6g/m2であり、その裏面の溶解量は2g
/m2であった。上記アルカリエッチング処理に用いた
エッチング液の濃度は、予めNaOH濃度と、アルミニ
ウムイオン濃度と、温度と、比重と、液の導電率と、の
関係から作成したテーブルを参照し、温度、比重、およ
び導電率からエッチング液濃度を求め、フィードバック
制御によって水と48質量NaOH%水溶液とを添加し
て一定に保った。その後、水洗処理をおこなった。
【0138】(2)デスマット処理:つぎに液温35℃
の塩酸を主体とする酸性水溶液をスプレーを用いてアル
ミニウム板に吹き付けて、10秒間デスマット処理をお
こなった。このデスマットに用いる酸性水溶液は、次の
工程で用いる電気化学的な粗面化処理で用いる電解装置
からのオーバーフロー廃液を使用した。ついで、デスマ
ット処理液を吹き付けるスプレー管を数カ所設置して、
次の工程までアルミニウム板の表面が乾かないようにし
た。
【0139】(3)塩酸を主体とする酸性水溶液中での
電気化学的な粗面化処理(第1の粗面化処理):図1に
示した台形波の交流電流と図2に示した電解装置を2槽
用いて連続的に電気化学的な粗面化処理をおこなった。
酸性水溶液としては、HCL7.5g/lの塩酸に塩化
アルミニウムを添加して、アルミニウムイオンを4.5
g/lとしたもを使用し、液温は35℃であった。ま
た、交流電流は、電流値がゼロからピークに達するまで
の時間tpおよびtp’が1msecであり、カーボン
電極を対極とした。交流電流のピーク時の電流密度は、
アルミニウム板がアノード反応時が50A/dm2、カ
ソード反応時が47.5A/dm2であった。さらに、
交流電流の陽極時電気量(QA)と陰極時電気量(QC
との比(QC/QA)、duty、周波数、およびアノー
ド反応時の電気量の総和は表1に示すとおりであった。
その後、スプレーによって水洗処理をおこなった。塩酸
を主体とする酸性水溶液の濃度コントロールは、35質
量%の塩酸原液と水とを、通電量に比例して添加し、塩
酸と水との添加容積と同量の酸性水溶液(塩酸を主体と
する酸性水溶液)を逐次電解層からオーバーフローさせ
て電解層系外に排出しておこなった。また、これととも
に、予め塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度と温度と液
の導電率と液の超音波伝搬速度との関係から作成したテ
ーブルを参照し、酸性水溶液の温度、導電率、超音波伝
搬速度から該酸性水溶液の濃度を求め、塩酸原液と水と
の添加量を逐次調整する制御をおこなって濃度を一定に
保った。
【0140】
【表1】
【0141】(4)電気化学的な粗面化処理の中間にお
こなうアルカリ水溶液中でのエッチング処理:NaOH
を27質量%、アルミニウムイオンを6.05質量%含
有する液温45℃の水溶液を、アルミニウム板にスプレ
ーを用いて吹き付けてアルカリエッチング処理をおこな
った。各アルミニウム板の、第2の粗面化処理において
粗面化する側面の溶解量を表2に示す。なお、実施例3
においては、アルカリエッチング処理をおこなわなかっ
た。上記エッチング液の濃度は予めNaOH濃度とアル
ミニウムイオン濃度と温度と比重と液の導電率との関係
から作成したテーブルを参照し、温度、比重および導電
率からエッチング液濃度を求め、フィードバック制御に
よって水と48質量%NaOH水溶液とを添加して一定
に保った。その後、水洗処理をおこなった。
【0142】
【表2】
【0143】(5)電気化学的な粗面化処理の中間にお
こなうデスマット処理:つぎに液温35℃の塩酸を主体
とする酸性水溶液をスプレーを用いてアルミニウム板に
吹き付けて、3秒間デスマット処理をおこなった。この
デスマットに用いる酸性水溶液は、電気化学的な粗面化
処理で用いる電解装置からのオーバーフロー廃液を使用
した。ついで、デスマット処理液を吹き付けるスプレー
管を数カ所設置して、次の工程までアルミニウム板の表
面が乾かないようにした。
【0144】(6)塩酸を主体とする酸性水溶液中での
電気化学的な粗面化処理(第2の粗面化処理):図1に
示した台形波の交流電流と図2に示した電解装置を2槽
用いて連続的に電気化学的な粗面化処理をおこなった。
酸性水溶液としては、HCl7.5g/lの塩酸に塩化
アルミニウムを添加して、アルミニウムイオンを4.5
g/lとしたものを使用し、液温は35℃であった。ま
た、交流電流は、電流値がゼロからピークに達するまで
の時間tpおよびtp’が1msecであり、カーボン
電極を対極とした。交流電流のピーク時の電流密度は、
アルミニウム板がアノード反応時が50A/dm2、カ
ソード反応時が47.5A/dm2であった。さらに、
交流電流の陽極時電気量(QA)と陰極時電気量(QC
との比(QC/QA)、duty、周波数、およびアノー
ド反応時の電気量の総和は表3に示すとおりであった。
その後、スプレーによって水洗処理をおこなった。塩酸
を主体とする酸性水溶液の濃度コントロールは、35質
量%の塩酸原液と水とを、通電量に比例して添加し、塩
酸と水との添加容積と同量の酸性水溶液(塩酸を主体と
する酸性水溶液)を逐次電解層からオーバーフローさせ
て電解層系外に排出しておこなった。また、これととも
に、予め塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度と温度と液
の導電率と液の超音波伝搬速度との関係から作成したテ
ーブルを参照し、酸性水溶液の温度、導電率、超音波伝
搬速度から該酸性水溶液の濃度を求め、塩酸原液と水と
の添加量を逐次調整する制御をおこなって濃度を一定に
保った。
【0145】
【表3】
【0146】(7)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理:NaOHを5質量%、アルミニウムイオンを0.5
質量%含有する液温45℃の水溶液を、アルミニウム板
にスプレーを用いて吹き付けてアルカリエッチング処理
をおこなった。アルミニウム板の溶解量0.1g/m2
上記エッチング液の濃度は予めNaOH濃度とアルミニ
ウムイオン濃度と温度と比重と液の導電率との関係から
作成したテーブルを参照し、温度、比重および導電率か
らエッチング液濃度を求め、フィードバック制御によっ
て水と48質量%NaOH水溶液とを添加して一定に保
った。その後、水洗処理をおこなった。
【0147】(8)酸性水溶液中でのエッチング処理:
つぎに表4に示す条件で、硫酸を酸性エッチング液と
し、これをスプレー管からアルミニウム板に吹き付け
て、酸性エッチング処理をおこなった。酸性エッチング
液の濃度は、予め硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度と
温度と比重と液の導電率との関係から作成したテーブル
を参照して、温度、比重および導電率から酸性エッチン
グ液濃度を求め、フィードバック制御によって水と50
質量%硫酸とを添加して一定に保った。その後、水洗処
理をおこなった。
【0148】
【表4】
【0149】(9)陽極酸化処理:液温35℃の硫酸濃
度15質量%の水溶液(アルミニウムイオンを0.5質
量%含む)を陽極酸化処理液として用いて、直流電圧を
用い、電流密度2A/dm 2で、陽極酸化被膜量が2.
4g/m2になるように陽極酸化処理をおこなった。陽
極酸化処理液の濃度は、予め硫酸濃度とアルミニウムイ
オン濃度と温度と比重と液の導電率との関係から作成し
たテーブルを参照して、温度、比重および導電率から液
濃度を求め、フィードバック制御によって水と50質量
%硫酸とを添加して一定に保った。その後、スプレーに
よって水洗をおこない、実施例1〜4の平版印刷版用ア
ルミニウム支持体を作製した。
【0150】(10)平版印刷版の作製:上述の処理を
施した、平版印刷版用アルミニウム支持体を乾燥し、粗
面化された表面に下塗り層および乾燥膜厚1.5g/m
2の感光層を塗布、乾燥して、実施例1〜4の赤外線レ
ーザー露光可能なポジ型平版印刷版原版を作製した。こ
れらの平版印刷版原版を、露光、現像等の処理をおこな
って平版印刷版とした。実施例1〜4における平版印刷
版は、後述する評価の際に、印刷機上の湿し水の見え方
が良好であった。倍率が750倍のSEM写真で観察し
たところ、ハニカム状のピットが均一に生成した表面形
状をしており、該ハニカム状のピットの中にはピッチ
0.1〜0.5μmの微細な凹凸が重なって生成してい
るのがわかった。また、実施例1〜4における平版印刷
版は感光層との密着に優れた良好な印刷版であった。さ
らに、アルミニウム結晶粒の結晶方位差に起因して生じ
るストリークと呼ばれる処理ムラも認められなかった。
また、陽極酸化処理後のアルミニウム板の平均表面粗さ
(Ra)を表6に示す。
【0151】《評価》上記実施例1〜4で作製した平版
印刷版を用いて、印刷をおこなった。印刷後の各平版印
刷版の表面の汚れ具合を目視によって観察し、以下の基
準にしたがって耐汚れ性を評価した。結果を表6に示
す。 〔基準〕 A:非画像部に付着したインキは非常に少なかった。 C:非画像部が付着したインキによって著しく汚れてい
た。
【0152】[実施例5]実施例1において、陽極酸化
処理の後に得られた平版印刷版用アルミニウム支持体
に、さらに沸騰した蒸留水に浸漬して封孔処理をおこな
った。その後、親水化処理する目的で、珪酸ナトリウム
を2.5質量%、液温70℃の水溶液に14秒間浸漬
し、その後スプレーで水洗し、乾燥し、実施例5の平版
印刷版用アルミニウム支持体を作製した。上記親水化処
理で用いた液の濃度は、予め珪酸ナトリウム濃度と温度
と液の導電率との関係から作成したテーブルを参照し
て、温度および導電率によって液濃度を求め、フィード
バック制御によって水と3号珪酸ナトリウム原液を添加
して一定に保った。上記のようにして作製された平版印
刷版用アルミニウム支持体に、下塗り層とネガ型感光層
とを塗布、乾燥して、実施例5のポジ型平版印刷版原版
を作製した。この平版印刷版原版に露光、現像等の処理
をおこなって平版印刷版とした。これを用いて実施例1
と同一の条件で評価したところ、良好な印刷版であっ
た。結果を表6に示す。
【0153】[実施例6]実施例2において、陽極酸化
処理の後に得られた平版印刷版用アルミニウム支持体
に、さらに親水化処理をおこなう目的で、珪酸ナトリウ
ム2.5質量%、70℃の水溶液に5秒間浸漬し、その
後スプレーで水洗し、乾燥して実施例6の平版印刷版用
アルミニウム支持体を作製した。該平版印刷版用アルミ
ニウム支持体に下塗り層とネガ型感光層とを塗布し、そ
の後乾燥して実施例6のネガ型平版印刷版原版を作製し
た。この平版印刷版原版に露光、現像等の処理をおこな
ってネガ型平版印刷版とした。これを用いて実施例2と
同一の条件で評価したところ、良好な印刷版であった。
結果を表6に示す。
【0154】[実施例7]実施例3において、陽極酸化
処理の後に得られた平版印刷版用アルミニウム支持体
に、さらに親水化処理をおこなう目的で、ポリビニルホ
スホン酸1.5質量%、液温70℃の水溶液に5秒間浸
漬し、その後スプレーで水洗し、乾燥して実施例7の平
版印刷版用アルミニウム支持体を作製した。上記親水化
処理で用いる液の濃度は、予めポリビニルホスホン酸の
濃度と温度と液の導電率との関係から作成したテーブル
を参照して、温度および導電率から液濃度を求め、フィ
ードバック制御によって水とポリビニルホスホン酸原液
を添加して一定に保った。上記平版印刷版用アルミニウ
ム支持体に下塗り層とネガ型感光層とを塗布、乾燥し
て、実施例7のネガ型平版印刷版原版を作製した。この
平版印刷版原版に露光、現像等の処理をおこなって平版
印刷版とした。これを用いて実施例3と同一の条件で評
価したところ、良好な印刷版であった。結果を表6に示
す。
【0155】[実施例8]表5に示す組成A〜組成Eの
合金成分を含有する5種類のアルミニウム合金溶湯から
実施例8に使用するアルミニウム板を作製した。該アル
ミニウム板は以下のようにして製造した。まず、アルミ
ニウム合金溶湯に、脱ガスおよび濾過からなる溶湯処理
を施し、DC鋳造法で厚さ500mmの鋳塊を作製し
た。該鋳塊表面を10mmに面削した後、鋳塊を加熱
し、均熱化処理をおこなわずに400℃で熱間圧延を開
始し、板厚4mmになるまで圧延した。つぎに冷間圧延
で厚み1.5mmにし、中間焼鈍をおこなった後、再度
冷間圧延で0.24mmに仕上げ、平面性を矯正した
後、実施例8−1〜8−5に使用する各アルミニウム板
を作製した。組成A〜Dは、Al純度と全ての不純物元
素が所定範囲内であり、本発明に好ましい範囲内であ
る。また、組成EはAl純度とFe,Si,Mn,M
g,Znの5種の不純物元素が所定範囲内の組成であ
り、本発明に好ましい範囲内である。
【0156】
【表5】
【0157】表5に示す組成のアルミニウム板に、それ
ぞれ実施例2と同様の処理をおこなって実施例8の平版
印刷版用アルミニウム支持体を5種類作製した。上記得
られた平版印刷版用アルミニウム支持体を乾燥させて、
粗面化された表面に下塗層および感光層を塗布し、その
後乾燥して乾燥膜厚が1.5g/m2のポジ型平版印刷
版原版を作製した。該平版印刷版原版に露光、現像等の
処理をおこなって平版印刷版とした。これを用いて実施
例2と同一の条件で評価したところ、良好な印刷版であ
った。結果を表6に示す。また、実施例8における5種
類の平版印刷版は、倍率750倍のSEM写真で観察し
たところ、均一な表面形状をしていた。ハニカム状のピ
ットの中には、ピッチ0.1〜0.5μmの微細な凹凸
が重なって発生していた。さらに、上述の評価の際非画
像部が点状に汚れることのない良好な印刷版であった。
また、アルミニウム結晶粒の結晶方位差が起因するスト
リークと呼ばれる処理ムラも認められなかった。
【0158】[実施例9]実施例4において(7)のア
ルカリエッチング処理をおこなわなかった以外は実施例
4と同様にして実施例9の平版印刷版用アルミニウム支
持体、および平版印刷版原版を作製した。該平版印刷版
原版に露光、現像等の処理をおこなって平版印刷版とし
た。これを用いて実施例4と同一の条件で評価したとこ
ろ、良好な印刷版であった。結果を表6に示す。
【0159】[比較例1]実施例3において(4)電気
化学的な粗面化処理の中間におこなうアルカリ水溶液中
でのエッチング処理、(5)電気化学的な粗面化処理の
中間におこなうデスマット処理、および、(6)塩酸を
主体とする酸性水溶液中での電気化学的な粗面化処理
(第2の粗面化処理)をおこなわなかった以外は、実施
例3と同様に比較例1の平版印刷版用アルミニウム支持
体、および平版印刷版原版を作製した。該平版印刷版原
版に露光、現像等の処理をおこなって平版印刷版とし
た。これを用いて実施例3と同一の条件で評価したとこ
ろ、実施例3と比較して表面にスジ状の処理ムラが目立
つため、上記平版印刷版用アルミニウム支持体としては
好適ではなく、印刷時の汚れ性能も劣っていた。結果を
表6に示す。
【0160】
【表6】
【0161】上記表6から、実施例1〜9の平版印刷版
は、5000枚印刷した後でも、汚れが発生しにくく、
良好な印刷版であった。また、ピットの大きさは、電気
化学的な粗面化処理の中間でおこなうアルカリエッチン
グ処理でのアルミ溶解量で変化し、例えば、実施例1〜
3においては、実施例2が最も大きく、実施例3が最も
小さかった。また、比較例1は耐汚れ性が劣っていた。
【発明の効果】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持
体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、およ
び平版印刷版原版によると、純度の低いアルミニウム板
を用いて均一な粗面化をおこなうことが可能となり、ま
た、陽極酸化被膜の欠陥に起因する印刷時の汚れ易さを
改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で好ましく用いられる交流電流の台形
波の説明図である。
【図2】 本発明で用いるラジアル型電解装置の該略図
である。
【符号の説明】
10 主電解槽 11 交流電源 12 ラジアルドラムローラ 13a,13b 主極 14 溶液供給口 15 酸性水溶液 20 補助陽極槽 21 補助陽極 W アルミニウム板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25F 3/04 C25F 3/04 D A G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 (72)発明者 澤田 宏和 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AB03 AD01 AD03 DA17 DA18 DA20 DA36 2H096 AA06 CA01 CA03 2H114 AA04 AA14 AA22 AA23 BA01 DA04 DA78 EA02 EA09 FA04 GA03 GA06 GA08 GA09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩酸と塩化アルミニウムとを主体とする
    酸性水溶液中で交流電流を用いてアルミニウム板を電気
    化学的に粗面化する粗面化処理工程を含む平版印刷版用
    アルミニウム支持体の製造方法であって、 前記粗面化処理工程における、前記交流電流のduty
    が0.25〜0.5、および前記交流電流の周波数が3
    0〜200Hzであり、前記アルミニウム板の陽極時電
    気量(QA)と陰極時電気量(QC)との比(QC/QA
    が、0.95〜2.5であり、 前記粗面化処理工程を2回以上おこなうことを特徴とす
    る平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸性水溶液が、アルミニウムイオン
    が1〜10g/lとなるように、5〜15g/lの塩酸
    水溶液中に塩化アルミニウムを添加して得られたもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用ア
    ルミニウム支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の平版印刷版用
    アルミニウム支持体の製造方法であって、下記(A)〜
    (C)に示す工程を含み、前記粗面化処理工程が、下記
    (A)の第1の粗面化処理工程および下記(C)の第2
    の粗面化処理工程でおこなわれることを特徴とする平版
    印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。 (A)アルミニウム板を電気化学的に粗面化する第1の
    粗面化処理工程 (B)前記第1の粗面化処理工程によって電気化学的に
    粗面化された前記アルミニウム板に、アルカリ水溶液中
    で化学的にエッチングするエッチング処理を施し、その
    後、酸性溶液中でデスマット処理を施す中間処理工程 (C)前記中間処理工程によって処理を施されたアルミ
    ニウム板を電気化学的に粗面化する第2の粗面化処理工
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム板が、アルミニウム
    (Al)の含有率が95〜99.4質量%であり、か
    つ、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マグネ
    シウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ク
    ロム(Cr)、およびチタン(Ti)、のうち少なくと
    も5種以上を以下に示す範囲内で含む、スクラップアル
    ミ材または2次地金であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム支持体
    の製造方法。 Fe:0.3〜1.0質量% Si:0.15〜1.0質量% Cu:0.1〜1.0質量% Mg:0.1〜1.5質量% Mn:0.1〜1.5質量% Zn:0.1〜0.5質量% Cr:0.01〜0.1質量% Ti:0.03〜0.5質量%
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の平版印刷版用
    アルミニウム支持体の製造方法であって、下記(A)〜
    (F)に示す工程を含み、前記粗面化処理工程が、下記
    (B)の第1の粗面化処理工程および下記(D)の第2
    の粗面化処理工程でおこなわれることを特徴とする平版
    印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。 (A)前記アルミニウム板をアルカリ水溶液中で1〜1
    5g/m2溶解する化学的なエッチング処理を施し、そ
    の後、酸性溶液中でデスマット処理を施す第1の処理工
    程 (B)前記第1の処理工程によって処理を施されたアル
    ミニウム板を電気化学的に粗面化する第1の粗面化処理
    工程 (C)前記第1の粗面化処理工程によって電気化学的に
    粗面化された前記アルミニウム板をアルカリ水溶液中で
    化学的にエッチングするエッチング処理を施し、その
    後、酸性溶液中でデスマット処理を施す中間処理工程 (D)前記中間処理工程によって処理を施されたアルミ
    ニウム板を電気化学的に粗面化する第2の粗面化処理工
    程 (E)前記第2の粗面化処理工程によって電気化学的に
    粗面化された前記アルミニウム板に、下記(1)または
    (2)に示す処理を施す第2の処理工程 (1)前記アルミニウム板を、60〜90℃の硫酸水溶
    液中で1〜10秒間化学的にエッチングするエッチング
    処理 (2)前記アルミニウム板を、アルカリ水溶液中で0.
    01〜5g/m2溶解する化学的なエッチング処理を施
    し、その後、酸性溶液中でデスマット処理、または、6
    0〜90℃の硫酸水溶液中で1〜10秒間化学的にエッ
    チングするエッチング処理 (F)前記第2の処理工程によって処理を施された前記
    アルミニウム板に、陽極酸化処理を施す陽極酸化処理工
  6. 【請求項6】 さらに、前記陽極酸化処理工程によって
    陽極酸化処理を施された前記アルミニウム板を、珪酸ナ
    トリウムまたはポリビニルホスホン酸水溶液中で親水化
    する親水化処理工程を含むことを特徴とする請求項5に
    記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 さらに、前記陽極酸化処理工程によって
    陽極酸化処理を施された前記アルミニウム板に、封孔処
    理を施す封孔処理工程を含むことを特徴とする請求項5
    に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  8. 【請求項8】 さらに、前記封孔処理工程によって封孔
    処理を施されたアルミニウム板を、珪酸ナトリウムまた
    はポリビニルホスホン酸水溶液中で親水化する親水化処
    理工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の平版印
    刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載した平版
    印刷版用アルミニウム支持体の製造方法によって製造さ
    れたことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持
    体。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載した平版印刷版用アル
    ミニウム支持体上に、少なくともポジ型若しくはネガ型
    の感光層を形成して得られたことを特徴とする平版印刷
    版原版。
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