JP2002097326A - ゴルフボール - Google Patents

ゴルフボール

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JP2002097326A JP2001155398A JP2001155398A JP2002097326A JP 2002097326 A JP2002097326 A JP 2002097326A JP 2001155398 A JP2001155398 A JP 2001155398A JP 2001155398 A JP2001155398 A JP 2001155398A JP 2002097326 A JP2002097326 A JP 2002097326A
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  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソフトで優れた打球感を有し、フィーリング
が良好であるとともに、反発弾性の低下が少なく、さら
にスピン特性に優れている上、アイアンショットでの耐
ささくれ性と耐擦過傷性に優れたゴルフボールを提供す
る。 【解決手段】 コアと該コアを被覆するカバーからなる
ゴルフボールにおいて、該カバーの組成物のポリマー成
分として、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系ア
イオノマー樹脂(A成分)の10〜80重量部と、エチ
レン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステ
ル三元共重合体系アイオノマー樹脂(B成分)の0〜6
0重量部と、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラ
ストマー(C成分)の5〜60重量部とを含有し、か
つ、カバー組成物のショアD硬度が40〜60であるこ
とを特徴とするゴルフボール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた打球感と、反
発弾性、コントロール性および耐擦過傷性が総合的に優
れたゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来ゴルフボールのカバーの樹脂成分と
してはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオ
ノマー樹脂が、打撃耐久性および耐カット性に優れるた
めツーピースゴルフボール、糸巻きゴルフボールのカバ
ー材料として広く用いられている。しかしながら、アイ
オノマー樹脂はカバー材料として従来から用いられてい
るバラタゴムに比べて打球感が硬い上にバラタゴムより
も硬度が高いことから、アイアンショットの際にスピン
をかけることが難しく、コントロール性に劣っていた。
【0003】一方バラタカバーのゴルフボールは打球
感、コントロール性に優れていることから上級者および
プロ用として広く使用されている。しかしその製造工程
が複雑であることや、耐カット性が悪いことから近年で
はバラタカバーに代わる種々の軟質カバーが提案されて
いる。
【0004】たとえば、特開平1−308577号公報
ではカバーの基材樹脂に軟質アイオノマー樹脂を用いる
技術がある。すなわち比較的柔軟なアイオノマー樹脂で
あるエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル
酸エステルターポリマーをある物性範囲のエチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂に一定
の範囲ブレンドしたものを軟質/硬質アイオノマーブン
レドカバーとして使用する技術である。この技術は従来
のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマ
ー樹脂をカバーに用いたゴルフボールの欠点である打球
感、コントロール性を改善する。
【0005】しかしながら、この技術に係る軟質/硬質
アイオノマーブレンドカバーはカバーが軟らかくなるた
め、アイアンショットでのスピンがかかりやすくなる反
面、クラブフェースとカバーとの摩擦力が大きくなるた
め特にツーピースソリッドゴルフボールのような硬い芯
材を用いたボールにおいて、アイアンショットの際、ア
イアンクラブの溝によりカバー表面が削り取られ、ボー
ル表面がささくれ立つ現象が生じる。このアイオノマー
カバーは硬度が低いためカバー自体の反発弾性も低下
し、ボール自体の反発弾性の低下につながる。
【0006】そこで特開平5−277208号公報には
このアイアンクラブによる打撃でのアイオノマーカバー
の擦過傷を改善する目的として、2種類以上の低い曲げ
モジュラスのエチレン−不飽和カルボン酸−不飽和カル
ボン酸エステル三元共重合体の金属塩をカバーとして使
用することが提案されている。しかしながらこの技術で
も前記アイアンクラブ打撃時の耐擦過傷性について十分
でなく、反発弾性も低下する。
【0007】また特開平10−179802号公報では
カバーの基材樹脂が、アイオノマー樹脂とエポキシ基を
含有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重
合体またはエポキシ基を含有するスチレン−イソプレン
−スチレンブロック共重合体との2成分の加熱混合物を
主成分として構成され、カバー組成物の曲げ剛性率50
〜300MPaで、かつショアD硬度は40〜60であ
ることを特徴とするゴルフボールが提案されている。
【0008】さらに特開平10−179801号公報で
はカバーの基材樹脂がアイオノマー樹脂と、酸変性熱可
塑性エラストマーまたは末端にOH基が付加した熱可塑
性エラストマーと、エポキシ基を含有するスチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体またはエポキシ基
を含有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体との3成分の加熱混合物を主成分として構成さ
れ、カバーを構成するカバー用組成物の曲げ弾性率が5
0〜300MPaで、かつショアD硬度は40〜60で
あることを特徴とするゴルフボールが提案されている。
【0009】これらの発明は打球感(打球時のフィーリ
ング)およびコントロール性、耐カット性を改善するも
のではあるが、反発弾性が不十分である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はソフトで優れ
た打球感を有し、フィーリング性が良好であるととも
に、反発弾性の低下が少なくさらにスピン特性(コント
ロール性)に優れている上、アイアンショットでの耐さ
さくれ性と耐擦過傷性に優れたゴルフボールを提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、コアと該コア
を被覆するカバーからなるゴルフボールにおいて、該カ
バーの組成物のポリマー成分として、エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(A成分)
の10〜80重量部と、エチレン−(メタ)アクリル酸
−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体系アイオノ
マー樹脂(B成分)の0〜60重量部と、スチレンブロ
ックを含有する熱可塑性エラストマー(C成分)の5〜
60重量部とを含有し、かつ、カバー組成物のショアD
硬度が40〜60であることを特徴とするゴルフボール
である。
【0012】ここで前記スチレンブロックを含有する熱
可塑性エラストマー(C成分)は、スチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ス
チレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体(SIBS)、または、これらの水素添加物であ
ることが可能である。すなわち、前記スチレンブロック
を含有する熱可塑性エラストマー(C成分)は、SBS
またはその水素添加物、SISまたはその水素添加物、
SIBSまたはその水素添加物であることが可能であ
る。SBSの水素添加物としては、たとえば、スチレン
−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(S
EBS)を使用することができる。SISの水素添加物
としては、たとえば、スチレン−エチレン−プロピレン
−スチレンブロック共重合体(SEPS)を使用するこ
とができる。SIBSの水素添加物としては、たとえ
ば、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチ
レンブロック共重合体(SEEPS)を使用することが
できる。
【0013】また、前記スチレンブロックを含有する熱
可塑性エラストマー(C成分)は、スチレン−ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体(SBS)、SBSの水
素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体(SIS)、SISの水素添加物、スチレン−イ
ソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S
IBS)またはSIBSの水素添加物、さらにオレフィ
ンよりなるポリマーアロイが使用可能である。ここでポ
リマーアロイは、前記SBS等のブロック共重合体とポ
リオレフィンのブレンドまたは前記ブロック共重合体と
ポリオレフィンを構成部分として含むポリマーの形態の
いずれも包含する。
【0014】さらに前記スチレンブロックを含有する熱
可塑性エラストマーのショアA硬度が95以下であるこ
とが好ましい。
【0015】また本発明では前記エチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(A成分)のショ
アD硬度が55〜70で、曲げ剛性率が200〜500
MPa、前記エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)
アクリル酸エステル三元共重合体系アイオノマー樹脂
(B成分)のショアD硬度が30〜55で曲げ剛性率が
10〜100MPa、前記スチレンブロックを含有する
熱可塑性エラストマーのショアA硬度が95以下である
ことが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明でゴルフボールのカバー組
成物のA成分はエチレン−アクリル酸共重合体アイオノ
マー樹脂および/またはエチレン−メタアクリル酸共重
合体アイオノマー樹脂である。ここでエチレンとアクリ
ル酸またはメタクリル酸との共重合体組成比はエチレン
が70〜95重量%でアクリル酸またはメタクリル酸が
5〜30重量%の範囲が好ましい。なお上記アイオノマ
ーは金属塩で部分的に中和され、金属イオンで架橋され
ている。そして金属イオンとしてはたとえばナトリウム
イオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイ
オン、カリウムイオンなどがある。
【0017】そしてアイオノマー樹脂がエチレンとアク
リル酸またはメタクリル酸との共重合体中のカルボキシ
ル基の少なくとも一部を金属イオンで中和架橋した樹脂
のショアD硬度が55〜70で、曲げ剛性率が200〜
500MPaのいわゆる高剛性タイプである。
【0018】上記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で
例示すると、三井デュポンケミカル(株)から市販され
ているハイミラン1555(Na)、ハイミラン155
7(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン
1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイ
ミランAM7318(Na)、ハイミランAM7315
(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミラ
ンAM7311(Mg)、ハイミランMK7320
(K)などがある。
【0019】さらにデュポン社から市販されているアイ
オノマー樹脂としては、サーリン8945(Na)、サ
ーリン8940(Na)、サーリン9910(Zn)、
サーリン9945(Zn)、サーリン7930(L
i)、サーリン7940(Li)などがある。またエク
ソン化学社から市販されているアイオノマー樹脂として
は、アイオテック7010(Zn)、アイオテック80
00(Na)、アイオテック7030(Zn)、アイオ
テック8030(Na)などがある。
【0020】なお、上記アイオノマー樹脂の商品名の後
で括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなど
は、これらの中和金属イオンの金属種を示している。ま
た、本発明においてカバーの基材樹脂に用いられるアイ
オノマー樹脂は、上記例示のものを2種以上混合しても
よいし、上記例示の1価の金属イオンで中和したアイオ
ノマー樹脂と2価の金属イオンで中和したアイオノマー
樹脂を2種以上混合して用いてもよい。
【0021】次にカバー組成物のB成分はエチレンとア
クリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸エステルま
たはメタクリル酸エステルの三元共重合体アイオノマー
樹脂である。そしてこれらの三成分の共重合体組成比は
エチレンが70〜85重量%(メタ)アクリル酸が5〜
20重量%、(メタ)アクリル酸エステルが10〜25
重量%であることが好ましい。なお、上記(メタ)アク
リル酸エステルはたとえばメチル、エチル、プロピル、
n−ブチル、またはイソブチル等のエステルが用いられ
る。上記三元共重合体アイオノマー樹脂の具体例を例示
すると三井デュポンケミカル社から市販されているハイ
ミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Z
n)、ハイミランAM7316(Zn)などがある。
【0022】さらにデュポン社から市販されているサー
リン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サ
ーリン6320(Mg)などがある。
【0023】またエクソン化学社から市販されているア
イオテック7510(Zn)、アイオテック7520
(Zn)などがある。
【0024】そして上記三元共重合体アイオノマー樹脂
はショアD硬度が30〜55で曲げ剛性率が10〜10
0MPaであることが好ましい。その理由はA成分とC
成分との相溶性を助長させる効果を発現させ易いからで
ある。
【0025】次に本発明のカバーの基材樹脂は前記A成
分およびB成分としてのアイオノマー樹脂にC成分とし
てスチレンブロックを有する熱可塑性エラストマーを1
種以上混合して使用する。スチレンブロックを有する熱
可塑性エラストマーとしては、スチレンブロックとブタ
ジエンブロックあるいはイソプレンブロック等の共役ジ
エン化合物のブロック共重合体で、共役ジエン化合物と
しては、たとえばブタジエン、イソプレン、1,3−ペ
ンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等
の中から1種または2種以上が選択でき、中でもブタジ
エン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0026】前記スチレンブロックを有する熱可塑性エ
ラストマーの具体例としてはたとえばスチレン−ブタジ
エン−スチレンブロック共重合体(SBS)、そのブタ
ジエンの二重結合部分を水素添加したスチレン−エチレ
ン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEB
S)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体(SIS)、そのイソプレン二重結合部分を水素添加
したスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロッ
ク共重合体(SEPS)、スチレン−イソプレン−ブタ
ジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、その
ブタジエンもしくはイソプレンの二重結合部分を水素添
加したスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−ス
チレンブロック共重合体(SEEPS)およびそれらを
変性したもの等が挙げられる。
【0027】なお上記SBS、SEBS、SIS、SE
PSにおけるスチレンの含量は好ましくは共重合体中1
0〜50重量%、特に15〜45重量%の範囲である。
10重量%より少ない場合、該熱可塑性エラストマーは
軟らかくなりすぎて、耐カット性は低下する傾向にあ
り、一方50重量%より多い場合はA成分としてのアイ
オノマー樹脂との混合で軟質化が十分達成できず打球
感、コントロール性が悪くなる。
【0028】本発明では、上記SBS、SEBS、SI
S、SEPSのブロック共重合体の一部にエポキシ基を
含有してもよい。
【0029】たとえばエポキシ基を含有するスチレン−
ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)と
は、両末端にポリスチレンを持つブロック共重合体で、
その中間層がエポキシ基を含有するポリブタジエンであ
る。そしてそのポリブタジエン部分の二重結合の一部ま
たは全部に水素添加したものであってもよい。また、エ
ポキシ基を含有するスチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体(SIS)とは、両末端にポリスチレン
を持つブロック共重合体で、その中間層がエポキシ基を
含有するポリイソプレンであり、そのポリイソプレン部
分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであ
ってもよい。
【0030】エポキシ化SBSまたはSISのブロック
共重合体のエポキシ基含量は0.05〜10重量%、特
に0.2〜5重量%であることが好ましい。上記エポキ
シ基含量が0.05重量%より少ない場合は、エポキシ
基とアイオノマー樹脂の遊離のカルボキシル基との反応
量が少なくなり、アイオノマー樹脂中へのエポキシ化S
BSまたはSISのブロック共重合体の分散性が低下し
て、耐久性が悪くなるおそれがあり、またエポキシ基含
量が10重量%より多い場合は、エポキシ基とアイオノ
マー樹脂中の遊離のカルボキシル基との反応が多くなり
すぎ、流動性が悪くなってボールの成形が困難になるお
それがある。
【0031】このエポキシ化SBSまたはSISのブロ
ック共重合体の市販品としては、たとえばダイセル化学
工業(株)からエポフレンドの商品名で市販されてい
る。
【0032】また上記末端に水素基が付加したSEBS
またはSEPSを持つブロック共重合体の市販品として
は、たとえば(株)クラレからセプトンHG−252の
商品名で市販されている。
【0033】本発明者らは、前記スチレンブロックを含
有する熱可塑性エラストマー(C成分)として、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、SBSの水素添加物、スチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体(SIS)、SISの水素添加
物、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロ
ック共重合体(SIBS)またはSIBSの水素添加物
と、オレフィンと、のポリマーアロイを使用した場合、
得られるゴルフボールのカバー物性およびボール性能が
優れており、特に反発係数は高いレベルを維持している
という新知見を得た。これは、前記ポリマーアロイ中に
含有されるオレフィン成分などが、カバー組成物の相溶
性に寄与していることが原因の一つであると考えられ
る。なお、シェルケミカル社(米国)の水素添加したS
BSブロック共重合体(SEBS)をベースポリマーと
した他のポリマーと分子レベルでブレンドしたいわゆる
ポリマーアロイが特に好ましい。ここで他のポリマーと
は好ましくは炭素数2〜10のオレフィンを重合して得
られたポリオレフィンである。具体例として三菱化学
(株)社から商品名ラバロンで市販されている。
【0034】本発明でスチレンブロックを有する熱可塑
性エラストマーのショアA硬度は95以下、好ましくは
80以下の範囲である。
【0035】ここでカバー組成物のポリマー成分のうち
前記A成分は10〜80重量部、前記B成分は0〜60
重量部、前記C成分は5〜60重量部混合される。前記
A成分〜前記C成分をかかる範囲に混合することにより
三者の良好な相溶性により分子レベルでのブレンドが可
能となりいわゆるポリマーアロイが形成され、硬度、強
度、反発弾性等の物理特性において従来の単なるブレン
ド系では得られない物性が得られる。その結果A成分に
よる優れた剛性、反発弾性を損なうことなく、カバーの
軟質化を図ることができ打球感、スピン性能(コントロ
ール性)、さらに耐擦過傷性を改善することができる。
本発明では前記B成分は必ずしも必要としないが前記範
囲でB成分を混合することによりA成分とC成分の相溶
性を助長し、しかも強度、反発弾性を維持しながらカバ
ーの軟質化が可能となりスピン性能および打球感が一層
改善できる。
【0036】次に本発明のカバー組成物には前記ポリマ
ー成分に加えてその他のポリマー成分を混合できる。そ
してその混合量はポリマー成分全体の100重量部に対
して10重量部以下の範囲である。ここでその他のポリ
マー成分はたとえばポリオレフィン系エラストマー、ポ
リウレタン系エラストマーおよびポリエステル系エラス
トマー等を一種または二種以上混合して使用することが
できる。ポリオレフィン系エラストマーの具体例を商品
名で例示すると、三井化学工業(株)のミラストマーM
4800NW、住友化学工業(株)の住友TPE368
2、9455がある。またポリウレタン系エラストマー
の具体例を商品名で例示すると、(株)クラレのクラミ
ロン9195、クラミロン9180、BASFポリウレ
タンエラストマーズ(株)のエラストランET880や
ET890などがある。さらにポリエステル系エラスト
マーの具体例を商品名で例示すると、東レ・デュポン
(株)のハイトレル4047、4767、5557があ
る。
【0037】本発明においてカバーを形成するためのカ
バー組成物には、必要に応じて種々の添加剤、たとえば
顔料、比重調整剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤など添加することができる。
【0038】上記カバー組成物はソリッドコア、糸巻き
コアのいずれのコアの被覆にも使用することができる。
【0039】ソリッドコアとしては、1層構造または2
層以上の多層構造のものであってもよい。そしてソリッ
ドコアの組成物はたとえばポリブタジエン100重量部
に対して、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−モ
ノエチレン性不飽和カルボン酸またはその金属塩や、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート多官能性モノ
マーなどからなる架橋剤を単独または2種以上を合計で
10〜50重量部配合できる。また酸化亜鉛、硫酸バリ
ウムなどの充填剤を10〜30重量部、ジクミルパーオ
キサイドなどの過酸化物を0.5〜5重量部、さらに必
要により老化防止剤を0.1〜1重量部配合する。そし
てゴム組成物をプレス架橋、たとえば140〜170℃
の温度で10〜40分間加熱圧縮して、通常直径37.
0〜41.0mmの球状物に成形する。
【0040】糸巻きコアは、センターと該センターの周
囲に糸ゴムを延伸状態で巻付けることによって形成され
た糸ゴム層で構成される。上記センターはゴム組成物の
加硫成形物からなるソリッドセンターであってもよい
し、また水、ペーストなどのリキッドを加硫ゴム性のセ
ンターカバー内に封入したリキッドセンターであっても
よい。そしてソリッドセンターの場合はその直径が28
〜38mmである。またリキッドセンターの場合にはそ
の直径が26〜34mmであることが好ましい。
【0041】なお上記糸巻きコアを製造する糸ゴムはた
とえば天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンと
のブレンドゴムに老化防止剤、加硫促進剤、イオウなど
を配合したゴム組成物を加硫することによって得られ
る。
【0042】本発明のゴルフボールのカバーは成形後の
ショアD硬度で40〜60の範囲である。上記カバー用
組成物のショアD硬度が40より低い場合は、カバーが
軟らかくなりすぎて打球感、耐擦過傷性が悪くなり、シ
ョアD硬度が60より大きい場合は適切なバックスピン
量が得られなくなってコントロール性が悪くなりまた打
球感も悪くなる。
【0043】
【実施例】次に実施例に従って本発明を具体的に説明す
る。
【0044】実施例1〜8および比較例1〜4 次の(1)〜(3)に示す工程を経て実施例および比較
例のゴルフボールを製造した。
【0045】(1) ソリッドコアの作製 表1に示す組成のゴム組成物を調製し、それを金型に充
填して加硫成形することにより、直径39.0mmの球
状のソリッドコアを得た。加硫条件は142℃で16分
間、次いで168℃で8分間加硫した。
【0046】
【表1】
【0047】(2) カバー組成物の調製 表2、表3に示す組成の配合材料を二軸混練型押出機に
よりミキシングして、ペレット状のカバー組成物を調製
した。表2、表3中の配合量はポリマー成分100重量
部に対する重量部によるものであり、表2、表3中に商
品名で表示したものについてはその詳細を記載してい
る。
【0048】押出条件はスクリュー径45mm、スクリ
ュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であ
り、配合物は押出機のダイの位置で180〜200℃に
加熱された。
【0049】(3) ゴルフボールの作製 上記(2)のカバー組成物を前記(1)のソリッドコア
に射出成形しカバー厚さ1.9mmのゴルフボールを成
形した。そしてカバー表面にクリアーペイントを塗装し
て、外径42.8mmの実施例1〜6および比較例1〜
4のゴルフボールを作製した。上記ゴルフボールの作製
にあたって使用したカバーの組成を後記の測定方法で得
られたボール物性とともに表2、表3に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】注3)ハイミラン1605: 三井・デュ
ポンポリケミカル(株)製 Na中和エチレン−メタク
リル酸共重合体アイオノマー、 ショアD硬度:61、
曲げ剛性率:295MPa 注4)ハイミラン1706: 三井・デュポンポリケミ
カル(株)製 Zn中和エチレン−メタクリル酸共重合
体アイオノマー、 ショアD硬度:60、曲げ剛性率:
270MPa 注5)ハイミラン1855: 三井・デュポンポリケミ
カル(株)製 Zn中和エチレン−メタクリル酸−i−
ブチルアクリレート三元共重合体アイオノマー、 ショ
アD硬度:54、曲げ剛性率:87MPa 注6)サーリン6320: デュポン社製 Mg中和エ
チレン−メタクリル酸−n−ブチルアクリレート三元共
重合体アイオノマー、 ショアD硬度:44、曲げ剛性
率:35MPa 注7)ラバロンSJ7400N: 三菱化学(株)製
SEBSベース熱可塑性エラストマー、 ショアA硬
度:75 注8)ラバロンSR04: 三菱化学(株)製 SEB
Sベース熱可塑性エラストマー、 ショアA硬度:40 注9)セプトンHG−252: (株)クラレ製 水素
添加SIBSのOH基附加物、 ショアA硬度:80 注10)エポフレンドA1010: ダイセル化学工業
(株)製 エポキシ化SBS、ショアA硬度:67 注11)ダイナロン6200P: JSR(株)製 ポ
リブタジエン水素添加物(C−EB−C) ショアA硬
度:66、なお、C−EB−CにおけるCは、結晶性ポ
リエチレンブロックを意味し、C−EB−Cとは、ポリ
エチレン結晶−エチレン−ブチレン−ポリエチレン結晶
を意味する。
【0053】本発明ではゴルフボールの性能の測定方法
は以下の方法で行なった。 (1) ショアD硬度 各カバー組成物から作製された厚さ2mmの熱プレスシ
ートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重
ねてASTM−D2240−68で規定の方法で測定し
た。
【0054】(2) 曲げ剛性率 各カバー用組成物から作製された厚さ2mmの熱プレス
シートを23℃で2週間保存後、JISK7106に規
定する方法で測定した。
【0055】(3) 圧縮変形量 ゴルフボールに初期荷重10kgfを負荷した状態から
終荷重130kgfを負荷したときまでの変形量を測定
した。単位はmmである。
【0056】(4) 反発係数 ゴルフボールに重量200gのアルミニウム製の円筒状
物を45m/sの速度で衝突させ、衝突前後の円筒状物
およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度お
よび重量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。
【0057】(5) 飛行性能 ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド
製W♯1ドライバーを取付け、ヘッドスピードを45m
/secに設定して各ゴルフボールを打撃し、停止点ま
での距離であるトータル飛距離を測定した。測定は各ゴ
ルフボールで5回行なって、その平均を算出した。
【0058】(6) 打球感 ゴルファー10名によりメタルヘッド製W♯1ドライバ
ーで実打撃を行ない、下記標準で評価し、最も多い評価
をそのボールの結果とした。
【0059】 ○:衝撃が少なく、反発感もあって良い。 △:普通 ×:衝撃が大きい、または重い。
【0060】(7) コントロール性 ゴルファー10名により、ピッチングウェッジのクラブ
で実打撃を行ない、下記の基準で評価し、最も多い評価
をそのボールの結果とした。
【0061】 ○:スピンがかかりやすく、コントロール性が良い。 △:普通 ×:すべる感じでスピンがかかりにくく、コントロール
性が悪い。
【0062】(8) 耐擦過傷性 市販のピッチングウェッジをロボットマシンに取付け、
ヘッドスピード36m/sでボールの2ヵ所を各1回打
撃し、2ヵ所打撃部を観察し、3段階で評価した。
【0063】 ○:ボール表面に傷がわずかに残るがほとんど気になら
ない程度。 △:ボール表面に傷がくっきり残り若干毛羽立ちが見ら
れる。
【0064】×:ボール表面がかなり削れ、毛羽立ちが
目立つ。 実施例1〜3および6はA成分、B成分およびC成分を
混合したもので反発弾性(反発係数)、打球感、コント
ロール性、耐擦過傷性が総合的に優れている。ただし実
施例1、実施例2、実施例3とC成分の混合量を増加さ
せるとともにカバーのショアD硬度、曲げ剛性が低下し
ておりそれに伴い反発係数も小さくなる傾向にある。
【0065】実施例4、実施例5はB成分を混合しない
系であり反発係数は比較的高いレベルを維持している。
実施例6はC成分としてラバロンSJ7400Nを、実
施例7はC成分としてセプトンHG−252を、また実
施例8はC成分としてエポフレンドA1010をそれぞ
れ混合したものであり、表2、表3からゴルフボールの
諸特性は総合的に優れていることが判る。
【0066】一方比較例1はカバーにA成分のみ、比較
例2〜4はA成分とB成分の混合系であり、打球感、コ
ントロール性、耐擦過傷性が総合的に劣っている。
【0067】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0068】
【発明の効果】上述のごとく本発明はカバー組成物のポ
リマー成分にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体ア
イオノマー樹脂(A成分)にスチレンブロックを含有す
る熱可塑性エラストマー(C成分)を特定範囲でブレン
ドし、さらに必要によりアクリル酸−(メタ)アクリル
酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体アイオノ
マー樹脂(B成分)を混合したためこれらの成分が分子
レベルでの混合を可能とし、従来の混合系と異なった優
れたカバー基本特性が得られる。そしてかかるカバーを
用いることにより打球感、反発弾性、コントロール性お
よび耐擦過傷性が総合的に優れたゴルフボールが得られ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアと該コアを被覆するカバーからなる
    ゴルフボールにおいて、該カバーの組成物のポリマー成
    分として、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系ア
    イオノマー樹脂(A成分)の10〜80重量部と、エチ
    レン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステ
    ル三元共重合体系アイオノマー樹脂(B成分)の0〜6
    0重量部と、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラ
    ストマー(C成分)の5〜60重量部とを含有し、か
    つ、カバー組成物のショアD硬度が40〜60であるこ
    とを特徴とするゴルフボール。
  2. 【請求項2】 前記スチレンブロックを含有する熱可塑
    性エラストマー(C成分)は、スチレン−ブタジエン−
    スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソ
    プレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレ
    ン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
    体(SIBS)、または、これらの水素添加物であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のゴルフボール。
  3. 【請求項3】 前記スチレンブロックを含有する熱可塑
    性エラストマー(C成分)は、スチレン−ブタジエン−
    スチレンブロック共重合体(SBS)、SBSの水素添
    加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
    体(SIS)、SISの水素添加物、スチレン−イソプ
    レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIB
    S)またはSIBSの水素添加物と、オレフィンよりな
    るポリマーアロイであることを特徴とする請求項1記載
    のゴルフボール。
  4. 【請求項4】 前記スチレンブロックを含有する熱可塑
    性エラストマーのショアA硬度が95以下である請求項
    1〜3のいずれかに記載のゴルフボール。
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