JP2002096413A - 複合強化繊維基材およびプリフォーム - Google Patents
複合強化繊維基材およびプリフォームInfo
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Abstract
に優れる複合強化繊維基材を提供する。 【解決手段】 強化繊維織物と、熱可塑性繊維を一方向
に配向させた不織布とが積層され、かつ、該強化繊維織
物のたて糸方向またはよこ糸のいずれかの方向に該不織
布の繊維配向方向が平行になるように積層されているこ
とを特徴とする複合強化繊維基材。
Description
として優れた特性を発揮する複合強化繊維基材並びにそ
の基材を用い三次元賦形に優れたプリフォームに関す
る。
率の強化繊維からなる繊維強化プラスチック(以下FR
Pと呼称)は、機械的性質に優れていることから、航空
機の構造材料として多用されている。
て優れるが、繊維軸から外れると機械的特性が急激に低
下する、すなわち大きな異方性があるから、航空機の構
造材料などは薄いプリプレグを多数枚積層し、FRPの
面方向には機械的特性が疑似等方性になるように積層さ
れ使用されることが多い。
衝撃が加わると、各層の機械的特性は大きな異方性があ
るから、衝撃によってFRPの層間にクラックが発生
し、層間が剥離して衝撃を受けたFRP板の圧縮強度が
大幅に低下させることが知られている。
面に熱可塑性粒子を付着させ、成形した積層体の層間に
粒子を配し、衝撃力によるクラックの伝播エネルギーを
粒子を破壊させることによって吸収し、層間剥離の面積
を小さくすることが行われている。この対策により衝撃
を受けたFRP板の残存圧縮強度が大幅に改善され、大
型民間航空機の一次構造材料として実用化されることに
なった。
RP構造材料の製造コストが高くなる。
塑性粒子を製造するコストが高い。
に均一に付着させるため、プリプレグの加工速度が遅く
なったり、また、Bステージ状態のマトリックス樹脂に
粒子が分散した樹脂フィルムを作製するなどの別の新た
な工程が必要となる。
っては粒子はプリプレグやプリプレグの樹脂を硬化した
後のFRPの層内に入り、正確に所定の粒子を層間に配
置させるのは困難である。
ブ成形は、タックのあるプリプレグを使うから、プリプ
レグとプリプレグの間の空気を脱法しながらの積層が必
要であり、また、所定の構造材の厚みにするには薄いプ
リプレグを何層も積層することが必要となり手間がかか
る。
済効果が得られず、航空機メーカからFRP構造材料の
製造コストダウンが強く要望されている。
基材の積層体を充填し、樹脂を注入するレジン・トラン
スファー・モールディング(RTM)成形法が低コスト
成形法として注目されている。しかし、この方法では積
層体の層間に熱可塑性粒子を正確に配置することはでき
ない。また樹脂のみの改善では耐衝撃性に優れる高靭性
なFRPとすることは困難である。また、単に強化繊維
基材を積み重ねたのでは、各層の基材がずれ、取り扱い
が困難であるばかりか繊維配向が乱れ、所定の機械的特
性を有するFRPを得ることは困難である。
は、平織や繻子織などの織布とニードルパンチやスパン
ボンド、メルトブロー法などで作られた50〜200g/m2目
付の不織布をニードルパンチなどの方法で絡合一体化さ
せた複合布からなる補強材によって層間剥離強度をはじ
め曲げ強度や圧縮強度などの機械的特性のバランスに優
れた成型物に提供し得る繊維補強材などが提案されてい
る。しかしながら、これらの形態では、不織布の目付が
大きいためにFRPにおける強化繊維以外の繊維量が大
きくなり、強度や弾性率といった機械的性質が低下する
ので好ましくない。
ルトブロー法などで得られる不織布の繊維は通常ランダ
ムに配向しており、これらのランダムに配向した不織布
と織物基材を接着やニードルパンチなどの方法によって
一体化した基材をRTM成型などで使用する型に賦形す
る場合、織物はその型に剪断変形によって賦形される
が、一体化させたランダムに繊維配向した不織布では、
繊維が不規則な方向に多数配されているため、ある方向
に繊維が延びようとしても周りの異なる方向に配した繊
維が邪魔をして伸縮の自由度が小さくなり、ヘルメット
などの深絞りの賦形では織物基材の剪断変形に追従する
ことができなく皺が発生したり、不織布が基材から剥が
れやすくなるなど根本的な解決には到っていない。
様な現状に着目し、賦形性に優れて、成形されたときに
耐衝撃性に優れる複合強化繊維基材を提供することにあ
る。また、前記の複合強化繊維基材を使用して、繊維配
向が乱れず、ハンドリング性および成形されたときに耐
衝撃性に優れるプリフォームを提供することにある。
維織物と、熱可塑性繊維を一方向に配向させた不織布と
が積層され、かつ、該強化繊維織物のたて糸方向または
よこ糸のいずれかの方向に該不織布の繊維配向方向が平
行になるように積層されていることを特徴とする複合強
化繊維基材によって達成される。
を、強化繊維織物と不織布とが交互になるように複数枚
積層したプリフォームによって達成される。
視図を図1に示した。
一方向配向不織布3(以下不織布と呼称する)が、織物
2の繊維方向に沿って積層一体化されたものである。
で、不織布3の繊維が織物2に貫通して一体化している
様子を示したものである。不織布3を構成する短繊維5
が不織布の内面で絡み合い、また、織物の強化繊維層の
途中まで貫通した短繊維5からなっている。また、強化
繊維層を完全に貫通した繊維の方向が反転した繊維が再
び貫通している状態であってもよい。
繊維、アラミド繊維、炭素繊維などの高強度・高弾性率
の強化繊維である。なかでも、引張弾性率が200GP
a以上、引張強度が4.5GPa以上の炭素繊維は高強
度・高弾性率であるのみならず、耐衝撃性にも優れる。
また、強化繊維糸条の太さとしては、550デシテック
スから23,000デシテックスの範囲が好ましい。
チフィラメントが好ましい。扁平な織糸からなる織物
は、織糸の繊度を大きくしても、各織糸の交錯部におけ
るクリンプが極めて小さく抑えられ、FRPやCFRP
にした際に高い強度特性が得られる。強化繊維糸条が5
50デシテックスから23,000デシテックスの場
合、糸幅が4〜30mm、糸厚みが0.1〜1.0mm
の範囲の扁平な強化繊維糸条が好ましい。
織、綾織、繻子織などの二方向織物が適用できる。
不織布を説明する。複合強化繊維基材を成形型に添わせ
る、すなわちフィットさせる場合、型の曲面部で強化繊
維や不織布の繊維の位置が部分的にずれたり、強化繊維
の交錯角度が変化する。したがって、複合強化繊維基材
には変形に対する自由度が必要であり、たとえば紙やフ
ィルムなどは変形に対する自由度が無く、曲面部に添わ
せると必ず皺が発生する。また、不織布においてもメル
トブロー法やスパンボンド法などで得られる連続繊維不
織布や、カード法で得られる短繊維不織布の場合でも、
高目付で交絡度が大きい変形に対する自由度が小さい不
織布では、曲面部に添わせると皺が発生する。基材に皺
が入ると皺部で強化繊維が折れ曲がるので、FRPにす
ると皺部が弱くなり、破壊の起点となるので好ましくな
い。
変形によって交錯角度が変化するに必要な力はさほど大
きいものでなく、2N程度の伸張によって変形する。例
えば、東レ製のT300−3K織物(平織組織)の場
合、2Nの伸張によって約20%剪断方向に繊維が移動
し、それ以上の荷重で伸張させてもたて糸とよこ糸の交
錯点がロックし交錯角度は変化しない。また、東レ製の
T700−12K織物(平織組織)においても同様に2
N程度の伸張によって40%程度剪断方向に繊維が移動
する。すなわち、複合強化繊維基材を構成する不織布
は、強化繊維の剪断変形によって強化繊維が移動するの
に必要な力、つまり2N程度の小さな荷重で同じ方向に
同じ量だけ移動できるものでなければ一体化した不織布
が剥がれたり、余分な力を加えることによって成形型に
フィットしなくなったり基材に皺を発生させたりするこ
とになる。
維が配向した不織布である必要がある。
の繊維配向方向が強化繊維織物のたて糸方向かよこ糸方
向のいずれか一方に平行になるように配置して積層一体
化させると、強化繊維基材が剪断変形によって強化繊維
織物の交錯角度が変化し強化繊維が移動したときに強化
繊維は平行に隣接する強化繊維の平行移動によって変
形、移動するので、一方向不織布のたて方向の繊維は強
化繊維とおおむね同じように平行に移動するので、基材
に皺を発生させることなく成形型にフィットさせること
ができる。不織布のたて方向の伸度は強化繊維の伸度と
同程度の小さなものであってもよい。ここで平行になる
ように配置するとは、上記の効果を奏する程度に平行で
あれば良く、強化繊維織物のたて糸方向またはよこ糸方
向と不織布の繊維配向方向が−10度から+10度の範
囲にあることが好ましい。
移動した変位量は、不織布のヨコ方向の伸度が高いもの
であれば吸収することができ、例えば平織組織の強化繊
維織物の場合、剪断変形による最大変位量は、織物ピッ
チの約40%程度であることから、不織布の剪断方向の
伸度が40%以上あれば織物基材の剪断変形に対して不
織布を追従させることが可能となる。しかし、不織布の
剪断方向の伸度とは、不織布のたて方向とよこ方向の伸
度が合成された方向であり、たて方向またはよこ方向の
いずれかの伸度が40%以上あればよいというものでは
なく、あくまで剪断方向に40%以上の伸度が2N以下
の力で伸長した時に得られるものでなければならない。
2N荷重時の不織布の伸度が、不織布のたて方向伸張時
の伸度とよこ方向の伸張時の伸度の比が下式を満足する
ものが好ましい。
って強化繊維の交錯角度が変化し強化繊維が移動した時
に一体化された不織布の繊維は剥がれたり皺になったり
することなく強化繊維の移動に対して追従することが可
能となる。一方、Lb/Laが15未満になると一体化
した不織布が、強化繊維の剪断変形によって強化繊維が
移動した場合に追従できず基材から剥がれたりする場合
がある。
織布のたて方向とよこ方向について幅4cm、長さ14
cmなるようにそれぞれ5枚ずつ裁断し、引張試験を行
った。この時、裁断した不織布の試長が10cmになる
ように上下チャック共2cmチャックにはさんで固定
し、3cm/minの引張速度で引張試験を行い、測定
後チャートから、荷重が2Nの時の変位量と伸度を求
め、各5枚のLaとLbを単純平均してLb/Laを求
めた。
繊維基材シートを賦形させた模式図を示したものであ
り、一方向に配向させた不織布の繊維が、強化繊維と同
じ方向に移動し、直交方向の繊維がわずかに移動するの
みで賦形することが可能となる様子を示したものであ
る。
材との一体化を、不織布を形成する繊維が基材を形成す
る強化繊維層を貫通することによって行うという観点か
らも、繊維は短繊維となっていることが好ましい。繊維
長は、通常は20〜120mmで、僅かな繊維量でより
強化繊維と交絡数を多くするために繊維の端部数が多く
なるようにするため20〜70mmがより好ましい。同
様に繊維径もわずかな繊維量でより強化繊維層を貫通す
る繊維本数を多くするために0.005〜0.03mm
が好ましい。
あって同時に一体化した基材を容易に他数枚積層させる
という意味で、不織布を形成する繊維が低融点繊維とブ
レンドしたもの、または芯鞘糸の鞘部が低融点成分から
なる繊維をブレンドまたは単体で使用したもが好まし
い。
ブレンドし、ウエブ形成段階で一方向(長さ方向)に繊
維を引き揃え、熱風で熱融着させて作ることができる。
従って、不織布繊維の結節にも低融点繊維をブレンドす
ることは有効で、熱融着によらない他の、ニードルパン
チや空気や水などの流体による機械的結節方法によって
繊維を絡めて結節したものに比べ、結節力を保持するこ
とが容易であるし、また低目付な不織布を形成するため
には、熱風で熱融着させた不織布が好ましい。
度の低目付なものが好ましい。この範囲の下限値未満で
あると、FRP基材層間のインターリーフとしての不織
布の繊維量が少なくなり、十分な耐衝撃性向上が得られ
ない。また、この範囲の上限値を越えるとFRPにおけ
る強化繊維以外の繊維量が大きくなり、強度や弾性率と
いった機械的特性が低下するので好ましくない。
維とのブレンドまたは芯鞘糸の鞘部が低融点成分から成
る芯鞘繊維が好ましい。繊維を形成するポリマーには、
ポリアミド、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリ
ル、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリパラフェニ
レンベンゾビスオキサドール、ポリベンゾビスオキサゾ
ール、ポリグリルアミド、PBT、PVA、PBI、P
PSなどが使用できる。
ン66等の有機繊維と低融点の共重合ナイロン繊維との
ポリアミド系繊維のブレンドや芯部にナイロン6または
ナイロン66、鞘部に低融点の共重合ナイロンを用いた
芯鞘繊維が好ましい。特にナイロン6やナイロン66は
衝撃によりFRPの層間にクラックが発生しても、有機
繊維の損傷によって衝撃エネルギーが吸収されてクラッ
クの進展を抑え、僅かな繊維量で大きな耐衝撃性向上効
果が得られ、また、汎用的なポリマーなので不織布が安
価となり好ましい。
ンドする場合、ブレンドする他の繊維より融点の低いも
のであればよいが、例えば共重合ナイロン、変性ポリエ
ステルやビニロンなどが使用でき、融点が不織布を形成
する他の繊維より低く60〜160℃程度のものが好ま
しい。
の場合、芯部のポリマーの融点は200〜300℃が好
ましく、鞘部を構成する低融点ポリマーは、融点が芯部
を構成するポリマーより低ければよく、融点が60〜1
60℃程度のものが好ましい。なかでも、鞘部が共重合
ナイロンで芯部がナイロン6またはナイロン66の組み
合わせは、同種のポリマーであるから芯部と鞘部がよく
接着する。また、芯部と鞘部のポリマーの融点差は50
℃以上が好ましい。この範囲の下限値を下回ると芯部の
ポリマーと鞘部のポリマーとの温度差が小さくなり、鞘
部のポリマーを溶融する際、芯部のポリマーまで溶融さ
れることがあり、また、芯部の分子配向が乱れ芯部のポ
リマーによる耐衝撃性改善効果が小さくなるからであ
る。
が、繊維断面積の30〜70%の範囲が好ましい。芯部
の割合が30%未満であると、衝撃エネルギーを吸収す
るポリマー成分が少なくなりFRPの耐衝撃性を向上さ
せる効果が小さくなる。また、所定の衝撃エネルギーを
吸収させるには不織布の繊維量を大きくすることが必要
になり、FRPに占める強化繊維の割合が少なくなり、
FRPの機械的特性が低下する。一方、70%を越える
と鞘部の低融点ポリマーの量が少なくなり、単体で不織
布を形成させた場合に基材との接着が不十分となる。
可塑性ポリマーが含まれることによって、型に沿わせな
がら複合強化基材を賦形し、その上に複合強化繊維基材
を賦形しながら積層し、これを低融点繊維の融点以上に
加熱、加圧させて接着しながらプリフォームを形成する
ことが簡単にできるし、かつその他の繊維を耐衝撃性を
高めるためのインターリーフとして作用させることがで
きるので好ましい。
おける低融点繊維の割合は、あまり少ないと不織布を形
成する際の繊維同士の結合を弱めたり、プリフォームを
形成させるときの接着が不十分となり、また、多いとイ
ンターリーフとして作用が損なわれたりするので20〜
70重量%が好ましく、より好ましくは40〜60重量
%である。
不織布と基材との一体化状態について説明する。不織布
を形成する繊維が基材を形成する強化繊維層を貫通する
ことによって基材と接合されることによって、フィット
性に優れる不織布が基材のドレープ性を阻害するような
ことはなく、好ましい。かかる効果を発現させるために
は、前記貫通は1〜100パンチ/cm2であることが好ま
しく、2〜50パンチ/cm2であることがより好ましく、
5から20パンチ/cm2であることがさらに好ましい。
せるには、たとえば不織布を基材の上に置き、ニードル
パンチや、ウオータージェット、エアジェットなどの流
体によるパンチングなどの機械的接結法によって行うこ
とができる。中でもニードルパンチによるパンチングが
低目付の不織布を確実に強化繊維に貫通させることがで
き好ましく用いられる。
準備のため複合強化繊維基材を裁断したり、ハンドリン
グする際、基材と不織布が剥がれない程よく、繊維の絡
み度合いを強くする必要はない。
際、複合強化繊維基材の積層体の層方向への樹脂の含浸
性を確保する観点からポーラスな状態であることが必要
であり、不織布を形成する繊維によって覆われない、す
なわち繊維が存在しない空隙部の占める割合が不織布全
体の面積の30%〜95%の範囲が好ましい。30%未
満であると樹脂含浸速度が遅くなり、常温硬化型の樹脂
を使用した場合、樹脂が全体に行き渡らない状態で樹脂
の硬化が始まるので好ましくない。また、95%を越え
ると不織布の繊維量が少なくなり、本発明の目的とする
FRPの耐衝撃性向上効果が小さくなってしまう。より
好ましくは、40%〜80%の範囲である。
複合強化基材を、強化繊維織物と不織布とが交互になる
ように複数枚積層したものである。
成する繊維に含まれる低融点繊維を加熱・加圧し、融着
することにより一体化することが好ましい。
向は基材同士が同じ方向となるように各層を積層しても
よいし、また繊維配向が0°、90°、±45°となる
ように、FRPにしたときの機械的性質が疑似等方性に
なるようにするなど、特に限定されるものではない。
ト性に優れる複合基材からなるから、プリフォームは型
との間に隙間を形成することなく密着した形に充填され
るので、FRPにしたとき表面層に樹脂過多層を作るこ
となく、また型に賦形する際、皺が入らないから、均一
に繊維が分散した表面が平滑なFRP成型品を得ること
ができる。
衝撃性を高めるための繊維からなるインターリーフ層を
簡単に成型され、FRPの耐衝撃性が向上させることが
できるのである。
る方法でFRPを成形することができるが、なかでもレ
ジン・トランスファー成形法や真空バッグ成形法では大
型の成型品が安価に製造することができるので、好まし
く用いられる。
する。 実施例1 強化繊維織物として、繊度8000デシテックス、引張
強度4800MPa、弾性率230GPa、破断伸度
2.1%、フィラメント数12,000本の扁平状の炭
素繊維をたて糸およびよこ糸に用い、たて糸およびよこ
糸の密度が1.25本/cm、織物目付約200g/m
2の炭素繊維織物を得た。
3.3デシテックス、繊維長が約70mmの融点が26
0℃の高融点ナイロン短繊維を60重量%と、繊維径が
0.016mm、繊度が約2.2デシテックス、繊維長
が約70mmの融点が140℃の低融点ナイロンを40
重量%の割合でブレンドし、カード機にかけ、一方向に
引き揃えた後、熱風を吹き付けて低融点繊維を溶融して
一方向に配向させた目付約8g/m2の不織布を得た。
るために、不織布のたて方向とよこ方向について幅4c
m、長さ14cmなるようにそれぞれ5枚ずつ裁断し、
引張試験を行った。この時、裁断した不織布の試長が1
0cmになるように上下チャック共2cmチャックには
さんで固定し、3cm/minの引張速度で引張試験を
行った。測定後チャートから、荷重が2Nの時の変位量
と伸度を求め、各5枚のLaとLbを単純平均してLb
/Laを求めた結果、その値は42.8と高い値を示す
ものであった。
に繊維配向した不織布の繊維が平行になるようにし、炭
素繊維織物の上面に不織布を積層した後、フォスター社
製のニードル(15×18×40×3.5RB F.2
0 6−3B/LI/CC)を針密度10本/cm2となる
ようにセットし、ニードリングして炭素繊維織物と不織
布を一体化した複合強化繊維基材を得た。得られた複合
強化繊維基材は不織布が剥がれない程度に一体化されて
おり、また、炭素繊維織物の繊維配向をほとんど乱すこ
となく不織布繊維が貫通しており、また、不織布の配向
した繊維が強化繊維織物のたて糸方向と平行になって一
体化されたものであった。
に裁断し、ヘルメットから型取りした雌型にのせ、その
複合強化繊維基材の炭素繊維織物の織糸配向方向が深絞
り中心を向く方向に対して斜めの方向となる各々の隅を
固定して、その上から雄型を押し付けて賦形させた。
は、ヘルメットの型通りで、かつ、皺の発生がなく賦形
されたものであった。
を作り、できた2枚のプリフォームを繊維配向が45度
向きの違うようにして疑似等方にして積層し、雄型と雌
型の間に入れ200℃に加熱、加圧して30秒保持した
のち型からプリフォームを取りだしたところ、不織布の
低融点成分が溶融して二枚のプリフォームを皺の発生も
なく融着されたものができた。
性ビニルエステル樹脂を含浸させて成形品を得た。得ら
れた成形品は、樹脂が偏在するような部分がなく、表面
平滑な成形品が得られた。また、成形品の断面観察にお
いてもボイドはなく均一に樹脂含浸されていた。
するために真空バッグ成形で硬化板を作製した。
00で、110℃に樹脂を加熱して注入し、177℃×
4時間で硬化させた。
となる様に積層し、1枚積層する毎にアイロンで不織布
に含まれる低融点ナイロンを溶融させて互いに接着させ
た。
なく成形型板上にセットすることができた。
350mm×350mmサイズでカットし、同方向に6
枚積層して成形した。ここでVfとは不織布を除く強化
繊維の体積割合であり、下式より算出した。
数)/強化繊維の密度〕/成形品の厚みここで、強化繊
維の目付は、成形前に使用する強化繊維基材の重量を研
精工業株式会社製の化学天秤にて測定して算出した。ま
た、成形品厚みは、成形後の硬化板の端部と中央部合計
9カ所を厚みゲージで測定し、その単純平均で求めた。
さ250mmに切断し、両端にガラスタブを接着して引
張試験片とし、JIS K7073に基づき引張試験を
行い、破断荷重を測定し、引張強度を求めた。
の圧縮強度)評価用としては、一体化複合基材を350
mm×350mmサイズに切断し、織物のたて糸方向を
0°、よこ糸方向を90°として、積層構成は(±45
°)/(0°、90°)を6回繰り返して12枚積層し
た上に、(0°、90°)/(±45°)の構成で12
枚を対称積層し、それぞれ成形型板上にセットして
〔(±45°)/(0°、90°)〕6Sの疑似等方板を
得た。
×152.4mmの試験片を切り出し、ボーイング社試
験法BMS7260記載の衝撃圧縮強度(CAI)の測
定を行った。なお、この時の落錘衝撃のエネルギーは6
7J/cmで行った。その結果、CAIは277.2P
aと高い値を示し、また、Vfおよび引張強度は58
%、1166MPaと本発明の複合強化繊維基材は複合
材料用基材として優れていることが判った。
しては、鞘部に軟化点110℃のイソフタル酸を共重合
したポリエステル、芯部に融点255〜260℃のポリ
エステルを用い、芯部と鞘部の繊維断面積の割合が50
%対50%であり、繊維径が約0.02mm、繊度が約
3.9デシテックスの芯鞘糸を作り、該芯鞘糸を繊維長
が約70mmになるようにカットした短繊維をカード機
にかけ、一方向に引き揃えた後、熱風を吹き付けて鞘部
の低融点成分を溶融して一方向に配向させた目付約8g
/m2の不織布を得た。
同様の方法で測定した結果、38.3と高い数値を示す
ものであった。
同じ条件で一体化した結果、炭素繊維織物の繊維配向を
ほとんど乱すことなく不織布を貫通しており、実施例1
と同様の良好な複合強化繊維基材が得られた。
に裁断し、実施例1と同様にヘルメット型にて賦形させ
た結果、プリフォームは同様に皺の発生のないヘルメッ
ト型通りに賦形されていた。
り、できた2枚のプリフォームを繊維配向が45度向き
の違うようにして疑似等法に積層し、雄型と雌型の間に
入れ200℃に加熱、加圧して30秒保持した後に型か
らプリフォームを取りだしたところ、不織布の低融点成
分が溶融して二枚のプリフォームを皺の発生もなく実施
例1同様に融着されたものができた。
性ビニルエステル樹脂を含浸させて成形品を得た。得ら
れた成形品は、実施例1同様に均一に樹脂含浸されたい
た。
するために真空バッグ成型で実施例1と同じ条件で硬化
板を作製し評価した。CAIの評価結果は、265.8
Paと実施例1に比べれば若干低い値であるが、不織布
が積層されていない比較例1より高い値であった。ま
た、Vfおよび引張強度は、58%、1158MPaと
本発明の複合強化繊維基材は複合材料用基材として優れ
ていることが判った。
を用い、実施例1と同様に50cm角に裁断し、ヘルメ
ット型にて賦形させた結果、ヘルメットの型どおりに賦
形でき、皺の発生もなかったが、型から取り外すと腰が
なく形態を保持することができなかった。
った結果、235.1Paと実施例1に比べ低い値を示
した。なお、Vfおよび引張強度は60%、1060M
Paであった。
%からなる、目付が48g/m2の高目付スパンボンド
タイプのランダム繊維配向の不織布を用い、実施例1と
同じ強化繊維基材とニードルパンチを行い一体化した基
材を用い、実施例1と同じ方法でヘルメット型に賦形さ
せたが、一体化基材は、不織布自身の伸度が小さいた
め、一体化の状態では曲面に添わせることができず、無
理矢理添わせようとすると、不織布が剥がれ、不織布に
皺が発生する問題があった。なお、この不織布のLb/
Laの値は実施例と同様の方法で求めた結果、1.7と
小さい値であった。
値を示したが、不織布が厚いためにVfが45%と低か
ったことから、904MPaと低い引張強度であった。
基材は、成形型に対するフィット性に優れ、皺を発生さ
せず三次元賦形に優れたプリフォームを形成することが
できる。
に優れるFRPとなる。
る状態を示す断面図
せた時の模式図の一例
Claims (16)
- 【請求項1】強化繊維織物と、熱可塑性繊維を一方向に
配向させた不織布とが積層され、かつ、該強化繊維織物
のたて糸方向またはよこ糸のいずれかの方向に該不織布
の繊維配向方向が平行になるように積層されていること
を特徴とする複合強化繊維基材。 - 【請求項2】不織布の繊維が、強化繊維織物に貫通して
一体化している請求項1記載の複合強化繊維基材。 - 【請求項3】不織布が、2N荷重時の伸度において、下
式を満足する請求項1記載の複合強化繊維基材。 Lb/La≧15 La(%):2N荷重時のたて方向の不織布の伸度 Lb(%):2N荷重時のよこ方向の不織布の伸度 - 【請求項4】不織布を構成する繊維のうち20から70
重量%が低融点繊維である請求項1記載の複合強化繊維
基材。 - 【請求項5】不織布を構成する繊維が、鞘部が芯部より
融点の低いポリマーからなる芯鞘型繊維であって、か
つ、該芯鞘型繊維の芯部の占める割合が、芯鞘型繊維断
面積の30から70%である請求項1記載の複合強化繊
維基材。 - 【請求項6】不織布を形成する熱可塑性繊維がポリアミ
ド系繊維である請求項1記載の複合強化繊維基材。 - 【請求項7】不織布が熱融着されて形成された不織布で
ある請求項1記載の複合強化繊維基材。 - 【請求項8】強化繊維が炭素繊維である請求項1記載の
複合強化繊維基材。 - 【請求項9】熱可塑性不織布の目付が、5から30g/
m2であることを特徴とする特許請求項1記載の複合強
化繊維基材。 - 【請求項10】強化繊維織物が、二方向織物である請求
項1記載の複合強化繊維基材。 - 【請求項11】該二方向織物において、長さ方向および
幅方向の少なくとも一方の強化繊維糸条が、糸幅が4〜
30mm、糸厚みが0.1〜1.0mmの範囲にある扁
平な強化繊維糸条である請求項10記載の複合強化繊維
基材。 - 【請求項12】一体化が、ニードルパンチによってされ
たものである請求項2記載の複合強化繊維基材。 - 【請求項13】複合強化繊維基材のニードルパンチ密度
が5から20パンチ/cm2である請求項12記載の複合
強化繊維基材。 - 【請求項14】不織布を形成する繊維が短繊維であっ
て、繊維長が20から120mmである請求項1ないし
13のいずれかに記載の複合強化基材。 - 【請求項15】請求項1ないし14のいずれかに記載の
複合強化繊維基材を、強化繊維織物と不織布とが交互に
なるように複数枚積層したプリフォーム。 - 【請求項16】複合強化基材同士が、不織布に含まれる
低融点繊維の融着により一体化されている請求項15記
載のプリフォーム
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