JP2002093658A - 樹脂層の製造方法、及び積層体の製造方法と製造装置 - Google Patents

樹脂層の製造方法、及び積層体の製造方法と製造装置

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JP2002093658A
JP2002093658A JP2000280021A JP2000280021A JP2002093658A JP 2002093658 A JP2002093658 A JP 2002093658A JP 2000280021 A JP2000280021 A JP 2000280021A JP 2000280021 A JP2000280021 A JP 2000280021A JP 2002093658 A JP2002093658 A JP 2002093658A
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Kazuyoshi Honda
和義 本田
Masaru Odagiri
優 小田桐
Nobuki Sunanagare
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 支持体上に堆積させた未硬化の樹脂材料に電
子ビームを照射して樹脂材料を硬化させて樹脂層を製造
するに際して、樹脂層に異常突起やピンホールが発生す
るのを防止する。 【解決手段】 電子ビームの放出源(フィラメント)1
37から支持体111上に堆積された樹脂材料が直接見
通せないように放出源を筐体133で遮蔽する。放出源
から出射された電子ビーム131を磁界を印加して偏向
させて、電子ビームを樹脂材料に照射する。電子ビーム
とともに飛散した放出源の材料が樹脂材料中へ混入した
り、放出源からの放射熱で樹脂材料が加熱されたりする
のを防止できる。よって、樹脂層を薄くしてもに異常突
起やピンホールが形成されない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂層の製造方法に
関する。また、本発明は電子部品等に用いられる積層体
の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂層を積層する工程と金属薄膜層を積
層する工程とを一単位として、これを周回する支持体上
で繰り返すことにより、樹脂層と金属薄膜層とが交互に
積層された積層体を製造する方法、及び得られた積層体
からコンデンサなどの電子部品を得る方法は、例えば、
特開平10−237623号公報等で公知ある。
【0003】樹脂層と金属薄膜層との積層体の製造方法
の一例を図面を用いて説明する。
【0004】図3は、従来の積層体の製造装置の一例の
概略を模式的に示した断面図である。
【0005】図3において、915は真空槽、916は
真空槽915内部を所定の真空度に維持する真空ポン
プ、911は真空槽915内に設置された、図中の矢印
方向に回転する円筒形状のキャンローラ、912は樹脂
層形成装置、913はパターニング材料付与装置、91
4は金属薄膜形成装置、917はパターニング材料除去
装置、918は樹脂硬化装置、919は表面処理装置、
920a,920bは金属薄膜形成領域を他の領域と区
別するための隔壁、922は隔壁920a,920bに
設けられた開口、923は必要時以外に金属薄膜が形成
されるのを防止するために開口922を閉じるための遮
蔽板である。
【0006】樹脂層形成装置912は、樹脂層を形成す
るための樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンロ
ーラ911表面に向けて放出する。キャンローラ911
は所定の温度に冷却されているから、樹脂材料は冷却さ
れてキャンローラ911の外周面に膜状に堆積する。
【0007】堆積した樹脂材料は、樹脂硬化装置918
により所望の硬度に硬化される。樹脂硬化装置918
は、キャンローラ911に向けて設置されたタングステ
ンフィラメントを有し、これに通電して発生させた電子
ビーム918aを樹脂材料表面に照射することで樹脂材
料を硬化させる。
【0008】硬化して形成された樹脂層は、必要に応じ
て樹脂表面処理装置919により、酸素プラズマ処理等
が施され、樹脂層表面が活性化される。
【0009】パターニング材料付与装置913は、オイ
ルマージンと呼ばれる手法により金属薄膜層にマージン
部を形成することにより金属薄膜層を所定の形状にパタ
ーニングするための装置である。樹脂層上に予めパター
ニング材料を薄く付与した後に、金属薄膜層を蒸着など
によって形成すると、パターニング材料上には金属薄膜
層が形成されず、マージン部が形成される。パターニン
グ材料を特定領域に付与することで所望のパターンを持
つ金属薄膜層を形成することが出来る。パターニング材
料は、パターニング材料付与装置913内で気化されて
キャンローラ911の外周面に向けて所定位置に形成さ
れた細孔から放出される。これによりパターニング材料
が金属薄膜層を形成する面に予め薄くパターン塗布され
る。パターニング材料としては例えばフッ素系オイルが
使用される。
【0010】その後、金属薄膜形成装置914により金
属薄膜層が蒸着などによって形成される。
【0011】その後、パターニング材料除去装置917
により余剰のパターニング材料が除去される。
【0012】以上の製造装置900によれば、開口92
2を開いた状態では、周回するキャンローラ911の外
周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層と、金属
薄膜形成装置914による金属薄膜層とが交互に積層さ
れた積層体が製造され、また、開口922を遮蔽板92
3で閉じた状態では、周回するキャンローラ911の外
周面上に、樹脂層形成装置912による樹脂層が連続し
て積層された積層体が製造される。また、キャンローラ
911の回転と同期させてパターニング材料付与装置9
13をキャンローラ911の回転軸と平行方向に移動さ
せることにより、マージン部の位置が異なる金属薄膜層
を形成することができる。
【0013】このようにして、キャンローラ911の外
周面上に金属薄膜層と樹脂層とからなる円筒状の多層積
層体を形成し、その後、積層体を半径方向に切断してキ
ャンローラ911から取り外し、平板プレスすることに
より、例えば図4のような積層体母素子930を得るこ
とができる。図4において、931は金属薄膜層、93
2は樹脂層、933はマージン部(非金属帯)であり、
矢印938はキャンローラ911の外周面の走行方向と
一致する。図4の積層体母素子930は、キャンローラ
911上に、層936a、層935a、層934、層9
35b、層936bの順に積層することにより製造され
る。ここで、層936a,936bは開口922を閉じ
て樹脂層のみを連続して積層した層であり、層934及
び層935a,935bは、開口922を開いて、金属
薄膜層931と樹脂層932とを交互に積層した層であ
る。また、層934は、キャンローラ911の回転と同
期させて1回転ごとにパターニング材料の付着位置を変
更して積層してある。
【0014】この積層体母素子930を、例えば切断面
939a,939bで切断し、切断面939aに外部電
極を形成することにより、図5に示すようなチップコン
デンサ940を多数得ることができる。図5において、
941a,941bは金属薄膜層931と電気的に接続
して形成された外部電極である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】電子部品はますます小
型化・高性能化される傾向がある。上記の方法で得られ
る電子部品も例外ではなく、積層される樹脂層の厚みを
薄くして、例えばコンデンサであれば小型化と高容量化
とを両立させることが検討されている。
【0016】しかしながら、実際に樹脂層の厚みを薄く
したコンデンサを製造すると、電極間の絶縁抵抗値が低
下するという問題が生じた。この問題が生じたコンデン
サを分解してその原因を調査したところ、樹脂層に異常
突起やピンホールが散見された。そして、異常突起及び
ピンホールの原因を更に調査したところ、これらは樹脂
硬化装置918によるものであることが判明した。即
ち、異常突起は、樹脂硬化装置918のフィラメントか
ら電子ビームとともに放出されるフィラメント材料が樹
脂材料に混入して形成されたものである。また、ピンホ
ールは電子ビーム照射時にフィラメントが発熱し、それ
により硬化前の樹脂材料が加熱され、再蒸発又は劣化し
て形成されたものである。あるいは、金属薄膜層は極め
て薄いので樹脂層表面の異常突起がそのままその上の金
属薄膜層の表面に反映され、その上に樹脂層を形成する
ことで異常突起部分にピンホールが形成されることもあ
る。このような異常突起やピンホールによって上下の金
属薄膜層が短絡したり電流がリークしたりすることで絶
縁抵抗値の低下を招いていたのである。
【0017】樹脂硬化装置918は樹脂材料の硬化を促
進するものであり、これを省略すれば樹脂材料の硬化に
長時間を要し、生産効率が著しく悪化する。
【0018】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決し、電子ビームを照射する樹脂硬化装置を使用しなが
ら樹脂層に異常突起やピンホールが発生することがない
樹脂層の製造方法、及び積層体の製造方法と製造装置を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために以下の構成とする。
【0020】本発明の樹脂層の製造方法は、支持体上に
堆積させた樹脂材料に電子ビームを照射することにより
前記樹脂材料を硬化させて前記支持体上に樹脂層を製造
する方法であって、堆積された前記樹脂材料が前記電子
ビームの放出源から直接見通せないように前記放出源を
遮蔽して、前記放出源から出射された前記電子ビームを
偏向させて前記電子ビームを前記樹脂材料に照射するこ
とを特徴とする。かかる構成によれば、電子ビームの放
出源から堆積された樹脂材料が直接見通せないように放
出源を遮蔽しているので、樹脂材料中へ放出源の材料が
混入するのを防止できる。よって、樹脂層を薄くしても
に表面に異常突起が形成されにくい。また、放出源から
の放射熱で樹脂材料が加熱されるのを防止できるので、
樹脂材料が蒸発又は劣化するのを防止できる。よって、
樹脂層を薄くしてもにピンホールが形成されない。以上
により、安定した極薄の樹脂層を形成することができ
る。
【0021】次に、本発明の積層体の製造方法は、樹脂
材料を堆積する工程と、前記樹脂材料に電子ビームを照
射することにより前記樹脂材料を硬化させて樹脂層を形
成する工程と、金属材料を真空プロセスにより堆積させ
て金属薄膜層を形成する工程とを有し、これらを周回す
る支持体上で繰り返し行うことにより前記支持体上に樹
脂層と金属薄膜層とを含む積層体を製造する方法であっ
て、堆積された前記樹脂材料が前記電子ビームの放出源
から直接見通せないように前記放出源を遮蔽して、前記
放出源から出射された前記電子ビームを偏向させて前記
電子ビームを前記樹脂材料に照射することを特徴とす
る。
【0022】また、本発明の積層体の製造装置は、真空
槽と、前記真空槽内に収納された周回する支持体と、前
記支持体上に樹脂材料を堆積させる樹脂層形成装置と、
堆積された前記樹脂材料に電子ビームを照射して前記樹
脂材料を硬化させる樹脂硬化装置と、硬化された前記樹
脂材料上に金属材料を堆積させて金属薄膜層を形成する
金属薄膜層形成装置とを有し、前記樹脂硬化装置は、電
子ビームの放出源と、前記支持体上に堆積された前記樹
脂材料が前記放出源から直接見通せないように前記放出
源を遮蔽する遮蔽部材と、堆積された前記樹脂材料の表
面を前記電子ビームが照射するように前記電子ビームを
偏向させる偏向装置とを備えることを特徴とする。
【0023】かかる積層体の製造方法及び製造装置によ
れば、電子ビームの放出源から堆積された樹脂材料が直
接見通せないように放出源を遮蔽しているので、樹脂材
料中へ放出源の材料が混入するのを防止できる。よっ
て、樹脂層を薄くしてもに表面に異常突起が形成されに
くい。また、放出源からの放射熱で樹脂材料が加熱され
るのを防止できるので、樹脂材料が蒸発又は劣化するの
を防止できる。よって、樹脂層を薄くしてもにピンホー
ルが形成されない。以上により、金属薄膜層を電極とす
る電子部品を製造した場合に電極間の絶縁抵抗の低下が
少ない、安定した品質の積層体を製造することができ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の積層体の製造方法を図面
を用いて説明する。
【0025】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1にかかる積層体の製造装置の一例を示した概略断
面図である。
【0026】図1において、100は本実施の形態の積
層体の製造装置、115は真空槽、116は真空槽11
5内部を所定の真空度に維持する真空ポンプ、111は
真空槽115内に設置された、図中の矢印111aの方
向に回転する円筒形状のキャンローラ、112は樹脂層
形成装置、113はパターニング材料付与装置、114
は金属薄膜形成装置、117はパターニング材料除去装
置、119は表面処理装置、120は金属薄膜形成領域
を他の領域と区別するための隔壁、121は隔壁120
に設けられた開口、123は必要時以外に金属薄膜が形
成されるのを防止するために、移動方向123aの方向
に移動して開口121を開閉する遮蔽板、130は樹脂
硬化装置である。
【0027】真空槽115の内部は真空ポンプ116に
より所定の真空度に保たれている。真空槽115内の好
ましい真空度は0.02Pa程度である。また、隔壁1
20で仕切られた金属薄膜形成装置114を含む空間を
これ以外の空間よりわずかに低圧に維持しておくのが好
ましい。こうしておくことで、金属薄膜形成装置114
からの金属蒸気流又は金属粒子流が、金属薄膜形成装置
114を含む空間外に不用意に漏れ出すのを防止するこ
とができる。
【0028】キャンローラ111の外周面は、平滑に、
好ましくは鏡面状に仕上げられており、好ましくは−2
0〜40℃、特に好ましくは−10〜10℃に冷却され
ている。回転速度は自由に設定できるが、15〜100
rpm程度、周速度は好ましくは20〜30000m/
minである。
【0029】樹脂層形成装置112は、樹脂層を形成す
る樹脂材料を蒸発気化又は霧化させて、キャンローラ1
11表面に向けて放出する。樹脂材料は、キャンローラ
111の外周面に付着して樹脂層を形成する。このよう
な方法によれば、厚みが極めて薄く均一で、ピンホール
等の欠点のない良好な樹脂層が得られる。樹脂材料とし
ては、このように蒸発気化又は霧化した後、堆積して薄
膜を形成できるものであれば特に限定されず、得られる
積層体の用途に応じて適宜選択できるが、反応性モノマ
ー樹脂であるのが好ましい。例えば、電子部品材料用途
に使用する場合には、アクリレート樹脂またはビニル樹
脂を主成分とするものが好ましく、具体的には、多官能
(メタ)アクリレートモノマー、多官能ビニルエーテル
モノマーが好ましく、中でも、シクロペンタジエンジメ
タノールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール
ジビニルエーテルモノマー等若しくはこれらの炭化水素
基を置換したモノマーが電気特性、耐熱性、安定性等の
点で好ましい。樹脂材料を飛散させる手段としては、ヒ
ータ等の加熱手段、超音波又はスプレー等による気化又
は霧化させる方法が用いられる。特に、ヒータ等の加熱
手段により樹脂材料を蒸発気化させ、キャンローラ11
1上で液化させる方法が、形成される樹脂層の厚み及び
その均一性、欠点の発生防止、装置の簡素化の観点から
好ましい。
【0030】堆積した樹脂材料は、必要に応じて樹脂硬
化装置130により所望の硬化度に硬化処理される。図
2(A)に樹脂硬化装置130の詳細構成を示す。樹脂
硬化装置130は、略直方体形状の筐体133と、その
内部に納められたフィラメント(電子ビームの放出源)
137とを有する。筐体133の一面には開口134が
形成されており、フィラメント137は開口134に向
けて配置されている。フィラメント137に電流を流し
て加熱するとともに、フィラメント137を負電位、キ
ャンローラ111を正電位に維持することで、フィラメ
ント137より電子ビーム131が放出され、筐体13
3の開口134を通ってキャンローラ111の外周面に
到達する。このとき、開口134は図2(A)に示した
ように、キャンローラ111の外周面側ではなく、キャ
ンローラ111の回転方向111aの上流側に向かって
形成されている。また、筐体133の周囲の空間には図
示しない第1磁界発生装置により図2(A)の紙面に垂
直方向の磁界が付与されている。この結果、開口134
を出た電子ビーム131は、その進行方向を筐体133
の周りに約270°偏向された後、キャンローラ111
の外周面上に到達する。このように、フィラメント13
7からキャンローラ111の外周面を直接見通せないよ
うにフィラメント137を遮蔽して、所定の磁界を形成
することでフィラメント137から出た電子ビーム13
1の軌道を湾曲させて、電子ビーム131をキャンロー
ラ111の外周面に到達させる。これにより、フィラメ
ント137から電子ビーム131とともにフィラメント
材料が放出されたとしても、フィラメント材料は開口1
34を出た後直進するから(厳密には、重力による影響
を受ける)、キャンローラ111の外周面上に落下する
ことはない。また、フィラメント137からの放射熱も
キャンローラ111の外周面に直接到達することはな
い。この結果、樹脂材料中にフィラメント137の金属
材料が混入したり、樹脂材料が硬化する前に加熱されて
再蒸発又は劣化したりすることがない。
【0031】キャンローラ111の外周面上に形成され
た樹脂層の幅方向(キャンローラ111の回転軸方向に
平行な方向)の全幅にわたって電子ビーム131を照射
するために、電子ビーム131を該方向に走査する必要
がある。電子ビーム131の幅方向の走査は、図2
(A)の紙面に平行な方向の磁界を発生させる第2磁界
発生装置(図示せず)を設置して、電子ビーム131に
印加する磁界の向き及び強度を経時的に変化させること
で行なうことができる。
【0032】電子ビーム131の軌道を偏向させる第1
磁界発生装置及び第2磁界発生装置の構成は特に制限は
ない。例えば、第1磁界発生装置は、電子ビーム131
の軌道を挟むように設置された一対の永久磁石で構成す
ることができるが、更に一対の電磁石を併用することが
好ましい。永久磁石による磁界と電磁石による磁界とが
重畳するように永久磁石と電磁石とを配置して、電磁石
のコイルに流れる電流量を調整することで全体の磁界を
調整することができる。これにより電子ビームの偏向量
を調整でき、キャンローラ111の外周面の所望する地
点に所望する入射角度で電子ビームを射突させることが
できる。一方、電子ビームを幅方向に走査させる第2磁
界発生装置は、電子ビーム131の軌道を挟むように設
置された一対の電磁石で構成することができる。
【0033】フィラメント137は、電子ビーム131
を発生させることができる材料であれば特に制限はな
く、例えば、タングステン等の線材を使用することがで
きる。フィラメント137の径は0.3mm〜2mmが
好ましい。径がこれより太いとフィラメント電流が大き
くなり電源が大がかりとなり、これより細いとフィラメ
ント寿命が短く実用に耐えない。フィラメント137は
コイル状等に加工されていても良い。
【0034】フィラメント137は電子ビームを発生す
る際に高温となる。フィラメント137からの放射熱に
よってキャンローラ111上の樹脂材料や真空槽115
内の他の装置が加熱されるのを防止するために、筐体1
33を、例えば銅板などの熱伝導性の良好な材料で構成
し、水冷することが好ましい。水冷は、例えば筐体13
3に配管(例えば銅パイプ)を溶接し配管内に冷却水を
通したり、又は筐体133を二重構造にしてその間に冷
却水を通したりすることで行なうことができる。冷却水
の供給は、例えば真空槽115の外部に設置した給水ポ
ンプ及び熱交換器を用いて行なうことができる(図示せ
ず)。
【0035】図2(B)は樹脂硬化装置130の別の設
置方法を示す断面図である。本例は、樹脂硬化装置13
0の開口134をキャンローラ111の回転方向111
aの下流側に向けている点で図2(A)と相違し、その
他は図2(A)と同様である。本例では、第1磁界発生
装置によって筐体133の周囲の空間に形成された、図
2(B)の紙面に垂直方向の磁界により、開口134を
出た電子ビーム131は、進行方向を筐体133の周り
に約90°偏向された後、キャンローラ111の外周面
上に到達する。
【0036】開口134の向きは、フィラメント137
からキャンローラ111の外周面を直接見通すことがで
きなければ良く、図2(A),図2(B)に限定されな
い。例えば、キャンローラ111の外周面と反対側方向
に向けて設置して、電子ビームの軌道を約180°回転
させることもできる。
【0037】樹脂硬化装置130からの電子ビーム13
1が照射されて、樹脂材料は重合及び/又は架橋して硬
化する。硬化処理の程度は、製造する積層体の要求特性
により適宜変更すれば良いが、例えばコンデンサなどの
電子部品用の積層体を製造するのであれば、硬化度が5
0〜95%、更には50〜75%になるまで硬化処理す
るのが好ましい。硬化度が上記範囲より小さいと、後工
程において外力等が加わると容易に変形したり、金属薄
膜層の破断又は短絡等を生じてしまう。一方、硬化度が
上記範囲より大きいと、後工程において外力等が加わる
と割れるなどの問題が生じることがある。なお、本発明
の硬化度は、赤外分光光度計でC=O基の吸光度とC=
C基(1600cm-1)の比をとり、各々のモノマーと
硬化物の比の値をとり、減少分吸光度を1から引いたも
のと定義する。
【0038】本発明において、樹脂層の厚みは特に制限
はないが、1μm以下、更に0.7μm以下、特に0.
4μm以下であることが好ましい。本発明の方法によっ
て得られる積層体の小型化・高性能化の要求に答えるた
めには樹脂層の厚みは薄い方が好ましい。例えば、本発
明の製造方法により得られた積層体をコンデンサに使用
する場合、誘電体層となる樹脂層は薄い方が、コンデン
サの静電容量はその厚みに反比例して大きくなる。そし
て、このような極薄の樹脂層を製造した際に本発明の効
果がより顕著に発現する。
【0039】形成された樹脂層は、必要に応じて表面処
理装置119により表面処理される。例えば、酸素雰囲
気下で放電処理又は紫外線照射処理等を行って、樹脂層
表面を活性化させて金属薄膜層との接着性を向上させる
ことができる。
【0040】パターニング材料付与装置113は、オイ
ルマージンと呼ばれる手法により金属薄膜層にマージン
部を形成することにより、金属薄膜層を所定の形状にパ
ターニングするための装置である。樹脂層上に予めパタ
ーニング材料を薄く付与した後に、金属薄膜層を蒸着な
どによって形成すると、パターニング材料上には金属薄
膜層が形成されず、マージン部が形成される。パターニ
ング材料は、真空槽115外から配管(図示せず)を用
いてパターニング材料付与装置113に供給される。パ
ターニング材料はパターニング材料付与装置113内で
加熱され、気化されて、キャンローラ111の外周面に
向けて所定位置に所定個数だけ形成された微細孔から放
出される。これによりパターニング材料が樹脂層上に薄
く塗布される。微細孔のキャンローラ111の回転軸方
向の配置(間隔、数)は形成しようとするマージン部の
配置に応じて決定する。また、マージン部の幅は、微細
孔の大きさやパターニング材料の吐出量を変化させるこ
とで調整できる。このとき、キャンローラ111の回転
と同期させてパターニング材料付与装置113をキャン
ローラ111の回転軸と平行方向に移動させることによ
り、マージン部の位置が異なる金属薄膜層を形成するこ
とができる。
【0041】使用するパターニング材料としては、エス
テル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイル及
び炭化水素系オイルよりなる群から選ばれた少なくとも
一種のオイルであることが好ましい。更に好ましくは、
エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイ
ルであり、特に、フッ素系オイルが好ましい。上記以外
のパターニング材料を使用すると、積層表面の荒れ、樹
脂層や金属薄膜層のピンホール、金属薄膜層の形成境界
部分の不安定化等の問題を生じることがある。
【0042】パターニング材料を付与した後、金属薄膜
層形成装置114を用いて金属薄膜層を形成する。金属
薄膜層の形成方法としては、蒸着、スパッタリング、イ
オンプレーティング等周知の真空プロセス手段が適用で
きるが、本発明では蒸着、特に電子ビーム蒸着が耐湿性
の優れた膜が生産性良く得られる点で好ましい。金属薄
膜層の材料としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケ
ル、鉄、コバルト、シリコン、ゲルマニウム若しくはそ
の化合物、若しくはこれらの酸化物、若しくはこれらの
化合物の酸化物などが使用できる。中でも、アルミニウ
ムが接着性と経済性の点で好ましい。なお、金属薄膜層
には、上記以外の他成分を含むものであっても構わな
い。また、金属薄膜層を一種とせず、例えばAl層とC
u層の混入とすることによって特性の補完がなされ、使
用条件によっては高性能化が図れる場合もありうる。
【0043】金属薄膜層の厚みは、得られる積層体の用
途により適宜決定すればよいが、電子部品用途に使用す
る場合は、100nm以下、更に10〜50nm、特に
20〜40nmであるのが好ましい。また、膜抵抗は、
上限は20Ω/□以下、さらに15Ω/□以下、特に1
0Ω/□以下であるのが好ましく、また下限は1Ω/□
以上、さらに2Ω/□以上、特に3Ω/□以上であるの
が好ましい。
【0044】その後、パターニング材料除去装置117
により余剰のパターニング材料が除去される。残存した
パターニング材料は、積層表面の荒れ、樹脂層や金属薄
膜層のピンホール(積層抜け)、金属薄膜層の形成境界
部分の不安定化等の問題を発生させる。パターニング材
料の除去手段は特に制限はなく、パターニング材料の種
類に応じて適宜選択すればよいが、例えば加熱及び/又
は分解により除去することができる。加熱して除去する
方法としては、例えば、光照射や電熱ヒータによる方法
が例示できるが、光照射による方法が装置が簡単であ
り、かつ除去性能も高い。なお、ここで光とは、遠赤外
線及び赤外線を含む。一方、分解して除去する方法とし
ては、プラズマ照射、イオン照射、電子照射などが使用
できる。このとき、プラズマ照射は、酸素プラズマ、ア
ルゴンプラズマ、窒素プラズマ等が使用できるが、この
中でも特に酸素プラズマが好ましい。
【0045】以上の製造装置100によれば、キャンロ
ーラ111を必要回数周回させることにより、開口12
1を開いた状態では、キャンローラ111の外周面上
に、樹脂層形成装置112による樹脂層と、金属薄膜形
成装置114による金属薄膜層とが交互に積層された積
層体が製造される。このとき、キャンローラ111の回
転と同期させてパターニング材料付与装置113をキャ
ンローラ111の回転軸と平行方向に移動させることに
より、マージン部の位置が異なる金属薄膜層を形成する
ことができる。また、開口121を閉じた状態では、キ
ャンローラ111の外周面上に、樹脂層形成装置112
による樹脂層が連続して積層された積層体を製造するこ
ともできる。
【0046】その後、従来と同様にキャンローラ111
上に形成された積層体を切断し、電極形成等を行なうこ
とにより、チップコンデンサ等の電子部品を得ることが
できる。
【0047】上記の実施の形態では、フィラメント13
7を遮蔽する遮蔽部材として略直方体形状の筐体133
を例示したが、遮蔽部材はこれに限定されるものではな
い。電子ビーム放出源(フィラメント137)から支持
体上の樹脂材料が直接見通せないように放出源を遮蔽で
き、かつ、電子ビーム放出源から樹脂材料へ至る電子ビ
ームの軌道が確保できれば、他の構成をとることも可能
である。例えば、電子ビーム放出源の周りを全て覆う必
要はなく、少なくともキャンローラ111側のみを覆う
ことができる、平板状、断面が略L字状、断面が略U字
状等の遮蔽部材であっても良い。但し、放出源を包囲す
る割合が多いとフィラメント材料が真空槽中に飛散した
り、真空槽内部の温度が上昇したりするのを防止できる
ので好ましい。
【0048】また、上記の実施の形態では、積層体をコ
ンデンサに利用する例を説明したが、本発明によって得
られる積層体の用途はこれに限定されない。例えばマー
ジン部の形状を変えることにより、コイル、抵抗、容量
性電池、電気回路基板、またはこれらの複合品などに広
く応用することができる。
【0049】また、マージン部の形成方法としてオイル
マージン法を用いたが本発明はこれに限定されない。例
えば、金属薄膜層を形成した後、所定箇所にレーザ光を
照射して金属薄膜材料を除去することでマージン部を形
成することもできる。
【0050】また、支持体として円筒形状のキャンロー
ラを例示したが、本発明はこれに限定されない。例え
ば、2本又はそれ以上のロールの間を周回するベルト状
の支持体、あるいは回転する円盤状支持体等であっても
よい。
【0051】また、積層の開始に先立って、キャンロー
ラ111の外周面上に離型剤を付与しておくと、積層終
了後に積層体を取り外す作業が容易になるので好まし
い。離型剤としては、例えばフッ素系離型剤(例えば、
商品名:“ダイフリー”、ダイキン工業(株)製)等を
使用できる。離型剤の付与方法は、スプレー噴霧法の
他、スパッタ法や蒸着法など、離型剤材料とプロセスの
条件等に適合するものを適宜選択すると良い。
【0052】更に、上記の実施の形態では、樹脂層と金
属薄膜層とが積層された積層体を製造する場合における
樹脂材料の硬化処理を例に説明したが、上記の樹脂材料
の硬化方法は上記以外にも使用可能である。即ち、支持
体上に付与された未硬化の樹脂材料を電子ビームを照射
して硬化させる場合に上記の硬化方法を適用することが
でき、それにより樹脂材料中へフィラメント材料が混入
するのを防止でき、フィラメントからの熱で樹脂材料が
蒸発又は劣化するのを防止できる。
【0053】
【実施例】(実施例1)図1に示した製造装置を用い
て、図5に示す構成のチップコンデンサを製造した。
【0054】真空ポンプ116により真空槽115内を
0.02Paとし、また、キャンローラ111の外周面
を10℃にまで冷却した。キャンローラ111の直径は
500mm、外表面の移動速度は100m/分とした。
【0055】積層に先立ち、キャンローラ111の外周
面にフッ素系離型剤(ダイキン工業(株)製“ダイフリ
ー”)をスプレー塗布し、その後不織布で薄く延ばし
た。
【0056】まず最初に、樹脂層のみが連続積層された
層(保護層)936aを積層した。樹脂材料として、ジ
シクロペンタジエンジメタノールジアクリレートを用
い、これを気化して樹脂層形成装置112よりキャンロ
ーラ111の外周面に堆積させた。1層当たりの積層厚
さは0.2μmである。積層幅(キャンローラ111の
回転軸方向の幅)は約100mmである。次いで樹脂硬
化装置130を用いて電子ビームを照射して堆積させた
樹脂材料を重合し硬化させた。
【0057】樹脂硬化装置130は図2(A)に示す構
成のものを用いた。フィラメント137として、直径
0.8mmのタングステン線材をコイル状に巻いたもの
を用い、これを銅板を略直方体形状に接合した筐体13
3内に設置した。筐体133の外面には銅管が溶接さ
れ、配管中に冷却水を通すことで筐体133の冷却を行
なった。筐体133の一面に形成した開口134がキャ
ンローラ111の回転方向111aの上流側を向くよう
に樹脂硬化装置130を設置した。フィラメント137
とキャンローラ111の外周面との最短距離は150m
mとした。フィラメント137に通電するとともに、フ
ィラメント137を−5kV、キャンローラ111を0
Vに維持することで(即ち加速電圧:5kV)電子ビー
ム131を放射させた。電子ビーム131によるフィラ
メント137とキャンローラ111間の電流値(エミッ
ション電流)は50mAであった。開口134を出た電
子ビームの進行方向を筐体133の周りに約270°偏
向させるための第1磁界発生装置として電子ビーム軌道
を挟む一対の永久磁石と一対の電磁石を用いた。電磁石
に付与する電流量を調整することで永久磁石が発生する
磁界を調整して、電子ビーム131をキャンローラ11
1の外周面にほぼ直角に入射させた。また、電子ビーム
131をキャンローラ111の幅方向に走査させるため
の第2磁界発生装置として電子ビーム軌道を挟む一対の
電磁石を用いた。電磁石による磁界の向き及び強度を周
期的に変化させることで、電子ビーム131をキャンロ
ーラ111の幅方向に約100mm走査させた。
【0058】以上の操作を、キャンローラ111を回転
させることにより繰返し、キャンローラ111の外周面
に厚さ15μmの保護層936aを形成した。この間、
開口121は遮蔽板123で遮蔽しておいた。
【0059】次いで、樹脂層と金属薄膜層とが交互に積
層された層(補強層)935aを積層した。樹脂材料
は、上記と同じものを用いた。樹脂層1層当たりの積層
厚さは0.2μmである。次いで樹脂硬化装置130に
より上記と同様の処理をして樹脂材料を硬化させた。そ
の後、表面処理装置119により、表面を酸素プラズマ
処理した。次に、パターニング材料付与装置113によ
り、気化させたパターニング材料を微細孔から噴出させ
て、樹脂層表面上に帯状に付着させた。パターニング材
料として、フッ素系オイルを使用した。このパターニン
グ材料の蒸気圧が13Paとなる温度は100℃であ
る。オイルの平均分子量は1500である。帯状のパタ
ーニング材料の付着幅は200μmとした。次に、遮蔽
板123を移動して開口121を開いた。そして、金属
薄膜形成装置114からアルミニウムを金属蒸着させ
た。積層厚みは30nmとした。その後、パターニング
材料除去装置117により、遠赤外線ヒータによる加熱
及びプラズマ放電処理を行ない、残存したパターニング
材料を除去した。以上の操作を、キャンローラ111を
回転させることにより430回繰り返し、総厚さ100
μmの層935aを形成した。
【0060】次に、コンデンサとしての容量発生部分と
なる層(素子層)934を積層した。樹脂材料は上記と
同じものを用い、1層当たりの積層厚さは0.2μmと
した。次いで樹脂硬化装置130により、上記と同様の
処理をして樹脂材料を硬化させた。その後、表面処理装
置119により、表面を酸素プラズマ処理した。次に、
パターニング材料付与装置113により、気化させたパ
ターニング材料を微細孔から噴出させて、樹脂層表面上
に帯状に付着させた。パターニング材料は上記と同じも
のを用いた。また、付着幅も上記と同様である。次に、
金属薄膜形成装置114からアルミニウムを金属蒸着さ
せた。積層厚みは30nmとした。その後、パターニン
グ材料除去装置117により、遠赤外線ヒータによる加
熱及びプラズマ放電処理を行ない、残存したパターニン
グ材料を除去した。以上の操作を、キャンローラ111
を回転させることにより3000回繰り返した。なお、
この間、キャンローラ111の回転に同期させて、キャ
ンローラ111が1回転するごとにパターニング材料付
与装置113を回転軸方向に1000μm往復移動させ
た。以上により総厚さ690μmの層934を形成し
た。
【0061】次に、厚さ100μmの層(補強層)93
5bを形成した。形成方法は上記の層935aと全く同
一とした。
【0062】最後に、厚さ15μmの層(保護層)93
6bを形成した。このとき、遮蔽板123を移動して開
口121を遮蔽した。層936bの形成方法は上記の層
936aと全く同一とした。
【0063】次いで、キャンローラ111の外周面上に
形成された円筒状積層体を、周方向に8分割して取り外
し、加熱下でプレスして図4に示すような平板状の積層
体母素子930を得た。これを、切断面939aで切断
し、切断面に黄銅を金属溶射して外部電極を形成した。
更に、金属溶射表面に熱硬化性フェノール樹脂中に銅、
Ni、銀の合金等を分散させた導電性ペーストを塗布
し、加熱硬化させ、更にその樹脂表面に溶融ハンダメッ
キを施した。その後、切断面939bに相当する箇所で
切断した。その後、シランカップリング剤溶液に浸漬し
て外表面をコーティングし、図5に示すようなチップコ
ンデンサを得た。得られたチップコンデンサは、積層方
向厚み約0.69mm、奥行約3.2mm、幅(両外部
電極間方向)約1.6mmである。
【0064】(実施例2)実施例1において、図2
(B)に示すように開口134をキャンローラ111の
回転方向111aの下流側に向けて樹脂硬化装置130
を設置し、第1磁界発生装置による磁界の強度を調整し
て、開口134を出た電子ビーム131を約90°偏向
させて、キャンローラ111の外周面にほぼ直角に入射
させた。これ以外は実施例1と同様にしてチップコンデ
ンサを得た。
【0065】(比較例1)実施例1において、開口13
4をキャンローラ111の回転中心軸方向に向けて樹脂
硬化装置130を設置し、第1磁界発生装置による電子
ビーム131の偏向を行なわず、電子ビーム131をキ
ャンローラ111の外周面にほぼ直角に入射させた。こ
れ以外は実施例1と同様にしてチップコンデンサを得
た。
【0066】[評価]上記の実施例1,2及び比較例1
を以下の項目について評価した。
【0067】(1)硬化度 図4の積層体母素子を分解して、層934を構成する樹
脂層の硬化度を測定した。硬化度は以下のようにして測
定した。樹脂材料であるモノマー及び被検サンプルであ
る層934の樹脂について、それぞれ赤外分光光度計で
C=O基とC=C基(1600cm-1)の吸光度を測定
し両者の比を求める。得られた比の差(減少分吸光度)
を1から引いたものを百分率で表示し、これを硬化度と
する。
【0068】(2)欠陥数 キャンローラ111上での積層を終了後、層936bの
表面に観察される直径0.1mm以上の異常突起の個数
を、10cm四方の領域内でカウントした。
【0069】(3)IR歩留まり 得られたチップコンデンサの絶縁抵抗を計測し、それが
1.0×1011Ω以上である個数割合を求めた。
【0070】評価結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1から分かるように、実施例1,2及び
比較例1の樹脂層はいずれも同程度に硬化されている。
即ち、電子ビーム131の加速電圧、エミッション電
流、及び樹脂材料表面への入射角度などの条件が同様で
あれば、樹脂硬化装置130の開口134の向きや電子
ビーム131の偏向量にかかわらず、樹脂材料を同様に
硬化させることができる。
【0073】欠陥数とIR歩留まりとの間には相関関係
が認められ、実施例1,2に比べて比較例1の欠陥数及
びIR歩留まりは劣っている。比較例1の欠陥数が多い
のは、樹脂硬化装置130のフィラメント137の材料
が電子ビーム131とともに飛散して樹脂層中に混入し
たためであると考えられる。また、比較例1のIR歩留
まりが低いのは、樹脂層中に混入したフィラメント材
料、該フィラメント材料によって形成された突起に起因
する樹脂層のピンホール、更に開口134より放射され
たフィラメント137の放射熱による樹脂材料の蒸発及
び劣化に起因する樹脂層のピンホールにより、樹脂層の
上下に積層された金属薄膜層が短絡したためであると考
えられる。
【0074】実施例1は、実施例2に比べて欠陥数及び
IR歩留まりにおいてわずかに良好な結果が得られてい
る。これは電子ビーム131の偏向量の違いによるもの
と思われる。樹脂材料がフィラメント材料の飛散やフィ
ラメント137からの放熱の影響を受けないように電子
ビーム131の偏向量を大きくすると、高品質の樹脂層
及びこれを含む積層体が得られる可能性がある。
【0075】
【発明の効果】本発明の樹脂層の製造方法によれば、電
子ビームの放出源から堆積された樹脂材料が直接見通せ
ないように放出源を遮蔽しているので、樹脂材料中へ放
出源の材料が混入するのを防止できる。よって、樹脂層
を薄くしてもに表面に異常突起が形成されにくい。ま
た、放出源からの放射熱で樹脂材料が加熱されるのを防
止できるので、樹脂材料が蒸発又は劣化するのを防止で
きる。よって、樹脂層を薄くしてもにピンホールが形成
されない。以上により、安定した極薄の樹脂層を形成す
ることができる。
【0076】また、本発明の積層体の製造方法及び製造
装置によれば、電子ビームの放出源から堆積された樹脂
材料が直接見通せないように放出源を遮蔽しているの
で、樹脂材料中へ放出源の材料が混入するのを防止でき
る。よって、樹脂層を薄くしてもに表面に異常突起が形
成されにくい。また、放出源からの放射熱で樹脂材料が
加熱されるのを防止できるので、樹脂材料が蒸発又は劣
化するのを防止できる。よって、樹脂層を薄くしてもに
ピンホールが形成されない。以上により、金属薄膜層を
電極とする電子部品を製造した場合に電極間の絶縁抵抗
の低下が少ない、安定した品質の積層体を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる積層体の製造
装置の一例を示した概略断面図である。
【図2】 図2(A)は図1の製造装置に使用される樹
脂硬化装置の構成を示した断面図、図2(B)は樹脂硬
化装置の別の構成を示した断面図である。
【図3】 従来の積層体の製造装置の一例を示した概略
断面図である。
【図4】 積層体母素子の一例を示した斜視図である。
【図5】 チップコンデンサの一般的な構成の一例を示
した概略斜視図である。
【符号の説明】
100 積層体の製造装置 111 キャンローラ 111a キャンローラの回転方向 112 樹脂層形成装置 113 パターニング材料付与装置 114 金属薄膜形成装置 115 真空槽 116 真空ポンプ 117 パターニング材料除去装置 119 表面処理装置 120 隔壁 121 開口 123 遮蔽板 123a 遮蔽板の移動方向 130 樹脂硬化装置 131 電子ビーム 133 筐体 134 開口 137 フィラメント(電子ビーム放出源) 900 積層体の製造装置 911 キャンローラ 912 樹脂層形成装置 913 パターニング材料付与装置 914 金属薄膜形成装置 915 真空槽 916 真空ポンプ 917 パターニング材料除去装置 918 樹脂硬化装置 918a 電子ビーム 919 表面処理装置 920a,920b 隔壁 922 開口 923 遮蔽板 930 積層体母素子 931 金属薄膜層 932 樹脂層 933 マージン部(非金属帯) 938 キャンローラの外周面の走行方向 939a,939b 切断面 940 チップコンデンサ 941a,941b 外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/30 311 H01G 4/30 311Z 13/00 391C 13/00 391 4/06 102 (72)発明者 小田桐 優 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 砂流 伸樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E082 AA01 AB03 BC39 EE05 EE11 EE23 EE37 FF05 FG03 FG34 FG42 FG51 JJ02 JJ22 JJ23 JJ26 KK01 LL02 LL03 MM01 MM23 PP09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に堆積させた樹脂材料に電子ビ
    ームを照射することにより前記樹脂材料を硬化させて前
    記支持体上に樹脂層を製造する方法であって、 堆積された前記樹脂材料が前記電子ビームの放出源から
    直接見通せないように前記放出源を遮蔽して、前記放出
    源から出射された前記電子ビームを偏向させて前記電子
    ビームを前記樹脂材料に照射することを特徴とする樹脂
    層の製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂材料を加熱し蒸発させて得た樹脂材
    料蒸気を前記支持体上で液化させることにより、前記支
    持体上に樹脂材料を堆積させる請求項1に記載の樹脂層
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電子ビームの放出源が加熱されたフ
    ィラメントである請求項1に記載の樹脂層の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂層の厚さが1μm以下である請
    求項1に記載の樹脂層の製造方法。
  5. 【請求項5】 樹脂材料を堆積する工程と、前記樹脂材
    料に電子ビームを照射することにより前記樹脂材料を硬
    化させて樹脂層を形成する工程と、金属材料を真空プロ
    セスにより堆積させて金属薄膜層を形成する工程とを有
    し、これらを周回する支持体上で繰り返し行うことによ
    り前記支持体上に樹脂層と金属薄膜層とを含む積層体を
    製造する方法であって、 堆積された前記樹脂材料が前記電子ビームの放出源から
    直接見通せないように前記放出源を遮蔽して、前記放出
    源から出射された前記電子ビームを偏向させて前記電子
    ビームを前記樹脂材料に照射することを特徴とする積層
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 樹脂材料を加熱し蒸発させて得た樹脂材
    料蒸気を前記支持体上で液化させることにより、前記支
    持体上に樹脂材料を堆積させる請求項5に記載の積層体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電子ビームの放出源が加熱されたフ
    ィラメントである請求項5に記載の積層体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記樹脂層の厚さが1μm以下である請
    求項5に記載の積層体の製造方法。
  9. 【請求項9】 真空槽と、前記真空槽内に収納された周
    回する支持体と、前記支持体上に樹脂材料を堆積させる
    樹脂層形成装置と、堆積された前記樹脂材料に電子ビー
    ムを照射して前記樹脂材料を硬化させる樹脂硬化装置
    と、硬化された前記樹脂材料上に金属材料を堆積させて
    金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成装置とを有し、 前記樹脂硬化装置は、 電子ビームの放出源と、 前記支持体上に堆積された前記樹脂材料が前記放出源か
    ら直接見通せないように前記放出源を遮蔽する遮蔽部材
    と、 堆積された前記樹脂材料の表面を前記電子ビームが照射
    するように前記電子ビームを偏向させる偏向装置とを備
    えることを特徴とする積層体の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記放出源が加熱されたフィラメント
    である請求項9に記載の積層体の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記遮蔽部材が、前記電子ビームが通
    過する開口を備える請求項9に記載の積層体の製造装
    置。
  12. 【請求項12】 更に、前記遮蔽部材を冷却するための
    冷却装置を備える請求項9に記載の積層体の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記偏向装置が、前記電子ビームを挟
    むように配置された一対の永久磁石と一対の電磁石とか
    らなる請求項9に記載の積層体の製造装置。
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