JP2002091343A - 表示装置 - Google Patents

表示装置

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JP2002091343A
JP2002091343A JP2001189396A JP2001189396A JP2002091343A JP 2002091343 A JP2002091343 A JP 2002091343A JP 2001189396 A JP2001189396 A JP 2001189396A JP 2001189396 A JP2001189396 A JP 2001189396A JP 2002091343 A JP2002091343 A JP 2002091343A
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良治 奥田
Shigeo Fujimori
茂雄 藤森
Tetsuo Oka
哲雄 岡
Masao Tomikawa
真佐夫 富川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリイミドからなる絶縁層を簡単な工程でパタ
ーニングする。さらに、絶縁層の望ましい断面である順
テーパー形状を容易に得る。 【解決手段】本発明の表示装置は、基板上に形成された
第一電極と、第一電極を部分的に露出せしめるように第
一電極上に形成された絶縁層と、第一電極に対向して設
けられた第二電極とを含む表示装置であって、前記絶縁
層がポジ型感光性ポリイミドからなることを特徴とする
表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】基板上に形成された第一電極
とそれに対向して設けられた第二電極とを有する表示装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】大きく重いブラウン管に代わる画像表示
装置(ディスプレイ)として、軽い薄型のいわゆるフラ
ットパネルディスプレイが注目されている。
【0003】フラットパネルディスプレイとして液晶デ
ィスプレイ(LCD)が普及しているが、同様の非発光
型ディスプレイとしてエレクトロクロミックディスプレ
イ(ECD)があり、最近注目されている発光型ディス
プレイとしてはプラズマディスプレイパネル(PDP)
や電界発光ディスプレイ(ELD)などがある。電界発
光ディスプレイの中でも特に有機電界発光装置は高輝度
が得られ、フルカラーディスプレイが可能なことで研究
開発が盛んである。
【0004】これらのフラットパネルディスプレイは、
対向する第一電極と第二電極との間に電圧を印加するこ
とで、あるいは、電流を流すことで動作するものであ
る。この際、曲率半径の小さい電極のエッジ部分には電
界が集中しやすいため、エッジ部分では絶縁破壊やリー
ク電流の発生など、望ましくない現象が起きやすい。
【0005】これら現像を抑制するために、第一電極の
エッジ部分を絶縁層で覆うことが知られている。これに
より、電極のエッジ部分における電界集中を緩和するこ
とが可能となる。また、特開平11−97182号公報
では、絶縁層の形成後に成膜される有機絶縁層や第二電
極がスムーズに堆積されるように、絶縁層が第一電極を
露出せしめる境界部分における絶縁層の厚さを、境界か
ら離れるに従って徐々に厚くする、すなわち断面を順テ
ーパー形状にすることにより、上記問題をさらに抑制す
る技術が開示されている。
【0006】一般に、絶縁層としてはポリイミド、ノボ
ラック樹脂等が用いられる。該樹脂には非感光性、ネガ
型感光性、ポジ型感光性が知られている。
【0007】非感光性ポリイミドを使用する場合、絶縁
層のパターニングには、基板上へのポリイミド前駆体の
塗布、ポリイミド前駆体のプリベーク(乾燥もしくはセ
ミキュアとも言う)、ポリイミド前駆体上へのフォトレ
ジストの塗布、フォトレジストのベーク(乾燥もしくは
プリベークとも言う)、フォトレジストの露光、フォト
レジストの現像、ポリイミド前駆体のエッチング、フォ
トレジストの除去、ポリイミド前駆体のキュア(ポスト
ベークとも言う)という、多くのフォトリソ工程を必要
とした。従って、工程が煩雑になり、歩留まりも悪いと
いう問題があった。さらに、絶縁層の断面を順テーパー
形状にするためには、フォトレジストの現像条件やポリ
イミド前駆体のエッチング条件など多くのパラメーター
を最適化する必要があり、条件設定も煩雑であるという
問題があった。
【0008】ネガ型感光性ポリイミドやポジ型感光性ポ
リイミドなどの感光性ポリイミドを使用すると、フォト
レジストを使用することなく絶縁層のパターニングがで
きるため、工程の煩雑さ、歩留まりの悪さも解消するこ
とができる。しかし、ネガ型感光性ポリイミドでは、順
テーパー形状よりも逆テーパー形状もしくは矩形になり
やすく、エッジ部分の電界集中を緩和する効果が得られ
ない。
【0009】ポジ型感光性については、カルボキシル基
にo−ニトロベンジルエステル基を導入したフォトレジ
スト等が知られている(特開平8−171989号公
報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリイミド
からなる絶縁層を簡単な工程でパターニングすることを
目的とする。さらに、絶縁層の望ましい断面である順テ
ーパー形状を容易に得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の表示装置は、基
板上に形成された第一電極と、第一電極を部分的に露出
せしめるように第一電極上に形成された絶縁層と、第一
電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置で
あって、前記絶縁層がポジ型感光性ポリイミドからなる
ことを特徴とする表示装置。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、基板上に形成された第
一電極と、前記第一電極に対向して設けられた第二電極
とを含む表示装置に関するものであり、具体的には例え
ば、LCD、ECD、ELD、有機電界発光素子を用い
た表示装置(有機電界発光装置)などが該当する。有機
電界発光装置とは、基板上に形成された第一電極と、第
一電極上に形成された少なくとも有機化合物からなる発
光層を含む薄膜層と、薄膜層上に形成された第二電極と
を含む有機電界発光素子からなる表示装置である。LC
DやELDでは第一電極と第二電極との間隔は数μm程
度あるが、有機電界発光装置では薄膜層の厚さが0.1
〜0.5μm程度であり、第一電極と第二電極との間隔
はサブμm程度しかない。したがって、電極エッジ部分
での電界集中による絶縁破壊やリーク電流の発生などの
望ましくない現象がLCDやELDに比べてより起こり
やすく、また、絶縁層の断面形状が表示装置の特性によ
り影響を与えやすいので、絶縁層の存在がますます重要
となる。本発明のポジ型感光性ポリイミドからなる絶縁
層は、有機電界発光装置のように第一電極と第二電極と
の間隔が比較的狭い表示装置において、より効果的に機
能する。
【0013】本発明の絶縁層とは、少なくとも第一電極
の一部を覆い、第一電極を部分的に露出せしめるように
形成されるものであり、絶縁層が第一電極のエッジ部分
を覆うように形成されることが好ましい。絶縁層の特に
好適な形状の例を図1および図2に示す。基板10上に
ストライプ状に形成された第一電極11が露出した開口
部15があり、この露出部以外は絶縁層14によって覆
われている。すなわち、絶縁層14が第一電極11のエ
ッジ部分を覆うように形成されている。さらに、絶縁層
は必要に応じて第一電極と対向する第二電極のエッジ部
分をも遮るように形成されることが好ましい。開口部1
5は、例えば有機電界発光装置では、1つの発光領域、
すなわち画素に対応させることができる。
【0014】本発明では、図3に示すように、絶縁層1
4が第一電極11を露出せしめる境界部分16における
絶縁層の断面が順テーパー形状であることが好ましい。
ここで、順テーパー形状とは図中の角度θが90°未満
であることに対応する。有機電界発光装置を例に説明す
ると、絶縁層の断面が順テーパー形状の場合には、絶縁
層形成後に有機薄膜層および第二電極を成膜する場合で
も、境界部分においてこれらの膜が滑らかに形成され、
段差に起因する膜厚ムラなどを低減させることができ、
安定な特性を有する発光装置を得ることができる。テー
パー角度θは80°以下、さらに60°以下、さらに4
5°以下であることが好ましい。
【0015】絶縁層は第一電極に接して、その直上に形
成されることが多い。しかしながら、第一電極の低抵抗
化のために第一電極にガイド電極を付設するような場合
には、ガイド電極に接するようにして形成することもで
きる。この場合は、第一電極だけでなくガイド電極のエ
ッジ部分を覆うように絶縁層を形成することで、電界集
中を効果的に抑制することができる。
【0016】絶縁層の厚さは特に限定されるものではな
いが、成膜やパターニングの容易性を考えると、0.1
〜50μm、また0.2〜50μmの範囲であることが
好ましく、さらに、0.5〜10μmの範囲であること
が好ましい。絶縁層を比較的薄くすると、高精度のパタ
ーニングが可能となる。また、絶縁層を比較的厚くする
と、例えば有機電界発光装置の製造時にマスク蒸着法に
より発光層や第二電極をパターニングする際に、シャド
ーマスクが基板上へ既に成膜した層を傷つけること(マ
スク傷)を防止するスペーサーとしての役割を付加させ
ることができる。
【0017】絶縁層は隣り合う第一電極をまたがるよう
形成されるので、良好な電気絶縁性が要求される。絶縁
層の体積抵抗率は5×106Ωcm以上、さらには、5
×107Ωcm以上であることが好ましい。なお、表示
装置のコントラスト向上のために、絶縁層を黒色化する
こともできるが、その際には、電気絶縁性を損なわない
ように注意すべきである。
【0018】本発明において、第一電極材料としては透
明な導電性材料が好ましく、酸化錫、酸化亜鉛、酸化バ
ナジウム、酸化インジウム、酸化錫インジウム(IT
O)などを用いることができる。パターニングを行うデ
ィスプレイ用途においては、加工性に優れたITOをベ
ース電極に用いることが好ましい。導電性向上のために
ITOには少量の銀や金などの金属が含有されていても
よい。
【0019】本発明では絶縁層がポジ型感光性ポリイミ
ドからなることを特徴とする。感光性ポリイミドとは、
ポリイミド前駆体のエネルギー照射部分の現像液に対す
る溶解度が、非照射部分のそれと異なることを利用して
直接的にパターニングを行い、その後キュアすることで
ポリイミドを得ることが可能なものの総称である。照射
するエネルギーとしては電子線なども利用できるが、多
くの場合には電磁波、特に青色から紫外(UV)領域の
光が利用されるので、エネルギー照射のことを露光と呼
ぶ。また、溶解度の差を利用して、感光性ポリイミド前
駆体膜の所望の部分を除去することを現像と呼ぶ。絶縁
層を感光性ポリイミドとすることで、従来必要であっ
た、非感光性ポリイミド前駆体上へのレジストの塗布・
露光・現像や、非感光性ポリイミド前駆体をエッチング
した後のレジスト除去の工程などが不要となり、絶縁層
のパターニングに必要な工程を大幅に減らすことができ
る。
【0020】感光性ポリイミドには、露光することで溶
解性が増大し、露光部分を除去するタイプのポジ型と、
露光することで硬化し、非露光部分を除去するタイプの
ネガ型の2種類がある。感光性ポリイミド前駆体を露光
した場合には、膜の表面部分で光が強く吸収され、内部
になるに従って吸光量は少なくなる傾向にある。つま
り、ポジ型では膜の表面部分の溶解性の方が内部のそれ
よりも大きくなり、ネガ型ではその逆になる傾向にあ
る。本発明では絶縁層が原理的に順テーパー形状が得ら
れやすいポジ型感光性ポリイミドからなることが好まし
い。
【0021】本発明のポリイミドとしては、ポリイミド
およびその前駆体であるポリアミド酸、ポリベンゾオキ
サゾールおよびその前駆体であるポリヒドロキシアミ
ド、ポリベンゾチアゾールおよびその前駆体であるポリ
チオヒドロキシアミド、ポリベンゾイミダゾールおよび
その前駆体であるポリアミノアミドイミド、オキサゾー
ル環、その他の環状構造を有するポリマーとなり得るも
のが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは
上記に挙げた一般式(1)で表されるポリマーが用いら
れる。
【0022】本発明に用いられる溶媒とは、N−メチル
−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメ
チルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン
類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などの溶剤を単
独、または混合して使用することができる。
【0023】基板との接着性を高めるために、シランカ
ップリング剤、チタンキレート剤などを併用することも
できる。メチルメタクリロキシジメトキシシラン、3−
アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップ
リング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をポリ
マーに対して0.5から10重量部添加することが好ま
しい。
【0024】基板を処理することによって、さらに接着
性を向上させることも可能である。上記で述べたカップ
リング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノー
ル、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルな
どの溶媒に0.5から20重量部溶解させた溶液をスピ
ンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処
理をする。場合によっては、その後50℃から300℃
までの温度をかけることで、基板と上記カップリング剤
との反応を進行させる。
【0025】本発明における基板の材質は、例えば、金
属、ガラス、半導体、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素、ポ
リマーフィルムなど、表面に電極用金属を設けることが
できるあらゆる材質が挙げられる。好ましくはガラスが
用いられる。ガラスの材質については、特に限定される
ものではないが、アルカリ亜鉛ホウケイ酸ガラス、ナト
リウムホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、低アル
カリホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、ホ
ウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、溶融石英ガラ
ス、合成石英ガラスなどが用いられ、通常ガラスからの
溶出イオンが少ない、無アルカリガラスやSiO2など
のバリアコートを施したソーダライムガラスが使用され
る。また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあ
ればよいので、0.1mm以上、好ましくは0.5mm
以上である。
【0026】また、必要に応じて本発明組成物と基板と
の塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルや
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートな
どのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シク
ロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類
を混合してもよい。また、二酸化ケイ素、二酸化チタン
などの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを添加
することもできる。
【0027】一般式(1)で表される構造単位を主成分
とするポリマーは、水酸基を有することができ、アルカ
リ水溶液に対する溶解性が水酸基を有さないポリアミド
酸よりも良好となる。特に、水酸基の中でもフェノール
性の水酸基がアルカリ水溶液に対する溶解性の観点より
好ましい。
【0028】本発明において、一般式(1)で表される
ポリマーは、加熱あるいは適当な触媒により、イミド
環、オキサゾール環、その他の環状構造を有するポリマ
ーとなり得るものである。環構造となることで、耐熱
性、耐溶剤性が飛躍的に向上する。
【0029】
【化2】
【0030】一般式(1)中、R1を構成する残基は酸
の構造成分を表しており、少なくとも2個以上の炭素原
子を有する2価から8価の有機基である。本発明におけ
るポリマーの耐熱性の点から、R1は芳香環または芳香
族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価から8価
の有機基が好ましい。
【0031】一般式(1)中、R2を構成する残基はジ
アミンの構造成分を表しており、少なくとも2個以上の
炭素原子を有する2価から8価の有機基である。本発明
におけるポリマーの耐熱性の点から、R2は芳香環また
は芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価か
ら6価の有機基が好ましい。
【0032】一般式(1)中、R3、R4は水素、アルカ
リ金属イオン、アンモニウムイオンまたは炭素数1から
20までの有機基を示す。このときnやoが2の場合、
3は各々同じでも異なっていてもよく、R4も各々同じ
でも異なっていてもよい。
【0033】本発明の感光性樹脂組成物は、一般式
(1)で表される構造単位のみからなるものであっても
良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体
であってもよい。その際、一般式(1)で表される構造
単位を90モル%以上含有していることが好ましい。共
重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類およ
び量は。最終加熱処理温度によって得られるポリマーの
耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0034】一般式(1)で表される構造単位を主成分
とするポリマーは、R3、R4が水素である場合は、テト
ラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わ
せ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミ
ドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトン
を主成分とする溶媒中で反応させることが挙げられる。
【0035】R3、R4が炭素数1から20までの有機
基、なかでもアルキル基である場合は、テトラカルボン
酸二無水物とアルコール化合物を反応させた後、塩化チ
オニル等を用いて酸塩化物を合成した後に適当なジアミ
ンと選択的に組み合わせるか、またはジシクロへキシル
カルボジイミド等の適当な脱水剤を用いてジアミンと選
択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホ
スホロトリアミド等を主成分とする極性溶媒や、γ−ブ
チロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させることが
挙げられる。
【0036】また本発明の効果は、一般式(1)に該当
するポリマーであればいずれでも得られるが、なかでも
下記に示すポリマーが好ましい。
【0037】
【化3】
【0038】R5は少なくとも2個以上の炭素原子を有
する3価から8価の有機基、R6は、少なくとも2個以
上の炭素原子を有する3価から6価の有機基、R7は水
素、または炭素数1から20までの有機基を示す。mは
3から100000までの整数、tは1または2、rは
0から4までの整数、sは1から4までの整数である。
【0039】一般式(2)で表される構造単位を主成分
とするポリマーは、水酸基を有していても有していなく
ても良いが、好ましくは水酸基を有していることがよ
い。水酸基を有する場合、水酸基の存在のために、アル
カリ水溶液に対する溶解性が水酸基を有さないポリアミ
ド酸よりも良好になる。特に、水酸基の中でもフェノー
ル性の水酸基がアルカリ水溶液に対する溶解性の観点よ
り好ましい。
【0040】一般式(2)中、R5を構成する残基は酸
の構造成分を表しており、少なくとも2個以上の炭素原
子を有する3価から8価の有機基を示している。この酸
成分は芳香族環を含有し、かつ水酸基を1個から4個有
した、炭素数2〜60の3価から8価の有機基が好まし
い。さらに、水酸基はアミド結合と隣り合った位置にあ
ることが好ましい。このような例として、下記に示すよ
うな構造のものがあげられる。
【0041】
【化4】
【0042】また、R5を含む残基として、水酸基を有
していないテトラカルボン酸、トリカルボン酸、ジカル
ボン酸を使用することもできる。これらの例としては、
ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビ
フェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラ
カルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸など
の芳香族テトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個を
メチル基やエチル基にしたジエステル化合物、ブタンテ
トラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸など
の脂肪族のテトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個
をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、トリメ
リット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸な
どの芳香族トリカルボン酸などを挙げることができる。
【0043】一般式(2)中、R6を構成する残基はジ
アミンの構造成分を表している。この中で、R6の好ま
しい例としては、得られるポリマーの耐熱性より芳香族
を有し、かつ、水酸基を1個から4個有するものが好ま
しい。さらに、水酸基はアミド結合と隣り合った位置に
あることが好ましい。
【0044】具体的な例としてはビス(アミノヒドロキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジヒド
ロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒ
ドロキシジアミノピリミジン、1,3−ジアミノ−4−
ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキ
シベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒ
ドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−
アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メ
タン、ジヒドロキシベンゼンなどの化合物や下記に示す
ような構造のものがあげられる。
【0045】
【化5】
【0046】一般式(2)のR7は水素、あるいは炭素
数1〜20の有機基を表している。より好ましくは炭素
数1〜10の有機基である。R7の炭素数が20を越え
るとアルカリ水溶液に溶解しなくなる。得られる感光性
樹脂溶液の安定性からR7は有機基が好ましいが、アル
カリ水溶液に対する溶解性からみると水素が好ましい。
つまり、R7はすべて水素であることやすべて有機基で
あることは好ましくない。このR7の水素と有機基の量
を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が
変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した
感光性樹脂組成物を得ることができる。mは3から10
0000までの整数であり、tは1または2、rは0か
ら4までの整数、sは1から4までの整数である。rが
5以上になると、得られる耐熱性樹脂被膜の特性が低下
する。
【0047】また、カルボキシル基の一部をイミド化す
ることによって、残存カルボキシル基の量を調節するこ
とも可能である。このときのイミド化の割合は1%以上
50%以下が好ましい。イミド化率が50%を超えると
露光に使用する化学線に対するポリマーの吸収が大きく
なり、感度が低下する。
【0048】一般式(1)、一般式(2)で表されるポ
リマーは露光する化学線に対してできるだけ透明である
ことが望ましい。そのため、365nmにおけるポリマ
ーの吸光度は1μmあたり0.1以下であることが好ま
しい。より好ましくは0.08以下である。0.1を超
えると365nmの化学線での露光に対する感度が低下
する。
【0049】一般式(1)で表される構造単位を主成分
とするポリマーは、光酸発生剤を添加することで感光性
を付与することができる。とくに、一般式(2)で表さ
れる構造単位を主成分とするポリマーにおいて好ましく
用いられる。
【0050】本発明で用いる光酸発生剤としては、ジア
ゾニウム塩、ジアゾキノンスルホン酸アミド、ジアゾキ
ノンスルホン酸エステル、ジアゾキノンスルホン酸塩、
ニトロベンジルエステル、オニウム塩、ハロゲン化物、
ハロゲン化イソシアネート、ハロゲン化トリアジン、ビ
スアリールスルホニルジアゾメタン、ジスルホン等の光
照射により分解し酸を発生する化合物が挙げられる。特
にo−キノンジアジド化合物は未露光部の水溶性を抑制
する効果を有するために望ましい。このような化合物と
しては、1,2−ベンゾキノン−2−アジド−4−スル
ホン酸エステル又はスルホン酸アミド、1,2−ナフト
キノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又はス
ルホン酸アミド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド
−4−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド等があ
る。これらは、例えば、1,2−ベンゾキノン−2−ア
ジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン
−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、1,2−ナ
フトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等
のo−キノンジアジドスルホニルクロリド類とポリヒド
ロキシ化合物又はポリアミノ化合物を脱塩酸触媒の存在
下で縮合反応することによって得ることができる。
【0051】ポリヒドロキシ化合物としては、ヒドロキ
ノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノール
A、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,
3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,
2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−[1−
(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−
[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベ
ンゼン、4−フェニルメチル−1,2,3−ベンゼント
リオール、4−エチル−1,3−ベンゼンジオール、4
−フェニルメチル−1,3−ベンゼンジオール、4−
(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼ
ンジオール、(2,4−ジヒドロキシフェニル)フェニ
ルメタノン、4−ジフェニルメチル−1,2,3−ベン
ゼントリオール、2,4’、4”−トリヒドロキシトリ
フェニルメタン、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、
4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス
フェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4’,
4”,4'”−(1,2−エタンジイリデン)テトラキ
スフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[4
−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビ
スフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル]−6−シクロヘシルフェノール、2,2’
−メチレンビス[6−[(2/4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−ビ
フェノール、4,4’−シクロヘシリデンビスフェノー
ル4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール2,
2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−[1,4−
フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[ベン
ゼン−1,2−ジオール]、5,5’−[1,4−フェ
ニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[ベンゼン
−1,2,3−トリオール]4−[1−(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ベンゼン
ジオール、4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキシル]−1,2−ベンゼンジオール、4−[1−
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−1,3
−ベンゼンジオール、4−[(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキシリデン]−1,2,3−ベンゼントリ
オール没食子酸メチル、没食子酸エチル等が挙げられ
る。
【0052】ポリアミノ化合物としては、1,4−フェ
ニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルス
ルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等が
挙げられる。
【0053】また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物と
しては、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロ
キシベンジジン等が挙げられる。
【0054】本発明で用いられる光酸発生剤の具体的例
としては、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸メチ
ル、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェ
ノール、4,4',4"−エチリデントリスフェノール、
4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,
3−ベンゼンジオール、4,4,4',4'−テトラキス
[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリ
デン)]フェノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキシリデン]ビスフェノールであっ
て、かつ少なくとも一つのヒドロキシル基が1,2−ナ
フトキノンジアジド−4−スルホニル基または1,2−
ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基であるo−キ
ノンジアジド化合物が挙げられる。
【0055】o−キノンジアジド化合物は、一般式
(1)で表されるポリマー100重量部に対して好まし
くは5から100重量部、より好ましくは5から40重
量部の範囲で配合される。配合量が5重量部未満では十
分な感度が得られず、また、100重量部を超えると、
光照射およびそれに続く現像によるパターンの形成が難
しく、また樹脂組成物の耐熱性が低下する可能性があ
る。
【0056】また、未露光部と露光部の溶解速度比を調
整する目的で、溶解調整剤を用いることもできる。溶解
調整剤としては、ポリヒドロキシ化合物、スルホンアミ
ド化合物、ウレア化合物など、いずれの化合物でも好ま
しく用いることができる。とくに、キノンジアジド化合
物を合成する際の原料であるポリヒドロキシ化合物が好
ましく用いられる。具体的には、3,4,5−トリヒド
ロキシ安息香酸メチル、4,4'−[1−[4−[1−(4
−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]
エチリデン]ビスフェノール、4,4',4"−エチリデ
ントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフ
ェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4,
4',4'−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス
(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノールが挙げられ
る。
【0057】溶解調整剤は、一般式(1)で表されるポ
リマー100重量部に対して好ましくは1から100重
量部、より好ましくは5から40重量部の範囲で配合さ
れる。配合量が1重量部未満では十分な効果が得られ
ず、また、100重量部を越えると樹脂組成物の耐熱性
が低下する可能性がある。
【0058】ポジ型感光性ポリイミドを用いた絶縁層の
パターニングは、次のような工程で実施することができ
る。第一電極11がパターニングされた基板10上に
(図4)、ポジ型感光性ポリイミド前駆体膜を全面に塗
布する(図5)。塗布方法は、スピンコート法、スリッ
トダイコート法、スプレー法、ロールコート法、ディッ
プ法など公知の技術を利用できる。また、塗布膜厚は、
乾燥後の膜厚が0.1〜150μmになるように塗布さ
れる。好ましくは、0.5〜20μmである。
【0059】塗布したポリイミド前駆体膜を必要に応じ
てプリベークした後に、フォトマスク18を介して露光
を行う(図6)。露光部分17は溶解性が増大するの
で、基板を現像液に浸して露光部分を溶解・除去せし
め、必要に応じてキュアすることで所望のポリイミドパ
ターンを得ることができる(図7)。
【0060】本発明におけるポジ型感光性ポリイミド
は、前駆体状態での保存安定性や感光性、現像特性を良
好に発現するために、オキサゾール構造を有することが
好ましい。オキサゾール構造は1477cm-1付近に特
徴的な赤外吸収ピークを有する。ポリイミドに特徴的な
イミド構造の赤外吸収ピークは、1775〜80c
-1、1725cm-1付近、1380cm-1付近である
ので、これらとは明確に区別することができる。
【0061】本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体の
プリベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線など
を使用し、50℃から150℃の範囲で1分から数時間
行うのが好ましい。必要に応じて、80℃で2分の後、
120℃で2分など、2段あるいはそれ以上で乾燥する
こともできる。
【0062】露光に用いられる化学線としては紫外線、
可視光線、電子線、X線などがあるが、水銀灯のi線
(365nm)、h線(405nm)、g線(436n
m)を用いるのが好ましい。これらの波長の光は単独で
も、2種類以上混合して用いても好ましく用いられる。
【0063】現像時のパターンの解像度が向上したり、
現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク
処理をする工程を取り入れても差し支えない。この温度
としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜
150℃の範囲がより好ましい。時間は10秒〜数時間
が好ましい。この範囲を外れると、反応が進行しなかっ
たり、すべての領域が溶解しなくなるなどの恐れがある
ので注意を要する。
【0064】現像液としては、テトラメチルアンモニウ
ムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタ
ノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルア
ミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルア
ミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ
性を示す化合物の水溶液が好ましい。テトラメチルアン
モニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液は特に好適な
現像液である。
【0065】また場合によっては、これらのアルカリ水
溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリ
ルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの
エステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イ
ソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加し
てもよい。
【0066】現像後は水にてリンス処理をする。ここで
もエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコー
ル類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリ
ンス処理をしても良い。現像やリンスには超音波処理を
施すこともできる。
【0067】キュア温度は200℃から500℃の範囲
で行うことが好ましく、250℃から350℃の範囲が
さらに好ましい。この加熱処理は温度を選び、段階的に
昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら
5分から5時間実施する。一例としては、140℃、2
00℃、350℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは
室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するな
どの方法が挙げられる。 本発明の感光性ポリイミドの
ガラス転移温度は250℃以上350℃以下が好まし
く、また260℃以上350℃以下であることがより好
ましい。また、5%熱重量減少温度は350℃以上であ
ることが好ましい。屈折率は特に限定されないが、1.
8以下であることが好ましい。
【0068】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を説明するが、
本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0069】合成例1 ヒドロキシル基含有酸無水物の
合成 乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)
18.3g(0.05モル)とグリシジルメチルエーテ
ル34.2g(0.3モル)を酢酸エチル100gに溶
解させ、−15℃に冷却した。ここに酢酸エチル50g
に溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g
(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないよう
に滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。こ
の溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエ
ン1lに投入して酸無水物を得た。これを下記に示す。
【0070】
【化6】
【0071】合成例2 ヒドロキシル基含有ジアミン化
合物の合成 BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100
ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に
溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベン
ゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン
100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、
−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。溶液
をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体を
テトラヒドロフランとエタノールの混合溶液で再結晶し
た。
【0072】再結晶して集めた固体30gを300ml
のステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ
250mlに分散させ、5%パラジウム−炭素を2g加
えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で
行った。約4時間後、風船がこれ以上しぼまないことを
確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒
であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレー
ターで濃縮し、ジアミン化合物を得た。これを下記に示
す。得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0073】
【化7】
【0074】合成例3 キノンジアジド化合物(1)の
合成 乾燥窒素気流下、BisRS−2P(商品名、本州化学
工業(株)製)16.1g(0,05モル)と5−ナフ
トキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.9g
(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解さ
せ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと
混合させたトリエチルアミン10.1gを系内が35℃
以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間
攪拌した。トリエチルアミン塩をろ過し、ろ液を水に投
入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この
沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、キノンジアジド化合物
(1)を得た。
【0075】
【化8】
【0076】合成例4 キノンジアジド化合物(2)の
合成 乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化
学工業(株)製)、15.3g(0.05モル)と5−
ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド40.3g
(0.15モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解
させ、室温にした。ここに、1.4−ジオキサン50g
と混合させたトリエチルアミン15.2gを用い、合成
例3と同様にしてキノンジアジド化合物(2)を得た。
【0077】
【化9】
【0078】合成例5 キノンジアジド化合物(3)の
合成 乾燥窒素気流下、BIR−PTBP(商品名、本州化学
工業(株)製)、19.7g(0.05モル)と4−ナ
フトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.9g
(0.10モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解
させ、室温にした。ここに、1.4−ジオキサン50g
と混合させたトリエチルアミン10.1gを用い、合成
例3と同様にしてキノンジアジド化合物(3)を得た。
【0079】
【化10】
【0080】合成例6 乾燥窒素気流下、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−
アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.2g
(0.02モル)1,3−ビス(3−アミノプロピル)
テトラメチルジシロキサン1.2g(0.005モル)
をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解
させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシル基含有
酸無水物21.4g(0.03モル)をNMP14gと
ともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃
で4時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルム
アミドジメチルアセタール7.1g(0.06モル)を
NMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴
下後、50℃で3時間攪拌した。得られた溶液40gに
合成例3で得られたキノンジアジド化合物(1)2gを
溶解させて、感光性樹脂ワニスAを得た。
【0081】合成例7 乾燥窒素気流下、合成例2で得られたヒドロキシル基含
有ジアミン15.1g(0.025モル)をNMP50
gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシ
基含有酸無水物17.5g(0.025モル)をピリジ
ン30gとともに加えて、60℃で6時間反応させた。
反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の
沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥
機で20時間乾燥した。
【0082】このようにして得たポリマー固体10gを
計り、合成例4で得られたキノンジアジド化合物(2)
2g、Bis−Z(商品名、本州化学工業(株)製)
1.5g、ビニルメトキシシラン1gとをGBL30g
に溶解させて感光性樹脂ワニスBを得た。
【0083】合成例8 乾燥窒素気流下、合成例2で得られたヒドロキシル基含
有ジアミン27.2g(0.045モル)、1,3−ビ
ス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
1.24g(0.005モル)をNMP50gに溶解さ
せた。ここに、3,3’、4,4’−ジフェニルエーテ
ルテトラカルボン酸無水物12.4g(0.04モル)
をNMP21gとともに加えて、20℃で1時間反応さ
せ、ついで50℃で2時間反応させた。ここに、無水マ
レイン酸0.98g(0.01g)を加え、50℃で2
時間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルア
セタール14.7g(0.1モル)をNMP5gで希釈
した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3
時間攪拌した。
【0084】得られた溶液30gに合成例5で得られた
キノンジアジド化合物(3)1.6gを溶解させて感光
性樹脂組成物ワニスCを得た。
【0085】合成例9 乾燥窒素気流下、500mlの4つ口フラスコに3,
3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸
二無水物24.8gとn−ブチルアルコール59.3g
を入れ、95℃で5時間反応させた。過剰なn−ブチル
アルコールを減圧下で留去し、3,3’,4,4’−ジ
フェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステ
ルを得た。ついで、乾燥窒素気流下、300mlの4つ
口フラスコに塩化チオニル95.2g、トルエン70.
0gを入れ、40℃で3時間反応させた。減圧により、
過剰の塩化チオニルをトルエンと共沸させて除去した。
NMP186gを添加し、3,3’,4,4’−ジフェ
ニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルジ
クロリドの溶液を得た。
【0086】つぎに、乾燥窒素気流下、500mlの4
つ口フラスコにNMP95.0gと3,5−ジアミノ安
息香酸8.5g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル4.8gを入れ、攪拌溶解した。その後、ピリジン1
2.7gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,
3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸
ジn−ブチルエステルジクロリドの溶液を1時間で滴下
した後、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を5lの水
に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポ
リアミド酸n−ブチルエステルを得た。
【0087】ポリアミド酸n−ブチルエステル30.0
g、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニル
クロリドを1/3のモル比で反応させた化合物7.5g
と(p−ニトロベンジル)−9,10−ジエトキシアン
トラセン−2−スルホナート2.0gをNMP45.0
gに攪拌溶解させ、感光性樹脂組成物ワニスDを得た。
【0088】実施例1 厚さ1.1mmの無アルカリガラス表面にスパッタリン
グ蒸着法によって厚さ130nmのITO透明電極膜が
形成されたガラス基板を120×100mmの大きさに
切断した。ITO基板上にフォトレジストを塗布して、
通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によって
パターニングした。ITOの不要部分をエッチングして
除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO
膜を長さ90mm、幅80μmのストライプ形状にパタ
ーニングした。このストライプ状第一電極は100μm
ピッチで816本配置されている。
【0089】次に、ポジ型感光性ポリイミド前駆体(東
レ(株)製、PW−1000)の濃度調整を行い、スピ
ンコート法により第一電極を形成した基板上に塗布し、
ホットプレート上で120℃で2分間プリベークした。
この膜にフォトマスクを介してUV露光した後、2.3
8%TMAH水溶液で露光部分のみを溶解させることで
現像し、純水でリンスした。得られたポリイミド前駆体
パターンをクリーンオーブン中の窒素雰囲下で170
℃、30分、さらに、320℃で60分加熱してキュア
した。このようにして、幅70μm、長さ250μmの
開口部が幅方向にピッチ100μmで816個、長さ方
向にピッチ300μmで200個配置され、それぞれの
開口部が図1に示したように第一電極の中央部を露出せ
しめ、しかも、第一電極のエッジ部分を覆うような形状
の感光性ポリイミドからなる絶縁層を形成した。絶縁層
の厚さは約1μmであり、体積抵抗率は少なくとも5×
10 710Ωcmあることを確認した。絶縁層の境界部分
の断面は図3に示したような順テーパー形状であり、テ
ーパー角度θは約45°であった。また、絶縁層の赤外
吸収スペクトルを反射配置で測定したところ、1780
cm-1付近、1377cm-1付近にポリイミドに起因す
るイミド構造の吸収ピークが検出された(図10)。
【0090】次に、絶縁層を形成した基板を用いて有機
電界発光装置の作製を行った。発光層を含む薄膜層は、
抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって形成した。な
お、蒸着時の真空度は2×10-4Pa以下であり、蒸着
中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、銅フタロ
シアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバゾール)
を60nm、基板有効エリア全面に蒸着して正孔輸送層
を形成した。
【0091】発光層パターニング用として、図8に模式
的に示すように、マスク部分と補強線とが同一平面内に
形成されたシャドーマスクを用いた。シャドーマスクの
外形は120×84mm、マスク部分31の厚さは25
μmであり、長さ64mm、幅100μmのストライプ
状開口部がピッチ300μmで272本配置されてい
る。各ストライプ状開口部32には、開口部と直交する
幅20μm、厚さ25μmの補強線33が1.8mm間
隔に形成されている。シャドーマスクは外形が等しい幅
4mmのステンレス鋼製フレーム34に固定されてい
る。
【0092】発光層用シャドーマスクを基板前方に配置
して両者を密着させ、基板後方にはフェライト系板磁石
(日立金属社製、YBM−1B)を配置した。この際、
ストライプ状第一電極がシャドーマスクのストライプ状
開口部の中心に位置し、補強線が絶縁層上に位置し、か
つ補強線と絶縁層が接触するように配置される。シャド
ーマスクは膜厚の厚い絶縁層と接触して、先に形成した
有機層とは接触しないので、マスク傷が防止される。こ
の状態で0.3重量%の1,3,5,7,8−ペンタメ
チル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジア
ザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8
−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3)
を21nm蒸着し、緑色発光層をパターニングした。
【0093】次に、シャドーマスクを1ピッチ分ずらし
た位置の第一電極パターンに位置合わせして、1重量%
の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュ
ロリジルスチリル)ピラン(DCJT)をドーピングし
たAlq3を15nm蒸着して、赤色発光層をパターニ
ングした。
【0094】さらにシャドーマスクを1ピッチ分ずらし
た位置の第一電極パターンに位置合わせして、4,4’
−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ジフェニル(D
PVBi)を20nm蒸着して、青色発光層をパターニ
ングした。緑色、赤色、青色それぞれの発光層は、スト
ライプ状第一電極の3本ごとに配置され、第一電極の露
出部分を完全に覆っている。
【0095】次に、DPVBiを35nm、Alq3を
10nm、基板有効エリア全面に蒸着した。この後、薄
膜層をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算量
0.5nm)した。
【0096】第二電極パターニング用として、図9に模
式的に示すように、マスク部分の一方の面と補強線との
間に隙間が存在する構造のシャドーマスクを用いた。シ
ャドーマスクの外形は120×84mm、マスク部分3
1の厚さは100μmであり、長さ100mm、幅25
0μmのストライプ状開口部32がピッチ300μmで
200本配置されている。マスク部分の上には、幅40
μm、厚さ35μm、対向する二辺の間隔が200μm
の正六角形構造からなるメッシュ状の補強線33が形成
されている。隙間の高さはマスク部分の厚さと等しく1
00μmである。シャドーマスクは外形が等しい幅4m
mのステンレス鋼製フレーム34に固定されている。
【0097】第二電極は抵抗線加熱方式による真空蒸着
法によって形成した。なお、蒸着時の真空度は3×10
-4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源に対して基板
を回転させた。発光層のパターニングと同様に、第二電
極用シャドーマスクを基板前方に配置して両者を密着さ
せ、基板後方には磁石を配置した。この際、絶縁層がマ
スク部分の位置と一致するように両者を配置する。この
状態でアルミニウムを240nmの厚さに蒸着して、第
二電極をパターニングした。第二電極は、間隔をあけて
配置された複数のストライプ状第一電極と直交する配置
で、間隔をあけて配置されたストライプ状にパターニン
グされている。
【0098】本基板を蒸着機から取り出し、ロータリー
ポンプによる減圧雰囲気下で20分間保持した後、露点
−90℃以下のアルゴン雰囲気下に移した。この低湿雰
囲気下にて、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ
樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。
【0099】このようにして幅80μm、ピッチ100
μm、本数816本のITOストライプ状第一電極上
に、パターニングされた緑色発光層、赤色発光層および
青色発光層が形成され、第一電極と直交するように幅2
50μm、ピッチ300μmのストライプ状第二電極が
200本配置された単純マトリクス型カラー有機電界発
光装置を作製した。赤、緑、青の3つの発光領域が1画
素を形成するので、本発光装置は300μmピッチで2
72×200画素を有する。絶縁層が第一電極を露出せ
しめる部分のみが発光するので、1つの発光領域は幅7
0μm、長さ250μmの長方形である。
【0100】本表示装置を線順次駆動したところ、良好
な表示特性を得ることができた。第一電極のエッジ部分
が絶縁層で覆われているために、電界集中による短絡は
認められなかった。また、断面が順テーパー形状である
ことから、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄
くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズ
に成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められ
ず、安定な発光が得られた。また、耐久性試験として、
85℃で250時間保持した後の発光特性を評価したと
ころ、初期と比べて発光領域が小さくなることなく良好
な発光を示した。
【0101】実施例2 ポジ型感光性ポリイミドからなる絶縁層を形成するまで
は実施例1と同様にした。次に、第一電極および絶縁層
が形成された基板上にネガ型感光性ポリイミド前駆体
(東レ(株)製、UR−3100)をスピンコートし、
クリーンオーブン中の窒素雰囲気下で80℃、1時間プ
リベークした。この膜にフォトマスクを介してUV露光
した後、現像液(東レ(株)製、DV−505)で非露
光部分のみを溶解させることで現像し、純水でリンスし
た。その後クリーンオーブン中の窒素雰囲気下で180
℃、30分間、さらに220℃で30分間加熱してキュ
アした。第一電極と直交する隔壁を形成した。この電気
絶縁性の隔壁は絶縁層上に位置しており、長さ104m
m、幅30μm、高さ4μmであり、300μmピッチ
で201本配置されている。
【0102】薄膜層の形成は実施例1と同様にした。第
二電極の形成には隔壁法を用いた。すなわち、基板を蒸
着源に対して傾けて設置した状態で斜め蒸着を行い、2
40nmのアルミニウムを蒸着した。蒸着物に対して隔
壁の陰となる部分には蒸着物が付着しないので、これに
より、ストライプ状の第二電極をパターニングした。封
止については実施例1と同様にした。
【0103】このようにして、幅80μm、ピッチ10
0μm、本数816本のITOストライプ状第一電極上
に、パターニングされた緑色発光層、赤色発光層および
青色発光層が形成され、第一電極と直交するように幅約
270μm、ピッチ300μmのストライプ状第二電極
が200本配置された単純マトリクス型カラー有機電界
発光装置を作製した。実施例1と同様に、本発光装置も
300μmピッチで272×200画素を有し、1つの
発光領域は幅70μm、長さ250μmの長方形であ
る。
【0104】本表示装置を線順次駆動したところ、実施
例1と同様に良好な表示特性を得ることができた。第一
電極のエッジ部分が絶縁層で覆われているために、電界
集中による短絡は認められなかった。また、断面が順テ
ーパー形状であることから、絶縁層の境界部分で薄膜層
や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこと
もなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝
度ムラは認められず、安定な発光が得られた。また、耐
久性試験として、85℃で250時間保持した後の発光
特性を評価したところ、初期と比べて発光領域が小さく
なることなく良好な発光を示した。
【0105】実施例3 第一電極のパターニングまでは実施例1と同様にした。
次に、ポジ型感光性ポリイミド前駆体(東レ(株)製、
PW−1000)の濃度調整を行い、実施例1と同様に
パターニングを行うことで、厚さが約3μmであること
以外は実施例1と同様の感光性ポリイミドからなる絶縁
層を形成した。
【0106】その後は実施例1と同様にして単純マトリ
クス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置
を線順次駆動したところ、実施例1と同様の良好な表示
特性を得ることができた。第一電極のエッジ部分が絶縁
層で覆われているために、電界集中による短絡は認めら
れなかった。また、断面が順テーパー形状であることか
ら、実施例1よりも絶縁層の厚さが厚くなったにも関わ
らず、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くな
ったり段切れを起こすようなこともなくスムーズに成膜
され、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発
光が得られた。さらに、絶縁層がより厚くなったため
に、実施例1に比べてマスク蒸着におけるマスク傷の影
響をさらに受けにくくなり、マスク傷により発光が不安
定になった発光領域はほとんど認められなかった。
【0107】実施例4〜7 ポジ型感光性ポリイミド前駆体(東レ(株)製、PW−
1000)の代わりに、ワニスA(実施例4)、ワニス
B(実施例5)、ワニスC(実施例6)、ワニスD(実
施例7)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0108】何れのワニスを用いた場合も、本表示装置
を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることが
できた。第一電極のエッジ部分が絶縁層で覆われている
ために、電界集中による短絡は認められなかった。ま
た、断面が順テーパー形状であることから、絶縁層の境
界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起
こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発
光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得ら
れた。また、耐久性試験として、85℃で250時間保
持した後の発光特性を評価したところ、初期と比べて発
光領域が小さくなることなく良好な発光を示した。
【0109】実施例8〜11 ポジ型感光性ポリイミド前駆体(東レ(株)製、PW−
1000)の代わりに、ワニスA(実施例8)、ワニス
B(実施例9)、ワニスC(実施例10)、ワニスD
(実施例11)を用いた以外は、実施例3と同様に、単
純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本
表示装置を線順次駆動したところ、実施例3と同様の良
好な表示特性を得ることができた。第一電極のエッジ部
分が絶縁層で覆われているために、電界集中による短絡
は認められなかった。また、断面が順テーパー形状であ
ることから、実施例1よりも絶縁層の厚さが厚くなった
にも関わらず、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極
が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなくスム
ーズに成膜され、発光領域内での輝度ムラは認められ
ず、安定な発光が得られた。さらに、絶縁層がより厚く
なったために、実施例1に比べてマスク蒸着におけるマ
スク傷の影響をさらに受けにくくなり、マスク傷により
発光が不安定になった発光領域はほとんど認められなか
った。また、耐久性試験として、85℃で250時間保
持した後の発光特性を評価したところ、初期と比べて発
光領域が小さくなることなく良好な発光を示した。
【0110】実施例12 ポジ型感光性ポリイミド前駆体(東レ(株)製、PW−
1000)の代わりに、カルボキシル基にo−ニトロベ
ンジルエステル基を導入したポリイミド系ポジ型フォト
レジストを用い、現像液に2%水酸化ナトリウム水溶液
を用いた以外は、実施例1と同様に絶縁層のパターン加
工を行った。
【0111】本表示装置を線順次駆動したところ、良好
な表示特性を得ることができた。第一電極のエッジ部分
が絶縁層で覆われているために、電界集中による短絡は
認められなかった。また、断面が順テーパー形状である
ことから、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄
くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズ
に成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められ
ず、安定な発光が得られた。また、耐久性試験として、
85℃で250時間保持した後の発光特性を評価したと
ころ、初期と比べて発光領域が小さくなることなく良好
な発光を示した。
【0112】なお、上記フォトレジストは、ポジ型感光
性樹脂組成物の現像液としてよく用いられる2.38%
TMAH水溶液では、現像不良となり、所望のパターン
が得られなかった。
【0113】比較例1 絶縁層にネガ型感光性ポリイミド前駆体(東レ(株)
製、UR−3100)を用い、実施例2において隔壁を
形成したのと同様にして、ネガ型感光性ポリイミドから
なる絶縁層を形成した。絶縁層の厚さは実施例3と同じ
約3μmであり、境界部分の断面のテーパー角度θが約
90°になったこと以外は、実施例3と同様の絶縁層を
得ることができた。
【0114】その後は実施例1と同様にして単純マトリ
クス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置
を線順次駆動したところ、第一電極のエッジ部分が絶縁
層で覆われているために、電界集中による短絡は認めら
れなかったが、絶縁層の断面がほとんど矩形形状である
ことから、絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が薄く
なる傾向にあり、発光領域内で輝度ムラが認められた。
【0115】比較例2 ポジ型感光性ポリイミド前駆体(東レ(株)製、PW−
1000)の代わりに、ポジ型レジスト OFPR−8
00(東京応化工業製)を用い、スピンコート法により
第一電極を形成した基板上に塗布し、ホットプレート上
で80℃で2分間プリベークし、露光、現像、リンスし
た後、ホットプレートで180℃で8分間キュアをした
以外は、実施例1と同様に絶縁層のパターン加工を行っ
た。
【0116】その後は実施例1と同様にして単純マトリ
クス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置
を線順次駆動したところ、初期は良好な発光を示した
が、耐久性試験として85℃で250時間保持した後の
発光特性を評価したところ、発光領域が初期に比べて約
80%に小さくなった。
【0117】
【表1】
【0118】
【発明の効果】本発明の、絶縁層がポジ型感光性ポリイ
ミドからなることを特徴とする表示装置は、従来技術の
ようにフォトレジストを使用する必要がなく、ポリイミ
ドからなる絶縁層を簡単で、より少ない工程でパターニ
ングすることができる。さらに、絶縁層の境界部分の断
面を容易に順テーパー形状とすることができるので、例
えばその上に形成される薄膜層などがスムーズに形成さ
れ、表示装置の動作の安定性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁層の形状の一例を示す平面図
【図2】図2のX−X’断面図
【図3】図2における絶縁層の境界部分を拡大した断面
【図4】第一電極がパターニングされた基板を示す断面
【図5】基板上にポジ型感光性ポリイミドを塗布した様
子を示す断面図
【図6】ポリイミド前駆体膜に露光する様子を示す断面
【図7】露光後のポリイミド前駆体膜を現像した様子を
示す断面図
【図8】発光層パターニング用シャドーマスクを模式的
に示す平面図
【図9】第二電極パターニング用シャドーマスクを模式
的に示す平面図
【図10】絶縁層の赤外吸収スペクトル
【符号の説明】
10 基板 11 第一電極 14 絶縁層 15 開口部 16 境界部分 17 露光部分 18 フォトマスク 31 マスク部分 32 シャドーマスクの開口部 33 補強線 34 フレーム
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/22 H05B 33/22 Z 33/26 33/26 Z (72)発明者 富川 真佐夫 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 3K007 AA07 AB18 CC00 DA02 EB00 FA01 4J043 PA02 PB08 PB15 PC065 PC066 PC145 PC146 QB15 QB31 QB32 RA06 SA06 SA54 SA82 SA85 SB01 SB03 TA12 TA13 TA14 TA75 TB01 UA042 UA121 UA122 UA131 UA132 UA151 UA152 UA262 UA352 UA361 UA381 UB061 UB152 UB221 UB231 UB301 UB302 UB401 VA021 VA061 VA081 VA082 XA16 XB27 YA06 ZA46 ZB50 5C094 AA31 AA43 DA15 FB15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された第一電極と、第一電極
    を部分的に露出せしめるように第一電極上に形成された
    絶縁層と、第一電極に対向して設けられた第二電極とを
    含む表示装置であって、前記絶縁層がポジ型感光性ポリ
    イミドからなることを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】前記ポジ型感光性ポリイミドが、光酸発生
    剤を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 【請求項3】ポジ型感光性ポリイミドが下記一般式
    (1)で表される構造単位を主成分とするポリマーと光
    酸発生剤を必須成分とすることを特徴とする請求項1記
    載の表示装置。 【化1】 (R1およびR2は、少なくとも2個以上の炭素原子を有
    する2価から8価の有機基、R3およびR4は水素、アル
    カリ金属イオン、アンモニウムイオンまたは炭素数1か
    ら20までの有機基を示す。R3とR4は同じでも異なっ
    ていてもよい。mは3から100000までの整数、n
    は1または2、oは0から2までの整数である。p、q
    は0から4までの整数であり、n+q>0である。)
  4. 【請求項4】上記光酸発生剤がo−キノンジアジド化合
    物であることを特徴とする請求項2または3記載の表示
    装置。
  5. 【請求項5】絶縁層が第一電極のエッジ部分を覆うよう
    に形成されることを特徴とする請求項1記載の表示装
    置。
  6. 【請求項6】絶縁層が第一電極を露出せしめる境界部分
    における前記絶縁層の断面が順テーパー形状であること
    を特徴とする請求項1記載の表示装置。
  7. 【請求項7】表示装置が、基板上に形成された第一電極
    と、第一電極上に形成された少なくとも有機化合物から
    なる発光層を含む薄膜層と、薄膜層上に形成された第二
    電極とを含む有機電界発光素子からなる表示装置である
    ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
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