JP2002091092A - キャリア及びその製造方法 - Google Patents

キャリア及びその製造方法

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JP2002091092A
JP2002091092A JP2000278954A JP2000278954A JP2002091092A JP 2002091092 A JP2002091092 A JP 2002091092A JP 2000278954 A JP2000278954 A JP 2000278954A JP 2000278954 A JP2000278954 A JP 2000278954A JP 2002091092 A JP2002091092 A JP 2002091092A
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Japan
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mol
carrier
resin
monomer
group
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JP2000278954A
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Inventor
Kenichi Nakayama
憲一 中山
Kenji Okado
岡戸  謙次
Ryoichi Fujita
亮一 藤田
Yasushi Katsuta
恭史 勝田
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Canon Inc
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に対する安全性が高く且つ安価に製造し
得る樹脂被覆キャリアでありながら、芯材との密着性及
び均一コート性に優れ、更にトナースペントを生じない
などの特性を有していて高耐久且つ高生産性を達成でき
るキャリアを提供する。 【解決手段】 全単量体の合計量を基準とする必須構成
単量体の割合が(a)フルオロオレフィン:10〜70
モル%、(b)加水分解性シリル基を有するエチレン性
不飽和単量体:0.5〜20モル%、(c)カルボン酸
ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を有しても
良いアクリル酸シクロヘキシルエステルおよびアクリル
酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる少なくとも
1種の単量体:20〜80モル%、(d)その他の共重
合性単量体:0〜30モル%からなる単量体を構成成分
とする含フッ素樹脂の水性分散液で、キャリア芯材を被
覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真、静電記
録、静電印刷などに用いられるキャリア及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トナーを用いて静電潜像を現像す
る方法としては、カスケード現像法(米国特許第261
8552号明細書)や磁気ブラシ現像法(米国特許第2
874063号明細書)が知られている。このいずれの
方法においても、乾式二成分系現像剤が用いられてい
る。
【0003】この乾式二成分系現像剤は、比較的大きな
粒子表面上に微小なトナー粒子が、両粒子の摩擦により
発生した電気力により保持されており、現像剤が静電潜
像に近接すると、静電潜像が形成する電界によりトナー
粒子に対する静電潜像方向への吸引力が、トナー粒子と
キャリア粒子間の結合力に打ち勝って、トナー粒子は静
電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化されるもの
である。そして、現像剤は現像によって消費されたトナ
ーを補充しながら反復使用される。
【0004】この場合、トナー粒子は必ず光導電体上の
所望の像領域へ優先的に引きつけられるような正確な帯
電性及び電荷の大きさを有していなければならない。ま
た、キャリアは長期間の使用中、常にトナー粒子を所望
とする極性で且つ充分な帯電量に摩擦帯電しなければな
らない。しかしながら、従来の現像剤は、多数枚複写に
よる現像剤粒子間の衝突又は現像剤粒子と現像機構との
衝突等の機械的衝突、又はこれらの作用による発熱でキ
ャリア表面上にトナー膜が形成される、いわゆるスペン
ト化が生じ、キャリアの帯電特性が使用時間とともに低
下しトナー飛散、地かぶり等が発生する結果、コピー品
質が低下することとなる。そして、このスペント化がひ
どくなると、現像剤全体を交換しなければならない。
【0005】現像剤の交換を頻繁に行なうことはランニ
ングコストの上昇につながるため好ましくなく、これを
防止するためにキャリア表面をシリコーン樹脂やフッ素
系樹脂等の表面エネルギーの低い樹脂で被覆することに
より、スペント化を防止し、現像剤の交換周期を延ばす
ことが提案され、実用化されている。ただ、このような
樹脂被覆キャリアは、一般に被覆樹脂をアセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類やジオキサン、テトラヒドロフラン等
の有機溶剤に溶解させ、この溶液を用いて例えば浸漬
法、スプレー法等により芯材に塗布することにより製造
されているが、この場合、これらの有機溶剤は比較的低
沸点であるため、爆発の危険性や吸気による人体への影
響が大きく、また使用した溶剤を回収する装置が必要
で、コストが高くなるという欠点があった。
【0006】そこで、対環境性を考慮して、例えば、水
系ポリウレタン樹脂組成物を被覆したキャリア(特開平
5−127431号公報)が提案されている。たしか
に、上記のような水系樹脂組成物を用いることにより、
キャリア製造時における爆発の危険や人体への悪影響が
なくなり、且つ溶媒の回収が不要となるため生産コスト
も低くなる。しかしながら、水系ポリウレタン樹脂組成
物を使用した場合には、その表面エネルギーが高いため
にキャリアとしての耐スペント性に劣り、高耐久性現像
剤用に使用するには問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、
環境に対する安全性が高く且つ安価に製造し得る樹脂被
覆キャリアでありながら、高耐久且つ高生産性を達成で
きる樹脂被覆キャリアを提供することにある。更に、原
稿を忠実に再現できる現像剤用のキャリアを提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】前記技術課題
は、次の通りの本発明によって達成される。
【0009】即ち本発明は、キャリア芯材に、全単量体
の合計量を基準とする必須構成単量体の割合が(a)フ
ルオロオレフィン:10〜70モル%、(b)加水分解
性シリル基を有するエチレン性不飽和単量体:0.5〜
20モル%、(c)カルボン酸ビニルエステル、シクロ
ヘキシル基に置換基を有しても良いアクリル酸シクロヘ
キシルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルより
なる群から選ばれる少なくとも1種の単量体:20〜8
0モル%、(d)その他の共重合性単量体:0〜30モ
ル%からなる単量体を構成成分とする含フッ素樹脂被覆
層を有する乾式二成分系現像剤用キャリアである。
【0010】本発明において最も重要な点は、従来公知
の樹脂被覆キャリアは、均一且つ接着性に優れた被膜を
形成するためには、その被覆工程において被覆樹脂を有
機溶剤に溶解させ、この溶液を用いて浸漬法、スプレー
法等により芯材に塗布するといった、安全性及び環境衛
生上問題のある工程を経なければ達成されなかったのに
対し、本発明で見出した全単量体の合計量を基準とする
必須構成単量体の割合が(a)フルオロオレフィン:1
0〜70モル%、(b)加水分解性シリル基を有するエ
チレン性不飽和単量体:0.5〜20モル%、(c)カ
ルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を
有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステルおよび
アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる少
なくとも1種の単量体:20〜80モル%、(d)その
他の共重合性単量体:0〜30モル%からなる単量体を
構成成分とする含フッ素樹脂で被覆したキャリアは、被
覆樹脂が極めて水分散性が良好なため、無溶剤さらには
水を分散剤とした対環境性を考慮した塗布液で芯材に均
一且つ耐トナースペント性に優れた、強靭な被覆が達成
された乾式二成分系現像用キャリアであるという事実で
ある。
【0011】キャリア芯材に、均一且つ耐トナースペン
ト性に優れた強靭な被覆が達成された理由について、本
発明者らは、被覆樹脂中の加水分解性シリル基が水中分
散安定性を高めた結果、被覆樹脂が水中で均一に分散さ
れることにより均一な被膜が形成され、表面エネルギー
の低いフッ素系樹脂で被覆することにより、キャリアコ
ート層へのトナー成分の固着・汚染の防止効果が付与さ
れたことによるものと考えている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の樹脂被覆キャリアに使用する被覆
樹脂において用いられる(a)フルオロオレフィンとし
ては、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレンおよびヘキサフルオロプロピレン等が挙げられ、
好ましくは、取扱いの容易さの点でクロロトリフルオロ
エチレンである。
【0014】芯材被覆樹脂における(b)加水分解性シ
リル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシランおよびビニルエチルジエトキシシラン等のアル
コキシビニルシラン;γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−(メタ)
アクリロイルオキシプロピルアルコキシシラン;トリメ
トキシシリルプロピルビニルエーテルおよびトリエトキ
シシリルプロピルビニルエーテル等のアルコキシシリル
アルキルビニルエーテル;トリメトキシシリルデカン酸
ビニルおよびトリエトキシシリルデカン酸ビニル等のア
ルコキシシリルカルボン酸ビニルが挙げられる。これら
の中でも、重合反応性および安定性に優れる点で、加水
分解性基としてエトキシ基を有するアルコキシビニルシ
ランおよびγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルア
ルコキシシランが好ましい。
【0015】芯材被覆樹脂における(c)単量体の一種
であるカルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニルおよ
びステアリン酸ビニル等の直鎖状脂肪族カルボン酸のビ
ニルエステル;イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2
−エチルヘキサン酸ビニル、炭素数が9の分岐状カルボ
ン酸の異性体混合物であるバーサティック酸ビニルエス
テルおよび炭素数が10の分岐状カルボン酸の異性体混
合物であるバーサティツク酸ビニルエステル等の分岐状
カルボン酸のビニルエステル、ならびに安息香酸ビニル
等の芳香族カルボン酸ビニルエステルが挙げられる。こ
れらの中でも、直鎖または分岐状カルボン酸ビニルエス
テルが好ましい。
【0016】また、シクロヘキシル基に置換基を有して
も良いアクリル酸シクロヘキシルエステルとしては、ア
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ターシャリーブチ
ルシクロヘキシル、アクリル酸ヒドロキシメチルシクロ
ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルメチル、アクリル
酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチルおよびアクリ
ル酸トリシクロデシニルなどが例示される。
【0017】さらに、アクリル酸アルキルエステルとし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ネオペンチル、
アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、ア
クリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸
ステアリルなどが例示される。
【0018】また、上記(a)、(b)および(c)の
単量体以外に、これらと共重合可能な(d)その他の単
量体(以下、所望単量体という)を共重合させても良
く、それらの中でもカルボキシル基もしくはその塩、ま
たはスルホン基もしくはその塩などの親水性官能基を有
するラジカル重合性単量体(以下、親水性単量体とい
う)が好ましい。カルボキシル基を有する親水性単量体
の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびビニル
酢酸などが挙げられ、スルホン基を有する親水性単量体
の具体例としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸などが挙げられる。上記単量体
の塩としては、アンモニア、アミンまたはアルカリ金属
による塩が好ましい。これらの中でも、好ましい親水性
単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそれらの
塩が挙げられる。
【0019】また、その他の所望単量体として、フッ化
ビニリデン、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニ
ル等のハロゲン化オレフィン;エチレン、プロピレン、
イソブチレン等のα−オレフィン;エチルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテ
ル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニ
ルエーテル、ヒドロキシエチルクロトネード、N−メチ
ロールアクリルアミド等の水酸基を有するエチレン性不
飽和単量体;メタクリルアミド、アクリルアミド、ジエ
チルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、アミノプロピルビニルエーテル等のア
ミノ基を有するエチレン性不飽和単量体;メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、
メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ネオペンチル、メ
タクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、
メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタ
クリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)
アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、
(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アク
リルヘプタデカフルオロオクチルエチル、メタクリル酸
シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル;酢
酸アリル、酪酸アリル、エチルアリルエーテル等が挙げ
られる。
【0020】本発明の樹脂被覆キャリアに使用する芯材
被覆樹脂における前記(a)〜(d)の単量体単位の割
合は、全単量体単位の合計量を基準として、(a)10
〜70モル%、(b)0.5〜20モル%、(c)20
〜80モル%および(d)0〜30モル%であり、
(a)20〜60モル%、(b)1〜15モル%、
(c)30〜70モル%および(d)0〜15モル%で
あることが好ましい。(a)の割合が70モル%を超え
るとキャリア被覆樹脂の水性分散体の成膜性が低下し、
芯材被覆樹脂の膜剥れや不均一な帯電能力が原因で画質
の劣化を引き起こす。10モル%未満であると低表面エ
ネルギー性が低くなり、トナーや外添剤の付着が発生し
やすくなる。(b)の割合が0.5モル%未満であると
芯材被覆樹脂の分散不良が起こりやすく、一方20モル
%を超えると水性分散体の安定性が低下し、キャリア芯
材に均一に塗布されず、いずれにおいても不均一帯電を
引き起こし画像劣化を引き起こす。(c)の割合が80
モル%を超えると芯材被覆樹脂の耐湿性が低下し、環境
変化によりキャリアの性質変化による画像劣化を引き起
こし、20モル%未満であると被覆樹脂の芯材への密着
性が低下し、長期にわたり高品位な画像を維持すること
が困難となりやすい。
【0021】更に、本発明の樹脂被覆キャリアに使用す
る被覆樹脂は下記のとおり、工程(1)および工程
(2)からなる2段重合によって製造されてもよい。 工程(1):(a)フルオロオレフィンおよび(c)カ
ルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を
有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステルおよび
アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる少
なくとも1種の単量体、またはこれらと(d)その他の
共重合性単量体からなる単量体混合物を、水性媒体中で
乳化重合して前記(a)〜(d)の単量体単位の割合
が、全単量体単位の合計量を基準として、(a)10〜
70モル%、(c)20〜80モル%および(d)0〜
30モル%である含フッ素樹脂の水性分散体を得る工
程。 工程(2):前記(a)および(c)またはこれらと
(d)の単量体ならびに(b)加水分解性シリル基を有
するエチレン性不飽和単量体を、上記工程(1)で得ら
れた含フッ素樹脂水性分散体の存在下に乳化重合して前
記(a)〜(d)の単量体単位の割合が、全単量体単位
の合計量を基準として、(a)10〜70モル%、
(c)20〜80モル%,(d)0〜30モル%および
(b)0.5〜20モル%である含フッ素樹脂の水性分
散体を得る工程。
【0022】工程(1)の重合により得られる水性分散
体中の合フッ素樹脂(以下、1段目フッ素樹脂という)
と工程(2)の重合により得られる水性分散体中の含フ
ッ素樹脂(以下、2段目フッ素樹脂という)の好ましい
質量比は20:1〜1:10であり、さらに好ましくは
10:1〜1:5である。20:1の割合より2段目フ
ッ素樹脂が少ないと芯材被覆樹脂の耐湿性が低下し、帯
電不良を引き起こす恐れがあり、一方、1:10より2
段目フッ素樹脂が多いと合フッ素樹脂水性分散体の貯蔵
安定性が低下し、キャリア芯材へ均一塗布できない恐れ
がある。
【0023】前記1段目の重合および2段目の重合によ
り得られた含フッ素樹脂水性分散体は、芯部分と殻部分
を形成するいわゆるコア・シェル型の樹脂が形成されて
いるものと推定され、2段目の重合で用いる加水分解性
シリル基含有単量体を含む含フッ素樹脂がシェル部分を
形成するため、含フッ素樹脂水性分散体がより均一に水
中分散され、良好な成膜性が達成された結果、耐トナー
スペント性に優れたキャリアができたものと予想してい
る。
【0024】本発明においてキャリア芯材としては、従
来より公知の磁性体でよく、例えば鉄、コバルト、ニッ
ケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フエ
ライトなどの合金や化合物等やこれら磁性体をバインダ
ー樹脂中に分散させた粒子などが挙げられる。中でも、
特に磁性体をバインダー樹脂中に分散させた樹脂核体粒
子を用いると、高画質の点で好ましい。
【0025】このような磁性体分散型核体粒子は、少な
くとも無機化合物粒子とバインダー樹脂とを有する複合
体粒子であって、その粒子表面が全単量体の合計量を基
準とする必須構成単量体の割合が(a)フルオロオレフ
ィン:10〜70モル%、(b)加水分解性シリル基を
有するエチレン性不飽和単量体:0.5〜20モル%、
(C)カルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に
置換基を有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステ
ルおよびアクリル酸アルキルエステルよりなる群から選
ばれる少なくとも1種の単量体:20〜80モル%、
(d)その他の共重合性単量体:0〜30モル%からな
る単量体を構成成分とする合フッ素樹脂で被覆されてい
る。
【0026】本発明における複合体粒子を構成する無機
化合物粒子は、水に溶解せず、又は水によって変質・変
性しないものであればよい。磁性無機化合物粒子として
は、マグネタイト粒子粉末、マグヘマタイト粒子粉末、
これらにケイ素の酸化物、ケイ素の水酸化物、アルミニ
ウムの酸化物又はアルミニウムの水酸化物の1種又は2
種以上を有する磁性鉄酸化物粒子粉末、バリウム、スト
ロンチウム又はバリウム−ストロンチウムを含むマグネ
タイトプランバイト型フェライト粒子粉末、マンガン、
ニッケル、亜鉛、リチウム及びマグネシウム等から選ば
れた1種又は2種以上を含むスピネル型フェライト粒子
粉末等の各種磁性鉄化合物粒子粉末が使用でき、磁性鉄
酸化物粒子粉末が好ましい。非磁性無機化合物粒子粉末
としては、ヘマタイト粒子粉末等の非磁性鉄酸化物粒子
粉末、ゲータイト粒子粉末等の非磁性含水酸化第二鉄粒
子粉末、酸化チタン粒子粉末、シリカ粒子粉末、タルク
粒子粉末、アルミナ粒子粉末、硫酸バリウム粒子粉末、
炭酸バリウム粒子粉末、カドミウムイエロー粒子粉末、
炭酸カルシウム粒子粉末、亜鉛華粒子粉末等が使用で
き、非磁性鉄酸化物粒子粉末が好ましい。
【0027】無機化合物粒子粉末の粒子形態は、立方体
状、多面体状、球状、針状、板状等のいずれの形態の粒
子をも使用することができる。平均粒子径は、複合体粒
子の平均粒子径よりも小さい粒子であれぱよく、0.0
1〜5.0μm、特に、0.1〜2.0μmの範囲のも
のが好ましい。
【0028】磁性無機化合物粒子粉末と非磁性無機化合
物粒子粉末との混合割合は、磁性無機化合物粒子粉末が
少なくとも30質量%含有されていることが好ましい。
【0029】また、混合する磁性鉄酸化物粒子の平均粒
子径aと非磁性鉄酸化物粒子の平均粒子径bとの比は、
a<bの関係にあることが好ましく、aが0.02乃至
2μmであって、bが0.05〜5μmである場合にお
いて、1.5a<bの関係にあることがより好ましい。
【0030】無機化合物粒子粉末は、その全部又は一部
が親油化処理剤で処理されている。
【0031】親油化処理剤としては、エポキシ基、アミ
ノ基、メルカプト基、有機酸基、エステル基、ケトン
基、ハロゲン化アルキル基及びアルデヒド基から選ばれ
た1種又は2種以上の官能基を有する有機化合物やそれ
らの混合物が使用でき、いずれも本発明の目的を達成す
ることができる。これらのうち、粒度分布が均整な複合
体粒子を得るためには、官能基としてはエポキシ基、ア
ミノ基及びメルカプト基が好ましく、また、温湿度の影
響を受けがたく帯電付与能が安定した磁性キャリアを得
るためには、官能基としてエポキシ基が好ましい。官能
基を有する有機化合物としてはカップリング剤が好まし
く、より好ましくはシランカップリング剤、チタンカッ
プリング剤及びアルミニウムカップリング剤であり、シ
ラン系カップリング剤が特に好ましい。
【0032】本発明における親油化処理剤の量は、無機
化合物粒子粉末に対し0.1〜5.0質量%が好まし
い。
【0033】0.1質量%未満の場合には、樹脂の被覆
を複合体粒子表面に密着させることが困難となり、ま
た、親油化処理が不十分なために無機化合物粒子の含有
量の高い複合体粒子が得ることができない。
【0034】5.0質量%を超える場合には、樹脂の被
覆を複合体粒子表面に密着させることはできるが、生成
した複合体粒子同士の凝集が生じ、複合体粒子の粒子サ
イズの制御が困難になる。
【0035】本発明における複合体粒子を構成するバイ
ンダー樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0036】熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、尿
素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、キシ
レン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フラン樹脂、シリコ
ーン系樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等があり、
これらの樹脂は単独でも2種以上を混合しても構わない
が、少なくともフェノール樹脂を含有していることが好
ましい。
【0037】本発明における複合体粒子を構成するバイ
ンダー樹脂と無機化合物粒子粉末との割合は、バインダ
ー樹脂1〜20質量%と無機化合物粒子粉末80〜99
質量%であることが好ましい。
【0038】本発明における複合体粒子は、重量平均粒
径が10乃至50μm、特に、15乃至45μmの球状
粒子であることが好ましく、その特性は比重が2.5乃
至4.5、79.58kA/mの磁界下で測定した磁化
の強さ(σ79.58)が15乃至60Am2/kg、残留磁
化(σr)が0.1乃至20Am2/kgであり、比抵
抗値が5×1011乃至5×1015Ωcmを有しているこ
とが好ましい。
【0039】芯材被覆樹脂の被覆量は、複合体粒子に対
して0.05質量%以上である。0.05質量%未満の
場合には、不十分かつ不均一な被膜となりやすく、帯電
量を自由に制御することが困難となる。また、被覆量が
多すぎると複合体粒子の電気抵抗が高くなりすぎ画像上
の問題が発生してしまう。好ましくは0.1〜10質量
%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。
【0040】樹脂で被覆されている本発明に係るキャリ
ア粉末の粒子サイズは、平均粒子径が10〜200μm
が好ましい。平均粒子径が10μm未満の場合は、キャ
リア粒子自体が感光体に飛んでしまい、画像上の欠陥を
生じてしまう所謂、キャリア付着を生じてしまう。20
0μmを超える場合は、鮮明な画像を得ることが困難と
なる。
【0041】特に高画質化、高品位化のためには平均粒
子径が10〜60μmの範囲がより好ましく、さらには
平均粒子径15〜50μmが、写真原稿等の画像比率の
高いトナー消費量の多いオリジナル連続プリントした際
も、補給トナーの混合搬送性に優れる点で、より一層好
ましい。
【0042】また、樹脂で被覆されている本発明に係る
キャリアの特性は、前述した複合体粒子の比重2.5乃
至4.5、79.58kA/mの磁界下で測定した磁化
の強さ(σ79.58)が15乃至60Am2/kg、残留磁
化(σr)が0.1乃至20Am2/kgである。
【0043】本発明に係るキャリアは必要により、官能
基を有する樹脂の被覆の上に重ねて樹脂を被覆してもよ
い。
【0044】次に、本発明に係るキャリアの好ましい製
造方法について述べる。
【0045】無機化合物粒子粉末の親油化処理剤による
処理は、無機化合物粒子粉末にカップリング剤や有機化
合物の溶液を添加混合して被覆処理すればよい。
【0046】複合体粒子は、溶媒中に分散させた無機化
合物粒子粉末をバインダー樹脂を構成するモノマーに分
散させ、開始剤或いは触媒を添加して重合する、所謂、
重合法や、無機化合物粒子粉末を含有したバインダー樹
脂を粉砕する、所謂、混練粉砕法等によって製造するこ
とが出来る。キャリアの粒径を容易に制御し、シャープ
な粒度分布にするために重合法が好ましい。
【0047】本発明においてはバインダー樹脂としてフ
ェノール樹脂を用いた複合体粒子の製造は、例えば、水
性媒体中にフェノール類とアルデヒド類と親油化処理を
行なった無機化合物粒子粉末を分散させ、塩基性触媒を
添加して反応させる方法が特に好ましい。フェノール類
とともにロジン等の天然樹脂や、桐油、亜麻仁油等の乾
性油を混合して反応させる、所謂、変性フェノール樹脂
を形成させる方法も挙げられる。
【0048】バインダー樹脂が特にフェノール樹脂であ
る場合には、適度な吸着水を保持しており、カップリン
グ剤の加水分解を促進し、強固な被覆を形成するために
好ましい。
【0049】バインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用い
た複合体粒子の製造は、例えば、水性媒体中にビスフェ
ノール類とエピハロヒドリンと親油化処理を行なった無
機化合物粒子粉末を分散させ、アルカリ水性媒体中で反
応させる方法が挙げられる。
【0050】バインダー樹脂として、メラミン樹脂を用
いた複合体粒子の製造は、例えば、水性媒体中にメラミ
ン類とアルデヒド類と、親油化処理を行なった無機化合
物粒子粉末を分散させ、弱酸性触媒の存在下で反応させ
る方法が挙げられる。
【0051】その他の熱硬化性樹脂を用いた複合体粒子
の製造方法としては、例えば、親油化処理を行なった無
機化合物粒子粉末を種々の樹脂と混練した後、粉砕し、
さらには球形化処理を行なう方法等が挙げられる。
【0052】親油化処理を行なった無機化合物粒子とバ
インダー樹脂とからなる複合体粒子は、樹脂をより硬化
させるために必要により熱処理を施すことも行なわれ
る。特に減圧下あるいは不活性雰囲気下で行うことが無
機化合物微粒子等の酸化防止のために好ましい。
【0053】次に、キャリア芯材に樹脂を被覆する方法
について述べる。樹脂の被覆は、周知の方法によって行
えばよく、例えばヘンシェルミキサーや、ハイスピード
ミキサー等を用いて芯材粒子と樹脂とを乾式混合する方
法、樹脂を含む溶剤中へ芯材粒子を含浸する方法、スプ
レードライヤーを用いて芯材粒子に樹脂を吹き付ける方
法等のいずれであってもよい。
【0054】更にコート後、樹脂の架橋反応を促進させ
るために加熱することが好ましい。その際の加熱温度
は、120℃以下とすることが好ましく、もちろんポリ
マーの分解温度以下で行なう。具体的には、流動化ベッ
ド装置においてキャリア芯材を流動化状態にして、前記
被覆液をスプレー塗布する。その時のガス流の温度はス
プレー速度、ガス流量、使用する樹脂の特性によって決
定される。被覆層の厚みは0.05〜10μmの範囲、
好ましくは0.1〜3.0μmの範囲である。
【0055】
【実施例】本発明の磁性キャリアのより具体的な構成及
び作用効果を、以下、実施例及び比較例により明らかに
するが、ここで用いる特性値の測定方法、キャリアと共
に周いるトナーの製造例、及び画像特性の評価方法につ
いて述べる。
【0056】(特性値の測定方法)「50%平均粒子
径」は、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所株式会
社製)により計測した値で示し、また、「粒子の粒子形
態」は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S
−800)で観察したものである。
【0057】「球形度」の測定は、走査型電子顕微鏡
(日立製作所製S−800)により球状複合体粒子をラ
ンダムに250個以上抽出し、平均長軸径1及び平均短
軸径wを求め、下記式によって算出した。
【0058】球形度=l/W l:球形複合体粒子の平均長軸径 W:球形複合体粒子の平均短軸径
【0059】「磁化値(σ79.58)」及び「残留磁化
値」は、振動試料型磁力計VSM−3S−15(東英工
業株式会社製)を用いて外部磁場79.58kA/mの
もとで測定した値で示した。
【0060】「真比重」は、マルチボリウム密度計(マ
イクロメリテイクス製)で測定した値で示した。
【0061】「体積固有抵抗」は、ハイレジスタンスメ
ーター4329A(横河ヒューレットパッカード製)で
測定した値で示した。
【0062】キャリアの耐久性テストに係る「帯電量」
の測定は以下のように行なった。
【0063】キャリア粒子粉末50gを100ccガラ
ス製サンプル瓶の中に入れ、ふたをした後、ペイントコ
ンディショナー(RED DEVIL社製)にて、10
時間振とうさせる。振とう前後の各々のサンプルについ
て帯電量を測定した。
【0064】なお、帯電量は、キャリア粒子粉末95質
量部とトナー製造例に示すトナー5質量部を十分に混合
し、ブローオフ帯電量測定装置TB−200(東芝ケミ
カル社製)を用いて測定した。
【0065】 (トナー製造例) ・プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸とトリメリット酸を縮合して得られた ポリエステル樹脂 100質量部 ・カーボンブラック 4質量部 ・荷電制御剤 2質量部 ・低分子量ポリオレフィン 4質量部 上記原料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行
い、二軸押出式混練機により溶融混練し、冷却後ハンマ
ーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエ
アージェット方式による粉砕機で微粉砕後、多段分割式
風力分級機で分級して、重量平均粒径7.5μmの黒色
粉体を得た。
【0066】上記黒色粉体100質量部と疎水性酸化チ
タン1質量部をヘンシェルミキサーで混合して黒色トナ
ーを得た。
【0067】(画像特性)画像特性の面から評価したキ
ャリアの耐久性は、画像濃度、ベタ均一性及びカブリで
示した。
【0068】即ち、市販のフルカラー複写機CLC70
0(キヤノン製)を使用して、画像比率10%のオリジ
ナル原稿を用いて、23℃/50%下で、連続1万枚の
複写を行ったときの画像濃度、べ夕均一性及びカブリで
示した。
【0069】なお、上記トナー製造例に示した黒色トナ
ーを用い、トナー/キャリア質量比は5%とした。
【0070】「画像濃度」の評価は、反射濃度計RD9
18(マクベス社製)で測定される画像濃度が1.5で
ある直径20mmの円を5ヶ所設けたオリジナル原稿を
複写し、画像部の画像濃度を反射濃度計RD918で測
定し、5ヶ所の平均値とした。
【0071】「ベタ均一性」の評価は、反射濃度計RD
918(マクベス社製)で測定される画像濃度が1.5
である直径20mmの円を5個所設けたオリジナル原稿
を複写し、画像部の画像濃度を反射濃度計RD918で
測定し、その際の最大値と最小値との差を求めた。 ◎:0.04以下 ○:0.04を超え0.08以下 △:0.08を超え0.12以下 ×:0.12を超える
【0072】「カブリ」の評価は、画像形成後の非画像
部(白地部)を10点測定した反射濃度の最悪値(D
s)から画像形成前の用紙を10点測定した反射濃度の
平均値(Dr)を引いた値(Dr−Ds)〔カブリ量〕
によって行った。
【0073】カブリ量1.2%以下は実質的にカブリの
無い良好な画像であり、カブリ量が1.2%を超えると
カブリの目立った不鮮明な画像である。 ◎:0.4%以下 ○:0.4%を超え0.8%以下 △:0.8%を超え1.2%以下 ×:1.2%を超える
【0074】なお、反射濃度の測定は、反射式濃度計
(TOKYO DENSHOKU CO.LTD社製R
EFLECTOMETER MODEL TC−6D
S)を用いた。
【0075】<磁性キャリア芯材粒子粉末の製造例> 磁性キャリア芯材粒子粉末A(重合A)の製造:ヘンシ
ェルミキサー内に、平均粒径が0.24μmの粒子表面
にアルミニウムの酸化物が存在している球状マグネタイ
ト粒子粉末700gと0.4μmの粒状ヘマタイト粒子
粉末300gとを仕込み、十分に良く撹拌して得られた
混合粉末に、エポキシ基を有するシラン系カップリング
剤7.5gを添加・混合して、上記混合粉末を構成する
粒子の粒子表面をシラン系カップリング剤で処理した。
【0076】1リットルのフラスコに、フェノール12
5g、37%ホルマリン187.5g、粒子表面がシラ
ン系カップリング剤で処理されている上記混合粉末1k
g、25%アンモニア水37.5g及び水125gを仕
込み、撹拌しながら60分間で85℃に上昇させた後、
同温度で120分間反応・硬化させることにより、フェ
ノール樹脂と無機化合物粒子からなる複合体粒子の生成
を行った。
【0077】次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却
し、1.5リットルの水を添加した後、上澄み液を除去
し、さらに下層の沈殿物を水洗し、風乾した。
【0078】次いで、これを減圧下(5mmHg以下)
に、150〜180℃で乾燥して複合体粒子(以下、磁
性キャリア芯材粒子粉末A(重合A)という)を得た。
【0079】この磁性キャリア芯材粒子粉末Aは、球状
マグネタイト粒子の含有量が44.0質量%、粒状ヘマ
タイト粒子の含有量が44.2質量%の球状(球形度
1.1)粒子であり、平均粒子径が35μm、比重が
3.55であって、79.58kA/mでの磁界下にお
ける磁化値(σ79.58)が38Am2/kg、残留磁化値
(σr)が3.0Am2/kg、体積固有抵抗が1×1
12Ωcmであった。
【0080】<芯材被覆樹脂の合成例>芯材被覆樹脂Iの合成例: 1段目の重合:撹拌機を備えた2リットルのオートクレ
ーブに純水570g、アニオン乳化剤としてドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム5.5g、ノニオン乳化剤
としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを2
4.8g加え、次いでアクリル酸シクロヘキシル(以
下、CHAという)239g、メタクリル酸メチル(以
下、MMAという)7.3gおよびpH調整剤として炭
酸水素アンモニウムを8.0g仕込んだ。その後、脱気
と窒素置換を3回繰り返した後脱気し、クロロトリフル
オロエチレン(以下、CTFEという)280gを仕込
み、40℃まで昇温し1時間撹拌した後、過硫酸アンモ
ニウム2.7gを水30gに溶解した開始剤水溶液およ
び亜硫酸水素ナトリウム0.51gを水20gに溶解し
た還元剤水溶液を、5.5時間かけて圧入し、全体で
7.5時間重合を行った。
【0081】次いで、上記で得られた反応液の一部をガ
スクロマトグラフィー(以下、GCという)で分析し
て、CTFE以外の単量体の反応率がほぼ100モル%
であることを確認した後、水性分散体の一部を取出し、
固形分濃度および含フッ素樹脂の単量体単位の分析等の
測定を行った。その結果、固形分濃度は44質量%であ
り、また、含フッ素樹脂のフッ素元素分析結果は19.
1質量%であり、Tgは69℃であった。フッ素含有量
およびCTFE以外の単量体のGC分析結果から算出し
た1段目フッ素樹脂の組成は、CTFE/CHA/MM
A=34/63/3(モル%)であった。
【0082】2段目の重合:上記重合で得られた含フッ
素樹脂水性分散体と、上記重合で未反応のCTFEが存
在するオートクレーブに、単量体としてバーサティック
酸ビニル[炭素数が9の分岐脂肪族カルボン酸のビニル
エステル](以下、V−9という)42g、バーサティ
ック酸ビニル[炭素数が10の分岐脂肪族カルボン酸の
ビニルエステル](以下、V−10という)42g、ト
リメトキシシリルプロピルメタクリレート(以下、MT
RIMSという)を33gおよびMMAを2.4g仕込
み、40℃まで昇温して1時間撹拌した後、過硫酸アン
モニウム1.3gを水30gに溶解した開始剤水溶液
と、亜硫酸水素ナトリウム0.25gを水20gに溶解
した還元剤水溶液とを4時間かけて圧入し、重合を5.
5時間行った。重合終了後、未反応のCTFEをパージ
し、内圧が−500mmHgになるまで窒素置換と減圧
脱気を行った後、オートクレーブを開放して固形分50
質量%の含フッ素樹脂水性分散体(以下、E1という)
を得た。得られた水性分散体の平均粒径は0.1μmで
あり、Tgは73℃であった。また、1段目フッ素樹
脂:2段目フッ素樹脂の比は1.8:1(質量比)であ
った。
【0083】上記2段階の重合で得られた樹脂のフッ素
含有量は19.6質量%であった。この値と前記1段目
重合体におけるCTFEの含有量から、2段目重合体の
含有量を求め、その他の単量体については重合転換率に
基づいて2段目重合体での合有量を求めた。その結果、
2段目フッ素樹脂の単量体組成は、CTFE/V−9/
V−10/MTRIMS/MMA=50/19/18/
10/3(モル%)であった。
【0084】芯材被覆樹脂II〜XIIIの合成例:
記の合成例において、CTFE,VTRIMS,CHA
及びMMAの単量体仕込み量をそれぞれ変化させた以外
は芯材被覆樹脂Iの合成例、もしくは芯材被覆樹脂Iの
合成例の1段目の重合と同様に重合を行い、表1に示し
た組成の芯材被覆樹脂II〜XIIIを得た。
【0085】
【表1】
【0086】実施例1 合成例Iにて得られた芯材被覆樹脂Iを20%の水溶液
に調製し、コート液とした。この水溶液を50%平均粒
径35μmのCu−Zn−Feのキャリア芯材(フェラ
イトA)1kgに流動床コーティング法によりスプレー
塗布後、約5分間乾燥させ、74μmの目開きの篩にて
篩い、本発明の実施例1のキャリアを製造した。
【0087】コア・シェル構造を持つ含フッ素水性分散
体の被覆は、電子顕微鏡観察の結果、十分且つ均一であ
った。実施例1のキャリアの画像特性は表2に示す通り
良好であった。
【0088】実施例2〜9及び比較例1〜6 粒子表面に被覆させる樹脂の種類、キャリア芯材粒子の
種類を種々変化させた以外は、実施例1と同様にして実
施例2〜9及び比較例1〜6の磁性キャリアを得た。実
施例2〜9の各実施例で得られた磁性キャリアは、いず
れも電子顕微鏡観察の結果、均一な樹脂被覆層の形成が
確認された。
【0089】得られた磁性キャリア粒子の画像特性は表
2に示す通りであった。
【0090】表2より、実施例1〜9の合フッ素樹脂の
水性分散液で芯材を被覆したキャリアは、いずれも均一
で且つ耐トナースペント性に優れた強靭な被膜が形成さ
れた為、画像均一性、ベタ均一性の安定した高耐久で且
つカブリのない乾式二成分系現像用キャリアとして好適
である。
【0091】比較例1は、被覆樹脂中にフルオロオレフ
ィンを有さない樹脂の水分散コート剤で芯材を被覆した
キャリアであり、フッ素樹脂特有の低表面エネルギー効
果を持たないために、耐久に伴なってキャリアコート層
へのトナー成分の固着・汚染が起こり、その結果キャリ
アの帯電付与能力が落ち、カブリの発生した悪い画像特
性を示した。
【0092】一方比較例2は、フルオロオレフィンを過
剰に有する含フッ素樹脂の水分散コート剤で芯材を被覆
したキャリアである。過剰なフルオロ基により成膜性が
悪くなり、芯材表面に均一な被膜が形成されず、ベタ均
一性の悪い画像特性を示したものと思われる。
【0093】比較例3は、加水分解性シリル基を有さな
い、含フッ素樹脂の水分散コート剤で芯材を被覆したキ
ャリアである。シリル基が無い為、含フッ素樹脂の水性
分散体の安定性が劣り、被膜硬度が不十分である。従っ
て、キャリアの被覆に適さず、劣悪な画像特性を示した
ものと思われる。
【0094】一方比較例4は、過剰な加水分解性シリル
基を有する含フッ素樹脂の水分散コート剤で芯材を被覆
したキャリアである。過剰な加水分解性シリル基により
被膜の耐水性が劣り、その結果不均一で不安定な被膜が
形成され、帯電性及び耐久性の劣った画像特性を示した
ものと思われる。
【0095】比較例5は、カルボン酸ビニルエステル、
シクロヘキシル基に置換基を有しても良いアクリル酸シ
クロヘキシルエステルおよびアクリル酸アルキルエステ
ルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を持
たない含フッ素樹脂の水分散コート剤で芯材を被覆した
キャリアである。実施例と比べて耐久性が劣るのは、カ
ルボン酸及びアクリル酸エステル基が無い為、耐汚染性
が今一歩劣り、耐久に伴なってキャリアコート層へのト
ナー成分の固着・汚染が進み、その結果キャリアの帯電
付与能力が落ち、カブリの発生した悪い画像特性を示す
ものと思われる。
【0096】比較例6は、過剰なアクリル酸シクロヘキ
シルエステル基を有する含フッ素樹脂の水分散コート剤
で芯材を被覆したキャリアである。過剰なアクリル酸シ
クロヘキシルエステル基により被膜の耐候性が劣り、そ
の結果耐久性に乏しい被膜が形成され、画像特性の劣化
を示したものと思われる。
【0097】
【表2】
【0098】
【発明の効果】本発明は、上記の構成からなる含フッ素
樹脂被覆層を有するキャリアであり、被覆樹脂を水を分
散剤としたコート液により塗布できるため、有機溶剤に
よる安全性や環境衛生上の問題がなく且つ安価に製造し
得るキャリアでありながら、高耐久且つ高生産性を達成
できる優れた効果を有するキャリアであり、環境問題な
どの観点からも実用価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 亮一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 勝田 恭史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 BA03 BA06 BA11 CA02 CA11 CA26 CB03 CB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリア芯材に、全単量体の合計量を基
    準とする必須構成単量体の割合が(a)フルオロオレフ
    ィン:10〜70モル%、(b)加水分解性シリル基を
    有するエチレン性不飽和単量体:0.5〜20モル%、
    (c)カルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に
    置換基を有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステ
    ルおよびアクリル酸アルキルエステルよりなる群から選
    ばれる少なくとも1種の単量体:20〜80モル%、
    (d)その他の共重合性単量体:0〜30モル%からな
    る単量体を構成成分とする含フッ素樹脂被覆層を有する
    ことを特徴とするキャリア。
  2. 【請求項2】 前記キャリア芯材が、少なくとも無機化
    合物粒子とバインダー樹脂とを有する複合体粒子である
    請求項1に記載のキャリア。
  3. 【請求項3】 上記無機化合物粒子が、1種又は2種以
    上の官能基を有する親油化処理剤又はそれらの混合物で
    処理されている請求項2に記載のキャリア。
  4. 【請求項4】 キャリア芯材に、全単量体の合計量を基
    準とする必須構成単量体の割合が(a)フルオロオレフ
    ィン:10〜70モル%、(b)加水分解性シリル基を
    有するエチレン性不飽和単量体:0.5〜20モル%、
    (c)カルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に
    置換基を有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステ
    ルおよびアクリル酸アルキルエステルよりなる群から選
    ばれる少なくとも1種の単量体:20〜80モル%、
    (d)その他の共重合性単量体:0〜30モル%からな
    る単量体を構成成分とする含フッ素樹脂被覆層を設ける
    ことを特徴とするキャリアの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂被覆層を含フッ素樹脂の水性分
    散液から形成することを特徴とする請求項4に記載のキ
    ャリアの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記含フッ素樹脂の調製工程が、下記工
    程(1)及び工程(2)からなることを特徴とする請求
    項4又は5に記載のキャリアの製造方法。 工程(1):(a)フルオロオレフィンおよび(c)カ
    ルボン酸ビニルエステル、シクロヘキシル基に置換基を
    有しても良いアクリル酸シクロヘキシルエステルおよび
    アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる少
    なくとも1種の単量体、またはこれらと(d)その他の
    共重合性単量体からなる単量体混合物を、水性媒体中で
    乳化重合して、前記(a)〜(d)の単量体単位の割合
    が、全単量体単位の合計量を基準として、(a)10〜
    70モル%、(c)20〜80モル%および(d)0〜
    30モル%である含フッ素樹脂の水性分散体を得る工
    程。 工程(2):前記(a)および(c)またはこれらと
    (d)の単量体ならびに(b)加水分解性シリル基を有
    するエチレン性不飽和単量体を、上記工程(1)で得ら
    れた含フッ素樹脂水性分散体の存在下に乳化重合して、
    前記(a)〜(d)の単量体単位の割合が、全単量体単
    位の合計量を基準として、(a)10〜70モル%、
    (b)0.5〜20モル%、(c)20〜80モル%お
    よび(d)0〜30モル%である含フッ素樹脂の水性分
    散体を得る工程。
  7. 【請求項7】 前記キャリア芯材が、少なくとも無機化
    合物粒子とバインダー樹脂とを有する複合体粒子である
    請求項4乃至6のいずれかに記載のキャリアの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 上記無機化合物粒子が、1種又は2種以
    上の官能基を有する親油化処理剤又はそれらの混合物で
    処理されている請求項7に記載のキャリアの製造方法。
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