JP2002090990A - 光重合型平版印刷版 - Google Patents

光重合型平版印刷版

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JP2002090990A
JP2002090990A JP2000276202A JP2000276202A JP2002090990A JP 2002090990 A JP2002090990 A JP 2002090990A JP 2000276202 A JP2000276202 A JP 2000276202A JP 2000276202 A JP2000276202 A JP 2000276202A JP 2002090990 A JP2002090990 A JP 2002090990A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光レーザーあるいは紫外光レーザ
ーを用いて、コンピューター等のデジタルデータから直
接記録可能な光重合型平版印刷版において、感光層表面
が均一であり、かつ保存安定性が高い光重合型平版印刷
版を提供すること。 【解決手段】 親水性表面を有する支持体上に、エ
チレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始
剤、高分子結合剤およびケイ素系界面活性剤を含む塗布
液を塗布、乾燥して得られる感光層を有する、光重合型
平版印刷版。。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピューター等
のデジタル信号に基づいて、可視光レーザーあるいは紫
外光レーザーを走査することにより直接製版できる、い
わゆるダイレクト製版可能な光重合型平版印刷版に関す
る。さらに詳しくは、レーザー露光、現像によって高品
質の画像を得ることが可能である塗布面質が均一な感光
層を有する光重合型平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム支持体上に、エチレン性不
飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、高分子結
合剤からなる光重合型組成物は、画像形成が容易なこ
と、画像部が硬化した皮膜であるために印刷に十分な強
度を有すること、非画像部の汚れ難さを達成し易いこと
等、印刷版に有利な化学的または物理的な性質を有する
ため、古くより印刷版への応用が試みられている。また
近年のレーザの発展、パーソナルコンピューターの発展
に呼応し、可視光に高感度な光開始系の技術向上が図ら
れ、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザー、
ヘリウム・ネオンレーザー、バイオレットレーザー(3
50nm〜450nmの半導体レーザー)に感応するダイレ
クト製版可能な光重合型平版印刷版が開始され、市場に
供されて来た。これらに関する技術については、数多く
の特許が出されており、例えば、特公平7−10317
1号公報には、特定の構造を有するシアニン色素、ヨー
ドニウム塩およびエチレン性不飽和二重結合を有する付
加重合可能な化合物よりなるレーザー露光および現像に
より画像形成可能な感光性記録材料が記載されている。
この感光層は、感光層塗布液をバーコーター等の塗布手
段で塗布し乾燥することにより形成されるが、実際には
バーの接触時に生じた膜厚の不均一や塗布液の乾燥時の
風ムラや塗布液流動により生じるユズ肌等により、均一
な膜厚の感光層の形成が困難であった。このような不均
一な感光層を有する感光性平版印刷版を用いると、画質
の低下が多く見られる。また、感光層形成後、直ちに露
光、現像した版の感度に比較し、経時保存後処理した版
の感度が低いという問題があった。感光層の均一性を高
める方法として塗布液に各種の界面活性剤を配合するこ
とが検討されているが、汎用の非イオン界面活性剤で
は、経時的な感度の安定性が得難く、またフッ素系界面
活性剤を用いた場合には、比較的均一な塗膜は得られる
ものの、塗布乾燥直後は感光層表面に偏在化したフッ素
系界面活性剤が、経時により感光層と混合してしまい、
結果として感度が低下してしまうという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、可視光レーザーあるいは紫外光レーザーを用いて、
コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能な
光重合型平版印刷版において、感光層表面が均一であ
り、かつ保存安定性が高い光重合型平版印刷版を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、光重合型平
版印刷版の感光層塗布液に用いる界面活性剤の特性に着
目し、鋭意研究の結果、ケイ素系界面活性剤を用いるこ
とで、塗布後の感光層表面が均一であり、経時安定性が
良好な感光層の形成が可能であることを見出し、本発明
を完成するに至った。即ち、本発明は、親水性表面を有
する支持体上に、エチレン性不飽和二重結合を有する化
合物、光重合開始剤、高分子結合剤およびケイ素系界面
活性剤を含む塗布液を塗布、乾燥して得られる感光層を
有する、光重合型平版印刷版である。本発明の光重合型
平版印刷版は、通常、感光層の上にさらに酸素遮断性の
オーバーコート層が敷設されるが、この他に、必要に応
じ、他の層、例えば支持体と感光層の間に中間層を、支
持体の背面にバックコート層を設けることができる。
【0005】本発明の作用は明確ではないが、感光層塗
布液に含まれるケイ素系界面活性剤は低濃度でも高い界
面活性能力を発現し、支持体上に塗布された感光層溶液
が速やかに平滑化して表面が均一な感光層が得られると
考えられる。さらに、感光層塗布液の乾燥により溶媒が
除去される際に、ケイ素系界面活性剤が感光層の表面お
よびその近傍に偏在化され、ケイ素系界面活性剤の疎水
基場の働きで、感光層表面における空気中の水分の影響
が小さくなり、経時による感度変動を防止するものと推
定される。また、ケイ素系界面活性剤を使用することに
より、さらに感光層表面の滑り性が向上するために耐傷
性が向上する利点も有する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の特徴は、感光層中にケイ素系界面活性剤を含有す
る点にある。 〔ケイ素系界面活性剤〕本発明の感光層塗布液に用いる
ケイ素系界面活性剤としては、分子の主鎖中にSiを有す
る界面活性剤が挙げられ、例えば、カルボン酸や硫酸エ
ステルの構造を有するアニオン性界面活性剤、アミン塩
や四級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、主
鎖中にアルキレンオキシドを含む非イオン性界面活性
剤、シロキサン骨格を有する所謂シリコーン系界面活性
剤等のいずれであってもよい。以下に本発明に使用しう
るケイ素系界面活性剤を例示するが本発明はこれらに制
限されるものではない。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
【化3】
【0010】式中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル
基を表す。mは0〜50を表す。nは0〜50を表す。
xは0〜50を表す。前記アルキル基としては、炭素数
1〜30の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられ
る。
【0011】ケイ素系界面活性剤はその親水基、疎水基
の種類及びその数などにより、発現する界面活性能、有
機溶剤の可溶化能、顔料などの固体微粒の分散安定化能
などの各種機能が異なるため、いずれのケイ素系界面活
性剤を用いるかは、感光層に用いられる各種の成分との
親和性、必要な界面活性能、分散性等を考慮して適宜選
択すればよいが、一般的には、効果の観点から、非イオ
ン性界面活性剤が好ましく、なかでもシロキサン/オキ
シエチレン共重合体に代表されるシリコーン系界面活性
剤が好ましい。
【0012】本発明の感光層塗布液には、前記ケイ素系
界面活性剤を感光層全不揮発成分に対して、0.01〜
8質量%含有することが好ましく、0.05〜4質量%
であることがさらに好ましい。含有量が少なすぎると経
時安定性向上効果や感光層の耐傷性向上効果が不充分と
なり、多すぎると塗布面状が劣化するため、いずれも好
ましくない。
【0013】本発明の感光層を構成する光重合性組成物
は、上記ケイ素系界面活性剤の他に、付加重合可能なエ
チレン性不飽和二重結合を有する化合物、光開始剤、高
分子結合剤を必須成分とし、必要に応じ、着色剤、可塑
剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を併用することがで
きる。
【0014】〔エチレン性不飽和二重結合を有する化合
物〕エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とは、光
重合型感光性組成物が活性光線の照射を受けた時、光重
合開始剤の作用により付加重合し、架橋、硬化するよう
なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。
【0015】付加重合可能なエチレン性二重結合を含む
化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選
択することができる。例えばモノマー、プレポリマー、
すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれ
らの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態を
もつものである。
【0016】モノマーの例としては、不飽和カルボン酸
(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族
多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸
と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
【0017】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソル
ビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリ
レート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトー
ルヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチ
ル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリ
ゴマー等がある。
【0018】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレ
ート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトール
テトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチル
メタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フ
ェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0019】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,
4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレング
リコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタ
コネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジク
ロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネー
ト、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトー
ルストラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エス
テルとしては、エチレングリコールジイソクロトネー
ト、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビ
トールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリ
エチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトール
ジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さ
らに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることが
できる。
【0020】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0021】その他の例としては、特公昭48−417
08号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、
下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニル
モノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられ
る。 CH2=C(R5)COOCH2CH(R6)OH (A) (ただし、R5およびR6はHあるいはCH3を示す。)
【0022】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号各公報に記載されているようなウレタ
ンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭
49−43191号、特公昭52−30490号各公報
に記載されているようなポリエステルアクリレート類、
エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキ
シアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリ
レートをあげることができる。さらに日本接着協会誌 v
ol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)
に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されて
いるものも使用することができる。なお、これらエチレ
ン性不飽和化合物の使用量は、感光層全成分の5〜80
質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲で使用され
る。
【0023】〔光重合開始剤〕また本発明の光重合開始
剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等
で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開
始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることが
できる。以下に具体例を列挙するがこれらに制限される
ものではない。
【0024】400nm以上の可視光線、Arレーザー、半
導体レーザーの第2高周波、SHG−YAGレーザーを
光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されてお
り、例えば、米国特許第2,850,445号に記載のあ
る種の光還元性染料、例えばローズベンガル、エオシ
ン、エリスロシンなど、あるいは、染料と開始剤との組
み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系
(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミ
ダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭4
5−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールと
p−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭
47−2528号、特開昭54−155292号)、環
状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭4
8−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色
素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマ
リンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開
昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘
導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、
有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特
開昭59−140203号、特開昭59−189340
号、特開昭62−174203号、特公昭62−164
1号、米国特許第4766055号)、染料と活性ハロ
ゲン化合物の系(特開昭63−1718105号、特開
昭63−258903号、特開平2−63054号な
ど)染料とボレート化合物の系(特開昭62−1430
44号、特開昭62−150242号、特開昭64−1
3140号、特開昭64−13141号、特開昭64−
13142号、特開昭64−13143号、特開昭64
−13144号、特開昭64−17048号、特開平1
−229003号、特開平1−298348号、特開平
1−138204号など)ローダニン環を有する色素と
ラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開
平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリ
ン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセ
ンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基
を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合
わせた系(特開平4−221958号、特開平4−21
9756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の
系(特開平6−295061号)、チタノセンとベンゾ
ピラン環を有する色素の系(特願平7−164583)
等をあげることができる。
【0025】また、最近400〜410nmの波長のレー
ザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感応
する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系が開発
されており、これらの光開始系も使用される。例えば、
カチオン色素/ボレート系(特開平11−8464
7)、メロシアニン色素/チタノセン系(特開2000
−147763)、カルバゾール型色素/チタノセン系
(特願平11−221480)等を挙げることができ
る。本発明においては特にチタノセン化合物を用いた系
が、感度の点で優れており好ましい。
【0026】チタノセン化合物としては、種々のものを
用いることができるが、例えば、特開昭59−1523
96号、特開昭61−151197号各公報に記載され
ている各種チタノセン化合物から適宜選んで用いること
ができる。さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニ
ル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−
Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−
ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,
6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペン
タジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ
−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペ
ンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ
−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビ
ス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,
6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジ
エニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−
1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができ
る。
【0027】更に上記光重合開始剤に必要に応じ、2−
メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイ
ミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチ
オール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアル
キルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等
の水素供与性化合物を加えることにより更に光開始能力
が高められることが知られている。これらの光重合開始
剤(系)の使用量はエチレン性不飽和化合物100質量
部に対し、0.05〜100質量部、好ましくは0.1〜
70質量部、更に好ましくは0.2〜50質量部の範囲
で用いられる。
【0028】〔高分子結合剤〕本発明に用いられる高分
子結合剤としては、該組成物の皮膜形成剤としてだけで
なく、アルカリ現像液に溶解する必要があるため、アル
カリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が
使用される。有機高分子重合体は、例えば、水可溶性有
機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様
な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有
する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特
公昭54−34327号、特公昭58−12577号、
特公昭54−25957号、特開昭54−92723
号、特開昭59−53836号、特開昭59−7104
8号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共
重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、ク
ロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル
化マレイン酸共重合体等がある。
【0029】また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸
性セルロース誘導体がある。この外に水酸基を有する付
加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用で
ある。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレー
ト/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重
合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)ア
クリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。こ
の他に水溶性有機高分子として、ポリビニルピロリドン
やポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮
膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン
とエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0030】また特公平7−120040号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特開平11−352691号各公報に記載のポリウレタ
ン樹脂も本発明の用途には有用である。
【0031】これら高分子重合体は側鎖にラジカル反応
性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させる
ことができる。付加重合反応し得る官能基としてエチレ
ン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又光照
射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカプト
基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニ
ウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミ
ド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能基と
しては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリ
ル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、又
アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カル
バモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレ
ン基、スルフォン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能
基も有用である。
【0032】組成物の現像性を維持するためには、本発
明の高分子結合剤は適当な分子量、酸価を有することが
好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価2
0〜200の高分子重合体が有利に使用される。これら
の有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させる
ことができる。しかし90質量%を超える場合には形成
される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ま
しくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質
量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物
と有機高分子重合体は、重量比で1/9〜9/1の範囲
とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/
2であり、更に好ましくは3/7〜7/3である。
【0033】また、本発明においては以上の基本成分の
他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合
可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止す
るために少量の熱重合禁止剤を添加することが望まし
い。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−
メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノ
ン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒ
ドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニ
ルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等があげられる。
熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約
0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応
じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸や
ベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加し
て、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させても
よい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.
5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0034】更に感光層の着色を目的として、着色剤を
添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシア
ニン系顔料(C. I. Pigment Biue15:3、15:4、
15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化
チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバ
イオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニ
ン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の
約0.5質量%〜約20質量%が好ましい。加えて、硬
化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチ
ルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホス
フェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これら
の添加量は全組成物の10質量%以下が好ましい。
【0035】また、本発明の感光層塗布液は、前述の如
くケイ素系界面活性剤を含有しているため、本発明の目
的以外にも、例えば、塗布液の均一性の向上や現像条件
に対する処理の安定性を広げるなどの特性も得ることが
できるが、さらに目的に応じて、前記ケイ素系界面活性
剤に加えて、特開昭62−251740号や特開平3−
208514号公報に記載されているような非イオン界
面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−1
3149号公報に記載されているような両性界面活性剤
を添加することができる。
【0036】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。
【0037】上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性
剤を用いる場合、感光層全不揮発分に対して、5質量%
以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
また、これらはケイ素系界面活性剤に対して60質量%
以下であることが効果の観点から好ましい。
【0038】本発明の光重合型平版印刷版を製造するに
は、通常、感光層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶
かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用
する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ
エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテ
ート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、
ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクト
ン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定
されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して
使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形
分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0039】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版
印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好
ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は
大になるが、画像記録の機能を果たす感光層の皮膜特性
は低下する。感光層塗布液を塗布する方法としては、種
々の方法を用いることができるが、例えば、バーコータ
ー塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディ
ップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗
布等を挙げることができる。
【0040】本発明においては、感光層塗布液に低濃度
でも低い表面張力を発現するケイ素系界面活性剤を含有
するため、溶媒を含む感光層塗布液を塗布する際、塗布
に際して用いたバーコーターなどの塗布手段により形成
される感光層塗布液の波打ちが速やかに平滑化され、そ
の後、溶媒が除去されることにより、表面の均一性に優
れ、膜厚が均一な感光層が容易に形成される。
【0041】〔オーバーコート層〕本発明の光重合型平
版印刷版原版には、感光層中における空気中の酸素に起
因する重合阻害を防止し、感度の安定性を向上するため
にオーバーコート層を設けることが好ましい。
【0042】オーバーコート層には、酸素遮断性に優れ
た薄膜を形成し得る点及び現像時に容易に除去されるよ
う水溶性高分子である点を考慮して、ポリビニルアルコ
ールが好適に用いられる。ポリビニルアルコールは、必
要な水溶性を有する実質的量の未置換ビニルアルコール
単位を含有してさえいれば、一部がエステル、エーテ
ル、およびアセタールで置換されていても良い。また、
同様に一部が他の共重合成分を含有しても良い。ポリビ
ニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水
分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙
げられる。具体的には、市販品として、株式会社クラレ
製PVA−105、PVA−110、PVA−117、
PVA−117H、PVA−120、PVA−124、
PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、P
VA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA
−205、PVA−210、PVA−217、PVA−
220、PVA−224、PVA−217EE、PVA
−220、PVA−224、PVA−217EE、PV
A−217E、PVA−220E、PVA−224E、
PVA−405、PVA−420、PVA−613、L
−8等があげられる。上記の共重合体としては、88〜
100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロア
セテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマール
およびポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体が
あげられる。
【0043】これらのポリビニルアルコールは、オーバ
ーコート層全固形分に対して、50〜99.7質量%で
あることが好ましく、70〜99.5質量%であること
がより好ましい。含有量が50質量%未満であると酸素
透過防止効果が不充分で、感度が低下する傾向があり、
99.7質量%を超えるとインク着肉性が低下するた
め、いずれも好ましくない。このオーバーコート層に
は、前記高分子のほか、本発明の効果を損なわない範囲
において、酸素透過性の低い、他の水溶性高分子を併用
することができる。併用し得る水溶性高分子としては、
例えば、セロハン、水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、ア
ラビアゴムなどが挙げられる。これらは単独または、併
用して用いても良い。
【0044】また、オーバーコート層にはさらに塗布性
を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良する
ための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良
い。水溶性の可塑剤としてはたとえばプロピオンアミ
ド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトー
ル等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマ
ーなどを添加しても良い。さらにまた、これらのポリマ
ーに感光層との密着、経時安定性の向上等のために添加
剤を加えても良い。オーバーコート層は、通常上記各成
分を水に溶かして、感光層上に塗布することにより、形
成することができる。塗布溶剤としては、好ましくは、
蒸留水を用いる。オーバーコート層塗布液の塗布方法
は、前述した感光層の塗布と同様に、公知の塗布方法を
用いればよい。オーバーコート層の塗布、乾燥後に得ら
れる塗布量は、0.5〜10g/m2であり、好ましくは
1〜5g/m2である。
【0045】〔支持体〕本発明の光重合型平版印刷版に
おいて前記感光層を塗布可能な支持体としては、寸度的
に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン
等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニ
ウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、
二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セ
ルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸
セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミ
ネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム
等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステ
ルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0046】本発明の平版印刷版原版に使用する支持体
としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れた
アルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に
供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050
材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−Mg
系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合
金、Al−Mg−Si系合金などが挙げられる。
【0047】所定の厚さ0.1〜0.5mmを有するAl板は
平面性を改善するために、ローラレベラ、テンションレ
ベラ等の矯正装置によって、平面性を改善しても良い。
板の厚みの精度は、コイル全長にわたって、±10μm
以内、望ましくは±6μm以内が良い。また、幅方向の
板厚差は6μm以内、望ましくは3μm以内がよい。Al
板の表面粗度は、圧延ロールの表面粗さの影響を受けや
すいが、最終的に中心線表面粗さ(Ra)で、Ra=
0.1〜1.0μm程度に仕上げるのがよい。Raが大き
すぎると、平版印刷版用としての粗面化処理、感光層塗
布をしたとき、Alのもともとの粗さすなわち、圧延ロー
ルによって転写された粗い圧延条痕が感光層の上から見
えるため、外観上好ましくない。Ra=0.1μm以下
の粗さは、圧延ロールの表面を過度に低粗度に仕上げる
必要が有るため、工業的に望ましくない。
【0048】上記の如きAl板は表面に粗面化処理等の表
面処理を行い、感光層を塗布して平版印刷板とすること
が出来る。粗面化処理には、機械的粗面化、化学的粗面
化、電気化学的粗面化が単独又は組み合わせて行われ
る。また、表面のキズ付き難さを確保するための陽極酸
化処理を行ったり、親水性を増すための処理を行うこと
も好ましい。
【0049】以下に支持体の表面処理について説明す
る。アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応
じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、
有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が
行われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中
和、スマット除去などの処理を行ってもよい。
【0050】次いで支持体と感光層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされてい
る。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンド
ブラスト、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ナイロ
ンブラシと研磨材/水スラリーによるブラシグレイン、
研磨材/水スラリーを表面に高圧で吹き付けるホーニン
ググレインなどによる機械的砂目立て方法があり、また
アルカリまたは酸あるいはそれらの混合物からなるエッ
チング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て方法が
ある。また、電気化学的砂目立て方法、機械的砂目立て
方法と電気化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法、
機械的砂目立て方法と鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶
液による化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法も知
られている。
【0051】これらのような粗面化方法は複数を組み合
わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意
に選択することができる。複数の粗面化処理を組み合わ
せる場合、その間に、続いて行う粗面化処理を均一に行
えるようにするために酸またはアルカリ水溶液による化
学的処理を行うことができる。上記、酸またはアルカリ
水溶液の具体例としては、例えば弗酸、弗化ジルコン
酸、りん酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸および水酸化ナ
トリウム、珪酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、などのア
ルカリ水溶液が挙げられる。これらの酸またはアルカリ
水溶液はそれぞれ一種または二種以上を混合して使用す
ることができる。化学的処理はこれらの酸またはアルカ
リの0.05〜40質量%水溶液を用い、40℃〜10
0℃の液温において5〜300秒処理するのが一般的で
ある。
【0052】前述のような粗面化処理すなわち砂目立て
処理して得られた支持体の表面には、スマットが生成し
ているので、このスマットを除去するために適宜水洗あ
るいはアルカリエッチング等の処理を行うことが一般的
に好ましい。本発明に用いられるアルミニウム支持体の
場合には、前述のような前処理を施した後、通常、耐摩
耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化
によって支持体に酸化皮膜を形成させる。
【0053】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば
いかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、
リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはこれらの混酸が用いら
れる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適
宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、電流
密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間1
0秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化皮膜の
量は1.0g/m 2以上が好適であるが、より好ましくは
2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.
0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版
印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の
部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易く
なる。
【0054】本発明のアルミニウム支持体は陽極酸化処
理後に有機酸またはその塩による処理を行うか、また
は、これらの有機酸類を含む感光層塗布の下塗り層を形
成することができる。用い得る有機酸またはその塩とし
ては、有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン
酸またはその塩等が挙げられるが、好ましくは有機カル
ボン酸またはその塩である。有機カルボン酸としては、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸類;オ
レイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸
類;蓚酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等の脂肪
族ジカルボン酸類;乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸等のオキシカルボン酸類;安息香酸、マン
デル酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類
およびIa、IIb、IIIb、IVa、VIbおよびVIII族の金属塩
およびアンモニウム塩が挙げられる。上記有機カルボン
酸塩のうち好ましいのは蟻酸、酢酸、酪酸、プロピオン
酸、ラウリン酸、オレイン酸、コハク酸および安息香酸
の上記金属塩およびアンモニウム塩である。これらの化
合物は単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0055】これらの化合物は水、アルコールに0.0
01〜10質量%、特に0.01〜1.0質量%の濃度と
なるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては2
5〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、pH
は1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、好
ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬するか、処理液を
支持体に塗布する。
【0056】また、さらに陽極酸化処理後、以下のよう
な化合物溶液による処理や、これらの化合物を、感光層
塗布の下塗り層として用いることができる。好適に用い
られる化合物としては、例えば、置換基を有してもよい
フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホ
スホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸
およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置
換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、
アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン
酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフ
チルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセ
ロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシン、β
−アラニン、バリン、セリン、スレオニン、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、トリプトフ
ァン、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシ
エチルグリシン、アントラニル酸等のアミノ酸;スルフ
ァミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等のアミノス
ルホン酸;1−アミノメチルホスホン酸、1−ジメチル
アミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン
酸、2−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノフェニ
ルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン
酸、1−アミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホス
ホン酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホ
ン酸、1−ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン
酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のア
ミノホスホン酸等の化合物が挙げられる。
【0057】また、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メ
タンスルホン酸等)または蓚酸と、アルカリ金属、アン
モニア、低級アルカノールアミン(トリエタノールアミ
ン等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン等)等
との塩も好適に使用することができる。
【0058】ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよび
その鉱酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸およびその金属
塩、ポリスチレンスルホン酸およびその金属塩、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルと2−アクリルアミド
−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその金属
塩、塩化トリアルキルアンモニウムメチルスチレンのポ
リマーおよびその(メタ)アクリル酸とのコポリマー、
ポリビニルホスホン酸等の水溶性ポリマーも好適に使用
することができる。
【0059】さらに可溶性デンプン、カルボキシメチル
セルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アラビアガム、グアーガム、アルギン酸ソーダ、ゼ
ラチン、グルコース、ソルビトールなども好適に使用す
ることができる。これらの化合物は単独でも2種以上を
組み合わせて用いてもよい。処理する場合、これらの化
合物は水かつ/またはメチルアルコールに0.001〜
10質量%、特に0.01〜1.0質量%の濃度となるよ
う溶解されるのが好ましく、処理条件としては25〜9
5℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、pHは1〜
13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、好ましく
は10秒〜3分間支持体を浸漬する。
【0060】感光層塗布の下塗り層として用いる場合
は、同様に水かつ/またはメチルアルコールに0.00
1〜10質量%、特に0.01〜1.0質量%の濃度とな
るように溶解され、必要に応じて、アンモニア、トリエ
チルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩
酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1
〜12の範囲で使用することもできる。また、感光性平
版印刷版の調子再現性改良のために黄色系染料を添加す
ることもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜
200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/
m2である。上記の被覆量が2mg/m2未満であると汚れ防
止等の本来の目的に十分な効果が得られない。また、2
00mg/m2を越えると耐刷力が低下する。
【0061】なお支持体と感光層との密着性を高めるた
めの中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、
一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに
吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さ
は任意であり、露光した時に、上層の感光層と均一な結
合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、
乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、5〜
40mg/m2が特に良好である。中間層中におけるジアゾ
樹脂の使用割合は、30〜100質量%、好ましくは6
0〜100質量%である。
【0062】以上のような処理及び下塗り層付与の前
に、陽極酸化処理された支持体は、水洗処理されたあ
と、現像液への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感光層成分の
残膜抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮膜の親水
性向上、感光層との密着性向上等を目的に、以下のよう
な処理を行うことができる。そのひとつとしては、陽極
酸化皮膜をアルカリ金属の珪酸塩水溶液と接触させて処
理するシリケート処理があげられる。この場合、アルカ
リ金属珪酸塩の濃度は0.1〜30質量%、好ましくは
0.5〜15質量%であり、25℃でのpHが10〜1
3.5である水溶液に5〜80℃、好ましくは10〜7
0℃、より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒
間接触させる。接触させる方法は、浸漬でもスプレーに
よる吹き付けでも、いかなる方法によってもかまわな
い。アルカリ金属珪酸塩水溶液はpHが10より低いと
液はゲル化し、13.5より高いと陽極酸化皮膜が溶解
されてしまう。
【0063】他には、各種封孔処理もあげられ、一般的
に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知られている、水
蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸
塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂
含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ
土類塩などによる)などを用いる事ができるが、印刷版
用支持体としての性能(感光層との密着性や親水性)、
高速処理、低コスト、低公害性等の面から水蒸気封孔が
比較的好ましい。また、封孔処理に代えるか或いは引き
続き、亜硝酸溶液で浸漬または吹き付け処理することが
できる。
【0064】以上のような、シリケート処理または封孔
処理を施したあと、感光層との密着性をアップさせるた
めに特開平5−278362号公報に開示されている酸
性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、特開平4−
282637号公報や特開平7−314937号公報に
開示されている有機層を設けてもよい。支持体表面に以
上のような処理或いは、下塗りなどが施された後、支持
体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられ
る。かかるバックコートとしては特開平5−45885
号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−351
74号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解
および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層
が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH
3)4 、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などの珪素
のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得ら
れる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好
ましい。
【0065】光重合型平版印刷版用支持体として好まし
い特性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μm
である。0.10μmより低いと感光層と密着性が低下
し、著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより
大きい場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに
支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜
0.65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハ
レーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、
0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像
が見難くく、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0066】〔露光及び現像〕以上のようにして、所定
の処理を行って得られた支持体上に、感光層、オーバー
コート層および他の任意の層を形成することで、本発明
の光重合型平版印刷版を得ることができる。この平版印
刷版は、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザ
ー、ヘリウム・ネオンレーザー、バイオレットレーザー
(350nm〜450nmの半導体レーザー)で露光され、
好ましくは版面での光量として0.01〜1.0mJ/cm2
で露光される。露光後、50〜150℃で、1秒〜30
分間の加熱処理を行い、硬化率を上げることも行われて
いる。
【0067】現像は通常、アルカリ水溶液を使用して行
われる。オーバーコート層と未露光部の感光層を一浴の
現像液で現像しても良いし、あるいはオーバーコートを
先に水、あるいは温水で除去し、その後、感光層未露光
部を現像液で現像してもよい。現像液として、アルカリ
性水溶液を用いる場合、本発明の画像記録材料の現像液
及び補充液としては、従来公知のアルカリ水溶液が使用
できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3
リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2
リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸
ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナ
トリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリ
ウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウ
ム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無
機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、
ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロ
ピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピル
アミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプ
ロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレ
ンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカ
リ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独又は2種
以上を組み合わせて用いられる。
【0068】さらに、自動現像機を用いて現像する場合
には、現像液と同じものまたは、現像液よりもアルカリ
強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによ
って、長時間現像タンク中の現像液を交換することな
く、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られて
いる。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用さ
れる。現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像
カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的
で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加で
きる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチ
オン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。
好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール等が挙げ
られる。また、ポリエチレングリコール若しくはその誘
導体、又はポリプロピレングリコール若しくはその誘導
体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソルビッ
ト、マンニット等の非還元糖を添加することもできる。
【0069】さらに、現像液及び補充液には必要に応じ
て、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸
水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還
元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加
えることもできる。このような界面活性剤、有機溶剤及
び還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭
51−77401号に記載されている、ベンジルアルコ
ール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からな
る現像液組成物、特開昭53−44202号に記載され
ている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、
及び水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成
物、特開昭55−155355号に記載されている、水
に対する溶解度が常温において10質量%以下である有
機溶剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等
が挙げられ、本発明においても好適に使用される。
【0070】以上記述した現像液及び補充液を用いて現
像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有す
るリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化
液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷用版材
として使用する場合の後処理としては、これらの処理を
種々組み合わせて用いることができる。
【0071】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く
用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後
処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液
槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平
に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレ
ーノズルから吹き付けて現像処理するものである。ま
た、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイド
ロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する
方法も知られている。このような自動処理においては、
各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充し
ながら処理することができる。また、電気伝導度をセン
サーにて感知し、自動的に補充することもできる。ま
た、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨
て処理方式も適用できる。
【0072】上記の様な処理により得られた印刷版は特
願平10−260396号に記載の方法による後露光処
理やバーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上さ
せることができる。このような処理によって得られた平
版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷
に用いられる。
【0073】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 〔実施例1〕厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム
板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストン
の水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水
で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒
間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20% H
NO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条
件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中
で300クーロン/dm 2の陽極時電気量で電解粗面化処
理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μ
(Ra表示)であった。ひきつづいて30% H2SO4水溶
液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33
℃、20% H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を
配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸
化したところ厚さが2.7g/m2であった。このように
処理されたアルミニウム板上に、下記組成の高感度光重
合性組成物1を乾燥塗布重量が1.5g/m2となるよう
にバーコーターにて塗布し、100℃で1分間乾燥さ
せ、感光層を形成した。
【0074】 光重合性組成物1 エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.5 質量部 線状有機高分子重合体(B1) 2.0 質量部 増感剤(C1) 0.15 質量部 光開始剤(D1) 0.2 質量部 ε−フタロシアニン(F1)分散物 0.02 質量部 ケイ素系界面活性剤 TEGO GLIDE100 (テゴケミーサービス社製) 0.03 質量部 メチルエチルケトン 9.0 質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 質量部 トルエン 11.0 質量部 この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モ
ル%、重合度500)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質
量が2.5g/m2となるようにバーコーターにて塗布
し、120℃で3分間乾燥させ、光重合性平版印刷版を
得た。
【0075】
【化4】
【0076】得られた光重合型平版印刷版の塗布表面の
状態を目視にて評価した。表面が均一でムラがないもの
が良好と判断した。またこの感光性平版印刷版をFD・
YAGレーザー(CSI社製プレートジェット4)で版
面露光量50μJ/cm2〜300μJ/cm2の範囲を10
μJ/cm2刻みで露光した後、現像液1およびフィニッ
シャーガム液FP−2W(富士写真フイルム社製)を仕
込んだ次号現像機(富士写真フイルム社製LP−850
P2)で標準処理を行った。
【0077】 (現像液1の組成) 水酸化カリウム 0.15 g ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 5.0g キレスト400(キレスト(株)製、キレート剤) 0.1g 水 94.75 g
【0078】現像処理後の画像部の濃度が十分となると
ころの版面露光量を目視で判定して感度とした。さら
に、この未露光の平版印刷版を温度40℃、湿度80%
の環境下で2日間保存した後、同様に露光、現像を行
い、保存後の感度を測定した。作成直後と保存後の感度
差が小さいものほど保存安定性が良好であることを示
す。
【0079】また露光、現像した平版印刷版を小森コー
ポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷し
た。この際、得られた印刷物を目視にて評価し、画像部
の傷つきによる欠陥、白ヌケの有無を観察した。これら
の評価の結果を表1に示す。
【0080】(比較例1)実施例1において、光重合性
組成物1からケイ素系界面活性剤を除いた他は、実施例
1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施し
た。結果を表1に示す。 (比較例2)実施例1において、光重合性組成物1のケ
イ素系界面活性剤をフッ素系界面活性剤メガファックス
F−176(大日本インキ社製)に変えた他は、実施例
1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施し
た。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1から明らかなように、本発明の実施例
1に係る感光層塗布液は、感光層形成後の表面の均一性
に優れていた。また、本発明の平版印刷版は保存後も感
度変動が少なく安定であり、画質の優れた印刷物が得ら
れた。これに対し、界面活性剤を全く使用しない場合に
は(比較例1)、塗布表面に筋状のムラが有り、また保存
後の感度低下と画像部の欠陥も多くみられた。フッ素系
界面活性剤を用いた場合には(比較例2)、塗布表面は均
一であったものの、保存後の感度低下が大きかった。
【0083】〔実施例2〕下記下塗り用液状組成物を混
合し攪拌した。約5分後に発熱が見られ、60分間反応
させた後、内容物を別の容器に移し、メタノールを更に
3万質量部加えることで液状塗布液を作成した。
【0084】 (下塗り用液状組成物) ユニケミカル(株)製ホスマーPE 20質量部 メタノール 130質量部 水 20質量部 パラトルエンスルホン酸 5質量部 テトラエトキシシラン 50質量部 3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 50質量部 この液状塗布液を、実施例1の陽極酸化されたアルミ支
持体上に、Si量が約0.001g/m2となるように塗布
し、100℃で1分間乾燥させた。
【0085】次に実施例1の光重合性組成物1のエチレ
ン性不飽和結合含有化合物A1をA2に、線上有機高分
子重合体B1をアリルメタクリレート/メタクリル酸
(70/30モル%)共重合体(分子量5万)に変えた
他は実施例1と全く同様にして光重合型平版印刷版を作
成し、感光層塗布表面の状態を目視にて評価した。その
後の操作においては、現像液1を富士写真フイルム製L
P−D現像液を水で10倍に希釈したものに変えた他
は、実施例1と全く同じ操作で、露光、現像、評価を実
施した。その結果を表2に示す。
【0086】
【化5】
【0087】(比較例3)実施例1において、光重合性
組成物1からケイ素系界面活性剤を除いた他は、実施例
1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施し
た。結果を表2に示す。
【0088】(比較例4)実施例1において、光重合性
組成物1のケイ素系界面活性剤をフッ素系界面活性剤メ
ガファックスF−176(大日本インキ社製)を変えた
他は、実施例1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、
評価を実施した。結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】表2から明らかなように、本発明の実施例
2に係る感光層塗布液は、感光層形成後の表面の均一性
に優れていた。また、本発明の平版印刷版は保存後も感
度変動が少なく安定であり、画質の優れた印刷物が得ら
れた。これに対し、界面活性剤を全く使用しない場合に
は(比較例3)、塗布表面に筋状のムラが有り、また保存
後の感度低下が大きく、画像部の欠陥も多くみられた。
フッ素系界面活性剤を用いた場合には(比較例4)、塗布
表面は均一であったものの、保存後の感度低下が大きか
った。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、コンピューター等のデ
ジタル信号に基づいて、可視光レーザーあるいは紫外光
レーザーを走査することにより直接製版可能であり、高
品質の画像を得ることが可能である塗布表面が均一な感
光層を有する光重合型平版印刷版を提供することが可能
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/032 G03F 7/032 Fターム(参考) 2H025 AA18 AB03 AC01 AC08 AD01 BC12 CA00 CB00 CC04 DA17 2H096 AA06 BA05 CA03 EA04 2H114 AA04 AA23 BA01 BA10 DA21 DA32 DA38 DA41 DA43 DA52 DA53 DA55 DA56 DA58 DA60 DA62 EA01 EA02 EA08 EA10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有する支持体上に、エチレ
    ン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、高
    分子結合剤およびケイ素系界面活性剤を含む塗布液を塗
    布、乾燥して得られる感光層を有する、光重合型平版印
    刷版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007097302A1 (ja) * 2006-02-24 2007-08-30 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 感光性平版印刷版材料及びその製造方法

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