JP4252716B2 - 光重合型平版印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューター等のデジタル信号に基づいて、可視光レーザーあるいは紫外光レーザーを走査することにより直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な光重合型平版印刷版に関する。
さらに詳しくは、レーザー露光、現像によって高品質の画像を得ることが可能である塗布面質が均一な感光層を有する光重合型平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム支持体上に、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、高分子結合剤からなる光重合型組成物は、画像形成が容易なこと、画像部が硬化した皮膜であるために印刷に十分な強度を有すること、非画像部の汚れ難さを達成し易いこと等、印刷版に有利な化学的または物理的な性質を有するため、古くより印刷版への応用が試みられている。
また近年のレーザの発展、パーソナルコンピューターの発展に呼応し、可視光に高感度な光開始系の技術向上が図られ、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、バイオレットレーザー(350nm〜450nmの半導体レーザー)に感応するダイレクト製版可能な光重合型平版印刷版が開始され、市場に供されて来た。
これらに関する技術については、数多くの特許が出されており、例えば、特公平7−103171号公報には、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニウム塩およびエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物よりなるレーザー露光および現像により画像形成可能な感光性記録材料が記載されている。この感光層は、感光層塗布液をバーコーター等の塗布手段で塗布し乾燥することにより形成されるが、実際にはバーの接触時に生じた膜厚の不均一や塗布液の乾燥時の風ムラや塗布液流動により生じるユズ肌等により、均一な膜厚の感光層の形成が困難であった。このような不均一な感光層を有する感光性平版印刷版を用いると、画質の低下が多く見られる。また、感光層形成後、直ちに露光、現像した版の感度に比較し、経時保存後処理した版の感度が低いという問題があった。感光層の均一性を高める方法として塗布液に各種の界面活性剤を配合することが検討されているが、汎用の非イオン界面活性剤では、経時的な感度の安定性が得難く、またフッ素系界面活性剤を用いた場合には、比較的均一な塗膜は得られるものの、塗布乾燥直後は感光層表面に偏在化したフッ素系界面活性剤が、経時により感光層と混合してしまい、結果として感度が低下してしまうという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、可視光レーザーあるいは紫外光レーザーを用いて、コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能な光重合型平版印刷版において、感光層表面が均一であり、かつ保存安定性が高い光重合型平版印刷版を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、光重合型平版印刷版の感光層塗布液に用いる界面活性剤の特性に着目し、鋭意研究の結果、ケイ素系界面活性剤を用いることで、塗布後の感光層表面が均一であり、経時安定性が良好な感光層の形成が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、親水性表面を有する支持体上に、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、高分子結合剤およびケイ素系界面活性剤を含む塗布液を塗布、乾燥して得られる感光層を有する、光重合型平版印刷版である。本発明の光重合型平版印刷版は、通常、感光層の上にさらに酸素遮断性のオーバーコート層が敷設されるが、この他に、必要に応じ、他の層、例えば支持体と感光層の間に中間層を、支持体の背面にバックコート層を設けることができる。
【0005】
本発明の作用は明確ではないが、感光層塗布液に含まれるケイ素系界面活性剤は低濃度でも高い界面活性能力を発現し、支持体上に塗布された感光層溶液が速やかに平滑化して表面が均一な感光層が得られると考えられる。さらに、感光層塗布液の乾燥により溶媒が除去される際に、ケイ素系界面活性剤が感光層の表面およびその近傍に偏在化され、ケイ素系界面活性剤の疎水基場の働きで、感光層表面における空気中の水分の影響が小さくなり、経時による感度変動を防止するものと推定される。また、ケイ素系界面活性剤を使用することにより、さらに感光層表面の滑り性が向上するために耐傷性が向上する利点も有する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の特徴は、感光層中にケイ素系界面活性剤を含有する点にある。
〔ケイ素系界面活性剤〕
本発明の感光層塗布液に用いるケイ素系界面活性剤としては、分子の主鎖中にSiを有する界面活性剤が挙げられ、例えば、カルボン酸や硫酸エステルの構造を有するアニオン性界面活性剤、アミン塩や四級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、主鎖中にアルキレンオキシドを含む非イオン性界面活性剤、シロキサン骨格を有する所謂シリコーン系界面活性剤等のいずれであってもよい。
以下に本発明に使用しうるケイ素系界面活性剤を例示するが本発明はこれらに制限されるものではない。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
【化3】
【0010】
式中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表す。mは0〜50を表す。nは0〜50を表す。xは0〜50を表す。
前記アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
【0011】
ケイ素系界面活性剤はその親水基、疎水基の種類及びその数などにより、発現する界面活性能、有機溶剤の可溶化能、顔料などの固体微粒の分散安定化能などの各種機能が異なるため、いずれのケイ素系界面活性剤を用いるかは、感光層に用いられる各種の成分との親和性、必要な界面活性能、分散性等を考慮して適宜選択すればよいが、一般的には、効果の観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく、なかでもシロキサン/オキシエチレン共重合体に代表されるシリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0012】
本発明の感光層塗布液には、前記ケイ素系界面活性剤を感光層全不揮発成分に対して、0.01〜8質量%含有することが好ましく、0.05〜4質量%であることがさらに好ましい。含有量が少なすぎると経時安定性向上効果や感光層の耐傷性向上効果が不充分となり、多すぎると塗布面状が劣化するため、いずれも好ましくない。
【0013】
本発明の感光層を構成する光重合性組成物は、上記ケイ素系界面活性剤の他に、付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光開始剤、高分子結合剤を必須成分とし、必要に応じ、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を併用することができる。
【0014】
〔エチレン性不飽和二重結合を有する化合物〕
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とは、光重合型感光性組成物が活性光線の照射を受けた時、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋、硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。
【0015】
付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。
例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。
【0016】
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
【0017】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0018】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0019】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールストラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。
【0020】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0021】
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
CH2=C(R5)COOCH2CH(R6)OH (A)
(ただし、R5およびR6はHあるいはCH3を示す。)
【0022】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
なお、これらエチレン性不飽和化合物の使用量は、感光層全成分の5〜80質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲で使用される。
【0023】
〔光重合開始剤〕
また本発明の光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができる。以下に具体例を列挙するがこれらに制限されるものではない。
【0024】
400nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高周波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されており、例えば、米国特許第2,850,445号に記載のある種の光還元性染料、例えばローズベンガル、エオシン、エリスロシンなど、あるいは、染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−140203号、特開昭59−189340号、特開昭62−174203号、特公昭62−1641号、米国特許第4766055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−1718105号、特開昭63−258903号、特開平2−63054号など)染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開昭64−13140号、特開昭64−13141号、特開昭64−13142号、特開昭64−13143号、特開昭64−13144号、特開昭64−17048号、特開平1−229003号、特開平1−298348号、特開平1−138204号など)ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特願平7−164583)等をあげることができる。
【0025】
また、最近400〜410nmの波長のレーザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感応する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系が開発されており、これらの光開始系も使用される。
例えば、カチオン色素/ボレート系(特開平11−84647)、メロシアニン色素/チタノセン系(特開2000−147763)、カルバゾール型色素/チタノセン系(特願平11−221480)等を挙げることができる。
本発明においては特にチタノセン化合物を用いた系が、感度の点で優れており好ましい。
【0026】
チタノセン化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されている各種チタノセン化合物から適宜選んで用いることができる。さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
【0027】
更に上記光重合開始剤に必要に応じ、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等の水素供与性化合物を加えることにより更に光開始能力が高められることが知られている。
これらの光重合開始剤(系)の使用量はエチレン性不飽和化合物100質量部に対し、0.05〜100質量部、好ましくは0.1〜70質量部、更に好ましくは0.2〜50質量部の範囲で用いられる。
【0028】
〔高分子結合剤〕
本発明に用いられる高分子結合剤としては、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、アルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用される。
有機高分子重合体は、例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
【0029】
また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この外に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0030】
また特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号各公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用途には有用である。
【0031】
これら高分子重合体は側鎖にラジカル反応性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させることができる。付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又光照射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、又アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレン基、スルフォン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能基も有用である。
【0032】
組成物の現像性を維持するためには、本発明の高分子結合剤は適当な分子量、酸価を有することが好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜200の高分子重合体が有利に使用される。
これらの有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させることができる。しかし90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物と有機高分子重合体は、重量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましくは3/7〜7/3である。
【0033】
また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等があげられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0034】
更に感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C. I. Pigment Biue15:3、15:4、15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約20質量%が好ましい。
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。
これらの添加量は全組成物の10質量%以下が好ましい。
【0035】
また、本発明の感光層塗布液は、前述の如くケイ素系界面活性剤を含有しているため、本発明の目的以外にも、例えば、塗布液の均一性の向上や現像条件に対する処理の安定性を広げるなどの特性も得ることができるが、さらに目的に応じて、前記ケイ素系界面活性剤に加えて、特開昭62−251740号や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0036】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0037】
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤を用いる場合、感光層全不揮発分に対して、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。また、これらはケイ素系界面活性剤に対して60質量%以下であることが効果の観点から好ましい。
【0038】
本発明の光重合型平版印刷版を製造するには、通常、感光層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0039】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感光層の皮膜特性は低下する。
感光層塗布液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0040】
本発明においては、感光層塗布液に低濃度でも低い表面張力を発現するケイ素系界面活性剤を含有するため、溶媒を含む感光層塗布液を塗布する際、塗布に際して用いたバーコーターなどの塗布手段により形成される感光層塗布液の波打ちが速やかに平滑化され、その後、溶媒が除去されることにより、表面の均一性に優れ、膜厚が均一な感光層が容易に形成される。
【0041】
〔オーバーコート層〕
本発明の光重合型平版印刷版原版には、感光層中における空気中の酸素に起因する重合阻害を防止し、感度の安定性を向上するためにオーバーコート層を設けることが好ましい。
【0042】
オーバーコート層には、酸素遮断性に優れた薄膜を形成し得る点及び現像時に容易に除去されるよう水溶性高分子である点を考慮して、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
ポリビニルアルコールは、必要な水溶性を有する実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有してさえいれば、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を含有しても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的には、市販品として、株式会社クラレ製PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等があげられる。上記の共重合体としては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体があげられる。
【0043】
これらのポリビニルアルコールは、オーバーコート層全固形分に対して、50〜99.7質量%であることが好ましく、70〜99.5質量%であることがより好ましい。含有量が50質量%未満であると酸素透過防止効果が不充分で、感度が低下する傾向があり、99.7質量%を超えるとインク着肉性が低下するため、いずれも好ましくない。
このオーバーコート層には、前記高分子のほか、本発明の効果を損なわない範囲において、酸素透過性の低い、他の水溶性高分子を併用することができる。
併用し得る水溶性高分子としては、例えば、セロハン、水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、アラビアゴムなどが挙げられる。これらは単独または、併用して用いても良い。
【0044】
また、オーバーコート層にはさらに塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。水溶性の可塑剤としてはたとえばプロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加しても良い。さらにまた、これらのポリマーに感光層との密着、経時安定性の向上等のために添加剤を加えても良い。
オーバーコート層は、通常上記各成分を水に溶かして、感光層上に塗布することにより、形成することができる。塗布溶剤としては、好ましくは、蒸留水を用いる。
オーバーコート層塗布液の塗布方法は、前述した感光層の塗布と同様に、公知の塗布方法を用いればよい。オーバーコート層の塗布、乾燥後に得られる塗布量は、0.5〜10g/m2であり、好ましくは1〜5g/m2である。
【0045】
〔支持体〕
本発明の光重合型平版印刷版において前記感光層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0046】
本発明の平版印刷版原版に使用する支持体としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れたアルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金などが挙げられる。
【0047】
所定の厚さ0.1〜0.5mmを有するAl板は平面性を改善するために、ローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって、平面性を改善しても良い。板の厚みの精度は、コイル全長にわたって、±10μm以内、望ましくは±6μm以内が良い。また、幅方向の板厚差は6μm以内、望ましくは3μm以内がよい。Al板の表面粗度は、圧延ロールの表面粗さの影響を受けやすいが、最終的に中心線表面粗さ(Ra)で、Ra=0.1〜1.0μm程度に仕上げるのがよい。Raが大きすぎると、平版印刷版用としての粗面化処理、感光層塗布をしたとき、Alのもともとの粗さすなわち、圧延ロールによって転写された粗い圧延条痕が感光層の上から見えるため、外観上好ましくない。Ra=0.1μm以下の粗さは、圧延ロールの表面を過度に低粗度に仕上げる必要が有るため、工業的に望ましくない。
【0048】
上記の如きAl板は表面に粗面化処理等の表面処理を行い、感光層を塗布して平版印刷板とすることが出来る。粗面化処理には、機械的粗面化、化学的粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み合わせて行われる。また、表面のキズ付き難さを確保するための陽極酸化処理を行ったり、親水性を増すための処理を行うことも好ましい。
【0049】
以下に支持体の表面処理について説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中和、スマット除去などの処理を行ってもよい。
【0050】
次いで支持体と感光層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされている。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンドブラスト、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ナイロンブラシと研磨材/水スラリーによるブラシグレイン、研磨材/水スラリーを表面に高圧で吹き付けるホーニンググレインなどによる機械的砂目立て方法があり、またアルカリまたは酸あるいはそれらの混合物からなるエッチング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て方法がある。また、電気化学的砂目立て方法、機械的砂目立て方法と電気化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法、機械的砂目立て方法と鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液による化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法も知られている。
【0051】
これらのような粗面化方法は複数を組み合わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意に選択することができる。複数の粗面化処理を組み合わせる場合、その間に、続いて行う粗面化処理を均一に行えるようにするために酸またはアルカリ水溶液による化学的処理を行うことができる。
上記、酸またはアルカリ水溶液の具体例としては、例えば弗酸、弗化ジルコン酸、りん酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸および水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、などのアルカリ水溶液が挙げられる。これらの酸またはアルカリ水溶液はそれぞれ一種または二種以上を混合して使用することができる。化学的処理はこれらの酸またはアルカリの0.05〜40質量%水溶液を用い、40℃〜100℃の液温において5〜300秒処理するのが一般的である。
【0052】
前述のような粗面化処理すなわち砂目立て処理して得られた支持体の表面には、スマットが生成しているので、このスマットを除去するために適宜水洗あるいはアルカリエッチング等の処理を行うことが一般的に好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム支持体の場合には、前述のような前処理を施した後、通常、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させる。
【0053】
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはこれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0054】
本発明のアルミニウム支持体は陽極酸化処理後に有機酸またはその塩による処理を行うか、または、これらの有機酸類を含む感光層塗布の下塗り層を形成することができる。用い得る有機酸またはその塩としては、有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸またはその塩等が挙げられるが、好ましくは有機カルボン酸またはその塩である。有機カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸類;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸類;蓚酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のオキシカルボン酸類;安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類およびIa、IIb、IIIb、IVa、VIbおよびVIII族の金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。上記有機カルボン酸塩のうち好ましいのは蟻酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、ラウリン酸、オレイン酸、コハク酸および安息香酸の上記金属塩およびアンモニウム塩である。これらの化合物は単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0055】
これらの化合物は水、アルコールに0.001〜10質量%、特に0.01〜1.0質量%の濃度となるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては25〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、pHは1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、好ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬するか、処理液を支持体に塗布する。
【0056】
また、さらに陽極酸化処理後、以下のような化合物溶液による処理や、これらの化合物を、感光層塗布の下塗り層として用いることができる。好適に用いられる化合物としては、例えば、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシン、β−アラニン、バリン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、トリプトファン、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アントラニル酸等のアミノ酸;スルファミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等のアミノスルホン酸;1−アミノメチルホスホン酸、1−ジメチルアミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノフェニルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−アミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のアミノホスホン酸等の化合物が挙げられる。
【0057】
また、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メタンスルホン酸等)または蓚酸と、アルカリ金属、アンモニア、低級アルカノールアミン(トリエタノールアミン等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン等)等との塩も好適に使用することができる。
【0058】
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよびその鉱酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸およびその金属塩、ポリスチレンスルホン酸およびその金属塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその金属塩、塩化トリアルキルアンモニウムメチルスチレンのポリマーおよびその(メタ)アクリル酸とのコポリマー、ポリビニルホスホン酸等の水溶性ポリマーも好適に使用することができる。
【0059】
さらに可溶性デンプン、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、グルコース、ソルビトールなども好適に使用することができる。これらの化合物は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
処理する場合、これらの化合物は水かつ/またはメチルアルコールに0.001〜10質量%、特に0.01〜1.0質量%の濃度となるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては25〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、pHは1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、好ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬する。
【0060】
感光層塗布の下塗り層として用いる場合は、同様に水かつ/またはメチルアルコールに0.001〜10質量%、特に0.01〜1.0質量%の濃度となるように溶解され、必要に応じて、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色系染料を添加することもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2未満であると汚れ防止等の本来の目的に十分な効果が得られない。また、200mg/m2を越えると耐刷力が低下する。
【0061】
なお支持体と感光層との密着性を高めるための中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さは任意であり、露光した時に、上層の感光層と均一な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけるジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100質量%、好ましくは60〜100質量%である。
【0062】
以上のような処理及び下塗り層付与の前に、陽極酸化処理された支持体は、水洗処理されたあと、現像液への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感光層成分の残膜抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮膜の親水性向上、感光層との密着性向上等を目的に、以下のような処理を行うことができる。
そのひとつとしては、陽極酸化皮膜をアルカリ金属の珪酸塩水溶液と接触させて処理するシリケート処理があげられる。この場合、アルカリ金属珪酸塩の濃度は0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜15質量%であり、25℃でのpHが10〜13.5である水溶液に5〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒間接触させる。接触させる方法は、浸漬でもスプレーによる吹き付けでも、いかなる方法によってもかまわない。アルカリ金属珪酸塩水溶液はpHが10より低いと液はゲル化し、13.5より高いと陽極酸化皮膜が溶解されてしまう。
【0063】
他には、各種封孔処理もあげられ、一般的に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知られている、水蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ土類塩などによる)などを用いる事ができるが、印刷版用支持体としての性能(感光層との密着性や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性等の面から水蒸気封孔が比較的好ましい。また、封孔処理に代えるか或いは引き続き、亜硝酸溶液で浸漬または吹き付け処理することができる。
【0064】
以上のような、シリケート処理または封孔処理を施したあと、感光層との密着性をアップさせるために特開平5−278362号公報に開示されている酸性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、特開平4−282637号公報や特開平7−314937号公報に開示されている有機層を設けてもよい。
支持体表面に以上のような処理或いは、下塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4 、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
【0065】
光重合型平版印刷版用支持体として好ましい特性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmである。0.10μmより低いと感光層と密着性が低下し、著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大きい場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像が見難くく、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0066】
〔露光及び現像〕
以上のようにして、所定の処理を行って得られた支持体上に、感光層、オーバーコート層および他の任意の層を形成することで、本発明の光重合型平版印刷版を得ることができる。この平版印刷版は、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、バイオレットレーザー(350nm〜450nmの半導体レーザー)で露光され、好ましくは版面での光量として0.01〜1.0mJ/cm2で露光される。
露光後、50〜150℃で、1秒〜30分間の加熱処理を行い、硬化率を上げることも行われている。
【0067】
現像は通常、アルカリ水溶液を使用して行われる。オーバーコート層と未露光部の感光層を一浴の現像液で現像しても良いし、あるいはオーバーコートを先に水、あるいは温水で除去し、その後、感光層未露光部を現像液で現像してもよい。
現像液として、アルカリ性水溶液を用いる場合、本発明の画像記録材料の現像液及び補充液としては、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0068】
さらに、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液と同じものまたは、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しくはその誘導体、又はポリプロピレングリコール若しくはその誘導体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソルビット、マンニット等の非還元糖を添加することもできる。
【0069】
さらに、現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
このような界面活性剤、有機溶剤及び還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭51−77401号に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からなる現像液組成物、特開昭53−44202号に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、及び水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成物、特開昭55−155355号に記載されている、水に対する溶解度が常温において10質量%以下である有機溶剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等が挙げられ、本発明においても好適に使用される。
【0070】
以上記述した現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷用版材として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0071】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0072】
上記の様な処理により得られた印刷版は特願平10−260396号に記載の方法による後露光処理やバーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上させることができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0073】
【実施例】
以下実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20% HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μ(Ra表示)であった。ひきつづいて30% H2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20% H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ厚さが2.7g/m2であった。
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の高感度光重合性組成物1を乾燥塗布重量が1.5g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
【0074】
光重合性組成物1
エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.5 質量部
線状有機高分子重合体(B1) 2.0 質量部
増感剤(C1) 0.15 質量部
光開始剤(D1) 0.2 質量部
ε−フタロシアニン(F1)分散物 0.02 質量部
ケイ素系界面活性剤 TEGO GLIDE100
(テゴケミーサービス社製) 0.03 質量部
メチルエチルケトン 9.0 質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 質量部
トルエン 11.0 質量部
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2.5g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、120℃で3分間乾燥させ、光重合性平版印刷版を得た。
【0075】
【化4】
【0076】
得られた光重合型平版印刷版の塗布表面の状態を目視にて評価した。表面が均一でムラがないものが良好と判断した。
またこの感光性平版印刷版をFD・YAGレーザー(CSI社製プレートジェット4)で版面露光量50μJ/cm2〜300μJ/cm2の範囲を10μJ/cm2刻みで露光した後、現像液1およびフィニッシャーガム液FP−2W(富士写真フイルム社製)を仕込んだ次号現像機(富士写真フイルム社製LP−850P2)で標準処理を行った。
【0077】
(現像液1の組成)
水酸化カリウム 0.15 g
ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 5.0g
キレスト400(キレスト(株)製、キレート剤) 0.1g
水 94.75 g
【0078】
現像処理後の画像部の濃度が十分となるところの版面露光量を目視で判定して感度とした。さらに、この未露光の平版印刷版を温度40℃、湿度80%の環境下で2日間保存した後、同様に露光、現像を行い、保存後の感度を測定した。作成直後と保存後の感度差が小さいものほど保存安定性が良好であることを示す。
【0079】
また露光、現像した平版印刷版を小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷した。この際、得られた印刷物を目視にて評価し、画像部の傷つきによる欠陥、白ヌケの有無を観察した。これらの評価の結果を表1に示す。
【0080】
(比較例1)
実施例1において、光重合性組成物1からケイ素系界面活性剤を除いた他は、実施例1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、光重合性組成物1のケイ素系界面活性剤をフッ素系界面活性剤メガファックスF−176(大日本インキ社製)に変えた他は、実施例1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
表1から明らかなように、本発明の実施例1に係る感光層塗布液は、感光層形成後の表面の均一性に優れていた。また、本発明の平版印刷版は保存後も感度変動が少なく安定であり、画質の優れた印刷物が得られた。これに対し、界面活性剤を全く使用しない場合には(比較例1)、塗布表面に筋状のムラが有り、また保存後の感度低下と画像部の欠陥も多くみられた。フッ素系界面活性剤を用いた場合には(比較例2)、塗布表面は均一であったものの、保存後の感度低下が大きかった。
【0083】
〔実施例2〕
下記下塗り用液状組成物を混合し攪拌した。約5分後に発熱が見られ、60分間反応させた後、内容物を別の容器に移し、メタノールを更に3万質量部加えることで液状塗布液を作成した。
【0084】
(下塗り用液状組成物)
ユニケミカル(株)製ホスマーPE 20質量部
メタノール 130質量部
水 20質量部
パラトルエンスルホン酸 5質量部
テトラエトキシシラン 50質量部
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 50質量部
この液状塗布液を、実施例1の陽極酸化されたアルミ支持体上に、Si量が約0.001g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
【0085】
次に実施例1の光重合性組成物1のエチレン性不飽和結合含有化合物A1をA2に、線上有機高分子重合体B1をアリルメタクリレート/メタクリル酸(70/30モル%)共重合体(分子量5万)に変えた他は実施例1と全く同様にして光重合型平版印刷版を作成し、感光層塗布表面の状態を目視にて評価した。
その後の操作においては、現像液1を富士写真フイルム製LP−D現像液を水で10倍に希釈したものに変えた他は、実施例1と全く同じ操作で、露光、現像、評価を実施した。その結果を表2に示す。
【0086】
【化5】
【0087】
(比較例3)
実施例1において、光重合性組成物1からケイ素系界面活性剤を除いた他は、実施例1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施した。結果を表2に示す。
【0088】
(比較例4)
実施例1において、光重合性組成物1のケイ素系界面活性剤をフッ素系界面活性剤メガファックスF−176(大日本インキ社製)を変えた他は、実施例1と全く同じ操作を繰り返し、版の作成、評価を実施した。結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
表2から明らかなように、本発明の実施例2に係る感光層塗布液は、感光層形成後の表面の均一性に優れていた。また、本発明の平版印刷版は保存後も感度変動が少なく安定であり、画質の優れた印刷物が得られた。これに対し、界面活性剤を全く使用しない場合には(比較例3)、塗布表面に筋状のムラが有り、また保存後の感度低下が大きく、画像部の欠陥も多くみられた。フッ素系界面活性剤を用いた場合には(比較例4)、塗布表面は均一であったものの、保存後の感度低下が大きかった。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、コンピューター等のデジタル信号に基づいて、可視光レーザーあるいは紫外光レーザーを走査することにより直接製版可能であり、高品質の画像を得ることが可能である塗布表面が均一な感光層を有する光重合型平版印刷版を提供することが可能である。
Claims (1)
- 親水性表面を有する支持体上に、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、側鎖にラジカル反応性基を有する高分子結合剤およびケイ素系界面活性剤を含む塗布液を塗布、乾燥して得られる感光層を有する、可視光レーザーまたは紫外光レーザーを走査することにより直接製版できる光重合型平版印刷版。
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