JP2002090541A - 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板および液晶表示装置

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JP2002090541A JP2000283524A JP2000283524A JP2002090541A JP 2002090541 A JP2002090541 A JP 2002090541A JP 2000283524 A JP2000283524 A JP 2000283524A JP 2000283524 A JP2000283524 A JP 2000283524A JP 2002090541 A JP2002090541 A JP 2002090541A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱歪みによる光漏れの無い、表示品位に優れ
る液晶表示装置を提供する。 【解決手段】 酢化度が59.0乃至61.5%の範囲
にあるセルロースアセテート、およびセルロースアセテ
ート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環
を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むセ
ルロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物から形
成された光学異方性層が備えられてなる光学補償シート
であり、セルロースアセテートフイルムの、Reレター
デーション値が0乃至20nmの範囲にあり、Rthレタ
ーデーション値が70乃至400nmの範囲にあり、そ
して吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以下である光
学補償シートを液晶表示装置に利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学補償シートお
よびそれを用いた偏光板と液晶表示装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、偏光板と液晶セルから
構成されている。現在主流であるTNモードのTFT液
晶表示装置においては、特開平8−50206号公報に
記載のように光学補償フイルムを偏光板と液晶セルの間
に挿入し、表示品位の高い液晶表示装置を実現してい
る。しかし、この方法によると液晶表示装置自体が厚く
なるなどの問題点があった。特開平1−68940号公
報には、偏光膜の片面に位相差板、他方の面に保護フイ
ルムを有する楕円偏光板を用いることで、液晶表示装置
を厚くすることなく、正面コントラストを高くすること
ができるとの記載がある。ところが、この発明の位相差
フイルム(光学補償シート)は、熱等の歪みにより位相
差が発生しやすく、耐久性に問題のあることがわかっ
た。この位相差により液晶表示装置に額縁状の光漏れ
(透過率の上昇)が生じ、液晶表示装置の表示品位は低
下してしまう。歪みによる位相差発生の問題に対し、特
開平7−191217号公報および欧州特許09116
56A2号明細書においては、透明支持体上にディスコ
ティック(円盤状)化合物からなる光学異方性層を塗設
した光学補償フイルムを直接偏光板の保護フイルムとし
て用いることで液晶表示装置を厚くすることなく、上述
の耐久性に関する問題を解決した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、17インチ以
上の大型パネルに、前記の光学補償フイルムを保護フイ
ルムに用いた偏光板を装着したところ、熱歪みによる光
漏れは完全には無くならないことが判明した。光学補償
シートは、液晶セルを光学的に補償する機能を有するの
みでなく、使用環境の変化による耐久性にも優れている
必要がある。本発明の目的は、光学補償シートを用いて
液晶セルを光学的に補償することである。別の本発明の
目的は、光学補償シートを偏光膜の片側に配置し、それ
を液晶表示装置に用いることで、光漏れなどの問題を生
じることなく、表示品位の高い液晶表示装置を提供する
ことである。さらに別の本発明の目的は、偏光板の構成
要素の数を増加することなく、偏光板に光学補償機能を
追加することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】液晶セルを光学的に補償
するために、セルロースアセテートフイルム上に、液晶
性化合物から形成された光学異方性層が備えられてなる
光学補償シートを用いる。このような光学補償シートに
用いられるポリマーフイルムは、使用する環境条件の変
化により膨張あるいは収縮などの歪みを生る。ところ
が、光学補償シートを液晶表示装置に用いる場合、光学
補償シートは粘着剤などで液晶セルなどに固定されて用
いられるのが一般的である。従って、ポリマーフイルム
において発生した歪みは、光学補償シート全体として抑
制されてしまい、ポリマーフイルムの光学特性が変化し
てしまう。本発明者の鋭意研究により、光漏れを発生さ
せる歪みの原因は、光学補償シートの使用環境における
温度の変化のみによるものではなく、湿度の変化にも関
係があることがわかった。さらに、セルロースエステル
のような水酸基を有するポリマーでは湿度の影響が大き
いことが判明した。
【0005】本発明の目的は、下記(1)〜(4)の光
学補償シート、下記(5)の楕円偏光板および下記
(6)〜(7)の液晶表示装置により達成された。 (1)酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセ
ルロースアセテート、およびセルロースアセテート10
0質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する
芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むセルロース
アセテートフイルム上に、液晶性化合物から形成された
光学異方性層が備えられてなる光学補償シートであり、
セルロースアセテートフイルムの、下記式(I)により
定義されるReレターデーション値が0乃至20nmの
範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレター
デーション値が70乃至400nmの範囲にあり、そし
て吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以下であること
を特徴とする光学補償シート。 (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
て、dは、フイルムの厚さである。]
【0006】(2)前記の芳香族化合物が、少なくとも
一つの1,3,5−トリアジン環を有することを特徴と
する(1)に記載の光学補償シート。 (3)前記の液晶性化合物が円盤状液晶性化合物である
ことを特徴とする(1)に記載の光学補償シート。 (4)前記のセルロースアセテートフイルムが、共流延
法により製膜されていることを特徴とする(1)に記載
の光学補償シート。
【0007】(5)偏光膜およびその両側に配置された
二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜
の一方が、酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあ
るセルロースアセテート、およびセルロースアセテート
100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有
する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むセルロ
ースアセテートフイルム上に、液晶性化合物から形成さ
れた光学異方性層が備えられてなる光学補償シートであ
り、セルロースアセテートフイルムの、下記式(I)に
より定義されるReレターデーション値が0乃至20n
mの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレ
ターデーション値が70乃至400nmの範囲にあり、
そして吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以下である
ことを特徴とする偏光板。 (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
て、dは、フイルムの厚さである。]
【0008】(6)液晶セルおよびその両側に配置され
た二枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置
であって、液晶セルと偏光膜の間の透明保護膜のうちの
少なくとも一方が、酢化度が59.0乃至61.5%の
範囲にあるセルロースアセテート、およびセルロースア
セテート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香
族環を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含
むセルロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物か
ら形成された光学異方性層が備えられてなる光学補償シ
ートであり、セルロースアセテートフイルムの、下記式
(I)により定義されるReレターデーション値が0乃
至20nmの範囲にあり、下記式(II)により定義され
るRthレターデーション値が70乃至400nmの範囲
にあり、そして吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以
下であることを特徴とする液晶表示装置。 (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
て、dは、フイルムの厚さである]。 (7)液晶セルがTNモードの液晶セルである(6)に
記載の液晶表示装置。
【0009】なお、本明細書において、「実質的に平
行」とは、厳密な角度よりも±5゜未満の範囲内である
ことを意味する。この範囲は、±4゜未満であることが
好ましく、±3゜未満であることがさらに好ましく、±
2゜未満であることが最も好ましい。また、本明細書に
おいて、「遅相軸( slow axis)」は屈折率が最大とな
る方向を、そして「透過軸(transmission axis)」は
透過率が最大となる方向をそれぞれ意味する。
【0010】
【発明の効果】本発明の光学補償シートは、セルロース
アセテートフイルム上に、液晶性化合物から形成された
光学異方性層が備えられてなる。この光学補償シートを
液晶表示装置に用いることで、副作用なしに液晶セルを
光学的に補償することに成功した。さらに、本発明の光
学補償シートを液晶表示装置に用いることで、液晶セル
を光学的に充分補償するのみではなく、使用環境の変化
により発生する光学補償シートの歪みが原因の額縁状の
透過率上昇を抑えることができる。本発明においては、
額縁状の透過率上昇を抑えるために、光学補償シートに
用いられるセルロースアセテートフイルムの吸湿膨張係
数を調整している。この吸湿膨張係数を調節すること
で、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、他
の問題を発生せずに前記の問題を解決することができ
る。偏光板の保護膜は、一般にセルロースアセテートフ
イルムからなる。上記の光学補償シートを偏光板の一方
の保護膜として用いると、偏光板の構成要素の数を増加
することなく、偏光板に光学補償機能を追加するができ
る。上記の光学補償シートおよび上記の光学補償シート
を保護膜として用いた偏光板は、TN(Twisted Nemati
c)型の液晶表示装置に有利に用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の光学補償シートは、セル
ロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物から形成
された光学異方性層が備えられている。まず最初に、光
学補償シートに用いるセルロースアセテートフイルムに
ついて説明する。
【0012】[フイルムのレターデーション]フイルム
のReレターデーション値およびRthレターデーション
値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義され
る。 (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d 式(I)および(II)において、nxは、フイルム面内
の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であ
る。式(I)および(II)において、nyは、フイルム
面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率
である。式(II)において、nzは、フイルムの厚み方
向の屈折率である。式(I)および(II)において、d
は、単位をnmとするフイルムの厚さである。
【0013】本発明では、セルロースアセテートフイル
ムのReレターデーション値を0乃至20nmの範囲
に、そして、Rthレターデーション値を70乃至400
nmの範囲に調節する。液晶表示装置に二枚の光学的異
方性セルロースアセテートフイルムを使用する場合、フ
イルムのRthレターデーション値は70乃至250nm
の範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光
学的異方性セルロースアセテートフイルムを使用する場
合、フイルムのRthレターデーション値は150乃至4
00nmの範囲にあることが好ましい。なお、セルロー
スアセテートフイルムの複屈折率(Δn:nx−ny)
は、0.00028乃至0.020の範囲にあることが
好ましい。また、セルロースアセテートフイルムの厚み
方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.
001乃至0.04の範囲にあることが好ましい。
【0014】[吸湿膨張係数]吸湿膨張係数は、一定温
度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変
化量を示す。額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)
を防止するために、本発明の光学補償シートに用いるセ
ルロースアセテートフイルムの吸湿膨張係数を30×1
-5/%RH以下とする。吸湿膨張係数は、15×10
-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5
%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨
張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10
-5/%RH以上の値である。
【0015】吸湿膨張係数の測定方法について以下に示
す。作製したポリマーフイルム(位相差板)から幅5m
m。長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定し
て25℃、20%RH(R0 )の雰囲気下にぶら下げ
た。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間
放置し長さ(L0 )を測定した。次に、温度は25℃の
まま、湿度を80%RH(R1 )にして、長さ(L1
を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定
は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用し
た。 吸湿膨張係数[/%RH]={(L1 −L0 )/L0
/(R1 −R0
【0016】吸湿膨張係数で表される、吸湿による寸度
変化を小さくするには、ポリマーフイルム中の自由体積
を小さくすればよい。自由体積を大きく左右するのは、
成膜時の残留溶剤量であり、残留溶剤量が少ない方が自
由堆積が小さくなり、従って寸度変化も小さくなる。残
留溶剤を減らすための一般的手法は、高温かつ長時間で
乾燥することであるが、残留溶剤量を極端に減らそうと
すると乾燥に長時間を要するため生産性が落ちる。従っ
て、セルロースアセテートフイルムに対する残留溶剤量
が、0.01乃至1.00質量%の範囲となる条件で乾
燥することが好ましい。この残留溶剤量は、0.02乃
至0.07質量%の範囲にあることがより好ましく、
0.03乃至0.05質量%の範囲にあることが最も好
ましい。この様に残留溶剤量を制御することで、セルロ
ースアセテートフイルムの吸湿膨張係数を上記の範囲に
制御できる。
【0017】残留溶剤量は、一定量の試料をクロロフォ
ルムに溶解し、ガスクロマトグラフ(GC18A、島津
製作所(株)製)を用いて測定した。溶液流延法では、
ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用
いてフイルムを製造する。溶液流延法での乾燥は、後述
するように、ドラム(またはバンド)面での乾燥と、フ
イルム搬送時の乾燥に大きく分かれる。ドラム(または
バンド)面での乾燥時には、使用している溶剤の沸点を
越えない温度(沸点を越えると泡となる)でゆっくりと
乾燥させることが好ましい。また、フイルム搬送時の乾
燥は、ポリマー材料のガラス転移点±30℃、更に好ま
しくは±20℃で行うことが好ましい。
【0018】また、上記吸湿による寸度変化を小さくす
る別な方法として、疎水基を有する化合物を添加するこ
とが好ましい。疎水基を有する素材としては、分子中に
アルキル基やフェニル基のような疎水基を有する素材で
あれば特に制限はないが、後述のセルロースアセテート
フイルムに添加する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する
素材が特に好ましく用いられる。これら好ましい素材の
例としては、トリフェニルフォスフェート(TPP)、
トリベンジルアミン(TBA)などを挙げることができ
る。これらの疎水基を有する化合物の添加量は、調整す
る溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範
囲にあることが好ましく、0.1乃至5質量%の範囲に
あることがさらに好ましく、1乃至3質量%の範囲にあ
ることが最も好ましい。
【0019】[セルロースアセテート]本発明では、酢
化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセルロース
アセテートを使用する。酢化度とは、セルロース単位質
量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、AST
M:D−817−91(セルロースアセテート等の試験
法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セ
ルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250
以上であることが好ましく、290以上であることがさ
らに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエス
テルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
るMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分
子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なM
w/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが
好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ま
しく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
【0020】[レターデーション上昇剤]セルロースア
セテートフイルムのレターデーションを調整するため、
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレタ
ーデーション上昇剤として使用する。芳香族化合物は、
セルロースアセテート100質量部に対して、0.01
乃至20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セ
ルロースアセテート100質量部に対して、0.05乃
至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1
乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好まし
い。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香
族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、
芳香族性ヘテロ環を含む。
【0021】芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、
ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ
環は、5員環、6員環または7員環であることが好まし
く、5員環または6員環であることがさらに好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原
子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、
オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、
イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フ
ラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピ
リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,
5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベン
ゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサ
ゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾー
ル環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および
1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環およ
び1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族
化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環
を有することが特に好ましい。
【0022】芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2
乃至20であることが好ましく、2乃至12であること
がより好ましく、2乃至8であることがさらに好まし
く、2乃至6であることが最も好ましい。二つの芳香族
環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)
単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合
する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は
形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれ
でもよい。
【0023】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、イン
ドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾ
チオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール
環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベン
ゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメ
ン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キ
ナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジ
ン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、
フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フ
ェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン
環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、ア
ズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベン
ゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリア
ゾール環およびキノリン環が好ましい。(b)の単結合
は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好
ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、
二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環
を形成してもよい。
【0024】(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0025】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
【0026】アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であ
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0027】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0028】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置
換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション
上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ま
しい
【0029】[セルロースアセテートフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフイ
ルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法
では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液
(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒は、
炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃
至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルお
よび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選
ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンお
よびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテ
ル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O
−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上
有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を
有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶
媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有す
る化合物の規定範囲内であればよい。
【0030】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0031】一般的な方法でセルロースアセテート溶液
を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常
温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調
製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調
製方法および装置を用いて実施することができる。な
お、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化
炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ま
しい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に
10乃至40質量%含まれるように調整する。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する
任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器
に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以
上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪
拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好まし
くは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃
至110℃である。
【0032】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0033】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを
溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセル
ロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶
解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果があ
る。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロ
ースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロ
ースアセテートの量は、この混合物中に10乃至40質
量%含まれるように調整することが好ましい。セルロー
スアセテートの量は、10乃至30質量%であることが
さらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の
添加剤を添加しておいてもよい。
【0034】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は
固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ま
しく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12
℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速
いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限で
あり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして1
00℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、
冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷
却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間
で割った値である。
【0035】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中
に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加
温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始す
る時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始して
から最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値で
ある。以上のようにして、均一な溶液が得られる。な
お、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り
返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視によ
り溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0036】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただ
し、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢
化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒に
より異なる。
【0037】調製したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセ
テートフイルムを製造する。ドープには前記のレターデ
ーション上昇剤を添加することが好ましい。ドープは、
ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイ
ルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃
至35%となるように濃度を調整することが好ましい。
ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておく
ことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延お
よび乾燥方法については、米国特許2336310号、
同2367603号、同2492078号、同2492
977号、同2492978号、同2607704号、
同2739069号、同2739070号、英国特許6
40731号、同736892号の各明細書、特公昭4
5−4554号、同49−5614号、特開昭60−1
76834号、同60−203430号、同62−11
5035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度
が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが
好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥するこ
とが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンド
から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度
を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることも
できる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に
記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまで
の時間を短縮することが可能である。この方法を実施す
るためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度に
おいてドープがゲル化することが必要である。
【0038】調整したセルロースアセテート溶液(ドー
プ)を用いて二層以上の流延を行いフイルム化すること
もできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセル
ロースアセテートフイルムを作製することが好ましい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発
させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分
量が10乃至40%の範囲となるように濃度を調整する
ことが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状
態に仕上げておくことが好ましい。
【0039】二層以上の複数のセルロースアセテート液
を流延する場合、複数のセルロースアセテート溶液を流
延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて
設けられた複数の流延口からセルロースアセテートを含
む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフイルムを
作製してもよい。例えば、特開昭61−158414
号、特開平1−122419号、および、特開平11−
198285号の各明細書に記載の方法を用いることが
できる。また、2つの流延口からセルロースアセテート
溶液を流延することによってもフイルム化することもで
きる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61
−94724号、特開昭61−947245号、特開昭
61−104813号、特開昭61−158413号、
および、特開平6−134933号の各明細書に記載の
方法を用いることができる。また、特開昭56−162
617号明細書に記載の高粘度セルロースアセテート溶
液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込
み、その高、低粘度のセルロースアセテート溶液を同時
に押し出すセルロースアセテートフイルムの流延方法を
用いることもできる。
【0040】また、二個の流延口を用いて、第一の流延
口により支持体に成形したフイルムを剥ぎ取り、支持体
面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フイ
ルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−2
0235号明細書に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液を用い
てもよいし、異なるセルロースアセテート溶液を用いて
もよい。複数のセルロースアセテート層に機能をもたせ
るために、その機能に応じたセルロースアセテート溶液
を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発
明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例え
ば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション
層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延すること
もできる。
【0041】従来の単層液では、必要なフイルムの厚さ
にするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート
溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロース
アセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ
故障となったり、平面性が不良となったりして問題とな
ることが多かった。この問題の解決方法として、複数の
セルロースアセテート溶液を流延口から流延することに
より、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことが
でき、平面性も良化し優れた面状のフイルムが作製でき
るばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用
いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フイルムの生
産スピードを高めることができる。
【0042】セルロースアセテートフイルムには、機械
的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため
に、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、
リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられ
る。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェ
ート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TC
P)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル
酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジ
フェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシル
フタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステル
の例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACT
E)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACT
B)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例に
は、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、
セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが
含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DE
P、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用
いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤
の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25
質量%であることが好ましく、1乃至20質量%である
ことがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが
最も好ましい。
【0043】セルロースアセテートフイルムには、劣化
防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁
止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加して
もよい。劣化防止剤については、特開平3−19920
1号、同5−1907073号、同5−194789
号、同5−271471号、同6−107854号の各
公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶
液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ま
しく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好
ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防
止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%
を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードア
ウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好まし
い劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げる
ことができる。
【0044】セルロースアセテートフイルムは、さらに
延伸処理によりレターデーションをを調整することがで
きる。延伸倍率は、3乃至100%の範囲にあることが
好ましい。
【0045】[セルロースアセテートフイルムの表面処
理]セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施す
ことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処
理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理
または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−
333433号明細書に記載のように、下塗り層を設け
ることも好ましい。フイルムの平面性を保持する観点か
ら、これら処理においてセルロースアセテートフイルム
の温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には15
0℃以下とすることが好ましい。偏光板の透明保護膜と
して使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処
理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテート
に対するケン化処理を実施することが特に好ましい。以
下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
【0046】アルカリ鹸化処理は、フイルムの表面をア
ルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して
乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ
溶液の例としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリ
ウム溶液が挙げられる。アルカリ溶液の水酸化イオンの
規定濃度は、0.1乃至3.0Nの範囲にあることが好
ましく、0.5乃至2.0Nの範囲にあることがさらに
好ましい。アルカリ溶液の温度は、室温乃至90℃の範
囲にあることが好ましく、40乃至70℃の範囲にある
ことがさらに好ましい。
【0047】表面処理後のフイルムの表面エネルギー
は、55mN/m以上であることが好ましく、60mN
/m以上75mN/m以下であることがさらに好まし
い。固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」
(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載の
ように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求める
ことができる。本発明のセルロースアセテートフイルム
の場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的に
は、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロー
スアセテートフイルムに滴下し、液滴の表面とフイルム
表面との交点において、液滴に引いた接線とフイルム表
面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計
算によりフイルムの表面エネルギーを算出できる。
【0048】本発明の光学補償シートは、作製したセル
ロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物から形成
された光学異方性層を設けることにより作製することが
できる。セルロースアセテートフイルムと、その上に設
ける光学異方性層との間に、配向膜を設けることが好ま
しい。配向膜は本発明で用いる液晶性化合物を一定の方
向に配向させる働きをする。従って、配向膜は本発明の
光学補償シートを製造する上では必須である。しかし、
液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえ
ば、配向膜はその役割を果たしているために、光学補償
シートの構成要素としては必ずしも必須のものではな
い。すなわち、配向状態が固定された配向膜上の光学異
方性層のみをセルロースアセテートフイルム上に転写し
て光学補償シートを作製することも可能である。
【0049】[配向膜]配向膜は、液晶性化合物の配向方
向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好
ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方
蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラ
ングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合
物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアン
モニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のよ
うな手段で、設けることができる。さらに、電場の付
与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じ
る配向膜も知られている。配向膜は、ポリマーのラビン
グ処理により形成することが好ましい。
【0050】配向膜は、ポリマーのラビング処理により
形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好
ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポ
リビニルアルコールが特に好ましい。配向膜は、一種類
のポリマーから形成することもできるが、架橋された二
種類のポリマーからなる層をラビング処理することによ
り形成することがさらに好ましい。少なくとも一種類の
ポリマーとして、それ自体架橋可能なポリマーか、架橋
剤により架橋されるポリマーのいずれかを用いることが
好ましい。配向膜は、官能基を有するポリマーあるいは
ポリマーに官能基を導入したものを、光、熱、PH変化
等により、ポリマー間で反応させて形成するか;あるい
は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマ
ー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間
を架橋することにより形成することができる。
【0051】このような架橋は、上記ポリマーまたはポ
リマーと架橋剤の混合物を含む配向膜塗布液を、セルロ
ースアセテートフイルム上に塗布したのち、加熱等を行
なうことにより実施される。最終商品(光学補償シー
ト)で耐久性が確保できれば良いので、配向膜をセルロ
ースアセテートフイルム上に塗設した後から、光学補償
シートを得るまでのいずれの段階で架橋させる処理を行
なっても良い。配向膜上に形成される液晶性化合物から
なる層(光学異方性層)の配向性を考えると、液晶性化
合物を配向させたのちに、充分架橋を行なうことも好ま
しい。配向膜の架橋は、セルロースアセテートフイルム
上に配向膜塗布液を塗布し、加熱乾燥することで行われ
ることが一般的である。この塗布液の加熱温度を低く設
定して、後述の光学異方性層を形成する際の加熱処理の
段階で配向膜の充分な架橋を行うことが好ましい。
【0052】配向膜に用いるポリマーとしては、それ自
体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋される
ポリマーのいずれも使用することができる。勿論両方可
能なポリマーもある。ポリマーの例としては、ポリメチ
ルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合
体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルア
ルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メ
チロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン
共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセル
ロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリ
エステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合
体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチル
セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカ
ーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の
化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例と
しては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カル
ボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビルアルコー
ル及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーが
挙げられる。ゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポ
リビニルアルコールを用いることが好ましく、ポリビル
アルコール及び変性ポリビニルアルコールを用いること
がさらに好ましい。また、重合度の異なるポリビニルア
ルコールまたは変性ポリビニルアルコールを二種類併用
することが最も好ましい。
【0053】ポリビニルアルコールの例としては、鹸化
度が70乃至100%の範囲にあるポリビニルアルコー
ルが挙げられる。一般に鹸化度は80乃至100%の範
囲にあり、85乃至95%の範囲にあることがさらに好
ましい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、10
0乃至3000の範囲にあることが好ましい。変性ポリ
ビニルアルコールの例としては、共重合変性、連鎖移動
による変性、またはブロック重合による変性をしたポリ
ビニルアルコールなどを挙げることができる。共重合変
性する場合の変性基の例としては、COONa、Si
(OX) 3 、N(CH3 3 ・Cl、C9 、H19CO
O、SO3 、Na、C1225などが挙げられる。連鎖移
動による変性をする場合の変性基の例としては、COO
Na、SH、C1225などが挙げられる。また、ブロッ
ク重合による変性をする場合の変性基の例としては、C
OOH、CONH2 、COOR、C6 5 などが挙げら
れる。これらの中でも、鹸化度が80乃至100%の範
囲にある未変性もしくは変性ポリビニルアルコールが好
ましい。また、鹸化度が85乃至95%の範囲にある未
変性ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコ
ールがさらに好ましい。
【0054】変性ポリビニルアルコールとしては、特
に、下記一般式で表わされる化合物によるポリビニルア
ルコールの変性物を用いることが好ましい。この変性ポ
リビニルアルコールを、以下、特定の変性ポリビニルア
ルコールと記載する。
【0055】
【化1】 式中、R1 は、アルキル基、アクリロイルアルキル基、
メタクリロイルアルキル基、またはエポキシアルキル基
を表わし;Wは、ハロゲン原子、アルキル基、またはア
ルコキシ基を表わし;Xは、活性エステル、酸無水物、
または酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を
表わし;pは、0または1を表わし;そしてnは、0乃
至4の整数を表わす。上記の特定の変性ポリビニルアル
コールは、さらに下記一般式で表わされる化合物による
ポリビニルアルコールの変性物であることが好ましい。
【0056】
【化2】 式中、X1 は、活性エステル、酸無水物、または酸ハロ
ゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、そし
てmは2乃至24の整数を表わす。
【0057】これらの一般式により表される化合物と反
応させるために用いるポリビニルアルコールとしては、
前述の、未変性のポリビニルアルコール、および、共重
合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブ
ロック重合による変性をしたものなどのポリビニルアル
コールの変性物を挙げることができる。特定の変性ポリ
ビニルアルコールの好ましい例は、特開平9−1525
09号明細書に詳しく記載されている。これらポリマー
の合成方法、可視吸収スペクトル測定、および変性基導
入率の決定方法等は、特開平8−338913号公報に
詳しく記載がある。
【0058】架橋剤の例としては、アルデヒド類、N−
メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基
を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化
合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール類、およ
びジアルデヒド澱粉などを挙げることができる。アルデ
ヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザー
ル、およびグルタルアルデヒドが挙げられる。N−メチ
ロール化合物の例としては、ジメチロール尿素およびメ
チロールジメチルヒダントインが挙げられる。ジオキサ
ン誘導体の例としては、2,3−ジヒドロキシジオキサ
ンが挙げられる。カルボキシル基を活性化することによ
り作用する化合物の例としては、カルベニウム、2−ナ
フタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−
クロロピリジニウム、および1−モルホリノカルボニル
−3−(スルホナトアミノメチル)が挙げられる。活性
ビニル化合物の例としては、1,3,5−トリアクロイ
ル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスル
ホン)メタン、およびN,N’−メチレンビス−[βー
(ビニルスルホニル)プロピオンアミド]が挙げられ
る。そして、活性ハロゲン化合物の例としては、2,4
−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンが挙げら
れる。これらは、単独または組合せて用いることができ
る。これらは上記水溶性ポリマー、特にポリビニルアル
コール及び変性ポリビニルアルコール(上記特定の変性
物も含む)と併用する場合に好ましい。生産性を考慮し
た場合、反応活性の高いアルデヒド類、とりわけグルタ
ルアルデヒドの使用が好ましい。
【0059】ポリマーに対する架橋剤の添加量に特に限
定はない。耐湿性は、架橋剤を多く添加した方が良化傾
向にある。しかし、架橋剤をポリマーに対して50質量
%以上添加した場合には、配向膜としての配向能が低下
する。従って、ポリマーに対する架橋剤の添加量は、
0.1乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、
0.5乃至15質量%の範囲にあることがさらに好まし
い。配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなか
った架橋剤をある程度含んでいるが、その架橋剤の量
は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好まし
く、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配
向膜中に1.0質量%を超える量で未反応の架橋剤が含
まれていると、充分な耐久性が得られない。即ち、液晶
表示装置に使用した場合、長期使用、あるいは高温高湿
の雰囲気下に長期間放置した場合に、レチキュレーショ
ンが発生することがある。
【0060】配向膜は、上記ポリマーを含む溶液、ある
いは上記ポリマーと架橋剤を含む溶液を、セルロースア
セテートフイルム上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋さ
せ)、ラビング処理することにより形成することができ
る。架橋反応は、塗布液をセルロースアセテートフイル
ム上に塗布した後、任意の時期に行なっても良い。そし
て、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを配向膜
形成材料として用いる場合、その塗布液を作製するため
の溶媒は、消泡作用のあるメタノール等の有機溶媒とす
るか、あるいは有機溶媒と水の混合溶媒とすることが好
ましい。有機溶媒としてメタノールを用いる場合、その
比率は質量比で水:メタノールが、0:100〜99:
1が一般的であり、0:100〜91:9であることが
さらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配
向膜、更には光学異方性層の表面の欠陥が著しく減少す
る。塗布方法としては、スピンコーティング法、ディッ
プコーティング法、カーテンコーティング法、エクスト
ルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE
型塗布法を挙げることができる。この中でも、特にE型
塗布法が好ましい。
【0061】配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範
囲にあることが好ましい。加熱乾燥は、加熱温度が20
乃至110℃の範囲で行なうことができる。充分な架橋
を形成させるためには、加熱温度は60乃至100℃の
範囲にあることが好ましく、80乃至100℃の範囲に
あることが好ましい。乾燥時間は、1分〜36時間の範
囲にあることが好ましく、5乃至30分間の範囲にある
ことがさらに好ましい。pHも、使用する架橋剤に最適
な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを
使用した場合は、pH4.5乃至5.5の範囲にあるこ
とが好ましく、特にpH5であることが好ましい。
【0062】ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工
程として広く採用されている処理方法を利用することが
できる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェル
ト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用
いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いる
ことができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維
を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを
行うことにより実施される。
【0063】[光学異方性層]光学異方性層は、液晶性化
合物から形成される。光学異方性層は、セルロースアセ
テートフイルム上に設けられた配向膜の上に形成するこ
とが好ましい。光学異方性層に用いる液晶性化合物に
は、棒状液晶性化合物および円盤状液晶性化合物が含ま
れる。棒状液晶性化合物および円盤状液晶性化合物は、
高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液
晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
光学異方性層は、液晶性化合物および必要に応じて重合
性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗
布することで形成できる。
【0064】塗布液の調整に使用する溶媒としては、有
機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミ
ド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシ
ド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物
(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサ
ン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロ
メタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メ
チル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエ
チルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、
1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハラ
イドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を
併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワ
イヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、
ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビア
コーティング法、ダイコーティング法)により実施でき
る。光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmである
ことが好ましく、0.5乃至15μmであることがさら
に好ましく、1乃至10μmであることが最も好まし
い。本発明に用いる液晶性化合物としては、円盤状液晶
性化合物を用いることが好ましい。
【0065】[棒状液晶性化合物]棒状液晶性化合物と
しては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル
類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、
シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノ
フェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミ
ジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニ
ルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキ
シルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒
状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状
液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、
棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換え
ると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合し
ていてもよい。棒状液晶性化合物については、季刊化学
総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第
4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハン
ドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記
載がある。棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001
乃至0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶性化
合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有
することが好ましい。重合性基(Q)の例を、以下に示
す。
【0066】
【化3】
【0067】重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1
〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基
(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基である
ことがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q
1〜Q6)であることが最も好ましい。棒状液晶性化合
物は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有す
ることが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端
に重合性基を有することが好ましい。以下に、棒状液晶
性化合物の例を示す。
【0068】
【化4】
【0069】
【化5】
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
【化10】
【0075】
【化11】
【0076】
【化12】
【0077】
【化13】
【0078】
【化14】
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】光学異方性層は、棒状液晶性化合物あるい
は後述の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、モ
ノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5
−トリアジン化合物、カイラル剤)を含む液晶組成物
(塗布液)を、配向膜の上に塗布することで形成する。
【0082】[円盤状液晶性化合物]円盤状(ディスコ
ティック)液晶性化合物の例としては、C.Destr
adeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、1
11頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導
体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cr
yst.122巻、141頁(1985年)、Phys
ics lett,A,78巻、82頁(1990)に
記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの
研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1
984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.
M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commu
n.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの
研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2
655頁(1994年)に記載されているアザクラウン
系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げる
ことができる。さらに、円盤状液晶性化合物としては、
一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル
基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直
鎖として放射線状に置換された構造のものも含まれ、液
晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一
定の配向を付与できるものであればこれらに限定される
ものではない。また、本発明において、円盤状液晶性化
合物から形成する光学異方性層は、最終的にできた物が
前記化合物である必要はなく、例えば、低分子の円盤状
液晶性化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結
果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子
量化し液晶性を失ったものも含まれる。円盤状液晶性化
合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記
載されている。また、円盤状液晶性化合物の重合につい
ては、特開平8−27284公報に記載がある。
【0083】円盤状液晶性化合物を重合により固定する
ためには、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基
として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤
状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配
向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと
重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性
基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(III)で表わ
される化合物であることが好ましい。
【0084】(III) D(−L−P)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り、Pは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整
数である。円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の
各例において、LP(またはPL)は、二価の連結基
(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
【0085】
【化17】
【0086】
【化18】
【0087】
【化19】
【0088】
【化20】
【0089】
【化21】
【0090】
【化22】
【0091】
【化23】
【0092】
【化24】
【0093】
【化25】
【0094】式(III)において、二価の連結基(L)
は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−
CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み
合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であること
が好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、ア
リーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−
からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み
合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二
価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−
CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を
少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが
最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数
は、2乃至12であることが好まし。アリーレン基の炭
素原子数は、6乃至10であることが好ましい。
【0095】二価の連結基(L)の例を以下に示す。左
側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)
に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン
基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン
基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基
(例、アルキル基)を有していてもよい。 L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO−
【0096】L11:−O−AL− L12:−O−AL−O− L13:−O−AL−O−CO− L14:−O−AL−O−CO−NH−AL− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AR−O−AL−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
O− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−A
L−O−CO− L20:−S−AL− L21:−S−AL−O− L22:−S−AL−O−CO− L23:−S−AL−S−AL− L24:−S−AR−AL−
【0097】式(III)の重合性基(P)は、重合反応の
種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示
す。
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】
【化28】
【0101】
【化29】
【0102】
【化30】
【0103】
【化31】
【0104】重合性基(P)は、不飽和重合性基(P
1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P1
7)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好
ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、
エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P1
5、P16、P17)であることが最も好ましい。式
(III)において、nは4乃至12の整数である。具体的
な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定され
る。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていて
もよいが、同一であることが好ましい。
【0105】円盤状液晶性化合物を用いる場合、光学異
方性層は負の複屈折を有する層であって、そして円盤状
構造単位の面が、セルロースアセテートフイルム表面に
対して傾き、且つ円盤状構造単位の面とセルロースアセ
テートフイルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深
さ方向に変化していることが好ましい。
【0106】円盤状構造単位の面の角度(傾斜角)は、
一般に、光学異方性層の深さ方向でかつ光学異方性層の
底面からの距離の増加と共に増加または減少している。
傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。
さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減
少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少
を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化などを
挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で
傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、傾斜
角が変化しない領域を含んでいても、全体として増加ま
たは減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全
体として増加していることが好ましく、特に連続的に変
化することが好ましい。
【0107】支持体側の円盤状単位の傾斜角は、一般に
円盤状液晶性化合物あるいは配向膜の材料を選択するこ
とにより、またはラビング処理方法の選択することによ
り、調整することができる。また、表面側(空気側)の
円盤状単位の傾斜角は、一般に円盤状液晶性化合物ある
いは円盤状液晶性化合物とともに使用する他の化合物を
選択することにより調整することができる。円盤状液晶
性化合物とともに使用する化合物の例としては、可塑
剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙
げることができる。更に、傾斜角の変化の程度も、上記
と同様の選択により調整できる。
【0108】円盤状液晶性化合物とともに使用する可塑
剤、界面活性剤及び重合性モノマーとしては、円盤状液
晶性化合物と相溶性を有し、円盤状液晶性化合物の傾斜
角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限
り、どのような化合物も使用することができる。これら
の中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ
基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合
物)が好ましい。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性
化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5
〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
【0109】円盤状液晶性化合物とともに使用するポリ
マーとしては、円盤状液晶性化合物と相溶性を有し、円
盤状液晶性化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、ど
のようなポリマーでも使用することができる。ポリマー
の例としては、セルロースエステルを挙げることができ
る。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロ
ースアセテート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセ
テートブチレートを挙げることができる。円盤状液晶性
化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加
量は、円盤状液晶性化合物に対して一般に0.1〜10
質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあるこ
とがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあること
がさらに好ましい。
【0110】光学異方性層は、一般に円盤状液晶性化合
物および他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に
塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相
形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティッ
クネマチック相)を維持して冷却することにより得られ
る。あるいは、上記光学異方性層は、円盤状液晶性化合
物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重
合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、
乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度
まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、
さらに冷却することにより得られる。本発明に用いる円
盤状液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶
相−固相転移温度としては、70〜300℃が好まし
く、特に70〜170℃が好ましい。
【0111】[液晶性化合物の配向状態の固定]配向さ
せた液晶性化合物を、配向状態を維持して固定すること
が好ましい。固定化は、重合反応により実施することが
好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合
反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。
光重合反応が好ましい。 光重合開始剤の例には、α−
カルボニル化合物(米国特許2367661号、同23
67670号の各明細書記載)、アシロインエーテル
(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水
素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許272251
2号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許304
6127号、同2951758号の各明細書記載)、ト
リアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニル
ケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細
書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭
60−105667号公報、米国特許4239850号
明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許
4212970号明細書記載)が含まれる。光重合開始
剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量
%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の
範囲にあることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合
のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照
射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2
の範囲にあることが好ましく、20乃至5000mJ/
cm2 の範囲にあることがより好ましく、100乃至8
00mJ/cm2 の範囲にあることがさらに好ましい。
また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射
を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設け
てもよい。以上のように、セルロースアセテートフイル
ム上に光学異方性層を設けることにより本発明の光学補
償シートを作製することができる。
【0112】[偏光板]偏光板は、偏光膜およびその両
側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護
膜として、上記の光学補償シートを用いることができ
る。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフイ
ルムを用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二
色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があ
る。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリ
ビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
【0113】また、偏光板の生産性には保護フイルムの
透湿性が重要であることがわかった。偏光膜と保護フイ
ルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤
溶剤は保護フイルム中を拡散することで、乾燥される。
保護フイルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早く
なり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表
示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に
入ることで偏光能が低下する。光学補償シートの透湿性
は、ポリマーフイルム(および重合性液晶化合物)の厚
み、自由体積、もしくは、親疎水性などにより決定され
る。光学補償シートを偏光板の保護フイルムとして用い
る場合、光学補償シートの透湿性は100乃至1000
(g/m2 )/24hrsの範囲にあることが好まし
く、300乃至700(g/m2 )/24hrsの範囲
にあることが更に好ましい。光学補償シートの厚みは、
セルロースアセテートフイルムを製膜する場合の、リッ
プ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により
調整することができる。使用する主素材により透湿性が
異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが
可能である。光学補償シートの自由体積は、製膜の場
合、乾燥温度と時間により調整することができる。この
場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるの
で、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能
である。光学補償フイルムの親疎水性は、添加剤により
調整することができる。自由体積中に親水的添加剤を添
加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添
加することで透湿性を低くすることができる。光学補償
シートの透湿性を調整することにより、光学補償能を有
する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能と
なる。
【0114】[液晶表示装置]上記の光学補償シート、
または光学補償シートと偏光膜とを貼り合わせて得られ
た偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に
有利に用いられる。透過型液晶表示装置は、液晶セルお
よびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。偏光
板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保
護膜からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶
を担持している。本発明の光学補償シートは、液晶セル
と一方の偏光板との間に一枚配置するか、あるいは液晶
セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。本発明の偏
光板は、液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板のう
ちの少なくとも一方として用いればよい。この際には、
光学補償シートが液晶セル側となるように本発明の偏光
板を配置する。TNモードの液晶セルでは、電圧無印加
時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60
乃至120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶
セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用
されており、多数の文献に記載がある。
【0115】
【実施例】[実施例1] (セルロースアセテートフイルムの作製)下記の組成物
をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、
各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製し
た。
【0116】 ──────────────────────────────────── セルロースアセテート溶液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部 メタノール(第2溶媒) 54質量部 1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部 ────────────────────────────────────
【0117】別のミキシングタンクに、下記のレターデ
ーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質
量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しなが
ら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液487質量部にレターデーシ
ョン上昇剤溶液13質量部を混合し、充分に攪拌してド
ープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、
セルロースアセテート100質量部に対して、1.8質
量部であった。
【0118】
【化32】
【0119】得られたドープを、バンド流延機を用いて
流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってか
ら、60℃の温風で1分乾燥し、フイルムをバンドから
剥ぎ取った。次いでフイルムを140℃の乾燥風で10
分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセ
テートフイルム(厚さ:80μm)を製造した。作製し
たセルロースアセテートフイルム(CAF−01)につ
いて、光学特性と吸湿膨張係数を測定した。結果は第1
表および第2表に示す。尚、光学特性は、エリプソメー
ター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長
550nmにおけるReレターデーション値およびRth
レターデーション値を測定した。
【0120】(配向膜の形成)このセルロースアセテー
トフイルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤ
ーバーコーターで28ml/m2 塗布した。60℃の温
風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアセテートフイルムの長手方向と平行
な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0121】 ──────────────────────────────────── 配向膜塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部 水 371質量部 メタノール 119質量部 グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部 ────────────────────────────────────
【0122】
【化33】
【0123】(光学異方性層の形成)配向膜上に、下記
の円盤状(液晶性)化合物41.01g、エチレンオキ
サイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セ
ルロースアセテートブチレート(CAB551−0.
2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロー
スアセテートブチレート(CAB531−1、イースト
マンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガ
キュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感
剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4
5gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布
液を、#3.6のワイヤーバーで塗布した。これを13
0℃の恒温ゾーンで2分間加熱し、円盤状化合物を配向
させた。次に、60℃の雰囲気下で120W/cm高圧
水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合
させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、
光学異方性層を形成し、光学補償シート(KH−01)
を作製した。波長546nmで測定した光学異方性層の
Reレターデーション値は43nmであった。また、円
盤面とセルロースアセテートフイルム表面との間の角度
(傾斜角)は平均で42゜であった。
【0124】
【化34】
【0125】[実施例2] (セルロースアセテートフイルムの作製)セルロースア
セテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶
液25質量部を混合してドープを調製した(セルロース
アセテート100質量部に対して、レターデーション上
昇剤3.5質量部を使用し)以外は、実施例1と同様に
して、残留溶剤量が0.5質量%のセルロースアセテー
トフイルムを作製した。作製したセルロースアセテート
フイルム(CAF−02)について、光学特性と吸湿膨
張係数を測定した。結果は第1表および第2表に示す。
尚、光学特性は、エリプソメーター(M−150、日本
分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるRe
レターデーション値およびRthレターデーション値を測
定した。さらに、作製したセルロースアセテートフイル
ムを、1.5Nの水酸化カリウム溶液(40℃)に5分
間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。
このセルロースアセテートフイルムの表面エネルギーを
接触角法により求めたところ、68mN/mであった。
【0126】(配向膜の形成)このセルロースアセテー
トフイルム上に、実施例1で用いた配向膜塗布液を#1
6のワイヤーバーコーターで28ml/m2 塗布した。
60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒
乾燥した。次に、セルロースアセテートフイルムの遅相
軸(波長632.8nmで測定)と45゜の方向に、形
成した膜にラビング処理を実施した。
【0127】(液晶性化合物の作製)まず、液晶性高分
子の合成と、無配向処理基板上でのホメオトロピック配
向の確認を行う。4−n−ヘプチル安息香酸10mmo
l、テレフタル酸95mmol、メチルヒドロキノンジ
アセテート50mmol、カテコールジアセテート50
mmol、および酢酸ナトリウム100mgを用いて窒
素雰囲気下、270℃で12時間重合を行った。得られ
た反応生成物をテトラクロロエタンに溶解したのち、メ
タノールで再沈澱を行って精製し、液晶性ポリエステル
22.0gを得た。この液晶性ポリエステルの対数粘度
は0.15、液晶相としてネマチック相をもち、等方相
−液晶相転移温度は240℃、ガラス転移点は75℃で
あった。
【0128】この液晶性ポリエステルを用いて、10w
t%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/
4質量比)溶液を調製した。この溶液を、ソーダガラス
板上に、バーコート法により塗布し、溶媒を除去した。
次いで、190℃で30分間熱処理した後、室温下で冷
却・固定化した。その結果、膜厚15μmの均一に配向
した液晶性フイルムを得た。コノスコープ観察したとこ
ろ高分子液晶は正の一軸性構造を持つことがわかり、こ
のポリマーがホメオトロピック配向性を持つことがわか
った。
【0129】(光学異方性層の形成)前記のようにして
得られた液晶性ポリエステルの8wt%テトラクロロエ
タン溶液を調製した。次いで、スピンコート法により、
溶液を配向膜上に塗布した。次いで溶媒を除去した後、
190℃で20分間熱処理した。熱処理後、空冷し、液
晶性化合物の配向状態を固定化した。得られた光学補償
シート(KH−02)は、透明で配向欠陥はなく、均一
な膜厚(1.55μm)を有していた。
【0130】[比較例1]実施例1で用いたセルロース
アセテート溶液をそのままドープとして、バンド流延機
を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃とな
ってから、40℃の温風で1分乾燥し、バンドからフイ
ルムを剥ぎ取った。次いでフイルムを120℃の乾燥風
で5分乾燥し、残留溶剤量が3.0質量%のセルロース
アセテートフイルム(厚さ:100μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートフイルム(CAF−H
1)について、光学特性と吸湿膨張係数を測定した。結
果は第1表および第2表に示す。尚、光学特性は、エリ
プソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い
て、波長550nmにおけるReレターデーション値お
よびRthレターデーション値を測定した。
【0131】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── フイルム レターデーション上昇剤 Re Rth ──────────────────────────────────── 実施例1 CAF−01 1.8質量部 5nm 130nm 実施例2 CAF−02 7.8質量部 10nm 110nm 比較例1 CAF−H1 なし 4nm 48nm ────────────────────────────────────
【0132】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── フイルム 吸湿膨張係数(/%RH) ──────────────────────────────────── 実施例1 CAF−01 12.0×10-5 実施例2 CAF−02 11.9×10-5 比較例1 CAF−H1 35.0×10-5 ────────────────────────────────────
【0133】[実施例3]延伸したポリビニルアルコー
ルフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。ポ
リビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1で作成
した光学補償シート(KH−01)を、セルロースアセ
テートフイルム(CAF―01)が偏光膜側となるよう
に偏光膜の片側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補
償シート(KH―01)の遅相軸とは平行になるように
配置した。市販のセルローストリアセテートフイルム
(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)
製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着
剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の透
過軸と市販のセルローストリアセテートフイルムの遅相
軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光
板を作製した。
【0134】[実施例4]延伸したポリビニルアルコー
ルフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。ポ
リビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例2で作成
した光学補償シート(KH−02)を、セルロースアセ
テートフイルム(CAF―02)が偏光膜側となるよう
に偏光膜の片側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補
償シート(KH―02)の遅相軸とは直交になるように
配置した。市販のセルローストリアセテートフイルム
(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)
製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着
剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の透
過軸と市販のセルローストリアセテートフイルムの遅相
軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光
板を作製した。
【0135】[比較例2]延伸したポリビニルアルコー
ルフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。ポ
リビニルアルコール系接着剤を用いて、比較例1で作成
したセルロースアセテートフイルムを偏光膜の片側に貼
り付けた。偏光膜の透過軸とセルロースアセテートフイ
ルム(CAF−H1)の遅相軸とは平行になるように配
置した。市販のセルローストリアセテートフイルム(フ
ジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)に
ケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用
いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と
市販のセルローストリアセテートフイルムの遅相軸と
は、直交するように配置した。このようにして偏光板を
作製した。
【0136】[実施例5]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けら
れている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例3で作
製した偏光板を、光学補償シート(KH−01)が液晶
セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバ
ックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板
の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とが直交
するように配置した。作製した液晶表示装置について、
測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を
用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段
階で視野角を測定した。結果を第3表に示す。
【0137】[実施例6]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)に設けら
れている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例4で作
製した偏光板を、光学補償シート(KH−02)が液晶
セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバ
ックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板
の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とが直交
するように配置した。作製した液晶表示装置について、
測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を
用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段
階で視野角を測定した。結果を第3表に示す。
【0138】[比較例3]TN型液晶セルを使用した液
晶表示装置(6E−A3、シャープ(株)製)につい
て、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社
製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)まで
の8段階で視野角を測定した。結果を第3表に示す。
【0139】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 液晶 視野角(コントラスト比が10以上で黒側の階調反転のない範囲) 表示装置 上 下 左右 ──────────────────────────────────── 実施例5 70゜ 45゜ 160゜ 実施例6 30゜ 55゜ 120゜ 比較例3 15゜ 25゜ 37゜ ──────────────────────────────────── (註)黒側の階調反転:L1とL2との間の反転
【0140】[実施例7]TN型液晶セルを使用した2
0インチの液晶表示装置(LC−20V1、シャープ
(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代
わりに実施例3で作製した偏光板を、光学補償シート
(KH−01)が液晶セル側となるように粘着剤を介し
て、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付け
た。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏
光板の透過軸とが直交するように配置した。温度25
℃、相対湿度60%の環境条件において、バックライト
を5時間連続点灯し、全面黒表示状態を暗室にて目視で
観察して光漏れを評価した。その結果、液晶表示装置の
表示画面において光漏れ(透過率の上昇)は観測されな
かった。
【0141】[実施例8]実施例4で作製した偏光板を
用いる以外は、実施例7と同様にして偏光板を液晶表示
装置に実装した。実施例7と同様にして光漏れを評価し
た。その結果、液晶表示装置の表示画面において光漏れ
は観測されなかった。
【0142】[比較例4]比較例2で作製した偏光板を
用いる以外は、実施例7と同様にして偏光板を液晶表示
装置に実装した。実施例7と同様にして、光漏れを評価
した。その結果、液晶表示装置の表示画面において額縁
状の光漏れが観測された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/18 CEP C08J 5/18 CEP 4J002 C08K 5/01 C08K 5/01 5/3492 5/3492 C08L 1/12 C08L 1/12 G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 1/13363 1/13363 // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 9:00 B29L 9:00 11:00 11:00 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA42 BB33 BB43 BB49 BC04 BC05 BC06 BC09 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FB02 GA16 HA07 KA02 LA03 LA04 LA13 4F071 AA09 AC02 AC04 AC12 AC13 AH19 BA02 BB02 BC01 BC17 4F100 AH01A AH03A AJ06A AS00B BA02 EG00 EH46A GB41 JA20 JN01A JN10 JN18 JN30B YY00A 4F205 AA01 AA24 AA43 AA44 AB19 AC05 AC07 AE10 AG03 AH73 GA07 GB02 GB22 GC07 GF01 GF03 GF24 GN13 GN29 GW41 4J002 AB021 EA036 EA066 EL066 EU026 EU046 EU136 EU186 EU226 EV306 EV326 FD206 GP00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢化度が59.0乃至61.5%の範囲
    にあるセルロースアセテート、およびセルロースアセテ
    ート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環
    を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むセ
    ルロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物から形
    成された光学異方性層が備えられてなる光学補償シート
    であり、セルロースアセテートフイルムの、下記式
    (I)により定義されるReレターデーション値が0乃
    至20nmの範囲にあり、下記式(II)により定義され
    るRthレターデーション値が70乃至400nmの範囲
    にあり、そして吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以
    下であることを特徴とする光学補償シート: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
    あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
    り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
    て、dは、フイルムの厚さである]。
  2. 【請求項2】 前記の芳香族化合物が、少なくとも一つ
    の1,3,5−トリアジン環を有することを特徴とする
    請求項1に記載の光学補償シート。
  3. 【請求項3】 前記の液晶性化合物が円盤状液晶性化合
    物であることを特徴とする請求項1に記載の光学補償シ
    ート。
  4. 【請求項4】 前記のセルロースアセテートフイルム
    が、共流延法により製膜されていることを特徴とする請
    求項1に記載の光学補償シート。
  5. 【請求項5】 偏光膜およびその両側に配置された二枚
    の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の一
    方が、酢化度が59.0乃至61.5%の範囲にあるセ
    ルロースアセテート、およびセルロースアセテート10
    0質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する
    芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むセルロース
    アセテートフイルム上に、液晶性化合物から形成された
    光学異方性層が備えられてなる光学補償シートであり、
    セルロースアセテートフイルムの、下記式(I)により
    定義されるReレターデーション値が0乃至20nmの
    範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレター
    デーション値が70乃至400nmの範囲にあり、そし
    て吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以下であること
    を特徴とする偏光板: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
    あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
    り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
    て、dは、フイルムの厚さである]。
  6. 【請求項6】 液晶セルおよびその両側に配置された二
    枚の偏光板からなり、偏光板が偏光膜およびその両側に
    配置された二枚の透明保護膜からなる液晶表示装置であ
    って、液晶セルと偏光膜の間の透明保護膜のうちの少な
    くとも一方が、酢化度が59.0乃至61.5%の範囲
    にあるセルロースアセテート、およびセルロースアセテ
    ート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環
    を有する芳香族化合物を0.01乃至20質量部含むセ
    ルロースアセテートフイルム上に、液晶性化合物から形
    成された光学異方性層が備えられてなる光学補償シート
    であり、セルロースアセテートフイルムの、下記式
    (I)により定義されるReレターデーション値が0乃
    至20nmの範囲にあり、下記式(II)により定義され
    るRthレターデーション値が70乃至400nmの範囲
    にあり、そして吸湿膨張係数が30×10-5/%RH以
    下であることを特徴とする液晶表示装置: (I) Re=(nx−ny)×d (II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d [式中、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率で
    あり;nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であ
    り;nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり;そし
    て、dは、フイルムの厚さである]。
  7. 【請求項7】 液晶セルがTNモードの液晶セルである
    請求項6に記載の液晶表示装置。
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