JPH10279702A - セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法

Info

Publication number
JPH10279702A
JPH10279702A JP8801397A JP8801397A JPH10279702A JP H10279702 A JPH10279702 A JP H10279702A JP 8801397 A JP8801397 A JP 8801397A JP 8801397 A JP8801397 A JP 8801397A JP H10279702 A JPH10279702 A JP H10279702A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose ester
group
film
solution
ester film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8801397A
Other languages
English (en)
Inventor
Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
Toshiaki Shibue
俊明 渋江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP8801397A priority Critical patent/JPH10279702A/ja
Publication of JPH10279702A publication Critical patent/JPH10279702A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 セルロースエステルの環状ジエーテル溶液か
ら、感光材料をかぶらせることなく、耐光性も良好なセ
ルロースエステルフィルムを造るための製造方法および
それを用いたセルロースエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 セルロースエステル溶液から溶液流延法
によりセルロースエステルフィルムの製造方法におい
て、該セルロースエステル溶液が、セルロースエステ
ル、一般式(I)、(II)又は(III)および環状ジエ
ーテル化合物を含有する溶液であることを特徴とするセ
ルロースエステルフィルムとその製造方法。 例 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真材料や光学材
料に有用なセルロースエステルフィルムの製造方法およ
びそれを用いたセルロースエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロースアセテートフィルム
は、その透明性と光学的等方性から、写真材料や光学材
料に有用であり、特に写真感光材料用の支持体や液晶表
示装置における偏光板の保護フィルム、カラーフィルタ
ーなどが代表的である。
【0003】セルロースアセテートフィルムは、普通、
溶液流延法により製造されており、溶媒としては、実質
的に塩化メチレンに限られていた。ところが、近年、塩
化メチレンのようなハロゲン化炭化水素は、環境保護の
観点から、その使用が制限される方向にあり、塩化メチ
レンに代わる溶媒についての提案がされている。
【0004】特開平7−278324号公報には、セル
ロースアシレートを1,3ジオキソランに溶解させるセ
ルロースアシレートフィルムの製造方法が提案されてい
る。また、特開平8−143708号公報には、セルロ
ースエステルを環状ジエーテルに溶解させたセルロース
エステル溶液および成型品の製造方法が提案されてい
る。
【0005】ところが、上記のセルロースアシレートフ
ィルムやセルロースエステルフィルムを写真用支持体と
して用いると感光材料をかぶらせることが判明した。す
なわち、写真感光材料をパトローネ中に巻き込んだ状態
で例えば60℃、60%RHで1週間保存したところ未
露光のはずの感光材料に発色が認められた。これは写真
用としては致命的な問題であり改良が必要であった。ま
た、上記のセルロースアシレートフィルムやセルロース
エステルフィルムは、耐光性にも劣ることが判明した。
すなわち、フィルムをキセノンランプに1,000時間
曝したところフィルムに黄色着色が認められた。偏光板
用では、屋外で使用される機会が増加したこともあり、
その耐光性が益々重要な特性となっており、改良が望ま
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】セルロースエステルの
環状ジエーテル溶液から、感光材料をかぶらせることな
く、耐光性も良好なセルロースエステルフィルムを造る
ための製造方法およびそれを用いたセルロースエステル
フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記構
成の何れかを採ることにより達成される。
【0008】(1) セルロースエステル溶液から溶液
流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する方
法において、該セルロースエステル溶液が、セルロース
エステル、酸化防止剤および環状ジエーテル化合物を含
有する溶液であることを特徴とするセルロースエステル
フィルムの製造方法。
【0009】(2) セルロースエステル溶液から溶液
流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する方
法において、該セルロースエステル溶液が、セルロース
エステル、酸化防止剤として下記一般式(I)から選ば
れる少なくとも1つの化合物Aおよび環状ジエーテル化
合物を含有する溶液であることを特徴とする(1)記載
のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1はアルキル基を表し、R2、R
3およびXは、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケ
ニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アル
ケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アル
ケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ基、ヒ
ドロキシ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイ
ル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボ
ニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル
基、アシルオキシ基を表す。mは0〜2の整数を表す。
2、R3およびXは互いに同一でもよいし異なっていて
もよい。) (3) フィルムを製造する方法において、該セルロー
スエステル溶液が、セルロースエステル、下記一般式
(II)または(III)から選ばれる少なくとも1つの化
合物Bおよび環状ジエーテル化合物を含有する溶液であ
ることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造
方法。
【0012】
【化4】
【0013】(式中、Xは酸素原子又はNR23を表す。
1〜R8、R12〜R23は、それぞれ水素原子、水酸基、
脂肪族基、芳香族基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ
基、ニトロ基、COR9、COOR9、NR910、NR
10COR11、NR10SO211、CONR910、SO2
NR910、COR11、SO211、OCOR11、N(R
9)CONR1011、CONHSO211又はSO2NH
COR11を表し、R9、R10はそれぞれ水素原子、脂肪
族基、芳香族基、複素環基を表し、R11は脂肪族基、芳
香族基又は複素環基を表す。) (4) 前記セルロースエステル溶液が、前記化合物B
を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の
セルロースエステルフィルムの製造方法。
【0014】(5) 前記化合物Aが、2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾールであることを特徴とする
(2)、(3)又は(4)に記載のセルロースエステル
フィルムの製造方法。
【0015】(6) 前記環状ジエーテル化合物が、
1,3−ジオキソランであることを特徴とする(1)〜
(5)のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィ
ルムの製造方法。
【0016】(7) 前記セルロースエステルが酢化度
57.0%以上62.0%以下のセルローストリアセテ
ートであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか
1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0017】(8) 前記セルロースエステル溶液が、
貧溶媒を全溶媒に対して5重量%以上50重量%以下含
有していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか
1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0018】(9) 前記セルロースエステル溶液が、
可塑剤をセルロースエステルに対して5重量%以上30
重量%以下含有していることを特徴とする(1)〜
(8)のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィ
ルムの製造方法。
【0019】(10) (1)〜(9)のいずれかに記
載の製造方法により製造されたことを特徴とするセルロ
ースエステルフィルム。
【0020】(11) 前記セルロースエステルフィル
ム中の残留溶媒量が全フィルム重量の2重量%以下であ
ることを特徴とする(10)に記載のセルロースエステ
ルフィルム。
【0021】(12) 前記セルロースエステルフィル
ム中の残留溶媒量が全フィルム重量の0.4重量%以下
であることを特徴とする(11)に記載のセルロースエ
ステルフィルム。
【0022】(13) 前記セルロースエステルフィル
ム中の残留溶媒量が全フィルム重量の0.1重量%以下
であることを特徴とする(12)に記載のセルロースエ
ステルフィルム。
【0023】以下さらに詳細に説明する。
【0024】本発明は、環状ジエーテル化合物を含むセ
ルロースエステル溶液の調製の際に、特定の化合物を共
存させておくことにより感光材料のカブリおよび耐光性
の改良ができることを見い出したものである。
【0025】本発明に用いるセルロースエステルは、例
えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネー
ト、セルロースブチレートなどの脂肪族カルボン酸エス
テル、フタル酸ハーフエステルなどの芳香族カルボン酸
エステル、硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セ
ルロースなどの無機酸エステル、セルロースアセテート
プロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セ
ルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースな
どの混酸エステル、およびポリカプロラクトングラフト
化セルロースアセテートなどのセルロースエステル誘導
体などが挙げられる。中でも脂肪族カルボン酸エステル
や他と共重合タイプの脂肪族カルボン酸エステルが好適
に用いることができ、特に酢化度50.0%以上62.
0%以下のセルロースアセテート、さらに酢化度57.
0%以上62.0%以下のセルローストリアセテートを
用いることにより、機械的強度、寸法安定性および耐湿
熱安定性の良好なフィルムを得ることができるので好ま
しい。
【0026】これらのセルロースエステルは、重量平均
重合度が200以上800以下、特に重量平均重合度が
250以上400以下であることが、機械的強度、寸法
安定性の良好なフィルムを得ることができるので好まし
い。
【0027】セルロースエステルの合成方法は従来公知
の方法で合成できる。例えばセルロースエステルがセル
ロースアシレートの場合、セルロースをアセチル基や他
のアシル基に対応する有機酸またはそれらの酸無水物を
含む有機酸化合物でエステル化し合成する。
【0028】セルロースとしては、綿花リンターや木材
パルプどちらでも良く、これらから合成されたセルロー
スエステルを単独で使用してもよいし、混合して使用し
てもよい。綿花リンターから合成されたセルロースエス
テルをセルロースエステルに対し40重量%以上、特に
60重量%以上、更に単独で使用することが、着色の少
なく、表面欠点のない面品質に優れたフィルムを得るこ
とができるので好ましい。
【0029】本発明に用いる化合物Aは、下記一般式
(I)で表される化合物から少なくとも1種が選ばれ
る。
【0030】
【化5】
【0031】一般式(I)中、R1はアルキル基を表
し、R2、R3およびXは、それぞれ水素原子、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキ
シ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチ
オ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オ
キシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルバモイル基、ス
ルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ
基、アシル基、アシルオキシ基を表す。mは0〜2の整
数を表す。R2、R3およびXは互いに同一でもよいし異
なっていてもよい。
【0032】上記アルキル基は、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキ
シル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサ
デシル、オクタデシル、ベンジルなどの直鎖、分岐、ま
たは環状のアルキル基を表す。
【0033】上記アルケニル基は、例えば、ビニル、ア
リル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニ
ル、ドデセニル、オクタデセニルなどの直鎖、分岐、ま
たは環状のアルケニル基を表す。
【0034】上記アリール基は、例えば、フェニル、ナ
フチル、アントラニルなどのベンゼン単環や縮合多環の
アリール基を表す。
【0035】上記ヘテロ環基は、例えば、フリル、ピロ
リル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニ
ル、ピロリジル、モルホリニルなどの窒素原子、硫黄原
子、酸素原子の少なくとも一つを含む5〜7員環からな
る基を表す。
【0036】中でもヒンダードフェノール系の化合物が
好ましく、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチ
オ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
アニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−
ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなど挙げ
られる。
【0037】特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕が最も好ましい。また例えば、N,N’
−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジ
ン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用
してもよい。
【0038】化合物Aの添加量は、環状ジエーテル化合
物に対して5ppm〜1.0%が好ましく、10ppm
〜1000ppmがさらに好ましい。これらの化合物
は、あらかじめ環状ジエーテル化合物と混合しておいて
もよいし、セルロースエステル溶液の調製の際に、セル
ロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調
製中や調製後に添加してもよい。
【0039】本発明に用いる環状ジエーテル化合物は、
4から7員環を有する環状ジエーテル化合物であり、例
えば、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジ
オキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−
エチル−1,3−ジオキソラン、4−エチル−1,3−
ジオキソラン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラ
ンなどの5員環化合物、1,4−ジオキサン、1,3−
ジオキサンなどの6員環化合物などである。これらの環
状ジエーテル化合物は単独で用いてもよいし、2種以上
を混合して用いてもよい。中でも5員環化合物、特に
1,3−ジオキソランがセルロースエステルの溶解性に
優れており、その沸点が比較的低いことによる製膜時の
乾燥負荷が少ないことから最も好ましい。
【0040】本発明ではセルロースエステルの溶媒は、
上記環状ジエーテル化合物だけで構成されていても良好
な溶解性が得られるのであるが、必要で有れば、さらに
その他の良溶媒(セルロースエステルを単独で溶解可能
な溶媒)と併用してもよい。この場合、環状ジエーテル
化合物の含有量としては、1重量%以上、さらに20重
量%以上、特に60重量%以上であることが好ましい。
その他の良溶媒としては塩化メチレンが挙げられる。
【0041】本発明では、良溶媒と貧溶媒(セルロース
エステルを単独では溶解せず、膨潤させるが溶解しない
溶媒)を併用することも好ましい方法である。つまり、
あらかじめ貧溶媒によりセルロースエステルを湿潤状態
または膨潤状態になるまで処理することで、良溶媒への
溶解性を向上させることができる。
【0042】さらに良溶媒と貧溶媒を併用したセルロー
スエステルの溶液を流延キャスティングした膜は、残溶
剤を多く含んだ状態でも膜の強度が強く、支持体のベル
トやドラム上からはぎ取るのが容易となるのである。貧
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノー
ル、t−ブタノール、シクロヘキサノールなどの炭素数
が1から6の低級アルコール、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、モ
ノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラ
ヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレングリコー
ル、モノメチルエーテル、アセトン、トルエンなどを挙
げることができる。中でもメタノール、エタノール、n
−ブタノール、シクロヘキサンが好ましい。良溶媒と貧
溶媒を併用する場合、貧溶媒の割合は全溶媒に対して5
重量%以上、50重量%以下が好ましい。
【0043】本発明で用いるセルロースエステル溶液に
は、下記一般式(II)または(III)で表される着色剤
の中から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ま
しい。
【0044】
【化6】
【0045】一般式(II)または(III)中、Xは酸素
原子又はNR23を表す。R1〜R8、R12〜R23は、それ
ぞれ水素原子、水酸基、脂肪族基、芳香族基、複素環
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、COR9、C
OOR9、NR910、NR10COR11、NR10SO2
11、CONR910、SO2NR910、COR11、SO2
11、OCOR11、N(R9)CONR1011、CON
HSO211又はSO2NHCOR11を表し、R9、R10
はそれぞれ水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を
表し、R11は脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。
【0046】R1〜R26で表される脂肪族基は、炭素数
1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−
ブチル、イソプロピル、2−エチルヘキシル、n−デシ
ル、n−オクタデシル)、炭素数1〜20のシクロアル
キル基(例えば、シクロベンジル、シクロヘキシル)ま
たはアリル基を表し、これらはさらに置換基(例えば、
ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボン
酸基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数0〜20の
アミノ基、炭素数1〜20のアミド基、炭素数1〜20
のカルバモイル基、炭素数2〜20のエステル基、炭素
数1〜20のアルコキシ基またはアリーロキシ基、炭素
数1〜20のスルホンアミド基、炭素数0〜20のスル
ファモイル基、5または6員の複素環を有していてもよ
い。R1〜R26で表される芳香族基は炭素数6〜10の
フェニル、ナフチルなどのアリール基を表し、前記に挙
げた置換基および炭素数1〜20のメチル、エチル、n
−ブチル、t−ブチル、オクチルなどのアルキル基から
なる置換基を有していてもよい。R1〜R11で表される
複素環基は、5または6員の複素環を表し、前記の置換
基を有していてもよい。以下に一般式(II)および(II
I)で表される化合物の好ましい例を示すが、これに限
定されない。
【0047】
【化7】
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】着色剤の含有量は、セルロースエステルに
対して10ppm以上1000ppm以下が好ましく、
50ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。こ
の様に着色剤を含有させることにより、セルロースエス
テルフィルムの耐光性を高度に改良することができる。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際
に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよい
し、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0054】本発明で用いるセルロースエステル溶液に
は、セルロースエステルフィルムの機械的強度を向上す
るために可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤とし
ては、リン酸エステル、カルボン酸エステル、グリコー
ル酸エステルなどが好ましく用いられる。
【0055】リン酸エステルの例としては、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジル
ジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェ
ート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチ
ルホスフェート、トリブチルホスフェートなどがあり、
カルボン酸エステルの例としては、ジメチルフタレー
ト、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオク
チルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、クエン
酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、
オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバ
シン酸ジブチル、トリメリット酸エステルなどがあり、
グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、ト
リブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチ
ルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチル
グリコレートなどがある。
【0056】中でもトリフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジ
エチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチ
ン、エチルフタリルエチルグリコレートが好ましい。特
にトリフェニルホスフェート、ジエチルフタレート、エ
チルフタリルエチルグリコレートが好ましい。
【0057】これらの可塑剤は1種でもよいし2種以上
併用してもよい。可塑剤の添加量はセルロースエステル
に対して5重量%以上30重量%以下、特に8重量%以
上16重量%以下が好ましい。可塑剤の添加量がこの範
囲であるとブリードアウトが発生することもなく、機械
的強度が改良される。これらの化合物は、セルロースエ
ステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と
共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加して
もよい。
【0058】本発明で用いられるセルロースエステル溶
液は、通常の方法により調整してよく、セルロースエス
テルおよび溶媒を容器に入れ、常温で、あるいは溶媒が
沸騰しない温度条件下で撹拌混合することにより得られ
る。撹拌混合は、容器内部の液膜残りのないような装
置、方式であることが好ましい。また容器内には窒素ガ
スなどの不活性ガスで充満させて分解を抑制してもよ
い。必要により、加圧容器などを用いて加圧条件下で撹
拌混合してもよい。溶液中のセルロースエステルの濃度
は5重量%以上50重量%以下、特に10重量%以上4
0重量%以下が好ましい。
【0059】セルロースエステル溶液の粘度は、製膜の
際、流延可能な範囲であればよく、通常500cpsか
ら200000cpsの範囲に調整される。セルロース
エステル溶液には、必要に応じてさらに種々の添加剤を
溶液の調製前から調製後のいずれの段階で添加してもよ
い。
【0060】添加剤としては、紫外線吸収剤、カオリ
ン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機微粒子、カ
ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩な
どの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などで
ある。溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾
材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過
除去しておくのが好ましい。
【0061】セルロースエステルフィルムの製造は、公
知の溶液流延法により好ましく製造できる。例えば、U
SP2,492,978号、同2,739,069号、
同2,336,310号、特公昭45−9074号、同
49−4554号の各号公報などを参考にできる。
【0062】一般的な溶液流延方法としては、調製した
セルロースエステル溶液をダイから押し出す方法、ドク
ターブレードによる方法、リバースロールコーターによ
る方法などによりドラム状かベルト状の支持体上に連続
的に流延し、乾燥してからフィルムをはぎ取る方法であ
る。支持体としては特に限定はないが、ガラス、ステン
レスやクロムメッキした金属、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリエチレンナフタレートなどのプラスチックな
どの表面を有するものなどがあり、特に鏡面仕上げされ
た金属表面を有するものが好ましい。
【0063】好ましい溶液流延方法としては、流延温度
としては、10〜70℃、乾燥温度は、30〜200℃
の範囲で行うのが好ましい。特に乾燥の初期は30〜1
30℃の範囲とし、その後逐次的にまたは連続的に昇温
することが、フィルムの平面性を良好とすることができ
好ましい。乾燥されたフィルムは、その残留溶媒がセル
ロースエステルに対して5〜200重量%、特に10〜
100重量%の範囲で支持体からはぎ取ることが好まし
い。はぎ取り時の残留溶媒量が少ないと支持体との密着
力が強すぎてフィルムが変形する場合があるし、残留溶
媒が多すぎると剥離残りが発生する場合がある。乾燥時
間は、フィルムの残留溶媒量が上記の範囲になるように
設定することが好ましく、通常10秒から1時間の範囲
である。
【0064】支持体からはぎ取られたフィルムは、必要
により後乾燥される。後乾燥工程では、テンター方式や
ロール懸垂方式、または密間に配置したロール中を搬送
させる方式などによりフィルムの幅方向への収縮を抑制
しながら、あるいは必要により幅方向に延伸しながら乾
燥させることが高度な平面性を有するフィルムが得られ
るので好ましい。乾燥温度は80〜250℃、特に10
0〜180℃が好ましい。フィルムの残留溶媒量は2重
量%以下が好ましく、さらに0.4重量%以下が好まし
く、特に0.1重量%以下が好ましい。フィルムの残留
溶媒量をこの範囲にすることで、写真用支持体に用いた
ときの感光材料のカブリを高度に改良できる。後乾燥時
間は、フィルムの残留溶媒量が上記の範囲になるように
設定することが好ましく、通常1分から2時間の範囲で
ある。
【0065】これら流延から後乾燥までの工程は、空気
雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下
でもよい。
【0066】本発明では、フィルムを支持体からはぎ取
るまでの時間を短縮する公知の方法も好ましく用いるこ
とができる。例えば、特公昭60−27562号公報に
記載されているような2つ以上の溶液流延口から溶液を
流延する方法では、初期乾燥時間を2分の1以下に短縮
することができる。この公報では溶媒として塩化メチレ
ンを使用しているので、この方法を本発明に適用するに
際しては、乾燥温度については用いる溶媒の沸点等を考
慮して設定する必要がある。この場合でも前述した乾燥
温度が好ましく用いられる。
【0067】また、特公平5−17844号公報に記載
されている方法では、溶液を10℃以下の支持体上に流
延してフィルムをはぎ取ることにより、フィルムの残留
溶媒量が多い状態で支持体からはぎ取り可能となる。こ
の公報では溶媒に塩化メチレンが使用されており、溶媒
を1,3−ジオキソランに変更して、この方法を本発明
に適用したところ、支持体温度は約40℃以下からその
効果が認められ、さらに25℃以下で顕著な効果が認め
られた。剥離可能な残留溶媒量は300重量%以下であ
った。乾燥温度については用いる溶媒の沸点等を考慮し
て設定する必要がある。この場合でも前述した乾燥温度
が好ましく用いることができる。さらに、特開平9−1
5792号公報で記載されている方法では、溶液濃度を
36〜72重量%の高濃度にし、かつ溶液温度を40〜
63℃、支持体温度を−70〜21℃とすることにより
フィルムを支持体からはぎ取るまでの時間を8秒以下と
している。ここでも溶媒は塩化メチレンを使用している
のであるが、溶媒を1,3−ジオキソランに変更して、
この方法を本発明に適用したところ、溶液温度70〜1
00℃の範囲で、支持体温度約50℃以下からその効果
が認められ、さらに35℃以下で顕著な効果が認められ
た。
【0068】また、ここで挙げた方法以外にも従来知ら
れているセルロースエステル溶液からセルロースエステ
ルフィルムを流延製膜する種々の方法(例えば特開昭6
1−94724号、同61−148013号、同62−
46625号、同62−46626号、同62−115
035号、特開平4−85011号、同4−15212
5号、同4−284211号、同4−286611号、
同4−298310号、同5−185443号、同5−
185445号、同6−278149号、同8−207
210号等の各公報)についても好ましく用いることが
でき、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設
定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様な
効果が得られる。
【0069】本発明のセルロースエステルフィルムの厚
さは、乾燥後の膜厚で5〜500μmの範囲が好まし
く、さらに40〜250μmの範囲が好ましく、60〜
125μmの範囲が最も好ましい。
【0070】フィルムの温度21℃での平衡含水率は、
寸法安定性および現像処理後の巻き癖解消性の点から、
湿度10%RHで0.1%以上1.0%以下、湿度45
%RHで0.5%以上2.0%以下、湿度70%RHで
1.0%以上3.0%以下であることが好ましく、湿度
10%RHで0.1%以上0.5%以下、湿度45%R
Hで0.5%以上1.5%以下、湿度70%RHで1.
0%以上2.5%以下であることがさらに好ましい。
【0071】以上の様にして得られたセルロースエステ
ルフィルムは、感光材料のカブリが改良されており、さ
らに耐光性に優れるので、写真フィルムの支持体や偏向
板の保護フィルムなどに好適である。
【0072】写真感光材料は、本発明のセルロースエス
テルフィルムの少なくとも一方の表面にハロゲン化銀乳
剤層を少なくとも一層有する。このハロゲン化銀乳剤層
はセルロースエステルフィルム上に直接塗設されるか、
あるいは他の層、例えばハロゲン化銀乳剤を含まない親
水性コロイド層を介して塗設することができる。さらに
ハロゲン化銀乳剤層の上には、保護層としての親水性コ
ロイド層を塗設してもよい。
【0073】また、ハロゲン化銀乳剤層は、異なる感
度、例えば、高感度及び低感度の各ハロゲン化銀乳剤層
に分けて塗設してもよい。この場合、各ハロゲン化銀乳
剤層の間に、例えば親水性コロイドからなる中間層を設
けてもよい。また、セルロースエステルフィルムと最上
層との間にその他の中間層、保護層、アンチハレーショ
ン層、紫外線吸収層、帯電防止層などを設けてもよい。
ハロゲン化銀乳剤に使用するハロゲン化銀としては、任
意の組成のものを使用することができる。例えば、塩化
銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀などが挙
げられる。
【0074】また、ハロゲン化銀乳剤層には、増感色
素、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、硬膜剤などを含
有していてもよい。ハロゲン化銀乳剤層を塗設した面の
反対側には、必要によりバッキング層を設けてもよい。
バッキング層は、通常、帯電防止層、紫外線吸収層、易
滑性層、接着性層、バリアー性層、磁気記録層、透明磁
気記録層などから構成される。
【0075】帯電防止層などの例としては、USP2,
882,157号、特公昭47−28937号、同48
−23451号、同52−32572号、同55−73
4号、同57−12979号、同57−56059号、
同57−104931号、同60−20739号、同6
0−51693号等の各公報の記載技術がある。また、
上記ハロゲン化銀乳剤層やバッキング層との接着性を改
良するため、セルロースエステルフィルムの表面には、
下引層を設けるのが好ましい。下引層としては、例え
ば、B.P548,825、日本写真学会編,「写真工
業の基礎」、コロナ社(1979)、USP2,12
6,305号、同2,271,228号、同2,93
9,806号などに記載されている方法が挙げられる。
【0076】偏光板は、偏光膜、保護フィルム、位相差
フィルム、反射フィルム、視野角向上フィルム、防眩フ
ィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルムなどから構
成されており、本発明のセルロースエステルフィルム
は、例えば、保護フィルム、視野角向上フィルムとして
好適に用いられる。偏光板は、通常の方法で構成でき、
例えば、セルロースエステルフィルムをアルカリ処理
し、沃素溶液中に浸せき延伸した偏光膜の両面に、完全
ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わ
せることで構成できる。アルカリ処理の代わりに特開平
6−94915号、同6−118232号等の各公報に
記載されている様な接着性を向上する方法を用いてもよ
い。
【0077】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0078】(実施例1)下記の組成物を加圧密閉容器
に投入し、2気圧下、80℃に加温し、撹拌しながらセ
ルローストリアセテートを完全に溶解させセルロースエ
ステル溶液(以下ドープ)を得た。
【0079】 綿花リンターから合成されたセルローストリアセテート(酢化度61.0%) 60重量部 木材パルプから合成されたセルローストリアセテート(酢化度61.0%) 40重量部 トリフェニルフォスフェート 12重量部 1,3−ジオキソラン 360重量部 エタノール 40重量部 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.04重量部 1,4−ビス(2,6−ジエチル−4−メチル−アニリノ)アンスラキノン 0.02重量部 得られたドープを60℃まで降温し、一晩静置し脱泡し
た後、ネルによりフィルタリングし異物を取り除いた。
ドープ温度60℃で押し出しダイより60℃にコントロ
ールされたベルト式製膜装置の移動ステンレスベルト上
に流延し、流延部から2分経過した地点でフィルムをベ
ルトからはぎ取った。この後、テンター式搬送装置によ
りフィルム両縁部を把持させフィルム幅を保持しながら
70℃で10分乾燥した後、さらに120℃で1時間乾
燥し、膜厚100μmのセルローストリアセテートフィ
ルムを得た。得られたセルローストリアセテートフィル
ムの残留溶媒量および各評価結果を表1に示した。
【0080】(比較例1)実施例1で、2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾールおよび1,4−ビス(2,6
−ジエチル−4−メチル−アニリノ)アンスラキノンを
添加しなかった以外は同様にして、膜厚100μmのセ
ルローストリアセテートフィルムを得た。得られたセル
ローストリアセテートフィルムの残留溶媒量および各評
価結果を表1に示した。
【0081】(実施例2)実施例1で、2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾールの添加量を0.4重量部にし
た以外は同様にして、膜厚100μmのセルローストリ
アセテートフィルムを得た。得られたセルローストリア
セテートフィルムの残留溶媒量および各評価結果を表1
に示した。
【0082】(実施例3)実施例1で、2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾールの添加量を0.004重量部
にした以外は同様にして、膜厚100μmのセルロース
トリアセテートフィルムを得た。得られたセルロースト
リアセテートフィルムの残留溶媒量および各評価結果を
表1に示した。
【0083】(実施例4)実施例1で、2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾールを添加しない代わりに、ペン
タエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を
0.05重量部およびトリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスファイトを0.05重量部添加した以
外は同様にして、膜厚100μmのセルローストリアセ
テートフィルムを得た。得られたセルローストリアセテ
ートフィルムの残留溶媒量および各評価結果を表1に示
した。
【0084】(実施例5)実施例1で、1,4−ビス
(2,6−ジエチル−4−メチル−アニリノ)アンスラ
キノンの代わりに、化合物III−1〜4をそれぞれ0.
005重量部ずつ添加した以外は同様にして、膜厚10
0μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。得
られたセルローストリアセテートフィルムの残留溶媒量
および各評価結果を表1に示した。
【0085】(実施例6)実施例1で、1,4−ビス
(2,6−ジエチル−4−メチル−アニリノ)アンスラ
キノンを添加しなかった以外は同様にして、膜厚100
μmのセルローストリアセテートフィルムを得た。得ら
れたセルローストリアセテートフィルムの残留溶媒量お
よび各評価結果を表1に示した。
【0086】(実施例7)実施例1と同様にしてセルロ
ースエステル溶液(以下ドープ)を得た。
【0087】得られたドープを60℃まで降温し、一晩
静置し脱泡した後、ネルによりフィルタリングし異物を
取り除いた。ドープ温度60℃で押し出しダイより60
℃にコントロールされたベルト式製膜装置の移動ステン
レスベルト上に流延し、流延部から2分経過した地点で
フィルムをベルトからはぎ取った。この後、テンター式
搬送装置によりフィルム両縁部を把持させフィルム幅を
保持しながら70℃で10分乾燥した後、さらに120
℃で5分間乾燥し、膜厚100μmのセルローストリア
セテートフィルムを得た。得られたセルローストリアセ
テートフィルムの残留溶媒量および各評価結果を表1に
示した。
【0088】(実施例8)実施例1と同様にしてセルロ
ースエステル溶液(以下ドープ)を得た。
【0089】得られたドープを70℃まで降温し、一晩
静置し脱泡した後、ネルによりフィルタリングし異物を
取り除いた。ドープ温度75℃で押し出しダイより60
℃にコントロールされたベルト式製膜装置の移動ステン
レスベルト上に流延し、流延部から2分経過した地点で
フィルムをベルトからはぎ取った。この後、テンター式
搬送装置によりフィルム両縁部を把持させフィルム幅を
保持しながら70℃で10分乾燥した後、さらに120
℃で30分間乾燥し、膜厚100μmのセルローストリ
アセテートフィルムを得た。得られたセルローストリア
セテートフィルムの残留溶媒量および各評価結果を表1
に示した。
【0090】評価方法は以下の方法で行った。
【0091】(残留溶媒量)フィルムサンプル1gを細
片にし、10mlのバイアルビンに入れ測定用サンプル
とし、ヘッドスペースの加熱条件120℃、20分でヘ
ッドスペースガスクロマトグラフ/質量分析法を用いて
行った。あらかじめ用意した検量線と得られた溶媒のピ
ーク強度から検出溶媒重量を求め、フィルム重量で除し
て残留溶媒量とした。
【0092】(感光材料のカブリ)市販のコニカカラー
フィルムLV400の24枚取りを、暗室にて一旦パト
ローネから引き出し、その写真乳剤層面側に、サンプル
サイズ35mm×200mmに切り出したセルロースエ
ステルフィルムサンプルを抱き合わせて、再びサンプル
と共にパトローネ中に巻き戻す。このパトローネを60
℃、60%RH下の条件で72時間及び168時間処理
する。この後、抱き合わせたサンプルを取り除き、カラ
ーフィルムについて通常の現像処理を行い、発色の有無
を調べる。サンプルを抱き合わせなかった場合を比較と
して以下の基準でランク付けを行った。尚、ランク付け
は、写真フィルムとしての実用性に基づいて行ってお
り、○または△レベルであることが必要である。
【0093】 ランク 内容 ○ 比較同等 △ 僅かに発色が認められるが、許容範囲内 × 発色が認められ、許容範囲外 (耐光性)株式会社スガ試験機社製キセノンロングライ
フウェザーメーターを用いてセルロースエステルフィル
ムを1000時間処理した。耐光性は、処理前後のセル
ロースエステルフィルムの色調を東京電色社製ダブルビ
ーム全自動色差計(TC−1500MC)で測定し、J
ISZ−8730−1980に規定されている「ハンタ
ーの色差式による色差の計算」における黄色味を表す指
標であるクロマティネックス指数bの処理前後の差の絶
対値Δbを求め、下記の基準によりランク付けを行っ
た。尚、ランク付けは、写真フィルムとしての実用性に
基づいて行っており、○または△レベルであることが必
要である。Δbが小さいほど耐光性に優れることを意味
する。
【0094】 ランク Δbの値 ○ 0.0以上0.1未満 △ 0.1以上0.5未満 × 0.5以上
【0095】
【表1】
【0096】表1から明らかなように、本発明の範囲の
セルロースエステルフィルムは、写真感光材料のカブリ
が改良されており、さらに耐光性にも優れている。
【0097】
【発明の効果】本発明により、セルロースエステルの環
状ジエーテル溶液から、感光材料をかぶらせることな
く、耐光性も良好なセルロースエステルフィルムを造る
ための製造方法およびそれを用いたセルロースエステル
フィルムを提供することが出来る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // G02B 5/22 G02B 5/22 5/30 5/30 G03C 1/795 G03C 1/795 B29K 1:00 B29L 7:00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースエステル溶液から溶液流延法
    によりセルロースエステルフィルムを製造する方法にお
    いて、該セルロースエステル溶液が、セルロースエステ
    ル、酸化防止剤および環状ジエーテル化合物を含有する
    溶液であることを特徴とするセルロースエステルフィル
    ムの製造方法。
  2. 【請求項2】 セルロースエステル溶液から溶液流延法
    によりセルロースエステルフィルムを製造する方法にお
    いて、該セルロースエステル溶液が、セルロースエステ
    ル、酸化防止剤として下記一般式(I)から選ばれる少
    なくとも1つの化合物Aおよび環状ジエーテル化合物を
    含有する溶液であることを特徴とする請求項1記載のセ
    ルロースエステルフィルムの製造方法。 【化1】 (式中、R1はアルキル基を表し、R2、R3およびX
    は、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、ア
    リール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルケノキシ
    基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチ
    オ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ基、ヒドロキシ
    基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ア
    ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
    ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アシル
    オキシ基を表す。mは0〜2の整数を表す。R2、R3
    よびXは互いに同一でもよいし異なっていてもよい。)
  3. 【請求項3】 セルロースエステル溶液から溶液流延法
    によりセルロースエステルフィルムを製造する方法にお
    いて、該セルロースエステル溶液が、セルロースエステ
    ル、下記一般式(II)または(III)から選ばれる少な
    くとも1つの化合物Bおよび環状ジエーテル化合物を含
    有する溶液であることを特徴とするセルロースエステル
    フィルムの製造方法。 【化2】 (式中、Xは酸素原子又はNR23を表す。R1〜R8、R
    12〜R23は、それぞれ水素原子、水酸基、脂肪族基、芳
    香族基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ
    基、COR9、COOR9、NR910、NR10CO
    11、NR10SO211、CONR910、SO2NR9
    10、COR11、SO211、OCOR11、N(R9)CO
    NR1011、CONHSO211又はSO2NHCOR11
    を表し、R9、R10はそれぞれ水素原子、脂肪族基、芳
    香族基、複素環基を表し、R11は脂肪族基、芳香族基又
    は複素環基を表す。)
  4. 【請求項4】 前記セルロースエステル溶液が、前記化
    合物Bを含有することを特徴とする請求項1又は2に記
    載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記化合物Aが、2,6−ジ−t−ブチ
    ル−p−クレゾールであることを特徴とする請求項2、
    3又は4に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記環状ジエーテル化合物が、1,3−
    ジオキソランであることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記セルロースエステルが酢化度57.
    0%以上62.0%以下のセルローストリアセテートで
    あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
    載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記セルロースエステル溶液が、貧溶媒
    を全溶媒に対して5重量%以上50重量%以下含有して
    いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記
    載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記セルロースエステル溶液が、可塑剤
    をセルロースエステルに対して5重量%以上30重量%
    以下含有していることを特徴とする請求項1〜8のいず
    れか1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の製造
    方法により製造されたことを特徴とするセルロースエス
    テルフィルム。
  11. 【請求項11】 前記セルロースエステルフィルム中の
    残留溶媒量が全フィルム重量の2重量%以下であること
    を特徴とする請求項10に記載のセルロースエステルフ
    ィルム。
  12. 【請求項12】 前記セルロースエステルフィルム中の
    残留溶媒量が全フィルム重量の0.4重量%以下である
    ことを特徴とする請求項11に記載のセルロースエステ
    ルフィルム。
  13. 【請求項13】 前記セルロースエステルフィルム中の
    残留溶媒量が全フィルム重量の0.1重量%以下である
    ことを特徴とする請求項12に記載のセルロースエステ
    ルフィルム。
JP8801397A 1997-04-07 1997-04-07 セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法 Pending JPH10279702A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8801397A JPH10279702A (ja) 1997-04-07 1997-04-07 セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8801397A JPH10279702A (ja) 1997-04-07 1997-04-07 セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10279702A true JPH10279702A (ja) 1998-10-20

Family

ID=13930971

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8801397A Pending JPH10279702A (ja) 1997-04-07 1997-04-07 セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10279702A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002090541A (ja) * 2000-09-19 2002-03-27 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置
JP2002241511A (ja) * 2001-02-14 2002-08-28 Konica Corp セルロースエステルフィルム及びその製造方法
JP2002371142A (ja) * 2001-06-15 2002-12-26 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースエステルフィルムの製造方法
JP2006096793A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Fuji Photo Film Co Ltd セルロース体組成物、セルロース体フィルム、セルロース体フィルム用添加剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP2007279762A (ja) * 2007-07-03 2007-10-25 Konica Minolta Holdings Inc 偏光板の製造方法
JP2011048395A (ja) * 2010-11-22 2011-03-10 Konica Minolta Holdings Inc 偏光板の製造方法
JP2012001660A (ja) * 2010-06-18 2012-01-05 Dic Corp セルロースエステル樹脂組成物、それを用いたフィルム及び液晶表示装置用偏光板

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002090541A (ja) * 2000-09-19 2002-03-27 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置
JP2002241511A (ja) * 2001-02-14 2002-08-28 Konica Corp セルロースエステルフィルム及びその製造方法
JP2002371142A (ja) * 2001-06-15 2002-12-26 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースエステルフィルムの製造方法
JP2006096793A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Fuji Photo Film Co Ltd セルロース体組成物、セルロース体フィルム、セルロース体フィルム用添加剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP2007279762A (ja) * 2007-07-03 2007-10-25 Konica Minolta Holdings Inc 偏光板の製造方法
JP2012001660A (ja) * 2010-06-18 2012-01-05 Dic Corp セルロースエステル樹脂組成物、それを用いたフィルム及び液晶表示装置用偏光板
JP2011048395A (ja) * 2010-11-22 2011-03-10 Konica Minolta Holdings Inc 偏光板の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7758777B2 (en) Polarizing plate protecting film and its manufacturing method, polarizing plate and liquid crystal display
US7569259B2 (en) Plasticizer, cellulose ester film, polarizing plate, and liquid crystal display
TWI429703B (zh) A cellulose ester film, a method for producing a cellulose ester film, a polarizing plate and a liquid crystal display device
US20100164141A1 (en) Cellulose Ester Film, Its Manufacturing Method, Polarizing Plate, and Liquid Crystal Display
US6036913A (en) Cellulose ester film manufacturing method
JPH10279702A (ja) セルロースエステルフィルムおよびセルロースエステルフィルムの製造方法
JP2001131301A (ja) セルロースエステルフィルム
DE60112229T2 (de) Celluloseester einer aromatischen Carbonsäure
US20100047480A1 (en) Cellulose ester pellets, cellulose ester film, manufacturing method of cellulose ester film, polarizing plate, and liquid crystal display
JP4408462B2 (ja) セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム
JPWO2007132615A1 (ja) セルロースアシレートフィルムの製造方法、セルロースアシレートフィルム、偏光板及び液晶表示装置
GB477153A (en) Improvements in and relating to photographic films
JP4631383B2 (ja) セルロースエステルフィルム、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP4114233B2 (ja) セルロースアシレート溶液の調製方法、セルロースアシレートフィルムの製造方法及びセルロースアシレートフィルム
JP2002179819A (ja) セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、光学素子、偏光板用保護フィルム、偏光板、表示装置
JPH1160807A (ja) セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム
JP3285437B2 (ja) 偏光板用保護膜の製造方法及び偏光板
US3227555A (en) Raw striping process for sonotrack dispersions
US1411677A (en) Motion-picture film
JP2006106247A (ja) 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2001201631A (ja) 偏光板用保護フィルム及びそれを用いる偏光板
JP2006045468A (ja) セルロース体組成物、セルロースフイルム、およびトリアルコキシ安息香酸誘導体化合物
JPH1044327A (ja) セルロースアセテートフイルム
JP2006028387A (ja) セルロースアシレートフィルムとその製造方法
JPH10323853A (ja) セルロースエステルフィルムとその製造方法、製膜用溶解液組成物及びそれを用いた写真感光材料用フィルムベース

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040712

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041116