JP2002089735A - 電磁弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空調装置の冷媒流路の開閉に使用される電磁
弁の改良を図る。 【解決手段】 電磁弁は、黄銅製の本体に冷媒の入口側
パイプ２０と出口側パイプ３０が接続される。パイプは
銅合金でつくられる。弁本体１０に接続されるステンレ
ス製のシリンダ部材４０内にはプランジャが挿入され、
弁体を操作する。シリンダ部材４０の外側には電磁コイ
ル部材が取付けられる。弁本体１０とシリンダ部材４
０、入口側パイプ２０、出口側パイプ３０の接合部は、
炉中ろう付が施され、ろう付部Ｗ_２，Ｗ_３，Ｗ_４により
固着される。シリンダ部材４０には電気ニッケルメッキ
が施される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空調装置の冷凍サ
イクルに用いられる電磁弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、カーエアコン等の空調装置にあっ
ては、冷媒の流れを制御する電磁弁が用いられており、
装置内を循環する冷媒による部品の腐食防止を図る必要
がある。冷媒の流れを制御する電磁弁は、弁本体に冷媒
の入口側と出口側のパイプが接続され、弁本体内の弁体
を操作するソレノイドが装備される。ソレノイドのプラ
ンジャは、シリンダ部材内を摺動して弁体を制御する。
弁本体には、このシリンダ部材も接続される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】冷媒の流路に使用され
るパイプは、銅合金製のものであって、弁本体は黄銅等
の材料でつくられる。ソレノイドのシリンダ部材は、ス
テンレス製のパイプが使用される。

【０００４】これらの部品を接合するには、ろう付等の
加工が使用されるが、特に、ステンレス製のシリンダ部
材と黄銅製のシリンダ部材のろう付に際しては、ろう付
部の酸化防止のためにフラックスを使用する必要があ
る。フラックスは塩素を含むので、ろう付部の洗浄が不
充分であると、このフラックスが冷媒に混入し、不具合
の原因ともなる。本発明は、上述した不具合を解消する
電磁弁を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の空調装置の冷媒
の流路を開閉する電磁弁は、冷媒の入口のパイプと出口
側のパイプが接続される弁本体と、弁本体に形成される
弁座に対して離接する弁体を有するプランジャと、プラ
ンジャが摺動自在に挿入されるシリンダ部材と、シリン
ダ部材の外側に着脱自在に取付けられる電磁コイル部材
を備え、弁本体に対する冷媒の入口側のパイプと出口側
のパイプとシリンダ部材との接合部は、炉中ろう付によ
り接合されるものである。

【０００６】そして、黄銅製の弁本体と、銅合金製の冷
媒の入口側及び出口側のパイプと、ステンレス製のシリ
ンダ部材を備え、ステンレス製のシリンダ部材は、表面
に電気ニッケルメッキ層が積層されるものである。

【０００７】さらに、炉中ろう付加工に先立って、シリ
ンダ部材が挿入された弁本体にパンチ加工が施されて、
シリンダ部材が弁本体に仮止めされるものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の電磁弁の全体構
造を示す説明図である。全体を符号１で示す電磁弁は、
弁本体１０内に弁座１２を有し、弁座１２により画成さ
れる一方の開口部１４に入口側のパイプ２０が取付けら
れ、他方の開口部１６に出口側のパイプ３０が取付けら
れる。弁本体１０の出口側パイプ３０とは反対側には、
円筒状のシリンダ部材４０が固着され、シリンダ部材４
０内にプランジャ５０が摺動自在に挿入される。

【０００９】プランジャ５０は、弁本体１０の弁座１２
に対して離接されるボール状の弁体６０を保持する。シ
リンダ部材４０の頂部には、吸引子８０が固着され、吸
引子８０とプランジャ５０の間には、コイルバネ７０が
挿入される。

【００１０】シリンダ部材４０の外周には、コイル部材
１００が着脱自在に嵌装される。コイル部材１００に
は、リード線１１０を介して電力が供給される。コイル
部材１００は、ビス１２０によりシリンダ部材４０に固
着された吸引子８０に固定される。プランジャ５０は、
コイルバネ７０によって常時弁本体１０側に向けて付勢
されており、プランジャ５０の先端の弁体６０は弁座１
２に当接され、流路を閉じる。

【００１１】コイル部材１００に通電されると、コイル
部材１００により吸引子８０が磁化され、プランジャ５
０がコイルバネ７０のバネ力に抗して吸引子８０側に引
き寄せられる。この作用により、弁体６０は弁座１２か
ら離され、弁本体１０の入口側パイプ２０から出口側パ
イプ３０と向かって流体が流れる。コイル部材１００へ
の通電が断たれると、プランジャ５０はコイルバネ７０
により押されて、弁体６０が弁座１２に当接されて流路
を閉じる。

【００１２】図２は、本発明の電磁弁をコイル部材をと
り外して示す説明図である。弁本体１０には、流体の入
口側のパイプ２０と出口側のパイプ３０が取付けられ、
弁座１２には、プランジャ５０に取付けられたボール状
の弁体６０がコイルバネ７０のバネ力により押圧されて
いる。プランジャ５０の軸心部には、貫通穴５２が設け
てあり、この貫通穴５２から半径方向に開口部５４が設
けてある。これらの穴は、プランジャ５０がシリンダ部
材４０内を摺動する際の空気抜きとして作用する。吸引
子８０の頂部には、ねじ穴８２が形成してある。吸引子
８０はフランジ部８４によりシリンダ部材４０にＴＩＧ
熔接部Ｗ_１により固着されている。

【００１３】弁本体１０は、黄銅でつくられ、入口側パ
イプ２０と出口側パイプ３０は、銅合金製である。ま
た、シリンダ部材４０は、ステンレス（ＳＵＳ）材でつ
くられている。黄銅製の弁本体１０に対してステンレス
製のシリンダ部材４０をろう付けにより固着する際に、
ろう付部の酸化防止と活性化のために、通常は塩素系の
フラックスが使用されるが、フラックス中の塩素が洗浄
後にも残溜すると、取扱い流体である冷媒中に混入さ
れ、部品の腐食等の不具合の原因となる。

【００１４】本発明にあっては、ステンレス製のシリン
ダ部材４０の表面に電気ニッケルメッキを施したもので
ある。そして、この電気ニッケルメッキの下地処理とし
て、ウッドストライクニッケルメッキを施したものであ
る。このニッケルメッキを施すことにより、酸化が進行
しにくくなり、フラックスを使用する必要がなくなるた
めに、フラックスの仕様による不具合は防止される。

【００１５】図３は、弁本体１０に対するシリンダ部材
４０と、入口側パイプ２０と出口側パイプ３０の取付構
造を示している。シリンダ部材４０は、弁本体１０に対
してろう付部Ｗ_２により接合され、入口側パイプ２０
は、弁本体１０に対してろう付部Ｗ_３により接合され、
出口側パイプ３０は、弁本体１０に対してろう付部Ｗ_４
により接合されている。

【００１６】本発明にあっては、これらのろう付を炉中
により実行するようにしたものである。ろう付が高温の
雰囲気中で行われるので、ろう付される部品の酸化が抑
制され、フラックスを使用する必要がなくなる。

【００１７】図４，図５は、この炉中ろう付に先立っ
て、弁本体１０に挿入されるシリンダ部材４０が浮上り
を防止のために仮止め加工を施すが、この加工を説明す
るものである。入口側パイプ２０と出口側パイプ３０
は、それぞれ銅合金製のものであるので、黄銅製の弁本
体１０に対して圧入することによって容易に仮止めする
ことができ、ろう付部により完全に固着される。

【００１８】ステンレスの材料に電気ニッケルメッキを
施したシリンダ部材４０は、弁本体１０の段付部１１に
突き当てられて、軸方向の位置決めがなされる。次に、
弁本体の上面１３にポンチによりポンチ加工部Ｐ_１を形
成（図では６個所）し、カシメ作用によって弁本体とシ
リンダ部材４０の仮止めを完全とする。この加工によっ
て、炉中ろう付中に、シリンダ部材４０が弁本体１０か
ら浮上ることが防止できる。

【００１９】図５に示すように、ポンチ加工部Ｐ_１は円
筒上の適宜位置に施される。

【００２０】図６の実施例に示すように、弁本体のシリ
ンダ部材４０との接合部の上面１３の全周にわたってポ
ンチ加工部Ｐ_２を形成して仮止めを図ることもできる。

【００２１】

【発明の効果】本発明の電磁弁は以上のように、黄銅製
の弁体に接続される２本の冷媒パイプと、弁体を操作す
るプランジャを収容するシリンダ部材との３個所の接続
部をろう付により固着する際に、炉中ろう付を施すの
で、ろう付時のフラックスを使用する必要がなくなり、
冷媒中への異物の混入等も防止できる。

【００２２】また、ステンレス製のシリンダ部材に電気
ニッケルメッキを施したもので、フラックスの使用も必
要がなくなり、上述した効果を助長する。さらに、ろう
付後の洗浄処理も必要なくなり、フラックスを使用した
場合に炉中で発生する塩素も存在しないため炉の腐食も
発生することがないという効果を奏する。さらにまた、
シリンダ部材と弁本体の接合部を予めカシメ加工により
仮止めするので、炉中ろう付加工の際のシリンダ部材の
浮き上がりや傾きも防止され、完全な固着が達成でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電磁弁の全体構成を示す説明図。

【図２】本発明の電磁弁のコイル部材をとり外した状態
を示す説明図。

【図３】本発明の電磁弁の弁本体とパイプ部材とシリン
ダ部材の接合部を示す説明図。

【図４】図３の要部を示す説明図。

【図５】図４の平面図。

【図６】本発明の他の実施例を示す説明図。

【符号の説明】

１ 電磁弁 １０ 弁本体 １２ 弁座 ２０ 入口側パイプ ３０ 出口側パイプ ４０ シリンダ部材 ５０ プランジャ ６０ 弁体 ７０ コイルバネ ８０ 吸引子 １００ コイル部材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空調装置の冷媒の流路を開閉する電磁弁
   であって、 冷媒の入口のパイプと出口側のパイプが接続される弁本
   体と、弁本体に形成される弁座に対して離接する弁体を
   有するプランジャと、プランジャが摺動自在に挿入され
   るシリンダ部材と、シリンダ部材の外側に着脱自在に取
   付けられる電磁コイル部材を備え、 弁本体に対する冷媒の入口側のパイプと出口側のパイプ
   とシリンダ部材との接合部は、炉中ろう付により接合さ
   れたことを特徴とする電磁弁。
2. 【請求項２】 黄銅製の弁本体と、銅合金製の冷媒の入
   口側及び出口側のパイプと、ステンレス製のシリンダ部
   材を備え、ステンレス製のシリンダ部材は、表面に電気
   ニッケルメッキ層が積層されたことを特徴とする請求項
   １記載の電磁弁。
3. 【請求項３】 炉中ろう付に先立って、シリンダ部材が
   挿入された弁本体にパンチ加工が施されて、シリンダ部
   材が弁本体に仮止めされることを特徴とする請求項１記
   載の電磁弁。