JP2002088467A - 乾式表面処理用装置およびこの装置を用いた乾式表面処理方法 - Google Patents

乾式表面処理用装置およびこの装置を用いた乾式表面処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に、平板形状や弓形形状の希土類系永久磁
石のような被処理物に対し、その両面に均一に処理を施
すことができる乾式表面処理用装置を提供すること。 【解決手段】 処理室内に、表面処理材料供給部と、被
処理物を収容するための多孔性周面を有する筒型バレル
を備え、前記筒型バレルを横設して水平方向の回転軸線
を中心に回転させながら被処理物の表面処理を行うため
の乾式表面処理装置であって、前記筒型バレルが、前記
筒型バレルを回転させることで収容された被処理物が前
記筒型バレルの内周面に沿って摺動することを停止させ
るための摺動停止部を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、平板形状や
弓形形状の希土類系永久磁石のような被処理物に対し、
その両面に均一に蒸着被膜を形成することができる蒸着
装置や表面加工を施すことができるブラスト加工装置な
どの、乾式表面処理に好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd−Fe−B系永久磁石に代表される
R−Fe−B系永久磁石などの希土類系永久磁石は、高
い磁気特性を有しており、今日様々な分野で使用されて
いる。しかしながら、希土類系永久磁石は、大気中で酸
化腐食されやすい金属種(特にR)を含む。それ故、表
面処理を行わずに使用した場合には、わずかな酸やアル
カリや水分などの影響によって表面から腐食が進行して
錆が発生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつき
を招くことになる。さらに、磁気回路などの装置に組み
込んだ磁石に錆が発生した場合、錆が飛散して周辺部品
を汚染する恐れがある。上記の点に鑑み、希土類系永久
磁石に優れた耐食性を付与することを目的として、その
表面にアルミニウムなどの蒸着被膜を形成することが行
われている。従来、希土類系永久磁石表面に蒸着被膜を
形成するために使用されていた蒸着装置としては、例え
ば、米国特許4116161号公報やGraham Legge :"I
on Vapor Deposited Coatings for Improved Corrosion
Protection": Reprinted from Industrial Heating, S
eptember, 135-140, 1994に記載の装置がある。図13
は、その一例の、図略の真空排気系に連なる真空処理室
301の内部の模式的正面図(一部透視図)である。そ
の室内上方には、例えば、ステンレス製のメッシュ金網
で形成された円筒形バレル305が水平方向の回転軸線
306を中心に回転自在に2個併設されている。また、
その室内下方には、蒸着材料であるアルミニウムを蒸発
させる蒸発部であるボート302が、支持テーブル30
3上に立設されたボート支持台304上に複数個配置さ
れている。そして、この装置によれば、被処理物であ
る、例えば、平板形状の希土類系永久磁石340を円筒
形バレル305内に複数個収容し、この円筒形バレルを
矢示のごとく回転軸線306を中心に回転させながら、
図略の加熱手段によって所定温度に加熱されたボート3
02からアルミニウムを蒸発させ、円筒形バレル305
内の磁石340の表面にアルミニウム蒸着被膜を形成す
るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図13に示した蒸着装
置は、大量処理が可能であり、生産性に優れたものであ
る。しかしながら、装置の構成上、磁石に対する蒸着材
料の蒸着は一方向からしかなされないので、蒸発部に面
している側の片面のみが優先的に成膜され、特に、平板
形状や弓形形状の磁石を処理した場合、蒸発部に面して
いる側の面とその反対側の面とで、形成された被膜の膜
厚に大きなばらつきが生じることがあった。この現象
は、単重が20g以上の大型の磁石になると、図14に
示したように、磁石340は円筒形バレル305の回転
に伴ってバレル内周面に沿って摺動してしまい、片面の
みが常に蒸発部に面することから顕著であった。
【0004】また、従来から、希土類系永久磁石の表面
加工、即ち、表面に形成された酸化層の除去、表面清
浄、表面処理被膜の仕上げ加工のためのショットピーニ
ングなどにブラスト加工装置が用いられている。ブラス
ト加工装置には種々の分類があり、例えば、タンブラー
型装置では、複数の磁石を装置内のドラムに挿入し、該
ドラムを回転させて磁石を攪拌しながら、ドラムの開口
部から磁石に対して投射材を投射するように投射ノズル
が配置されている(特開平11−347941号公報参
照)。しかしながら、このような装置も、磁石に対する
投射材の投射がドラムの開口部のみからしか行われない
ので、前記の蒸着装置と同様、特に、平板形状や弓形形
状の磁石を処理した場合、両面間で加工程度に大きなば
らつきが生じることがあった。
【0005】そこで、本発明においては、特に、平板形
状や弓形形状の希土類系永久磁石のような被処理物に対
し、その両面に均一に蒸着被膜を形成することができる
蒸着装置や表面加工を施すことができるブラスト加工装
置などの、乾式表面処理に好適な装置を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の点に鑑
みてなされたものであり、本発明の乾式表面処理用装置
は、請求項1記載の通り、処理室内に、表面処理材料供
給部と、被処理物を収容するための多孔性周面を有する
筒型バレルを備え、前記筒型バレルを横設して水平方向
の回転軸線を中心に回転させながら被処理物の表面処理
を行うための乾式表面処理装置であって、前記筒型バレ
ルが、前記筒型バレルを回転させることで収容された被
処理物が前記筒型バレルの内周面に沿って摺動すること
を停止させるための摺動停止部を有することを特徴とす
る。また、請求項2記載の装置は、請求項1記載の装置
において、前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向
の断面形状を内角が30°〜100°の角部を少なくと
も1つ有する形状とし、前記角部を摺動停止部としたこ
とを特徴とする。また、請求項3記載の装置は、請求項
2記載の装置において、前記筒型バレルの回転軸線に対
する垂直方向の断面形状を内角が30°〜100°の角
部を少なくとも3つ有する多角形とし、前記角部を摺動
停止部としたことを特徴とする。また、請求項4記載の
装置は、請求項3記載の装置において、前記筒型バレル
の回転軸線に対する垂直方向の断面形状を正三角形とし
たことを特徴とする。また、請求項5記載の装置は、請
求項3記載の装置において、前記筒型バレルの回転軸線
に対する垂直方向の断面形状を正方形としたことを特徴
とする。また、請求項6記載の装置は、請求項2記載の
装置において、前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
方向の断面形状を菱形としたことを特徴とする。また、
請求項7記載の装置は、請求項1記載の装置において、
前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向の断面形状
を少なくともその一部が凸状湾曲している形状としたこ
とを特徴とする。また、請求項8記載の装置は、請求項
7記載の装置において、前記筒型バレルの回転軸線に対
する垂直方向の断面形状を楕円型または凸レンズ型とし
たことを特徴とする。また、請求項9記載の装置は、請
求項1記載の装置において、前記筒型バレルの内周面に
突出部を設け、前記突出部を摺動停止部としたことを特
徴とする。また、請求項10記載の装置は、請求項9記
載の装置において、前記突出部が前記筒型バレルの回転
軸線に対する垂直方向の断面形状における回転方向前方
側の接線と30°〜100°の角度をつけて設けられて
いるものであることを特徴とする。また、請求項11記
載の装置は、請求項9または10記載の装置において、
前記突出部の形状が櫛状、板状、棒状のいずれかである
ことを特徴とする。また、請求項12記載の装置は、請
求項9乃至11のいずれかに記載の装置において、前記
突出部が1個〜7個設けられていることを特徴とする。
また、請求項13記載の装置は、請求項1乃至12のい
ずれかに記載の装置において、前記筒型バレルの内部が
前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向に設けられ
た仕切り部材により2以上に分割されていることにより
形成された複数の区画収容部からなることを特徴とす
る。また、請求項14記載の装置は、請求項13記載の
装置において、前記仕切り部材が線状部材から構成され
る多孔性形状のものであることを特徴とする。また、請
求項15記載の装置は、請求項1乃至14のいずれかに
記載の装置において、前記筒型バレルの内部が前記筒型
バレルの回転軸線に対する垂直方向の断面形状が2以上
に分割されることにより形成された複数の区画室からな
ることを特徴とする。また、請求項16記載の装置は、
請求項15記載の装置において、前記区画室の回転軸線
に対する垂直方向の断面形状を内角が30°〜100°
の角部を少なくとも1つ有する形状とし、前記角部を摺
動停止部としたことを特徴とする。また、請求項17記
載の装置は、請求項13乃至16のいずれかに記載の装
置において、前記区画収容部および/または区画室毎に
被処理物が1個ずつ収容されることを特徴とする。ま
た、請求項18記載の装置は、請求項1乃至17のいず
れかに記載の装置において、前記多孔性周面がメッシュ
状周面であることを特徴とする。また、請求項19記載
の装置は、請求項1乃至17のいずれかに記載の装置に
おいて、前記多孔性周面がスリット状周面であることを
特徴とする。また、請求項20記載の装置は、請求項1
乃至19のいずれかに記載の装置において、前記筒型バ
レルが水平方向の回転軸線を中心に回転自在とした支持
部材の回転軸線の周方向の外方に環状に複数個支持され
ていることを特徴とする。また、請求項21記載の装置
は、請求項1乃至20のいずれかに記載の装置におい
て、乾式表面処理用装置が蒸着装置であることを特徴と
する。また、請求項22記載の装置は、請求項1乃至2
0のいずれかに記載の装置において、乾式表面処理用装
置がブラスト加工装置であることを特徴とする。また、
本発明の乾式表面処理方法は、請求項23記載の通り、
請求項1乃至20のいずれかに記載の乾式表面処理用装
置を用いて被処理物の処理を行うことを特徴とする。ま
た、請求項24記載の乾式表面処理方法は、請求項23
記載の乾式表面処理方法において、前記被処理物が平板
形状または弓型形状の希土類系永久磁石であることを特
徴とする。また、請求項25記載の乾式表面処理方法
は、請求項23または24記載の乾式表面処理方法にお
いて、前記摺動停止部を支点として被処理物を表裏反転
させながら処理を行うことを特徴とする。また、本発明
の希土類系永久磁石は、請求項26記載の通り、請求項
23乃至25のいずれかに記載の乾式表面処理方法によ
って表面処理されたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の乾式表面処理用装置は、
処理室内に、表面処理材料供給部と、被処理物を収容す
るための多孔性周面を有する筒型バレルを備え、前記筒
型バレルを横設して水平方向の回転軸線を中心に回転さ
せながら被処理物の表面処理を行うための乾式表面処理
装置であって、前記筒型バレルが、前記筒型バレルを回
転させることで収容された被処理物が前記筒型バレルの
内周面に沿って摺動することを停止させるための摺動停
止部を有することを特徴とするものである。
【0008】本発明の乾式表面処理用装置が有する摺動
停止部は、筒型バレルを回転させることで収容された被
処理物が筒型バレルの内周面に沿って摺動することを停
止させるとともに、そこを支点として被処理物を効率的
に表裏反転させるので、被処理物の表裏両面の表面処理
材料供給部に面する時間を均等化させることができる。
従って、本発明の乾式表面処理用装置は、特に、平板形
状や弓形形状の希土類系永久磁石のような被処理物に対
し、その両面に均一に蒸着被膜の形成や表面加工を施す
ことができるので、蒸着装置やブラスト加工装置などと
して好適に使用される。
【0009】本発明の乾式表面処理用装置を蒸着装置と
して使用する場合、処理室は真空処理室を意味し、表面
処理材料供給部はこの装置においての表面処理材料であ
る蒸着材料の蒸発部を意味する。蒸着装置は、真空蒸着
法による被膜形成のための装置であってもよいし、イオ
ンプレーティング法による被膜形成のための装置であっ
てもよい。蒸着材料としては、一般的に使用される金属
やその合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ク
ロム、マグネシウム、ニッケル、これらの金属成分の少
なくとも一成分を含む合金の他、酸化アルミニウムや窒
化チタンなどのセラミックスなどが挙げられるが、中で
も、アルミニウムは、形成されるアルミニウム被膜が耐
食性に優れることに加え、部品組み込み時に必要とされ
る接着剤との接着信頼性に優れる(接着剤が本質的に有
する破壊強度に達するまでに被膜と接着剤との間で剥離
が生じにくい)ことから、強い接着強度が要求される希
土類系永久磁石を被処理物とする場合に好適である。
【0010】本発明の乾式表面処理用装置をブラスト加
工装置として使用する場合、表面処理材料供給部は投射
ノズルを意味する。この装置においての表面処理材料で
ある投射材は、スチールショットなどの金属系投射材や
アランダム(ノートン社の商品名)やガラスビーズなど
の非金属系投射材などが加工目的に応じて適宜選択され
る。
【0011】筒型バレルが有する多孔性周面は、筒型バ
レルに収容された被処理物に表面処理材料を到達させる
ことができるものであればどのようなものであってもよ
く、その代表的なものとしてメッシュ状周面が挙げられ
る。メッシュ状周面としては、例えば、ステンレス製の
メッシュ金網を用いて作製されたものが挙げられる。ス
テンレス製のメッシュ金網は、例えば、ステンレス板の
打ち抜きやエッチングによって得られた網状板からなる
ものであってもよいし、ステンレス製の線状部材を編ん
だものからなるものであってもよい。また、多孔性周面
は、スリット状周面であってもよい。スリット状周面と
しては、例えば、ステンレス製の線状部材を隙間を存し
て縞状に並べて作製されたものが挙げられる。さらに、
多孔性周面は格子状周面であってもよい。多孔性周面の
開口率(周面全体の面積に対する開口部の面積の割合)
は、被処理物の形状や大きさにも依存するが、50%〜
95%が望ましく、60%〜85%がより望ましい。開
口率が50%よりも小さいと、周面が表面処理材料供給
部と被処理物間の障壁となってしまい、処理効率が低下
してしまう恐れがあり、開口率が95%よりも大きい
と、周面が加工時やその他の取り扱いの際に変形したり
破損したりしてしまう恐れがあるからである。なお、周
面の厚みは、その開口率や強度を考慮して選定されるも
のであり、0.1mm〜10mmが望ましい。さらに、
取り扱いの容易性などを考慮すると、0.3mm〜5m
mがより望ましい。
【0012】水平方向の回転軸線を中心とした筒型バレ
ルの回転は、自転軸線を中心に自転させるものであって
もよいし、公転軸線を中心に公転させるものであっても
よい。また、自転軸線を中心に自転させるとともに公転
軸線を中心に公転させるものであってもよい。
【0013】本発明の乾式表面処理用装置を用いて好適
に処理される被処理物は、その表面への蒸着被膜の形成
や表面加工を必要とするものであれば、特段の制限はな
い。しかしながら、本発明の乾式表面処理用装置は、特
に、平板形状や弓形形状の希土類系永久磁石、とりわ
け、単重が20g以上の大型磁石の処理に対して好適に
適用される。
【0014】本発明の乾式表面処理用装置の第一の例と
しては、処理室内に、表面処理材料供給部と、被処理物
を収容するための多孔性周面を有する筒型バレルを備
え、前記筒型バレルを横設して水平方向の回転軸を中心
に回転させながら被処理物の表面処理を行うための乾式
表面処理装置であって、前記筒型バレルの回転軸線に対
する垂直方向の断面形状を内角が30°〜100°の角
部を少なくとも1つ有する形状(例えば、三角形や四角
形や扇形など)とし、前記角部を摺動停止部とした装置
が挙げられる。
【0015】即ち、この乾式表面処理用装置によれば、
図1に示したように、筒型バレル5の回転に伴って被処
理物40がバレル内周面に沿って摺動しても、バレルの
回転軸線6に対する垂直方向の断面形状が、内角が30
°〜100°の角部を少なくとも1つ有する形状である
ので(図1の場合は正三角形)、この角部が摺動停止部
として機能する。そして、さらなるバレルの回転に伴っ
て被処理物はここを支点に表裏反転する。バレルを回転
させ続けることで被処理物の反転運動が繰り返されるの
で、被処理物の表裏両面の表面処理材料供給部に面する
時間が均等化され、いずれの面にも均一な処理を施すこ
とが可能となる。ここで、角部とは、バレルの回転軸線
に対する垂直方向の断面形状である所定の形状を構成す
る、隣接する二辺(接線)により形成される角度を意味
する。角部の先端は、被処理物の反転運動を円滑に行わ
せるためやバレル作製上の容易性などの点からR面やC
面などの種々の形状であってもよい。
【0016】筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向の
断面形状は、内角が30°〜100°の角部を少なくと
も3つ有する多角形であることが望ましく、内角が55
°〜95°の角部を少なくとも3つ有する多角形である
ことがより望ましい。中でも、断面形状が三角形や四角
形のバレルは、バレル作製上の容易性の点などにおいて
好適である。さらに、断面形状が正三角形や正方形など
のバレルのように、全ての角部の角度が等しいバレル
は、各角部での被処理物の摺動停止とそこを支点とした
表裏反転をより均等に安定して行わせることができるの
でとりわけ望ましい。また、断面形状を構成する多角形
の一辺の長さに対して被処理物の長さが1/3以上の関
係にある場合、被処理物を内角が30°〜100°の角
部を支点にして効率よく表裏反転させることができる。
【0017】なお、回転軸線に対する垂直方向の断面形
状が、内角が30°〜100°の角部を少なくとも1つ
有する形状である筒型バレルは、複数個がその側面を互
いに当接させて組み合わされることにより種々の外周断
面形状を有する収容部を形成してもよい。このような収
容部を形成する際には、全ての筒型バレルに収容された
被処理物に対して均一に処理がなされるように、外周断
面形状に配慮(例えば、左右対称にするといった配慮な
ど)することが望ましい。
【0018】本発明の乾式表面処理用装置の第二の例と
しては、処理室内に、表面処理材料供給部と、被処理物
を収容するための多孔性周面を有する筒型バレルを備
え、前記筒型バレルを横設して水平方向の回転軸を中心
に回転させながら被処理物の表面処理を行うための乾式
表面処理装置であって、前記筒型バレルの回転軸線に対
する垂直方向の断面形状が少なくともその一部が凸状湾
曲している形状であり、その両端を摺動停止部とした装
置が挙げられる。このような装置の具体例としては、筒
型バレルの回転軸線に対する垂直方向の断面形状が楕円
型や凸レンズ型であり、その両端を摺動停止部とした装
置が挙げられる。断面形状が楕円型や凸レンズ型のよう
に凸状湾曲部分を有している筒型バレルを使用すれば、
筒型バレルの内周面と被処理物との接触面積を減じるこ
とができるので、被処理物に多孔性周面跡(メッシュ金
網跡など)が付くことを抑制することができる。また、
筒型バレルの内部空間が広いので、被処理物を円滑に表
裏反転させることができる。
【0019】上記のような本発明の乾式表面処理装置の
第一の例や第二の例における筒型バレルは、その内部が
筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向に設けられた仕
切り部材により2以上に分割されていることにより形成
された複数の区画収容部からなることが望ましい。この
ようにして形成された区画収容部に被処理物を1個ずつ
収容し、被処理物同士が互いに離間した状態で処理され
るようにすれば、被処理物同士が重なり合うことによっ
て処理ムラが生じたり、互いに衝突することによって割
れや欠けが生じたりすることなく、摺動停止部を支点に
して被処理物を円滑に表裏反転させることができる。仕
切り部材の形状は、区画収容部に収容した被処理物をそ
の内部に確実に保持し得るものであれば特段制限される
ものではなく、単一の大きな開口を有する形状の仕切り
部材であってもよい。しかしながら、このような仕切り
部材を使用した場合、被処理物の角部が開口部に嵌り込
んでしまい、その円滑な運動が阻止され、結果的に均一
な表面処理がなされないといった事態が起こり得る。一
方、仕切り部材を板状のものにした場合、仕切り部材が
表面処理材料供給部と被処理物間の障壁となってしま
い、平板形状などの被処理物に対しては、その端面の表
面処理が十分になされないといった事態が起こり得る。
従って、仕切り部材の形状は、上記のような事態が起こ
りにくい形状が望ましく、ステンレス製などの線状部材
から構成される多孔性形状(例えば、メッシュ金網状の
ものやスリット状のものや図7に示すような隙間を存し
た渦巻状のものなど)が好適である。なお、一つの筒型
バレルで種々の形状の被処理物を処理することを想定し
て仕切り部材を着脱自在としてもよい。区画収容部には
被処理物を1個ずつ収容しなければならないわけではな
く、個々の区画収容部に均等個の被処理物を収容しても
よい。
【0020】上記のような本発明の乾式表面処理装置の
第一の例や第二の例における筒型バレルは、その内部が
筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向の断面形状が2
以上に分割されることにより形成された複数の区画室か
らなることが望ましい。また、形成される区画室の形状
は、回転軸線に対する垂直方向の断面形状を内角が30
°〜100°の角部を少なくとも1つ有し、前記角部を
摺動停止部とする形状(例えば、正三角形など)のもの
が望ましい。このような区画室に被処理物を1個ずつ収
容したり少量ずつ収容するようにすれば、被処理物同士
が重なり合うことによって処理ムラが生じたり、互いに
衝突することによって割れや欠けが生じたりすることを
効果的に抑制しつつ、摺動停止部を支点にして被処理物
を円滑に表裏反転させることができる。区画室と区画室
との間の仕切りは、該仕切りに面している被処理物の面
に対して効率的に処理が行えるように、メッシュ金網状
のものやスリット状のものが望ましい。また、区画室と
区画室との間の仕切りは、全ての区画室に収容された被
処理物に対して均一に処理がなされるように、筒型バレ
ルを均等に分割するようなものであることが望ましい。
【0021】内部に区画室が形成された筒型バレルを使
用して被処理物を処理する場合の一例における被処理物
の挙動を図2に示す。図2に示すような円筒形バレル2
5を使用すれば、被処理物60を割れや欠けを発生させ
ることなく効率よく表裏反転させることができる。さら
に、円筒形バレルの内周面部分では被処理物との接触面
積が減じられているので、被処理物に多孔性周面跡(メ
ッシュ金網跡など)が付くことを抑制することができ
る。
【0022】内部に区画室が形成された筒型バレルを使
用して被処理物を処理する場合のその他の例における被
処理物の挙動を図3に示す。図3に示すような回転軸線
に対する垂直方向の断面形状が凸レンズ型である筒型バ
レル35を使用すれば、被処理物70を割れや欠けを発
生させることなく効率よく表裏反転させることができ
る。さらに、筒型バレルの回転軸線に対する垂直方向の
断面形状における凸状湾曲部分では被処理物との接触面
積が減じられているので、被処理物に多孔性周面跡(メ
ッシュ金網跡など)が付くことを抑制することができ
る。
【0023】上記のような第一の例や第二の例の乾式表
面処理用装置を蒸着装置として使用し、平板形状や弓形
形状の希土類系永久磁石の表面にアルミニウム蒸着被膜
を形成するための具体的な装置としては、以下のような
装置が挙げられる。
【0024】例えば、前述の図13に示した蒸着装置に
おいて、円筒形バレルの代わりに図1に示した回転軸線
に対する垂直方向の断面形状が正三角形の筒型バレルを
取り付けた装置が挙げられる。筒型バレル5を回転軸線
6を中心に回転させることにより、磁石40は筒型バレ
ルの角部に引っかかり、さらなるバレルの回転に伴って
ここを支点に表裏反転する。バレルを回転させ続けるこ
とで磁石の反転運動が繰り返されるので、磁石の表裏両
面の蒸発部に面する時間が均等化され、いずれの面にも
均一な蒸着被膜を形成することができる。
【0025】図4に示した蒸着装置は、別の構成を有す
る装置である。図4は、その真空処理室51内部の模式
的正面図(一部透視図)である。この装置においては、
図略の真空排気系に連なる真空処理室51の室内上方
に、水平方向の回転軸線56を中心に回転自在とした支
持部材57が2個併設されている。そして、この支持部
材の回転軸線の周方向の外方に、6個のステンレス製の
メッシュ金網で形成された、回転軸線に対する垂直方向
の断面形状が正三角形の筒型バレル55が支持軸58に
よって公転自在に環状に支持されている。また、室内下
方には、蒸着材料であるアルミニウムを蒸発させる蒸発
部であるボート52が、支持テーブル53上に立設され
たボート支持台54上に複数個配置されている。支持テ
ーブル53の下方内部には、蒸着材料であるアルミニウ
ムのワイヤー59が繰り出しリール60に巻回保持され
ている。アルミニウムワイヤー59の先端はボート52
の内面に向かって臨ませた耐熱性の保護チューブ61に
よってボート52の上方に案内されている。保護チュー
ブ61の一部には切り欠き窓62が設けられており、こ
の切り欠き窓62に対応して設けられた繰り出しギア6
3がアルミニウムワイヤー59に直接接触し、アルミニ
ウムワイヤー59を繰り出すことによってボート52内
にアルミニウムが絶えず補給されるように構成されてい
る。
【0026】回転軸線56を中心に支持部材57を回転
させると(図4矢印参照)、支持部材57の回転軸線5
6の周方向の外方に支持軸58によって支持されている
筒型バレル55は、これに対応して、回転軸線56を中
心に公転運動する。その結果、筒型バレル55の回転に
伴って磁石90がバレル内周面に沿って摺動しても、磁
石は筒型バレルの角部に引っかかり、さらなるバレルの
回転に伴って磁石はここを支点に表裏反転する。バレル
を回転させ続けることで磁石の反転運動が繰り返される
ので、磁石の表裏両面の蒸発部に面する時間が均等化さ
れる。さらに、この装置によれば、バレルが蒸発部に最
も接近し、最も蒸着効率がよい位置にある時、公転前と
1回公転後で蒸発部に面する磁石の面が入れ替わるの
で、いずれの面にも均一な蒸着被膜を形成することがで
きる。
【0027】また、この装置においては、回転軸線56
を中心に支持部材57を回転させることで、個々の筒型
バレルと支持部材の下方に配置された蒸発部との間の距
離が変動することになり、以下の効果が発揮される。即
ち、支持部材57の下部に位置した筒型バレルは蒸発部
に接近している。従って、この筒型バレルに収容された
磁石90に対しては、上記のように、その表面にアルミ
ニウム蒸着被膜が効率よく形成される。一方、蒸発部か
ら遠ざかった筒型バレルに収容された磁石は、蒸発部か
ら遠ざかった分だけ加熱状態から開放されて冷却され
る。従って、この間、その表面に形成されたアルミニウ
ム蒸着被膜の軟化が抑制されることにより、磁石が筒型
バレルの内周面に沿って摺動することによって引き起こ
される被膜の損傷が抑制される。このように、この蒸着
装置を用いれば、アルミニウム蒸着被膜の効率的形成と
形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷抑制を同時に達
成することが可能となり、より均一な蒸着被膜を磁石の
両面に形成することができる。
【0028】図4に示した蒸着装置は、上記の効果を発
揮するとともに、以下の利点を有する点において都合が
よい。即ち、複数個の磁石を同時に処理する場合、この
装置における各筒型バレルに小分けして収容する方が、
バレル内での磁石同士の衝突回数を減少させることがで
きるので、磁石の割れや欠けの発生を抑制することが可
能となる。また、従来は、磁石同士の衝突回数を減少さ
せるために、バレル内に磁石とともに収容することがあ
ったダミー(例えば、直径10mmのセラミックスボー
ルが挙げられる)を使用する方法を採用する場合があっ
たが、この装置を使用することでその必要がなくなり、
磁石への被膜形成効率を向上させることが可能となる。
また、磁石を保護するためのホルダー(例えば、線状部
材を、隙間を存して巻回して両端に渦巻き線状面を備え
るスプリング状の筒状体に形成し、この筒状体内に磁石
を収容自在としたものが挙げられる)に磁石を収容する
といったような手間を省くことが可能となる。さらに、
筒型バレルの大きさをハンドリング容易なものとして蒸
着装置に対して着脱が可能なものとし、蒸着被膜形成工
程とその前後工程(例えば、前工程としてはブラスト加
工処理が、後工程としてはピーニング処理やその後の化
成被膜形成処理が挙げられる)の各工程にてこのバレル
を一貫して使用することができるようにすれば、各工程
間における磁石の移し替え作業を行う必要がなくなるの
で、磁石を移し替える際に起こりうる磁石の割れや欠け
の発生を抑制することが可能となることに加えて手間を
省くことが可能となる。
【0029】なお、図4に示した蒸着装置においては、
真空処理室51の室内上方に筒型バレル55を支持する
支持部材57が配置され、室内下方に蒸発部であるボー
ト52が配置されている構成、即ち、被処理物に対して
一方向から蒸着処理が行われる構成が示されているが、
支持部材と蒸発部との関係は、上記の構成に限られるも
のではなく、その位置関係や個数などは被処理物の処理
量や成膜条件などに応じて適宜選択決定されることが望
ましい。また、図4に示した蒸着装置においては、1個
の支持部材57に6個の筒型バレル55が支持されてい
るが、支持部材に支持される筒型バレルの個数はこれに
限るものではなく、1個であってもかまわない。また、
筒型バレル55は、支持部材57を回転させることによ
って、支持部材57の回転軸線56を中心に公転運動す
るとともに自体公知の機構によって自転運動するように
支持されていてもよい。
【0030】図5に示した蒸着装置は、さらに別の構成
を有する装置である。図5は、その真空処理室101内
部の模式的正面図(一部透視図)である。この装置にお
いては、図略の真空排気系に連なる真空処理室101の
室内上方に、水平方向の回転軸線106を中心に回転自
在とした支持部材107が2個併設されている。そし
て、この支持部材の回転軸線の周方向の外方に、6個の
ステンレス製のメッシュ金網で形成された、回転軸線に
対する垂直方向の断面形状が菱形の筒型バレル105が
取扱いをよくするためなどの観点から着脱自在に取り付
けられている。この菱形の筒型バレル105の内部はス
テンレス製のメッシュ金網で形成された仕切りによって
左右対称に2分割され、回転軸線に対する垂直方向の断
面形状が正三角形の区画室が形成されている。左右の区
画室に収容された磁石140に対して均一な蒸着処理を
行うために、左右の区画室は延長線上に回転軸線106
がある位置関係の仕切りによって仕切られている(図5
一点鎖線参照)。なお、室内下方の構成は図4に示した
蒸着装置と同じである。回転軸線106を中心に支持部
材107を回転させることにより(図5矢印参照)、図
4に示した蒸着装置と同じ効果を得ることができる。
【0031】図6は、支持部材に支持された筒型バレル
のその他の態様を示す模式的斜視図である。水平方向の
回転軸線126を中心に回転自在とした支持部材127
の回転軸線126の周方向の外方に、6個のステンレス
製のメッシュ金網で形成された、回転軸線に対する垂直
方向の断面形状が凸レンズ型の筒型バレル125が支持
軸128によって公転自在に環状に支持されている。
【0032】図7は、図6に示した態様において使用さ
れる、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が凸レンズ
型の筒型バレル125の模式的斜視図である。筒型バレ
ル125は長手方向に沿って開閉自在であり、図略の蝶
番を介して開閉自在に構成された扉部125aと籠部1
25bからなり、支持部材127にバレルを支持させる
ための支持軸128を有する。このような筒型バレル1
25を使用すれば被処理物の出し入れを容易に行うこと
ができるので、被処理物の出し入れの際の割れや欠けの
発生を抑制することができる。なお、このような筒型バ
レル125を連続使用した場合、蒸着処理に伴う熱履歴
の影響によってバレルを形成するメッシュ金網が変形し
てしまうことにより、扉部125aと籠部125bの間
に隙間が生じてしまい、その隙間から被処理物が脱落す
る恐れがある。従って、籠部125bの開口部の長手方
向には被処理物脱落防止板129を取り付けることが望
ましい(被処理物脱落防止板は扉部125aの開口部の
長手方向に取り付けてもよい)。蒸着処理時には、扉部
125aと籠部125bは図略のクリップで留められて
使用される。筒型バレル125の内部は左右対称に2分
割されて、区画室が形成されている。区画室と区画室と
の間の仕切り130はステンレス製のメッシュ金網から
なる。区画室は回転軸線に対する垂直方向に設けられた
ステンレス製の線状部材から構成される隙間を存した渦
巻状仕切り部材131により2分割されている。このよ
うにして形成された区画収容部に被処理物を1個ずつ収
容し、被処理物同士が互いに離間した状態で蒸着処理さ
れるようにすれば、被処理物同士が重なり合うことによ
って蒸着ムラが生じたり、互いに衝突することによって
割れや欠けが生じたりすることなく、摺動停止部を支点
にして被処理物を円滑に表裏反転させることができる。
なお、被処理物の出し入れ容易性の確保、仕切り130
や渦巻状仕切り部材131の着脱容易性の確保などの観
点から、扉部125aと籠部125bは蝶番を介して連
結するのではなく、両者を連結せずに完全分離してお
き、必要な際にクリップで留めて使用するような構成に
してもよい。
【0033】上記のような第一の例や第二の例の乾式表
面処理用装置をブラスト加工装置として使用し、平板形
状や弓形形状の希土類系永久磁石の表面を加工するため
の具体的な装置としては、例えば、図8に示す装置が挙
げられる。図8は、ブラスト加工装置処理室151内部
の模式的正面図(一部透視図)である。処理室内部の下
方には、ローラー152、153上に回転軸線156を
中心に回転自在とした支持部材157が支持されてい
る。そして、この支持部材の回転軸線の周方向の外方
に、6個のステンレス製のメッシュ金網で形成された、
回転軸線に対する垂直方向の断面形状が菱形の筒型バレ
ル155が取扱いをよくするためなどの観点から着脱自
在に取り付けられている。この菱形の筒型バレル155
の内部はステンレス製のメッシュ金網で形成された仕切
りによって左右対称に2分割され、回転軸線に対する垂
直方向の断面形状が正三角形の区画室が形成されてい
る。左右の区画室に収容された磁石190に対して均一
な処理を行うために、左右の区画室は延長線上に回転軸
線156がある位置関係の仕切りによって仕切られてい
る(図8一点鎖線参照)。処理室内部の上方には、バレ
ル内の磁石190に対して投射材を投射するための2個
の投射ノズル154が適当な投射角度で配置されてい
る。図略のモーターを回転させることでローラー15
2、153を回転させることによって、回転軸線156
を中心に支持部材157を回転させると、菱形の筒型バ
レル155は、これに対応して、回転軸線156を中心
に公転運動する。その結果、筒型バレル155の回転に
伴って磁石190がバレル内周面に沿って摺動しても、
磁石は筒型バレルの角部に引っかかり、さらなるバレル
の回転に伴って磁石はここを支点に表裏反転する。バレ
ルを回転させ続けることで磁石の反転運動が繰り返され
るので、磁石の表裏両面の投射ノズルに面する時間が均
等化される。さらに、この装置によれば、バレルが投射
ノズルに最も接近し、最も加工効率がよい位置にある
時、公転前と1回公転後で投射ノズルに面する磁石の面
が入れ替わるので、いずれの面にも均一な表面加工を施
すことができる(矢示参照)。なお、投射ノズルの個数
や配置方法は、図8に示すブラスト加工装置の態様に限
定されるものではない。
【0034】本発明の乾式表面処理用装置の第三の例と
しては、処理室内に、表面処理材料供給部と、被処理物
を収容するための多孔性周面を有する筒型バレルを備
え、前記筒型バレルを横設して水平方向の回転軸を中心
に回転させながら被処理物の表面処理を行うための乾式
表面処理装置であって、前記筒型バレルの内周面に突出
部を設け、前記突出部を摺動停止部とした装置が挙げら
れる。
【0035】即ち、この乾式表面処理用装置によれば、
図9に示したように、筒型バレル205の回転に伴って
被処理物240がバレル内周面に沿って摺動しても、バ
レルの内周面に突出部220が設けられているので、こ
の突出部が摺動停止部として機能する。そして、さらな
るバレルの回転に伴って被処理物はここを支点に表裏反
転する。バレルを回転させ続けることで被処理物の反転
運動が繰り返されるので、被処理物の表裏両面の表面処
理材料供給部に面する時間が均等化され、いずれの面に
も均一な処理を施すことが可能となる。
【0036】摺動停止部として機能する突出部は、筒型
バレルの回転軸線に対する垂直方向の断面形状における
回転方向前方側の接線と30°〜100°の角度(図9
におけるθ)をつけて筒型バレルの内周面に設けられる
ことが望ましい。
【0037】内周面に突出部を有する筒型バレルの形状
については、特段に限定されるものではなく、図9に示
したような円筒形バレルであってもよいし、回転軸線に
対する垂直方向の断面形状が三角形や四角形や扇形など
のように内角が30°〜100°の角部を少なくとも1
つ有する形状であり、前記角部を摺動停止部とする筒型
バレルであってもよいし、回転軸線に対する垂直方向の
断面形状が楕円型や凸レンズ型のように少なくともその
一部が凸状湾曲している形状であり、その両端を摺動停
止部とする筒型バレルであってもよい。
【0038】筒型バレルの内周面に設けられる突出部の
形状については、軽量化の観点などからは櫛状、板状、
棒状のいずれかであることが望ましい。突出部の個数
は、バレルや被処理物の大きさ、バレルの回転速度など
にもよるが、被処理物をより効率よく表裏反転させるた
めには、1個〜7個であることが望ましく、3個または
5個がより望ましい。被処理物をより効率よく表裏反転
させるためには、突出部は、筒型バレルの回転軸線に対
する垂直方向の断面形状における回転方向前方側の接線
と55°〜95°の角度(図9におけるθ)をつけて筒
型バレルの内周面に設けられることがより望ましい。ま
た、突出部の突出長に対して被処理物の長さが2倍以上
の関係にある場合、突出部を複数個設けた場合、隣接す
る突出部と突出部の間の直線距離に対して被処理物の長
さが1/3以上の関係にある場合、被処理物を突出部を
支点にして効率よく表裏反転させることができる。
【0039】上記のような本発明の乾式表面処理装置の
第三の例における筒型バレルは、その内部が筒型バレル
の回転軸線に対する垂直方向に設けられた仕切り部材に
より2以上に分割されていることにより形成された複数
の区画収容部からなることが望ましいことは、上記のよ
うな第一の例や第二の例の乾式表面処理装置と同じであ
る。
【0040】上記のような本発明の乾式表面処理装置の
第三の例における筒型バレルは、その内部が筒型バレル
の回転軸線に対する垂直方向の断面形状が2以上に分割
されることにより形成された複数の区画室からなること
が望ましいことも、上記のような第一の例や第二の例の
乾式表面処理装置と同じである。この際、各区画室の内
部には少なくとも1個の突出部が存在することが望まし
い。また、区画室と区画室との間の仕切りの存在によ
り、区画室の内部に角部が形成され、この角部が摺動停
止部として機能するが、この場合、突出部と摺動停止部
の合計数は3個または5個であることが望ましい。
【0041】上記のような第三の例の乾式表面処理用装
置を蒸着装置として使用し、平板形状や弓形形状の希土
類系永久磁石の表面にアルミニウム蒸着被膜を形成する
ための具体的な装置としては、以下のような装置が挙げ
られる。
【0042】例えば、前述の図13に示した蒸着装置に
おいて、円筒形バレルの代わりに図9に示した内周面に
突起部を設けた円筒形バレルを取り付けた装置が挙げら
れる。円筒形バレル205を回転軸線206を中心に回
転させることにより、磁石240は突出部220に引っ
かかり、さらなるバレルの回転に伴ってここを支点に表
裏反転する。バレルを回転させ続けることで磁石の反転
運動が繰り返されるので、磁石の表裏両面の蒸発部に面
する時間が均等化され、いずれの面にも均一な蒸着被膜
を形成することができる。
【0043】図10に示した蒸着装置は、別の構成を有
する装置である。図10は、その真空処理室251内部
の模式的正面図(一部透視図)である。この装置におい
ては、図略の真空排気系に連なる真空処理室251の室
内上方に、水平方向の回転軸線256を中心に回転自在
とした支持部材257が2個併設されている。そして、
この支持部材の回転軸線の周方向の外方に、6個のステ
ンレス製のメッシュ金網で形成された円筒形バレル25
5が支持軸258によって公転自在に環状に支持されて
いる。各円筒形バレル255の内周面には、回転方向前
方側の接線と60°の角度(図9におけるθ)をつけて
突出部270が3個設けられている。なお、室内下方の
構成は図4に示した蒸着装置と同じである。回転軸線2
56を中心に支持部材257を回転させることにより
(図10矢印参照)、図4に示した蒸着装置と同じ効果
を得ることができる。
【0044】上記のような乾式表面処理用装置をブラス
ト加工装置として使用し、平板形状や弓形形状の希土類
系永久磁石の表面を加工するための具体的な装置として
は、例えば、図8に示した装置において、回転軸線に対
する垂直方向の断面形状が菱形の筒型バレルの代わりに
図10に示した装置における内周面に突起部を設けた円
筒形バレルを取り付けた装置が挙げられる。
【0045】
【実施例】被処理物として、例えば、米国特許4770
723号公報や米国特許4792368号公報に記載さ
れているようにして、公知の鋳造インゴットを粉砕し、
微粉砕後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことに
よって得られたNd14Fe79Co組成の45
mm×30mm×5mm寸法で単重50.6gの焼結磁
石体試験片を用いて以下の実験例1および2(比較例1
および2)を行った。また、上記と同様の方法によって
得られたNd14Fe79Co組成の45mm×
35mm×6mm寸法で単重70.9gの焼結磁石体試
験片を用いて以下の実験例3〜5を行った。
【0046】実験例1:図5に示した蒸着装置を用いて
以下の実験を行った。ここで、回転軸線に対する垂直方
向の断面形状が菱形の筒型バレルは、メッシュの開口率
が70%のステンレス製(周面の厚みは0.6mm)
で、一辺が50mm×長さ600mmであり、回転軸線
に対する垂直方向の断面形状が正三角形の区画室は、回
転軸線に対する垂直方向に設けられたメッシュ金網状仕
切り部材(ステンレス製の線状部材を使用して作製)に
よって10分割されているものである。磁石体試験片に
対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工
で生じた試験片表面の酸化層を除去した。この酸化層が
除去された磁石体試験片を各区画収容部に1個ずつ収容
した(装置全体では合計240個の磁石体試験片を収
容)。真空処理室内を1×10−3Pa以下に真空排気
した後、支持部材を1.5rpmで回転させながら、A
rガス圧1Pa、バイアス電圧−500Vの条件下、2
0分間スパッタリングして磁石体試験片表面を清浄化し
た。続いて、Arガス圧1Pa、バイアス電圧−100
Vの条件下、蒸着材料としてアルミニウムワイヤーを用
い、これを加熱して蒸発させ、イオン化し、12分間イ
オンプレーティング法にて磁石体試験片表面にアルミニ
ウム蒸着被膜を形成した。磁石体試験片を放冷後、任意
に選択した10個の磁石体試験片について、45mm×
30mmの両面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の膜
厚を測定した。その結果を表1に示す。なお、アルミニ
ウム蒸着被膜の膜厚は、蛍光X線膜厚計(SFT−70
00:セイコー電子社製)を用いて測定した。
【0047】比較例1:実験例1で用いた蒸着装置にお
いて、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が菱形の筒
型バレルの代わりに円筒形バレルを取り付けた装置を用
いて以下の実験を行った。ここで、円筒形バレルは、メ
ッシュの開口率が70%のステンレス製(周面の厚みは
0.6mm)で、直径110mm×長さ600mmであ
り、その内部が回転軸線に対する垂直方向に設けられた
メッシュ金網状仕切り部材(ステンレス製の線状部材を
使用して作製)によって10分割されているものであ
る。磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行
い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除
去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を各区画
収容部に1個ずつ収容し(装置全体では合計120個の
磁石体試験片を収容)、実験例1と同じ条件で磁石体試
験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成し、磁石体試験
片を放冷後、任意に選択した10個の磁石体試験片につ
いて、45mm×30mmの両面に形成されたアルミニ
ウム蒸着被膜の膜厚を測定した。その結果を表1に示
す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、実験例1におい
ては、磁石体試験片を区画収容部の中で表裏反転させな
がら蒸着被膜の形成を行ったことで、磁石体試験片の表
裏両面の蒸発部に面する時間が均等化されたことから、
その両面に対して均一にアルミニウム蒸着被膜を形成す
ることができた。一方、比較例1においては、両面間で
形成されたアルミニウム蒸着被膜の膜厚に大きなばらつ
きが生じた。
【0050】実験例2:図8に示したブラスト加工装置
を用いて以下の実験を行った。ここで、回転軸線に対す
る垂直方向の断面形状が菱形の筒型バレルは、メッシュ
の開口率が70%のステンレス製(周面の厚みは0.7
mm)で、一辺が50mm×長さ600mmであり、回
転軸線に対する垂直方向の断面形状が正三角形の区画室
は、回転軸線に対する垂直方向に設けられたメッシュ金
網状仕切り部材(ステンレス製の線状部材を使用して作
製)によって10分割されているものである。実験例1
に記載した蒸着装置を用い、実験例1に記載した方法で
表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した磁石体試験片を
各区画収容部に1個ずつ収容した(装置全体では合計1
20個の磁石体試験片を収容)。支持部材を2.5rp
mで回転させながら、投射材としてGB−AG(商品
名:新東ブレーター株式会社製で材質がガラスビーズで
JIS粒度♯180相当)を用い、これを投射圧0.2
MPaで磁石体試験片に対して10分間投射し、仕上げ
加工のためのショットピーニングを行った。その後、任
意に選択した10個の磁石体試験片について、45mm
×30mmの両面の電子顕微鏡による表面観察(×80
0)を行い、各面についてピーニングされた面積を算出
した。その結果、磁石体試験片を区画収容部の中で表裏
反転させながらショットピーニングを行ったことで、磁
石体試験片の表裏両面の投射ノズルに面する時間が均等
化されたことから、いずれの磁石体試験片も両面も端面
も99%以上ピーニングされていることがわかった。
【0051】比較例2:実験例2で用いたブラスト加工
装置において、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が
菱形の筒型バレルの代わりに円筒形バレルを取り付けた
装置を用いて以下の実験を行った。ここで、円筒形バレ
ルは、メッシュの開口率が70%のステンレス製(周面
の厚みは0.7mm)で、直径110mm×長さ600
mmであり、その内部が回転軸線に対する垂直方向に設
けられたメッシュ金網状仕切り部材(ステンレス製の線
状部材を使用して作製)によって10分割されているも
のである。実験例1に記載した蒸着装置を用い、実験例
1に記載した方法で表面にアルミニウム蒸着被膜を形成
した磁石体試験片を各区画収容部に1個ずつ収容し(装
置全体では合計60個の磁石体試験片を収容)、実験例
2と同じ条件で仕上げ加工のためのショットピーニング
を行った。その後、任意に選択した10個の磁石体試験
片について、45mm×30mmの両面の電子顕微鏡に
よる表面観察(×800)を行い、各面についてピーニ
ングされた面積を算出した。その結果、いずれの磁石体
試験片も一方の面は99%以上ピーニングされたが、他
方の面については99%以上ピーニングされたものが1
0個中2個、90%〜99%ピーニングされたものが1
0個中6個、80%〜90%ピーニングされたものが1
0個中2個であり、両面間でピーニングの程度に大きな
ばらつきが生じた。また、端面のピーニングの程度は磁
石体試験片間で大きく異なっていた。
【0052】実験例3:実験例1で用いた蒸着装置にお
いて、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が菱形の筒
型バレルの代わりに図11に示した形状の凸レンズ型の
筒型バレルを取り付けた装置を用いて以下の実験を行っ
た。ここで、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が図
11に示した形状の凸レンズ型の筒型バレルは、メッシ
ュの開口率が71%のステンレス製(周面の厚みは0.
7mm)で、長さ600mmであり、内部はステンレス
製のメッシュ金網で形成された仕切りによって左右対称
に2分割されることにより区画室が形成され、区画室
は、回転軸線に対する垂直方向に設けられた隙間を存し
た渦巻状仕切り部材(ステンレス製の線状部材を使用し
て作製)によって10分割されているものである。磁石
体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程
の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去した。こ
の酸化層が除去された磁石体試験片を各区画収容部に1
個ずつ収容し(装置全体では合計240個の磁石体試験
片を収容)、蒸着時間を13分としたこと以外は実験例
1と同じ条件で磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被
膜を形成し、磁石体試験片を放冷後、任意に選択した1
0個の磁石体試験片について、45mm×35mmの両
面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の膜厚を測定し
た。その結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】表2から明らかなように、磁石体試験片を
区画収容部の中で表裏反転させながら蒸着被膜の形成を
行ったことで、磁石体試験片の表裏両面の蒸発部に面す
る時間が均等化されたことから、その両面に対して均一
にアルミニウム蒸着被膜を形成することができた。ま
た、いずれの磁石体試験片についてもアルミニウム蒸着
被膜表面にメッシュ跡を目視で確認することはできなか
った。
【0055】実験例4:実験例2で用いたブラスト加工
装置において、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が
菱形の筒型バレルの代わりに図11に示した形状の凸レ
ンズ型の筒型バレルを取り付けた装置を用いて以下の実
験を行った。ここで、回転軸線に対する垂直方向の断面
形状が図11に示した形状の凸レンズ型の筒型バレル
は、メッシュの開口率が71%のステンレス製(周面の
厚みは0.7mm)で、長さ600mmであり、内部は
ステンレス製のメッシュ金網で形成された仕切りによっ
て左右対称に2分割されることにより区画室が形成さ
れ、区画室は、回転軸線に対する垂直方向に設けられた
隙間を存した渦巻状仕切り部材(ステンレス製の線状部
材を使用して作製)によって10分割されているもので
ある。実験例3に記載した蒸着装置を用い、実験例3に
記載した方法で表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した
磁石体試験片を各区画収容部に1個ずつ収容し(装置全
体では合計120個の磁石体試験片を収容)、実験例2
と同じ条件で仕上げ加工のためのショットピーニングを
行った。その後、任意に選択した10個の磁石体試験片
について、45mm×35mmの両面の電子顕微鏡によ
る表面観察(×800)を行い、各面についてピーニン
グされた面積を算出した。その結果、磁石体試験片を区
画収容部の中で表裏反転させながらショットピーニング
を行ったことで、磁石体試験片の表裏両面の投射ノズル
に面する時間が均等化されたことから、いずれの磁石体
試験片も両面も端面も99%以上ピーニングされている
ことがわかった。
【0056】実験例5:実験例1で用いた蒸着装置にお
いて、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が菱形の筒
型バレルの代わりに図12に示した形状の円筒形バレル
を取り付けた装置を用いて以下の実験を行った。ここ
で、回転軸線に対する垂直方向の断面形状が図12に示
した形状の円筒形バレルは、メッシュの開口率が71%
のステンレス製(周面の厚みは0.7mm)で、長さ6
00mmであり、内部はステンレス製のメッシュ金網で
形成された仕切りによって左右対称に2分割されること
により区画室が形成され、区画室のバレル内周面に5m
m角のステンレス製の棒状突出部が設けられているもの
である。また、区画室は、回転軸線に対する垂直方向に
設けられた隙間を存した渦巻状仕切り部材(ステンレス
製の線状部材を使用して作製)によって10分割されて
いる。磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行
い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除
去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を各区画
収容部に1個ずつ収容し(装置全体では合計240個の
磁石体試験片を収容)、蒸着時間を13分としたこと以
外は実験例1と同じ条件で磁石体試験片表面にアルミニ
ウム蒸着被膜を形成し、磁石体試験片を放冷後、任意に
選択した10個の磁石体試験片について、45mm×3
5mmの両面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の膜厚
を測定した。その結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3から明らかなように、磁石体試験片を
区画収容部の中で表裏反転させながら蒸着被膜の形成を
行ったことで、磁石体試験片の表裏両面の蒸発部に面す
る時間が均等化されたことから、その両面に対して均一
にアルミニウム蒸着被膜を形成することができた。ま
た、いずれの磁石体試験片についてもアルミニウム蒸着
被膜表面にメッシュ跡を目視で確認することはできなか
った。
【0059】
【発明の効果】本発明の乾式表面処理用装置によれば、
被処理物が筒型バレル内で表裏反転するので、被処理物
の表裏両面の表面処理材料供給部に面する時間が均等化
される。従って、特に、平板形状や弓形形状の希土類系
永久磁石のような被処理物に対し、その両面に均一に蒸
着被膜の形成や表面加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置における筒型バレル内での被処
理物の挙動を示す図。
【図2】 筒型バレル内での被処理物の挙動を示すその
他の図。
【図3】 筒型バレル内での被処理物の挙動を示すその
他の図。
【図4】 蒸着装置としての使用例における真空処理室
内の模式的正面図。
【図5】 蒸着装置としてのその他の使用例における真
空処理室内の模式的正面図。
【図6】 支持部材に支持された筒型バレルの態様を示
す模式的斜視図。
【図7】 図6に示した態様において使用される筒型バ
レルの模式的斜視図。
【図8】 ブラスト加工装置としての使用例における処
理室内の模式的正面図。
【図9】 筒型バレル内での被処理物の挙動を示すその
他の図。
【図10】 蒸着装置としてのその他の使用例における
真空処理室内の模式的正面図。
【図11】 実験例3および4において使用される筒型
バレルの断面形状図。
【図12】 実験例5において使用される円筒形バレル
の断面形状図。
【図13】 従来の蒸着装置における真空処理室内の模
式的正面図。
【図14】 従来の蒸着装置における円筒形バレル内で
の被処理物の挙動を示す図。
【符号の説明】
5、25、35、55、105、125、155、20
5、255、305 筒型バレル 6、56、106、126、156、206、256、
306 回転軸線 40、60、70、90、140、190、240、2
90、340 被処理物(平板形状の磁石) 51、101、251、301 真空処理室 57、107、127、157、257 支持部材 58、128、258 支持軸 129 被処理物脱落防止版 130 仕切り 131 仕切り部材 151 ブラスト加工装置処理室 152、153 ローラー 154 投射ノズル 220、270 突出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三角 信弘 兵庫県養父郡養父町大薮1062番地 近畿住 特電子株式会社内 (72)発明者 栃下 佳己 兵庫県養父郡養父町大薮1062番地 近畿住 特電子株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA04 BA03 CA01 CA03 DB03 JA02 5E062 CD04 CG07

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理室内に、表面処理材料供給部と、被
    処理物を収容するための多孔性周面を有する筒型バレル
    を備え、前記筒型バレルを横設して水平方向の回転軸線
    を中心に回転させながら被処理物の表面処理を行うため
    の乾式表面処理装置であって、前記筒型バレルが、前記
    筒型バレルを回転させることで収容された被処理物が前
    記筒型バレルの内周面に沿って摺動することを停止させ
    るための摺動停止部を有することを特徴とする装置。
  2. 【請求項2】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を内角が30°〜100°の角部を少な
    くとも1つ有する形状とし、前記角部を摺動停止部とし
    たことを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を内角が30°〜100°の角部を少な
    くとも3つ有する多角形とし、前記角部を摺動停止部と
    したことを特徴とする請求項2記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を正三角形としたことを特徴とする請求
    項3記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を正方形としたことを特徴とする請求項
    3記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を菱形としたことを特徴とする請求項2
    記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を少なくともその一部が凸状湾曲してい
    る形状としたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記筒型バレルの回転軸線に対する垂直
    方向の断面形状を楕円型または凸レンズ型としたことを
    特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記筒型バレルの内周面に突出部を設
    け、前記突出部を摺動停止部としたことを特徴とする請
    求項1記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記突出部が前記筒型バレルの回転軸
    線に対する垂直方向の断面形状における回転方向前方側
    の接線と30°〜100°の角度をつけて設けられてい
    るものであることを特徴とする請求項9記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記突出部の形状が櫛状、板状、棒状
    のいずれかであることを特徴とする請求項9または10
    記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記突出部が1個〜7個設けられてい
    ることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載
    の装置。
  13. 【請求項13】 前記筒型バレルの内部が前記筒型バレ
    ルの回転軸線に対する垂直方向に設けられた仕切り部材
    により2以上に分割されていることにより形成された複
    数の区画収容部からなることを特徴とする請求項1乃至
    12のいずれかに記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記仕切り部材が線状部材から構成さ
    れる多孔性形状のものであることを特徴とする請求項1
    3記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記筒型バレルの内部が前記筒型バレ
    ルの回転軸線に対する垂直方向の断面形状が2以上に分
    割されることにより形成された複数の区画室からなるこ
    とを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の装
    置。
  16. 【請求項16】 前記区画室の回転軸線に対する垂直方
    向の断面形状を内角が30°〜100°の角部を少なく
    とも1つ有する形状とし、前記角部を摺動停止部とした
    ことを特徴とする請求項15記載の装置。
  17. 【請求項17】 前記区画収容部および/または区画室
    毎に被処理物が1個ずつ収容されることを特徴とする請
    求項13乃至16のいずれかに記載の装置。
  18. 【請求項18】 前記多孔性周面がメッシュ状周面であ
    ることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載
    の装置。
  19. 【請求項19】 前記多孔性周面がスリット状周面であ
    ることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載
    の装置。
  20. 【請求項20】 前記筒型バレルが水平方向の回転軸線
    を中心に回転自在とした支持部材の回転軸線の周方向の
    外方に環状に複数個支持されていることを特徴とする請
    求項1乃至19のいずれかに記載の装置。
  21. 【請求項21】 乾式表面処理用装置が蒸着装置である
    ことを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の
    装置。
  22. 【請求項22】 乾式表面処理用装置がブラスト加工装
    置であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか
    に記載の装置。
  23. 【請求項23】 請求項1乃至20のいずれかに記載の
    乾式表面処理用装置を用いて被処理物の処理を行うこと
    を特徴とする乾式表面処理方法。
  24. 【請求項24】 前記被処理物が平板形状または弓型形
    状の希土類系永久磁石であることを特徴とする請求項2
    3記載の乾式表面処理方法。
  25. 【請求項25】 前記摺動停止部を支点として被処理物
    を表裏反転させながら処理を行うことを特徴とする請求
    項23または24記載の乾式表面処理方法。
  26. 【請求項26】 請求項23乃至25のいずれかに記載
    の乾式表面処理方法によって表面処理されたことを特徴
    とする希土類系永久磁石。
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