JP2002088070A - 新規ピペラジノン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

新規ピペラジノン誘導体およびその製造方法

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JP2002088070A
JP2002088070A JP2000282102A JP2000282102A JP2002088070A JP 2002088070 A JP2002088070 A JP 2002088070A JP 2000282102 A JP2000282102 A JP 2000282102A JP 2000282102 A JP2000282102 A JP 2000282102A JP 2002088070 A JP2002088070 A JP 2002088070A
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竜一 安齋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬、農薬、キレート剤、高分子化合物等の
原料として有用な新規な2−ピペラジノン誘導体と、そ
の工業的な生産に利用できる、安全かつ効率的な2−ピ
ペラジノン誘導体の製造方法の提供。 【解決手段】 下記一般式(1)の2−ピペラジノン誘
導体あるいはその塩。 【化1】 (式中、R1、R2は同一又は異なり、水素原子、ヒドロ
キシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、
又はヒドロキシル基、カルボキシル基のいずれかが置換
していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3
は、水素原子、または、ヒドロキシル基、カルボキシル
基、スルホ基のいずれかが置換していてもよい炭素数1
〜6のアルキル基、あるいは炭素数1〜20のアルキル
基またはアルケニル基を有するアシル基を示し、R
4は、ヒドロキシル基、カルボキシル基のいずれかが置
換している炭素数1〜6のアルキル基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピペラジノン誘導
体およびピペラジノン誘導体の製造方法に関し、より具
体的には、医薬、農薬、抗菌剤、キレート剤、高分子化
合物等の原料として有用な、少なくとも3位に置換基を
有する2−ピペラジノン誘導体、および少なくとも3位
に置換基を有する2−ピペラジノン誘導体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】下記一般式(6):
【0003】
【化11】
【0004】(式中、のカルボニル酸素以外に、〜
は未置換、または置換基が付加してもよい。)で表さ
れる2−ピペラジノン誘導体、その製法について記載す
る特許公報や文献は、これまでも、いくつか有る。
【0005】たとえば、特開平9−315975号公報
には、2−ピペラジノン−1−酢酸誘導体が血小板凝集
抑制作用を有すことや2−ピペラジノン−1−酢酸誘導
体を含有した徐放性マイクロカプセルが記載され、ま
た、特開平9−235239号公報には、2−ピペラジ
ノン誘導体が細胞接着阻害作用を有すること、ならびに
2−ピペラジノン誘導体を含有した後発性白内障治療・
予防剤が開示されている。
【0006】あるいは、特開平6−166789号公報
には、ヒンダード・ピペラジノンをポリマーの安定剤と
して使用することが記載されており、特開平7−224
000号公報には、3,3,5,5−テトラメチル−2
−ピペラジノン誘導体をエステルの加水分解抑制方法に
おいて、エステルの加水分解抑制剤として使用すること
が開示されている。
【0007】特開平7−53548号公報には、下記一
般式(7):
【0008】
【化12】
【0009】(式中、Raは、水素原子、あるいは場合
によりそれぞれ置換されていてもよいアルキル、シクロ
アルキル、モノシクロアルキルアルキル、ジシクロアル
キルアルキル、アリールまたはアリールアルキル基を示
し、Rbは、水素原子またはアルキル基を示し、Alk
は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のア
ルキル基を表す。)で示されるピペラジノン誘導体を中
間体原料として、それから合成される最終化合物が、糖
尿病、特にインシュリン非依存性糖尿病に有効なことが
開示されている。
【0010】Zh.Neorg. khim., 34
巻,381〜385(1989年)等には、下記式
(8):
【0011】
【化13】
【0012】で表される2−ピペラジノン誘導体、及び
これとニッケル、亜鉛、コバルト、銅などの各種金属と
のキレート化合物が記載され、そのキレート安定度定数
などのキレート性能も報告されている。
【0013】2−ピペラジノン誘導体の製造方法は数多
く報告されているが、一般式(6)において、の位置
にカルボニル酸素があり、の窒素原子上は無置換で、
で表す3位に、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基等を有する置換基が置換している2−ピペラ
ジノン誘導体はこれまでに得られていない。
【0014】2−ピペラジノン誘導体の一般的な製造方
法として、Journal ofHeterocycl
ic Chemistry ,30巻,275〜276
(1993)には、エチレンジアミンにマレイン酸ジエ
チルを反応させて、3−カルボエトキシメチルピペラジ
ン−2−オン(3−(エトキシカルボニル)メチル−2
−ピペラジノン)を得る方法が記載されている。
【0015】しかし、この合成方法では、一般式(6)
において、の位置(3位)にカルボン酸エステル基
((エトキシカルボニル)メチル基)を有するピペラジ
ノン誘導体は得られるが、ヒドロキシル基、カルボキシ
ル基、スルホン酸基等の親水性基を有する置換基が3位
に置換している2−ピペラジノン誘導体は得られていな
い。
【0016】また、2−ピペラジノン誘導体の合成法と
して、ピペラジノン環にアルキル鎖を導入する方法[T
etrahedron Lett.,1994,35
巻,2533〜2536]、ジペプチド誘導体をエチレ
ングリコール・ビストリフラートで環化する方法なども
知られている[J.Org.Chem.,1997,6
2,1016]。
【0017】なお、2−ピペラジノン環にアルキル鎖を
不斉導入する方法は、発ガン性が疑われている有機溶媒
HMPA(Hexamethylphosphoric Triamide)中で、発
火性のある強塩基t−BuLiを用いている。また、ジ
ペプチド誘導体をエチレングリコール・ビストリフラー
トで環化する方法は、無水溶媒中で水素化ナトリウムを
使用して、反応を行っている。この二つの手法ともに、
用いている試薬を考慮すると、安全性の面で一般的な工
業的製法には適さない方法といえる。
【0018】また、特開平2−124873号公報に
は、L−アラニンエチルエステル・塩酸塩にシアン化ナ
トリウムとホルムアルデヒド溶液を作用させて、N−シ
アノメチル−L−アラニンエチルエステルを一旦調製
し、これをアンモニア、エタノール、ラネーニッケルと
共に水素圧下で環化反応させて、ピペラジン誘導体を製
造する方法が開示されている。しかし、この方法では、
一般式(6)のの位置(2位)がカルボニル酸素であ
る最終生成物は得られない。
【0019】Journal of American
Chemical Society,76巻,1137
〜1140(1954)には、エタノール中、α−ブロ
モイソ吉草酸エチルとエチレンジアミンとを205〜2
10℃まで加熱して反応させ、3−イソプロピル−2−
ピペラジノンを合成する例が記載されている。また、J
ournal of American Chemica
l Society ,62巻,1202〜1204(1
940)には、エチレンジアミンにα−クロロ酢酸エス
テルやα−ブロモ−n−酪酸エステルを反応させて、得
られるN−モノ(カルボキシアルキル)置換エチレンジ
アミン誘導体を200℃に加熱すると環化することが記
載されている。
【0020】α−ブロモイソ吉草酸エチルを用いる方法
では、200℃以上で反応しているため副反応が起こ
り、収率が低下しやすい上に、特殊な装置を必要とす
る。
【0021】特開平7−291946号公報には、
(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンとを
反応させることを特徴とする(S)−3−低級アルキル
−2−ピペラジノンの製造方法が記載されている。さら
には、特開平7−53548号公報には、N,N’−ジ
ベンジルエチレンジアミンまたはそのN置換体にクロロ
マレイン酸ジエチルを反応させて得られた化合物に、ハ
ロゲン化アルキルをさらに反応させた後、接触的脱ベン
ジル化および閉環反応を行わせ、2−ピペラジノン誘導
体を得る方法が記載されている。
【0022】特開平7−291946号公報記載の方法
では、(R)−2−トシルオキシプロピオン酸アルキル
エステル、(R)−2−クロロプロピオン酸アルキルエ
ステルや(R)−2−フルオロプロピオン酸アルキルエ
ステルが使われるが、これらの原料化合物は腐食性を有
す場合がある上、ハロゲン化物やトルエンスルホン酸な
どの腐食性の副生成物が生じる可能性がある。また、多
量の原料エチレンジアミンがトシル酸塩(トルエンスル
ホン酸塩)となり、この副生物を処理する必要が生じ
る。特開平7−53548号公報の方法では、接触的脱
ベンジル化および閉環反応時の収率が60%と低く、そ
れに伴い、全体の反応を通しての収率は、さらに低くな
る。
【0023】以上のように、一般式(6)においての
位置がカルボニル酸素を持ち、で表される位置(4
位)の窒素上が無置換で、で表される位置(3位)に
ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基等を有
する置換基は置換している2−ピペラジノン誘導体はこ
れまでに得られていない。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上に紹介した通り、
2−ピペラジノン誘導体は、医薬、農薬、キレート剤、
高分子化合物等の原料として有用な化合物であるが、既
に合成方法が確立しているものは限られており、新規な
2−ピペラジノン誘導体とその合成方法、特には、工業
的な生産に適する安全性も高くまた効率のよい合成方法
の提案が望まれている。
【0025】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の目的は、医薬、農薬、キレート剤、高分子化合物
等の原料として有用な新規な2−ピペラジノン誘導体
と、その工業的な生産に利用できる、安全かつ効率的な
2−ピペラジノン誘導体の製造方法を提供することにあ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、新規な構造を有す
る2−ピペラジノン誘導体あるいはその塩を創製し、そ
れらは医薬、農薬、抗菌剤、キレート剤、高分子化合物
等の原料として有用な2−ピペラジノン誘導体であるこ
とを見出した。具体的には、従来、その製造に利用でき
る手法が報告されていない、少なくともヒドロキシル基
あるいはカルボキシル基が置換している直鎖又は分岐鎖
の炭素数1〜6のアルキル基が3位に置換している2−
ピペラジノン誘導体とその効率的で安全性の高い製造方
法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0027】すなわち、本発明の2−ピペラジノン誘導
体あるいはその塩は、下記一般式(1):
【0028】
【化14】
【0029】(式中、R1及びR2は同一又は異なり、そ
れぞれ、水素原子、ヒドロキシル基(−OH)、カルボ
キシル基(−COOH)、又はこれらヒドロキシル基、
カルボキシル基のいずれかの基が置換していてもよい直
鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3
は、水素原子、または、ヒドロキシル基、カルボキシル
基、スルホ基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、あるいは直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基またはアルケ
ニル基を有するアシル基を示し、R4は、ヒドロキシル
基、カルボキシル基のいずれかの基が置換している直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
される2−ピペラジノン誘導体あるいはその塩である。
【0030】この一般式(1)で表される化合物または
その塩において、R1が水素原子またはメチル基である
化合物が好ましい。また、一般式(1)で表される化合
物またはその塩において、R2は水素原子またはメチル
基、ヒドロキシル基(−OH)であることが好ましい。
【0031】さらに、一般式(1)で表される化合物ま
たはその塩において、R1が水素原子である化合物がよ
り好ましい。また、一般式(1)で表される化合物また
はその塩において、R2も水素原子であることがより好
ましい。
【0032】加えて、一般式(1)で表される化合物ま
たはその塩において、R3が水素原子であることが好ま
しい。さらには、一般式(1)で表される化合物または
その塩において、R4がカルボキシメチル基またはヒド
ロキシメチル基であることが好ましい。
【0033】一方、一般式(1)で表される化合物また
はその塩において、含まれる不斉炭素がすべて(S)−
配置である化合物とすることができる。あるいは、一般
式(1)で表される化合物またはその塩において、含ま
れる不斉炭素がすべて(R)−配置である化合物とする
ことができる。
【0034】また、本発明の2−ピペラジノン誘導体を
製造する第一の方法は、下記一般式(2):
【0035】
【化15】
【0036】(式中、R5及びR6は同一又は異なり、そ
れぞれ、水素原子、ヒドロキシル基(−OH)、カルボ
キシル基(−COOH)、又はこれらヒドロキシル基、
カルボキシル基のいずれかの基が置換していてもよい直
鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で
表されるジアミン化合物またはその塩に、下記一般式
(3):
【0037】
【化16】
【0038】(式中、R7、R8は同一又は異なり、それ
ぞれ、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基を
示す。)で表されるフマル酸ジエステル及び/または下
記一般式(4):
【0039】
【化17】
【0040】(式中、R9、R10は同一又は異なり、そ
れぞれ直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基を
示す。)で表されるマレイン酸ジエステルを付加させ
て、第一の中間生成物として、一般式(2)のジアミン
化合物に由来する基H2N−CR5−CR6−NH−また
はH2N−CR6−CR5−NH−が2位に置換するブタ
ン二酸ジエステルを形成し、この第一の中間生成物中の
1位のエステル化カルボキシル基と前記2位上の置換基
中のアミノ基との間で縮合環化させ、2−ピペラジノン
環を構成させ、第二の中間生成物として、1位と4位の
窒素原子上には置換基を有さず、一般式(3)のフマル
酸ジエステルあるいは一般式(4)のマレイン酸ジエス
テルに由来する(アルコキシカルボニル)メチル基が3
位に置換する2−ピペラジノン誘導体を形成し、その
後、加水分解により、この第二の中間生成物中の2位の
(アルコキシカルボニル)メチル基をカルボキシメチル
基に変換して、第三の中間生成物として、1位と4位の
窒素原子上には置換基を有さず、カルボキシメチル基が
3位に置換する下記一般式(IIa):
【0041】
【化18】
【0042】または一般式(IIb):
【0043】
【化19】
【0044】(式中、R5及びR6は、前記一般式(1)
中のR5及びR6と同一の基を示す。)で表される2−ピ
ペラジノン誘導体を形成し、更に、前記第三の中間生成
物に対して、必要に応じて4位の窒素原子上に置換基を
付加し、下記一般式(Ia):
【0045】
【化20】
【0046】または一般式(Ib):
【0047】
【化21】
【0048】(式中、R5及びR6は、前記一般式(2)
中のR5及びR6と同一の基を示し、R 21は、水素原子、
または、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基の
いずれかの基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖の炭
素数1〜6のアルキル基、あるいは直鎖又は分岐鎖の炭
素数1〜20のアルキル基またはアルケニル基を有する
アシル基を示す。)で表される2−ピペラジノン誘導体
とすることを特徴とする2−ピペラジノン誘導体の製造
方法である。
【0049】その際、一般式(2)で表されるジアミン
化合物またはその塩において、R5が水素原子またはメ
チル基であることが好ましい。また、一般式(2)で表
されるジアミン化合物またはその塩において、R6は水
素原子またはメチル基、ヒドロキシル基(−OH)であ
ることが好ましい。
【0050】一般式(2)で表されるジアミン化合物ま
たはその塩において、R5が水素原子であることがより
好ましい。また、一般式(2)で表されるジアミン化合
物またはその塩において、R6も水素原子であることが
より好ましい。
【0051】なお、一般式(2)で表されるジアミン化
合物またはその塩において、含まれる不斉炭素がすべて
(S)−配置である化合物を用いることができる。ある
いは、一般式(2)で表されるジアミン化合物またはそ
の塩において、含まれる不斉炭素がすべて(R)−配置
である化合物を用いることができる。
【0052】さらに、本発明の2−ピペラジノン誘導体
を製造する第二の方法は、下記一般式(5):
【0053】
【化22】
【0054】(式中、R11及びR12は同一又は異なり、
それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基(−OH)、カル
ボキシル基(−COOH)、これらヒドロキシル基、カ
ルボキシル基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
13は、水素原子、または、ヒドロキシル基、カルボキシ
ル基、スルホ基いずれかの基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、あるいは直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基またはアルケ
ニル基を有するアシル基を示し、R14は、ヒドロキシル
基、カルボキシル基のいずれかの基が置換している直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表
されるN−置換α−アミノ酸またはその塩を、水または
有機溶媒中にて処理し、α位のアミノ基上の置換基中の
アミノ基(−NH2)と1位のカルボキシル基(−CO
OH)との間で縮合環化反応させ、下記一般式(II
I):
【0055】
【化23】
【0056】(式中、R11、R12、R13、R14は、それ
ぞれ、前記一般式(5)中のR11、R 12、R13、R14
同一の基を示す。)で表される2−ピペラジノン誘導体
とすることを特徴とする2−ピペラジノン誘導体の製造
方法である。
【0057】その際、一般式(5)で表されるN−置換
α−アミノ酸またはその塩において、R11が水素原子ま
たはメチル基であることが好ましい。また、一般式
(5)で表されるN−置換α−アミノ酸またはその塩に
おいて、R12は水素原子またはメチル基、ヒドロキシル
基(−OH)であることが好ましい。
【0058】一般式(5)で表されるN−置換α−アミ
ノ酸またはその塩において、R11が水素原子であること
がより好ましい。また、一般式(5)で表されるN−置
換α−アミノ酸またはその塩において、R12も水素原子
であることがより好ましい。
【0059】加えて、一般式(5)で表されるN−置換
α−アミノ酸またはその塩において、R13が水素原子で
あることが好ましい。さらには、一般式(5)で表され
るN−置換α−アミノ酸またはその塩において、R14
カルボキシメチル基またはヒドロキシメチル基であるこ
とが好ましい。
【0060】なお、一般式(5)で表されるN−置換α
−アミノ酸またはその塩において、含まれる不斉炭素が
すべて(S)−配置である化合物を用いることができ
る。あるいは、一般式(5)で表されるN−置換α−ア
ミノ酸またはその塩において、含まれる不斉炭素がすべ
て(R)−配置である化合物を用いることができる。
【0061】本発明の第一の製造方法では、縮合環化に
よる2−ピペラジノン環の構成後、エステルの加水分解
を、pH8〜13.5の範囲で行うことが望ましい。
【0062】本発明の第二の製造方法では、α−ヒドロ
キシカルボン酸の存在下、縮合環化反応を行うことが好
ましい。また、本発明の第二の製造方法では、縮合環化
反応を、分離精製用材料を充填又は備え付けた容器及び
/またはカラム中で行うこともできる。その時、用いる
分離精製用材料は、イオン交換樹脂、シリカゲル、アル
ミナ、フロリジル、セルロース、珪藻土、イオン交換膜
からなる群のうちから選択される少なくとも一つである
ことが望ましい。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0064】一般式(1)で表される2−ピペラジノン
誘導体またはその塩において、R1〜R4で表される置換
基は、原料由来のものであっても、あるいは、一旦置換
基を有さない2−ピペラジノン誘導体またはその塩を合
成した後、所定の置換基を付加させたものであってもよ
い。2−ピペラジノン環に置換基を付加する方法として
は、既知の方法が使用され、例えば、ハロゲン化アルキ
ルや2−クロロエタノール、2−クロロエタンスルホン
酸、塩化ラウロイルなどのハロゲン化物を反応させる方
法などがあげられる。
【0065】一般式(1)中、R1〜R2における、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペン
チル基などの基が挙げられる。また、その上にヒドロキ
シル基、カルボキシル基のいずれかが置換した直鎖又は
分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基は、これらアルキル
基に由来する、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアル
キル基などとなっている。
【0066】一般式(1)中、R3における、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、スルホ基が置換していてもよ
い直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、
イソペンチル基などの基が挙げられる。また、その上に
ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基のいずれか
が置換した直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基
は、これらアルキル基に由来する、ヒドロキシアルキル
基、カルボキシアルキル基、スルホアルキル基などとな
っている。
【0067】また、R3における、直鎖もしくは分岐鎖
の炭素数1〜20のアルキル基またはアルケニル基を持
つアシル基は、R−CO−またはR−SO2−の形態を
とり、その例としては、n−ノナノイル基(CH3−(C
H27−CO−)、n−デカノイル基(CH3−(CH28−CO
−)、ラウロイル基(CH3−(CH210−CO−)、ミリス
トイル基(CH3−(CH212−CO−)、パルミトイル基
(CH3−(CH214−CO−)、ステアロイル基(CH3−(C
H216−CO−)、オレオイル基(cis−CH3−(CH 27
CH=CH−(CH27−CO−)等が挙げられる。
【0068】本発明の2−ピペラジノン誘導体またはそ
の塩では、生体内などにおける誘導体の安定性の点か
ら、一般式(1)中のR1、R2は、水素原子、メチル
基、エチル基、ヒドロキシル基、2−ヒドロキシエチル
基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等が好ま
しく、R1、R2は、いずれかは水素原子であることがよ
り好ましい。なかでも、R1が水素原子またはメチル基
であり、R2は水素原子またはメチル基、ヒドロキシル
基(−OH)であることがより好ましい。加えて、
1、R2が、ともに水素原子であると、一層好ましい。
【0069】一般式(1)中のR3は、安定性の点から
は、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基、
2−ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、カルボ
キシエチル基、スルホメチル基(−CH2−SO3H)、
スルホエチル基(−C24−SO3H)、n−ノナノイ
ル基、n−デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル
基、ステアロイル基が好ましい。また、医薬品等の原料
として使用される場合、種々のN−置換体を調製する目
的から、R3を水素原子とすることが好ましい。
【0070】一般式(1)中のR4における、その上に
ヒドロキシル基、カルボキシル基が置換する、直鎖又は
分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチ
ル基などの基が挙げられる。なお、R4には、誘導体の
安定性の点から、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシ
エチル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル
基等が好ましく、さらに、カルボキシメチル基またはヒ
ドロキシメチル基がより好ましい。
【0071】本発明のピペラジノン誘導体またはその塩
では、一つまたは複数の不斉炭素を有している場合、数
種の光学異性体が存在することになる。いずれの光学異
性体も、用途に応じては、単独もしくは混合して使用す
ることができる。通常、分子内に含まれる全ての不斉炭
素において、S−配置をとる誘導体が、生分解性に優れ
るので、医薬品やその原料など、生分解性を要する用途
に特に好ましい。
【0072】本発明の2−ピペラジノン誘導体またはそ
の塩において、例えば、一般式(1)のR4がカルボキ
シメチル基である一群の2−ピペラジノン誘導体につい
ては、下記一般式(2):
【0073】
【化24】
【0074】(式中、R5及びR6は同一又は異なり、水
素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、あるいはヒ
ドロキシル基、カルボキシル基のいずれかの基が置換し
ていてもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル
基を示す。)で表されるジアミン化合物と、下記一般式
(3):
【0075】
【化25】
【0076】(式中、R7、R8は同一又は異なり、直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で
表されるフマル酸ジエステル及び/または下記一般式
(4):
【0077】
【化26】
【0078】(式中、R9、R10は同一又は異なり直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で
表されるマレイン酸ジエステルとを反応させ、α,β−
不飽和結合へのジアミンの求核的付加反応によりアミノ
化を起こさせ、N−置換−2−アミノブタン二酸ジエス
テル型の中間生成物とし、次いで、この中間生成物にお
いて、1位のエステル化されているカルボキシル基と、
一般式(2)のジアミン化合物に由来するアミノ基との
間で縮合させてアミド結合を形成し、環化させた後、得
られる2−ピペラジノン環上、3位の置換基として残っ
ている、一般式(3)のフマル酸ジエステルあるいは一
般式(4)のマレイン酸ジエステルに由来するエステル
を加水分解して、カルボキシメチル基とすることによっ
て製造できる。
【0079】前記の反応では、溶液中で反応を行うと、
アミンの付加反応後、分子間でのアミド結合の形成は起
こらず、N−置換−2−アミノブタン二酸ジエステルに
おいて、一般式(2)のジアミン化合物に由来するアミ
ノ基に対して、7員環を形成する配置しかとれない4位
のカルボン酸エステル基ではなく、6員環を形成する配
置となる1位のカルボン酸エステル基が選択的に反応
し、分子内アミド結合が生成する。
【0080】このジアミンの付加反応により、中間生成
物として、N−置換−2−アミノブタン二酸ジエステル
を形成する本発明の第一の製造方法において、原料とし
て用いる一般式(2)〜(4)の化合物は、市販のも
の、ならびにその誘導体を使用することができる。な
お、一般式(3)のフマル酸ジエステルあるいは一般式
(4)のマレイン酸ジエステルにおいて、そのエステル
は最終的に加水分解して除去されるので、R7とR8、な
らびにR9とR10は、その種類は特には制限はないもの
である。また、生成した4位の窒素原子上に置換基を有
さない2−ピペラジノン誘導体またはその塩に、水また
は有機溶媒中で、アルカリ金属水酸化物や三級アミンな
どの塩基の存在下、ハロゲン化アルキルや2−クロロエ
タノール、2−クロロエタンスルホン酸、塩化ラウロイ
ルなどのハロゲン化物を反応させることにより、4位の
窒素に置換基を導入することが可能になる。一般にアミ
ドは誘起効果と共鳴効果とにより窒素から電子が吸引さ
れるため、アミンよりもずっと塩基性が弱く、付加反応
が生じにくい。上記反応を比較的低い温度、弱塩基性領
域で行うことにより、1位の窒素を置換することなく、
4位の窒素のみ置換することができる。
【0081】一般式(2)中のR5及びR6において、ヒ
ドロキシル基、カルボキシル基が置換していてもよい直
鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソ
ペンチル基などの基が挙げられる。
【0082】一般式(2)中、R5〜R6における、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペン
チル基などの基が挙げられる。また、 その上にヒドロ
キシル基、カルボキシル基のいずれかが置換した直鎖又
は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基は、これらアルキ
ル基に由来する、ヒドロキシアルキル基、カルボキシア
ルキル基などとなっている。
【0083】生成した一般式(I)の2−ピペラジノン
誘導体またはその塩の、生体内などにおける誘導体の安
定性の点から、一般式(2)中のR5、R6は、水素原
子、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ
エチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等
が好ましく、R5、R6は、いずれかは水素原子であるこ
とがより好ましい。なかでも、R5が水素原子またはメ
チル基であり、R6は水素原子またはメチル基、ヒドロ
キシル基(−OH)であることがより好ましい。加え
て、R5、R6が、ともに水素原子であると、一層好まし
い。
【0084】この一般式(2)のジアミン化合物の例と
しては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミ
ン、2,3−ブタンジアミン、1−ヒドロキシ−エチレ
ンジアミン、1−ヒドロキシメチル−エチレンジアミ
ン、1−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン、1,2
−プロパンジアミン等が挙げられる。反応性や目的物選
択性の点から、エチレンジアミン、1,2−プロパンジ
アミンなどが好ましい。また、これらのジアミン化合物
は、既知の方法でN−置換アミンとして、上記の反応と
同様な経路に従い、2−ピペラジノン環の形成を行うこ
ともできる。
【0085】一般式(2)で表されるジアミン化合物
が、ひとつまたは複数の不斉炭素を有している場合、数
種の光学異性体が存在する。いずれの光学異性体を用い
ても、上記の2−ピペラジノン環を形成する過程におい
て、一般式(2)のジアミン化合物に含まれる不斉炭素
上の絶対配置は保持される。一般式(2)のジアミン化
合物において、最終生成物に求められる絶対配置に応じ
て、その光学異性体を単独もしくは混合して使用でき
る。なお、製造の際、発生する未反応残留分、あるい
は、副生成物を微生物を利用して分解処理する場合、生
分解性の観点では、S体の不斉炭素を有する化合物が好
ましく、より生分解性に優れるすべての不斉炭素がS体
である化合物を用いると、特に好ましい。
【0086】一般式(3)または一般式(4)の2−ブ
テン二酸ジエステルにおいて、R7〜R10の直鎖アルキ
ル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基な
どの基を挙げることができ、また分岐鎖アルキル基とし
ては、メチルヘキシル基、エチルヘキシル基、メチルヘ
プチル基、エチルヘプチル基、メチルノニル基、メチル
ウンデシル基などの基を挙げることができる。例えば、
上記の分子内アミド結合の形成による環化反応におけ
る、その反応性ならびに収率を考慮すると、鎖長が短
く、また、立体障害を引き起こすことのないものを選択
すると好ましい。加えて、対称的なジエステルとするこ
とが望ましい。従って、一般式(3)のフマル酸ジエス
テルにおいては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル
が好ましく、一般式(4)のマレイン酸ジエステルにお
いては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルが好
ましい。
【0087】一般式(2)で表されるジアミン化合物
を、一般式(3)及び/または一般式(4)で表される
2−ブテン二酸ジエステルに一分子付加させ、環化させ
る反応では、一般式(2)で表されるジアミン化合物に
対し、一般式(3)及び/または一般式(4)で表され
る2−ブテン二酸ジエステルを0.1倍モル以上使用す
れば良いが、収率の点から0.5〜5倍モルが好まし
く、さらに1.2〜2倍モルが好ましい。
【0088】この反応は、原料が液体ならば無溶媒でも
進行するが、収率や原料化合物が固体である場合の反応
性の点から、溶媒の存在化で溶液またはスラリーの状態
で反応を行うことが好ましい。例えば、後半の環化反応
においては、N−置換−2−アミノブタン二酸ジエステ
ルにおいて、一般式(2)のジアミン化合物に由来する
アミノ基に対して、1位のカルボン酸エステル基が6員
環を形成する配置をとる必要があり、溶媒中において反
応を行うと、この配置を容易に達成できる。溶媒として
は、水または有機溶媒が利用される。利用可能な有機溶
媒の例としては、アセトアミド、ホルムアミド、N−メ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルフォキシド、クレゾール、フェノール、キシ
レノール、アセトン、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、エチレングリコール、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ピリジン、γ−ブチルラクト
ン、スルホラン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、
トリエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチ
ルケトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、
トリエチルアミン等が挙げられる。好ましい溶媒とし
て、水、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メタノール、エ
タノール、テトラヒドロフランなどを挙げることがで
き、ながでも、アセトン、メタノール、エタノール、テ
トラヒドロフランなどがより好ましい。これらの溶媒
は、二種以上を混合して使用しても良い。
【0089】上記の付加及び環化反応における溶媒の量
は、一般式(2)のジアミン化合物に対して、重量で1
〜100倍、好ましくは、3〜30倍の範囲に選択する
ことが好ましい。一般式(2)のジアミン化合物は、予
め溶媒に溶解または懸濁して使用することが好ましい。
また、一般式(3)及び/または一般式(4)で表され
る−ブテン二酸ジエステルも、予め溶媒に溶解または懸
濁して使用することが好ましい。
【0090】この付加及び環化反応は無触媒でも進行す
るが、例えば、環化反応のアミド結合形成などは、酸や
塩基を共存させると反応が早く進行する場合がある。こ
の反応触媒として機能する酸としては、有機酸や無機
酸、酸性アミノ酸などの酸性物質が使用され、また、塩
基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属
水酸化物、アミン、アンモニアなどの塩基性物質などが
使用される。目的物の選択性の点から、塩基を添加する
と好ましく、例えば、原料ジアミン化合物自体、あるい
はトリエチルアミンなどの第三級アミン類などの有機塩
基がより好ましい。ただし、付加反応において、原料ジ
アミン化合物と競合するものは除く。
【0091】触媒の使用量は、一般式(2)で表される
ジアミン化合物に対し、0.001倍モル以上が好まし
く、反応性の点から0.01倍〜10倍モルの範囲に選
択することが好ましい。
【0092】付加反応ならびに環化反応の反応温度は、
−20〜120℃、好ましくは20〜80℃の範囲に選
択する。これの範囲より反応温度が低い場合、反応が完
結するまで時間がかかり、これの範囲より温度を高くす
る場合、一旦形成された2−ピペラジノン環の開環反応
が生じたり、あるいは、分子間でアミド結合を形成した
副生成物などの生成量が増えるなどの理由で収率が低下
する。
【0093】環化反応後、エステルの加水分解において
は、反応に消費される水が溶媒として使用されるが、有
機溶媒と混合、混和させて使用しても良い。
【0094】加水分解の条件によっては、エステルだけ
ではなくアミド結合も加水分解されることがあるが、本
発明者らは、pH8〜13.5、好ましくはpH10〜13
で加水分解することにより、エステルの加水分解のみが
選択的に進行し、目的生成物が効率良く得られることを
見出した。これの範囲より低いpHでは、エステルの加水
分解が進行しなかったり、酸無水物などの副生成物が生
成する。また、これの範囲より高いpHでは、アミド結合
の加水分解も引き起こされ、2−ピペラジノン環の開環
が起こる。なお、一般に、pH調整には、アルカリ金属
水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン、アンモ
ニアなどの塩基性物質、あるいは、有機酸や無機酸、酸
性アミノ酸などの酸性物質が使用される。本発明におい
ては、塩基性物質としてはアルカリ金属水酸化物、酸性
物質としては無機酸が好ましく、さらに塩基性物質とし
ては水酸化リチウムや水酸化ナトリウム、酸性物質とし
ては塩酸や硫酸が好ましい。
【0095】エステル加水分解の反応温度は、10〜1
00℃、好ましくは30〜60℃の範囲に選択する。こ
の範囲より反応温度が低い場合、反応が完結するまで時
間がかかり、一方、この範囲より温度を高くする場合、
アミド結合の加水分解も加速され、開環反応が生じた
り、分解による副生成物量が増えるなどの理由で収率が
低下する。
【0096】上述した第一の方法に加えて、本発明の2
−ピペラジノン誘導体は、下記一般式(5):
【0097】
【化27】
【0098】(式中、R11及びR12は同一又は異なり、
それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基(−OH)、カル
ボキシル基(−COOH)、これらヒドロキシル基、カ
ルボキシル基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
13は、水素原子、または、ヒドロキシル基、カルボキシ
ル基、スルホ基いずれかの基が置換していてもよい直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、あるいは直鎖
又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基またはアルケ
ニル基を有するアシル基を示し、R14は、ヒドロキシル
基、カルボキシル基、スルホ基のいずれかの基が置換し
ている直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示
す。)で表されるN−置換α−アミノ酸を水または有機
溶媒中にて環化反応させる方法でも製造できる。
【0099】この本発明の第二の製造方法において、原
料として用いる一般式(5)で表されるN−置換α−ア
ミノ酸は、市販のもの、ならびにその誘導体を使用する
ことができる。
【0100】一般式(5)中のR11、R12あるいはR13
における、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基
が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6の
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル
基、イソブチル基、イソペンチルなどの基が挙げられ
る。
【0101】生成した一般式(IV)の2−ピペラジノ
ン誘導体またはその塩の、生体内などにおける誘導体の
安定性の点から、一般式(5)中のR11、R12は、水素
原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基、ヒドロキ
シエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基
等が好ましく、R11、R12は、いずれかは水素原子であ
ることがより好ましい。なかでも、R11が水素原子また
はメチル基であり、R12は水素原子またはメチル基、ヒ
ドロキシル基(−OH)であることがより好ましい。加
えて、R5、R6が、ともに水素原子であると、一層好ま
しい。
【0102】R13における、直鎖もしくは分岐鎖の炭素
数1〜20のアルキル基またはアルケニル基を持つアシ
ル基は、R−CO−またはR−SO2−の形態をとり、
その例としては、n−ノナノイル基、n−デカノイル
基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、
ステアロイル基、オレオイル基等が挙げられる。
【0103】一般式(5)のN−置換α−アミノ酸は、
対応するα−アミノ酸に1−メチル−2−クロロエチル
アミンや2−クロロエチルアミンなどのアルキルアミン
のハロゲン化物を反応させる方法、あるいは、エチレン
ジアミンや1,2−プロパンジアミン等のジアミン化合
物とマレイン酸やフマル酸などのα,β−不飽和カルボ
ン酸化合物などとを反応させ、求核的付加反応により、
α,β−不飽和結合にアミノ化を図ることにより得られ
る。加えて、得られたN−置換α−アミノ酸に、2−ク
ロロエタノール、ハロゲン化アルキルや2−クロロエタ
ンスルホン酸、塩化ラウロイルなどの試薬を反応させる
方法、あるいは、α−アミノ酸に2−クロロエタノー
ル、ハロゲン化アルキルや2−クロロエタンスルホン
酸、塩化ラウロイルなどの試薬を反応させてN−モノ置
換誘導体化し、更に、2−クロロエチルアミンなどを、
そのイミノ基に反応させるなどの方法で、目的とする構
造を有する、一般式(5)のN−置換α−アミノ酸を調
製できる。
【0104】一般式(5)で表されるN−置換α−アミ
ノ酸またはその塩において、R11が水素原子であること
がより好ましい。また、一般式(5)で表されるN−置
換α−アミノ酸またはその塩において、R12も水素原子
であることがより好ましい。
【0105】加えて、一般式(5)で表されるN−置換
α−アミノ酸またはその塩において、R13が水素原子で
あることが好ましい。さらには、一般式(5)で表され
るN−置換α−アミノ酸またはその塩において、R14
カルボキシメチル基またはヒドロキシメチル基であるこ
とが好ましい。
【0106】なお、一般式(5)で表されるN−置換α
−アミノ酸またはその塩において、含まれる不斉炭素が
すべて(S)−配置である化合物を用いることができ
る。あるいは、一般式(5)で表されるN−置換α−ア
ミノ酸またはその塩において、含まれる不斉炭素がすべ
て(R)−配置である化合物を用いることができる。一
般式(5)のN−置換α−アミノ酸の例としては、N−
置換アスパラギン酸誘導体である、エチレンジアミン−
N−コハク酸、エチレンジアミン−N−メチル−N−コ
ハク酸、エチレンジアミン−N−エチル−N−コハク
酸、エチレンジアミン−N−イソプロピル−N−コハク
酸、エチレンジアミン−N−n−プロピル−N−コハク
酸、エチレンジアミン−N−n−ブチル−N−コハク
酸、エチレンジアミン−N−(2−エタノール)−N−
コハク酸、1,2−プロパンジアミン−N−コハク酸、
1,2−プロパンジアミン−N−メチル―N−コハク
酸、1,2−プロパンジアミン−N−エチル−N−コハ
ク酸、1,2−プロパンジアミン−N−イソプロピル−
N−コハク酸、1,2−プロパンジアミン−N−n−プ
ロピル−N−コハク酸、1,2−プロパンジアミン−N
−n−ブチル−N−コハク酸、1,2−プロパンジアミ
ン−N−(2−エタノール)−N−コハク酸、1−ヒド
ロキシ−1,2−エチレンジアミン−N−コハク酸な
ど、また、N−置換グルタミン酸誘導体である、エチレ
ンジアミン−N−グルタル酸、エチレンジアミン−N−
メチル−N−グルタル酸、エチレンジアミン−N−エチ
ル−N−グルタル酸、エチレンジアミン−N−イソプロ
ピル−N−グルタル酸、エチレンジアミン−N−n−プ
ロピル−N−グルタル酸、エチレンジアミン−N−n−
ブチル−N−グルタル酸、エチレンジアミン−N−(2
−エタノール)−N−グルタル酸、1,2−プロパンジ
アミン−N−グルタル酸、1,2−プロパンジアミン−
N−メチル―N−グルタル酸、1,2−プロパンジアミ
ン−N−エチル−N−グルタル酸、1,2−プロパンジ
アミン−N−イソプロピル−N−グルタル酸、1,2−
プロパンジアミン−N−n−プロピル−N−グルタル
酸、1,2−プロパンジアミン−N−n−ブチル−N−
グルタル酸、1,2−プロパンジアミン−N−(2−エ
タノール)−N−グルタル酸、1,2−エチレンジアミ
ン−1−ベンジル−N−グルタル酸、1−ヒドロキシ−
1,2−エチレンジアミン−N−グルタル酸など、N−
置換セリン誘導体である、 N−(2−アミノ−プロピ
ル)セリン、 N−(1−ヒドロキシ−2−アミノエチ
ル)セリン、N−(2−アミノエチル)セリンなど、な
らびにこれらのエステル等が挙げられる。その反応性や
環化反応における目的生成物の選択性の点から、エチレ
ンジアミン−N−コハク酸、エチレンジアミン−N−メ
チル−N−コハク酸、エチレンジアミン−N−エチル−
N−コハク酸、1,2−プロパンジアミン−N−コハク
酸及びこれらのエステルなどが好ましく、さらにエチレ
ンジアミン−N−コハク酸、1,2−プロパンジアミン
−N−コハク酸及びこれらのエステルなどが好ましい。
なお、一般式(5)のN−置換α−アミノ酸のエステル
を用いて反応を行うことで、2−ピペラジノン環を形成
した場合、その後、置換基上に残るエステルを上で説明
した条件において、加水分解することが好ましい。
【0107】一般式(5)のN−置換α−アミノ酸を塩
の状態で使用する場合、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム塩などの状態で使用できる。
【0108】一般式(5)の化合物は、一つまたは複数
の不斉炭素を有している場合、数種の光学異性体が存在
する。この第二の製造方法では、分子内のアミノ基とカ
ルボキシル基の反応において、前記の不斉炭素の絶対配
置は保持される。従って、目的とする最終生成物におい
て要求される絶対配置に応じて、いずれかの光学異性体
も単独、もしくは混合して使用できる。なお、製造の
際、発生する未反応残留分、あるいは、副生成物を微生
物を利用して分解処理する場合、生分解性の観点では、
S体の不斉炭素を有する化合物が好ましく、より生分解
性に優れるすべての不斉炭素がS体である化合物を用い
ると、特に好ましい。
【0109】一般式(5)で表されるN−置換α−アミ
ノ酸は、それ自体液体であれば無溶媒でもアミド結合形
成反応は進行するが、化合物を溶媒中で環化させる反応
は、収率や目的物の選択性、加えて、このN−置換α−
アミノ酸自体が固体である場合の反応性の点から、本発
明の第二の方法では、環化反応を溶媒の存在下で溶液ま
たはスラリーの状態で反応を行うとよい。利用可能な溶
媒としては、水,アセトアミド、ホルムアミド、N−メ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルフォキシド、クレゾール、フェノール、キシ
レノール、アセトン、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、エチレングリコール、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ピリジン、γ−ブチルラクト
ン、スルホラン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、
トリエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチ
ルケトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、
トリエチルアミン等が挙げられる。溶媒として、水、ホ
ルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、アセトン、メタノール、エタノール、
プロパノール、エチレングリコール、テトラヒドロフラ
ン、ピリジン、トリエチルアミンなどを利用することが
好ましく、さらに、水、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ピリジン、トリエチルアミンなどを用いるこ
とがより好ましい。これらの溶媒は、混合して使用して
も良い。
【0110】本発明の第二の製造方法における溶媒の量
は、一般式(5)のN−置換α−アミノ酸に対して重量
で1倍以上、好ましくは5〜10000倍、さらに好ま
しくは10〜1000倍の範囲に選択される。反応は分
子内で起こるため、溶媒が多くとも本質的な問題はない
が、経済的でなく、一方、溶媒の量が少ない場合、分子
間での縮合反応が生じやすく、前記の範囲とすることが
好ましい。
【0111】この第二の製造方法の反応では、分子内ア
ミノ基と分子内カルボキシル基とが反応し、アミド結合
が生成して環化する。なお、既知の方法でエステル化
し、アルキルエステル化されたカルボキシル基とアミノ
基との間で、同様な反応を行なわせることにより反応性
が向上する場合がある。
【0112】前記アミド結合の生成による縮合(環化)
反応は無触媒でも進行するが、反応促進作用・触媒作用
を示す添加物として、酸や塩基を共存させたほうが反応
が早く進行する。通常、反応促進作用・触媒作用を示す
物質となる、酸としては、有機酸や無機酸、酸性アミノ
酸などの酸性物質が使用され、また、塩基としては、ア
ルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミ
ン、アンモニアなどの塩基性物質などが使用される。本
発明においては、目的物の選択性の点から、酸として
は、カルボキシル基を有する有機酸が好ましく、塩基と
しては、一般式(5)のN−置換α−アミノ酸の調製に
利用した原料ジアミン化合物自体、あるいはトリエチル
アミンなどの第三級アミンが好ましい。さらに、カルボ
キシル基を有する有機酸のなかでも、例えば、α−ヒド
ロキシカルボン酸である、リンゴ酸(2−ヒドロキシブ
タン二酸)、グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)などのα
−ヒドロキシカルボン酸が好ましい。
【0113】前記の反応促進作用・触媒作用を示す物質
の使用量は、一般式(5)で表されるN−置換α−アミ
ノ酸に対し、0.001倍モル以上が好ましく、反応性
の点から0.01倍〜10倍モルが好ましい。
【0114】環化反応の反応温度は、0〜120℃、好
ましくは40〜90℃の範囲に選択する。前記の範囲よ
り反応温度を低くすると、反応が完結するまで時間がか
かり過ぎる。逆に、前記の範囲より反応温度を高くする
と、原料や生成物の分解が生じるなどの理由で収率が低
下する。
【0115】環化反応後、仮に中間生成物中にエステル
化されたカルボキシル基を含む場合、このエステルの加
水分解を行う。その際、水自体が反応に消費され、ま
た、反応溶液のpHを調整する目的からも、溶媒として
水を使用することができるが、必要に応じて、水に有機
溶媒を混合、混和させて使用しても良い。
【0116】一般に、加水分解の条件によっては、エス
テルだけではなくアミド結合も加水分解されるが、本発
明者らは、pH8〜13.5、好ましくはpH10〜13で
加水分解を行うことにより、目標とするエステルのみを
選択的に加水分解でき、目的生成物が効率良く得られる
ことを見出した。具体的には、前記のpH範囲より低い
pHでは、エステルの加水分解が進行しなかったり、酸無
水物などの副生成物が生成する。一方、前記のpH範囲
より高いpHでは、アミド結合までもが加水分解され、2
−ピペラジノン環(ラクタム)の開環が生じる。一般
に、反応液のpH調整には、アルカリ金属水酸化物、ア
ルカリ土類金属水酸化物、アミン、アンモニアなどの塩
基性物質、有機酸や無機酸、酸性アミノ酸などの酸性物
質が使用される。本発明の製造方法では、反応液のpH
調整に際して、塩基性物質としてはアルカリ金属水酸化
物、酸性物質としては無機酸を利用することが好まし
く、さらに、アルカリ金属水酸化物のなかでも、水酸化
リチウムや水酸化ナトリウムを、無機酸のなかでも、塩
酸や硫酸を利用することがより好ましい。
【0117】エステルの加水分解の反応温度は、10〜
100℃の範囲、好ましくは30〜60℃の範囲に選択
する。前記の範囲より反応温度を低くする場合、反応が
完結するまであまりに長い時間を要する。逆に、前記の
範囲より反応温度を低くする場合、目的のエステルの加
水分解以外に、ラクタムの開環反応が生じたり、前記ラ
クタムの分解による副生成物量が増えるなどの理由で収
率が低下する。
【0118】以上の反応は、分離精製用材料を充填又は
備え付けた容器及び/またはカラム中で、その反応を行
うこともできる。具体的には、イオン交換樹脂、シリカ
ゲル、アルミナ、フロリジル、セルロース、珪藻土など
を充填させた固定層、移動層や擬似移動層のカラムやイ
オン交換膜を備え付けた反応容器を使用して反応を行う
ことができる。
【0119】充填剤を使用したカラム中で反応させるこ
とにより、目的生成物、副生成物、不純物などのうち、
用いる充填剤に応じて、任意の化合物を捕集できる。例
えば、副生成物や不純物を捕集した場合には、これら副
生成物や不純物に起因する副反応の抑制が可能になる上
に、反応系に残される目的生成物のみを容易に取り出す
ことも可能となる。一方、目的生成物を捕集した場合に
は、平衡が所望の反応が進行する方向に傾き、収率が向
上する効果が有る。さらには、目的生成物のみを回収で
きる。また、目的生成物または副生成物を系外に取り除
きながら、反応を行うことも可能である。
【0120】以上の反応終了後、反応混合物中には、目
的とする本発明の2−ピペラジノン誘導体、あるいはそ
の塩の他に、未反応の出発物質、反応により副生する無
機塩、中間生成物などのエステル誘導体またはその塩、
脂肪酸等の挟雑物が含まれることがある。本発明におい
ては、反応生成物をそのまま使用することも可能である
が、目的とする本発明の2−ピペラジノン誘導体、ある
いはその塩を、必要に応じて溶媒分別法、イオン交換ク
ロマトグラフィー、再結晶法、電気透析法など、公知の
方法により精製して用いることもできる。
【0121】得られた一般式(1)で表される2−ピペ
ラジノン誘導体が、カルボキシル基(−COOH)又は
スルホ基(−SO3H)を有する場合、種々の陽イオン
または塩基との塩を形成してもよい。かかる塩として
は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重
金属塩、アミン塩、塩基性アミノ酸塩、アンモニウム塩
等が挙げられる。具体的には、ナトリウム、カリウム、
リチウム、マグネシウム、カルシウム、銀、銅、亜鉛、
スズ、クロム、チタン、ニッケル、コバルトなどの金属
塩、あるいは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、
トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、リジン、アルギニ
ン、コリン、アンモニア等とのアミン塩またはアンモニ
ウム塩が挙げらる。これらの塩は、混合して使用しても
良く、また、一つの分子中に複数の陽イオン、塩基を含
むものであっても良い。更には、分子内に複数のカルボ
キシル基(−COOH)又はスルホ基(−SO3H)を
有する際、その一部のみが塩を形成している、部分中和
塩としても良い。
【0122】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明の2−ピペラジ
ノン誘導体とその製造方法について、より具体的に説明
する。以下に示す実施例は本発明の最良の実施の形態の
一例ではあるものの、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0123】(実施例1)3つ口フラスコに、エチレン
ジアミン6.0g(0.1モル)及びアセトン30ml
を入れ、攪拌及び氷冷しながらマレイン酸ジメチル1
7.3g(0.12モル)を滴下した。滴下後、液温を
40℃とし、3時間攪拌して反応させた。その後、エバ
ポレーターでアセトンを溜去し、3−カルボメトキシメ
チルピペラジン−2−オンを得た。得られた3−カルボ
メトキシメチルピペラジン−2−オンを30mlの水に
溶解し、水酸化リチウムでpH12〜13に調整し、40
℃で10時間攪拌しながら、加水分解を行った。加水分
解後、10%塩酸を添加して、pH3に調整し、50ml
のメタノールを添加した。析出した白色結晶をさらにメ
タノールで洗浄し、真空乾燥を行い、3−カルボキシメ
チルピペラジン−2−オン(ラセミ体)を14.4g得
た(式(10):収率 91%)。得られた3−カルボ
キシメチルピペラジン−2−オンの元素分析、IR及び
NMR測定結果を以下に示す。
【0124】
【化28】
【0125】質量分析(FABイオン化法):M/Z:
159(M+H+) 元素分析:C 45.43%、H 6.41%、N 1
7.66% (理論値C 45.57%、H 6.37%、N 1
7.71%)1 H−NMR(溶媒:D2O、δppm):2.78(d
d,H,a)、3.01(dd,H,b)、3.34〜
3.74(m,2H×2,c、d)、4.16(t,
H,e) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤):3450cm-1
(νN−H、ラクタム−NH−)、2950,2900
cm-1(νCH2)、1686cm-1(νC=O、−C
OOH)、1636cm-1(νC=O、ラクタム −C
ONH−) (実施例2)3つ口フラスコに、1,2−プロパンジア
ミン7.4g(0.1モル)及びテトラヒドロフラン3
0mlを入れ、攪拌及び氷冷しながらマレイン酸ジメチ
ル17.3g(0.12モル)を滴下した。滴下後、液
温を40℃とし、3時間攪拌して反応させた。その後、
エバポレーターでテトラヒドロフランを溜去し、6−メ
チル−3−(メトキシカルボニル)メチルピペラジン−
2−オンを得た。得られた6−メチル−3−(メトキシ
カルボニル)メチルピペラジン−2−オンを30mlの
水に溶解し、水酸化リチウムでpH12〜13に調整した
後、35℃で12時間攪拌しながら加水分解を行った。
加水分解後、10%塩酸を添加して、pH3に調整し、5
0mlのメタノールを添加した。析出した白色結晶をさ
らにメタノールで洗浄し、真空乾燥を行い、6−メチル
−3−カルボキシメチルピペラジン−2−オン(ラセミ
体)を15.5g得た(式(11):収率 90%)。
得られた6−メチル−3−カルボキシメチルピペラジン
−2−オンの元素分析、IR及びNMR測定結果を以下
に示す。
【0126】
【化29】
【0127】質量分析(FABイオン化法)M/Z:1
73(M+H+) 元素分析:C 48.71%、H 7.11%、N 1
6.19% (理論値C 48.83%、H 7.02%、N 1
6.27%)1 H−NMR(溶媒:D2O、δppm):1.27
(d,3H,a)、2.77(dd,H,b)、3.0
3(dd,H,c)、3.11(dd,H,d)、3.
64(dd,H,e)、3.94〜4.05(m,H,
f)、4.09(t,H,g) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤):3400cm-1
(νN−H、ラクタム−NH−)、2950,2900
cm-1(νCH2、νCH3)、1687cm-1(νC=
O、−COOH)、1625cm-1(νC=O、ラクタ
ム −CONH−) (実施例3)3つ口フラスコに(S)−エチレンジアミ
ン−N−コハク酸1.8g(0.01モル)及び水10
00mlを入れ、トリエチルアミン0.2g(0.00
2モル)を添加し、70℃で6時間攪拌しながら反応さ
せた。反応液に10%塩酸を添加して、pH3に調整し、
1000mlのメタノールを添加した。析出した白色結
晶をさらにメタノールで洗浄し、真空乾燥を行い、
(S)−3−カルボキシメチルピペラジン−2−オンを
1.1g得た(式(12):収率 70%)。得られた
(S)−3−カルボキシメチルピペラジン−2−オンの
元素分析、IR及びNMR測定結果を以下に示す。
【0128】
【化30】
【0129】質量分析(FABイオン化法)M/Z:1
59(M+H+) 元素分析:C 45.38%、H 6.46%、N 1
7.63% (理論値C 45.57%、H 6.37%、N 1
7.71%)1 H−NMR(溶媒:D2O、δppm):2.82(d
d,H,a)、3.03(dd,H,b)、3.40〜
3.76(m,2H×2,c、d)、4.18(t,
H,e) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤):3400cm-1
(νN−H、ラクタム−NH−)、2900,2830
cm-1(νCH2)、1654cm-1(νC=O、−C
OOH)、1616cm-1(νC=O、ラクタム −C
ONH−) 光学純度:99%ee(HPLC:光学分割カラム) 比旋光度:[α]D 25=0.59(10%水溶液) (実施例4)3つ口フラスコに、(S)−エチレンジア
ミン−N−コハク酸二ナトリウム塩2.2g(0.01
モル)及び水1000mlを入れ、(L)−リンゴ酸
0.13g(0.001モル)添加し、70℃で6時間
攪拌しながら反応させた。反応液に10%塩酸を加え
て、pH3に調整し、1000mlのメタノールを添加し
た。析出した白色結晶をさらにメタノールで洗浄し、真
空乾燥を行い、(S)−3−カルボキシメチルピペラジ
ン−2−オンを1.3g得た(収率 82%)。
【0130】(実施例5)下記の式(13)で表される
1,2−プロパンジアミン−N−コハク酸(ラセミ体:
N−(2−アミノプロピル)−DL−アスパラギン酸)を
1.9g(0.01モル)を水300mlに溶解した。
この溶液を、50℃で陽イオン交換樹脂(アンバーライ
トIR−120B/オルガノ社製:酸型)を充填したカ
ラム(内径3cm×長さ20cmで充填)に毎分2ml
の流速で通過させて、環化反応させた。陽イオン交換樹
脂を通過した液の水分をエバポレータで蒸発させ、6−
メチル−3−カルボメトキシメチルピペラジン−2−オ
ンを1.3g得た(収率 76%)。
【0131】
【化31】
【0132】(実施例6)実施例1で得られた3−カル
ボキシメチルピペラジン−2−オン(ラセミ体)3.2
g(0.02モル)を水20mlに溶解させた液に、10
%水酸化ナトリウムでpHを8〜10に調整しながら、
塩化ラウロイル5.3g(0.024モル)を20ml
のアセトンに溶解させたものを添加した。塩化ラウロイ
ル添加後、10%水酸化ナトリウムでpHを8〜10に
調整しながら、40℃で12時間反応させた。反応後、
エバポレーターでアセトンを溜去し、水を10ml加
え、5%塩酸を滴下してpHを2に調整して目的物を析
出させ、ろ過した。白色の析出物を水で洗浄し、4−ラ
ウロイル−3−カルボキシメチルピペラジン−2−オン
を5.5g得た(式(14):収率 81%)。得られ
た4−ラウロイル−3−カルボキシメチルピペラジン−
2−オンは、以下に示す元素分析、IR及び1H−NM
R測定結果から、目的とする4位の窒素上にラウロイル
が置換していることが確認される。
【0133】
【化32】
【0134】質量分析(FABイオン化法)M/Z:3
41(M+H+) 元素分析:C 63.27%、H 9.59%、N
8.20% (理論値C 63.50%、H 9.47%、N 8.
23%)1 H−NMR(溶媒:DMSO−d6、δppm):0.
84(t,3H,a)、1.23(s,2H×8,
b)、1.46(bd,2H,c)、2.31〜2.3
6(m,2H,d)、2.63〜3.30(m,H,
e)、2.56〜2.70(m,H,f)、3.03〜
3.44(m,2H×2,g,h)、4.35〜4.7
9(m,H,i) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤):2923,28
50cm-1(νCH2、νCH3)、1730cm-1(ν
C=O、−COOH)、1663cm-1(νC=O、ア
シル基 −CONH−)、1631cm-1(νC=O、
ラクタム −CONH−) (実施例7〜10)表1に示すエチレンジアミン類とフ
マル酸ジエステルまたはマレイン酸ジエステルを原料に
用いて、表1に示す最終生成物を、実施例1ならびに実
施例2に記載する方法に準じて、それぞれ記載される反
応条件で合成、取得した。取得される最終生成物の2−
ピペラジノン誘導体は、いずれもその3位上の置換基
は、エステル化されてなく、親水性を有するカルボキシ
ル基が置換するメチル基となっている。
【0135】(実施例11〜15)表2に示すN−置換
α−アミノ酸類を原料に用いて、表2に示す最終生成物
を、実施例3ならびに実施例4に記載する方法に準じ
て、それぞれ記載される反応条件で合成、取得した。取
得される最終生成物の2−ピペラジノン誘導体は、その
2−ピペラジノン環上3位に不斉炭素原子を含むが、そ
の絶対配置は、原料のN−置換α−アミノ酸類のα位の
絶対配置を保持するものであった。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【発明の効果】本発明の2−ピペラジノン誘導体は、2
−ピペラジノン環の3位に、ヒドロキシル基(−O
H)、カルボキシル基(−COOH)の何れかが置換し
たアルキル基を置換基として有し、1位の窒素原子上に
は置換基を持たない新規な構造の2−ピペラジノン誘導
体であり、この1位の窒素原子上には置換基を持たない
こと、および、3位の置換基が有する高い親水性を示す
官能基の特徴を生かし、医薬、農薬、キレート剤、高分
子化合物等の原料として有用である。加えて、本発明の
2−ピペラジノン誘導体の製造方法を用いると、その2
−ピペラジノン環の形成などの反応では、水を溶媒に用
いても、何ら支障を生じることもなく、安全性の高い条
件で、また、効率的に目的の2−ピペラジノン誘導体を
製造できる。加えて、原料に、予め所望の絶対配置を有
する光学異性体を用いると、得られる2−ピペラジノン
誘導体も、その原料自体の絶対配置を保持するものとな
り、上記の用途に望まれる所望の2−ピペラジノン誘導
体光学異性体を高い光学純度で調製できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野上 弘之 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 三 菱レイヨン株式会社化成品開発研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC52 BA02 BA06 BA29 BA50 BA51 BC10 BC16 BC34 4H039 CA42 CF10 CG10

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式中、R1及びR2は同一又は異なり、それぞれ、水素
    原子、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−
    COOH)、又はこれらヒドロキシル基、カルボキシル
    基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖
    の炭素数1〜6のアルキル基を示し、R3は、水素原
    子、または、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ
    基(−SO3H)のいずれかの基が置換していてもよい
    直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、あるいは
    直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基またはア
    ルケニル基を有するアシル基を示し、R4は、ヒドロキ
    シル基、カルボキシル基のいずれかの基が置換している
    直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
    で表される2−ピペラジノン誘導体あるいはその塩。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2): 【化2】 (式中、R5及びR6は同一又は異なり、それぞれ、水素
    原子、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−
    COOH)、又はこれらヒドロキシル基、カルボキシル
    基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖
    の炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるジア
    ミン化合物またはその塩に、下記一般式(3): 【化3】 (式中、R7、R8は同一又は異なり、それぞれ、直鎖又
    は分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で表
    されるフマル酸ジエステル及び/または下記一般式
    (4): 【化4】 (式中、R9、R10は同一又は異なり、それぞれ直鎖又
    は分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で表
    されるマレイン酸ジエステルを付加させて、第一の中間
    生成物として、一般式(2)のジアミン化合物に由来す
    る基H2N−CR5−CR6−NH−またはH2N−CR6
    −CR5−NH−が2位に置換するブタン二酸ジエステ
    ルを形成し、 この第一の中間生成物中の1位のエステル化カルボキシ
    ル基と前記2位上の置換基中のアミノ基との間で縮合環
    化させ、2−ピペラジノン環を構成させ、第二の中間生
    成物として、1位と4位の窒素原子上には置換基を有さ
    ず、一般式(3)のフマル酸ジエステルあるいは一般式
    (4)のマレイン酸ジエステルに由来する(アルコキシ
    カルボニル)メチル基が3位に置換する2−ピペラジノ
    ン誘導体を形成し、 その後、加水分解により、この第二の中間生成物中の2
    位の(アルコキシカルボニル)メチル基をカルボキシメ
    チル基に変換して、第三の中間生成物として、1位と4
    位の窒素原子上には置換基を有さず、カルボキシメチル
    基が3位に置換する下記一般式(IIa): 【化5】 または一般式(IIb): 【化6】 (式中、R5及びR6は、前記一般式(2)中のR5及び
    6と同一の基を示す。)で表される2−ピペラジノン
    誘導体を形成し、 更に、前記第三の中間生成物に対して、必要に応じて4
    位の窒素原子上に置換基を付加し、下記一般式(I
    a): 【化7】 または一般式(Ib): 【化8】 (式中、R5及びR6は、前記一般式(2)中のR5及び
    6と同一の基を示し、R 21は、水素原子、または、ヒ
    ドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基のいずれかの
    基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6
    のアルキル基、あるいは直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜2
    0のアルキル基またはアルケニル基を有するアシル基を
    示す。)で表される2−ピペラジノン誘導体とすること
    を特徴とする2−ピペラジノン誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記一般式(5): 【化9】 (式中、R11及びR12は同一又は異なり、それぞれ、水
    素原子、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基
    (−COOH)、これらヒドロキシル基、カルボキシル
    基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖
    の炭素数1〜6のアルキル基を示し、R13は、水素原
    子、または、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ
    基のいずれかの基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖
    の炭素数1〜6のアルキル基、あるいは直鎖又は分岐鎖
    の炭素数1〜20のアルキル基またはアルケニル基を有
    するアシル基を示し、R14は、ヒドロキシル基(−O
    H)、カルボキシル基(−COOH)のいずれかの基が
    置換している直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル
    基を示す。)で表されるN−置換α−アミノ酸またはそ
    の塩を、水または有機溶媒中にて処理し、α位のアミノ
    基上の置換基中のアミノ基(−NH2)と1位のカルボ
    キシル基(−COOH)との間で縮合環化反応させ、下
    記一般式(III): 【化10】 (式中、R11、R12、R13、R14は、それぞれ、前記一
    般式(5)中のR11、R 12、R13、R14と同一の基を示
    す。)で表される2−ピペラジノン誘導体とすることを
    特徴とする2−ピペラジノン誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)で表される化合物またはそ
    の塩において、R1が水素原子であることを特徴とする
    請求項1に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 一般式(1)で表される化合物またはそ
    の塩において、R2が水素原子であることを特徴とする
    請求項1又は4に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 一般式(1)で表される化合物またはそ
    の塩において、R3が水素原子であることを特徴とする
    請求項1、4または5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 一般式(1)で表される化合物またはそ
    の塩において、R4がカルボキシメチル基であることを
    特徴とする請求項1、4−6のいずれか1項に記載の化
    合物。
  8. 【請求項8】 一般式(1)で表される化合物またはそ
    の塩において、R4がヒドロキシメチル基であることを
    特徴とする請求項1、4−6のいずれか1項に記載の化
    合物。
  9. 【請求項9】 一般式(1)で表される化合物またはそ
    の塩において、R1が水素原子かつR2がヒドロキシル基
    (−OH)、またはR1がメチル基かつR2が水素原子で
    あることを特徴とする請求項1、4−8のいずれか1項
    に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 一般式(1)で表される化合物または
    その塩において、含まれる不斉炭素がすべて(S)−配
    置であることを特徴とする請求項1、4−9のいずれか
    1項に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 一般式(2)で表されるジアミン化合
    物またはその塩において、R5が水素原子であることを
    特徴とする請求項2に記載の方法。
  12. 【請求項12】 一般式(2)で表されるジアミン化合
    物またはその塩において、R6が水素原子であることを
    特徴とする請求項2又は11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 R6がヒドロキシル基(−OH)また
    はメチル基であることを特徴とする請求項2または11
    のいずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 一般式(2)で表されるジアミン化合
    物またはその塩において、含まれる不斉炭素がすべて
    (S)−配置であることを特徴とする請求項2、11−
    13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、R11が水素原子である
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  16. 【請求項16】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、R12が水素原子である
    ことを特徴とする請求項3又は15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、R13が水素原子である
    ことを特徴とする請求項3、15または16のいずれか
    1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、R14がカルボキシメチ
    ル基であることを特徴とする請求項3、15−17のい
    ずれか1項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、R14がヒドロキシメチ
    ル基であることを特徴とする請求項3、15−17のい
    ずれか1項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、R11が水素原子かつR
    12がヒドロキシル基(−OH)、またはR11がメチル基
    かつR12が水素原子であることを特徴とする請求項3、
    15−19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 【請求項21】 一般式(5)で表されるN−置換α−
    アミノ酸またはその塩において、含まれる不斉炭素がす
    べて(S)−配置であることを特徴とする請求項3、1
    5−20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 【請求項22】 縮合環化による2−ピペラジノン環の
    構成後、エステルの加水分解を、pH8〜13.5の範囲
    で行うことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  23. 【請求項23】 α−ヒドロキシカルボン酸の存在下、
    縮合環化反応を行うことを特徴とする請求項3に記載の
    方法。
  24. 【請求項24】 縮合環化反応を、分離精製用材料を充
    填又は備え付けた容器及び/またはカラム中で行うこと
    を特徴とする請求項3に記載の方法。
  25. 【請求項25】 分離精製用材料が、イオン交換樹脂、
    シリカゲル、アルミナ、フロリジル、セルロース、珪藻
    土、イオン交換膜からなる群のうちから選択される少な
    くとも一つであることを特徴とする請求項24に記載の
    方法。
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