JP2002086062A - 自動車車体の複層塗膜形成方法及び自動車車体 - Google Patents

自動車車体の複層塗膜形成方法及び自動車車体

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JP2002086062A
JP2002086062A JP2000277731A JP2000277731A JP2002086062A JP 2002086062 A JP2002086062 A JP 2002086062A JP 2000277731 A JP2000277731 A JP 2000277731A JP 2000277731 A JP2000277731 A JP 2000277731A JP 2002086062 A JP2002086062 A JP 2002086062A
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coating film
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JP2000277731A
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English (en)
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Teruzo Azumai
輝三 東井
Hisanori Tanabe
久記 田辺
Nobuhisa Sudou
伸久 須藤
Hiroshi Kubota
寛 久保田
Takakazu Yamane
貴和 山根
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Mazda Motor Corp
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Nippon Paint Co Ltd
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  • Vehicle Cleaning, Maintenance, Repair, Refitting, And Outriggers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐候性及び洗車フリーの優れた耐
汚染性を有し、かつ、ノンサンドリコート(NSR)に
よるリコート付着性及び耐水性に優れた自動車車体の複
層塗膜形成方法を提供する。 【解決手段】 自動車外板上に、ベース塗料〔1〕及び
クリヤー塗料〔2〕を塗装し、焼き付けた後、更に透明
プライマー〔3〕を塗装し、続いてベース塗料〔4〕及
びクリヤー塗料〔5〕を塗装し、焼き付けることからな
る自動車車体の複層塗膜形成方法であって、上記クリヤ
ー塗料〔2〕及び上記クリヤー塗料〔5〕は、酸/エポ
キシ硬化型クリヤー塗料(A)、又は、メラミン硬化型
クリヤー塗料(B)であり、上記クリヤー塗料〔2〕及
び上記クリヤー塗料〔5〕は、加水分解可能なシリケー
ト化合物(I)、及び/又は、加水分解可能なシリケー
ト化合物をグラフトしてなる樹脂(II)を含むものであ
って、上記透明プライマー〔3〕は、アルコキシシリル
基及びエポキシ基を含有する樹脂(III)を含むもので
あることを特徴とする自動車車体の複層塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性及び洗車フ
リーの優れた耐汚染性を有し、かつ、ノンサンドリコー
ト(NSR)によるリコート付着性及び耐水性に優れた
自動車車体のリコート塗装方法及び自動車車体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車塗装ラインにおいては、一般的
に、自動車外板に電着塗膜が形成された後、中塗り塗料
が塗装され焼き付け硬化されて、次いで、ベース塗料及
びクリヤー塗料をウエットオンウエットで塗装され、こ
れらの塗膜を一度に焼き付け硬化させる工程によって仕
上げられる。
【0003】ゴミ等の付着により塗膜外観に異常が発生
した場合、その部分をサンドペーパー等で研磨して部分
的に補修するか、再度、自動車外板のブロック単位でベ
ース塗料及びクリヤー塗料を塗りなおすことが行われて
いる。また、いわゆるツートーンと呼ばれる自動車外板
の一部分のみの色調を変える場合においても、色調を変
える部分に対して、ベース塗料及び上塗り用クリヤー塗
料を再塗装することが行われている。
【0004】このような場合、塗りなおす前に塗装され
ている(1コート目の)クリヤー塗膜を研磨して新たに
(2コート目の)ベース塗料及び上塗り用クリヤー塗料
を塗りなおすときと、塗装されている(1コート目の)
クリヤー塗膜を研磨せずに新たに(2コート目の)ベー
ス塗料及び上塗り用クリヤー塗料を塗りなおすときとを
比べた場合では、1コート目のクリヤー塗膜と2コート
目のベース塗膜との付着性は、1コート目のクリヤー塗
膜を研磨しない方が一般に劣ることが知られている。
【0005】このように、1コート目のクリヤー塗膜を
研磨しない方が2コート目のベース塗膜との付着性が劣
ることになるため、通常は、1コート目のクリヤー塗膜
を研磨して2コート目のベース塗料及び上塗り用クリヤ
ー塗料を塗りなおすことが行われている。
【0006】1コート目のクリヤー塗膜を研磨しないで
2コート目のベース塗料及び上塗り用クリヤー塗料を塗
りなおしたときに、2コート目のベース塗膜の付着性が
劣らないものであれば、1コート目のクリヤー塗膜を研
磨する手間が省け、自動車塗装ラインにおける補修又は
再塗装にかかるコストが低くなることから、1コート目
のクリヤー塗膜を研磨しないで2コート目のベース塗料
及び上塗り用クリヤー塗料を塗りなおす(本明細書にお
いて、「ノンサンドリコート(NSR)」ともいう)と
きの2コート目のベース塗膜の付着性(本明細書におい
て、「NSR性」ともいう)を向上することが望まれて
いた。
【0007】ところで、自動車の上塗り用クリヤー塗料
は、自動車車体塗装用塗膜の最外層を構成するものであ
ることから、塗料としての最低限の性能である貯蔵安定
性のほか、美粧性、耐候性等を基本性能として有するこ
とが要求されている。近年、更に、優れた外観を与える
美粧性の観点から、汚れが付着しにくく、繰り返し使用
においても不快感を与えることがないという美粧性を保
持することが望まれている。
【0008】通常、自動車塗膜最外層は、使用者によっ
て、水洗により汚れを除去し、必要により更にワックス
をかけて表面の汚れを落とすことが行われている。高級
車の場合にはツヤ出しのためのワックスかけが美粧性の
観点から非常に重要となるが、実用車、例えば、商用車
の場合には、繰り返し使用においても不快感を与えるこ
とがないことが美粧性の観点から重要となる。
【0009】そこで、水洗により汚れを除去することを
特にしなくても表面の汚れが付着しない機能がより重要
性を帯びてくることとなる。つまり、表面に付着した汚
染物質が雨水等により洗い流され、除去作業のいらない
洗車フリーとするに必要な親水性を有するクリヤー塗膜
を提供すれば、使用者は洗車にかける手間を要すること
がなくなるので、そうした親水性を有する美粧性に優れ
た自動車上塗り用クリヤー塗料が望まれていた。
【0010】国際公開第94/06870号公報(19
94)には、オルガノシリケート及び/又はその縮合物
を配合してなる水酸基含有有機基体樹脂、及び、アミノ
樹脂架橋剤若しくは(ブロック化)ポリイソシアネート
化合物架橋剤を反応硬化型有機樹脂として含有する上塗
り塗料組成物が開示されている。このオルガノシリケー
トの好ましい具体例としては、テトラヒドロキシシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が
挙げられている。
【0011】特開平7−331165号公報には、酸/
エポキシ硬化型塗料に、一分子中に少なくとも1個のシ
ラノール基及び/又は珪素原子に直接結合した加水分解
性基を有する珪素化合物を含有する硬化性塗料組成物で
形成される上塗り塗膜形成方法が開示されている。
【0012】特開平9−220516号公報には、ベー
スコート用塗料として、第3級アミノ基及び/又は酸基
を有する水性樹脂と、一分子中にエポキシ基と加水分解
性シリル基とを有する化合物とを含有する水性塗料を塗
装することよりなる自動車トップコート複層塗膜の形成
方法が開示されている。
【0013】特開平10−67844号公報には、ポリ
オール樹脂と、ブロックポリイソシアネート硬化剤又は
アミノ樹脂と、アルコキシシラン化合物の部分加水分解
縮合物をシランカップリング剤で処理したシランカップ
リング剤処理シリケート縮合体とを含む熱硬化性樹脂組
成物が開示されている。これらの技術は、比較的低分子
量のシリケート系化合物を含有することにより、上記し
た耐汚染性に関する問題点を解消しようとするものであ
る。
【0014】特開平10−140077号公報には、酸
/エポキシ硬化型塗料に、テトラメチルシリケート及び
/又はテトラエチルシリケートの縮合度2〜10の低縮
合物(シリケート低縮合物)を配合した自動車上塗り塗
料が開示されている。この技術も、上記した耐汚染性に
関する問題点を解消しようとするものである。
【0015】この技術で用いられているシリケート低縮
合物は、テトラメチルシリケート及び/又はテトラエチ
ルシリケートの低縮合物を用いることにより、アルコキ
シル基の炭素数を抑えて水との反応性を保たせる工夫を
している。そして、この塗料組成物による塗膜は、塗膜
表面近傍に多く存在するシリケート低縮合物のメトキシ
基又はエトキシ基が、曝露することや酸で処理すること
により水と反応して水酸基となり、当該水酸基に起因す
る高い親水性を示し、耐汚染性を発揮することを基本原
理とするものである。
【0016】そこで、上述したノンサンドリコート(N
SR)によって自動車塗装ラインにおける補修又は再塗
装が行われた場合でも、自動車車体に耐汚染性を発揮さ
せることが必要であるが、上塗り用クリヤー塗料とし
て、上述したようなオルガノシリケート及び/又はその
縮合物を配合した塗料を使用した場合、水浸漬時には、
経時的に、上塗り用クリヤー塗料中に含まれるオルガノ
シリケート及び/又はその縮合物のシリケート部分が親
水化して耐汚染性を発揮させるが、一方では、2コート
目のベース塗膜との付着性に劣ることとなることから、
耐水性が著しく悪く、場合によっては塗膜にフクレやブ
リスターが発生するという問題点があった。
【0017】これらを総合的に判断すると、耐汚染性に
優れるとともに、NSRにおいて、1コート目の塗膜と
の付着性が経時によっても優れ、耐水性が優れる自動車
車体の複層塗膜形成方法が得られれば、更に品質の高
い、補修又は再塗装された自動車車体を得ることができ
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑み、耐候性及び洗車フリーの優れた耐汚染性を有
し、かつ、ノンサンドリコート(NSR)によるリコー
ト付着性及び耐水性に優れた自動車車体の複層塗膜形成
方法を提供し、それを用いた自動車車体をも提供するこ
とを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐汚染性
を有し、NSRによる付着性及び耐水性に優れた塗膜が
形成される塗膜形成方法を提供することを目的として、
ベース塗料にシリケートグラフト重合体を含み、クリヤ
ー塗料にアルコール変成シリケート化合物又はシリケー
トグラフト重合体を含む塗膜形成方法について既に特許
出願している(特願平10−370882号)。しかし
ながら、この方法によってリコート塗装を行った場合、
シリケートグラフト重合体を含むベース塗料(2コート
目に使用)と含まないベース塗料(1コート目に使用)
とを各ベース塗色ごとに作製しておくことが必要である
ため、作業が煩雑で、保存や運搬等において不都合であ
るという問題点があった。
【0020】本発明においては、1コート目のベース塗
料〔1〕及びクリヤー塗料〔2〕を塗装、焼き付けた
後、更に、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有す
る樹脂(I)を含む透明プライマー〔3〕を塗装するこ
とによって、続いてベース塗料〔4〕及びクリヤー塗料
〔5〕を塗装、焼き付けた場合であっても、耐候性及び
洗車フリーの優れた耐汚染性を有し、かつ、ノンサンド
リコート(NSR)によるリコート付着性及び耐水性に
優れた被塗物が得られることを見いだし、本発明を完成
した。また、上記透明プライマー〔3〕は、各ベース塗
色ごとに作製しておく必要がないため、実用上優れてい
る。
【0021】即ち、本発明は、自動車外板上に、ベース
塗料〔1〕及びクリヤー塗料〔2〕を塗装し、焼き付け
た後、更に透明プライマー〔3〕を塗装し、続いてベー
ス塗料〔4〕及びクリヤー塗料〔5〕を塗装し、焼き付
けることからなる自動車車体の複層塗膜形成方法であっ
て、上記クリヤー塗料〔2〕及び上記クリヤー塗料
〔5〕は、酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料(A)、又
は、メラミン硬化型クリヤー塗料(B)であり、上記ク
リヤー塗料〔2〕及び上記クリヤー塗料〔5〕は、加水
分解可能なシリケート化合物(i)、及び/又は、加水
分解可能なシリケート化合物をグラフトしてなる樹脂
(ii)を含むものであって、上記透明プライマー〔3〕
は、アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂
(I)を含むものであることを特徴とする自動車車体の
複層塗膜形成方法である。
【0022】本発明はまた、上記の自動車車体の複層塗
膜形成方法により形成されてなる複層塗膜を有すること
を特徴とする自動車車体でもある。以下に本発明を詳述
する。
【0023】本発明の自動車車体の複層塗膜形成方法
は、自動車外板上に、ベース塗料〔1〕及びクリヤー塗
料〔2〕を塗装し、焼き付けた後、更に透明プライマー
〔3〕を塗装し、続いてベース塗料〔4〕及びクリヤー
塗料〔5〕を塗装し、焼き付けることからなるものであ
る。
【0024】透明プライマー〔3〕 本発明において、上記透明プライマー〔3〕は、アルコ
キシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(I)を含
むものである。クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
〔5〕として加水分解可能なシリケート化合物(i)及
び/又は加水分解可能なシリケート化合物をグラフトし
てなる樹脂(ii)を含むものを使用する場合において、
透明プライマー〔3〕としてアルコキシシリル基及びエ
ポキシ基をともに含有する樹脂(I)を含むものを使用
することによって、リコート付着性及び耐水性が格段に
向上し、耐候性及び洗車フリーの優れた耐汚染性を発揮
することができる。
【0025】上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を
含有する樹脂(I)は、アルコキシシリル基含有ラジカ
ル重合性単量体(I−a)及びエポキシ基含有ラジカル
重合性単量体(I−b)を単量体成分として用いて共重
合することによって得ることができる。ただし、上記ア
ルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(I)
として、アルコキシシリル基を含有しエポキシ基を含有
しない樹脂とアルコキシシリル基を含有せずにエポキシ
基を含有する樹脂とが混合したものを使用することもで
きるし、これらの樹脂とアルコキシシリル基及びエポキ
シ基をともに含有する樹脂とが更に混合しているものを
使用することも可能である。本発明においては、上記ア
ルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(I)
全体として、アルコキシシリル基及びエポキシ基が含有
されていればよいことを意味するものである。上記アル
コキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂(I)
は、アクリル共重合体であることが好ましいことから、
上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性単量体(I
−a)としては、下記一般式(1):
【0026】
【化1】
【0027】(式中、R1 は水素又はメチル基を表し、
2 は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Yは同一若し
くは異なって、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアル
コキシル基、又は、炭素数1〜8のアルキル基、アリー
ル基若しくはアラルキル基を表す。Yの少なくとも1つ
は、炭素数1〜4のアルコキシル基である。)で表され
るものを使用することが好ましい。上記R2 の炭素数1
〜6の炭化水素基としては、直鎖又は分枝状の2価のア
ルキル基、アルケニル基、アリール基等を挙げることが
できる。上記Yで表されるアルコキシ、アルキル、アラ
ルキル基としては直鎖又は分枝状であってよい。
【0028】上記一般式(1)で表されるアルコキシシ
リル基含有ラジカル重合性単量体(I−a)の具体例と
しては、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−
(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジエトキ
シシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジ
プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
ジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルフェニルメチルメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルフェニルメチルエトキシシラ
ン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0029】上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体
(I−b)としては特に限定されず、例えば、(メタ)
アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキサ
ニルメチルメタクリレート等のエポキシ基含有アクリル
単量体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0030】上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合
性単量体(I−a)及び上記エポキシ基含有ラジカル重
合性単量体(I−b)以外の単量体成分としては、特に
限定されないが、水酸基含有ラジカル重合性単量体(I
−c)を用いることが好ましい。上記水酸基含有ラジカ
ル重合性単量体(I−c)としては特に限定されず、例
えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒド
ロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート類;プラクセルFM−1(商品
名、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリ
カプロラクトンとの付加物、ダイセル化学工業社製);
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0031】更に、その他の単量体(I−d)としては
特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン等のスチレン類やビニルトルエン等の芳香族ビニル系
単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸プロピル、アクリル酸−n、i及びt−ブチル、ア
クリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等
のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−
n、i及びt−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル
類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のア
クリルアミド系単量体類;ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等のアミノ基含有単量体類;アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0032】上記アルコキシシリル基含有ラジカル重合
性単量体(I−a)は、単量体成分中、5〜50質量%
含むことが好ましい。5質量%未満では、付着性及び耐
水性が低下する。50質量%を超えると、親水性が大き
くなりすぎ、貯蔵安定性に劣る。
【0033】上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体
(I−b)としては、単量体成分中、10〜50質量%
であることが好ましい。10質量%未満では、付着性が
低下する。50質量%を超えると、塗膜物性に劣る。そ
の他の単量体のうち水酸基含有ラジカル重合性単量体
(I−c)は、単量体成分中、5〜40質量%含むこと
が好ましい。5質量%未満では、硬化性に劣り、40質
量%以上では耐水性に劣る場合がある。
【0034】上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を
含有する樹脂(I)は、上述した単量体成分をラジカル
重合開始剤により共重合して得ることができる。アルコ
キシシリル基及びエポキシ基をそれぞれ別々に含有する
樹脂を使用する場合には、上記アルコキシシリル基含有
ラジカル重合性単量体(I−a)並びに所望により水酸
基含有ラジカル重合性単量体(I−c)及びその他の単
量体(I−d)を共重合させたもの、並びに、上記エポ
キシ基含有ラジカル重合性単量体(I−b)並びに所望
により水酸基含有ラジカル重合性単量体(I−c)及び
その他の単量体(I−d)を共重合させたものを混合し
て使用することができる。上記共重合方法としては特に
限定されず、通常のラジカル重合等の溶液重合等により
行うことができ、例えば、重合温度100〜140℃、
重合時間3〜8時間で行うことができる。
【0035】上記ラジカル重合開始剤としては特に限定
されず、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチ
レート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。上記ラジカル重合開始剤
は、上述した単量体の全量に対して、3〜15質量%使
用するのが好ましい。上記共重合には、添加剤として連
鎖移動剤等を添加してもよい。
【0036】上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を
含有する樹脂(I)は、数平均分子量(Mn)が100
0〜8000であるものが好ましい。1000未満では
塗膜性能、耐候性が低下し、8000を超えると作業性
に劣る。また、分子中にアルコキシシリル基を1〜15
個有することが好ましい。1個未満では、付着性及び耐
水性が低下する。15個を超えると、親水性が大きくな
り、貯蔵安定性に劣る。エポキシ基は分子中に2〜10
個有することが好ましく、エポキシ当量は100〜80
0が好ましい。上記エポキシ当量が100未満である
と、硬化塗膜が硬くなりすぎ、耐候性が悪くなり、80
0を超えると、塗料の硬化性が充分でなくなる。
【0037】更に、水酸基を1〜12個有することが好
ましく、水酸基価としては5〜200mgKOH/gが
好ましい。上記水酸基価が5mgKOH/g未満である
と、密着性が劣り、200mgKOH/gを超えると、
硬化塗膜の耐水性が充分でなくなる。特に好ましくは、
分子中に水酸基を4〜10個有し、エポキシ基を3〜8
個有し、また、水酸基価が10〜150mgKOH/g
であり、エポキシ当量が200〜600である。なお、
本明細書において、酸価及び水酸基価は、固形分換算の
値であり、数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチ
レン換算の数平均分子量である。
【0038】本発明においては、透明プライマー〔3〕
は、上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する
樹脂(I)を、透明プライマー〔3〕中の樹脂成分全量
に対して、3〜30質量%含有することが好ましい。3
質量%未満であると、NSRにおける付着性及び耐水性
に劣る。30質量%を超えると、貯蔵安定性に劣る。
【0039】本発明の透明プライマー〔3〕において、
上記アルコキシシリル基及びエポキシ基を含有する樹脂
(I)以外の成分としては特に限定されず、例えば、ア
ルコキシシリル基及びエポキシ基を含有しない通常の樹
脂成分等を挙げることができる。上記通常の樹脂成分と
しては、水酸基含有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂
とメラミン系硬化剤を組み合わせたものが挙げられる。
【0040】上記水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含
有アクリル単量体と他のエチレン性不飽和基含有単量体
とを通常の方法により共重合することにより得ることが
できる。上記水酸基含有アクリル単量体としては特に限
定されず、例えば、上述のものを挙げることができる。
【0041】上記他のエチレン性不飽和基含有単量体と
しては特に限定されず、例えば、上記その他の単量体
(I−d)として挙げたもののほか、グリシジル(メ
タ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体類等が挙げ
られる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0042】上記ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸
を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分とし
たアルコール成分とを通常の方法により重縮合すること
により得ることができる。
【0043】上記酸成分としては特に限定されず、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びこれら
の無水物;2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及び
これらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類及び
これらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラク
トン等のラクトン類;p−オキシエトキシ安息香酸等の
芳香族オキシモノカルボン酸類;トリメリット酸、トリ
メジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン
酸類;これらの対応するヒドロキシカルボン酸等が挙げ
られる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0044】上記アルコール成分としては特に限定され
ず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビ
スフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノ
ールSアルキレンオキシド付加物;1,2−プロパンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオ
ール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジ
オール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサン
ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオ
ール等の側鎖を有する脂肪族グリコール類;トリメチロ
ールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
3価以上の多価アルコール類等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】上記水酸基含有アクリル樹脂又は上記ポリ
エステル樹脂は、酸価が100mgKOH/g以下であ
り、水酸基価が5〜200mgKOH/gであり、数平
均分子量(Mn)が500〜30000であり、ガラス
転移温度(Tg)が−20℃〜60℃であることが好ま
しい。
【0046】酸価が100mgKOH/gを超えると、
上記水酸基含有アクリル樹脂及び上記ポリエステル樹脂
の粘度が高くなりすぎて取扱いが困難となり、高固形分
熱硬化性樹脂塗料になりにくい。水酸基価が5mgKO
H/g未満であると、塗料の硬化性が不足し、200m
gKOH/gを超えると、塗膜の耐水性が低下する。数
平均分子量(Mn)が500未満であると、塗膜の強度
が低下又は塗膜の耐水性が低下し、30000を超える
と、上記水酸基含有アクリル樹脂及び上記ポリエステル
樹脂の粘度が高くなりすぎて取扱いが困難となり、高固
形分熱硬化性樹脂塗料になりにくい。ガラス転移温度
(Tg)が−20℃未満であると、塗膜が軟弱なものに
なり、60℃を超えると、塗膜が不均一になりやすく、
塗膜が硬くなりすぎクラックの原因となりやすい。
【0047】好ましくは、酸価が2〜50mgKOH/
gであり、水酸基価が30〜200mgKOH/gであ
り、数平均分子量(Mn)が500〜25000であ
り、ガラス転移温度(Tg)が0℃〜40℃である。
【0048】上記メラミン系硬化剤は、アミノ樹脂及び
/又はブロックポリイソシアネート化合物である。上記
アミノ樹脂としては特に限定されず、例えば、メラミン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、
尿素樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メラ
ミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂が一般的である。
【0049】上記メラミン樹脂は、アルキルエーテル化
してアルキルエーテル化メラミン樹脂とすることがで
き、このうちメトキシ基及び/又はブトキシ基で置換さ
れたメラミン樹脂が好ましい。
【0050】上記メトキシ基及び/又はブトキシ基で置
換されたメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有
するものとしては、サイメル325、サイメル327、
サイメル370、メトキシ基とブトキシ基との混合タイ
プとしては、サイメル202、サイメル204、サイメ
ル232、サイメル235、サイメル236、サイメル
238、サイメル254、サイメル266、サイメル2
67(いずれも商品名、三井サイテック社製)、ブトキ
シ基を単独で有するものとしては、マイコート506
(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N6
0、ユーバン20SE(いずれも商品名、三井化学社
製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。また、上記ベンゾグアナミン
樹脂についても同様に置換されたものが使用できる。
【0051】上記ブロックポリイソシアネート化合物
は、ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロック
したものである。上記ポリイソシアネート化合物は、1
分子中に少なくと2個のイソシアネート基をもつ化合物
であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネ
ート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の
脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネー
ト(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類;ト
リレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソ
シアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DD
I)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化された
XDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12M
DI)等の水添ジイソシアネート類;これらのジイソシ
アネート化合物の2量体、3量体、更に高分子量のポリ
イソシアネート類;トリメチロールプロパン等の多価ア
ルコール若しくは水、又は、低分子量ポリエステル樹脂
との付加物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0052】上記ブロック剤としては特に限定されず、
例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シ
クロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベ
ンゾフェノンオキシム等のオキシム類;m−クレゾー
ル、キシレノール等のフェノール類;メタノール、エタ
ノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロ
ヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル
等のアルコール類;ε−カプロラクタム等のラクタム
類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケト
ン類;チオフェノール等のメルカプタン類;チオ尿素等
の尿素類;イミダゾール類;カルバミン酸類等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0053】上記ポリイソシアネート化合物を上記ブロ
ック剤でブロックする方法としては特に限定されず、例
えば、通常の方法により、フリーのイソシアネート基が
なくなるまで反応させる方法等が挙げられる。
【0054】上記ブロックポリイソシアネート化合物と
しては、市販品を用いることができ、例えば、デスモジ
ュールシリーズ(商品名、住友バイエルウレタン社
製)、バーノックDシリーズ(商品名、大日本インキ化
学工業社製)、タケネートBシリーズ(商品名、武田薬
品工業社製)、コロネート2500シリーズ(商品名、
日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。これらの
中でも、オキシム、ラクタム又はジケトンでブロックし
たものが好ましい。
【0055】本発明で用いられる透明プライマー〔3〕
は、上記水酸基含有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂
の水酸基価に対して、上記水酸基価の当量以上のイソシ
アナート基が含まれるように配合するのが好ましい。具
体的に、上記メラミン系硬化剤の配合は、上記水酸基含
有アクリル樹脂又はポリエステル樹脂と上記メラミン系
硬化剤との質量比を8/2〜5/5、好ましくは7/3
〜6/4とするのが好ましい。ポリイソシアネート化合
物の場合、上記水酸基価の当量の0.8〜1.5倍の範
囲の配合であれば差し支えない。上記水酸基価の当量の
0.8倍未満であると、塗料の硬化性が充分でなく、軟
弱な塗膜しか得られず、硬度のみならず塗膜の耐薬品性
及び耐汚染性も低下し、1.5倍を超えると、ポリイソ
シアネート化合物を配合しただけの効果が得られないば
かりか、塗膜の強度、硬度、加工性、耐薬品性等が低下
し、黄変性や耐候性も低下しやすい。好ましくは、1.
0〜1.2倍である。
【0056】上記メラミン系硬化剤には、一般的に、硬
化触媒が用いれらる。上記ブロックポリイソシアネート
をメラミン系硬化剤として用いる場合の硬化触媒として
は特に限定されず、例えば、ジブチルスズラウレート、
ジブチルスズオクテート、ジブチルスズジアセテート等
の有機スズ化合物類;アルミニウムトリス(アセチルア
セトナート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセト
ナート)、チタニウムビス(アセチルアセトナート)、
チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナー
ト)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチ
ルアセトナート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス
(アセチルアセトナート)、ジルコニウムビス(イソプ
ロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)等の金属キレ
ート化合物類等が挙げられる。これらは単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有
機スズ化合物類が一般的である。
【0057】上記アミノ樹脂をメラミン系硬化剤として
用いる場合には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン
酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸等の芳香族スルホン酸類;アミノトリ(メチレン
ホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジ
ホスホン酸等の有機ホスホン酸類;これらのアミン塩等
の硬化触媒を用いることができる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化触媒の
配合量は、全樹脂固形分に対し、0.01〜3.0質量
%が好ましい。
【0058】上記透明プライマー〔3〕には、架橋密度
を上げ、耐水性の向上を図るためのメラミン・ホルムア
ルデヒド樹脂、塗膜の耐候性向上のための紫外線吸収剤
や光安定剤等、レオロジーコントロールのためのマイク
ロジェルや表面調整剤、粘度調整等のための希釈剤等を
配合してもよい。上記希釈剤の配合量は、上記希釈剤を
添加した塗料の総質量に対し、最高60質量%、特に2
0〜55質量%が好ましい。
【0059】上記紫外線吸収剤、光安定剤としては特に
限定されず、例えば、チヌビン−900(チバガイギー
社製)、サノールLS−292(三共社製)等が挙げら
れる。上記希釈剤としては特に限定されず、例えば、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の
アルコール系溶剤;ハイドロカーボン、エステル等の溶
剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0060】上記透明プライマー〔3〕は、通常、顔料
を含まないものであるが、塗膜の透明感を損なわない程
度に、着色顔料を含めてもよい。本明細書中において、
透明プライマーとは、顔料等を全く含まず完全な無色透
明のプライマーを意味するものではなく、ベース塗料
〔1〕やベース塗料〔4〕等を塗装した塗膜の色調に影
響を及ぼさない程度であれば顔料を含むことができる趣
旨である。具体的には、顔料の配合量は、透明プライマ
ー〔3〕の全固形分中に、10質量%以下が好ましい。
【0061】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、酸化鉄、酸化鉛、カーボンブラック、コールダス
ト、二酸化チタン、タルク、硫酸化バリウム、カドミウ
ムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属
顔料(例えば、アルミニウムフレーク等)、有機顔料
(例えば、フタロシアニンブルー、シンカシヤレッド
等)、パールマイカ等が挙げられる。これらは単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】上記透明プライマー〔3〕の調製法として
は特に限定されず、上述した各配合物を攪拌機等により
攪拌することにより行うことができ、上記顔料を含む場
合は、ニーダー、ロール等を用いて混練することにより
行うこともできる。上記透明プライマー〔3〕の固形分
含有量は、25〜70質量%であり、好ましくは35〜
65質量%である。また、塗布時における固形分含有量
は、10〜65質量%であり、好ましくは15〜50質
量%である。
【0063】クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
〔5〕 本発明で用いられるクリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗
料〔5〕は、酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料(A)、
又は、メラミン硬化型クリヤー塗料(B)である。(A)酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料の場合 上記酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料(A)は、ハーフ
エステル酸基含有アクリル共重合体(II)及びエポキシ
基含有アクリル共重合体(III)を樹脂成分とするもの
であるのが好ましい。
【0064】上記ハーフエステル酸基含有アクリル共重
合体(II)は、酸無水物基含有ラジカル重合性単量体
(II−a)とその他のラジカル重合性単量体(II−b)
とにより共重合体を得た後、上記酸無水物基を低分子量
のアルコール系化合物によってハーフエステル化するこ
とにより得られるものである。
【0065】上記酸無水物基含有ラジカル重合性単量体
(II−a)としては、上記ハーフエステル酸基含有アク
リル共重合体(II)を得るための酸無水物基を含有する
ラジカル重合可能な単量体であれば特に限定されず、例
えば、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコ
ン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0066】上記その他のラジカル重合性単量体(II−
b)としては特に限定されず、例えば、上述した水酸基
含有ラジカル重合性単量体(I−c)やその他の単量体
(I−d)と同様のものが挙げられる。
【0067】上記酸無水物基含有ラジカル重合性単量体
(II−a)と上記その他のラジカル重合性単量体(II−
b)とにより共重合体を得る際の共重合組成において、
上記酸無水物基含有ラジカル重合性単量体(II−a)
は、全単量体質量に対し、10〜40質量%、特に15
〜30質量%が好ましい。
【0068】上記共重合方法としては特に限定されず、
上述した通常のラジカル重合により行うことができる。
上記共重合体の数平均分子量(Mn)は、500〜10
000、特に1000〜8000が好ましい。上記数平
均分子量(Mn)が500未満であると、塗料の硬化性
が充分でなく、10000を超えると、共重合体の粘度
が高くなり、高固形分熱硬化性塗料になりにくい。
【0069】上記共重合体における上記酸無水物基は、
1分子中に少なくとも2個含有する。2個より少ない
と、硬化性が充分でない欠点を有する。好ましくは2〜
15個である。
【0070】上記ハーフエステル化は、上記共重合体を
得た後に行う。上記酸無水物基を上記ハーフエステル化
するために用いるハーフエステル化剤としては、低分子
量のアルコール系化合物であれば特に限定されず、例え
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−
プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−
ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジ
メチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、
アセトール、アリルアルコール、プロパルギルアルコー
ル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。これらの中でも、特に好ましい
化合物としては、アセトール、アリルアルコール、プロ
パギルアルコール、メタノールである。上記ハーフエス
テル化剤として用いられる低分子量のアルコール系化合
物は、N原子、S原子等の他のヘテロ原子や炭素−炭素
不飽和結合等を含むものであってもよい。
【0071】上記ハーフエステル化の反応方法としては
特に限定されず、例えば、通常の方法に従い、室温から
120℃の温度で、触媒の存在下に行うことができる。
上記触媒としては特に限定されず、例えば、トリエチル
アミン、トリブチルアミン等の第3級アミン類;ベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチ
ルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニ
ウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミ
ド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】上記エポキシ基含有アクリル共重合体(II
I)は、全単量体の合計を100質量部として、エポキ
シ基含有ラジカル重合性単量体(III−a)30〜70
質量部、水酸基含有ラジカル重合性単量体(III−b)
10〜50質量部、及び、その他のラジカル重合性単量
体(III−c)20〜60質量部を共重合して得られる
共重合体である。
【0073】上記エポキシ基含有ラジカル重合性単量体
(III−a)、水酸基含有ラジカル重合性単量体(III−
b)及びその他のラジカル重合性単量体(III−c)と
しては、それぞれ、上述したエポキシ基含有ラジカル重
合性単量体(I−b)、水酸基含有ラジカル重合性単量
体(I−c)及びその他の単量体(I−d)と同様のも
の等が挙げられ、共重合の方法としても上記方法と同様
にして行うことができる。
【0074】上記エポキシ基含有アクリル共重合体(II
I)は、数平均分子量(Mn)が1000〜8000で
あり、分子中にエポキシ基を2〜10個有し、及び、水
酸基を2〜12個有し、また、エポキシ当量が100〜
800であり、水酸基価が5〜200mgKOH/gで
ある。上記エポキシ当量が100未満であると、硬化塗
膜が硬くなりすぎ、耐候性が悪くなり、800を超える
と、塗料の硬化性が充分でなくなる。上記水酸基価が5
mgKOH/g未満であると、密着性が劣り、200m
gKOH/gを超えると、硬化塗膜の耐水性が充分でな
くなる。好ましくは、分子中にエポキシ基を3〜8個有
し、及び、水酸基を4〜10個有し、また、エポキシ当
量が200〜600であり、水酸基価が10〜150m
gKOH/gである。
【0075】本発明で用いられる酸/エポキシ硬化型ク
リヤー塗料(A)は、更に、カルボキシル基含有ポリエ
ステル樹脂(IV)を樹脂成分とするものであることが好
ましい。上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(I
V)は、低分子多価アルコールにラクトン化合物を付加
させて鎖延長反応を行うことにより得られるポリエステ
ルポリオールを、酸無水物基含有化合物とハーフエステ
ル化することにより得られるものである。
【0076】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
(IV)は、分子量分布がシャープであることから、上記
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(IV)を樹脂成分
とすることにより、本発明で用いられるクリヤー塗料の
高固形分化(ハイソリッド化)が可能となり、耐候性及
び耐水性に優れた塗膜が得られると同時に耐チッピング
性と肌外観の優れた塗膜となる。
【0077】上記低分子多価アルコールとしては特に限
定されず、例えば、1分子中に少なくとも3個の水酸基
を有するものであって、分子量300以下のアルコール
が好ましく、トリメチロールプロパン、トリメチロール
エタン、1,2,4−ブタントリオール、ジトリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、グリセリン等が挙げられる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0078】上記ラクトン化合物は、環内に酸素原子を
有するために求核試薬と反応して開環し、末端に水酸基
を生成する環状化合物であればよい。開環付加反応を起
こし易いことから、上記ラクトン化合物は炭素数4〜7
個のものが好ましい。
【0079】上記ラクトン化合物としては特に限定され
ず、例えば、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクト
ン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブ
チロラクトン等が挙げられる。これらは単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ε
−カプロラクトン、γ−バレロラクトン及びγ- ブチロ
ラクトンが好ましい。
【0080】上記鎖延長反応は、通常の開環付加反応と
同様の条件で行うことができる。例えば、適当な溶媒中
で、又は、無溶媒で、温度80〜200℃で5時間以内
反応させることにより上記低分子多価アルコールが鎖延
長された上記ポリエステルポリオールが得られる。この
とき、スズ系触媒等を用いてもよい。
【0081】上記鎖延長反応の際、上記低分子多価アル
コールの水酸基のモル量に対し、上記ラクトン化合物の
モル量は0.2〜10倍量である。上記低分子多価アル
コールの水酸基のモル量に対する上記ラクトン化合物の
モル量が0.2倍量未満であると、塗膜が固くなって塗
膜の耐衝撃性が低下し、10倍量を超えると、塗膜の硬
度が低下する。好ましくは0.25〜5倍量であり、よ
り好ましくは0.3〜3倍量である。
【0082】上記ポリエステルポリオールと上記酸無水
物基含有化合物とのハーフエステル化の反応方法として
は特に限定されず、例えば、通常の方法に従い、上記ポ
リエステルポリオールと上記酸無水物基含有化合物と
を、室温から150℃の温度で、常圧にて行うことがで
きる。
【0083】上記酸無水物基含有化合物としては特に限
定されず、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水コハク
酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0084】一般に、上記ポリエステルポリオールの水
酸基のモル量に対する上記酸無水物基含有化合物の酸無
水物基のモル量を0.2〜1.0倍量、特に0.5〜
0.9倍量とすることが好ましい。上記ポリエステルポ
リオールの水酸基のモル量に対する上記酸無水物基含有
化合物の酸無水物基のモル量が0.2倍量未満である
と、塗料の硬化性が不足する。
【0085】但し、上記ポリエステルポリオールの全て
の水酸基をカルボキシル基に変性する必要はなく、水酸
基を残してもよい。即ち、水酸基を有する上記カルボキ
シル基含有ポリエステル樹脂(IV)は、塗膜の表面にカ
ルボキシル基と水酸基とを同時に提供するので、例え
ば、リコートしたような場合、水酸基を有しない上記カ
ルボキシル基含有ポリエステル樹脂(IV)に比べて、優
れた密着性を提供することができる。
【0086】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
(IV)は、酸価が50〜350mgKOH/gであり、
数平均分子量(Mn)が400〜3500であり、重量
平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.8以
下である。酸価が50未満であると、塗料の硬化性が不
足し、酸価が350を超えると、上記カルボキシル基含
有ポリエステル樹脂(IV)の粘度が高くなりすぎ、高固
形分熱硬化性塗料になりにくい。分子量が400未満で
あると、塗料の硬化性が不足又は塗膜の耐水性が低下
し、分子量が3500を超えると、上記カルボキシル基
含有ポリエステル樹脂(IV)の粘度が高くなりすぎて取
扱が困難となり、高固形分熱硬化性塗料になりにくい。
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.
8を超えると、塗膜の耐水性又は耐候性が低下する。
【0087】好ましくは、酸価が100〜300mgK
OH/gであり、数平均分子量(Mn)が500〜25
00であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量
(Mn)が1.5以下である。より好ましくは、酸価が
150〜250mgKOH/gであり、数平均分子量
(Mn)が700〜2000であり、重量平均分子量
(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.35以下であ
る。
【0088】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
(IV)を水酸基を有するものとする場合、上記カルボキ
シル基含有ポリエステル樹脂(IV)は、水酸基価が15
0mgKOH/g以下である。水酸基価が150mgK
OH/gを超えると、塗膜の耐水性が低下する。好まし
くは、5〜100mgKOH/g、より好ましくは、1
0〜80mgKOH/gである。
【0089】また、水酸基とカルボキシル基とを有する
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(IV)は、後
述するように、エポキシ基含有アクリル共重合体(II
I)、加水分解可能なシリケート化合物(i)、加水分
解可能なシリケート化合物をグラフトしてなる樹脂(i
i)等と反応し結合し得るので、より強固な塗膜を得る
ことができる。この場合、1分子中に平均0.1個以上
の水酸基を有するものが好ましい。
【0090】上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
(IV)は、樹脂成分全量に対して5〜70質量%含まれ
るのが好ましい。5質量%未満であると、高固形分熱硬
化性塗料になりにくく、70質量%を超えると、塗膜の
耐候性が低下する。好ましくは、5〜50質量%、より
好ましくは10〜40質量%である。なお、上記質量%
は、固形分換算の値である。
【0091】本発明で用いられる酸/エポキシ硬化型ク
リヤー塗料(A)中の樹脂成分において、[上記エポキ
シ基含有アクリル共重合体(III)のエポキシ基総数]
/[上記ハーフエステル酸基含有アクリル共重合体(I
I)及び上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(I
V)のハーフエステル化された酸無水物基及びカルボキ
シル基総数]=0.5〜1.5、特に0.6〜1.3で
あるのが好ましく、また、[上記エポキシ基含有アクリ
ル共重合体(III)の水酸基総数]/[上記ハーフエス
テル酸基含有アクリル共重合体(II)のハーフエステル
化された酸無水物基総数]=0.1〜1.5、特に0.
3〜1.2であるのが好ましい。
【0092】具体的には、そのような比を与える上記エ
ポキシ基含有アクリル共重合体(III)の配合量は、例
えば、上記ハーフエステル酸基含有アクリル共重合体
(II)及び上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
(IV)の合計100質量部に対し、50〜250質量
部、特に80〜150質量部が好ましい。上記エポキシ
基含有アクリル共重合体(III)の配合量が50質量部
未満であると、充分な塗膜硬化が行われず、硬化塗膜の
耐水性、耐候性等が低下し、250質量部を超えると、
未反応のカルボキシル基が残存して耐薬品性が低下す
る。
【0093】(B)メラミン硬化型クリヤー塗料の場合 本発明で用いられるメラミン硬化型クリヤー塗料(B)
は、水酸基含有アクリル樹脂30〜85質量%及びメラ
ミン系硬化剤15〜70質量%を樹脂成分とするもので
あるのが好ましい。
【0094】上記水酸基含有アクリル樹脂及び上記メラ
ミン系硬化剤としては、上述したものと同様のもの等が
挙げられる。上記水酸基含有アクリル樹脂は、数平均分
子量(Mn)800〜8000、水酸基価30〜200
mgKOH/gのものであるのが好ましい。
【0095】本発明で用いられるクリヤー塗料〔2〕及
びクリヤー塗料〔5〕は、加水分解可能なシリケート化
合物(i)、及び/又は、加水分解可能なシリケート化
合物をグラフトしてなる樹脂(ii)を含むものである。加水分解可能なシリケート化合物(i) 本発明において、加水分解可能なシリケート化合物
(i)とは、加水分解により親水化可能な化合物を意味
するものである。上記加水分解可能なシリケート化合物
(i)は、一般式(2);
【0096】
【化2】
【0097】で表されるものである。上記一般式(2)
中、mは、1〜50の整数を表す。R3 は、異なるもの
を表してもよく、置換基を有するか又は置換基を有しな
い炭素数1〜20の有機基を表す。
【0098】上記一般式(2)中、mが50を超える
と、加水分解可能なシリケート化合物(i)又はそれを
グラフトしてなる樹脂(ii)の粘度が高くなり、塗膜表
面に展開しにくくなる。加水分解可能なシリケート化合
物(i)やそれをグラフトしてなる樹脂(ii)を適度な
粘度とする観点から、mは、5〜30が好ましい。より
好ましくは7〜20、更に好ましくは10〜15であ
る。
【0099】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
い炭素数1〜20の有機基は、加水分解可能なシリケー
ト化合物(i)やそれをグラフトしてなる樹脂(ii)
が、塗装時にウェットな塗膜中で塗膜表面に展開して塗
膜表面近傍に多く存在しやすくする、即ち、適度に他の
樹脂成分との相溶性を少なくするとの観点から、炭素数
が1〜10のものが好ましい。
【0100】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
い炭素数1〜20の有機基としては特に限定されず、例
えば、置換基を有するか又は置換基を有しない炭素数1
〜20である、アルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基、アシル基等が挙げられる。これら
の中でも、置換基を有するか又は置換基を有しない炭素
数1〜20であるアルキル基及びアラルキル基が好まし
い。
【0101】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
いアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ア
ミル基、イソアミル基、ネオアミル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖
状又は分岐状のものが挙げられる。これらの中でも、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基が好ましい。
【0102】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
いシクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アリール基としては特に限定されず、例えば、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
【0103】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
いアラルキル基としては特に限定されず、例えば、ベン
ジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル
基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3
−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−ヨー
ドベンジル基、3−ヨードベンジル基、4−ヨードベン
ジル基、ジクロロベンジル基等のハロゲン化ベンジル
基;2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4
−メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、3,4,5
−トリメチルベンジル基、4−エチルベンジル基、4−
イソプロピルベンジル基、4−ブチルベンジル基、4−
tert−ブチルベンジル基等のアルキル置換ベンジ
ル;ジメトキシベンジル基、2−エトキシベンジル基、
3−エトキシベンジル基、4−エトキシベンジル基、4
−ブトキシベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−
メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基等のアル
コキシ置換ベンジル基;フェネチル基、ベンゾイン基、
フェニルプロピル基のベンジル基類、フェネチル基類等
が挙げられる。これらの中でも、ベンジル基、クロロベ
ンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メト
キシベンジル基が好ましい。
【0104】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
いアシル基としては特に限定されず、例えば、アセチ
ル、プロピニオル、ブチリル、エトキシカルボニル、プ
ロポキシカルボニル等が挙げられる。
【0105】上記置換基を有するか若しくは置換基を有
しない炭素数1〜20の有機基の一部又は全部は、塗膜
が充分な親水性を発揮するとの観点から、メチル基、エ
チル基、プロピル基であることが好ましい。これらの中
でもメチル基が最も好ましい。また、塗膜が充分な親水
性を発揮し、かつ、充分な貯蔵安定性を有するとの観点
から、上記有機基の一部がメチル基であることがより好
ましい。
【0106】上記加水分解可能なシリケート化合物
(i)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テ
トラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキ
シシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−
tert−ブトキシシラン、テトラ−n−ペントキシシ
ラン、テトラ−iso−ペントキシシラン、テトラネオ
ペントキシシラン等;それらの1種又は2種以上の縮合
物等が挙げられる。
【0107】また、上記加水分解可能なシリケート化合
物(i)としては、下記式(3)で表されるメチルシリ
ケート及び/若しくはその縮合物、又は、下記式(4)
で表されるエチルシリケート及び/若しくはその縮合物
を反応基質として、アルコール交換反応させて得られる
ものも挙げられる。本発明においては、このようなアル
コール変成させたシリケート化合物が好ましい。
【0108】
【化3】
【0109】上記式中、pは、上述したmと同様であ
る。
【0110】
【化4】
【0111】上記式中、qは、上述したmと同様であ
る。
【0112】上記アルコール変成させたシリケート化合
物においては、メチルシリケート及び/若しくはその縮
合物、又は、エチルシリケート及び/若しくはその縮合
物のメチル基又はエチル基の一部が、アルコール交換反
応により変性されている。この場合、上記一般式(2)
中、R3 のうちの一部は、置換基を有するか若しくは置
換基を有しない炭素数2〜20、好ましくは炭素数3〜
15、より好ましくは炭素数3〜10のアルキル基及び
/又は置換基を有するか若しくは置換基を有しない炭素
数7〜20、好ましくは7〜10のアラルキル基を表
し、残りのR3は、メチル基を表す。炭素数が上記未満
では、反応性が高すぎ、貯蔵安定性が悪くなり、上記を
超えると、親水性機能が出なくなる。
【0113】上記メチルシリケート及び/又はその縮合
物としては特に限定されず、例えば、「MS−51」、
「MS−56」(いずれも商品名、三菱化学社製)等の
市販品が挙げられる。
【0114】上記エチルシリケート及び/又はその縮合
物としては特に限定されず、例えば、「エチルシリケー
ト40」、「エチルシリケート48」、「エチルシリケ
ート28」(いずれも商品名、コルコート社製)等の市
販品が挙げられる。
【0115】上記アルコール交換反応は、上記メチルシ
リケート及び/若しくはその縮合物、又は、上記エチル
シリケート及び/若しくはその縮合物を反応基質とし
て、アルコール化合物を反応試剤として反応させること
により行う。
【0116】上記アルコール化合物としては、置換基を
有するか又は置換基を有しない炭素数2〜20、好まし
くは炭素数3〜15のアルキルアルコール化合物、置換
基を有するか又は置換基を有しない炭素数7〜20のア
ラルキルアルコール化合物が挙げられる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0117】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
い炭素数2〜20のアルキルアルコール化合物としては
特に限定されず、例えば、エチルアルコール、プロピル
アルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチル
アルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコ
ール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オク
チルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等のア
ルキルアルコール化合物;メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、ブ
チルジグリコール等のエーテルアルコール化合物等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0118】これらの中でも、プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec
−ブチルアルコール、ブチルセロソルブ、メトキシプロ
パノール、エトキシプロパノールを用いるのが好まし
い。
【0119】上記置換基を有するか又は置換基を有しな
い炭素数7〜20のアラルキルアルコール化合物として
は特に限定されず、例えば、ベンジルアルコール、2−
クロロベンジルアルコール、3−クロロベンジルアルコ
ール、4−クロロベンジルアルコール、2−ブロモベン
ジルアルコール、3−ブロモベンジルアルコール、4−
ブロモベンジルアルコール、2−ヨードベンジルアルコ
ール、3−ヨードベンジルアルコール、4−ヨードベン
ジルアルコール、ジクロロベンジルアルコール等のハロ
ゲン化ベンジルアルコール;2−メチルベンジルアルコ
ール、3−メチルベンジルアルコール、4−メチルベン
ジルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、3,
4,5−トリメチルベンジルアルコール、4−エチルベ
ンジルアルコール、4−イソプロピルベンジルアルコー
ル、4−ブチルベンジルアルコール、4−tert−ブ
チルベンジルアルコール等のアルキル置換ベンジルアル
コール;ジメトキシベンジルアルコール、2−エトキシ
ベンジルアルコール、3−エトキシベンジルアルコー
ル、4−エトキシベンジルアルコール、4−ブトキシベ
ンジルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、
3−メトキシベンジルアルコール、4−メトキシベンジ
ルアルコール等のアルコキシ置換ベンジルアルコール;
フェネチルアルコール、ベンゾイン、フェニルプロパノ
ール等のベンジルアルコール類、フェネチルアルコール
類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0120】これらの中でも、ベンジルアルコール、ク
ロロベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、
エチルベンジルアルコール、メトキシベンジルアルコー
ルを用いるのが好ましい。
【0121】上記アルコール交換反応の際にはアルコー
ル交換触媒を用いてもよい。上記アルコール交換触媒と
しては特に限定されず、例えば、酸又は塩基が挙げられ
る。上記酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硫
酸、燐酸、スルホン酸等のブレンステッド酸;有機スズ
化合物等のルイス酸等が挙げられる。上記塩基としては
特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、ジイソプ
ロピルエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジアザ
ビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシ
クロ[5,4,0]ウンデセン−7等の第3級アミン等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0122】上記アルコール交換反応の際の溶媒は、特
に使用しなくてもよいが、例えば、反応試剤であるアル
コール化合物を溶媒として、上記反応基質に対して過剰
に用いてもよい。
【0123】上記溶媒としては特に限定されず、例え
ば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水
素;ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;THF、
ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル類;ジメチルカーボメート、アセトニ
トリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0124】上記溶媒の使用量としては特に限定され
ず、例えば、反応基質であるメチルシリケート及び/若
しくはその縮合物、又は、エチルシリケート及び/若し
くはその縮合物と反応試剤であるアルコール化合物との
合計質量に対して、10倍量以下であることが好まし
い。
【0125】上記アルコール交換反応の際の反応基質で
あるメチルシリケート及び/又はその縮合物、又は、エ
チルシリケート及び/若しくはその縮合物と反応試剤で
あるアルコール化合物との割合としては特に限定され
ず、例えば、アルコール化合物が反応基質に対して少な
くとも1モル%以上で、変性に必要な量又はそれ以上の
量となるようにすればよい。
【0126】上記アルコール交換反応は、変性によって
生成するメタノールを、アゼオトロピックに留去して行
ってもよい。
【0127】上記アルコール交換反応の反応温度として
は特に限定されず、一般に、0℃〜200℃である。反
応時間としても特に限定されず、例えば、24時間以内
であることが好ましい。反応時の圧力としても特に限定
されず、一般に、常圧であるが、必要に応じて、生成す
るメタノールを留去するために減圧下で行ってもよい。
【0128】上記アルコール交換反応における反応率
は、生成したメタノールの量の測定、NMRスペクトル
又はGC(ガスクロマトグラフィー)分析等により調べ
ることができる。上述したようにして得られる生成物
は、一般に、無色〜薄黄色の油状物質である。
【0129】上記加水分解可能なシリケート化合物
(i)は、上述のようにアルコール交換反応によって得
られるアルコール変成させたシリケート化合物が好まし
いが、その他の製造方法として、例えば、重合性ポリシ
ロキサン化合物又は連鎖移動能を有するシラン化合物と
単官能性単量体とを共重合する方法によって得られるシ
リケート化合物も挙げることができる。
【0130】上記加水分解可能なシリケート化合物
(i)としては、塗膜の親水性発現機構から、メチルシ
リケートの縮合物をアルコール変成させたシリケート化
合物が最も好ましい。本発明において加水分解可能なシ
リケート化合物(i)として上記のアルコール変性シリ
ケート化合物が好ましい理由を、以下に詳述する。上記
アルコール変性シリケート化合物のメトキシ基は、経時
により水酸基となりやすいことから、塗膜表面の水接触
角が低くなり、塗膜に親水性が付与される。従って、塗
膜表面に付着した汚染物質が洗い流されやすくなるた
め、塗膜に高い耐汚染性が発現するものと考えられる。
【0131】また、メトキシ基の存在により、上記アル
コール変性シリケート化合物は他の樹脂成分と適度な相
溶性を有しており、形成された塗膜表面においては充分
な耐汚染性が発揮される。
【0132】更に、アルコール交換反応により得られる
上記アルコール変性シリケート化合物は、例えば、R3
がメチル基の場合、テトラメチルシリケート縮合体のメ
チル基のうち最も活性の高いメチル基から順に、炭素数
の多いアルキル基又はアラルキル基に置換され、活性の
高い部分がブロックされるため、単なるテトラメチルシ
リケート縮合体に比べて、塗料貯蔵中に縮合反応や他の
樹脂成分と反応を起こしにくく、塗料の貯蔵安定性に優
れ、貯蔵後の塗料から得られる塗膜も充分な親水性を示
し、塗膜表面に高い耐汚染性を、貯蔵後も安定的に発現
する。
【0133】本発明で用いられるクリヤー塗料が上記酸
/エポキシ硬化系クリヤー塗料(A)の場合には、上記
アルコール交換反応によって上記アルコール変性シリケ
ート化合物を得る際に用いる反応試剤であるアルコール
化合物を溶剤として添加してもよい。
【0134】上記アルコール化合物の添加量は、上記加
水分解可能なシリケート化合物(i)100質量部に対
して、10〜200質量部であることが好ましい。上記
アルコール化合物を添加することにより、加熱硬化工程
における塗膜異常を防止することができ、また、下記の
加水分解可能なシリケート化合物をグラフトしてなる樹
脂(ii)の場合には、貯蔵中のクリヤー塗料を安定化さ
せることができる。
【0135】加水分解可能なシリケート化合物をグラフ
トしてなる樹脂(ii) 本発明においては、上記の加水分解可能なシリケート化
合物(i)の代わりに、又は、これと組み合わせて、加
水分解可能なシリケート化合物をグラフトしてなる樹脂
(ii)を使用することができる。上記加水分解可能なシ
リケート化合物をグラフトしてなる樹脂(ii)において
グラフトされる加水分解可能なシリケート化合物として
は、上記加水分解可能なシリケート化合物(i)を挙げ
ることができる。塗膜の親水性発現機構から、メチルシ
リケートの縮合物が好ましい。また、上記グラフトさせ
る加水分解可能なシリケート化合物は、1種のものを用
いてもよく、2種以上のものを用いてもよい。
【0136】上記加水分解可能なシリケート化合物をグ
ラフトしてなる樹脂(ii)の形態としては、上記酸/エ
ポキシ硬化型クリヤー塗料(A)又は上記メラミン硬化
型クリヤー塗料(B)の樹脂成分のうちの少なくとも1
つに、加水分解可能なシリケート化合物をグラフトさせ
たものを使用することもできるし、上記酸/エポキシ硬
化型クリヤー塗料(A)又は上記メラミン硬化型クリヤ
ー塗料(B)の樹脂成分とは別に調製したものを使用す
ることもできる。更に、上記の形態を組み合わせること
も可能である。
【0137】上記加水分解可能なシリケート化合物を酸
/エポキシ硬化型クリヤー塗料(A)の樹脂成分のうち
の少なくとも1つにグラフトさせたものを使用する場
合、ハーフエステル酸基含有アクリル共重合体(II)に
加水分解可能なシリケート化合物をグラフトしてなるも
の、エポキシ基含有アクリル共重合体(III)に加水分
解可能なシリケート化合物をグラフトしてなるもの、及
び、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(IV)に加水
分解可能な加水分解可能なシリケート化合物をグラフト
してなるものから選択される少なくとも1つを使用する
ことができる。
【0138】また、メラミン硬化型クリヤー塗料(B)
の場合には、水酸基含有アクリル樹脂に加水分解可能な
シリケート化合物をグラフトしてなるものを使用するこ
とができる。
【0139】上記ハーフエステル酸基含有アクリル共重
合体(II)、上記エポキシ基含有アクリル共重合体(II
I)及び/又は上記カルボキシル基含有ポリエステル樹
脂(IV)の一部が上記加水分解可能なシリケート化合物
をグラフトしていればよく、その共重合体の全部がグラ
フトしている必要はなく、上記メラミン硬化型クリヤー
塗料(B)を用いる場合には、上記水酸基含有アクリル
樹脂の一部が上記加水分解可能なシリケート化合物をグ
ラフトしていればよく、その全部がグラフトしている必
要はない。
【0140】これらの場合には、加水分解可能なシリケ
ート化合物をグラフトしてなる樹脂(ii)を調製する必
要がなくなるので、製造工程が簡素化する点で好まし
い。上記酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料(A)の場合
であって、上記ハーフエステル酸基含有アクリル共重合
体(II)にグラフトさせるときには、上記ハーフエステ
ル酸基含有アクリル共重合体(II)の製造において、上
述した水酸基含有ラジカル重合性単量体を共重合して水
酸基を含有させておくことが好ましい。
【0141】上記酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料
(A)を用いる場合には、上記ハーフエステル酸基含有
アクリル共重合体(II)とグラフトした上記加水分解可
能なシリケート化合物との架橋反応により架橋密度が向
上する点から、上記エポキシ基含有アクリル共重合体
(III)は、上記加水分解可能なシリケート化合物をグ
ラフトしてなるものであることが好ましい。
【0142】上記シリケート化合物をグラフトしてなる
樹脂(ii)を別に調製して含有させる場合、水酸基含有
重合体(ii−a)に加水分解可能なシリケート化合物を
グラフトしてなるものを使用する。上記水酸基含有重合
体(ii−a)は、水酸基を含有する重合体であれば特に
限定されず、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基
含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アルキド樹脂等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。上記水酸基含有アクリル樹脂としては特
に限定されず、例えば、上述したものと同様のもの等が
挙げられる。
【0143】上記水酸基含有ポリエステル樹脂及び水酸
基含有アルキド樹脂としては特に限定されず、例えば、
上述したポリエステル樹脂や、その重縮合において、必
要により半乾性油、不乾性油等を用いることにより得ら
れるもの等が挙げられる。
【0144】上記半乾性油としては特に限定されず、例
えば、大豆油、サフラワー油、トール油等が挙げられ
る。上記不乾性油としては特に限定されず、例えば、ヤ
シ油、ヒマシ油等が挙げられる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。上記水酸基含有ポ
リエステル樹脂及び上記水酸基含有アルキド樹脂は、油
長40%以下のものである。好ましくは油長30%以下
である。
【0145】上記水酸基含有重合体(ii−a)は、水酸
基を有すれば、更に、カルボキシル基、エポキシ基等を
有していてもよい。上記水酸基含有重合体(ii−a)
は、水酸基価が20〜200mgKOH/gであり、数
平均分子量(Mn)が500〜10000であることが
好ましい。
【0146】水酸基価が20mgKOH/g未満である
と、グラフト効率及びグラフト量が制限され、200m
gKOH/gを超えると、塗膜の耐水性が低下する。数
平均分子量(Mn)が500未満であると、塗膜の強度
が低下し、10000を超えると、塗料の粘度が高くな
り、外観が低下する。好ましくは、水酸基価が40〜1
50であり、数平均分子量が800〜8000である。
【0147】上記グラフト反応の方法としては特に限定
されず、通常の方法より行うことができ、例えば、無溶
媒で行ってもよく、有機溶媒中で行ってもよい。
【0148】上記有機溶媒としては特に限定されず、例
えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類等が挙げられ、蒸留等の操作によって溶媒を容
易に除去できる観点から、沸点が100℃以下のものが
好ましい。
【0149】上記グラフト反応における反応温度及び反
応時間は、原料の種類によっても異なるが、通常、室温
〜150℃で、24時間以内の範囲であることが好まし
い。反応温度が室温より低いと、加水分解可能なシリケ
ート化合物(i)が充分にグラフトされず、150℃を
超えるか又は24時間を超えると、加水分解可能なシリ
ケート化合物(i)同士の縮合が生じる。上記グラフト
反応における圧力は、1×10-3〜7600Torrの
範囲であることが好ましい。
【0150】上記加水分解可能なシリケート化合物をグ
ラフトしてなる樹脂(ii)において、式(2)に由来す
るR3 O−基、特にメトキシ基の場合は、経時により水
酸基となりやすいことから、塗膜表面の水接触角が低く
なり、塗膜に親水性が付与される。従って、塗膜表面に
付着した汚染物質が洗い流されやすくなるため、塗膜に
高い耐汚染性が発現するものと考えられる。また、メト
キシ基等の存在により、上記加水分解可能なシリケート
化合物をグラフトしてなる樹脂(ii)は、他の樹脂成分
と適度な相溶性を有しており、形成された塗膜表面にお
いては充分な耐汚染性が発揮される。
【0151】更に、上記加水分解可能なシリケート化合
物をグラフトしてなる樹脂(ii)は、上記加水分解可能
なシリケート化合物の最も反応性の高いアルキル基と上
述した重合体中の水酸基とが反応し、上記加水分解可能
なシリケート化合物の最も反応性の高い部分をブロック
するため、テトラメチルシリケート及び/又はテトラエ
チルシリケートの低縮合物に比べて、塗料貯蔵中に縮合
反応や他の樹脂成分と反応を起こしにくく、塗料の貯蔵
安定性に優れ、貯蔵後の塗料から得られる塗膜も充分な
親水性を示し、塗膜表面に高い耐汚染性を、貯蔵後も安
定的に発現する。
【0152】また、上記加水分解可能なシリケート化合
物をグラフトしてなる樹脂(ii)は、上述した樹脂成分
に上記加水分解可能なシリケート化合物をグラフトして
なるため、塗料中の他の樹脂成分との相溶性に優れ、塗
装後における親水基の塗膜表層への局在化が適度に抑え
られることから、テトラメチルシリケート及び/又はそ
の低縮合物に比べて、耐水性が向上する。
【0153】本発明において、クリヤー塗料〔2〕及び
クリヤー塗料〔5〕における添加する加水分解可能なシ
リケート化合物(i)の量、及び/又は、加水分解可能
なシリケート化合物のグラフト量は、各樹脂成分全量に
対して、上記加水分解可能なシリケート化合物(i)及
び加水分解可能なシリケート化合物のグラフト量の合計
として0.1〜50質量%である。0.1質量%未満で
あると、塗膜の親水性の発現が充分ではなく、耐汚染性
が劣り、50質量%を超えると、塗膜が優れた外観性を
保つのに充分な耐水性を有さないおそれがある。好まし
くは3〜25質量%であり、より好ましくは5〜20質
量%である。なお、上記質量%は、固形分換算の値であ
り、上記樹脂成分全量とは、上記シリケート化合物をグ
ラフトしてなる樹脂(ii)を含む場合には、上記水酸基
含有重合体(ii−a)を含む量とする。
【0154】本発明において、上記透明プライマー
〔3〕中のアルコキシシリル基含有モノマーの量と、上
記クリヤー塗料〔2〕における添加する加水分解可能な
シリケート化合物(i)の量及び加水分解可能なシリケ
ート化合物のグラフト量の合計量との関係は、それぞれ
の樹脂成分全量に対する配合量の割合の比が、1/20
〜2/1であることが好ましい。即ち、例えば、透明プ
ライマー〔3〕中の樹脂固形分全量に対するアルコキシ
シリル基含有モノマーの量が2質量%である場合には、
クリヤー塗料〔2〕中の樹脂固形分全量に対する加水分
解可能なシリケート化合物(i)の量及び加水分解可能
なシリケート化合物のグラフト量の合計量の割合は、上
記の1/20〜2/1の範囲である1〜40質量%であ
ることが好ましいことを意味する。より好ましくは、1
/10〜1/1である。
【0155】上記透明プライマー〔3〕中のアルコキシ
シリル基含有モノマーの量が上記配合量の割合の比の範
囲よりも大きい場合には、上記透明プライマー〔3〕中
に水分が局在化して、付着性及び耐水性に劣る。一方、
透明プライマー〔3〕中のアルコキシシリル基含有モノ
マーの量が上記配合量の割合の比の範囲よりも小さい場
合には、上記クリヤー塗料〔2〕に水分が局在化して、
結果として、付着性及び耐水性に劣る。
【0156】本発明で用いられるクリヤー塗料〔2〕及
びクリヤー塗料〔5〕が酸/エポキシ硬化型クリヤー塗
料(A)の場合には、通常、硬化触媒が含まれる。上記
硬化触媒としては特に限定されず、エステル化反応(酸
とエポキシとの反応)に通常用いられるものでよいが、
例えば、第4級アンモニウム塩が好ましい。具体的に
は、上述した第4級アンモニウム塩の他に、ベンジルト
リエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルア
ンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリ
ド、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。また、メラミン硬化型クリヤー塗料(B)の場
合に用いられる硬化触媒、及び、硬化触媒の量として
は、上述のものが挙げられる。
【0157】上記クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
〔5〕は、通常、顔料を含まないものであるが、塗膜の
透明感を損なわない程度に、着色顔料を含めてもよい。
上記顔料としては、上述したものを挙げることができ
る。
【0158】上記クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
〔5〕の固形分含有量は、25〜70質量%であり、好
ましくは35〜65質量%である。また、塗布時におけ
る固形分含有量は、15〜65質量%であり、好ましく
は30〜60質量%である。上記クリヤー塗料〔2〕及
びクリヤー塗料〔5〕に添加することができる添加剤や
その調製方法等としては、上述のもの等を挙げることが
できる。
【0159】上記加水分解可能なシリケート化合物
(i)及び/又はそれをグラフトしてなる樹脂(ii)
は、塗布する前に塗料中に添加して混合してもよく、塗
料を製造する段階で、予め塗料中に添加して混合してお
いてもよい。予め塗料中に添加して混合しておく場合に
は、加水分解や縮合反応が進行しないように、水が混入
しない条件で保管しておくことが好ましい。
【0160】ベース塗料〔1〕及びベース塗料〔4〕 本発明において使用されるベース塗料〔1〕及びベース
塗料〔4〕としては特に限定されず、例えば、塗膜形成
性樹脂、硬化剤、顔料及びその他の添加剤からなるもの
を挙げることができる。上記塗膜形成性樹脂としては特
に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を挙
げることができる。上記硬化剤及びそれとともに用いる
硬化触媒としては、上述のものを使用することができ
る。
【0161】上記顔料としては、着色顔料及び/又は光
輝性顔料を単独で、又は、2種以上を併用することがで
きる。上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、
アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系
顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリド
ン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の
有機系顔料;黄塩、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブ
ラック、二酸化チタン等の無機系顔料;炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の体質顔料等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0162】上記光輝性顔料としては特に限定されず、
例えば、アルミニウム粉、銅粉、ニッケル粉、ステンレ
ス粉、マイカ粉、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、アルミ
ナフレーク、グラファイトフレーク等が挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0163】上記ベース塗料〔1〕及びベース塗料
〔4〕の固形分含有量は、15〜60質量%であり、好
ましくは20〜55質量%である。また、塗布時におけ
る固形分含有量は、10〜50質量%であり、好ましく
は20〜45質量%である。上記ベース塗料〔1〕及び
ベース塗料〔4〕に添加することができる添加剤やその
調製方法としては、上述のもの等を挙げることができ
る。
【0164】塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法は、自動車外板上に、ベース塗料
〔1〕及びクリヤー塗料〔2〕を塗装し、焼き付けた
後、更に透明プライマー〔3〕を塗装し、続いてベース
塗料〔4〕及びクリヤー塗料〔5〕を塗装し、焼き付け
ることからなるものである。
【0165】上記自動車外板には、防食性、耐チッピン
グ性等を担保する観点から、予め、下塗り塗膜層(電着
塗膜層、又は、必要により中塗り塗膜層)が形成されて
いることが好ましい。
【0166】本発明においては、上記の工程を含むもの
であれば、更に他の工程を含むものであってもよい。具
体的には、ベース塗料〔1〕、クリヤー塗料〔2〕、透
明プライマー〔3〕、ベース塗料〔4〕及びクリヤー塗
料〔5〕を塗装した後、各々焼き付け硬化を行ってもよ
いし、プレヒートを行うこともできる。ただし、本発明
の塗膜形成方法は、補修又は再塗装に使用するものであ
ることから、ベース塗料〔1〕及びクリヤー塗料〔2〕
を塗装した後は焼き付けが必要であり、更に透明プライ
マー〔3〕を塗装し、続いてベース塗料〔4〕及びクリ
ヤー塗料〔5〕を塗装した後にも焼き付けが必要であ
る。
【0167】上記透明プライマー〔3〕を塗装した後
は、単独で焼き付けを行うこともできるが、省工程化及
びエネルギー削減化の観点から、ウエットオンウエット
で、又は、プレヒート後に、ベース塗料〔4〕及びクリ
ヤー塗料〔5〕を塗装することが好ましい。上記プレヒ
ートの条件としては特に限定されず、例えば、50〜9
0℃にて1〜10分程度が挙げられる。
【0168】また、ベース塗料〔1〕及びベース塗料
〔4〕が着色顔料及び/又は光輝性顔料含有ベース塗料
の1種類のみの場合、上記自動車外板に上記ベース塗料
〔1〕を塗装し、クリヤー塗料〔2〕をウェットオンウ
ェットで塗装して、加熱硬化させることにより、2コー
ト1べーク(2C1B)の複層塗膜を形成させておき、
その後、透明プライマー〔3〕、上記ベース塗料〔4〕
及びクリヤー塗料〔5〕をウェットオンウェットで塗装
して、加熱硬化させることができる。
【0169】また、ベース塗料〔1〕及びベース塗料
〔4〕としてカラーベース塗料及び光輝性顔料含有ベー
ス塗料の2種類を用いる場合、上記カラーベース塗料を
塗装して単独で加熱硬化させ、その上に上記光輝性顔料
含有ベース塗料及びクリヤー塗料〔2〕をウェットオン
ウェットで塗装して、加熱硬化させることにより、3コ
ート2べーク(3C2B)の複層塗膜を形成しておき、
その後、透明プライマー〔3〕及びカラーベース塗料を
塗装、加熱硬化させ、その上に上記光輝性顔料含有ベー
ス塗料及びクリヤー塗料〔5〕をウェットオンウェット
で塗装して、加熱硬化させることができる。
【0170】また、上記カラーベース塗膜を単独で加熱
硬化させないときには、その上にウェットオンウェット
で上記光輝性顔料含有ベース塗料を塗装し、更にその上
に、クリヤー塗料をウェットオンウェットで塗装した
後、加熱硬化させることもできる。すなわち、上記カラ
ーベース塗膜、上記光輝性顔料含有ベース塗膜及び上記
クリヤー塗膜をウェットオンウェットで組合わせ、複合
塗膜を形成した後に加熱硬化することにより、3コート
1ベーク(3C1B)の複合塗膜を形成することがで
き、更に優れた意匠性を示す複合塗膜を形成することが
できる。
【0171】更に、ベース塗料〔1〕及びクリヤー塗料
をウェットオンウェットで塗装、加熱硬化させ、本発明
において使用するクリヤー塗料〔2〕を上塗り用クリヤ
ー塗料として更にその上にドライオンウエットで塗装し
た後加熱硬化させて、その後、透明プライマー〔3〕、
上記ベース塗料〔4〕及びクリヤー塗料をウェットオン
ウェットで塗装して、加熱硬化させ、更に、上塗り用ク
リヤー塗料〔5〕をドライオンウエットで塗装すること
もできる。
【0172】上記ベース塗料〔1〕、クリヤー塗料
〔2〕、透明プライマー〔3〕、ベース塗料〔4〕及び
クリヤー塗料〔5〕は、スプレー塗装、刷毛塗り塗装、
浸漬塗装、静電塗装、ロール塗装、流れ塗装等により塗
装することができる。硬化温度は、100〜180℃、
好ましくは120〜160℃で高い架橋度の硬化塗膜と
なる。硬化時間は、硬化温度等により変化するが、12
0〜160℃で10〜30分が適当である。
【0173】上記ベース塗料〔1〕及びベース塗料
〔4〕による乾燥膜厚は、一般に8〜40μm程度が好
ましく、より好ましくは10〜30μm程度である。乾
燥膜厚が8μm未満であると、下地が隠蔽できず、40
μmを超えると、塗装時にワキ、タレ等の不具合が起こ
ることもある。
【0174】また、クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗
料〔5〕による乾燥膜厚は、所望の用途により変化する
が、多くの場合10〜80μmが好ましく、より好まし
くは15〜60μm程度である。乾燥膜厚が10μm未
満であると、下地が隠蔽できず、60μmを超えると、
塗装時にワキ、タレ等の不具合が起こることもある。
【0175】上記透明プライマー〔3〕は、乾燥膜厚が
30μm以下が好ましい。30μmを超えると、ベース
塗料〔4〕となじみが起こる。より好ましくは、5〜1
5μmである。
【0176】本発明においては、上記クリヤー塗料
〔2〕及びクリヤー塗料〔5〕に加水分解可能なシリケ
ート化合物(i)及び/又はそれをグラフトしてなる樹
脂(ii)を含み、加水分解可能なシリケート化合物
(i)及び/又はそれをグラフトしてなる樹脂(ii)が
塗膜表面に展開して、塗膜表面近傍に多く存在したウェ
ットな塗膜が形成され、次いで加熱硬化されることによ
り、塗膜表面には加水分解可能なシリケート化合物
(i)及び/又はそれをグラフトしてなる樹脂(ii)に
由来するメトキシ基等が多く存在し、上述したように耐
汚染性を発現することができる。本発明の自動車車体の
複層塗膜形成方法により形成された硬化塗膜には、酸と
反応させることにより親水性が付与されるが、経時によ
り徐々に耐汚染性を付与してもよく、予め酸で処理する
ことにより初期の段階から耐汚染性を付与してもよい。
【0177】更に、本発明においては、上記透明プライ
マー〔3〕にアルコキシシリル基及びエポキシ基含有樹
脂(I)を含むことより、水分存在下では、このアルコ
キシシリル基がシラノール基に加水分解され、経時によ
り1コート目のクリヤー塗膜にのみ水が局在化すること
がないため、優れた付着性を有し、その後水分が蒸発し
てゆくと、1コート目のクリヤー塗膜中のシラノール基
と結合することにより、更に強固な付着性が発揮され
る。また、透明プライマー〔3〕のエポキシ基は、付着
性を更に向上することができることから、本発明の塗膜
形成方法により形成される複層塗膜は、付着性が非常に
優れている。従って、上記塗装された自動車外板上に対
するNSR性に優れるため、経時により1コート目のク
リヤー塗膜と2コート目の透明プライマー塗膜との層間
に水が侵入することがなく、NSR性と耐水性とに優れ
た塗膜を形成することができる。
【0178】更に、本発明において、上記クリヤー塗料
〔2〕及びクリヤー塗料〔5〕が酸/エポキシ硬化型ク
リヤー塗料(A)の場合には、以下の優れた効果が期待
できる。本発明で用いられる酸/エポキシ硬化型クリヤ
ー塗料(A)は、酸無水物基を変性(ハーフエステル
化)しているため、活性水素化合物を混合してもそれ以
上の反応が起こらず一液化(ワンパック化)が可能であ
る。しかし、単に酸無水物基を含有する重合体を用いる
ときには、活性水素化合物との反応が常温付近でも進行
するため、同一系内に保存することはゲル化を引き起こ
し適当でない。
【0179】また、塗膜形成時の活性水素化合物との硬
化反応においては、酸無水物基の変性剤を種々変更する
ことにより、硬化速度を変えることが可能であり、優れ
た外観を有する塗膜が形成可能である。
【0180】本発明で用いられるクリヤー塗料〔2〕及
びクリヤー塗料〔5〕が酸/エポキシ硬化型クリヤー塗
料(A)の場合の硬化反応は、先ず、ハーフエステル酸
基含有アクリル共重合体(II)中のハーフエステル化さ
れて開環している酸無水物変性基が硬化温度で再び閉環
して酸無水物基に一旦戻る。
【0181】次いで、エポキシ基含有アクリル共重合体
(III)中の水酸基が反応して再びハーフエステルを形
成する。次いで、ハーフエステル酸基含有アクリル共重
合体(II)中の残りのカルボキシル基がエポキシ基含有
アクリル共重合体(III)中のエポキシ基と反応して、
ジエステルを形成する。
【0182】更に、加水分解可能なシリケート化合物
(i)及び/又はそれをグラフトしてなる樹脂(ii)中
のR3 O−基が、ハーフエステル酸基含有アクリル共重
合体(II)の酸触媒作用により、加水分解縮合すると同
時にエポキシ基含有アクリル共重合体(III)中の水酸
基と反応して硬化が進行する。
【0183】すなわち、上記硬化反応は、エポキシ基含
有アクリル共重合体(III)中のエポキシ基及び水酸基
の2つの基が、ハーフエステル酸基含有アクリル共重合
体(II)中の酸無水物変性基であるカルボキシル基及び
エステル基に結合し、並びに、エポキシ基含有アクリル
共重合体(III)中の水酸基が、加水分解可能なシリケ
ート化合物(i)及び/又はそれをグラフトしてなる樹
脂(ii)やその加水分解縮合物にそれぞれ結合して、2
種類又は3種類の成分が相互に反応することにより硬化
が進行すると考えられる。
【0184】また、上記酸/エポキシ硬化型クリヤー塗
料(A)が、更に、上記カルボキシル基含有ポリエステ
ル樹脂(IV)を樹脂成分とする場合には、上述した樹脂
成分と、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(I
V)とも、相互に反応することにより硬化が進行すると
考えられる。
【0185】本発明で用いられるクリヤー塗料〔2〕及
びクリヤー塗料〔5〕がメラミン硬化型クリヤー塗料
(B)の場合の硬化反応は、水酸基含有アクリル樹脂又
はポリエステル樹脂とメラミン系硬化剤との硬化反応に
加え、加水分解可能なシリケート化合物(i)及び/又
はそれをグラフトしてなる樹脂(ii)中のR3 O−基が
触媒の存在により、加水分解縮合すると同時に水酸基含
有アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はメラミン系硬化
剤と反応して硬化が進行すると考えられる。従って、本
発明の自動車車体の複層塗膜形成方法により形成された
硬化塗膜は堅固な構造となり、耐候性、耐薬品性、耐擦
傷性等に優れることとなる。
【0186】更に、加水分解可能なシリケート化合物
(i)としてアルコール変性シリケート化合物を使用す
る場合、及び、上記加水分解可能なシリケート化合物を
グラフトしてなる樹脂(ii)を使用する場合は、塗料貯
蔵中に縮合反応や他の樹脂成分と反応を起こしにくいた
めに、貯蔵安定性に優れている。
【0187】本発明の自動車車体の複層塗膜形成方法を
用いて複層塗膜を形成させた自動車車体は、複層塗膜
が、本発明の自動車車体の複層塗膜形成方法により形成
されたものであるので、耐候性等の基本性能を有し、ま
た、高い親水性を有するためにメンテナンスフリーで洗
車したのと同様な効果を維持することができ、更に、N
SR性及び耐水性に優れたものである。このような自動
車車体もまた、本発明の一つである。
【0188】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0189】合成例1 水酸基含有アクリル樹脂(a) 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを
備えた反応槽に、トルエン400質量部とn−ブタノー
ル100質量部とを仕込み105℃に昇温した。この反
応槽に、滴下ロートを用い、スチレン100質量部、メ
タクリル酸メチル300質量部、アクリル酸エチル44
0質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル140質
量部、メタクリル酸20質量部、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート20質量部及びトルエン3
00質量部とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴
下終了後30分間にわたり105℃で保持した後、t−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3質量部
及びトルエン200質量部を添加した。この添加終了
後、更に2時間、105℃にて反応を継続させ、数平均
分子量(Mn)18000、酸価13mgKOH/g
(固形分換算)及び水酸基価60mgKOH/g(固形
分換算)の水酸基含有アクリル樹脂(a)を含む不揮発
分50%のワニスを得た。
【0190】合成例2 アルコキシシリル基およびエポ
キシ基含有アクリル樹脂(b)−1 温度計、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた1Lの反
応漕の内部を窒素ガスで置換し、ソルベッソ100(エ
ッソスタンダード石油製、芳香族系炭化水素溶剤)26
0質量部を仕込み125℃に昇温した。この反応漕に滴
下ロートを用い、スチレン100質量部、メタクリル酸
グリシジル190質量部、アクリル酸−4−ヒドロキシ
ブチル64質量部、メタクリル酸イソブチル96質量
部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5
0質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート55質量部、ソルベッソ100を55質量部
とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後3
0分間にわたり125℃で保持した後、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部、ソルベッ
ソ100を10質量部とからなる溶液を30分間で滴下
した。この滴下終了後、更に1時間、125℃にて反応
を継続させ、数平均分子量3000、エポキシ当量37
4(固形分換算)、水酸基価50mgKOH/g(固形
分換算)、アルコキシシリル基含有モノマー10質量%
のアクリル樹脂(b)−1を含む不揮発分59%のワニ
スを得た。
【0191】合成例3 アルコキシシリル基およびエポ
キシ基含有アクリル樹脂(b)−2 温度計、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた1Lの反
応漕の内部を窒素ガスで置換し、ソルベッソ100(エ
ッソスタンダード石油製、芳香族系炭化水素溶剤)26
0質量部を仕込み125℃に昇温した。この反応漕に滴
下ロートを用い、スチレン100質量部、メタクリル酸
グリシジル190質量部、アクリル酸−4−ヒドロキシ
ブチル64質量部、メタクリル酸イソブチル46質量
部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1
00質量部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート55質量部、ソルベッソ100を55質量
部とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後
30分間にわたり125℃で保持した後、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部、ソルベ
ッソ100を10質量部とからなる溶液を30分間で滴
下した。この滴下終了後、更に1時間、125℃にて反
応を継続させ、数平均分子量3100、エポキシ当量3
74(固形分換算)、水酸基価50mgKOH/g(固
形分換算)のアルコキシシリル基含有モノマー20質量
%のアクリル樹脂(b)−2を含む不揮発分59%のワ
ニスを得た。
【0192】合成例4 アルコール変性シリケート化合
物(c) メチルシリケートとしてMS−56(商品名、三菱化学
社製)をイソプロピルアルコールでアルコール交換反応
させることにより、アルコール変性シリケート化合物
(c)を含む不揮発分100%の組成物を得た。アルコ
ール交換反応条件は、MS−56が74質量部に対し
て、イソプロピルアルコール21質量部及びトリエチル
アミン0.2質量部を混合して、温度80℃で12時間
反応させた後、減圧下にて生成したメタノールを留去し
た。
【0193】合成例5 ハーフエステル酸基含有アクリ
ル共重合体(d) 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを
備えた3Lの反応槽に、キシレン330質量部とプロピ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート110質
量部とを仕込み127℃に昇温した。この反応槽に、滴
下ロートを用い、スチレン300質量部、メタクリル酸
−2−エチルヘキシル360質量部、アクリル酸イソブ
チル112質量部、アクリル酸26質量部、無水マレイ
ン酸202質量部、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート300質量部及びt−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート90質量部とキシレン1
00質量部とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴
下終了後30分間にわたり127℃で保持した後、t−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量
部とキシレン50質量部とからなる溶液を30分間で滴
下した。この滴下終了後、更に1時間、127℃にて反
応を継続させ、数平均分子量(Mn)3000のアクリ
ルポリ酸無水物を含む不揮発分53%のワニスを得た。
得られたワニス1990質量部に、メタノール100質
量部を加え、70℃で23時間反応させ、酸価127m
gKOH/g(固形分換算)のハーフエステル酸基含有
アクリル共重合体(d)を含むワニスを得た。なお、こ
のハーフエステル酸基含有アクリル共重合体(d)につ
いて赤外吸収スペクトルを測定し、酸無水物基の吸収
(1785cm-1)が消失しているのを確認した。
【0194】合成例6 カルボキシル基含有ポリエステ
ル樹脂(e) 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機及び精
留塔を備えた反応層に、ペンタエリスリトール136質
量部、ε−カプロラクトン456質量部及びジブチル錫
オキサイド0.1質量部を仕込み170℃に昇温し、3
時間にわたり170℃で保持した。その後、加温して溶
解したヘキサヒドロ無水フタル酸539質量部を加え、
150℃で1時間保持した後、3−エトキシプロピオン
酸エチル464質量部を加え、数平均分子量(Mn)1
700、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
n)=1.28、酸価174mgKOH/g(固形分換
算)、水酸基価25mgKOH/g(固形分換算)のカ
ルボキシル基含有ポリエステル樹脂(e)を含む不揮発
分71%のワニスを得た。
【0195】合成例7 エポキシ基含有アクリル共重合
体(f) 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを
備えた2Lの反応槽に、キシレン500質量部を仕込み
125℃に昇温した。この反応槽に滴下ロートを用い、
メタクリル酸グリシジル380質量部、スチレン200
質量部、メタクリル酸−2−エチルヘキシル292質量
部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル128質量部及
びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1
00質量部とキシレン100質量部とからなる溶液を3
時間かけて滴下した。滴下終了後30分間にわたり12
5℃で保持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート10質量部とキシレン10質量部とから
なる溶液を30分間で滴下した。この滴下終了後、更に
1時間、125℃にて反応を継続させ、数平均分子量
(Mn)3700、エポキシ当量400(固形分換
算)、水酸基価47mgKOH/g(固形分換算)のエ
ポキシ基含有アクリル樹脂(f)を含む不揮発分62%
のワニスを得た。
【0196】合成例8 シリケートグラフトアクリル樹
脂(g) 温度計、攪拌機、冷却管及び窒素導入管を備えた1Lの
反応槽の内部を窒素ガスで置換し、メチルシリケートと
してMS−56(商品名、三菱化学社製)100質量
部、及び、合成例7で得たエポキシ基含有アクリル共重
合体(f)270質量部を加えて、90℃で12時間グ
ラフト反応を行い、加水分解可能なシリケート化合物を
グラフトしたエポキシ基含有アクリル共重合体であるシ
リケートグラフト重合体(g)を含む不揮発分72%の
ワニスを得た。
【0197】合成例9 水酸基含有アクリル樹脂(h) 合成例1において、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート50質量部及びトルエン300質量部と
からなる溶液を3時間かけて滴下し、滴下終了後30分
間にわたり105℃で保持した後、t−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート5質量部及びトルエン2
00質量部を添加したこと以外は、合成例1と同様にし
て合成した。数平均分子量(Mn)6000、酸価13
mgKOH/g(固形分換算)及び水酸基価60mgK
OH/g(固形分換算)の水酸基含有アクリル樹脂
(h)を含む不揮発分50%のワニスを得た。
【0198】実施例1〜5 表1及び表2に示した配合で各配合物を仕込み、ディス
パー攪拌して、本発明で用いられる透明プライマー
(1)、(2)及び(3)並びにクリヤー塗料(1)、
(2)及び(3)を得た。なお、表1中、ユーバン20
N−60(商品名、三井化学社製)とは、不揮発分60
%のメラミン樹脂であり、表面調整剤とは、モダフロー
(商品名、モンサント社製)である。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】次いで、得られた透明プライマー(1)、
(2)及び(3)並びにクリヤー塗料(1)、(2)及
び(3)をそれぞれ、酢酸ブチル/キシレン=1/1か
らなるシンナーにより、フォードカップNo.4で20
秒の塗装粘度まで希釈・調整した。
【0202】リン酸処理鋼板に日本ペイント社製カチオ
ン電着塗料パワートップV−20及びポリエステル・メ
ラミン系グレー中塗り塗料オルガH−870(いずれも
商品名)をそれぞれ、乾燥膜厚が25μmおよび40μ
mになるように塗装して加熱硬化させた試験板に、日本
ペイント社製オルガH−300−18G(商品名)のシ
ルバーメタリックベース塗料を静電塗装機AutoRE
A(商品名、ランズバーグ社製)により霧化圧5Kg/
cm2 で塗布し、約7分間セッティング後、その上にウ
エットオンウエットで、表2に示したクリヤー塗料
(1)〜(3)を、それぞれスプレーで塗布し、約7分
間セッティング後140℃で30分間焼き付け乾燥を行
い、塗装方式として2コート1ベーク(2C1B)の1
コート目の塗装試験板をそれぞれ作製し、デシケータ中
で30分間放置した。なお、ベース塗料およびクリヤー
塗料による硬化塗膜は乾燥膜厚がそれぞれ15μmおよ
び40μmとなるように塗装した。
【0203】続いて、表1に示した透明プライマー
(1)〜(3)を塗装試験板にそれぞれスプレーで塗布
し、その上にウエットオンウエットで1コート目と同じ
くベース塗料、続いて1コート目と同じクリヤー塗料を
塗装し、140℃で30分間焼き付け乾燥を行い、3コ
ート1ベーク(3C1B)の2コート目の塗装試験板を
それぞれ作製した。なお透明プライマーは乾燥膜厚が1
0μmとなるように塗装した。得られた復層塗膜は以下
に示す評価方法により評価した。その結果を表3に示し
た。
【0204】評価方法 (1)NSR性 (1−a)初期リコート付着性 カッター(NTカッター(商品名)S型、A型又はその
相当品)の切り刃を、得られた初期の硬化塗膜面に対し
て約30度に保持して、素地に達する2mmのごばん目
を形成し、その上に粘着テープ(ニチバン社製セロテー
プ)を気泡が残らないように指先で均一に圧着させた。
直ちに粘着テープの一端を持ち、塗面に対して垂直に急
激に引っ張って試験片から粘着テープを剥がした。この
ときの[剥がれなかったます目の数]/[ごばん目のま
す目の数=100]を目視で測定して初期リコート付着
性を評価した。
【0205】(1−b)耐温水性試験後リコート付着性 得られた硬化塗膜を40℃の温水中に10日間浸漬した
後、初期リコート付着性と同様にして、耐温水性試験後
リコート付着性を評価した。 (1−c)耐温水性試験 得られた硬化塗膜を40℃の温水中に10日間浸漬した
後、塗膜表面を以下の基準により目視評価した。 ○:変化が観察されない。 △:かすかにフクレ(ブリスター)が見られる。 ×:明確にフクレ(ブリスター)が見られる。
【0206】(2)屋外曝露耐汚染性試験 JIS K5400 9.9に準拠して屋外曝露試験を
行い、1月及び6月経過後に、水接触角及び初期塗膜と
の明度差(ΔL)を測定した。
【0207】比較例1〜3 透明プライマー(1)〜(3)を使用しなかったこと以
外は、実施例と同様にして塗装を行い、評価した。
【0208】
【表3】
【0209】なお、表3中、比較例1〜3についての屋
外曝露耐汚染性試験は、NSR性が悪かったため、実施
しなかった。
【0210】表3から明らかなように、実施例1〜5で
形成された複層塗膜は、1カ月暴露後、6カ月暴露後の
水接触角が低く、塗膜表面が充分な親水性を示し、耐汚
染性が優れ、更にその上に、初期及び耐温水試験後のリ
コート付着性並びに耐温水性試験が優れていたことか
ら、1コート目のクリヤー塗膜と2コート目のベース塗
膜とのNSR性が優れ、塗膜外観を損なうことはなかっ
た。一方、比較例で形成された複層塗膜は、耐温水試験
後のリコート付着性並びに耐温水性試験が劣っていたこ
とから、NSR性が劣り、塗膜外観を損なった。
【0211】
【発明の効果】本発明の自動車車体の複層塗膜形成方法
は、上述の構成よりなるので、その硬化塗膜は、高い架
橋密度を有するために耐候性等の基本性能を有し、高い
親水性を有するために洗車フリーで美粧性を維持しつ
つ、しかも、優れたNSR性及び耐水性を有するため
に、塗膜外観が損なわれることがない。本発明の自動車
車体は、優れた外観及び塗膜性能を示し、洗車のいらな
いメンテナンスフリーとすることができる。
フロントページの続き (72)発明者 田辺 久記 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 須藤 伸久 広島県広島市南区仁保沖町1番30号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 久保田 寛 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 山根 貴和 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D026 AA64 3D114 CA10 4D075 AE12 AE17 AE27 BB26Y BB26Z BB92Y CA02 CA04 CA13 CA32 CA33 CA34 CA37 CA38 CA44 DA06 DA23 DB01 DC12 EA07 EA41 EA43 EB14 EB20 EB22 EB32 EB33 EB35 EB38 EB42 EB45 EB52 EB55 EB56 EC07 EC54

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車外板上に、ベース塗料〔1〕及び
    クリヤー塗料〔2〕を塗装し、焼き付けた後、更に透明
    プライマー〔3〕を塗装し、続いてベース塗料〔4〕及
    びクリヤー塗料〔5〕を塗装し、焼き付けることからな
    る自動車車体の複層塗膜形成方法であって、前記クリヤ
    ー塗料〔2〕及び前記クリヤー塗料〔5〕は、酸/エポ
    キシ硬化型クリヤー塗料(A)、又は、メラミン硬化型
    クリヤー塗料(B)であり、前記クリヤー塗料〔2〕及
    び前記クリヤー塗料〔5〕は、加水分解可能なシリケー
    ト化合物(i)、及び/又は、加水分解可能なシリケー
    ト化合物をグラフトしてなる樹脂(ii)を含むものであ
    って、前記透明プライマー〔3〕は、アルコキシシリル
    基及びエポキシ基を含有する樹脂(I)を含むものであ
    ることを特徴とする自動車車体の複層塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
    〔5〕は、酸/エポキシ硬化型クリヤー塗料(A)であ
    り、ハーフエステル酸基含有アクリル共重合体(II)及
    びエポキシ基含有アクリル共重合体(III)を樹脂成分
    とするものであって、前記ハーフエステル酸基含有アク
    リル共重合体(II)は、酸無水物基含有ラジカル重合性
    単量体(II−a)とその他のラジカル重合性単量体(II
    −b)とにより共重合体を得た後、前記酸無水物基を低
    分子量のアルコール系化合物によってハーフエステル化
    することにより得られるものであり、前記エポキシ基含
    有アクリル共重合体(III)は、全単量体の合計を10
    0質量部として、エポキシ基含有ラジカル重合性単量体
    (III−a)30〜70質量部、水酸基含有ラジカル重
    合性単量体(III−b)10〜50質量部、及び、その
    他のラジカル重合性単量体(III−c)20〜60質量
    部を共重合して得られる共重合体であって、数平均分子
    量(Mn)1000〜8000、エポキシ当量100〜
    800(固形分換算)、水酸基価5〜200mgKOH
    /g(固形分換算)のものである請求項1記載の自動車
    車体の複層塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
    〔5〕は、更に、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
    (IV)を樹脂成分とするものであり、前記カルボキシル
    基含有ポリエステル樹脂(IV)は、低分子多価アルコー
    ルにラクトン化合物を付加させて鎖延長反応を行うこと
    により得られるポリエステルポリオールを、酸無水物基
    含有化合物とハーフエステル化することにより得られる
    ものである請求項2記載の自動車車体の複層塗膜形成方
    法。
  4. 【請求項4】 クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
    〔5〕は、メラミン硬化型クリヤー塗料(B)であり、
    水酸基含有アクリル樹脂30〜85質量%及びメラミン
    系硬化剤15〜70質量%を樹脂成分とするものであっ
    て、前記水酸基含有アクリル樹脂は、数平均分子量(M
    n)800〜8000、水酸基価30〜200mgKO
    H/g(固形分換算)のものである請求項1記載の自動
    車車体の複層塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】 クリヤー塗料〔2〕及びクリヤー塗料
    〔5〕において、加水分解可能なシリケート化合物
    (i)の量、及び、加水分解可能なシリケート化合物を
    グラフトしてなる樹脂(ii)中の加水分解可能なシリケ
    ート化合物のグラフト量の合計は、前記クリヤー塗料
    〔2〕及び前記クリヤー塗料〔5〕中の各樹脂成分全量
    に対して、固形分換算で、0.1〜50質量%で含まれ
    るものである請求項1、2、3又は4記載の自動車車体
    の複層塗膜形成方法。
  6. 【請求項6】 アルコキシシリル基及びエポキシ基を含
    有する樹脂(I)は、透明プライマー〔3〕中の樹脂成
    分全量に対して、3〜30質量%含まれるものである請
    求項1、2、3、4又は5記載の自動車車体の複層塗膜
    形成方法。
  7. 【請求項7】 アルコキシシリル基及びエポキシ基を含
    有する樹脂(I)は、アクリル共重合体であり、アルコ
    キシシリル基含有ラジカル重合性単量体(I−a)及び
    エポキシ基含有ラジカル重合性単量体(I−b)を必須
    単量体成分として共重合して得られるものである請求項
    1、2、3、4、5又は6記載の自動車車体の複層塗膜
    形成方法。
  8. 【請求項8】 アルコキシシリル基含有ラジカル重合性
    単量体(I−a)は、アクリル共重合体中の単量体成分
    中、5〜50質量%含まれるものである請求項7記載の
    自動車車体の複層塗膜形成方法。
  9. 【請求項9】 透明プライマー〔3〕は、乾燥膜厚が3
    0μm以下である請求項1、2、3、4、5、6、7又
    は8記載の自動車車体の複層塗膜形成方法。
  10. 【請求項10】 透明プライマー〔3〕は、乾燥膜厚が
    5〜15μmである請求項9記載の自動車車体の複層塗
    膜形成方法。
  11. 【請求項11】 複層塗膜を有する自動車車体であっ
    て、前記複層塗膜は、請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9又は10記載の自動車車体の複層塗膜形成方
    法により形成されたものであることを特徴とする自動車
    車体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020137556A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 クリヤー塗料組成物および塗膜形成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020137556A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 クリヤー塗料組成物および塗膜形成方法

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