JP5491303B2 - 自動車車体の積層塗膜、自動車車体の塗装方法及び自動車車体 - Google Patents
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Description
自動車車体の塗膜には外観向上に関する役割や被塗装物の保護等の機能性に関する役割があり、特に中塗塗膜には、この外観及び機能性に関する優れた性能が要求され、外観向上に関する役割として電着粗度の隠蔽性(下地隠蔽性)や、機能性に関する役割として耐チッピング性などの塗膜性能を満たす塗膜が形成される必要がある。
中塗塗料のための樹脂組成物としては、上塗塗装適性、顔料分散性、ならびにサンディング適性の点からポリエステル樹脂を主成分(必須樹脂成分)として用いるのが一般的である(特許文献1等)。しかしながら、従来のポリエステル系樹脂を主剤とする中塗塗料の硬化形式はメラミン硬化系が一般的であり、一般自動車向けの仕上がり外観は得られても、高級自動車向けの高外観塗装としては、十分な仕上がり外観が得られない場合があった。
また、中塗塗料の塗装及び焼き付けを、それぞれ2回ずつ行う塗装方法が提案されているが(特許文献2)、これだけでは、高外観の積層塗膜を形成することが困難であった。
(1)金属基材上に、電着塗膜、第1中塗塗膜、第2中塗塗膜、ベース塗膜、クリヤー塗膜をこの順で積層した自動車車体の積層塗膜であって、前記第1中塗塗膜を構成する第1中塗塗料、及び、前記第2中塗塗膜を構成する第2中塗塗料は、酸価が50〜300mgKOH/g(固形分)であるカルボキシル基とカルボン酸エステル基を含有するアクリル樹脂(A)、エポキシ基当量が50〜700であるエポキシ基含有アクリル樹脂(B)を含有する酸エポキシ硬化型中塗塗料であり、前記第1中塗塗料は、顔料(C1)として着色顔料及び体質顔料を含有し、前記第2中塗塗料は、顔料を含有しない又は顔料(C2)として体質顔料のみを含有することを特徴とする自動車車体の積層塗膜。
(2)前記第1中塗塗料及び/又は前記第2中塗塗料が更に、酸価が50〜350mgKOH/g(固形分)であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の自動車車体の積層塗膜。
(3)前記第1中塗塗料の着色顔料及び体質顔料の濃度(PWC)がそれぞれ15〜50質量%及び0を超え〜35質量%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の自動車車体の積層塗膜。
(4)前記第2中塗塗料の体質顔料の濃度(PWC)が0〜15質量%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜。
(5)前記ベース塗料が、溶剤ベース塗料又は水性ベース塗料であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜。
(6) 前記クリヤー塗料が、酸エポキシ硬化型クリヤー塗料、2液混合型ウレタンクリヤー塗料又はアクリルメラミン型クリヤー塗料であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の塗装方法特徴とする自動車車体の積層塗膜。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜を形成する塗装方法であって、電着塗膜を形成した金属基材上に、第1中塗塗料を塗布して未硬化の第1中塗塗膜を形成する工程、次いでウエットオンウエット塗装で第2中塗塗料を塗布し、焼付け硬化して第1中塗塗膜及び第2中塗塗膜を形成する工程、この工程の後にベース塗料を塗布して未硬化のベース塗膜を形成する工程、次いでウエットオンウエット塗装でクリヤー塗料を塗布し、焼付け硬化してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する工程、を包含することを特徴とする自動車車体の塗装方法。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層塗膜を有する自動車車体。
当該積層塗膜は、本発明の自動車車体の塗装方法により形成することができる。以下、本発明の塗装方法を積層塗膜の形成工程順に説明する。
カチオン性基体樹脂としては、特に限定されないが、例えば、特公昭54−4978号公報、特公昭56−34186号公報等に記載されたアミン変性エポキシ樹脂系、特公昭55−115476号公報等に記載されたアミン変性ポリウレタンポリオール樹脂系、特公昭62−61077号公報、特開昭63−86766号公報等に記載されたアミン変性ポリブタジエン樹脂系、特開昭63−139909号公報、特公平1−60516号公報等に記載されたアミン変性アクリル樹脂系、特開平6−128351号公報等に記載されたスルホニウム基含有樹脂系等を挙げることができる。上記引例に記載されたものの他、ホスホニウム基含有樹脂系等を使用することもできる。上記カチオン性基体樹脂のなかでも、アミン変性エポキシ樹脂系を使用することが好ましい。硬化剤としては、アミノ樹脂や、ブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
このカチオン電着塗料は、公知の方法で水中に混合分散させることによって調製される。例えば、該成分を水混和性有機溶剤中に溶解させた状態で水及び酸(例えば酢酸、ギ酸、乳酸、りん酸、硫酸などの水溶性有機酸または無機酸)と混合し中和して電着塗料浴を形成するか、または該成分を水性媒体中に分散させ、酸で中和して電着塗料浴を形成する方法などがあげられる。カチオン電着塗料には、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、沈降防止剤などを必要に応じて配合できる。
自動車車体が車体組立工程から塗装工程に移され、最初に車体に付着した油や塵埃が除去されると共に、必要に応じて車体を構成する金属基材表面に防錆用の化成皮膜が形成される。金属基材としては、特に制限はないが、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、アルミ素材等を用いることができる。
次いで車体(被塗物)は洗浄され、電着塗料で満たされた電着塗装槽に浸漬される。電着塗装槽では、電着塗料に高電圧が印加されることにより電着塗料が電気泳動し、これにより、車体に電着塗膜(下塗り塗膜)が形成される。この電着塗装槽から出槽した車体は、次の電着水洗工程において洗浄されて、車体に付着した余分な電着塗料が洗い流される。このように電着水洗を終了した車体は、次に、電着乾燥炉に搬入されて電着塗膜を焼き付けて硬化させた後に、中塗塗装工程に移される。
これらの第1中塗塗料及び第2中塗塗料は、基本樹脂、硬化剤及び有機溶剤を主成分とするものである。
基本樹脂としては、酸価が50〜300mgKOH/g(固形分)であるカルボキシル基とカルボン酸エステル基を含有するアクリル樹脂(A)(以下単に「酸基含有アクリル樹脂(A)」という)、エポキシ基当量が50〜700であるエポキシ基含有アクリル樹脂(B)を含有する酸エポキシ硬化型中塗塗料が使用される。
そして、第1中塗塗料は、顔料として着色顔料及び体質顔料を含有し、必要に応じて、沈降防止剤などを適宜配合した液状塗料であり、第2中塗塗料は、顔料を含有しない又は顔料として体質顔料のみを含有し、必要に応じて、沈降防止剤などを適宜配合した液状塗料である。
有機溶剤としては、通常の塗料用有機溶剤が使用でき、例えば脂肪族系、脂環族系、芳香族系の炭化水素溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤などがあげられる。これらの中塗塗料は公知の方法で調製される。
酸無水物基を有するアクリル樹脂(a1)は、例えば、酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー(a1−1)15〜40質量%、好ましくは15〜35質量%と、酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマー(a1−2)60〜85質量%、好ましくは65〜85質量%とを共重合させることにより得られる。酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー(a1−1)の量が15質量%を下回ると硬化性が不足し、40質量%を上回ると得られる塗膜が固くもろくなりすぎて耐候性が不足する傾向がある。酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー(a1−1)としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸及び無水シトラコン酸等が挙げられる。
ここで用いる水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(a1−2−1)の炭素数は5〜23であることが好ましく、5〜13であることがさらに好ましい。この鎖長が短すぎると架橋点近傍のフレキシビリティーがなくなるため固くなりすぎ、長すぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎるからである。一般には、次式(I)で示す構造を有するモノマーが挙げられる。
このような化合物は市販されており、例えば、三菱化学(株)製のアクリル酸4−ヒドロキシブチル「4HBA」及びメタクリル酸4−ヒドロキシブチル「4HBMA」等、ダイセル化学工業(株)社製「プラクセルFM1」及び「プラクセルFA1」等が挙げられる。プロピレンオキサイド系モノマーとしては日油(株)製の「ブレンマーPP−1000」、「ブレンマーPP−800」及びエチレンオキサイド系モノマーとしては、「ブレンマーPE−90」がある。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(a1−2−1)と酸無水物基含有化合物(a1−2−2)とのハーフエステル化の反応は通常の方法に従い、室温から150℃の温度で行なわれる。
酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー(a1−1)と酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマー(a1−2)との共重合、及び、上述のモノマー(a1−2−3)と酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマー(a1−2)との共重合は、例えばラジカル重合等の溶液重合のような公知の方法により行われる、例えば、常圧または加圧下で重合温度100〜200℃、重合時間3〜8時間で行うことができる。開始剤としてはアゾ系またはパーオキサイド系の開始剤が好適に用いられる。連鎖移動剤のような他の添加剤も用いうる。
本発明で用いられるモノアルコール(a2)は、1〜12個、特に1〜8個の炭素原子を有することが好ましい。酸基含有アクリル樹脂(A)を加熱するとこれらのアルコール成分が容易に脱離し揮発するので、酸無水物基の再生が容易である。好ましいモノアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、フリフリルアルコール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、アセトール、アリルアルコール及びプロパルギルアルコール等が挙げられ、併用することもできる。特に好ましいものはアセトール、フリフリルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、エタノール及びメタノールである。
酸基含有アクリル樹脂(A)成分は、中塗塗料中の全固形分の質量を基準として10〜70質量%、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは20〜45質量%の割合で中塗塗料に配合される。この配合量は、塗膜の耐酸性を考慮すると多い方が好ましく、塗膜のもろさを考慮すると少ない方が好ましい。
このエポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%とエポキシ基を有しないエチレン性不飽和モノマー40〜90質量%、好ましくは50〜85質量%とを、共重合することにより得られるアクリル系ポリエポキシドである。エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの量は、塗膜の十分な硬化性を考慮すると多い方が好ましく、塗膜の耐候性を考慮すると少ない方が好ましい。
エポキシ基を有しないエチレン性不飽和モノマーとしては、酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマー(a1−2)として前掲したモノマーが挙げられる。共重合も酸基含有アクリル樹脂(A)の場合と同様に行うことができる。
特に、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーをエポキシ基を有しないエチレン性不飽和モノマーとして用いた場合、得られる塗膜の密着性及びリコート性等が向上する。また、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを用いて得られる、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、後述するように、酸基アクリル樹脂(A)と、水酸基及びエポキシ基の両方の官能基において反応し結合するので、より強固な塗膜を得ることができる。
特に好ましいエポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、(i)前掲の式(I)の構造を有する水酸基含有エチレン性不飽和モノマー5〜70質量%と、(ii)エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー10〜60質量%と、必要に応じて(iii)水酸基とエポキシ基の両者を有しないエチレン性不飽和モノマー0〜85質量%とを共重合することにより得ることができる。
この場合、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、1分子中にエポキシ基を平均で好ましくは2〜12個、より好ましくは3〜10個、及び水酸基を平均で好ましくは0.5〜10個、より好ましくは1〜8個有する。
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、第1中塗塗料においては、中塗塗料中の全固形分の質量を基準として10〜75質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%の量で配合される。エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、第2中塗塗料においては、中塗塗料中の全固形分の質量を基準として10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%の量で配合される。エポキシ基含有アクリル樹脂(B)の量は、塗膜の十分な硬化性を考慮すると多い方が好ましく、塗膜の耐黄変性を考慮すると少ない方が好ましい。
着色顔料としては、アゾレーキ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体等の有機顔料系、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料類が挙げられる。
また、体質顔料としては、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク等が挙げられる。
第1中塗塗料の着色顔料及び体質顔料の濃度(PWC)は、それぞれ15〜50質量%及び0を超え〜35質量%以下が好ましく、20〜40質量%及び5〜25質量%がさらに好ましい。また、第2中塗塗料において体質顔料を含有する場合、その濃度(PWC)は、0〜15質量%が好ましく、7〜13質量%がさらに好ましい。
なお、「PWC」とは、塗料固形分に対する顔料の質量濃度をいう。
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)は、例えば、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールと酸無水物基含有化合物とをハーフエステル化反応させて得ることができる。尚、「ポリエステルポリオール」とは、エステル結合鎖を2個以上有する多価アルコールをいう。また、多価アルコールとは、水酸基を2個以上有するアルコールをいう。
ここで用いるポリエステルポリオールは、酸無水物基含有化合物と反応して一分子当たり2個以上の酸官能性及び下記の特性を有するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)を提供する。
一般に、このようなポリエステルポリオールは、少なくとも3個の水酸基を有する炭素数3〜16までの低分子多価アルコールと直鎖状脂肪族ジカルボン酸とを縮合させることにより調製される。低分子多価アルコールに直鎖状の脂肪族基を導入することにより、得られる塗膜に可撓性が付与され耐衝撃性が向上する。
ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの混合物のような二塩基酸が挙げられる。また、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸及びこれらの混合物のような酸無水物基含有化合物も用いることができる。
本発明において特に好ましいポリエステルポリオールは、低分子多価アルコールにε−カプロラクトンのようなラクトン化合物を付加させて鎖延長することにより得られるものである。分子量分布がシャープとなるので、更に中塗塗料のハイソリッド化が可能となり、耐候性及び耐水性に優れた塗膜が得られるからである。この場合に特に好ましく用いられる低分子多価アルコールには、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
具体的には、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン及びγ−ブチロラクトン等が挙げられるが、好ましくはε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン及びγ−ブチロラクトンが用いられる。
鎖延長は、通常の開環付加反応と同様の条件で行うことができる。例えば、適当な溶媒中で、または無溶媒で、温度80〜200℃で5時間以内反応させることにより低分子多価アルコールが鎖延長されたポリエステルポリオールが得られる。スズ系触媒等を用いても良い。
その際、低分子多価アルコールの水酸基のモル量に対し、ラクトン化合物のモル量は0.2〜10倍量であり、好ましくは0.25〜5倍量であり、より好ましくは0.3〜3倍量である。OH基のモル量に対するラクトン化合物のモル量は、塗膜の耐衝撃性を考慮すると多い方が好ましく、塗膜の十分な硬度を確保するためには少ない方が好ましい。
酸価は、中塗塗料の十分な固形分濃度を確保するためには小さい方が好ましく、塗膜の十分な硬化性を確保するためには大きい方が好ましい。数平均分子量は、中塗塗料の十分な固形分濃度を確保するためには小さい方が好ましく、塗膜の十分な硬化性や塗膜の耐水性を考慮すると大きい方が好ましい。重量平均分子量/数平均分子量の比は、塗膜の耐水性や耐候性を考慮すると小さい方が好ましい。
水酸基を有するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)は、塗膜の表面にカルボキシル基と水酸基とを同時に提供するので、例えば、リコートしたような場合、水酸基を有しないポリエステルポリカルボン酸に比べて、優れた密着性を提供する。
その場合、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)の水酸基価は、150mgKOH/g(固形分)以下、好ましくは5〜100mgKOH/g、より好ましくは10〜80mgKOH/gである。水酸基価は、塗膜の耐水性を考慮すると小さい方が好ましい。
一般に、ポリエステルポリオールのOH基のモル量に対する酸無水物基含有化合物の酸無水物基のモル量を0.2〜1.0倍、特に0.5〜0.9倍とすることが望ましい。この値は、塗膜の十分な硬化性を確保するためには大きい方が好ましい。
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)は、中塗塗料中の全固形分の質量を基準として5〜70質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%の量で配合されうる。この量は、中塗塗料の十分な固形分濃度を確保するためには少ない方が好ましく、塗膜の耐候性を考慮すると多い方が好ましい。
溶剤ベース塗料は、基本樹脂、硬化剤及び有機溶剤を主成分とし、水性ベース塗料は、基本樹脂、硬化剤、有機溶剤及び水を主成分とする。さらに、これらの成分のほかに必要に応じて、着色顔料、沈降防止剤、体質顔料などを適宜配合することができ、公知の方法で調製し、液状塗料であるベース塗料を作製することができる。
基本樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。特に、水性ベース塗料の場合は、塗装作業性、耐候性、耐水性等の塗膜性能面からアクリルエマルション及び/または水溶性アクリル樹脂を使用することが好ましく、なかでも、アクリルエマルションがより好ましい。
硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、塗膜の諸性能、コストの点からメラミン樹脂が好ましい。また、低温での硬化性向上の観点から、ブロックイソシアネート樹脂、カルボジイミド化合物、または、オキサゾリン化合物を併用して添加することも好ましい。
また、水性ベース塗料には、クリヤー塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保するために粘性制御剤、その他の添加剤を適宜配合してもよい。
光輝性顔料としては特に限定されず、例えば、金属又は合金等の無着色若しくは着色された金属性光輝材及びその混合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉、グラファイト又は無色有色偏平顔料等を挙げることができる。分散性に優れ、透明感の高い塗膜を形成することができるため、金属又は合金等の無着色若しくは着色された金属性光輝材及びその混合物が好ましい。その金属の具体例としては、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等を挙げることができる。
光輝性顔料以外の顔料としては、中塗塗料において記載した着色顔料、体質顔料を用いることができる。顔料としては、光輝性顔料、着色顔料及び体質顔料のなかから、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光輝性顔料及びその他の全ての顔料を含めたベース塗料中の顔料濃度(PWC)は、一般的には0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜40質量%であり、より好ましくは1〜30質量%である。顔料濃度は、塗膜外観を考慮すると少ない方が好ましい。その他の添加剤としては、中塗塗料において例示したものを挙げることができる。
クリヤー塗料としては、酸エポキシ硬化型クリヤー塗料、2液混合型ウレタンクリヤー塗料又はアクリルメラミン型クリヤー塗料を用いることが好ましい。
酸エポキシ硬化型クリヤー塗料は、第1中塗塗料及び第2中塗塗料と同様の基本樹脂、硬化剤及び有機溶剤を用いた酸エポキシ硬化型クリヤー塗料を用いることができるので、ここではその説明は省略する。
この2液型クリヤー塗料は、更にポリラクトンポリオール(N)を、(L)/(N)=60/40〜100/0(固形分質量比)の範囲内で含み、水酸基含有アクリル樹脂(L)は、短側鎖ヒドロキシル基(L1)と長側鎖ヒドロキシル基(L2)を(L1)/(L2)=3/1〜1/3(モル比)で有し、ポリイソシアネートプレポリマー(M)のイソシアネート基当量MIと水酸基当量LOHの比率がMI/LOH=1/0.3〜1/2.0であることが好ましい。尚、長側鎖とは、炭素数6以上の側鎖をいい、短側鎖とは炭素数6未満の側鎖をいう。長側鎖の炭素数は15以上が好ましく、短側鎖の炭素数は3以下が好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(L)は、短側鎖ヒドロキシル基(L1OH)と長側鎖ヒドロキシル基(L2OH)の含有比率が(L1OH)/(L2OH)=3/1〜1/3(モル比)であることが好ましく、2/1〜1/2(モル比)であることがより好ましい。長側鎖ヒドロキシル基の含有比率は、塗膜の加水分解による耐侯性の低下を抑制するためには少ない方が好ましく、塗膜の復元力と耐擦傷性を確保するためには多い方が好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(L)は、ガラス転移温度が5〜50℃であることが好ましく、より好ましくは10〜40℃である。ガラス転移温度は、塗膜の復元力と耐擦傷性を確保するためには低い方が好ましく、塗膜の耐侯性や耐汚染性を考慮すると高い方が好ましい。
なお、上記ガラス転移温度は、水酸基含有アクリル樹脂(L)を合成する際に得られた、該水酸基含有アクリル樹脂(L)を含む樹脂ワニスから溶剤を減圧下で留去した後、示差走査熱量計(DSC)(熱分析装置SSC/5200H、セイコー電子社製)にて以下の昇温工程、降温工程及び昇温工程を行い、その第3工程の昇温時に測定した値である。
第1工程:20℃→100℃(昇温速度10℃/min)
第2工程:100℃→−50℃(降温速度10℃/min)
第3工程:−50℃→100℃(昇温速度10℃/min)
ポリラクトンポリオール(N)としては、特に制限はないが、例えば、下記一般式(1)で表される化合物のような2官能ポリカプロラクトンジオール類、下記一般式(2)で表される化合物のような3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。ポリラクトンポリオール(N)は1種のみでもよいし2種以上であってもよい。
ポリラクトンポリオール(N)は、官能基数が2〜5であることが好ましく、より好ましくは3〜4である。官能基数は、塗膜の復元力と耐擦傷性を確保するためには少ない方が好ましく、塗膜の耐侯性や耐汚染性を考慮すると多い方が好ましい。
2液混合型ウレタンクリヤー塗料において、水酸基含有アクリル樹脂(L)とポリラクトンポリオール(N)の固形分割合は(L)/(N)=60/40〜100/0(質量比)であることが好ましい。ポリラクトンポリオール(N)は、配合しなくても良いのであるが、配合する場合は、その固形分割合が前記(L)/(N)=60/40の割合を超えて多くなると、加水分解が起きやすく耐侯性が低下するので、(L)成分と(N)成分の合計固形分量に対し40質量%を超えないようにすることが好ましい。より好ましくは、(L)/(N)=80/20〜100/0(質量比)の範囲内である。
2液混合型ウレタンクリヤー塗料において、ポリイソシアネートプレポリマー(M)は、そのイソシアネート基当量(MI)の、水酸基含有アクリル樹脂(L)とポリラクトンポリオール(M)の合計水酸基当量(LOH)に対する比率が(MI)/(LOH)=1/0.3〜1/2.0となるように配合されていることが好ましく、1/0.5〜1/1.5となるように配合されていることがより好ましい。
イソシアネート基当量(MI)が前記範囲よりも少ないと、光劣化が生じやすく耐侯性が低下することになり、一方、イソシアネート基当量(MI)が前記範囲よりも多いと、復元力が不充分になり衝撃で生じた凹みを元の塗膜表面状態に戻すことができず耐擦傷性が低下することとなる。
2液混合型ウレタンクリヤー塗料には、必要に応じて、有機溶剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤等を適宜配合することができる。有機溶剤は、通常の塗料用有機溶剤が使用でき、例えば脂肪族系、脂環族系、芳香族系の炭化水素溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤などがあげられる。
電着塗装は、特に限定されることはなく、通常の電着塗装方法を適用することができる。
本発明では、電着塗膜を架橋硬化させた硬化塗膜面に第1中塗塗料を塗装する。第1中塗塗料をフォ−ドカップNo.4を用いて20℃で測定したときの粘度が20〜30秒となるようにシンナーで希釈し、それを、静電塗装、エアースプレー、エアーレススプレーなどにより塗装する。その膜厚は、硬化塗膜に基いて20〜50μm、特に30〜40μmであることが好ましい。
第2中塗塗料の粘度を13〜25秒に調整し、それを静電塗装、エアースプレー、エアーレススプレーなどにより、未硬化の第1中塗塗膜上に塗装する。その膜厚は硬化塗膜に基いて20〜40μm、特に25〜35μmであることが好ましい。そして、室温で放置後、約120〜160℃の雰囲気中に10〜30分間保持して、第1中塗塗料及び第2中塗塗料を架橋硬化させる。これにより、第1中塗塗料を焼付け硬化させた後に第2中塗塗料焼付け硬化させた場合より、第1中塗塗膜の表面を平滑化することができるようになる。
予備加熱後に、ウエットオンウエットで該塗面にクリヤー塗料を塗装する。具体的には、ベース塗料を塗装し、室温またはその付近の温度で数分間放置してから、クリヤー塗料を塗装する。室温で放置後、約120〜160℃に加熱して架橋硬化させる。なお、ベース塗料の膜厚は硬化塗膜に基いて5〜40μm、特に10〜30μmであることが好ましく、クリヤー塗料の膜厚は硬化塗膜に基いて20〜60μm、特に30〜50μmであることが好ましい。
以上のように、第1中塗塗料を焼付け硬化させない状態で、ウエットオンウエット塗装で第2中塗塗料を塗装しても高外観の積層塗膜が得られることから、第1中塗焼付け工程の削減によるコストの低減と、積層塗膜の高外観の両立を図ることができる。
製造例1 カルボキシル基とカルボン酸無水物基とを含有するポリマーの製造
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた3Lの反応槽に、キシレン700部、混合溶媒 ソルベッソ100(エクソン化学(株)製)350部仕込み、130℃に昇温した。この容器に滴下ロートを用い、スチレンモノマー300部、メタクリル酸2−エチルヘキシル109部、アクリル酸イソブチル325部、アクリル酸25.7部、無水マレイン酸240部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300部、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート150部とキシレン150部からなる溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分の間130℃で保持した後、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート20部及びキシレン20部からなる溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間、130℃にて反応を継続した後、溶剤1100部を蒸留し、不揮発分70%、数平均分子量2000のカルボキシル基とカルボン酸無水物基を含有するポリマー溶液(a−1)を得た。
製造例1で得たポリマー溶液(a−1)1590部に、トリエチルアミン2部、メタノール125部を加え、60℃で8時間反応させて、カルボキシル基とカルボン酸エステル基とを含有するポリマー溶液(A−1)を得た。このポリマー溶液(A−1)について、赤外線吸収スペクトルを測定し、酸無水物の吸収(1785cm−1)が消失するのを確認した。ポリマー溶液(A−1)の固形分酸価は、158(mgKOH/g)であった。
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた3Lの反応槽に、キシレン700部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート525部を仕込み、130℃に昇温した。上記の容器に、滴下ロートを用い、スチレンモノマー200部、メタクリル酸グリシジル229部、アクリル酸4−ヒドロシキブチル231部、メタクリル酸シクロヘキシル340部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート120部、及びキシレン200部とからなる溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分間にわたり130℃に保持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及びキシレン50部からなる溶液を30分間滴下した。この滴下終了後、更に1時間の間130℃にて反応を継続させた後、溶剤1200部を蒸留し、不揮発分77%、数平均分子量1800、エポキシ基当量625、水酸基当量623の水酸基とエポキシ基とを含有するポリマー溶液(B−1)を得た。
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた反応槽に、アゼライン酸183部、イソフタル酸285部、トリメチロールプロパン221部、カージュラE(シェル化学(株)製)110部、ネオペンチルグリコール290部を仕込み、加熱した。原料が融解し攪拌が可能となった後、ジブチル錫オキサイド0.2部を投入して攪拌を開始し、昇温速度を一定に保ちながら3時間かけて反応槽温度を180℃から220℃まで昇温した。この間に生成する縮合水は系外へ留去した。220℃に達したところで反応液を220℃で1時間保温した。その後反応槽内に還流溶剤としてキシレン30部を徐々に添加し、溶剤存在下の縮合に切り換えて反応を続けた。樹脂酸価が1以下に達したところで150℃に冷却し、ヘキサヒドロ無水フタル酸238部を滴下し、赤外線吸収スペクトルを測定して酸無水物基の吸収(1785cm-1)が消失するまで保温した後、100℃まで冷却した。更に、キシレン383部を加え、不揮発分75%、数平均分子量1100、酸価70(mgKOH/g)、水酸基価200(mgKOH/g)のポリエステル樹脂溶液(D−1)を得た。
(1)塗料の調製
製造例2で得られた樹脂(A−1)、製造例3で得られた樹脂(B−1)、製造例4で得られた樹脂(D−1)、及び表1の顔料を表1に示す割合で混合して、シンナー(日本ペイント(株)製のN175/N150=5/5)で、粘度が18秒になるように希釈し、第1層用及び第2層用の中塗塗料を調製した。
ベース塗料としては、ブラックの光輝性顔料を含有する溶剤ベース塗料(日本ペイント(株)製SP M−180ブラック)をシンナー(日本ペイント(株)製のN271/N103=30/70(質量比))で粘度が12秒になるように希釈したものを準備した。
クリヤー塗料としては、2液混合型ウレタンクリヤー塗料(日本ペイント(株)製スーパーラック0−1200クリヤー)をシンナー(日本ペイント(株)製N1297)で粘度が18秒になるように希釈したものを準備した。
ダル鋼板に対して、サーフダインSD2000(日本ペイント(株)製)を用いて前処理し、次いで、パワーニックスPN1030(日本ペイント(株)製カチオン電着塗料)を用いて、乾燥膜厚が20μmになるような電着塗装し、170℃で30分間焼付けた。
次いで回転霧化塗装で、第1層用の中塗塗料を膜厚35μmで塗装した。更に、ウエットオンウエットで該塗面に回転霧化塗装で、第2層用の中塗塗料を膜厚30μmで塗装した。その後、140℃で20分間焼付けて、第1中塗塗膜及び第2中塗塗膜を形成した。
次いで、エアスプレー塗装で、溶剤ベース塗料を膜厚15μmで塗装し、60℃で3分間予備加熱し、ウエットオンウエットで該塗面にクリヤー塗料をエアスプレー塗装にて膜厚40μmで塗装した後、140℃で20分間焼付け、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成した。
得られた多層塗膜について、以下の測定及び試験を行い、表1の結果を得た。塗膜外観の鮮映性は、ビッグ・ケミー(株)製WAVE SCAN DOIを使用し、長波長(Lw)を平滑感、短波長(Sw)をツヤ感として評価した。当該長波長(Lw)は、600μm以上10000μm以下の波長領域での凹凸の大きさを表わすものであり、数値が小さいほど平滑感が高いことを意味する。一方、当該短波長(Sw)は、80μm以上600μm未満の波長領域での凹凸の大きさを表すものであり、数値が小さいほどツヤ感が高いことを意味する。
さらに、平滑感、ツヤ感について、目視評価も行なった。尚、表1において、各記号は以下の意味を有する。
◎:歪みがない。
○:殆んど歪みがない。
△:少し歪みがある。
×:かなりの歪みがある。
クリヤー塗料として、酸エポキシクリヤー塗料(日本ペイント(株)製スーパーラック0−590クリヤー)をシンナー(日本ペイント(株)製N1297)で粘度が18秒になるように希釈したものを使用したほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表1の結果を得た。
クリヤー塗料として、アクリルメラミンクリヤー塗料(日本ペイント(株)製スーパーラック0−80クリヤー)をシンナー(日本ペイント(株)製N1297)で粘度が18秒になるように希釈したものを使用したほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表1の結果を得た。
ベース塗料として、ブラックの光輝性顔料を含有する水性ベース塗料(日本ペイント(株)製AR−2200ブラック)を脱イオン水で粘度が60秒になるように希釈したものを使用したほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表1の結果を得た。
第1中塗塗料、第2中塗塗料の組成を表1に示すものとしたほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表1の結果を得た。
第1中塗塗料及び第2中塗塗料の膜厚を、それぞれ25μm、20μmとしたほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表2の結果を得た。
第1中塗塗料、第2中塗塗料の組成、及び第1中塗塗料及び第2中塗塗料の膜厚を、それぞれを表2に示すものとしたほかは、実施例1と同様にして多層塗膜を形成し、表2の結果を得た。
第1中塗塗料、第2中塗塗料の組成を表1に示すものとし、さらに、第1層用の中塗塗料を膜厚35μmで塗装し、140℃で20分間焼付け、その後に、第2層用の中塗塗料を膜厚30μmで塗装し、140℃で20分間焼付けたほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表2の結果を得た。
第1層用の中塗塗料のみを使用し、第2中塗塗料を使用しなかったほかは、実施例1と同様にして、多層塗膜を形成し、表2の結果を得た。
Claims (8)
- 金属基材上に、電着塗膜、第1中塗塗膜、第2中塗塗膜、ベース塗膜、クリヤー塗膜をこの順で積層した自動車車体の積層塗膜であって、
前記第1中塗塗膜を構成する第1中塗塗料、及び、前記第2中塗塗膜を構成する第2中塗塗料は、酸価が50〜300mgKOH/g(固形分)であるカルボキシル基とカルボン酸エステル基を含有するアクリル樹脂(A)、エポキシ基当量が50〜700であるエポキシ基含有アクリル樹脂(B)を含有する酸エポキシ硬化型中塗塗料であり、
前記第1中塗塗料は、顔料(C1)として着色顔料及び体質顔料を含有し、
前記第2中塗塗料は、顔料を含有しない又は顔料(C2)として体質顔料のみを含有することを特徴とする自動車車体の積層塗膜。 - 前記第1中塗塗料及び/又は前記第2中塗塗料が更に、酸価が50〜350mgKOH/g(固形分)であるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の自動車車体の積層塗膜。
- 前記第1中塗塗料の着色顔料及び体質顔料の濃度(PWC)がそれぞれ15〜50質量%及び0を超え〜35質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車車体の積層塗膜。
- 前記第2中塗塗料の体質顔料の濃度(PWC)が0〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜。
- 前記ベース塗膜を構成するベース塗料が、溶剤ベース塗料又は水性ベース塗料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜。
- 前記クリヤー塗膜を構成するクリヤー塗料が、酸エポキシ硬化型クリヤー塗料、2液混合型ウレタンクリヤー塗料又はアクリルメラミン型クリヤー塗料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の自動車車体の積層塗膜を形成する塗装方法であって、
電着塗膜を形成した金属基材上に、第1中塗塗料を塗布して未硬化の第1中塗塗膜を形成する工程、
次いでウエットオンウエット塗装で第2中塗塗料を塗布し、焼付け硬化して第1中塗塗膜及び第2中塗塗膜を形成する工程、
この工程の後にベース塗料を塗布して未硬化のベース塗膜を形成する工程、
次いでウエットオンウエット塗装でクリヤー塗料を塗布し、焼付け硬化してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する工程、
を包含することを特徴とする自動車車体の塗装方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の積層塗膜を有する自動車車体。
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