JP2008013647A - 塗料組成物及び塗膜形成方法 - Google Patents

塗料組成物及び塗膜形成方法 Download PDF

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康二郎 門脇
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Abstract

【課題】耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性のいずれにも優れる硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を提供すること。
【解決手段】カルボキシル基含有化合物(A)、エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(B)、及びジオール成分として、炭素数が2〜10のジオールをカルボニル化剤と反応させて得られる50℃における粘度が10000mPa・s以下である数平均分子量400〜2500のポリカーボネートジオール化合物(C)を含有することを特徴とする塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な耐擦り傷性、耐酸性及び耐汚染性に優れる塗料組成物に関する。
自動車車体等の被塗物に塗装される塗料には、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性等の塗膜性能に優れることが要求されている。
従来、上記被塗物用の塗料として、メラミン架橋系塗料が汎用されている。メラミン架橋系塗料は、水酸基含有樹脂及び架橋剤であるメラミン樹脂を含有する塗料であり、加熱硬化時の架橋密度が高く、耐擦り傷性、仕上り性等の塗膜性能に優れている。しかし、この塗料には、メラミン架橋結合が酸性雨により加水分解され易く、塗膜の耐酸性が劣るという問題がある。
メラミン樹脂を使用しない架橋系として、官能基がカルボキシル基/エポキシ基、又はカルボキシル基/エポキシ基/水酸基からなる架橋系の塗料(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等)が開示されているが、これらの塗料は塗膜の耐酸性にこそ優れるが、耐擦り傷性、耐汚染性が不十分であるという欠点がある。
特開昭62−87288号公報 特開平2−45577号公報 特開平3−287650号公報等
本発明の目的は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性のいずれにも優れる硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂及びジオール成分として、炭素数が2〜10のジオールをカルボニル化剤と反応させて得られる特定範囲の粘度及び数平均分子量を有するポリカーボネートジオール化合物を含有する塗料組成物により上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、カルボキシル基含有化合物(A)、エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(B)及びジオール成分として、炭素数が2〜10のジオールをカルボニル化剤と反応させて得られる50℃における粘度が10000mPa・s以下である数平均分子量400〜2500のポリカーボネートジオール化合物(C)を含有することを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として上記記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
カルボキシル基含有化合物(A)、アクリル樹脂(B)、及び特定のポリカーボネートジオール化合物(C)を含有する本発明の塗料組成物によれば、ポリカーボネートジオール化合物(C)が、カルボキシル基含有化合物(A)及びアクリル樹脂(B)との相溶性が良好であることから仕上り性の良好な塗膜を得ることができる。また、ポリカーボネートジオール化合物(C)の水酸基とアクリル樹脂(B)の加水分解性アルコキシシリル基との反応により機械的強度等の塗膜物性を向上させることができ、カルボキシル基含有化合物(A)のカルボキシル基とアクリル樹脂(B)のエポキシ基との反応による架橋結合及びポリカーボネートジオール化合物(C)のカーボネート結合が耐加水分解性に優れることから、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性等のいずれにも優れた硬化塗膜を形成することができるという効果を奏する。
以下、本発明の塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある。)及び複層塗膜形成方法について詳細に説明する。
本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有化合物(A)、エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(B)、及びジオール成分として、炭素数が2〜10のジオールをカルボニル化剤と反応させて得られる50℃における粘度が10000mPa・s以下である数平均分子量400〜2500のポリカーボネートジオール化合物(C)を含有することを特徴とする塗料組成物である。
カルボキシル基含有化合物(A)
本塗料の化合物(A)は、カルボキシル基を有する化合物であり、通常、酸価が50〜500mgKOH/g、好ましくは80〜300mgKOH/gの化合物である。
化合物(A)の酸価が50mgKOH/gよりも小さくなると、得られる塗料組成物の硬化性が低下して塗膜の耐酸性、耐擦り傷性が低下する場合があり、また、酸価が500mgKOH/gよりも大きくなるとアクリル樹脂(B)及びポリカーボネートジオール化合物(C)との相溶性が低下して仕上り性が低下する場合がある。化合物(A)としては、例えば、以下の(A−1)及び(A−2)の化合物を挙げることができる。
(A−1):1分子中に酸無水基をハーフエステル化してなる基を有するビニル系重合体である。
ここで、酸無水基をハーフエステル化してなる基とは、酸無水基に脂肪族モノアルコールを付加し、開環して(即ちハーフエステル化して)得られるカルボキシル基とカルボン酸エステル基とからなる基を意味する。以下、この基を単にハーフエステル基ということがある。
化合物(A−1)は、例えば、ハーフエステル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、常法により共重合させることによって容易に得ることができる。また、ハーフエステル基を有するビニルモノマーに代えて、酸無水基を有するビニルモノマーを用いて、同様に共重合した後、該酸無水基をハーフエステル化することによっても、容易に得られる。
ハーフエステル基を有するビニルモノマーとしては、酸無水基を有するビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得た化合物、水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物等があげられる。
酸無水基を有するビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得た化合物としては、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基を有するビニルモノマーと、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とのモノエステル化物等をあげることができる。
水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物としては、具体的には、例えば、下記その他のビニルモノマーとして例示する水酸基含有ビニルモノマーに、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物等をあげることができる。
ハーフエステル化は、上記の通り、共重合反応の前後のいずれにおいても行うことができる。ハーフエステル化に使用される脂肪族モノアルコールとしては、低分子量のモノアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。ハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として用いて行なうことができる。
その他のビニルモノマーとしては、例えば、水酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルエーテル及びアリルエーテル;オレフィン系化合物及びジエン化合物;炭化水素環含有不飽和単量体;含窒素不飽和単量体等を挙げることができる。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸とのモノエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;無水マレイン酸や無水イタコン酸のような酸無水基含有不飽和化合物と、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とのジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテルのようなヒドロキシアルキルビニルエーテル類;アリルアルコール等;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラE10(シェル石油化学(株)製、商品名)やα−オレフィンエポキシドのようなモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸類のような一塩基酸との付加物;上記水酸基含有モノマーとラクトン類(例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン)との付加物等を挙げることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル等が挙げられる。
ビニルエーテル及びアリルエーテルとしては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、トリビニルエーテル等のアリルビニルエーテル類、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等のアラルキルビニルエーテル類;アリルグリシジルエーテル、アリルエチルエーテル等のアリルエーテル類等が挙げられる。
オレフィン系化合物及びジエン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
炭化水素環含有不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、p−tert−ブチル−安息香酸と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとのエステル化物、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
含窒素不飽和単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン等の芳香族含窒素モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;アリルアミン等が挙げられる。
上記モノマーの共重合は、一般的なビニルモノマーの重合法を用いることができるが、汎用性やコスト等を考慮して、有機溶剤中における溶液型ラジカル重合法が最も適している。即ち、キシレン、トルエン等の芳香族溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;n−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等の溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤の存在下、60〜150℃程度の範囲内で共重合反応を行なうことによって、容易に目的の重合体を得ることができる。
ハーフエステル基又は酸無水基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーの各モノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、次のような割合とするのが適当である。即ち、ハーフエステル基又は酸無水基を有するビニルモノマーは、硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜40質量%程度、好ましくは10〜30質量%であるのが良い。また、その他のビニルモノマーは、60〜95質量%程度、好ましくは70〜90質量%であるのが適当である。尚、酸無水基を有するビニルモノマーを使用した場合は、共重合反応後に、ハーフエステル化反応を行なうことは、前記の通りである。
また、化合物(A−1)は、数平均分子量1000〜10000の範囲内のアクリル系重合体であるのが好ましい。数平均分子量が1000より小さいと硬化塗膜の耐酸性が低下する場合があり、10000を越えるとアクリル樹脂(B)及びポリカーボネートジオール化合物(C)との相溶性が低下することにより、塗膜の仕上り外観が低下する場合がある。
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
(A−2):カルボキシル基含有ポリエステル系重合体である。
化合物(A−2)の数平均分子量は、特に限定されないが、通常、500〜10000、特に800〜5000の範囲内であるのが塗膜の仕上り外観の観点から好ましい。
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体は、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸との縮合反応によって容易に得ることができる。例えば、多価カルボン酸のカルボキシル基過剰の配合条件下で1段階の反応により、カルボキシル基含有ポリエステル系重合体を得られるし、又、逆に多価アルコールの水酸基過剰の配合条件下でまず水酸基末端のポリエステル系重合体を合成した後、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸等の酸無水基含有化合物を後付加させることによってもカルボキシル基含有ポリエステル系重合体を得ることができる。
また、カルボキシル基含有ポリエステル系重合体は、アクリル樹脂(B)及びポリカーボネートジオール化合物(C)との相溶性の向上や、アクリル樹脂(B)の加水分解性アルコキシシリル基との反応性の付与、また、付着性向上のために、水酸基価100mgKOH/g以下となる範囲内で水酸基を導入することもできる。水酸基の導入は、例えば、カルボキシル基過剰の配合条件においては縮合反応を途中で停止することによって行なうことができるし、また逆に水酸基過剰の配合条件においては、水酸基末端のポリエステル重合体を合成した後、後付加する酸無水基含有化合物を酸基が水酸基より少なくなるよう配合することにより容易に行なうことができる。
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体として特に好ましいものとして、下記のカルボキシル基含有高酸価ポリエステルをあげることができる。
カルボキシル基含有高酸価ポリエステルは、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の多価カルボン酸又はこれらの多価カルボン酸の低級アルキル化物とを、水酸基量がカルボキシル基量(酸無水基1モルはカルボキシル基2モルと計算)より過剰となる配合条件下でエステル化反応(縮合反応、エステル交換反応のいずれでもよい)して得られるポリエステルポリオールを、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸等の酸無水基含有化合物とハーフエステル化反応させることによって容易に得ることができる。
上記ポリエステルポリオールは、通常のエステル化反応条件によって得ることができ、このポリエステルポリオールは、数平均分子量が350〜4,700、好ましくは400〜3,000の範囲内にあり、水酸基価が70〜400mgKOH/g、好ましくは150〜350mgKOH/gの範囲内にあることが好適である。
カルボキシル基含有高酸価ポリエステルを得るための、上記ポリエステルポリオールのハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、通常、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として用いて行なうことができる。このカルボキシル基含有高酸価ポリエステルは、数平均分子量が800〜5,000、好ましくは900〜3,000の範囲内にあり、酸価が50〜500mgKOH/g、好ましくは100〜400mgKOH/gの範囲内にあることが適当である。
アクリル樹脂(B)
本塗料のアクリル樹脂(B)は、エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂である。
アクリル樹脂(B)は、エポキシ基を有するビニルモノマー、加水分解性アルコキシシリル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、前記化合物(A−1)の場合と同様の方法により共重合することによって合成することができる。
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
加水分解性アルコキシシリル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができ、好適には低温硬化性及び貯蔵安定性の観点から、加水分解性アルコキシシリル基がエトキシシリル基であるビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
その他のビニルモノマーとしては、前記(A−1)で例示したものと同様のものを使用することができる。
アクリル樹脂(B)は、カルボキシル基含有化合物(A)及びポリカーボネートジオール化合物(C)との相溶性の向上及び付着性向上等のために水酸基価200mgKOH/g以下の範囲内で水酸基を導入することもできる。
水酸基の導入は、水酸基含有ビニルモノマーを構成成分として共重合することにより行うことができる。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、前記(A−1)で例示したものと同様のものを使用することができる。
エポキシ基を有するビニルモノマー、加水分解性アルコキシシリル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、以下のような比率とするのが好ましい。エポキシ基を有するビニルモノマーは、硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜60質量%程度、特に10〜40質量%であるのが好ましい。加水分解性アルコキシシリル基を有するビニルモノマーは、硬化性及び耐スリ傷性の観点から、3〜40質量%程度、特に5〜30質量%であるのが好ましい。また、その他のビニルモノマーは、10〜80質量%程度、特に20〜50質量%であるのが好ましい。
アクリル樹脂(B)は、上記共重合量の範囲で重合することにより、通常、エポキシ基含有量が0.5〜5.0ミリモル/g、好ましくは0.8〜3.5ミリモル/gの範囲内、加水分解性アルコキシシリル基含有量が0.3〜5.0ミリモル/g、好ましくは0.8〜3.5ミリモル/gの範囲内となる。
アクリル樹脂(B)のエポキシ基含有量が0.5ミリモル/gよりも小さくなると、得られる塗料組成物の硬化性が低下して塗膜の耐酸性、耐擦り傷性が低下する場合があり、又エポキシ基含有量が5.0ミリモル/gよりも大きくなるとカルボキシル基含有化合物(A)及びポリカーボネートジオール化合物(C)との相溶性が低下する場合がある。
また、アクリル樹脂(B)の加水分解性アルコキシシリル基含有量が0.3ミリモル/gよりも小さくなると、得られる塗膜の耐酸性、耐擦り傷性が低下する場合があり、又加水分解性アルコキシシリル基含有量が5.0ミリモル/gよりも大きくなると塗料組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。
アクリル樹脂(B)の数平均分子量は、1000〜10000、特に1200〜7000の範囲内であるのが好ましい。数平均分子量が1000より小さいと硬化塗膜の耐酸性が低下する場合があり、10000を越えるとカルボキシル基含有化合物(A)及びポリカーボネートジオール化合物(C)との相溶性が低下する場合がある。
ポリカーボネートジオール化合物(C)
本発明の塗料組成物のポリカーボネートジオール化合物(C)は、ジオール成分として、炭素数が2〜10のジオールをカルボニル化剤と反応させて得られる50℃における粘度が10000mPa・s以下である数平均分子量400〜2500のポリカーボネートジオール化合物である。
ポリカーボネートジオール化合物は、一般にジオールとカルボニル化剤とを重縮合反応させることにより得ることができる。
本発明の塗料組成物のポリカーボネートジオール化合物に用いられるジオールは、炭素数が2〜10、好ましくは4〜8の2価のアルコールである。具体的には、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族系;1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式系;p−キシレンジオール、p−テトラクロロキシレンジオール等の芳香族系;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジオールをあげることができる。これらのジオールは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
本発明の塗料組成物のポリカーボネートジオール化合物(C)としては、耐久性及び硬度の観点から、1,6−ヘキサンジオールを含有するジオール成分とカルボニル化剤とを重縮合させてなるものが好ましい。
また、特に好ましいものとして、1,6−ヘキサンジオールを必須ジオール成分としてジオール成分を2種以上組合せて使用するものであって、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールの組合せ、1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールの組合せ、又は1,6−ヘキサンジオールと1,4−ジメチロールシクロヘキサンの組合せ等のジオール成分とカルボニル化剤とを重縮合させて得られるポリカーボネートジオール化合物をあげることができる。
カルボニル化剤としては、例えば、通常用いられるアルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート及びホスゲン等の1種又は2種以上を組合せて使用することができる。これらのうち好ましいものとして、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートをあげることができる。
本発明の塗料組成物のポリカーボネートジオール化合物(C)は、50℃における粘度が10000mPa・s以下である数平均分子量が400〜2500のポリカーボネートジオール化合物である。ここで、50℃における粘度が10000mPa・s以下であることが重要であって、数平均分子量が400〜2500の範囲内であっても50℃における粘度が10000mPa・sを超えると取り扱いが困難となり、また、カルボキシル基含有化合物(A)及びアクリル樹脂(B)との相溶性が不良となるため、塗膜の光沢低下又は白濁等が生じることにより塗膜の仕上り性が不良となるので本塗料のポリカーボネートジオール化合物としては好ましくない。
ポリカーボネートジオール化合物(C)の粘度は50℃において、10000mPa・s以下であり、好ましくは8000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下である。なお、粘度は50℃でB型粘度計を用いて6rpmの条件で測定した値である。
ポリカーボネートジオール化合物(C)の数平均分子量は、400〜2500であり、好ましくは500〜2000、より好ましくは800〜1500の範囲内である。
数平均分子量が400未満であると塗膜の耐擦り傷性、硬度、耐候性等が低下する場合がある。また、数平均分子量が2500を越えるとカルボキシル基含有化合物(A)及びアクリル樹脂(B)との相溶性が低下し、仕上り性が低下する場合がある。
ポリカーボネートジオール化合物(C)の水酸基価は好ましくは45〜280mgKOH/g、さらに好ましくは55〜225mgKOH/gである。水酸基価が45未満であると、塗膜の耐擦り傷性、硬度、耐候性等が低下する場合があり、280を越えると塗膜の仕上り性、耐擦り傷性、耐候性等が低下する場合がある。
ポリカーボネートジオール化合物(C)としては、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製のT−5650J(ジオール成分:1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオール)、T−4671(ジオール成分:1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオール);宇部興産社製のUM−CARB90(ジオール成分:1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ジメチロールシクロヘキサン)などをあげることができる。
本発明の塗料組成物のカルボキシル基含有化合物(A)、アクリル樹脂(B)及びポリカーボネートジオール化合物(C)の配合割合は、カルボキシル基含有化合物(A)とアクリル樹脂(B)との配合割合が前者のカルボキシル基と後者のエポキシ基との当量比で1:0.5〜0.5:1となる割合であるのが好ましい。
ポリカーボネートジオール化合物(C)の配合割合は化合物(A)とアクリル樹脂(B)との合計量100質量部に対して3〜25質量部となる割合であるのが好ましい。この配合割合を外れると、硬化性が低下して塗膜の耐酸性、耐擦り傷性が低下する場合がある。
さらに、配合割合は、化合物(A)とアクリル樹脂(B)との配合割合が前者のカルボキシル基と後者のエポキシ基との当量比で1:0.6〜0.6:1となる割合であるのが好ましく、ポリカーボネートジオール化合物(C)の配合割合が化合物(A)とアクリル樹脂(B)との合計量100質量部に対して5〜20質量部となる割合であるのがより好ましい。
また、本発明の塗料組成物中のカルボキシル基含有化合物(A)、アクリル樹脂(B)及びポリカーボネートジオール化合物(C)の量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の固形分合計100質量部を基準として、不揮発分として、カルボキシル基含有化合物(A)が20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%、アクリル樹脂(B)が20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%、ポリカーボネートジオール化合物(C)が3〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%の範囲内であるのが適している。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、カルボキシル基とエポキシ基との架橋反応に有効な触媒として、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルフォスフォニウムブロマイド、トリフェニルベンジルフォスフォニウムクロライド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類等を挙げることができる。これらのうち4級塩触媒が好適である。さらに、該4級塩に該4級塩とほぼ当量のモノブチルリン酸、ジブチルリン酸等のリン酸化合物を配合したものは、上記触媒作用を損なうことなく塗料の貯蔵安定性を向上させ且つ塗料の電気抵抗値の低下によるスプレー塗装適性の低下を防ぐことができる点から好ましい。
また、アルコキシシリル基の架橋反応に有効な触媒として、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート等の錫触媒;テトラブチルチタネート等のチタン系触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類等を挙げることができる。
上記触媒は、各々単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
また、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、塗料中や空気中に存在する水分による塗料の劣化を抑制するために、オルト酢酸トリメチル等のいわゆる脱水剤の使用も可能である。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料等の公知一般の顔料を配合できる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどの体質顔料;アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末などの光輝性顔料などをあげることができる。
本発明の塗料組成物には、更に必要に応じて、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂を添加することも可能である。また、例えばメラミン樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物等の架橋剤を少量併用することも可能である。更にまた、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤等の一般的な塗料用添加剤を配合することも可能である。
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤をあげることができる。
紫外線吸収剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤をあげることができる。
光安定剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが耐侯性、耐黄変性の面から好ましい。
本発明の塗料組成物の形態は特に制限されるものではないが、通常、有機溶剤型の塗料組成物として使用される。有機溶剤としては、各種の塗料用有機溶剤、例えば、芳香族又は脂肪族炭化水素系溶剤;アルコール系溶剤;エステル系溶剤;ケトン系溶剤;エーテル系溶剤等が使用できる。使用する有機溶剤は、配合する重合体の調製時に用いたものをそのまま用いても良いし、更に適宜加えても良い。該組成物の固形分濃度は、通常、30〜70質量%程度、好ましくは40〜60質量%程度である。
塗料組成物の塗装方法
本塗料を適用する被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体であるのが好ましい。また、これら車体等を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等であってもよい。
また、被塗物としては、上記車体や金属基材の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
本塗料の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法で塗膜を形成することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加してもよい。このうちエアスプレー塗装が特に好ましい。本塗料の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度となる量とするのが好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装する場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#No.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
被塗物に本塗料を塗装してなるウエット塗膜の硬化は、加熱することにより行われ、加熱は公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。加熱温度は、100〜180℃、好ましくは120〜160℃の範囲内にあることが適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが5〜60分間の範囲内であるのが好適である。
本塗料は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性及び仕上り性のいずれにも優れる硬化塗膜を得ることができることから、上塗りトップクリヤコート塗料として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
複層塗膜形成方法
上塗りトップクリヤコート塗料として、本塗料が塗装される複層塗膜形成方法として、
被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法をあげることができる。
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行なった後、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、ベースコートとクリヤコートを一緒に硬化させる2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法をあげることができる。
また、3コート2ベーク方式又は3コート1ベーク方式の上塗り塗装におけるトップクリヤコート塗料としても好適に使用することができる。
上記で用いられるベースコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂にアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を基体樹脂が含有する反応性官能基と適宜組合わせてなる塗料を使用することができる。
また、ベースコート塗料としては、環境問題、省資源等の観点から、有機溶剤の使用量の少ないハイソリッド型塗料、水性塗料又は粉体塗料が好ましい。
複層塗膜形成方法において、クリヤコートを2層以上塗装する場合、本塗料以外に、1層目のクリヤコート塗料として、従来から公知の通常の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとし、また、塗膜の膜厚はいずれも硬化塗膜に基づくものである。
カルボキシル基含有化合物(A)の製造例
製造例1 ハーフエステル基を有するビニル系重合体(a−1)の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー、溶剤及び重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは重合開始剤である。
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 500部
イソブチルメタクリレート 500部
無水マレイン酸 500部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール490部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、余分なメタノール326部を減圧下で除去し、ビニル系重合体(a−1)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3500であった。また、この重合体の半酸価は130mgKOH/gであった。
製造例2 ハーフエステル基を有するビニル系重合体(a−2)の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)630部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー、溶剤及び重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは重合開始剤である。
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 500部
エチルメタクリレート 665部
無水マレイン酸 335部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール328部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、余分なメタノール218部を減圧下で除去し、ビニル系重合体(a−2)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3500であった。また、この重合体の半酸価は87mgKOH/gであった。
製造例3 ハーフエステル基を有するビニル系重合体(a−3)の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)810部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマー、溶剤及び重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは重合開始剤である。
スチレン 250部
シクロヘキシルメタクリレート 250部
n−ブチルメタクリレート 500部
無水マレイン酸 1000部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール980部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、余分なメタノール652部を減圧下で除去し、ビニル系重合体(a−3)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3500であった。また、この重合体の半酸価は260mgKOH/gであった。
製造例4 カルボキシル基含有高酸価ポリエステル(a−4)の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール566部、トリメチロールプロパン437部、アジピン酸467部、無水ヘキサヒドロフタル酸308部を仕込み、窒素雰囲気下で180℃に昇温し、その後、3時間かけて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が3mgKOH/g以下となったことを確認後、100℃に冷却して無水ヘキサヒドロフタル酸1294部を加え、再び140℃に昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈して固形分65質量%のカルボキシル基含有高酸価ポリエステル溶液(a−4)を得た。このポリエステルの数平均分子量は1,040であり、樹脂酸価は160mgKOH/gであった。
アクリル樹脂(B)の製造例
製造例5 エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(b−1)の製造
撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を装備した四つ口フラスコに、キシレン410部及びn−ブタノール77部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記モノマーと重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、アゾビスイソブチロニトリルは重合開始剤である。
グリシジルメタクリレート 576部(40%)
4−ヒドロキシn−ブチルアクリレート 144部(10%)
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 288部(20%)
n−ブチルアクリレート 144部(10%)
スチレン 288部(20%)
アゾビスイソブチロニトリル 72部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成しさせたあと、更にキシレン90部、n−ブタノール40部及びアゾビスイソブチロニトリル14.4部の混合物を2時間かけて滴下して、その後2時間熟成して、アクリル樹脂(b−1)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は2.82ミリモル/g、エトキシシリル基含有量は2.07ミリモル/g、水酸基価は39mgKOH/gであった。
製造例6 エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(b−2)の製造
製造例5において、モノマー組成のみ下記の様に変更した以外は、製造例5と同様にして、アクリル樹脂(b−2)の溶液を得た。
グリシジルメタクリレート 504部(35%)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 187部(13%)
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 216部(15%)
n−ブチルアクリレート 245部(17%)
スチレン 288部(20%)
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は2.47ミリモル/g、エトキシシリル基含有量は1.55ミリモル/g、水酸基価は56mgKOH/gであった。
製造例7 エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(b−3)の製造
製造例5において、モノマー組成のみ下記の様に変更した以外は、製造例5と同様にして、アクリル樹脂(b−3)の溶液を得た。
グリシジルメタクリレート 576部(40%)
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 288部(20%)
2−エチルヘキシルアクリレート 360部(25%)
スチレン 216部(15%)
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は2.82ミリモル/g、エトキシシリル基含有量は2.07ミリモル/gであった。
製造例8 エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(b−4)の製造
製造例5において、モノマー組成のみ下記の様に変更した以外は、製造例5と同様にして、アクリル樹脂(b−4)の溶液を得た。
グリシジルメタクリレート 374部(26%)
4−ヒドロキシn−ブチルアクリレート 144部(10%)
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 360部(25%)
n−ブチルアクリレート 216部(15%)
スチレン 346部(24%)
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は1.83ミリモル/g、エトキシシリル基含有量は2.59ミリモル/g、水酸基価は39mgKOH/gであった。
製造例9 エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(b−5)の製造
製造例5において、モノマー組成のみ下記の様に変更した以外は、製造例5と同様にして、アクリル樹脂(b−5)の溶液を得た。
グリシジルメタクリレート 202部(14%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート 115部(8%)
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 432部(30%)
n−ブチルアクリレート 331部(23%)
スチレン 360部(25%)
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は0.99ミリモル/g、エトキシシリル基含有量は3.11ミリモル/g、水酸基価は39mgKOH/gであった。
製造例10 エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(b−6)の製造
製造例5において、モノマー組成のみ下記の様に変更した以外は、製造例5と同様にして、アクリル樹脂(b−6)の溶液を得た。
グリシジルアクリレート 590部(41%)
アクリル酸4−ヒドロキシn−ブチル 144部(10%)
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 144部(10%)
n−ブチルメタクリレート 202部(14%)
スチレン 360部(25%)
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体のエポキシ基含有量は3.20ミリモル/g、エトキシシリル基含有量は1.04ミリモル/g、水酸基価は39mgKOH/gであった。
水酸基含有アクリル樹脂の製造
製造例11 水酸基を有するアクリル樹脂(c−1)の製造
製造例5において、モノマー組成のみ下記の様に変更した以外は、製造例5と同様にして、アクリル樹脂(c−1)の溶液を得た。
n−ブチルメタクリレート 864部(60%)
ヒドロキシプロピルアクリレート 576部(40%)
得られた重合体溶液の固形分は70質量%、数平均分子量は約2000であった。また、この重合体の水酸基価は172mgKOH/gであった。
塗料組成物の製造
実施例1〜14及び比較例1〜6
上記製造例1〜11で得られた樹脂及び後記表1に記載の原材料を用いて、後記表1に示す配合にて回転翼式攪拌機を用いて攪拌して混合し、塗料化を行い各塗料組成物を得た。なお、表1に示す塗料組成物の配合は各成分の固形分質量比である。
後記表1における(*1)〜(*11)は、それぞれ下記の意味を有し、ポリカーボネートジオールの粘度は50℃でB型粘度計を用いて6rpmの条件で測定した値である。
(*1)T−5650J:旭化成ケミカルズ社製、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートジオール、数平均分子量800、粘度860mPa・s、水酸基価140mgKOH/g、固形分100%。
(*2)T−4671:旭化成ケミカルズ社製、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートジオール、数平均分子量1000、粘度2400mPa・s、水酸基価112mgKOH/g、固形分100%。
(*3)PC−M:ジオール成分として1,6−ヘキサンジオール及び3−メチルペンタンジオール、カルボニル化剤としてジフェニルカーボネートを用いて合成したポリカーボネートジオール、数平均分子量2000、粘度7000mPa・s、水酸基価56mgKOH/g、固形分100%。
(*4)触媒:テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルリン酸の当量配合物
(*5)UV1164:チバガイギー社製、紫外線吸収剤。
(*6)HALS292:チバガイギー社製、光安定剤。
(*7)BYK−300:商品名、ビックケミー社製、表面調整剤。
(*8)T−4672:旭化成社製、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートジオール、数平均分子量2000、粘度20000mPa・s、水酸基価112mgKOH/g、固形分100%。
(*9)PC−L:ジオール成分として1,6−ヘキサンジオール及び3−メチルペンタンジオール、カルボニル化剤としてジフェニルカーボネートを用いて合成したポリカーボネートジオール、数平均分子量380、粘度120mPa・s、水酸基価295mgKOH/g、固形分100%。
(*10)PC−H:ジオール成分として1,6−ヘキサンジオール及び3−メチルペンタンジオール、カルボニル化剤としてジフェニルカーボネートを用いて合成したポリカーボネートジオール、数平均分子量2800、粘度15000mPa・s、水酸基価40mgKOH/g、固形分100%。
(*11)PC−012:ジオール成分として1,6−ヘキサンジオール及び1,2−ドデカンジオール、カルボニル化剤としてジフェニルカーボネートを用いて合成したポリカーボネートジオール、数平均分子量1000、粘度20000mPa・s、水酸基価112mgKOH/g、固形分100%。
上記実施例1〜14及び比較例1〜6で得られた各塗料組成物は、スワゾール1000(コスモ石油社製、商品名、炭化水素系溶剤)を添加してフォードカップ#No.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整した。
試験板の作成
実施例1〜14及び比較例1〜6で得られた上記各塗料組成物の粘度調整したものを使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にアミラックTP−65−2(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に水性メタリックベースコートWBC713T#202(関西ペイント社製、アクリル・メラミン樹脂系自動車用上塗ベースコート塗料、黒塗色)を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上に上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱してこの両塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。得られたそれぞれの試験板を常温で7日間放置してから下記塗膜性能試験を行なった。
性能試験結果
耐擦り傷性:ルーフにニチバン社製耐水テープにて試験板を貼りつけた自動車を、20℃の条件下、洗車機で15回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦り傷性が良好であることを表わす。洗車機は、ヤスイ産業社製「PO20FWRC」を用いた。
耐酸性:40%硫酸を各試験板の塗膜上に0.4cc滴下し、60℃に加熱したホットプレート上で15分間加熱した後、試験板を水洗した。硫酸滴下箇所のエッチング深さ(μm)を表面粗度計(東京精密社製、表面粗さ形状測定機 『サーフコム570A』)を用いて、カットオフ0.8mm(走査速度0.3mm/sec、倍率5000倍)の条件で測定することにより耐酸性の評価を行なった。エッチング深さの値が小さいほど耐酸性が良好であることを表わす。
仕上り性(光沢):試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)をHG−268(ハンディ光沢計 スガ試験機(株)製)を用いて測定した値により評価した。
耐汚染性:各試験塗板をサンシャインウエザオメーター(スガ試験機社製、促進耐侯性試験機)中でJIS K5400の条件で600時間試験後、各試験塗板に、泥土、カーボンブラック、鉱油及びクレーの混合物からなる汚染物質をネルに付着させて各試験塗板の塗面に軽くこすりつけた。これを20℃で75%RHの恒温恒湿室中に24時間放置後、塗面を流水で洗浄し、塗膜の汚染度を塗板の明度差(ΔL)により下記の基準により評価した。ΔL値が小さいほど耐汚染性は良好である。ΔLは以下の式で求めた。
ΔL=(耐汚染性試験後のL値)−(耐汚染性試験前のL値)
L値の測定はコニカミノルタ製CR400(三刺激値直読式色彩計 D65光源 2°視野 拡散照明垂直受光(d/0))を用いて行なった。なお、上記L値はCIE 1976 L表色系に基く値である。
◎:ΔL<0.2、○:0.2≦ΔL<1、△:1≦ΔL<2、×:2≦ΔL。
なお、汚染性の試験においては、リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にアミラックTP−65−2(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料、白塗色)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた塗膜上に、上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱して硬化させることにより得られた試験板を使用し、同様にそれぞれの試験板を常温で7日間放置してから耐汚染性の試験を行なった。
上記性能試験結果を併せて表1に示す。
Figure 2008013647

Claims (6)

  1. カルボキシル基含有化合物(A)、エポキシ基及び加水分解性アルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂(B)、及びジオール成分として、炭素数が2〜10のジオールをカルボニル化剤と反応させて得られる50℃における粘度が10000mPa・s以下である数平均分子量400〜2500のポリカーボネートジオール化合物(C)を含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 化合物(A)の酸価が、50〜500mgKOH/gである請求項1に記載の組成物。
  3. アクリル樹脂(B)のエポキシ基含有量が0.5〜5.0ミリモル/gであり、加水分解性アルコキシシリル基含有量が0.3〜5.0ミリモル/gである請求項1又は2に記載の組成物。
  4. ポリカーボネートジオール化合物(C)が、1,6−ヘキサンジオールを含有するジオール成分とカルボニル化剤とを重縮合させてなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. さらに、着色顔料を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法。
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