JPWO2010095693A1 - 塗料組成物及び塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
本発明が解決しようとする課題は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性のいずれにも優れる硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することである。本発明は、(A)カルボキシル基含有重合体、(B)エポキシ基含有アクリル樹脂並びに(C)1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られる、酸価50〜200mgKOH/g及び数平均分子量600〜5,000のカルボキシル基含有反応生成物を含有する塗料組成物を提供する。
Description
本発明は、新規な耐擦り傷性、耐酸性及び耐汚染性に優れる塗料組成物に関する。
自動車車体等の被塗物に塗装される塗料には、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性等の塗膜性能に優れることが要求されている。
従来、上記被塗物用の塗料として、メラミン架橋系塗料が汎用されている。メラミン架橋系塗料は、水酸基含有樹脂及び架橋剤であるメラミン樹脂を含有する塗料であり、加熱硬化時の架橋密度が高く、耐擦り傷性、仕上り性等の塗膜性能に優れている。しかし、この塗料には、メラミン架橋結合が酸性雨により加水分解され易く、塗膜の耐酸性が劣るという問題がある。
特許文献1には、自動車用のトップクリヤコート塗料組成物として、エポキシ基含有アクリルポリマー等のポリエポキシド及びカルボキシル基含有アクリルポリマー、カルボキシル基含有ポリエステル等の多酸硬化剤を含有する塗料組成物を、開示している。また、このエポキシ基含有アクリルポリマーがシラン官能基を有していてもよいことが記載されている。しかしながら、この塗料組成物は、メラミン樹脂を使用しないために、塗膜の耐酸性は改良されているものの、耐擦り傷性は不十分である。
特許文献2には、自動車用上塗り塗料組成物として、エポキシ基及び水酸基含有化合物及び酸無水物基含有モノマーとその他のモノマーとの共重合体の酸無水物基がハーフエステル化された共重合体を含有する塗料組成物を、開示している。しかしながら、この塗料組成物においても、塗膜の耐酸性は改良されているものの、耐擦り傷性は不十分である。
また、特許文献3には、自動車車体等に好適なトップクリヤコート塗料組成物として、水酸基及びエポキシ基含有アクリル樹脂、高酸価ポリエステル樹脂、アルコキシシリル基含有アクリル樹脂及びジメチルシロキサン側鎖を有するアクリル樹脂を含有する塗料組成物を、開示している。しかしながら、この塗料組成物においても、塗膜の耐酸性は改良されているものの、やはり耐擦り傷性は十分とは言えない。
本発明の目的は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性のいずれにも優れる硬化塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、カルボキシル基含有重合体、エポキシ基含有アクリル樹脂並びに1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られる、特定範囲の酸価及び数平均分子量を有するカルボキシル基含有反応生成物を含有する塗料組成物により上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の塗料組成物及び複層塗膜形成方法を提供するものである:
項1.(A)カルボキシル基含有重合体、(B)エポキシ基含有アクリル樹脂並びに(C)1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られる、酸価50〜200mgKOH/g及び数平均分子量600〜5,000のカルボキシル基含有反応生成物を含有する塗料組成物。
項1.(A)カルボキシル基含有重合体、(B)エポキシ基含有アクリル樹脂並びに(C)1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られる、酸価50〜200mgKOH/g及び数平均分子量600〜5,000のカルボキシル基含有反応生成物を含有する塗料組成物。
項2.酸無水物が、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水トリメリット酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである項1に記載の塗料組成物。
項3.エポキシ基含有アクリル樹脂(B)が、エポキシ基及びアルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂である項1又は2に記載の塗料組成物。
項4.カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、(A)成分及び(C)成分中のカルボキシル基と、(B)成分中のエポキシ基との当量比が、1:0.5〜0.5:1となる割合であり、
カルボキシル基含有重合体(A)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、固形分で、(A)成分及び(C)成分の合計に基づいて、(A)成分が20〜90質量%で、(C)成分が10〜80質量%であり、カルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び該反応生成物(C)の合計量に基づいて、固形分で、3〜40質量%である項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
カルボキシル基含有重合体(A)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、固形分で、(A)成分及び(C)成分の合計に基づいて、(A)成分が20〜90質量%で、(C)成分が10〜80質量%であり、カルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び該反応生成物(C)の合計量に基づいて、固形分で、3〜40質量%である項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項5.被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する方法であって、最上層のクリヤコートを形成する塗料組成物が項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
本発明の塗料組成物によれば、1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とのハーフエステル化反応により得られる酸価50〜200mgKOH/g及び数平均分子量600〜5,000のカルボキシル基含有反応生成物(C)が、カルボキシル基含有重合体(A)及びエポキシ基含有アクリル樹脂(B)との相溶性が良好であることから、光沢、平滑性等の仕上り性に優れた塗膜を得ることができる。
また、該反応生成物(C)により塗膜の機械的強度等の物理的性質を向上させることができること、該反応生成物(C)及びカルボキシル基含有重合体(A)とエポキシ基含有アクリル樹脂(B)との反応による架橋結合及び該反応生成物(C)を構成するカーボネート結合が、いずれも耐加水分解性に優れることから、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性等のいずれにも優れた硬化塗膜を形成することができる。さらに、本発明の塗料組成物を用いることによって得られる塗膜は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性等の高い塗膜性能が長時間維持される。
以上、本発明の塗料組成物によれば、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、光沢、平滑性等の塗膜性能に優れた塗膜を得ることができるという効果を奏することができる。
以下、本発明の塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある。)及び複層塗膜形成方法について詳細に説明する。
塗料組成物
本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び特定のカルボキシル基含有反応生成物(C)を含有するものである。
本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び特定のカルボキシル基含有反応生成物(C)を含有するものである。
カルボキシル基含有重合体(A)
カルボキシル基含有重合体(A)としては、公知のカルボキシル基含有重合体が包含されるが、反応生成物(C)は除外される。好ましいカルボキシル基含有重合体(A)としては、例えば、酸無水基をハーフエステル化してなる基を有するビニル系重合体(A−1)及びカルボキシル基含有ポリエステル系重合体(A−2)を挙げることができる。
カルボキシル基含有重合体(A)としては、公知のカルボキシル基含有重合体が包含されるが、反応生成物(C)は除外される。好ましいカルボキシル基含有重合体(A)としては、例えば、酸無水基をハーフエステル化してなる基を有するビニル系重合体(A−1)及びカルボキシル基含有ポリエステル系重合体(A−2)を挙げることができる。
酸無水基をハーフエステル化してなる基を有するビニル系重合体(A−1)
酸無水基をハーフエステル化してなる基とは、酸無水基に脂肪族モノアルコールを付加し、開環して(即ちハーフエステル化して)得られるカルボキシル基とカルボン酸エステル基とからなる基を意味する。以下、この基を単にハーフエステル基ということがある。
酸無水基をハーフエステル化してなる基とは、酸無水基に脂肪族モノアルコールを付加し、開環して(即ちハーフエステル化して)得られるカルボキシル基とカルボン酸エステル基とからなる基を意味する。以下、この基を単にハーフエステル基ということがある。
重合体(A−1)は、例えば、ハーフエステル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、常法により共重合させることによって容易に得ることができる。また、ハーフエステル基を有するビニルモノマーに代えて、酸無水基を有するビニルモノマーを用いて、同様に共重合した後、該酸無水基をハーフエステル化することによっても、容易に得られる。また、ハーフエステル基を有するビニルモノマーに代えて、水酸基を有するビニルモノマーを用いて、同様に共重合した後、該水酸基をハーフエステル化することによっても得ることができる。
ハーフエステル基を有するビニルモノマーとしては、酸無水基を有するビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得た化合物、水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物等が挙げられる。
酸無水基を有するビニルモノマーの酸無水基をハーフエステル化して得た化合物としては、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水基を有するビニルモノマーと、脂肪族モノアルコールとのモノエステル化物等を挙げることができる。
水酸基含有ビニルモノマーに酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物としては、具体的には、例えば、後記でその他のビニルモノマーとして例示する水酸基含有ビニルモノマーに、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物をハーフエステル化により付加して得た化合物等を挙げることができる。
ハーフエステル化は、上記の通り、共重合反応の前後のいずれにおいても行なうことができる。ハーフエステル化に使用される脂肪族モノアルコールとしては、低分子量のモノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。ハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミン等の塩基性触媒を用いて行なうことができる。
前記その他のビニルモノマーとしては、例えば、水酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸エステル系化合物;ビニルエーテル及びアリルエーテル;オレフィン系化合物及びジエン化合物;含窒素不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸とのモノエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;無水マレイン酸や無水イタコン酸のような酸無水基含有不飽和化合物と、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール系化合物とのジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテルのようなヒドロキシアルキルビニルエーテル系化合物;アリルアルコール等;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;α,β−不飽和カルボン酸と、「カージュラE10」(商品名、シェル石油化学(株)製)やα−オレフィンエポキシドのようなモノエポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸系化合物のような一塩基酸との付加物;上記水酸基含有モノマーとラクトン系化合物(例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン)との付加物等を挙げることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル等が挙げられる。
ビニルエーテル及びアリルエーテルとしては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の直鎖状又は分枝状アルキルビニルエーテル系化合物;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル系化合物;フェニルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル系化合物;ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等のアラルキルビニルエーテル系化合物;アリルグリシジルエーテル、アリルエチルエーテル等のアリルエーテル系化合物等が挙げられる。
オレフィン系化合物及びジエン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
含窒素不飽和単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド系化合物;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジン等の芳香族含窒素モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性ニトリル;アリルアミン等が挙げられる。
上記各種モノマー混合物の共重合は、一般的なビニルモノマーの重合法を用いることができるが、汎用性やコスト等を考慮して、有機溶剤中における溶液型ラジカル重合法が好適である。即ち、溶液型ラジカル重合法によれば、有機溶剤中で、重合開始剤の存在下、60〜165℃程度の範囲内でモノマー混合物の共重合反応を行なうことによって、容易に目的の共重合体を得ることができる。この有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;n−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等を挙げることができる。また、重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等を挙げることができる。
ハーフエステル基又は酸無水基を有するビニルモノマーとその他のビニルモノマーとの共重合割合は、通常、全モノマー中、次のような割合とするのが適当である。即ち、ハーフエステル基又は酸無水基を有するビニルモノマーは、得られる共重合体の硬化反応性と貯蔵安定性とのバランスの観点から、5〜40質量%程度が好ましく、10〜30質量%程度がより好ましい。
また、その他のビニルモノマーは、60〜95質量%程度が好ましく、70〜90質量%程度がより好ましい。尚、酸無水基を有するビニルモノマーを使用した場合は、共重合反応後に、ハーフエステル化反応を行なうことは、前記の通りである。
また、重合体(A−1)は、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び反応生成物(C)との相溶性、これを含有する塗料組成物の塗膜の光沢、耐酸性等に優れる点から、数平均分子量が1,000〜10,000程度、特に1,200〜7,000程度の範囲内、酸価が50〜250mgKOH/g程度、特に100〜200mgKOH/g程度の範囲内のアクリル系重合体であることが好ましい。
本明細書において、樹脂の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により、標準ポリスチレンを基準として、測定した。後記製造例等における測定は、GPC装置として、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー(株)製)、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)製、商品名)の4本を用いて、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行なった。
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体(A−2)
重合体(A−2)の数平均分子量は、特に限定されないが、通常、500〜10,000程度、特に800〜5,000程度の範囲内であるのが、これを含有する塗料組成物の塗膜の光沢、耐酸性等に優れる点から、好ましい。
重合体(A−2)の数平均分子量は、特に限定されないが、通常、500〜10,000程度、特に800〜5,000程度の範囲内であるのが、これを含有する塗料組成物の塗膜の光沢、耐酸性等に優れる点から、好ましい。
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体は、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応によって容易に得ることができる。例えば、多価カルボン酸のカルボキシル基が過剰となる配合条件下で1段階の反応により、カルボキシル基含有ポリエステル系重合体が得られる。また、逆に多価アルコールの水酸基が過剰となる配合条件下でまず水酸基末端のポリエステル系重合体を合成した後、酸無水基含有化合物を後付加させることによってもカルボキシル基含有ポリエステル系重合体を得ることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。酸無水基含有化合物としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等を挙げることができる。
また、カルボキシル基含有ポリエステル系重合体(A−2)は、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び反応生成物(C)との相溶性の向上及びこれを含有する塗料組成物の塗膜の付着性向上のために、水酸基価100mgKOH/g以下程度となる範囲内で水酸基を導入することもできる。水酸基の導入は、例えば、カルボキシル基過剰の配合条件においては縮合反応を途中で停止することによって行なうことができるし、また逆に水酸基過剰の配合条件においては、水酸基末端のポリエステル重合体を合成した後、後付加する酸無水基含有化合物を酸基が水酸基より少なくなるよう配合することにより容易に行なうことができる。
カルボキシル基含有ポリエステル系重合体として特に好ましいものとして、下記のカルボキシル基含有高酸価ポリエステルを挙げることができる。ここで、高酸価重合体とは、通常、酸価が70mgKOH/gを超える重合体を意味する。
カルボキシル基含有高酸価ポリエステルは、多価アルコールと多価カルボン酸又はその低級アルキルエステル化物とを、水酸基量がカルボキシル基量より過剰となる配合条件下でエステル化反応してポリエステルポリオールを得、次いでこのポリエステルポリオールを酸無水基含有化合物とハーフエステル化反応させることによって容易に得ることができる。ここで、カルボキシル基には、酸無水基が含まれ、酸無水基1モルはカルボキシル基2モルとして、カルボキシル基量を計算する。また、エステル化反応は、縮合反応及びエステル交換反応のいずれでもよい。
上記ポリエステルポリオールは、通常のエステル化反応条件によって得ることができる。このポリエステルポリオールは、数平均分子量が350〜4,700程度、特に400〜3,000程度の範囲内にあり、水酸基価が70〜400mgKOH/g程度、特に150〜350mgKOH/g程度の範囲内にあることが好ましい。このポリエステルポリオールのハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、通常、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミン等の塩基性触媒を用いて行なうことができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等を挙げることができる。酸無水基含有化合物としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸等を挙げることができる。
このカルボキシル基含有高酸価ポリエステルは、数平均分子量が800〜5,000程度、特に900〜4,000程度の範囲内であり、酸価が50〜300mgKOH/g程度、特に100〜250mgKOH/g程度の範囲内であることが好ましい。
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、カルボキシル基含有重合体(A)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)に対する架橋硬化剤として機能する。
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、カルボキシル基含有重合体(A)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)に対する架橋硬化剤として機能する。
また、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、エポキシ基に加えて、アルコキシシリル基を含有していてもよい。アルコキシシリル基を含有することにより、アクリル樹脂(B)を含有する組成物の塗膜の架橋密度がより大きくなつて、塗膜の耐擦り傷性及び耐汚染性がより向上するという利点が得られる。
該アクリル樹脂(B)は、エポキシ基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマー、又は、エポキシ基を有するビニルモノマー、アルコキシシリル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを、共重合することによって合成することができる。
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
アルコキシシリル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、好ましいものとして、低温硬化性及び貯蔵安定性に優れる観点から、アルコキシシリル基がエトキシシリル基であるビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
その他のビニルモノマーとしては、前記重合体(A−1)の説明で例示したものと同様のものを使用することができる。
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)を製造するための共重合方法としては、前記重合体(A−1)の説明で示した共重合方法と同様の方法を採用できる。
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、カルボキシル基含有重合体(A)及び反応生成物(C)との相溶性の向上及びこれを含有する塗料組成物の塗膜の付着性向上のために、水酸基価150mgKOH/g以下程度となる範囲内で水酸基を導入することもできる。
水酸基の導入は、水酸基含有ビニルモノマーをコモノマー成分として用いて共重合することにより行なうことができる。水酸基含有ビニルモノマーとしては、前記重合体(A−1)の説明で例示したものと同様のものを使用することができる。
エポキシ基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを共重合する場合、エポキシ基含有ビニルモノマーは、得られる共重合体の硬化反応性と貯蔵安定性とのバランスの観点から、5〜80質量%程度が好ましく、10〜65質量%程度がより好ましい。また、その他のビニルモノマーは、20〜95質量%程度が好ましく、35〜90質量%程度がより好ましい。
エポキシ基を有するビニルモノマー、アルコキシシリル基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを共重合する場合、通常、全モノマー中、以下のような共重合比率とするのが好ましい。エポキシ基を有するビニルモノマーは、得られる共重合体の硬化反応性と貯蔵安定性とのバランスの観点から、5〜60質量%程度、特に10〜40質量%程度であるのが好ましい。アルコキシシリル基を有するビニルモノマーは、得られる共重合体の硬化反応性とこれを含有する組成物の塗膜の耐擦り傷性に優れる観点から、3〜40質量%程度、特に5〜30質量%程度であるのが好ましい。また、その他のビニルモノマーは、10〜80質量%程度、特に20〜50質量%程度であるのが好ましい。
アクリル樹脂(B)のエポキシ基含有量は、カルボキシル基含有重合体(A)及び反応生成物(C)との相溶性、塗料組成物としたときの硬化性及び得られる塗膜の耐酸性、耐擦り傷性等に優れる観点から、0.5〜5.5ミリモル/g程度であるのが好ましく、0.8〜4.5ミリモル/g程度であるのがより好ましい。
アクリル樹脂(B)がアルコキシシリル基を有する場合、その含有量は、塗料組成物としたときの貯蔵安定性及び得られる塗膜の耐酸性、耐擦り傷性等に優れる観点から、0.05〜2.5ミリモル/g程度であるのが好ましく、0.15〜1.75ミリモル/g程度であるのがより好ましい。
アクリル樹脂(B)の数平均分子量は、カルボキシル基含有重合体(A)及び反応生成物(C)との相溶性及び得られる塗膜の耐酸性、耐擦り傷性等に優れる観点から、1,000〜10,000程度であるのが好ましく、1,200〜7,000程度であるのがより好ましい。
カルボキシル基含有反応生成物(C)
カルボキシル基含有反応生成物(C)は、1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られるものであり、その酸価が50〜200mgKOH/gで、数平均分子量が600〜5,000のものである。なお、カルボキシル基含有反応生成物(C)の酸価は半酸価である。
カルボキシル基含有反応生成物(C)は、1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られるものであり、その酸価が50〜200mgKOH/gで、数平均分子量が600〜5,000のものである。なお、カルボキシル基含有反応生成物(C)の酸価は半酸価である。
該反応生成物(C)の合成に用いられる1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールは、通常、公知のポリオールとカルボニル化剤とを重縮合反応させることにより得られる化合物である。
反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールは1分子中に平均3個以上の水酸基を有する。
反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、最終的に得られる塗料組成物の塗膜が耐酸性及び耐擦り傷性に優れる観点から、300〜2,000程度であるのが好ましく、500〜1,800程度であるのがより好ましく、700〜1,500程度であるのが特に好ましい。
また、反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールの水酸基価は54〜270mgKOH/gの範囲であるのが好ましい。水酸基価が上記範囲より小さいと架橋密度が小さくなり塗膜の耐擦り傷性が低下する場合があり、逆に上記範囲より大きいと架橋密度が大きくなりすぎるため硬くなり塗膜物性が低下する場合がある。
反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールを調製するために用いるポリオール成分としては、3価以上のアルコールとジオールとを挙げることができる。
3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンの2量体、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
ジオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオール等の直鎖状ジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3− プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の分岐ジオール;1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式系ジオール;p−キシレンジオール、p−テトラクロロキシレンジオール等の芳香族系ジオール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテル系ジオール等を挙げることができる。これらのジオールは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
3価以上のアルコールとジオールとの比率は、モル比で、3価以上のアルコール/ジオールの値は、好ましくは、0.75以下、より好ましくは、0.5以下である。
また、3価以上のアルコールとジオールとの比率は、モル比で、3価以上のアルコール/ジオールの値は、好ましくは、0.1以上、より好ましくは、0.2以上である。
カルボニル化剤としては、公知のものを使用できる。具体的には、例えば、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート、ホスゲン等を挙げることができ、これらの1種を又は2種以上を組合せて使用することができる。これらのうち好ましいものとして、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等を挙げることができる。
また、反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートジオールを原料とし、3価以上のアルコールをアルコール交換反応で付加することによっても合成することができる。ポリカーボネートジオールは、市販品を使用することができる。具体例としては、「T−5650J」(旭化成ケミカルズ(株)製)、「UM−CARB90(1/1)」(宇部興産(株)製)等を挙げることができる。3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンの2量体、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールとしては、50℃におけるB型粘度が10,000mPa・s以下程度であるものを使用するのが好ましい。50℃におけるB型粘度が10,000mPa・sを超えると取り扱いが困難となる場合があり、又得られる反応生成物(C)が、カルボキシル基含有重合体(A)及びエポキシ基含有アクリル樹脂(B)との相溶性が不良となるため、塗膜の光沢低下又は白濁等が生じることにより塗膜の光沢が不良となる場合がある。
反応生成物(C)の合成に用いられるポリカーボネートポリオールのB型粘度は、50℃において、10〜10,000mPa・s程度であるのがより好ましく、10〜8,000mPa・sであるのが更に好ましく、10〜5,000mPa・s程度であるのが特に好ましい。
本明細書において、B型粘度の測定は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)を使用し、50℃で6rpmの条件で行なった。
反応生成物(C)の合成に用いられる酸無水物としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。これらの酸無水物は、1種単独で又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
これらのうち、塗膜の耐酸性、耐擦り傷性等に優れる点から、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸を好適に用いることができる。
反応生成物(C)は、通常、上記ポリカーボネートポリオールと酸無水物が重縮合することなく、ポリカーボネートポリオールの末端水酸基がハーフエステル化によりカルボキシル基に変換された構造の化合物が得られるような条件で合成される。但し、反応生成物(C)としては、酸価及び数平均分子量が特定範囲内にある限りにおいて、ハーフエステル化されていない未反応物を含んでいても構わない。
ハーフエステル化反応の最適温度は、主として用いる酸無水物の融点等により変動する。例えば、酸無水物として、ヘキサヒドロ無水フタル酸を使用する場合は120〜180℃程度である。また、一般に200℃程度の温度を超えると重縮合反応が起こりやすくなる。
反応生成物(C)は、ポリカーボネートポリオールと酸無水物とを、当量比(酸無水物の酸無水基/ポリカーボネートポリオールの水酸基)が1.05以下程度となる割合で、ハーフエステル化反応させることにより合成することができる。該当量比は、塗料組成物としたときの硬化性及び得られる塗膜の耐水性等に優れる点から、0.25〜1.05程度であるのが好ましく、0.5〜1.0程度であるのがより好ましく、0.75〜1.0程度であるのが更に好ましい。
反応生成物(C)において、一般に、上記当量比が低いほどポリカーボネートポリオールの水酸基が残存した構造の化合物の生成割合が多くなり、該当量比が高いほどポリカーボネートポリオールのすべての水酸基がカルボキシル基に変性された構造の化合物の生成割合が多くなる。
また、上記当量比が低いほど反応生成物(C)中に未反応のポリカーボネートポリオールが残存することになる。本発明においては、ポリカーボネートポリオールの水酸基もエポキシ基又はアルコキシシリル基と反応し得る。従って、通常、未反応のポリカーボネートポリオールを分離することなく、残存ポリカーボネートポリオールを含んだ反応生成物(C)を、そのまま使用することができる。
反応生成物(C)の酸価は、カルボキシル基含有重合体(A)及びエポキシ基含有アクリル樹脂(B)との相溶性に優れ、これを用いて得られる塗料組成物の硬化性及びその塗膜の耐擦り傷性、耐水性等の塗膜性能にも優れる観点から、50〜200mgKOH/g程度であることが必要である。この観点から、反応生成物(C)の酸価は、50〜150mgKOH/g程度であるのが好ましく、60〜130mgKOH/g程度であるのが、より好ましい。
反応生成物(C)の数平均分子量は、カルボキシル基含有重合体(A)及びエポキシ基含有アクリル樹脂(B)との相溶性に優れ、得られる塗膜の耐擦り傷性、硬度、耐候性等の塗膜性能に優れる観点から、600〜5,000程度であることが必要である。この観点から、反応生成物(C)の数平均分子量は、700〜3,000程度であるのが好ましく、800〜2,000程度であるのがより好ましい。
反応生成物(C)の水酸基価は、塗料組成物としたときの硬化性等に優れる点から、0〜150mgKOH/g程度であるのが好ましく、0〜130mgKOH/g程度であるのがより好ましい。
本発明において、反応生成物(C)の酸価、数平均分子量及び水酸基価は、未反応の残存ポリカーボネートポリオールも含んだ反応生成物全体としての値を意味する。
本発明塗料組成物において、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合は、当該組成物の硬化性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分中のカルボキシル基と、(B)成分中のエポキシ基との当量比が、1:0.5〜0.5:1程度となる割合であるのが、好ましく、1:0.6〜0.6:1程度となる割合であるのがより好ましい。
また、カルボキシル基含有重合体(A)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合は、塗膜の耐擦り傷性、硬度、耐汚染性等に優れる点から、固形分で、(A)成分及び(C)成分の合計に基づいて、(A)成分が好ましくは20〜90質量%程度、より好ましくは25〜90質量%程度、更に好ましくは30〜90質量%程度で、(C)成分が好ましくは10〜80質量%程度、より好ましくは10〜75質量%程度、更に好ましくは10〜70質量%程度である。
また、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合は、塗膜の耐擦り傷性、硬度、耐汚染性等に優れる点から、固形分で、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計に基づいて、(A)成分と(C)成分の合計量が、好ましくは20〜80質量%程度、より好ましくは35〜65質量%程度で、(B)成分が、好ましくは80〜20質量%程度、より好ましくは65〜35質量%程度である。
更に、カルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合は、塗膜の耐酸性、耐擦り傷性、硬度、耐汚染性等に優れる点から、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び該反応生成物(C)の合計量に基づいて、固形分で、3〜40質量%程度、特に5〜35質量%程度であるのが好ましい。
その他の成分
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、カルボキシル基とエポキシ基との架橋反応に有効な触媒として、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルフォスフォニウムブロマイド、トリフェニルベンジルフォスフォニウムクロライド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン系触媒等を挙げることができる。これらのうち4級塩触媒が好適である。さらに、該4級塩に該4級塩とほぼ当量のモノブチルリン酸、ジブチルリン酸等のリン酸化合物を配合したものは、上記触媒作用を損なうことなく塗料の貯蔵安定性を向上させ且つ塗料の電気抵抗値の低下によるスプレー塗装適性の低下を防ぐことができる点から好ましい。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、カルボキシル基とエポキシ基との架橋反応に有効な触媒として、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルフォスフォニウムブロマイド、トリフェニルベンジルフォスフォニウムクロライド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン系触媒等を挙げることができる。これらのうち4級塩触媒が好適である。さらに、該4級塩に該4級塩とほぼ当量のモノブチルリン酸、ジブチルリン酸等のリン酸化合物を配合したものは、上記触媒作用を損なうことなく塗料の貯蔵安定性を向上させ且つ塗料の電気抵抗値の低下によるスプレー塗装適性の低下を防ぐことができる点から好ましい。
また、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、塗料中や空気中に存在する水分による塗料の劣化を抑制するために、オルト酢酸トリメチル等の脱水剤を配合してもよい。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料等の公知の顔料を配合できる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等を挙げることができる。体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、カオリン、バリタ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイト等を挙げることができる。光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム粉末、雲母粉末、酸化チタンで被覆した雲母粉末等を挙げることができる。
本発明の塗料組成物には、必要に応じて、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂を添加することも可能である。また、メラミン樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物等の架橋剤を少量併用することも可能である。更に、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤等の一般的な塗料用添加剤を配合することも可能である。
紫外線吸収剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤を挙げることができる。紫外線吸収剤を配合することによって、塗膜の耐候性、耐黄変性等を向上させることが出来る。
紫外線吸収剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部程度である。また、紫外線吸収剤の含有量は、0.2〜5質量部程度であるのが好ましく、0.3〜2質量部程度であるのがより好ましい。
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。光安定剤を配合することによって、塗膜の耐候性、耐黄変性等を向上させることが出来る。
光安定剤の塗料組成物中の含有量としては、通常、樹脂固形分総合計量100質量部に対して0〜10質量部程度である。また、光安定剤の含有量は、0.2〜5質量部程度であるのが好ましく、0.3〜2質量部程度であるのがより好ましい。
本発明の塗料組成物の形態は特に制限されるものではないが、通常、有機溶剤型の塗料組成物として使用される。この場合に使用する有機溶剤としては、各種の塗料用有機溶剤、例えば、芳香族又は脂肪族炭化水素系溶剤;アルコール系溶剤;エステル系溶剤;ケトン系溶剤;エーテル系溶剤等が使用できる。使用する有機溶剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分等の調製時に用いたものをそのまま用いても良いし、更に適宜加えても良い。
塗料組成物の調製方法
本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)、カルボキシル基含有反応生成物(C)及び必要に応じて使用されるポリカーボネートポリオール、硬化触媒、顔料、各種樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、有機溶剤等を、公知の方法により、混合することによって、調製することができる。本発明塗料組成物の固形分濃度は、30〜70質量%程度であるのが好ましく、40〜60質量%程度の範囲内であるのがより好ましい。
本発明の塗料組成物は、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)、カルボキシル基含有反応生成物(C)及び必要に応じて使用されるポリカーボネートポリオール、硬化触媒、顔料、各種樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、有機溶剤等を、公知の方法により、混合することによって、調製することができる。本発明塗料組成物の固形分濃度は、30〜70質量%程度であるのが好ましく、40〜60質量%程度の範囲内であるのがより好ましい。
塗装方法
本発明の塗料組成物は、以下に示す種々の塗装方法において、好適に使用することができる。
本発明の塗料組成物は、以下に示す種々の塗装方法において、好適に使用することができる。
被塗物
被塗物としては、自動車、二輪車等の車体又はその部品等が挙げられる。また、これら車体等を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック基材等であってもよい。
被塗物としては、自動車、二輪車等の車体又はその部品等が挙げられる。また、これら車体等を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック基材等であってもよい。
また、被塗物としては、上記車体、部品、金属基材の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の化成処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
塗装及び硬化方法
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装においては、必要に応じて、静電印加していてもよい。これらの内、エアスプレー塗装及び回転霧化塗装が特に好ましい。塗装膜厚は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度とするのが好ましい。
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装においては、必要に応じて、静電印加していてもよい。これらの内、エアスプレー塗装及び回転霧化塗装が特に好ましい。塗装膜厚は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度とするのが好ましい。
ウエット塗膜の硬化は、加熱することによって行なわれる。加熱は、公知の加熱手段により、行なうことができる。例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。
加熱温度は、通常、100〜180℃程度、好ましくは120〜160℃程度の範囲であることが適当である。加熱時間は、通常、10〜40分間程度の範囲であるのが、適当である。
複層塗膜形成方法
本発明の塗料組成物によれば、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、光沢等の塗膜性能に優れる塗膜を形成できるので、被塗物に上塗り複層塗膜を形成する塗膜形成方法において、トップクリヤコートを形成するクリヤ塗料組成物として使用することが好ましい。
本発明の塗料組成物によれば、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、光沢等の塗膜性能に優れる塗膜を形成できるので、被塗物に上塗り複層塗膜を形成する塗膜形成方法において、トップクリヤコートを形成するクリヤ塗料組成物として使用することが好ましい。
従って、本発明の複層塗膜形成方法は、被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを順次形成する塗膜形成方法であって、その最上層のクリヤコートを形成する塗料組成物として、本発明の塗料組成物を用いることを特徴とする。
本発明の複層塗膜形成方法を適用する被塗物としては、自動車車体及びその部品が、特に好ましい。
上記の複層塗膜形成方法としては、より具体的には、例えば下記方法a〜cの複層塗膜形成方法において、トップクリヤコート形成用として本発明の塗料組成物を用いる方法を挙げることができる。
方法a:被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを順次形成する2コート方式の複層塗膜形成方法。
方法b:被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを順次形成する3コート方式の複層塗膜形成方法。
方法c:被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを順次形成する3コート方式の複層塗膜形成方法。
これらの方法a、方法b、方法cの各塗膜形成工程について、詳細に説明する。
各方法において、着色ベース塗料組成物及びクリヤ塗料組成物の塗装方法としては、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装等の塗装方法を採用することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加していてもよい。
上記方法aにおいて、着色ベースコートを形成する塗料組成物としては、公知の着色塗料組成物を使用できる。
上記着色ベース塗料組成物としては、自動車車体等を塗装する場合に用いられる塗料組成物を用いるのが好適である。
上記着色ベース塗料組成物は、基体樹脂、架橋剤、着色顔料、メタリック顔料、光干渉性顔料、体質顔料等を含有する有機溶剤型又は水性の塗料組成物である。
基体樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の少なくとも1種を用いることができる。基体樹脂は、例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、オキサゾリニル基、カルボジイミド基等の架橋性官能基を有している。架橋剤としては、例えば、アルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物、オキサゾリニル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等の少なくとも1種を用いることができる。基体樹脂及び架橋剤は、両成分の合計量を基準にして、基体樹脂50〜90重量%、架橋剤50〜10重量%の割合で使用することが好ましい。
方法aにおいては、被塗物に、上記着色ベース塗料組成物を、硬化膜厚で約10〜50μmとなるように塗装する。塗装されたベース塗料組成物は、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させるか、又は塗装後硬化することなく室温で数分間放置もしくは約40〜100℃で、約1〜20分間プレヒートする。
次いで、トップクリヤコートを形成する塗料として、本発明の塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜70μmになるように塗装し、加熱することによって、硬化された複層塗膜を形成することができる。加熱は、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で、約10〜40分間が好ましい。
上記2コート方式において、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの二層塗膜を同時に硬化する場合は2コート1ベーク方式であり、又ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化後、クリヤ塗料組成物を塗装し、クリヤ塗膜を硬化する場合は2コート2ベーク方式である。
方法bにおける着色ベース塗料組成物としては、方法aの項で説明した着色ベース塗料組成物と同様のものを使用することができる。また、クリヤコートを形成する第1クリヤ塗料組成物としては、透明塗膜形成用塗料であればよく、例えば、上記公知の着色ベース塗料組成物において顔料の殆ど又はすべてを含有していない塗料組成物を使用することができる。そして、トップクリヤコートを形成する第2クリヤ塗料組成物として、本発明の塗料組成物を使用する。また、第1クリヤ塗料組成物として、本発明の塗料組成物を用いて、本発明塗料組成物から形成されたクリヤコート及びトップクリヤコートが形成されていてもよい。
方法bにおいては、方法aと同様にして、被塗物に、着色ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、着色ベース塗膜上に、第1クリヤ塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で、約10〜40分間加熱して硬化させるか、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートを行う。
次に、第2クリヤ塗料組成物として、本発明塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、加熱することによって、硬化された複層塗膜を形成することができる。加熱条件は、方法aの場合と同様である。
ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、第1クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、第2クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの三層塗膜を同時に硬化する場合は3コート1ベーク方式である。また、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、第1クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの塗膜を同時に加熱硬化し、第2クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する場合は、3コート2ベーク方式である。また、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化し、第1クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化し、第2クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する場合は、3コート3ベーク方式である。
方法cにおいて、第1着色べース塗料組成物としては、方法aの項で説明した着色ベース塗料組成物と同様のものを使用することができる。
方法cにおいては、方法aと同様にして、被塗物に、第1着色ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化させるか、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、第1着色ベース塗膜上に、第2着色ベース塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で、約10〜40分間加熱して硬化させるか、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートを行う。
次に、トップクリヤコートを形成する塗料組成物として、本発明の塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、加熱することによって、硬化された複層塗膜を形成することができる。加熱条件は、方法aの場合と同様である。
第1ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの三層塗膜を同時に硬化する場合は、3コート1ベーク方式である。また、第1ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化し、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの塗膜を同時に硬化する場合は、3コート2ベーク方式である。また、第1ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化し、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化し、クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する場合は、3コート3ベーク方式である。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
カルボキシル基含有重合体(A)の製造
製造例1
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、炭化水素系有機溶剤)680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、モノマー、溶剤及び重合開始剤(p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなる組成の下記モノマー混合物Iを、4時間かけて滴下した。
製造例1
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、炭化水素系有機溶剤)680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、モノマー、溶剤及び重合開始剤(p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなる組成の下記モノマー混合物Iを、4時間かけて滴下した。
モノマー混合物I
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 500部
無水マレイン酸 600部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1,000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール490部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 500部
無水マレイン酸 600部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1,000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール490部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。
その後、残存しているメタノールを減圧下で除去し、カルボキシル基含有重合体(A−1)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3,500であった。また、この重合体の半酸価は160mgKOH/gであった。
製造例2
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、モノマー、溶剤及び重合開始剤(p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなる組成の下記モノマー混合物IIを、4時間かけて滴下した。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、モノマー、溶剤及び重合開始剤(p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなる組成の下記モノマー混合物IIを、4時間かけて滴下した。
モノマー混合物II
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 880部
無水マレイン酸 220部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1,000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール183部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、残存しているメタノールを減圧下で除去し、カルボキシル基含有重合体(A−2)の溶液を得た。
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 880部
無水マレイン酸 220部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1,000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール183部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、残存しているメタノールを減圧下で除去し、カルボキシル基含有重合体(A−2)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3,500であった。また、この重合体の半酸価は60mgKOH/gであった。
製造例3
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、モノマー、溶剤及び重合開始剤(p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなる組成の下記モノマー混合物IIを、4時間かけて滴下した。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、「スワゾール1000」680部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、モノマー、溶剤及び重合開始剤(p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなる組成の下記モノマー混合物IIを、4時間かけて滴下した。
モノマー混合物II
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 200部
無水マレイン酸 900部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1,000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール735部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、残存しているメタノールを減圧下で除去し、カルボキシル基含有重合体(A−3)の溶液を得た。
スチレン 500部
シクロヘキシルメタクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 200部
無水マレイン酸 900部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1,000部
p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 100部
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成させた後、更に、p−tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部及び「スワゾール1000」80部との混合物を1時間かけて滴下した。その後、60℃に冷却し、メタノール735部とトリエチルアミン4部を加え、4時間加熱還流下、ハーフエステル化反応を行なった。その後、残存しているメタノールを減圧下で除去し、カルボキシル基含有重合体(A−3)の溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分は55質量%、数平均分子量は約3,500であった。また、この重合体の半酸価は240mgKOH/gであった。
製造例4
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール566部、トリメチロールプロパン437部、アジピン酸467部、ヘキサヒドロ無水フタル酸308部を仕込み、窒素雰囲気下で180℃に昇温し、その後、3時間かけて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が3mgKOH/g以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキサヒドロ無水フタル酸1,294部を加え、再び140℃に昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈して固形分65質量%のカルボキシル基含有高酸価ポリエステル(A−4)の溶液を得た。このポリエステルの数平均分子量は1,040であり、樹脂酸価は160mgKOH/gであった。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール566部、トリメチロールプロパン437部、アジピン酸467部、ヘキサヒドロ無水フタル酸308部を仕込み、窒素雰囲気下で180℃に昇温し、その後、3時間かけて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が3mgKOH/g以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキサヒドロ無水フタル酸1,294部を加え、再び140℃に昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈して固形分65質量%のカルボキシル基含有高酸価ポリエステル(A−4)の溶液を得た。このポリエステルの数平均分子量は1,040であり、樹脂酸価は160mgKOH/gであった。
エポキシ基含有アクリル樹脂(B)の製造例
製造例5〜9
撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を装備した四つ口フラスコに、キシレン410部及びn−ブタノール77部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、表1に示すモノマーと重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルは重合開始剤である。
製造例5〜9
撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を装備した四つ口フラスコに、キシレン410部及びn−ブタノール77部を仕込み、窒素ガス通気下で125℃に昇温した。125℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、表1に示すモノマーと重合開始剤からなる組成のモノマー混合物を均等に4時間かけて滴下した。尚、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルは重合開始剤である。
次いで、125℃で窒素ガスを通気しながら30分間熟成したあと、更にキシレン90部、n−ブタノール40部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル14.4部の混合物を2時間かけて滴下して、その後2時間熟成して、エポキシ基含有アクリル樹脂(B−1)〜(B−5)の溶液を得た。表1に、各モノマーの配合量(部)、得られたエポキシ基含有アクリル樹脂溶液の質量固形分濃度(%)及び特数値を示す。
カルボキシル基含有反応生成物(C)の製造
製造例10〜21
撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を装備した四つ口フラスコに、表2に示す量のモノマー、及びテトラ−n−ブトキシチタン40mgを仕込み、窒素ガス通気下、95〜160℃で副生するメタノールを留出させながら反応させた。メタノールの留出が殆どなくなった後、10mmHg以下に減圧して更に4時間反応させた。その後、表2に示す量の付加モノマーであるトリメチロールプロパンを仕込み、10mmHg以下に減圧して撹拌、加温した。反応温度を200℃まで徐々に上昇させ、副生するジオールモノマーを留出させながら反応させた。留出液がでなくなるまで反応を継続し、ポリカーボネートポリオールを得た。
製造例10〜21
撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を装備した四つ口フラスコに、表2に示す量のモノマー、及びテトラ−n−ブトキシチタン40mgを仕込み、窒素ガス通気下、95〜160℃で副生するメタノールを留出させながら反応させた。メタノールの留出が殆どなくなった後、10mmHg以下に減圧して更に4時間反応させた。その後、表2に示す量の付加モノマーであるトリメチロールプロパンを仕込み、10mmHg以下に減圧して撹拌、加温した。反応温度を200℃まで徐々に上昇させ、副生するジオールモノマーを留出させながら反応させた。留出液がでなくなるまで反応を継続し、ポリカーボネートポリオールを得た。
さらにその後、表2に示す量の「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、炭化水素系有機溶剤)を仕込み、窒素雰囲気下で130℃に昇温した。130℃に達した後、表2に示す量の酸無水物を加え、2時間反応させることにより、カルボキシル基含有反応生成物(C−1)〜(C−12)の溶液を得た。
表2に、各モノマー及び炭化水素系有機溶剤の配合量(部)、得られた各カルボキシル基含有反応生成物の質量固形分濃度(%)及び特数値を示す。
製造例22
表2に示す配合で、「スワゾール1000」溶剤中で、ポリカーボネートジオールであるT−5650J(旭化成ケミカルズ社製、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートジオール、数平均分子量800、粘度860mPa・s、水酸基価140mgKOH/g、固形分100%)と酸無水物であるヘキサヒドロ無水フタル酸とを付加反応させることにより、カルボキシル基含有反応生成物(C−13)を得た。
表2に示す配合で、「スワゾール1000」溶剤中で、ポリカーボネートジオールであるT−5650J(旭化成ケミカルズ社製、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールをジオール成分とするポリカーボネートジオール、数平均分子量800、粘度860mPa・s、水酸基価140mgKOH/g、固形分100%)と酸無水物であるヘキサヒドロ無水フタル酸とを付加反応させることにより、カルボキシル基含有反応生成物(C−13)を得た。
表2に、各モノマー及び炭化水素系有機溶剤の配合量(部)、得られた各カルボキシル基含有反応生成物の質量固形分濃度(%)及び特数値を示す。
塗料組成物の製造
実施例1〜18及び比較例1〜7
上記各製造例で得られたカルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)並びにカルボキシル基含有反応生成物(C)、及び硬化触媒等のその他の成分を用いて、回転翼式攪拌機を用いて攪拌して混合して、各塗料組成物No.1〜25を得た。
実施例1〜18及び比較例1〜7
上記各製造例で得られたカルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)並びにカルボキシル基含有反応生成物(C)、及び硬化触媒等のその他の成分を用いて、回転翼式攪拌機を用いて攪拌して混合して、各塗料組成物No.1〜25を得た。
表3に、各塗料組成物の配合成分、カルボキシル基/エポキシ基の当量比及び固形分質量濃度(%)を示した。
表3に示す各成分の配合量は固形分量(部)を示す。また、表3における(*1)〜(*4)は、次のものを意味する。
(*1)触媒:テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルリン酸の当量配合物。
(*2)UV1164:商品名、チバガイギー(株)製、紫外線吸収剤、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン)。
(*3)HALS292:商品名、チバガイギー(株)製、光安定剤、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとの混合物)。
(*4)BYK−300:商品名、ビックケミー(株)製、表面調整剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)。
各塗料組成物の性能試験
試験塗板の調製
(1)実施例及び比較例で得られた上記各塗料組成物No.1〜25に、「スワゾール1000」を加えて、フォードカップNo.#4を用いて測定して、20℃で25秒の粘度に調整した。
試験塗板の調製
(1)実施例及び比較例で得られた上記各塗料組成物No.1〜25に、「スワゾール1000」を加えて、フォードカップNo.#4を用いて測定して、20℃で25秒の粘度に調整した。
(2)リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント(株)製)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させた。次に、該電着塗膜上に、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系自動車用中塗塗料(商品名「アミラックTP−65−2」、黒塗色、関西ペイント(株)製)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。この電着塗膜及び中塗り塗膜が形成された鋼板を被塗物として用いた。
(3)上記(2)で得た被塗物上に、アクリル樹脂・メラミン樹脂系自動車用上塗りベースコート塗料(商品名「水性メタリックベースコートWBC713T#202」、関西ペイント(株)製、黒塗色)を膜厚15μmとなるようにエアスプレー塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行った後、この未硬化塗膜層上に、上記(1)で粘度調整した各塗料組成物No.1〜25を膜厚35μmとなるように回転霧化塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱してこの二層塗膜を一緒に硬化させた。かくして、被塗物上に、2コート1ベーク方式により、ベースコート及びクリヤコートからなる複層上塗り塗膜を形成した試験塗板を得た。
(4)尚、耐汚染性試験用の試験塗板については、上記(2)及び(3)において、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系自動車用中塗塗料(商品名「アミラックTP−65−2」、黒塗色、関西ペイント(株)製)に代えて、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系自動車用中塗塗料(商品名「アミラックTP−65−2」、白塗色、関西ペイント(株)製)を使用する以外は上記(2)と同様にして、白色の被塗物を作成し、該被塗物上に、上塗りベースコート塗料を塗装することなく、各塗料組成物No.1〜25を塗装した以外は上記(3)と同様にして、白色の試験塗板を得た。
塗膜性能試験
得られた各試験塗板について、常温で7日間放置後、耐擦り傷性、耐酸性、光沢及び耐汚染性の塗膜性能試験を行なった。試験結果を表3に示す。試験方法は以下の通りである。
得られた各試験塗板について、常温で7日間放置後、耐擦り傷性、耐酸性、光沢及び耐汚染性の塗膜性能試験を行なった。試験結果を表3に示す。試験方法は以下の通りである。
試験方法
(i)耐擦り傷性:自動車車体のルーフに、耐水両面テープ(ニチバン(株)製)を用いて試験塗板を貼りつけ、20℃の温度下、洗車機で15回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦り傷性が良好であることを表わす。洗車機としては、「PO20FWRC」(商品名、ヤスイ産業(株)製)を用いた。
(i)耐擦り傷性:自動車車体のルーフに、耐水両面テープ(ニチバン(株)製)を用いて試験塗板を貼りつけ、20℃の温度下、洗車機で15回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦り傷性が良好であることを表わす。洗車機としては、「PO20FWRC」(商品名、ヤスイ産業(株)製)を用いた。
(ii)耐酸性:40%硫酸水溶液を、各試験塗板の塗膜上に0.4cc滴下し、60℃に加熱したホットプレート上で15分間加熱した後、試験板を水洗した。硫酸滴下箇所のエッチング深さ(μm)を、表面粗さ形状測定機(商品名「サーフコム570A」、(株)東京精密製)を用いて、カットオフ0.8mm(走査速度0.3mm/sec、倍率5,000倍)の条件で測定することにより耐酸性の評価を行なった。エッチング深さの値が小さいほど耐酸性が良好であることを表わす。
(iii)光沢:試験塗板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を、ハンディ光沢計(商品名「HG−268」、スガ試験機(株)製)を用いて測定した値により評価した。
(iv)耐汚染性:試験塗板を、促進耐侯性試験機(商品名「サンシャインウエザオメーター」、スガ試験機(株)製)中で、JIS K5400の条件で600時間試験後、泥土、カーボンブラック、鉱油及びクレーの混合物からなる汚染物質をネルに付着させて、試験塗板の塗面に軽くこすりつけた。これを20℃で75%RHの恒温恒湿室中に24時間放置後、塗面を流水で洗浄し、塗膜の汚染度を塗板の明度差(ΔL)により、評価した。ΔLは下記式で求めた。
ΔL=(耐汚染性試験前のL値)−(耐汚染性試験後のL値)
ΔL=(耐汚染性試験前のL値)−(耐汚染性試験後のL値)
L値の測定は、三刺激値直読式色彩計(商品名「CR400」、コニカミノルタ(株)製)を用いて、光源D65、視野2°、拡散照明垂直受光(d/0)の条件下で、行なった。このL値は、CIE 1976 L*a*b*表色系に基づく値である。
塗膜の汚染度の評価基準は次の通りである。ΔL値が小さいほど耐汚染性は良好である。
a:ΔL<0.2、
b:0.2≦ΔL<0.5、
c:0.5≦ΔL<1、
d:1≦ΔL<2、
e:2≦ΔL。
b:0.2≦ΔL<0.5、
c:0.5≦ΔL<1、
d:1≦ΔL<2、
e:2≦ΔL。
(v)NSR(ノンサンドリコート付着性);
各塗料組成物No.1〜25塗装後の塗膜の硬化条件を160℃で20分間とする以外は上記「試験塗板の調製」(1)〜(3)と同様にして試験板を作製した。該試験板に再度、水性メタリックベースコートWBC713T#202を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置し、80℃で10分間プレヒートを行なった。プレヒート後、未硬化の該塗膜上に各試験板につき、再度、同じ各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置した。その後、120℃で20分間加熱してこの両塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。
各塗料組成物No.1〜25塗装後の塗膜の硬化条件を160℃で20分間とする以外は上記「試験塗板の調製」(1)〜(3)と同様にして試験板を作製した。該試験板に再度、水性メタリックベースコートWBC713T#202を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置し、80℃で10分間プレヒートを行なった。プレヒート後、未硬化の該塗膜上に各試験板につき、再度、同じ各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置した。その後、120℃で20分間加熱してこの両塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。
得られた試験板のノンサンドリコート付着性をJIS K5400記載のゴバン目粘着セロハンテープ剥離試験により試験を行ない評価した。表中の数値はテープ剥離後のゴバン目(2×2mm)塗膜(全部で100個)の残存数を示す。数値が大きい(最大100)ほどリコート付着性が良好である。
以下の試験(vi)〜(viii)については、前記「試験塗板の調製」(1)〜(3)と同様にして得られた試験板を用い、これを沖永良部島で1年曝露試験した前後の塗板について、試験し、劣化(塗膜性能の低下)の具合(曝露前後の差)を評価した。
(vi)硬度(KHN)変化;試験板を20℃の恒温室に24時間放置後、TUKON(American Chain&Cable Company社製、micro hardness tester)にて「ツーコン硬度」(ヌープ硬度)を測定した。
KnoopHardness Number(KHN)とも言われるツーコン硬度は、四角錘ダイヤモンド圧子を一定の試験荷重で材料の試験面に押し込み、生じた菱形のくぼみの大きさから読み取られる塗膜の硬さを表したものであり、数値が大きいほど硬度が高いことを表すものである。硬度(KHN)変化を、曝露前後でのヌープ硬度の変化(ΔKHN)を指標にして、以下の基準で評価した:
a:ΔKHN≦2、
c:2<ΔKHN≦5、
e:5<ΔKHN。
a:ΔKHN≦2、
c:2<ΔKHN≦5、
e:5<ΔKHN。
(vii)耐擦り傷性変化:前述の「試験方法」の(i)と同様にして、曝露前後で光沢保持率(%)を測定した。耐擦り傷性変化を、曝露前後での光沢保持率(%)の変化(ΔGR)を指標にして、以下の基準で評価した:
a:ΔGR≦5、
c:5<ΔGR≦10、
e:10<ΔGR。
a:ΔGR≦5、
c:5<ΔGR≦10、
e:10<ΔGR。
(viii)耐酸性変化:前述の「試験方法」の(ii)と同様にして、曝露前後でエッチング深さの値を測定した。曝露前後でのエッチング深さに変化が認められない場合、良好(a)、変化が認められた場合、不良(e)と評価した。
(ix)耐汚染性変化:
前記「試験塗板の調製」(4)と同様にして得られた試験板を用いた。当該試験板を沖永良部島での1年曝露試験に供した。
前記「試験塗板の調製」(4)と同様にして得られた試験板を用いた。当該試験板を沖永良部島での1年曝露試験に供した。
前述の「試験方法」の(iv)と同様にして、曝露前後で明度差(ΔL)を算出した。曝露前後での明度差(ΔL)に低下が認められない場合、良好(a)、低下が認められた場合、不良(e)と評価した。
Claims (5)
- (A)カルボキシル基含有重合体、
(B)エポキシ基含有アクリル樹脂並びに
(C)1分子当たり3個以上の水酸基を有するポリカーボネートポリオールと酸無水物とをハーフエステル化反応して得られる、酸価50〜200mgKOH/g及び数平均分子量600〜5,000のカルボキシル基含有反応生成物
を含有する塗料組成物。 - 酸無水物が、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水トリメリット酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである請求項1に記載の塗料組成物。
- エポキシ基含有アクリル樹脂(B)が、エポキシ基及びアルコキシシリル基を含有するアクリル樹脂である請求項1に記載の塗料組成物。
- カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、(A)成分及び(C)成分中のカルボキシル基と、(B)成分中のエポキシ基との当量比が、1:0.5〜0.5:1となる割合であり、
カルボキシル基含有重合体(A)及びカルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、固形分で、(A)成分及び(C)成分の合計に基づいて、(A)成分が20〜90質量%で、(C)成分が10〜80質量%であり、カルボキシル基含有反応生成物(C)の配合割合が、カルボキシル基含有重合体(A)、エポキシ基含有アクリル樹脂(B)及び該反応生成物(C)の合計量に基づいて、固形分で、3〜40質量%である請求項1に記載の塗料組成物。 - 被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する方法であって、最上層のクリヤコートを形成する塗料組成物が請求項1に記載の塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
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