JP2005087970A - 複層塗膜 - Google Patents

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Yoshinori Narita
義則 成田
Kazuyuki Kuwano
一幸 桑野
Yoshitama Morizuki
美玲 森月
Yasushi Nakao
泰志 中尾
Yutaka Mizutani
豊 水谷
Yoshizumi Matsuno
吉純 松野
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Abstract

【課題】 耐洗車傷性及び耐引っ掻き傷性が良好な複層塗膜を提供すること。
【解決手段】 被塗物に着色ベ−ス塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に第1クリヤ塗料(B)を塗装し、着色ベ−ス塗料(A)及び第1クリヤ塗料(B)からなる塗膜を焼付け硬化させ、次いでその上に第2クリヤ塗料(C)を塗装し、3層からなる塗膜を焼付け硬化させてなる3コート2ベーク方式による複層塗膜であって、第2クリヤ塗料(C)の塗膜は、(a)弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)の合計量である塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)の割合が70%以上であり、かつ(b)塗膜のガラス転移温度(Tg)が40〜70℃の範囲内にある複層塗膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自動車などの被塗物に着色ベ−ス塗料(A)、第1クリヤ塗料(B)及び第2クリヤ塗料(C)を3コート2ベーク方式により塗装することにより形成される、耐洗車傷性や耐引っ掻き傷が良好な複層塗膜に関する。
従来から、自動車の外装の洗車機による擦り傷や鍵穴の周りの引っ掻き傷の対策が問われているが、近年外観を重視する傾向にあり、自動車を購入するユーザーにとってもこれらの傷に対する改善の要求が高まっている。そこで、自動車メーカーにとっても商品力を高めるために、耐洗車傷性、耐引っ掻き傷性に優れた塗膜の開発が重要課題となっている。
このような自動車の外装塗膜は、形成される塗膜の洗車機による擦り傷や鍵穴の周りの引っ掻き傷に対する耐性のみならず、仕上がり性、耐汚れ性、耐候性、付着性、さらには塗膜の形成に使用される塗料の経時安定性など、種々の塗膜性能や塗装作業性をバランスよく兼ね備えていなければならず、単に塗膜を軟らかくして外力を緩和したり又は硬くして外力に抵抗するだけの技術では、これら全てにバランスのとれた自動車の外装用塗膜は得られない。
本発明の目的は、良好な耐洗車傷性及び耐引っ掻き傷性を有し、かつ自動車塗膜に要求される種々の塗膜性能や塗装作業性を満足する塗膜を提供することである。
本発明者らは、耐洗車擦り傷及び耐引っ掻き傷が良好な塗膜の形成方法について鋭意検討した結果、今回、着色塗料、第1クリア塗料及び第2クリア塗料を3コート2ベーク方式で順次塗装して複層塗膜を形成するに際して、第2クリア塗料として、塗膜のトータルエネルギーに対する弾性変形エネルギーが一定値以上の割合を占め、かつ塗膜のガラス転移温度(Tg)が特定の範囲内にある塗膜を形成するクリア塗料を使用することによって、上記の目的を達成することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、被塗物に着色ベ−ス塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に第1クリヤ塗料(B)を塗装し、着色ベ−ス塗料(A)及び第1クリヤ塗料(B)からなる塗膜を焼付け硬化させ、次いでその上に第2クリヤ塗料(C)を塗装し、3層からなる塗膜を焼付け硬化させてなる3コート2ベーク方式による複層塗膜であって、第2クリヤ塗料(C)の塗膜は、(a)弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)の合計量である塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)の割合が70%以上であり、かつ(b)塗膜のガラス転移温度(Tg)が40〜70℃の範囲内にあることを特徴とする複層塗膜を提供するものである。
以下、本発明の複層塗膜及びその形成方法について、さらに詳細に説明する。
本発明の複層塗膜は、具体的には、例えば、自動車用などの金属製もしくはプラスチック製の被塗物に直接又はカチオン電着塗料などの下塗塗料及び必要に応じて中塗り塗料を塗装し、硬化させた後に、着色ベース塗料(A)を、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装(これらは静電印加していてもよい)などの方法によって膜厚が硬化膜厚で約10μm〜約50μmとなるように塗装し、硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、第1クリヤ塗料(B)を同様の方法によって膜厚が硬化膜厚で約10μm〜約70μmになるように塗装し、約60℃〜約160℃、好ましくは約80℃〜約140℃の温度で10〜90分間程度加熱して架橋硬化させ、 次に、第2クリヤ塗料(C)を同様の塗装方法によって膜厚が硬化膜厚で約10μm〜約70μmになるように塗装し、約60℃〜約180℃、好ましくは約80℃〜約140℃の温度で約10分間〜90分間程度加熱して硬化させることからなる3コート2ベーク方式(以下、3C2B方式という)により形成することができる。
着色ベース塗料(A)
着色ベ−ス塗料(A)は、第1クリヤ塗料(B)に先立ち、被塗物に塗装される塗料であって、基体樹脂、架橋剤、着色顔料及び有機溶剤又は水を主な成分として含有する有機溶剤系又は水性の塗料であって、ソリッドカラ−塗料、メタリック塗料、干渉模様塗料などが包含される。
有機溶剤系の着色ベース塗料(A)の場合は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの樹脂を基体樹脂として用いることができ、また、水性の着色ベース塗料(A)の場合は、水溶性化もしくは水分散化するのに十分な量の親水性基、例えば、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、アミノ基、スルホン酸基、ポリオキシエチレン結合など、最も一般的にはカルボキシル基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの樹脂を、例えば、アルカリで中和して水溶性化もしくは水分散化したものを基体樹脂として使用することができる。
他方、架橋剤としては、上記基体樹脂の官能基と反応する官能基をもつメラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックポリイソシアネ−ト化合物、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基含有化合物などが好適である。
基体樹脂と架橋剤との配合割合は、厳密に制限されるものではないが、一般には、これら両成分の合計固形分重量を基準にして、基体樹脂は50〜90%、特に60〜80%、架橋剤は50〜10%、特に40〜20%の範囲内が適している。
着色顔料としては、ソリッドカラ−用顔料、メタリック用顔料、干渉模様顔料などが包含され、ソリッドカラ−顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カ−ボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロ−、酸化クロム、プルシアンブル−、コバルトブル−などの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの有機顔料があげられ;メタリック用顔料としては、例えば、りん片状のアルミニウム、雲母状酸化鉄などが挙げられ;干渉模様顔料としては、例えば、雲母、金属酸化物で表面被覆した雲母などがあげられる。これらの顔料はそれぞれ単独で使用することができ、または2種以上併用することもできる。これらの着色顔料の配合量は、目的とする色調、メタリック感、干渉模様によって適宜選択することができる。
有機溶剤としては、上記の基体樹脂、架橋剤及び着色顔料を混合分散することができるものであればよく、例えば、炭化水素系、エステル系、エ−テル系、アルコ−ル系、ケトン系などの通常の塗料用溶剤を使用することができる。着色ベ−ス塗料(A)は、上記の基体樹脂、架橋剤及び着色顔料ならびに必要に応じて他の塗料用添加剤を、有機溶剤又は水とを常法により混合分散することによって調製することができる。
着色ベ−ス塗料(A)は、例えば、塗装時固形分含有率を10〜50重量%及び粘度を10〜30秒(フォ−ドカップ#4/20℃)の範囲内に調整し、硬化塗膜で好ましくは10〜50μmの膜厚になるようにして、エアスプレ−、エアレススプレ−、静電塗装などにより被塗物に塗装することができる。
第1クリヤ塗料(B)
着色ベース塗料(A)の未硬化塗面に塗装される塗料であり、樹脂組成物及び有機溶剤を必須成分とし、さらに必要に応じて着色顔料を含有してなる無色透明又は有色透明の塗膜を形成する熱硬化性塗料を好適に使用することができる。これらの樹脂組成物、有機溶剤及び着色顔料としては、着色ベ−ス塗料(A)について説明したものと同様のものが使用可能である。
例えば、樹脂組成としては熱硬化性樹脂組成物が好ましく、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹脂、場合によりブロックされていてもよいポリイソシアネ−ト化合物、カルボキシル基含有化合物(または樹脂)、エポキシ基含有化合物(または樹脂)などの架橋剤と併用したものがあげられ、溶媒としては有機溶剤及び/または水を使用することができる。
第1クリヤ塗料(B)は、例えば、塗装時固形分濃度を10〜60重量%及び粘度を10〜50秒(フォ−ドカップ#4/20℃)の範囲内に調整し、前記の着色ベ−ス塗料(A)の未硬化塗面に、静電塗装、エアスプレ−、エアレススプレ−などにより、硬化塗膜で10〜70μmの膜厚になるようにして塗装することが好ましく、その後、約60〜約160℃の温度で10〜90分間加熱して着色ベ−ス塗料(A)の塗膜と第1クリヤ塗料(B)の塗膜を同時に架橋硬化させる。
第2クリヤ塗料(C)
第2クリヤ塗料(C)は、架橋硬化せしめた第1クリヤ塗料(B)の塗膜上に塗装されるものであり、第1クリヤ塗料(B)について説明した樹脂及び有機溶剤であって、第1クリヤ塗料と同じ又は異なる樹脂組成物及び有機溶剤を含有する塗料を使用することができる。
第2クリヤ塗料(C)で使用する樹脂組成物としては、特に、耐洗車傷性、耐引っ掻き傷性など性能に優れた塗膜を形成するものを選んで使用することが好ましい。
本発明では、第2クリヤ塗料(C)としては、以下に示す物性をもつ塗膜を形成するものを使用する点に新規な特徴を有するものである。そのような塗膜を形成する第2クリヤ塗料(C)は、基体樹脂、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、塗面調整剤、その他の塗料添加剤、有機溶剤などを適宜選択し組み合せて塗料化することにより調製することができる。上記基体樹脂としては、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられ、また、上記架橋剤としては、具体的には、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、場合によりブロックされていてもよいポリイソシアネ−ト化合物、カルボキシル基含有化合物または樹脂、エポキシ基含有化合物または樹脂などが挙げられる。さらに、塗膜の架橋反応を促進するために硬化触媒を加えることもできる。硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫トリオクテート、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物を挙げることができる。これらの硬化触媒の使用量は、基体樹脂と架橋剤の固形分の合計を基準にして、0.005〜5重量%、特に0.01〜3重量%の範囲内が適している。
以下、第2クリヤ塗料(C)の塗膜特性及びその測定法についてさらに詳細に説明する。
第2クリヤ塗料(C)としては、
(a)弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)の合計量である塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)の割合が70%以上であり、かつ
(b)塗膜のガラス転移温度(Tg)が40〜70℃の範囲にある
塗膜を形成するものが使用される。
上記(a)における塗膜の弾性変形エネルギー(We)は、ISO14577に規定されている塗膜の硬さ試験法によるフィッシャー硬度試験、フィッシャースコープH−100(株式会社フィッシャー・インストルメンツ社製、商品名、微小硬さ試験機)を用いて測定することができる。
フィッシャースコープH−100は、塗膜表面の荷重をダイヤモンドのビッカース圧子により段階的(例えば、0.4mN 〜10mNの間で)変化させて塗膜に荷重を加え、次に塗膜から除荷することによって塗膜の硬さ(ユニバーサル硬さと称される)を求める測定機器であり、ビッカース硬度と相関がある。詳細は、「ユニバーサル硬さ試験による材料特性値の評価」、材料試験技術 Vol43 No.2 P148〜P152 1998年4月号、日本材料試験技術協会著に記載されている。
その測定結果は、塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)のそれぞれに分割して数値として表わすことができる。塗膜に外から力を加えると塗膜はその力に応じて変形し、力を0に戻すと塗膜の形が元に戻るポテンシャルである弾性変形エネルギー(We)は、図1に示すグラフにおける(1)の領域に相当し、力を0に戻しても塗膜の形が元に戻らないポテンシャルである塑性変形エネルギー(Wr)は、図1に示すグラフにおける(2)の領域に相当する。そして、図1に示すグラフにおける(1)の領域と(2)の領域の合計がトータルエネルギー(Wt)であり、図1に示すグラフではABC点で囲まれる領域に相当する。
耐洗車傷性及び耐擦り傷性の向上のためには、第2クリヤ塗料(C)の硬化塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対して、弾性変形エネルギー(We)の割合が70%以上であることが重要であり、例えば、トータルエネルギー(Wt)が30nJの塗膜とすると、弾性変形エネルギー(We)は21nJ以上、好ましくは23nJ以上、さらに好ましくは25nJ以上であることが重要である。
弾性変形エネルギー(We)の割合が70%未満であると、塗膜が洗車や鍵などの外力を受けたとき、塗膜についた傷が回復することなく、消えないなどの不具合が生じる。
さらに自動車外装用途として種々の塗膜性能を満足するためには、第2クリヤ塗料(C)の塗膜のガラス転移温度(Tg)が40〜70℃、特に45〜60℃の範囲内にあることが極めて重要である。なお、塗膜のガラス転移温度(Tg)は、第2クリヤ塗料(C)の単独塗膜を、レオバイブロンDDV−OPA III(株式会社オリエンテック社製、商品名、動的粘弾性測定装置)を用いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分において測定することができる。
第2クリヤ塗料(C)の塗膜のガラス転移温度(Tg)が40℃未満であると、塗膜に汚れがつき易く外観を損うなどの不具合を生じる。また、塗膜のガラス転移温度(Tg)が70℃を越えると、塗膜に洗車や鍵による傷がいったんつくと回復せず、その結果、耐擦り傷性や耐引っ掻き傷性に対して満足できる効果は得られない。
また、塗膜のガラス転移温度(Tg)と共に塗膜の架橋間分量(Mc)も算出することができるが、好ましくは架橋間分量(Mc)は、通常700以下、特に300以下であることが好ましい。
第2クリヤ塗料(C)は、例えば、塗装時固形分濃度を10〜60重量%及び粘度を10〜50秒(フォ−ドカップ#4/20℃)の範囲内に調整し、前記の第1クリヤ塗料(B)の硬化塗面に、静電塗装、エアスプレ−、エアレススプレ−などにより、硬化塗膜で10〜70μmの膜厚になるようにして塗装することが好ましく、その後、約60〜約160℃の温度で10〜90分間加熱して第2クリヤ塗料(C)の塗膜を硬化させる。かくして、弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)の合計量である塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)の割合が70%以上であり、かつ塗膜のガラス転移温度(Tg)が40〜70℃の範囲内にあるクリヤ塗膜を形成せしめることができる。この第2クリヤ塗料(C)の塗膜は、適度の硬さと弾性とをバランスよく兼備しており、塗膜を引っ掻いた時に、傷痕が回復してもとの塗膜状態に戻り易く、耐洗車擦り傷性及び耐引っ掻き傷性が極めて優れている。
本発明は、着色ベース塗料(A)、第1クリヤ塗料(B)及び第2クリヤ塗料(C)を3C2B方法により順次塗装することにより形成される複層塗膜において、第2クリヤ塗料(C)の塗膜が、ユニバーサル硬さ試験によって測定した塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)の割合を70%以上とし、かつ塗膜のガラス転移温度(Tg)を40〜70℃の範囲内に調整することにより、耐洗車傷性及び耐擦り傷性に優れた複層塗膜を提供するものである。
上記の塗膜特性をもつ第2クリヤ塗料の塗膜は、洗車時の擦り傷や引っ掻いた時に、傷痕が回復してもとの塗膜状態に戻り易く傷跡が消えて見えなくなることから、引っ掻き傷に対する耐性や修復性も良好であると推測される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
製造例1 ポリエステル樹脂No.1の製造
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、下記のモノマーを下記の割合で混合し加熱した。
1,4−シクロヘキサンジメタノール 74部
トリメチロールプロパン 65部
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 66部
ドデカンジカルボン酸 117部
ジブチル錫ジラウレート 0.5部
次に、内容物を160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、230℃で1時間保持し、生成した縮合水を精留塔を用いて留去した。さらに、内容物にキシレンを5部加え、キシレンと縮合水を還流させて水分離器を用いて水を除去した。
キシレン添加の2時間後から酸価を測定し始め、酸価が4mgKOH/gになったところで冷却して反応を終了させた。さらに、混合溶剤A(注1)を加えて固形分70%のポリエステル樹脂No.1を得た。
(注1)混合溶剤A:キシレン/スワゾール1000(コスモ石油株式会社製、高沸点石 油溶剤)=50/50(重量比)の混合溶剤。
製造例2及び3 ポリエステル樹脂No.2及びNo.3の製造
ポリエステル樹脂No.1の製造例において、モノマー配合を表1に示すように変更する以外は同様の操作を行って、固形分70%のポリエステル樹脂No.2及びポリエステル樹脂No.3を得た。
Figure 2005087970
製造例4 アクリル樹脂の製造
攪拌器、冷却器、温度制御装置、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に混合溶剤A(注1) 80部及びn−ブチルアルコール 20部を仕込み、反応容器内の窒素置換を行ない、加熱攪拌し容器内が120℃に達してから下記のモノマーの混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 30部
メタクリル酸ブチル 20部
アクリル酸ブチル 26.3部
メタクリル酸ヒドロキシエチル 12部
アクリル酸ヒドロキシエチル 10.7部
メタクリル酸 1部
アゾビスイソブチロニトリル 10部
滴下終了後、120℃で30分間熟成し、水酸基価100mgKOH/g、重量平均分子量3000及び固形分70%のアクリル樹脂を得た。
実施例及び比較例
実施例1
ポリエステル樹脂No.1 60部、アクリル樹脂10部、ポリイソシアネート化合物としてタケネートD−170HN(注2) 30部及び触媒としてSCAT24(注3) 0.1部を配合し、有機溶剤(注5)で希釈し、固形分40%のクリア塗料No.1を得た。
実施例2、比較例1〜3
下記表2に示す配合割合で実施例2及び比較例1〜3のクリア塗料No.2〜No.5を得た。
Figure 2005087970
(注2)タケネートD−170HN:商品名、三井武田ケミカル社製、ヘキサメチレンジ イソシアヌレート硬化剤
(注3)SCAT24:商品名、三共有機合成株式会社製、錫触媒
(注4)ディスパロンLC−951:商品名、楠本化成社製、レベリング剤
(注5)有機溶剤:酢酸ブチル/メチルイソブチルケトン=50/50
試験板の作製(塗膜性能試験用)
(1) パルボンド#3020(商品名、日本パーカライジング株式会社製、りん酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板に、上記実施例及び比較例にて得たクリア塗料No.1〜No.5をスプレーにて20μmの膜厚に塗装し、その単独塗膜を140℃で20分間焼き付け試験板とし、フィッシャー硬度試験(注7)及びガラス転移温度(Tg)(注8)の測定を行なった。
(2) さらに、パルボンド#3020(商品名、日本パーカライジング株式会社製、りん酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板に、エレクロンGT−10LFグレー(商品名、関西ペイント株式会社製、カチオン電着塗料)を電着塗装し、170℃−20分で焼き付けて20μmの塗膜を得た。
その上に、着色ベース塗料としてマジクロンTB−516(商品名、関西ペイント株式会社製、アミノアルキッド樹脂塗料)を15μm塗装し、未硬化のままウェットオンウェットで、第1クリア塗料としてマジクロンTC−71(商品名、関西ペイント社製、エポキシ−アクリル系メラミン硬化型クリア塗料)を20μm塗装し、140℃で20分間焼き付けることにより両塗膜を硬化させた。
次に、上記実施例及び比較例にて得たクリア塗料No.1〜No.5をスプレーにて20μmの膜厚に塗装し、3層からなる複層塗膜を140℃で20分間焼き付け試験板とし、外観(汚れ)(注9)、耐擦り傷性(注10)及び耐引っ掻き傷性(注11)を評価した。
試験結果
上記試験板を用いて塗膜の性能試験を行った。その結果を下記表3に示す。
Figure 2005087970
(注7)フィッシャー硬度試験: フィッシャースコープH−100(株式会社フィッ シャー・インストルメンツ製、商品名、超微小硬さ試験機)によりビッカース四 角錘ダイヤモンド圧子を用い、塗膜のトータルエネルギー(Wt)、弾性変形エ ネルギー(We)及び塑性変形エネルギー(Wr)を測定した。
(注8)ガラス転移温度(Tg):レオバイブロンDDV−OPA III(株式会社オリエ ンテック社製、商品名、動的粘弾性測定装置)を用いて、周波数10Hz、昇温 速度3℃/分において測定した。
(注9)外観(汚れ):関西ペイント株式会社(神奈川県平塚市)の南面30度に試験板 を設置し、3ヶ月暴露された試験板を水洗い等の試料調整をすることなしに、外 観の汚れ具合を目視評価した。
○:塗面に汚れが、ほとんど認められない。
△:塗面に汚れが、かなり認められるが、目立たない。
×:塗面に汚れが、著しい。
(注10)耐擦り傷性:磨き砂(クレンザー)を水で混ぜたものを試験板に載せ、その上 を試験機端子で押さえ0.5kgfの荷重をかけて、25往復した後塗面を目視 にて評価した。
○:塗面のツヤに変化が認められない。
△:ツヤビケが認められる。
×:ツヤビケが著しく認められる。
(注11)耐引っ掻き傷性:HEIDON 18L(新東科学株式会社製、商品名、引っ 掻き傷試験機)を用いて、荷重300〜500gfで連続、引っ掻き速度600 mm/分、引っ掻き距離100mm、試験温度20℃にて行った。
○:塗面に傷がわずかにつく程度で問題なし。
△:塗面に傷がつきめだつ。
×:塗面に傷がつきかなりめだつ。
フィッシャスコープH−100により塗膜硬度を測定したグラフである。 塗膜のトータルエネルギー(Wt)は弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)の合計であり、ABCの点で囲まれた領域に相当する。
符号の説明
1:We=弾性変形エネルギーを示す領域
2:Wr=塑性変形エネルギーを示す領域

Claims (1)

  1. 被塗物に着色ベ−ス塗料(A)を塗装し、その未硬化塗面に第1クリヤ塗料(B)を塗装し、着色ベ−ス塗料(A)及び第1クリヤ塗料(B)からなる塗膜を焼付け硬化させ、次いでその上に第2クリヤ塗料(C)を塗装し、3層からなる塗膜を焼付け硬化させてなる3コート2ベーク方式による複層塗膜であって、第2クリヤ塗料(C)の塗膜は、(a)弾性変形エネルギー(We)と塑性変形エネルギー(Wr)の合計量である塗膜のトータルエネルギー(Wt)に対する弾性変形エネルギー(We)の割合が70%以上であり、かつ(b)塗膜のガラス転移温度(Tg)が40〜70℃の範囲内にあることを特徴とする複層塗膜。
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