JP2002083663A - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

スパークプラグ及びその製造方法

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JP2002083663A JP2001195868A JP2001195868A JP2002083663A JP 2002083663 A JP2002083663 A JP 2002083663A JP 2001195868 A JP2001195868 A JP 2001195868A JP 2001195868 A JP2001195868 A JP 2001195868A JP 2002083663 A JP2002083663 A JP 2002083663A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発火部の剥離や発汗等を本質的に生じにく
く、例えばガスエンジン等に適用された場合において
も、ブリッジング等によるギャップ短絡を生じにくいス
パークプラグを提供する。 【解決手段】 スパークプラグ100は、火花放電ギャ
ップgを挟んで対向する中心電極3と接地電極4と備
え、それら電極3,4の少なくとも一方に対して放電ギ
ャップgに臨む位置に、Pt又はIrを主成分とし、か
つ酸素含有量が100ppm以下である金属からなる発
火部31,32が固着されてなる。発火部31,32を
構成する金属中の酸素含有量が多くなるほど、発火部の
剥離や発汗等の不具合も生じやすくなるが、金属中の酸
素含有量を100ppm以下とすることによりこれを抑
制でき、ギャップ短絡等の不具合を効果的に防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパークプラグ及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述のようなスパークプラグにおいて
は、耐火花消耗性向上のために電極の先端にPtを主体
とするチップを溶接して発火部を形成したタイプのもの
が使用されている。また、近年は、耐火花消耗性をさら
に向上させるために、Ptに代えてIrを主成分とする
チップにて発火部を構成したスパークプラグも実用に供
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなPtある
いはIrを発火部の材質として使用するスパークプラグ
をガスエンジン、例えば排気熱と燃焼熱を共に利用する
コジェネレーション用ガスエンジンに使用すると、内燃
機関の燃焼室内での混合気の燃焼過程において、混合気
の吸入過程における急冷却と混合気の燃焼による急加熱
による冷熱サイクルが発火部に加わりやすい。この傾向
は、排気ガスの低NOx化等を図るためのリーンバーン
エンジンでは一層厳しいものとなる。
【0004】そして、発火部に上記のように過酷な冷熱
サイクルが繰り返し加わると、発火部を構成する金属表
面の剥離が生じやすくなる。また、剥離した金属片が放
電により溶融し、その飛沫等が再付着する現象(発汗と
称されることもある)が起こりやすくなる。上記のよう
な発火部の剥離や発汗が生ずると、火花放電ギャップ間
に、剥離物や再付着物が堆積してブリッジングを起こ
し、ギャップ短絡による着火ミスを起こしやすくなる。
特にガスエンジン用スパークプラグの場合、放電電圧を
低くするためにギャップ間隔を狭くしてあるものが多
く、ブリッジング等は一層起こりやすい環境にあるとい
える。
【0005】本発明の課題は、発火部の剥離や発汗等を
本質的に生じにくく、例えばガスエンジン等に適用され
た場合においても、ブリッジング等によるギャップ短絡
を生じにくいスパークプラグと、その製造方法とを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明の
スパークプラグの第一の構成は、火花放電ギャップを挟
んで対向する中心電極と接地電極と備え、それら電極の
少なくとも一方に対して放電ギャップに臨む位置に、P
t又はIrを主成分とし、かつ酸素含有量が120pp
m以下である金属からなる発火部が固着されてなること
を特徴とする。
【0007】なお、発火部は、その構成金属からなるチ
ップを電極に溶接することにより形成できる。そして、
本明細書でいう「発火部」とは、接合されたチップのう
ち、溶接による組成変動の影響を受けていない部分(例
えば、溶接により接地電極ないし中心電極の材料と合金
化した部分を除く残余の部分)を指すものとする。
【0008】本発明者らは、PtやIrを主成分とする
金属にて発火部を構成したスパークプラグにおける、ブ
リッジング発生等によるギャップ短絡の原因について鋭
意検討を行なった結果、発火部を構成する金属中の酸素
含有量とギャップ短絡等の不具合の発生頻度との間に相
関があり、酸素含有量が多くなるほど不具合も生じやす
くなることが判明した。そして、さらに検討を重ねた結
果、金属中の酸素含有量を120ppm以下とすること
により、発火部の剥離や発汗が極めて顕著に抑制され、
ギャップ短絡等の不具合を効果的に防止できることを見
出して、上記本発明の第一の構成を完成させるに至っ
た。
【0009】発火部を構成する金属中の酸素含有量が1
20ppmを超えると、スパークプラグの使用環境が厳
しい場合に、発火部の剥離や発汗に伴うブリッジング等
は生じやすくなる傾向となる。しかしながら、本発明者
らは別途検討を行なった結果、剥離やブリッジング等の
発生の難易を決めるもう一つ因子として、金属組織を構
成する結晶粒の平均粒径が重要であることがわかった。
そして、さらに検討を重ねた結果、結晶粒の平均粒径が
大きくなれば、酸素含有量が120ppmを超えて多少
増加しても、発火部の剥離や発汗、ひいては火花放電ギ
ャップのブリッジング等が発生しにくくなることを見出
し、本発明の第二の構成を完成させるに至った。
【0010】すなわち、該第二の構成に係るスパークプ
ラグは、火花放電ギャップを挟んで対向する中心電極と
接地電極と備え、それら電極の少なくとも一方に対して
放電ギャップに臨む位置に、Pt又はIrを主成分と
し、かつ平均粒径が50μm以上であって酸素含有量が
300ppm以下である金属からなる発火部が固着され
てなることを特徴とする。
【0011】発火部の構成金属中の酸素含有量が300
ppmを越えると、金属組織中の結晶粒の平均粒径を5
0μm以上としても、発火部の剥離や発汗を防止するこ
とが困難となる。なお、より望ましくは、結晶粒の平均
粒径を50μm以上としつつ、酸素含有量を120pp
m以下となす構成を採用するのがよい。また、平均粒径
の上限については特に制限はなく、例えば発火部を構成
する金属全体が1個ないし数個程度の結晶粒で構成され
た粗大結晶粒組織となっていてもよい(従って、結晶粒
の平均粒径は、発火部の寸法とほぼ同程度となることも
ありうる)。
【0012】上記のような本発明のスパークプラグは、
取付対象となる内燃機関が、過酷な冷熱サイクルの加わ
りやすいガスエンジンである場合、すなわちガスエンジ
ン用スパークプラグとして採用された場合に、上記の効
果を特に顕著に発揮する。とりわけ、放電電圧を低くす
るために火花放電ギャップの間隔を0.6mm以下とし
た従来のスパークプラグでは、ガスエンジン用に適用さ
れた場合、特にブリッジング等の不具合を生じやすかっ
たが、本発明の採用によりそのような不具合を効果的に
解消することができる。なお、本発明は、接地電極側の
発火部と、中秋電極側の発火部とのいずれにも適用可能
であるが、温度上昇しやすい接地電極側の発火部に適用
した場合に、特に効果が顕著である。
【0013】なお、本明細書において「主成分とする」
とは、着目する成分が質量含有率において最も高くなっ
ていることを意味する。
【0014】発火部の構成金属中の酸素含有量を減少さ
せることにより、発火部の剥離や発汗が抑制される機構
につき、本発明者らは以下のように推測している。酸素
は、例えば構成金属の溶解調製時に、これに溶かし込ま
れる形で含有されることが多く、凝固後の金属中には主
に固溶状態で存在するものと考えられる。スパークプラ
グを内燃機関に取り付けて使用した際に、発火部中の金
属に含有される固溶酸素は、燃焼室内の高温雰囲気にさ
らされた際に結晶粒界に析出しやすく、金属表面から結
晶粒界を経由して拡散する雰囲気中の成分、例えば水素
等と反応して粒界層の脆化を生じやすい傾向がある。こ
のような傾向は、特にガスエンジンなど、水素が比較的
多量に存在する雰囲気下においては促進されやすいもの
と考えられる。また、雰囲気温度が高く、結晶粒成長に
伴う粒界移動が生じやすい場合は、結晶粒構成原子の再
配列を伴うから、溶存酸素の金属相からの排出ひいては
結晶粒界への析出が一層生じやすくなり、上記傾向が助
長されやすくなるともいえる。そして、粒界部分での金
属の体積膨張やガス析出をもたらすから、このような状
態で、発火部表面が強い火花のアタックを受けると粒界
破壊が生じて結晶粒の脱落が起こり、剥離や発汗を生じ
やすくなるものと推測される。
【0015】しかしながら、金属中の酸素含有量が少な
ければ、当然、結晶粒界に析出する酸素量も少なくな
り、火花のアタックを受けたときの粒界破壊が抑制さ
れ、結晶粒の脱落も生じにくくなる。従って、発火部の
剥離や発汗が防止ないし抑制されるものと考えられる。
また、結晶粒の平均粒径が大きくなることにより、1個
の粒子を脱落させるのにより大きな火花アタック力が必
要となることから、粒界破壊に伴う結晶粒の脱落はより
生じにくくなる。従って、平均粒径を50μm以上に大
きくすることにより、剥離や発汗を生じにくくする上限
酸素量(300ppm)も大きくすることができる。ま
た、本発明者らが検討した結果によると、酸素含有量の
多い金属を使用した場合は高温での金属組織の再結晶が
進みにくく、平均粒径は小さくなりがちであり、結晶粒
の脱落はますます生じやすい傾向となる。しかしなが
ら、酸素含有量を300ppm以下とすれば再結晶も進
みやすくなり、発火部の剥離や発汗を防止する上で効果
的な50μm以上の平均粒径とすることも容易となる。
【0016】上記スパークプラグを製造するための本発
明の方法は、Pt又はIrを主成分とする金属により構
成された金属チップを、中心電極及び/又は接地電極に
溶接することにより該チップに基づく発火部を形成する
とともに、溶接前の金属チップ又は溶接後の発火部を、
800℃以上かつ金属の融点(合金の場合は液相線温度
を意味するものとする)以下で熱処理することを特徴と
する。本発明の第二の構成に係るスパークプラグを製造
する場合は、金属チップ又はそのチップ化前の素材の金
属組織、あるいは金属チップを溶接して得られる発火部
の金属組織の平均粒径を50μm以上としつつ酸素含有
量を300ppm以下(望ましくは120ppm以下)
となす。
【0017】高温での加熱により、金属の再結晶が促進
されるので、結晶粒の平均粒径を大きくして脱落防止を
図る観点において有利である。熱処理は、電極に溶接す
る前の金属チップの状態で行なってもよいし、溶接後の
発火部を電極とともに加熱するようにしてもいずれでも
よい。なお、熱処理温度が800℃未満では金属結晶粒
の再結晶及び成長が十分に進行せず、上記範囲の平均粒
径を達成できなくなる。また、金属の融点以上に加熱し
たのではチップあるいは発火部が変形して使用不能とな
る。従って、熱処理温度は上記の範囲にて設定され、望
ましくは900℃以上、金属固相線温度以下の範囲にて
設定するのがよい。
【0018】なお、熱処理は真空あるいは窒素ないし不
活性ガス雰囲気にて行なうことができる。これによっ
て、特にIr系金属を主体とするチップの場合は、熱処理
中に酸化揮発することを効果的に抑制することができ
る。
【0019】次に、発火部を形成するためのチップ又は
これを製造するためのチップ素材は、Ir系金属あるい
はPt系金属の原料を溶解・凝固することにより製造さ
れる溶解材とすることができる。チップ素材は、所定の
加工を施すことにより、これをチップとなすことができ
る。ここでいう「加工」とは、圧延、鍛造、スエージン
グ、線引き(伸線)、切削、切断(放電加工を含む)及
び打抜きの少なくともいずれかを単独で、又は複数を組
み合わせてなされるものを意味するものとする。この場
合、圧延、鍛造、あるいは打抜き等の加工は、常温で行
なう冷間加工に限らず、合金を所定の温度に昇温して行
なういわゆる熱間加工(あるいは温間加工)により行な
うこともできる。その加工温度は合金組成にもよるが、
例えば700℃以上とするのがよい。例えば溶解材を熱
間圧延により板状に加工し、さらにその板材を熱間打抜
き加工により所定の形状に打ち抜いてチップを形成する
ようにすれば、チップの製造効率が著しく改善され、チ
ップの製造単価を大幅に低減することができる。なお、
溶解合金を熱間圧延、熱間鍛造あるいは熱間伸線により
線状あるいはロッド状に加工した後、これを長さ方向に
所定長に切断してチップを形成する方法も可能である。
熱間加工は、難加工性のIr系合金の場合に特に有効で
ある。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を用いて説明する。図1((a)は正面図、(b)は
半断面図)は、本発明の一例たるスパークプラグを示す
ものである。このスパークプラグ100は、例えばコジ
ェネレーションガスエンジンの点火用に使用され、筒状
の主体金具1、先端部21が突出するようにその主体金
具1の内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に形成された
貴金属発火部(以下、単に発火部ともいう)31を突出
させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、
及び主体金具1に一端が溶接等により結合されるととも
に他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3
の先端部と対向するように配置された接地電極4等を備
えている。また、接地電極4には上記発火部31に対向
する発火部32が形成されており、それら発火部31
と、対向する発火部32との間の隙間が火花放電ギャッ
プgとされている。
【0021】スパークプラグ100は、火花放電ギャッ
プgの間隔は0.2mm〜0.6mmである。また、プ
ラグ全長L0は60〜100mm(例えば74.5m
m)、ねじリーチL1は12.5〜26.5mm(例え
ば19mm)、取付ねじ部7の呼びはM10,M12,
M14及びM18のいずれか(例えばM14)である。
【0022】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパーク
プラグ100のハウジングを構成するとともに、その外
周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロック
に取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0023】中心電極3及び接地電極4のチップ被固着
面形成部位、この実施例では少なくともその表層部がN
i又はFeを主成分とする耐熱合金にて構成されてい
る。例えばNiを主成分とする耐熱合金としては、INCO
NEL 600やINCONEL601 等を使用できる。
【0024】図2において発火部31及び対向する発火
部32は、Pt又はIrを主成分とする金属(Pt系金
属あるいはIr系金属:以下、両者を総称して貴金属と
いう)からなる。該貴金属からなる発火部31,32
は、いずれもその酸素含有量が120ppm以下、ある
いは結晶粒の平均粒径が50μm以上であって酸素含有
量が300ppm以下(望ましくは120ppm以下)
とされている。これにより、スパークプラグ100をガ
スエンジンに取り付けて使用した際の、発火部31,3
2の剥離や発汗による火花放電ギャップgのブリッジン
グが効果的に抑制される。なお、発火部31及び対向す
る発火部32のいずれか一方を省略する構成としてもよ
い。この場合には、発火部31と、発火部を有さない接
地電極4の側面との間、又は対向する発火部32と、発
火部を有さない中心電極3の先端面との間で火花放電ギ
ャップgが形成されることとなる。
【0025】発火部31,32を構成する貴金属の材質
としては以下のようなものがある。 Pt−Ni合金 Ptを主成分とし、Niを2〜4質量%含有させること
ができる。この合金は、溶接部の対剥離性が向上する等
の利点がある。ただし、Ni含有量が2重量%未満では
上記効果が不十分となり、40重量%を超えると合金の
融点が低下して、発火部の耐火花消耗性が不十分とな
る。なお、Pt−Ni合金は、火花放電時の脱落粒子や
溶融飛散粒子の再付着が生じやすく、ブリッジング等を
特に起こしやすい傾向にある。その理由は、Pt−Ni
合金が他の貴金属と比較して磁気を帯びやすいためであ
ると推測される。いずれにしろ、本発明の適用により、
これまで生じやすかったブリッジング等を効果的に防止
ないし抑制することが可能となる。 Pt−Ir合金 Pt又はIrを主成分とし、Irを2〜98質量%含有
させることができる。この合金は、Irの添加により発
火部の耐熱性が向上し、耐火花消耗性が特に良好である
利点がある。ただし、Ir含有量が2重量%未満では上
記効果が不十分となり、98重量%を超えると、Irの
高温での酸化揮発が進みやすくなり、発火部の耐酸化揮
発消耗性が不十分となる場合がある。
【0026】Pt−Ir−Ni合金 Ptを主成分とし、Irを2〜40質量%、Niを2〜
40質量%含有させることができる。この合金は、耐火
花消耗性が良好であり、また、溶接部の対剥離性を向上
させる利点がある。ただし、Ir含有量が2重量%未満
では耐火花消耗性が不十分となり、40重量%を超える
と溶接部の対剥離性が不十分となる。また、Ni含有量
が2重量%未満では溶接部の対剥離性が不十分となり、
40重量%を超えると耐火花消耗性が不十分となり、ま
た、合金の加工性が悪化し、製造能率及び歩留まりの低
下が避け難くなる。
【0027】Ir−Ni合金 Ir又はNiを主成分とし、Niを2〜70質量%含有
させることができる。この合金は、Irを主成分とする
ことで発火部の耐熱性が向上し、耐火花消耗性が特に良
好である利点がある。ただし、Ni含有量が2重量%未
満では、Irの高温での酸化揮発が進みやすくなり、発
火部の耐酸化揮発消耗性が不十分となる場合がある。ま
た、Ni含有量が70重量%以上では、金属の融点が低
下して耐火花消耗性改善効果が不十分となる。
【0028】以下、本発明のスパークプラグの、製造方
法の実施例について説明する。図2に示すように、中心
電極3の先端面に上記発火部31(図1)を構成する合金
組成からなる円板状のチップ31’を重ね合わせ、さら
にその接合面外縁部に沿ってレーザー溶接により全周レ
ーザー溶接部(以下、単に溶接部ともいう)W を形成
してこれを固着することにより発火部31が形成され
る。また、対向する発火部32(図1)は、発火部31
に対応する位置において接地電極4にチップ32’を位
置合わせし、その接合面外縁部に沿って同様に溶接部W
を形成してこれを固着することにより形成される。な
お、チップがIr系金属の場合は高融点であるため、上
記のようなレーザー溶接による接合が望ましいが、Pt
系金属の場合は、Ir系金属よりは低融点であるため抵
抗溶接による接合も可能である。
【0029】これらチップ31’,32’(以下、チッ
プ31,32を総称する場合は、符号「150」を用い
る場合がある)は、所定の組成となるように各合金成分
を配合・溶解することにより得られる溶解材を、例えば
冷間圧延により板材に加工し、その板材を熱間打抜き加
工により所定のチップ形状に打ち抜いて形成したもの
や、合金を熱間圧延、熱間鍛造あるいは熱間伸線により
線状あるいはロッド状の素材に加工した後、これを長さ
方向に所定長に切断して形成したものを使用できる。ま
た、アトマイズ法等により球状に成形したものも使用で
きる。
【0030】図3に示すように、チップ150あるいは
チップ150を製造するためのチップ素材300あるい
は210等は、溶接に先立って減圧雰囲気又は水素雰囲
気にて800℃以上(ただし、金属の融点以下)で熱処
理することにより、チップ、チップ素材あるいは発火部
を再結晶により結晶粒成長させることができる。この場
合、その結晶成長により結晶粒の平均粒径を50μm以
上とすることが望ましい。また、仮に結晶成長が進行し
ない場合でも、素材の加工条件を適宜調整することによ
り、結晶粒の平均粒径を50μm以上とすることが望ま
しい。
【0031】図3(a)は、板材300を、同(b)は
ロッド状素材210、さらに同(c)は、チップ150
に加工した状態にて、熱処理炉FK内にて熱処理する例
を示している。また、図4に示すように、チップ31’
あるいは32’を中心電極3あるいは接地電極4に予め
溶接して発火部31あるいは32としておき、それら発
火部31あるいは32を電極3あるいは4とともに熱処
理を行なうようにしてもよい。
【0032】
【実験例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行った。 (実験例1)Pt金属にNi金属を配合・溶解すること
により、Pt−20質量%Niの組成を有する合金を作
製した。合金溶解はAr雰囲気にて高周波溶解により行
ったが、このとき導入するArガス中の酸素含有量レベ
ルを調整することにより、含有酸素濃度が1ppm、4
3ppm、78ppm、113ppm、140ppm、
300ppm及び340ppmである各種合金試料を得
た。なお、合金試料中の酸素濃度は、合金試料を不活性
ガス中で加熱融解させ、NDIR(非分散赤外線吸収)
法にて分析することにより定量した。これら合金試料
は、冷間圧延により厚さ0.4mmの板材に加工した。
また、酸素濃度140ppmの試料については、板材
を、真空度1.33×10−3Paの真空雰囲気におい
て温度900℃で500分熱処理したものと、その熱処
理を省略したものとの2種類を作成した(表1:番号4
及び6)。また、各板材の研磨表面をエッチング後、光
学顕微鏡にて観察し、その観察画像から結晶粒の平均粒
径を求めた。なお、個々の結晶粒の径は、研磨表面上に
て観察される結晶粒の外形線に対し、間隔最大となる位
置関係にて外接平行線を引いたときの、その平行線間距
離として求めている。個々の試料の熱処理条件、酸素含
有濃度の分析結果及び平均粒径を表1に示している。
【0033】次に、上記の各板材に冷間打抜き加工を施
すことにより、直径2.2mm、厚さ0.4mmの円板
状のチップを得た。このチップを図2に示すように、接
地電極4に抵抗溶接により接合して発火部31,32と
なし、図1に示すのと同様の形態の各種スパークプラグ
を作製した。このスパークプラグを用いて以下の各試験
を行なった。 試験A:発火部を大気中にてバーナーにより2分加熱
し、1分大気中冷却する冷熱サイクルを1000回反復
実施する。試験後の発火部の状態を目視観察し、剥離が
全く発生していなかったものを優「◎」、発火部の表面
に剥離が若干見られたものを良「○」、発火部内部まで
剥離を生じたものを不可「×」として評価する。 試験B:発火部付近の温度が900℃となるように水素
気流中で8時間加熱する。試験後の評価方法は試験Aと
同じである。 試験C:試験Bの水素気流中加熱の後、試験Aの冷熱サ
イクル試験を実施。試験後の評価方法は試験Aと同じで
ある。 試験D:スパークプラグをコジェネレーションガスエン
ジンに取り付け、出力300kWにて1500rpmで
170時間連続運転する。そして、試験後の発火部の状
態を目視観察し、発汗や剥離が全く発生していなかった
ものを優「◎」、発汗や剥離が若干見られたが、初期ギ
ャップよりも0.05mm以上狭くなっていないものを
良「○」、発汗ないし剥離によりブリッジングを生じた
か、あるいは初期ギャップよりも0.05mm以上狭く
なり、ブリッジング寸前の状態となっているものを不可
「×」により評価する。 以上の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】この結果からも明らかな通り、合金中の酸
素含有量を120ppm以下とすることにより、発火部
の発汗や剥離が極めて起こりにくくなっていることがわ
かる。また、合金中の酸素含有量が120ppmを超え
る場合でも、これが300ppm以下に抑えられている
限り、熱処理により結晶粒の平均粒径を大きくすれば、
発火部の発汗や剥離を同様に防止できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す正面
図及びその半断面図。
【図2】その要部を示す拡大断面図。
【図3】発火部形成用のチップ又はチップ素材の熱処理
方法の例を示す模式図。
【図4】チップを電極に接合して発火部とし、電極とと
もに熱処理する方法を示す模式図。
【符号の説明】
3 中心電極 4 接地電極 g 火花放電ギャップ 31,32 発火部 31’,32’ 金属チップ 100 スパークプラグ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火花放電ギャップ(g)を挟んで対向す
    る中心電極(3)と接地電極(4)と備え、それら電極
    (3,4)の少なくとも一方に対して前記放電ギャップ
    (g)に臨む位置に、Pt又はIrを主成分とし、かつ
    酸素含有量が120ppm以下である金属からなる発火
    部(31,32)が固着されてなることを特徴とするス
    パークプラグ。
  2. 【請求項2】 火花放電ギャップ(g)を挟んで対向す
    る中心電極(3)と接地電極(4)と備え、それら電極
    (3,4)の少なくとも一方に対して前記放電ギャップ
    (g)に臨む位置に、Pt又はIrを主成分とし、かつ
    結晶粒の平均粒径が50μm以上であって酸素含有量が
    300ppm以下である金属からなる発火部(31,3
    2)が固着されてなることを特徴とするスパークプラ
    グ。
  3. 【請求項3】 前記発火部(31,32)を構成する金
    属は、Pt又はIrを主成分とし、副成分としてNiを
    含有する合金である請求項1又は2に記載のスパークプ
    ラグ。
  4. 【請求項4】 前記発火部(31,32)を構成する金
    属は、Pt−Ni合金、Pt−Ir合金、Pt−Ir−
    Ni及びIr−Ni合金のいずれかである請求項1ない
    し3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 【請求項5】 前記中心電極(3)と前記接地電極
    (4)との間に形成される火花放電ギャップ(g)の間
    隔が0.6mm以下である請求項1ないし4のいずれか
    に記載のスパークプラグ。
  6. 【請求項6】 取付対象となる内燃機関がガスエンジン
    である請求項1ないし5のいずれかに記載のスパークプ
    ラグ。
  7. 【請求項7】 Pt又はIrを主成分とする金属により
    構成された金属チップ(31’,32’)を、中心電極
    (3)及び/又は接地電極(4)に溶接することにより
    該チップ(31’,32’)に基づく発火部(31,3
    2)を形成するとともに、溶接前の金属チップ(3
    1’,32’)又は溶接後の電極部材(3,4)を、8
    00℃以上かつ前記金属の融点以下で熱処理することに
    より、該金属の結晶粒の平均粒径を50μm以上としつ
    つ酸素含有量を300ppm以下とすることを特徴とす
    るスパークプラグの製造方法。
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